JP2002306084A - 脱鱗防止用飼料および脱鱗防止方法 - Google Patents

脱鱗防止用飼料および脱鱗防止方法

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JP2002306084A
JP2002306084A JP2001111550A JP2001111550A JP2002306084A JP 2002306084 A JP2002306084 A JP 2002306084A JP 2001111550 A JP2001111550 A JP 2001111550A JP 2001111550 A JP2001111550 A JP 2001111550A JP 2002306084 A JP2002306084 A JP 2002306084A
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fish
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JP2001111550A
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Yoshitaka Hayashi
善敬 林
Masaru Tanabe
勝 田辺
Takeshi Kondo
毅 近藤
Mitsuyuki Horiuchi
三津幸 堀内
Retsu Nakamura
烈 中村
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Nihon Nosan Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nihon Nosan Kogyo Co Ltd
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    • Y02A40/818Alternative feeds for fish, e.g. in aquacultures

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  • Feed For Specific Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明では、養殖魚の健康的・安定的・効率
的且つ安全な生産と商品価値向上を目指して、飼育・出
荷・流通の各過程での脱鱗を防止しうる飼料を開発して
これを養殖業者に提供することを課題とする。 【解決手段】 脂肪酸組成を改変した飼料を給与するこ
とによって、養殖魚の鱗が剥がれにくくなること、さら
にその効果はビオチン、イノシトール及びアスコルビン
酸を強化配合することによって増強することを見出し、
本発明を完成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種苗導入時・養殖
中・水揚げ時・出荷輸送中及び畜養時における養殖魚の
捕捉・移動・選別・分養等の各種作業により活魚が脱鱗
するのを少なくし、ストレス負荷の低減、創傷感染によ
る疾病発生の防止、並びに出荷魚の商品価値の低下防止
を可能とする養魚用飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】養殖魚は稚魚から出荷サイズに至るまで
の養成期間中に、選別・分養・移動・水揚げ等の作業に
よる物理的な皮膚障害とりわけ鱗落ち(脱鱗)の危険に
常にさらされている。脱鱗すると魚は浸透圧調節が破綻
し、これが大きなストレスとなって生体防御能が顕著に
低下し、感染症発生を誘発し蔓延させる原因となる。さ
らに、食用に供するため水揚げされ出荷・流通・加工さ
れる段階においては、脱鱗の有無もしくはその程度が著
しくその商品価値(売価)に影響する。
【0003】各種作業時の養殖魚の脱鱗対策としては、
従来、抗菌剤の投薬が行われているが、この投与はあく
までも事後措置であり脱鱗の防止方法とはなり得ないこ
と、及びその多用・乱用により耐性菌の出現、養殖魚の
薬剤残留、薬剤による環境汚染等が問題化している。
【0004】一方、養魚飼料は従来、増肉係数や増重倍
率等の成長面を指標とした研究が専ら進められており、
皮膚損傷の難易性を観点とした研究は少なく、とりわ
け、脱鱗防止用飼料の開発研究は皆無であった。以上の
理由から、脱鱗を防止する機能を有する配合飼料の早急
な開発が切望されているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、養殖魚の
健康的・安定的・効率的且つ安全な生産と商品価値向上
を目指して、飼育・出荷・流通の各過程での脱鱗を防止
しうる飼料を開発してこれを養殖業者に提供することを
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、脂肪酸組成を改変した飼
料を給与することによって、養殖魚の鱗が剥がれにくく
なること、さらにその効果はビオチン、イノシトール及
びアスコルビン酸を強化配合することによって増強する
ことを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は (1)構成する脂肪酸の内、パルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸の合計が60〜90重量%の範囲で含ま
れる動植物性油脂を配合することを特徴とする養殖魚の
脱鱗防止用飼料、(2)動植物性油脂が牛脂、豚脂、鶏
脂、パーム油、米ぬか油、の1種以上である(1)記載の
養殖魚の脱鱗防止用飼料、(3)(1)又は(2)記載の動植
物性油脂を、飼料に対して3〜25重量%配合すること
を特徴とする養殖魚の脱鱗防止用飼料、(4) ビオチ
ン、イノシトール及びアスコルビン酸の3種を配合する
ことを特徴とする(1)、(2)又は(3)記載の養殖魚の脱
鱗防止用飼料、(5)(1)、(2)、(3)又は(4)記載の飼
料を給与することによる養殖魚の脱鱗防止方法に関す
る。
【0008】我国ではブリ・マダイ・カンパチ・ヒラメ
・トラフグ・シマアジ・ギンザケ等の海水魚並びにウナ
ギ・ニジマス・アユ・コイ・アマゴ等の淡水魚が広く養
殖されている。これらの養殖魚を含め魚類は皮膚に鱗を
有し、その生物的機能は外界からの物理化学的ダメージ
の防止にある。
【0009】養殖魚は稚魚から出荷サイズに至るまでの
養成期間中に、選別・分養・移動・水揚げ等の作業によ
る物理的な皮膚障害の危険に常にさらされている。生産
量を上げるために過密養殖が行われているが、飼育密度
が高いほど給餌の時に魚どうしの皮膚が接触し、脱鱗な
ど皮膚傷害を起こす危険性が高くなる。
【0010】鱗は皮膚の上皮組織や粘液細胞層ととも
に、病原体侵入に対する重要な第一次防御ラインであ
り、このバリヤーが破綻すると病原体の感染・侵入を受
けやすくなり、魚病発生の危険性が高まる。また、脱鱗
を含む皮膚組織の損傷は浸透圧調節の恒常性維持機能の
破綻を招来し、これが大きなストレスとなって養殖魚の
生体防御能(リゾチーム活性、補体活性、マクロファー
ジ等食細胞の貪食・殺菌活性等)を著しく低下させ、感
染症発生を誘発し蔓延させる原因ともなりうる。さら
に、食用に供するため水揚げされ活魚あるいは生鮮魚と
して出荷・流通・パッキングされる段階においても脱鱗
は起こり、その程度が著しく商品価値すなわち売価に影
響を与える。
【0011】各種作業時の養殖魚の皮膚損傷(脱鱗や皮
膚剥離)による感染症の発生防止策としては、従来、抗
菌剤(ニトロフラン誘導体・抗生物質等)の投薬(薬浴
ないし経口投与)が行われている。しかし、抗菌剤の投
与はあくまでも事後措置であり皮膚損傷や脱鱗の防止策
とはなり得ないこと、出荷間際の投薬は残留問題を惹起
すること、薬剤の多用・乱用により耐性菌の出現や環境
汚染が起こっていること、投薬経費が養魚経営を圧迫す
る要因ともなっていることなど、極めて問題が多い。
【0012】従来、配合飼料は増肉係数や増重倍率等の
成長面を指標とした研究が進められてきたが、皮膚損傷
防止の観点における配合飼料の研究は少なく、とりわ
け、脱鱗防止用飼料の開発研究は皆無であった。そこ
で、本発明者らは、脱鱗を防止し皮膚を健全に保つ活性
を有する成分を探索するにあたり、望ましくは、その成
分が薬剤ではなく安全且つ安価な動植物原料であり、そ
れを配合することにより脱鱗防止効果だけでなく成長に
も寄与しうることを前提とし、まず、細胞膜を構成する
成分としての脂肪酸の役割に注目し、従来から養魚飼料
に多用されている魚油の脂肪酸組成に問題があるのでは
ないかと考えて検討を開始した。その結果、魚油を鶏脂
や牛脂等の鳥獣脂系あるいはパーム油等の植物系油脂で
代替した飼料を給与した魚は、脱鱗が極めて少ないこと
を見出した。
【0013】また、ビタミン類の効果についても検討し
た結果、上記の魚油代替油脂類の配合に加えて、ビオチ
ン、イノシトール及びアスコルビン酸を従来の飼料より
も強化配合することによって、相乗効果を発揮し、脱鱗
防止効果がさらに増強されることも見出した。
【0014】すなわち、本発明の特徴は、世界的に需給
が逼迫している魚油に代えて、安全、安価で安定供給で
きる動植物油脂を特定の配合量にすることにより、活魚
にとって好ましくない脱鱗を防止できることであり、特
に飼料添加物として安全性が保証されている特定の3種
のビタミンを強化して更に脱鱗防止効果を高めることに
ある。
【0015】鶏脂や牛脂等の鶏獣脂系の脂肪酸構成は、
魚油の脂肪酸構成と比較し、牛脂等の獣脂系ではパルミ
チン酸、ステアリン酸及びオレイン酸の構成比率が高
く、鶏脂ではパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸
及びリノール酸の構成比率が高い。
【0016】また、パーム油等の植物油脂と魚油の脂肪
酸組成を比較すると、前者のパルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸及びリノール酸の構成比率が高い。一
方、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸等の高
度不飽和脂肪酸は鶏獣脂系と植物油脂には殆ど含まれて
いない(日本油化学会編、油脂化学便覧)。
【0017】エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン
酸等の高度不飽和脂肪酸は養殖魚の必須脂肪酸であり、
魚種によってその要求量は異なるが、わが国の海産養殖
魚の代表であるマダイとブリを例にとると、飼料中に含
有すべき高度不飽和脂肪酸の適正範囲は前者では0.5
〜2.0重量%、後者では2〜8重量%とされ、これら
の範囲を逸脱した飼料では、成長が阻害されたり健康障
害が起こる。
【0018】本発明の飼料に配合する油脂原料として
は、動物性油脂では牛脂・鶏脂・豚脂等の単品あるいは
混合品の未精製品ないし加工・精製品が使用でき、植物
性油脂ではパーム油・米ぬか油等の単品あるいは混合品
の未精製品ないし加工・精製品が使用できる。ここに言
う加工・精製とは脱酸・脱色・脱臭・部分水素添加・ウ
ィンタリング等全ての工程を指す。なお、各油脂の脂肪
酸組成分の内、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸の成分比率を調査したところ、表1のようであった。
【0019】
【表1】
【0020】表1をみると、パルミチン酸、ステアリン
酸及びオレイン酸の合計は、魚油の場合50重量%以下
であるのに対して、牛脂等の動植物性油脂は60〜90
重量%となっている。すなわち、本発明である脱鱗防止
のためには、パルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン
酸の合計が60〜90重量%の油脂を用いることが好ま
しいことが分かる。発明の油脂の飼料への添加率は3重
量%以上が必要であり、3重量%より少ないと充分な脱
鱗防止効果は発揮されない。
【0021】また、ブリ類やサケ科魚類のような高油脂
含有飼料が適している魚種でも飼料中の粗脂肪含有量
は、最高で35重量%程度であること、固形飼料の場合
は、油脂の過剰添加は成形性に悪影響を及ぼすこと、肉
質(食味)への影響も考慮する必要があること、飼料に主
原料として配合する魚粉中に8〜10重量%残存してい
る油脂(魚油)中に含有する高度不飽和脂肪酸のみでは要
求量を満たせず、別途、同脂肪酸の供給源として魚油を
5重量%程度添加する必要があること等から、本発明の
油脂の添加上限は現実的には25重量%である。
【0022】すなわち、本発明の油脂を3〜25重量%
配合した飼料を給与することによって脱鱗防止効果が発
揮されるが、各養殖対象魚種、成長段階、魚粉の配合
率、高度不飽和脂肪酸の補給源としての魚油配合の必要
性、飼料の物性や価格に及ぼす影響等様々な要素を勘案
する必要がある。
【0023】本発明のビタミン、すなわちビオチン、イ
ノシトール及びアスコルビン酸の3種に関しては、主要
養殖魚種の要求量や欠乏症についての知見はあり、特に
アスコルビン酸については強化投与による抗病性増強機
能や肉質改善効果の他、皮膚創傷部の治癒促進効果があ
ることは知られている。しかし、いずれのビタミンも脱
鱗防止効果については知見がなく、ましてや本発明の飼
料の脂肪酸構成の改善との相乗効果については従来、全
く知られていなかった。
【0024】本発明の飼料に配合されるビオチンは、合
成品の他、酵母、細菌、植物、動物臓器、漢方薬抽出物
等いずれでも使用でき、イノシトールは合成品の他、酵
母、動物臓器、牛乳、米糠油副生成物等いずれでも使用
できる。また、アスコルビン酸原料としてはアスコルビ
ン酸・アスコルビン酸塩とこれらの様々なエマルジョン
ないしコーテイング品のほか、耐熱性のL-アスコルビン
酸-2-リン酸エステルマグネシウム等種々のものが使用
できる。
【0025】本発明の飼料中濃度は、ビオチンでは15
00〜2500μg/kg、イノシトールでは1800〜3
000mg/kg、アスコルビン酸では1000〜2000m
g/kgが望ましい。本発明飼料は、本発明の上記油脂原料
並びにビタミン原料の他、いわし油・たら肝油等の魚油
原料、小麦粉・澱粉等のバインダー機能を持つ炭水化物
原料、魚粉・イカミール・オキアミミール・ミートボー
ンミール・大豆油かす・コーングルテンミール・飼料用
酵母等の蛋白原料、ビタミン類・ミネラル類等の微量原
料などを任意の割合で配合して製造することができる。
【0026】本発明飼料の形態としては、ペレットマシ
ーンによるハードペレット、エクストルーダーによるEP
飼料等のペレット類、それを粉砕して分級したクランブ
ル、撹拌造粒装置や流動槽造粒装置等による顆粒タイプ
など、すべての固形飼料が該当し、また、粉末状のコン
パウンド飼料でも良い。
【0027】本発明の油脂は、その融点の高低や使用時
期の気温条件により、流動性を高めるために油脂貯蔵タ
ンク及び配管の加温装置が必要となるが、固形飼料なら
ばコンデイショナー内や造粒装置内等の任意の製造過程
において添加することが出来るし、また、造粒・乾燥後
に噴霧添加することも可能である。さらにサプリメント
として供給し、用時添加することでも良い。
【0028】本発明の飼料の給与対象としては、マダイ
・クロダイ・チダイ等のスズキ目タイ科の魚種、ブリ・
カンパチ・ヒラマサ・シマアジ・マアジ等のスズキ目ア
ジ科の魚種、ヒラメ・カレイ等のカレイ目魚種、ニジマ
ス・アユ・ギンザケ・アマゴ・ヤマメ・イワナ等のサケ
目の魚種、コイ・フナ・金魚等のコイ目コイ科の魚種お
よびウナギが含まれる。
【0029】本発明飼料は稚魚から出荷サイズまでの全
飼育期間に使用することが好ましいが、少なくとも3ケ
月以上連続で給与すれば充分な脱鱗抑止効果が発現す
る。以下、本発明による実施例及び比較例を示すが、本
発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0030】
【発明の実施の形態】[実施例1]マダイでの試験例1 計5区の試験用飼料の配合組成は表2の通りとした。
【0031】
【表2】
【0032】1区は対照区でイワシ油(魚油)のみを8
%配合した従来タイプの飼料、2区、3区、4区及び5
区は1区のイワシ油(8%)のうち6%を各々米ぬか
油、鶏脂、牛脂、パーム油に置き換えた飼料とした。油
脂原料を除く原料を混合し、JIS標準篩い32メッシュ
以下に粉砕した。この配合粉体をコンデイショナーにて
調湿し、ビューラー製2軸エクストルーダーにて直径8
mmのペレットに成形し、次いで熱風乾燥機にて水分9%
まで乾燥した。このペレットに油脂添加装置にて各区の
油脂原料を8%(内割)添加し、100%沈降する各区
試験飼料を作製した。作製した各区飼料の脂肪酸組成は
表3の通りであった。
【0033】
【表3】
【0034】表中、C16:0はパルミチン酸、C1
8:0はステアリン酸、C18:1はオレイン酸でC1
8:2はリノール酸である。また、C20:5はエイコ
サペンタエン酸である。(以下の表中の表示も同じであ
る。)平均体重800gのマダイ40尾ずつを3m角の海
面網生簀に収容し、2週間市販飼料で馴致飼育したの
ち、試験を開始した。給餌は1日2回(朝夕)で各回飽
食とし、原則として日曜は休餌日とした。飼育期間は1
30日間で、その間の水温は27〜21℃であった。
【0035】試験開始130日後に各区生簀から5尾ず
つを無作為に捕捉し、円形底部の直径が60cmのプラス
チック製樽に投入し1分間暴れさせた。その後樽に海水
を入れ、魚のみを除去し、樽中に剥離した鱗をステンレ
ス製の笊で回収し、その枚数を計数した。
【0036】その結果は表4に示すとおり、1区(対
照)では1173枚が脱鱗したのに対し、2区、3区、
4区及び5区では各々538枚、407枚、437枚及
び455枚であり、油脂原料を魚油に限定した従来タイ
プの飼料給与魚(1区)に較べ、本発明に基づく飼料を
給与されたマダイ(2〜5区)はいずれも顕著に脱鱗が
抑制されていることが判明した。
【0037】
【表4】
【0038】[実施例2]マダイでの試験例2 計4区の試験用飼料の配合組成は表5の通りとした。
【0039】
【表5】
【0040】1区はイワシ油(魚油)のみを3%配合し
た飼料、2区は鶏脂のみを3%配合した飼料、3区はイ
ワシ油(魚油)を2%と鶏脂を6%配合した飼料、4区
はイワシ油(魚油)を2%と鶏脂を9%配合した飼料と
した。各区飼料はペレット径を6mmとしたことを除き、
実施例1と同様の方法で作成した。作製した各区飼料の
脂肪酸組成は表6の通りであった。
【0041】
【表6】
【0042】平均体重600gのマダイ50尾ずつを3m
角の海面網生簀に収容し、2週間市販飼料で馴致飼育し
たのち、試験を開始した。給餌は1日2回(朝夕)で各
回飽食とし、原則として日曜は休餌日とした。飼育期間
は90日間で、その間の水温は22〜18℃であった。
試験開始90日後に各区生簀から5尾ずつを無作為に捕
捉し、実施例1と同様の方法で脱鱗枚数を計数した。
【0043】
【表7】
【0044】その結果は表7に示すとおり、1区では1
387枚が脱鱗したのに対し、2区、3区及び4区では
各々672枚、506枚、551枚であった。イワシ油
(魚油)のみを3%配合した1区に較べ、鶏脂のみを3
%配合した2区でも明瞭な効果が認められること、鶏脂
6%の3区における効果と比較し、鶏脂を9%に増量し
た4区では脱鱗防止効果の更なる向上は認められないこ
とが判明した。
【0045】[実施例2]マダイでの試験例3 計5区の試験用飼料の配合組成は表8の通りとした。
【0046】
【表8】
【0047】1区はイワシ油(魚油)のみ、2区は米ぬ
か油のみ、3区は鶏脂のみ、4区は牛脂のみ、5区はパ
ーム油のみをいずれも3%配合した飼料とした。各区飼
料はペレット径を6mmとしたことを除き、実施例1と同
様の方法で作成した。作製した各区飼料の脂肪酸組成は
表9の通りであった。
【0048】
【表9】
【0049】平均体重600gのマダイ50尾ずつを3m
角の海面網生簀に収容し、2週間市販飼料で馴致飼育し
たのち、試験を開始した。給餌は1日2回(朝夕)で各
回飽食とし、原則として日曜は休餌日とした。飼育期間
は120日間で、その間の水温は18〜15℃であっ
た。試験開始120日後に各区生簀から5尾ずつを無作
為に捕捉し、実施例1と同様の方法で脱鱗枚数を計数し
た。
【0050】その結果は表10に示すとおり、1区では
1241枚が脱鱗したのに対し、2区、3区、4区及び
5区では各々733枚、638枚、618枚及び598
枚であった。イワシ油(魚油)のみを3%配合した1区
に較べ、他の2〜5区はいずれも明瞭な効果が認められ
たが、2区は3〜5区と比較し、若干劣る成績であっ
た。
【0051】
【表10】
【0052】[実施例4]ギンザケでの試験例 計3区の試験用飼料の配合組成は表11の通りとした。
【0053】
【表11】
【0054】1区は対照区でイワシ油(魚油)のみを2
2%配合した従来タイプの飼料、2区及び3区は1区の
イワシ油(22%)のうち17%を各々鶏脂、牛脂に置
き換えた飼料とした。各区飼料はいずれも100%浮上
タイプとしペレットの直径を12mmとしたことを除き、
実施例1と同様の装置・方法にて製造された。作製した
各区飼料の脂肪酸組成は表12の通りであった。
【0055】
【表12】
【0056】平均体重960gのギンザケ400尾ずつ
を6m角の海面網生簀に収容し、2週間市販飼料で馴致
飼育したのち、各区飼料を給与して142日間飼育し
た。給餌は原則として毎日行い、1日1回(朝)で毎回
飽食とした。試験期間中の水温は5〜19℃であった。
【0057】試験開始142日後に各区生簀から3尾ず
つを無作為に捕捉し、円形底部の直径が60cmのプラス
チック製樽に投入し1分間暴れさせた。その後樽に海水
を入れ、魚のみを除去し、樽中に剥離した鱗をステンレ
ス製の笊で回収し、その枚数を計数した。
【0058】その結果は表13に示すとおり、1区(対
照)では2864枚が脱鱗したのに対し、2区及び3区
では各々1083枚、971枚であり、油脂原料を魚油
に限定した従来タイプの飼料給与魚(1区)に較べ、本
発明に基づく飼料を給与されたギンザケ(2・3区)は
マダイと同様、いずれも顕著に脱鱗が抑制されているこ
とが判明した。
【0059】
【表13】
【0060】[実施例5]コイでの試験例 計3区の試験用飼料の配合組成は表14の通りとした。
【0061】
【表14】
【0062】1区は対照区でイワシ油(魚油)のみを1
0%配合した従来タイプの飼料、2区及び3区及は1区
のイワシ油(10%)のうち8%を各々鶏脂、パーム油
に置き換えた飼料とした。各区飼料はいずれもペレット
の直径を6.0mmとしたことを除き、実施例1と同様の
装置・方法にて製造された。作製した各区飼料の脂肪酸
組成は表15の通りであった。
【0063】
【表15】
【0064】平均体重600gのコイ30尾ずつを10
00リットル容の円形FRP水槽に収容し、3週間市販飼料で
馴致飼育したのち、各区飼料を給与して130日間飼育
した。給餌は原則として日曜を除いて毎日行い、1日3
回(朝昼夕)で毎回飽食とした。27℃の温水を注入
し、エアレーション下1日2回転の流水飼育を行った。
試験期間中の水温は25〜26℃であった。
【0065】試験開始130日後に各区水槽から10尾
ずつを無作為に捕捉し、円形底部の直径が60cmのプラ
スチック製樽に投入し3分間暴れさせた。その後樽に水
を入れ、魚のみを除去し、樽中に剥離した鱗をステンレ
ス製の笊で回収し、その枚数を計数した。
【0066】その結果は表16に示すとおり、1区(対
照)では121枚が脱鱗したのに対し、2区及び3区で
は各々42枚、33枚であり、油脂原料を魚油に限定し
た従来タイプの飼料給与魚(1区)に較べ、本発明に基
づく飼料を給与されたコイ(2・3区)はマダイ・ギン
ザケと同様、いずれも顕著に脱鱗が抑制されていること
が判明した。
【0067】
【表16】
【0068】以上のマダイ、ギンザケ及びコイの試験成
績から、本発明の飼料を給与された魚は、魚油を油脂原
料として配合する従来タイプの飼料を給与された魚より
も、脱鱗が有意に少ないことが見出された。
【0069】[実施例6]マダイでの試験例 試験飼料計4区の配合組成は表17のとおりとした。
【0070】
【表17】
【0071】ビオチン・イノシトール及びアスコルビン
酸の含有量は、1区と3区の飼料では飼料1kg中に各
々、1000μg、1000mg及び100mgとなるよう
に設計したのに対し、2区と4区では各々、2000μ
g、2500mg及び1500mgとした。また、1区と2
区はイワシ油(魚油)のみを8%配合したのに対し、3区
と4区は鶏脂6%とイワシ油(魚油)2%を配合した。試
験飼料はペレットの直径を6mmとしたことを除いては、
実施例1と同様の装置・方法で製造された。各区の飼料
の脂肪酸組成は表18のとおりであった。アスコルビン
酸原料としては、耐熱性のL-アスコルビン酸-2-リン酸
エステルマグネシウムを使用した。
【0072】
【表18】
【0073】3m角の海面網生簀4面を使用し、各生簀
に平均体重が600gのマダイを50尾づつ収容し、市
販飼料を給餌して2週間馴致飼育したのち、試験を開始
した。給餌は1日2回(朝夕)で各回飽食とし、原則と
して日曜は休餌日とした。飼育期間は120日間で、そ
の間の水温は26〜18℃であった。試験開始120日
後に各区生簀から5尾ずつを無作為に捕捉し、実施例と
同様の方法で脱鱗枚数を計数した。
【0074】その結果は表19に示すとおり、1区では
1692枚が脱鱗したのに対し、2区、3区及び4区で
は各々1473枚、657枚、481枚であった。すな
わち、油脂原料を魚油に限定した従来タイプの飼料では
3種のビタミンを強化しても脱鱗防止効果は低いが、魚
油の75%を鶏油に換え、脂肪酸組成を改善した上でさ
らに3種ビタミンを強化すれば最も脱鱗防止効果が高く
なることが明らかとなった。
【0075】
【表19】
【0076】
【発明の効果】本発明により、世界的に需給が逼迫して
いる魚油に代えて、安全、安価で安定供給できる動植物
油脂を用い、さらに飼料添加物として安全性が保証され
ている特定の3種のビタミンを強化して、脱鱗防止を可
能とする飼料を提供できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23K 1/18 102 A23K 1/18 102A (72)発明者 近藤 毅 静岡県磐田市中泉260−1 オリエンタル プラザ206 (72)発明者 堀内 三津幸 静岡県掛川市南2丁目13−7 ドームサウ ス205 (72)発明者 中村 烈 神奈川県横浜市鶴見区寺谷1−24−25 Fターム(参考) 2B005 GA01 GA02 LA06 LB06 MA04 MB07 2B150 AA08 AB20 DA06 DA57 DB12 DE11 DE13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成する脂肪酸の内、パルミチン酸、ス
    テアリン酸、オレイン酸の合計が60〜90重量%の範
    囲で含まれる動植物性油脂を配合することを特徴とする
    養殖魚の脱鱗防止用飼料。
  2. 【請求項2】 動植物性油脂が牛脂、豚脂、鶏脂、パー
    ム油、米ぬか油、の1種以上である請求項1記載の養殖
    魚の脱鱗防止用飼料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の動植物性油脂を、
    飼料に対して3〜25重量%配合することを特徴とする
    養殖魚の脱鱗防止用飼料。
  4. 【請求項4】 ビオチン、イノシトール及びアスコルビ
    ン酸の3種を配合することを特徴とする請求項1,2又
    は3記載の養殖魚の脱鱗防止用飼料。
  5. 【請求項5】 請求項1,2、3又は4記載の飼料を給
    与することによる養殖魚の脱鱗防止方法。
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