JP2002285940A - スタータ装置 - Google Patents
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Abstract
かつ確実に内燃エンジンを始動でき、電動モーターの消
費電力の低減、バッテリの小容量化、トータル重量の軽
減化、耐久性の向上、及び、故障の低減等を図り得るス
タータ装置を提供する。 【解決手段】 駆動部(100)と従動部(7)との間
の動力伝達系の途中に、緩衝・蓄力手段(15)を介在
したスタータ装置(5)であって、前記緩衝・蓄力手段
(15)は、前記駆動部(100)の駆動の過程におい
て、該駆動部(100)の駆動によって前記従動部
(7)と緩衝しつつ蓄力すると共に該蓄力により前記従
動部を駆動し、前記駆動部が、駆動源としての電動モー
ター(100)である。
Description
動モーターで始動するためのスタータ装置に係り、特
に、小型で出力の小さなモーターでも円滑かつ確実に始
動できるようにしたものに関する。
されている小型空冷式2サイクルガソリンエンジン等の
内燃エンジンを電動モーターで始動するためのセルモー
ター式スタータ装置は、通常、実公平6−19828号
公報等にも所載のように、電動モーターの駆動力を減速
歯車機構を介して前記内燃エンジンのクランク軸に直接
伝達するようにされている。
来のセルモーター式スタータ装置では、電動モーターの
駆動力をそのままクランク軸に直接伝達するようにして
いるので、セルモーターとしては、当然のことながら、
エンジン始動に必要なトルク、回転数が得られるもの、
つまり、大型で出力の大きなモーターを使用する必要が
あった。
り、それに伴い、大きな容量のバッテリが必要となると
ともに、エンジン始動時にはモーター及びその動力伝達
系に強い衝撃が加えられるので、スタータ装置の構成部
品に大きな強度、剛性が必要にもなり、トータル重量が
大きくなるとともに、耐久性が低下し、キックバック等
による故障も生じやすい、といった問題があった。
されたもので、その目的とするところは、小型で出力の
小さな電動モーターでも、円滑かつ確実に内燃エンジン
を始動できるようにされ、もって、電動モーターの消費
電力の低減、バッテリの小容量化、トータル重量の軽減
化、耐久性の向上、及び、故障の低減等を図ることがで
きるようにされたスタータ装置を提供することにある。
く、本発明に係るスタータ装置は、基本的には、駆動部
と従動部との間の動力伝達系の途中に、緩衝・蓄力手段
を介在したスタータ装置であって、前記緩衝・蓄力手段
が、前記駆動部の駆動の過程において、該駆動部の駆動
によって前記従動部と緩衝しつつ蓄力すると共に該蓄力
により前記従動部を駆動し、前記駆動部が、駆動源とし
ての電動モーターであることを特徴としている。
の回転による遠心力より係合を解除される遠心クラッチ
を備え、該遠心クラッチを介して駆動側と連動連結して
いることを特徴としている。前記緩衝・蓄力手段は、好
ましくは、ゼンマイ機構とされ、また、前記緩衝・蓄力
手段と前記電動モーターとの間に減速機構が介装される
ことも好ましい。
前記電動モーター側に配在されたゼンマイ香箱、前記従
動部側に配在された起動プーリ、及び、該ゼンマイ香箱
と前記起動プーリとの間に介装されたゼンマイ、を有
し、該ゼンマイの外端部及び内端部が、それぞれ前記ゼ
ンマイ香箱及び前記起動プーリに係止される。
電動モーターの出力回転軸に連結固定されたウォーム
と、前記ゼンマイ香箱の外周に設けられたウォームホイ
ールと、からなるウォーム歯車装置で構成される。ま
た、前記ゼンマイ機構のゼンマイは、好ましくは、自然
解放状態において、外周側に所定巻数分が相互に密着せ
しめられた外周側巻装部が形成されるとともに、内周側
に一巻分以上の内周側巻装部が形成され、前記外周側巻
装部と前記内周側巻装部との間に隙間空間が形成され、
さらに好ましくは、前記外周側巻装部が三巻目以降で形
成されるとともに、前記内周側巻装部が一巻目に二巻目
の少なくとも一部が密着せしめられて形成される。
前記電動モーター(100)とは別に、リコイル式駆動
部(6)が付設され、該リコイル式駆動部は、リコイル
ロープが巻装されて該リコイルロープを引っ張ることに
より回転せしめられるロープリールと、前記リコイルロ
ープを巻き取るべく前記ロープリールを逆転させるリコ
イル用付勢手段と、前記ロープリールの回転を前記緩衝
・蓄力手段に伝達するためのリコイル用ラチェット機構
と、を備える。また、他の別の好ましい態様では、前記
ゼンマイ機構(15)は、前記ゼンマイ香箱(16)を
一方向にのみ回転させるワンウェイクラッチ(19)を
有している。
タータ装置の好ましい態様においては、エンジン始動に
際しては、別途に備えられた始動スイッチを押す。これ
により、機載バッテリから前記電動モーターに所定時間
(例えば、2〜3秒程度)だけ通電され、前記電動モー
ター(の出力回転軸)が前記所定時間だけ回転し、この
電動モーターの回転駆動力が、前記緩衝・蓄力手段を構
成するゼンマイ機構及び前記従動部を介して、前記内燃
エンジンのクランク軸に伝達される。
程の前半過程(内燃エンジンのピストンが上死点に達す
るまで)においては、前記ゼンマイ機構による緩衝効果
が得られるとともに、前記電動モーターの駆動力が前記
ゼンマイ機構に蓄えられ、その後半過程においては、前
記蓄えられた駆動力と、該後半過程で実際に前記電動モ
ーターが出力する駆動力と、が合力となって、エンジン
コンプレッションに打ち勝ち、前記内燃エンジンを起動
する力となる。
ーでも、円滑かつ確実に内燃エンジンを始動することが
でき、その結果、電動モーターの消費電力の低減、バッ
テリの小容量化、トータル重量の軽減化、耐久性の向
上、及び、故障の低減等を図ることができ、信頼性が増
す。
の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係るス
タータ装置の一実施形態を示す正面図、図2は、図1の
II−II矢視拡大断面図である。図示のスタータ装置
5は、排気量が23〜50mL程度の小型空冷式2サイ
クルガソリンエンジン等の内燃エンジン1のクランク軸
2の一端部2aに近接して配置されるものであり、主始
動方式は、セルモーター式ではあるが、バッテリーの充
電不足時等の、セルモーター式で始動できない場合や、
モーター等の故障時等に対処するため、リコイル式(手
動式)でも始動操作を行えるようになっている。
1の一側部に取付可能な筐体として、円筒状をなす二つ
割り構造のケース11を有し、該ケース11における反
エンジン側の外側ケース部材11Aの下部に、右方に伸
びる、基部側が概略半円筒で突出側が円筒状のモーター
ケース部11sが突設され、該モーターケース部11s
内に、前記内燃エンジン1を始動するための駆動部であ
り、駆動源としての、図示しない直流電源であるバッテ
リーによって電力を供給される、電動モーター100
が、横置きで収納保持されている。
コイルロープ21(リコイルハンドル22)を引っ張る
ことにより回転せしめられるリコイル式駆動部6が配在
され、前記ケース11のエンジン側ケース部材11B内
には、前記リコイル式駆動部6から独立して回転でき、
かつ、前記電動モーター100及び前記リコイル式駆動
部6からの動力が伝達される従動部7が配在されてい
る。
定支軸12が突設され、この固定支軸12の基端側に、
前記リコイルロープ21が巻装されたロープリール20
が回動自在に外嵌され、前記固定支軸12の突出端側、
つまり、前記ロープリール20と前記従動部7を構成す
る連動プーリ35との間に、前記ロープリール20から
独立して回動できるように、連動回転体としてのゼンマ
イ香箱16、起動プーリ17、及び、緩衝・蓄力用ゼン
マイ18からなる、緩衝・蓄力用ゼンマイ機構15が外
嵌されるとともに、抜け止め用ビス14が螺合せしめら
れている。
上に、前記固定支軸12の中心軸線、前記ロープリール
20及び前記緩衝・蓄力用ゼンマイ機構15の回転軸
線、及び、前記従動部7を構成する前記連動プーリ35
の回転軸線が配在されるとともに、前記回転軸線Oに直
交するように、前記電動モーター100の出力回転軸1
02が配在されている。
出力回転軸102に連結固定されたウォーム110及び
前記ゼンマイ香箱16の外周に設けられたウォームホイ
ール120からなる、減速機構としてのウォーム歯車装
置105を介して前記緩衝・蓄力用ゼンマイ機構15に
伝達され、さらに、この緩衝・蓄力用ゼンマイ機構15
から前記連動プーリ35を介して、前記内燃エンジン1
の前記クランク軸2に伝達されるようになっている。ま
た、これとは別系統として、前記ロープリール20の回
転も、前記緩衝・蓄力用ゼンマイ機構15と前記連動プ
ーリ35を介して、前記内燃エンジン1の前記クランク
軸2に伝達されるようになっている。なお、前記ウォー
ム歯車装置105は、ウォームによる制動作用を受ける
ことなく前記ロープリ−ル20側からも前記ゼンマイ香
箱16を回転駆動せしめられる様に、詳細は図示しない
が、可逆転ウォームや、適宜のクラッチ手段を備える
と、好適である。
2に加えて、図3乃至図5を参照すればよくわかるよう
に、前記リコイル式駆動部6側に配在された前記ゼンマ
イ香箱16、前記従動部7側に配在された前記起動プー
リ17、及び、前記ゼンマイ香箱16と前記起動プーリ
17との間に介装された前記ゼンマイ18、を有し、入
力側の前記ゼンマイ香箱16と出力側の前記起動プーリ
17との間に、前記緩衝・蓄力用ゼンマイ18が配在さ
れ、前記ゼンマイ香箱16と前記起動プーリ17とは、
同軸上に相対回転可能に配在されており、後述するよう
に、前記ゼンマイ18の外端部18aは、前記ゼンマイ
香箱16に係止され、その内端部18bは、前記起動プ
ーリ17に係止され、前記ゼンマイ香箱16と前記起動
プーリ17との一方を他方に対して相対回転させること
により、その他方に回転力が付与されるようになってい
る。
記ゼンマイ機構15から取り出した状態(組み付け前の
自然解放状態)が図4に示されているように、前記外端
部であるU字状の外端フック部18aが形成されるとと
もに、前記内端部である輪状の内端フック部18bが形
成され、自然解放状態において、外周側に、所定巻数分
が相互に密着せしめられた外周側巻装部Moが形成され
るとともに、内周側に、一巻分以上の内周側巻装部Mi
が形成され、前記外周側巻装部Moと前記内周側巻装部
Miとの間に、隙間空間Sが形成されている。
三巻目N3以降(最外巻目Nz迄)で形成され、前記内
周側巻装部Miは、一巻目N1に二巻目N2の一部が密
着せしめられて形成されており、さらに、前記内端フッ
ク部18bが、前記外端フック部18aに対して、後述
する駆動方向Rとは逆方向Lに所定角度γ(ここでは4
0°〜50°)以上離れた位置に配在されている。な
お、前記所定角度γは、前記ゼンマイ18の中心Kと前
記外端フック部18a(後述する前記ゼンマイ香箱16
に形成された外端係止柱16C)の中心Pとを結ぶ直線
Cと、前記ゼンマイ18の中心Kと前記内端フック部1
8b(後述する前記起動プーリ17の内端係止部17
C)の中心Qとを結ぶ直線Fと、がなす角度を指してい
る。また、前記ゼンマイ18は、板厚が0.5〜0.7
mmのステンレス鋼板からなっており、前記一巻目N1
の実効内径Diが約30mmとされていて、その内周側
(少なくとも一巻目N1と二巻目N2)に焼きなまし処
理が施されている。
駆動部6側の中央に円筒ボス部16aが形成され、該円
筒ボス部16aの内周と前記固定支軸12との間にワン
ウェイクラッチ19が配設されており、前記ゼンマイ香
箱16は、前記固定支軸12の回りに一方向(前記ゼン
マイ18の巻き込み方向R)にのみ回転可能に支持され
ている。このゼンマイ香箱16における前記従動部7側
には短円筒状のゼンマイ収納筒部16Aが突設され、こ
のゼンマイ収納筒部16Aには、半径方向外方に突出す
るように前記ゼンマイ18の前記外端フック部18aを
収容する外れ止め凸部16Bが連設されるととも、該凸
部16B内に前記外端フック部18aを嵌合係止する小
判形断面の前記外端係止柱16Cが、前記従動部7側に
向けて突設されている。また、前記ゼンマイ香箱16に
おける前記ゼンマイ収納筒部16Aの外周には、前記回
転軸線Oを中心線として、前記ウォーム歯車装置105
の前記ウォームホイール120が設けられている。
動部6側中央に前記固定支軸12に回転自在に外嵌され
る円筒ボス部17Bが突設されるとともに、該円筒ボス
部17Bの外周側に、前記ゼンマイ18が巻き付けられ
る巻芯部17Aが設けられ、この巻芯部17Aに、前記
ゼンマイ18の前記輪状の内端フック部18bが挿入係
止される、U字状断面を有する縦溝状の前記内端係止部
17Cが形成されている。
ンマイ18の前記一巻目N1の実効内径Diと略等しく
されるとともに、前記ゼンマイ18の自然解放状態にお
ける実効外径Doと、前記ゼンマイ香箱16における前
記ゼンマイ収納筒部16Aの実効内径と、が略等しくさ
れている。
イ機構15の回転軸線Oは、図4に示される前記ゼンマ
イ18の本来の中心Kから、前記外端フック部18a側
に所定距離eだけ偏心せしめられている。言い換えれ
ば、前記ゼンマイ18を前記ゼンマイ香箱16の前記ゼ
ンマイ収納筒部16A内に収納するとともに、前記起動
プーリ17の前記巻芯部17Aを前記ゼンマイ18の前
記内周側巻装部Miに挿入して、前記ゼンマイ18の前
記外端フック部18a及び前記内端フック部18bを、
それぞれ前記外端係止柱16C及び前記内端係止部17
Cにより係止した組み付け状態では、前記ゼンマイ18
の前記内周側巻装部Miの中心が本来の中心Kからは前
記外端フック部18a側に所定距離eだけ偏心せしめら
れている。これにより、ゼンマイ18の一巻目N1に対
する二巻目N2の密着量が増し、前記ゼンマイ18の前
記巻芯部17Aに対する巻き付き保持力が向上する。
ンマイ香箱16との間には、前記ロープリール20が配
在され、該ロープリール20は、段付き円盤状とされ、
その外周には、前記リコイルロープ21が巻装される溝
部20aが形成されるとともに、その内周中央には前記
ゼンマイ香箱16の前記円筒ボス部16aに回動自在に
外嵌される筒状ボス部26が設けられている。該筒状ボ
ス部26には、後述するリコイル用ラチェット機構40
に供するための一対の爪受け部27A、27Bとそれぞ
れ対をなすばね受け部28A、28Bとが、相互に18
0°の角度間隔をあけて、合計四つで十字乃至卍形状を
呈するように、半径方向外方に向けて突設されている。
成のリコイルスタータ装置におけるものと同様に、詳細
は図示しないが、一端が前記溝部20aの底部に係止さ
れ、前記外側ケース部材11Aから外部に引き出された
他端には、ロープ引きハンドル22(図1、図6参照)
が取り付けられている。
ース部材11Aとの間には、外端が前記ロープリール2
0に係止され、内端が前記外側ケース部材11Aの中心
部に係止されたリコイル用ゼンマイ23が配設され、前
記リコイルロープ21が引っ張られて前記ロープリール
20が回転せしめられた後、前記リコイル用ゼンマイ2
3に蓄力された復元力により、前記ロープリール20を
元位置に復帰させて、前記リコイルロープ21を自動的
に巻き取るようにされている。そして、前記ロープリー
ル20と前記ゼンマイ香箱16との間に、前記リコイル
用ラチェット機構40が配在されている。
2、図3を参照すればよくわかるように、前記ロープリ
ール20の前記ゼンマイ香箱16側には、相互に180
°の角度間隔をあけて、それぞれが揺動自在に支持され
た二個のラチェット爪40A、40Bと、該二個のラチ
ェット爪40A、40Bをそれぞれ半径方向外方に付勢
する付勢部材としての圧縮コイルばね50、50と、前
記ゼンマイ香箱16の前記ロープリール20側の面に突
設された短円筒状の爪受け環状部60と、からなってお
り、該爪受け環状部60には、相互に同一の角度α(こ
こでは120°)間隔をあけて内方に突出する台形状の
係止部61、62、63が三つ形成されている。
ロープリール20の板状部25における前記一対の爪受
け部27A、27Bの近傍に回動自在に嵌挿される揺動
軸部43が突設された半円筒面を有する基部41と、該
基部41から伸びる、へ字状先端部41aを有するアー
ム部42と、からなっており、前記基部41の半円筒面
は、前記爪受け部27A、27Bに摺動自在に当接せし
められている。
ル20における前記筒状ボス部26の前記一対のばね受
け部28A、28Bとの間には、前記ラチェット爪40
A、40Bを常時半径方向外方に付勢して、前記係止部
61、62、63に適正姿勢で係合させるべく、そのへ
字状先端部41aを前記ゼンマイ香箱16に設けられた
前記爪受け環状部60に押し付けるようにするための、
付勢部材としての前記圧縮コイルばね50、50が介装
されている。
の一端部51は、前記ラチェット爪40A、40Bの前
記アーム部42の先端側に設けられた外れ止め用の凹部
46内に挿入されるとともに、該凹部46内に突設され
た外れ止め用の凸部47に外嵌され、その他端部52
は、フック状に折り曲げられて、前記ロープリール20
に形成された引っ掛け穴に挿入係止されている。
5と、遠心クラッチ式ラチェット機構30と、からなっ
ている。該遠心クラッチ式ラチェット機構30は、図6
を参照すればよくわかるように、前記起動プーリ17に
おける前記エンジン1側の面に突設された一対の伝達係
合突部31、31と、前記クランク軸2の前記一端部2
aに固着された前記連動プーリ35と、を有し、該連動
プーリ35には、例えば二つの始動爪36が揺動可能に
支持されている。該始動爪36は、通常は、図示してい
ない付勢ばねにより内方(前記回転軸線O側)に向けて
付勢されて、前記伝達係合突部31、31に係合してい
るが、前記内燃エンジン1が始動せしめられると、前記
クランク軸2側から駆動された前記連動プーリ35の回
転による遠心力により半径方向外方に揺動して、前記ク
ランク軸2の所定回転数以上で前記係合が自動的に解除
されるようになっている。
コイルスタータ装置5においては、前記内燃エンジン1
の始動に際しては、別途に備えられた始動スイッチを押
す。これにより、機載バッテリーから前記電動モーター
100に所定時間(例えば、2〜3秒程度)だけ通電さ
れ、前記電動モーター100の前記出力回転軸102が
前記所定時間だけ回転し、この電動モーター100の回
転駆動力が減速機構としての前記ウォーム歯車装置10
5を介して前記緩衝・蓄力用ゼンマイ機構15に伝達さ
れ、さらに、この緩衝・蓄力用ゼンマイ機構15から前
記従動部7を介して、前記内燃エンジン1の前記クラン
ク軸2に伝達される。
駆動過程の前半過程(前記内燃エンジン1のピストンが
上死点に達するまで)においては、前記ゼンマイ機構1
5による緩衝効果が得られるとともに、前記電動モータ
ー100の駆動力が前記ゼンマイ機構15に蓄えられ、
その後半過程においては、前記蓄えられた駆動力と、該
後半過程で実際に前記電動モーター100が出力する駆
動力と、が合力となって、エンジンコンプレッションに
打ち勝ち、前記内燃エンジン1を起動する力となる。
ー100でも、円滑かつ確実に前記内燃エンジン1を始
動することができ、その結果、電動モーターの消費電力
の低減、バッテリの小容量化、トータル重量の軽減化、
耐久性の向上、及び、故障の低減等を図ることができ、
信頼性が増す。
5では、前記ゼンマイ18の内周側巻装部Miにおい
て、一巻目N1に二巻目N2の一部が密着せしめられて
いること、前記内端フック部18bが前記した如くの位
置に配在されていること、前記ゼンマイ18及び前記ゼ
ンマイ機構15の仕様を前記の如くに設定したこと等に
より、エンジン始動後に、前記従動部7に備えられる前
記遠心クラッチ式ラチェット機構30等の自動解放作用
により、前記ゼンマイ機構15とエンジン1側との連動
連結が解かれて、前記ゼンマイ機構15がフリー状態と
なって、そのイナーシャにより、前記ゼンマイ18が完
全に巻き戻されて解放された後、さらに巻き戻し方向
(解放方向)に押されて弾けても、そのときの巻き込み
−解放による繰り返し応力は、前記内周側巻装部Mi全
体で受けることになるので、前記ゼンマイ18の内端フ
ック部18b付近に局部的な応力集中が生じ難くなる。
損等が生じ難くなり、耐久性が向上するとともに、前記
ゼンマイ機構15の前記起動プーリ17に設けられた巻
芯部17Cに係止されている前記ゼンマイ18の前記内
端フック部18bが前記巻芯部17Cから外れ難くな
り、一層信頼性が増す。
前記したセルモーター式で前記内燃エンジン1が始動で
きない場合(バッテリ切れや前記電動モーター100の
故障時等)には、前記リコイル式駆動部6を使用して始
動操作を行うことができる。すなわち、前記リコイルロ
ープ21(前記リコイルハンドル22)を引っ張ると、
前記ロープリール20が駆動方向(図5においてR方
向)に回転せしめられ、該ロープリール20と一体的
に、それに設けられた二個のラチェット爪40A、40
B(180°間隔)も回転せしめられる。前記二個のラ
チェット爪40A、40Bが回転し始めると、例えば、
その一方のラチェット爪40Aが、前記ゼンマイ香箱1
6に設けられた三個の係止部61、62、63のうちの
一つである、例えば、係止部61に接当し、前記ロープ
リール20の回転が、前記ゼンマイ香箱16に伝達され
る。
と、前記リコイル式駆動部6の回転が、前記ゼンマイ機
構15及び前記連動プーリ35を介して、前記内燃エン
ジン1のクランク軸2に伝達される。この場合も、前記
したセルモーター式で始動する場合と同様に、前記リコ
イルロープ21の引き操作(リコイリング操作)の前半
過程(前記内燃エンジン1のピストンが上死点に達する
まで)においては、前記ゼンマイ機構15による緩衝効
果が得られるとともに、前記リコイルロープ21の引き
力が前記ゼンマイ機構15に蓄えられ、その後半過程に
おいては、前記蓄えられた引き力と該後半過程で実際に
引かれる引き力とが合力となって、エンジンコンプレッ
ションに打ち勝ち、前記内燃エンジン1を起動する力と
なる。
抑えることができ、ロープ引き操作を円滑に行うことが
できるとともに、力の弱い作業者でもエンジンを容易に
始動させることができる(詳しくは、特願平11−23
8642号を参照されたい)。以上、本発明の一実施形
態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定
されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発
明の精神を逸脱することなく、設計において種々の変更
ができるものである。
明のスタータ装置は、電動モーターと従動部との間に、
ゼンマイ機構等の緩衝・蓄力手段を介装したので、小型
で出力の小さな電動モーターでも、円滑かつ確実に内燃
エンジンを始動でき、そのため、電動モーターの消費電
力の低減、バッテリの小容量化、トータル重量の軽減
化、耐久性の向上、及び、故障の低減等を効果的に図る
ことができる。
正面図。
れるリコイル用ラチェット機構、ゼンマイ機構、及び、
ウォーム歯車装置等を示す部分切欠分解斜視図。
れるゼンマイの組み付け前の自然解放状態を示す正面
図。
Claims (10)
- 【請求項1】 駆動部(100)と従動部(7)との間
の動力伝達系の途中に、緩衝・蓄力手段(15)を介在
したスタータ装置(5)であって、 前記緩衝・蓄力手段(15)は、前記駆動部(100)
の駆動の過程において、該駆動部(100)の駆動によ
って前記従動部(7)と緩衝しつつ蓄力すると共に該蓄
力により前記従動部(7)を駆動し、 前記駆動部は、駆動源としての電動モーター(100)
であることを特徴とするスタータ装置。 - 【請求項2】 前記従動部(7)は、従動側の回転によ
る遠心力より係合を解除される遠心クラッチ(30)を
備え、該遠心クラッチ(30)を介して駆動側と連動連
結していることを特徴とする請求項1に記載のスタータ
装置。 - 【請求項3】 前記緩衝・蓄力手段は、ゼンマイ機構
(15)であることを特徴とする請求項1又は2に記載
のスタータ装置。 - 【請求項4】 前記緩衝・蓄力手段(15)と前記電動
モーター(100)との間に減速機構(105)が介装
されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
一項に記載のスタータ装置。 - 【請求項5】 前記ゼンマイ機構(15)は、前記電動
モーター(100)側に配在されたゼンマイ香箱(1
6)、前記従動部(7)側に配在された起動プーリ(1
7)、及び、前記ゼンマイ香箱(16)と前記起動プー
リ(17)との間に介装されたゼンマイ(18)、を有
し、該ゼンマイ(18)の外端部(18a)及び内端部
(18b)が、それぞれ前記ゼンマイ香箱(16)及び
前記起動プーリ(17)に係止されていることを特徴と
する請求項2又は3に記載のスタータ装置。 - 【請求項6】 前記減速機構は、前記電動モーター(1
00)の出力回転軸(102)に連結固定されたウォー
ム(110)と、前記ゼンマイ香箱(16)の外周に設
けられたウォームホイール(120)と、からなるウォ
ーム歯車装置(105)で構成されていることを特徴と
する請求項4又は5に記載のスタータ装置。 - 【請求項7】 前記ゼンマイ(18)は、自然解放状態
において、外周側に所定巻数分が相互に密着せしめられ
た外周側巻装部(Mo)が形成されるとともに、内周側
に一巻分以上の内周側巻装部(Mi)が形成され、前記
外周側巻装部(Mo)と前記内周側巻装部(Mi)との
間に隙間空間(S)が形成されていることを特徴とする
請求項4乃至6のいずれか一項に記載のスタータ装置。 - 【請求項8】 前記外周側巻装部(Mo)が三巻目(N
3)以降で形成されるとともに、前記内周側巻装部(M
i)が一巻目(N1)に二巻目(N2)の少なくとも一
部が密着せしめられて形成されていることを特徴とする
請求項7に記載のスタータ装置。 - 【請求項9】 前記駆動側には、前記電動モーター(1
00)とは別に、リコイル式駆動部(6)が付設され、
前記リコイル式駆動部(6)は、リコイルロープ(2
1)が巻装されて該リコイルロープ(21)を引っ張る
ことにより回転せしめられるロープリール(20)と、
前記リコイルロープ(21)を巻き取るべく前記ロープ
リール(20)を逆転させるリコイル用付勢手段(2
3)と、前記ロープリール(20)の回転を前記緩衝・
蓄力手段(15)に伝達するためのリコイル用ラチェッ
ト機構(40)と、を備えていることを特徴とする請求
項1乃至8のいずれか一項に記載のスタータ装置。 - 【請求項10】 前記ゼンマイ機構(15)は、前記ゼ
ンマイ香箱(16)を一方向にのみ回転させるワンウェ
イクラッチ(19)を有していることを特徴とする請求
項9に記載のスタータ装置。
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