JP3719155B2 - ヒートポンプ給湯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貯湯式のヒートポンプ給湯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来のヒートポンプ給湯機について図面を参照しながら説明する。従来のこの種のヒートポンプ給湯機としては特開昭60−164157号公報に開示されたようなものがある。図20は、上記従来のヒートポンプ給湯機の構成を示すブロック図である。図20において、圧縮機1、冷媒対水熱交換器2、減圧装置3、および蒸発器4を順次に接続した冷媒循環回路と、貯湯槽5、循環ポンプ6、冷媒対水熱交換器2、および補助加熱器7を順次に接続した給湯回路とからなり、圧縮機1から吐出された高温高圧の過熱ガス冷媒は冷媒対水熱交換器2に流入し、ここで循環ポンプ6から送られてきた水を加熱する。そして、凝縮液化した冷媒は減圧装置3で減圧されて蒸発器4に流入し、ここで大気熱を吸熱して蒸発ガス化し、圧縮機1に戻る。
【0003】
一方、冷媒対水熱交換器2で加熱された湯は貯湯槽5の上部に流入し、上から次第に貯湯されていく。そして、冷媒対水熱交換器2の入口水温が所定の設定値に達すると給水温度検出手段8がそれを検知し、圧縮機1によるヒートポンプ運転を停止し、補助加熱器7の単独運転に切り換える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来例の構成では、沸き上げ運転時間の経過とともに貯湯槽5内の湯と水が接する部分で湯水混合層が生じ、その層は次第に拡大していく。図21は貯湯槽5内の湯の温度分布を示す特性図である。図21において、(a)は貯湯槽5の断面を模式的に示し、(b)は湯の温度分布を示す。T1は沸き上げ温度(高温湯)であり、T2は市水温度(低温湯)である。前述の湯水混合層は、高温湯と低温湯の熱伝導および対流により発生するものであり、高温湯から低温湯へ伝熱され、その境界部分で高温湯は温度低下し、逆に低温湯は温度上昇する。したがって、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなるため、圧縮機1の吐出圧力が上昇し、モータの巻線温度の上昇など圧縮機1の耐久性が問題となってくる。
【0005】
図22は、給水温度に対する圧縮機1の吐出圧力を示す特性図である。図22において、Pは常用上限圧力であり、圧縮機1の耐久性を保証するためには、通常運転ではこの常用上限圧力P以下で運転する必要がある。常用上限圧力Pのときの給水温度はT3となる。また、有効な湯温の下限をTu(たとえば45℃)とし、前述のT3とTuとを図21に示す。図21(a)において、湯温T3以下の領域は沸き上げ可能な領域であり、Tu以上の領域は有効な湯として使用できる領域である。しかし、湯温T3とTuの間の領域(斜線で示した部分)は有効な湯として利用できない領域である。
【0006】
このように従来例の構成では、冷媒対水熱交換器2に流れる水温が低い状態で運転を停止せざるをえないので、貯湯槽5の下部が低温の水の状態で停止することになり、貯湯槽5の湯容量を有効に利用できない。そのため、貯湯熱量は減少し、給湯負荷を満足することができない。これを解決する方法の一つとして、貯湯槽5の容量を大きくすることが考えられる。しかし、この場合には、貯湯槽5の設置面積が大きくなり、設置の自由度が制限され、かつ、コストが高くなると言う問題がある。また、他の方法として、ヒートポンプ運転を停止した後、補助加熱器7の単独運転で貯湯熱量を増加する方法がある。しかし、この場合には、ヒータなどで加熱するため、消費電力が大きくなり、効率が悪くなると言う問題がある。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するもので、圧縮機の異常温度上昇および異常圧力上昇がなく、低消費電力量で貯湯槽の下部まで高温湯を貯湯でき、湯容量を有効に利用可能なヒートポンプ給湯機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、冷媒対水熱交換器の水側入口において貯湯槽下部から給水される水の給水温度を検出する給水温度検出手段と、貯湯槽の沸き上げ完了近くにおいて給水温度検出手段により検出される給水温度の上昇に応じて予め定まった圧縮機の回転数を記憶している記憶手段と、給水温度検出手段により検出される給水温度に応じて記憶手段に記憶された回転数により前記圧縮機の回転数を制御する制御手段とを備え、記憶手段には、貯湯槽の沸き上げ完了近くになると給水温度検出手段により検出される給水温度の上昇に応じて圧縮機の回転数を小さくするような回転数の値を記憶していることを特徴とするヒートポンプ給湯機である。
【0009】
本発明により、沸き上げ完了に近づき、給水温度の上昇に対応して圧縮機の吐出圧力が上昇した場合に、圧縮機の加熱能力を落とすように制御して吐出圧力を低く抑えるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽下部に蓄えられる水を冷媒対水熱交換器へ供給した後に貯湯槽上部へ流入させる給湯回路と、冷媒対水熱交換器の水側出口水温を所定値とするように給湯回路の流量を制御する循環ポンプと、冷媒対水熱交換器の水側入口において貯湯槽下部から給水される水の給水温度を検出する給水温度検出手段と、貯湯槽の沸き上げ完了近くにおいて給水温度検出手段により検出される給水温度の上昇に応じて予め定まった圧縮機の回転数を記憶している記憶手段と、給水温度検出手段により検出される給水温度に応じて記憶手段に記憶された回転数により圧縮機の回転数を制御する制御手段とを備え、記憶手段は、貯湯槽の沸き上げ完了近くになると給水温度検出手段により検出される給水温度の上昇に応じて圧縮機の回転数を小さくするような回転数の値を記憶していることを特徴とするヒートポンプ給湯機である。
【0011】
本発明において、制御手段は、給水温度に応じた最適な加熱能力の変更を行うので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなるため、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0012】
また、吐出圧力の上昇が大きい高給水温度時に圧縮機の回転数の変更量を大きくして吐出圧力を大きく低下させて給水温度に応じた最適な加熱能力の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0013】
また、制御手段は、沸き上げ完了直前時に最適な加熱能力の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0014】
また、本発明において、制御手段は、沸き上げ完了に近づくほど吐出圧力の上昇が大きいときに圧縮機の回転数の変更を多くして吐出圧力を大きく低下させ、最適な加熱能力の変更を行うので、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。なお、時間間隔を給水温度に対応してあらかじめ記憶手段に記憶しておくことにより、容易に決定することができる。
【0015】
また、本発明は、循環ポンプの流量が最大流量となっている時間が所定時間を越えたときに圧縮機の回転数を小さくするように制御する制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機である。
【0016】
本発明において、制御手段は、循環ポンプの能力が、所定の時間の間、最大になったことを検出して圧縮機の回転数の変更を行い、吐出圧力を低く抑え、加熱運転を続けるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。
【0017】
また、本発明は、圧縮機の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段を備え、制御手段は、前記吐出圧力検出手段による検出される吐出圧力が所定の圧力よりも高いときに前記圧縮機の回転数を小さくするように制御する制御する制御手段とを備えたヒートポンプ給湯機である。
【0018】
本発明において、貯湯槽の湯容量を有効に利用でき、かつ、直接圧力で制御するので、圧縮機のより確実な耐久性の向上を図ることができる。
【0019】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例1について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、従来例と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0021】
図1において、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けられた沸き上げ温度検出手段9からの信号により、流量制御手段10は、循環ポンプ6の回転数を制御して、冷媒対水熱交換器2の出口水温(沸き上げ温度)がほぼ一定になるように沸き上げる。また、制御手段11は、沸き上げ完了の直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段12からの信号により、圧縮機1を駆動する圧縮機駆動手段13を制御する。圧縮機駆動手段13はインバータを備え、圧縮機1の能力を可変する。なお、沸き上げ完了直前検出手段12として、本実施例では冷媒対水熱交換器2の水側入口水温である給水温度を検出する給水温度検出手段8を用いる。
【0022】
上記構成における動作と作用について説明する。図2は、本実施例の動作を示す特性図である。図2において、(a)は給湯運転の状態、(b)は圧縮機1の回転数、(c)は吐出圧力、(d)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。従来例で説明したように、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなる。すなわち、冷媒対水熱交換器2に流入する水が前述した湯水混合層の部分になると、(d)に示したように、運転時間とともに給水温度が上昇する。そして、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が(沸き上げ温度T1よりも低い温度である)沸き上げ完了直前検出温度Thを検出すると、制御手段11は、圧縮機駆動手段13に所定の回転数に対応する信号を送ることにより、圧縮機1の回転数を小さくして加熱能力を落とす。このとき、吐出圧力はP1からP2に減少する。
【0023】
その後、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が常用上限圧力Pとなる給水温度T3aを検出すると圧縮機1を停止し、加熱運転を終了する。なお、図2に示した太い点線は、圧縮機1の回転数の制御を行わない従来例の場合を示す。運転限界の給水温度がT3からT3aへと高くなり、運転範囲が大きくなることがわかる。
【0024】
図3は、貯湯槽5内の湯の温度分布を示す特性図である。図3において、(a)は貯湯槽5の断面を模式的に示し、(b)はその内部の湯の温度分布を示す。湯温T3a以下の領域は沸き上げ可能な領域であり、Tu以上の領域は有効な湯として使用できる領域である。有効な湯として利用できない領域は、図21で示した従来例の場合には湯温T3とTuの間の領域であったが、本実施例の場合は湯温T3aとTuの間の領域(斜線で示した部分)である。すなわち、湯温T3とT3aの間の領域(点斜線で示した部分)が、本実施例によって、有効になった湯の領域である。
【0025】
以上のように、本実施例によれば、能力可変な圧縮機1、冷媒対水熱交換器2、減圧装置3、および蒸発器4を順次に接続した冷媒循環回路と、貯湯槽5、循環ポンプ6、および冷媒対水熱交換器2を順次に接続した給湯回路と、貯湯槽5全体の沸き上がり直前を検出する沸き上げ完了直前検出手段と、前記沸き上げ完了直前検出手段が前記沸き上がり直前を検出したとき、圧縮機1の回転数を小さくする制御手段11とを備えたことにより、沸き上げ完了に近づき、圧縮機1の吐出圧力が上昇する場合に、加熱能力を落とすように制御して吐出圧力を低く抑え、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用することができる。
【0026】
(実施例2)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例2について図面を参照しながら説明する。図4は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、外気温度を検出する外気温度検出手段14と、外気温度に対する圧縮機1の回転数の変更量を記憶している第1の記憶手段15とを備えたことである。
【0027】
上記構成における動作と作用について説明する。図5は、本実施例における圧縮機1の回転数と吐出圧力との関係を、外気温度をパラメータ(冬はたとえば5℃、中間期はたとえば18℃、夏はたとえば29℃)にして示す特性図である。図5に示したように、圧縮機1の回転数が小さくなれば吐出圧力が減少する。そこで、吐出圧力をP1からP2に減少させるための圧縮機1の回転数の変更量を求めれば、冬(たとえばえば5℃)では△S1、中間期(たとえば18℃)では△S2、夏(たとえば29℃)では△S3となる。
【0028】
図6は、本実施例の動作を示す特性図である。図6において、(a)は沸き上げ完了直前検出温度、(b)は圧縮機1の回転数の変更量を、それぞれ外気温度に対応して示す。外気温度に対する圧縮機1の回転数の変更量の関係は、図5で求めた外気温度(冬は5℃、中間期は18℃、夏は29℃)に対する変更量(冬は△S1、中間期は△S2、夏は△S3)の関係である。また、外気温度に対する沸き上げ完了直前検出温度の関係は、各外気温度(冬はたとえば5℃、中間期はたとえば18℃、夏はたとえば29℃)において吐出圧力がP1になる給水温度(沸き上げ完了直前検出温度Th)を求めることによって決定できる。図6はこれらの関係を示し、図6に示した関係を第1の記憶手段15にあらかじめ記憶しておく。
【0029】
制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出するとともに、外気温度検出手段14から外気温度を検出し、第1の記憶手段15に記憶させてある外気温度に対する圧縮機1の回転数の変更量と沸き上げ完了直前検出温度Thとを求める。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより低ければ、圧縮機1の回転数は変更せず、逆に、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ第1の記憶手段15から求めた圧縮機1の回転数の変更量だけ、圧縮機駆動手段13に信号を送ることにより圧縮機1の回転数を変更する。圧縮機1の回転数を変更すると吐出圧力はP1からP2に減少する。
【0030】
その後、実施例1で説明したように、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が常用上限圧力Pとなる給水温度T3aを検出すると、圧縮機1を停止し、加熱運転を終了する。
【0031】
以上のように、本実施例によれば、圧縮機1の回転数の変更量を外気温度検出手段14が検出した外気温度に対応して決定する制御手段11を備えたことにより、外気温度に応じた最適な加熱能力の変更を行うので、貯湯槽5の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0032】
(実施例3)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例3について図面を参照しながら説明する。図7は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、給水温度記
憶手段16を備えたことである。
【0033】
上記構成における動作と作用について説明する。図8は、本実施例の動作を示す特性図である。図8において、(a)は給湯運転の状態、(b)は圧縮機1の回転数、(c)は吐出圧力、(d)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。図8に示したTh1、Th2(Th1<Th2)は、沸き上げ完了直前検出温度であり、それぞれ第1の沸き上げ完了直前検出温度、第2の沸き上げ完了直前検出温度とする。この第1の沸き上げ完了直前検出温度Th1と第2の沸き上げ完了直前検出温度Th2とを給水温度記憶手段16にあらかじめ記憶しておく。
【0034】
前述のように、貯湯槽5の沸き上げ完了近くになると、冷媒対水熱交換器2に流入する給水温度は高くなる。制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8により給水温度を検出し、さらに、給水温度記憶手段16に記憶してある第1の沸き上げ完了直前検出温度Th1を求める。そして、給水温度検出手段8から求めた給水温度が第1の沸き上げ完了直前検出温度Th1より低ければ、圧縮機1の回転数は変更せず、逆に、給水温度が第1の沸き上げ完了直前検出温度Th1より高ければ圧縮機1の回転数を小さくする。圧縮機1の回転数を変更すると吐出圧力は減少する。その後も、制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8から給水温度を検出し、さらに、給水温度記憶手段16に記憶させている第2の沸き上げ完了直前検出温度Th2を求める。
【0035】
そして、給水温度検出手段8により検出した給水温度が第2の沸き上げ完了直前検出温度Th2より低ければ、圧縮機1の回転数は変更せず、逆に、給水温度が第2の沸き上げ完了直前検出温度Th2より高ければ、圧縮機駆動手段13に信号を送ることにより、圧縮機1の回転数を小さくする。圧縮機1の回転数を変更したときは吐出圧力が減少する。その後、実施例1で説明したように、運転時間の経過とともに給水温度がさらに上昇し、それに従って吐出圧力が上昇する。そして、給水温度検出手段8が常用上限圧力Pとなる給水温度T3aを検出すると、圧縮機1を停止し、加熱運転を終了する。
【0036】
以上のように、本実施例によれば、あらかじめ決められた複数の給水温度ごとに圧縮機1の回転数の変更を行う制御手段11を備えたことにより、給水温度に応じた最適な加熱能力の変更を行うので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなり、貯湯槽5の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0037】
なお、本実施例では、沸き上げ完了直前検出温度として2つの給水温度を設定したが、3つ以上の給水温度を設定しても本実施例と同様の作用、効果を得られることは言うまでもない。また、本実施例では圧縮機1の回転数を給水温度に対応して段階的に変更したが、給水温度に対応して連続的に変更してもよいことは言うまでもない。
【0038】
(実施例4)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例4について図面を参照しながら説明する。図9は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例3と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例3と異なる点は、給水温度に対する圧縮機1の回転数の変更量を記憶する第2の記憶手段17を備えたことである。
【0039】
上記構成における動作と作用について説明する。図10は、本実施例の動作を示す特性図である。図10において、(a)は圧縮機1の回転数、(b)は吐出圧力を、それぞれ給水温度に対応して示す。なお、点線は圧縮機1の回転数を一定とした場合の吐出圧力を示す。図10からわかるように、給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力が高くなる。また、図10に示したTh1、Th2、Th3、Th4、Th5(Th1<Th2<Th3<Th4<Th5)は、沸き上げ完了直前検出温度Thを示す給水温度であり、それぞれ第1、第2、第3、第4、第5の沸き上げ完了直前検出温度である。この第1ないし第5の沸き上げ完了直前検出温度を給水温度記憶手段16にあらかじめ記憶しておく。
【0040】
沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8が検出した給水温度が、給水温度記憶手段16に記憶させてある沸き上げ完了直前検出温度Th(Th1、Th2、Th3、Th4、Th5)以上になれば、圧縮機1の回転数を小さくする(それぞれ△S1、△S2、△S3、△S4、△S5)。このときの圧縮機1の回転数の変更量を、図10に示したように、沸き上げ完了直前検出温度の高い方をより大きくする。すなわち、沸き上げ完了直前検出温度がTh1<Th2<Th3<Th4<Th5のとき、圧縮機1の回転数の変更量を△S1<△S2<△S3<△S4<△S5とする。これにより、図10に実線で示したように、吐出圧力の急激な上昇がなくなる。図11は、給水温度と圧縮機1の回転数の変更量との関係を示す特性図である。この関係を第2の記憶手段17にあらかじめ記憶しておく。
【0041】
制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8により給水温度を検出する。そして、給水温度記憶手段16に記憶させてある沸き上げ完了直前検出温度Th(Th1、Th2、Th3、Th4、Th5)を求める。そして、給水温度検出手段8で検出した給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより低ければ、圧縮機1の回転数は変更せず、逆に、給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ、圧縮機駆動手段13に信号を送ることによって、第2の記憶手段17に記憶している給水温度に対する圧縮機1の回転数の変更量(それぞれ△S1、△S2、△S3、△S4、△S5)だけ圧縮機1の回転数を小さくする。
【0042】
以上のように、本実施例によれば、給水温度が高いほど圧縮機1の回転数の変更量を大きくした制御手段11を備えたことにより、吐出圧力の上昇が大きくなる高給水温度時には圧縮機1の回転数の変更量を大きくして吐出圧力を大きく低下させ、給水温度に応じた最適な加熱能力の変更を行うので、貯湯槽5の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0043】
なお、本実施例では、沸き上げ完了直前検出温度Thとして5つの給水温度を設定したが、6つ以上の給水温度を設定しても、本実施例と同様の作用、効果を得られることは言うまでもない。
【0044】
(実施例5)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例5について図面を参照しながら説明する。図12は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、タイマ18を備えたことである。
【0045】
上記構成における動作と作用について説明する。図13は、本実施例の動作を示す特性図である。図13において、(a)は吐出圧力、(b)は圧縮機1の回転数、(c)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。前述のように、湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇する。図13において、点線は圧縮機1の回転数を一定とした場合を示し、運転時間が経過して給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力が高くなる。そこで、給水温度が、沸き上げ完了直前検出温度Thになれば、あらかじめ設定された所定の時間間隔△Tごとに、圧縮機1の回転数を小さくする。このようにすれば、図13に示したように、圧縮機1の回転数が一定の場合に比べて、吐出圧力を低くすることができる。
【0046】
すなわち、制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8により給水温度を検出する。そして、給水温度検出手段8により検出した給水温度が沸き上げ完了直前検出温度Thより高ければ、タイマ18からの信号で所定の時間間隔△Tごとに、圧縮機駆動手段13に信号を送ることにより圧縮機1の回転数を小さくする。
【0047】
以上のように、本実施例によれば、あらかじめ設定された時間間隔△Tごとに圧縮機1の回転数の変更を行う制御手段11を備えたことにより、沸き上げ完了直前時に最適な加熱能力の変更を行うので、貯湯槽5の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0048】
(実施例6)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例6について図面を参照しながら説明する。図14は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例5と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例5と異なる点は、時間間隔記憶手段19を備えたことである。
【0049】
上記構成における動作と作用について説明する。図15は、本実施例の動作を示す特性図である。図15において、(a)は吐出圧力、(b)は圧縮機1の回転数、(c)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。前述のように、湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇する。同図において、点線は圧縮機1の回転数を一定とした場合を示し、運転時間が経過して給水温度が高くなればなるほど急激に吐出圧力が高くなる。そこで、給水温度が、第1の沸き上げ完了直前検出温度Th1になれば、あらかじめ設定された所定の第1の時間間隔△T1ごとに圧縮機1の回転数を小さくする。そして、給水温度が上昇し、給水温度が第2の沸き上げ完了直前検出温度Th2になれば、前記第1の時間間隔△T1より小さい所定の第2の時間間隔△T2(△T2<△T1)ごとに、圧縮機1の回転数を小さくする。このように、吐出圧力が急激に上昇する高給水温度時に、圧縮機1の回転数を変更する時間間隔を短くすれば、(a)に示したように、圧縮機1の回転数が一定の場合に比べて吐出圧力を低くすることができ、とくに、急激な吐出圧力の上昇をなくすことができるため、給湯加熱運転の範囲を広げることができる。なお、第1の時間間隔△T1と第2の時間間隔△T2とを時間間隔記憶手段19に記憶させておく。
【0050】
すなわち、制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である給水温度検出手段8により給水温度を検出する。そして、給水温度検出手段8により検出した給水温度が第1の沸き上げ完了直前検出温度Th1より高ければ、時間間隔記憶手段19から第1の時間間隔△T1を読み出す。そして、タイマ18からの信号で第1の時間間隔△T1ごとに圧縮機駆動手段13に信号を送って圧縮機1の回転数を小さくする。さらに、給水温度が上昇し、給水温度検出手段8により検出した給水温度が第2の沸き上げ完了直前検出温度Th2より高ければ、時間間隔記憶手段19から第2の時間間隔△T2を読み出す。そして、タイマ18からの信号で第2の時間間隔△T2ごとに圧縮機駆動手段13に信号を送って圧縮機1の回転数を小さくする。
【0051】
以上のように、本実施例によれば、圧縮機1の回転数の変更を行う時間間隔を沸き上げ完了に近づくほど小さくした制御手段11を備えたことにより、沸き上げ完了に近づくほど吐出圧力の上昇が大きいときに圧縮機1の回転数の変更を多くして吐出圧力を大きく低下させ、最適な加熱能力の変更を行うので、貯湯槽5の湯容量を有効に利用でき、かつ、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【0052】
なお、本実施例では、圧縮機1の回転数の変更を行う時間間隔として2つの時間間隔(
△T1、△T2)を設定したが、3つ以上の時間間隔を設定しても本実施例と同様の作用、効果を得られることは言うまでもない。
【0053】
(実施例7)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例7について図面を参照しながら説明する。図16は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、沸き上げ完了直前検出手段12として、循環ポンプ6の流量が最大流量になっている時間を計測する時間計測手段20を備えたことである。
【0054】
上記構成における動作と作用について説明する。図17は、本実施例の動作を示す特性図である。図17において、(a)は圧縮機1の回転数、(b)は吐出圧力、(c)は流量、(d)は循環ポンプ6の回転数、(e)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。前述のように、流量制御手段10は、冷媒対水熱交換器2の水側出口に設けられた沸き上げ温度検出手段9により検出した出口水温である沸き上げ温度により循環ポンプ6の回転数を制御して、冷媒対水熱交換器2の沸き上げ温度をほぼ一定になるように沸き上げる。いま、湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇するので、冷媒対水熱交換器2の水側流量が大きくなるように循環ポンプ6の回転数を増加させていく。
【0055】
ところが、循環ポンプ6の回転数が最大回転数に達してもなお給水温度が上昇する場合がある。この場合には、冷媒対水熱交換器2の出口水温である沸き上げ温度が上昇し、かつ、吐出圧力も急激に上昇する。そこで、循環ポンプ6の回転数が所定の運転時間継続して最大回転数、すなわち流量が所定の運転時間継続して最大流量になれば、圧縮機1の回転数を小さくするように制御すれば、図17に示したように、吐出圧力が低下し、給湯加熱運転を続けることが可能となる。
【0056】
すなわち、制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である時間計測手段20から循環ポンプ6の流量が最大流量になっている時間を検出する。そして、この検出した時間が所定の運転時間より長ければ、時間計測手段20からの信号で、圧縮機駆動手段13に所定の回転数に対応する信号を送ることにより、圧縮機1の回転数を小さくする。
【0057】
以上のように、本実施例によれば、沸き上げ完了直前検出手段12として、循環ポンプ6の流量が最大流量になったときに、最大流量になっている時間を計算する時間計測手段20を備えたことにより、循環ポンプ6の能力が、所定の時間の間、最大になったことを検出して圧縮機1の回転数の変更を行い、吐出圧力を低く抑え、加熱運転を続けるので、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となり、貯湯槽の湯容量を有効に利用することができる。
【0058】
(実施例8)
以下、本発明のヒートポンプ給湯機の実施例8について図面を参照しながら説明する。図18は、本実施例の構成を示すブロック図である。なお、実施例1と同じ構成要素には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。本実施例が実施例1と異なる点は、沸き上げ完了直前検出手段12として、吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段21を備えたことである。
【0059】
上記構成における動作と作用について説明する。図19は、本実施例の動作を示す特性図である。図19において、(a)は圧縮機1の回転数、(b)は吐出圧力、(c)は給水温度を、それぞれ運転時間に対応して示す。前述のように、湯水混合層の部分になると運転時間とともに給水温度が上昇し、これに伴って、吐出圧力も高くなる。そこで、吐出
圧力が基準圧力Psになれば、圧縮機1の回転数を小さくする。その結果、吐出圧力を低下させることができる。
【0060】
すなわち、制御手段11は、定期的に、沸き上げ完了直前検出手段12である吐出圧力検出手段21から吐出圧力を検出する。そして、吐出圧力検出手段21から求めた吐出圧力があらかじめ設定された基準圧力Psより高ければ、吐出圧力検出手段21からの信号により、圧縮機駆動手段13に所定の回転数に対応する信号を送ることによって、圧縮機1の回転数を小さくする。そして、この動作を繰り返す。
【0061】
以上のように、本実施例によれば、沸き上げ完了直前検出手段12として吐出圧力検出手段21を用い、所定の基準圧力になれば圧縮機1の回転数を小さくするように制御する制御手段11を備えたことにより、貯湯槽5の湯容量を有効に利用でき、かつ、直接に吐出圧力で制御するので、圧縮機1のより確実な耐久性の向上を図ることができる。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、沸き上げ完了に近づき、給水温度の上昇に対応して圧縮機の吐出圧力が上昇する場合、能力可変な圧縮機の回転数を小さくするように制御して吐出圧力を低く抑え、高温の給水温度まで給湯加熱運転が可能となるので、有効な湯として利用できない無駄な領域がより少なくなり、貯湯槽の湯容量を有効に利用できる。その結果、従来と同じ大きさの貯湯槽でより大きな給湯負荷を満足し、逆に、従来と同じ大きさの給湯負荷を満足するためには従来より小形の貯湯槽でよいので、設置の自由度が大きく、コスト低減にもなる。さらに、効率のよい給湯加熱運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のヒートポンプ給湯機の構成を示すブロック図
【図2】 同実施例の動作を示す特性図
【図3】 同実施例における貯湯槽の内部の温度分布を示す特性図
【図4】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例2の構成を示すブロック図
【図5】 同実施例の動作を示す特性図
【図6】 同実施例における外気温度に対する沸き上げ完了直前検出温度と圧縮機の回転数の変更量とを示す特性図
【図7】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例3の構成を示すブロック図
【図8】 同実施例の動作を示す特性図
【図9】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例4の構成示すブロック図
【図10】 同実施例の動作を示す特性図
【図11】 同実施例における給水温度に対する圧縮機の回転数の変更量を示す特性図
【図12】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例5の構成を示すブロック図
【図13】 同実施例の動作を示す特性図
【図14】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例6の構成を示すブロック図
【図15】 同実施例の動作を示す特性図
【図16】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例7の構成を示すブロック図
【図17】 同実施例の動作を示す特性図
【図18】 本発明のヒートポンプ給湯機の実施例8の構成を示すブロック図
【図19】 同実施例の動作を示す特性図
【図20】 従来例のヒートポンプ給湯機の構成を示すブロック図
【図21】 同従来例における貯湯槽の内部の温度分布を示す特性図
【図22】 同従来例における給水温度に対する吐出圧力を示す特性図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 冷媒対水熱交換器
3 減圧装置
4 蒸発器
5 貯湯槽
6 循環ポンプ
7 補助加熱器
8 給水温度検出手段
9 沸き上げ温度検出手段
10 流量制御手段
11 制御手段
12 沸き上げ完了直前検出手段
13 圧縮機駆動手段
14 外気温度検出手段
15 第1の記憶手段
16 給水温度記憶手段
17 第2の記憶手段
18 タイマ
19 時間間隔記憶手段
20 時間計測手段
21 吐出圧力検出手段
P 常用上限圧力
Ps 基準圧力
Th 沸き上げ完了直前検出温度
Th1 第1の沸き上げ完了直前検出温度
Th2 第2の沸き上げ完了直前検出温度
Th3 第3の沸き上げ完了直前検出温度
Th4 第4の沸き上げ完了直前検出温度
Th5 第5の沸き上げ完了直前検出温度

Claims (3)

  1. 圧縮機、冷媒対水熱交換器、減圧装置を接続した冷媒循環回路と、貯湯槽下部に蓄えられる水を前記冷媒対水熱交換器へ供給した後に前記貯湯槽上部へ流入させる給湯回路と、前記冷媒対水熱交換器の水側出口水温を所定値とするように前記給湯回路の流量を制御する循環ポンプと、前記冷媒対水熱交換器の水側入口において前記貯湯槽下部から給水される水の給水温度を検出する給水温度検出手段と、前記貯湯槽の沸き上げ完了近くにおいて前記給水温度検出手段により検出される給水温度の上昇に応じて予め定まった前記圧縮機の回転数を記憶している記憶手段と、前記給水温度検出手段により検出される給水温度に応じて前記記憶手段に記憶された回転数により前記圧縮機の回転数を制御する制御手段とを備え、前記記憶手段は、前記貯湯槽の沸き上げ完了近くになると前記給水温度検出手段により検出される給水温度の上昇に応じて前記圧縮機の回転数を小さくするような回転数の値を記憶していることを特徴とするヒートポンプ給湯機。
  2. 制御手段は、循環ポンプの流量が最大流量となっている時間が所定時間を越えたときに圧縮機の回転数を小さくするように制御する請求項1記載のヒートポンプ給湯機。
  3. 圧縮機の吐出圧力を検出する吐出圧力検出手段を備え、制御手段は、前記吐出圧力検出手段による検出される吐出圧力が所定の圧力よりも高いときに前記圧縮機の回転数を小さくするように制御する請求項1記載のヒートポンプ給湯機。
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