JP2003127268A - 親水性部材及びそれに用いる親水性グラフトポリマー - Google Patents

親水性部材及びそれに用いる親水性グラフトポリマー

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JP2003127268A
JP2003127268A JP2001323873A JP2001323873A JP2003127268A JP 2003127268 A JP2003127268 A JP 2003127268A JP 2001323873 A JP2001323873 A JP 2001323873A JP 2001323873 A JP2001323873 A JP 2001323873A JP 2003127268 A JP2003127268 A JP 2003127268A
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group
graft polymer
polymer
acid
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Sumiaki Yamazaki
純明 山崎
Koichi Kawamura
浩一 川村
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の基材表面に親水性に優れ、且つ、耐久
性が良好な表面親水性層を備えた表面親水性部材、及び
それに好適に使用し得る親水性グラフトポリマーを提供
する。 【解決手段】 基材表面に、親水性グラフト鎖を有し、
且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アル
コキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造
を有する親水表面を有する親水性部材であって、該親水
性表面が、親水性の官能基を有するマクロマーと、シラ
ンカップリング基を有する構造単位との共重合体である
親水性グラフト鎖を含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、親水性部材に関
し、詳細には、耐久性と親水性に優れた表面層を備える
親水性部材及びそれに用いる親水性グラフトポリマーに
関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂フィルムは種々の目的で使用されて
いるが、それらの表面は疎水性を示すものが一般的であ
る。また、ガラスや金属等の無機材料についても、高い
親水性を有するものは少ない。樹脂フィルム、無機材料
などを用いた基材の表面が親水化されると、付着水滴が
基材表面に一様に拡がり均一な水膜を形成するようにな
るので、ガラス、レンズ、鏡の曇りを有効に防止でき、
湿分による失透防止、雨天時の視界性確保等に役立つ。
さらに、都市媒塵、自動車等の排気ガスに含有されるカ
ーボンブラック等の燃焼生成物、油脂、シーラント溶出
成分等の疎水性汚染物質が付着しにくく、付着しても降
雨や水洗により簡単に落せるようになるので、種々の用
途に有用である。
【0003】従来提案されている親水化するための表面
処理方法、例えば、エッチング処理、プラズマ処理等の
方法によれば、高度に親水化された表面を得られるもの
の、その効果は一時的であり、親水化状態を長期間維持
することができない。また、親水性樹脂の一つとして親
水性グラフトポリマーを使用した表面親水性塗膜も提案
されている(新聞“化学工業日報”1995年1月30日)。
この報告によればこの塗膜はある程度の親水性を有する
ものの、基材との親和性が充分とはいえず、より高い耐
久性が求められている。
【0004】また、その他の表面親水性に優れたフィル
ムとしては従来から酸化チタンを使用したフィルムが知
られており、例えば、PCT/JP96/00733号
において、基材表面に光触媒含有層を形成すると、光触
媒の光励起に応じて表面が高度に親水化されることが開
示されており、この技術をガラス、レンズ、鏡、外装
材、水回り部材等の種々の複合材に適用すれば、これら
複合材に優れた防曇、防汚等の機能を付与できることが
報告されている。しかしながら酸化チタンを用いた親水
性フィルムは充分な膜強度を有さず、より良好な耐摩耗
性を有する親水性材料が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、各種
の基材表面に親水性に優れ、且つ、耐久性が良好な表面
親水性層を備えた表面親水性部材、及びそれに好適に使
用し得る親水性グラフトポリマーを提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、親水性グラフトポリマーの特性に着眼し研究を進め
た結果、本発明者らは、親水性ポリマーとシランカップ
リング基とを導入してなる親水性グラフトポリマーと、
金属アルコキシドを加水分解、縮重合することにより形
成された架橋構造とを備えた表面層により上記目的を達
成し得ること、さらには、このような架橋構造を形成す
るために、シランカップリング基を導入してなる親水性
ポリマーが有用であることを見出し、本発明を完成し
た。即ち、本発明の表面親水性部材は、基材表面に、親
水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Al
から選択される金属アルコキシドの加水分解、縮重合に
より形成された架橋構造を有する親水性表面を有する親
水性部材であって、該親水性表面が、親水性の官能基を
有するマクロマーとシランカップリング基を有する構造
単位との共重合体である親水性グラフトポリマーを含有
することを特徴とする。また、請求項2に係る親水性グ
ラフトポリマーは、親水性の官能基を有するマクロマー
とシランカップリング基を有する構造単位との共重合体
であることを特徴とする。
【0007】本発明の作用は明確ではないが、親水性グ
ラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、Alから選
択される金属アルコキシドの加水分解、縮重合により形
成された架橋構造を有する親水性表面は、グラフト鎖の
状態で導入された親水性の官能基が表面にフリーの状態
で偏在するとともに、金属アルコキシドの加水分解、縮
重合により、高密度の架橋構造を有する有機無機複合体
皮膜が形成されているため、高い親水性を有する高強度
の皮膜となる。具体的には、親水性ポリマーとして、親
水性の官能基を有するマクロマーとシランカップリング
基を有する構造単位との共重合体である親水性グラフト
ポリマーを用いて、それを適当な溶媒に溶解させ、攪拌
することで、系中で加水分解・重縮合が進行し、ゾル状
の親水性塗布液組成物が得られ、それを基材上に塗布
し、乾燥することにより基材上に親水性の官能基が表面
にフリーの状態で偏在し、且つ、側鎖に位置する複数の
シランカップリング基同士が反応して形成される緻密な
架橋構造を有する有機無機複合体皮膜が形成される。さ
らに、この親水性塗布液中に、加水分解性化合物を添加
することで、系中における加水分解・重縮合において、
ひとつの親水性グラフトポリマーの構造内に、側鎖とし
て複数存在するシランカップリング基と加水分解性化合
物中の重合性の官能基によって、架橋を形成する反応サ
イトが増加し、より高密度で強固な架橋構造を有する有
機無機複合体皮膜が形成されるため、得られる親水性表
面の塗膜はさらに高強度となり、優れた耐磨耗性が発現
し、高い表面親水性を長期間保持し得るものと考えられ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明の表面親水性部材は、適切な基材上に、
親水性グラフト鎖を有し、且つ、Si、Ti、Zr、A
lから選択される金属アルコキシドの加水分解、縮重合
により形成された架橋構造を有する親水性表面(親水性
層)を備えるものであるが、このような架橋構造を有す
る親水性層は、金属アルコキシド構造と、親水性グラフ
ト鎖を形成しうる親水性の官能基を有する化合物とを用
いて、適宜、形成することができる。金属アルコキシド
のなかでも、反応性、入手の容易性からSiのアルコキ
シドが好ましく、具体的には、シランカップリング剤に
用いる化合物を好適に使用することができる。前記した
ような金属アルコキシドの加水分解、縮重合により形成
された架橋構造を、本発明では以下、適宜、ゾルゲル架
橋構造と称する。
【0009】まず、親水性グラフト鎖について説明す
る。本発明に係る架橋構造を有する親水表面は、一般的
にグラフト重合体の合成法として公知の方法を用いて親
水性グラフトポリマーを作成し、それを以下に詳述する
ゾルゲル架橋構造の形成工程を利用して、架橋すること
で作成することができる。具体的にはグラフト重合体の
合成は“グラフト重合とその応用”井手文雄著、昭和5
2年発行、高分子刊行会、および“新高分子実験学2、
高分子の合成・反応”高分子学会編、共立出版(株)1
995、に記載されている。
【0010】グラフト重合体(本発明においては、親水
性グラフトポリマー)の合成は基本的に1.幹高分子か
ら枝モノマーを重合させる、2.幹高分子に枝高分子を
結合させる、3.幹高分子に枝高分子を共重合させる
(マクロマー法)の3つの方法に分けられる。これらの
3つの方法のうち、いずれも使用して本発明の親水性表
面を作成することができるが、特に製造適性、膜構造の
制御という観点からは「3.マクロマー法」が優れてい
る。
【0011】マクロマーを使用したグラフトポリマーの
合成は前記の“新高分子実験学2、高分子の合成・反
応”高分子学会編、共立出版(株)1995に記載され
ている。また山下雄他著“マクロモノマーの化学と工
業”アイピーシー、1989にも詳しく記載されてい
る。具体的にはアクリル酸、アクリルアミド、2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニ
ルアセトアミドなど、上記の有機架橋親水層として具体
的に記載した下記親水性モノマー使用して文献記載の方
法に従い親水性マクロマーを合成することができる。
【0012】(親水性モノマー)親水性グラフトポリマ
ーを形成するのに有用な親水性モノマーとは、アンモニ
ウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマーも
しくはスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホス
ホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しう
る酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他に
も、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、ア
ルコキシ基、シアノ基、などの非イオン性の基を有する
親水性モノマーを用いることもできる。本発明におい
て、特に有用な親水性モノマーの具体例としては、次の
モノマーを挙げることが出来る。例えば、(メタ)アク
リル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イ
タコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン酸
塩、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3
−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およ
びアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金
属塩およびアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸もしく
はそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチ
レン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メ
タ)アクリレートもしくはそのアルカリ金属塩およびア
ミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスル
ホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ア
シッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、アリルアミンもしくはそのハロ
ゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、
リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチル
アミノエチル(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲ
ン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リ
ン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、などを使用するこ
とができる。また2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール
(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)ア
クリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセ
トアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸
塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリ
レートなども有用である。
【0013】(親水性マクロマー)本発明で使用される
親水性マクロマーのうち特に有用なものは、アクリル
酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマー
から誘導されるマクロマー、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン
酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸
系マクロマー、アクリルアミド、メタクリルアミドなど
のアミド系マクロマー、N−ビニルアセトアミド、N−
ビニルホルムアミドなどのN−ビニルカルボン酸アミド
モノマーから誘導されるアミド系マクロマー、ヒドロキ
シエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有
モノマーから誘導されるマクロマー、メトキシエチルア
クリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレ
ート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアル
コキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから
誘導されるマクロマーである。またポリエチレングリコ
ール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモ
ノマーも本発明のマクロマーとして有用に使用すること
ができる。これらのマクロマーのうち有用な分子量は4
00〜10万の範囲、好ましい範囲は1000〜5万、
特に好ましい範囲は1500〜2万の範囲である。分子
量が400以下では効果を発揮できず、また10万以上
では主鎖を形成する共重合モノマーとの重合性が悪くな
る。
【0014】また、本発明の親水性グラフトポリマーは
シランカップリング基を有することが必要であり、この
ような親水性グラフトポリマーは、シランカップリング
基を有する構造単位と前記親水性マクロマーとを共重合
させて得ることができる。シランカップリング基を有す
る構造単位としては、側鎖或いは末端にシランカップリ
ング基を有する親水性モノマー、マクロマー等が挙げら
れる。ここで導入可能なシランカップリング基として
は、下記一般式(I)に示すような官能基を例示するこ
とができる。
【0015】
【化1】
【0016】上記一般式(I)において、R1、及び、
2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭
化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、ア
リール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又
は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、
イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペン
チル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘ
キシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル
基、シクロペンチル基等が挙げられる。R1、及びR
2は、効果及び入手容易性の観点から、好ましくは水素
原子、メチル基又はエチル基である。
【0017】本発明に係る親水性グラフトポリマーに
は、前記した2つの構造単位、即ち、親水性の官能基を
有するマクロマーとシランカップリング基を有する構造
単位の他、さらに他の親水性モノマーを共重合させるこ
とができる。ここで共重合可能な親水性モノマーとして
は、先に親水性マクロマーの形成に有用なものとして例
示した親水性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸も
しくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸
もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン酸塩、アリル
アミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプ
ロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン
塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およ
びアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸もしくはそのア
ルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン(メ
タ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アク
リレートもしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸も
しくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、アシッドホ
スホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)
アクリレート、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水
素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、
アミノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲン化水素
酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、ア
ミノ基もしくはそれらの塩、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノ
メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール
(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−
ビニルアセトアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲ
ン化水素酸塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0018】これらの親水性マクロマーを合成後、本発
明に係る親水性グラフト鎖が導入された架橋親水層を作
成する一つの方法としては、上記の親水性マクロマーと
シランカップリング基を有する他の構造単位とを共重合
させ、グラフト共重合ポリマーを合成し、その後、合成
したグラフト共重合ポリマーを塗布し、加水分解して、
支持体上に塗布し、乾燥時の熱により架橋させ作成する
方法が挙げられる。この場合、架橋剤を導入することが
好ましく、架橋剤の導入によって、より高強度な親水層
を作成することができる。
【0019】ここで得られる親水性の官能基を有するマ
クローとシランカップリング基を有する構造単位との共
重合体である親水性グラフトポリマーは新規な高分子化
合物であり、運動性に優れた親水性グラフト鎖と、ゾル
ゲル架橋層と相互作用する反応サイトであるシランカッ
プリング基を分子内に複数有するため、本発明にかかる
親水性部材の形成に有用である。
【0020】前記のような、親水性の官能基とシランカ
ップリング基とを有する親水性グラフト鎖とゾルゲル架
橋構造とを備える親水性層は、例えば、前記したような
親水性の官能基を有するマクローとシランカップリング
基を有する構造単位との共重合体である親水性グラフト
ポリマー(以下、適宜、特定親水性ポリマーと称す
る)、好ましくは、さらに、下記一般式(II)で表され
る加水分解性化合物を含有する親水性塗布液組成物を調
製し、それを塗布、乾燥して製膜することにより容易に
形成し得る。
【0021】
【化2】
【0022】式(II)中、R6及びR7はそれぞれ独立に
アルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、T
i又はZrを表し、mは0〜2の整数を表す。ここで用
いられる前記一般式(II)で表される加水分解性化合物
(以下、適宜、単に、加水分解性化合物と称する)は、
その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機
能を果たす加水分解重合性化合物であり、前記特定親水
性ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固
な皮膜を形成する。前記一般式(II)中、R6は水素原
子、アルキル基又はアリール基を表し、R7はアルキル
基又はアリール基を表し、XはSi、Al、Ti又はZ
rを表し、mは0〜2の整数を表す。R6及びR7がアル
キル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4であ
る。アルキル基又はアリール基は置換基を有していても
よく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミ
ノ基、メルカプト基などが挙げられる。なお、この化合
物は低分子化合物であり、分子量1000以下であるこ
とが好ましい。
【0023】以下に、一般式(II)で表される加水分解
性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定され
るものではない。XがSiの場合、即ち、加水分解性化
合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメト
キシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリ
ピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げるこ
とができる。これらのうち特に好ましいものとしては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチル
トルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げること
ができる。
【0024】また、XがAlである場合、即ち、加水分
解性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例え
ば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネ
ート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシア
ルミネート等を挙げることができる。XがTiである場
合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメ
トキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエ
トキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラ
プロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネー
ト、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキ
シチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチル
トリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネー
ト、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエ
トキシチタネート等を挙げることができる。XがZrで
ある場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例
えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対
応するジルコネートを挙げることができる。
【0025】〔親水性塗布液の調製〕前記特定親水性ポ
リマーを含む親水性塗布液組成物を調製するにあたって
は、特定親水性ポリマーの含有量は固形分換算で、10
重量%以上、50重量%未満とすることが好ましい。含
有量が50重量%以上になると膜強度が低下する傾向が
あり、また、10重量%未満であると、皮膜特性が低下
し、膜にクラックが入るなどの可能性が高くなり、いず
れも好ましくない。
【0026】また、好ましい態様である親水性塗布液組
成物の調製に加水分解性化合物を添加する場合、加水分
解性化合物の添加量は、特定親水性ポリマー中のシラン
カップリング基に対して、加水分解性化合物中の重合性
基が5mol%以上、さらに10mol%以上となる量
であることが好ましい。架橋剤添加量の上限は親水性ポ
リマーと十分架橋できる範囲内であれば特に制限はない
が、大過剰に添加した場合、架橋に関与しない架橋剤に
より、作製した表面親水性部材がべたつくなどの問題を
生じる可能性がある。
【0027】シランカップリング基を側鎖に導入してな
る親水性ポリマー、好ましくは、さらに加水分解性化合
物(架橋剤)とを溶媒に溶解し、よく攪拌することで、
これらの成分が加水分解し、重縮合することにより製造
される有機無機複合体ゾル液が本発明に係る親水性塗布
液となり、これによって、高い親水性と高い膜強度を有
する表面親水性層が形成される。有機無機複合体ゾル液
の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するた
めに、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが好ま
しく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、触
媒は必須である。
【0028】触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物
をそのまま用いるか、あるいは水またはアルコールなど
の溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触
媒、塩基性触媒と称する)を用いる。溶媒に溶解させる
際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは
塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて
適宜選択すればよいが、濃度が高い場合は加水分解、重
縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高い塩基
性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合
があるため、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶
液での濃度換算で1N以下であることが望ましい。
【0029】酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に
限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場
合には乾燥後に塗膜中にほとんど残留しないような元素
から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒とし
ては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫
酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢
酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式
のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボ
ン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げ
られ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモ
ニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類な
どが挙げられる。
【0030】親水性塗布液の調製は、加水分解性化合物
及びシランカップリング基を側鎖に導入してなる特定親
水性ポリマーをエタノールなどの溶媒に溶解後、上記触
媒を加え、攪拌することで実施できる。反応温度は室温
〜80℃であり、反応時間、即ち攪拌を継続する時間は
1〜72時間の範囲であることが好ましく、この攪拌に
より両成分の加水分解・重縮合を進行させて、有機無機
複合体ゾル液を得ることができる。
【0031】前記特定親水性ポリマー及び、好ましくは
加水分解性化合物を含有する親水性塗布液組成物を調製
する際に用いる溶媒としては、これらを均一に、溶解、
分散し得るものであれば特に制限はないが、例えば、メ
タノール、エタノール、水等の水系溶媒が好ましい。
【0032】以上述べたように、本発明に係る親水性層
を形成するための有機無機複合体ゾル液(親水性塗布液
組成物)の調製はゾルゲル法を利用している。ゾルゲル
法については、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)
アグネ承風社(刊)(1988年〕、平島硯「最新ゾル
−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター
(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述され、そ
れらに記載の方法を本発明に係る親水性塗布液組成物の
調製に適用することができる。
【0033】本発明に係る親水性塗布液組成物には、本
発明の効果を損なわない限りにおいて、種々の添加剤を
目的に応じて使用することができる。例えば、塗布液の
均一性を向上させるため界面活性剤などを添加すること
ができる。
【0034】本発明の表面親水性部材は、前記親水性塗
布液組成物を、適切な基材上に塗布し、加熱、乾燥して
表面親水性層を形成することで得ることができる。親水
性層形成のための加熱温度と加熱時間は、ゾル液中の溶
媒が除去され、強固な皮膜が形成できる温度と時間であ
れば特に制限はないが、製造適性などの点から加熱温度
は200℃以下であることが好ましく、架橋時間は1時
間以内が好ましい。
【0035】本発明に使用可能な基材としては、例え
ば、防曇効果を期待する場合には透明な基材であり、そ
の材質はガラス、プラスチック等が好適に利用できる。
防曇効果を有する部材が適用可能な用途としては、車両
用バックミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道
路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レン
ズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複
写機用レンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔
の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水
艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンド
ラ、宇宙船のような乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車
両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、
オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンド
ラ、宇宙船のような乗物の風防ガラス;防護用ゴーグ
ル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、ス
ポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷
凍食品陳列ケースのガラス;計測機器のカバーガラス、
及び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
【0036】また、本発明の表面親水性部材に表面清浄
化効果を期待する場合には、その基材は、例えば、金
属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木、石、セ
メント、コンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、
それらの積層体が、いずれも好適に利用できる。表面清
浄化効果を有する部材が適用可能な用途としては、建
材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、
乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバ
ー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用
防音壁、鉄道用防音壁、橋梁、ガードレールの外装及び
塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、
太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明
灯のカバー、住宅設備、便器、浴槽、洗面台、照明器
具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾
燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇、及
び上記物品表面に貼付させるためのフィルムを含む。
【0037】本発明の表面親水性部材に帯電防止効果を
期待する場合には、その材質は、例えば、金属、セラミ
ックス、ガラス、プラスチック、木、石、セメント、コ
ンクリート、繊維、布帛、それらの組合せ、それらの積
層体が好適に利用できる。適用可能な用途としては、ブ
ラウン管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気
記録メディア、オーディオテープ、ビデオテープ、アナ
ログレコード、家庭用電気製品のハウジングや部品や外
装及び塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装及
び塗装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、
構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外
装、防塵カバー及び塗装、及び上記物品表面に貼付させ
るためのフィルムを含む。
【0038】基材は、ガラス、セラミックなどの無機基
材でも、高分子樹脂からなる表面を有する基材のいずれ
も好ましく用いられ、樹脂基材は、樹脂自体、表面に樹
脂が被覆されている基材、表面層が樹脂層からなる複合
材のいずれをもを含む。樹脂自体としては、飛散防止フ
ィルム、意匠性フィルム、耐蝕性フィルム等のフィルム
基材;看板、高速道路の防音壁等の樹脂基材などが代表
例として挙げられる。表面に樹脂が被覆されている基材
としては、自動車筐体、塗装建材等の塗装板、表面に樹
脂フィルムが貼着された積層板、プライマー処理した基
材、ハードコート処理した基材などが代表例として挙げ
られる。表面層が樹脂層からなる複合材としては、裏面
に接着剤層が設けられた樹脂シール材、反射ミラー、な
どが代表例として挙げられる。
【0039】本発明における優れた親水性とは、水との
接触角に換算して10゜以下の水濡れ性を呈する状態を
いう。PCT/JP96/00733号に示したよう
に、部材表面が水との接触角に換算して10゜以下の状
態であれば、空気中の湿分や湯気が結露しても、凝縮水
が個々の水滴を形成せずに一様な水膜になる傾向が顕著
になる。接触角の測定方法は、公知の方法が適用でき、
例えば、協和界面科学(株)製、CA−Zなどの市販の
装置を用いて接触角(空中水滴)を測定する方法などを
適用することができる。この方法で、拡張濡れが観察さ
れれば、本発明の好ましい親水性が達成されていると判
断することができる。
【0040】
〔実施例1〕
〔合成例1:親水性グラフトポリマー(1)の合成〕ア
クリルアミド30g、3−メルカプトプロピオン酸3.
8gをエタノール70gに溶解後、窒素雰囲気下60℃
に昇温し、熱重合性開始剤2,2−アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)300mgを加えて6時間反応し
た。反応後白色沈殿を濾過し、メタノールで十分洗浄し
て、末端カルボン酸プレポリマーを30.8g得た(酸
化0.787meq/g、重量平均分子量1.29×1
3)。得られたプレポリマー20gをジメチルスルホ
キシド62gに溶解し、グリシジルメタクリレート6.
71g、N,N−ジメチルドデシルアミン(触媒)50
4mg、ハイドロキノン(重合禁止剤)62.4mgを
加え、ポリマーを沈殿させ、よく洗浄して末端メタクリ
レートアクリルアミドマクロモノマーを23.4g得
た。(重量平均分子量:1400)。1H−NMR(D2
O)6.12,5.70ppmメタクリロイル基オレフ
ィンピークと、酸価(0.057meq/g)の減少か
ら、末端に重合性基が導入できたことを確認した。
【0041】上記マクロモノマー15g、ジメチルスル
ホキシド53.4gの入ったフラスコに、3−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン1.05g、2,2
−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)161
mgをジメチルスルホキシド53.4gに溶解した溶液
を窒素雰囲気下65℃で2時間かけて滴下した。滴下終
了後、引き続き6時間加熱を続けた。反応溶液をアセト
ンに加えポリマーを沈殿させよく洗浄して、親水性グラ
フトポリマー(1)14.8gを得た(重量平均分子量
1.30×105)。H1−NMR(D2O):6.1
2、5.70ppmメタクリロイル基オレフィンピーク
の消失と、0.80ppmメトキシシリル基隣接プロト
ンピークの出現から親水性グラフトポリマー(1)が得
られたことを確認した。
【0042】(親水性層の形成)以下の成分を均一に混
合し、20℃で2時間撹拌して加水分解を行い、ゾル状
の親水性塗布液組成物1を得た。 (親水性塗布液組成物1) ・親水性グラフトポリマー(1)(上記合成例1で得られたもの) 0.21g ・テトラメトキシシラン〔架橋成分〕 0.62g ・エタノール 4.70g ・水 4.70g ・硝酸水溶液(1N) 0.10g
【0043】支持体として、ガラス板(遠藤化学製)を
用い、その表面に上記親水性塗布液組成物1を、乾燥後
の塗布量が2g/m2となるように塗布し、100℃、
10分加熱乾燥させて有機無機複合体からなる親水性層
を形成し、親水性部材1を得た。得られた親水性部材1
の親水性層表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学
(株)製、CA−Zを用いて測定したところ、8.9°
であり、優れた親水性を有することが確認された。
【0044】得られた親水性部材表面を不織布(BEM
COT、旭化学繊維社製)で100回擦った後、部材の
表面を観察したが、擦り後にも表面の親水性層が剥がれ
たり、目視で確認できる傷が付いたことはなかった。ま
た、擦り後の接触角はは9.2°であった。擦り後も充
分な親水性を示し、本発明の表面親水性部材は耐摩耗性
が良好であることが確認された。
【0045】〔実施例2〕実施例1で用いたガラス板に
代えて、膜厚188μの2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルム(A4100、東洋紡(株)社製)を用
い、表面をコロナ処理したものを支持体とした他は、実
施例1と同様親水性塗布液組成物1を用いて親水性層を
設け、親水性部材2を得た。得られた親水性部材2の親
水性層表面の接触角(空中水滴)を協和界面科学(株)
製、CA−Zを用いて測定したところ、9.0°であ
り、優れた親水性を有することが確認された。また、実
施例1と同様に耐磨耗性について評価したところ、擦り
後にも表面の親水性層が剥がれたり、目視で確認できる
傷が付いたことはなく、PET支持体を使用した場合に
も、耐磨耗性に優れることがわかった。また、擦り後の
接触角は9.5°であり、擦り後も充分な親水性を示す
ことが確認された。
【0046】〔実施例3〕 〔合成例2:親水性グラフトポリマー(2)の合成〕合
成例1で得られたマクロモノマー7.5g、ジメチルス
ルホキシド18.1gの入ったフラスコに、メタクリル
アミド0.51g、3−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン1.05g、2,2−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)90.6mgをジメチルスル
ホキシド18.1gに溶解した溶液を窒素雰囲気下65
℃で2時間かけて滴下した。滴下終了後、引き続き6時
間加熱を続けた。反応溶液をアセトンに加えポリマーを
沈殿させよく洗浄して、親水性グラフトポリマー(2)
8.9gを得た(重量平均分子量1.01×105)。 H1−NMR(D2O):6.12、5.70ppmメタ
クリロイル基オレフィンピークの消失と、0.80pp
mメトキシシリル基隣接プロトンピークの出現から親水
性グラフトポリマー(2)が得られたことを確認した。
【0047】実施例1で用いた親水性塗布液組成物1に
おいて、親水性グラフトポリマー(1)に代えて上記合
成例2で得られた親水性グラフトポリマー(2)を用い
た他は実施例1と同様にして親水性部材3を得た。得ら
れた親水性部材3の親水性層表面の接触角(空中水滴)
を実施例1と同様にして測定したところ、9.5°であ
り、優れた親水性を有することが確認された。また、実
施例1と同様に耐磨耗性について評価したところ、擦り
後の目視による観察の結果も良好であり、擦り後の接触
角は9.8°であり、擦り後も充分な親水性を示し、耐
摩耗性が良好であることが確認された。
【0048】〔実施例4〕 〔合成例3:親水性グラフトポリマー(3)の合成〕合
成例1で得られたマクロモノマー7.5g、ジメチルス
ルホキシド18.1gの入ったフラスコに、N−ビニル
アセトアミド0.51g、3−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン1.05g、2,2−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)90.6mgをジ
メチルスルホキシド18.1gに溶解した溶液を窒素雰
囲気下65℃で2時間かけて滴下した。滴下終了後、引
き続き6時間加熱を続けた。反応溶液をアセトンに加え
ポリマーを沈殿させよく洗浄して、親水性グラフトポリ
マー(3)8.9gを得た(重量平均分子量1.01×
105)。 H1−NMR(D2O):6.12、5.70ppmメタ
クリロイル基オレフィンピークの消失と、0.80pp
mメトキシシリル基隣接プロトンピークの出現から親水
性グラフトポリマー(3)が得られたことを確認した。
【0049】実施例1で用いた親水性塗布液組成物1に
おいて、親水性グラフトポリマー(1)に代えて上記合
成例3で得られた親水性グラフトポリマー(3)を用い
た他は実施例1と同様にして親水性部材4を得た。得ら
れた親水性部材4の親水性層表面の接触角(空中水滴)
を実施例1と同様にして測定したところ、10.0°で
あり、優れた親水性を有することが確認された。また、
実施例1と同様に耐磨耗性について評価したところ、擦
り後の目視による観察の結果も良好であり、擦り後の接
触角は10.0°であり、擦り後も充分な親水性を示
し、耐摩耗性が良好であることが確認された。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、各種の基材表面に親水
性層を備えてなる、親水性に優れ、耐久性が良好な親水
性部材を提供することができる。また、本発明に係る親
水性の官能基を有するマクロマーとシランカップリング
基を有する構造単位との共重合体である新規な親水性グ
ラフトポリマーはこの親水性部材の形成に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFDA C09K 3/00 C09K 3/00 R // C08L 67:00 C08L 67:00 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB24 AB52 AB67 BA02 BA10 CA04 CA05 CA08 DA04 4F100 AB10B AB11B AB12B AB19B AH08B AL01B AT00A BA02 DG15 EH46 EH462 EJ86 EJ862 GB08 GB33 GB90 JB05 JB05B JK09 JL00 JL06 4G059 AA01 AC21 FA07 FA15 FA18 FB05 4G069 AA02 BA01A BA02A BA02B BA04A BA05A BA14A BA14B BA22A BA22B BA48A BE08A BE08B BE32A BE32B ED02 4J027 AA01 AA02 AA08 AC03 AC04 AC06 AJ01 AJ05 BA04 BA13 BA14 BA15 BA16 CA18 CC02 CD04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に、親水性グラフト鎖を有し、
    且つ、Si、Ti、Zr、Alから選択される金属アル
    コキシドの加水分解、縮重合により形成された架橋構造
    を有する親水性表面を有する親水性部材であって、該親
    水性表面が、親水性の官能基を有するマクロマーとシラ
    ンカップリング基を有する構造単位との共重合体である
    親水性グラフトポリマーを含有することを特徴とする親
    水性部材。
  2. 【請求項2】 親水性の官能基を有するマクロマーとシ
    ランカップリング基を有する構造単位との共重合体であ
    る親水性グラフトポリマー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008001665A1 (fr) * 2006-06-30 2008-01-03 Fujifilm Corporation Film anti-salissures et son procédé de production
JP2008221201A (ja) * 2007-02-16 2008-09-25 Fujifilm Corp 親水性部材及びその製造方法
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