JP2002287379A - タンパク質分解酵素を用いた写真処理液、及び平版印刷用処理液 - Google Patents

タンパク質分解酵素を用いた写真処理液、及び平版印刷用処理液

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JP2002287379A
JP2002287379A JP2001085981A JP2001085981A JP2002287379A JP 2002287379 A JP2002287379 A JP 2002287379A JP 2001085981 A JP2001085981 A JP 2001085981A JP 2001085981 A JP2001085981 A JP 2001085981A JP 2002287379 A JP2002287379 A JP 2002287379A
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gelatin
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protease
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JP2001085981A
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Yukinao Kawamata
幸直 川真田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、経時による性能の劣化を起こ
さないタンパク質分解酵素を含む写真用処理液の提供で
あり、さらに詳しくは経時による性能の劣化を起こさな
いタンパク質分解酵素を含有するハロゲン化銀乳剤層を
有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理に
用いられる処理液を提供することである。 【解決手段】1)タンパク質分解酵素と水溶性ゼラチン
を共に含むことを特徴とする写真用処理液。2)ハロゲ
ン化銀乳剤層を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版
印刷版の処理に用いられる処理液において、該処理液が
タンパク質分解酵素と水溶性ゼラチンを共に含むことを
特徴とする処理液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼラチンを分解あ
るいは洗浄する写真用処理液、さらに詳しくは、ハロゲ
ン化銀乳剤層を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版
印刷版の処理に用いられる処理液、さらに詳しくはアル
ミニウム板を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用した
アルミニウム平版印刷版の処理液に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、タンパク質を分解、洗浄するため
に、様々な分野でタンパク質分解酵素が用いられてい
る。その中でも、銀塩写真の分野ではゼラチンを必須の
材料として使用しているため、タンパク質分解酵素を使
用する要請が高い。さらに、特開平5−265216、
同平5−313206号、同平7−56345号、同平
9−6005号には銀錯塩拡散転写方式を利用したアル
ミニウムを支持体とした銀塩印刷版が知られており、こ
れらの製版工程に於いては、タンパク質分解酵素を含む
処理液が有効に使用されている。
【0003】前記銀塩アルミニウム平版印刷版は、粗面
化され陽極酸化されたアルミニウム支持体上に物理現像
核を担持し、更にその上にハロゲン化銀乳剤層を設けた
構成になっている。この平版印刷版の一般的な製版方法
は、露光後、現像処理、水洗処理(ウォッシュオフ:ハ
ロゲン化銀乳剤層の除去)、仕上げ処理の工程からなっ
ている。
【0004】詳細には、現像処理によってアルミニウム
支持体上に物理現像によって金属銀画像部が形成され、
次の水洗処理によってハロゲン化銀乳剤層が除去されて
アルミニウム支持体上の金属銀画像部(以降、銀画像部
と称す)が露出する。同時に陽極酸化されたアルミニウ
ム表面自身が非画像部として露出する。
【0005】銀塩アルミニウム印刷版は、高感度、高感
色性と高い解像力、高いシャープネスを持った画像を形
成することが可能であり、光による画像形成方法として
は非常に有利な方法である。しかし金属銀によってなる
銀画像部は、感光性樹脂によって形成されたPS版等の
画像部に比べ、親油性が低い。従って、通常現像処理後
に親油性を高める処理が施され、画像部のインキ受理性
の向上が図られる。
【0006】このように現像処理後に銀塩アルミニウム
平版印刷版の銀画像部の親油性を高める処理方法とし
て、米国特許第4,567,131号公報に仕上げ処理
工程でタンパク質分解酵素と親油化剤を作用させること
が開示されている。さらに、特開平10−48829に
は水洗工程でタンパク質分解酵素を作用させる方法、特
開平10−193827では印刷開始時に版面を処理す
るためのスターター液にタンパク質分解酵素を含有させ
る方法が開示されている。また、特開平10−1333
81にも上記と同様、親油化剤とタンパク質分解酵素を
用いて銀塩アルミニウム平版印刷版の銀画像部の親油性
を高める方法が開示されている。
【0007】このように、親油化剤とタンパク質分解酵
素を作用させることによって、銀塩アルミニウム平版印
刷版の銀画像部の親油性は飛躍的に向上する。その中で
も特にタンパク質分解酵素の作用は大きい。銀塩アルミ
ニウム平版印刷版においては、単に温水による水洗だけ
ではハロゲン化銀乳剤層由来のゼラチンが銀画像部表面
に残存する。この残存ゼラチンのために、元来親油性で
ある金属銀で形成された銀画像部のインキ受理性が低下
する。従って銀画像部表面の残存ゼラチンをいかに除去
するかが銀画像部の親油性向上の鍵である。一方、タン
パク質分解酵素を銀画像部に作用させることは、この残
存ゼラチンを除去するための有効な手段となる。それゆ
え、タンパク質分解酵素を作用させることが銀画像部の
親油性を飛躍的に向上させる方法となっている。
【0008】実際にこれらの処理液を使用するに当たっ
ては、作業性の面から見て、処理液をその都度調合する
のではなく、ある程度の量を作り置きして必要な量だけ
使用することになる。現状は、メーカーが大量にこれら
の処理液あるいはその濃縮液を作成し、ユーザーに対し
て流通、販売を行っている。ユーザーはこれをそのま
ま、あるいは濃縮液の場合は水で希釈するなどして使用
している。いずれにしても、これらの液は作成してから
使用するまでの間に相当の時間が経過することになり、
その間、液の性能が低下しないことが求められる。
【0009】しかるに、前記タンパク質分解酵素含有の
処理液はいずれにおいても、経時と共に液の性能が低下
することことが判明した。これらは、酵素の活性が経時
と共に低下してそれにともなってゼラチンを分解する能
力が低下していくのが原因である。特に30℃以上の高
温での経時による性能の劣化が大きい。このような性能
の低下は、処理液の製造、流通、販売に大きな負担がか
かることは容易に想像がつく。具体的には、製造から使
用までの期間を限定する必要が生じ、その結果、在庫の
時間も限定され、在庫管理に多大な労力を要する。特に
夏場には冷所の保存が必要となり、流通、在庫のコスト
がその分かかる。こうした背景から、酵素の活性が経時
と共に劣化しない処理液の開発が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、経時
による性能の劣化を起こさないタンパク質分解酵素を含
有する写真用処理液を提供することであり、さらに詳し
くは経時による性能の劣化を起こさないタンパク質分解
酵素を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する銀錯塩拡散
転写法を利用した平版印刷版の処理に用いられる処理液
を提供することであり、さらに詳しくはアルミニウム板
を支持体とする銀錯塩拡散転写法を利用したアルミニウ
ム平版印刷版の現像処理後に用いられる処理液におい
て、経時による性能の劣化を起こさないタンパク質分解
酵素を含有する処理液を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の発明によって達成された。1)タンパク質分解酵素
と水溶性ゼラチンを共に含むことを特徴とする写真用処
理液。2)ハロゲン化銀乳剤層を有する銀錯塩拡散転写
法を利用した平版印刷版の処理に用いられる処理液にお
いて、該処理液がタンパク質分解酵素と水溶性ゼラチン
を共に含むことを特徴とする処理液。3)陽極酸化され
たアルミニウム支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤
層を有する銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処
理方法において、現像処理後に施される処理液にタンパ
ク質分解酵素と水溶性ゼラチンを共に含むことを特徴と
する処理液。
【0012】本発明者らは、銀塩アルミニウム印刷版に
おいて、そのインキ受理性を向上させる上で、タンパク
質分解酵素の優れた作用に着目した。しかしながら、上
述の通りタンパク質分解酵素を含む処理液は経時にとも
ない酵素の活性が低下していきそれにともなって性能が
低下していく。従って、本発明の目的を達成するために
は、この経時による酵素活性の低下を防止する必要があ
る。
【0013】様々な検討の結果、その処理液中に酵素と
共にゼラチンを共存させることによって、経時による酵
素活性の低下を防止することができることが解った。し
かしながら、通常、一般的に用いられるゼラチンは分子
量が5万〜30万程度であり、常温の水には溶解しな
い。このようなゼラチンを水に溶解させるためには膨
潤、加熱などの特別な処理が必要であり、また、ゼラチ
ン濃度にもよるが常温でゲル化し、固化するためにハン
ドリング性が著しく低下する。さらに、特に、銀塩アル
ミニウム印刷版においては、せっかく酵素によって分
解、洗浄された銀画像部に処理液に含まれているゼラチ
ンが再付着し、かえってインキ受理性の低下を招くとい
う問題もあった。これに対し、本発明者らは通常のゼラ
チンに変えて水溶性ゼラチンを用いてこれらの問題を解
決することに成功した。しかも、驚くべきことに、水溶
性ゼラチンを使用することによって、経時による酵素活
性の低下を防止する効果が通常のゼラチンに対してさら
に増すことを見いだした。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明に用いられるタンパク質分解酵素
(以降、酵素と称す)は、ゼラチンなどのタンパク質を
加水分解できる植物性または動物性酵素で公知のものが
用いられる。例えば、ペプシン、レンニン、トリプシ
ン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシ
ン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライ
ン、細菌プロテアーゼ等が挙げられる。この中でも特
に、トリプシン、パパイン、フィシン、細菌プロテアー
ゼが好ましい。その中でも特に細菌プロテアーゼ(例え
ば、長瀬産業(株)製のビオプラーゼ)は安価に市販さ
れており容易に入手が可能である。本発明の処理液の酵
素含有量は、特に指定はなく、用いる酵素の能力と要求
される性能によって任意に決めることができる。濃縮液
を製造する場合には使用時の希釈率に応じてその量が増
えることは当然のことである。例えば銀塩アルミニウム
印刷版の水洗液や仕上げ液に用いる場合には、使用液に
して、0.1〜50g/リットル程度が適当である。
【0016】本発明に用いられる水溶性ゼラチンとは、
15℃の純水に20g/リットル以上溶解するものを言
う。従って、銀塩写真感光材料等のバインダーとして使
用されている通常のゼラチンはこれに該当しない。例え
ば重量平均分子量が1000から3万程度の間の低分子
量のゼラチンが本発明に該当する。さらに、アミノ酸残
基をコハク酸やフタル酸で修飾して水溶性を向上させた
ゼラチンであっても良い。これらの水溶性ゼラチンの添
加量は、ごく少量でも効果を発揮するが、好ましくは1
g/リットル以上である。銀塩アルミニウム印刷版の水
洗液や仕上げ液に用いる場合には、使用液にして、0.
1〜50g/リットル程度が適当である。
【0017】上述の通り本発明の処理液は銀塩アルミニ
ウム印刷版の処理における、現像処理後の製版処理液に
適用することによって高い効果を発揮する。ここで言う
現像処理後の製版処理液とは、具体的には水洗液、仕上
げ液が挙げられ、あるいは印刷直前または印刷機上で版
面に処理を施すために用いられるスターター液やクリー
ナー液も含まれる。これらの処理液に応用するために
は、特に制約はなく一般に良く知られているこれら処理
液の組成に、酵素と水溶性ゼラチンを加えればよく、既
に酵素が添加されている場合には、水溶性ゼラチンを添
加するだけでよい。これら処理液の具体的組成は特開平
10−48829、特開平10−193827、特開平
10−133381等に記載がある。
【0018】上記水洗液はアルミニウム支持体上のハロ
ゲン化銀乳剤層を完全に除去するために用いるもので、
通常、25〜35℃の水洗液をジェット方式で吹き付け
る方法、または水洗液を吹き付けながらスクラブローラ
で乳剤層を剥離する方法が採用されている。また、水洗
工程は、水洗液を循環させて再利用するクローズドタイ
プが一般に用いられている。
【0019】本発明の水洗液には、特にpHを設定する
必要は無いが、現像処理の中和安定の役割を持たせる目
的で、適当な緩衝剤を用いて4〜9の間に設定する事も
できる。pHを4〜9の範囲に緩衝させる緩衝剤とし
て、例えば燐酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤またはそれ
らの混合物を含有することができる。適当な酸でpHを
調整した後、トリエタノールアミン等のアルカノールア
ミンを緩衝剤として用いても良い。また、防腐剤を含有
させてもよい。水洗液中には更に親油化剤を含有させる
ことが好ましい。前記親油化剤としてはメルカプト基ま
たはチオン基を有する含窒素複素環化合物が好ましい。
【0020】以下に親油化剤の具体例を挙げる。2−メ
ルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト
−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−ベンズ
イミダゾール、1−エチル−2−メルカプト−ベンズイ
ミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミ
ダゾール、1,3−ジエチル−ベンゾイミダゾリン−2
−チオン、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−
チオン、2,2´−ジメルカプト−1,1´−デカメチ
レン−ジイミダゾリン、2−メルカプト−4−フェニル
チアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2−
メルカプトナフトチアゾール、3−エチル−ベンゾチア
ゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン
−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオ
キサゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−
ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェ
ニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカ
プト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−ト
リアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4
−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5
−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプ
ト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリ
アゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4
−チアジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−
1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n
−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−
nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−
フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタ
デシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾー
ル、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、2
−メルカプト−5−ニトロピリジン、1−メチル−キノ
リン−2(1H)−チオン、3−メルカプト−4−メチ
ル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,
6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−
ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4
−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジ
ン、1,5−ジメルカプト−3,7−ジフェニル−S−
トリアゾリノ〔1,2−a〕−S−トリアゾリン等が挙
げられる。
【0021】水洗液への親油化剤の添加量は、使用液に
して0.01〜10g/リットル程度が適当である。上
記メルカプト基またはチオン基を有する含窒素複素環化
合物はアルカリ溶液には溶解するが、中性から弱酸性の
仕上げ液には溶解しないため、有機溶剤、アミン化合物
(例えばアミノアルコール)、ポリエチレングリコー
ル、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等の溶
解助剤を用いて添加することができる。
【0022】本発明の仕上げ液には、酵素と水溶性ゼラ
チンの他、非画像部の保水性を安定させるためにリン酸
及びリン酸1アンモニウムのごときリン酸の塩を用いる
ことができる。その他にも同様の目的で、クエン酸、酒
石酸等のオキシカルボン酸あるいはその塩、アラビヤガ
ム、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸
のプロピレングリコールエステル、ヒドロキシエチル澱
粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホ
ン酸、ポリビニルアルコール等の保護コロイド、または
それらの混合物等の親水性ポリマーを用いることができ
る。
【0023】さらに本発明の仕上げ液には、水洗液と同
様、上記のような親油化剤を用いることができる。仕上
げ液への親油化剤の添加量は、使用液にして0.01〜
10g/リットル程度が適当である。
【0024】さらに本発明の仕上げ液には、グリセリ
ン、ポリグリセロールまたはポリエチレングリコール等
のアルキレングリコールとその誘導体を含有することが
できる。また、防腐剤を含有しても良い。
【0025】本発明に用いられる仕上げ液のPHは特に
規定は無いが、保水性の安定のためにはあまりたかいp
Hは好ましくなく、好ましくは8以下、さらに好ましく
は6.5以下である。
【0026】本発明に用いられるスターター液は、印刷
開始直前に版面をエッチングし湿順状態にするために用
いられる処理液であることが好ましく、所謂、スタータ
液や不感脂化液(エッチ液)と呼ばれる処理液に酵素及
び水溶性ゼラチンの他、前記親油化剤を含有させて版面
を処理する態様が好ましい。
【0027】銀塩印刷版の製版に用いられる現像液に
は、現像主薬、例えばポリヒドロキシベンゼン類、3-ピ
ラゾリジノン類、アルカリ性物質、例えば水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナト
リウム、あるいはアミン化合物、保恒剤、例えば亜硫酸
ナトリウム、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロー
ス、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変成剤、
例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶
剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、
チオサリチル酸、メソイオン性化合物等の添加剤を含ま
せることができる。上記親油化剤を含有させてもよい。
現像液のpHは通常10〜14、好ましくは12〜14
である。
【0028】銀塩印刷版は、前記したようにアルミニウ
ム支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する。
ハロゲン化銀乳剤は、一般に用いられる塩化銀、臭化
銀、ヨウ化銀、塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ臭化銀等
から選択されるが、塩化銀主体(塩化銀50モル%以上
のものを意味する)が好ましい。また乳剤のタイプとし
てはネガ型、ポジ型のいずれでもよい。これらのハロゲ
ン化銀乳剤は必要に応じて化学増感あるいはスペクトル
増感することができる。
【0029】ハロゲン化銀乳剤層の親水性コロイドとし
てはゼラチンを用いることがハロゲン化銀粒子を作成す
る際に好ましい。ゼラチンには酸処理ゼラチン、アルカ
リ処理ゼラチン等各種ゼラチンを用いることができる。
また、それらの修飾ゼラチン(例えばフタル化ゼラチ
ン、アミド化ゼラチンなど)も用いることができる。ま
た、更にポリビニルピロリドン、各種でんぷん、アルブ
ミン、ポリビニルアルコール、アラビアガム、ヒドロキ
シエチルセルロース、等の親水性高分子化合物を含有さ
せることができる。用いられる親水性コロイドとして
は、現像後の剥離性を容易にするために実質的に硬膜剤
を含まない親水性コロイド層を用いることが望ましい。
【0030】本発明における平版印刷版の乳剤層には、
必要に応じてアニオン、カチオン、ベタイン、ノニオン
系の各種界面活性剤、カルボキシメチルセルロース等の
増粘剤、消泡剤等の塗布助剤、エチレンジアミンテトラ
アセテート等のキレート剤、ハイドロキノン、ポリヒド
ロキシベンゼン類、3−ピラゾリジノン類等の現像主薬
を含有させてもよい。
【0031】本発明に用いられるアルミニウム支持体は
粗面化され陽極酸化されたアルミニウム板であり、好ま
しくは米国特許第5,427,889号公報に記載され
ているものが用いられる。
【0032】本発明において、アルミニウム支持体の物
理現像活性を高め、画像金属銀の形成を安定的に行う目
的で、アルミニウム支持体とハロゲン化乳剤層の間に物
理現像核層を設けることが好ましい。上記物理現像層の
物理現像核としては、公知の銀錯塩拡散転写法に用いら
れるものでよく、例えば金、銀等のコロイド、パラジウ
ム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物な
どが使用できる。保護コロイドとして各種親水性コロイ
ドを用いることもできる。これらの詳細及び製法につい
ては、例えば、特公昭48−30562号、特開昭48
−55402号、同53−21602号、フォーカル・
プレス、ロンドン ニューヨーク(1972年)発行、アン
ドレ ロット及びエディス ワイデ著、「フォトグラフ
ィック・シルバー・ハライド・ディヒュージョン・プロ
セシズ」を参照し得る。
【0033】本発明において、物理現像核層とハロゲン
化銀乳剤層の間に、特開平3−116151号公報記載
の水膨潤性中間層、同平4−282295号公報に記載
の疎水性重合体ビーズを含有する中間層を設けてもよ
い。以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
【0034】実施例1 アルミニウム支持体の電解粗面化処理及び陽極酸化は米
国特許第5,427,889号公報に記載の方法に従っ
て、平均直径約5μmのプラート上に直径0.03〜
0.30μmのピットを100μm2当たり約5,600
個有し、かつこれらのピットの平均直径が0.08μm
である厚さ0.30mmのアルミニウム板を得た。この
アルミ板は粗面化処理後に陽極酸化したものであり、平
均粗さ(Ra)は0.5〜0.6μmであった。陽極酸
化膜量は2.1g/m2であった。
【0035】このアルミニウム支持体に硫化パラジウム
核液を塗布し、その後乾燥した。物理現像核層に含まれ
る核量は3mg/m2であった。
【0036】ハロゲン化銀乳剤の調製は、保護コロイド
としてアルカリ処理ゼラチンを用い、コントロールダブ
ルジェット法で平均粒径0.2μmの、ヘキサクロロイ
リジウム(III)酸カリウムを銀1モル当たり0.00
6ミリモルドープさせた臭化銀15モル%、ヨウ化銀
0.4モル%の塩ヨウ臭化銀乳剤を調製した。その後、
この乳剤をフロキュレーションさせ、洗浄した。さらに
この乳剤に硫黄金増感を施した後、安定剤を添加し、赤
色領域に分光感度を持つ増感色素を銀1g当たり3mg
用いて分光増感した。
【0037】このようにして作成したハロゲン化銀乳剤
に界面活性剤を加えて塗布液を作成した。この乳剤層塗
布液を前記物理現像核が塗布されたアルミニウム支持体
上に銀量が2g/m2、ゼラチン量が2.5g/m2になる
ように塗布乾燥して平版印刷材料試料を得た。
【0038】上記平版印刷材料を633nmの赤色LD
レーザーを光源とする出力機で画像出力し、次に製版用
プロセッサー(デュポン社製SLT−85N自動現像
機)で処理して平版印刷版を作成した。製版用プロセッ
サーは、現像処理工程(21℃、15秒間浸漬)、水洗
処理工程(35℃の水洗液を10秒間シャワー噴射しな
がらスクラブローラで乳剤層をウオッシュオフする)、
仕上げ処理工程(21℃、5秒間シャワー)及び乾燥工
程から構成されている。水洗処理工程は、貯留タンクに
貯留された30リットルの水洗液をポンプで循環させ
て、平版印刷版にシャワー噴射した後、濾過フィルター
で濾過して貯留タンクに回収し再使用するクローズドタ
イプになっている。
【0039】用いた現像液、水洗液及び仕上げ液の組成
は次の通りである。 <現像液> 水酸化ナトリウム 20g ハイドロキノン 20g 1−フェニル−3ピラゾリジノン 2g 無水亜硫酸ナトリウム 80g N-メチルエタノールアミン 6g チオ硫酸ナトリウム(5水塩) 8g エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩 5g 脱イオン水で1000mlとする。 pH(25℃)=13.4
【0040】 <水洗液A> 2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール 0.5g トリエタノールアミン 13g タンパク質分解酵素 1g 水を加えて全量を1000mlに調整する。硫酸によっ
てpHを7.0に調整した。タンパク質酵素としてビオ
プラーゼAL−15(細菌プロティナーゼ、長瀬産業
(株)製)を用いた。
【0041】<水洗液B>上記水洗液Aに重量平均分子
量約6000の水溶性ゼラチンを15g/リットル加え
た。
【0042】 <仕上げ液A> トリエタノールアミン 15g アラビアゴム 10g 硝酸ナトリウム 20g ポリエチレングリコール#400 100g 2-メルカフ゜ト-5-nヘフ゜チルオキサシ゛アソ゛ール 0.5g カチオン系界面活性剤 5g タンパク質分解酵素 3g リン酸アンモニウム 20g 脱イオン水で1000mlとする。カチオン系界面活性
剤としてナイミーンL−703(日本油脂(株)製)
を、タンパク質分解酵素としてビオプラーゼAL−15
(細菌プロティナーゼ、長瀬産業(株)製)を用いた。
リン酸にてpHは5.0に調整した。
【0043】<仕上げ液B>上記仕上げ液Aに重量平均
分子量約6000の水溶性ゼラチンを15g/リットル
加えた。
【0044】水洗液A及びB、仕上げ液A及びBのそれ
ぞれについて作成直後(表1においてはA−1と記す)
と作成後35℃で1ヶ月加温したもの(表1においては
A−2と記す)を用意し、ゼラチンの分解能力を測定し
た。測定に際しては、まずPETフィルムベース上に3
g/m2のゼラチンを塗布乾燥したものを用意し、その上
に0.02mlのそれぞれの液を落とし、何分後に液を
滴下した部分のゼラチンが完全に溶解してフィルムベー
ス上から除去されるかで判断した。以下の結果を表1に
示す。
【0045】
【表1】 ──────────────────────────────────── 処理液 経時 ゼラチン分解時間 備考 ──────────────────────────────────── 水洗液A−1 製造直後 3分 比較 水洗液A−2 35℃1ヶ月加温 10分 比較 水洗液B−1 製造直後 3分 本発明 水洗液B−2 35℃1ヶ月加温 3分 本発明 仕上げ液A−1 製造直後 3分 比較 仕上げ液A−2 35℃1ヶ月加温 10分 比較 仕上げ液B−1 製造直後 3分 本発明 仕上げ液B−2 35℃1ヶ月加温 3分 本発明 ────────────────────────────────────
【0046】さらに、それぞれの液を用いて、上記のよ
うに製版、印刷を行った。印刷は、経験的に得られた比
較的インキ受理性の悪い印刷条件、即ち、印刷機小森ス
プリント26(小森コーポレーション社製オフセット印
刷機の商標)、インキ(大日本インキ株製のニューチャ
ンピオン墨H)及び市販のPS版用給湿液を用いて印刷
を行い、印刷開始時のインキ受理性(インキ乗り)を評
価した。インキ受理性は印刷開始後、画像の濃度の変化
の起きなくなる迄の枚数で評価した。以上の結果を表2
に示す。
【0047】
【表2】 ──────────────────────────────────── 水洗液 仕上げ液 インキ乗り枚数 備考 ──────────────────────────────────── A−1 A−1 20枚 比較 A−2 A−1 50枚 比較 A−1 A−2 30枚 比較 A−2 A−2 100枚以上 比較 B−1 B−1 20枚 本発明 B−2 B−1 20枚 本発明 B−1 B−2 20枚 本発明B B−2 B−2 20枚 本発明 ────────────────────────────────────
【0048】表1の結果から明らかなように、比較の処
理液が35℃加温後にゼラチンを分解する能力が低下し
ているのに対して、本発明の処理液は35℃加温後もゼ
ラチンを分解する能力は低下しておらず、さらに、表2
から明らかなように、比較の処理液が加温によって印刷
性が低下するのに対して、加温の如何に関わらず良好な
印刷性を示している。
【0049】実施例2 実施例1の仕上げ液A、Bにおいて酵素をトリプシンに
代えた仕上げ液C、Dをそれぞれ作成し、実施例1と同
様にゼラチン分解能力の試験を行った。結果を表3に示
す。
【0050】
【表3】 ─────────────────────────────────── 処理液 経時 ゼラチン分解時間 備考 ─────────────────────────────────── 仕上げ液C−1 製造直後 3分 比較 仕上げ液C−2 35℃1ヶ月加温 10分 比較 仕上げ液D−1 製造直後 3分 本発明 仕上げ液D−2 35℃1ヶ月加温 3分 本発明 ───────────────────────────────────
【0051】さらに、それぞれの液を用いて、実施例1
と同様に製版、印刷を行った。印刷条件等は実施例1と
同様である。尚、水洗液には、実施例1に使用した水洗
液A−2を用いた。結果を表4に示す。
【0052】
【表4】 ────────────────────────────── 仕上げ液 インキ乗り枚数 備考 ────────────────────────────── C−1 50枚 比較 C−2 100枚以上 比較 D−1 50枚 本発明 D−2 50枚以上 本発明 ──────────────────────────────
【0053】表3の結果から明らかなように、比較の処
理液が35℃加温後にゼラチンを分解する能力が低下し
ているのに対して、本発明の処理液は35℃加温後もゼ
ラチンを分解する能力は低下しておらず、さらに、表4
から明らかなように、比較の処理液が加温によって印刷
性が低下するのに対して、加温での印刷性の低下は見ら
れない。
【0054】以上、実施例1および実施例2の結果から
明らかなように、本発明によって経時によって性能が低
下しないタンパク質分解酵素を含む処理液を提供するこ
とが可能である。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、酵素と水溶性ゼラチン
を共に含むことによって、経時による性能の劣化を起こ
さないタンパク質分解酵素を含有する写真用処理液、さ
らに詳しくは経時による性能の劣化を起こさないタンパ
ク質分解酵素を含有するハロゲン化銀乳剤層を有する銀
錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の処理に用いられ
る処理液、さらに詳しくはアルミニウム板を支持体とす
る銀錯塩拡散転写法を利用したアルミニウム平版印刷版
の現像処理後に用いられる処理液において、経時による
性能の劣化を起こさないタンパク質分解酵素を含有する
処理液を提供することが可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質分解酵素と水溶性ゼラチンを
    共に含むことを特徴とする写真用処理液。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銀乳剤層を有する銀錯塩拡散
    転写法を利用した平版印刷版の処理に用いられる処理液
    において、該処理液がタンパク質分解酵素と水溶性ゼラ
    チンを共に含むことを特徴とする処理液。
  3. 【請求項3】 陽極酸化されたアルミニウム支持体上に
    少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する銀錯塩拡散転写
    法を利用した平版印刷版の処理方法において、現像処理
    後に施される処理液にタンパク質分解酵素と水溶性ゼラ
    チンを共に含むことを特徴とする処理液。
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