JP2014177509A - 無機蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、原料化合物中の賦活剤を確実に還元することができ、かつ、均一な熱分布で焼結を進行させることができ、その結果、優れた発光強度を有する無機蛍光体を確実に製造することができる無機蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の無機蛍光体の製造方法は、原料化合物を混合した後、得られた混合物をグラファイトシートで包み込み加熱することにより、還元雰囲気下で焼結させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、無機蛍光体の製造方法に関する。
現在、青色LEDや紫外LEDと、これらのLEDから発生する紫外〜青色の光を励起源とする無機蛍光体とを組み合わせた白色LED照明の研究、開発が盛んに行われ、既に実用化もされている。
このような白色LED照明は、熱の発生が少ないこと、半導体素子と無機蛍光体とから構成されているため、従来の白熱電球のように切れることがなく長寿命であること、水銀などの有害な物質が不要であることといった利点があり、理想的な照明装置の1つと考えられている。
上述したLEDと無機蛍光体とを組合せて白色光を得るには、主に3つの方式が考えられている。第一の方式は、青色LEDと、青色光を受けて励起され黄色発光する無機蛍光体とを組み合わせて白色発光を得るものである。
第二の方式は、青色LEDと、青色光を受けて励起され赤色発光する無機蛍光体及び緑色発光する無機蛍光体を組み合わせて白色発光を得るものである。
第三の方式は、紫外LEDと、紫外光(紫外線)を受けて励起され、赤色発光する無機蛍光体、緑色発光する無機蛍光体及び青色発光する無機蛍光体を組み合わせて白色発光を得るものである。
これらの白色LED照明のうち、赤色発光する無機蛍光体を使用した白色LED照明(上記第二及び第三の方式)では、赤色発光する無機蛍光体(赤色無機蛍光体)が他の無機蛍光体に比べ長波長側の励起効率が悪く、発光効率が低いために、高輝度の白色が得られないとの課題があり、また、高輝度にするためには赤色無機蛍光体のみ混合割合を多くせざるを得ないとの問題があった。
一方、これらの白色LED照明等に使用する無機蛍光体としては、例えば、窒化物、酸化物、硫化物等の母体結晶と賦活剤とからなる無機蛍光体があり、このような無機蛍光体は、原料化合物を混合した後、焼成することにより製造しているが、この焼成工程では賦活剤を還元させるべく還元雰囲気下で行う必要があった。
そこで、上記焼成工程は、例えば、原料化合物の混合物を窒化ホウ素等からなるルツボ内に投入し、窒素雰囲気下で加熱することにより行っていた(特許文献1)。
特開2008−285662号公報
しかしながら、窒素雰囲気下で原料化合物を焼結させた場合、賦活剤を充分に還元することができず、得られた無機蛍光体の発光強度が低くなってしまうとの問題があった。
そこで、H雰囲気下で焼成する方法を検討してみたところ、賦活剤を充分に還元させることはできるものの、この方法では、焼成炉へのダメージが大きく、頻繁に焼成炉を交換する必要があるため、経済的に極めて不利であった。
また、原料化合物の混合物をグラファイト製のルツボ内に投入し、窒素雰囲気下で焼成することも検討してみたが、得られた無機蛍光体が不純物としてカーボンを多量に含有し、精製により不純物を完全に除去することも困難であった。
本発明者等は、上記の問題を解決すべく鋭意検討した結果、赤色の無機蛍光体を製造する場合は勿論、他の無機蛍光体を製造する場合であっても、焼成工程において確実に賦活剤を還元させ、発光強度の高い無機蛍光体を確実に製造することができ、かつ、焼成炉へのダメージが小さいためライニングコストに優れる無機蛍光体の製造方法を完成した。
本発明の無機蛍光体の製造方法は、母体結晶と賦活剤とからなる無機蛍光体であって、
原料化合物を混合した後、得られた混合物をグラファイトシートで包み込み加熱することにより、還元雰囲気下で焼結させることを特徴とする。
本発明の無機蛍光体の製造方法において、
上記無機蛍光体は、下記一般式(I):
(a−y):M (I)
(式中、MはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる希土類元素群から選ばれる少なくとも1種であり、
Aは上記希土類元素群以外の2価の金属元素から選択される少なくとも1種であり、
Bは上記希土類元素群以外の3価の金属元素から選択される少なくとも1種であり、
Cは上記希土類元素群以外の4価の金属元素及びケイ素から選択される少なくとも1種であり、
DはNである。)で表される無機蛍光体であることが好ましい。
また、本発明の無機蛍光体の製造方法においては、上記混合物を包み込んだグラファイトシートを常圧窒素雰囲気下で加熱することが好ましい。
また、本発明の無機蛍光体の製造方法において、上記グラファイトシートは、高分子フィルムおよび/または炭化フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理し、該熱処理中に金属原子を含む物質と接触させる工程を経て得られたグラファイトシートであることが好ましく、このとき、上記工程中において、上記原料フィルムの少なくとも片面は、圧縮率5%以上60%以下の物性を示す炭素質シートと接触していることが好ましい。
また、本発明の無機蛍光体の製造方法において、上記グラファイトシートの厚さは、50μm以上であることが好ましい。
本発明の無機蛍光体の製造方法によれば、原料化合物の混合物を焼成する際に、この混合物をグラファイトシートで包み込んでいるため、原料化合物中の賦活剤を確実に還元することができ、かつ、均一な熱分布で焼結を進行させることができる。その結果、優れた発光強度を有する母体結晶と賦活剤とからなる無機蛍光体を確実に製造することができる。
さらに、本発明の無機蛍光体の製造方法では、炉内雰囲気を窒素雰囲気として焼成を行うことができるため、焼成炉に与えるダメージも抑えることができる。
実施例で使用した角筒の容器(A)の斜視図である。 角筒の容器(A) へのフィルムの充填方法を示す断面図である。 円筒の容器(B) への角筒の容器(A)の充填方法を示す斜視図である。 容器と詰め粉の通電加熱炉へのセット方法を示す断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の無機蛍光体の製造方法は、原料化合物を混合した後、得られた混合物をグラファイトシートで包み込み加熱することにより、還元雰囲気下で焼結させることを特徴とする。
本発明においては、原料化合物の混合物(以下、原料混合物)をグラファイトシートで包み込み、この状態で焼結を進行させることが重要な技術的特徴である。
これについてもう少し詳しく説明する。
無機蛍光体は、一般に窒化物、酸化物、硫化物等からなる結晶母体とこの結晶母体に固溶した発光中心元素となる賦活剤とから構成されており、賦活剤(発光中心元素)としては、例えば、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類元素が用いられる。
一方、このような無機蛍光体の製造は、例えば、結晶母体の原料化合物と、賦活剤を含有する原料化合物とをその結晶構造に応じて所定量混合し、焼成することにより行う。
このとき、例えば、賦活剤がCeやEuである場合には、原料化合物として、4価のCe酸化物であるCeOや3価のEu酸化物であるEuを使用する。しかしながら、結晶母体内に固溶した場合、賦活剤として機能するのは、Ceの場合は3価のCeであり、Euの場合は2価のEuである。従って、焼成時には、賦活剤を還元しつつ、焼結を進行させる必要がある。
しかしながら、一般的な製造方法である原料化合物を窒化ホウ素製のルツボ内に投入し、窒素雰囲気下で行う焼成では、賦活剤を充分に還元させることができず、そのため、得られた無機蛍光体の発光強度が不充分になることがあった。また、発光強度を向上させるために賦活剤の含有量を高める方法も考えられるが、レアーアースである希土類元素を多量に使用することは経済的に極めて不利である。
これに対して、本発明の無機蛍光体の製造方法では、上述した通り原料混合物をグラファイトシートで包み込んだ状態で焼結させているため、強力な還元雰囲気下で焼結が進行することとなり、賦活剤を確実に還元させることができ、発光強度に優れた無機蛍光体を製造することができる。
また、グラファイトシートは熱伝導性に優れるため、原料混合物を均一な熱分布で焼結させることができ、無機蛍光体の結晶構造に組成ずれ等が発生することを回避し、所望の結晶構造を有する無機蛍光体を確実に製造することができる。
また、驚くべきことに、原料混合物をグラファイトシートで包み込んだ状態で焼成した場合には、不純物である母体結晶内に取り込むことなく、原料混合物を焼結させ、無機蛍光体を製造することがきる。
以下、本発明の無機蛍光体の製造方法について工程順に説明する。
なお、ここでは、下記一般式(I):
(a−y):M (I)
(式中、MはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる希土類元素群から選ばれる少なくとも1種であり、Aは上記希土類元素群以外の2価の金属元素から選択される少なくとも1種であり、Bは上記希土類元素群以外の3価の金属元素から選択される少なくとも1種であり、Cは上記希土類元素群以外の4価の金属元素及びケイ素から選択される少なくとも1種であり、DはNである。)で表される無機蛍光体を製造する場合を例に説明する。
上記一般式(I)で表される無機蛍光体においては、A(a−y)が母体結晶であり、Mが賦活剤である。
勿論、本発明の製造方法で製造できる無機蛍光体は、上記一般式(I)で表される無機蛍光体に限定されるわけではなく、他の無機蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr)SiO:Eu、Eu賦活Ca−SiAlON、(Ca,Sr)Si:Eu、CAlSiN:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、β−SiAlON、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce、LiSrSiO:Eu、BaSi12:Eu、LaSi11:Ce等が挙げられる。
(1)原料化合物を均一に混合し、原料化合物の混合物(原料混合物)を調製する。
上記原料化合物としては、製造する無機蛍光体の組成に応じて適宜選択すれば良いが、例えば、上記Aの酸化物、上記Bの窒化物、上記Cの窒化物、及び、上記Mの酸化物を用いることができる。
上記原料化合物を混合する方法としては、特に限定されず、乾式、湿式のいずれであっても良いが、均一に混合できるという点で湿式混合が好ましい。例えば、上記原料化合物を所定量秤量し、エタノール溶媒中で混合し、その後、溶媒を十分揮発させる方法等が挙げられる。
(2)次に、得られた原料混合物をグラファイトシートで包み込み加熱することにより、還元雰囲気下で焼結させる。
ここでは、例えば、原料混合物を包み込んだグラファイトシートを、炉内を窒素を含む気体雰囲気とした焼成炉に投入し、ヒーター等で加熱すれば良い。
炉内を窒素を含む気体雰囲気とする方法としては、特に限定されないが、例えば、炉内を減圧した後、窒素ガスを封入すれば良い。
また、加熱時(焼成時)の炉内の雰囲気圧は特に限定されないが、製造コストの面からは、高圧よりも大気圧(常圧)であることが好ましい。
本工程は、特に、常圧窒素雰囲気下で行うことが好ましい。その理由は、製造コストを抑えることができるからである。
本工程は、最高焼成温度が1600〜1850℃の温度条件で行うことが好ましく、1650〜1750℃の温度条件で行うことがより好ましい。
上記最高焼成温度が1600℃未満であると、混合した原料化合物を加熱しても固相反応が進みにくく、無機蛍光体を製造することができないことがある。一方、最高焼成温度が1850℃を超えると、無駄な焼成エネルギーを消費してしまうだけでなく、原料化合物や生成物質からの窒素の揮発が多くなり、窒素雰囲気圧を非常に高くしないと無機蛍光体を製造することができないことがある。
本工程における焼成時間(加熱時間)は、特に限定されないが、1〜6時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましく、1〜3時間であることがさらに好ましい。
本工程では、原料化合物をそのままグラファイトシートで包み込んでも良いが、原料混合物を加圧し、ペレット状に加工したものを包み込むことが好ましい。焼結反応がより進行しやすくなるからである。
本工程で使用するグラファイトシートは特に限定されず、原料混合物を包み込むことができるものであれば、従来公知のグラファイトシートを使用することができる。
上記グラファイトシートとしては、特開2007−204299号公報に開示された製造工程を経て得られたグラファイトシートが好ましい。
即ち、高分子フィルムおよび/ または炭化フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理し、該熱処理中に金属原子又はケイ素若しくはホウ素を含む物質と接触させる工程を経て得られたグラファイトシートが好ましく、上記工程中において、上記原料フィルムの少なくとも片面は、圧縮率5%以上60%以下の物性を示す炭素質シートと接触していたグラファイトシートがより好ましい。
このような工程を経て得られたグラファイトシートは熱伝導性に優れるからである。
上述した特定の工程を経てグラファイトシートを得る場合、グラファイトシートの製造工程は、更に下記の要件を充足することが好ましい。具体的には、例えば、
1)原料フィルムがポリイミドフィルム及び/又はポリイミドフィルムを炭化した炭化フィルムであること、
2)炭素質シートがJIS B 0652に記載の光波干渉式表面粗さ測定法で得られる表面粗さRaが0.8μm以下であること、
3)炭素質シートの厚みが300μm以下であること、特に240μm以下であること、
4)炭素質シートの引張強度が5MPa以上であること、
5)炭素質シートの灰分が0.5%以下であること、
6)炭素質シートが、1000℃以上で熱処理されて得られた炭素質シートであること、
7)熱処理工程中においてさらに、引張強度7MPa以上、厚み3mm以下の2枚以上の黒鉛板で、上記の少なくとも片面が上記の炭素質シートと接触している原料フィルムを複数枚挟んでいること、特に、該原料フィルム5枚以上が、2枚の黒鉛板に挟まれていること、
8)高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、及び、ポリベンゾビスイミダゾールからなる群から選ばれる少なくとも一種類以上の高分子からなること、
9)上記8)のポリイミドの複屈折率が0.08以上であること、特に0.12以上であること、
10)上記8)のポリイミドが、前駆体であるポリアミド酸を脱水剤とイミド化促進剤とを用いてイミド化して作製されうるポリイミドフィルムであること、
11)上記10)のポリイミドフィルムが、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記と異なるジアミンを反応させて前記ポリアミド酸を合成し、前記ポリアミド酸をイミド化して作製されたものであること、
12)金属原子を含む物質と接触させる場合、上記金属元素が、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム及びゲルマニウムからなる群から選ばれる1以上の金属原子であること、特に、チタン、バナジウム、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる1以上の金属原子であること、
13)通電可能な容器内に、原料フィルムを保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含むこと、
等の要件を満たすことが更に好ましい。
上記グラファイトシートは、その厚さが50μm以上であることが好ましい。
(3)次に、得られた焼結体を室温まで炉冷した後、粉砕・混合することにより無機蛍光体の粉体を得ることができる。ここで、粉砕・混合する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。
また、無機蛍光体を粉体とした後には、不純物を除去するため、酸洗浄することが好ましい。このとき、酸としては塩酸又は硫酸を用いることが好ましい。
また、酸洗浄した後の無機蛍光体は、純水で水洗いし、粉体を沈殿させ上澄みを取り除き、得られた粉体を炉内で加熱し、十分に乾燥させることが好ましい。
この時の温度は100〜400℃であることが好ましく、100〜300℃であることがより好ましく、100〜200℃であることがさらに好ましい。
また、加熱時間は、1時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましく、3時間以上であることがさらに好ましく、4時間以上であることが特に好ましい。
粉体に水分が残っていると、蛍光体をLED等の用途に用いた際に通電等に影響を与える可能性があるのに対し、これらの条件で乾燥(加熱)処理を行うことにより、充分に水分を除去することができるからである。
また、水分を除去した後には、振るいにかけ、分級することが好ましい。
本発明の製造方法により製造される無機蛍光体は、その平均粒径が、0.1〜30μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましい。
上記平均粒径が0.1μm未満であると、表面の欠陥量が増大し、蛍光体の発光強度が低下することがある。一方、上記平均粒径が30μmを超えると、粒径の大きな粒子が多数混在するため、LEDの封止剤等の中で蛍光体をうまく分散・沈降させることができないことがある。
本明細書において、無機蛍光体の平均粒径とは、レーザ回折法により測定したD50の粒子径であり、例えば、日機装社製のマイクロトラックMT3000II等の装置により測定することができる。
本発明の製造方法で製造される無機蛍光体が、上記一般式(I)で表される無機蛍光体である場合、上記Mは、Ce及び/又はEuであることが好ましい。その理由は、本発明の製造方法により高発光効率の無機蛍光体を製造するのに特に適しているからである。
また、上記Aは、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、Ca及び/又はBaであることがより好ましく、Caであることがさらに好ましい。その理由は、Caの酸化被膜(CaO)がフラックスとして機能し、焼結を促進するためである。
また、上記Bは、Al及び/又はGaであることが好ましく、Alであることがより好ましい。その理由は、発光特性の高い蛍光体を製造することができるからである。
上記Cは、Siであることが好ましい。その理由は、発光特性の高い蛍光体を製造することができるからである。
特に、上記一般式(I)においては、BがAl及び/又はGaであり、かつ、CがSiであることがより好ましい。その理由は、発光特性の高い蛍光体を製造することができるからである。
また、発光特性に優れる点からは、上記一般式(I)で表される蛍光体の中では、MとしてEuを、AとしてCa及び/又はSrを、BとしてAlを、CとしてSiを、DとしてNを含有するものが特に好ましい。
また、上記一般式(I)で表される無機蛍光体は、a、b、c、d及びyがそれぞれ下記式(1)〜(5)を満たす(但し、a−y>0であるものとする。)ことが好ましい。
3≦a≦8 (1)
9≦b≦25 (2)
4.5≦c≦12 (3)
9≦d≦30 (4)
0.2≦y≦4 (5)
常圧窒素雰囲気下で焼成する無機蛍光体として特に好適だからである。
以下、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜40)
一般式(II):Ca(a−y)AlSi:Eu、又は、
一般式(III):Ca(a−y)AlSi:Ceにおいて、
a、b、c、d及びyがそれぞれ下記表1に示した値となるように、Si、AlN、CaO、及び、Eu又はCeOを秤量し、メノウ乳鉢を用いてエタノール溶媒中で攪拌し、溶媒が十分揮発するまで混合させた。その後、200℃に加熱し残りの溶媒を十分に除去した。その後、焼成を促進させるため金型に混合物を充填し、油圧ポンプで加圧しペレット状にした。
次に、そのペレットを下記の方法で製造したグラファイトシート(厚さ52μm)で包みこみ、そのまま反応容器(焼成炉)に入れ、反応容器内をロータリーポンプで減圧した後、窒素ガスで大気圧雰囲気とし、200℃まで20℃/分で昇温し、1600℃まで10℃/分で昇温させた。1600℃に到達後2〜4時間(表1参照)保持し、焼成を完了した。室温まで炉冷後、得られた蛍光体をメノウ乳鉢で粉砕混合した。その後、不純物等を除去するために塩酸中で2時間攪拌し、純水で水洗いし170℃で5時間加熱することにより水分を十分除去し、その後さらに乳鉢で30分混合して無機蛍光体を得た。
[グラファイトシートの作製]
(炭化フィルムAの作製)
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液を、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥した。
出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製用の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層を、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに接触させ、固定・保持した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱し乾燥した。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10−5/℃)を製造した。なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間を調整した。例えば厚さ125μm、225μmのフィルムの場合には、75μmの場合よりも焼成時間を5/3倍、3倍に設定した。また、厚みが厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発による発泡を防ぐために低温での焼成時間を十分とる必要がある。
上記方法と同様にして作製された(株)カネカ製・アピカルAHの厚さ75、125、175、225μmのポリイミドフィルムAを、図1に示す直接通電可能な角型黒鉛容器(角筒の容器(A))内に、黒鉛板と交互に積層させ、1000℃で熱処理することで炭化フィルムAを得た(昇温速度2.5℃/分)。
(炭素質シートAの作製方法)
酸化剤(過酸化水素、過塩素酸等)の存在下、天然鱗状黒鉛の層間に硫酸、硝酸等を挿入し、形成された層間化合物を900〜1200℃程度の高温で急激に加熱することで分解ガス化し、このときのガス圧によって黒鉛の層間を拡げて黒鉛を膨張させた。以上のようにして得られた膨張黒鉛を圧縮予備成形し、その後ロールで圧延する事により、厚み240μm、40%の圧縮率(緩和材として使用可能な、40%の圧縮可能率)を示す炭素質シートAを得た。
(グラファイトシートの作製)
原料フィルムとして厚み75、125、175、225μmのポリイミドフィルムAから得られた炭化フィルムAに硝酸鉄の10wt%メタノール溶液を塗布した後、図2に示すように、炭素質シートAで1枚ずつ交互に挟み、炭素質シートAと接触している炭素化フィルム3枚を引張強度7MPa以上厚み3mmの黒鉛押出板2枚で挟み、角筒の容器(A)内に、接触して保持した。該容器(A)がいっぱいになるまで繰り返しセットした。該容器(A)は、図3に模式的に示すように原料フィルムの面方向が直接通電可能な円筒の容器(B)(さらに詳細に説明すると具体的には、図3に模式的に示すような、直接通電可能な、蓋付きの円筒の容器(B))の円筒の高さ方向と平行になるように保持し、該容器(A)の外部周辺を、コークス粉末で覆い(容器(A)と容器(B)の間にコークス粉末を充填し)、また図4に示すように該容器(A)を該容器(B)と接触しないように、保持した。図4に示すように該容器(B)の外部周辺を、コークス粉末で覆った状態で、電圧を該容器(B)の円筒の直径方向(原料フィルムの面方向と平行)に印加し、通電することで、3000℃まで加熱し、グラファイトシートを作製した。原料フィルムへの通電方向を示す直線と、原料フィルムの面方向に対する法線との、成す角度は、90度である。
各実施例で得られた蛍光体について、X線回折装置(XRD)(リガク社製、RINT2000)を用いて結晶構造解析を行った。測定はCuKα線で行いλ=1.5418nmとした。測定角θは10〜90°とした。
このように、結晶構造解析を行った後、発光特性を分光蛍光光度計(日立ハイテク社製、F−7000形分光蛍光光度計)で測定し評価した。
測定条件は、励起側スリット:2.5nm、蛍光側スリット:2.5nm、ホトマル電圧:350Vとした。表1には、励起光波長365nmでの発光特性と、励起光波長450nmでの発光特性とを示す。
Figure 2014177509
11 角筒の容器(A)
12 原料フィルムを接触して保持するための、平滑な通電可能な平板
21 炭素質シート
22 炭化フィルム
23 容器の有効容積の深さ
31 円筒の容器(B)
51 容器(A)と容器(B)の間に充填された、コークス粉末
52 容器(B)の外部周辺に充填された、コークス粉末

Claims (6)

  1. 母体結晶と賦活剤とからなる無機蛍光体の製造方法であって
    原料化合物を混合した後、得られた混合物をグラファイトシートで包み込み加熱することにより、還元雰囲気下で焼結させることを特徴とする無機蛍光体の製造方法。
  2. 前記無機蛍光体は、下記一般式(I):
    (a−y):M (I)
    (式中、MはCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる希土類元素群から選ばれる少なくとも1種であり、
    Aは前記希土類元素群以外の2価の金属元素から選択される少なくとも1種であり、
    Bは前記希土類元素群以外の3価の金属元素から選択される少なくとも1種であり、
    Cは前記希土類元素群以外の4価の金属元素及びケイ素から選択される少なくとも1種であり、
    DはNである。)で表される無機蛍光体である請求項1に記載の無機蛍光体の製造方法。
  3. 前記混合物を包み込んだグラファイトシートを常圧窒素雰囲気下で加熱する請求項1又は2に記載の無機蛍光体の製造方法。
  4. 前記グラファイトシートは、高分子フィルムおよび/または炭化フィルムからなる原料フィルムを2000℃以上の温度で熱処理し、該熱処理中に金属原子を含む物質と接触させる工程を経て得られたグラファイトシートである請求項1〜3のいずれかに記載の無機蛍光体の製造方法。
  5. 前記工程中において、前記原料フィルムの少なくとも片面は、圧縮率5%以上60%以下の物性を示す炭素質シートと接触している請求項4に記載の無機蛍光体の製造方法。
  6. 前記グラファイトシートの厚さは、50μm以上である請求項1〜5のいずれかに記載の無機蛍光体の製造方法。
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