JP2002309249A - 窒化ガリウム蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム蛍光体及びその製造方法

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JP2002309249A
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gallium nitride
nitride phosphor
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寛人 玉置
Masatoshi Kameshima
正敏 亀島
Yoshitaka Sato
義孝 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性が良く、発光特性の優れた窒化ガリウ
ム蛍光体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 一般式が次式で表される蛍光体を不活性
ガス雰囲気中で、温度500〜1300℃、圧力100
0〜3000barの範囲でHIP処理することによ
り、結晶性が良く、発光特性の優れた窒化ガリウム蛍光
体を得る。 (Ga,In)N:Y,Z (Ga,In,X)N:Y,Z ただし、XはB、Alの少なくとも一種であり、YはB
e、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd及びHgから
なる群より選ばれる少なくとも一種であり、ZはO、
S、Se、Te、Pb、C、Si、Ge及びSnからな
る群より選ばれる少なくとも一種である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光表示管、FE
D及び投写管に用いられる蛍光体に関し、特に結晶性が
良く、発光特性の優れた窒化ガリウム蛍光体及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光表示管及びフィールドエミッション
ディスプレイ(以下FEDと述べる。)は、基本的にカ
ソードと、それに対向するアノードとを有し、アノード
側に設けられた蛍光膜を電子線で励起して発光させる構
造を有するフラットパネルディスプレイである。これら
のアノードにおける電子線の加速電圧は、蛍光表示管で
は0.2kV以下であり、FEDでは0.1〜10kV
程度で、CRTの加速電圧が数十kVであるのに比べれ
ば、何れも低速電圧の範疇には入るものである。上記し
たことから、蛍光表示管及びFEDには低速電子線励起
蛍光体が使用される。
【0003】低速電子線で励起発光する蛍光体として、
従来より発光色が緑色のZnO:Zn蛍光体以外は、酸
化インジウムを粒子表面に被覆し導電率を上げたZn
S:Zn(青色)、ZnS:Cu,Al(黄緑色)、Z
nS:Au,Al(黄緑色)、(Zn,Cd)S:A
u,Al(緑黄色〜黄橙色)、(Zn,Cd)S:A
g,Cl(橙色〜赤橙色)の蛍光体が用いられてきた。
ところが、硫化物蛍光体は電子線励起時の硫化物ガスの
放出や蛍光体物質の分解飛散によって、酸化物フィラメ
ントの汚染や蛍光体の発光効率の低下が生じやすいとい
う問題があった。また、蛍光表示管及びFEDにおいて
は、多色表示の要望から種々の発光色の低速電子線励起
蛍光体の開発が必要とされていた。このようなことから
硫化物以外の蛍光体組成を有する種々の発光色の蛍光体
の実用化が望まれていた。
【0004】硫化物以外の蛍光体で有望されるものとし
て、窒化ガリウム蛍光体が研究されている。特開昭51
−41686号には、Zn又はCdをドープしたGaN
蛍光体について開示されており、GaN蛍光体を得る方
法として、酸化ガリウムをNHガス雰囲気下で焼成し
窒化する方法が記載されている。この場合、酸化ガリウ
ムは粒子の表面から窒化していくが、完全に窒化するの
は難しく、酸素分が残存し、結晶性が悪かった。残存す
る酸素分を少なくするために焼成温度を上げると、窒化
と同時に還元、分解する不均化反応が進行して部分的に
Ga金属、GaNl−Xが生成し、均一な組成の蛍光体
が得られず、結晶性が悪くなる傾向にあった。このよう
に、従来の窒化ガリウム蛍光体は結晶性が悪く、紫外線
又は電子線で励起して発光させた場合、発光特性が低
く、蛍光表示管等への実用化が困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上述
した問題を解決することを目的とし、すなわち、結晶性
が良く、発光特性の優れた窒化ガリウム蛍光体及びその
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上述した問
題を解決するために鋭意検討した結果、蛍光体を不活性
ガスの雰囲気中で、温度500〜1300℃、圧力10
00〜3000barの範囲でHIP処理することによ
り、結晶性が良く、発光特性の優れた窒化ガリウム蛍光
体が得られることを見出し本発明を完成させるに至っ
た。本明細書において「HIP処理」とは、熱間静水圧
処理のことをいい、成形体あるいは粉末を熱間静水圧プ
レス(hot isostatic perssing)に充填し、高温高圧の
条件下において熱処理を施すことをいう。
【0007】したがって、本発明の窒化ガリウム蛍光体
の製造方法は、蛍光体を不活性ガス雰囲気中、温度50
0〜1300℃、圧力1000〜3000barの範囲
でHIP処理することを特徴とする。
【0008】HIP処理の温度は500〜1300℃の
範囲が好ましく、900℃〜1300℃の範囲がより好
ましい。また、圧力は1000〜3000barの範囲
が好ましい。HIP処理の温度が500℃未満の場合、
又は圧力が1000bar未満の場合、窒化ガリウム蛍
光体の結晶性及び発光特性向上の効果は小さいからであ
り、逆にHIP処理の温度が1300℃を越えるとGa
Nの解離圧が著しく高くなって制御が難しく、また、圧
力が3000barを越えると汎用装置での制御が難し
く、製法として実用的でないからである。不活性ガスと
しては、N、Ne、Ar、Kr、Xe、COのうち
の少なくとも一種が好ましく、かつ酸素分圧が0.00
1bar以下であることが好ましい。酸素分圧が0.0
01barを越えると、蛍光体が酸化され、発光輝度が
低下するからである。
【0009】HIP処理される窒化ガリウム蛍光体は、
次の一般式で表されるものが適している。 (Ga,In)N:Y,Z ただし、Yは、Be、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、
Cd及びHgからなる群より選ばれる少なくとも一種で
あり、ZはO、S、Se、Te、Pb、C、Si、Ge
及びSnからなる群より選ばれる少なくとも一種であ
る。
【0010】さらに、本発明の方法でHIP処理される
窒化ガリウム蛍光体は、次の一般式で表されるものも適
している。 (Ga,In,X)N:Y,Z ただし、XはB、Alのうちの少なくとも一種であり、
Yは、Be、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd及び
Hgからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、Z
はO、S、Se、Te、Pb、C、Si、Ge及びSn
からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
【0011】本発明は、基本的に窒化ガリウム蛍光体で
あれば効果があるが、特に、上記一般式で表される窒化
ガリウム蛍光体において有効であって、発光特性が非常
に向上する。
【0012】本発明の窒化ガリウム蛍光体は、以上の製
造方法で製作されるものであって、六方晶の結晶構造を
有し、かつ(102)面の回折線の積分幅が0.12〜
0.18deg.の範囲とするものである。
【0013】さらに、本発明の窒化ガリウム蛍光体は、
好ましくは平均粒径を1〜50μmの範囲とするもので
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の窒化ガリウム蛍光体は次
のようにして得られる。原料としてガリウム化合物、亜
鉛化合物等を混合した原料混合物をNHガスを流しな
がら1000〜1200℃で焼成して窒化ガリウム蛍光
体を得る。次に、この蛍光体を不活性ガス雰囲気中、温
度500〜1300℃、圧力1000〜3000bar
の範囲でHIP処理して本発明の窒化ガリウム蛍光体を
得る。得られる蛍光体の平均粒径は1〜50μmの範囲
と大きく、(102)面の回折線の積分幅は0.12〜
0.18deg.の範囲である。
【0015】このように蛍光体を不活性ガス雰囲気中で
HIP処理することにより、蛍光体は酸化されることな
く結晶成長し、結晶性の優れた窒化ガリウム蛍光体が得
られる。また、このようにHIP処理して得られる窒化
ガリウム蛍光体は、HIP処理前に比べ著しく発光特性
が向上する。
【0016】次に、(Ga,In)N:Zn,S蛍光体
について、HIP処理条件を種々に変えて試験し、得ら
れる蛍光体の発光輝度(相対輝度)と(102)面の回
折線の積分幅の関係を図1に示す。発光輝度は蛍光体を
加速電圧7kV、電流密度0.5μA/cmの電子線で
励起したときの測定値であり、HIP処理前の蛍光体の
輝度を100%としたときの相対輝度(%)である。ま
た、積分幅については、ゴニオメータRINT2500
(Rigaku)、管球CuKα、電圧50kV、電流
200mA、ステップ間隔0.008deg.、計数時
間1sec.の条件で蛍光体のX線回折を測定し、2θ
=48.264°での(102)面の回折線の積分幅を
求める。この図から、(102)面の回折線の積分幅が
0.12〜0.18deg.の範囲で蛍光体の発光輝度
が高くなっていることがわかる。
【0017】
【実施例】[実施例1]Ga粉末10g、In
粉末1g、及びZnS粉末2gを良く混合し、得ら
れる原料混合物をアルミナボートに入れ、これを石英管
に挿入する。その後、NHガスを流量1.5リットル
/minで供給しながら、1100℃で3時間焼成し、
アルミナボートを取り出して(Ga,In)N:Zn,
S蛍光体を得る。この蛍光体は、In=170ppm、
Zn=2130ppm、S=190ppm含有してお
り、平均粒径は0.8μmである。また、この蛍光体は
六方晶の結晶構造を有し、(102)面の回折線の積分
幅は0.188deg.である。以下、この蛍光体につ
いてHIP処理を行う。
【0018】こうして得られる蛍光体5gをアルミナル
ツボに入れ、HIP装置に充填し、温度1200℃、圧
力2000bar、窒素ガスの雰囲気中で24時間HI
P処理し、本発明の窒化ガリウム蛍光体を得る。この蛍
光体の(102)面の回折線の積分幅は0.144de
g.であり、平均粒径は1.6μmである。
【0019】HIP処理前後の窒化ガリウム蛍光体につ
いて、加速電圧7kV、電流密度0.5μA/cm
条件での低速電子線励起による発光スペクトルを図2に
示す。この図から明らかなように、HIP処理後の窒化
ガリウム蛍光体は、HIP処理前に比べ、低速電子線励
起による発光強度(相対強度)が著しく高いことがわか
る。
【0020】[実施例2]HIP処理の時間を12時間
にする以外は実施例1と同様に行い本発明の窒化ガリウ
ム蛍光体を得る。この蛍光体の(102)面の回折線の
積分幅は0.163deg.であり、平均粒径は1.5
μmである。
【0021】[実施例3]HIP処理の圧力を1600
barにする以外は実施例1と同様に行い、本発明の窒
化ガリウム蛍光体を得る。この蛍光体の(102)面の
回折線の積分幅は0.174deg.であり、平均粒径
は1.3μmである。
【0022】[実施例4]HIP処理の温度を1100
℃にする以外は実施例1と同様に行い、本発明の窒化ガ
リウム蛍光体を得る。この蛍光体の(102)面の回折
線の積分幅は0.180deg.であり、平均粒径は
1.2μmである。
【0023】[実施例5]原料としてHBO0.0
03gを加える以外は実施例1と同様に行い、HIP処
理前の(Ga,In,B)N:Zn,S蛍光体を得る。
得られる蛍光体はIn=170ppm、B=20pp
m、Zn=2050ppm、S=180ppm含有して
おり、平均粒径は0.9μmである。また、この蛍光体
は六方晶の結晶構造を有し、(102)面の回折線の積
分幅は0.189deg.である。次に、この蛍光体に
ついて実施例1と同様にHIP処理を行い、本発明の窒
化ガリウム蛍光体を得る。この蛍光体の(102)面の
回折線の積分幅は0.145deg.であり、平均粒径
は1.8μmである。
【0024】[実施例6]原料としてAl(OH)
0.002gを加える以外は実施例1と同様に行い、
HIP処理前の(Ga,In,Al)N:Zn,S蛍光
体を得る。得られる蛍光体はIn=160ppm、Al
=20ppm、Zn=2080ppm、S=190pp
m含有しており、平均粒径は0.9μmである。また、
この蛍光体は六方晶の結晶構造を有し、(102)面の
回折線の積分幅は0.183deg.である。次に、こ
の蛍光体について実施例1と同様にHIP処理を行い、
本発明の窒化ガリウム蛍光体を得る。この蛍光体の(1
02)面の回折線の積分幅は0.148deg.であ
り、平均粒径は1.7μmである。
【0025】[実施例7]原料としてHBO0.0
03gとAl(OH)0.001gを加える以外は実
施例1と同様に行い、HIP処理前の(Ga,In,
B,Al)N:Zn,S蛍光体を得る。得られる蛍光体
はIn=150ppm、B=20ppm、Al=10p
pm、Zn=2100ppm、S=160ppm含有し
ており、平均粒径は1.0μmである。また、この蛍光
体は六方晶の結晶構造を有し、(102)面の回折線の
積分幅は0.187deg.である。次に、この蛍光体
について実施例1と同様にHIP処理を行い、本発明の
窒化ガリウム蛍光体を得る。この蛍光体の(102)面
の回折線の積分幅は0.146deg.であり、平均粒
径は1.9μmである。
【0026】実施例1〜7で得られる蛍光体について、
低速電子線励起による発光輝度(相対輝度)及び色度
x,yを測定し、表1にまとめる。測定条件は加速電圧
7kV、電流密度0.5μA/cmで行う。表1から
明らかなように、不活性ガス雰囲気中でHIP処理する
ことにより、発光特性の優れた窒化ガリウム蛍光体が得
られることがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】また、実施例1〜7で得られる蛍光体につ
いて、(102)面以外の回折線の積分幅を求めた結果
を表2にまとめる。この表から明らかなように、HIP
処理することで、(102)面の回折線と同様に積分幅
が小さくなっており、蛍光体の結晶性が良くなっている
ことがわかる。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の窒化ガリウ
ム蛍光体の製造方法に従うと、不活性ガス雰囲気中でH
IP処理することにより、結晶性が良く、発光特性の優
れた窒化ガリウム蛍光体が得られる。また、本発明の蛍
光体は低速電子線励起による発光輝度が非常に高いた
め、蛍光表示管等に効果的に用いられることが期待され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化ガリウム蛍光体の発光輝度(相対
輝度)と(102)面の回折線の積分幅の関係を示すグ
ラフ図
【図2】HIP処理前後の窒化ガリウム蛍光体の低速電
子線励起による発光スペクトルを示す図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀島 正敏 徳島県阿南市上中町岡491番地100 日亜化 学工業株式会社内 (72)発明者 佐藤 義孝 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株式 会社内 Fターム(参考) 4H001 CA06 CF01 XA05 XA07 XA13 XA31 XA49 YA04 YA06 YA08 YA12 YA14 YA16 YA20 YA30 YA32 YA34 YA38 YA48 YA50 YA52 YA56 YA80 YA82 5C036 EE01 EF01 EF06 EG36 EH12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体を不活性ガス雰囲気中で、温度5
    00〜1300℃、圧力1000〜3000barの範
    囲でHIP処理をすることを特徴とする窒化ガリウム蛍
    光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 HIP処理の温度が900〜1300℃
    である請求項1に記載の窒化ガリウム蛍光体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 酸素分圧が0.001bar以下の不活
    性ガスを使用する請求項1に記載される窒化ガリウム蛍
    光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 不活性ガスが、N、Ne、Ar、K
    r、Xe、COのうちの少なくとも一種である請求項
    3に記載される窒化ガリウム蛍光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記蛍光体が次の一般式で表されること
    を特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム蛍光体の製
    造方法。 (Ga,In)N:Y,Z ただし、Yは、Be、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、
    Cd及びHgからなる群より選ばれる少なくとも一種で
    あり、ZはO、S、Se、Te、Pb、C、Si、Ge
    及びSnからなる群より選ばれる少なくとも一種であ
    る。
  6. 【請求項6】 前記蛍光体が次の一般式で表されること
    を特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム蛍光体の製
    造方法。 (Ga,In,X)N:Y,Z ただし、XはB、Alのうちの少なくとも一種であり、
    Yは、Be、Zn、Mg、Ca、Sr、Ba、Cd及び
    Hgからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、 ZはO、S、Se、Te、Pb、C、Si、Ge及びS
    nからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6に記載の製造方法で得
    られる、六方晶の結晶構造を有し、かつ(102)面の
    回折線の積分幅が0.12〜0.18deg.の範囲で
    あることを特徴とする窒化ガリウム蛍光体。
  8. 【請求項8】 平均粒径が1〜50μmの範囲であるこ
    とを特徴とする請求項7に記載の窒化ガリウム蛍光体。
  9. 【請求項9】 低速電子線で励起される蛍光体である請
    求項7に記載の窒化ガリウム蛍光体。
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