JP3963575B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents
電解コンデンサの駆動用電解液 Download PDFInfo
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液（以下、電解液と称す）に関するものであり、優れた電導度を有し、かつ耐電圧性を向上させた電解液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に電解コンデンサは、高純度アルミニウム箔をエッチングして表面積を増大させ、その表面を陽極酸化して誘電体化した陽極箔と、この陽極箔と対向するエッチングされた陰極箔との間にセパレータを介在させて巻回した構造の素子に電解液を含浸させ、ケースに収納し、封口体により封口してなるものである。このような電解コンデンサにおいては、電解液の特性が電解コンデンサの性能を決定する大きな要因となる。特に近年の電解コンデンサの小型化に伴い、エッチング倍率の高いものが使用されるようになり、コンデンサの抵抗率が大きくなっていることから、これに用いる電解液としては比抵抗の小さいものが常に要求される。従来の電解液の中でコストも安く、比抵抗の低いものとしてはエチレングリコールを主溶媒としてこれに水を加え、さらに電解質としてアジピン酸、安息香酸等のアンモニウム塩を溶解したものが使用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の電解液において低比抵抗のものを得るためには電解質の濃度を増量させるか、水を多量に添加しなければならない。電解質の濃度（アニオン濃度）の増加は火花電圧の低下を招き、また水分を多量に添加した場合、高温下において電解液中の水分が電極箔と水和反応してガスを発生させ、電解コンデンサの内圧を上昇させるので１０５℃以上での使用は困難であった。本発明の目的は上記の欠点を改善し、耐電圧を維持しつつ、電解液の比抵抗の上昇を制御し、高温条件下においても使用可能なアルミニウム電解コンデンサ用電解液を提供するものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレングリコールと１０〜２０ｗｔ％の水とを混合した溶媒にアジピン酸、安息香酸のうち少なくとも１種類の有機カルボン酸またはその塩を溶質として溶解し、〔化２〕で示されるラクトビオン酸を０．１〜３．０ｗｔ％添加したことを特徴とし、耐電圧を維持しつつ、電解液の比抵抗の上昇を抑制し、高温条件下においても使用可能なアルミニウム電解コンデンサ用電解液を提供するものである。
【０００５】
【化２】
【０００６】
【発明の実施の形態】
ラクトビオン酸を添加することにより、高温下で電解液中の水がラクトビオン酸と水和し、電極箔表面の水分が稀薄となるので、電極箔との水和反応が抑制され、ガス発生を抑えることができる。また電解質の増量を必要としないので、耐電圧を低下させることもない。
【０００７】
ラクトビオン酸一水和物の添加量を種々検討した結果、０．１〜３．０ｗｔ％の範囲が良好であった。０．１ｗｔ％未満では抑制効果が現れず、また３．０ｗｔ％を超えても、３．０ｗｔ％の場合と効果は変わらず、比抵抗のみが上昇してしまうので不適当である。
【０００８】
水の添加量は１０〜２０ｗｔ％の範囲が適当であり、１０ｗｔ％未満では比抵抗が低くならず、２０ｗｔ％を超えるとラクトビオン酸による上記の効果が現れなくなる。
【０００９】
【実施例】
実施例としては、エチレングリコールと水とを混合した溶媒にアジピン酸、安息香酸のうち少なくとも１種類の有機カルボン酸またはその塩を溶質として溶解した電解液にラクトビオン酸を添加した。従来の電解液（従来例１〜４）及び本発明による電解液（実施例１〜１６）の組成、３０℃における比抵抗、８５℃における火花電圧の値を〔表１〕に示す。
【００１０】
【表１】
【００１１】
〔表１〕から明らかなように、実施例１〜１６においては比抵抗の上昇は小さく、ラクトビオン酸を３．０ｗｔ％加えた場合においても比抵抗の上昇は１０〜１５Ω・ｃｍ程度に抑えることができ、かつ火花電圧は上昇している。
【００１２】
次に上記〔表１〕に示した従来例、実施例の電解液を使用して作製した定格１６Ｖ−４７００μＦのアルミニウム電解コンデンサ各２０個について、静電容量、ｔａｎδ、漏れ電流の初期特性及び高温負荷試験（１０５℃中において定格電圧印加、１０００時間）後の静電容量変化率、ｔａｎδ、漏れ電流、外観を調査した結果を〔表２〕に示す。
【００１３】
【表２】
【００１４】
従来の電解液（従来例１〜４）においてはガス発生を抑制することができず短時間で防爆弁が作動した。本発明による電解液（実施例１〜１６）を使用したアルミニウム電解コンデンサは、１０５℃１０００時間後においても安定した特性を示している。
【００１５】
【発明の効果】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、多量の水を添加して、比抵抗を下げた場合でも、ラクトビオン酸の作用により火花電圧の低下を防止することができる。また、ラクトビオン酸による、電極箔への水和抑制作用により、高温下の安定性に優れた電解液が得られるので、電解コンデンサの信頼性向上をはかることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液（以下、電解液と称す）に関するものであり、優れた電導度を有し、かつ耐電圧性を向上させた電解液に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一般に電解コンデンサは、高純度アルミニウム箔をエッチングして表面積を増大させ、その表面を陽極酸化して誘電体化した陽極箔と、この陽極箔と対向するエッチングされた陰極箔との間にセパレータを介在させて巻回した構造の素子に電解液を含浸させ、ケースに収納し、封口体により封口してなるものである。このような電解コンデンサにおいては、電解液の特性が電解コンデンサの性能を決定する大きな要因となる。特に近年の電解コンデンサの小型化に伴い、エッチング倍率の高いものが使用されるようになり、コンデンサの抵抗率が大きくなっていることから、これに用いる電解液としては比抵抗の小さいものが常に要求される。従来の電解液の中でコストも安く、比抵抗の低いものとしてはエチレングリコールを主溶媒としてこれに水を加え、さらに電解質としてアジピン酸、安息香酸等のアンモニウム塩を溶解したものが使用されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の電解液において低比抵抗のものを得るためには電解質の濃度を増量させるか、水を多量に添加しなければならない。電解質の濃度（アニオン濃度）の増加は火花電圧の低下を招き、また水分を多量に添加した場合、高温下において電解液中の水分が電極箔と水和反応してガスを発生させ、電解コンデンサの内圧を上昇させるので１０５℃以上での使用は困難であった。本発明の目的は上記の欠点を改善し、耐電圧を維持しつつ、電解液の比抵抗の上昇を制御し、高温条件下においても使用可能なアルミニウム電解コンデンサ用電解液を提供するものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレングリコールと１０〜２０ｗｔ％の水とを混合した溶媒にアジピン酸、安息香酸のうち少なくとも１種類の有機カルボン酸またはその塩を溶質として溶解し、〔化２〕で示されるラクトビオン酸を０．１〜３．０ｗｔ％添加したことを特徴とし、耐電圧を維持しつつ、電解液の比抵抗の上昇を抑制し、高温条件下においても使用可能なアルミニウム電解コンデンサ用電解液を提供するものである。
【０００５】
【化２】
【発明の実施の形態】
ラクトビオン酸を添加することにより、高温下で電解液中の水がラクトビオン酸と水和し、電極箔表面の水分が稀薄となるので、電極箔との水和反応が抑制され、ガス発生を抑えることができる。また電解質の増量を必要としないので、耐電圧を低下させることもない。
【０００７】
ラクトビオン酸一水和物の添加量を種々検討した結果、０．１〜３．０ｗｔ％の範囲が良好であった。０．１ｗｔ％未満では抑制効果が現れず、また３．０ｗｔ％を超えても、３．０ｗｔ％の場合と効果は変わらず、比抵抗のみが上昇してしまうので不適当である。
【０００８】
水の添加量は１０〜２０ｗｔ％の範囲が適当であり、１０ｗｔ％未満では比抵抗が低くならず、２０ｗｔ％を超えるとラクトビオン酸による上記の効果が現れなくなる。
【０００９】
【実施例】
実施例としては、エチレングリコールと水とを混合した溶媒にアジピン酸、安息香酸のうち少なくとも１種類の有機カルボン酸またはその塩を溶質として溶解した電解液にラクトビオン酸を添加した。従来の電解液（従来例１〜４）及び本発明による電解液（実施例１〜１６）の組成、３０℃における比抵抗、８５℃における火花電圧の値を〔表１〕に示す。
【００１０】
【表１】
〔表１〕から明らかなように、実施例１〜１６においては比抵抗の上昇は小さく、ラクトビオン酸を３．０ｗｔ％加えた場合においても比抵抗の上昇は１０〜１５Ω・ｃｍ程度に抑えることができ、かつ火花電圧は上昇している。
【００１２】
次に上記〔表１〕に示した従来例、実施例の電解液を使用して作製した定格１６Ｖ−４７００μＦのアルミニウム電解コンデンサ各２０個について、静電容量、ｔａｎδ、漏れ電流の初期特性及び高温負荷試験（１０５℃中において定格電圧印加、１０００時間）後の静電容量変化率、ｔａｎδ、漏れ電流、外観を調査した結果を〔表２〕に示す。
【００１３】
【表２】
従来の電解液（従来例１〜４）においてはガス発生を抑制することができず短時間で防爆弁が作動した。本発明による電解液（実施例１〜１６）を使用したアルミニウム電解コンデンサは、１０５℃１０００時間後においても安定した特性を示している。
【００１５】
【発明の効果】
本発明の電解コンデンサ用電解液は、多量の水を添加して、比抵抗を下げた場合でも、ラクトビオン酸の作用により火花電圧の低下を防止することができる。また、ラクトビオン酸による、電極箔への水和抑制作用により、高温下の安定性に優れた電解液が得られるので、電解コンデンサの信頼性向上をはかることができる。
Claims (1)
- エチレングリコールと１０〜２０ｗｔ％の水とを混合した溶媒にアジピン酸、安息香酸のうち少なくとも１種類の有機カルボン酸またはその塩を溶質として溶解し、〔化１〕で示されるラクトビオン酸を０．１〜３．０ｗｔ％添加したことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14157598A JP3963575B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14157598A JP3963575B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11340098A JPH11340098A (ja) | 1999-12-10 |
| JP3963575B2 true JP3963575B2 (ja) | 2007-08-22 |
Family
ID=15295177
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14157598A Expired - Fee Related JP3963575B2 (ja) | 1998-05-22 | 1998-05-22 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3963575B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4570804B2 (ja) * | 2001-03-30 | 2010-10-27 | ニチコン株式会社 | 電解コンデンサ用駆動電解液 |
-
1998
- 1998-05-22 JP JP14157598A patent/JP3963575B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11340098A (ja) | 1999-12-10 |
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