JP2002309159A - 親水性塗布液組成物及び表面親水性部材 - Google Patents

親水性塗布液組成物及び表面親水性部材

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JP2002309159A
JP2002309159A JP2001110496A JP2001110496A JP2002309159A JP 2002309159 A JP2002309159 A JP 2002309159A JP 2001110496 A JP2001110496 A JP 2001110496A JP 2001110496 A JP2001110496 A JP 2001110496A JP 2002309159 A JP2002309159 A JP 2002309159A
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hydrophilic
polymer
crosslinking agent
graft polymer
coating solution
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JP2001110496A
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Yoshinori Takahashi
美紀 高橋
Koichi Kawamura
浩一 川村
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の基材表面に耐久性に優れた親水性層を
形成しうる親水性塗布液組成物及びそれを用いた、親水
性に優れ、且つ、良好な耐摩耗性を有する表面親水性部
材を提供する。 【解決手段】 (A)架橋剤と反応し得る官能基を有す
る幹ポリマーに親水性ポリマー側鎖を導入してなる親水
性グラフトポリマーと、(B)架橋剤とを含有すること
を特徴とする。この親水性塗布液組成物を適切な基材上
に塗布し、加熱、乾燥することで、親水性と耐磨耗性に
優れた親水性部材を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親水化された表面
層を形成するための親水性塗布液組成物及びそれを用い
て形成された親水化表面層を備える表面親水性部材に関
する。
【0002】
【従来の技術】樹脂フィルムは種々の目的で使用されて
いるが、それらの表面は疎水性を示すものが一般的であ
る。また、ガラスや金属等の無機材料についても、高い
親水性を有するものは少ない。樹脂フィルム、無機材料
などを用いた基材の表面が親水化されると、付着水滴が
基材表面に一様に拡がり均一な水膜を形成するようにな
るので、ガラス、レンズ、鏡の曇りを有効に防止でき、
湿分による失透防止、雨天時の視界性確保等に役立つ。
さらに、都市媒塵、自動車等の排気ガスに含有されるカ
ーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出
成分等の疎水性汚染物質が付着しにくく、付着しても降
雨や水洗により簡単に落せるようになるので、種々の用
途に有用である。
【0003】従来提案されている親水化するための表面
処理方法、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等に
よれば、高度に親水化されるものの、その効果は一時的
であり、親水化状態を長期間維持することができない。
また、親水性樹脂の一つとして親水性グラフトポリマー
を使用した表面親水性塗膜も提案されている(新聞“化
学工業日報”1995年1月30日)。この報告によればこの
塗膜はある程度の親水性を有するものの、基材との親和
性が充分とはいえず、より高い耐久性が求められてい
る。
【0004】また、その他の表面親水性に優れたフィル
ムとしては従来から酸化チタンを使用したフィルムが知
られており、例えば、PCT/JP96/00733号
において、基材表面に光触媒含有層を形成すると、光触
媒の光励起に応じて表面が高度に親水化されることが開
示されており、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装
材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら
複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることが
報告されている。しかしながら酸化チタンを用いた親水
性フィルムは充分な膜強度を有さず、より良好な耐摩耗
性を有する親水性材料が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、各種
の基材表面に耐久性に優れた親水性層を形成しうる親水
性塗布液組成物を提供することにある。また、本発明の
別の目的は、この親水性塗布液組成物を用いて形成され
た親水性に優れ、且つ、より良好な耐摩耗性を有する表
面親水性部材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、親水性グラフトポリマーの特性に着眼し研究を進め
た結果、本発明者らは、特定の官能基を有する幹ポリマ
ーに親水性のグラフトマクロモノマーを導入してなる親
水性グラフトポリマーと架橋剤とを組合せることで上記
目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成した。即
ち、本発明の親水性塗布液組成物は、(A)架橋剤と反
応し得る官能基を有する幹ポリマーに親水性ポリマー側
鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーと、(B)架
橋剤とを含有することを特徴とする。また、請求項2に
係る本発明の表面親水性部材は、基材表面に、(A)架
橋剤と反応し得る官能基を有する幹ポリマーに親水性ポ
リマー側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーと、
(B)架橋剤とを含有する親水性塗布液組成物を塗布
し、加熱、乾燥することにより、架橋構造を有する親水
性層を形成してなることを特徴とする。
【0007】本発明の作用は明確ではないが、親水性塗
布液組成物中に、幹ポリマーとして架橋剤と反応し得る
官能基を有する化合物を用いることで、塗布液組成物の
加熱乾燥時に組成物中の架橋剤と該官能基とが反応して
高密度の架橋構造を形成するため、得られる親水性層の
塗膜は高強度となり、優れた耐磨耗性が発現する共に、
表面近傍では、親水性ポリマー側鎖が幹ポリマーの高密
度架橋構造の内部へ潜り込むことなく表面に配向するた
め、高い表面親水性を保持し得るものと考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。まず、本発明の親水性塗布液組成物について説
明する。本発明の親水性塗布液組成物は、(A)架橋剤
と反応し得る官能基を有する幹ポリマーに親水性ポリマ
ー側鎖を導入してなる親水性グラフトポリマーと、
(B)架橋剤とを含有することを要する。 〔(A)架橋剤と反応し得る官能基を有する幹ポリマー
に親水性ポリマー側鎖を導入してなる親水性グラフトポ
リマー〕本発明の親水性グラフトポリマーは、一般的に
グラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて作成
することができる。具体的には、一般的なグラフト重合
体の合成方法は、“グラフト重合とその応用”井手文雄
著、昭和52年発行、高分子刊行会、および“新高分子
実験学2、高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出
版(株)1995、に記載されており、これらを適用す
ることができる。
【0009】グラフト重合体の合成方法としては、基本
的に1.幹高分子から枝モノマーを重合させる、2.幹
高分子に枝高分子を結合させる、3.幹高分子に枝高分
子を共重合させる(マクロマー法)という3つの方法に
分けられる。これらの3つの方法のうち、いずれも使用
して本発明の親水性グラフトポリマーを作成することが
できるが、特に製造適性、膜構造の制御という観点から
は「3.マクロマー法」が優れている。
【0010】マクロモノマーを使用したグラフトポリマ
ーの合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・
反応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載さ
れている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工
業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されてい
る。本発明に使用されるグラフトポリマーは、まず、前
記の方法により合成した親水性のマクロモノマー(親水
性ポリマー側鎖の前駆体に相当する)と架橋剤と反応し
得る官能基を有するモノマーとを共重合することによ
り、合成することができる。
【0011】(親水性マクロモノマー)本発明で使用さ
れる親水性マクロモノマーのうち特に有用なものは、ア
クリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモ
ノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレン
スルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるス
ルホン酸系マクロモノマー、アクリルアミド、メタクリ
ルアミドなどのアミド系マクロモノマー、N−ビニルア
セトアミド、N−ビニルホルムアミドなどのN−ビニル
カルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マク
ロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロ
キシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレ
ートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモ
ノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエ
チレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコー
ルアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオ
キシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーで
ある。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロ
ピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロ
モノマーとして有用に使用することができる。これらの
マクロモノマーのうち有用な高分子の重量平均分子量
(以下、単に分子量と称する)は400〜10万の範囲
であり、好ましい範囲は1000〜5万、特に好ましい
範囲は1500〜2万である。分子量が400以下では
有効な親水性を得がたく、また10万以上では主鎖を形
成する共重合モノマーとの重合性が低くなる傾向があ
り、いずれも好ましくない。
【0012】親水性マクロモノマーと共重合可能でかつ
架橋剤と反応し得る官能基(以下、適宜、反応性官能基
と称する)を有するモノマーの反応性官能基としては、
カルボキシル基あるいはその塩、アミノ基、水酸基、フ
ェノール性水酸基、グリシジルなどのエポキシ基、メチ
ロール基、(ブロック)イソシアネート基、シランカッ
プリング剤等が挙げられる。一般的なモノマーとして
は、「架橋剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大
成社刊〔1981〕、「紫外線硬化システム」加藤清視
著、総合技術センター刊〔1989〕、「UV・EB硬
化ハンドブック(原料編)」加藤清視著、、高分子刊行
会〔1985〕、「新・感光性樹脂の実際技術」赤松清
著、シーエムシー刊行(102−145頁)〔198
7〕等に記載されているモノマーが挙げられる。具体的
には、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ、アミ
ン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ、アミン塩、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、下記式(1)で表され
る如きフェノール性水酸基含有モノマー、グリシジルメ
タクリレート、アリルグリシジルエーテル、N−メチロ
ールメタクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチ
ルイソシアネート、また、下記式(2)で例示されるよ
うなブロックイソシアネートモノマー等のブロックイソ
シアネートモノマー、ビニルアルコキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリアルコキシシランなどが挙げ
られる。
【0013】
【化1】
【0014】これらのグラフトポリマーとしては、重量
平均分子量が100万以下のものが好ましく用いられ、
分子量1000〜100万、さらに好ましくは1万〜7
万の範囲のものである。分子量が100万をこれるもの
は、塗布液を調製する際に溶媒へ溶解性が悪化したり、
塗布液粘度が高くなり、均一な被膜を形成し難いなどハ
ンドリング性に問題がでる懸念があり、好ましくない。
【0015】〔(B)架橋剤〕本発明に適応可能な架橋
剤としては、公知の熱により架橋を形成する架橋剤を用
いることができる。一般的な熱架橋剤としては、「架橋
剤ハンドブック」山下晋三、金子東助著、大成社刊(1
981)に記載されているものがある。本発明に用いら
れる架橋剤の官能基数は2個以上で、且つ、グラフトポ
リマーと有効に架橋可能ならば特に制限はない。具体的
な熱架橋剤としては、1,2−エタンジカルボン酸、ア
ジピン酸といったα,ω−アルカン若しくはアルケンジ
カルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、ト
リメリット酸等のポリカルボン酸、1,2−エタンジア
ミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の
ポリアミン化合物、エチレンまたはプロピレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリエチレンまたはポリプロ
ピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグ
リコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオ
ールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパント
リグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエ
ーテル等のポリエポキシイ化合物、
【0016】エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール
等のオリゴアルキレンまたはポリアルキレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリ
スリトール、ソルビトール等のポリヒドロキシ化合物、
グリオキザル、テレフタルアルデヒドなどのポリアルデ
ヒド化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフ
ェニルイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネー
ト、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフ
タレン−1,5−ジイソシアネート、イソプロピルベン
ゼン−2,4−ジイソシアネート、ポリプロピレングリ
コール/トリレンジイソシアネート付加反応物などのポ
リイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート
化合物、テトラアルコキンシランなどのシランカップリ
ング剤、アルミニウム、銅、鉄(III)のアセチルアセ
トナートなどの金属架橋剤、トリメチロールメラミン、
ペンタエリスリトールなどのポリメチロール化合物など
が挙げられる。これらの熱架橋剤のなかでも、塗布溶液
の調液のしやすさ、作製した親水性部材の親水性低下を
防止するという観点から水溶性の架橋剤であることが好
ましく、特に好ましい架橋剤の例として、具体的には、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロ
ールメラミンなどが挙げられる。
【0017】〔(A)グラフトポリマー中の反応性官能
基と(B)架橋剤のと組合せ〕グラフトポリマー中の反
応性官能基と架橋剤との好適な組合せとしては、以下が
考えられる。カルボキンル基あるいはその塩を含有する
グラフトポリマーは、上記ポリエポキシ化合物、ポリア
ミン化合物、ポリメチロール化合物、ポリイソシアネー
ト化合物或いはブロックポリイソシアネート化合物、金
属架橋剤を用いて三次元架橋を形成することができる。
メチロール基、フェノール性水酸基、グリシジル基を有
するグラフトポリマーは、架橋剤として、上記ポリカル
ボン酸化合物、ポリアミン化合物、ポリヒドロキシ化合
物を用いて三次元架橋を形成しうる。アミノ基を有する
グラフトポリマーは、架橋剤として、上記ポリイソシア
ネート化合物或いはブロックポリイソシアネート化合
物、ポリエポキシ化合物、ポリメチロール化合物を用い
て三次元架橋を形成しうる。水酸基を有するグラフトポ
リマーは、架橋剤として、上記ポリイソシアネート化合
物或いはブロックポリイソシアネート化合物、ポリアル
デヒド化合物を用いて三次元架橋を形成しうる。アルコ
キシシリル基などのシランカップリング基を有するグラ
フトポリマーは、テトラアルコキシシランなどと脱水縮
合することにより三次元架橋を形成することが可能であ
る。
【0018】〔親水性塗布液組成物の調製〕親水性塗布
液組成物に配合する(A)幹ポリマーに反応性官能基を
有する親水性グラフトポリマーと(B)架橋剤の比率と
しては、重量性として98:2〜50:50が好まし
い。架橋剤比率が2重量%未満では十分な強度を持つ架
橋膜が得られず、また、親水性グラフトポリマーが50
重量%未満では十分な親水性が得られない。前記(A)
親水性グラフトポリマーと、(B)架橋剤とを含有する
親水性塗布液組成物を調製する溶媒としては、これらを
均一に、溶解、分散し得るものであれば特に制限はな
く、例えば、メチルエチルケトン、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキ
シエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセ
テート、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、水等が好ましい。また、塗布液中の固形分含有
量は、塗布液を適用する部材や、所望の表面親水性の程
度など、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、
1〜50重量%の範囲である。
【0019】本発明の親水性塗布液には、本発明の効果
を損なわない限りにおいて、種々の添加剤を目的に応じ
て使用することができる。例えば、塗布液の均一性を向
上させるため界面活性剤を添加することができる。ま
た、添加剤として、必要に応じて架橋反応を促進するた
めの触媒を添加してもよい。触媒としては、例えば、塩
酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸類、酢酸、シュウ酸等
の有機酸類、また、アンモニア、トリエチルアミン、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基、ジブチル錫
ラウレート等のウレタン化剤等が挙げられる。
【0020】本発明の親水性部材は、前記親水性塗布液
組成物を、適切な基材上に塗布し、加熱、乾燥して表面
親水性層を形成することで得ることができる。親水性塗
布液を加熱、乾燥する工程において、塗布液中の(A)
親水性グラフトポリマーの幹ポリマーに存在する架橋剤
と反応し得る官能基と、(B)架橋剤とが反応して三次
元架橋構造を形成し、基材表面上に、緻密な架橋構造有
し、親水性グラフト鎖が表面に配向した親水性層を形成
することになる。
【0021】〔架橋条件〕塗布液を加熱、乾燥して架橋
構造を形成するための架橋温度と架橋時間は、親水性グ
ラフトポリマー中の反応性官能基と架橋剤とが反応し架
橋を形成できる温度と時間であれば特に制限はないが、
製造適性などの点から加熱温度は200℃以下であるこ
とが好ましく、架橋時間は1時間以内が好ましい。特に
親水性グラフトポリマー中の親水性グラフト鎖の官能基
と幹ポリマーの官能性官能基とが同一である場合は、グ
ラフト鎖の官能基を保護しておくことが望ましく、架橋
後に脱保護することで、優れた親水性を有する本発明の
表面親水性部材が得られる。
【0022】なお、本発明の親水性グラフトポリマーの
表面配向性を効率よく発現させるためには、先に述べた
ように架橋構造をできるだけ密にすることが好ましい。
架橋剤を介した架橋点間の好ましい距離は50Å以下、
より好ましくは20Å以下である。架橋剤の添加量はグ
ラフトポリマー中の反応性官能基(架橋剤と反応し得る
官能基)に対して2mol%以上、好ましくは10mo
l%以上、より好ましくは20mol%以上である。架
橋剤添加量の上限はグラフトポリマーと十分架橋できる
範囲内であれば特にないが、大過剰に添加した場合、架
橋に関与しない架橋剤により、作製した親水性部材がべ
たつくなどの問題を生じる可能性がある。
【0023】本発明が適用可能な基材としては、上記防
曇効果を期待する場合には透明な基材であり、その材質
はガラス、プラスチック等が好適に利用できる。防曇効
果を有する部材が適用可能な用途としては、車両用バッ
クミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡の
ような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、内
視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用
レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガ
ラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上
車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙
船のような乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空
機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバ
イ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙
船のような乗物の風防ガラス;防護用ゴーグル、スポー
ツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マ
スクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列
ケースのガラス;計測機器のカバーガラス、及び上記物
品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
【0024】また、本発明の表面親水性部材に表面清浄
化効果を期待する場合には、その基材は、例えば、金
属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セ
メント、コンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、
それらの積層体が、いずれも好適に利用できる。表面正
常化効果を有する部材が適用可能な用途としては、建
材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、
乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバ
ー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用
防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び
塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、
太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明
灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器
具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾
燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、及
び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
【0025】本発明の表面親水性部材に帯電防止効果を
期待する場合には、その材質は、例えば、金属、セラミ
ックス、ガラス、プラスチック、木、石、セメント、コ
ンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積
層体が好適に利用できる。適用可能な用途としては、ブ
ラウン管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気
記録メディア、オーディオテープ、ビデオテープ、アナ
ログレコード、家庭用電気製品のハウジングや部品や外
装及び塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装及
び塗装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、
構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外
装、防塵カバー及び塗装、及び上記物品表面に貼付させ
るためのフィルムを含む。
【0026】基材は、ガラス、セラミックなどの無機基
材でも、高分子樹脂からなる表面を有する基材のいずれ
も好ましく用いられ、樹脂基材は、樹脂自体、表面に樹
脂が被覆されている基材、表面層が樹脂層からなる複合
材のいずれをもを含む。樹脂自体としては、飛散防止フ
ィルム、意匠性フィルム、耐蝕性フィルム等のフィルム
基材;看板、高速道路の防音壁等の樹脂基材などが代表
例として挙げられる。表面に樹脂が被覆されている基材
としては、自動車筐体、塗装建材等の塗装板、表面に樹
脂フィルムが貼着された積層板、プライマー処理した基
材、ハードコート処理した基材などが代表例として挙げ
られる。表面層が樹脂層からなる複合材としては、裏面
に接着剤層が設けられた樹脂シール材、反射ミラー、な
どが代表例として挙げられる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明の範囲はこれらによって限定されるもので
はない。
【0028】〔(A)架橋剤と反応し得る官能基を有す
る幹ポリマーのグラフト部に親水性マクロモノマーを導
入してなる親水性グラフトポリマーの合成例〕 (アミドマクロモノマーの合成)アクリルアミド30
g、3-メルカプトプロピオン酸3.8gをエタノール7
0gに溶解後、窒素雰囲気下60℃に昇温し、熱重合開
始剤2,2−アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)30
0mgを加えて6時間反応した。反応後白色沈殿を濾過
しメタノールで十分洗浄して、末端カルボン酸プレポリ
マーを30.8g得た(酸価0.787meq/g、分
子量1.29×103)。得られたプレポリマー20g
をジメチルスルホキシド62gに溶解し、グリシジルメ
タクリレート6.71g、N,N-ジメチルドデシルアミン
(触媒)504mg、ハイドロキノン(重合禁止剤)6
2.4mgを加え、窒素雰囲気下140℃で7時間反応
した。反応溶液をアセトンに加え、ポリマーを沈殿さ
せ、よく洗浄して末端メタクリレートアクリルアミドマ
クロモノマーを23.4g得た(重量平均分子量:14
00)。H1−NMR(D2O)6.12、5.70pp
mメタクリロイル基オレフィンピークと、酸価(0.0
57meq/g)の減少から、末端に重合性基が導入で
きたことを確認した。
【0029】(アミドマクロモノマーを用いたグラフト
ポリマー(1)の合成)蒸留水5gの入ったフラスコ
に、上記マクロモノマー4g、メタクリル酸ナトリウム
6g、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2
−イル)プロパン](VA061:商品名、和光純薬工
業(株)製)100mgを蒸留水17gに溶解した水溶
液を窒素雰囲気下65℃で2時間かけて滴下した。滴下
終了後引き続き6時間加熱を続けた。反応溶液をアセト
ンに加えポリマーを沈殿させよく洗浄して、親水性グラ
フトポリマー(1)6.95gを得た(分子量1.30
×105、収率92.7%)。
【0030】(実施例1) 〔親水性塗布液組成物の調製〕以下を均一に混合し、親
水性塗布液組成物を得た。 ・(A)上記親水性グラフトポリマー(1) 2g (グラフトポリマー仕込み比から求めた架橋基のモル数 1.1mol) ・(B)架橋剤(エチレングリコールジグリシジルエーテル) 0.2g (0.23mmol) ・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.24g (界面活性剤:エマルゲン910、花王(株)製(10%水溶液) ・lN 塩酸水溶液 8.2g ・水 11.6g
【0031】〔親水性部材の作製〕上記親水性塗布液組
成物を基材であるガラス板(遠藤化学製)に乾燥後の塗
布量が2g/m2となるように塗布し、140℃、1時
間加熱乾燥させて基材上に親水性層を形成し、実施例1
の親水性部材を得た。
【0032】〔親水性部材の評価〕得られた親水性部材
表面を不織布(BEMCOT、旭化学繊維社製)で10
0回擦り、その前後の接触角(空中水滴接触角)を、協
和界面科学(株)製、CA−Zを用いて測定した。擦り
を行った後、部材の表面を観察したが、擦り後にも表面
の親水性層が剥がれたり、目視で確認できる傷が付いた
ことはなく、実施例1の親水性層は磨耗に対して充分な
強度を有することがわかった。また、接触角は擦り前が
8.4°であり、擦り後10.6°であった。擦り後も
十分な親水性を示し、本発明の親水性部材は耐摩耗性が
良好であることが確認された。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、各種の基材表面に耐久
性に優れた親水性層を形成しうる親水性塗布液組成物を
提供することができる。また、この親水性塗布液組成物
を用いることで、親水性に優れ、且つ、良好な耐摩耗性
を有する表面親水性部材を提供することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 BB24Z CA02 CA34 CA37 CA39 CB06 DA03 DA06 DA23 DB01 DB13 DB14 DB20 DB21 DB31 DC01 DC05 DC08 DC13 DC16 DC18 DC24 DC30 DC31 DC38 DC41 EA06 EA19 EA43 EB14 EB43 EB52 EC37 4F100 AK01B AK26 AL04B AT00A BA02 CA02B EH46 JB05B JK20 JL00 4J038 CP061 CP071 GA03 GA06 GA07 GA11 JC30 KA03 NA05 NA06 PA19 PB05 PB07 PB08 PC02 PC03 PC08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)架橋剤と反応し得る官能基を有す
    る幹ポリマーに親水性ポリマー側鎖を導入してなる親水
    性グラフトポリマーと、(B)架橋剤とを含有する親水
    性塗布液組成物。
  2. 【請求項2】 基材表面に、(A)架橋剤と反応し得る
    官能基を有する幹ポリマーに親水性ポリマー側鎖を導入
    してなる親水性グラフトポリマーと、(B)架橋剤とを
    含有する親水性塗布液組成物を塗布し、加熱、乾燥する
    ことにより、架橋構造を有する親水性層を形成してなる
    表面親水性部材。
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