JP2002286288A5 - - Google Patents
Download PDFInfo
- Publication number
- JP2002286288A5 JP2002286288A5 JP2001089463A JP2001089463A JP2002286288A5 JP 2002286288 A5 JP2002286288 A5 JP 2002286288A5 JP 2001089463 A JP2001089463 A JP 2001089463A JP 2001089463 A JP2001089463 A JP 2001089463A JP 2002286288 A5 JP2002286288 A5 JP 2002286288A5
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- reducing device
- opening degree
- valve opening
- pressure reducing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ヒートポンプ給湯機
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を有する冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を有する給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側出口水温である沸き上げ温度を一定にするために前記循環ポンプの流量を制御する流量制御手段と、前記貯湯槽中の湯水混合層を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記沸き上げ完了直前検出手段からの信号が所定の信号になった時に前記減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機。
【請求項2】 圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を有する冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を有する給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側出口水温である沸き上げ温度を一定にするために前記循環ポンプの流量を制御する流量制御手段と、前記給湯回路に設けられ前記冷媒対水熱交換器に流入する前の給水の温度を検知する給水温度検出手段とを有し、前記給水温度検出手段が前記貯湯槽中の湯水混合層を検出すると前記減圧装置の弁開度を開くように制御するヒートポンプ給湯機。
【請求項3】 制御手段は、外気温度検出手段が検出した外気温度に応じて減圧装置の弁開度の変更量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項4】 制御手段は、給水温度が高いほど減圧装置の弁開度の変更量を大きく制御することを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項5】 制御手段は、予め設定された時間間隔ごとに減圧装置の弁開度を変更することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項6】 制御手段は、減圧装置における弁開度の変更の時間間隔を、沸き上げ完了に近づくほど小さくすることを特徴とする請求項5に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項7】 沸き上げ完了直前検出手段は、循環ポンプの流量が最大流量になった時に、最大流量になっている時間を計算する時間計測手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項8】 沸き上げ完了直前検出手段は、吐出圧力検出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は貯湯式のヒートポンプ給湯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のヒートポンプ給湯機は特開昭60−164157号公報に示すようなものがある。図20は従来のヒートポンプ給湯機の構成図である。図20において、圧縮機1、冷媒対水熱交換器2、減圧装置3、蒸発器4からなる冷媒循環回路と、貯湯槽5、循環ポンプ6、前記冷媒対水熱交換器2、補助加熱器7を接続した給湯回路から成り、前記圧縮機1より吐出された高温高圧の過熱ガス冷媒は前記冷媒対水熱交換器2に流入し、ここで前記循環ポンプ6から送られてきた水を加熱し凝縮する。
【0003】
そして、凝縮液化した冷媒は前記減圧装置3で減圧され、前記蒸発器4に流入し、ここで大気熱を吸熱して蒸発ガス化し、前記圧縮機1に戻る。一方、前記冷媒対水熱交換器2で加熱された湯は前記貯湯槽5の上部に流入し、上から次第に貯湯されていく。そして、前記冷媒対水熱交換器2の入口水温が設定値に達すると、これを給水温度検出手段8が検知して前記圧縮機1によるヒートポンプ運転を停止し、前記補助加熱器7の単独運転に切り換えるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来例の構成では、沸き上げ運転時間の経過とともに貯湯槽5内の湯と水の接する部分で湯水混合層が生じ、その層は次第に拡大していく。図21は貯湯槽5内の湯の温度分布を示す。同図中において、T1は沸き上げ温度(高温湯)であり、T2は市水温度(低温湯)である。前述の湯水混合層は、高温湯と低温湯の熱伝導および対流により発生するものであり、高温湯から低温湯へ伝熱されその境界部分で高温湯は温度低下し、逆に低温湯は温度上昇する。
【0005】
従って、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、前記冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなるため、前記圧縮機1の吐出圧力は上昇して、モータの巻線温度の上昇など圧縮機1の耐久性が課題となってくる。
【0006】
図22は横軸に前記冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度を示し、縦軸にその時の圧縮機1の吐出圧力を示して、給水温度に対する圧縮機1の吐出圧力の関係を示したものである。同図中の圧力Pは常用上限圧力であり、圧縮機1の耐久性を保証するためには、通常運転ではこの圧力以下で運転する必要がある。圧力Pの時の給水温度は同図中よりT3となる。
【0007】
また、有効な湯温の下限をTu(例えば45#C)とし、前述のT3とTuを図21に示す。同図の左側に示す貯湯槽5の断面図において、湯温T3以下の領域は沸き上げ可能な領域であり、Tu以上の領域は有効な湯として使用できる領域である。しかし、湯温T3とTuの間の領域(斜線の部分)は有効な湯として利用できない領域である。
【0008】
このように従来例の構成では、前記冷媒対水熱交換器2に流れる水温が低い状態で運転を停止せざるをえないので、前記貯湯槽5の下部が低温の水の状態で停止することになり、前記貯湯槽5の湯容量を有効に利用できない。そのため、貯湯熱量は減少し、給湯負荷を満足することができない。これを解決する方法の一つとして、貯湯槽5の容量を大きくすることが考えられる。
【0009】
しかし、この場合には、貯湯槽5の設置面積が大きくなり、設置の自由度が制限され、かつ、コストが高くなるという課題がある。また、他の方法として、ヒートポンプ運転を停止した後、補助加熱器7の単独運転で貯湯熱量を増加する方法がある。しかし、この場合には、ヒータなどで加熱するため、消費電力が大きくなり、効率が悪くなるという課題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、圧縮機の異常温度上昇ならびに異常圧力上昇もなく、低消費電力量で貯湯槽の下部まで高温湯を貯湯し、湯容量を有効に利用可能としたヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ給湯機は、貯湯槽全体が沸き上がる直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、沸き上げ完了に近づいたことを検出したときに、減圧装置の開度を開くように制御する制御手段とを設けたものである。従って、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の開度を開くように制御し、吐出圧力を低く押さえるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置、蒸発器を有する冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を有する給湯回路と、貯湯槽全体が沸き上がる直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記沸き上げ完了直前検出手段からの信号が所定の信号になった時に、前記減圧装置の開度を開くように制御する制御手段とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の弁開度を開くように制御し、吐出圧力を低く押さえ、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、減圧装置の弁開度の変更幅は外気温度を検出する外気温度検出手段から得た外気温度に応じて決定する制御手段を備えたことにより、外気温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、予め決められた複数の給水温度毎に前記減圧装置の弁開度の変更を行う制御手段を備えたことにより、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、給水温度が高いほど減圧装置の弁開度の変更幅を大きくした制御手段を備えたことにより、吐出圧力の上昇が大きい高給水温度時に減圧装置の弁開度の変更量を大きくして吐出圧力を大きく低下させ、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、予め設定された時間間隔ごとに減圧装置の弁開度の変更を行う制御手段を備えたことにより、沸き上げ完了直前時に最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、減圧装置の弁開度の変更を行う時間間隔を沸き上げ完了に近づくほど小さくした制御手段を備えたことにより、沸き上げ完了に近づくほど吐出圧力の上昇が大きい時に減圧装置の弁開度の変更を多くして吐出圧力を大きく低下させ、最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、沸き上げ完了直前検出手段として、循環ポンプの流量が最大流量になった時に、最大流量になっている時間を計測する時間計測手段を備えたことにより、循環ポンプの能力が、所定の時間の間、最大になったことを検出して減圧装置の弁開度の変更を行い、吐出圧力を低く押さえ、加熱運転を続けるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0019】
請求項8に記載の発明は、沸き上げ完了直前検出手段として吐出圧力検出手段を用い、検出した吐出圧力が設定された基準圧力になれば、減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段を備えたことにより、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ直接吐出圧力により制御するので、圧縮機のより確実な耐久性の向上を図ることが可能になる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施例において、図20に示す従来の技術で説明したと同じ構成部材には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図2は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度とを示す説明図で、図3は同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の温度分布を示す説明図である。
【0022】
図1において、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けた沸き上げ温度検出手段9からの信号で流量制御手段10は、循環ポンプ6の回転数を制御して冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)をほぼ一定になるように沸き上げる。また、制御手段11は、沸き上げ完了の直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段12からの信号で、減圧装置3の弁開度を制御するものである。
【0023】
なお、沸き上げ完了直前検出手段12として、ここでは一例として、冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度を検出する給水温度検出手段8を用いる。また、減圧装置3として電動膨張弁(図示せず)等がある。
【0024】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。図2は横軸に運転時間を示し、縦軸に圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度とを示して、運転時間に対する圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度との関係を示したものである。従来例で説明したように、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなる。
【0025】
つまり、冷媒対水熱交換器2に流入する水が従来例で前述した湯水混合層の部分になると、同図に示すように、運転時間とともに給水温度が上昇する。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が(沸き上げ温度T1よりも低い温度である)沸き上げ完了直前検出温度Thを検出すると、この検出信号により制御手段11は、減圧装置3の弁開度を大きくする(開く)。
【0026】
この時、圧縮機の吐出圧力はP1からP2に減少する。その後、運転時間の経過とともに給水温度が更に上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が、常用上限圧力Pになる給水温度T3aを検出すると、圧縮機を停止し加熱運転を終了する。なお、同図中の太い点線は、減圧装置3の弁開度の制御を行わない従来例の場合である。運転限界の給水温度がT3からT3aへと高くなり、運転範囲が大きくなることが明らかにできるとともに、有効になった湯層ができ、使えない湯層が図3に示すように従来例よりも少なくなり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。
【0027】
以上のように本実施例の発明においては、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置、蒸発器を順次接続した冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を順次接続した給湯回路と、貯湯槽全体が沸き上がる直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記沸き上げ完了直前検出手段からの信号が所定の信号になった時に、前記減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の開度を開くように制御して吐出圧力を低く押さえ、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0028】
(実施例2)
図4は本発明の実施例2におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図5は同ヒートポンプ給湯機の減圧装置の弁開度に対する吐出圧力を示す説明図で、図6は同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する減圧装置の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度とを示す説明図である。
【0029】
本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、外気温度を検出するため蒸発器4の近傍に設けた外気温度検出手段13と、外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量を記憶している第一の記憶手段14とを設け、かつ制御手段11aは沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記外気温度検出手段13と第一の記憶手段14の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。
【0030】
前記第一の記憶手段14は、記憶している外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量を、次のような関係の基で設定している。すなわち、図5は横軸に減圧装置3の弁開度を示し、外気温度をパラメータ(冬は例えば5#C、中間期は例えば18#C、夏は例えば18#C)にして、縦軸に吐出圧力を示して、ある給水温度の場合における減圧装置3の弁開度に対する吐出圧力の関係を示したものである。同図に示すように、減圧装置3の弁開度が大きくなれば、吐出圧力が減少する。そこで、吐出圧力をP1からP2に減少させるため減圧装置3の弁開度の変更量を求めれば、冬(例えば5#C)では△S1、中間期(例えば18#C)では△S2、夏(例えば18#C)では△S3となる。
【0031】
図6は横軸に外気温度を示し、縦軸に減圧装置3の弁開度の変更量を示して、外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度との関係を示したものである。外気温度に対する減圧装置3における弁開度の変更量の関係は、図5で求めた外気温度(冬は5#C、中間期は18#C、夏は18#C)に対する変更量(冬は△S1、中間期は△S2、夏は△S3)の関係である。また、外気温度に対する沸き上げ完了直前検出温度の関係は、各外気温度(冬は例えば5#C、中間期は例えば18#C、夏は例えば18#C)において吐出圧力がP1になる給水温度(沸き上げ完了直前検出温度Th)を求めることによって決定できる。そして、これらの関係を表したものが図6であり、この図6の関係(テーブル)を第一の記憶手段14に予め記憶させる。なお、図中で、実施例1の図1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0032】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。制御手段11aは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出し、更に外気温度検出手段13から外気温度を検出する。そして、第一の記憶手段14に記憶させているテーブルから、外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度Thとを求める。そして、給水温度検出手段8から得た給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ第一の記憶手段14のテーブルから求めた減圧装置3の弁開度の変更量だけ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。減圧装置3の弁開度を変更すると吐出圧力はP1からP2に減少する。その後、実施例1で説明したように、運転時間の経過とともに給水温度が更に上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が、図2に示す常用上限圧力Pになる給水温度T3aを検出すると、圧縮機を停止し、加熱運転を終了する。
【0033】
以上のように本実施例の発明においては、減圧装置の弁開度の変更量は外気温度を検出する外気温度検出手段から得た外気温度に応じて決定する制御手段を備えたことにより、外気温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0034】
(実施例3)
図7は本発明の実施例3におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図8は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、給水温度記憶手段15を設け、かつ制御手段11bは沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記給水温度記憶手段15の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。
【0035】
前記給水温度記憶手段15は、記憶している給水温度を次のような関係の基で設定している。すなわち、図8は横軸に運転時間を示し、縦軸に給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態とを示し、運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態との関係を示したものである。同図中に示すTh1、Th2(Th1<Th2) は、沸き上げ完了直前検出温度Thで、それぞれ第一の沸き上げ完了直前検出温度、第二の沸き上げ完了直前検出温度である。この第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1と第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2とを給水温度記憶手段15に記憶させている。なお、図中において図1に示す実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0036】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。前述したように、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなる。制御手段11bは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出し、更に給水温度記憶手段15に記憶させている第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1を求める。そして、給水温度検出手段8から得た給水温度が第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1より低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1より高ければ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。このように減圧装置3の弁開度を変更すると吐出圧力は減少する。その後も、制御手段11bは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出し、更に給水温度記憶手段15に記憶させている第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2を求める。そして、給水温度検出手段8から得た給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2より低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2より高ければ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。更にこのように減圧装置3の弁開度を変更した時は同様に、圧縮機の吐出圧力は減少する。その後、実施例1で説明したように運転時間の経過とともに給水温度が更に上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が、常用上限圧力Pになる給水温度T3aを検出すると、圧縮機を停止し、加熱運転を終了する。
【0037】
以上のように本実施例の発明においては、予め決められた複数の給水温度毎に前記減圧装置の弁開度の変更を行う制御手段を備えたことにより、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0038】
また、本実施例では、沸き上げ完了直前検出温度Thとして2つの給水温度を設定したが、3つ以上の給水温度を設定しても、本実施例と同様の作用効果が得られる。
【0039】
(実施例4)
図9は本発明の実施例4におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図10は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力と減圧装置の弁開度を示す説明図で、図11は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を示す説明図である。
【0040】
本実施例において、図7に示す実施例3と異なる点は、給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を記憶する第二の記憶手段16を設け、かつ制御手段11cは沸き上げ完了直前検出手段12と、第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1と第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2とを記憶している給水温度記憶手段15の信号以外に、前記第二の記憶手段16の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。
【0041】
前記第二の記憶手段16は、記憶している給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を次のような関係の基で設定している。すなわち、図10は横軸に給水温度を示し、縦軸に吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示して、給水温度に対する吐出圧力と減圧装置の弁開度との関係を示したものである。同図において、点線は減圧装置3の弁開度を一定とした場合である。同図から明らかなように、給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力が高くなる。また、同図中に示すTh1、Th2、Th3、Th4 、Th5 (Th1<Th2<Th3<Th4<Th5) は、沸き上げ完了直前検出温度Thを示す給水温度で、それぞれ第一、第二、第三、第四、第五の沸き上げ完了直前検出温度である。この第一から第五の沸き上げ完了直前検出温度を給水温度記憶手段15に記憶させている。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8の検出した給水温度が、給水温度記憶手段15に記憶させている沸き上げ完了直前検出温度Th(Th1、Th2、Th3、Th4、Th5)以上になれば、減圧装置3の弁開度を変更(それぞれ△S1、△S2、△S3、△S4、△S5)する(開く)。この時の減圧装置3における弁開度の変更量を、同図に示すように、沸き上げ完了直前検出温度の高い方ほどより大きくする。つまり、沸き上げ完了直前検出温度Th1<Th2<Th3<Th4<Th5の時、減圧装置3の弁開度の変更量を△S1<△S2<△S3<△S4<△S5とする。このようにすれば、同図の実線で示すように、吐出圧力の急激な上昇はなくなる。
【0042】
また、図11は横軸に給水温度を示し、縦軸に減圧装置3の弁開度の変更量を示して、給水温度に対する減圧装置3における弁開度の変更量の関係を示したものであり、この関係を第二の記憶手段16に記憶させている。なお、図中において実施例3と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0043】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。制御手段11cは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8の検出した給水温度を検出する。そして、給水温度記憶手段15に記憶させている沸き上げ完了直前検出温度Th(Th1、Th2、Th3、Th4、Th5)を求める。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ、第二の記憶手段16に記憶している給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量(それぞれ△S1、△S2、△S3、△S4、△S5)だけ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。
【0044】
以上のように本実施例の発明においては、給水温度が高いほど減圧装置の弁開度の変更量を大きくした制御手段を備えたことにより、吐出圧力の上昇が大きい高給水温度時に減圧装置の弁開度の変更量を大きくして吐出圧力を大きく低下させ、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0045】
また、本実施例の発明では、沸き上げ完了直前検出温度Thとして5つの給水温度を設定したが、6つ以上の給水温度を設定しても、本実施例と同様の作用効果が得られる。
【0046】
(実施例5)
図12は本発明の実施例5におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図13は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点はタイマー17を設け、かつ制御御手段11dは、沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記タイマー17の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。すなわち、制御手段11dは、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thになれば、タイマー17により予め設定された所定の時間間隔△T毎に、減圧装置3の弁開度を大きくする制御を行うものである。
【0047】
つまり、図13は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示して、運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力との関係を示したものである。前述したように、貯湯槽5の湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇する。同図において、点線は減圧装置3の弁開度を一定とした場合であり、運転時間が経過して給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力が高くなる。そこで、給水温度が、沸き上げ完了直前検出温度Thになれば、タイマー17により予め設定された所定の時間間隔△T毎に、減圧装置3の弁開度を大きくする。このようにすれば、同図のように、減圧装置3の弁開度が一定の場合に比べて、吐出圧力(実線の部分)を低くすることができる。なお、図中において図1に示す実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0048】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。すなわち、制御手段11dは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出する。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ、タイマー17からの信号によって所定の時間間隔△T毎に段階的に減圧装置3の弁開度を開くものである。
【0049】
以上のように本実施例の発明においては、予め設定された時間間隔ごとに減圧装置3の弁開度の変更を行う制御手段11dを備えたことにより、沸き上げ完了直前時に最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0050】
(実施例6)
図14は本発明の実施例6におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図15は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図である。本実施例において、図12に示す実施例5と異なる点は、減圧装置3の弁開度の変更を行う時間間隔を沸き上げ完了に近づくほど小さく設定した時間間隔記憶手段18を設け、かつ制御御手段11eは、沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記時間間隔記憶手段18の信号に基くタイマー17の信号をとり込んで、減圧装置3の弁開度の変更を行う時間間隔を、沸き上げ完了に近づくほど小さく制御する構成としていることである。
【0051】
すなわち、図15は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示して、運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力との関係を示したものである。前述したように、貯湯槽5の湯水混合層の部分になると運転時間の経過とともに給水温度が上昇する。同図において、点線は減圧装置3の弁開度を一定とした場合であり、運転時間が経過して給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力(点線の部分)が高くなる。そこで、給水温度が、第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1になれば、予め設定された所定の第一の時間間隔△T1毎に、減圧装置3の弁開度を段階的に大きくする。そして、給水温度が更に上昇し、給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2になれば、前記第一の時間間隔△T1より小さい所定の第二の時間間隔△T2(△T2<△T1)毎に、減圧装置3の弁開度を段階的に大きくする。
【0052】
このように、吐出圧力が急激に上昇する高給水温度時に、減圧装置3の弁開度を修正する時間間隔を短くすれば、同図のように、減圧装置3の弁開度が一定の場合に比べて、吐出圧力(実線の部分)を低くすることができ、特に、急激な吐出圧力の上昇をなくすことができるため、給湯加熱運転の範囲を広げることができる。従って、前述した第一の時間間隔△T1と第二の時間間隔△T2とを時間間隔記憶手段18に記憶させているのである。なお、図中において図12に示す実施例5と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0053】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。すなわち、制御手段11eは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出する。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1より高ければ、時間間隔記憶手段18からの信号によって、第一の時間間隔△T1を検出する。そして、タイマー17からの信号によって、第一の時間間隔△T1毎に減圧装置3の弁開度を段階的に開く。更に、給水温度が上昇し、給水温度検出手段8から求めた給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2より高ければ、時間間隔記憶手段18からの信号によって、第二の時間間隔△T2を検出する。そして、タイマー17からの信号によって、第二の時間間隔△T2毎に減圧装置3の弁開度を段階的に開くものである。
【0054】
以上のように本実施例の発明においては、減圧装置の弁開度の変更を行う時間間隔を沸き上げ完了に近づくほど小さくした制御手段を備えたことにより、沸き上げ完了に近づくほど吐出圧力の上昇が大きい時に減圧装置の弁開度の変更を多くして吐出圧力を大きく低下させ、最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0055】
また、本実施例では、減圧装置の弁開度の変更を行う時間間隔として2つの時間間隔(△T1、△T2)を設定したが、3つ以上の時間間隔を設定しても、本実施例と同様の作用効果が得られる。
【0056】
(実施例7)
図16は本発明の実施例7におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図17は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と循環ポンプの回転数と流量と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、沸き上げ完了直前検出手段12として、循環ポンプ6の流量が最大流量になっている時間を、流量検出手段10を通じて計測する時間計測手段19を設け、かつ制御手段11fは前記時間計測手段19の出力信号を受けて減圧装置3を制御する構成としていることである。なお、図中で実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0057】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。図17は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と循環ポンプ6の回転数および流量と吐出圧力と減圧装置3の弁開度とを示して、運転時間に対する給水温度と循環ポンプ6の回転数および流量と吐出圧力と減圧装置3の弁開度との関係を示したものである。前述したように、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けられた沸き上げ温度検出手段9からの信号で流量制御手段10は循環ポンプ6の回転数を制御して、冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)をほぼ一定になるように沸き上げる。今、貯湯槽5における湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇するので、冷媒対水熱交換器2の水側流量が大きくなるように循環ポンプ6の回転数を増加させていく。ところが、循環ポンプ6の回転数が最大回転数に達してもなお給水温度が上昇する場合がある。この場合には、冷媒対水熱交換器2の出口水温である沸き上げ温度が上昇し、かつ、吐出圧力も急激に上昇する。そこで、循環ポンプ6の回転数が所定の運転時間続けて最大回転数になれば、減圧装置3の弁開度を開くように制御すれば、図17に示すように吐出圧力が低下し、給湯加熱運転を続けることが可能になる。
【0058】
すなわち、制御手段11fは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である時間計測手段19から循環ポンプ6の流量が最大流量になっている時間を検出する。そして、この検出した時間が制御手段11fに予め設定した所定の運転時間より長ければ、時間計測手段19からの信号によって減圧装置3の弁開度を開くのである。
【0059】
以上のように、本実施例の発明においては、沸き上げ完了直前検出手段として、循環ポンプの流量が最大流量になった時に、最大流量になっている時間を計算する時間計測手段を備えたことにより、循環ポンプの能力が、所定の時間の間、最大になったことを検出して減圧装置の弁開度の変更を行い吐出圧力を低く押さえ加熱運転を続けるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0060】
(実施例8)
図18は本発明の実施例8におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図19は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、沸上げ完了直前検出手段12として、ヒートポンプの冷媒循環回路における圧縮機1の吐出側に接続し、吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段20を設け、かつ制御手段11gは前記吐出圧力検出手段20の出力信号を受けて減圧装置3を制御する構成としていることである。なお、図中で実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0061】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。図19は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示して、運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度との関係を示したものである。前述したように、貯湯槽における湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇し、これに伴って吐出圧力も高くなる。そこで、吐出圧力が基準圧力Pになれば、減圧装置3の弁開度を大きくする。その結果、吐出圧力を低下させることができる。
【0062】
すなわち、制御手段11gは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である吐出圧力検出手段20から吐出圧力を検出する。そして、吐出圧力検出手段20から求めた吐出圧力が、制御手段11gに予め設定した基準圧力Pより高ければ、吐出圧力検出手段20からの信号によって、減圧装置3の弁開度を開くのである。このような制御を制御手段11gにより繰り返し行い、吐出圧力が基準圧力Pを越えないようにしている。
【0063】
以上のように本実施例の発明においては、沸き上げ完了直前検出手段として吐出圧力検出手段を用い、検出した吐出圧力が設定された基準圧力になれば、減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段を備えたことにより、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ直接吐出圧力で制御するので、圧縮機のより確実な耐久性の向上になるものである。
【0064】
【発明の効果】
以上のように請求項1から請求項8に記載の発明によれば、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の弁開度を開くように制御し、吐出圧力を低く押さえ、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能になるので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。従って、従来と同じ大きさの貯湯槽でより大きな給湯負荷を満足し、逆に、従来と同じ大きさの給湯負荷を満足するためには、従来に比し小形の貯湯槽にできるので、設置の自由度が大きく、コスト低減もできる。更に、効率の良い給湯加熱運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例1のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図2】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度とを示す説明図
【図3】
同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の温度分布を示す説明図
【図4】
本発明の実施例2のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図5】
同ヒートポンプ給湯機の減圧装置の弁開度に対する吐出圧力を示す説明図
【図6】
同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する減圧装置の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度とを示す説明図
【図7】
本発明の実施例3のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図8】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態とを示す説明図
【図9】
本発明の実施例4のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図10】
同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力と減圧装置の弁開度を示す説明図
【図11】
同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を示す説明図
【図12】
本発明の実施例5のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図13】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図
【図14】
本発明の実施例6のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図15】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図
【図16】
本発明の実施例7のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図17】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と循環ポンプの回転数および流量と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図
【図18】
本発明の実施例8のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図19】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図
【図20】
従来例におけるヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図21】
同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の温度分布を示す説明図
【図22】
同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力を示す説明図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 冷媒対水熱交換器
3 減圧装置
4 蒸発器
5 貯湯槽
6 循環ポンプ
8 給水温度検出手段
10 流量制御手段
11、11a、11b、11c 制御手段
11d、11e、11f、11g 制御手段
12 沸き上げ完了直前検出手段
13 外気温度検出手段
14 第一の記憶手段
15 給水温度記憶手段
16 第二の記憶手段
17 タイマー
18 時間間隔記憶手段
19 時間計測手段
20 吐出圧力検出手段
【発明の名称】 ヒートポンプ給湯機
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を有する冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を有する給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側出口水温である沸き上げ温度を一定にするために前記循環ポンプの流量を制御する流量制御手段と、前記貯湯槽中の湯水混合層を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記沸き上げ完了直前検出手段からの信号が所定の信号になった時に前記減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機。
【請求項2】 圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を有する冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を有する給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側出口水温である沸き上げ温度を一定にするために前記循環ポンプの流量を制御する流量制御手段と、前記給湯回路に設けられ前記冷媒対水熱交換器に流入する前の給水の温度を検知する給水温度検出手段とを有し、前記給水温度検出手段が前記貯湯槽中の湯水混合層を検出すると前記減圧装置の弁開度を開くように制御するヒートポンプ給湯機。
【請求項3】 制御手段は、外気温度検出手段が検出した外気温度に応じて減圧装置の弁開度の変更量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項4】 制御手段は、給水温度が高いほど減圧装置の弁開度の変更量を大きく制御することを特徴とする請求項2に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項5】 制御手段は、予め設定された時間間隔ごとに減圧装置の弁開度を変更することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項6】 制御手段は、減圧装置における弁開度の変更の時間間隔を、沸き上げ完了に近づくほど小さくすることを特徴とする請求項5に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項7】 沸き上げ完了直前検出手段は、循環ポンプの流量が最大流量になった時に、最大流量になっている時間を計算する時間計測手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【請求項8】 沸き上げ完了直前検出手段は、吐出圧力検出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ給湯機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は貯湯式のヒートポンプ給湯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のヒートポンプ給湯機は特開昭60−164157号公報に示すようなものがある。図20は従来のヒートポンプ給湯機の構成図である。図20において、圧縮機1、冷媒対水熱交換器2、減圧装置3、蒸発器4からなる冷媒循環回路と、貯湯槽5、循環ポンプ6、前記冷媒対水熱交換器2、補助加熱器7を接続した給湯回路から成り、前記圧縮機1より吐出された高温高圧の過熱ガス冷媒は前記冷媒対水熱交換器2に流入し、ここで前記循環ポンプ6から送られてきた水を加熱し凝縮する。
【0003】
そして、凝縮液化した冷媒は前記減圧装置3で減圧され、前記蒸発器4に流入し、ここで大気熱を吸熱して蒸発ガス化し、前記圧縮機1に戻る。一方、前記冷媒対水熱交換器2で加熱された湯は前記貯湯槽5の上部に流入し、上から次第に貯湯されていく。そして、前記冷媒対水熱交換器2の入口水温が設定値に達すると、これを給水温度検出手段8が検知して前記圧縮機1によるヒートポンプ運転を停止し、前記補助加熱器7の単独運転に切り換えるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来例の構成では、沸き上げ運転時間の経過とともに貯湯槽5内の湯と水の接する部分で湯水混合層が生じ、その層は次第に拡大していく。図21は貯湯槽5内の湯の温度分布を示す。同図中において、T1は沸き上げ温度(高温湯)であり、T2は市水温度(低温湯)である。前述の湯水混合層は、高温湯と低温湯の熱伝導および対流により発生するものであり、高温湯から低温湯へ伝熱されその境界部分で高温湯は温度低下し、逆に低温湯は温度上昇する。
【0005】
従って、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、前記冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなるため、前記圧縮機1の吐出圧力は上昇して、モータの巻線温度の上昇など圧縮機1の耐久性が課題となってくる。
【0006】
図22は横軸に前記冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度を示し、縦軸にその時の圧縮機1の吐出圧力を示して、給水温度に対する圧縮機1の吐出圧力の関係を示したものである。同図中の圧力Pは常用上限圧力であり、圧縮機1の耐久性を保証するためには、通常運転ではこの圧力以下で運転する必要がある。圧力Pの時の給水温度は同図中よりT3となる。
【0007】
また、有効な湯温の下限をTu(例えば45#C)とし、前述のT3とTuを図21に示す。同図の左側に示す貯湯槽5の断面図において、湯温T3以下の領域は沸き上げ可能な領域であり、Tu以上の領域は有効な湯として使用できる領域である。しかし、湯温T3とTuの間の領域(斜線の部分)は有効な湯として利用できない領域である。
【0008】
このように従来例の構成では、前記冷媒対水熱交換器2に流れる水温が低い状態で運転を停止せざるをえないので、前記貯湯槽5の下部が低温の水の状態で停止することになり、前記貯湯槽5の湯容量を有効に利用できない。そのため、貯湯熱量は減少し、給湯負荷を満足することができない。これを解決する方法の一つとして、貯湯槽5の容量を大きくすることが考えられる。
【0009】
しかし、この場合には、貯湯槽5の設置面積が大きくなり、設置の自由度が制限され、かつ、コストが高くなるという課題がある。また、他の方法として、ヒートポンプ運転を停止した後、補助加熱器7の単独運転で貯湯熱量を増加する方法がある。しかし、この場合には、ヒータなどで加熱するため、消費電力が大きくなり、効率が悪くなるという課題がある。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、圧縮機の異常温度上昇ならびに異常圧力上昇もなく、低消費電力量で貯湯槽の下部まで高温湯を貯湯し、湯容量を有効に利用可能としたヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ給湯機は、貯湯槽全体が沸き上がる直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、沸き上げ完了に近づいたことを検出したときに、減圧装置の開度を開くように制御する制御手段とを設けたものである。従って、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の開度を開くように制御し、吐出圧力を低く押さえるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置、蒸発器を有する冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を有する給湯回路と、貯湯槽全体が沸き上がる直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記沸き上げ完了直前検出手段からの信号が所定の信号になった時に、前記減圧装置の開度を開くように制御する制御手段とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の弁開度を開くように制御し、吐出圧力を低く押さえ、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、減圧装置の弁開度の変更幅は外気温度を検出する外気温度検出手段から得た外気温度に応じて決定する制御手段を備えたことにより、外気温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、予め決められた複数の給水温度毎に前記減圧装置の弁開度の変更を行う制御手段を備えたことにより、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、給水温度が高いほど減圧装置の弁開度の変更幅を大きくした制御手段を備えたことにより、吐出圧力の上昇が大きい高給水温度時に減圧装置の弁開度の変更量を大きくして吐出圧力を大きく低下させ、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、予め設定された時間間隔ごとに減圧装置の弁開度の変更を行う制御手段を備えたことにより、沸き上げ完了直前時に最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、減圧装置の弁開度の変更を行う時間間隔を沸き上げ完了に近づくほど小さくした制御手段を備えたことにより、沸き上げ完了に近づくほど吐出圧力の上昇が大きい時に減圧装置の弁開度の変更を多くして吐出圧力を大きく低下させ、最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、沸き上げ完了直前検出手段として、循環ポンプの流量が最大流量になった時に、最大流量になっている時間を計測する時間計測手段を備えたことにより、循環ポンプの能力が、所定の時間の間、最大になったことを検出して減圧装置の弁開度の変更を行い、吐出圧力を低く押さえ、加熱運転を続けるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0019】
請求項8に記載の発明は、沸き上げ完了直前検出手段として吐出圧力検出手段を用い、検出した吐出圧力が設定された基準圧力になれば、減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段を備えたことにより、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ直接吐出圧力により制御するので、圧縮機のより確実な耐久性の向上を図ることが可能になる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施例において、図20に示す従来の技術で説明したと同じ構成部材には同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる処を中心に説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図2は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度とを示す説明図で、図3は同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の温度分布を示す説明図である。
【0022】
図1において、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けた沸き上げ温度検出手段9からの信号で流量制御手段10は、循環ポンプ6の回転数を制御して冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)をほぼ一定になるように沸き上げる。また、制御手段11は、沸き上げ完了の直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段12からの信号で、減圧装置3の弁開度を制御するものである。
【0023】
なお、沸き上げ完了直前検出手段12として、ここでは一例として、冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度を検出する給水温度検出手段8を用いる。また、減圧装置3として電動膨張弁(図示せず)等がある。
【0024】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。図2は横軸に運転時間を示し、縦軸に圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度とを示して、運転時間に対する圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度との関係を示したものである。従来例で説明したように、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなる。
【0025】
つまり、冷媒対水熱交換器2に流入する水が従来例で前述した湯水混合層の部分になると、同図に示すように、運転時間とともに給水温度が上昇する。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が(沸き上げ温度T1よりも低い温度である)沸き上げ完了直前検出温度Thを検出すると、この検出信号により制御手段11は、減圧装置3の弁開度を大きくする(開く)。
【0026】
この時、圧縮機の吐出圧力はP1からP2に減少する。その後、運転時間の経過とともに給水温度が更に上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が、常用上限圧力Pになる給水温度T3aを検出すると、圧縮機を停止し加熱運転を終了する。なお、同図中の太い点線は、減圧装置3の弁開度の制御を行わない従来例の場合である。運転限界の給水温度がT3からT3aへと高くなり、運転範囲が大きくなることが明らかにできるとともに、有効になった湯層ができ、使えない湯層が図3に示すように従来例よりも少なくなり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。
【0027】
以上のように本実施例の発明においては、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置、蒸発器を順次接続した冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を順次接続した給湯回路と、貯湯槽全体が沸き上がる直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記沸き上げ完了直前検出手段からの信号が所定の信号になった時に、前記減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の開度を開くように制御して吐出圧力を低く押さえ、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0028】
(実施例2)
図4は本発明の実施例2におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図5は同ヒートポンプ給湯機の減圧装置の弁開度に対する吐出圧力を示す説明図で、図6は同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する減圧装置の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度とを示す説明図である。
【0029】
本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、外気温度を検出するため蒸発器4の近傍に設けた外気温度検出手段13と、外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量を記憶している第一の記憶手段14とを設け、かつ制御手段11aは沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記外気温度検出手段13と第一の記憶手段14の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。
【0030】
前記第一の記憶手段14は、記憶している外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量を、次のような関係の基で設定している。すなわち、図5は横軸に減圧装置3の弁開度を示し、外気温度をパラメータ(冬は例えば5#C、中間期は例えば18#C、夏は例えば18#C)にして、縦軸に吐出圧力を示して、ある給水温度の場合における減圧装置3の弁開度に対する吐出圧力の関係を示したものである。同図に示すように、減圧装置3の弁開度が大きくなれば、吐出圧力が減少する。そこで、吐出圧力をP1からP2に減少させるため減圧装置3の弁開度の変更量を求めれば、冬(例えば5#C)では△S1、中間期(例えば18#C)では△S2、夏(例えば18#C)では△S3となる。
【0031】
図6は横軸に外気温度を示し、縦軸に減圧装置3の弁開度の変更量を示して、外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度との関係を示したものである。外気温度に対する減圧装置3における弁開度の変更量の関係は、図5で求めた外気温度(冬は5#C、中間期は18#C、夏は18#C)に対する変更量(冬は△S1、中間期は△S2、夏は△S3)の関係である。また、外気温度に対する沸き上げ完了直前検出温度の関係は、各外気温度(冬は例えば5#C、中間期は例えば18#C、夏は例えば18#C)において吐出圧力がP1になる給水温度(沸き上げ完了直前検出温度Th)を求めることによって決定できる。そして、これらの関係を表したものが図6であり、この図6の関係(テーブル)を第一の記憶手段14に予め記憶させる。なお、図中で、実施例1の図1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0032】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。制御手段11aは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出し、更に外気温度検出手段13から外気温度を検出する。そして、第一の記憶手段14に記憶させているテーブルから、外気温度に対する減圧装置3の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度Thとを求める。そして、給水温度検出手段8から得た給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ第一の記憶手段14のテーブルから求めた減圧装置3の弁開度の変更量だけ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。減圧装置3の弁開度を変更すると吐出圧力はP1からP2に減少する。その後、実施例1で説明したように、運転時間の経過とともに給水温度が更に上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が、図2に示す常用上限圧力Pになる給水温度T3aを検出すると、圧縮機を停止し、加熱運転を終了する。
【0033】
以上のように本実施例の発明においては、減圧装置の弁開度の変更量は外気温度を検出する外気温度検出手段から得た外気温度に応じて決定する制御手段を備えたことにより、外気温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0034】
(実施例3)
図7は本発明の実施例3におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図8は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、給水温度記憶手段15を設け、かつ制御手段11bは沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記給水温度記憶手段15の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。
【0035】
前記給水温度記憶手段15は、記憶している給水温度を次のような関係の基で設定している。すなわち、図8は横軸に運転時間を示し、縦軸に給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態とを示し、運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態との関係を示したものである。同図中に示すTh1、Th2(Th1<Th2) は、沸き上げ完了直前検出温度Thで、それぞれ第一の沸き上げ完了直前検出温度、第二の沸き上げ完了直前検出温度である。この第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1と第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2とを給水温度記憶手段15に記憶させている。なお、図中において図1に示す実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0036】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。前述したように、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなる。制御手段11bは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出し、更に給水温度記憶手段15に記憶させている第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1を求める。そして、給水温度検出手段8から得た給水温度が第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1より低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1より高ければ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。このように減圧装置3の弁開度を変更すると吐出圧力は減少する。その後も、制御手段11bは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出し、更に給水温度記憶手段15に記憶させている第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2を求める。そして、給水温度検出手段8から得た給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2より低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2より高ければ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。更にこのように減圧装置3の弁開度を変更した時は同様に、圧縮機の吐出圧力は減少する。その後、実施例1で説明したように運転時間の経過とともに給水温度が更に上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が、常用上限圧力Pになる給水温度T3aを検出すると、圧縮機を停止し、加熱運転を終了する。
【0037】
以上のように本実施例の発明においては、予め決められた複数の給水温度毎に前記減圧装置の弁開度の変更を行う制御手段を備えたことにより、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0038】
また、本実施例では、沸き上げ完了直前検出温度Thとして2つの給水温度を設定したが、3つ以上の給水温度を設定しても、本実施例と同様の作用効果が得られる。
【0039】
(実施例4)
図9は本発明の実施例4におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図10は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力と減圧装置の弁開度を示す説明図で、図11は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を示す説明図である。
【0040】
本実施例において、図7に示す実施例3と異なる点は、給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を記憶する第二の記憶手段16を設け、かつ制御手段11cは沸き上げ完了直前検出手段12と、第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1と第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2とを記憶している給水温度記憶手段15の信号以外に、前記第二の記憶手段16の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。
【0041】
前記第二の記憶手段16は、記憶している給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を次のような関係の基で設定している。すなわち、図10は横軸に給水温度を示し、縦軸に吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示して、給水温度に対する吐出圧力と減圧装置の弁開度との関係を示したものである。同図において、点線は減圧装置3の弁開度を一定とした場合である。同図から明らかなように、給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力が高くなる。また、同図中に示すTh1、Th2、Th3、Th4 、Th5 (Th1<Th2<Th3<Th4<Th5) は、沸き上げ完了直前検出温度Thを示す給水温度で、それぞれ第一、第二、第三、第四、第五の沸き上げ完了直前検出温度である。この第一から第五の沸き上げ完了直前検出温度を給水温度記憶手段15に記憶させている。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8の検出した給水温度が、給水温度記憶手段15に記憶させている沸き上げ完了直前検出温度Th(Th1、Th2、Th3、Th4、Th5)以上になれば、減圧装置3の弁開度を変更(それぞれ△S1、△S2、△S3、△S4、△S5)する(開く)。この時の減圧装置3における弁開度の変更量を、同図に示すように、沸き上げ完了直前検出温度の高い方ほどより大きくする。つまり、沸き上げ完了直前検出温度Th1<Th2<Th3<Th4<Th5の時、減圧装置3の弁開度の変更量を△S1<△S2<△S3<△S4<△S5とする。このようにすれば、同図の実線で示すように、吐出圧力の急激な上昇はなくなる。
【0042】
また、図11は横軸に給水温度を示し、縦軸に減圧装置3の弁開度の変更量を示して、給水温度に対する減圧装置3における弁開度の変更量の関係を示したものであり、この関係を第二の記憶手段16に記憶させている。なお、図中において実施例3と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0043】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。制御手段11cは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8の検出した給水温度を検出する。そして、給水温度記憶手段15に記憶させている沸き上げ完了直前検出温度Th(Th1、Th2、Th3、Th4、Th5)を求める。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより低ければ、減圧装置3の弁開度は変更せず、逆に、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ、第二の記憶手段16に記憶している給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量(それぞれ△S1、△S2、△S3、△S4、△S5)だけ減圧装置3の弁開度を変更する(開く)。
【0044】
以上のように本実施例の発明においては、給水温度が高いほど減圧装置の弁開度の変更量を大きくした制御手段を備えたことにより、吐出圧力の上昇が大きい高給水温度時に減圧装置の弁開度の変更量を大きくして吐出圧力を大きく低下させ、給水温度に応じた最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0045】
また、本実施例の発明では、沸き上げ完了直前検出温度Thとして5つの給水温度を設定したが、6つ以上の給水温度を設定しても、本実施例と同様の作用効果が得られる。
【0046】
(実施例5)
図12は本発明の実施例5におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図13は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点はタイマー17を設け、かつ制御御手段11dは、沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記タイマー17の信号をとり込んで減圧装置3を制御する構成としていることである。すなわち、制御手段11dは、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thになれば、タイマー17により予め設定された所定の時間間隔△T毎に、減圧装置3の弁開度を大きくする制御を行うものである。
【0047】
つまり、図13は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示して、運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力との関係を示したものである。前述したように、貯湯槽5の湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇する。同図において、点線は減圧装置3の弁開度を一定とした場合であり、運転時間が経過して給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力が高くなる。そこで、給水温度が、沸き上げ完了直前検出温度Thになれば、タイマー17により予め設定された所定の時間間隔△T毎に、減圧装置3の弁開度を大きくする。このようにすれば、同図のように、減圧装置3の弁開度が一定の場合に比べて、吐出圧力(実線の部分)を低くすることができる。なお、図中において図1に示す実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0048】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。すなわち、制御手段11dは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出する。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ、タイマー17からの信号によって所定の時間間隔△T毎に段階的に減圧装置3の弁開度を開くものである。
【0049】
以上のように本実施例の発明においては、予め設定された時間間隔ごとに減圧装置3の弁開度の変更を行う制御手段11dを備えたことにより、沸き上げ完了直前時に最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0050】
(実施例6)
図14は本発明の実施例6におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図15は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図である。本実施例において、図12に示す実施例5と異なる点は、減圧装置3の弁開度の変更を行う時間間隔を沸き上げ完了に近づくほど小さく設定した時間間隔記憶手段18を設け、かつ制御御手段11eは、沸き上げ完了直前検出手段12の信号以外に、前記時間間隔記憶手段18の信号に基くタイマー17の信号をとり込んで、減圧装置3の弁開度の変更を行う時間間隔を、沸き上げ完了に近づくほど小さく制御する構成としていることである。
【0051】
すなわち、図15は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示して、運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力との関係を示したものである。前述したように、貯湯槽5の湯水混合層の部分になると運転時間の経過とともに給水温度が上昇する。同図において、点線は減圧装置3の弁開度を一定とした場合であり、運転時間が経過して給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力(点線の部分)が高くなる。そこで、給水温度が、第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1になれば、予め設定された所定の第一の時間間隔△T1毎に、減圧装置3の弁開度を段階的に大きくする。そして、給水温度が更に上昇し、給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2になれば、前記第一の時間間隔△T1より小さい所定の第二の時間間隔△T2(△T2<△T1)毎に、減圧装置3の弁開度を段階的に大きくする。
【0052】
このように、吐出圧力が急激に上昇する高給水温度時に、減圧装置3の弁開度を修正する時間間隔を短くすれば、同図のように、減圧装置3の弁開度が一定の場合に比べて、吐出圧力(実線の部分)を低くすることができ、特に、急激な吐出圧力の上昇をなくすことができるため、給湯加熱運転の範囲を広げることができる。従って、前述した第一の時間間隔△T1と第二の時間間隔△T2とを時間間隔記憶手段18に記憶させているのである。なお、図中において図12に示す実施例5と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0053】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。すなわち、制御手段11eは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出する。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が第一の沸き上げ完了直前検出温度Th1より高ければ、時間間隔記憶手段18からの信号によって、第一の時間間隔△T1を検出する。そして、タイマー17からの信号によって、第一の時間間隔△T1毎に減圧装置3の弁開度を段階的に開く。更に、給水温度が上昇し、給水温度検出手段8から求めた給水温度が第二の沸き上げ完了直前検出温度Th2より高ければ、時間間隔記憶手段18からの信号によって、第二の時間間隔△T2を検出する。そして、タイマー17からの信号によって、第二の時間間隔△T2毎に減圧装置3の弁開度を段階的に開くものである。
【0054】
以上のように本実施例の発明においては、減圧装置の弁開度の変更を行う時間間隔を沸き上げ完了に近づくほど小さくした制御手段を備えたことにより、沸き上げ完了に近づくほど吐出圧力の上昇が大きい時に減圧装置の弁開度の変更を多くして吐出圧力を大きく低下させ、最適な減圧装置の弁開度の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ効率の良い給湯加熱運転ができるものである。
【0055】
また、本実施例では、減圧装置の弁開度の変更を行う時間間隔として2つの時間間隔(△T1、△T2)を設定したが、3つ以上の時間間隔を設定しても、本実施例と同様の作用効果が得られる。
【0056】
(実施例7)
図16は本発明の実施例7におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図17は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と循環ポンプの回転数と流量と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、沸き上げ完了直前検出手段12として、循環ポンプ6の流量が最大流量になっている時間を、流量検出手段10を通じて計測する時間計測手段19を設け、かつ制御手段11fは前記時間計測手段19の出力信号を受けて減圧装置3を制御する構成としていることである。なお、図中で実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0057】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。図17は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と循環ポンプ6の回転数および流量と吐出圧力と減圧装置3の弁開度とを示して、運転時間に対する給水温度と循環ポンプ6の回転数および流量と吐出圧力と減圧装置3の弁開度との関係を示したものである。前述したように、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けられた沸き上げ温度検出手段9からの信号で流量制御手段10は循環ポンプ6の回転数を制御して、冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)をほぼ一定になるように沸き上げる。今、貯湯槽5における湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇するので、冷媒対水熱交換器2の水側流量が大きくなるように循環ポンプ6の回転数を増加させていく。ところが、循環ポンプ6の回転数が最大回転数に達してもなお給水温度が上昇する場合がある。この場合には、冷媒対水熱交換器2の出口水温である沸き上げ温度が上昇し、かつ、吐出圧力も急激に上昇する。そこで、循環ポンプ6の回転数が所定の運転時間続けて最大回転数になれば、減圧装置3の弁開度を開くように制御すれば、図17に示すように吐出圧力が低下し、給湯加熱運転を続けることが可能になる。
【0058】
すなわち、制御手段11fは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である時間計測手段19から循環ポンプ6の流量が最大流量になっている時間を検出する。そして、この検出した時間が制御手段11fに予め設定した所定の運転時間より長ければ、時間計測手段19からの信号によって減圧装置3の弁開度を開くのである。
【0059】
以上のように、本実施例の発明においては、沸き上げ完了直前検出手段として、循環ポンプの流量が最大流量になった時に、最大流量になっている時間を計算する時間計測手段を備えたことにより、循環ポンプの能力が、所定の時間の間、最大になったことを検出して減圧装置の弁開度の変更を行い吐出圧力を低く押さえ加熱運転を続けるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できるものである。
【0060】
(実施例8)
図18は本発明の実施例8におけるヒートポンプ給湯機の構成図で、図19は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図である。本実施例において、図1に示す実施例1と異なる点は、沸上げ完了直前検出手段12として、ヒートポンプの冷媒循環回路における圧縮機1の吐出側に接続し、吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段20を設け、かつ制御手段11gは前記吐出圧力検出手段20の出力信号を受けて減圧装置3を制御する構成としていることである。なお、図中で実施例1と同符号の部分は同一構成を示し、詳細な説明は省略する。
【0061】
次に上記実施例の動作と作用について説明する。図19は横軸に運転時間度を示し、縦軸に給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示して、運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度との関係を示したものである。前述したように、貯湯槽における湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇し、これに伴って吐出圧力も高くなる。そこで、吐出圧力が基準圧力Pになれば、減圧装置3の弁開度を大きくする。その結果、吐出圧力を低下させることができる。
【0062】
すなわち、制御手段11gは、定期的に沸き上げ完了直前検出手段12である吐出圧力検出手段20から吐出圧力を検出する。そして、吐出圧力検出手段20から求めた吐出圧力が、制御手段11gに予め設定した基準圧力Pより高ければ、吐出圧力検出手段20からの信号によって、減圧装置3の弁開度を開くのである。このような制御を制御手段11gにより繰り返し行い、吐出圧力が基準圧力Pを越えないようにしている。
【0063】
以上のように本実施例の発明においては、沸き上げ完了直前検出手段として吐出圧力検出手段を用い、検出した吐出圧力が設定された基準圧力になれば、減圧装置の弁開度を開くように制御する制御手段を備えたことにより、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ直接吐出圧力で制御するので、圧縮機のより確実な耐久性の向上になるものである。
【0064】
【発明の効果】
以上のように請求項1から請求項8に記載の発明によれば、沸き上げ完了に近づき、圧縮機の吐出圧力が上昇する場合に、減圧装置の弁開度を開くように制御し、吐出圧力を低く押さえ、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能になるので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。従って、従来と同じ大きさの貯湯槽でより大きな給湯負荷を満足し、逆に、従来と同じ大きさの給湯負荷を満足するためには、従来に比し小形の貯湯槽にできるので、設置の自由度が大きく、コスト低減もできる。更に、効率の良い給湯加熱運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例1のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図2】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する圧縮機の運転状態と減圧装置の弁開度と吐出圧力と給水温度とを示す説明図
【図3】
同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の温度分布を示す説明図
【図4】
本発明の実施例2のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図5】
同ヒートポンプ給湯機の減圧装置の弁開度に対する吐出圧力を示す説明図
【図6】
同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する減圧装置の弁開度の変更量と沸き上げ完了直前検出温度とを示す説明図
【図7】
本発明の実施例3のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図8】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度と圧縮機の運転状態とを示す説明図
【図9】
本発明の実施例4のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図10】
同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力と減圧装置の弁開度を示す説明図
【図11】
同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度の変更量を示す説明図
【図12】
本発明の実施例5のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図13】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図
【図14】
本発明の実施例6のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図15】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と減圧装置の弁開度と吐出圧力とを示す説明図
【図16】
本発明の実施例7のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図17】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と循環ポンプの回転数および流量と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図
【図18】
本発明の実施例8のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図19】
同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する給水温度と吐出圧力と減圧装置の弁開度とを示す説明図
【図20】
従来例におけるヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図21】
同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の温度分布を示す説明図
【図22】
同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力を示す説明図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 冷媒対水熱交換器
3 減圧装置
4 蒸発器
5 貯湯槽
6 循環ポンプ
8 給水温度検出手段
10 流量制御手段
11、11a、11b、11c 制御手段
11d、11e、11f、11g 制御手段
12 沸き上げ完了直前検出手段
13 外気温度検出手段
14 第一の記憶手段
15 給水温度記憶手段
16 第二の記憶手段
17 タイマー
18 時間間隔記憶手段
19 時間計測手段
20 吐出圧力検出手段
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001089463A JP3633500B2 (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | ヒートポンプ給湯機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001089463A JP3633500B2 (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | ヒートポンプ給湯機 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002286288A JP2002286288A (ja) | 2002-10-03 |
JP3633500B2 JP3633500B2 (ja) | 2005-03-30 |
JP2002286288A5 true JP2002286288A5 (ja) | 2005-04-14 |
Family
ID=18944387
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001089463A Expired - Fee Related JP3633500B2 (ja) | 2001-03-27 | 2001-03-27 | ヒートポンプ給湯機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3633500B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6907923B2 (en) | 2003-01-13 | 2005-06-21 | Carrier Corporation | Storage tank for hot water systems |
JP2010025494A (ja) * | 2008-07-23 | 2010-02-04 | Sanden Corp | ヒートポンプ式給湯装置 |
JP2011191056A (ja) * | 2011-07-06 | 2011-09-29 | Mitsubishi Electric Corp | ヒートポンプ給湯機 |
-
2001
- 2001-03-27 JP JP2001089463A patent/JP3633500B2/ja not_active Expired - Fee Related
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5626918B2 (ja) | 補助ヒータ制御装置及び加熱流体利用システム及び補助ヒータ制御方法 | |
JP2008096044A (ja) | 貯湯式給湯装置 | |
JP2004156847A (ja) | 給湯装置 | |
JP2002081768A5 (ja) | ||
JP3663828B2 (ja) | ヒートポンプ式風呂給湯システム | |
JP3912035B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP3855695B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP3632645B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP3937715B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP2002188860A5 (ja) | ||
JP3719155B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP3800862B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP2002286288A5 (ja) | ||
JP3755422B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP3800497B2 (ja) | 給湯器 | |
JP3633500B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP2002340440A (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP4784288B2 (ja) | ヒートポンプ式給湯装置およびヒートポンプ式給湯装置用制御装置 | |
JP2000346447A5 (ja) | ||
JP3719162B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP3719161B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP2005188923A (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JP3901108B2 (ja) | 貯湯式給湯装置 | |
JP3719154B2 (ja) | ヒートポンプ給湯機 | |
JPH08296895A (ja) | ヒートポンプ給湯機 |