JP3632645B2 - ヒートポンプ給湯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は貯湯式のヒートポンプ給湯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のヒートポンプ給湯機は特開昭60−164157号公報に示すようなものがある。図28は従来のヒートポンプ給湯機の構成図である。図28において、圧縮機1、冷媒対水熱交換器2、減圧装置3、蒸発器4からなる冷媒循環回路と、貯湯槽5、循環ポンプ6、前記冷媒対水熱交換器2、補助加熱器7を接続した給湯回路ならなり前記圧縮機1より吐出された高温高圧の過熱ガス冷媒は前記冷媒対水熱交換器2に流入し、ここで前記循環ポンプ6から送られてきた水を加熱する。そして、この水と熱交換した冷媒は前記減圧装置3で減圧され、前記蒸発器4に流入し、ここで大気熱を吸熱して蒸発ガス化し、前記圧縮機1に戻る。一方、前記冷媒対水熱交換器2で加熱された湯は前記貯湯槽5の上部に流入し、上から次第に貯湯されていく。そして、前記冷媒対水熱交換器2の入口水温が設定値に達すると給水温度検出手段8が検知し、前記圧縮機1によるヒートポンプ運転を停止して、前記補助加熱器7の単独運転に切り換えるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記図28に示す従来例のヒートポンプ給湯機では、減圧装置3としてキャピラリーチューブや温度式膨張弁を用いていた。減圧装置3としてキャピラリーチューブを用いる場合、一般的に、冷媒循環量の多い夏季の温度条件を基準にキャピラリーチューブの仕様を設計する。そのため、夏季以外の特に冬季の運転開始時には、必要以上に冷媒が流れるので、圧縮機1の温度上昇が遅く、冷媒対水熱交換器2出口の湯は低温のまま貯湯槽5の上部に流入し貯湯される。それ故、貯湯槽5の中の高温の湯と混合し、貯湯槽5の湯温を低下させてしまい、時としては、湯切れを起こすという課題があった。また、圧縮機1の温度が上昇した後の定常運転時にも、同様に、冷媒循環回路に必要以上の冷媒が循環するため、運転の効率が悪くなるという課題を有していた。さらに場合によっては、圧縮機1に液冷媒が吸い込まれ、その結果、液圧縮となり圧縮機1の耐久性が悪くなるという課題も有していた。
【0004】
他方、減圧装置3として温度式膨張弁を用いる場合、一般的に、蒸発器4の出口の冷媒は一定の過熱度がとれた過熱ガス状態となるように、減圧装置3としての温度式膨張弁の仕様を設計する。しかし、運転開始時には冷媒回路中の冷媒の分布が安定しないため、圧縮機1の吐出圧力や吐出温度がハンチング(上下変動)し、上限吐出圧力や上限吐出温度を超える場合があり、圧縮機1の耐久性が悪くなるという課題を有していた。また、定常運転時においても、設計した外気温度よりも高い時には吐出圧力が上昇したり、外気温度の低い冬季には吐出温度が上昇したりして圧縮機の耐久性が悪くなるという課題を有していた。
【0005】
本発明の目的は、湯切れが少なく、効率の良い給湯加熱運転を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ給湯機は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を設けた冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を設けた給湯回路と、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と、前記圧縮機が起動する時に前記圧縮機が温まっている熱時起動と前記圧縮機が冷えている冷時起動とを判断する熱時冷時検出手段とを有し、前記圧縮機の吐出温度が設定された目標吐出温度になるように前記減圧装置の弁開度を制御するとともに冷時起動と熱時起動とに応じて初期弁開度を設定するヒートポンプ給湯機であって、前記熱時冷時検出手段は、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と外気温度を検出する外気温度検出手段であるヒートポンプ給湯機とするものである。
【0007】
また、圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を設けた冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を設けた給湯回路と、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と、前記圧縮機が起動する時に前記圧縮機が温まっている熱時起動と前記圧縮機が冷えている冷時起動とを判断する熱時冷時検出手段とを有し、前記圧縮機の吐出温度が設定された目標吐出温度になるように前記減圧装置の弁開度を制御するとともに冷時起動と熱時起動とに応じて初期弁開度を設定するヒートポンプ給湯機であって、熱時冷時検出手段は、前回の運転停止からの経過時間を計測する時間計測手段と外気温度を検出する外気温度検出手段であるヒートポンプ給湯機とするものである。
【0008】
これによって、目標吐出温度になるように前記減圧装置の弁開度を制御するため、常に冷媒回路に適正な冷媒が循環し、圧力と温度とも安定することになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は各請求項に記載の形態で実施できるものであり、請求項1記載の発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を設けた冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を設けた給湯回路と、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と、前記圧縮機が起動する時に前記圧縮機が温まっている熱時起動と前記圧縮機が冷えている冷時起動とを判断する熱時冷時検出手段とを有し、前記圧縮機の吐出温度が設定された目標吐出温度になるように前記減圧装置の弁開度を制御するとともに冷時起動と熱時起動とに応じて初期弁開度を設定するヒートポンプ給湯機であって、前記熱時冷時検出手段は、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と外気温度を検出する外気温度検出手段であるヒートポンプ給湯機とするものである。これにより、外気温度が変化してもその外気温度に対して、前記圧縮機の初期温度に応じた前記減圧装置の弁開度を設定するため、運転起動時にも冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、特に冷時においても圧縮機の温度上昇が速く、すぐに冷媒対水熱交換器出口の湯は高温となるので、湯切れの可能性も少なくすることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を設けた冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を設けた給湯回路と、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と、前記圧縮機が起動する時に前記圧縮機が温まっている熱時起動と前記圧縮機が冷えている冷時起動とを判断する熱時冷時検出手段とを有し、前記圧縮機の吐出温度が設定された目標吐出温度になるように前記減圧装置の弁開度を制御するとともに冷時起動と熱時起動とに応じて初期弁開度を設定するヒートポンプ給湯機であって、熱時冷時検出手段は、前回の運転停止からの経過時間を計測する時間計測手段と外気温度を検出する外気温度検出手段であるヒートポンプ給湯機とするものである。
【0011】
これにより、前回の運転停止からの経過時間と外気温度とから熱時と冷時の判断を行うので、運転起動と同時に判断ができ、外気温度が変化しても常に運転効率を良くすることができる。
【0012】
また、請求項3の発明は、冷媒は二酸化炭素であることを特徴とするものである。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0014】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1のヒートポンプ給湯機の構成図、図2は同ヒートポンプ給湯機の減圧装置の開度に対する吐出温度と吐出圧力と効率を示す説明図である。なお、従来例で説明した図28と同じ構成部材には同一符号を用い説明を省略する。
【0015】
図1において、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けられた沸き上げ温度検出手段9からの信号で回転数制御手段10は循環ポンプ6の回転数を制御して、冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)をほぼ一定になるように沸き上げる。また、制御手段11は、目標吐出温度を記憶している目標吐出温度記憶手段12と圧縮機1の吐出温度を検出する吐出温度検出手段13からの信号で減圧装置3を制御する。なお、減圧装置3として電動膨張弁(図示せず)等がある。
【0016】
次に動作、作用について説明する。図2は横軸に減圧装置3の弁開度をとり、縦軸に吐出温度と吐出圧力と効率をとって、ある外気温度の時の減圧装置3の弁開度に対する吐出温度と吐出圧力と効率の関係を示したものである。同図からわかるように、効率は減圧装置3の弁開度に対して極大値がある。また、同図において、一点鎖線は圧縮機の通常使用時の上限吐出温度(常用最大吐出温度)であり、二点鎖線は圧縮機の通常使用時の上限吐出圧力(常用最大吐出圧力)である。
【0017】
ここで、効率が極大になる減圧装置3の弁開度Xに対する吐出温度を目標吐出温度Yとする。この目標吐出温度Yを目標吐出温度記憶手段12に予め記憶させる。
【0018】
つまり、給湯運転が始まり圧縮機1が起動すると、制御手段11は吐出温度検出手段13からの信号で吐出温度を検出する。そして、目標吐出温度を記憶している目標吐出温度記憶手段12からの情報で、今の吐出温度が目標吐出温度よりも高ければ、制御手段11は減圧装置3の弁開度を大きくする(開く)ように制御する。逆に、今の吐出温度が目標吐出温度よりも低ければ、制御手段11は減圧装置3の弁開度を小さくする(閉じる)ように制御する。
【0019】
上記のように、制御手段11による吐出温度制御をある時間毎に行えば、常に効率の良い給湯運転が可能となる。また、目標吐出温度になるように減圧装置3の弁開度を制御するため、常に冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、異常温度上昇や異常圧力上昇がなく、耐久性も良くすることができる。
【0020】
(実施例2)
図3は本発明の実施例2のヒートポンプ給湯機の構成図、図4は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する吐出温度を示す説明図である。
【0021】
本実施例において、実施例1と異なる点は、運転起動時における減圧装置3の弁開度を記憶している初期弁開度記憶手段14を設けた構成としていることである。なお、実施例1と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0022】
次に動作、作用について説明する。図3において、運転起動時には、制御手段11は、起動時における減圧装置3の弁開度(初期弁開度)を記憶している初期弁開度記憶手段14からの信号で減圧装置3の弁開度を前記初期弁開度に設定した後、給湯加熱運転を開始する。
【0023】
図4は横軸に運転時間をとり、縦軸に吐出温度をとって、運転時間に対する吐出温度変化を示したものである。同図において、Tgは目標吐出温度である。また、Td0は制御開始吐出温度で、吐出温度がこの温度になるまでは減圧装置3の弁開度は初期弁開度で一定とし、吐出温度がこの制御開始吐出温度Td0以上になれば、実施例1で説明したように、吐出温度制御運転を行う。すなわち、制御手段11は吐出温度検出手段13からの信号で吐出温度を検出する。そして、目標吐出温度を記憶している目標吐出温度記憶手段12からの情報で、今の吐出温度が目標吐出温度よりも高ければ、制御手段11は減圧装置3の弁開度を大きくする(開く)ように制御する。逆に、今の吐出温度が目標吐出温度よりも低ければ、制御手段11は減圧装置3の弁開度を小さくする(閉じる)ように制御する。
【0024】
今、図4において、吐出温度が目標吐出温度に達して、定常状態になった時の減圧装置3の弁開度を到達弁開度とする。同図において、実線Aは運転起動から減圧装置3の弁開度を到達弁開度で運転した場合の吐出温度の変化を示したものである。もし、この到達弁開度よりも小さい(閉じた)弁開度で運転した場合は、一点鎖線Bのようになり、吐出温度がハンチング(上下変動)し、場合によっては上限吐出温度を超えることもある。逆に、この到達弁開度よりも大きい(開いた)弁開度で運転した場合は、点線Cのようになり、吐出温度の上昇が遅く、目標吐出温度に達するのに時間がかかる。
【0025】
そこで、この到達弁開度である弁開度Zを予め求めておいて、初期弁開度記憶手段14に記憶させておく。給湯運転の起動時に、制御手段11は初期弁開度記憶手段14からの信号で減圧装置3の初期弁開度(弁開度Z)を求める。そして、制御手段11は減圧装置3の弁開度を弁開度Zに設定した後、給湯加熱運転を開始する。
【0026】
上記のように、運転の起動時に減圧装置3の弁開度を予め設定された初期弁開度に設定することにより、冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、圧縮機1の吐出温度や吐出圧力のハンチングによる異常温度上昇や異常圧力上昇がなく耐久性が高く、また、圧縮機1の吐出温度上昇が速く、すぐに冷媒対水熱交換器2出口の湯は高温となるので、湯切れの可能性も少くすることができる。
【0027】
(実施例3)
図5は本発明の実施例3のヒートポンプ給湯機の構成図、図6は同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する吐出温度を示す説明図である。
【0028】
本実施例において、実施例2と異なる点は、圧縮機1が温まっている熱時起動と圧縮機1が冷えている冷時起動とを検出する熱時冷時検出手段15を備えた構成としていることである。ここでは、熱時冷時検出手段15として吐出温度検出手段13を用いる。なお、実施例2と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0029】
次に動作、作用について説明する。図6は横軸に運転時間をとり、縦軸に吐出温度をとって、運転時間に対する吐出温度の変化を示したものである。同図において、Tgは目標吐出温度である。また、Td0は制御開始吐出温度で、吐出温度がこの温度になるまでは減圧装置3の弁開度は初期弁開度で一定とし、吐出温度がこの制御開始吐出温度Td0以上になれば、実施例1で説明したように、吐出温度制御運転を行う。同図の実線で示す吐出温度の変化は、運転起動時に圧縮機1が温まっている熱時起動の場合であり、一点鎖線で示す吐出温度の変化は、運転起動時に圧縮機1が冷えている冷時起動の場合である。同図からわかるように、熱時起動の場合は立ち上がりが速く、すぐに定常状態になる。一方、冷時起動の場合は立ち上がりが遅く、定常状態に達するまでに時間がかかる。熱時起動の場合も冷時起動の場合も、定常状態に達したときの減圧装置3の弁開度(実施例2で説明した弁開度Z)は同じである。冷時起動の立ち上がりを速くするために、冷時起動の場合は、熱時起動の場合よりも、減圧装置3の初期弁開度を小さく設定する。そうすれば、同図中の点線(冷時の改良)で示すように、吐出温度の立ち上がりが比較的速くなる。
【0030】
図6において、Tjdを熱時起動と冷時起動との区別を判定する熱時冷時判定吐出温度とし、運転起動して所定の待機時間t後にこの熱時起動と冷時起動との区別を判定するものとする。すなわち、給湯運転の起動時に、制御手段11は初期弁開度記憶手段14からの信号で減圧装置3の初期弁開度(弁開度Z)を求める。そして、制御手段11は減圧装置3の弁開度を弁開度Zに設定した後、給湯加熱運転を開始する。そして、起動して所定の待機時間t後、吐出温度検出手段13からの信号から得た吐出温度が、熱時冷時判定吐出温度Tjd以上の温度(点A)であれば熱時起動と判定し、熱時冷時判定吐出温度Tjdより低い温度(点B)であれば冷時起動と判定する。判定の結果、熱時起動の場合にはそのままの弁開度(弁開度Z)で運転を続ける。一方、冷時起動の場合には、制御手段11は減圧装置3の弁開度を弁開度Zより小さい弁開度(弁開度Zm)に設定し運転を続ける。なお、この弁開度Zmは、吐出温度の大きなオーバーシュートが無い範囲で予め求めておく。そして、熱時起動の場合も冷時起動の場合も、吐出温度が制御開始吐出温度Td0以上になれば、実施例1で説明したように、吐出温度制御運転を行う。すなわち、制御手段11は吐出温度検出手段13からの信号で吐出温度を検出する。そして、目標吐出温度を記憶している目標吐出温度記憶手段12からの情報で、今の吐出温度が目標吐出温度よりも高ければ、制御手段11は減圧装置3の弁開度を大きくする(開く)ように制御する。逆に、今の吐出温度が目標吐出温度よりも低ければ、制御手段11は減圧装置3の弁開度を小さくする(閉じる)ように制御する。
【0031】
上記のように、圧縮機1の起動時の温度に応じて減圧装置3の弁開度を設定するため、運転起動時にも冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、特に冷時においても圧縮機1の温度上昇が速く、すぐに冷媒対水熱交換器2出口の湯は高温となるので、湯切れの可能性も少くすることができる。
【0032】
(実施例4)
図7は本発明の実施例4のヒートポンプ給湯機の構成図、図8は同ヒートポンプ給湯機の運転停止後の圧縮機の温度に対する吐出温度検出手段を付けている配管の温度を示す説明図である。
【0033】
本実施例において、実施例3と異なる点は、熱時冷時検出手段15として吐出温度検出手段13と外気温度検出手段16とを用いた構成としていることである。なお、実施例3と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0034】
次に動作、作用について説明する。図8は横軸に運転停止後の圧縮機1の温度をとり、縦軸に吐出温度検出手段13を付けている配管の温度をとって、運転停止後の圧縮機1の温度に対する吐出温度検出手段13を付けている配管の温度変化の関係を示したものである。いま、吐出温度を検出する吐出温度検出手段13は圧縮機1の吐出口に接続された配管に設けられている。運転中は冷媒が循環しているため、圧縮機1の温度と吐出温度検出手段13の取り付けている配管部の温度とはほぼ等しいが、運転を停止すると、圧縮機1の温度と吐出温度検出手段13の取り付けている配管部の温度とは差ができてくる。すなわち、圧縮機1は熱容量が吐出温度検出手段13の取り付けている配管よりも大きく、さらに、圧縮機1は通常、防音のため断熱材で覆われている。このため、圧縮機1の温度低下の速さは吐出温度検出手段13の取り付けている配管の温度低下の速さよりも小さい。また、温度の低下の速さは外気温度によっても異なる。当然、外気温度が低いほど温度の低下の速さは大きい。
【0035】
同図において、Tgは目標吐出温度であり、Tjは熱時起動と冷時起動との区別を判定する熱時冷時判定圧縮機温度である。つまり、運転起動時に、圧縮機1の温度が、Tj以上であれば熱時起動であり、Tjより小さければ冷時起動である。また、実線は夏(例えば外気温度35゜C)における運転停止後の圧縮機1の温度と吐出温度検出手段13を取り付けている配管の温度との関係を示したものである。同様に、一点鎖線および点線はそれぞれ中間期(例えば外気温度20゜C)及び冬(例えば外気温度5゜C)における関係を示している。夏、中間期、冬における前述した関係において、運転停止後の圧縮機1の温度が熱時冷時判定圧縮機温度Tjになる時の吐出温度検出手段13を取り付けている配管の温度はそれぞれT1、T2、T3となる。そして、この外気温度(例えば35゜C、20゜C、5゜C)に対して、T1、T2、T3を予め求めておけば、吐出温度検出手段13からの信号によって、熱時起動か冷時起動かの判断ができる。
【0036】
上記のように、外気温度が変化してもその外気温度に対して、圧縮機1の初期温度に応じた減圧装置3の弁開度を設定するため、運転起動時にも冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、特に冷時においても圧縮機の温度上昇が速く、すぐに冷媒対水熱交換器出口の湯は高温となるので、湯切れの可能性も少くすることができる。
【0037】
(実施例5)
図9は本発明の実施例5のヒートポンプ給湯機の構成図である。本実施例において、実施例3と異なる点は、熱時冷時検出手段15として圧縮機温度検出手段17を用いた構成としていることである。なお、実施例3と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0038】
次に動作、作用について説明する。実施例4で説明したように、熱時起動と冷時起動との区別を判定する圧縮機1の温度を熱時冷時判定圧縮機温度Tjとすると、運転起動時に、圧縮機1の温度が、Tj以上であれば熱時起動であり、Tjより小さければ冷時起動である。
【0039】
すなわち、給湯運転の起動時に、制御手段11は圧縮機温度検出手段17からの信号で圧縮機1の温度を求める。そして、この求めた温度が前述した熱時冷時判定圧縮機温度Tjよりも大きいか等しければ、制御手段11は熱時起動と判断し、減圧装置3の弁開度を弁開度Zに設定した後、給湯加熱運転を開始する。逆に求めた温度が前述した熱時冷時判定圧縮機温度Tjよりも小さければ、制御手段11は冷時起動と判断し、減圧装置3の弁開度を弁開度Zより小さい弁開度(弁開度Zm)に設定した後、給湯加熱運転を開始する。
【0040】
上記のように、直接圧縮機1の温度を検出するため、熱時冷時判定のための待機時間が無く、運転起動と同時に減圧装置3の弁開度を最適値に設定できるので、運転効率を良くすることができる。
【0041】
(実施例6)
図10は本発明の実施例6のヒートポンプ給湯機の構成図、図11は同ヒートポンプ給湯機の運転停止後の時間に対する吐出温度検出手段13を付けている配管の温度を示す説明図、図12は同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する熱時冷時判定時間を示す説明図である。
【0042】
本実施例において、実施例3と異なる点は、熱時冷時検出手段15として前回の運転停止からの経過時間を計測する時間計測手段18と外気温度を検出する外気温度検出手段16とを用いた構成としていることである。なお、実施例3と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0043】
次に動作、作用について説明する。図11は横軸に運転停止後の時間をとり、縦軸に吐出温度検出手段13を付けている配管の温度をとって、運転停止後の時間に対する吐出温度検出手段13を付けている配管の温度の変化の関係を示したものである。同図において、Tgは目標吐出温度であり、Tjhは熱時起動と冷時起動との区別を判定する熱時冷時判定吐出配管温度である。いま、吐出温度を検出する吐出温度検出手段13は圧縮機1の吐出口に接続された配管に設けられている。そして、運転を停止すると圧縮機1の温度が低下するとともに、吐出温度検出手段13を付けている配管の温度も低下する。また、温度の低下の速さは外気温度によっても異なる。当然、外気温度が低いほど温度の低下の速さは大きい。同図において、実線は、夏(例えば外気温度35゜C)の場合における、運転停止後の時間に対する吐出温度検出手段13を付けている配管の温度の変化を示す。同様に、一点鎖線および点線はそれぞれ中間期(例えば外気温度20゜C)及び冬(例えば外気温度5゜C)における吐出温度検出手段13を付けている配管の温度の変化を示す。また、吐出温度検出手段13を付けている配管の温度が、熱時起動と冷時起動との区別を判定する熱時冷時判定吐出配管温度Tjh以上であれば熱時起動であり、熱時冷時判定吐出配管温度Tjh未満であれば冷時起動である。夏、中間期、冬における吐出温度検出手段13を付けている配管の温度が熱時冷時判定吐出配管温度Tjhに等しくなる運転停止後の時間はそれぞれt1、t2、t3となる。この時間を熱時冷時判定時間とする。つまり、運転を起動する場合に、前回の運転停止後からの時間が、この熱時冷時判定時間以下であれば熱時起動であり、この熱時冷時判定時間より大きければ冷時起動となる。
【0044】
図12は横軸に外気温度をとり、縦軸に熱時冷時判定時間をとって、外気温度に対する熱時冷時判定時間の関係を示したものである。同図において、実線よりしたの部分が熱時起動で、上の部分が冷時起動である。この図12の関係を予め求めておくことによって、時間計測手段18からの信号と外気温度検出手段16とによって、熱時起動か冷時起動かの判断ができる。
【0045】
すなわち、給湯運転の起動時に、制御手段11は、時間計測手段18からの信号で前回の運転停止からの経過時間を求め、さらに、外気温度検出手段16からの信号で外気温度を求める。そして、この求めた外気温度おいて、前回の運転停止からの経過時間が前述の熱時冷時判定時間以下であれば、制御手段11は熱時起動と判断し、減圧装置3の弁開度を弁開度Zに設定した後、給湯加熱運転を開始する。逆に前回の運転停止からの経過時間が前述の熱時冷時判定時間より大きければ、制御手段11は冷時起動と判断し、減圧装置3の弁開度を弁開度Zより小さい弁開度(弁開度Zm)に設定した後、給湯加熱運転を開始する。
【0046】
上記のように、前回の運転停止からの経過時間と外気温度とから熱時と冷時の判断を行うので、運転起動と同時に判断ができ、外気温度が変化しても常に運転効率を良くすることができる。
【0047】
(実施例7)
図13は本発明の実施例7のヒートポンプ給湯機の構成図、図14は同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する減圧装置の弁開度と冷媒循環量とを示す説明図である。
【0048】
本実施例において、実施例2と異なる点は、外気温度検出手段16からの信号に応じて減圧装置3の初期弁開度を決定する制御手段11を設けた構成としていることである。なお、実施例2と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0049】
次に動作、作用について説明する。図14は横軸に外気温度をとり、縦軸に冷媒循環量と減圧装置3の弁開度とをとって、外気温度に対する冷媒循環量と減圧装置3の弁開度の変化を示したものである。一般に、外気温度が高くなると、蒸発器4が大気熱から得るエネルギーは大きくなる。それに従って、同図に示すように、冷媒循環量が増加するので、圧縮機1の吐出温度と吐出圧力とを上限吐出温度および上限吐出圧力以下にするためには、減圧装置3の弁開度を大きく(開く)する必要がある。
【0050】
そこで、実施例2で説明した到達弁開度である弁開度Zを、外気温度に対して予め求めておいて、初期弁開度記憶手段14に記憶させておく。給湯運転の起動時に、制御手段11は外気温度検出手段16からの信号と初期弁開度記憶手段14からの信号とで減圧装置3の初期弁開度(弁開度Z)を求める。そして、制御手段11は減圧装置3の弁開度を弁開度Zに設定した後、給湯加熱運転を開始する。
【0051】
上記のように、外気温度に対して減圧装置3の初期弁開度を設定するため、外気温度が変化しても運転の起動時に適正な冷媒が循環するので、圧縮機1の吐出度や吐出圧力のハンチングによる異常温度上昇や異常圧力上昇がなく耐久性が高く、また、圧縮機1の温度上昇が速く、すぐに冷媒対水熱交換器2出口の湯は高温となるので、湯切れの可能性も少くすることができる。
【0052】
(実施例8)
図15は本発明の実施例8のヒートポンプ給湯機の構成図、図16は同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の高さ方向に対する貯湯槽内の湯の温度を示す説明図、図17は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力を示す説明図、図18は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度を示す説明図である。
【0053】
本実施例において、実施例2と異なる点は、冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度を検出する給水温度検出手段8からの信号に応じて、初期弁開度を決定する制御手段11を設けた構成としていることである。なお、実施例2と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0054】
次に動作、作用について説明する。図16は横軸に貯湯槽5内の湯の温度をとり、縦軸に貯湯槽5の高さをとって、貯湯槽内の湯の温度分布を示したものである。前述したように、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けられた沸き上げ温度検出手段9からの信号で回転数制御手段10は循環ポンプ6の回転数を制御して、冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)をほぼ一定になるように沸き上げる。しかしながら、沸き上げ運転時間の経過とともに貯湯槽5内の高温湯と低温水の接する部分で高温湯と低温水が混合した混合層が生じ、その層は次第に拡大していく。同図中において、前述の混合層は、高温湯と低温湯の熱伝導および対流により発生するものであり、高温湯から低温湯へ伝熱されその境界部分で高温湯は温度低下し、逆に低温湯は温度上昇する。従って、沸き上げ運転完了近くになると、前記冷媒対水熱交換器2に流入する水温は、時間とともに急激に高くなる。図17は横軸に冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度をとり、縦軸に吐出圧力をとって、減圧装置3の弁開度をパラメータとして、給水温度に対する吐出圧力の関係を示したものである。同図からわかるように、給水温度が高くなるほど吐出圧力も高くなるが、同一の給水温度に対しては、減圧装置3の弁開度が大きい方が、吐出圧力が低くなる。いま、設計吐出圧力をPsとすると、減圧装置3の弁開度大、中、小に対して、設計吐出圧力Psになる給水温度は、それぞれ、Tw1、Tw2、Tw3となる。さらに、図18はこの関係を給水温度と減圧装置3の弁開度について表したものである。すなわち、横軸に冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度をとり、縦軸に減圧装置3の弁開度をとって、給水温度に対する減圧装置3の弁開度の関係を示したものである。
【0055】
そこで、実施例2で説明した到達弁開度である弁開度Zを、給水温度に対して予め求めておいて、初期弁開度記憶手段14に記憶させておく。給湯運転の起動時に、制御手段11は給水温度検出手段8からの信号と初期弁開度記憶手段14からの信号とで減圧装置3の初期弁開度(弁開度Z)を求める。そして、制御手段11は減圧装置3の弁開度を弁開度Zに設定した後、給湯加熱運転を開始する。
【0056】
上記のように、給水温度に応じて初期弁開度を設定するため、貯湯槽5の湯水混合層領域の湯も沸き上げることができ、そのため、貯湯槽5の湯容積を有効に利用できるので、湯切れの可能性も少くすることができる。
【0057】
(実施例9)
図19は本発明の実施例9のヒートポンプ給湯機の構成図、図20は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力を示す説明図、図21は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度を示す説明図である。
【0058】
本実施例において、実施例2と異なる点は、冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度を検出する給水温度検出手段8からの信号と外気温度を検出する外気温度検出手段16からの信号とに応じて、初期弁開度を決定する制御手段11を設けた構成としていることである。なお、実施例2と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0059】
次に動作、作用について説明する。図20は横軸に冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度をとり、縦軸に吐出圧力をとって、外気温度(例えば夏35゜C、中間期20゜C、冬5゜C)をパラメータとして、減圧装置3の弁開度を一定とした場合の給水温度に対する吐出圧力の関係を示したものである。同図からわかるように、蒸発器4が大気熱から得るエネルギー(夏>中間期>冬)が大きい方が、吐出圧力が高くなる。いま、図20において、各外気温度(夏、中間期、冬)に対して、図17で説明したことが成り立つ。さらに、図18で説明した給水温度と減圧装置3の弁開度との関係を、各外気温度(夏、中間期、冬)に対して、求めれば図21のようになる。すなわち、図21は、横軸に冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度をとり、縦軸に減圧装置3の弁開度をとって、外気温度(例えば夏35゜C、中間期20゜C、冬5゜C)をパラメータとして、給水温度に対する減圧装置3の弁開度の関係を示したものである。
【0060】
そこで、実施例2で説明した到達弁開度である弁開度Zを、外気温度をパラメータとして、給水温度に対して予め求めておいて、初期弁開度記憶手段14に記憶させておく。給湯運転の起動時に、制御手段11は給水温度検出手段8からの信号と外気温度検出手段16からの信号と初期弁開度記憶手段14からの信号とで減圧装置3の初期弁開度(弁開度Z)を求める。そして、制御手段11は減圧装置3の弁開度を弁開度Zに設定した後、給湯加熱運転を開始する。
【0061】
上記のように、給水温度と外気温度とに応じて、初期弁開度を設定するため、貯湯槽5の湯水混合層領域の湯も沸き上げることができ、そのため、外気温度が変化しても常に貯湯槽5の湯容積を有効に利用できるので、湯切れの可能性も少くすることができる。
【0062】
(実施例10)
図22は本発明の実施例10のヒートポンプ給湯機の構成図、図23は同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する目標吐出温度を示す説明図である。
【0063】
本実施例において、実施例1と異なる点は、外気温度を検出する外気温度検出手段16からの信号に応じて、目標吐出温度を決定する制御手段11を設けた構成としていることである。なお、実施例1と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0064】
次に動作、作用について説明する。一般に、外気温度が高くなると、蒸発器4が大気熱から得るエネルギーは大きくなる。それに従って、冷媒循環量が増加するので、圧縮機1の吐出温度と吐出圧力とを上限吐出温度および上限吐出圧力以下にするためには、減圧装置3の弁開度を大きく(開く)する必要がある。そこで、予め、実施例1で示した図2の関係を外気温度を変えて求める。そして、その外気温度に対して目標吐出温度Yを求めると図23のようになる。すなわち、図23は横軸に外気温度をとり、縦軸に目標吐出温度をとって、外気温度に対する目標吐出温度の変化を示したものである。
【0065】
そこで、この外気温度に対する目標吐出温度の変化を予め求めておいて、目標吐出温度記憶手段12に記憶させておく。給湯運転の起動時に、制御手段11は外気温度検出手段16からの信号と目標吐出温度記憶手段12からの信号とによって、目標吐出温度を求める。さらに、制御手段11は吐出温度検出手段13からの信号で吐出温度を検出する。そして、今の吐出温度が目標吐出温度よりも高ければ、制御手段11は減圧装置3の開度を大きくする(開く)ように制御する。逆に、今の吐出温度が目標吐出温度よりも低ければ、制御手段11は減圧装置3の開度を小さくする(閉じる)ように制御する。
【0066】
上記のように、目標吐出温度になるように減圧装置3の弁開度を制御するため、外気温度が変化しても常に冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、異常温度上昇や異常圧力上昇がなく、耐久性が高く、運転効率も良くすることができる。
【0067】
(実施例11)
図24は本発明の実施例11のヒートポンプ給湯機の構成図、図25は同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する目標吐出温度と吐出圧力とを示す説明図である。
【0068】
本実施例において、実施例1と異なる点は、冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度を検出する給水温度検出手段8からの信号に応じて、目標吐出温度を決定する制御手段11を設けた構成としていることである。なお、実施例1と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0069】
次に動作、作用について説明する。実施例8の図16で説明したように、貯湯槽5内の高温湯と低温水の接する部分で高温湯と低温水が混合した混合層が生じる。そして、この混合槽内の水が冷媒対水熱交換器2に送られるが、この冷媒対水熱交換器2に送られる水の温度(給水温度)は時間とともに高くなる。図25は横軸に給水温度をとり、縦軸に目標吐出温度と吐出圧力とをとって、給水温度に対する目標吐出温度と吐出圧力の変化を示したものである。同図中、一点鎖線は、目標吐出温度を一定(目標吐出温度Tg1)とした場合である。そしてこの場合は、給水温度の上昇とともに、吐出圧力も上昇し、時には、上限吐出圧力を越える場合もある。
【0070】
そこで、冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度がTwxの時に、目標吐出温度Tg1を、この目標吐出温度Tg1より低い目標吐出温度Tg2(Tg1>Tg2)に変更する。さらに、制御手段11は吐出温度検出手段13からの信号で吐出温度を検出する。この場合、今の吐出温度は目標吐出温度よりも高いので、制御手段11は減圧装置3の開度を大きくする(開く)ように制御する。その結果、図25の実線に示すように、吐出圧力はP1からP2(P1>P2)に減少しする。
【0071】
上記のように、貯湯槽5における混合層から冷媒対水熱交換器2に送られた給水温度が高くなった時に目標吐出温度を低く設定し、さらに、この低く設定した目標吐出温度になるように減圧装置3の弁開度を制御するため、給水温度が変化しても常に冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、異常温度上昇や異常圧力上昇がなく、耐久性が高く、運転効率を良くするこことができる。
【0072】
(実施例12)
図26は本発明の実施例12のヒートポンプ給湯機の構成図、図27は同ヒートポンプ給湯機の沸き上げ温度に対する目標吐出温度を示す説明図である。
【0073】
本実施例において、実施例1と異なる点は、冷媒対水熱交換器2の水側出口水温である沸き上げ温度の到達目標温度である目標沸き上げ温度を記憶している目標沸き上げ温度記憶手段19に応じて、目標吐出温度を決定する制御手段11を設けた構成としていることである。なお、実施例1と同符号の部分は同一構成を有し、説明は省略する。
【0074】
次に動作、作用について説明する。一般に、沸き上げ温度を高くするには、冷媒対水熱交換器2を循環する冷媒の温度を高くする必要がある。そこで、予め、実施例1で示した図2の関係を沸き上げ温度を変えて求める。そして、その沸き上げ温度に対して目標吐出温度Yを求めると図27のようになる。すなわち、図27は横軸に沸き上げ温度をとり、縦軸に目標吐出温度をとって、沸き上げ温度に対する目標吐出温度の関係を示したものである。
【0075】
そこで、この沸き上げ温度に対する目標吐出温度の関係を予め求めておいて、目標吐出温度記憶手段12に記憶させておく。給湯運転の起動時に、制御手段11は目標沸き上げ温度記憶手段19からの信号と目標吐出温度記憶手段12からの信号とによって、目標吐出温度を求める。さらに、制御手段11は吐出温度検出手段13からの信号で吐出温度を検出する。そして、吐出温度が目標吐出温度になるように減圧装置3の弁開度を制御する。
【0076】
図27に示す沸き上げ温度に対する目標吐出温度の関係の代わりに、次のように簡略化した関係で目標吐出温度を求めてもほぼ同様の効果が得られる。すなわち、目標吐出温度を目標沸き上げ温度よりも所定の温度ΔTだけ高く設定する。動作、作用は上述と同様なので説明は省略する。
【0077】
なお、上記各実施例においては冷媒を特に記載していないが、このような装置に使用する冷媒であればどのようなものであっても良く、例えばHCFC(R22)冷媒、HFC冷媒(R410A)冷媒、CO2冷媒、プロパン冷媒等が考えられる。
【0078】
上記のように、目標吐出温度になるように減圧装置3の弁開度を制御するため、沸き上げ温度を変更しても常に冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、異常温度上昇や異常圧力上昇がなく、耐久性が高く、運転効率も良くすることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、目標吐出温度になるように減圧装置の弁開度を制御するため、常に冷媒回路に適正な冷媒が循環するので、運転効率を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のヒートポンプ給湯機を示す構成図
【図2】同ヒートポンプ給湯機の減圧装置の開度に対する吐出温度と吐出圧力と効率を示す説明図
【図3】本発明の実施例2のヒートポンプ給湯機の構成図
【図4】同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する吐出温度を示す説明図
【図5】本発明の実施例3のヒートポンプ給湯機の構成図
【図6】同ヒートポンプ給湯機の運転時間に対する吐出温度を示す説明図
【図7】本発明の実施例4のヒートポンプ給湯機の構成図
【図8】同ヒートポンプ給湯機の運転停止後の圧縮機の温度に対する吐出温度検出手段を付けている配管の温度を示す説明図
【図9】本発明の実施例5のヒートポンプ給湯機の構成図
【図10】本発明の実施例6のヒートポンプ給湯機の構成図
【図11】同ヒートポンプ給湯機の運転停止後の時間に対する吐出温度検出手段を付けている配管の温度を示す説明図
【図12】同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する熱時冷時判定時間を示す説明図
【図13】本発明の実施例7のヒートポンプ給湯機の構成図
【図14】同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する減圧装置の弁開度と冷媒循環量とを示す説明図
【図15】本発明の実施例8のヒートポンプ給湯機の構成図
【図16】同ヒートポンプ給湯機の貯湯槽の高さ方向に対する貯湯槽内の湯の温度を示す説明図
【図17】同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力を示す説明図
【図18】同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度を示す説明図
【図19】本発明の実施例9のヒートポンプ給湯機の構成図
【図20】同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する吐出圧力を示す説明図
【図21】同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する減圧装置の弁開度を示す説明図
【図22】本発明の実施例10のヒートポンプ給湯機の構成図
【図23】同ヒートポンプ給湯機の外気温度に対する目標吐出温度を示す説明図
【図24】本発明の実施例11のヒートポンプ給湯機の構成図
【図25】同ヒートポンプ給湯機の給水温度に対する目標吐出温度と吐出圧力とを示す説明図
【図26】本発明の実施例12のヒートポンプ給湯機の構成図
【図27】同ヒートポンプ給湯機の沸き上げ温度に対する目標吐出温度を示す説明図
【図28】従来例におけるヒートポンプ給湯機の構成図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 冷媒対水熱交換器
3 減圧装置
4 蒸発器
5 貯湯槽
6 循環ポンプ
8 給水温度検出手段
11 制御手段
13 吐出温度検出手段
16 外気温度検出手段
17 圧縮機温度検出手段
18 時間計測手段
Claims (3)
- 圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を設けた冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を設けた給湯回路と、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と、前記圧縮機が起動する時に前記圧縮機が温まっている熱時起動と前記圧縮機が冷えている冷時起動とを判断する熱時冷時検出手段とを有し、前記圧縮機の吐出温度が設定された目標吐出温度になるように前記減圧装置の弁開度を制御するとともに冷時起動と熱時起動とに応じて初期弁開度を設定するヒートポンプ給湯機であって、前記熱時冷時検出手段は、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と外気温度を検出する外気温度検出手段であるヒートポンプ給湯機。
- 圧縮機、冷媒対水熱交換器、冷媒の流量を制御する減圧装置、蒸発器を設けた冷媒循環回路と、貯湯槽、循環ポンプ、前記冷媒対水熱交換器を設けた給湯回路と、前記圧縮機の吐出温度を検出する吐出温度検出手段と、前記圧縮機が起動する時に前記圧縮機が温まっている熱時起動と前記圧縮機が冷えている冷時起動とを判断する熱時冷時検出手段とを有し、前記圧縮機の吐出温度が設定された目標吐出温度になるように前記減圧装置の弁開度を制御するとともに冷時起動と熱時起動とに応じて初期弁開度を設定するヒートポンプ給湯機であって、熱時冷時検出手段は、前回の運転停止からの経過時間を計測する時間計測手段と外気温度を検出する外気温度検出手段であるヒートポンプ給湯機。
- 冷媒は二酸化炭素であることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプ給湯機。
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