JPWO2007088608A1 - 小型電動モーター付きの手作業機用エンジン始動装置と同始動装置を搭載した手作業機 - Google Patents

小型電動モーター付きの手作業機用エンジン始動装置と同始動装置を搭載した手作業機 Download PDF

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Abstract

小型エンジンを適正な始動時間で始動させることができ、合理的な設計のもとに究極的なまでに小型化と軽量化が図られた小型エンジン始動装置に関する。小型の電動モーター(131) と、小型エンジンの駆動に必要な電源に比較的大きな容量をもち極めて小型化された複数の二次電池が使われる。また、電動モーター(131) と緩衝・蓄力部(110) との間には、1/30〜1/90の減速比をもつ減速機構(132) が配され、エンジンの始動時間を操作者に違和感を感じさせない0.4 〜1.3 秒という極めて短い時間でエンジンを始動させる。

Description

本発明は、携行刈払機、チェーンソー、芝刈機、背負い式刈払機、動力散布機、エンジンブロアー、ダスター、ヘッジトリマーなどの各種の手作業機に搭載される小型エンジンを始動させるための超小型の電動モーターを駆動する小型で且つ出力の大きなバッテリーを内蔵するバッテリーパック、同パックにより駆動されるエンジン始動装置及び同始動装搭載した手作業機に関する。
現在、多用されている刈払機やチェーンソー等の手作業機に搭載されている小型空冷式のガソリンエンジンを始動させるエンジン始動装置は、その殆どがリコイル式の駆動部と、エンジンのクランク軸に遠心クラッチ等の断接手段を介して連結された従動部と、前記駆動部と従動部との間に配され、駆動部の駆動力を緩衝するとともに従動部との間で弾性的に蓄力するゼンマイなどを有する緩衝・蓄力部とを備えている。前記リコイル式駆動部は、リコイルロープが巻装されたリコイル用リールと、同リコイル用リールとケーシングとの間に配されて、その内外の端部をリコイル用リール及びケーシングにそれぞれ固着されたリコイル用ゼンマイとを有している。前記リコイルロープを手で引き出すことによりリコイル用リールを一方向に回転させると同時に、前記リコイル用ゼンマイを巻締めてバネ力を蓄え、この状態でリコイルロープから手を離すと、リコイル用ゼンマイの蓄力が解放されてリコイルロープをリコイル用リールに自動的に巻き戻す。
しかし、前述のリコイル式駆動部は、エンジンを始動させるたびにリコイルロープを引き出すための引き操作を必要とする。このリコイルロープの引き操作は、通常、素早く且つ大きく引き出す必要があるため、力の弱い人や老年者にとって、或いは作業空間の狭い現場では、一回の引き操作でエンジンを作動させることができない場合も多い。そこで、リコイルロープの引き操作によるエンジンの始動を容易にしようとする提案も多くなされており、また実用化もされてはいるが、引き操作自体がもつ煩雑性は依然として残される。一方で、近年の小型電動モーターやバッテリーの進展は著しく、極めて小型化され且つ大容量をもつようになってきている。
最近は、こうした事情も手伝って前述のリコイル式始動装置の煩雑な操作性を避けるべく、スイッチ操作により簡単にエンジンを一発で始動させることができる電動式のエンジン始動装置が見直され、その開発が望まれてきている。この種の電動式の小型エンジン始動装置は、古くは例えば実開昭63−110672号公報(特許文献1)に開示されたエンジンの始動装置がある。また、最近では特開2002−285940号公報(特許文献2)の電動式のスタータ装置も開示されている。
前者の始動装置によれば、バッテリーにより供電駆動される直流モーターと、該モーターの出力軸に固設されたウォームギアによりゼンマイ香箱が駆動されて巻き上げられるゼンマイと、ゼンマイの内側端部が固定された出力回転軸と、該出力回転軸に1方向クラッチを介して接続されたエンジンの回転軸と、前記出力回転軸の回転を停止し若しくは停止を解除する回動レバーと、同レバーによる出力回転軸の回転停止の解除時にのみ入れ操作される連動電気スイッチと、同電気スイッチの切り操作時にモーターが駆動され、同モーターの回転速度が設定回転速度を越えたときにも回転を持続してゼンマイを巻き上げ、ゼンマイの巻き上げ終了時に前記設定回転速度より降下したときには供電が絶たれてモーターの回転を停止させる電機子電流制御回路とを備えている。
更に、例えば特開2002−285940号公報(特許文献2)のスタータ装置の基本構成は、上記特許文献1と実質的に変わるところがないが、前記駆動側には、前記電動モーターとは別に、公知のリコイル式駆動部が付設されている。すなわち、この特許文献2のスタータは、上記特許文献1と公知のリコイル機構とを単純に組み合わせたに過ぎないといえる。
一方、例えば特許第2573340号公報(特許文献3)によれば、バッテリーと、該バッテリーの電力により駆動される直流電動モーターと、該モーターの運転停止を制御する制御装置と、前記モーターの動力を伝達する高減速比減速機構と、該高減速比減速機構で駆動されるゼンマイ式蓄力装置と、該蓄力装置の力をクランク軸に一方的に伝える動力伝達装置とが単一フレーム内に納められたゼンマイ式始動装置が開示されている。前記高減速比減速機構は、前記クランク軸に平行な他の軸線上に配された、直流電動モーターにより駆動される1段目の遊星歯車式減速装置と、前記蓄力装置のバネ蓄力室の外周に一体的に設けた被動歯車に前記遊星歯車式減速装置の出力軸に設けた駆動歯車を噛合させた2段目の減速装置とから構成されている。
また、例えば実開平2−13171号公報(特許文献4)に記載されたエンジン始動装置は、ゼンマイ香箱が、エンジンのクランクシャフト側とは反対側に配された遊星歯車減速機の支持系を介して一方向に回転可能に軸支されている。ゼンマイ香箱の回転制御は、ハウジング内に配された直流電動モーターの出力軸に固定された小歯車と大歯車との減速平歯車対を介して結合された前記遊星歯車減速機によって減速回転される。このときの一方向回転は、ラチェット爪とゼンマイ香箱の外周部に設けた歯部との係合によりなされる。また、ゼンマイ香箱のクランクシャフト側に始動ラチェットホイールと始動ラチェット爪とが配されており、その係合を解除したときにラチェットホイールは回転自在となる。前記始動ラチェットホイールにはスタータラチェットホイールが組み付けられており、このスタータラチェットホイールはクランクシャフトに設けられた遠心クラッチ爪と係合する。
以上の特許文献1〜4に開示されたエンジンの始動装置の電源に使われるバッテリーは、いわゆるニッカド電池やニッケル水素電池と呼ばれる電池であり、しかも既述したとおりそれらの電池の収納場所は指定されていない。しかし、通常は特許文献3及び4に記載さているように始動装置の内部に配されていることが多く、さもなくば従来のバッテリーは全容積が大きくなることから、始動装置の近傍の専用部位に装着されることが多い。更に、エンジンと始動用の電動モーターとの間に配される、例えば蓄力装置のゼンマイを巻き上げる電動モーターに必要な電力を前述の電池から得ようとすると、自ずと多数のニッカド電池やニッケル水素電池と呼ばれる電池が必要となる。そのため、始動装置を小型軽量化するにしても限界がある。
ところで、上記特許文献1のエンジン始動装置によれば、電動モーターに直結するウォームギアとゼンマイ香箱の外周に形成されたウォームホイールとの噛合によってゼンマイ香箱を一方向に回転させるようにしているため、ゼンマイ香箱が逆転することはないが、ウォームギアとウォームホイールとの噛合による動力伝達機構では、電動モーターの出力軸方向とゼンマイ香箱の回転駆動軸とが直交して配されることになり、設計上、効率が悪く(約60%)且つこれを小型化するにも避けられない限度がある。また、同特許文献1及び2によるエンジン始動装置では、その減速機構がウォームとゼンマイ香箱のウォームホイールとからなるため、装置全体の小型化は極めて難しい。
一方、上記特許文献3によれば、電動モーターとゼンマイ香箱との間に高減速比減速機構を配することにより、モーター容量、バッテリー容量がセルスタータ方式に対し、それぞれ1/10,1/6以下と小型になり、蓄電池を装備しても実用性を失わないとしているが、前記高減速比減速機構による減速比は1/250〜1/300と極めて大きく設定されている。これは、小型で且つ小容量の電動モーターを使って所要の出力トルクを確保し、ゼンマイの蓄力を安定して行えるようにするがためである。また、上記特許文献4によれば、電動モーター、ゼンマイ香箱、前記小径のラチェットホイール及びラチェット爪の各支軸をそれぞれ互いに平行に配しているため、エンジン始動装置の小型化が妨げられている。
こうした従来の課題を解消すべく、本出願人は、先に提案した例えば特願2005−196419号(特許文献5)によって、不要な器材を排除するとともに合理的な設計のもとに、究極的なまでの小型化と軽量化を実現化した。
その基本構成は、バッテリーにより駆動される小型電動モーターと、該小型電動モーターの動力が高減速機構を介して蓄力方向に駆動伝達される蓄力部と、該蓄力部の蓄力をエンジンのクランク軸に伝達する動力伝達部とを備えたエンジン始動装置であって、前記蓄力部がばねと同ばねの一端を支持する回転支持部材とを有している。前記ばねにはゼンマイ又はコイルばねを使うことができ、ゼンマイの場合には前記回転支持部材をゼンマイ香箱から構成し、コイルばねの場合には通常の歯車を使うことができる。
そして前記支持部材には第1歯車が形成され、前記高減速機構の出力軸には第2歯車が固設され、前記第1及び第2歯車を互いに噛合させており、前記蓄力部又は動力伝達部に配され、通常は前記蓄力部又は動力伝達部の蓄力解放方向の回転を許容するが、電動モーターの不作動時には前記蓄力解放方向の回転を阻止するため回転阻止手段を有している。前記高減速機構は遊星歯車式減速機構であり、前記蓄力部及び前記動力伝達部の回転軸線が前記クランク軸と同一軸線上に配され、前記小型電動モーター及び前記高減速機構の回転軸が前記クランク軸と平行に配されており、前記第1及び第2歯車の平歯車同士を噛合させている。
上記特許文献5のエンジン始動装置が、かかる構成を採用することにより、上記特許文献1〜4に開示された小型エンジン始動装置がもつ上述の機構上の課題は解決されたが、一方でかかる小型化されたエンジン始動機構を、小型化されたバッテリーをもって如何にして円滑に、確実に且つ安全に駆動することを可能にするかという課題が残されていた。すなわち、作業機の全体を小型化するとともに軽量化を実現するには、単にエンジンを始動させるだけでなく、エンジンの点火回路や燃料供給制御回路などの駆動を司るバッテリー自体をも、必要とする十分な放電容量を備えるとともに小型軽量化を実現させることが肝要である。
そこで、同特許文献5では、小型電動モーター駆動用のバッテリーとして、高レートのリチウム系二次電池と、同電池に接続された、通常の自己放電防止回路、過電流防止回路の他に、過充電防止回路、過放電抑止回路、スタートスイッチ用リレー回路などの電子回路からなる保護回路が内蔵した小型エンジン始動装置の小型電動モーター駆動用のバッテリーパックをも同時に開発した。この小型化されたバッテリーパックは、上記手作業機のエンジン部と切り離されたハンドル部のスイッチボックスに一体に配することもできるようになる。
実開昭63−110672号公報 特開2002−285940号公報 特許第2573340号公報 実開平2−13171号公報 特願2005−196419号
上述のように、本出願人により先に提案された特許文献5の小型電動モータを使ったエンジン始動装置は、極限に近いまでの小型化を達成すると同時にエンジンを確実に始動させることを可能にした。しかしながら、操作者に違和感を感じさせない小型電動モーターの起動スイッチを押してからエンジンが始動するまでにかかる適正な始動時間については、感覚的に設定しているに過ぎず、その適正な始動時間の客観性ある時間領域は一般にも確定していないのが現状である。そこで本発明者らは操作者が違和感を感じないエンジン始動に要する時間域について実験を行った。その結果、電動モーターの始動スイッチを押してから前記蓄力バネにエンジン始動に必要な蓄力が貯えられることができる時間域に対する操作者の感覚は、個々の操作者によってバラツキはあるものの、ある始動操作時間域を外れると違和感として感じる者が多いことが判明した。上記特許文献5のエンジン始動装置には緩衝・蓄力部が設けられているため、僅かではあっても始動操作に要する時間域の下限は避けられない。一方、予期した以上に始動操作時間が長すぎること苛立ち感につながる。
上記特許文献3では電動モーターのトルクを大きくするため、1/250〜1/300という極めて高い減速比に設定しているが、かかる高い減速比ではゼンマイ香箱を回転させて、ゼンマイに所要の蓄力が貯えられるまでに要する時間が極めて長くなる。そのため同特許文献3では、エンジン始動までに長時間かかることによる違和感を払拭すべく、ゼマイの自動巻上げ制御装置を設置し、同制御装置の制御回路により一回の始動操作によるエンジンの始動後にも自動的に蓄力バネの蓄力動作を行い、タイマー又はゼンマイの巻き上がりを検知して、モーターへの通電を停止させて、再始動時の待ち時間を少なくしている。そのため、装置全体が複雑化し、必然的に価格も高くなる。
本発明は、かかる従来の課題を解消すべく開発されたものであり、その具体的な目的は上記特許文献5により提案された小型エンジンの始動装置が備えている有利性を利用しつつ、更にその始動時間を操作者にとって違和感のない客観性のある適正な時間域に設定された小型エンジン始動装置と同始動装置を搭載した手作業機を提供することにある。
本発明者の実験により、前記電動モーターの起動からエンジン始動までに要する適切な時間域は0.4〜1.3秒と極めて短いことが判明している。前記時間域の下限である0.4秒は、電動モーターからの動力が緩衝・蓄力部を介して動力伝達部に伝達されため、その伝達に要する時間である。一方、前記時間域の上限である1.3秒は、上記実験の結果、エンジンの始動に要する時間が1.3秒を上回ると、操作者が長く感じて苛立ち感を覚えるとする時間域である。こうした違和感は、作業機の作業操作に大きな影響を与えかねず、安全性の観点からも絶対に回避すべきである。
上述のごとき高性能で且つ放電容量の高い小型バッテリーと小型ではあっても大きな容量をもつ電動モーターとを組み合わせることにより、更には適正なばね力を持つ緩衝・蓄力部を備えることにより、減速比を従来よりも大幅に小さく設定することができるようになり、電動モーターから緩衝・蓄力部に動力を円滑に且つ確実に伝達できる。この減速比が上記エンジンの始動時間と直接関係することは既述のとおりである。
バッテリーにより駆動される小型電動モーターと、該小型電動モーターの出力が減速機構を介して蓄力を緩衝しつつ蓄力方向に駆動伝達される緩衝・蓄力部と、該緩衝・蓄力部の蓄力をエンジンのクランク軸に伝達する動力伝達部とを備えてなり、前記減速機構の減速比が1/30〜1/90であって、前記小型電動モーターの起動からエンジンの始動に到るまでの時間域が0.4〜1.3秒の範囲に設定されていることを特徴としている。
因みに、好ましい態様によれば、前記バッテリーパックの体積は5.5×104 〜1.0×102 mm3 、重量が80g程度で極めて小型で且つ軽量である。このように極めて小型軽量化されるため、エンジンの始動装置のケースに直接内蔵させることもできるが、これをケース外の例えば作業機におけるハンドル部のスイッチボックスに収容することが可能となる。
前記小型電動モーターは、例えばハウジング体積が4.0×103 〜8.0×104 mm3 、停動電流が1〜100A、停動トルクが10〜500mNmであり、また前記小型電動モーターの出力軸と前記回転蓄力部及び動力伝達部の回転軸とが、前記エンジンの重心方向に平行に配されなり、前記出力軸と回転軸とを前記減速機構を介して連結することが好ましい。また前記バッテリーパック内には、少なくとも2つのセルからなるリチウム系二次電池と、同電池に接続された、通常の自己放電防止回路、過電流防止回路の他に、過充電防止回路、過放電抑止回路、スタートスイッチ用リレー回路などの電子回路からなる保護回路とを内蔵させている。
これらの小型エンジンの始動装置を搭載した手作業機にあっては、前記エンジンに前記リチウム二次電池の充電用発電機が設けられることが望ましく、同発電機は前記エンジンの回転部に配される磁石と、同磁石の対向部に配される発電コイルとを備えている。そして、好適には前記エンジンの前記回転部をクランク軸に固設されたファンとすることが有利である。
本発明におけるバッテリーの全体の放電容量は、少なくともエンジン始動用の電動モーター、バッテリーの保護回路、オートチョーク付きキャブレターのソレノイドバルブ及び電子回路を駆動するに必要とされる放電容量を満足させている。そのため、バッテリーには、例えばリチウム系二次電池を採用している。このバッテリーの放電容量は1000mAhである。1個のセルの出力電圧は3.8Vであり、2個のセルを用いれば7.6Vとなり、エンジン始動用の電動モーターに対する放電電流を10〜60Aに設定しても、その他の回路などを駆動するための電源としては十分な容量となる。このように、作業機に搭載される小型エンジン始動装置の電源となるリチウム系二次電池は、緩衝・蓄力部を介してエンジンを始動するには十分な容量をもつことが望ましい。
エンジン始動用の電動モーターを所定の容量とトルクをもって駆動するために、上記電動モーターの出力容量と動力を緩衝させながら蓄力できる緩衝・蓄力部を配することによって、従来よりも高い減速比である1/30〜1/90に設定された減速機構をもってして、緩衝・蓄力部を回転させるに十分大きなトルクが確保でき、緩衝・蓄力部にエンジンを始動させるに十分な蓄力を短時間で確実に貯えることができる。かかる減速比に設定することにより、0.4〜1.3秒という極めて短い時間域の中でエンジンを確実に始動させることができるようになる。
また、上記バッテリーパックをスイッチボックスに収容する場合には、エンジンから遠くなることによる耐振及び耐熱の効果があり、またガソリンタンクから離れることにより安全性も確保され、バッテリーの交換も簡単にできるようになる。本発明では、上述のように上記特許文献5のエンジン始動装置と同様、リコイル式駆動機構を排除することと相まって、始動装置の外形寸法を極めて小型化することを可能にし、その重量も大きく低減できる。
これらの小型エンジンの始動装置を搭載した手作業機は、前記エンジンに、例えば前記リチウム二次電池のための充電用発電機を設けていることが好ましい。同発電機は前記エンジンの回転部に配された磁石と、同磁石の対向部に配された発電コイルとを備えている。そして、前記発電機の回転部としてクランク軸に固設されたファンの回転を利用すれば、磁石を単にファンに取り付けるだけの簡単な構造であるだけではなく、エンジン回転を利用して効率的な発電がなされ、この発電によりバッテリーパックに内蔵されたリチウム系二次電池を充電すれば、同電池の充電不足を心配する必要がなくなる。
図1は、本発明の小型エンジン始動装置とバッテリーパックとの間の配線図である。 図2は、本発明のバッテリーパックを搭載した小型エンジン始動装置の組立図である。 図3は、本発明の小型エンジン始動装置における減速比とエンジン始動時間との関係図である。 図4は、エンジン始動時間の長さに対する始動操作者の感覚状況を示す関係図である。 図5は、本発明のバッテリーパックに設けられる保護回路の一つである過放電抑止回路の典型例を示す回路図である。 図6は、モーターストール時の電圧−電流特性図である。 図7は、モーターストール時の捲線の温度特性の一例を示す温度特性図である。
符号の説明
10 エンジン
11 シリンダー
12 点火プラグ
12a 点火コイル
14 充電コイル
15 オートチョーク付きキャブレター
15a キャブレター
15b チョークコイル
16 バッテリーパック
17 スイッチボックス
20 始動スイッチ
23 エンジンストップスイッチ
25 クランク軸
26 係合爪
27 クランクケース
28 ボルト
100 エンジン始動装置
110 緩衝・蓄力部
111 ゼンマイ
111a 内側端部
112 ゼンマイ香箱
113 外周平歯車
114 ワンウェイクラッチ
120 動力伝達部
121 起動プーリー
121a 軸部遊挿孔
121b ゼンマイ端固定部
122 係脱部材
122a 一端
123 ラチェット歯
130 電動式駆動部
131 超小型電動モーター
132 減速機構
132a 遊星歯車機構
132b 平歯車
132a−1〜132a−3 第1〜第3の内歯歯車
132a'-1,132a'-3 突条
133 出力軸
133a 係合部
134 電動部収容ケース
134a 円筒部本体
134a−1 嵌着溝
134b 底部
134c,134d 突条
140 ケース
140a (エンジン側の)第1ケース体
140b (反エンジン側の)第2ケース体
141 窓部
142 電動部密嵌孔
143,147 ボルト挿通孔
144 ネジ孔
145 軸部
146 レンチ挿入孔
149 押し釦
150 捻りバネ
以下、添付図面を参照して本発明の代表的な実施形態を具体的に説明する。
図1は本発明の作業機に搭載される小型エンジンのハイブリッドセルスタータの始動回路図である。
本実施形態における小型エンジン10は、従来と同様にシリンダー11、同シリンダー11の燃焼室に臨設された点火プラグ12、図示せぬピストン、同じく図示せぬクランク軸、同クランク軸に固設された図示せぬファン、及び同ファンの背面側(図2の手前側)に配された図示せぬ遠心クラッチを備えている。
本実施形態における前記小型エンジン10には、図1に示すように、前述の構成機器の他に更にエンジン始動用の電動モーター131を駆動するための電源である後述するバッテリーを充電するための図示せぬ発電機と、エンジン始動時の空燃比を調整するオートチョーク付きキャブレター15とが設けられている。前記発電機は、上記ファンの周面の一部に固設された図示せぬ第1の磁石と、同磁石の回転面に対設される充電コイル14とから構成される。前記オートチョーク付きキャブレター15には、図示せぬソレノイドバルブが装着されている。同ソレノイドバルブは、エンジン停止時にはチョークコイル15bに通電されていないことから閉じた状態にあるが、エンジン始動時の始動スイッチ操作と同時にバッテリーパック16から前記チョークコイル15bに電流が流れ、バルブを開く方向に作動する。このソレノイドバルブの開閉量で、空燃比が制御される。本実施形態によれば、エンジンの爆発室の近傍に図示せぬ温度センサーが配され、同センサーの検出温度に基づいて前記バルブの開度が制御される。
図2に上記接続回路を備えた本発明の実施形態であるエンジン始動装置100と小型エンジン10との組立図を示している。図2は、同実施形態における前記エンジン始動装置100の各構成機器の配置及び構造を示す説明図である。本実施形態によるエンジン始動装置100は、小型空冷式ガソリンエンジン等に適用され、同始動装置100はその内燃エンジン10のクランク軸25の入力端部に近接して配置される。
このエンジン始動装置100は、図2に示すように、緩衝・蓄力部110と動力伝達部120と電動式駆動部130とを備え、これらの緩衝・蓄力部110、動力伝達部120及び電動式駆動部130は一つのユニットに組み立てられて、単一のケース140に収容される。このケース140は、上半部が蓄力部110と動力伝達部120とを収容する方形状を呈する第1空間Aと、下半部が駆動部130を収容する下端に向けて漸次幅狭となる逆三角形状を呈する第2空間Bとを有し、エンジン側と反エンジン側との半割り構造の第1及び第2ケース体140a,140bからなる。
エンジン側の第1ケース体140aの上半部には略方形の窓部141が形成され、同ケース体140aの下半部の中央部には上記電動式駆動部130の構成部材の一つである後述する減速機構132を嵌挿支持する電動部密嵌孔142が形成されている。前記方形窓部141の四隅内側には第1ケース体140aをエンジン10に固設するためのボルト挿通孔143が形成され、また前記方形窓部141の枠部の上二隅と下二隅の下方との4箇所に上記第2ケース体140bと結合するためのネジ孔144が形成されている。一方、反エンジン側の前記第2ケース体140bの第1空間Aを形成する底部内壁面の中央にはエンジン方向に向けて軸部145が突設されており、同軸部145の垂直下方にあって前記第2空間Bを形成する背壁部の前記電動部密嵌孔142の中心に対応する部位には内部空間と連通するレンチ挿入孔146が形成されている。また、前記第1ケース体140aのネジ孔144に対応する同第2ケース体140bの部位にも、それぞれにボルト挿通孔147が形成されている。
上記緩衝・蓄力部110は、図2に示すとおり、ゼンマイ111とゼンマイ香箱112とからなり、ゼンマイ香箱112の外周面の半部には周方向に連続する平歯車113が形成されている。また、このゼンマイ香箱112の中心には貫通孔が形成されるとともに、その貫通孔には軸受状のワンウェイクラッチ114の外輪が密嵌固着され、そのワンウェイクラッチ114の内輪に前記第2ケース体140bの上記軸部145が圧入固定される。更に、同ゼンマイ香箱112のエンジン側には図示せぬゼンマイ収容空間が形成されており、そのゼンマイ収容空間の周壁の一部に、前記ゼンマイ111の外側端部を係着固定する図示せぬ外側端固定溝が形成されている。
上記動力伝達部120は、起動プーリー121と同起動プーリー121に係脱する係脱部材122とから構成される。前記起動プーリー121の中心には上記第2ケース体140bから突出する軸部145が遊挿可能な遊挿孔121aが形成され、同起動プーリー121の反エンジン側の中心部には、前記遊挿孔121aを囲むようにしてゼンマイ香箱112に向けて突設するゼンマイ端固定部121bが形成されている。このゼンマイ端固定部121bには上記ゼンマイ111の内側端部111aを係着固定する内側端固定溝が形成されている。前記軸部145の先端部には図示せぬネジ孔が形成されており、組み立てが終了した時点で同ネジ孔に止めネジ148がねじ込まれ、緩衝・蓄力部110及び起動プーリー121が第2ケース体140bに収容固定される。
また、前記起動プーリー121のエンジン側中心部には、エンジン10のクランク軸25に装着された遠心クラッチ機構の一要素である図示せぬ係合爪が係合する、周面にラチェット歯を有する図示せぬ係合突部が突設されている。この係合突部は、ゼンマイ香箱112が回転してゼンマイ111にバネ力が蓄えられる過程で発生する解放方向のエネルギーを受けながら、エンジンの最大負荷を越えるまでは前記クランク軸25に装着された係合爪26と係合して静止している。前記起動プーリー121は、ゼンマイ111に蓄えられた蓄力がエンジンの最大負荷を越えると、前記係合突部が前記係合爪26と係合したまま共回りを始め、エンジンを始動させる。エンジン回転が定常状態に入ると、その遠心力により係合爪26は起動プーリー121の前記係合突部との係合が外れ、エンジン回転が続けられる。
更に、前記起動プーリー121の外周には所定の間隔をおいてラチェット歯123が形成されており、起動プーリー121の全体がラチェットホイールを構成している。上記係脱部材122は、その一端122aが第1ケース体140aのボス部140a−1に回転自在に支承され、押し釦149によってその先端を回動操作させて前記起動プーリー121の外周ラチェット歯123に係脱させ、同起動プーリー121の回転を許容し或いは回転を不能にする。この係脱部材122の前記先端は、捻りバネ150により、通常のエンジン始動時には前記ラチェット歯123から外れる方向に付勢されており、前記一端122aを前記捻りバネ150の付勢に抗して回転させることにより、初めてその先端を前記ラチェット歯123に係合させることができる。
本実施形態によれば、前記係脱部材122の先端を付勢に抗して回転させるには、図2に示すように、第1ケース体140aの周壁部の一部に取り付けた押し釦149のピン先端の図示せぬボール部分を係脱部材122の先端に嵌着してあり、前記押し釦149を押し込むことにより前記係脱部材122が捻りバネ150の付勢に抗してラチェット歯123に向けて回動させる。この押込み操作により、押し釦149は図示せぬロック手段によりロックされ、次に押し釦149を手前側に引くとロックが解除されて、係脱部材122はラチェット歯123との係合が外れる方向に回動する。更に係脱部材122は、前記捻りバネの付勢によって、第1ケース体140aの周壁部に固定される。
上記電動式駆動部130は、既述したエンジン始動用の電動モーター131と、同電動モーター131の出力軸と結合される減速機構132とからなり、前記電動モーター131の高速回転が前記減速機構132を介して減速されて上記ゼンマイ香箱112に伝達される。前記減速機構132は、小型の遊星歯車機構132aと同遊星歯車機構132aの出力軸に固着される平歯車132bとから構成される。前記減速機構132として、遊星歯車機構132aと平歯車132bとを組み合わせて採用しているため、その入力部と出力軸とは同一の第1軸線上に配することができ、その軸線を上記第2ケース体140bからエンジン側に向けて突出する上記軸部145と平行に配することを可能にする。
しかも本実施形態では、図2に示すように、この電動式駆動部130の第1軸線を前記軸部145の中心にある第2軸線のほぼ垂直下方に配している。このことは、本発明がリコイル機構を排除するとともに、従来は緩衝・蓄力部110及び動力伝達部120の下方に配されていたバッテリーをケース140外の、例えば作業機の図示せぬ操作ハンドルに装着されるスイッチボックス17(図1参照)に配するようにし、その空き空間に上記電動式駆動部130を配することにより、上記ケース140の軸線方向の長さを短尺にするとともに、ケース140の左右幅をも最小限まで短くすることを可能にする。
本実施形態による前記遊星歯車機構132aは、リング状の太陽歯車である第1〜第3の内歯歯車132a−1〜132a−3を備えており、その遊星歯車機構132aが上記電動部収容ケース134に上記電動モーター131と共に収容固定されるようになっている。すなわち、前記第1及び第3の内歯歯車132a−1,132a−3の外周面には回転軸と平行に延びる複数本の突条132a' −1,132a' −3が突設されており、前記電動部収容ケース134の内周面には前記突条132a' −1,132a' −3の対応した位置に軸線に平行に延び、前記突条132a' −1,132a' −3が嵌着する嵌着溝134a−1が同数形成されている。
本実施形態では、前記電動部収容ケース134はエンジン側とは反対側が開口する有底円筒体からなり、円筒状本体134aと底部134bとに2分割されている。各円筒状本体134a及び底部134bの前記嵌着溝134a−1が形成されている外周面部分には、第1軸線に平行に延びる突条134c,134dが突設されており、底部134bの突条134dにはネジ孔が形成され、円筒状本体134aの突条134cにはボルト挿通孔が形成されている。かかる構成を備えた電動部収容ケース134の前記嵌着溝134aに、前記遊星歯車機構132aの上記突条132a' −1,132a' −3を嵌着させて、電動モーター131及び遊星歯車機構132aが収容固定される。電動モーター131及び遊星歯車機構132aを収容した電動部収容ケース134は、第1ケース体140aに形成された上記電動部密嵌孔142に密嵌されて支持される。このとき、前記電動部収容ケース134に収容された電動モーター131及び遊星歯車機構132aは、同遊星歯車機構132aの出力軸を外部に露呈して固定フレーム135により、図示せぬボルトとナットを介して締結固定される。こうして電動部収容ケース134に収容固定された前記遊星歯車機構132aの出力軸の先端には上記平歯車132aが固設される。
本発明における小型電動モーター131と上記緩衝・蓄力部との間の減速比は1/30〜1/90に設定される。図3は、本発明者等が行った試験による、様々な減速比の下での電動モーターを起動させてからエンジンが始動するまでの時間の関係を示している。この試験では、前記減速比を1/30、1/40、1/50、1/60、1/70、1/80、1/90、1/100の8通りに設定し、上述の構成を備えた本発明のエンジン始動装置を装着した各小型エンジンを試作した。この種のエンジン始動操作に慣れている83人の被験者に、それぞれの減速比をもつ各始動装置を使って各エンジンを始動させた。ここで、電動モーター131から減速機構を含む動力伝達系を介して緩衝・蓄力部110に動力を伝達するため、電動モーター131を起動させてからエンジンが始動するまでには、どうしても0.4秒の伝達時間がかかってしまう。そこで、本実験における減速比は1/30を上限とした。
前記8通りの減速比に対応するエンジンの始動に要する時間は、図3に示すように、それぞれがおおよそ0.40秒、0.56秒、0.7秒、0.84秒、0.98秒、1.12秒、1.26秒、1.4秒であった。図4は、これらの時間域で聞き取り調査をしたときの被験者の操作感覚とその人数を示している。この図から、被験者により異なるものの、電動モーター131を起動させたのち、約0.4〜1.3秒の時間域でエンジンが始動すれば、操作者には特に違和感を感じさせないとの結論が得られる。しかし、そのエンジン始動時間域が1.4秒では違和感を感じないとする者は0人となる。本発明では、これらの実験を踏まえて前記減速比を1/30〜1/90と設定した。
本実施形態では、小型電動モーター131とゼンマイ香箱112との間の減速比を1/50に設定している。また、前記遊星歯車機構132aの出力軸に固設される平歯車132bと上記ゼンマイ香箱112の外周に形成される平歯車113との減速比は1/2. 5と設定されている。そのため、前記遊星歯車機構132aの減速比を1 /20に設定している。前記遊星歯車機構132aの出力軸133、すなわち前記平歯車132bの支軸端には、例えば図示せぬ六角レンチと係合できる係合部133aが形成されており、その軸線上に上記第2ケース体140bの背壁部に形成されたレンチ挿入孔146の中心を位置させている。
さて、以上のように構成された本実施形態による構成部材をケース140に収容して組み立てるには、第2ケース体140bの上記軸部145を、 ワンウェイクラッチ114を密嵌したゼンマイ香箱112の貫通孔に圧入固定することにより行う。このとき、ゼンマイ香箱112のゼンマイ収容空間の周壁に形成された図示せぬ外側端固定溝にゼンマイ111の外側端部が係着固定されている。次いで、上記起動プーリー121の中心部に形成された上記ゼンマイ端固定部121bの内側端固定溝に前記ゼンマイ111の内側端部を係着固定する。続いて、同ゼンマイ端固定部121bを貫通する上記遊挿孔121aに、前記第2ケース体140bの上記軸部145を遊挿したのち、前記軸部145の先端部のネジ孔に留めネジ147をねじ込んで、前記ゼンマイ香箱1と起動プーリー121とを第2ケース体140bに収容組付けが終了する。
一方、上記電動式駆動部130のケース140への組み付けるにあたっては、上記直流電動モーター131と、減速機構132の遊星歯車機構132a及び平歯車132bとが予め組付けられて組立体とされている。この組立体の前記遊星歯車機構132aの外周面に形成された上記突条132a' −1,132a' −3を、第1ケース体140aに形成された上記電動部密嵌孔142の内面嵌着溝142aに嵌着して固定支持させる。このあとで、第1ケース体140aの方形窓部141の四隅に形成された4個のボルト挿通孔143を介してボルト28をもってクランクケース27に締結する。このとき同時に、電動モーター131をクランクケース27の所定の位置に位置決めして固設する。
こうして、第1ケース体140aを電動式駆動部130とともにクランクケース27に固設したのち、第2ケース体140bのネジ挿通孔147を介してボルト28を第1ケース体140aのネジ孔144にねじ込み、上述のように緩衝・蓄力部110及び動力伝達部120が組付けられた第2ケース体140bを前記第1ケース体140aに固設一体化する。第1ケース体140aに第2ケース体140bを固設するとき、前記係脱部材122の回動他端122cを前記起動プーリー121の外周ラチェット歯123に係着させる。係脱部材122を、ボス部140a−1に枢支させるとき、上記捩りバネ150によって、同係脱部材122の一端122aを操作しないかぎり、その先端が前記ラチェット歯123と係合しない方向に付勢させる。
このような構成を備えた本実施形態による電動式のエンジン始動装置100は、既述したとおりケース140からは、従来のリコイル式駆動部とバッテリーとが排除され、緩衝・蓄力部110のゼンマイ111を収容したゼンマイ香箱112と動力伝達部120の起動プーリー121とを同一軸部145に支持し、その軸部145の垂直下方にあって同軸部145と、平行な軸線上に電動式駆動部130である電動モーター131と減速機構132を構成する遊星歯車機構132a及び平歯車132bとが配されている。また、前記電動モーター131及び遊星歯車機構132aにも超小型のものが使われているため、ケース140に極めてコンパクトに納められ、その結果、ケース140自体、すなわち始動装置全体が極めて小型化されている。
前記始動装置100によりエンジン10を始動させるには、例えばハンドル部に設けられた始動スイッチ20を入れると電動モーター131が起動して、遊星歯車機構132a及び平歯車132bをからなる減速機構132により1/50の減速比でゼンマイ香箱112をゼンマイ111の蓄力方向に回転させる。このとき、動力伝達部120の起動プーリー121には係脱部材122が係合しておらず、起動プーリー121のエンジン側の係合突部にクランク軸25に装着された係合爪26が係合しているに過ぎない。
いま、ゼンマイ香箱112が回転しゼンマイ111に蓄力がなされる過程で、ゼンマイ111には蓄力を解放しようとする力が働き、前記係合爪26を介してクランク軸25を回転させエンジン10を圧縮する行程に入るが、前記ゼンマイ111の蓄力がその圧縮行程における最大負荷を越えるに十分な蓄力が貯えられない間は、クランク軸25をそれ以上回転させることができない。ゼンマイ111がエンジン10の圧縮行程における最大負荷を越える蓄力がなされると、ゼンマイ111の蓄力を解放する方向の力が勝り、起動プーリー121が係合爪26を介してクランク軸25を回転させてエンジン10が点火されて回転が開始される。本実施形態にあっては、電動モーター131の起動から、前記エンジン10の始動までにかかる時間は僅かに0.7秒である。
エンジン10の回転が定常に入ると、その遠心力により前記係合爪26と起動プーリー121の係合突部との係合が外れ、エンジンの回転が続けられる。このときのエンジン10の始動に要する時間は、本発明に特有のバッテリーと相まって、上記減速機構の減速比を1/50と比較的小さく設定されているため極めて短く、自動車などにおける通常のセルスタータによる始動時間と殆ど変わるところがない。
図1によれば、始動用スイッチ20をONすると、バッテリー保護回路の1つである過放電抑止回路を介して始動用の電動モーター131に放電され、同電動モーター131を起動させる。同時に、エンジンの爆発室周辺の温度が所定の温度を下回っていることを図示せぬ温度センサーにより検出したときには、空/燃比制御回路が作動してオートチョーク付きキャブレター15のチョークコイル15bに電流が流れ、キャブレター15aの吸気路に配された図示せぬソレノイドバルブが開かれて、小型エンジン10への供給燃料を増やす。エンジン10の爆発室周辺が所定の温度を越えているときは、チョークコイル15bに流れようとする電流を図示せぬ遮断回路によって遮断し、ソレノイドバルブを閉じたままにしている。このときのソレノイドバルブの駆動電流はせいぜい200〜800mAである。この駆動電流も前記バッテリーパック16から送られる。
前記過放電抑止回路の基本的な機能は、上記電動モーター131の駆動により小型エンジン10を確実に始動させるに十分な時間を予め設定されており、電動モーター131を起動して予め設定されている前記時間が経過したとき、電動モーター131の駆動回路を自動的に遮断して、電動モーター131の駆動を停止する。図5は、本実施形態における前記過放電抑止回路Aを構成するコンデンサーを使った典型的な時限回路の一例を示している。勿論、この過放電抑止回路Aは、図5に示す時限回路に限定されるものではない。なお、過放電抑止回路と過熱防止回路とを並設することができる。この過熱防止回路としては、例えばバッテリーパック16の内部温度を検出して、その検出値が予め設定された温度を越えたとき自動的にスタートスイッチを開けて放電を遮断したり、或いは始動用電動モーター131に流れる電流値を駆動時間で積分し、その値を熱量に変換して、その熱量が設定値を越えたとき自動的に放電を遮断したり、更には例えばモーター回転数が設定値を越えたとき自動的に放電を遮断するようする。
図5において、いま電動モーター131の始動スイッチ20を入れると、a点にV1の電圧が生じ、b点ではコンデンサーCが充電される間、電圧V2が上昇を続ける。このときの電圧V1及びV2が一致すると、アンド回路29から信号が発せられて、それまで閉成されていた電子スイッチ30が開き、電動モーター131の駆動が停止される。このときの電動モーター131の起動から停止までの時間Tは、前記コンデンサーCの容量により決定される。
本実施形態にあっては、前記電動モーター131の駆動継続時間Tを10秒に設定している。電動モーター131をストールさせて始動スイッチ20を入れ、モーター駆動回路にバッテリーパック16から26Aの電流を流すと、バッテリーパック16の内部回路が過熱してしまい、一部の回路素子が焼損して回路が破壊されてしまう。また、巻線温度がある温度を越えると電動モーター131も焼損して円滑な回転がなされなくなる。図6及び図7は、その実験を行った結果を示している。
満充電(8.4V)状態にある前記バッテリーパックにより前記電動モーター131をストール状態で、電動モーター131に26Aの電流を15秒間流した。その結果、図6に示すように、時間の経過とともに電圧及び電流は双方ともに低下していく。図7は同じ条件にて電動モーター131に電流を12秒間流したときの、巻線温度の変動を示している。通常、この種の電動モーターでは、捲線の表面を被覆する絶縁膜の耐熱温度は180℃が限度とされている。同図からも理解できるとおり、電流を流し始めてから10秒後には187℃となり、前記絶縁膜の耐熱温度を上回るようになる。
本実施形態では、小型であるにも関わらず従来よりも出力と容量が大きい小型電動モーターを使い、しかも電動モーターとエンジンのクランク軸に連動する動力伝達部との間に緩衝・蓄力部を配し、前記電動モーターとこの緩衝・蓄力部との間に減速機構を介装させているため、その減速比を1/30〜1/90というある程度低い減速比をもってしても、小型電動モーターであっても十分に緩衝・蓄力部にトルクを伝達することができ、確実にエンジンを始動させるに十分な蓄力がなされる。また、前記減速比であれば電動モーターを起動したのち、エンジンを始動させるまでにかかる時間域を、始動操作にあたり違和感を感じさせない0.4秒〜1.3秒という極めて短時間でエンジンを始動させることが可能となる。
また、電動モーター及び減速機構の軸線と、緩衝・蓄力部及び動力伝達部の軸線とを、エンジンの重心方向に平行に配するという合理的な設計を採用することにより、エンジン始動装置の前後長さを短くすることができ、同時に左右の幅をも小さくできるため、小型の電動モーターを使ったことと相まって始動装置の小型化が実現され、しかも始動装置の装着によるエンジンの左右バランスが崩されることもない。

Claims (2)

  1. バッテリーにより駆動される小型電動モーターと、該小型電動モーターの出力が減速機構を介して蓄力方向に駆動伝達される緩衝・蓄力部と、該回転蓄力部の蓄力をエンジンのクランク軸に伝達する動力伝達部とを備えてなり、
    前記減速機構の減速比が1/30〜1/90であって、前記小型電動モーターの起動からエンジンの始動に到るまでの時間域を0.4〜1.3秒の範囲にあることを特徴とする手作業機に搭載される小型エンジンの始動装置。
  2. 請求の範囲第1項に記載の始動装置を搭載してなることを特徴とする手作業機。
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