JP4465986B2 - ヒートポンプ式給湯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートポンプサイクルに冷媒を循環して給湯用水を加熱し湯とするヒートポンプ式給湯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のヒートポンプ式給湯装置として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。このヒートポンプ式給湯装置は、圧縮機、給湯用熱交換器(凝縮器)、減圧装置および熱源用熱交換器(蒸発器)を順次冷媒配管で接続した冷媒回路と、貯湯槽、循環ポンプおよび上記の給湯用熱交換器を順次温水配管で接続した給湯回路とを備え、給湯用熱交換器において高温の冷媒によって給湯用水を湯にするものであり、給湯用熱交換器の入口側の水温が所定温度より高い場合は、圧縮機の能力を下げるようにしている。また、合わせて、外気温によっても圧縮機の能力を制御するようにしている。
【0003】
これにより、入口側の水温が所定温度より高い場合に伴う圧縮機の高圧側圧力上昇を抑制して、種々の機器を保護するために圧縮機の運転を停止させなくて済むようになり、貯湯槽の出湯能力を充分に生かせるようにしている。そして、外気温が低い程、圧縮機が高能力で運転され確実な沸き上げ温度になるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−48420号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では入口側水温における所定温度を判定値として圧縮機の能力を下げるので、また、所定温度と外気温との関係付けも特に考慮されていないので、厳密には圧縮機の高圧側圧力の上昇に繋がらない場合であっても圧縮機の能力を下げてしまうことが考えられ、ヒートポンプ式給湯装置の給湯能力を不要に落として運転させてしまう場合が考えられる。
【0006】
本発明は、上記点を鑑みてなされたものであって、圧縮機の高圧側圧力の上昇に伴う運転停止を回避し、且つ、必要とされる給湯能力を確実に確保可能とするヒートポンプ式給湯装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、圧縮機(21)、給湯用熱交換器(22)、減圧装置(23)および熱源用熱交換器(24)が順次接続されて、内部を冷媒が流通するヒートポンプサイクル(2)と、給湯用熱交換器(22)を給湯用水が流通する給湯用流路(20)と、給湯用熱交換器(22)内の冷媒との熱交換により加熱されて、給湯用熱交換器(22)を通過した後の給湯用水の温度が所定温度となるように、圧縮機(21)、減圧装置(23)の作動および給湯用流路(20)の流量を制御する制御手段(100)とを備えるヒートポンプ式給湯装置において、
ヒートポンプサイクル(2)内の冷媒の高圧側圧力(P)を検出する圧力検出手段(26)を設け、
制御手段(100)は、圧力検出手段(26)によって得られる高圧側圧力(P)が予め定めた所定の圧力範囲(P2〜P1)の上限側(P1)を超える場合には、所定の圧力範囲(P2〜P1)に入るように、まず、減圧装置(23)の弁開度(K)を所定量ずつ開く側に可変していき、
減圧装置(23)の弁開度(K)を所定開度(K1)まで開いても、高圧側圧力(P)が所定の圧力範囲(P2〜P1)の上限側(P1)を超える場合には、次に、圧縮機(21)の冷媒吐出能力を低減方向に変更制御することを特徴としている。
【0008】
これによると、給湯用熱交換器(22)の流入側における給湯用水の温度が高い場合にヒートポンプサイクル(2)の高圧側圧力(P)が上昇して、ヒートポンプサイクル(2)の作動をやむなく停止させることが無くなり、給湯用水の沸き上げを確実に行うことができる。また、高圧側圧力(P)を必要以上に低下させることが無く、ヒートポンプ式給湯装置として必要とされる給湯能力を確実に確保することができる。
そして、減圧装置(23)の弁開度(K)を大きくするだけではヒートポンプサイクル(2)の高圧側圧力(P)を充分に低減することができない時には、圧縮機(21)の冷媒吐出能力を低減して高圧側圧力(P)を低減して、所定の圧力範囲(P2〜P1)に確実に維持することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、制御手段(100)は、圧力検出手段(26)によって得られる高圧側圧力(P)が所定の圧力範囲(P2〜P1)の下限側(P2)を下回る場合には、所定の圧力範囲(P2〜P1)に入るように、まず、圧縮機(21)の冷媒吐出能力を所定量ずつ増加させていき、
圧縮機(21)の冷媒吐出能力を所定能力まで増加しても、高圧側圧力(P)が所定の圧力範囲(P2〜P1)の下限値(P2)を下回る場合には、次に、減圧装置(23)の弁開度(K)を閉じる側に変更制御することを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明では、ヒートポンプサイクル(2)中に、給湯用熱交換器(22)から流出した高圧冷媒の圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して高圧冷媒を減圧膨張させる開度変更可能なノズル部と、ノズル部から噴射する高速の冷媒流により熱源用熱交換器(24)にて蒸発した気相冷媒を吸引し、ノズル部から噴射する冷媒と熱源用熱交換器(24)から吸引した気相冷媒とを混合させながら速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して冷媒の圧力を昇圧させる昇圧部とを有するエジェクタを備え、減圧装置(23)は、ノズル部から成ることを特徴としている。
【0015】
このように、ヒートポンプサイクル(2)中にエジェクタを備える所謂エジェクタサイクルにおいても、エジェクタのノズル部は冷媒の減圧装置として機能するので、本発明を適用することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明では、圧縮機(21)は、ヒートポンプサイクル(2)内の冷媒を臨界圧以上に圧縮して吐出することを特徴としており、高圧側圧力(P)が特に高い領域で使用されるものに用いて好適である。
【0017】
更に、請求項5に記載の発明のように、ヒートポンプサイクル(2)中の冷媒は、具体的には、二酸化炭素とすることができる。
【0018】
尚、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係の一例を示す。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態のヒートポンプ式給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【0021】
1は耐食性に優れた金属製(例えばステンレス製)の貯湯タンクであり、外周部に図示しない断熱材が配置されており、給湯用の高温の湯を長時間に渡って保温することができるようになっている。貯湯タンク1の下部には導入口11が設けられ、この導入口11には貯湯タンク1内に水道水(本発明の給湯用水に相当)を導入する給水経路である導入管12が接続されている。
【0022】
一方、貯湯タンク1の上部には導出口13が設けられ、導出口13には貯湯タンク1内の高温の湯を導出するための給湯経路である導出管14が接続されている。導出管14には、図示しない水道水の給水配管との合流点に、図示しない混合弁が配置され、この混合弁は開口面積比(導出管14に連通する湯側の開度と給水配管に連通する水側の開度の比率)を調節することにより、下流側にあるカラン、シャワー、風呂等に高温の湯と水とを適宜混合して給湯するようになっている。
【0023】
貯湯タンク1の下部には、貯湯タンク1内の水を吸入するための吸入口18が設けられ、貯湯タンク1の上部には、貯湯タンク1内に湯を吐出する吐出口19が設けられている。吸入口18と吐出口19とは循環回路(本発明の給湯用流路に相当)20で接続されており、循環回路20の一部は後述するヒートポンプ装置(ヒートポンプサイクル)2の給湯用熱交換器22内に配設されている。
【0024】
循環回路20の給湯用熱交換器22より上流側には、循環回路20に貯湯タンク1内の下部の水を上部に向かって流通する(循環する)ための循環ポンプ50が配設されている。尚、循環ポンプ50の配設位置は循環回路20の給湯用熱交換器22より上流側に限定されず、下流側であっても良い。
【0025】
一方、循環回路20の給湯用熱交換器22より下流側には、循環回路20を流れる湯(給湯用熱交換器22により加熱された湯)の温度を検出する湯温検出手段である温度センサ51が配設されている。温度センサ51は、貯湯タンク1内へ戻る湯の温度情報を後述する制御装置100に出力するようになっている。
【0026】
2はヒートポンプ装置であり、ヒートポンプ装置2は、圧縮機21、給湯用熱交換器22、膨張弁(本発明の減圧装置に相当)23、室外熱交換器(本発明の熱源用熱交換器に相当)24、アキュムレータ25を順次配管接続して構成され、内部を流れる冷媒として二酸化炭素(CO2)を使用している。
【0027】
圧縮機21は、内蔵する電動モータ(図示しない)によって駆動され、アキュムレータ25より吸引した気相冷媒を臨界圧力以上まで圧縮して吐出する。尚、圧縮機21の駆動源は電動モータに限定されず、エンジン等の動力源であっても良い。
【0028】
給湯用熱交換器22は、圧縮機21より吐出された高温冷媒(ホットガス)と循環ポンプ50により貯湯タンク1内から供給された水とを熱交換するもので、冷媒が流れる冷媒通路(図示しない)と、水が流れる水通路(図示しない)とを有し、冷媒通路を流れる冷媒の流れ方向と水通路を流れる水の流れ方向とが対向するように構成されている。尚、給湯用熱交換器22を流れる冷媒(CO2)は、圧縮機21で臨界圧力以上に加圧されているので、給湯用熱交換器22を流通する水に放熱して温度低下しても凝縮することは無い。
【0029】
膨張弁23は、給湯用熱交換器22から流出する冷媒を弁開度Kに応じて減圧する減圧装置で、後述する制御装置100によって弁開度Kが電気的に制御される。
【0030】
室外熱交換器24は、膨張弁23で減圧された冷媒をファン24aによって送風される外気との熱交換によって蒸発させる。アキュムレータ25は、室外熱交換器24より流出する冷媒を気液分離して、気相冷媒のみを圧縮機21に吸引させるとともに、サイクル中の余剰冷媒を蓄えている。
【0031】
そして、圧縮機21と給湯用熱交換器22との間には、本発明の特徴部となる圧力検出手段としての圧力センサ26を設けており、ヒートポンプ装置2内の冷媒の高圧側圧力(以下、吐出圧力と呼ぶ)Pを検出するようにしている。この圧力センサ26によって検出される圧力信号は、後述する制御装置100に出力するようになっている。尚、圧力センサ26の配設位置は、圧縮機21と給湯用熱交換器22との間に限らず、給湯用熱交換器22と膨張弁23との間としても良い。
【0032】
制御手段である制御装置100は、圧縮機21(実質的には駆動源である電動モータ)、膨張弁23、ファン24aおよび循環ポンプ50を通電制御すると共に、圧縮機21の作動状態や膨張弁23の開度等を監視している。制御装置100は、圧縮機21等を制御し、室外熱交換器24で外気から吸熱し、給湯用熱交換器22で循環回路20を流通する水を加熱するようになっている。また、制御装置100は、給湯用熱交換器22により加熱され貯湯タンク1内に戻る湯の温度が目標温度(本発明における所定温度に相当)となるように、温度センサ51からの温度情報に基づいて制御信号を出力し、循環ポンプ50を作動制御するようになっている。
【0033】
次に、上記構成に基づき、本実施形態のヒートポンプ式給湯装置が貯湯タンク1内の湯を沸き上げる作動について説明する。
【0034】
図2は、制御装置100の沸き上げ運転制御の概略制御動作を示すフローチャートである。制御装置100は、ヒートポンプ式給湯装置に電力供給されている時には、図示しない操作盤のスイッチ等からの信号や設定条件(例えば時刻条件)等に基づいて、図2に示す沸き上げ運転制御を実行する。
【0035】
制御装置100は、まず、通常運転制御を行なう(ステップS100)。通常運転制御は、循環ポンプ50を作動して循環回路20内に水を流通させると共に、ヒートポンプ装置2も作動して、給湯用熱交換器22において循環回路20内を流通する水を加熱する。この時、温度センサ51が検出した温度と貯湯目標温度とを比較し、これらが一致するように循環ポンプ50に作動指示を行なう。
【0036】
次に、圧力センサ26で得られた吐出圧力Pを入力し(ステップS110)、検出された吐出圧力Pが予め定めた上限圧力P1より高いか否か判断する(ステップS120)。ここで判断の基準となる上限圧力P1は、吐出圧力Pに対してヒートポンプ装置2を構成する各種機器の保護を可能とする上限値として設定したものである。
【0037】
ステップS120において、吐出圧力Pが上限圧力P1より高いと判断した場合には、ステップS130で膨張弁23の弁開度Kを所定量開く側に可変する。これによって吐出圧力Pは低下する側に可変されることになる。そして、ステップS100にリターンし、ステップS130で調節された膨張弁23の弁開度Kにおいて通常運転制御を行なう。
【0038】
一方、ステップS120において否と判断すると、再び吐出圧力Pを入力し(ステップS140)、ここで得られた吐出圧力Pが予め定めた下限圧力P2よりも低いか否かを判断する(ステップS150)。ここで判断の基準となる下限圧力P2は、ヒートポンプ装置2として確保すべき給湯能力(給湯用熱交換器22の加熱能力)の下限値として設定したものである。
【0039】
ステップS150において否と判断すればステップS100にリターンし、逆にステップS150において吐出圧力Pが下限圧力P2よりも低いと判断した場合には、ステップS160において膨張弁23の弁開度Kを所定量閉じる側に可変する。これによって吐出圧力Pは上昇する側に可変されることになる。そして、ステップS100にリターンし、ステップS160で調節された膨張弁23の弁開度Kにおいて通常運転制御を行なう。
【0040】
上述の構成および作動によれば、制御装置100は、吐出圧力Pが上限圧力P1を超えるように上昇するような場合に、膨張弁23の弁開度Kを開方向に変更制御して、吐出圧力Pを下げるようにするので、ヒートポンプ装置2の各種機器保護のためにその運転を停止する必要が無くなり、湯の沸き上げを確実に行うことができる。また、吐出圧力Pが下限圧力P2を下回るように低下するような場合に、膨張弁23の弁開度Kを閉方向に変更制御して、吐出圧力Pを上げるようにするので、吐出圧力Pを必要以上に低下させることが無く、ヒートポンプ式給湯装置として必要とされる給湯能力を確実に確保することができる。
【0041】
また、ヒートポンプ装置2は、二酸化炭素を冷媒とする超臨界冷凍サイクルを構成しており、吐出圧力Pを高圧にして吐出冷媒温度を高温にすることで循環回路20を流通する水を高温の湯(例えば約90℃の湯)とすることができ、吐出圧力Pが特に高い領域で使用されるものに本発明を用いて好適となる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図3に基づいて説明する。本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、ヒートポンプ装置2の吐出圧力Pの制御が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0043】
図3は、本第2の実施形態における制御装置100の沸き上げ運転制御の概略制御動作を示すフローチャートである。図3に示すように、制御装置100は、ステップS120において、吐出圧力Pが上限圧力P1より高いと判断した場合には、圧縮機21の回転数Nを所定量低くする(ステップS131)。そして、ステップS100にリターンし、ステップS131で調節された圧縮機21の回転数Nにおいて通常運転制御を行なう。
【0044】
また、ステップS150において、吐出圧力Pが下限圧力P2より低いと判断した場合には、圧縮機21の回転数Nを所定量高くする(ステップS161)。そして、ステップS100にリターンし、ステップS161で調節された圧縮機21の回転数Nにおいて通常運転制御を行なう。
【0045】
上述の構成および作動によれば、圧縮機21の回転数Nによって吐出量を可変して、吐出圧力Pを可変できるので、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図4に基づいて説明する。本第3の実施形態は、前述の第1および第2の実施形態と比較して、ヒートポンプ装置2の吐出圧力Pを制御するために圧縮機21および膨張弁23の両者を用いるようにしたものである。尚、第1および第2の実施形態と同様の部分については、同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0047】
図4は、本第3の実施形態における制御装置100の沸き上げ運転制御の概略制御動作を示すフローチャートである。図4に示すように、制御装置100は、ステップS120において、吐出圧力Pが上限圧力P1より高いと判断し、ステップS130において膨張弁23の弁開度Kを所定量開く側に可変した後に、ステップS170においてこの時の弁開度Kを入力し、ステップS180において弁開度Kが所定開度K1以上か否かを判断する。ここで所定開度K1は、膨張弁23が開きうる最大開度として設定した値である。
【0048】
ステップS180において否と判断すれば、ステップS100にリターンし、ステップS130で調節された膨張弁23の弁解度Kにおいて通常運転制御を行なうが、弁開度Kが所定開度K1以上と判断すると、ステップS190において再び吐出圧力Pを入力し、ステップS200において吐出圧力Pが上限圧力P1よりも高いか否かを判断する。ステップS200において否と判断すれば、ステップS100にリターンし、ステップS130で調節された膨張弁23の弁解度Kにおいて通常運転制御を行なうが、吐出圧力Pが上限圧力P1よりも高いと判断すると、ステップS210において圧縮機21の回転数Nを所定量低下させる。そして、ステップS100にリターンし、ステップS130で調節された膨張弁23の弁解度K、およびステップS210で調節された圧縮機21の回転数Nにおいて通常運転制御を行なう。
【0049】
一方、ステップS120において否と判断すると、吐出圧力Pが下限圧力P2より低いか否かを判断する。ステップS220において否と判断すれば、ステップS100にリターンして通常運転制御を行なうが、吐出圧力Pが下限圧力P2より低いと判断すると、ステップS230において、圧縮機21の回転数Nを所定量上昇させる。
【0050】
そして、ステップS230において上昇された回転数Nを入力し(ステップS240)、ステップS250においてこの回転数Nが所定回転数N1以上か否かを判断する。ここで所定回転数N1は、給湯能力と圧縮機21の信頼性を確保可能とする最大回転数として設定した値である。ステップS250において否と判断すれば、ステップS100にリターンし、ステップS230で調節された圧縮機21の回転数Nにおいて通常運転制御を行なうが、回転数Nが所定回転数N1以上と判断すると、ステップS260において吐出圧力Pを入力する。
【0051】
そして、ステップS270において吐出圧力Pが下限圧力P2より低いか否かを判断し、否と判断すれば、ステップS100にリターンし、ステップS230で調節された圧縮機21の回転数Nにおいて通常運転制御を行なうが、吐出圧力Pが下限圧力P2より低いと判断すると、膨張弁23の弁開度Kを所定量閉じる側に可変する。そして、ステップS100にリターンし、ステップS230で調節された圧縮機21の回転数N、およびステップS280で調節された膨張弁23の弁開度Kにおいて通常運転制御を行なう。
【0052】
これによると、減圧装置23の弁開度Kを大きくするだけではヒートポンプサイクル2の吐出圧力Pを充分に低減することができない時に、圧縮機21の回転数N(冷媒吐出能力)を低減して吐出圧力Pを低減することができる(ステップS120〜ステップS210)。
【0053】
また、吐出圧力Pが下限圧力P2を下回る時には、圧縮機21の回転数Nを上げ、更に膨張弁23の弁開度Kを閉じることで吐出圧力Pを下限圧力P2より高めることができ(ステップS220〜ステップS280)、総じて吐出圧力Pを所定の圧力範囲P2〜P1に確実に維持することができる。
【0054】
尚、上述の第3の実施形態では、吐出圧力Pが上限圧力P1を超える作動状態となる場合に、まず、膨張弁23の弁開度Kを調節して、その後に圧縮機21の回転数Nを調節して吐出圧力Pを低減するようにしたが、圧縮機21の回転数Nの調節を先に行ない、それでも不充分な場合に膨張弁23の弁開度Kの調節を行なうようにしても良い。また、膨張弁23の弁開度Kの調節と圧縮機21の回転数Nの調節とを同時に行なうようにしても良い。
【0055】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、貯湯タンク1内の下部の水をヒートポンプ装置2で加熱して、貯湯タンク1内の上部に高温の湯として貯えるものであったが、外部から供給される水を貯湯タンク1内に導入される前にヒートポンプ装置2で加熱し、その後貯湯タンク1内に貯えるものであっても良い。また、貯湯タンクを備えず、外部から供給される水をヒートポンプ装置2で加熱して湯とし、この湯を貯えることなく供給する給湯装置であっても本発明を適用できる。
【0056】
また、上記各実施形態では、ヒートポンプ装置2は、膨張弁23により等エンタルピ的に冷媒を減圧し、膨張弁23を流出した冷媒がほぼ全て室外熱交換器24に流入する一般的なヒートポンプサイクルを構成するものであったが、所謂エジェクタサイクルにも本発明を適用することができる。
【0057】
即ち、ヒートポンプサイクル中に、給湯用熱交換器から流出した高圧冷媒の圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して冷媒を減圧膨張させる開度変更可能なノズル部と、ノズル部から噴射する高速の冷媒流により室外熱交換器にて蒸発した気相冷媒を吸引し、ノズル部から噴射する冷媒と室外熱交換器から吸引した気相冷媒とを混合させながら速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して冷媒の圧力を昇圧させる昇圧部とを有するエジェクタを備え、このエジェクタを流出した冷媒のうち液相冷媒を室外熱交換器に供給し、気相冷媒を圧縮機に供給するエジェクタサイクルにおいても、エジェクタのノズル部を減圧装置と見なして本発明を適用することが可能である。
【0058】
また、上記各実施形態では、ヒートポンプ装置2は、圧縮機21で冷媒を臨界圧力以上に加圧する所謂超臨界ヒートポンプサイクルを構成したが、超臨界ヒートポンプサイクルに限定されるものではない。また、冷媒は二酸化炭素であったが、これに限定されるものではない。所謂フロン等の他の冷媒であっても良い。
【0059】
また、圧縮機21は、回転数Nによって吐出量(吐出圧力P)が可変されるものに限らず、圧縮機部に吐出容量可変機構を有する、所謂可変容量型圧縮機としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるヒートポンプ式給湯装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態における制御装置100の沸き上げ運転制御の概略制御動作を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態における制御装置100の沸き上げ運転制御の概略制御動作を示すフローチャートである。
【図4】第3の実施形態における制御装置100の沸き上げ運転制御の概略制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 ヒートポンプ装置(ヒートポンプサイクル)
20 循環回路(給湯用流路)
21 圧縮機
22 給湯用熱交換器
23 膨張弁(減圧装置)
24 室外熱交換器(熱源用熱交換器)
26 圧力センサ(圧力検出手段)
100 制御装置(制御手段)
Claims (5)
- 圧縮機(21)、給湯用熱交換器(22)、減圧装置(23)および熱源用熱交換器(24)が順次接続されて、内部を冷媒が流通するヒートポンプサイクル(2)と、
前記給湯用熱交換器(22)を給湯用水が流通する給湯用流路(20)と、
前記給湯用熱交換器(22)内の前記冷媒との熱交換により加熱されて、前記給湯用熱交換器(22)を通過した後の前記給湯用水の温度が所定温度となるように、前記圧縮機(21)、前記減圧装置(23)の作動および前記給湯用流路(20)の流量を制御する制御手段(100)とを備えるヒートポンプ式給湯装置において、
前記ヒートポンプサイクル(2)内の前記冷媒の高圧側圧力(P)を検出する圧力検出手段(26)を設け、
前記制御手段(100)は、前記圧力検出手段(26)によって得られる前記高圧側圧力(P)が予め定めた所定の圧力範囲(P2〜P1)の上限側(P1)を超える場合には、前記所定の圧力範囲(P2〜P1)に入るように、まず、前記減圧装置(23)の弁開度(K)を所定量ずつ開く側に可変していき、
前記減圧装置(23)の弁開度(K)を所定開度(K1)まで開いても、前記高圧側圧力(P)が前記所定の圧力範囲(P2〜P1)の上限側(P1)を超える場合には、次に、前記圧縮機(21)の冷媒吐出能力を低減方向に変更制御することを特徴とするヒートポンプ式給湯装置。 - 前記制御手段(100)は、前記圧力検出手段(26)によって得られる前記高圧側圧力(P)が前記所定の圧力範囲(P2〜P1)の下限側(P2)を下回る場合には、前記所定の圧力範囲(P2〜P1)に入るように、まず、圧縮機(21)の冷媒吐出能力を所定量ずつ増加させていき、
前記圧縮機(21)の冷媒吐出能力を所定能力まで増加しても、前記高圧側圧力(P)が前記所定の圧力範囲(P2〜P1)の下限値(P2)を下回る場合には、次に、前記減圧装置(23)の弁開度(K)を閉じる側に変更制御することを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式給湯装置。 - 前記ヒートポンプサイクル(2)中に、前記給湯用熱交換器(22)から流出した高圧冷媒の圧力エネルギーを速度エネルギーに変換して前記高圧冷媒を減圧膨張させる開度変更可能なノズル部と、前記ノズル部から噴射する高速の冷媒流により前記熱源用熱交換器(24)にて蒸発した気相冷媒を吸引し、前記ノズル部から噴射する冷媒と前記熱源用熱交換器(24)から吸引した前記気相冷媒とを混合させながら速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して前記冷媒の圧力を昇圧させる昇圧部とを有するエジェクタを備え、
前記減圧装置(23)は、前記ノズル部から成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートポンプ式給湯装置。 - 前記圧縮機(21)は、前記ヒートポンプサイクル(2)内の前記冷媒を臨界圧以上に圧縮して吐出することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のヒートポンプ式給湯装置。
- 前記冷媒は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項4に記載のヒートポンプ式給湯装置。
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