JP2002293275A - 履 帯 - Google Patents

履 帯

Info

Publication number
JP2002293275A
JP2002293275A JP2001104345A JP2001104345A JP2002293275A JP 2002293275 A JP2002293275 A JP 2002293275A JP 2001104345 A JP2001104345 A JP 2001104345A JP 2001104345 A JP2001104345 A JP 2001104345A JP 2002293275 A JP2002293275 A JP 2002293275A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
bush
seal
connecting pin
link portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001104345A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4481522B2 (ja
Inventor
Akihiko Yamamoto
明彦 山本
Yuji Yoshitomi
雄二 吉冨
Genroku Sugiyama
玄六 杉山
Wataru Idezu
渉 出津
Yoshiaki Sekiguchi
良明 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority to JP2001104345A priority Critical patent/JP4481522B2/ja
Publication of JP2002293275A publication Critical patent/JP2002293275A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4481522B2 publication Critical patent/JP4481522B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブッシュと連結ピンとの間に浸入した土砂を
粉砕し、両者の摺動面間にアブレシブ摩耗が生じるのを
抑えるようにする。 【解決手段】 履帯11を構成する金属ブッシュ15の
内周側には、左,右に離間して樹脂ブッシュ19を嵌着
して設ける。また、樹脂ブッシュ19は、ポリイミド系
樹脂等の樹脂材料20と酸化物、窒化物、炭化物のうち
少なくともいずれか1つの化合物からなる複数の硬質粒
子21とを複合して成形することにより筒状に形成す
る。これにより、土砂が連結ピン17と樹脂ブッシュ1
9との摺動面間に浸入したときには、この土砂を硬質粒
子21により粉砕すると共に、土砂を樹脂ブッシュ19
の内周面19Aに埋没させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベ
ル、油圧クレーン等の装軌式車両に用いて好適な履帯に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、油圧ショベル等の装軌式車両に
用いられる履帯は、長手方向一側に外側リンク部が形成
されると共に長手方向他側に内側リンク部が形成され、
互いに無端状に連結される左,右のトラックリンクと、
該各トラックリンクの内側リンク部間を連結して設けら
れたブッシュと、該ブッシュ内に挿入して設けられ、
左,右方向の両端側が前記外側リンク部に嵌合して連結
された連結ピンと、前記トラックリンクの外側リンク部
とブッシュとの間に位置して該連結ピンの外周側に設け
られたシール部材とを備えている。
【0003】この種の従来技術による履帯は、遊動輪と
駆動輪との間に巻回して設けられ、駆動輪を走行用の油
圧モータ等によって回転駆動することにより、履帯を遊
動輪と駆動輪との間で周回動作させ、車両を前,後方向
等に走行させる。
【0004】また、この従来技術による履帯には、走行
時にブッシュと連結ピンとの間に土砂等が侵入するのを
防止するために、トラックリンクの外側リンク部とブッ
シュとの間にゴム材料等を用いた環状のシール部材を装
着したものが知られている(例えば、特開平7−285
472号公報等)。
【0005】また、他の従来技術としては、履帯に用い
るものではなく、例えば装軌式車両の上ローラまたは下
ローラ等に用いる軸封装置が知られている(例えば、特
開平7−293707号公報)。そして、この軸封装置
は、固定側ハウジングと回転側ハウジングとの間を、外
輪、内輪および転動体等からなるベアリングを用いてシ
ールする構成としている。
【0006】さらに、別の従来技術にあっては、樹脂製
すべり軸受の外面またはハウジング内面のうち少なくと
もいずれか一方の面に、固定潤滑剤、硬質粒子等を主成
分とした被覆層を設ける構成としたものが知られている
(例えば、特開平9−236125号公報等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した特
開平7−285472号公報等に記載された従来技術
は、シール部材によって外側リンク部とブッシュとの間
をシールし、両者の間からブッシュと連結ピンとの間に
土砂等が侵入するのを防止する構成としている。
【0008】しかし、例えばシール部材とブッシュとの
接触面間に土砂が一度侵入してくると、この土砂によっ
て両者の接触面にアブレシブ摩耗が生じ、シール部材に
よるシール効果が低下する。
【0009】そして、この場合には、外部の土砂等がシ
ール部材を介してブッシュと連結ピンとの間に侵入し易
くなり、ブッシュの内周面または連結ピンの外周面が土
砂によって早期に摩耗するという問題が生じる。
【0010】また、ブッシュと連結ピンとの間に侵入し
た土砂は、外部に排出されることなく、両者の間に詰ま
って蓄積されたままの状態となり、このような土砂によ
りブッシュと連結ピンとの間で円滑な相対回動が行われ
なくなり、履帯の動きが悪くなる原因になるという問題
がある。
【0011】一方、特開平7−293707号公報に記
載された従来技術による軸封装置は、固定側ハウジング
と回転側ハウジングとの間をベアリングを用いてシール
する構成としている。
【0012】しかし、この従来技術にあっては、ベアリ
ングを外輪、内輪および転動体を用いて構成すると共
に、ベアリングの内輪自体を複数の部材を組合わせて構
成しており、ベアリング全体の部品点数が増加して組立
性が悪くなり、全体構造も複雑化するという問題があ
る。
【0013】さらに、特開平9−236125号公報に
記載された従来技術による樹脂製すべり軸受では、高速
回転時の微振動によって発生するフレッティング摩耗に
関しては、固定潤滑剤、硬質粒子等を主成分とした被覆
層を用いることにより防止することは可能である。しか
し、建設機械に用いる履帯のようにピンとブッシュとの
間に頻繁に土砂等が侵入するような場合、前記被覆層を
用いただけではピンとブッシュとの間で生じるアブレシ
ブ摩耗の進行を防止することは難しいという問題があ
る。
【0014】本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み
てなされたもので、本発明の目的は、外部からの土砂等
がブッシュと連結ピンとの間の摺動面に侵入して摩耗、
損傷等が摺動面に生じるのを防止でき、ブッシュと連結
ピンとを長期に亘って円滑に相対回転できるようにした
履帯を提供することを目的としている。
【0015】また、本発明の他の目的は、シール部材の
構造を簡略化することができ、ブッシュと連結ピンとの
間の摺動面に土砂等が侵入するのを抑えることができる
ようにした履帯を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明による履帯は、長手方向一側に外側リン
ク部が形成されると共に長手方向他側に内側リンク部が
形成され、互いに無端状に連結される左,右のトラック
リンクと、該各トラックリンクの内側リンク部間を連結
して設けられたブッシュと、該ブッシュ内に挿入して設
けられ、左,右方向の両端側が前記外側リンク部に嵌合
して連結された連結ピンと、前記トラックリンクの外側
リンク部とブッシュとの間に位置して該連結ピンの外周
側に設けられたシール部材とにより構成している。
【0017】そして、請求項1の発明が採用する構成の
特徴は、前記ブッシュの内周面には、当該内周面よりも
大径となったすべり軸受嵌着溝を設け、前記すべり軸受
嵌着溝には、内周面が連結ピンに対する摺動面となった
筒状の樹脂製すべり軸受を嵌着して設け、前記樹脂製す
べり軸受は、前記ブッシュよりも硬度が小さな樹脂材料
と当該樹脂材料よりも硬質でかつ酸化物、窒化物、炭化
物のうち少なくともいずれか1つの化合物からなる硬質
粒子とを複合して成形する構成としたことにある。
【0018】このように構成したことにより、ブッシュ
の内周面に設けたすべり軸受嵌着溝には樹脂材料と硬質
粒子とを複合して成形した樹脂製すべり軸受が嵌着され
ているから、走行時に土砂等の異物が樹脂製すべり軸受
と連結ピンとの間に仮に侵入したとしても、硬質粒子に
より土砂をすり潰すことができると共に、この土砂をブ
ッシュよりも硬度が小さな樹脂製すべり軸受の内周面に
埋没させて捕捉でき、土砂がブッシュと連結ピンとの間
の摺動面に蓄積する不具合を解消することができる。
【0019】また、土砂等が樹脂製すべり軸受と連結ピ
ンとの摺動面間に侵入したときには、硬質粒子がストッ
パとなって土砂が履帯の周回動作に伴って前記摺動面間
を移動するのを阻止することができ、摺動面間に土砂に
よるアグレシブ摩耗が生じるのを抑えることができる。
【0020】また、請求項2の発明は、シール部材は、
M型状の横断面形状をもったシールリングにより構成し
ている。このように構成したことにより、M型状の横断
面形状をもったシールリングを外側リンク部とブッシュ
に弾性的に当接させることができ、両者間を良好にシー
ルすることができる。
【0021】また、請求項3の発明は、前記シール部材
は、前記連結ピンの外周側に位置し前記外側リンク部内
に嵌合して設けられる環状の外側シールと、該外側シー
ル内に設けられ該外側シールに対して摺動可能となった
環状の内側シールとにより構成している。このように構
成したことにより、走行時にはシール部材の外側シール
内に設けられる内側シールを、外側リンク部内に設けら
れる外側シールに対して摺動させ、この状態で外側リン
ク部とブッシュとの間を安定してシールすることができ
る。
【0022】さらに、請求項4の発明は、樹脂製すべり
軸受はブッシュの端面よりも軸方向に突出した突出部を
有し、シール部材は、連結ピンの外周側に位置し外側リ
ンク部内に嵌合して設けられる環状の外側シールと、該
外側シール内に位置して前記突出部に嵌合して設けられ
該外側シールに対して摺動可能となった環状の内側シー
ルとにより構成している。
【0023】このように構成したことにより、走行時に
は樹脂製すべり軸受の突出部に設けられるシール部材の
内側シールを、外側リンク部内に設けられる外側シール
に対して摺動させ、この状態で外側リンク部とブッシュ
との間、外側リンク部と樹脂製すべり軸受との間を安定
してシールすることができる。
【0024】さらに、請求項5の発明は、樹脂製すべり
軸受はすべり軸受嵌着溝内に嵌着された筒部と、該筒部
の軸方向の一端側に一体形成されブッシュの端面と外側
リンク部とに接触して両者間をシールする環状の鍔部と
により構成している。
【0025】このように構成したことにより、樹脂製す
べり軸受の筒部に設けた環状の鍔部をブッシュの端面と
外側リンク部とに接触させ、この状態で両者間を良好に
シールすることができる。
【0026】さらに、請求項6の発明は、ブッシュの内
周面と連結ピンの外周面のうち少なくとも一方には表面
硬化層を設け、前記表面硬化層は、ホウ化物、窒化物、
炭化物のうち少なくともいずれか一つの化合物層により
構成している。このように構成したことにより、ホウ化
物等からなる表面硬化層によりブッシュまたは連結ピン
が摩耗するのを防止でき、その耐久性を高めることがで
きる。
【0027】一方、請求項7の発明は、連結ピンの外周
側にはタングステンカーバイト系の溶射被膜からなる表
面硬化層を設ける構成としている。このように構成した
場合でも、タングステンカーバイト系の溶射被膜からな
る表面硬化層を用いることにより連結ピンの耐摩耗性を
高めることができる。
【0028】また、請求項8の発明は、樹脂製すべり軸
受は、超高分子量ポリエチレン系樹脂、ポリイミド系樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリテトラフ
ルオロエチレン系樹脂のうち少なくともいずれか一つの
樹脂材料を用いて形成している。このように構成したこ
とにより、超高分子量ポリエチレン系樹脂等の樹脂材料
により樹脂製すべり軸受の耐摩耗性、潤滑性等を高める
ことができる。
【0029】さらに、請求項9の発明は、硬質粒子は、
酸化シリコン、アルミナ、ジルコニアまたは酸化チタン
からなる酸化物粒子、シリコンカーバイト、タングステ
ンカーバイトまたはクロムカーバイトからなる炭化物粒
子、窒化シリコンまたは窒化チタンからなる窒化物粒子
のうち少なくともいずれか1つの化合物粒子により構成
している。このように構成したことにより、硬質粒子の
硬度を酸化シリコン等の酸化物粒子により高めることが
できる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
履帯を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図
面に従って詳細に説明する。
【0031】ここで、図1ないし図5は本発明の第1の
実施の形態を示し、1は実施の形態に適用される油圧シ
ョベルで、該油圧ショベル1は、下部走行体2と、旋回
装置3を介して該下部走行体2上に旋回可能に設けられ
た上部旋回体4と、該上部旋回体4に設けられた作業装
置5とによって構成されている。
【0032】ここで、下部走行体2は、前後方向に伸長
した左,右のサイドフレーム6A(一方のみ図示)等を
備えたトラックフレーム6と、該トラックフレーム6の
サイドフレーム6A一方側に設けられた遊動輪7と、サ
イドフレーム6Aの他方側に設けられた駆動輪8と、該
遊動輪7と駆動輪8との間に巻回された後述の履帯11
とによって構成されている。
【0033】また、トラックフレーム6のサイドフレー
ム6Aには、履帯11をサイドフレーム6Aの上側で案
内する上ローラ9と、履帯11をサイドフレーム6Aの
下側で案内する複数の下ローラ10,10,…とが設け
られている。
【0034】11は遊動輪7と駆動輪8との間に巻回し
て設けられた履帯で、該履帯11は、後述のトラックリ
ンク12、金属ブッシュ15、連結ピン17、樹脂ブッ
シュ19およびトラックシュー23によって大略構成さ
れている。そして、履帯11は、各トラックリンク12
の連結部分に位置する後述の金属ブッシュ15が駆動輪
8に噛合し、この状態で駆動輪8が回転駆動されること
により、遊動輪7と駆動輪8との間で周回動作を行うも
のである。
【0035】12,12は左,右方向に対向して配設さ
れて互いに無端状に連結された左,右のトラックリンク
で、該トラックリンク12は、履帯11の長手方向に沿
って伸長している。そして、トラックリンク12の長手
方向一端側には、外側リンク部13が形成され、この外
側リンク部13には、図4、図5に示す如く連結ピン1
7が挿嵌されるピン挿嵌穴13Aと、該ピン挿嵌穴13
Aから金属ブッシュ15側に向けて拡径し後述の環状シ
ール22が装着されるシール装着穴13Bと、該シール
装着穴13Bの奥部に位置して前記ピン挿嵌穴13Aと
シール装着穴13Bとの間の内側端面13Cとが段付穴
となって形成されている。
【0036】また、トラックリンク12の長手方向他端
側には、内側リンク部14が形成され、この内側リンク
部14には、後述の金属ブッシュ15が挿嵌されるブッ
シュ挿嵌穴14Aが形成されている。
【0037】15は各トラックリンク12の内側リンク
部14間に設けられ、内周側に連結ピン17が挿入され
るブッシュとしての金属ブッシュで、この金属ブッシュ
15は、鋼材を用いて円筒状に形成されている。なお、
金属ブッシュ15に用いる鋼材は、クロム、モリブデ
ン、チタン、ジルコニア、ニオブおよびボロンのうち少
なくともいずれか一つの成分を含んでいることが好まし
い。また、金属ブッシュ15は炭素鋼、合金工具鋼等を
用いて形成してもよい。
【0038】そして、金属ブッシュ15は、左,右方向
の両端側が各内側リンク部14のブッシュ挿嵌穴14A
内に圧入状態で挿嵌されている。また、金属ブッシュ1
5は左,右方向の両端側に端面15A,15Aを有し、
該端面15Aは、外側リンク部13のシール装着穴13
B内で内側端面13Cと対向して配置されている。さら
に、金属ブッシュ15は内周面15Bを有し、この内周
面15Bは連結ピン17に対する摺動面となっている。
【0039】ここで、金属ブッシュ15の内周面15B
には、その左,右両端側に位置して内周面15Bよりも
大径なすべり軸受嵌着溝となる左,右の樹脂ブッシュ嵌
着溝15C,15Cが形成され、該各樹脂ブッシュ嵌着
溝15C内には後述の樹脂ブッシュ19がそれぞれ嵌着
されている。
【0040】16は金属ブッシュ15の内周面15B側
に設けられたブッシュ側の表面硬化層で、該表面硬化層
16は、真空窒化処理、真空浸炭・窒化処理または浸炭
・窒化処理を用いることにより金属ブッシュ15の内周
面15Bに全周に亘って土砂等よりも硬質な化合物層と
して形成されている。ここで、表面硬化層16は、窒化
物、ホウ化物、炭化物のうちいずれか一つの化合物を選
択してもよいし、これら各化合物の中から2種類以上を
選択してもよい。
【0041】17は隣り合うトラックリンク12,12
間を互いにピン結合した連結ピンで、該連結ピン17に
ついても、金属ブッシュ15とほぼ同様に鋼材を用いて
形成されている。ここで、連結ピン17に用いる鋼材
は、クロム、モリブデン、チタン、ジルコニア、ニオブ
およびボロンのうち少なくともいずれか一つの成分を含
んでいることが好ましい。また、連結ピン17は炭素
鋼、合金工具鋼等を用いて形成してもよい。
【0042】そして、連結ピン17は外周面17Aを有
し、金属ブッシュ15の内周側および後述する樹脂ブッ
シュ19の内周側に摺動可能に挿通されている。また、
連結ピン17の左,右方向の両端側は、外側リンク部1
3のピン挿嵌穴13A内に圧入状態で嵌合されている。
【0043】18は連結ピン17の外周面17A側に設
けられたピン側の表面硬化層で、該表面硬化層18につ
いても、表面硬化層16と同様に真空窒化処理、真空浸
炭・窒化処理または浸炭・窒化処理を用いることにより
土砂よりも硬度が高い化合物層として形成されている。
そして、表面硬化層18は、窒化物、ホウ化物、炭化物
のうち少なくともいずれか一つの化合物を選択して形成
してもよいし、高速ガスフレーム法等のフレーム溶射を
用いたタングステンカバーバイト(WC)系の溶射被膜
として形成してもよい。
【0044】ここで、表面硬化層18の一例としては、
連結ピン17をSUS420J2を用いて形成し、炉内
を一度真空に排気した後、連結ピン17を炉内でNH
と窒化ガスの雰囲気中に配置し、この状態で480〜5
50℃、3〜14時間の熱処理(真空窒化処理)を行う
ことにより、窒化物からなる硬質な表面硬化層18を生
成することができる。また、表面硬化層18の他の一例
としては、連結ピン17の表面に塩浴処理を施すことに
よりホウ化鉄からなる表面硬化層18を形成することも
できる。
【0045】19,19は金属ブッシュ15の内周側に
左,右に離間して設けられた樹脂製すべり軸受となる
左,右の樹脂ブッシュで、該樹脂ブッシュ19は、金属
ブッシュ15の硬度よりも小さくて、かつ耐摩耗性、摺
動性をもった樹脂材料20と、複数の硬質粒子21,2
1,…とを複合して成形することにより円筒状に形成さ
れている。
【0046】そして、樹脂ブッシュ19は、金属ブッシ
ュ15の樹脂ブッシュ嵌着溝15C内に圧入して取付け
られ、その内周面19Aは連結ピン17に対する摺動面
となっている。また、樹脂ブッシュ19は、金属ブッシ
ュ15の開口端側となる左,右方向の一方側に位置して
後述の環状シール22に当接する端面19Bを有し、該
端面19Bは、金属ブッシュ15の端面15Aとほぼ面
一をなして配置されている。
【0047】ここで、樹脂材料20は、超高分子量ポリ
エチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエー
テルケトン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂
のうちいずれか一つの樹脂材料を選択して形成してもよ
いし、これら各樹脂材料の中から2種類以上を選択して
複合して形成してもよい。
【0048】また、硬質粒子21は、樹脂ブッシュ19
よりも硬質な粒子、例えば酸化シリコン(SiO)、
アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、酸
化チタン(TiO)等の酸化物粒子、シリコンカーバ
イト(SiC)、タングステンカーバイト(WC)、ク
ロムカーバイト(CrC)等の炭化物粒子、窒化シリコ
ン(Si)、窒化チタン(TiN)等の窒化物粒
子のうち少なくともいずれか1つの化合物粒子により形
成されている。そして、硬質粒子21の大きさは1〜3
0μm、好ましくは5〜20μm程度の大きさに設定す
るのが好ましい。
【0049】一方、樹脂ブッシュ19の形成方法の一例
としては粉末焼結法があり、この方法では、樹脂材料2
0の粉末と硬質粒子21を含んだ混合粉末を型に入れ、
所定の焼成条件で樹脂成形を行うようにする。
【0050】また、樹脂ブッシュ19の形成方法の他の
一例としては、射出成形法、押出し成形法がある。この
場合、樹脂材料20の粉末と硬質粒子21を混合すると
きに予め硬質粒子21の表面にカーボンをコーティング
しておくと、硬質粒子21が樹脂材料20の粉末中に均
一に分散すると共に樹脂材料20と硬質粒子21の密着
性の向上を図ることができ、焼結後に樹脂ブッシュ19
内の空孔の発生を抑えることができる。
【0051】さらに、連結ピン17に設けた表面硬化層
16の硬さが土砂と同等かまたはそれ以上である場合、
樹脂ブッシュ19は、樹脂材料20と硬質粒子21とを
含めた全体重量に対する硬質粒子21の比率を30〜9
0重量%とし、残りを樹脂材料20とすることが好まし
い。
【0052】22は連結ピン17の外周側に位置して、
トラックリンク12の外側リンク部13と金属ブッシュ
15との間に設けられたシール部材としての左,右の環
状シールで、この環状シール22は、例えばウレタンゴ
ム、ニトリルゴム等の弾性樹脂材料を用いることにより
横断面がM字状をなしたシールリングとして形成されて
いる。
【0053】また、環状シール22は、外側リンク部1
3のシール装着穴13B内に装着され、金属ブッシュ1
5の端面15A、樹脂ブッシュ19の端面19Bにそれ
ぞれ締代をもって接触している。そして、環状シール2
2は、連結ピン17と樹脂ブッシュ19との間に外部か
らの土砂等の異物が侵入するのを遮断すると共に、連結
ピン17と樹脂ブッシュ19との間のグリースが外部に
漏洩するのを防止する構成となっている。
【0054】なお、23は左,右のトラックリンク1
2,12に設けられた金属板からなるトラックシュー
で、このトラックシュー23は、図2、図3に示す如く
各トラックリンク12の外側に複数のボルト24等を用
いて固着され、左,右のトラックリンク12,12を一
体に連結すると共に、履帯11の接地面を構成してい
る。
【0055】本実施の形態による油圧ショベルは、上述
の如き構成を有するもので、路上走行時には走行モータ
(図示せず)によって駆動輪8を回転駆動することによ
り、履帯11を遊動輪7と駆動輪8との間で周回動作さ
せ、これにより車体を前,後方向等に走行させる。
【0056】また、このように履帯11が周回動作を行
うときには、環状シール22によってトラックリンク1
2の外側リンク部13と金属ブッシュ15との間がシー
ルされるから、これによって金属ブッシュ15と連結ピ
ン17との間に土砂等の異物が侵入するのを遮断するこ
とができる。
【0057】次に、樹脂ブッシュ19の成形方法の一例
について説明する。まず、ポリエーテルエーテルケトン
系樹脂の重量をAとし、ポリテトラフルオロエチレエン
系樹脂の重量をBとしたとき、A:B≒80:20の重
量%となる比率をもった混合樹脂粉体Cを得た。
【0058】一方、シリコンカーバイト(SiC)粒子
と酸化シリコン(SiO)粒子とを混合させて混合硬
質粒子Dを得た。そして、混合樹脂粉体Cと混合硬質粒
子Dとを、C:D≒20:80の重量%となる比率をも
って混合した後、粉末焼結法を用いて加熱、加圧して樹
脂ブッシュ19を成形した。
【0059】かくして、本実施の形態では、樹脂材料2
0と硬質粒子21とを複合して成形した樹脂ブッシュ1
9を金属ブッシュ15の内周側に嵌着して設け、この樹
脂ブッシュ19の内周側に連結ピン17を摺動可能に挿
通させる構成としている。
【0060】このため、走行時に土砂等の異物が例え環
状シール22を介して連結ピン17と樹脂ブッシュ19
との摺動面間に侵入したとしても、この土砂を樹脂材料
20に含侵した硬質粒子21によりすり潰して粉砕する
ことができる。
【0061】また、前述の如く土砂が連結ピン17と樹
脂ブッシュ19との摺動面間に侵入したときには、硬質
粒子21がストッパとなって、土砂が履帯11の周回動
作に伴って前記摺動面間で移動するのを阻止することが
できる。そして、このように硬質粒子21によって土砂
の動きを制止した状態でこの土砂を樹脂ブッシュ19の
内周面19Aに埋没させて捕捉することができ、連結ピ
ン17と樹脂ブッシュ19との摺動面間に土砂によるア
ブレシブ摩耗が生じるのを防止できると共に、土砂が金
属ブッシュ15と連結ピン17との摺動面間に侵入する
のを防止することができる。
【0062】従って、本実施の形態によれば、樹脂材料
20と硬質粒子21とを複合して成形した樹脂ブッシュ
19により金属ブッシュ15と連結ピン17との間に土
砂等の異物が蓄積して詰まるような不具合を解消でき、
金属ブッシュ15と連結ピン17との間の摺動抵抗を小
さく保ち、履帯11を長期に亘って円滑に周回動作させ
ることができる。
【0063】また、金属ブッシュ15の内周面15B、
連結ピン17の外周面17Aには、土砂よりも硬度が高
い窒化物等の化合物層からなる表面硬化層16,18を
設ける構成としたので、例え土砂が樹脂ブッシュ19側
から金属ブッシュ15と連結ピン17との摺動面間に侵
入したとしても、この土砂を表面硬化層16,18の間
で粉砕でき、金属ブッシュ15、連結ピン17が摩耗す
るのを抑制することができる。
【0064】さらに、樹脂ブッシュ19を金属ブッシュ
15よりも軟質な弾性材料を用いて形成したので、環状
シール22を樹脂ブッシュ19の端面19Bに締代をも
って当接させたときに、樹脂ブッシュ19自体を弾性変
形させ、このときの弾性反力を環状シール22に付与す
ることができ、これにより樹脂ブッシュ19と環状シー
ル22とを高い面圧をもって互いに密着させ続けること
ができ、環状シール22のシール性能を高めることがで
きる。
【0065】次に、図6および図7は本発明の第2の実
施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シール部材を
外側シールと内側シールからなる二層シールとして構成
し、この二層シールの外側シールを外側リンク部のシー
ル装着穴内に嵌合して設けると共に、内側シールを樹脂
ブッシュに外側から嵌合して設け、走行時にこれら外側
シールと内側シールとを互いに摺動させる構成としたこ
とにある。
【0066】なお、本実施の形態では、第1の実施の形
態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省
略するものとする。
【0067】31は本実施の形態に用いるブッシュとし
ての金属ブッシュで、該金属ブッシュ31についても、
第1の実施の形態で述べた金属ブッシュ15とほぼ同様
に、端面31A、内周面31Bおよびすべり軸受嵌着溝
としての左,右の樹脂ブッシュ嵌着溝31C,31Cを
有している。そして、金属ブッシュ31は、内側リンク
部14のブッシュ挿嵌穴14A内に圧入して設けられて
いる。
【0068】32,32は金属ブッシュ31の樹脂ブッ
シュ嵌着溝31C内に嵌着して設けられた本実施の形態
に用いる樹脂製すべり軸受となる左,右の樹脂ブッシュ
で、該樹脂ブッシュ32についても、第1の実施の形態
で述べた樹脂ブッシュ19とほぼ同様に、樹脂材料33
と硬質粒子34とを複合して成形することにより筒状に
形成されている。また、樹脂ブッシュ32は、内周面3
2Aおよび端面32Bを有している。
【0069】しかし、樹脂ブッシュ32は、左,右方向
の外端側となる端面32B側が、金属ブッシュ31の端
面31Aよりも左,右方向(軸方向)に突出した突出部
32Cとなり、外側リンク部13のシール装着穴13B
内に挿入されている点で、第1の実施の形態のものとは
異なっている。
【0070】35,35はトラックリンク12の外側リ
ンク部13と金属ブッシュ31との間に設けられた本実
施の形態に用いるシール部材としての左,右の二層シー
ルで、該二層シール35は、連結ピン17の外周側に位
置して外側リンク部13のシール装着穴13B内に嵌合
して設けられた外側シール36と、該外側シール36内
に位置して樹脂ブッシュ32の突出部32Cに嵌合して
設けらた内側シール37とにより構成されている。
【0071】ここで、二層シール35の外側シール36
は、例えばウレタンゴム等の樹脂材料を用いることによ
り、略コ字状の横断面形状をもった環状シールとして形
成されている。そして、外側シール36は、外側リンク
部13の内側端面13Cに当接した第1の環状部36A
と、該第1の環状部36Aから略L字状に屈曲してシー
ル装着穴13B内に嵌合した筒部36Bと、該筒部36
Bから略L字状に屈曲して樹脂ブッシュ32の外周側に
配置され、金属ブッシュ31の端面31Aに当接した第
2の環状部36Cとにより構成されている。
【0072】また、内側シール37は、例えばポリテト
ラフルオロエチレン等の樹脂材料を用いることにより略
L字状の横断面形状をもった環状シールとして形成され
ている。そして、内側シール37は、樹脂ブッシュ32
の端面32Bと外側シール36の環状部36Aとに当接
した第1の環状部37Aと、該第1の環状部37Aの径
方向外側部位に一体形成され、樹脂ブッシュ32の外周
側に嵌合すると共に外側シール36の筒部36B、環状
部36Cに当接した第2の環状部37Bとにより構成さ
れている。
【0073】そして、走行時には二層シール35は、樹
脂ブッシュ32側に設けられた内側シール37が外側リ
ンク部13側に設けられた外側シール36に対して摺動
し、この状態で外側リンク部13と金属ブッシュ31と
の間、外側リンク部13と樹脂ブッシュ32との間をシ
ールするものである。
【0074】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得
ることができる。特に、本実施の形態では、外側シール
36と内側シール37とからなる二層シール35を用い
る構成としたので、金属ブッシュ31と外側シール36
の環状部36Cとの接触面、外側シール36の環状部3
6A,36C、筒部36Bと内側シール37との接触面
をそれぞれシール面とすることができ、両者のシール面
を迷路状に長く形成することができ、これによって内側
シール37、外側シール36の2部材だけでシール性に
優れた二層シール35を簡単に構成でき、その構造を簡
略化することができる。
【0075】次に、図8および図9は本発明の第3の実
施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、樹脂ブッシュ
を構成する筒部の軸方向の一端側に環状の鍔部を一体形
成し、この鍔部を金属ブッシュの端面と外側リンク部の
内側端面とに当接させ、両者間をシールする構成とした
ことにある。
【0076】なお、本実施の形態では、前記第1の実施
の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明
を省略するものとする。
【0077】41は本実施の形態に用いる外側リンク部
で、該外側リンク部41には、ピン挿嵌穴41Aと、該
ピン挿嵌穴41Aから拡径した樹脂ブッシュ装着穴41
Bと、ピン挿嵌穴41Aと樹脂ブッシュ装着穴41Bと
の間に位置した内側端面41Cとが段付穴となって形成
されている。
【0078】42は本実施の形態に用いるブッシュとし
ての金属ブッシュで、該金属ブッシュ42は、端面42
A、内周面42Bおよびすべり軸受嵌着溝としての左,
右の樹脂ブッシュ嵌着溝42C,42Cを有している。
【0079】43,43は金属ブッシュ42の内周側に
嵌着して設けられた本実施の形態に用いる樹脂製すべり
軸受としての左,右の樹脂ブッシュで、該樹脂ブッシュ
43は、樹脂材料44と硬質粒子45とを複合して成形
することにより鍔付きの筒状体として形成されている。
【0080】ここで、樹脂ブッシュ43は、金属ブッシ
ュ42の樹脂ブッシュ嵌着溝42C内に嵌着され内周面
43A1を有した筒部43Aと、該筒部43Aの軸方向
の一端側に一体形成された環状の鍔部43Bとにより構
成されている。
【0081】そして、樹脂ブッシュ43の鍔部43B
は、外側リンク部41の樹脂ブッシュ装着穴41B内に
嵌合すると共に、内側端面41Cと金属ブッシュ42の
端面42Aとに弾性的に当接し、これにより鍔部43B
は外側リンク部41と金属ブッシュ42との間をシール
するシール部材としての機能を有している。
【0082】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得
ることができる。
【0083】特に、本実施の形態では、樹脂ブッシュ4
3の筒部43Aに環状の鍔部43Bを設け、この鍔部4
3Bを外側リンク部41の内側端面41Cと金属ブッシ
ュ42の端面42Aに弾性的に当接させる構成としたの
で、樹脂ブッシュ43の鍔部43Bにより外側リンク部
41と金属ブッシュ42との間をシールすることがで
き、樹脂ブッシュ43とは別個にシール部材を設ける必
要がなくなり、シール構造の簡略化、部品点数の削減を
図ることができる。
【0084】なお、第2の実施の形態では、二層シール
35を構成する内側シール37を1部材で構成する場合
を例に挙げて説明したが、これに替えて例えば図10に
示す変形例のように、二層シール35′の内側シール3
7′を第1の環状部37A′と第2の環状部37B′の
2部材で構成してもよい。
【0085】また、第1の実施の形態では、樹脂ブッシ
ュ19を金属ブッシュ15の内周側に左,右に離間して
2個設ける場合を例に挙げて説明したが、これに替え
て、樹脂ブッシュを金属ブッシュの内周側に左,右に離
間して3個以上設けてもよいし、1個でもよい。このこ
とは第2,第3の実施の形態についても同様である。
【0086】さらに、実施の形態では、装軌式車両とし
て油圧ショベルを例に挙げて説明したが、本発明はこれ
に限らず、油圧クレーン等の装軌式車両にも広く適用で
きるものである。
【0087】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1の発明によ
れば、ブッシュの内周面に設けたすべり軸受嵌着溝内に
は樹脂製すべり軸受を嵌着して設け、この樹脂製すべり
軸受は、ブッシュよりも硬度が小さな樹脂材料と硬質粒
子とを複合して成形することにより筒状に形成する構成
としたので、走行時に土砂等の異物がシール部材を介し
て連結ピンと樹脂製すべり軸受との間に侵入したとして
も、この土砂を硬質粒子により粉砕できると共に、この
土砂を樹脂製すべり軸受の内周面に埋没させて捕捉する
ことができる。また、土砂が樹脂製すべり軸受と連結ピ
ンとの摺動面間に侵入したときには、硬質粒子がストッ
パとなって履帯の周回動作に伴って土砂が前記摺動面間
を移動するのを阻止することができ、この摺動面間に土
砂によるアグレシブ摩耗が生じるのを抑えることができ
る。
【0088】このため、土砂がブッシュと連結ピンとの
摺動面間に蓄積して詰まるような不具合を解消でき、ブ
ッシュと連結ピンとの間の摺動抵抗を小さく保ち、履帯
を長期に亘って円滑に周回動作させることができる。
【0089】また、請求項2の発明は、シール部材をM
型状の横断面形状をもったシールリングにより構成した
ので、シールリングを外側リンク部とブッシュに弾性的
に当接させることができ、両者間を良好にシールするこ
とができ、シールリングのシール性能を高めることがで
きる。
【0090】また、請求項3の発明は、シール部材は、
外側シール内に設けられる環状の内側シールを、外側リ
ンク部内に嵌合して設けられる環状の外側シールに対し
て摺動可能とする構成としたので、これら内側シール、
外側シールによりシール部材のシール面を迷路状に長く
でき、そのシール性能を高められると共に、内側シー
ル、外側シールの2部材だけでシール部材を簡単に構成
でき、その構造を簡略化することができる。
【0091】さらに、請求項4の発明は、シール部材
は、樹脂製すべり軸受の突出部に嵌合して設けられる環
状の内側シールを、外側リンク部内に嵌合して設けられ
る環状の外側シールに対して摺動可能とする構成とした
ので、外側シール、内側シールにより外側リンク部とブ
ッシュとの間、外側リンク部と樹脂製すべり軸受との間
を安定してシールすることができ、シール面を迷路状に
長くしてそのシール性能を高めることができると共に、
内側シール、外側シールの2部材だけでシール部材を簡
単に構成でき、その構造を簡略化することができる。
【0092】さらに、請求項5の発明は、樹脂製すべり
軸受の筒部には、その軸方向の一端側に位置して環状の
鍔部を一体形成する構成としたので、樹脂製すべり軸受
の鍔部をブッシュの端面と外側リンク部に接触させ、両
者間を良好にシールすることができ、シール部材を樹脂
製すべり軸受と別個に形成する必要がなくなり、部品点
数の削減等を図ることができる。
【0093】さらに、請求項6の発明は、ブッシュの内
周面と連結ピンの外周面のうち少なくとも一方には、ホ
ウ化物、窒化物、炭化物のうち少なくともいずれか一つ
の化合物層からなる表面硬化層を設ける構成したので、
これらの化合物層により表面硬化層を土砂等よりも硬度
が高い硬化層として安定して形成することができる。一
方、請求項7の発明のように、連結ピンの外周側にタン
グステンカーバイト系の溶射被膜からなる表面硬化層を
設ける構成とした場合でも、請求項6の発明と同様に、
表面硬化層を土砂等よりも硬度が高い硬化層として安定
して形成することができる。
【0094】また、請求項8の発明は、樹脂製すべり軸
受は、高分子量ポリエチレン系樹脂、ポリイミド系樹
脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリテトラフ
ルオロエチレン系樹脂のうち少なくともいずれか一つの
樹脂材料を用いて形成したので、これらの樹脂材料によ
り樹脂製すべり軸受の耐摩耗性、潤滑性等を高めること
ができる。
【0095】さらに、請求項9の発明は、硬質粒子は、
酸化シリコン、アルミナ、ジルコニアまたは酸化チタン
からなる酸化物粒子、シリコンカーバイト、タングステ
ンカーバイトまたはクロムカーバイトからなる炭化物粒
子、窒化シリコンまたは窒化チタンからなる窒化物粒子
のうち少なくともいずれか1つの化合物粒子により構成
したので、硬質粒子の硬度を酸化シリコン等の化合物粒
子により高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に適用される油圧シ
ョベルを示す外観図である。
【図2】図1中の履帯を拡大して示す部分斜視図であ
る。
【図3】履帯を図2中の矢示III−III方向からみた一部
破断の平面図である。
【図4】図3中の各トラックリンク間の連結部等を拡大
して示す部分拡大断面図である。
【図5】図4中の金属ブッシュ、樹脂ブッシュ、環状シ
ール等を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態による履帯を図4と
同様位置からみた部分断面図である。
【図7】図6中の金属ブッシュ、樹脂ブッシュ、二層シ
ール等を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による履帯を図4と
同様位置からみた部分断面図である。
【図9】図8中の金属ブッシュ、樹脂ブッシュ等を拡大
して示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明の変形例による履帯の金属ブッシュ、
樹脂ブッシュ、二層シール等を図7と同様位置からみた
要部断面図である。
【符号の説明】
11 履帯 12 トラックリンク 13,41 外側リンク部 14 内側リンク部 15,31,42 金属ブッシュ(ブッシュ) 15A,31A,42A 端面 15B,19A,31B,32A,42B,43A1
内周面 15C,31C,42C 樹脂ブッシュ嵌着溝(すべり
軸受嵌着溝) 16,18 表面硬化層 17 連結ピン 17A 外周面 19,32,43 樹脂ブッシュ(樹脂製すべり軸受) 20,33,44 樹脂材料 21,34,45 硬質粒子 22 環状シール(シール部材) 32C 突出部 35,35′ 二層シール(シール部材) 36 外側シール 37,37′ 内側シール 43A 筒部 43B 鍔部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 玄六 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 出津 渉 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 関口 良明 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向一側に外側リンク部が形成され
    ると共に長手方向他側に内側リンク部が形成され、互い
    に無端状に連結される左,右のトラックリンクと、該各
    トラックリンクの内側リンク部間を連結して設けられた
    ブッシュと、該ブッシュ内に挿入して設けられ、左,右
    方向の両端側が前記外側リンク部に嵌合して連結された
    連結ピンと、前記トラックリンクの外側リンク部とブッ
    シュとの間に位置して該連結ピンの外周側に設けられた
    シール部材とからなる履帯において、 前記ブッシュの内周面には、当該内周面よりも大径とな
    ったすべり軸受嵌着溝を設け、前記すべり軸受嵌着溝に
    は、内周面が連結ピンに対する摺動面となった筒状の樹
    脂製すべり軸受を嵌着して設け、前記樹脂製すべり軸受
    は、前記ブッシュよりも硬度が小さな樹脂材料と該樹脂
    材料よりも硬質でかつ酸化物、窒化物、炭化物のうち少
    なくともいずれか1つの化合物からなる硬質粒子とを複
    合して成形する構成としたことを特徴とする履帯。
  2. 【請求項2】 前記シール部材は、M型状の横断面形状
    をもったシールリングである請求項1に記載の履帯。
  3. 【請求項3】 前記シール部材は、前記連結ピンの外周
    側に位置し前記外側リンク部内に嵌合して設けられる環
    状の外側シールと、該外側シール内に設けられ該外側シ
    ールに対して摺動可能となった環状の内側シールとによ
    り構成してなる請求項1に記載の履帯。
  4. 【請求項4】 前記樹脂製すべり軸受は前記ブッシュの
    端面よりも軸方向に突出した突出部を有し、前記シール
    部材は、前記連結ピンの外周側に位置し前記外側リンク
    部内に嵌合して設けられる環状の外側シールと、該外側
    シール内に位置して前記突出部に嵌合して設けられ該外
    側シールに対して摺動可能となった環状の内側シールと
    により構成してなる請求項1に記載の履帯。
  5. 【請求項5】 前記樹脂製すべり軸受は前記すべり軸受
    嵌着溝内に嵌着された筒部と、該筒部の軸方向の一端側
    に一体形成され前記ブッシュの端面と外側リンク部とに
    接触して両者間をシールする環状の鍔部とにより構成し
    てなる請求項1に記載の履帯。
  6. 【請求項6】 前記ブッシュの内周面と連結ピンの外周
    面のうち少なくとも一方には表面硬化層を設け、前記表
    面硬化層は、ホウ化物、窒化物、炭化物のうち少なくと
    もいずれか一つの化合物層である請求項1,2,3,4
    または5に記載の履帯。
  7. 【請求項7】 前記連結ピンの外周側にはタングステン
    カーバイト系の溶射被膜からなる表面硬化層を設けてな
    る請求項1,2,3,4または5に記載の履帯。
  8. 【請求項8】 前記樹脂製すべり軸受は、超高分子量ポ
    リエチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエ
    ーテルケトン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹
    脂のうち少なくともいずれか一つの樹脂材料を用いて形
    成してなる請求項1,2,3,4,5,6または7に記
    載の履帯。
  9. 【請求項9】 前記硬質粒子は、酸化シリコン、アルミ
    ナ、ジルコニアまたは酸化チタンからなる酸化物粒子、
    シリコンカーバイト、タングステンカーバイトまたはク
    ロムカーバイトからなる炭化物粒子、窒化シリコンまた
    は窒化チタンからなる窒化物粒子のうち少なくともいず
    れか1つの化合物粒子により構成してなる請求項1,
    2,3,4,5,6,7または8に記載の履帯。
JP2001104345A 2001-04-03 2001-04-03 履帯 Expired - Fee Related JP4481522B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001104345A JP4481522B2 (ja) 2001-04-03 2001-04-03 履帯

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001104345A JP4481522B2 (ja) 2001-04-03 2001-04-03 履帯

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002293275A true JP2002293275A (ja) 2002-10-09
JP4481522B2 JP4481522B2 (ja) 2010-06-16

Family

ID=18957216

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001104345A Expired - Fee Related JP4481522B2 (ja) 2001-04-03 2001-04-03 履帯

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4481522B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008546588A (ja) * 2005-06-20 2008-12-25 キャタピラー インコーポレイテッド 履帯式作業機械のトラックチェイン用カートリッジアセンブリおよび同アセンブリを用いる作業機械
JP2012521327A (ja) * 2009-03-24 2012-09-13 ベルコ ソシエタ ペル アチオニ 滑り軸受を備えた軌道型車両のための回転式ブッシュを有する軌道
KR101746089B1 (ko) * 2016-01-06 2017-06-12 주식회사 흥국 전경화 열처리가 적용된 굴삭기 하부롤러
KR101746091B1 (ko) * 2016-01-06 2017-06-12 주식회사 흥국 전경화 열처리가 적용된 굴삭기 하부롤러 제조방법
JP2017532496A (ja) * 2014-11-21 2017-11-02 ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ポンプ、特に高圧燃料ポンプ
WO2018071175A1 (en) * 2016-10-13 2018-04-19 Caterpillar Inc. Nitrided track pin for track chain assembly of machine
US10272960B2 (en) 2015-11-05 2019-04-30 Caterpillar Inc. Nitrided track pin for track chain assembly of machine
JP7455378B2 (ja) 2020-08-21 2024-03-26 和泉チエン株式会社 自転車用チェーン、これを備えた自転車、及び自転車用チェーンの製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5234806B2 (ja) * 1971-11-30 1977-09-06
JPS5139938U (ja) * 1974-09-18 1976-03-25
JPS51119235U (ja) * 1975-03-24 1976-09-28
US4311346A (en) * 1979-06-29 1982-01-19 Fiat-Allis Construction Machinery, Inc. Track assembly hinge joint
JPH0646782Y2 (ja) * 1986-06-27 1994-11-30 新キヤタピラ−三菱株式会社 装軌式車両のシ−ル付履帯装置
JP3245064B2 (ja) * 1996-07-18 2002-01-07 大豊工業株式会社 すべり軸受

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008546588A (ja) * 2005-06-20 2008-12-25 キャタピラー インコーポレイテッド 履帯式作業機械のトラックチェイン用カートリッジアセンブリおよび同アセンブリを用いる作業機械
JP2012521327A (ja) * 2009-03-24 2012-09-13 ベルコ ソシエタ ペル アチオニ 滑り軸受を備えた軌道型車両のための回転式ブッシュを有する軌道
JP2017532496A (ja) * 2014-11-21 2017-11-02 ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ポンプ、特に高圧燃料ポンプ
US10280884B2 (en) 2014-11-21 2019-05-07 Robert Bosch Gmbh Pump, in particular high-pressure fuel pump
US10272960B2 (en) 2015-11-05 2019-04-30 Caterpillar Inc. Nitrided track pin for track chain assembly of machine
KR101746089B1 (ko) * 2016-01-06 2017-06-12 주식회사 흥국 전경화 열처리가 적용된 굴삭기 하부롤러
KR101746091B1 (ko) * 2016-01-06 2017-06-12 주식회사 흥국 전경화 열처리가 적용된 굴삭기 하부롤러 제조방법
WO2018071175A1 (en) * 2016-10-13 2018-04-19 Caterpillar Inc. Nitrided track pin for track chain assembly of machine
CN109790591A (zh) * 2016-10-13 2019-05-21 卡特彼勒公司 一种用于机器履带链组件的氮化履带销
EP3696289A1 (en) * 2016-10-13 2020-08-19 Caterpillar Inc. Nitrided track pin for track chain assembly of machine
AU2017342752B2 (en) * 2016-10-13 2022-08-25 Caterpillar Inc. Nitrided track pin for track chain assembly of machine
JP7455378B2 (ja) 2020-08-21 2024-03-26 和泉チエン株式会社 自転車用チェーン、これを備えた自転車、及び自転車用チェーンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4481522B2 (ja) 2010-06-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3762369B2 (ja) 履帯
US8226088B2 (en) Floating seal
US4295654A (en) Seal assembly for a linkage
EP0374142A4 (en) End face seal assembly
JPWO2003069177A1 (ja) 密封装置とこれを組み込んだ転がり軸受及びハブユニット
JP2002293275A (ja) 履 帯
JP2012521327A (ja) 滑り軸受を備えた軌道型車両のための回転式ブッシュを有する軌道
JP4116187B2 (ja) 履帯
JP4309994B2 (ja) シール装置
EP2655173B1 (en) Seal assembly
WO2013002115A1 (ja) 転がり軸受
JP3921741B2 (ja) 履帯ピンのシール構造
JP4255787B2 (ja) シールチェーン
JPH09151482A (ja) 軸受装置
JP3986775B2 (ja) 鉄道車両用軸受ユニット
JP2001088755A (ja) 履 帯
JP2548598Y2 (ja) 履帯連結部の端面シール組立体
JP2002349571A (ja) 軸受装置
JP2002225758A (ja) 履 帯
WO2001088395A1 (en) Bearing device
JP2000346061A (ja) 建設機械用軸受
JP3512941B2 (ja) 軸受装置
KR20230129376A (ko) 기계의 트랙 체인 어셈블리를 위한 페라이트계 침질탄화 트랙 핀
JPH09156548A (ja) 履 帯
JP2013224717A (ja) 車輪用軸受装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070516

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090915

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100316

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100318

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140326

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees