JP2002294397A - めっき密着性およびプレス成形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
めっき密着性およびプレス成形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
プレス成形性およびめっき密着性に優れる高強度溶融亜
鉛系めっき鋼板とその製造方法を提供する。 【解決手段】 質量%でC:0.05〜0.2%、S
i:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5%、A
l:0.01〜1.5%を含有し、SiとAlが、0.
4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0%、を満足
し、かつ、Sb、Bi、Se、Be、Mg、Ca、Z
r、Sc、Y、La、Ceの1種以上を合計で0.00
5〜1.0%含み、適宜、Ni、Cu、Sn、Co、M
o、Cr、V、Ti、Nb、Bの1種以上を所定量含
み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、鋼組織
中、残留オーステナイトの体積率が2〜20%を満足す
る鋼板の上に、Zn:80%以上、Al:1%以下を含
むZnめっき層、または、Zn:80〜91%、Fe:
8〜15%、Al:1%以下を含むZn合金めっき層を
有する。
Description
気等の部材として有用な高強度鋼板、および、その製法
に関し、特に、プレス成形時の張出し成形性、および、
めっき密着性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼
板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、および、その製法に関
するものである。
バー等の部材は、近年の燃費節減の動向に対応すべく軽
量化が検討されており、材料面では、薄肉化しても強度
が確保されるという観点から、高強度化が進められてい
る。ところが、一般に、材料のプレス成形性は、強度が
上昇するに従って劣化するので、上記部材の軽量化を達
成するためには、プレス成形性と高強度性の両特性を満
足する鋼板を開発する必要があり、その開発が求められ
ている。
びをはじめとして、n値やr値があるが、一体成形によ
るプレス工程の簡略化が課題となっている昨今では、均
一伸びに相当するn値の大きいことが、なかでも重要に
なってきている。このため、鋼中に存在する残留オース
テナイトの変態誘起塑性を活用した熱延鋼板や、冷延鋼
板が開発されている。これは、高価な合金元素を含まず
に、0.07〜0.4%程度のCと、0.3〜2.0%
程度のSi、および、0.2〜2.5%程度のMnのみ
を基本的な合金元素とし、二相域で焼鈍後、300〜4
50℃内外の温度でベイナイト変態を行うことが特徴の
熱処理により、残留オーステナイトを金属組織中に残す
鋼板であり、例えば、特開平1−230715号公報や
特開平2−217425号公報等で開示されている。
延鋼板ばかりでなく、例えば、特開平1−79345号
公報において、ランアウトテーブルでの冷却と巻取温度
を制御することにより熱延鋼板でも得られることが開示
されている。自動車の高級化を反映して、耐食性および
外観性を向上させることを目的として、自動車部材のめ
っき化が進んでおり、現在では、車内に装着される特定
の部材を除き、多くの部材に、亜鉛めっき鋼板が用いら
れている。従って、これらの鋼板には、耐食性の観点か
ら、溶融Znめっきを施すか、あるいは、溶融Znめっ
き後の合金化処理により、合金化溶融Znめっきを施し
て使用することが有効であるが、これらの高張力鋼板の
うち、Si含有量が高い鋼板においては、鋼板表面が酸
化膜を有し易いということから、溶融Znめっきの際に
微小不めっき部が生じたり、合金化後の加工部のめっき
密着性が劣化するなどの問題があり、優れた加工部めっ
き密着性を有し、かつ、耐食性の優れた高Si系の高張
力高延性合金化溶融Znめっき鋼板は、実用化されてい
ないのが現状である。
715号公報や特開平2−217425号公報等で開示
されている鋼板は、0.3〜2.0%のSiを含有し、
その特異なベイナイト変態を活用して残留オーステナイ
トを確保しているので、二相共存温度域で焼鈍した後の
冷却や、300〜450℃内外の温度域での保持を、か
なり厳格に制御しないと、意図する金属組織が得られ
ず、強度や伸びが、目標の範囲をはずれることになる。
や熱間圧延後のランアウトテーブルと巻取工程において
実現されはするが、450〜600℃では、オーステナ
イトの変態が速やかに完了するので、450〜600℃
における滞留時間を特に短くするような制御が要求さ
れ、また、350〜450℃でも、保持する時間によっ
て金属組織が著しく変化するので、熱処理条件が、所期
の条件からはずれると、陳腐な強度と伸びしか得られな
いことになる。
長いことや、めっき性を悪くするSiを合金元素として
多く含むことから、溶融めっき設備を通板させて、めっ
き鋼板を製造することはできず、結局、Siを0.3〜
2.0%程度含有する鋼板は、表面耐食性が劣るため、
広範な工業的利用が妨げられているという問題点があ
る。
平5−247586号公報や特開平6−145788号
公報等には、Si濃度を規制することでめっき性を改善
した鋼板が開示されている。上記公報記載の方法では、
Siの替わりAlを添加することで、残留オーステナイ
トを生成している。しかしながら、Alも、Siと同じ
ようにFeよりも酸化し易いので、鋼板表面に酸化膜を
形成し易く、十分なめっき密着性を確保することができ
ないという問題点がある。
号公報や特開平04−346644号公報等において
は、高Si系高強度鋼板の合金化溶融めっき方法とし
て、プレNiめっき後急速低温加熱して、溶融Znめっ
き後合金化処理する方法が開示されている。しかしなが
ら、この方法では、Niプレめっきが必要になるので、
新たな設備が必要になるという問題点がある。
し、表面耐食性を向上するため、溶融めっき設備でも製
造可能なプレス成形性の良好な高強度鋼板の組成と金属
組織の特徴を見いだしたものである。
問題点を解決し、プレス成形性およびめっき密着性の良
好な高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および、該鋼板
を効率よく製造する方法を提供しようとするものであ
る。
を達成できる高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板、およ
び、その製造方法を提供すべく、めっき性と鋼成分との
関係について鋭意検討を行い、本発明を完成させたもの
であり、その要旨とするところは、以下のとおりであ
る。
%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Bi、Seの1種以上を、合計
で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの体積
率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:80〜9
1%、Fe:8〜15%、および、Al:1%以下を含
有するZn合金めっき層、を有することを特徴とするめ
っき密着性およびプレス成形性に優れた高強度合金化溶
融亜鉛系めっき鋼板。
%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Be、Mg、Ca、Zrの1種以上
を、合計で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび
不可避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイ
トの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:
80〜91%、Fe:8〜15%、および、Al:1%
以下を含有するZn合金めっき層、を有することを特徴
とするめっき密着性およびプレス成形性に優れた高強度
合金化溶融亜鉛系めっき鋼板。
%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、
合計で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの
体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:80
〜91%、Fe:8〜15%、および、Al:1%以下
を含有するZn合金めっき層、を有することを特徴とす
るめっき密着性およびプレス成形性に優れた高強度合金
化溶融亜鉛系めっき鋼板。
%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Bi、Se、Be、Mg、C
a、Zr、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、合計で
0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可避的不
純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの体積率
が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:80〜91
%、Fe:8〜15%、および、Al:1%以下を含有
するZn合金めっき層、を有することを特徴とするめっ
き密着性およびプレス成形性に優れた高強度合金化溶融
亜鉛系めっき鋼板。
載の鋼成分に、質量%で、更に、Ni:2.0%、C
u:2.0%、Sn:1.0%、Co:0.3%未満の
うちの少なくとも1種以上を含み、鋼組織中、残留オー
ステナイトの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上
に、Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、および、
Al:1%以下を含有するZn合金めっき層、を有する
ことを特徴とするめっき密着性およびプレス成形性に優
れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
載の鋼成分に、質量%で、更に、Mo:0.5%未満,
Cr:1.0%未満、V:0.3%未満、Ti:0.0
6%未満、Nb:0.06%未満、B:0.01%未満
のうちの少なくとも1種以上を含み、鋼組織中、残留オ
ーステナイトの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上
に、Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、および、
Al:1%以下を含有するZn合金めっき層、を有する
ことを特徴とするめっき密着性およびプレス成形性に優
れた高強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板。
%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Bi、Seの1種以上を、合計
で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの体積
率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:80%以
上、および、Al:1%以下を含有するZnめっき層、
を有することを特徴とするめっき密着性およびプレス成
形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。
%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Be、Mg、Ca、Zrの1種以上
を、合計で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび
不可避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイ
トの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:
80%以上、および、Al:1%以下を含有するZnめ
っき層、を有することを特徴とするめっき密着性および
プレス成形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。
%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、
合計で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの
体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:80
%以上、および、Al:1%以下を含有するZnめっき
層、を有することを特徴とするめっき密着性およびプレ
ス成形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。
2%、Si:0.2〜2.0%、Mn:0.2〜2.5
%、および、Al:0.01〜1.5%、を含有し、か
つ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Sb、Bi、Se、Be、M
g、Ca、Zr、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、
合計で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの
体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:80
%以上、および、Al:1%以下を含有するZnめっき
層、を有することを特徴とするめっき密着性およびプレ
ス成形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。
に記載の鋼成分に、質量%で、更に、Ni:2.0%、
Cu:2.0%、Sn:1.0%、Co:0.3%未満
のうちの少なくとも1種以上を含み、鋼組織中、残留オ
ーステナイトの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上
に、Zn:80%以上、および、Al:1%以下を含有
するZnめっき層、を有することを特徴とするめっき密
着性およびプレス成形性に優れた高強度合金化溶融亜鉛
系めっき鋼板。
に記載の鋼成分に、質量%で、更に、Mo:0.5%未
満,Cr:1.0%未満、V:0.3%未満、Ti:
0.06%未満、Nb:0.06%未満、B:0.01
%未満のうちの少なくとも1種以上を含み、鋼組織中、
残留オーステナイトの体積率が2〜20%を満足する鋼
板の上に、Zn:80%以上、および、Al:1%以下
を含有するZnめっき層、を有することを特徴とするめ
っき密着性およびプレス成形性に優れた高強度溶融亜鉛
系めっき鋼板。
記載の鋼成分を満足する冷延鋼板を、650〜900℃
の二相共存温度域で10秒〜6分焼鈍した後、2〜20
0℃/sの冷却速度で350〜500℃まで冷却し、溶
融亜鉛めっきを施し、その後に、450〜600℃の温
度域で5秒〜2分保持してから5℃/s以上の冷却速度
で250℃以下に冷却することにより、鋼板組織中の残
留オーステナイトの体積率を2〜20%にし、かつ、鋼
板表面に、Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、お
よび、Al:1%以下を含有するZn合金めっき層を形
成することを特徴とするめっき密着性およびプレス成形
性に優れた高強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方
法。
に記載の鋼成分を満足する冷延鋼板を、650〜900
℃の二相共存温度域で10秒〜6分焼鈍した後、2〜2
00℃/sの冷却速度で350〜500℃まで冷却し、
溶融亜鉛めっきを施し、その後に、5℃/s以上の冷却
速度で250℃以下に冷却することにより、鋼板組織中
の残留オーステナイトの体積率を2〜20%にし、か
つ、鋼板表面に、Zn:80%以上、および、Al:1
%以下を含有するZnめっき層を形成することを特徴と
するめっき密着性およびプレス成形性に優れた高強度溶
融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
の冷却速度で350〜500℃まで冷却し、その後、溶
融亜鉛めっきを施す前に、350〜500℃の温度域に
10分以下保持することを特徴とする前記(13)また
は(14)に記載のめっき密着性およびプレス成形性に
優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
は、プレス成形性およびめっき密着性の良好な高強度合
金化溶融亜鉛めっき鋼板、および、高強度溶融亜鉛めっ
き鋼板を得るためのものであり、その限定理由は、以下
に詳細に説明するとおりである。Cは、オーステナイト
安定化元素であり、二相共存温度域およびベイナイト変
態温度域でフェライト中から移動し、オーステナイト中
に濃化する。その結果、化学的に安定化されたオーステ
ナイトが、室温まで冷却後も、2〜20%残留し、変態
誘起塑性により成形性を良好にする。
残留オーステナイトを確保するのが困難であり、目的を
達せられない。また、Cが0.2%を超えることは、溶
接性を悪化させるので避けなければならない。Siは、
セメンタイトに固溶せず、その析出を抑制することによ
り、350〜600℃におけるオーステナイトからの変
態を遅らせる。この間に、オーステナイト中へのCの濃
化が促進されるので、オーステナイトの化学的安定性が
高まり、変態誘起塑性を起こし、成形性を良好とするの
に貢献する残留オーステナイトの確保を可能にする。
が見いだせない。一方、Si濃度を高くすると、めっき
性が悪化するので、2.0%以下にする必要がある。M
nは、オーステナイト形成元素であり、また、二相共存
温度域での焼鈍後、350〜600℃に冷却する途上
で、オーステナイトがパーライトへ分解するのを防ぐの
で、室温まで冷却した後の金属組織に、残留オーステナ
イトが含まれるように作用する。
への分解を抑えるのに、工業的な制御ができない程に冷
却速度を大きくする必要があり、適当ではない。一方、
Mnが2.5%を超えると、バンド組織が顕著になり、
特性を劣化させるし、また、スポット溶接部がナゲット
内で破断し易くなり好ましくない。更に、Mn濃度を高
くすると、めっき性も劣化する。
に、Siと同じように、セメンタイトに固溶せず、35
0〜600℃での保持に際して、セメンタイトの析出を
抑制し、変態の進行を遅らせる。しかし、Siよりもフ
ェライト形成能が強いので、変態開始が早くなり、ごく
短時間の保持でも、二相共存温度域での焼鈍時よりオー
ステナイト中にCが濃化し、化学的安定性が高まるの
で、室温まで冷却後の金属組織中に、成形性を悪化させ
るマルテンサイトは僅かしか存在しないことになる。こ
のため、Siと共存すると、350〜600℃での保持
条件による強度や伸びの変化が小さくなり、高強度で良
好なプレス成形性を得易くなる。そのため、Alは0.
01%以上の添加が必要であり、0.1%以上の添加が
望ましい。
8Al」が0.4%以上になるように添加しなければな
らない。一方、Alが1.5%を超えると、Siと同様
に、めっき密着性を劣化させるので、避けなければなら
ない。また、めっき密着性を確保するためには、Siと
共に、「Si+0.8Al」が2.0%以下になるよう
に添加しなければならない。
r、Sc、Y、La、および、Ceは、本発明において
最も重要な元素である。これら元素の1種以上を添加す
ることにより、溶融亜鉛めっき濡れ性、および、めっき
密着性を向上させることができ、めっき性と成形性に優
れた鋼板を製造することが可能になる。SiやAlを含
む鋼板では、連続溶融亜鉛めっきラインでめっき鋼板を
製造する場合、鋼板表面にSiやAlの酸化物が生成
し、めっき密着性が低下するが、上記元素の1種以上を
添加することにより、めっき性を向上させることができ
る。
め、鋼板表層に濃化し、高Siおよび/または高Al鋼
であっても、めっき密着性の低下を防止することができ
る。この効果は、Sb、Bi、Seの1種以上を添加す
ることで生じ、Sb、Bi、Seの合計が、0.005
%以上であると、十分なめっき密着性を得ることができ
る。この効果を十分に得るためには、これら元素の2種
以上を、0.008%以上添加することが望ましい。
を、1.0%を超えて高くすると、これら元素の表面偏
析量が多すぎることになり、その結果、良好なめっき外
観性を確保することができない。めっき外観を良好に維
持するためには、Sb、Bi、Seの1種以上の合計は
0.5%以下が望ましい。なお、As、Te、Po、G
eも、Sb、Bi、Seと同様に、めっき性を向上させ
ることが可能な元素であるが、毒性元素であることや、
コストが非常に高いため、本発明においては、添加の対
象外とした。
に形成し易い元素であるので、高Siおよび/または高
Al鋼のめっき性を劣化させるSi酸化物および/また
はAl酸化物の生成を抑制し、その結果、めっき性を改
善する。この効果は、Be、Mg、Ca、Zrの1種以
上を添加することで生じ、Be、Mg、Ca、Zrの1
種以上の合計が0.005%以上で、十分なめっき密着
性を得ることができる。この効果を十分に得るために
は、これら元素の2種以上を、0.008%以上添加す
ることが望ましい。
の合計を、1.0%を超えて高くすると、これら元素の
酸化物形成量が多くなり、その結果、良好なめっき外観
性を確保することができない。Sc、Y、La、Ce
も、酸化物を形成し易い元素であるので、高Siおよび
/または高Al鋼のめっき性を劣化させるSi酸化物お
よび/またはAl酸化物の生成を抑制し、その結果、め
っき性を改善する。更に、Sc、Y、La、Ceは、酸
化時に、鋼板表面の凹凸を激しくする作用をなし、その
結果、めっき密着性を向上させる。この効果は、Sc、
Y、La、Ceの1種以上を添加することで生じ、S
c、Y、La、Ceの1種以上の合計が0.005%以
上で、十分なめっき密着性を得ることができる。この効
果を十分い得るためには、これら元素の2種以上を、合
計で0.008%以上添加することが望ましい。
合計を1.0%を超えて高くすると、これら元素の酸化
物形成量が多くなり、その結果、良好なめっき外観性を
確保することができない。なお、Nd、Gd、Dy等の
希土類元素も、Sc、Y、La、Ceと同様に、めっき
性を向上させることが可能な元素であるが、コストが非
常に高いので、本発明においては、添加の対象外とし
た。
b、Bi、Seの1種以上、Be、Mg、Ca、Zrの
1種以上、および、Sc、Y、La、Ceの1種以上
を、複合して添加することにより、さらに良好なめっき
性を確保することができる。これら元素の1種以上の合
計が0.005%以上で、十分なめっき密着性を得るこ
とができる。更に、これら元素の1種以上の合計が1.
0%を超えて高くなると、良好なめっき外観性を確保す
ることができない。
板(以下「本発明鋼板」ということがある。)は、以上
の元素を基本成分とするが、上記元素およびFe以外
に、オーステナイト生成元素であると同時に、強度およ
びめっき密着性を向上させるNi、Cu、Sn、Coの
1種または2種以上、または、焼入れ性向上元素である
Mo、Cr、V、B、Ti、Nb、Bの1種または2種
以上、を添加してもよい。以下に、これら元素の限定理
由を説明する。
その他の一般鋼に対して不可避的に混入する元素を含む
ものである。Ni、Cu、Sn、Coは、Feよりも酸
化し難い元素であるので、焼鈍時等に鋼板の表面に濃化
し、Si酸化物および/またはAl酸化物等の、めっき
密着性を阻害する酸化物の生成を抑制する。また、これ
ら元素は、Mnと同様に、オーステナイト生成元素であ
ると同時に、Si、Alと同様に、セメンタイトに固溶
せず、350〜600℃での保持に際して、セメンタイ
トの析出を抑制し、変態の進行を遅らせる。そのため、
Ni、Cu、Sn、Coを1種以上添加することで、更
に良好な鋼板を得ることができる。
効果は飽和するので、Niの上限は2.0%とした。ま
た、Cuを2.0%を超えて高くすると、Cu析出物が
生成して材質が悪化するので、Cuの上限は2.0%と
した。更に、Snは1.0%を超えて高くすると、熱間
圧延時に割れが発生するので、Snの上限は1.0%と
した。また、Coは高価な金属であるので、上限を0.
3%未満とした。
uによる熱間割れを防止する観点から、「Sn+Cu
(%)<3×Ni(%)」、とすることが望ましい。M
o、Cr、V、Ti、Nb、Bは、強度を高める元素で
あり、Mo:0.5%未満,Cr:1.0%未満、V:
0.3%未満、Ti:0.06%未満、Nb:0.06
%未満、B:0.01%未満のうちの少なくとも1種以
上を、必要に応じて添加する。これら元素の添加は、本
発明の趣旨を損なうものではない。
かつ、上限を超える添加は、コストが高くなるので、各
元素の上限を、上記のように設定した。更に、付随的成
分として、その他の元素を微量含有することも、本発明
の趣旨を損なうものではない。最終製品としての本発明
鋼板の延性は、最終製品としての鋼板中に含まれる残留
オーステナイトの体積率に左右される。金属組織中に残
る残留オーステナイトは、変形を受けていない時は安定
に存在するが、変形が加えられると、マルテンサイトに
変態し、変態誘起塑性を呈するので、高強度の下で、良
好な成形性を得ることができる。
あると、明確な成形性向上効果が認められない。一方、
残留オーステナイトの体積率が20%を超すと、極度に
厳しい成形を施した場合、成形され状態で多量のマルテ
ンサイトが存在する可能性があり、このマルテンサイト
の存在は、二次加工性や衝撃性において問題を引き起こ
すことがあるので、本発明では、残留オーステナイトの
体積率を20%以下とした。
またはZn合金めっき層を有している。このZnめっき
層およびZn合金めっき層について、以下に詳細に説明
する。Znめっき層は、Zn:80%以上、Al:1%
以下と、残部Znおよび不可避的不純物を含むものであ
る。Znめっき層中のZnを80%以上としたのは、Z
nが80%未満であると、硬質なめっき層となり、成形
時に、めっきが割れてしまうからである。また、Znめ
っき層中のAlを1%以下としたのは、Alが1%を超
えると、めっき中に偏析したAlが局部電池を構成し、
耐食性を劣化させるからである。
溶接性を向上させるために、鋼板に、Zn合金めっきを
施す。Zn合金めっき層は、Zn:80〜91%、F
e:8〜15%、Al:1%以下と、残部Znおよび不
可避的不純物を含むものである。めっき層中のZnを8
0%以上としたのは、Znが80%未満であると、めっ
き層が硬質なものとなり、成形時に、めっきが割れてし
まうからである。また、めっき層中のZnを91%以下
としたのは、Znを91%を超えて高くすると、スポッ
ト溶接性が劣化してしまい、本発明の目的を達すること
ができないからである。
のは、Feが8%未満であると、化成処理性(リン酸塩
処理)、塗膜密着性を確保できなくなるからである。ま
た、めっき層中のFeを15%以下としたのは、Feが
15%を超えると、過合金となり、加工部のめっき密着
性が劣化するからである。また、めっき層中のAlを1
%以下としたのは、Alが1%を超えると、めっき中に
偏析したAlが局部電池を構成し、鋼板の耐食性が劣化
するからである。
n合金めっき層については、以上のとおりであるが、そ
の他不可避不純物として、Mn、Pb、Sb、Ca、M
g等の元素を含んでもよい。また、付随的成分として、
その他の元素を微量含有してもよい。また、Znめっき
層およびZn合金めっき層の厚みについては、特に、制
約は設けないが、耐食性を確保する観点から0.1μm
以上、加工性を確保する観点から15μm以下であるこ
とが望ましい。
および合金化溶融亜鉛系めっき鋼板)の製造方法につい
て説明する。本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板は、上記成
分組成を満足する冷延鋼板を、650〜900℃の二相
共存温度域で10秒〜6分焼鈍した後、2〜200℃/
sの冷却速度で350〜500℃まで冷却し、場合によ
っては、更に、その温度域で10分以下保持し、その
後、溶融亜鉛めっきを施し、次いで、5℃/s以上の冷
却速度で250℃以下に冷却することにより得られる。
は、上記成分組成を満足する冷延鋼板を、650〜90
0℃の二相共存温度域で10秒〜6分焼鈍した後、2〜
200℃/sの冷却速度で350〜500℃まで冷却
し、場合によっては、更に、その温度域で10分以下保
持し、その後、溶融亜鉛めっきを施し、次いで、450
〜600℃の温度域で5秒〜2分保持してから、5℃/
s以上の冷却速度で250℃以下に冷却することにより
得られる。
は、鋼組織を、まず、〔フェライト+オーステナイト〕
の2相組織とするために、鋼板を、Ac1変態点以上Ac
3変態点以下の温度域で加熱する。この時に、加熱温度
が650℃未満であると、セメンタイトが再固溶するの
に時間がかかり過ぎ、オーステナイトの存在量も僅かに
なるので、加熱温度の下限は650℃とした。
イトの体積率が大きくなり過ぎて、オーステナイト中の
C濃度が低下するので、加熱温度の上限は900℃とし
た。保持時間は、短すぎると、未溶解炭化物が存在する
可能性が高くなり、オーステナイトの存在量が少なくな
る。また、均熱時間を長くすると、結晶粒が粗大化し、
その結果、最終的に残存するオーステナイト量が少なく
なって、強度延性バランスが悪くなる。よって、本発明
では、保持時間を10秒〜6分とした。
400〜500℃まで冷却する。これは、二相域に加熱
して生成させたオーステナイトを、パーライトに変態さ
せることなくベイナイト変態域に持ち越し、引き続く処
理により、室温では、残留オーステナイトとベイナイト
とし、所定の特性を得るためである。この時、冷却速度
が2℃/s以下であると、冷却中に、オーステナイトの
大部分がパーライト変態をしてしまい、所要量の残留オ
ーステナイトを確保することができない。また、冷却速
度が200℃/sを超えると、冷却終点温度のずれが、
幅方向、および/または、長手方向で大きくなり、均一
な特性の鋼板を製造することができなくなる。
っき性の観点から求まる。溶融亜鉛めっき時の温度が低
いと、めっき濡れ性が低下し、めっき密着性が劣化す
る。また、溶融亜鉛めっき時の温度が高くなると、めっ
き浴中で、FeとZnの合金化反応が進行し、めっき中
のFe濃度が高くなる。よって、本発明では、二相域か
らの冷却終点温度、かつ、溶融亜鉛めっきを行う温度
は、350℃〜500℃とした。
℃の温度域で10分以下保持してもよい。このZnめっ
き前の温度保持により、ベイナイト変態を進行させ、C
の濃縮した残留オーステナイトを安定化させることがで
き、その結果、より安定して強度、伸びの両立した鋼板
を製造することができる。2相域からの冷却終点温度が
500℃を超えると、その後の温度保持で、オーステナ
イトの炭化物への分解が起こり、オーステナイトを残留
せしめることができなくなる。また、冷却終点温度が3
50℃未満になると、オーステナイトの大半がマルテン
サイトに変態するので、高強度にはなるものの、プレス
成形性が悪化してしまい、また、Znめっき時に鋼板温
度を上げ、より多くの熱エネルギーを与える必要がでて
くるので、めっき作業が非効率になる。
後の加熱で、炭化物の析出と未変態オーステナイトの消
失により、強度とプレス成形性の両方が劣化するので、
保持時間を10分以下とした。溶融亜鉛めっき鋼板を製
造する場合は、めっき後、5℃/s以上の冷却速度で2
50℃以下に冷却する。ここで、Znめっき時に、ベイ
ナイト変態を進行させ、炭化物をほとんど含まないベイ
ナイト、その部分から掃き出されたCが濃化しMn点が
室温以下に低下した残留オーステナイト、および、二相
域加熱中に清浄化が進んだフェライトが混在した組織を
現出させ、高強度と成形性を両立させている。そのた
め、保持後の冷却速度を5℃/s未満としたり、もしく
は、冷却終点温度を250℃超とすると、冷却中に、C
の濃化したオーステナイトも炭化物を析出してベイナイ
トに分解するので、変態誘起塑性により加工性を改善す
る残留オーステナイトの量が減少してしまい、本発明の
目的を達し得ない。
させるために、溶融亜鉛めっき後、350℃〜400℃
の温度域に5分以内保持するのが望ましい。また、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際には、溶融亜鉛めっ
き後、450℃〜600℃の温度域で5秒〜2分保持
し、その後、5℃/s以上の冷却速度で250℃以下に
冷却する。ここでは、FeとZnの合金化反応と、組織
的な観点から、諸条件の範囲が定まる。
ーステナイトからベイナイトへの変態が二段階に分離す
ることを活用し、炭化物をほとんど含まないベイナイ
ト、その部分から掃き出されたCが濃化しMs点が室温
以下に低下した残留オーステナイト、および、二相域加
熱中に清浄化が進んだフェライトが混在した組織を現出
させ、高強度と成形性を両立させている。
トが生成して、残留オーステナイトが含まれなくなり、
また、合金化反応が進みすぎて、めっき層中のFeが1
2%を超えてしまう。一方、加熱温度が450℃以下に
なると、めっきの合金化反応速度が遅くなり、めっき層
中のFe濃度が低くなる。また、保持時間が5秒以下で
あると、ベイナイトが十分に生成せず、未変態のオース
テナイト中へのC濃化も不十分となり、冷却中に、マル
テンサイトが生成し成形性が劣化すると同時に、めっき
の合金化反応が不十分になる。また、保持時間が1分以
上になると、めっきの過合金化が生じ、成型時に、めっ
き剥離などが生じやすくなる。
り、冷却終点温度を250℃以上とすると、ベイナイト
変態がさらに進み、前段の反応でCの濃化したオーステ
ナイトも炭化物を析出してベイナイトに分解するので、
変態誘起塑性により加工性を改善する残留オーステナイ
トの量が減少してしまい、本発明の目的を達し得ない。
上500℃以下が望ましい。溶融亜鉛めっき温度が50
0℃超になると、めっき浴からの蒸気が多量になり、操
業性が悪化する。また、めっき後の保持温度までの加熱
速度については、特に規定する必要はないが、めっき組
織や金属組織の観点から、3℃/s以上が望ましい。
冷却温度は、規定の範囲内であれば一定である必要はな
く、その範囲内で変動したとしても、最終製品の特性は
なんら劣化しないし向上する場合もある。また、本発明
で用いる鋼素材は、原則として、通常の製鉄工程である
精錬、鋳造、熱延、冷延の各工程を経て製造されるもの
であるが、その一部あるいは全部を省略して製造したも
のでも問題はない。また、上記各工程に係る条件につい
ても、特に問題とはしない。
に、焼鈍前に、鋼板に、Ni、Cu、Co、Feの単独
あるいは複合のめっきを施してもよい。更に、めっき密
着性を向上させるために、鋼板焼鈍時の雰囲気を調節
し、初め、鋼板表面を酸化させ、その後還元することに
より、めっき前の鋼板表面の清浄化を行ってもよい。更
に、めっき密着性を改善するために、焼鈍前に、鋼板を
酸洗あるいは研削して、鋼板表面の酸化物を取り除いて
も問題はない。これらの処理をすることで、めっき密着
性だけでなく、合金化速度も向上する。
き)に成分を示す鋼を1250℃に再加熱後、900℃
で仕上げ圧延、650℃で捲取を行うことで、4mmの
熱間圧延鋼板を作製した。熱間圧延鋼板の表面スケール
を塩酸で除去した後に、1.4mmまで冷間圧延を行っ
た。この冷間圧延鋼板を、表3および表4(表3のつづ
き)に示す条件で、焼鈍、めっきを行い、その後、0.
5%で調質圧延した。製造した鋼板に対して、下記に示
す「引張り試験」「残留オーステナイト測定試験」「溶
接試験」「めっき外観」「めっき密着性」「めっき層中
濃度測定」の試験を行った。また、めっき付着量が片面
50g/m2になるように、両面ともめっきした。
張試験片を採取し、ゲージ厚さ50mm、引張速度10
mm/minで常温引張り試験を行った。「残留オース
テナイト測定試験」は、表層より板厚の1/4内層を化
学研磨後、Mo管球を用いたX線回折で、α−Feとγ
−Feの強度から求める5ピーク法と呼ばれる方法で行
った。
圧力:220kg、溶接時間:12サイクル、電極径:
6mm、電極形状:ドーム型,先端6φ−40Rの溶接
条件でスポット溶接を行い,ナゲット径が4√t(t:
板厚)を切った時点までの連続打点数を評価した。評価
基準は、◎:連続打点2000点超、○:連続打点10
00点超、△:連続打点500〜1000点、×:連続
打点500点未満とした。ここでは、◎および○を合格
とし、△および×は不合格とした。
不めっき発生状況を目視判定し、下記の基準に従い評価
した。 ○:5個/dm2以下、△:6〜15個/dm2、×:1
6個/dm2以上。ここでは、○を合格とし、△および
×は不合格とした。「めっき密着性」は、めっき鋼板の
60度V曲げ試験を実施後、テープテストを行い、以下
の基準に従い評価した。
れた5%塩酸でめっき層を溶かした後、ICP発光分析
法で行った。
のつづき)に示す。発明例である試料1〜13は、いず
れも、引張強度が550MPa以上でありながら、全伸
びも30%以上であり、高強度と良好なプレス成形性を
両立しているとともに、めっき密着性も満足している。
これに対し、比較例である試料14ではC濃度が低いた
め、同試料15ではC濃度が高いため、同試料16では
Si濃度が低いため、同試料17ではSi濃度が高いた
め、同試料18および19ではSiとAlの関係が満た
されていないため、同試料20ではMn濃度が低いた
め、同試料21ではMn濃度が高いため、同試料22で
はAl濃度が高いため、同試料23、24および25で
はSe、Bi、Sbの濃度が低いため、更に、同試料2
6ではSe、Bi、Sbの濃度が高いために、強度―延
性バランスか、または、めっき密着性が悪く、本発明の
目的を達し得ない。
の鋼板であっても、処理条件の一つが本発明で規定する
範囲から外れていると、比較例である試料27〜51
(表6、参照)に示すように、強度―延性バランスか、
または、めっき密着性が悪く、本発明の目的を達し得な
い。
づき)に成分を示す鋼を1250℃に再加熱後、900
℃で仕上げ圧延、650℃で捲取を行うことで、4mm
の熱間圧延鋼板を作製した。熱間圧延鋼板の表面スケー
ルを塩酸で除去した後に、1.4mmまで冷間圧延を行
った。この冷間圧延鋼板を、表9および表10(表9の
つづき)に示す条件で焼鈍、めっきを行い、その後、
0.5%で調質圧延した。製造した鋼板に対し、下記に
示す「引張り試験」「残留オーステナイト測定試験」
「溶接試験」「めっき外観」「めっき密着性」および
「めっき層中濃度測定」の試験を行った。また、めっき
付着量が片面50g/m2になるように、両面ともめっ
きした。
張試験片を採取し、ゲージ厚さ50mm、引張速度10
mm/minで、常温引張り試験を行った。「残留オー
ステナイト測定試験」は、表層より板厚の1/4内層を
化学研磨後、Mo管球を用いたX線回折で、α−Feと
γ−Feの強度から求める5ピーク法と呼ばれる方法で
行った。
圧力:220kg、溶接時間:12サイクル、電極径:
6mm、電極形状:ドーム型,先端6φ−40Rの溶接
条件でスポット溶接を行い,ナゲット径が4√t(t:
板厚)を切った時点までの連続打点数を評価した。評価
基準は、◎:連続打点2000点超、○:連続打点10
00点超、△:連続打点500〜1000点、×:連続
打点500点未満とした。ここでは、◎および○を合格
とし、△および×は不合格とした。
不めっき発生状況を目視判定し、下記の基準に従い評価
した。 ○:5個/dm2以下、△:6〜15個/dm2、×:1
6個/dm2以上。 ここでは、○を合格とし、△および×は不合格とした。 「めっき密着性」は、めっき鋼板の60度V曲げ試験を
実施後、テープテストを行い、以下の基準に従い評価し
た。
れた5%塩酸でめっき層を溶かした後、ICP発光分析
法で行った。
(表11のつづき)に示す。発明例である試料52〜6
4は、いずれも、引張強度が550MPa以上でありな
がら、全伸びも30%以上であり、高強度と良好なプレ
ス成形性を両立しているとともに、めっき密着性も満足
している。これに対し、比較例である試料65ではC濃
度が低いため、同試料66ではC濃度が高いため、同試
料67ではSi濃度が低いため、同試料68ではSi濃
度が高いため、同試料69および70ではSiとAlの
関係が満たされていないため、同試料71ではMn濃度
が低いため、同試料72ではMn濃度が高いため、同試
料73ではAl濃度が高いため、同試料74、75およ
び76ではBe、Ca、Mg、Zrの濃度が低いため、
同試料77ではBe、Ca、Mg、Zrの濃度が高いた
めに、強度―延性バランスか、または、めっき密着性が
悪く、本発明の目的を達し得ない。
の鋼であっても、処理条件の一つが本発明で規定する範
囲から外れていると、比較例である試料78〜102に
示しように、に強度―延性バランスか、または、めっき
密着性が悪く、本発明の目的を達し得ない。
3のつづき)に成分を示す鋼を1250℃に再加熱後、
900℃で仕上げ圧延、650℃で捲取を行うことで、
4mmの熱間圧延鋼板を作製した。熱間圧延鋼板の表面
スケールを塩酸で除去した後に、1.4mmまで冷間圧
延を行った。この冷間圧延鋼板を、表15および表16
(表15のつづき)に示す条件で焼鈍、めっきを行い、
その後、0.5%で調質圧延した。製造した鋼板に対し
て、下記に示す「引張り試験」「残留オーステナイト測
定試験」「溶接試験」「めっき外観」「めっき密着性」
および「めっき層中濃度測定」の試験を行った。また、
めっき付着量が片面50g/m2になるように、両面と
もめっきした。
張試験片を採取し、ゲージ厚さ50mm、引張速度10
mm/minで常温引張り試験を行った。「残留オース
テナイト測定試験」は、表層より板厚の1/4内層を化
学研磨後、Mo管球を用いたX線回折で、α−Feとγ
−Feの強度から求める5ピーク法と呼ばれる方法で行
った。
圧力:220kg、溶接時間:12サイクル、電極径:
6mm、電極形状:ドーム型,先端6φ−40Rの溶接
条件でスポット溶接を行い,ナゲット径が4√t(t:
板厚)を切った時点までの連続打点数を評価した。評価
基準は、◎:連続打点2000点超、○:連続打点10
00点超、△:連続打点500〜1000点、×:連続
打点500点未満とした。ここでは、◎および○を合格
とし、△および×は不合格とした。
不めっき発生状況を目視判定し、下記の基準に従い評価
した。 ○:5個/dm2以下、△:6〜15個/dm2、×:1
6個/dm2以上。ここでは、○を合格とし、△および
×は不合格とした。「めっき密着性」は、めっき鋼板の
60度V曲げ試験を実施後、テープテストを行い、以下
の基準に従い評価した。
れた5%塩酸でめっき層を溶かした後、ICP発光分析
法で行った。
(表17のつづき)に示す。発明例である試料103〜
115は、いずれも、引張強度が550MPa以上であ
りながら、全伸びも30%以上であり、高強度と良好な
プレス成形性を両立しているとともに、めっき密着性も
満足している。これに対し、比較例である試料116で
はC濃度が低いため、同試料117ではC濃度が高いた
め、同試料118ではSi濃度が低いため、同試料11
9ではSi濃度が高いため、同試料120および121
ではSiとAlの関係が満たされていないため、同試料
122ではMn濃度が低いため、同試料123ではMn
濃度が高いため、同試料124ではAl濃度が高いた
め、同試料125、126および127ではSc、Y、
La、Ceの濃度が低いため、試料128ではSc、
Y、La、Ceの濃度が高いために、強度―延性バラン
スか、または、めっき密着性が悪く、本発明の目的を達
し得ない。
の鋼であっても、処理条件の一つが本発で規定する範囲
を外れていると、比較例である試料129〜153(表
18、参照)に示すように、強度―延性バランスか、ま
たは、めっき密着性が悪く、本発明の目的を達し得な
い。
っき密着性の良好な高強度溶融亜鉛系めっき鋼板および
高強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板を、効率よく製造
し、自動車、建築、電気等の部材、その他の用途に供す
ることができる。
Claims (15)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5%、 を含有し、かつ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Bi、Seの1種以上を、合計
で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの体積
率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:80〜9
1%、Fe:8〜15%、および、Al:1%以下を含
有するZn合金めっき層、を有することを特徴とするめ
っき密着性およびプレス成形性に優れた高強度合金化溶
融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項2】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5%、 を含有し、かつ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Be、Mg、Ca、Zrの1種以上
を、合計で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび
不可避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイ
トの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、および、A
l:1%以下を含有するZn合金めっき層、を有するこ
とを特徴とするめっき密着性およびプレス成形性に優れ
た高強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項3】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5% を含有し、かつ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、
合計で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可
避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの
体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、および、A
l:1%以下を含有するZn合金めっき層、を有するこ
とを特徴とするめっき密着性およびプレス成形性に優れ
た高強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項4】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5%、を含有し、かつ、SiとA
lの関係が 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Bi、Se、Be、Mg、C
a、Zr、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、合計で
0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可避的不
純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの体積率
が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、および、A
l:1%以下を含有するZn合金めっき層、を有するこ
とを特徴とするめっき密着性およびプレス成形性に優れ
た高強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼
成分に、質量%で、更に、Ni:2.0%、Cu:2.
0%、Sn:1.0%、Co:0.3%未満のうちの少
なくとも1種以上を含み、鋼組織中、残留オーステナイ
トの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、Zn:
80〜91%、Fe:8〜15%、および、Al:1%
以下を含有するZn合金めっき層、 を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
に記載のめっき密着性およびプレス成形性に優れた高強
度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋼
成分に、質量%で、更に、Mo:0.5%未満、Cr:
1.0%未満、V:0.3%未満、Ti:0.06%未
満、Nb:0.06%未満、B:0.01%未満のうち
の少なくとも1種以上を含み、鋼組織中、残留オーステ
ナイトの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、および、A
l:1%以下を含有するZn合金めっき層、を有するこ
とを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のめ
っき密着性およびプレス成形性に優れた高強度合金化溶
融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項7】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5%、 を含有し、かつ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Bi、Seの1種以上を、合計
で0.005〜1.0%含み、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイトの体積
率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80%以上、および、Al:1%以下を含有する
Znめっき層、 を有することを特徴とするめっき密着性およびプレス成
形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項8】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5%、 を含有し、かつ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Be、Mg、Ca、Zrの1種以上
を、合計で0.005〜1.0%を含み、残部Feおよ
び不可避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナ
イトの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80%以上、および、Al:1%以下を含有する
Znめっき層、 を有することを特徴とするめっき密着性およびプレス成
形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項9】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5%、 を含有し、かつ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、
合計で0.005〜1.0%を含み、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイト
の体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80%以上、および、Al:1%以下を含有する
Znめっき層、 を有することを特徴とするめっき密着性およびプレス成
形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項10】 質量%で、 C :0.05〜0.2%、 Si:0.2〜2.0%、 Mn:0.2〜2.5%、および、 Al:0.01〜1.5%、 を含有し、かつ、SiとAlの関係が、 0.4(%)≦Si+0.8Al(%)≦2.0% を満足し、かつ、Sb、Sb、Bi、Se、Be、M
g、Ca、Zr、Sc、Y、La、Ceの1種以上を、
合計で0.005〜1.0%を含み、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、鋼組織中、残留オーステナイト
の体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80%以上、および、Al:1%以下を含有する
Znめっき層、 を有することを特徴とするめっき密着性およびプレス成
形性に優れた高強度溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項11】 請求項7〜10のいずれか1項に記載
の鋼成分に、質量%で、更に、Ni:2.0%、Cu:
2.0%、Sn:1.0%、Co:0.3%未満のうち
の少なくとも1種以上を含み、鋼組織中、残留オーステ
ナイトの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上に、 Zn:80%以上、および、Al:1%以下を含有する
Znめっき層、 を有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1
項に記載のめっき密着性およびプレス成形性に優れた高
強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項12】 請求項7〜11のいずれか1項に記載
の鋼成分に、質量%で、更に、Mo:0.5%未満、C
r:1.0%未満、V:0.3%未満、Ti:0.06
%未満、Nb:0.06%未満、B:0.01%未満の
うちの少なくとも1種以上を含み、鋼組織中、残留オー
ステナイトの体積率が2〜20%を満足する鋼板の上
に、 Zn:80%以上、および、Al:1%以下を含有する
Znめっき層、 を有することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1
項に記載のめっき密着性およびプレス成形性に優れた高
強度溶融亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項13】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
鋼成分を満足する冷延鋼板を、650〜900℃の二相
共存温度域で10秒〜6分焼鈍した後、2〜200℃/
sの冷却速度で350〜500℃まで冷却し、溶融亜鉛
めっきを施し、その後に、450〜600℃の温度域で
5秒〜2分保持してから5℃/s以上の冷却速度で25
0℃以下に冷却することにより、鋼板組織中の残留オー
ステナイトの体積率を2〜20%にし、かつ、鋼板表面
に、Zn:80〜91%、Fe:8〜15%、および、
Al:1%以下を含有するZn合金めっき層を形成する
ことを特徴とするめっき密着性およびプレス成形性に優
れた高強度合金化溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項14】 請求項7〜12のいずれか1項に記載
の鋼成分を満足する冷延鋼板を、650〜900℃の二
相共存温度域で10秒〜6分焼鈍した後、2〜200℃
/sの冷却速度で350〜500℃まで冷却し、溶融亜
鉛めっきを施し、その後に、5℃/s以上の冷却速度で
250℃以下に冷却することにより、鋼板組織中の残留
オーステナイトの体積率を2〜20%にし、かつ、鋼板
表面に、Zn:80%以上、および、Al:1%以下を
含有するZnめっき層を形成することを特徴とするめっ
き密着性およびプレス成形性に優れた高強度溶融亜鉛系
めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項15】 前記焼鈍の後、2〜200℃/sの冷
却速度で350〜500℃まで冷却し、その後、溶融亜
鉛めっきを施す前に、350〜500℃の温度域に10
分以下保持することを特徴とする請求項13または14
に記載のめっき密着性およびプレス成形性に優れた高強
度溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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