JP2005294591A - 電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温、高湿特性の良好な電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 本発明の電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔をセパレータを介してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子をシランカップリング剤、コロイダルシリカ、ポリイミドシリコンまたはポリアニリンを含む溶液中に浸漬して陽極箔表面をこれらの層で被覆した後、電解コンデンサ用電解液を含浸し、このコンデンサ素子をコンデンサケースに封入しているので、これらの層で陽極箔表面を被覆することによって、箔切断面等が被覆され、水分との反応が抑制されて、電解コンデンサの高温、耐湿特性が向上する。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明の電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔をセパレータを介してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子をシランカップリング剤、コロイダルシリカ、ポリイミドシリコンまたはポリアニリンを含む溶液中に浸漬して陽極箔表面をこれらの層で被覆した後、電解コンデンサ用電解液を含浸し、このコンデンサ素子をコンデンサケースに封入しているので、これらの層で陽極箔表面を被覆することによって、箔切断面等が被覆され、水分との反応が抑制されて、電解コンデンサの高温、耐湿特性が向上する。
【選択図】 なし
Description
この発明は、電解コンデンサにかかり、特に高温、高湿特性の良好な電解コンデンサに関する。
アルミ電解コンデンサは一般的には以下のような構成を取っている。すなわち、帯状に形成された高純度のアルミニウム箔を化学的あるいは電気化学的にエッチングを行って拡面処理するとともに、拡面処理したアルミニウム箔をホウ酸アンモニウム水 溶液等の化成液中にて化成処理することによりアルミニウム箔の表面に誘電体皮膜を形成させた陽極箔と、同じく高純度のアルミニウム箔を拡面処理した陰極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子が形成される。そしてこのコンデンサ素子には駆動用の電解液が含浸され、金属製の有底筒状の外装ケースに収納される。さらに外装ケースの開口端部は弾性ゴムよりなる封口体が収納され、さらに外装ケースの開口端部を絞り加工により封口を行い、その後エージングを行って、アルミ電解コンデンサを構成する。
コンデンサ素子に含浸される駆動用の電解液には、使用されるアルミニウム電解コンデンサの性能によって種々のものがあり、その中で高電導度を有する電解液として、γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、溶質として環状アミジン化合物を四級化したカチオンであるイミダゾリニウムカチオンやイミダゾリウムカチオンを、カチオン成分とし、酸の共役塩基をアニオン成分とした塩、を溶解させたものがある(特許文献1、特許文献2)。
近年、車載分野において、電解コンデンサが高温のエンジンルームで用いられるようになり、また半導体と同様の耐湿 性が求められるようになっている。このような高温化への対応としては、溶媒にスルホラン、スルホランの誘導体を用いたものが提案されている(特許文献3、特許文献4)。
特開平8−321440号公報報
特開平8−321441号公報
特開平11−126732号公報報
特開平11−219863号公報
しかしながら、エンジンルームの高温化はさらに進み、長寿命化の要求も高まり、耐湿寿命試験においては電解コンデンサ内部の水分と外部から侵入する水分によって、特性が劣化して高温、高湿、長寿命の要求を満足できないという問題点があった。
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、高温、高湿特性の良好な電解コンデンサを提供することにある。
本発明の電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔をセパレータを介してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子をシランカップリング剤、コロイダルシリカ、ポリイミドシリコンまたはポリアニリンを含む溶液中に浸漬して陽極箔表面をこれらの層で被覆した後、電解コンデンサ用電解液を含浸し、このコンデンサ素子をコンデンサケースに封入してなることを特徴とする。
本発明者らは、本発明の課題の解決にあたって、従来にない高温、高湿下での問題点を以下のように考察した。すなわち、従来の電解コンデンサの製造方法は以下のようである。切断した陽極箔と陰極箔をセパレータを介して巻回して形成したコンデンサ素子に電解液を含浸し、コンデンサケースに封入後、エージングを行って形成される。ここで、電極箔の切断面、および素子巻回等のコンデンサ素子形成工程で損傷を受けた電極箔の亀裂部分(以下、箔切断面等)は、エージング工程で電圧印加され、酸化皮膜が形成されて修復される。すなわち、箔切断面等に形成された酸化皮膜は電解液によって化成された酸化皮膜である。ここで、この電解液によって化成された酸化皮膜は化成液で化成された酸化皮膜より水和劣化に対して脆弱であると考え、前述したような従来にない高温、高湿下では、この電解液によって化成された酸化皮膜の部分の水和劣化が進行して特性が劣化することが考えられた。
そこで、コンデンサ素子を形成した後、このコンデンサ素子をシランカップリング剤、コロイダルシリカ、ポリイミドシリコンまたはポリアニリンを含む溶液中に浸漬して陽極箔表面をこれらの層で被覆することによって良好な結果が得られることが判明した。すなわち、これらの層で陽極箔表面を被覆することによって、箔切断面等が被覆され、水分との反応が抑制されるためと思われるが、電解コンデンサの高温、耐湿特性が向上する。
そして電解液中の水分が5wt%以下であると、さらに水和劣化が抑制されて、高温、耐湿特性がさらに向上する。
用いる電解液としては以下のものを挙げることができる。電解液の溶質としては、以下のようなカルボン酸のアンモニウム塩、4級アンモニウム塩、またはアミン塩を用いることができる。アジピン酸、ギ酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の直鎖脂肪族ジカルボン酸 、安息香酸、トルイル酸等の芳香族モノカルボン酸、または以下のような側鎖を有するジカルボン酸 またはその誘導体を用いることができる。1,6−デカンジカルボン酸 、5,6−デカンジカルボン酸 、1,10−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸 、2,4,7,6−テトラメチル−1,10−デカンジカルボン酸 、2,4,7,9−テトラメチル−1,6−デカンジカルボン酸 、2,4,7,6−テトラメチル−5,6−デカンジカルボン酸 、7−メチル−7−メトキシカルボニル−1,9−デカンジカルボン酸 等を、その誘導体としては、7,9−ジメチル−7,9−ジメトキシカルボニル−1,11−ドデカンジカルボン酸 、7,8−ジメチル−7,8−ジメトキシカルボニル−1,14−テトラデカンジカルボン酸 、等を挙げることができる。
第4級アンモニウム塩を構成する第4級アンモニウムとしてはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)、ピリジウム(1−メチルピリジウム、1−エチルピリジウム、1,3−ジエチルピリジウム等)が挙げられる。また、アミン塩を構成するアミンとしては、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、トリエタノールアミン等)があげられる。
さらに、四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いることができる。この塩のアニオン成分となる酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸等を挙げることができる。
カチオン成分となる四級化環状アミジニウムイオンは、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物を四級化したカチオンであり、N,N,N’−置換アミジン基をもつ環状化合物としては、以下の化合物が挙げられる。イミダゾール単環化合物(1−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール同族体、、1−メチル−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オキシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ誘導体、1,2−ジメチル−5(4)−アミノイミダゾール等のアミノ誘導体等)、ベンゾイミダゾール化合物(1−メチルベンゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンゾイミダゾール、1−メチル−5(6)−ニトロベンゾイミダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1−メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1−メチル−2−フェニルイミダゾリン、1−エチル−2−メチル−イミダゾリン、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−エトキシメチルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕ノネン−5等)等である。
このような四級化環状アミジニウムイオンをカチオン成分とする塩を用いると、電解液の高電導度化を図ることができるので、好適である。
本発明の電解液の溶媒としては、プロトン性極性溶媒、非プロトン性溶媒、及びこれらの混合物を用いることができる。プロトン性極性溶媒としては、一価アルコール類(エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類およびオキシアルコール化合物類(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等)などが挙げられる。また、非プロトン性の極性溶媒としては、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N─ジメチルホルムアミド、N─エチルホルムアミド、N,N─ジエチルホルムアミド、N─メチルアセトアミド、N,N─ジメチルアセトアミド、N─エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン等)、スルホラン 系(3−メチルスルホラン 、2,4−ジメチルスルホラン等)、環状アミド系(N─メチル─2─ピロリドン、エチレンカーボネイト、プロピレンカーボネイト、イソブチレンカーボネイト等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスルホキシド等)、2−イミダゾリジノン系〔1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジ(n−プロピル)−2−イミダゾリジノン等)、1,3,4−トリアルキル−2−イミダゾリジノン(1,3,4−トリメチル−2−イミダゾリジノン等)〕などが代表として、挙げられる。
本発明の電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔をセパレータを介してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子をシランカップリング剤、コロイダルシリカ、ポリイミドシリコンまたはポリアニリンを含む溶液中に浸漬して陽極箔表面をこれらの層で被覆した後、電解コンデンサ用電解液を含浸し、このコンデンサ素子をコンデンサケースに封入しているので、これらの層で陽極箔表面を被覆することによって、箔切断面等が被覆され、水分との反応が抑制されて、電解コンデンサの高温、耐湿特性が向上する。
次に本発明の電解コンデンサの実施例を示す。
陽極電極箔と陰極電極箔をセパレータ1を介して巻回してコンデンサ素子を形成する。ここで陽極電極箔、陰極電極箔には陽極引出し用のリード線、陰極引出し用のリード線がそれぞれ接続されている。
これらのリード線は、電極箔に当接する接続部とこの接続部と一体に形成した丸棒部、および丸棒部の先端に固着した外部接続部からなる。また、接続部および丸棒部は99%のアルミニウム、外部接続部ははんだメッキを施した銅メッキ鉄鋼線からなる。このリード線は、接続部においてそれぞれステッチや超音波溶接等の手段により両極電極箔に電気的に接続されている。
陽極電極箔は、純度99.9%のアルミニウム箔を酸性溶液中で化学的あるいは電気化学的にエッチングして拡面処理した後、化成処理を行い、その表面に陽極酸化皮膜層を形成したものを用いる。また、陰極電極箔3は、純度99.7%のアルミニウム箔をエッチングしたものを用いる。そして、陰極電極箔の表面を窒化チタンで被覆した。また、リード線の丸棒部の表面を酸化アルミニウムで被覆した。
このコンデンサ素子をシランカップリング剤溶液に浸漬し、引き上げた後、加熱、乾燥を行った。また、比較例はこの処理を行わなかった。
そして、前記のように構成したコンデンサ素子に、アルミニウム電解コンデンサの駆動用の電解液を含浸する。用いた電解液の組成は、実施例1としてγ-ブチロラクトン75部、フタル酸1-エチル-2,3-メチルイミダゾリニウム25部、水4部、実施例2として-ブチロラクトン30部、スルホラン45部、フタル酸1-チル-,3?ジメチルイミダゾリニウム25部、水4部である。
次いで、このコンデンサ素子を有底筒状のアルミニウムよりなる外装ケースに収納し、外装ケースの開口部に封口体を装着するとともに、外装ケースの端部に絞り加工を施して外装ケースを密封し、エージングして16W−470μFの電解コンデンサを形成した。
以上の電解コンデンサの高温耐湿特性を評価するために、85℃/85%RHの耐湿試験を行った。結果を(表1)に示す。
(表1)
以上のように、比較例は3000時間でケース膨れが発生しているが、実施例は良好な特性を保持している。すなわち、シランカップリング剤で陽極箔に被覆した実施例1、2は良好な特性を示し、この処理を施さない比較例1はケース膨れが発生している。以上のように、本発明のシランカップリング剤被覆による、高温、高湿特性向上効果が明らかである。
Claims (1)
- 陽極箔と陰極箔をセパレータを介してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子をシランカップリング剤、コロイダルシリカ、ポリイミドシリコンまたはポリアニリンを含む溶液中に浸漬して陽極箔表面をこれらの層で被覆した後、電解コンデンサ用電解液を含浸し、このコンデンサ素子をコンデンサケースに封入してなる電解コンデンサ。
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JP2004108536A JP2005294591A (ja) | 2004-03-31 | 2004-03-31 | 電解コンデンサ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109461586A (zh) * | 2018-10-10 | 2019-03-12 | 乳源瑶族自治县东阳光化成箔有限公司 | 一种降低铝电解电容器用低压电极箔漏电流的制备方法 |
-
2004
- 2004-03-31 JP JP2004108536A patent/JP2005294591A/ja active Pending
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CN109461586A (zh) * | 2018-10-10 | 2019-03-12 | 乳源瑶族自治县东阳光化成箔有限公司 | 一种降低铝电解电容器用低压电极箔漏电流的制备方法 |
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