JP2002284034A - 自動車の前部車体構造 - Google Patents
自動車の前部車体構造Info
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Abstract
フレームの変形荷重を大幅に減少させて、狙い通りに車
体減速度を降下させることにより、乗員に作用する衝撃
荷重を低減する。 【解決手段】 中空断面構造の一対のフロントサイドフ
レーム11,11のインナパネル51,51に、それぞ
れフック部材55,55を設け、該インナパネル51,
51においてフック部材55,55の取付部を囲むよう
に溝状の薄肉部57を形成する。両フック部材55,5
5を互いに連結するワイヤ部材56を、余裕を持たせて
車幅方向に張架する一方、前記一対のフロントサイドフ
レーム11,11の中間に配設したパワープラント4の
後部に滑車62を設け、前記ワイヤ部材56を該滑車6
2に巻き掛ける。
Description
右両側においてそれぞれ車体前後方向に延びるように設
けられたフロントサイドフレームの構造に関する。
造として、例えば、特開2000−53022号公報に
開示されるように、自動車の前面衝突の際にフロントサ
イドフレームの変形モードを潰れ変形から屈曲変形へ切
り換えることにより、衝突初期に車体に対し相対的に大
きい減速度を生じさせ、その後、一旦、車体減速度を降
下させるようにしたものが知られている。
に、車体前部の左右両側にそれぞれ設けられるフロント
サイドフレーム100,100の前端に、車幅方向に延
びるバンパーレインフォースメント101の左側及び右
側がそれぞれ取り付けられ、さらに、該両フロントサイ
ドフレーム100,100の前後方向の中央部から前方
へ向かって、車体外方へ傾斜して延びる斜方向ビーム1
02,102がそれぞれ設けられている。その斜方向ビ
ーム102,102のそれぞれの前端部は、前記バンパ
ーレインフォースメント101に対して前後方向に所定
距離離れた状態で、かつ、車体前後方向から見て、該バ
ンパーレインフォースメント101の車幅方向の両端部
とそれぞれ重複するように位置付けられている。
は、まず、バンパーレインフォースメント101からフ
ロントサイドフレーム100,100に伝達されて、図
13に示すように、該フロントサイドフレーム100,
100の前端側が比較的、変形荷重の大きい潰れ変形を
起こす。続いて、バンパーレインフォースメント101
の車幅方向の両端部が前記斜方向ビーム102,102
の前端部に当接して、該斜方向ビーム102,102を
介して側方荷重が加えられることによって、前記フロン
トサイドフレーム100,100の中央部が車体内方へ
屈曲変形し、それ以降の変形荷重が比較的、小さなもの
となる。このことにより、衝突初期に車体減速度を急峻
に立ち上がらせて、その後、車体減速度を降下させるこ
とができる。
するシートベルト等の拘束手段からの反力によって減速
度が作用するため、衝突の初期のようにシートベルトの
伸びが少ない状態では乗員減速度は極めて小さい。その
一方で、車体には衝突初期から大きな減速度が作用して
いるため、前記乗員と車体との相対移動距離は次第に大
きくなって、シートベルトの伸びが最大に達した時点で
乗員がシートベルトから受ける反力も最大となり、大き
な衝撃荷重を受けることになる。
低減させるべく、衝突後にシートベルトの伸びが最大と
なる直前に、フロントサイドフレームの変形モードを切
り換えて、車体減速度を降下させるようにしている。
構造では、一対のフロントサイドフレームの間に搭載さ
れるパワープラントが、該各フロントサイドフレームの
車体内方への屈曲変形を阻害することがあり、この場合
には、上述したように車体減速度を降下させることがで
きないため、乗員減速度の最大値、即ち衝撃荷重を狙い
通りに低減できないという問題がある。
あり、その目的とするところは、主にフロントサイドフ
レームの構造に工夫を凝らし、衝突の途中で確実に変形
モードを切り換えて、狙い通りに車体減速度を降下させ
ることにより、乗員に作用する衝撃荷重を低減すること
にある。
に、本発明の第1の解決手段では、フロントサイドフレ
ームに、自動車の前面衝突時に後退するパワープラント
から引張荷重を受けて破断する破断起点部を設けた。
部の左右両側において各々車体前後方向に延びるととも
に、中空断面を有する一対のフロントサイドフレームを
備えた自動車の前部車体構造を前提とする。そして、該
一対のフロントサイドフレームの中間にパワープラント
を配設し、該各フロントサイドフレームには、自動車の
前面衝突時に後退するパワープラントから車体内方ない
し車体後方への引張荷重を受けるように荷重入力部を設
けるとともに、この荷重入力部の近傍に、該荷重入力部
が前記パワープラントから引張荷重を受けたときに破断
するように、薄肉状の破断起点部を設ける構成とする。
は、まず、フロントサイドフレームが圧縮荷重を受けて
潰れ変形を開始し、車体減速度が急峻に立ち上がる。こ
のことによって、シートベルトが早期に伸びて乗員を強
く拘束するようになる。続いて、パワープラントの後退
に伴い、該パワープラントからフロントサイドフレーム
の荷重入力部に対して車体内方ないし車体後方への引張
荷重が作用する。そして、前記シートベルトの伸びが最
大となる前にフロントサイドフレームの破断起点部が破
断して、その剛性が大幅に低下し、このことを契機とし
て、フロントサイドフレームが屈曲変形を開始する。
途中で破断起点部を破断させることにより、変形モード
を狙い通りのタイミングで潰れ変形から屈曲変形に切り
換えて、その変形荷重を減少させることができ、これに
より、シートベルトが伸びきるときに車体減速度を低下
させて、該シートベルトの反力による乗員への衝撃荷重
を十分に低減することができる。
いて、前記フロントサイドフレームの荷重入力部を車体
内方の側壁部に設けられたフック部材とし、破断起点部
は該フロントサイドフレームにおけるフック部材の固定
部位を囲むように設けるものとする。
退するパワープラントからフロントサイドフレームの車
体内方に設けられたフック部材に引張荷重が作用し、こ
のフック部材の固定部位を囲むように設けられた破断起
点部が確実に破断する。そして、フロントサイドフレー
ムの車体内方の側壁部における剛性が大幅に低下するこ
とにより、該フロントサイドフレームはその前端側の部
分が前記破断起点部近傍の部分よりも車体内方に大きく
変位するように屈曲変形を開始する。
いて、前記一対のフロントサイドフレームのフック部材
を互いに連結するように車幅方向にワイヤ部材を張架す
る一方、前記パワープラントには、自動車の前面衝突時
に後退する該パワープラントから前記ワイヤ部材へ荷重
を伝達する荷重伝達部を設けるものとする。
るパワープラントの荷重伝達部から、ワイヤ部材を介し
てフック部材に荷重が伝達され、これにより、該フック
部材に確実に引張荷重を作用させることができる。一
方、ワイヤ部材はある程度の余裕を持たせて張架するよ
うにすれば、通常時にはパワープラントの揺動がワイヤ
部材を介して車体へ伝達することを十分に抑制できる。
いて、前記パワープラントの車幅方向の両端側には、自
動車の前面衝突時に該パワープラントの後退によって前
記フロントサイドフレームのフック部材と係合するよう
に、車体外方へ突出した係合部を設けた。
退するパワープラントの係合部がフロントサイドフレー
ムのフック部材に係合して、このフック部材に確実に引
張荷重を作用させることができる。一方、通常時には、
パワープラントとフック部材とは係合状態でないため、
該パワープラントの揺動がフック部材を介して車体に伝
達することはない。
ントサイドフレームの少なくとも車体内方側を前側及び
後側パネルに分割し、それらの接合部位近傍に前記と同
様の荷重入力部を設けるようにした。
の左右両側において各々車体前後方向に延びるととも
に、中空断面を有する一対のフロントサイドフレームを
備えた自動車の前部車体構造を前提とする。そして、該
一対のフロントサイドフレームの中間にパワープラント
を配設し、該各フロントサイドフレームの少なくとも車
体内方側を車体前方の前側パネルと車体後方の後側パネ
ルとからなるものとし、該後側パネルの前端側を前側パ
ネルの後端側に車体内方側から接合するとともに、該後
側パネルにおける前側パネルとの接合部位近傍には、自
動車の前面衝突時に後退するパワープラントから車体内
方ないし車体後方への引張荷重を受けるように荷重入力
部を設ける構成とする。
ムの車体内方側を、前側パネルと後側パネルとに分割
し、それらの接合部に請求項1の発明と同様の荷重入力
部を設けたので、自動車の前面衝突時には、後退するパ
ワープラントから前記荷重入力部に引張荷重を作用させ
て、前側及び後側パネルの接合部分を分離させることが
でき、これにより、前記請求項1の発明と同様に、フロ
ントサイドフレームの変形の途中でその変形荷重を狙い
通りに減少させて、乗員への衝撃荷重を十分に低減する
ことができる。
基づいて説明する。
に係る自動車の前部車体構造を示すものである。
エンジンルーム1が設けられ、該エンジンルーム1内に
エンジン2及びミッションケース(変速装置等を収容す
る)3からなるパワープラント4を搭載し、該パワープ
ラント4によって前輪8(図6に示す)を駆動するよう
にしている。このパワープラント4のエンジン2は、図
示しないが、クランク軸が延びる方向に複数のシリンダ
が直線的に並ぶように構成され、該クランク軸が略車幅
方向を向くように車体に対して横置きとされ、ミッショ
ンケース3の車体右側の側面がエンジン2のシリンダブ
ロックの車体左側の側面に締結されている。また、図示
しないが、エンジン2の前側壁部には吸気マニホルドや
補機類等が取り付けられ、さらに、その前方の車体には
ラジエータや該ラジエータのファン等が取り付けられて
いる。尚、図1に示す符号12は、ミッションケース3
の出力軸と前記前輪8とを駆動連結するドライブシャフ
トである。
ネル5によって仕切られており、このダッシュパネル5
の後側が車室6とされ、その車室6の下側はフロアパネ
ル7によって仕切られている。このフロアパネル7は、
ダッシュパネル5の下端縁部から、後方へ向かって下方
へ傾斜して延び、車体の下端部まで達した後に、そこか
らは略水平に後方へ延びるように形成されている。ま
た、そのフロアパネル7の車幅方向両端縁部には、図2
にのみに示すが、該縁部に沿って延びる閉断面構造のサ
イドシル10がそれぞれ設けられている。
は、前記フロアパネル7の下面に沿って該サイドシル1
0,10と略平行に延びる一対のフロアフレーム20,
20が設けられており、このフロアフレーム20,20
は、上方が開放したコ字状断面を有し、その上端部が前
記フロアパネル7の下面に溶接されている。また、該一
対のフロアフレーム20,20に挟まれたフロアパネル
7の略中央位置には、その前端から後端に亘って車室6
側へ膨出するようにフロアトンネル部21が形成されて
いて、該フロアトンネル部21の前端側の部分はその前
側ほど大きく膨出している。
ム20,20との間には、それぞれ該フロアフレーム2
0,20の車体内方側からフロアトンネル部21の車体
外方側に亘って、ダッシュパネル5の下端側とフロアパ
ネル7の前端側とに溶接されるダッシュロアレインフォ
ースメント22,22が設けられている。さらに、左側
及び右側のそれぞれのフロアフレーム20,20の車体
外方側からサイドシル10,10の車体内方側に亘っ
て、前記ダッシュロアレインフォースメント22,22
と同様に、ダッシュパネル5とフロアパネル7とに溶接
されるトルクボックス23,23がそれぞれ設けられて
いる。
ーム1の車幅方向両側には、前記ダッシュパネル5から
それぞれ前方へ突出して延びる鋼板製のフロントサイド
フレーム11,11が設けられている。この一対のフロ
ントサイドフレーム11,11は、全体として略矩形状
の中空断面を有し、それぞれ前記車体の下端部からフロ
アパネル7の傾斜部に沿って前方へ延び、エンジンルー
ム1の上下方向の中央部近傍で屈曲して、そこから前側
の部分は略水平方向にパワープラント4の前端部よりも
前方へ延びている。
は、図4に示すように、それぞれ車体外方に位置するア
ウタパネル50と、該アウタパネル50の車体内方側に
溶接により固定されたインナパネル51とからなる。該
アウタパネル50は、その上縁から下縁に亘って略平坦
な板状に形成される一方、インナパネル51は車体前後
方向から見て、車体外方側が開放する略コ字状断面を有
するように形成されている。該インナパネル51の開放
側の上端部及び下端部は、それぞれ互いに離れるように
折り曲げられてフランジ部が形成されており、該フラン
ジ部がそれぞれアウタパネル50の上端部及び下端部に
溶接されている。
11は、車体上下方向から見て、その後端部から前端側
へ向かって略中央部までは前側ほど互いに離れるように
形成される一方、該中央部から前端部までは互いに略平
行となるように形成されている。さらに、図5に示すよ
うに、各フロントサイドフレーム11のアウタパネル5
0の車体外方側には、前記前輪8の車体内方側を覆うよ
うにそれぞれ設けられたフェンダエプロン52の下縁部
が溶接されている。該フェンダエプロン52の後端部は
前記ダッシュパネル5の前側に溶接されるとともに、上
端部には、前輪8の車体内方に配設されたサスペンショ
ン装置(図示せず)の上端部を支持するサスペンション
タワー53が一体形成されている。
パネル50は、図3に示すように、前記前輪8の配設位
置に対応した部位が車体内方へ向かって大きく窪むよう
に湾曲しており、該前輪8の操舵時における干渉を防ぐ
ようになっている。また、図6に示すように、このアウ
タパネル50の湾曲部位において、前記サスペンション
装置の配設位置に対応した部位はさらに車体内方へ向か
って窪んで凹部54が形成されていて、該凹部54近傍
は他の部位に比べて小さい断面を有することになり、若
干、脆弱である。
のインナパネル51において、前記アウタパネル50の
凹部54に対応する部位の車体内方側には、略コ字状の
フック部材(荷重入力部)55が取り付けられている。
このフック部材55は、車体前後方向から見て、コの字
の開放側が車体外方側となるように配置され、その開放
側の上下両端部がそれぞれ前記フロントサイドフレーム
11のインナパネル51に取り付けられていて、該フッ
ク部材55とインナパネル51の側壁部とによって車体
前後方向に貫通する略矩形の枠状部分が形成されてい
る。
ック部材55の取付部から車体上下方向及び車体前後方
向にそれぞれ離間して、該取付部を略矩形状に囲むよう
に薄肉部(破断起点部)57が形成されている。この薄
肉部57は、インナパネル51の車体内方面に開口する
溝状に形成され、その深さは該インナパネル51の厚さ
の1/2くらいとされている。そして、このように左右
のフロントサイドフレーム11,11にそれぞれ設けら
れたフック部材55,55の間には、ワイヤ部材56が
架け渡されていて、その車幅方向の両端部が該両フック
部材55,55にそれぞれ取り付けられている。
11のそれぞれの前端側には、前面衝突時の衝撃により
圧縮荷重を受けて車体前後方向に潰れ変形し、このこと
により衝撃エネルギを吸収するクラッシュボックス2
6,26が設けられている。このクラッシュボックス2
6,26は、前側ほど小さい矩形断面を有するように形
成されるとともに、後端部には車幅方向及び車体上下方
向にそれぞれ延出した矩形のフランジ部24,24が設
けられていて、このフランジ部24,24が、前記フロ
ントサイドフレームフレーム11,11の前端部に設け
られた略同形状のフランジ部25,25に取り付けられ
ている。一方、左右両側のクラッシュボックス26,2
6の前端部には、バンパーレインフォースメント27の
車幅方向両端部がそれぞれ固定されている。
には、それぞれ上面部及び両側面部に車幅方向及び車体
上下方向に長い略だ円形のビードが形成されていて、こ
のビードにより衝突の際の潰れ変形を制御して確実に所
期の衝撃吸収特性を得られるようになっている。この衝
撃吸収特性については、詳しくは後述するが、前記フロ
ントサイドフレーム11,11が屈曲変形を開始する直
前に、潰れ変形が終了することになるように設定されて
いる。
11は、図3に示すように、前記パワープラント4をエ
ンジンルーム1において支持している。すなわち、該パ
ワープラント4の車幅方向の両端部近傍は、それぞれ前
記フロントサイドフレーム11,11に対して、マウン
ト部材13、14を介して弾性支持されている。このマ
ウント部材13、14は、それぞれ、パワープラント4
に取り付けられるブラケット15、17と、フロントサ
イドフレーム11,11に取り付けられるブラケット1
6、18とからなる。
体の幅方向中央部に対応する位置には、車幅方向から見
て、車体後方側が開放した略コ字状のブラケット60が
設けられていて、該ブラケット60に対して車体上下方
向に延びる軸61により滑車(荷重伝達部)62が回動
自在に支持されている。そして、前記の如く一対のフロ
ントサイドフレーム11,11のフック部材55,55
に張架されたワイヤ部材56が、前記滑車62に巻き掛
けられていて、このワイヤ部材56は通常走行時のパワ
ープラント4の揺動が該ワイヤ部材62を介して車体に
伝達しないように若干、余裕を持った状態とされてい
る。
パワープラント4が後退すると、該パワープラント4の
滑車62が車幅方向に張架されたワイヤ部材56を車体
後方に押圧し、これにより、該ワイヤ部材56を介して
フロントサイドフレーム11,11のフック部材55に
車体内方及び車体後方への引張荷重が作用して、図7に
示すように、該フック部材55を囲む薄肉部57が車体
前方側から徐々に破断することになる。そして、このこ
とによりフロントサイドフレーム11,11の剛性が大
幅に低下し、これを契機として、該フロントサイドフレ
ーム11,11が大きく折れ曲がることになる。尚、こ
の際、衝突時の衝撃によりパワープラント4が車幅方向
に移動して、ワイヤ部材56における滑車62から荷重
を受ける部位が該ワイヤ部材の車幅方向の略中央部から
ずれても、滑車62によって左右のフック部材55,5
5に略同じ荷重を作用させることができるので、左右の
薄肉部57,57は略同時に破断する。
イドフレーム11,11の屈曲タイミングをパワープラ
ント4の滑車62とワイヤ部材56との車体前後方向の
配設位置、及びワイヤ部材56の張架時の余裕によって
設定できるようになっている。
11の下方に配設されるペリメータフレーム30につい
て説明する。このペリメータフレーム30は、鋼板製と
され、前記パワープラント4や操舵装置(図1に出力軸
31のみを図示する)等を支持するものであり、全体と
して略矩形の枠状をなすように一体構造とされている。
このペリメータフレーム30の前端側のフロントメンバ
部32は、パワープラント4よりも前方で前記クラッシ
ュボックス26,26の後端部よりも若干、後方に位置
付けられ、車体左側のフロントサイドフレーム11の真
下位置から車体右側のフロントサイドフレーム11の真
下位置に亘るように車幅方向に直線的に延びている。ま
た、このフロントメンバ部32の左右両端部からそれぞ
れ車体後方へ延びるように、該フロントメンバ部32と
略同形状の断面を有するサイドメンバ部33,33が設
けられている。
部から所定距離後方の部位には、前記フロントメンバ部
32の断面よりも大きい断面を有するサスペンションク
ロスメンバ部34が2つのサイドメンバ部33,33に
架け渡された状態で溶接されている。また、前記サイド
メンバ部33,33は、図1に示すように、車幅方向か
ら見て、その後端部から前後方向の略中央部まで略水平
に延びるように形成される一方、この中央部分において
上方へ傾斜するように屈曲していて、さらにその傾斜方
向に沿って前端部まで延びている。
34は、図示しないが、その車幅方向両端側に、前輪8
のサスペンションアームが取り付けられており、車幅方
向の長さは、前記フロントメンバ部32よりも短くなっ
ている。また、図2に示すように、各サイドメンバ部3
3を車体上下方向から見ると、前端部から前後方向の略
中央部までは、後側ほど車体内方に位置するように比較
的緩く傾斜し、この中央部分において前側よりも車体内
方へきつく傾斜するように屈曲して後端部まで延びてお
り、該中央部分に車幅方向の外方に突出した屈曲部が形
成されている。
ついては、各サイドメンバ部33の前端が各フロントサ
イドフレーム11にそれぞれ固定される一方、該各サイ
ドメンバ部33の後端が前記パワープラント4よりも後
方側の位置で前記ダッシュロアレインフォースメント2
2,22にそれぞれ固定されている。
前側の左右の隅部には、該隅部の上面から車体外方へか
つ前方へ向かって緩やかに傾斜しながら、上方へ突出す
るように取付ブラケット36,36が設けられている。
この取付ブラケット36,36の下端部は前記ペリメー
タフレーム30に溶接される一方、上端部には軸線が上
下方向に延びる円筒部37,37が設けられ、この円筒
部37,37の内側には円筒状のゴムブッシュ(図示せ
ず)が嵌合されている。さらに、このゴムブッシュに
は、前記円筒部37,37と同軸に位置するようにパイ
プ部材(図示せず)が固着されており、そのパイプ部材
を軸線方向に貫通するボルト38,38によって該パイ
プ部材の上端部がフロントサイドフレーム11,11の
前端側に締結されるようになっている。
ドメンバ部33,33の後端部には、該ペリメータフレ
ーム30を前記ダッシュロアレインフォースメント2
2,22に取り付けるための取付部39,39が、それ
ぞれ設けられている。この取付部39,39にも、前記
したペリメータフレーム30の前側の取付ブラケット3
6,36の上端部と同様に円筒部40,40が設けら
れ、この円筒部40,40の内側にゴムブッシュ(図示
せず)が嵌合されている。そして、このゴムブッシュに
パイプ部材(図示せず)が固着されていて、ボルト4
1,41によって該パイプ部材の上端部がダッシュロア
レインフォースメント22,22に締結されるようにな
っている。
ロントサイドフレーム11,11やペリメータフレーム
30の変形について説明する。
がバンパーレインフォースメント27を介してクラッシ
ュボックス26,26に入力し、該クラッシュボックス
26,26が潰れ変形を開始する。一方、前記フロント
サイドフレーム11,11は前記の如くペリメータフレ
ーム30と連結されているため、全体として高い剛性を
有し、この段階では両フレーム11、30とも大きな変
形は起こらず、車体減速度が相対的に大きく立ち上がる
ことになる。言い換えると、前記クラッシュボックス2
6,26の衝撃吸収特性は、衝突の初期に車体減速度を
急峻に立ち上がらせながら、かつ該衝突初期の衝撃によ
り前記フロントサイドフレーム11,11が屈曲変形し
ないように過大な衝撃荷重を吸収するものとされてい
る。
6の潰れ変形が終了すると、ラジエータや吸気マニホル
ド等を介してパワープラント4に直接、衝撃荷重が作用
するようになり、該パワープラント4が後退していく。
これにより、前記フロンとサイドフレーム11,11に
それぞれ設けられた各フック部材55に対して、該パワ
ープラント4の滑車62から車体後方に押圧されるワイ
ヤ部材56の引張荷重が作用し、前記各インナパネル5
1の薄肉部57に囲まれている部分が各フック部材55
とともにフロントサイドフレーム11から離脱する。そ
して、このことによるフロントサイドフレーム11,1
1の車体内方の側壁部における剛性の大幅な低下を契機
として、前記フロントサイドフレーム11,11は、そ
の前端側が薄肉部57,57近傍の部分よりも車体内方
へ大きく変位するように折れ曲がる。そして、図5及び
図6に二点鎖線で示すように、フロントサイドフレーム
11,11は、前記したアウタパネル50,50の凹部
54,54の近傍を起点として車体上方へ大きく折れ曲
がり、一方、図示しないが、ペリメータフレーム30は
サイドメンバ部33,33の車幅方向から見たときの屈
曲部近傍を起点として大きく車体下方へ折れ曲がる。
6の潰れた後に、インナパネル51の薄肉部57を破断
させることにより、該クラッシュボックス26を含むフ
ロントサイドフレーム11の変形モードを潰れ変形から
屈曲変形に切り換えて、変形荷重を低下させ、このこと
により、車体減速度を一旦、降下させることができる。
この際、フロントサイドフレーム11,11及びペリメ
ータフレーム30のサイドメンバ部33,33はそれぞ
れが互いに離れるように屈曲変形するため、両フレーム
11、30の干渉を回避でき、また、両フレーム11、
30ともパワープラント4から離れる方向に屈曲するた
め、該パワープラント4との干渉も確実に回避でき、所
期の狙い通りに変形荷重を低下させながら、変形ストロ
ークも確保できる。
体減速度特性a(実線)及び該自動車の乗員減速度特性
b(一点鎖線)と、この前部車体構造を有さない比較例
の車体減速度特性c(破線)及び乗員減速度特性d(二
点差線)とを対比して示す特性図である。尚、この特性
図では、横軸に車体潰れ量をとり、縦軸に減速度をとっ
ている。
c、dについて説明すると、車体減速度特性cは衝突初
期に立ち上がって略一定の減速度を保った状態で車体の
潰れ変形が進行し、衝突終盤にパワープラント4がダッ
シュパネル5に底付きすることで急激に上昇して、その
後、車体の潰れ変形が終了して減速度は0となる。この
比較例における乗員減速度特性dについては、車体減速
度特性cよりも緩やかに立ち上がり、徐々に上昇度合い
が高くなる。そして、乗員を拘束するシートベルトの伸
びが最大に達して乗員減速度が最大となる領域でも、車
体減速度が前記の如く大きいため、シートベルトによる
乗員への反力が極めて大きなものとなる。
の減速度特性a、bの場合、車体減速度特性aは、前記
の如くクラッシュボックス26,26の潰れ変形が開始
されると急峻に立ち上がり、このことで、比較的、早期
にシートベルトが伸ばされて、乗員減速度も車体減速度
にあまり遅れずに上昇する(乗員減速度特性b参照)。
そして、該シートベルトの伸びが最大となる直前に、前
記したようにクラッシュボックス26,26の潰れ変形
が終了し、インナパネル51の薄肉部57が破断してフ
ロントサイドフレーム11,11及びペリメータフレー
ム30の屈曲変形が開始される。これにより、車体減速
度が一旦、降下することになり、この車体減速度の降下
する領域においてシートベルトの伸びが最大となること
で、乗員が受けるシートベルトからの反力を前記比較例
と比べて大幅に減少させることができる。
は、自動車の前面衝突の初期にクラッシュボックス2
6,26の潰れ変形によって車体減速度を安定的にかつ
急峻に立ち上がらせる一方、その潰れ変形の終了直後に
フロントサイドフレーム11,11及びペリメータフレ
ーム30を屈曲変形させて、車体減速度を降下させるよ
うにしたので、衝突時にシートベルトからの反力によっ
て乗員減速度が過度に大きくなることを確実に防止でき
る。
4の滑車62に予めワイヤ部材56を巻き掛けている
が、これに限らず、該滑車62とワイヤ部材56とを車
体前後方向に離間させておくこともできる。この場合で
は離間距離によってフロントサイドフレーム11,11
の屈曲変形のタイミングを設定できる。
の薄肉部57を、前記フック部材55の取付部の全周に
亘って略矩形状に取り囲むように設けているが、該薄肉
部57は、フック部材55の周囲を部分的に囲むように
設けてもよい。
の実施形態2に係る自動車の前部車体構造を示すもので
ある。
とはフロントサイドフレーム11,11の構成が異なる
だけなので、以下、同一の部分には同一の符号を付し異
なる部分だけを説明する。すなわち、この実施形態2で
は、各フロントサイドフレーム11のインナパネル51
を前側パネル65及び後側パネル66に分割してそれら
を互いに接合し、自動車の前面衝突時に両者65、66
の接合部分を分離させるようにした。
ム11のインナパネル51は、前記アウタパネル50に
形成された凹部54に対応する部位の近傍において車体
前方の前側パネル65と車体後方の後側パネル66とに
分割され、該後側パネル66の前端側が前側パネル65
の後端側の車体内方側に重ね合わされた状態で、それぞ
れの上壁部、側壁部及び下壁部同士を互いにスポット溶
接によって接合している。該後側パネル66の側壁部に
は、その上端側及び下端側にそれぞれ車体後方へ長く延
びるように切欠部67が形成され、その2つの切欠部6
7,67の間の部分は、その前端部が車体内方へ突出す
るように折り曲げられてフランジ部(荷重入力部)68
とされ、このフランジ部68には、車体前後方向に貫通
する略矩形状の孔部が形成されている。また、前記実施
形態1と同様に、該フランジ部68,68の間には、ワ
イヤ部材56が架け渡されていて、その車幅方向の両端
部が該フランジ部68,68にそれぞれ取り付けられて
いる。
ロントサイドフレーム11,11やペリメータフレーム
30の変形について詳しく説明する。まず、衝突の初期
には、前記実施形態1と同様に、クラッシュボックス2
6,26が潰れ変形を開始する一方、フロントサイドフ
レーム11,11及びペリメータフレーム30は、この
段階で大きな変形は起こらず、相対的に大きい車体減速
度が発生する。
6の潰れ変形が終了すると、前記実施形態1と同様にパ
ワープラント4が後退し、該パワープラント4の滑車6
2が前記ワイヤ部材56を車体後方に押圧し、これによ
り、後側パネル66のフランジ部68に対して、ワイヤ
部材56から車体内方及び車体後方への引張荷重が作用
することになる。この引張荷重が、前側パネル65及び
後側パネル66の側壁部同士の溶接部分を分離させる荷
重に達すると、後側パネル66の側壁部が前側パネル6
5の側壁部から分離し、このことによるフロントサイド
フレーム11,11の剛性の低下を契機として、該フロ
ントサイドフレーム11,11が大きく折れ曲がること
になる。
記フロントサイドフレーム11,11の変形モードを潰
れ変形から屈曲変形に切り換えて、車体減速度を一旦、
降下させることができる。この際、前記後側パネル66
の切欠部67,67によって、前側パネル65及び後側
パネル66の溶接部分に対してパワープラント4からの
荷重を直接的に作用させて、確実に分離させることがで
きる。
トサイドフレーム11のインナパネル51を前側パネル
65及び後側パネル66に分割して、該後側パネル66
に前記フランジ部68及び切欠部67,67を設けるこ
とによって、前記実施形態1と同様な作用効果を得るこ
とができる。
67を前記実施形態1で説明した溝状の薄肉部としても
よく、この場合では、前記フランジ部68に作用する引
張荷重が、薄肉部を破断させる荷重に達するとその薄肉
部が前端部から破断していくとともに、溶接部分に引張
荷重が作用するようになる。そして、該溶接部分が分離
しながら薄肉部がさらに破断していき、このことによる
フロントサイドフレーム11,11の剛性の低下を契機
として、該フロントサイドフレーム11,11が大きく
折れ曲がることになる。
態1及び2に限定されるものではなく、その他の種々の
実施形態を包含するものである。すなわち、前記各実施
形態では、パワープラント4の係合部として滑車62を
設けているが、図11に示すように、パワープラント4
の車幅方向の両端側にそれぞれL字状の係合部材(係合
部)70を設けるようにしてもよい。具体的には、該各
L字状部材70の一方のアーム部を、パワープラント4
の側壁部から車体外方へ延びるように取り付け、この一
方のアーム部の端部から車体後方へ延びる他方のアーム
部を、車体前後方向から見て、前記フック部材55とフ
ロントサイドフレーム11のインナパネル51とからな
る枠状部分の内方側と重複するように位置付ける。
時にパワープラント4が後退すると、L字部材70と前
記フック部材55とが係合して、該パワープラント4か
らの荷重を前記フック部材55を介して薄肉部57に作
用させるようになる。 尚、パワープラント4のL字部
材70とフロントサイドフレーム11のフック部材55
とは、車体前後方向に所定距離(例えば、30mm〜4
0mm)離間しており、通常走行時のパワープラント4
の揺動によって該L字部材70及びフック部材55が接
触することはない。
係る自動車の前部車体構造によると、フロントサイドフ
レームに、自動車の前面衝突時に後退するパワープラン
トから引張荷重を受ける荷重入力部と、その引張荷重に
より破断する薄肉状の破断起点部とを設けたので、自動
車の前面衝突時にフロントサイドフレームの変形途中で
フロントサイドフレームの剛性を大幅に低下させて、変
形モードを切り換えるができ、これにより、車体減速度
を狙い通りに変化させて、乗員への衝撃荷重を確実に低
減することができる。
面衝突時に、後退するパワープラントからフック部材に
対して引張荷重を作用させて、破断起点部を確実に破断
させることができる。
面衝突時に、後退するパワープラントの荷重伝達部か
ら、ワイヤ部材を介しフック部材に対して引張荷重を確
実に作用させることができる。
面衝突時に、後退するパワープラントの係合部からフロ
ントサイドフレームのフック部材に引張荷重を確実に作
用させることができる。
発明と同様の効果を得ることができる。
す側面図である。
る。
近傍を拡大して示す斜視図である。
上方から見た斜視図である。
破断状態を示す図4相当図である。
性図である。
る。
る。
ある。
当図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 車体前部の左右両側において各々車体前
後方向に延びるとともに、中空断面を有する一対のフロ
ントサイドフレームを備えた自動車の前部車体構造であ
って、 前記一対のフロントサイドフレームの中間にパワープラ
ントが配設され、 前記各フロントサイドフレームには、自動車の前面衝突
時に後退するパワープラントから車体内方ないし車体後
方への引張荷重を受けるように荷重入力部が設けられ、 前記フロントサイドフレームの荷重入力部の近傍には、
該荷重入力部が前記パワープラントから引張荷重を受け
たときに破断するように、薄肉状の破断起点部が設けら
れていることを特徴とする自動車の前部車体構造。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記フロントサイドフレームの荷重入力部は、車体内方
の側壁部に設けられたフック部材であり、 前記破断起点部は、前記フロントサイドフレームにおけ
るフック部材の固定部位を囲むように設けられているこ
とを特徴とする自動車の前部車体構造。 - 【請求項3】 請求項2において、 前記一対のフロントサイドフレームのフック部材を互い
に連結するように車幅方向にワイヤ部材が張架され、 前記パワープラントには、自動車の前面衝突時に後退す
る該パワープラントから前記ワイヤ部材へ荷重を伝達す
る荷重伝達部が設けられていることを特徴とする自動車
の前部車体構造。 - 【請求項4】 請求項2において、 前記パワープラントの車幅方向の両端側には、自動車の
前面衝突時に該パワープラントの後退によって前記フロ
ントサイドフレームのフック部材と係合するように、車
体外方へ突出した係合部が設けられていることを特徴と
する自動車の前部車体構造。 - 【請求項5】 車体前部の左右両側において各々車体前
後方向に延びるとともに、中空断面を有する一対のフロ
ントサイドフレームを備えた自動車の前部車体構造であ
って、 前記一対のフロントサイドフレームの中間にパワープラ
ントが配設され、 前記各フロントサイドフレームの少なくとも車体内方側
が、車体前方の前側パネルと車体後方の後側パネルとか
らなり、該後側パネルの前端側が前側パネルの後端側に
車体内方側から接合され、 前記後側パネルにおける前側パネルとの接合部位近傍に
は、自動車の前面衝突時に後退するパワープラントから
車体内方ないし車体後方への引張荷重を受けるように荷
重入力部が設けられていることを特徴とする自動車の前
部車体構造。
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