JP2002286057A - クラッチの制御方法 - Google Patents
クラッチの制御方法Info
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Abstract
フィーリングひいては変速フィーリングの不安定を防止
する。 【解決手段】 車両の動力伝達系に配された湿式摩擦ク
ラッチを断接駆動するための作動流体圧を電子コントロ
ールユニットから出力されるデューティパルスに応じて
変化させることによりクラッチを断接制御する方法にあ
って、クラッチを断状態から接続するとき、最初にクラ
ッチがトルク点Dtb付近まで大きく接されるような所
定の開始デューティDst0をマップから選択し、少な
くとも車両状況に係る所定の補正パラメータ(作動流体
温度、バッテリ電圧、エンジン回転数等)に基づいて補
正(A’)した後(Dst1)、電子コントロールユニ
ットから出力し、その後クラッチが緩接されるような所
定の緩接デューティDkを所定時間毎に電子コントロー
ルユニットから出力する。
Description
に係り、特に車両の動力伝達系に配された湿式摩擦クラ
ッチを制御する方法に関する。
る動力伝達経路の途中に流体継手(トルクコンバータを
含む)と湿式摩擦クラッチとを直列に設け、変速時に湿
式摩擦クラッチを自動的に断接する車両の動力伝達装置
を新たに開発した。この場合、車両停止中にギヤイン操
作されると、この後クラッチが自動接続され、クリープ
が発生する。この点通常のAT車と同様である。
続ショック(所謂ガレージショック等)が生じ、遅すぎ
るとギヤイン操作からクリープ発生までに時間がかか
り、ドライバがいつアクセルを踏み込んでよいのか分か
らなくなる(タイムラグ大)。そこでこのようなクラッ
チ接続ショックと接続時間短縮との両立を図るため、ク
ラッチがつながり始めるまでの遊び領域はクラッチを急
接し、クラッチがつながり始めたら接続速度を切り換え
てゆっくりつなぐ、という制御が行われている。
ための作動流体圧を、電子コントロールユニットから出
力されるデューティパルスに応じて変化させ、クラッチ
を断状態から接続するとき、最初にクラッチがつながり
始めの位置付近まで大きく接されるような所定の開始デ
ューティを電子コントロールユニットから出力し(これ
を一発接という)、その後クラッチが緩接されるような
所定の緩接デューティを所定時間毎に電子コントロール
ユニットから出力している。
れば最初に所定トルクを伝達することができるトルク伝
達開始点をトルク点と称し、このトルク点をコントロー
ルユニットに学習して接続速度切換のポイントに利用す
るなど、トルク点はクラッチ制御における重要な役割を
占めている。トルク点を学習値とするのは、クラッチに
製造誤差等に起因するバラツキないし個体差があり、ク
ラッチ毎にトルク点が異なるからである。
トルク点学習値を基準とすることによりクラッチの個体
差は吸収されるが、実際のクラッチ制御の際には作動流
体温度やバッテリ電圧等といった車両状況がバラついて
おり、このバラツキによりクラッチの接続フィーリン
グ、ひいては変速フィーリングが安定しないという問題
がある。
ューティ制御されるバルブ系は作動流体温度や印加電圧
により出力圧(クラッチ制御圧)が変動する。また、ク
ラッチを接制御するときのエンジン回転数によって流体
継手の伝達トルクが変動することから、クラッチ入力ト
ルクの変動により、一定のクラッチ接位置に対するクラ
ッチ出力トルクも変動する。
され、その目的は車両状況のバラつきに起因したクラッ
チ接続フィーリングひいては変速フィーリングの不安定
を防止することにある。
達系に配された湿式摩擦クラッチを断接駆動するための
作動流体圧を電子コントロールユニットから出力される
デューティパルスに応じて変化させることによりクラッ
チを断接制御する方法にあって、クラッチを断状態から
接続するとき、最初にクラッチがトルク点付近まで大き
く接されるような所定の開始デューティをマップから選
択し、少なくとも車両状況に係る所定の補正パラメータ
に基づいて補正した後、電子コントロールユニットから
出力し、その後クラッチが緩接されるような所定の緩接
デューティを所定時間毎に電子コントロールユニットか
ら出力するものである。
体の温度、バッテリ電圧又はエンジン回転数であるのが
好ましい。
付図面に基いて説明する。
装置を示す。図示するように、エンジンEには、クラッ
チ機構1を介して変速機T/Mが接続されている。クラ
ッチ機構1は流体継手(フルードカップリング)2と湿
式多板クラッチ3とからなる。流体継手2は、エンジン
Eから変速機T/Mに至る動力伝達経路の途中であって
その上流側に設けられ、湿式多板クラッチ3は同下流側
に直列に設けられる。なおここでいう流体継手とはトル
クコンバータを含む広い概念であり、現に本実施形態に
おいてもトルクコンバータを用いている。
ク軸)に接続されたポンプ4と、ポンプ4に対向されク
ラッチ3の入力側に接続されたタービン5と、タービン
5とポンプ4との間に介設されたステータ6と、ポンプ
4とタービン5との締結・切離を行うロックアップクラ
ッチ7とを有する。湿式多板クラッチ3は、その入力側
が入力軸3aを介してタービン5に接続され、出力側が
変速機T/Mの入力軸8に接続され、流体継手2と変速
機T/Mとの間を断接するものである。
に配置された出力軸9と、これらに平行に配置された副
軸10とを有する。入力軸8には、入力主ギヤ11が設
けられている。出力軸9には、1速主ギヤM1と、2速
主ギヤM2と、3速主ギヤM3と、4速主ギヤM4と、
リバース主ギヤMRとが夫々軸支されていると共に、6
速主ギヤM6が固設されている。副軸10には、入力主
ギヤ11に噛合する入力副ギヤ12と、1速主ギヤM1
に噛合する1速副ギヤC1と、2速主ギヤM2に噛合す
る2速副ギヤC2と、3速主ギヤM3に噛合する3速副
ギヤC3と、4速主ギヤM4に噛合する4速副ギヤC4
と、リバース主ギヤMRにアイドルギヤIRを介して噛
合するリバース副ギヤCRとが固設されていると共に、
6速主ギヤM6に噛合する6速副ギヤC6が軸支されて
いる。
定されたハブH/R1にスプライン噛合されたスリーブ
S/R1を、リバース主ギヤMRのドグDRにスプライ
ン噛合すると、出力軸9がリバース回転し、上記スリー
ブS/R1を1速主ギヤM1のドグD1にスプライン噛
合すると、出力軸9が1速相当で回転する。そして、出
力軸9に固定されたハブH/23にスプライン噛合され
たスリーブS/23を、2速主ギヤM2のドグD2にス
プライン噛合すると、出力軸9が2速相当で回転し、上
記スリーブS/23を3速主ギヤM3のドグD3にスプ
ライン噛合すると、出力軸9が3速相当で回転する。
5にスプライン噛合されたスリーブS/45を、4速主
ギヤM4のドグD4にスプライン噛合すると、出力軸9
が4速相当で回転し、上記スリーブS/45を入力主ギ
ヤ11のドグD5にスプライン噛合すると、出力軸9が
5速相当(直結)で回転する。そして、副軸10に固定
されたハブH6にスプライン噛合されたスリーブS6
を、6速副ギヤC6のドグD6にスプライン噛合する
と、出力軸9が6速相当で回転する。上記各スリーブ
は、図示しないシフトフォークおよびシフトロッドを介
して、運転室内のシフトレバーによってマニュアル操作
される。
即ち、図示省略するが、オイルが満たされたクラッチケ
ーシング内で、入力側と出力側とにそれぞれ複数枚ずつ
互い違いにクラッチプレートがスプライン噛合され、こ
れらクラッチプレート同士をクラッチピストンにより押
し付け合い、或いは解放して、クラッチの接続・分断を
行うものである。図2を参照して、クラッチピストン2
7はクラッチスプリング28により常に断側に付勢され
ると共に、これを上回る油圧がクラッチピストン27に
付加されたときクラッチ3が締結される。クラッチ締結
力ないしクラッチのトルク容量は与えられる油圧に応じ
て増大される。
給するための油圧供給装置について説明する。図2に示
すように、オイルタンク13のオイルがろ過器14を介
して油圧ポンプOPにより吸引吐出されると共に、その
吐出圧がリリーフバルブ15により調整され、一定のラ
イン圧PLが作られる。このライン圧PLのオイルを圧
力(減圧)制御してクラッチ3に送り込むわけだが、こ
のためクラッチコントロールバルブCCVとクラッチソ
レノイドバルブCSVという二つのバルブを用いてい
る。即ち、メインの油圧ラインに接続されたクラッチコ
ントロールバルブCCVを、クラッチソレノイドバルブ
CSVから送られてくるパイロット油圧Ppに応じて開
閉させるという、パイロット操作型油圧制御方式を採用
している。そしてパイロット油圧Ppの大きさが、電子
コントロールユニット(以下ECUという)16から出
力されるディーティパルスに応じて変化される。
電磁ソレノイドを有した電磁弁であり、無段階で開閉可
能であると共に、常にライン圧PLが供給されている。
そしてECU16から出力されたディーティパルスを受
け取り、そのデューティ(デューティ比)Dに応じた量
だけ弁体を開放させる。これによりクラッチソレノイド
バルブCSVはデューティDに応じたパイロット油圧P
pを出力することになる。
イロット油圧Ppに基づき無段階で開閉作動されるスプ
ール弁であり、これ自体は電子制御されない。即ちパイ
ロット油圧Ppの大きさに応じて内蔵スプールを開放側
にストロークさせ、これによりライン圧PLを適宜調整
しクラッチ圧Pcとしてクラッチ3に送り込む。こうし
て、結果的に、クラッチ3に供給される油圧がECU1
6によりデューティ制御されることとなる。
クラッチコントロールバルブCCVとを結ぶ経路の途中
にアキュムレータ17が設けられる。
軸は、ECU16から出力されるディーティパルスのデ
ューティDであり、より詳しくは所定の制御周期(本実
施形態では20msec)におけるソレノイドon時間の割合を
示すonデューティである。本実施形態では、デューティ
Dが0(%)のときクラッチが完接されるようにしてあ
る。これは電気系統の故障等でクラッチソレノイドバル
ブCSVに何等通電されなくなったようなとき(所謂of
fスタックの状態)にも、クラッチを接続状態として、
なんとか車両の走行を維持できるようにするためであ
る。
断、小ほど接である。デューティDの値が小さくなるに
つれ、クラッチコントロールバルブCCVから出力され
るパイロット油圧Ppの値が比例的に増加し、これに伴
ってクラッチに供給される油圧即ちクラッチ圧Pcと、
クラッチ3のトルク容量Tcとが比例的に増加する傾向
を示す。なおクラッチコントロールバルブCCVのバル
ブ開度Vは図示上は3ポジションであるが、実際上は全
開、全閉以外の中間開度(バルブ開度0mm)でスプール
弁が微小ストロークし、クラッチ圧Pcを連続的に変更
できるものである。
制御系も存在するが、ここでは本発明に直接関係ないた
め説明を省略する。その油圧制御系の構成は湿式多板ク
ラッチ3の油圧制御系と大略同様である。
電子制御装置を図4を用いて説明する。前述のECU1
6にはクラッチソレノイドバルブCSVの他、本装置を
電子制御するために様々なスイッチやセンサが接続され
ている。これにはエンジン回転数を検出するためのエン
ジン回転センサ18、クラッチ3の入力側の回転数即ち
タービン5の回転数を検出するためのタービン回転セン
サ19、変速機T/Mの回転数、代表的には入力副ギヤ
12の回転数を検出するための変速機回転センサ20、
及び車速を検出するための車速センサ21が含まれる。
これらのセンサは図1にも示される。また、パーキング
ブレーキが作動中か否かを検出するためのパーキングブ
レーキスイッチ22、フットブレーキが作動中か否かを
検出するためのフットブレーキスイッチ23、変速機の
ギヤポジションを検出するためのギヤポジションセンサ
24、クラッチ制御オイルの油温を検出するための油温
センサ27、バッテリ電圧を検出するための電圧計2
8、及びアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)
を検出するためのアクセル開度センサ29も含まれる。
接続されている。即ち、本実施形態ではドライバによる
変速操作の開始時期を検出するため、或いはクラッチ断
を開始するタイミングを決定するため、運転室のシフト
レバーにおいて、レバーに対しシフトノブが僅かにシフ
ト方向に揺動可能に取り付けられており、これらレバー
とシフトノブとの間にノブスイッチ25が設けられてい
る。そしてドライバによる変速操作時、レバーの動作に
先立ってシフトノブが揺動すると、ノブスイッチ25が
onとなり、これを合図にクラッチ断を開始するようにな
っている。具体的構成は特開平11−236931号公
報に示されたものと同様である。
公報に示されたような坂道発進補助装置(HSA;Hill Star
t Aid)が設けられており、その装置の手動on/offを行う
ため運転室にHSAスイッチ26が設けられ、HSAス
イッチ26がECU16に接続されている。このHSA
スイッチ26は本発明のトルク学習を開始する際のトリ
ガスイッチを兼用するもので、本発明においてはHSA
自体にあまり意味を持たない。
動を説明する。
を流体継手2、湿式多板クラッチ3、変速機T/Mとい
う順で伝達する。ロックアップクラッチ7は原則として
発進後の走行中は常にon(接)され、停車時のみoff
(断)される。従って発進時は流体継手2のクリープを
利用でき、摩擦クラッチを電子的に発進制御するものに
比べ制御が簡単になると共に、走行中は流体継手2がロ
ックアップされるのでスリップによるロスを防止でき
る。湿式多板クラッチ3は変速の度毎に断接される。こ
れは通常のMT車と同様である。
がギヤニュートラルで停止中、ドライバが発進しようと
してシフトレバーを発進段に操作しようとしたとする。
するとシフトレバーにおいて、レバーの動作に先立って
シフトノブが揺動することによりノブスイッチ25がon
され、これを合図にクラッチ3が分断される。そして引
き続きシフトレバーが操作されることによって変速機T
/Mが発進段にギヤインされ、これがギヤポジションセ
ンサ24によって検出されるとクラッチ3が接続され
る。この接続によってタービン5が駆動輪側から止めら
れるので、タービン5に対しポンプ4が滑動し、クリー
プ力が発生するようになる。従って後はブレーキを離し
たりアクセルを踏み込んだりすれば車両が動き出すので
ある。
る。車両が所定ギヤ段で走行中、ドライバが変速しよう
としてシフトレバーを次の変速段に操作しようとしたと
する。するとレバーの動作に先立ってシフトノブが揺動
し、ノブスイッチ25がonされ、これを合図にクラッチ
3が分断される。そして引き続きシフトレバーが操作さ
れることによって変速機T/Mが次の変速段にギヤイン
され、これがギヤポジションセンサ24によって検出さ
れるとクラッチ3が接続される。これによって変速が完
了する。この変速中ロックアップクラッチ7はonのまま
で、エンジン動力がそのままクラッチ3に伝達される。
トルク点付近までは高速(急接)で行われ、トルク点付
近からは低速(緩接)で行われる。このように接続速度
が切り換えられることで、接続ショック低減と接続時間
短縮の両立を図っている。
言い換えれば最初に所定トルクを伝達することができる
ポイントであるトルク点を把握しておくことは重要であ
る。なぜならこのトルク点を基準として接続速度切換ポ
イントが定められるからである。
キがあり、一義的に定めることができない。本実施形態
でいえば、図3に示すように、同じデューティパルスを
与えてもクラッチトルク容量線図が矢印で示すようにず
れるのが殆どである。従ってクラッチ毎或いは車両毎に
トルク点を学習する必要がある。従来の乾式摩擦クラッ
チを制御するものでは、そのクラッチストロークによっ
てトルク点を定めることができた。しかし、本発明のよ
うな湿式多板クラッチでは、元々ストロークという概念
がないため、同様な手法を採れない。
力するデューティパルスのデューティの値をもってトル
ク点学習値としている。以下、これについて詳述する。
ムチャートである。(a)はECU16が出力するデュー
ティパルスを示し、(b)はそのデューティDの変化の様
子を示し、(c)は理解容易のため仮想的に湿式多板クラ
ッチ3のクラッチストロークを示したものであり、(d)
はエンジンEの回転数(エンジン回転数Ne)とタービ
ン5の回転数(タービン回転数Nt)との変化の様子を
示す。(a)に示すように、トルク学習制御の時間周期は
Δtで、本実施形態ではΔt=20(msec)である。
たとする。このときデューティD=100(%)であり、クラ
ッチは完断されている。従ってタービン5がポンプ4に
連れ回り、タービン回転数Ntはエンジン回転数Neに
一致する。この後、時刻t2で所定の学習開始条件が成
立したら学習が開始される。最初は、デューティDを比
較的大きく接側に下げ、開始デューティD0=60(%)と
する。これは学習時間の短縮のためである。もっとも、
これによってクラッチがたとえバラツキがあっても目的
とするトルク点に絶対到達しないように、しかしながら
できるだけトルク点に近づくように、開始デューティD
0の値が定められている。つまりD=100〜60(%)は全て
のクラッチにおける無効領域(遊び)といえるもので、
このような無効領域分は一気につないでしまって学習時
間を短縮しようというのがここでの狙いである。
60(%)になったところでトルク容量は0のままである。
従ってこのような無効分は一気につないでしまうのが得
策である。開始デューティD0は図示するような実験デ
ータに基づき予め定められる。
Δt2=0.5(sec)その開始デューティD0を保持し、そ
の時間Δt2経過後に緩接デューティD1の出力を開始
する。つまり開始デューティD0の出力後一定時間Δt
2待って緩接デューティD1の出力を開始するのであ
る。
クラッチピストンが遊び分微小ストローク(2mm程度)
してからでないとクラッチプレートの押し付けが開始さ
れないため、開始デューティD0に見合った接続状態を
得るのにある程度時間がかかる。逆にいえばΔt=20(m
sec)という短い時間内では開始デューティD0に見合っ
た接続状態が得られない。このような応答遅れがあるた
め、開始デューティ出力後即(次の制御回から)緩接デ
ューティの出力を開始してしまうと、応答遅れ分のズレ
を緩接中常に引きずってしまい、学習時に真のトルク点
より接側の値を学習してしまう虞がある。このことは、
通常のクラッチ接制御においても接側にズレた学習値を
用いることになるから、クラッチ接続ショック大という
問題に繋がる。
開始デューティD0を保持し、制御周期Δt=20(msec)
より長い一定時間Δt2=0.5(sec)経過後に緩接デュー
ティD1の出力を開始すれば、その時間Δt2内にクラ
ッチピストンの初期ストロークを終え、開始デューティ
D0に見合った接続状態を得てからクラッチ緩接を開始
することができるので、応答遅れを吸収し、真のトルク
点に対応した正確な学習値を学習でき、通常のクラッチ
接制御においても接続ショック大を防止できる。なお、
時間Δt2=0.5(sec)は例示であり適宜変更可能であ
る。
を終えたら、周期毎の接続幅を少なくしてクラッチ接続
速度を極端に落とす。即ち図5に示すように、周期毎の
デューティの減少量をステップデューティDs(本実施
形態では0.048(%))とし、各制御回毎にデューティDを
Dsずつ下げていく。各制御回のデューティDは前回の
値からステップデューティDs減じた値であり、これが
緩接デューティD1である。
接)していくとタービン回転数Ntがエンジン回転数N
eに対し落ち込んでいく。即ち、変速機のギヤが入った
状態でその出力側がブレーキで止められているので、ク
ラッチの出力側は回転できない。これに対し、ポンプ4
は相変わらずエンジンEで駆動されている。従ってクラ
ッチを接続していくと、クラッチの入力側即ちタービン
5が止まろうとして回転数を徐々に下げていくと同時
に、ポンプ4とタービン5との間の滑りが徐々に大きく
なり、タービン回転数Ntがエンジン回転数Neに対し
徐々に落ち込んでいく。
tが所定値Nmに達したとき、このときのデューティD
の値をトルク点学習値DmとしてECU16に学習する
のである。本実施形態ではNm=300(rpm)である。より
具体的には、ECU16が、デューティDをステップデ
ューティDsずつ下げてクラッチをゆっくり接続してい
く過程で、エンジン回転センサ18によって検出される
エンジン回転数Neと、タービン回転センサ19によっ
て検出されるタービン回転数Ntとの差ΔN=Ne−N
tが所定値Nm以上になったとき、このときECU16
自らが送出しているデューティパルスのデューティDの
値を一旦ECU16に取り込み、補正して、トルク点学
習値DmとしてECU16内のメモリに記憶するのであ
る。
定値Nm以上になったことを検出してから所定時間待っ
て行う。即ち、たとえΔN≧Nmを検出したとしても、
それがノイズ等の影響で一時的なものである場合があ
り、このような場合にまで検出即取り込みを行ってしま
うと不正確な値に基づいて学習を行ってしまい、以降の
クラッチ制御に支障をきたす。
N≧Nmが成立しているようであれば、その事実を正し
いとみなしデューティの取り込みを行う。これにより信
頼性の高い学習が行える。
ら、そのときのデューティDの値を保持しつつ、通常の
制御周期Δt=20(msec)より長い所定の待ち時間Δt1
=1(sec)の経過を待ち、その待ち時間Δt1の経過時
に再度ΔN≧Nmとなっていれば、保持していたデュー
ティ値を取り込む。これは待ち時間Δt1の最初と最後
とでΔN≧Nmとなっていれば取り込みを行うやり方で
ある。これとは別に、待ち時間Δt1の間中常にΔN≧
Nmとなっていれば取り込みを行うやり方もある。いず
れにしても、取り込みは、タービン回転数Ntのエンジ
ン回転数Neに対する所定回転数Nmの落ち込み検出時
から、所定周期Δtより長い一定時間Δt1経過した後
に行う。なお、ここでの待ち時間Δt1=1(sec)は例
示であり、待ち時間の長さは適宜変更可能である。
補正を行う。補正を行うのは次の理由による。即ち、ク
ラッチコントロールバルブCCVから出力されるクラッ
チ圧は、制御オイルの油温やクラッチソレノイドバルブ
CSVに印加されるバッテリ電圧により変動する。また
エンジン回転数によって流体継手2の伝達トルク容量が
変動する。よってこれらの値を考慮しないまま学習値を
決定してしまうと、学習時の車両状況如何で学習値がバ
ラツキ、以降のクラッチ制御に支障を来すからである。
制御オイルの油温に基づく補正方法を図8を用いて説明
する。図8において、(a)はデューティ一定(例えば50
%)とした場合の油温とクラッチ圧の関係を示す実験デ
ータである。基準温度を70℃とした場合、油温が基準温
度からずれるほどクラッチ圧が低下する。これは同じデ
ューティを出力してもクラッチが断側にずれることを意
味する。
ティを補正する。このマップは(a)の実験データに基づ
いて油温に対するデューティ補正値Dtoを定めたもの
であり、ECU16に記憶される。これによれば油温が
基準温度からずれると補正値Dtoは正の値をとる。学
習時の油温から(b)のマップに従って補正値Dtoを読
み取り、これを取り込んだデューティDに加算する。こ
うすると、基準温度に対する油温のずれによりクラッチ
が断側にずれた分だけ、学習値をデューティ大側、つま
り断側にずらすことができ、油温に応じた補正が可能と
なる。
補正も同様の方法で行う。バッテリ電圧に基づく補正方
法を図9を用いて説明する。図9において、(a)はデュ
ーティ一定(例えば50%)とした場合のバッテリ電圧と
クラッチ圧の関係を示す実験データである。基準電圧を
28Vとした場合、バッテリ電圧が基準電圧より大きくな
るほどクラッチ圧が低下し、バッテリ電圧が基準電圧よ
り小さくなるほどクラッチ圧が増大する。前者は同じデ
ューティを出力してもクラッチが断側にずれることを意
味し、後者は同じデューティを出力してもクラッチが接
側にずれることを意味する。
ティを補正する。このマップは(a)の実験データに基づ
いてバッテリ電圧に対するデューティ補正値Dvを定め
たものであり、ECU16に記憶される。これによれば
バッテリ電圧が基準電圧から大側にずれると補正値Dv
は正の値をとり、バッテリ電圧が基準電圧から小側にず
れると補正値Dvは負の値をとる。学習時のバッテリ電
圧から(b)のマップに従って補正値Dvを読み取り、こ
れを取り込んだデューティDに加算する。こうすると、
基準電圧に対しバッテリ電圧が大側にずれ、クラッチが
断側にずれた分だけ、学習値をデューティ大側、つまり
断側にずらすことができる。また基準電圧に対しバッテ
リ電圧が小側にずれ、クラッチが接側にずれた分だけ、
学習値をデューティ小側、つまり接側にずらすことがで
きる。こうしてバッテリ電圧に応じた補正が可能とな
る。
図10を用いて説明する。図10において、(a)はエン
ジン回転数と、流体継手2における伝達トルク容量との
関係を示す実験データである。基準回転数をアイドル回
転数=600(rpm)に設定した場合、エンジン回転数が基準
回転数より高くなるほど伝達トルク容量が増大し、エン
ジン回転数が基準回転数より低くなるほど伝達トルク容
量が低下する。前者は基準回転数に対しエンジン回転数
が高くなるほど流体継手2が滑りにくくなり、エンジン
回転数Neとタービン回転数Ntとの差ΔNが出にくい
方向、つまり学習時に基準回転数のときより小さめ(接
側)の値のデューティを出力してやらないとΔNがNm
以上にならないことを意味する。後者はその逆である。
ティを補正する。このマップは(a)の実験データに基づ
いてエンジン回転数に対するデューティ補正値Dneを
定めたものであり、ECU16に記憶される。これによ
ればエンジン回転数が基準回転数から大側にずれると補
正値Dneは負の値をとり、エンジン回転数が基準回転
数から小側にずれると補正値Dneは正の値をとる。学
習時のエンジン回転数から(b)のマップに従って補正値
Dneを読み取り、これを取り込んだデューティDに加
算する。こうすると、学習時のエンジン回転数が基準回
転数に対し大側にずれたとき(ファーストアイドル実行
中等)、流体継手2が滑りにくくなった分だけ、学習値
をデューティ小側、つまり接側にずらすことができ、他
方学習時のエンジン回転数が基準回転数に対し小側にず
れたときはその逆側にずらすことができる。こうしてエ
ンジン回転数に応じた補正が可能となる。
対しDto、Dv及びDneを加算することによって行
い、この加算後ないし補正後の値が最終的な学習値Dm
としてECU16に記憶される。
Dto、Dv及びDneを用いて補正を行うが、これら
のうち一つ又は二つを用いて補正を行ってもよい。補正
の基準値(例えば油温では70℃)は上記以外の任意の値
を設定することができる。補正パラメータとしてはクラ
ッチ制御オイルの油温、バッテリ電圧及びエンジン回転
数以外にも様々なものが考えられる。
の記憶を終えたら実質的に学習は終了し、この後クラッ
チを完断して全ての学習制御(学習モード)を終了す
る。
(%)になったとき回転差ΔNが初めて所定値Nm以上に
なったとすると、このときのクラッチ3のトルク容量は
Tcm=約200(Nm)であり、これがトルク点ということ
になる。クラッチ等のバラツキによりトルク容量線図が
ずれても、トルク容量と回転差ΔNとが一義的な関係に
あるため、同じ回転差Nmを示すデューティDを検出し
てやれば、同じトルク容量Tcmを示すポイントが検出
できる。これによりクラッチの個体差に拘わらず常に一
定のトルク点を検出し、学習することができる。
クラッチにおいてもトルク点を好適に学習することがで
き、クラッチ毎に異なるトルク点を正確に把握して接続
速度切換等種々のクラッチ制御に利用できる。そしてク
ラッチやその制御装置等のバラツキ、個体差を吸収し、
どの車両でも同じフィーリングで湿式多板クラッチを接
続できるようになる。
過後に緩接デューティの出力を開始するので、クラッチ
接続中の応答遅れを吸収し正確な学習値を学習できると
共に、通常のクラッチ接制御においても接続ショック大
を防止できる。
に対する所定回転数の落ち込み検出時から一定時間経過
した後にデューティ取り込みを行うので、信頼性が高ま
る。そして取り込んだ値を補正して学習値とするので、
学習時の運転状況によらない常に一定の基準状態での値
を学習できる。
後の通常のクラッチ接続制御の概略は以下の通りであ
る。即ち、デューティD=100(%)のクラッチ完断状態か
ら、トルク点学習値Dmより僅かに断側の値(多い値)
のデューティを、クラッチソレノイドバルブCSVに最
初にいきなり与える。一発接制御である。これによりク
ラッチの無効分は急接され、接続時間短縮が図れる。そ
してこの状態で一定時間待った後、少量のステップデュ
ーティずつデューティを減算していく。これによりクラ
ッチが緩接され、クラッチ接続ショックが防止される。
容をより詳細に説明する。図6はクラッチ制御フェーズ
の移行を示した状態遷移図である。
任意に行うことができる。そしてドライバが学習を行い
たいときには、まずドライバによりシフトレバーをニュ
ートラル(N)に操作してもらう。本装置ではクラッチ
の通常制御においてギヤニュートラルのときクラッチ
断、ギヤインのときクラッチ接となっているので、シフ
トレバーをNに操作することで自動的にクラッチが切ら
れる。
ズ101という。つまりこのときはECU16からデュ
ーティD0=100(%)が出力され、クラッチが完断され
る。
学習モードに入り、学習完断フェーズ102に移行す
る。このときの移行条件T1は 車両停止(車速=0km/h) 変速機T/Mがニュートラル エンジンEがアイドル回転数付近(Ne=300〜800
rpm、なお本実施形態のアイドル回転数=600rpm) パーキングブレーキ作動中 フットブレーキ作動中 の全てが満たされており、且つこの状態で HSAスイッチ26がonされた ことである。このフェーズにおいてもクラッチを完断
し、つまりECU16からデューティD0=100(%)を出
力し続け、クラッチの完断を維持する。なお、の条件
よりフットブレーキが踏み込まれていることから、アク
セルは解放状態にあり、エンジンが極端に高いファース
トアイドル運転をしていない限り、通常の条件は満た
される。移行条件T1としては他の条件を適宜追加した
りすることができる。
は、まさに上記の移行条件T1が成立したことを意味す
る。図5において、時刻t1以前はクラッチ完断フェー
ズ101によってクラッチが完断されており、時刻t1
以降は学習完断フェーズ102によってクラッチが完断
されている。
行条件T2が成立すると学習緩接フェーズ103に移行
する。移行条件T2は 変速機T/Mが2速にギヤインされた ことである。つまり学習完断フェーズ102の状態から
ドライバが2速に変速操作すると、学習緩接フェーズ1
03に移行し、クラッチの接続が自動的に開始される。
いわば2速への変速操作が学習開始の合図である。なお
この移行条件T2も他の条件への変更や他の条件の追加
が適宜可能である。2速は例示であり、要はクラッチの
出力側がブレーキで止められればよいので、ギヤは何速
でもよいことになる。ただしいずれかのギヤ段にギヤイ
ンされることが条件である。本実施形態では2速発進が
多用される車両(トラック等)なので、実際に近いとい
う理由から学習も2速で行うようにしている。
とは、まさにこの移行条件T2が成立したことを意味す
る。図5にも示したように、学習緩接フェーズ103で
は、最初に開始デューティD0=60(%)をECU16か
ら出力してクラッチを比較的大きく接し、一定時間Δt
2=0.5(sec)、その開始デューティD0=60(%)を保持
した後、制御回毎にデューティDをステップデューティ
Ds=0.048(%)ずつ下げ、クラッチを緩接していく。
T3が成立すると学習停止フェーズ104に移行する。
移行条件T3は エンジン回転数Neとタービン回転数Ntとの回転
差ΔN=Ne−Ntが所定値Nm=300(rpm)以上になっ
たこと である。この学習停止フェーズ104では、が満たさ
れたときのデューティDを上記待ち時間Δt1=1(se
c)の間保持し、クラッチを現状に保持すると共に、待ち
時間Δt1の経過と同時に再度の条件が成立している
か否かを判断し、成立していたらそのデューティDの値
をとりあえず一旦ECU16に取り込む。そしてこの値
が学習値として正常な値かどうかを所定条件と比較して
判断し、正常ならばその値を上記の如く補正して、新た
な学習値Dmとして更新学習する。このとき既に記憶さ
れている旧い学習値は削除される。
の条件を適宜採り入れることができる。の条件は、エ
ンジンがアイドル回転数=600(rpm)だとすれば ’タービン回転数Ntがエンジン回転数Neの1/2
以下になったことと言い換えることができる。またの
条件は ”エンジン回転数Neが所定回転数落ち込んだとき という条件に置き換えることもできる。その理由は、タ
ービン回転数Ntの落ち込みによりそれに引きずられて
エンジン回転数Neも落ち込むので、エンジン回転数N
eの落ち込み具合を見ることによりトルク学習点を決定
してもよいからである。例えばエンジン回転数Neの落
ち込み量は50(rpm)に設定する。
行条件T4が成立すると学習終了フェーズ105に移行
する。移行条件T4は トルク点学習値Dmの学習が正常に終了した という条件の他、 車両が動き出した(車速≠0km/h) 1,3,5速側のノブスイッチがonになった エンジン回転数がアイドル回転数付近以外になった
(Ne<300rpm or>800rpm) パーキングブレーキが非作動となった フットブレーキが非作動となった 等のいずれかの条件が成立することである。特に〜
は学習実行にふさわしくない状態であることを意味し、
これら条件が成立したときには学習完断フェーズ102
及び学習緩接フェーズ103のときであっても、学習終
了フェーズ105に移行する。つまり学習完断フェーズ
102及び学習緩接フェーズ103から学習終了フェー
ズ105への移行条件T6,T5はT4に等しい。この
ような学習実行に不適当な条件は他にも種々考えられ
る。
からデューティD0=100(%)を出力してクラッチを完断
する。そしてこの出力により移行条件T7が成立し、学
習モードから抜け出て通常制御に戻り、制御停止モード
106に至る。制御停止モード106では、デューティ
D0=100(%)を維持してクラッチ完断を維持するが、ギ
ヤが2速に入っているのにクラッチが切れているという
通常と異なる状況になる。しかしドライバがギヤをニュ
ートラルにすることで通常通りの制御に復帰する。
次に、このようにして得られたトルク点学習値に基づい
た、通常のクラッチ接制御の内容及び制御値の補正につ
いて説明する。
チャートである。横軸は時間t、縦軸はECU16から
出力されるデューティDである。実線は補正前のベース
となる線図、一点鎖線は2パターンの補正後の線図(補
正後1,2)である。
の内容を説明する。完断状態(D=100(%))から最初に
出力する一発接デューティ即ち開始デューティDst0
と、クラッチ緩接終了を決める終了デューティDed0
と、クラッチ緩接時のデューティ減少幅であるステップ
デューティDs0とが、予めECU16に記憶されたマ
ップから選択される。マップは、車両の運転状態(アク
セル開度、ギヤ段、車速、シフトアップ・ダウン等)を
反映した各最適値が得られるよう予め試験等に基づき作
成されている。またトルク点学習値のベース値が、Dt
bとして予め定められECU16に記憶されている。こ
こでのDtb=53.5(%)である。
断状態(D=100(%))から最初に開始デューティDst
0を出力してクラッチをトルク点手前まで接続(一発
接)した後、開始デューティDst0を一定時間Δt3
保持し、その後緩接デューティDkの出力を開始し、デ
ューティをステップデューティDs0ずつ下げていって
半クラッチでの緩接を行う。そして終了デューティDe
d0に達したらD=0(%)を出力してクラッチを完接す
る、というものである。図から分かるように、開始デュ
ーティDst0はトルク点学習値のベース値Dtbより
僅かに断側(大)の値であり、これによりクラッチがト
ルク点手前まで一気に接続される。
る。ステップデューティDs0による緩接デューティD
kの減少周期Δtsは、制御周期Δtと等しくする方法
の他、複数周期(例えば3周期=3Δt)に等しくする
という方法もあるが、この場合も含め減少周期Δtsに
比べると開始デューティ後の待ち時間Δt3の方が長
い。例えばΔt3はシフトアップ時は0.2(s)、シフトダ
ウン時は0.5(s)とする。これにより開始デューティ出力
後、充分な待ち時間Δt3を経過してから緩接が開始さ
れるので、学習時と同様、クラッチの応答遅れを吸収す
ることができる。なお、緩接デューティDkの減少周期
Δtsを複数制御周期nΔtと等しくする場合、nの値
をマップから選択するようにしてもよい。
テップデューティDsより大きな値とされ、通常時は学
習時より速くクラッチ緩接を行う。学習時は全体の接続
時間が5〜6秒程度と比較的長い時間をかけて接続を行
うが、通常時は1〜3秒程度である。
は、トルク点学習値の更新に基づくものと、車両状況の
変動に基づくものとからなっている。まずトルク点学習
の実行により、トルク点学習値がベース値Dtbより小
さいDlt1に更新されたとする。すると以下のように
開始デューティと終了デューティとが補正される(補正
第一段階)。
始デューティDst0と終了デューティDed0との差
ΔDse=Dst0−Ded0、及びトルク点学習値の
ベース値Dtbと更新値Dlt1との差A=Dtb−D
lt1(>0)を算出する。そして補正後の開始デュー
ティDst1’を式 Dst1’=Dst0−A に基づいて算出し、補正後の終了デューティDed1’
を式 Ded1’=Dst1’−ΔDse に基づいて算出する。
(補正第二段階)。この補正を行うのは次の理由によ
る。即ち、上記トルク点学習値Dtb、Dlt1は一定
の基準状態(クラッチ制御油温=70℃、バッテリ電圧=
28V、エンジン回転数=600rpm)における値であるが、
実際のクラッチ接制御を行うときは必ずしも基準状態に
一致しない。そこで、基準状態からズレた分、補正を行
って、クラッチ接続フィーリングを狙い通りのものに一
定に保とうというものである。
ッチ制御オイルの油温に基づく補正については、クラッ
チ接制御時の油温に対応したデューティ補正値Dtoを
図8(b)のマップから読み取る。ただしここでは計算が
学習時と逆で、学習補正後の開始デューティDst1’
及び終了デューティDed1’からデューティ補正値D
toを減算する。これは例えば油温が基準温度=70℃よ
り低い場合、クラッチ圧が低下しクラッチが繋がりにく
くなるので、その分、正のデューティ補正値Dtoを減
算し、クラッチを余計に繋いでやるのである。
ラッチ接制御時のバッテリ電圧に対応したデューティ補
正値Dvを図9(b)のマップから読み取る。ここでも計
算が学習時と逆で、学習補正後の開始デューティDst
1’及び終了デューティDed1’からデューティ補正
値Dvを減算する。これは例えばバッテリ電圧が基準電
圧=28Vより低い場合、クラッチ圧が上昇しクラッチが
繋がり易くなるので、その分、負のデューティ補正値D
vを減算し、(つまりデューティ自体は大きくなる)、
クラッチ接続量を減じてやるのである。
クラッチ接制御時のエンジン回転数に対応したデューテ
ィ補正値Dneを図10(b)のマップから読み取る。こ
こでも計算が学習時と逆で、学習補正後の開始デューテ
ィDst1’及び終了デューティDed1’からデュー
ティ補正値Dneを減算する。これは例えばエンジン回
転数が基準回転数=600rpmより高い場合、クラッチの入
力トルクが増加しその分出力トルクも増えるので、負の
デューティ補正値Dneを減算し(つまりデューティ自
体は大きくなる)、クラッチ接続量を減じてやるのであ
る。なお、このエンジン回転数に基づく補正は主に発進
時のガレージショック防止を目的とする。このため図1
0(b)のマップもエンジン回転数の上限が1000rpmと低め
に設定されている。
st1’及び終了デューティDed1’から、Dto、
Dv及びDneをそれぞれ減算することによって行う。
図7にはDto+Dv+Dne=A’>0とした場合の
例が示されており、開始デューティDst1’及び終了
デューティDed1’がデューティ小側(接側)に補正
されている。こうして得られた最終的な値Dst1、D
ed1が補正後1の開始デューティ及び終了デューティ
となり、補正後1の線図はベースの線図をクラッチ接側
に平行移動したものとなる。なお、ステップデューティ
Ds0の値は補正されない。
o、Dv及びDneを用いて補正を行うが、これらのう
ち一つ又は二つを用いて補正を行ってもよい。補正パラ
メータとしてもクラッチ制御オイルの油温、バッテリ電
圧及びエンジン回転数以外に様々なものが考えられる。
本実施形態ではトルク点学習に基づく補正を先に行い、
車両状況に基づく補正を後に行ったが、これらは同時、
又は逆でもよい。実際上は上記の計算を同時に行って一
時期に補正することになる。
に行う。なお、トルク点学習値のベース値Dtbと更新
値Dlt1との差Aは次回学習時まで同じなので、この
値をメモリに格納し、制御毎に取り出して用いるのが好
ましい。
t2’がベース値Dtbより大きくなり(差の絶対値
B)、車両状況の変動に基づくデューティ補正値の和
B’が負の値となった例である。線図はベースに対しデ
ューティ大(断)側に平行移動する。この場合も上記と
同じ要領で補正が実行される。トルク点学習値の更新に
基づく補正によってベースの開始デューティDst0、
終了デューティDed0がDst2’、Ded2’と補
正され、次いで車両状況の変動に基づく補正によってD
st2’、Ded2’がDst2、Ded2と補正され
る。
係る所定の補正パラメータに基づいて開始デューティを
補正するので、車両状況のバラつきに起因したクラッチ
接続フィーリング、ひいては変速フィーリングの不安定
を防止することができる。ここで、本実施形態では終了
デューティも補正しているが、クラッチ接続フィーリン
グを大きく左右するのは最初にトルク伝達を開始する開
始デューティであり、こちらの補正が効果的である。も
っとも終了デューティも補正するのが好ましいことは勿
論である。これによって図7に示したように車両状況に
応じて線図が平行移動され、狙い通りの接制御が再現さ
れるからである。
られない。本発明にいう湿式摩擦クラッチは上記実施形
態では多板式であったが、例えば単板式でも構わない。
また本発明にいう流体圧は上記実施形態では油圧であっ
たが、例えば空圧等他の流体圧でも構わない。本発明に
いう変速機は、上記実施形態では常時噛み合い式マニュ
アル変速機であったが、例えば常時噛み合い式自動変速
機や、AT車のような遊星歯車式自動変速機でも構わな
い。エンジンもディーゼル、ガソリン等の種別を問わな
い。上記各数値は適宜変更可能である。
両状況のバラつきに起因したクラッチ接続フィーリング
ひいては変速フィーリングの不安定を防止することがで
きるという、優れた効果が発揮される。
示すスケルトン図である。
圧回路図である。
図である。
成図である。
容を示すタイムチャートである。
の移行を示した状態遷移図である。
の内容を表すタイムチャートである。
の関係を示す実験データ、(b)は油温に対するデューテ
ィ補正値Dtoを定めたマップである。
実験データ、(b)はバッテリ電圧に対するデューティ補
正値Dvを定めたマップである。
ク容量との関係を示す実験データ、(b)はエンジン回転
数に対するデューティ補正値Dneを定めたマップであ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 車両の動力伝達系に配された湿式摩擦ク
ラッチを断接駆動するための作動流体圧を電子コントロ
ールユニットから出力されるデューティパルスに応じて
変化させることによりクラッチを断接制御する方法にあ
って、クラッチを断状態から接続するとき、最初にクラ
ッチがトルク点付近まで大きく接されるような所定の開
始デューティをマップから選択し、少なくとも車両状況
に係る所定の補正パラメータに基づいて補正した後、電
子コントロールユニットから出力し、その後クラッチが
緩接されるような所定の緩接デューティを所定時間毎に
電子コントロールユニットから出力することを特徴とす
るクラッチの制御方法。 - 【請求項2】 上記補正パラメータが上記作動流体の温
度、バッテリ電圧又はエンジン回転数である請求項1記
載のクラッチの制御方法。
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