JP2002299178A - 電解コンデンサ用駆動電解液 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解コンデンサの低インピーダンス化および
高信頼性化を可能とする電解コンデンサの駆動用電解液
を提供する。 【解決手段】 エチレングリコールと水との混合溶媒
に、有機カルボン酸またはその塩と、０．０１〜５．０
重量％のグルクロン酸（化１）またはグルクロン（化
２）とを溶解することを特徴としている。 【化１】 【化２】

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサの
駆動用電解液（以下、電解液と称す）に関するものであ
り、特に電解液の低比抵抗化に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電解コンデンサは、アルミニウム陽極箔
と陰極箔とにタブ端子を取り付け、これらの箔をセパレ
ータ紙を介して巻回したコンデンサ素子に電解液を含浸
し、このコンデンサ素子をゴム封口体とともにアルミニ
ウム製外装ケース内に組込み、封止加工した構造を有す
る。低インピーダンス用電解コンデンサの電解液は、低
比抵抗のものが求められ、現在は溶媒に水を２０重量％
程度加えて比抵抗を８０〜９０Ω・cmとした電解液が採
用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、さらなる低比
抵抗電解液を実現するために、水の混合量を増加させる
と高温下での使用など苛酷な条件にて使用すると、電解
液中の水と電極箔が水和反応を起こし、ガスを発生した
り、電気特性を悪化させる等の問題があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、エチレングリ
コールと水との混合溶媒に、グルクロン酸またはグルク
ロンを溶解した電解液とすることで、電解液中の水と電
極箔との水和反応を抑制し、上記課題の解決を図ろうと
するものである。すなわち、エチレングリコールと水と
の混合溶媒に、有機カルボン酸またはその塩と、グルク
ロン酸（化３）またはグルクロン（化４）とを溶解する
ことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液であ
る。

【０００５】

【化３】

【０００６】

【化４】

【０００７】そして、上記グルクロン酸またはグルクロ
ンの量が、０．１０〜５．０重量％であることを特徴と
する電解コンデンサの駆動用電解液である。

【０００８】さらに、上記水の混合量が、１〜８０重量
％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解
液である。

【０００９】また、上記有機カルボン酸としては、アジ
ピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、安息香酸、フタル
酸等を例示することができる。

【００１０】そして、上記有機カルボン酸の塩として
は、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミ
ン、ｔ−ブチルアミン等の１級アミン塩、ジメチルアミ
ン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の２級アミ
ン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチ
ルジメチルアミン、トリエチルアミン等の３級アミン
塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアン
モニウム等の４級アンモニウム塩等を例示することがで
きる。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明によるエチレングリコール
と水との混合溶媒に、グルクロン酸を溶解した電解液
は、グルクロン酸が水と電極箔との水和反応を直接的に
抑制するか、または電極箔表面を不活性にすることで水
和反応を抑制すると考えられ、いずれも水と電極箔との
水和反応を抑制することにより、ガス発生や電気特性の
悪化等を防止することができる。また、電解液中にグル
クロン酸が存在することで、水を多量に混合することが
でき、低比抵抗でかつ電気特性が長期に安定した電解液
を提供することができる。なお、水の存在下でグルクロ
ン（グルクロン酸ラクトン）は、次第にラクトンが開環
してグルクロン酸となるので、電解液中ではグルクロン
−グルクロン酸の平衡混合物として存在しており、グル
クロンについても上記と同様の効果を有する。

【００１２】

【実施例】本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
表１の組成で電解液を調合し、比抵抗を測定した。

【００１３】

【表１】

【００１４】表１のそれぞれの電解液を用いて、直径１
０ｍｍ、長さ１２．５ｍｍ、定格電圧６３Ｖ、静電容量
１００μＦのアルミ電解コンデンサを各１０個作製し
た。上記コンデンサを１０５℃の恒温槽中で定格電圧を
３０００時間印加後、電気特性を測定し表２の結果を得
た。

【００１５】

【表２】

【００１６】表１の従来例２でも低比抵抗化を図ること
はできるが、表２のごとく防爆弁が作動し１０００時間
の保証さえできない。しかし、グルクロンまたはグルク
ロン酸を溶解した実施例は、水の濃度が従来例の２０重
量％を大きく上回る場合であっても、３０００時間経過
時点において弁作動した製品はなく、電気特性も安定し
ている。

【００１７】グルクロンまたはグルクロン酸の添加量
は、０．０１〜５．０重量％の範囲が好ましい。０．０
１重量％未満では効果が少なく、５重量％以上添加する
と電解液の比抵抗が上昇し、低比抵抗用途に不向きとな
る。また、水の混合量が多くなるほど、グルクロン酸ま
たはグルクロンの溶解量を増した方が好ましい。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によるエチ
レングリコールと水との混合溶媒に、有機カルボン酸
と、グルクロン酸またはグルクロンとを溶解した電解液
を使用した電解コンデンサは、高温下で長時間使用して
もの電気特性が安定しており、外観異常の発生も防ぐこ
とができる。特に、水の混合量が非常に多い電解液にお
いて、１０５℃雰囲気中で水と電極箔の水和反応を抑制
することができるので、低比抵抗でかつ高温でも安定し
た電気特性を有する電解液を提供することができる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エチレングリコールと水との混合溶媒
   に、有機カルボン酸またはその塩と、グルクロン酸（化
   １）またはグルクロン（化２）とを溶解することを特徴
   とする電解コンデンサの駆動用電解液。 【化１】 【化２】
2. 【請求項２】 請求項１記載のグルクロン酸またはグル
   クロンの量が、０．０１〜５．０重量％であることを特
   徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
3. 【請求項３】 請求項１記載の水の混合量が、１〜８０
   重量％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用
   電解液。