JP4576070B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)の改良に関するものであり、特に電解コンデンサの長寿命化を図ったものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、中高圧用の電解コンデンサは、エチレングリコールを主成分とする溶媒に高級二塩基酸またはそのアンモニウム塩を溶解してなる電解液を用いた。近年、電解コンデンサの使用状況が苛酷になり、高温でリプル電流が印加されるため、長時間使用するとアルミニウム電極箔が水和劣化することがあった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、電解コンデンサに高温でリプル電流が印加される苛酷な状況においても、アルミニウム電極箔の水和劣化を防止することで、電解コンデンサの更なる長寿命化を図る技術が求められていた。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するものであり、エチレングリコールを主溶媒とし、高級二塩基酸若しくはその塩および／またはホウ酸若しくはそのアンモニウム塩と、１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸（化２）若しくはその塩とを溶解し、前記１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸若しくはその塩の溶解量が、０．１〜１．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液である。
【０００５】
【化２】

【０００７】
さらに、高級二塩基酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、１，６−デカンジカルボン酸、５，６−デカンジカルボン酸、７−ビニルヘキサデセン−１，１６−ジカルボン酸等を例示することができる。
【０００８】
そして、高級二塩基酸の塩としては、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、ｔ−ブチルアミン等の１級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の２級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の３級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の４級アンモニウム塩等を例示することができる。
【０００９】
また、エチレングリコールに混合する副溶媒としては、水の他、プロピレングリコール等のグリコール類、γ−ブチロラクトン、Ｎ−メチル−２−ピロリドン等のラクトン類、Ｎ−メチルホルムアミド、Ｎ，Ｎ−ジメチルホルムアミド、Ｎ−エチルホルムアミド、Ｎ，Ｎ−ジエチルホルムアミド、Ｎ−メチルアセトアミド、Ｎ，Ｎ−ジメチルアセトアミド、Ｎ−エチルアセトアミド、Ｎ，Ｎ−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を例示することができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
エチレングリコールを主溶媒とし、高級二塩基酸若しくはその塩および／またはホウ酸若しくはそのアンモニウム塩と、１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸若しくはその塩を溶解した電解液は、１−（１−オキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸がアルミニウムイオンと錯体を形成することから、高温でリプル電流が印加され、電解コンデンサ内部が雰囲気温度より高温になるような苛酷な条件下においても、アルミニウム電極箔の水和劣化を抑制することが可能となり、電解コンデンサの更なる長寿命化を図ることができる。
【００１１】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
表１の電解液組成で電解液を調合し、定格４５０Ｖ／２７０μＦ用コンデンサ素子に各電解液を含浸後、陽極・陰極リード線と外部端子を有する封口体とを接続し、コンデンサケースに組み込み後封口した電解コンデンサを、１０５℃の恒温槽中においてリプル電流重畳試験を実施した。リプル電流は製品温度上昇が１０℃となる電流値を用いた。試験開始後１０００時間毎に製品を分解しアルミニウム電極箔の水和劣化の有無を確認し、表１の結果を得た。
【００１２】
【表１】

【００１３】
表１より、１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸を溶解しなかった従来例は、３０００〜４０００時間でアルミニウム電極箔が水和劣化した。しかし、１−（１−オキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸を溶解した本実施例は、５０００時間経過してもアルミニウム電極箔の水和劣化は観られなかった。
【００１４】
なお、１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸の溶解量は、０．１ｗｔ％未満ではアルミニウム電極箔の水和劣化抑制効果が少なく、１．０ｗｔ％を超える場合は、製品が０℃以下の低温で放置されると溶質が析出しやすくなるため、１−（１−オキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸もしくはその塩の溶解量は、０．１〜１．０ｗｔ％の範囲が好ましい。
【００１５】
【発明の効果】
上述のように本発明による、エチレングリコールを主溶媒とし、高級二塩基酸若しくはその塩および／またはホウ酸若しくはそのアンモニウム塩と、１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸若しくはその塩とを溶解した電解液を使用した電解コンデンサは、高温度・リプル重畳で長時間使用してもアルミニウム電極箔の水和劣化を抑制し、電解コンデンサの長寿命化を可能にするものである。

Claims (1)

1. エチレングリコールを主溶媒とし、高級二塩基酸若しくはその塩および／またはホウ酸若しくはそのアンモニウム塩と、１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸（化１）若しくはその塩とを溶解し、
   前記１−（１−ヒドロキシ−２−ナフチルアゾ）−６−ニトロ−２−ナフトール−４−スルホン酸若しくはその塩の溶解量が、０．１〜１．０ｗｔ％であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。