JP2002275735A - カーペット用捲縮糸およびカーペット - Google Patents

カーペット用捲縮糸およびカーペット

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JP2002275735A JP2001075452A JP2001075452A JP2002275735A JP 2002275735 A JP2002275735 A JP 2002275735A JP 2001075452 A JP2001075452 A JP 2001075452A JP 2001075452 A JP2001075452 A JP 2001075452A JP 2002275735 A JP2002275735 A JP 2002275735A
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JP2001075452A
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Hiroaki Ozawa
宏明 小澤
Shozo Inoue
正三 井上
Tatsuro Mizuki
水木  達郎
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ソフトタッチの風合いながらも十分な反発弾
性、嵩高性、耐久性、防汚性を有するカーペットを作り
出せるカーペット用捲縮糸、および該捲縮糸を使用した
カーペットを提供する。 【解決手段】下記の関係を満足する、変形度Ra、中空
率HのY型中空断面マルチフィラメントと変形度Rbの
Y型非中空断面マルチフィラメントが混在してなる捲縮
糸であり、交絡数が20個/m以下、かつ前記各断面の
マルチフィラメントを構成するポリマーが実質的に同一
であることを特徴とするカーペット用捲縮糸およびかか
るカーペット用捲縮糸をパイルに用いたカーペット。 (1) 2.0≦Ra≦4.5 (2) 1.5≦Rb≦3.0 (3) 5%≦H≦15%

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカーペット用捲縮
糸、およびその捲縮糸を用いたカーペットに関する。さ
らに詳しくは、ソフトタッチの風合いながらも十分な反
発弾性、嵩高性、耐久性、防汚性を有する新規なカーペ
ットを作り出すことができるカーペット用捲縮糸、およ
びその捲縮糸を使用したカーペットに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】カーペットの主な使用目的は、インテリ
ア用途によく適応した機能、雰囲気を提供することであ
り、色や柄はもちろん、風合いや、ボリューム感など種
々の特性が用途に合わせて要求される。この中でオプシ
ョンカーペット、ロールカーペット、ラインカーペッ
ト、家庭用カーペットなどのカーペットにおいては、そ
のクッション性、高級感の他、インテリア空間の演出性
に優れること、特に均一で落ち着きのある雰囲気が要求
されてきた。
【0003】このように種々の特性が必要とされる中
で、これまで嵩高性、反発弾性、耐久性がまず第一に求
められた。そこでY型断面糸などの異型断面糸を用いて
嵩高性を高める努力、捲縮レベルを高めることで反発弾
性を高める努力などがなされてきた。
【0004】一方、風合いの面はこれまであまり重要視
されてこなかった。むしろ嵩高性、反発弾性、耐久性を
追求する過程で、風合いは犠牲にされてきたと言っても
良い。例えば先に述べた、嵩高性を高めるために異型断
面糸を用いる方法では、硬い風合いのカーペットとなっ
ていた。また反発弾性を高めるために捲縮レベルを高め
る方法では、やはり硬い風合いの、場合によってはフェ
ルトライクなカーペットとなっていた。
【0005】カーペットは基本的に足で踏まれるもので
はあるが、近年では風合いの改善、具体的にはソフトタ
ッチで肌触りの良い風合いが求められつつある。家庭用
カーペットにおいては、居間などに置かれるため、カー
ペットの上で横になってみたり、座りながら無意識にマ
ットの表面をなでるといった場面が想定され、ソフトな
風合いが特に強く求められている。
【0006】ここで単にソフトな風合いを追求するのみ
であれば扁平断面糸など、最も曲げやすい方向の断面2
次モーメントが小さい単糸からなる捲縮糸を用いればよ
い。しかしその場合は嵩高性、反発弾性の面が不十分な
カーペットとなってしまう。
【0007】特開平2000−220050号公報には
単糸繊度、扁平度、捲縮伸長率が特定の範囲内にある扁
平断面ポリアミドフィラメントを用いた、柔らかな風合
いで肌触りが良く、かつ腰が強いと共に耐久性に優れた
カーペット用捲縮糸、およびカーペットが提案されてい
る。該提案においては、確かに柔らかな風合いが得ら
れ、また単糸繊度、扁平度、捲縮伸長率をある特定の範
囲内に限定することで、ある程度腰が強いと共にある程
度耐久性に優れたカーペットが得られた。しかし扁平断
面フィラメントのみから構成されるため、まだ十分に満
足できるものではなかった。
【0008】特公平8−13287号公報や特許第28
53873号公報には、異なる変形度や繊度のマルチフ
ィラメントを組み合わせることで、表面タッチがやわら
かく、かつこしのしっかりしたカーペット用の捲縮糸な
らびにカーペットが提案されている。該提案において
は、確かにある程度の風合いのソフト化が認められた。
しかし単繊維繊度が大きいY型断面フィラメントの変形
度が単繊維繊度が小さいY型断面フィラメントの変形度
よりも小さい構成の捲縮糸であるため、ソフト感は限定
されたものであって更なる改善が求められた。また防汚
性に関しては特に改善されることはなかった。
【0009】特開平9−157985号公報には、三角
形、異型中空、Y断面、四角中空などの断面のフィラメ
ントと扁平断面、丸断面などの断面のフィラメントを混
繊させてなるカーペット用ポリエステル繊維糸の製造方
法が提案されている。該提案の方法で得られる繊維糸か
らは従来よりソフトな風合いのカーペットが得られた
が、そのソフト感は今一歩であった。また、ある程度満
足な嵩高性、反発弾性を有していたが、反発弾性や耐久
性の面で不満のあるカーペットとなっていた。
【0010】特開昭63−120134号公報には、ポ
リエステル系マルチフィラメントに、3種類以上の断面
糸を使用した織物の提案がある。しかし、該提案は衣料
用途において風合いを絹に近づけることを目的としたの
であり、カーペットの捲縮糸に適用し風合いの改善を行
おうという発想は全くなかったものである。
【0011】特公平1−23577号公報には、収縮特
性の異なるポリマを用いた捲縮糸を混在させ、スパンラ
イクの嵩高性や風合いを示すカーペットの例が提案され
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】該カーペットにおいて
は2種のポリマを使用するために製造工程が煩雑であ
り、また往々にして共重合成分の高い共重合ポリマを1
種のポリマとして使用するため捲縮糸の耐久性が劣ると
いう問題があった。またスパンライクではあるがソフト
な風合いは得られなかった。
【0013】さらに、タイルカーペット用に用いられる
捲縮糸は、2種以上の異染性を示す捲縮糸を交絡により
混繊させ、カーペットの柄を作り出している。ここで混
繊する、異染性を示す捲縮糸ごとに単糸断面が異なる捲
縮糸も提案されている。しかしこの例では、それにより
柄を作り出すことを目的としており、風合いを改善させ
るものではなかった。また、柄を発現させるために高い
交絡をかけており、ループとしては問題ないもののカッ
トパイルでは収束部が残り、ボリューム感に乏しいカー
ペットとなっていた。
【0014】以上のようにソフトタッチの風合いながら
も十分な反発弾性、嵩高性、耐久性、防汚性を有する新
規なカーペットを作り出すことができるカーペット用捲
縮糸、およびカーペットは得られていなかった。
【0015】本発明は、上述した従来技術における問題
点の解決を課題として検討した結果、達成されたもので
ある。
【0016】したがって本発明の課題は、ソフトタッチ
の風合いながらも十分な反発弾性、嵩高性、耐久性、防
汚性を有する新規なカーペットを作り出すことができる
カーペット用捲縮糸、およびその捲縮糸を使用したカー
ペットを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のカーペット用捲縮糸は、主として次の構成
を有する。
【0018】すなわち下記の関係を満足する、変形度R
a、中空率HのY型中空断面マルチフィラメントと変形
度RbのY型非中空断面マルチフィラメントが混在して
なる捲縮糸であり、交絡数が20個/m以下、かつ前記
各断面のマルチフィラメントを構成するポリマーが実質
的に同一であることを特徴とするカーペット用捲縮糸で
ある。 (1) 2.0≦Ra≦4.5 (2) 1.5≦Rb≦3.0 (3) 5%≦H≦15%。
【0019】本発明においては、Y型中空断面マルチフ
ィラメントの単繊維繊度Ma、繊度Ta、Y型非中空断
面マルチフィラメントの単繊維繊度Mb、繊度Tbが次
の関係を満足することが好ましい。 (4) 1/1.15≦(Ta/Tb)≦1.15 (5) 1.5≦(Ma/Mb)。
【0020】また本発明においては、総繊度が600〜
2000dtexであること、沸騰水処理後の捲縮伸長
率が5〜28%であること、捲縮糸を構成するポリマー
がポリアミドであることがそれぞれ好ましい。
【0021】また本発明のカーペットは好ましくは次の
構成を有する。すわなち上記カーペット用捲縮糸を、構
成するパイルの80%以上に用いたことを特徴とするカ
ーペットである。本発明のカーペットにおいては、カー
ペットがオプションカーペット、ロールカーペット、ラ
インカーペット、家庭用カーペットであることが好まし
い。またパイルが無撚りであり、かつカットパイルであ
ることも好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】次に本発明についてさらに詳細な
説明を行う。本発明において、Y型中空断面マルチフィ
ラメントとは、図1に示すような、単繊維の長手方向に
垂直な断面において、3方に凸部を有し、かつ3つの凸
部の間がなめらかな凹部で結ばれており、1カ所以上の
中空部を有する単繊維からなるマルチフィラメントであ
る。3つの突出部がパイルとしてボリューム感・バルキ
ー性をだし、優れたクッション性を生み出す。また中空
部が汚れを目立たなくさせて防汚効果を生み出すととも
に、同一繊度で比較した場合に、みかけの占有体積がよ
り大きいため高いバルキー性を生み出す。中空部は前記
の凸部それぞれに存在していても良いし、3つの凸部の
交わる中心に1つだけ存在してもよい。Y型中空断面フ
ィラメントとして例えば米国特許2945739号公報
に記載されている。ここで図3に示すように外形である
Y断面の外接円の半径をc、内接円の半径をdとした場
合、変形度RaはRa=c/dとして定義される。また
断面において外形であるY断面によって囲まれる中空部
を含む面積をe、中空部の総面積をfとした場合、中空
率HはH=(f/e)×100として定義される。
【0023】本発明において、Y型非中空断面マルチフ
ィラメントとは、図2に示すような、単繊維の長手方向
に垂直な断面において、3方に凸部を有し、かつ3つの
凸部の間がなめらかな凹部で結ばれている単繊維からな
るマルチフィラメントである。例えば特公平2−804
4号公報の第1図に記載されている。3つの突出部がパ
イルとしてボリューム感・バルキー性をだし、優れたク
ッション性を生み出す。ここで図4に示すようにY断面
の外接円の半径をg、内接円の半径をhとした場合、変
形度Rbは、Rb=g/hとして定義される。
【0024】本発明のカーペット用捲縮糸が、ソフトタ
ッチの風合いながらも十分な反発弾性、嵩高性、耐久
性、防汚性を有する新規なカーペットを作り出すことが
できる理由を説明する。
【0025】オプションカーペット、ラインカーペット
などに用いられる捲縮糸を製造する際の通常の捲縮処理
においては、Y型断面は変形度が大きいほど捲縮が生じ
やすい。ここで本発明の捲縮糸は変形度が2.0〜4.
5のY型中空断面フィラメントと変形度が1.5〜3.
0のY型非中空断面フィラメントから構成される。従っ
てこの捲縮糸をカーペットに用いると次のような結果と
なる。例えばカットパイルカーペットでは、カットした
パイル面において、捲縮レベルが低いY型非中空断面の
単繊維が相対的にカット面の表面に現れ、捲縮レベルが
高いY型中空断面の単繊維が相対的にカット面から沈
む。こうして表面に現れた、最も曲げやすい方向の断面
2次モーメントが小さいY型非中空断面の単繊維の効果
でソフトタッチの風合いを有するカーペットとなる。一
方沈んだ、最も曲げやすい方向の断面2次モーメントが
大きく、捲縮レベルの高いY型中空断面の単繊維の効果
で十分な反発弾性、嵩高性のあるカーペットとなる。ま
た中空部を有するために光の乱反射による汚れを見えに
くくする防汚効果も有するカーペットとなる。
【0026】また単繊維繊度が大きいほど単繊維の折れ
曲がりが大きい捲縮形態となる。このため単繊維繊度が
大きなY型中空断面フィラメントと単繊維繊度が小さい
Y型非中空断面フィラメントから構成された場合には、
Y型非中空断面の単繊維が相対的にカット面の表面に現
れる効果が高まり、よりソフトタッチの風合いが増す。
【0027】なお先述した特公平8−13287号公報
や特許第2853873号公報における捲縮糸は、単繊
維繊度が大きいY型非中空断面フィラメントの変形度
が、単繊維繊度が小さいY型非中空断面フィラメントの
変形度よりも小さい構成の捲縮糸である。従ってこの捲
縮糸は単繊維の浮き上がり効果が弱いためソフトタッチ
の風合いが本発明に比べて劣る。また混在する2種類の
単繊維が両者ともに、単なるY型非中空断面であり、本
発明のようなY型中空糸による防汚効果を示さない。こ
れらの点でこの捲縮糸は本発明とは異なるものである。
【0028】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
下記の関係を満足する、変形度RaのY型中空断面マル
チフィラメントと変形度RbのY型非中空断面マルチフ
ィラメントが混在することが必須である。 (1) 2.0≦Ra≦4.5 (2) 1.5≦Rb≦3.0。
【0029】Raが2.0未満の場合は、捲縮レベルの
差によるY型非中空断面単糸のカット面からの浮きが不
十分になるため風合いのソフト感が不十分になるととも
に、Y型中空断面単糸による嵩高性、反発弾性が小さく
なってしまう。またRaが4.5を越える場合には、耐
久性が低いカーペットになると同時にY型中空断面フィ
ラメントの製糸が困難となる。
【0030】Rbが1.5未満の場合には、捲縮レベル
が低くなりすぎるためソフトタッチではあるもののY型
中空断面単糸とのバランスが悪いためパイル表面が乱れ
て風合いの悪いカーペットになってしまう。Rbが3.
0を越える場合には、捲縮レベルの差によるY型非中空
断面単糸のカット面からの浮きが不十分になり、かつY
型非中空断面単糸の断面2次モーメントが大きくなり過
ぎるため風合いのソフト感が不十分なものになってしま
う。
【0031】ここで(1)(2)の変形度範囲には重な
っている部分がある。Y型中空断面では中空部があるた
め同一変形度でY型断面の単繊維と比較して捲縮がかか
りやすい。このため(1)(2)で変形度が重なってい
る範囲においてもY型中空断面フィラメントとY型断面
フィラメントの捲縮レベルの差が生じてソフトタッチの
風合いが実現する。
【0032】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
Y型中空断面マルチフィラメントの中空率Hが下記の関
係を満足することが必須である。 (3) 5%≦H≦15%。 Hが5%未満の場合には防汚性が不十分なカーペットと
なってしまう。Hが15%を越える場合には耐久性が低
いカーペットになると同時にY型中空断面フィラメント
の製糸が困難となる。
【0033】本発明におけるカーペット用捲縮糸は、交
絡数が20個/m以下であることが必須である。交絡数
が20個/mを越えると、集束性が強くカーペットとし
たときのボリューム感すなわち嵩高性が損なわれてしま
う。特にカットパイルの場合、交絡が往々にして残って
しまい風合いが硬く地透けのするカーペットになってし
まう。
【0034】本発明におけるカーペット用捲縮糸は、各
断面のマルチフィラメントを構成するポリマーが実質的
に同一であることが必須である。ここで実質的に同一ポ
リマーとは、紡糸の段階で用いるポリマーが実質的に同
一であることを指す。すなわち、本発明の効果を損なわ
ない範囲においてポリマーの粘度や種類などが若干異な
っていてもよい。好ましくは同一のものを用いる。各断
面フィラメント毎にポリマー種を変えた場合、製造工程
が複雑になるとともに光沢や染色性自体が異なるため
に、カーペットに斑が生じてしまう。
【0035】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
Y型中空断面マルチフィラメントの単繊維繊度Ma、繊
度Ta、Y型非中空断面マルチフィラメントの単繊維繊
度Mb、繊度Tbが下記の関係を満足することが好まし
い。 (4) 1/1.15≦(Ta/Tb)≦1.15 (5) 1.5≦(Ma/Mb)。
【0036】ここでMa/Mbが1.5以上の場合には
単繊維の折れ曲がりの大きさが異なるという捲縮形態の
差によるY型非中空断面単糸をカット面から浮き上がる
効果によりソフトタッチの風合いがより増す。
【0037】またTa/Tbがかかる範囲にある場合、
すなわちY型中空断面、Y型非中空断面それぞれのマル
チフィラメントの繊度が実質的に同一である場合、Y型
非中空断面フィラメントによるソフトタッチな風合いと
Y型中空断面フィラメントによる反発弾性、嵩高性、防
汚性という両者の特徴が一方に偏ることなくバランスの
とれたカーペットが得られる。
【0038】本発明のカーペット用捲縮糸においては総
繊度が600〜2000dtexであることが好まし
く、1000〜1800dtexであることがさらに好
ましい。
【0039】総繊度が600dtexより低い場合に
は、カーペットの目付を保つために必要以上の合糸工程
を要したり、ゲージやステッチを上げる必要が出てくる
ために、タフト時の単繊維切れやパイル抜けなどが多発
し、工程安定性に欠けるものとなり易い。また2000
dtexを越えると、ロールカーペットやラインカーペ
ットとしては逆にゲージやステッチを下げる必要がある
と共に、太過ぎてタフトが困難になり易く、タフト条件
を工夫する必要が生じやすい。
【0040】本発明のカーペット用捲縮糸においては単
繊維繊度は特に制限はないが、好ましくは5〜40dt
exである。ここでY型中空断面単糸とY型非中空断面
単糸の単繊維繊度は先に記述した関係を満たすこと必要
である。5dtexより細い単繊維繊度であると耐久性
の点でも摩耗の点で弱くなるばかりか、製糸工程での単
糸衝突が起こるなど安定製糸が困難になり易い。一方、
単繊維繊度が40dtexを越えると、カーペット表面
が硬くなりすぎるとともに、製糸の際の冷却が困難で安
定製糸が困難になり易いい。
【0041】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
沸騰水処理後の捲縮伸長率が5〜28%であることが好
ましく、10〜24%であることがさらに好ましい。
【0042】沸騰水処理後の捲縮伸長率が5%に満たな
いと、捲縮発現が不足してボリューム感に乏しいカーペ
ットとなり易い。一方、沸騰水処理後の捲縮伸長率が2
8%を越えると、染色・バッキングを経てカーペットに
仕上がった際に捲縮の発現が大きいことから、単繊維の
先端の屈曲が著しく、風合いが堅くなったり、フェルト
ライクなカーペットになり易い。
【0043】捲縮付与された捲縮糸において、沸騰水処
理後の捲縮伸長率が28%を越える場合であっても、例
えば、特公昭60−47949号公報に記載されるごと
く、捲縮原糸を別工程にて解舒しながら低張力下で熱処
理したり、チーズの状態で熱処理を施して、沸騰水処理
後の捲縮伸長率を28%以下に下げることにより、本発
明に好ましい捲縮糸とすることができるようになる。こ
の低張力下での熱処理は、チーズやボビンの状態で行っ
てもよいし、一旦巻き取った捲縮糸を解舒しながらセッ
トしてもよい。ここで付与する張力は、細かな微捲縮を
残しつつ、捲縮を適度に落とすためのものであり、捲縮
糸の捲縮レベルや断面構造にもよるが、通常0.009
〜0.135g/dtex(0.01〜0.15g/
d)の張力が選択される。熱処理の温度は80〜130
℃が好ましい。熱処理は、該当温度での浴中処理や、乾
熱・スチーム中の雰囲気内での処理、あるいはこれらの
雰囲気を通過させることなどの方法が採用される。
【0044】さらには、沸騰水処理後の捲縮伸長率を本
発明の好ましい範囲にするための別の手段として、撚糸
セット処理を施してもよい。
【0045】本発明のカーペットを構成するポリマーは
糸状に加工でき、捲縮が付与できるものであれば特に制
限なく使用可能である。使用しうるポリマーの具体例と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレ
フィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの
ポリエステル類、ポリカプラミド、ポリヘキサメチレン
アジパミドなどのポリアミド類などが挙げられるが、反
発弾性、耐久性の点からポリアミドであることが好まし
い。汎用性、発色性などの面からはポリカプラミドがよ
り有利である。また反発弾性、耐久性の面からはポリヘ
キサメチレンアジパミドがより有利である。
【0046】なおポリマーとしては、本発明の効果を損
なわない程度に共重合成分を含むコポリマーであっても
よい。さらには、製糸性改善や最終製品の品質改善のた
めに、共重合成分を添加すること、また艶消し剤などの
粒子を添加することはは何等差し支えない。ポリアミド
の場合には具体的な共重合成分として、ε−カプロアミ
ド、テトラメチレンアジパミド、ヘキサメチレンセバカ
ミド、ヘキサメチレンイソフタラミド、テトラメチレン
テレフタラミド、およびキシリレンフタラミドなどが挙
げられる。艶消し剤としては、酸化チタンが好ましく用
いられる。また、汚染性を改善するために、特開平3−
137221号公報に記載されるようなアルカリ金属塩
を含有するスルホン化した共重合ポリアミドを使用して
もよい。
【0047】顔料により着色したポリマーも使用可能で
ある。顔料としては、有機物および無機物のどらちでも
差し支えないが、一般には、カーボンブラックやベンガ
ラ、フタロシアニン系の顔料が好ましく用いられる。
【0048】さらには原料ポリマー中には、必要に応じ
て本発明の効果を損ねない範囲で、耐候剤、耐熱剤、お
よび酸化防止剤などの添加剤を併用添加してもよい。
【0049】本発明のカーペットは、構成するパイルの
80%以上、好ましくは90%以上に上記捲縮糸を用い
たカーペットである。
【0050】上記のカーペット用捲縮糸を80%以上使
用することで、ソフトタッチの風合いながらも十分な反
発弾性、嵩高性、耐久性、防汚性を有するカーペットが
得られる。パイルである表糸と、この表糸をタフトした
基布と、この基布の裏に貼りつけたバッキング材とから
構成されたカーペットが代表的なカーペット形態であ
る。
【0051】本発明のカーペットは、特に高級感の求め
られるオプションカーペット、ロールカーペット、ライ
ンカーペット、家庭用カーペット用途において高い効果
が得られる。中でも特に風合いが表に出やすい無撚りの
カットパイルで特に高い効果が得られる。
【0052】上述のとおり、本発明の捲縮糸に対して撚
糸セットを施しても良い。この場合には、パイルにおけ
る空気を含有する空間が小さくなるため反発弾性が向上
するという好ましい効果がある。撚糸の形態としては、
片撚りのみを施してもよいし、2本または3本を合糸し
て下撚りと上撚りからなる諸撚りを施しても良い。
【0053】本発明においてカーペットとして総合的に
より高い品質のものを得るために、上記した本発明のカ
ーペット用捲縮糸に、その効果を損ねない範囲で他のフ
ィラメントをパイルの一部として組み合わせて使用する
ことも何等差し支えない。例えばカーペットの摩擦帯電
圧を下げるために、制電性を有する繊維を混繊したりす
ることは差し支えない。
【0054】次に、本発明のカーペット用捲縮糸の代表
的な製造方法について説明する。まず、本発明のカーペ
ット用捲縮糸は、基本的に公知の製糸方法により製造さ
れる。とくに溶融ポリマーは溶融紡糸により得られ、引
き続き冷却、給油、延伸、捲縮付与の各工程からなる通
常の方法によって製造される。
【0055】本発明の最大の特徴である、Y型中空断面
フィラメントおよびY型断面フィラメントが混在する捲
縮糸とするためには、種々の方法が採用可能である。1
枚の紡糸口金に、目的とするY型中空断面用およびY型
非中空断面用の孔を設け紡糸・冷却時に引き揃えて目的
の2種のマルチフィラメントを得る方法、Y型中空断
面、Y型非中空断面それぞれ別々の口金を用いて、2種
のマルチフィラメントを別々に吐出させ、巻き取りまで
に引き揃えて目的の捲縮糸を得る方法、一旦別々に巻き
取ったY型中空断面、Y型非中空断面の2種のマルチフ
ィラメントを別工程にて引き揃えて、ひとつの捲縮糸に
する方法などが挙げられる。工程の簡易さ、単糸レベル
での優れた混ざり具合などの点からは、1枚の口金にY
型中空断面用、Y型非中空断面用の2種の吐出孔を有す
る口金を用いて目的の捲縮糸を得る方法が好ましい。も
ちろんここで、それぞれの変形度、単繊維繊度、中空率
が前述の範囲内に入るように口金吐出孔の設計を行う。
またY型中空断面、Y型非中空断面それぞれのフィラメ
ント毎の繊度が前述の範囲内になるように設計すること
が好ましい。さらには吐出量、吐出直後の冷却条件、引
取り速度などの紡糸条件を目的に合わせて調節すればよ
い。
【0056】本発明で用いる溶融紡糸装置は、エクスト
ルーダー型紡糸機およびプレッシャー型紡糸機のどちら
も使用可能であるが、製品の均一性および製糸工程にお
ける収率の点から前者が好ましい。特に原着ポリマーを
用いる場合はエクストルーダー型紡糸機が有利である。
【0057】溶融紡糸された糸条は、冷却、給油の後、
必要に応じて延伸、熱固定が施される。延伸に際して
は、補助的に延伸点を固定するなどの目的でスチーム処
理装置などを併用してもよい。ポリアミドの場合、後の
工程で高い捲縮を付与するためには、ある程度の配向と
結晶化が必要であるので、通常2倍から4倍の延伸を行
うことが好ましい。
【0058】次いで、得られた延伸糸について、捲縮付
与装置によって捲縮を付与する。捲縮は通常の加熱流体
加工処理により付与すればよく、例えば、ジェットノズ
ルタイプ、ジェットスタッファタイプ、さらにはギヤ方
式など各種の捲縮付与方法が採用されうるが、高い捲縮
付与とその顕在化を達成するためにはジェットノズル方
式が好ましい。なかでも米国特許第3,781,949
号明細書に記載の捲縮のノズルなどが好ましく使用され
る。さらには、捲縮を固定する目的から、特開平5−3
21058号公報に記載の冷却装置や、さらにはロータ
リーフィルタを組み合わせてもよい。
【0059】得られた本発明のカーペット用捲縮糸は、
後工程の通過性改善などのため必要に応じて交絡を付与
することができる。交絡は公知の方法で付与が可能であ
る。ただし、あまり多くの交絡を捲縮糸に付与すると、
前述のように捲縮糸の特性を損ねバルキー性等阻害する
ため、20個/m以下にすることが必須である。
【0060】得られた本発明のカーペット用捲縮糸に
は、目的に応じて撚りおよび熱処理が施されるが、いず
れも公知の方法を採りうる。
【0061】タフティングは公知の方法で行うことが可
能である。本発明のカーペット用捲縮糸はカットパイル
としてタフトされた時に特に効果を発現するが、カット
パイル、ループパイル、カットアンドループパイルなど
種々の形態で使用できる。本発明のカーペットのパイル
高さは、用途により適宜設定すればよいが、3mmから
20mm、好ましくは8mmから15mmの範囲が通常
選択される。
【0062】続いて、公知の方法により、染色・バッキ
ングが施される。染色方法は、連続染色、ウィンス染
色、さらにはロープ染色などが、特に制限なく使用可能
である。
【0063】もちろん、原着糸を使用している場合や、
タフト前にチーズ染色を施している場合などには、タフ
ト後の染色は省略することができ、直接バッキングが実
施される。この場合に必要に応じシャーリングや毛割り
を実施することは、より好ましい手法として推奨され
る。
【0064】本発明のカーペットには、防汚性を高める
ために、防汚剤を塗布することも好ましい。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。上述の説明中、および以下に述べる実施例にお
ける各物性値は、具体的には下記の方法で測定した値で
ある。
【0066】[硫酸相対粘度]ポリマ試料を98%硫酸
に1重量%の濃度で溶解し、オストワルド粘度計を用い
て25℃で測定した。
【0067】[総繊度]JIS L 1090により測
定した。
【0068】[単繊維繊度]捲縮糸の断面写真を撮影し
A3サイズ程度に拡大コピーした。次にコピー紙に印刷
された全単糸をはさみでカットし、Y型中空断面、Y型
断面それぞれの断面タイプ別の全単糸の重量を電子天秤
にて測定した。ここでY型中空断面単糸群の重量をA、
ホール数をD、Y型非中空断面単糸群の重量をB、ホー
ル数をE、捲縮糸の総繊度をCとして、 Y型中空断面の単繊維繊度=C×A/{(A+B)×
D} Y型非中空断面の単繊維繊度=C×B/{(A+B)×
E} として算出した。なおコピー紙をカットする際には当然
中空部も切り落とした。
【0069】[中空率]捲縮糸の断面写真を撮影しA3
サイズ程度に拡大コピーした。次にコピー紙に印刷され
たY型中空断面糸をはさみでカットし、糸部分、中空部
の重量を電子天秤にて測定した。ここでポリマーの存在
する糸部分の重量をF、中空部の重量をGとして、 中空率(%)={G/(F+G)}×100 として算出した。
【0070】[沸騰水処理後の捲縮伸長率]温度25
℃、相対湿度60%の雰囲気中に20時間放置されてい
たパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で30
分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、
これを沸騰水処理後捲縮糸の試料とする。この試料糸に
1.8mg/dtex(2mg/d)の初荷重をかけ3
0秒経過した後に、試料長50cm(L1)にマーキン
グをする。次いで、同試料に90mg/dtex(10
0mg/d)の定荷重をかけて30秒経過後に、伸びた
試料長(L2)を測定する。次いで、下記式により、捲
縮伸長率(%)を求める。 捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100 なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件
は、実際のカーペット製造工程において使用される時の
捲縮糸状態、つまり吸湿により捲縮特性が平衡状態に達
した状態とするためのものであり、平衡状態に達するの
に時間がかかり過ぎず、かつ結露を生じないという点か
ら選定したものである。
【0071】[Y型中空断面糸、Y型非中空断面糸の変
形度]捲縮糸の断面写真を拡大し、単糸の外接円と内接
円の各直径の比を変形度とした。単繊維5本の測定の平
均値として算出した。
【0072】[カーペットの反発弾性]カーペットを用
意し、手で押したり、乗って踏んでみたりして反発性を
相対的に、評価の高い順に◎、○、△、×の4段階評価
した。△以上が合格である。
【0073】[カーペットの風合い]カーペットを用意
し、手で触れたりしてソフト感のある良好な風合いかど
うかを相対的に、評価の高い順に◎、○、△、×の4段
階評価した。△以上が合格である。
【0074】[カーペットの嵩高性]カーペットを晴れ
た日に屋外の直射日光があたる場所に静置し、カーペッ
トの地透け感から嵩高性を、評価の高い順に◎、○、
△、×の4段階評価した。△以上が合格である。
【0075】[カーペットの耐久性]カーペットを一般
的な事務所の入口に設置し、1週間使用後にそのへたり
具合からカーペットの耐久性を、評価の高い順に◎、
○、△、×の4段階評価した。△以上が合格である。
【0076】[カーペットの防汚性]カーペットを一般
的な事務所の入口に設置し、1週間使用後にその汚れの
見え具合からカーペットの防汚性を、評価の高い順に
◎、○、△、×の4段階評価した。△以上が合格であ
る。
【0077】[カーペットの総合評価]カーペットとし
ての適合性を相対的に下記のように総合評価した。 ◎…適合性きわめて良好 ○…適合性良好 △…適合性やや不良 ×…適合性不良。
【0078】[実施例1]Y型中空断面用およびY型非
中空断面用の2種の吐出孔を有する1枚の口金を用い
て、硫酸相対粘度2.8のナイロン6のチップを、エク
ストルーダータイプの紡糸機により溶融紡糸し、Y型中
空断面フィラメント、およびY型非中空断面フィラメン
トを同時に得た。ここで紡出後の冷却でY型中空断面糸
の変形度が3.0、Y型非中空断面糸の変形度が2.5
になるように2種の吐出孔を設計した。また単孔あたり
の吐出量がほぼ同一になるように吐出孔形状、吐出孔深
さ、吐出孔数を設計した。吐出孔数はY型中空断面が3
4個、Y型非中空断面が54個とした。
【0079】紡出した2群の糸条は冷却固化後直ちに引
き揃えられ、次いで給油し、延伸し、引き続き巻き取る
ことなくジェットノズル(JN)を用いて捲縮を付与し
てから巻取り、総繊度1300dtex、88フィラメ
ントのポリアミドマルチフィラメント捲縮糸を得た。巻
き取り前には、軽度の交絡を付与した。得られた捲縮糸
の沸騰水処理後の捲縮伸長率は平均で15%であった。
【0080】次いで通常のレベルカットにて、ゲージ、
目付が1100g/m2 となるようにステッチを調節し
てタフトした。その後、常法に従い染色、バッキングを
実施した。このようにして得られたカーペットの「反発
弾性」、「風合い」、「嵩高性」、「耐久性」、「防汚
性」について評価した結果を表1に示す。
【0081】[実施例2]Y型中空断面用およびY型非
中空断面用の2種の吐出孔を有する1枚の口金を用い
て、硫酸相対粘度2.8のナイロン6のチップを、エク
ストルーダータイプの紡糸機により溶融紡糸し、Y型中
空断面フィラメント、およびY型非中空断面フィラメン
トを同時に得た。ここで紡出後の冷却でY型中空断面糸
の変形度が3.0、Y型非中空断面糸の変形度が2.5
になるように2種の吐出孔を設計した。また単孔あたり
の吐出量がほぼ同一になるように吐出孔形状、吐出孔深
さ、吐出孔数を設計した。吐出孔数はY型中空断面が6
8個、Y型非中空断面が54個とした。
【0082】紡出した2群の糸条は冷却固化後直ちに引
き揃えられ、次いで給油し、延伸し、引き続き巻き取る
ことなくジェットノズル(JN)を用いて捲縮を付与し
てから巻取り、総繊度1800dtex、122フィラ
メントのポリアミドマルチフィラメント捲縮糸を得た。
巻き取り前には、軽度の交絡を付与した。得られた捲縮
糸の沸騰水処理後の捲縮伸長率は平均で25%であっ
た。
【0083】次いで通常のレベルカットにて、ゲージ、
目付が1100g/m2 となるようにステッチを調節し
てタフトした。その後、常法に従い染色、バッキングを
実施した。このようにして得られたカーペットの「反発
弾性」、「風合い」、「嵩高性」、「耐久性」、「防汚
性」について評価した結果を表1に示す。
【0084】[実施例3]Y型中空断面用およびY型非
中空断面用の2種の吐出孔を有する1枚の口金を用い
て、硫酸相対粘度2.8のナイロン6のチップを、エク
ストルーダータイプの紡糸機により溶融紡糸し、Y型中
空断面フィラメント、およびY型非中空断面フィラメン
トを同時に得た。ここで紡出後の冷却でY型中空断面糸
の変形度が3.0、Y型非中空断面糸の変形度が2.5
になるように2種の吐出孔を設計した。Y型中空断面フ
ィラメントの繊度、Y型非中空断面フィラメントの繊度
が同一になるように、またY型中空断面の単繊維数がY
型非中空断面の単繊維数の2倍になるように吐出孔形
状、吐出孔深さ、吐出孔数を設計した。吐出孔数はY型
中空断面が32個、Y型非中空断面が64個とした。
【0085】紡出した2群の糸条は冷却固化後直ちに引
き揃えられ、次いで給油し、延伸し、引き続き巻き取る
ことなくジェットノズル(JN)を用いて捲縮を付与し
てから巻取り、総繊度1300dtex、96フィラメ
ントのポリアミドマルチフィラメント捲縮糸を得た。巻
き取り前には、軽度の交絡を付与した。得られた捲縮糸
の沸騰水処理後の捲縮伸長率は平均で21%であった。
【0086】次いで通常のレベルカットにて、ゲージ、
目付が1100g/m2 となるようにステッチを調節し
てタフトした。その後、常法に従い染色、バッキングを
実施した。このようにして得られたカーペットの「反発
弾性」、「風合い」、「嵩高性」、「耐久性」、「防汚
性」について評価した結果を表1に示す。
【0087】[実施例4]実施例3において、捲縮付与
を軽くすることによって捲縮伸長率が平均で4.5%で
ある総繊度1300dtex、96フィラメントのポリ
アミドマルチフィラメント捲縮糸を得た。巻き取り前に
は、軽度の交絡を付与した。次いで通常のレベルカット
にて、ゲージ、目付が1100g/m2 となるようにス
テッチを調節してタフトした。その後、常法に従い染
色、バッキングを実施した。このようにして得られたカ
ーペットの「反発弾性」、「風合い」、「嵩高性」、
「耐久性」、「防汚性」について評価した結果を表1に
示す。
【0088】[実施例5]実施例3において、捲縮付与
をきつくすることによって捲縮伸長率が平均で30%で
ある総繊度1300dtex、96フィラメントのポリ
アミドマルチフィラメント捲縮糸を得た。巻き取り前に
は、軽度の交絡を付与した。次いで通常のレベルカット
にて、ゲージ、目付が1100g/m2 となるようにス
テッチを調節してタフトした。その後、常法に従い染
色、バッキングを実施した。このようにして得られたカ
ーペットの「反発弾性」、「風合い」、「嵩高性」、
「耐久性」、「防汚性」について評価した結果を表1に
示す。
【0089】[実施例6]実施例3において、Y型中空
断面糸の中空率が小さくなるように吐出孔を設計した口
金に変更することによって中空率が5%である総繊度1
300dtex、96フィラメントのポリアミドマルチ
フィラメント捲縮糸を得た。巻き取り前には、軽度の交
絡を付与した。次いで通常のレベルカットにて、ゲー
ジ、目付が1100g/m2 となるようにステッチを調
節してタフトした。その後、常法に従い染色、バッキン
グを実施した。このようにして得られたカーペットの
「反発弾性」、「風合い」、「嵩高性」、「耐久性」、
「防汚性」、について評価した結果を表1に示す。
【0090】[実施例7]実施例3において、Y型中空
断面糸の中空率が大きくなるように吐出孔を設計した口
金に変更することによって中空率が15%である総繊度
1300dtex、96フィラメントのポリアミドマル
チフィラメント捲縮糸を得た。巻き取り前には、軽度の
交絡を付与した。次いで通常のレベルカットにて、ゲー
ジ、目付が1100g/m2 となるようにステッチを調
節してタフトした。その後、常法に従い染色、バッキン
グを実施した。このようにして得られたカーペットの
「反発弾性」、「風合い」、「嵩高性」、「耐久性」、
「防汚性」、について評価した結果を表1に示す。表1
の結果から明らかなように、本発明の実施例において
は、いずれもカーペットの反発弾性、風合い、嵩高性、
耐久性、防汚性ともに満足できるレベルであった。
【0091】
【表1】 [比較例1〜5]実施例3において、口金の吐出孔径状
を変更することで、Y型中空断面糸の変形度が1.8と
なるようにした場合を比較例1、Y型中空断面の変形度
が4.7となるようにした場合を比較例2、またY型非
中空断面糸の変形度が1.3になるようにした場合を比
較例3、Y型断面の変形度が3.2となるようにした場
合を比較例4とした。また実施例3において、交絡数が
23個/mとなるように交絡処理をきつくした場合を比
較例5とした。これらを実施例3と同様に、通常のレベ
ルカットにて、ゲージ、目付が1100g/m2 となる
ようにステッチを調節してタフトした。その後、常法に
従い染色、バッキングを実施した。このようにして得ら
れたカーペットの「反発弾性」、「風合い」、「嵩高
性」、「耐久性」、「防汚性」について評価した結果を
表2に示す。
【0092】
【表2】 比較例1においてはY型中空断面の変形度が小さいた
め、ソフトタッチの風合いが感じられなず、また嵩高性
も不良であった。また比較例2においてはY型中空断面
の変形度が大きいために耐久性が不可であった。比較例
3においては、Y型断面の変形度が小さいため、ソフト
タッチではあるもののパイル表面が乱れてしまい風合い
が不良であった。比較例4においてはY型断面の変形度
が大きいため、ソフトタッチの風合いが感じられなかっ
た。比較例5においては交絡数が多すぎるためにカーペ
ットの地透けがあり、嵩高性が不十分であった。
【0093】
【発明の効果】本発明のカーペット用捲縮糸は、ソフト
タッチの風合いながらも十分な反発弾性、嵩高性、耐久
性、防汚性を有するカーペットを与えることができる。
また、本発明のカーペットは、上記カーペット用捲縮糸
の特性をそのまま生かしたものであり、特にオプション
カーペット、ロールカーペット、ラインカーペット、家
庭用カーペットとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の捲縮糸を構成するY型中空断面マルチ
フィラメントの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の捲縮糸を構成するY型非中空断面マル
チフィラメントの一例を示す断面図である。
【図3】Y型中空断面単糸の変形度の測定に用いる内接
円、外接円を例示した模式図である。
【図4】Y型断面単糸の変形度の測定に用いる内接円、
外接円を例示した模式図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 3B120 AA15 AA35 AA42 BA28 EB04 EB11 EB16 4L036 MA06 MA19 MA20 PA42 RA04 UA07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の関係を満足する、変形度Ra、中空
    率HのY型中空断面マルチフィラメントと変形度Rbの
    Y型非中空断面マルチフィラメントが混在してなる捲縮
    糸であり、交絡数が20個/m以下、かつ前記各断面の
    マルチフィラメントを構成するポリマーが実質的に同一
    であることを特徴とするカーペット用捲縮糸。 (1) 2.0≦Ra≦4.5 (2) 1.5≦Rb≦3.0 (3) 5%≦H≦15%
  2. 【請求項2】Y型中空断面マルチフィラメントの単繊維
    繊度Ma、繊度Ta、Y型非中空断面マルチフィラメン
    トの単繊維繊度Mb、繊度Tbが次の関係を満足するこ
    とを特徴とする請求項1に記載のカーペット用捲縮糸。 (4) 1/1.15≦(Ta/Tb)≦1.15 (5) 1.5≦(Ma/Mb)
  3. 【請求項3】総繊度が600〜2000dtexである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のカーペット
    用捲縮糸。
  4. 【請求項4】沸騰水処理後の捲縮伸長率が5〜28%で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    カーペット用捲縮糸。
  5. 【請求項5】捲縮糸を構成するポリマーがポリアミドで
    あることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    カーペット用捲縮糸。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のカーペッ
    ト用捲縮糸を、構成するパイルの80%以上に用いたこ
    とを特徴とするカーペット。
  7. 【請求項7】カーペットがオプションカーペット、ロー
    ルカーペット、ラインカーペット、家庭用カーペットの
    いずれかであることを特徴とする請求項6に記載のカー
    ペット。
  8. 【請求項8】パイルが無撚りであり、かつカットパイル
    であることを特徴とする請求項6または7に記載のカー
    ペット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015068774A1 (ja) * 2013-11-08 2015-05-14 三菱レイヨン株式会社 高収縮性アクリル繊維と同繊維を含む紡績糸と同紡績糸を用いた段差パイル布帛

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