JP2002295777A - 受口付き複合管 - Google Patents

受口付き複合管

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JP2002295777A
JP2002295777A JP2001104846A JP2001104846A JP2002295777A JP 2002295777 A JP2002295777 A JP 2002295777A JP 2001104846 A JP2001104846 A JP 2001104846A JP 2001104846 A JP2001104846 A JP 2001104846A JP 2002295777 A JP2002295777 A JP 2002295777A
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composite pipe
joint
butt
pipe
resin sheet
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JP2001104846A
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English (en)
Inventor
Kenji Mizukawa
賢司 水川
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】突き合わせ融着部の強度が高くて内耐圧性に優
れている受口付き複合管を提供する。 【解決手段】延伸ポリオレフィン系樹脂シートを用いた
複合管1と、単一の合成樹脂で成形された片受け構造の
継手2とからなり、複合管1の先端に継手2を突き合わ
せ融着にて接合しているとともに、その突き合わせ融着
部Jに補強部材(金属リング3)を装着している。ま
た、突き合わせ融着部Jにおける複合管1の肉厚と継手
2の肉厚とが等しくなるように継手内面にテーパを加工
している

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種物質を流動さ
せて搬送するのに用いられる複合管に関し、さらに詳し
くは、管端部に受口が設けられた受口付き複合管に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液体、気体等の各種物質を流動させて搬
送する際に使用されるパイプ、ホース等の管体は、内部
を流動する物質の圧力によって破損しないような耐圧性
が要求される。特に、耐油配管・給水管等のように、高
圧流体を搬送する場合には、高耐圧性が必要になる。耐
圧性を有する管体として、例えば特開平8−11250
号公報に、合成樹脂等の可撓性材料にて管状に成形され
た内層と外層との間に繊維補強層及びワイヤー補強層を
設けることで、耐圧性を高めた複合管が提案されてい
る。
【0003】また、他の複合管として、管状に成形され
た合成樹脂製の内層と、この内層の外周面に延伸ポリオ
レフィン系樹脂シートを螺旋状に巻回することにより形
成された補強層と、この補強層に積層された合成樹脂製
の外層とを有する複合管も提案されている。このような
延伸ポリオレフィン系樹脂シートを用いた複合管は、内
耐圧性に優れているので、単一材料で構成される樹脂管
に対して肉厚を薄くすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】単一材料で成形された
合成樹脂製の管を接続する方法として、例えば、ポリオ
レフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂の継手本体に電熱線が
埋め込まれた構造の電気融着継手を用いて合成樹脂管同
士を接続するという方法がある。
【0005】また、図8に示すように、片受け構造の電
気融着継手102をポリオレフィン系樹脂管101の端
部に突き合わせ融着にて接合した受口付き樹脂管100
を用いて樹脂管同士を接続する方法がある。さらに、そ
のような電気融着継手に替えて、受口内に止水ゴムと抜
け止めリングを配置した片受け継手を樹脂管に突き合わ
せ融着した構造の受口付き樹脂管を用いる場合もある。
【0006】しかし、図8に示すような構造を、前記し
た複合管(延伸ポリオレフィン系樹脂シート補強)に適
用すると、次のような問題が生じる。
【0007】まず、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを
補強層として複合構造の電気融着継手や片受け継手を成
形することが困難であることから、図8と同様な構造の
受口付き複合管を作製する場合、単一材料製の継手を複
合管に突き合わせ融着するという構成となるが、前記し
たように複合管は肉厚が薄く成形されているので、複合
管と継手との肉圧が異なってしまう。このため、突き合
わせ融着部に段差ができてしまい、十分な融着強度を得
ることができない。しかも、突き合わせ融着部には、延
伸ポリオレフィン系樹脂シートが存在しなくなるので、
内水圧に対する強度を確保することができない。
【0008】本発明はそのような実情に鑑みてなされた
もので、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを用いた複合
管に単一の合成樹脂製の継手を突き合わせ融着した構造
で、その突き合わせ融着部の強度が高くて、内耐圧性に
優れている受口付き複合管の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の受口付き複合管
は、管状に成形された合成樹脂製の内層と、この内層の
外周面に延伸ポリオレフィン系樹脂シートを螺旋状に巻
回することにより形成された補強層と、この補強層に積
層された合成樹脂製の外層とを有する複合管と、単一の
合成樹脂で成形された管状の部材で、肉厚が前記複合管
よりも厚く形成されているとともに、一端側に受口が形
成された継手とからなり、前記複合管の先端に継手の他
端が突き合わせ融着されているとともに、その突き合わ
せ融着部の外周面に補強部材が装着されていることによ
って特徴づけられる。
【0010】本発明の受口付き複合管において、突き合
わせ融着部での複合管の肉厚と継手の肉厚とが等しくな
るように、継手の内面にテーパを加工しておくことが好
ましい。
【0011】本発明の受口付き複合管の具体的な構成を
説明する。
【0012】本発明の受口付き複合管において、突き合
わせ融着部を補強する手段として、半割り構造の金属リ
ングを用い、その金属リングを複合管及び継手の各端部
を締め付けた状態で装着するという方法が挙げられる。
金属リングの内面には、突き合わせ融着部を挟んだ両側
に突起が形成されていることが好ましい。
【0013】他の補強手段として、延伸ポリオレフィン
系樹脂シートを突き合わせ融着部の外周部に巻回した状
態で加熱することにより、延伸ポリオレフィン系樹脂シ
ートを複合管及び継手の各端部の外周面に融着するとい
う方法が挙げられる。
【0014】また、予め内径側に収縮する残留応力が与
えられた延伸ポリオレフィン系樹脂シート製のスリーブ
を、突き合わせ融着部の外周部に配置した状態で加熱す
ることにより、スリーブを複合管及び継手の各端部の外
周面に融着するという方法も挙げることができる。この
場合の融着法として、スリーブを突き合わせ融着部の外
周部に配置した状態で、スリーブを管軸を中心として回
転させることにより発生する摩擦熱によって、スリーブ
を融着するという方法を採用することが好ましい。
【0015】このように樹脂シートにて補強を行なう場
合、突き合わせ融着部の外側のビードを除去しておく
と、樹脂シートが、樹脂管と継手の各端部及び突き合わ
せ融着部に外周面にしっかりと密着するので融着部の強
度が向上する。
【0016】本発明に用いる継手の具体的な形態として
は、延伸ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂製の継
手本体(片受け構造)の受口に電熱線が埋め込まれてな
る電気融着継手、あるいは、熱可塑性樹脂製の継手本体
の受口内面に止水ゴム及び抜け止めリングが装着されて
なる継手(片受け構造)を挙げることができる。
【0017】本発明の受口付き複合管において、継手を
突き合わせ融着する複合管は直管であってもよいし、ベ
ンド管であってもよい。
【0018】次に、本発明に用いる複合管を詳細に説明
する。
【0019】まず、複合管の補強層を構成する延伸ポリ
オレフィン系樹脂シートについて説明する。
【0020】延伸ポリオレフィン系樹脂シートとは、少
なくとも長手方向に延伸されたポリオレフィン系樹脂を
主成分とする材料から構成されるシートを指す。
【0021】ポリオレフィン系樹脂は、特に限定される
ものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプ
ロピレン、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブ
ロック共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等
が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂のうち、
延伸後の弾性率が高い、ポリエチレン、特に結晶性の高
い高密度ポリエチレンが好ましい。
【0022】ポリオレフィン系樹脂には、必要に応じ
て、結晶核剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、充填剤、顔
料、異種のポリオレフィン系樹脂、低分子量ポリオレフ
ィンワックス等が配合されてもよい。
【0023】結晶核剤は、結晶化度を向上させる目的で
添加されるものであって、例えば、炭酸カルシウム、酸
化チタン等が挙げられる。
【0024】架橋剤、架橋助剤は、上記ポリオレフィン
系樹脂の分子鎖を部分的に架橋し、延伸ポリオレフィン
系樹脂シートの耐熱性やクリープ性能等を向上させる目
的で添加されるものであって、架橋剤としては、例え
ば、ベンゾフェノン、チオキサントン、アセトフェノン
等の光重合開始剤が挙げられる。架橋助剤としては、例
えば、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ジアリルフタレート等の多官能性
モノマーが挙げられる。
【0025】上記架橋剤の使用に替えて、電子線照射や
紫外線照射による架橋手段を採用してもよい。
【0026】電子線照射や紫外線照射による架橋手段に
は、ポリオレフィン系樹脂に上記架橋剤や架橋助剤等を
添加し、好ましくは1〜20Mrad、より好ましくは
3〜10Mradの電子線を照射するか、あるいは、好
ましくは50〜800mW/cm2 、より好ましくは1
00〜500mW/cm2 の紫外線を照射するという方
法が挙げられる。このような架橋工程は、後述する延伸
工程と同時に、あるいは延伸工程に引き続いて行えばよ
い。
【0027】上記方法によって架橋を行うことにより、
延伸ポリオレフィン系樹脂シートのクリープ性能が向上
し、複合管を使用する際の内圧に対するクリープ性能が
向上するので、特に、内層を構成する樹脂にクリープ性
能の低いポリオレフィン系樹脂を使用する場合には、延
伸ポリオレフィン系樹脂シートは架橋されていることが
好ましい。
【0028】延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、シー
ト状に加工されたポリオレフィン系樹脂シートを延伸し
て得られる。このポリオレフィン系樹脂シートの作製手
段は、特に限定されるものではないが、例えば、Tダイ
法による押出成形、カレンダー法によるロール成形等が
挙げられる。
【0029】また、ポリオレフィン系樹脂シートを連続
的に延伸する手段は、特に限定されるものではないが、
例えば、加熱されたポリオレフィン系樹脂シートを、速
度の異なるロール間で延伸する方法、互いに異なる方向
に回転するロール間に加熱されたポリオレフィン系樹脂
シートを挟み込み、厚さを減少させながら管の長手方向
に伸長させる、いわゆる圧延方法等が挙げられる。
【0030】これらの方法は、1つの方法の単一回のみ
で実施されてもよいが、2回以上段階的に繰り返して実
施されてもよい。また、上記延伸工程を2回以上実施す
る場合、複数の延伸方法の組合せで実施されてもよい。
特に、比較的厚いポリオレフィン系樹脂シートを延伸す
る場合には、一旦、上記圧延を行った後、延伸を行うこ
とが好ましい。
【0031】延伸前のポリオレフィン系樹脂シート(延
伸原反)の厚さは、得られる複合管の用途や延伸倍率等
によって決定されるものであって、特に限定されるもの
ではないが、0.5mm〜15mm程度が好ましい。シ
ートの厚さが0.5mm未満であると、延伸ポリオレフ
ィン系樹脂シートの厚さが薄くなり過ぎるため、次工程
の積層作業などにおける取扱性が低下して作業が行い難
くなる。シートの厚さが15mmを超えると、延伸負荷
が大きくなり過ぎるため、延伸装置が不必要に大きくな
るだけでなく、延伸作業が難しくなるおそれがある。
【0032】このような延伸原反から得られる延伸ポリ
オレフィン系樹脂シートの厚さは、50〜1000μm
程度となる。
【0033】延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなる
補強層の幅は、複合管の口径、シートの巻回角度、後述
する巻回方法によって適宜選択されるものであって、特
に限定されるものではない。比較的幅の狭い補強層を用
いる場合は、幅広のシートを所要幅にスリットして用い
ればよい。
【0034】延伸ポリオレフィン系樹脂シートの延伸倍
率は、用いられる結晶性ポリオレフィン系樹脂の性状に
よって必要延伸倍率が決定されるものであり、特に限定
されるものではないが、好ましくはその長手方向に10
倍以上、より好ましくは20倍以上延伸されているもの
がよい。延伸ポリオレフィン系樹脂シートの長手方向の
延伸倍率が10倍未満であると、必要強度や弾性率が得
られ難くなるおそれがある。また、幅方向の延伸を行う
と、長手方向の延伸が抑制され、長手方向に10倍以上
延伸することが難しくなるおそれがある。
【0035】延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、必要
に応じて、その接着性を向上する目的で、物理的もしく
は化学的手段による表面処理が施されてもよい。表面処
理には、例えば、サンドブラスト等のエンボス手段や表
面部分の局所的加熱手段によって、延伸ポリオレフィン
系樹脂シート表面に微細な凹凸を形成する物理的な表面
処理法が、作業の容易性等の理由から好ましい。
【0036】また、延伸ポリオレフィン系樹脂シート表
面に、予め接着用シートをラミネートし、接着性を向上
させる方法もある。接着用シートとしては、直鎖状低密
度ポリエチレン、変性ポリエチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体等がある。
【0037】次に、複合管の内層と外層について説明す
る。
【0038】本発明の接続方法を適用する複合管におい
て、内層は、輸送媒体を通過させるためのものである。
従って、内層に用いられる合成樹脂の種類は、輸送媒体
の種類によって適宜選択される。具体的には、延伸ポリ
オレフィン系樹脂シートに用いられるものと同様のポリ
オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、各種
ゴム、ポリオレフィン系エラストマーなどが挙げられる
が、特に制限されるものではない。
【0039】また、内層の肉厚は、輸送媒体の種類や、
使用内圧もしくは用途によって適宜選択される。なお、
製造時に発生する複合管の破片や、使用済み複合管のリ
サイクルを考慮すると、内層を構成する合成樹脂はポリ
オレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0040】本発明の接続方法を適用する複合管におい
て、外層は、管表面の保護や耐候性向上等を目的として
形成されるものである。外層を構成する樹脂には、上記
した内層と同様の合成樹脂が使用可能であり、さらに、
ポリアミド、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等も使用
可能である。外層に用いられる合成樹脂は、用途・使用
状況などによって適宜選択される。
【0041】また、外層の肉厚は、内層と同様に、輸送
媒体の種類や、使用内圧もしくは用途によって適宜選択
される。なお、製造時に発生する複合管の破片や、使用
済み複合管のリサイクルを考慮すると、外層を構成する
合成樹脂はポリオレフィン系樹脂であることが好まし
い。
【0042】本発明の接続方法を適用する複合管におい
て、補強層は、内層の外周面に傾斜周方向に巻回された
延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなる第1補強層
と、管軸方向に対して第1補強層と対称角度となるよう
に積層された延伸ポリオレフィン系樹脂シートからなる
第2補強層を設けたものを挙げることができる。このよ
うに複数層からなる補強層を形成しておけば、合成樹脂
管に比べて高耐圧の複合管が得られる。なお、傾斜周方
向とは、シート巻回方向が管軸方向に対して所定角度だ
け傾斜していることを意味する。
【0043】補強層の枚数は、シートの厚みや延伸倍
率、複合管に要求される性能になどによって適宜選択さ
れるが、各々異なる延伸倍率や厚みの補強層を用いても
よい。
【0044】また、補強層は、隙間なく積層されている
ことが好ましい。複合管の断面形状外周と同じシート幅
にすることにより、積層を隙間なく行うことが可能であ
るが、若干の隙間がある状態で積層されていてもよい。
【0045】複合管の断面形状は、特に制限されない
が、重量に対する内圧強度、外力強度の効率がよい円形
断面や、角(コーナー部)にRを設けた略正方形断面が
好ましい。複雑な断面形状では、補強層の積層が困難と
なる。
【0046】本発明を適用する複合管の製造方法は、特
に限定されるものではないが、例えば、内層となる合成
樹脂管を前工程で製造しておき、補強層及び外層を、そ
の合成樹脂管の表面に積層する方法が挙げられる。
【0047】中空状の内層を得る方法としては、通常、
パイプやホースの製造で行われている押出成形法を採用
すればよい。外層を被覆する方法としては、押出機と被
覆金型を用いて押出被覆する方法や、予めシート状もし
くはチューブ状の外層を成形しておき、延伸ポリオレフ
ィン系樹脂シートからなる補強層の外面に積層する方法
が挙げられる。
【0048】<作用>本発明の受口付き複合管によれ
ば、延伸ポリオレフィン系樹脂を用いた複合管の先端
に、単一材料で成形された継手の他端を突き合わせ融着
するとともに、その突き合わせ融着部の外周面に補強部
材を装着しているので、突き合わせ融着部の強度(耐内
圧性)を高めることができる。
【0049】本発明の受口付き複合管において、突き合
わせ融着部における複合管と継手との肉厚が等しくなる
ように、継手の内面にテーパを加工しておけば、突き合
わせ融着部の融着強度を高めることができる。
【0050】本発明の受口付き複合管において、突き合
わせ融着部を補強する部材として、複合管及び継手の各
端部を締め付ける、半割り構造の金属リングを用い、そ
の内面に突起を設けておけば、金属リングを装着した状
態で、金属リング内面の各突起が複合管と継手の各端部
に食い込むので、接続部分の軸方向強度を高めることが
できる。
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0052】<実施形態1>まず、この実施形態に用い
る複合管1、電気融着継手2及び金属リング(補強部
材)3の各構成を説明する。
【0053】[複合管]複合管1は、図2に示すよう
に、管状に成形されたポリエチレン樹脂製の内層11
と、この内層11の外周面上に、延伸ポリオレフィン系
樹脂シートである延伸ポリエチレン樹脂シート12aを
螺旋状に巻回することにより形成された補強層12と、
補強層12上に積層されたポリエチレン樹脂製の外層1
3によって構成されている。
【0054】内層11に積層された補強層12は、適当
な幅寸法の帯状をした延伸ポリエチレン樹脂シート12
aを、内層11の管軸に対して30〜90°の傾斜角度
になるように螺旋状に巻回し、さらにその上に、延伸ポ
リエチレン樹脂シート12aを傾斜角度が逆向きになる
ように螺旋状に巻回した2層構造となっている。
【0055】このような構成の複合管1は、ポリエチレ
ン製の内層11に対して、引っ張り強度に優れた延伸ポ
リエチレン樹脂シート12aを螺旋状に巻回してなる補
強層12が積層されているので、内層11が補強層12
によって補強される。従って複合管1は、耐圧性に優れ
ており、内層11の内部に高圧の流体が流れても、破損
するおそれがない。
【0056】[電気融着継手]電気融着継手2は、図3
に示すように、一端側に受口2aが形成されたポリエチ
レン樹脂製の継手本体21と、この継手本体21の受口
2aに埋め込まれた電熱線22によって構成されてい
る。継手本体21は、図3に示す複合管1と同じレベル
の内圧に耐えることが可能な肉厚で成形されている。た
だし、継手本体21の他端側の内面にはテーパ面23が
加工されており、複合管1との接続部24の肉厚が複合
管1と等しい肉厚となっている。
【0057】[金属リング]金属リング3は、図4に示
すように、ステンレス鋼板(SUS304)の加工品
で、前記した複合管1及び継手2の各端部の外周面を覆
う形状に加工された半割りのリング本体31,31と、
その各リング本体31の合わせ部に一体形成されたフラ
ンジ(外フランジ)32,32とからなり、半割りのリ
ング本体31,31を合わせた状態で、フランジ32,
32をボルト・ナット33(図1参照)にて締結するこ
とにより、半割りのリング本体31,31を相互に連結
できる構造となっている。なお、フランジ32には、ボ
ルト貫通用の孔32aが形成されている。
【0058】以上のリング本体31,31で構成される
金属リング3の内径(ボルト・ナット33による締結状
態での寸法)は、複合管1及び電気融着継手2の接続部
の各外径と略等しい寸法か、もしくはそれら外径よりも
僅かに小さい寸法に設定されている。
【0059】リング本体31の内面中央には、複合管1
と電気融着継手2との突き合わせ融着部Jに溶出したビ
ードB(図1)との干渉を避けるための凹部3aが周方
向に沿って形成されている。また、リング本体31の内
面には、図5に示すように、凹部3aを挟んだ両側にそ
れぞれ2本の突起(突条)3bが形成されている。各突
起3bは、断面直角三角形状に加工されており、リング
本体21の内面周方向に連続して延びている。
【0060】次に、この実施形態の詳細を説明する。
【0061】まず、複合管1と電気融着継手2とを融着
機等(図示せず)に装着し、それら複合管1と電気融着
継手2の各端部を加熱プレート(図示せず)にて加熱す
る。
【0062】複合管1と電気融着継手2の各端部が溶融
状態に加熱された時点で、加熱プレートを除去し、複合
管1と電気融着継手2の端面同士を、同心状態で突き合
わせて相互に押し付ける。この突き合せにより、複合管
1と電気融着継手2の各端部がそれぞれ順次外側・内側
に向かって押し広げられ、外側・内側に向かってカール
した状態になって相互に圧接される。これにより、複合
管1と電気融着継手2との端部同士が相互に融着され
る。
【0063】以上の突き合わせ融着が完了した後、図1
に示すように、金属リング3の一対のリング本体31,
31を、それぞれ複合管1と電気融着継手2との接続部
分の上方と下方に配置し、各リング本体31内面の凹部
3aを突き合わせ融着部JのビードBに合わせ、複合管
1と電気融着継手2との接続部分に一対のリング本体3
1,31を被せた状態で、上下のフランジ32,32を
ボルトナット33にて締結して一対のリング本体31,
31を相互に連結することにより、図1に示す構造の受
口付き複合管を得ることができる。
【0064】以上のようにして金属リング3を装着する
と、内圧により複合管1と電気融着継手2との接続部分
が膨張しようとしても、これを金属リング3の剛性で抑
えることができるので、突き合わせ融着部Jの耐圧性が
高くなる。また、金属リング3内面の各突起3bが複合
管1と電気融着継手2の各端部に食い込むので、接続部
分の軸方向強度も高くなる。
【0065】なお、この実施形態では、電気融着継手2
を用いた例を示しているが、これに替えて、後述する片
受け継手5を用いてもよい。また、補強部材として金属
リング3を用いているが、これに替えて後述するスリー
ブ6を用いてもよい。さらに、これら金属リング3、ス
リーブ6に替えて、複合管1と電気融着継手2との接続
部分の外周面に延伸ポリオレフィン系樹脂シートを巻回
し、その樹脂シートを加熱して複合管1と電気融着継手
2の各端部に融着するという補強方法を採用してもよ
い。この場合、突き合わせ融着部Jの外側のビードBは
除去しておくことが好ましい。
【0066】<実施形態2>まず、この実施形態に用い
るベンド管4、片受け継手5及びスリーブ(補強部材)
6の各構成を説明する。
【0067】[ベンド管]この実施形態に用いるベンド
管4(図6)は、図1に示した複合管、つまり管状に成
形されたポリエチレン樹脂製の内層11と、この内層1
1の外周面上に、延伸ポリエチレン樹脂シート12aを
螺旋状に巻回することにより形成された補強層12と、
補強層12上に積層されたポリエチレン樹脂製の外層1
3によって構成された複合管1の直管を原管として用
い、その複合管1を加熱した後、所定の曲げ角度に曲げ
加工したものである。
【0068】[片受け継手]片受け継手5は、図7に示
すように、一端側に受口5aが形成されたポリエチレン
樹脂製の継手本体51と、この継手本体51の受口5a
の内面に装着された円環状の止水ゴム52及び抜け止め
リング53によって構成されている。継手本51は、ベ
ンド管4(図2に示す複合管1)と同じレベルの内圧に
耐えることが可能な肉厚で成形されている。ただし、継
手本体51の他端側の内面にはテーパ面54が加工され
ており、ベンド管4との接続部55の肉厚がベンド管4
と等しい肉厚となっている。
【0069】[スリーブ]スリーブ6は、図6に示すよ
うに、延伸ポリエチレン系樹脂を筒状に成形した部材
で、内径がベンド管4及び片受け継手5の外径と略等し
い寸法に加工されている。スリーブ6には、予め内径側
に収縮する残留応力が与えられている。
【0070】次に、この実施形態の詳細を説明する。
【0071】まず、ベンド管4と片受け継手5とを融着
機等(図示せず)に装着し、それらベンド管4と片受け
継手5の各端部を加熱プレート(図示せず)にて加熱す
る。
【0072】ベンド管4と片受け継手5の各端部が溶融
状態に加熱された時点で、加熱プレートを除去し、ベン
ド管4と片受け継手5の端面同士を、同心状態で突き合
わせて相互に押し付ける。この突き合せにより、ベンド
管4と片受け継手5の各端部がそれぞれ順次外側・内側
に向かって押し広げられ、外側・内側に向かってカール
した状態になって相互に圧接される。これにより、ベン
ド管4と片受け継手5との端部同士が相互に融着され
る。
【0073】以上の突き合わせ融着が完了した後、図1
に示すように、突き合わせ融着部Jの外側のビードを除
去し、次に、スリーブ6をベンド管4の後端から差し込
んで突き合わせ融着部Jに配置する。この状態で、回転
機構(図示せず)にてスリーブ6を管軸を中心として回
転させ、この回転時に発生する摩擦熱により、スリーブ
6を加熱する。この加熱により、スリーブ6の残留応力
が開放され、スリーブ6が縮径する結果、スリーブ6の
内面がベンド管4と片受け継手5の各端部及び突き合わ
せ融着部Jの外周面にしっかりと密着するので、突き合
わせ融着部Jの強度(耐圧性)が向上する。
【0074】以上の加工によって、図6に示す構造の受
口付き複合管を得ることができる。
【0075】なお、この実施形態では、片受け継手5を
用いた例を示しているが、これに替えて、図3に示す電
気融着継手2を用いてもよい。また、補強部材としてス
リーブ6を用いているが、これに替えて図4に示す金属
リング3を用いてもよい。さらに、これらスリーブ6、
金属リング3に替えて、ベンド管4と片受け継手5との
接続部分の外周面に延伸ポリオレフィン系樹脂シートを
巻回し、その樹脂シートを加熱してベンド管4と片受け
継手5の各端部に融着するという補強方法を採用しても
よい。この場合、突き合わせ融着部Jの外側のビードB
は除去しておくことが好ましい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の受口付き
複合管によれば、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを用
いた複合管と、単一の合成樹脂で成形された片受け構造
の継手とからなり、複合管の先端に継手を突き合わせ融
着にて接合しているとともに、その突き合わせ融着部に
補強部材を装着しており、また、突き合わせ融着部にお
ける複合管の肉厚と継手の肉厚とが等しくなるように継
手内面にテーパを加工しているので、突き合わせ融着部
の融着強度が高くて、耐内圧性に優れた受口付き複合管
を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受口付き複合管の実施形態の構造を示
す半断面図(A)及び背面図(B)である。
【図2】図1の実施形態に用いる複合管の斜視図であ
る。
【図3】図1の実施形態に用いる電気融着継手(片受け
構造)の半断面図である。
【図4】図1の実施形態に用いる金属リングの正面図
(A)、側面図(B)及び平面図(C)である。
【図5】図5のD部詳細図である。
【図6】本発明の受口付き複合管の他の実施形態の構造
を半断面図である。
【図7】図6の実施形態に用いる片受け継手の半断面図
である。
【図8】従来の受口付き複合管の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 複合管 11 内層 12 補強層 12a 延伸ポリエチレンシート(延伸ポリオレフィン
系樹脂) 13 外層 2 電気融着継手(片受け構造) 2a 受口 21 継手本体 22 電熱線 23 テーパ面 24 接続部 3 金属リング(補強部材) 31 リング本体 3a 凹部 3b 突起 32 フランジ 33 ボルト・ナット 4 ベンド管(複合管) 5 片受け継手 5a 受口 51 継手本体 52 止水ゴム 53 抜け止めリング 54 テーパ面 55 接続部 6 スリーブ J 突き合わせ融着部 B ビード

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管状に成形された合成樹脂製の内層と、
    この内層の外周面に延伸ポリオレフィン系樹脂シートを
    螺旋状に巻回することにより形成された補強層と、この
    補強層に積層された合成樹脂製の外層とを有する複合管
    と、 単一の合成樹脂で成形された管状の部材で、肉厚が前記
    複合管よりも厚く形成されているとともに、一端側に受
    口が形成された継手とからなり、 前記複合管の先端に継手の他端が突き合わせ融着されて
    いるとともに、その突き合わせ融着部の外周面に補強部
    材が装着されてなる受口付き複合管。
  2. 【請求項2】 前記突き合わせ融着部において、複合管
    と継手との肉厚が等しくなるように、継手の内面にテー
    パが加工されていることを特徴とする請求項1記載の受
    口付き複合管。
  3. 【請求項3】 前記補強部材として、半割り構造の金属
    リングが複合管及び継手の各端部を締め付ける状態で装
    着されているとともに、その金属リングの内面には、突
    き合わせ融着部を挟んだ両側に突起が形成されているこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の受口付き複合
    管。
  4. 【請求項4】 前記補強部材として、延伸ポリオレフィ
    ン系樹脂シートが用いられており、その延伸ポリオレフ
    ィン系樹脂シートを、突き合わせ融着部の外周部に巻回
    した状態で加熱することにより、延伸ポリオレフィン系
    樹脂シートが複合管及び継手の各端部の外周面に融着さ
    れていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の受口付き複合管。
  5. 【請求項5】 内径側に収縮する残留応力をもつ延伸ポ
    リオレフィン系樹脂シート製のスリーブを、突き合わせ
    融着部の外周部に配置した状態で加熱することにより、
    スリーブが複合管及び継手の各端部の外周面に融着され
    ていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の受口付き複合管。
  6. 【請求項6】 スリーブを突き合わせ融着部の外周部に
    配置した状態で、そのスリーブを管軸を中心として回転
    させることにより発生する摩擦熱によって、スリーブが
    融着されていることを特徴とする請求項5記載の受口付
    き複合管。
  7. 【請求項7】 突き合わせ融着部の外側に溶出したビー
    ドが除去されていることを特徴とする請求項4〜6のい
    ずれかに記載の受口付き複合管。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂製の継手本体の受口に電熱
    線が埋め込まれてなる電気融着継手が複合管の先端に突
    き合わせ融着されていることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれかに記載の受口付き複合管。
  9. 【請求項9】 継手本体の受口内面に止水ゴム及び抜け
    止めリングが装着されてなる継手が複合管の先端に突き
    合わせ融着されていることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の受口付き複合管。
  10. 【請求項10】 管状に成形された合成樹脂製の内層
    と、この内層の外周面に延伸ポリオレフィン系樹脂シー
    トを螺旋状に巻回することにより形成された補強層と、
    この補強層に積層された合成樹脂製の外層とを有する複
    合管の直管を、原管として曲げ加工したベンド管の先端
    に継手が突き合わせ融着されていることを特徴とする請
    求項1〜9のいずれかに記載の受口付き複合管。
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