JP2002275462A - ランプ用蛍光体およびその製造方法 - Google Patents

ランプ用蛍光体およびその製造方法

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JP2002275462A
JP2002275462A JP2001081756A JP2001081756A JP2002275462A JP 2002275462 A JP2002275462 A JP 2002275462A JP 2001081756 A JP2001081756 A JP 2001081756A JP 2001081756 A JP2001081756 A JP 2001081756A JP 2002275462 A JP2002275462 A JP 2002275462A
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phosphorus
luminance
lamp
magnesium compound
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JP2001081756A
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Takeshi Sado
武史 佐戸
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Nemoto and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高輝度および安定した色度を長期間に亘って
得ることができるランプ用蛍光体を提供する。 【解決手段】 ランプ用蛍光体は、バリウム(Ba)、マ
グネシウム(Mg)およびユーロピウム(Eu)を含有する
アルミン酸塩蛍光体の粉粒物の表面を燐−マグネシウム
化合物が覆っている。アルミン酸塩蛍光体の粉粒物間に
は、燐−マグネシウム化合物が位置している。アルミン
酸塩蛍光体は、一般式がBaMgAl10 17:Eu、B
aMgAl1017:Eu,Mn、(Ba,Sr) MgA
1017:Euおよび(Ba,Sr) MgAl1017
Eu,Mnのいずれかである。燐−マグネシウム化合物
は、Mg3(PO4)2Mg3ないし(PO4)2・nH2O(n:
整数)を主成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バリウム(Ba)、
マグネシウム(Mg)およびユーロピウム(Eu)を含むア
ルミン酸塩蛍光体を主成分とするランプ用蛍光体および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光ランプや希ガス放電ランプ、
高負荷蛍光ランプなどのランプでは、より高輝度が望ま
れている。また、アルミン酸塩蛍光体は、付活剤として
添加されるユーロピウムイオン(Eu2+)が発光の大きな
要因となっており、一定量まではユーロピウムの添加量
が多い方が発光輝度が高い。このことから、ランプに使
用されるアルミン酸塩蛍光体として、ユーロピウムを多
く添加させることが望ましい。一方、ユーロピウムが多
くなると、製造工程中のベーキングのときにユーロピウ
ムイオンが酸化されるため、その輝度の低下が大きい。
また、アルミン酸塩蛍光体は、発光のときに照射される
紫外線やイオン衝撃により、特に輝度の経時変化や色度
シフトが発生する。このため、アルミン酸塩蛍光体を青
色成分として用いた例えば3波長のランプでは、白色発
光の輝度が低下するとともに色味が変化してしまう。
【0003】そこで、アルミン酸塩蛍光体をプラズマデ
ィスプレイなどの特にエネルギ衝撃の大きい真空紫外線
が照射される部位に使用するために、例えば特開平8−
319483号公報、特開平10−298548号公
報、特開平10−330746号公報および特開200
0−303065号公報に記載の構成が知られている。
【0004】そして、特開平8−319483号公報に
記載の蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体の粒子表面に、燐
酸系化合物を燐(P)としてアルミン酸塩蛍光体に対して
約0.001〜15質量%で被覆形成している。この燐
酸系化合物の被覆により、塗装や乾燥における蛍光体の
ベーキング劣化を改良している。
【0005】しかしながら、この特開平8−31948
3号公報に記載の蛍光体では、燐酸系化合物が単独で被
覆形成されているので、特に輝度の経時変化や色度シフ
トのさらなる改善が望まれている。
【0006】また、特開平10−298548号公報に
記載の蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体の粒子表面に、硼
酸系化合物を硼素(B)としてアルミン酸塩蛍光体に対し
て約0.001〜10質量%で被覆形成している。この
硼酸系化合物の被覆により、発光するときの真空紫外線
や希ガスの放電によるイオン衝撃からアルミン酸塩蛍光
体を保護し、発光輝度および輝度の経時変化を改良して
いる。
【0007】しかしながら、この特開平8−31948
3号公報に記載の蛍光体では、硼酸系化合物を保護物質
としてアルミン酸塩蛍光体の粒子表面を被覆形成するも
のの、輝度の経時変化や色度の経時変化すなわち色度シ
フトのさらなる改善が望まれている。
【0008】さらに、特開平10−330746号公報
に記載の蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体の粒子表面に、
アンチモン酸化物をアンチモン(Sb)としてアルミン酸
塩蛍光体に対して約0.01〜3.0質量%で被覆形成
している。このアンチモン酸化物の被覆により、発光す
るときのイオンやラジカルによるスパッタからアルミン
酸塩蛍光体を保護し、輝度の経時変化および色度シフト
を改良している。
【0009】しかしながら、この特開平10−3307
46号公報に記載の蛍光体では、アンチモン酸化物を保
護物質としてアルミン酸塩蛍光体の粒子表面を被覆形成
するものの、輝度の経時変化や色度シフトのさらなる改
善が望まれている。
【0010】また、特開2000−303065号公報
に記載の蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体の粒子表面に、
ストロンチウム(Sr)やバリウム(Ba)の化合物である
燐酸塩を被覆形成している。このストロンチウムやバリ
ウムの燐酸塩を被覆することにより、ベーキング劣化を
改良している。
【0011】しかしながら、この特開2000−303
065号公報に記載の蛍光体では、ストロンチウムやバ
リウムの燐酸塩を保護物質としてアルミン酸塩蛍光体の
粒子表面を被覆してベーキングによる表面酸化を抑制し
てベーキング劣化を防止しているものの、輝度の経時変
化や色度シフトのさらなる改善が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、特開
平8−319483号公報に記載の燐酸系化合物を単独
で被覆形成するものや、特開2000−303065号
公報に記載のストロンチウムやバリウムの燐酸塩を被覆
形成するものでは、特に輝度の経時変化や色度シフトの
さらなる改善が望まれている。また、特開平8−319
483号公報に記載の硼酸系化合物を被覆形成するもの
や、特開平10−330746号公報に記載のアンチモ
ン酸化物を被覆形成するものでは、輝度の経時変化や色
度の経時変化すなわち色度シフトのさらなる改善が望ま
れている。
【0013】そして、これら特開平8−319483号
公報、特開平10−298548号公報、特開平10−
330746号公報および特開2000−303065
号公報に記載のものでは、特にランプのような比較的エ
ネルギ衝撃の弱いものに利用する場合に、高輝度および
安定した色度を長期に亘って得ることができないおそれ
がある。
【0014】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、高輝度および安定した色度を長期間に亘って得るこ
とができるランプ用蛍光体およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のランプ用
蛍光体の製造方法は、バリウム(Ba)、マグネシウム
(Mg)およびユーロピウム(Eu)を含むアルミン酸塩蛍
光体を、燐化合物およびマグネシウム化合物を含有する
溶液中で攪拌混合し、前記アルミン酸塩蛍光体の表面に
燐−マグネシウム化合物を被覆するものである。
【0016】そして、アルミン酸塩蛍光体を燐化合物お
よびマグネシウム化合物を含有する溶液中で攪拌混合す
ることによりこのアルミン酸塩蛍光体の表面に燐−マグ
ネシウム化合物が容易に被覆され、また、ランプの製造
工程で加熱される際の熱負荷により輝度をもたらすユー
ロピウムイオンが酸化して輝度が低下することを抑制
し、高輝度が得られるとともに、ランプの点灯時の紫外
線やイオン衝撃からアルミン酸塩蛍光体が保護され、輝
度低下および色度シフトが生じることを抑制し、高輝度
および安定した色度が長期間に亘って得られる。
【0017】請求項2記載のランプ用蛍光体の製造方法
は、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびユーロ
ピウム(Eu)を含むアルミン酸塩蛍光体を、燐化合物お
よびマグネシウム化合物を含有する溶液中で攪拌混合
し、前記アルミン酸塩蛍光体に燐−マグネシウム化合物
を混合するものである。
【0018】そして、アルミン酸塩蛍光体を燐化合物お
よびマグネシウム化合物を含有する溶液中で攪拌混合す
ることによりこのアルミン酸塩蛍光体に燐−マグネシウ
ム化合物が容易に混合され、また、ランプの製造工程で
加熱される際の熱負荷により輝度をもたらすユーロピウ
ムイオンが酸化して輝度が低下することを抑制し、高輝
度が得られるとともに、ランプの点灯時の紫外線やイオ
ン衝撃からアルミン酸塩蛍光体が保護され、輝度低下お
よび色度シフトが生じることを抑制し、高輝度および安
定した色度が長期間に亘って得られる。
【0019】請求項3記載のランプ用蛍光体の製造方法
は、請求項1または2記載のランプ用蛍光体の製造方法
において、アルミン酸塩蛍光体は、一般式がBaMgA
1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mn、
(Ba,Sr) MgAl1017:Euおよび(Ba,S
r) MgAl1017:Eu,Mnのいずれかで表される
ものであるものである。
【0020】そして、比較的輝度の経時変化が少ない一
般式がBaMgAl1017:Eu、BaMgAl
1017:Eu,Mn、(Ba,Sr) MgAl1017
Euおよび(Ba,Sr) MgAl1017:Eu,Mn
のいずれかで表されるアルミン酸塩蛍光体を用いること
により、高輝度および安定した色度が長期間に亘って適
切に得られる。
【0021】請求項4記載のランプ用蛍光体の製造方法
は、請求項1ないし3いずれか一記載のランプ用蛍光体
の製造方法において、燐−マグネシウム化合物は、Mg
3(PO4)2ないしMg3(PO4)2・nH2O(n:整数)を
主成分とするものである。
【0022】そして、Mg3(PO4)2ないしMg3(PO
42・nH2O(n:整数)を主成分とする燐−マグネ
シウム化合物を用いることで、高輝度および安定した色
度が長期間に亘って確実に得られる。
【0023】請求項5記載のランプ用蛍光体の製造方法
は、請求項1ないし4いずれか一記載のランプ用蛍光体
の製造方法において、燐−マグネシウム化合物の割合
は、アルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)として0.01
質量%以上1.4質量%以下であるものである。
【0024】そして、燐−マグネシウム化合物をアルミ
ン酸塩蛍光体に対して燐(P)として0.01質量%以上
1.4質量%以下の割合とすることにより、燐−マグネ
シウム化合物がアルミン酸塩蛍光体の発光を阻害するこ
となく紫外線やイオン衝撃などからアルミン酸塩蛍光体
を保護し、高輝度および安定した色度が長期間に亘って
確実に得られる。
【0025】ここで、燐−マグネシウム化合物がアルミ
ン酸塩蛍光体に対して燐(P)として0.01質量%より
少なくなると、燐−マグネシウム化合物による保護が不
十分となって長期に亘る高輝度の維持および色度シフト
の抑制が不十分となるおそれがある。一方、燐−マグネ
シウム化合物がアルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)とし
て1.4質量%より多くなると、励起や発光が妨げられ
て輝度が低下するおそれがある。このため、燐−マグネ
シウム化合物をアルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)とし
て0.01質量%以上1.4質量%以下の割合とする。
【0026】請求項6記載のランプ用蛍光体は、バリウ
ム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびユーロピウム(E
u)を含むアルミン酸塩蛍光体と、このアルミン酸塩蛍
光体の表面に被覆形成された燐−マグネシウム化合物と
を備えたものである。
【0027】そして、ランプの製造工程で加熱される際
の熱負荷により輝度をもたらすユーロピウムイオンが酸
化して輝度が低下することを抑制し、高輝度が得られる
とともに、ランプの点灯時の紫外線やイオン衝撃からア
ルミン酸塩蛍光体が保護され、輝度低下および色度シフ
トが生じることを抑制し、高輝度および安定した色度が
長期間に亘って得られる。
【0028】請求項7記載のランプ用蛍光体は、バリウ
ム(Ba)、マグネシウム(Mg)およびユーロピウム(E
u)を含むアルミン酸塩蛍光体と、このアルミン酸塩蛍
光体に混合された燐−マグネシウム化合物とを備えたも
のである。
【0029】そして、ランプの製造工程で加熱される際
の熱負荷により輝度をもたらすユーロピウムイオンが酸
化して輝度が低下することを抑制し、高輝度が得られる
とともに、ランプの点灯時の紫外線やイオン衝撃からア
ルミン酸塩蛍光体が保護され、輝度低下および色度シフ
トが生じることを抑制し、高輝度および安定した色度が
長期間に亘って得られる。
【0030】請求項8記載のランプ用蛍光体は、請求項
6または7記載のランプ用蛍光体において、アルミン酸
塩蛍光体は、一般式がBaMgAl1017:Eu、Ba
MgAl1017:Eu,Mn、(Ba,Sr) MgAl
1017:Euおよび(Ba,Sr) MgAl1017:E
u,Mnのいずれかで表されるものである。
【0031】そして、比較的輝度の経時変化が少ない一
般式がBaMgAl1017:Eu、BaMgAl
1017:Eu,Mn、(Ba,Sr) MgAl1017
Euおよび(Ba,Sr) MgAl1017:Eu,Mn
のいずれかで表されるアルミン酸塩蛍光体を用いること
により、高輝度および安定した色度が長期間に亘って適
切に得られる。
【0032】請求項9記載のランプ用蛍光体は、請求項
6ないし8いずれか一記載のランプ用蛍光体において、
燐−マグネシウム化合物は、Mg3(PO4)2ないしMg3
(PO4)2・nH2O(n:整数)を主成分とするものであ
る。
【0033】そして、Mg3(PO4)2ないしMg3(PO
42・nH2O(n:整数)を主成分とする燐−マグネ
シウム化合物を用いることで、高輝度および安定した色
度が長期間に亘って確実に得られる。
【0034】請求項10記載のランプ用蛍光体は、請求
項6ないし9いずれか一記載ランプ用蛍光体において、
燐−マグネシウム化合物の割合は、アルミン酸塩蛍光体
に対して燐(P)として0.01質量%以上1.4質量%
以下であるものである。
【0035】そして、燐−マグネシウム化合物をアルミ
ン酸塩蛍光体に対して燐(P)として0.01質量%以上
1.4質量%以下の割合とすることにより、燐−マグネ
シウム化合物がアルミン酸塩蛍光体の発光を阻害するこ
となく紫外線やイオン衝撃などからアルミン酸塩蛍光体
を保護し、高輝度および安定した色度が長期間に亘って
確実に得られる。
【0036】ここで、燐−マグネシウム化合物がアルミ
ン酸塩蛍光体に対して燐(P)として0.01質量%より
少なくなると、燐−マグネシウム化合物による保護が不
十分となって長期に亘る高輝度の維持および色度シフト
の抑制が不十分となるおそれがある。一方、燐−マグネ
シウム化合物がアルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)とし
て1.4質量%より多くなると、励起や発光が妨げられ
て輝度が低下するおそれがある。このため、燐−マグネ
シウム化合物をアルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)とし
て0.01質量%以上1.4質量%以下の割合とする。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態にお
けるランプ用蛍光体の製造方法について図1を参照して
説明する。
【0038】図1に示すように、まず、十分に乾燥して
恒量となったバリウム(Ba)化合物としての例えば炭酸
バリウム(BaCO3)の粉末、マグネシウム(Mg)化合
物としての例えば含水塩基性炭酸マグネシウム(3Mg
CO3・Mg(OH)2・3H2O)、アルミニウム(Al)化
合物としての例えば酸化アルミニウム(Al23)、およ
び、ユーロピウム(Eu)化合物としての例えば酸化ユー
ロピウム(Eu23)を適宜秤量する。
【0039】そして、これら秤量した原料を、適量の融
剤として例えばフッ化アルミニウム(AlF3)を用いる
とともに、混合手段としての例えばボールミルを用いて
4〜5時間程度混合する。なお、各原料は、炭酸塩や酸
化物、水酸化物に限らずいずれの化合物でもよい。ま
た、原料の混合は、ボールミルにて湿式で混合したり、
ボールミルにより混合する他に共沈法や各金属をアルコ
キシドとしたものを原料に用い液相で混合するなど、い
ずれの方法でもできる。
【0040】次に、混合された混合粉末を還元雰囲気で
焼成、例えば高純度アルミナるつぼを用いて窒素(N2)
−水素(H2)混合ガス(H2:3%)雰囲気中で1550
℃、3時間焼成し、一般式がBaMgAl1017:Eu
(組成式 (Ba,Eu)MgAl1017)で表されるア
ルミン酸塩蛍光体の焼成物を得る。なお、焼成後に、例
えば60メッシュの篩であるナイロンメッシュを通過し
た粉体を、再度高純度アルミナるつぼを用いて窒素
(N2)−水素(H2)混合ガス(H2:3%)雰囲気中で15
50℃、3時間焼成してもよい。また、共沈法の場合に
は、一旦水分を除去した後に同様に焼成する。また、ア
ルコキシドを原料とした場合には、混合後に水を加えて
加水分解し、得られた水酸化物の沈殿物を分集して十分
に水分を除去した後に同様に焼成する。
【0041】そして、十分に冷却された後に、焼成物を
分散手段としての例えばビーズミルを用いて1時間程度
湿式で粉砕および分散し、水洗する。ここで、焼成され
た焼成物の粉砕・分散は、ビーズミルに限らず、ボール
ミルや他のいずれの分散装置を用いてもよい。
【0042】この後、粉砕・分散され水洗されたアルミ
ン酸塩蛍光体の粉末を脱水して恒量に達するまで十分に
乾燥した後、所定の篩にかけ、所定の粒度で可視光下で
は略乳白色のアルミン酸塩蛍光体の粉末を得る。
【0043】ここで、目的の蛍光体について、マグネシ
ウム(Mg)の一部をマンガン(Mn)で置換した蛍光体
を得るため、原料としてマンガン化合物としての例えば
炭酸マンガン(MnCO3)を加えたり、バリウム(B
a)の一部をストロンチウム(Sr)で置換した蛍光体
を得るため、原料としてストロンチウム化合物としての
例えば炭酸ストロンチウム(SrCO3)を加えたりし
てもよい。
【0044】次に、粒度調整されたアルミン酸塩蛍光体
の粉末を燐酸−マグネシウム化合物処理、例えばマグネ
シウム化合物としての塩化マグネシウム(MgCl2・6
2O)および燐化合物である燐酸としての燐酸水素カリ
ウム(K2HPO4)とともに蒸留水中で攪拌混合し、静置
する。そして、静置して沈殿する粉末を固液分離して分
集し、残留イオンを除去するために水洗した後に乾燥
し、ランプ用蛍光体を得る。
【0045】この燐酸−マグネシウム化合物処理によ
り、一般式がBaMgAl1017:Eu(組成式 (B
a,Eu)MgAl1017)で表されるアルミン酸塩蛍
光体の粉末の粒子表面の少なくとも一部に、燐−マグネ
シウム化合物としてのMg3(PO 4)2ないしMg3(P
4)2・nH2O(n:整数)が主成分として生成して被覆
された状態となる。さらに、アルミン酸塩蛍光体の粉末
の粒子間にMg3(PO4)2ないしMg3(PO4)2・nH2
O(n:整数)を主成分とした燐−マグネシウム化合物の
粒子が混在した状態となる。
【0046】ここで、燐−マグネシウム化合物であるM
3(PO4)2及びその水和物が、アルミン酸塩蛍光体の
粉末に対して燐(P)として0.01質量%以上1.4質
量%以下となるように燐酸−マグネシウム化合物処理す
る。
【0047】燐−マグネシウム化合物であるMg3(PO
4)2及びその水和物が、Pとして0.01質量%より少
なくなると、このランプ用蛍光体を蛍光ランプや希ガス
放電ランプ、高負荷蛍光ランプなどのランプに利用した
とき、比較的に波長の短い真空紫外線や紫外線の照射に
よる劣化、放電に伴うイオン衝撃や放電により飛散する
電極の金属材料がランプ用蛍光体の粒子表面に付着する
などにより、経時的に劣化して長期に亘る安定した高輝
度が維持できなくなるおそれがある。
【0048】一方、Pとして1.4質量%より多くなる
と、アルミン酸塩蛍光体の粒子表面に形成される燐−マ
グネシウム化合物の層やアルミン酸塩蛍光体の粒子間に
存在する燐−マグネシウム化合物の粒子により、紫外線
がアルミン酸塩蛍光体に到達する割合が低減し、励起や
発光が妨げられて輝度が低下するおそれがある。
【0049】このため、燐−マグネシウム化合物として
のMg3(PO4)2及びその水和物が、アルミン酸塩蛍光
体の粉末に対して燐として0.01質量%以上1.4質
量%以下となる割合に設定する。
【0050】なお、燐酸−マグネシウム化合物処理の際
のマグネシウム化合物は塩化物に限らず、また燐酸も同
様に燐酸水素カリウム(KH2PO4)や燐酸カリウム(K3
PO 4)、その他の塩などいずれのものでもよい。また、
燐酸−マグネシウム化合物処理によりアルミン酸塩蛍光
体の粒子表面に燐−マグネシウム化合物を被覆、あるい
はアルミン酸塩蛍光体の粒子間に燐−マグネシウム化合
物の粒子を共存させる他に、あらかじめ調製した燐−マ
グネシウム化合物の粉末を直接混合したり、燐酸マグネ
シウム化合物をアルミン酸塩蛍光体の粒子表面に例えば
蒸着などにて直接被覆形成するなどしてもよい。さら
に、一旦燐酸処理してアルミン酸塩蛍光体の粒子表面の
燐に対する活性を増大させてから別途燐−マグネシウム
化合物を被覆形成させるなどしてもよい。
【0051】そして、得られたランプ用蛍光体を、例え
ば有機材料などのバインダと適宜混合して塗料を調製
し、この塗料を印刷形成するなどにより蛍光ランプや希
ガス放電ランプ、高負荷蛍光ランプなどのランプを形成
する。
【0052】次に、上記実施の形態の作用等について説
明する。
【0053】(実験例1)まず、紫外線により高輝度が
得られかつ経時変化し難いアルミン酸塩蛍光体で一般式
がBaMgAl1017:Eu(以下、組成を表示する式
として(Ba,Eu)MgAl1017と表す。)、マグネ
シウム(Mg)の一部をマンガン(Mn)で置換した一般
式がBaMgAl1017:Eu,Mn(以下、組成を表
示する式として(Ba,Eu)(Mg,Mn)Al1017
表す。)、さらにこれらアルミン酸塩蛍光体のバリウム
(Ba)の一部をストロンチウム(Sr)で置換した一般式
が(Ba,Sr) MgAl1017:Eu(以下、組成を
表示する式として(Ba,Sr,Eu)MgAl1017
表す。)、および、一般式が(Ba,Sr) MgAl 10
17:Eu,Mn(以下、組成を表示する式として(B
a,Sr,Eu)(Mg,Mn)Al1017と表す。)で
表されるアルミン酸塩蛍光体について、輝度と、色度
と、希ガス放電ランプや蛍光ランプに実装した状態での
輝度および色度とを測定する実験をした。
【0054】(試料の調製)まず、組成式が(Ba,Eu)
MgAl1017で表されるアルミン酸塩蛍光体は、原料
として、十分に乾燥して恒量となったバリウム化合物で
ある炭酸バリウム(BaCO3)粉末33.6g、マグネ
シウム化合物である含水塩基性炭酸マグネシウム(3M
gCO3・Mg(OH)2・3H2O)(神島化学工業株式会
社製 商品名:GP−40)粉末19.8g(MgO換算
値で40.8質量%)、アルミニウム化合物である酸化
アルミニウム(Al23)粉末102.0g、ユーロピウ
ム化合物である酸化ユーロピウム(Eu23)粉末5.3
g、および、融剤としてのフッ化アルミニウム(Al
3)0.1g(Al23に対して0.1質量%)を配合し
て適宜混合する。
【0055】なお、配合により、BaおよびEuの合計
に対するEuのモル比(Eu/(Ba+Eu))は0.1
5、BaおよびEuの合計に対するBaのモル比(Ba
/(Ba+Eu))は0.85、BaおよびEuの合計に
対するMgのモル比(Mg/(Ba+Eu))は1.00、
および、BaおよびEuの合計に対するAlのモル比
(Al/(Ba+Eu))は10.0である。
【0056】そして、混合した原料を、窒素(N2)−水
素(H2)混合ガス(H2:3%)による還元雰囲気中で、高
純度アルミナるつぼを用いて1550℃で3時間焼成し
た。この焼成後に十分冷却させて60メッシュのナイロ
ンメッシュの篩を用いて篩い分けし、通過した粉末を、
さらに窒素(N2)−水素(H2)混合ガス(H2:3%)によ
る還元雰囲気中で高純度アルミナるつぼを用いて155
0℃で3時間焼成した。
【0057】この2度目の焼成により得られた焼成物を
冷却した後、ビーズミルにて粉砕および分散し、水洗し
て乾燥した後に200メッシュのナイロンメッシュの篩
を通過させて、組成式が(Ba0.85,Eu0.15)Mg1.00
Al10.017で表されるアルミン酸塩蛍光体(試料1−
(1))を得る。
【0058】同様にして、さらにマンガン化合物である
炭酸マンガン(MnCO3)を用い、マグネシウムの一部
をマンガンに置換した組成式が(Ba0.85,Eu0.15)
(Mg0 .99,Mn0.01)Al10.017で表されるアルミン
酸塩蛍光体(試料1−(2))、ストロンチウム化合物であ
る炭酸ストロンチウム(SrCO3)を用い、バリウムの
一部をストロンチウムに置換した組成式が(Ba0.425
Sr0.425,Eu0.15)Mg1.00Al10.017で表される
アルミン酸塩蛍光体(試料1−(3))および組成式が(Ba
0.425,Sr0.425,Eu0.15) (Mg0.99,Mn0.01)A
10.017で表されるアルミン酸塩蛍光体(試料1−
(4))をそれぞれ調製した。なお、これら試料の組成を表
1の一覧に示す。
【0059】
【表1】
【0060】(輝度および色度の測定)上記表1に示す各
アルミン酸塩蛍光体に、キセノン(Xe)ランプである希
ガス放電ランプを想定して、146nmにピーク波長を
有する真空紫外線、および蛍光ランプを想定して254
nmにピーク波長を有する紫外線を照射し、輝度および
色度を測定した。
【0061】なお、146nmにピーク波長を有する真
空紫外線は真空紫外エキシマ光照射装置(ウシオ電機株
式会社製)を用いて照射した。また、254nmにピー
ク波長を有する紫外線は水銀殺菌ランプ(10W)(三共
電気株式会社製)を用いて照射した。そして、輝度の測
定は、ミノルタカメラ株式会社製の輝度計(商品名:L
S−110)により測定した。さらに、色度の測定は、
ミノルタカメラ株式会社製の色度計(商品名:CS−1
00)により測定した。その結果を表2に示す。なお、
相対輝度は、試料1−(1)の輝度を100としたときの
相対値である。
【0062】
【表2】
【0063】この表2に示す結果から、マグネシウムの
一部をマンガンで置換した試料1−(2)、バリウムの一
部をストロンチウムで置換した試料1−(3)、および、
マグネシウムおよびバリウムの一部をそれぞれマンガン
およびストロンチウムで置換した試料1−(4)は、共に
相対輝度が高く、高輝度が得られることがわかった。
【0064】(実験例2)次に、上記実験例1で用いた
アルミン酸塩蛍光体(試料1−(1)〜試料1−(4))を用い
て、真空紫外線を利用する希ガス放電ランプであるキセ
ノンランプと、紫外線を利用する蛍光ランプとを作製
し、ランプにした際の輝度および色度を測定する実験を
した。
【0065】(試料の作製)まず、各試料1−(1)〜試料
1−(4)の粉末20gに対してそれぞれバインダとして
ニトロセルロース0.8質量%含有する酢酸ブチル36
gを加え、15分間混合した後、150メッシュのナイ
ロンメッシュの篩を通過させ、蛍光体ペーストを得る。
この蛍光体ペーストを、長さ約20cm、管径約1cmのガ
ラス管の内面に塗布し、600℃で15分間乾燥する。
そして、この蛍光体ペーストの被膜が内面に設けられた
ガラス管に電極などを接続し、評価用のキセノンランプ
(試料2−(1)X〜試料2−(4)X)を作製した。
【0066】また、上記調製した蛍光体ペーストを、長
さ約50cm、管径約3cmのガラス管の内面に塗布し、6
00℃で15分間乾燥する。そして、この蛍光体ペース
トの被膜が内面に設けられたガラス管に電極などを接続
して、評価用の蛍光ランプ(試料2−(1)F〜試料2−(4)
F)を作製した。
【0067】(輝度および色度の測定)評価用の各ランプ
の輝度および色度の測定は、評価用のランプを点灯し
て、上記実験例1と同様に、輝度計および色度計を用い
て測定した。そして、評価用のキセノンランプの測定結
果を表3に、評価用の蛍光ランプの測定結果を表4に示
す。なお、相対輝度は、試料2−(1)Xおよび試料2−
(1)Fのそれぞれの輝度を100としたときの相対値であ
る。
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】これら表3および表4に示す結果から、相
対的な輝度の傾向に変化は認められなかったが、色度、
特にy値が若干シフトしていた。また、蛍光ランプの方
が色度、特にy値のシフトが大きい傾向にあった。これ
は、蛍光ランプでは、他の可視光も照射されることか
ら、この可視光の波長により色度がシフトしたものと思
われる。
【0071】(実験例3)次に、燐−マグネシウム化合
物によるアルミン酸塩蛍光体の保護について検討する実
験をした。
【0072】アルミン酸塩蛍光体としては、実験例1で
調製した組成式が(Ba0.85,Eu0 .15)Mg1.00Al
10.017で表される試料1−(1)を用いた。そして、こ
の試料1−(1)の粉末60gを蒸留水600mlに加
え、30分間攪拌して分散した後、塩化マグネシウム
(MgCl2・6H2O)(関東化学株式会社製 特級)を
0.75g添加してさらに60分間攪拌混合する。さら
に、燐酸水素カリウム(K2HPO4)(関東化学株式会社
製 特級)を6.0g添加し、さらに60分間攪拌混合
した後に静置する。この後、上澄み液を除去し、蒸留水
により残留する固形分を5回洗浄し、濾過により固形分
を分集し、乾燥して燐酸−マグネシウム化合物処理した
ランプ用蛍光体の粉末(試料3−(3))を得た。
【0073】同様にして、塩化マグネシウムの添加量を
0.2gから24gまで、燐酸水素カリウムの添加量を
1.6gから192gまでの範囲で適宜加え、表5に示
す配合に従って燐酸−マグネシウム化合物処理したラン
プ用蛍光体の粉末(試料3−(1)〜3−(9))を得た。
【0074】
【表5】
【0075】(輝度および色度の測定)そして、この表5
に示す各粉末(試料3−(1)〜3−(9))を用いて、実験例
2と同様に、評価用のキセノンランプ(試料4−(1)X〜
試料4−(9)X)および評価用の蛍光ランプ(試料4−(1)F
〜試料4−(9)F)を作製し、それぞれ500時間の連続
放電によるランプの輝度変化および色度の変化を測定し
た。
【0076】そして、評価用のキセノンランプの測定結
果を表6ないし表8および図2ないし図4に示す。評価
用の蛍光ランプの測定結果を表9ないし表11および図
5ないし図7に示す。なお、ランプの輝度変化は、輝度
維持率〔%〕で評価した。この輝度維持率は、輝度維持
率=(放電経過時間におけるランプ輝度/初期輝度)×1
00に基づいて算出した。また、比較試料として、燐酸
−マグネシウム化合物処理をしないアルミン酸塩蛍光体
(試料1−(1))を用いて作製した評価用のキセノンラン
プ(試料2−(1)X)および評価用の蛍光ランプ(試料2−
(1)F)を用いた。
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】
【表11】
【0083】これら表6ないし表11および図2ないし
図7に示す結果から、アルミン酸塩蛍光体を燐酸−マグ
ネシウム化合物処理することにより、輝度維持率の低下
が抑制、すなわちランプの輝度が低下しにくくなった。
また、色度(x,y)の変化の割合も小さかった。このこ
とから、アルミン酸塩蛍光体を燐酸−マグネシウム化合
物処理することにより、長期使用によるランプの輝度低
下および色度シフトによる色調の変化を良好に抑制で
き、高輝度および安定した色度を長期間に亘って得るこ
とができることがわかる。
【0084】ここで、添加する塩化マグネシウムおよび
燐酸水素カリウムの量が多くなるに従って、輝度維持率
の低下がより抑制できる一方、同時にランプの初期輝度
も低下する傾向が認められた。例えば、蛍光体試料3−
(9)を用いたランプ4−(9)X及び4−(9)Fの初期度は9
5%を下回ってしまう現象が確認された。
【0085】これは、燐酸−マグネシウム化合物処理に
よりアルミン酸塩蛍光体の粒子表面に燐−マグネシウム
化合物が被覆し、添加するマグネシウム量および燐酸量
が多くなるに従って被覆する燐−マグネシウム化合物が
厚くなり、燐−マグネシウム化合物が励起光を遮光し、
アルミン酸塩蛍光体が十分に励起できなくなる、また発
光も遮光されるためと思われる。また、色度の変化する
割合を効果は、特にキセノンランプに対して顕著な効果
が見られた。従って、表6、表9より初期輝度と輝度維
持率を考慮すると、最適な範囲は試料3−(2)ないし3
−(7)の範囲が最も効果的である。
【0086】(実験例4)続いて、実験例3と同様にし
て、その他の組成のアルミン酸塩蛍光体(試料1−(2)
〜試料1−(4))についても、燐−マグネシウム化合物
による保護の効果を確認した。
【0087】各々のアルミン酸塩蛍光体の粉末60gを
実験例3において、ほぼ良好な結果が得られた試料3−
(3)と同一な条件として、塩化マグネシウム0.75g
と燐酸水素カリウム6.Ogとを用いて、同様に燐−マ
グネシウム化合物処理を行い、それぞれ試料5−(1)〜
試料5−(3)を得た。
【0088】そして、得られた各試料(試料5−(1)〜
試料5−(3))を用いて、評価用のキセノンランプ(試料
6−(1)X〜試料6−(3)X)および評価用の蛍光ランプ(試
料6−(1)F〜試料6−(3)F)を作製し、それぞれ500
時間の連続放電によるランプ輝度の変化および色度の変
化を測定した。
【0089】評価用のキセノンランプの測定結果を表1
2ないし表14および図8ないし図10に示す。評価用
の蛍光ランプの測定結果を表15ないし表17および図
11ないし図13に示す。
【0090】なお、比較試料として、燐−マグネシウム
化合物処理をしないアルミン酸塩蛍光体(試料1−(2)
〜試料1−(4))を用いて作製したランプ(試料2−(2)
X〜試料2−(4)Xおよび試料2−(2)F〜試料2−(4)F)
を用いて、同様に測定して輝度および色度の変化を測定
した。なお、ランプ輝度の変化は輝度維持率〔%〕を用
いて初期輝度を100%として比較評価した。
【0091】
【表12】
【0092】
【表13】
【0093】
【表14】
【0094】
【表15】
【0095】
【表16】
【0096】
【表17】
【0097】これら表12ないし表17および図8ない
し図13に示す結果から、試料1−(2)〜試料1−(4)の
アルミン酸塩蛍光体、すなわち、マグネシウムの一部を
マンガン(Mn)によって置換した蛍光体や、バリウムの
一部をストロンチウム(Sr)によって置換した蛍光体に
おいても、燐酸−マグネシウム化合物処理することによ
り輝度維持率の低下が抑制されるとともに、色度(x,
y)の変化する割合が小さくなり、長期使用によるラン
プ輝度の低下および色調の変化を良好に抑制できること
がわかる。
【0098】この実験例4においても、実験例3と同様
に、添加する塩化マグネシウムおよび燐酸水素カリウム
の量が多くなるに従って、輝度維持率の低下がより抑制
されるが、同時に初期のランプ輝度も低下する傾向が見
られた。
【0099】(実験例5)次に、燐酸−マグネシウム化
合物処理により生成する燐酸−マグネシウムん化合物の
定性および定量について実験した。
【0100】(燐酸−マグネシウム化合物の定性)ま
ず、燐酸−マグネシウム化合物処理により生成する燐酸
−マグネシウム化合物の定性については、塩化マグネシ
ウム(MgCl2・6H2O)(関東化学株式会社製 特
級)を0.75gを蒸留水600mlに加えて撹拌混合
し、目視により完全に溶解したことを確認した後に、燐
酸水素カリウム(K2HPO4)(関東化学株式会社製 特
級)を6.0g添加し、さらに60分間撹拌混合した後
に静置する。この後、上澄み液を除去し、蒸留水により
残留する固形分を5回洗浄し、濾過により固形分を分集
し、充分に乾燥して生成物を得る。
【0101】そして、得られた生成物を、粉末X線回折
装置(理学電機株式会社製 商品名:RigakuGeigerfle
x,X線源;CuKα,20kV−40mA,走査速度;
2°/分)を用いて粉末X線回折して粉体を定性した。
そのX線チャートを図14に示す。この粉末X線回折に
よる定性の結果、燐酸−マグネシウム化合物であるMg
3(PO4)2の水和物が同定された。
【0102】また、実験例3で燐酸−マグネシウム化合
物処理した蛍光体の粉末を走査型電子顕微鏡により観察
および定性した結果、アルミン酸塩蛍光体の粉末の粒子
表面の一部にMg3(PO4)2の水和物が被覆形成されて
いるとともに、アルミン酸塩蛍光体の粉末の粒子間にM
3(PO4)2の水和物の粒子が単独で存在していること
が認められた。
【0103】これらのことから、燐酸−マグネシウム化
合物処理により、アルミン酸塩蛍光体の粉末の粒子表面
にMg3(PO4)2の水和物の結晶が成長し、一部は粒子
から剥離するなどして粉末粒子問に存在し、この状態に
よりランプ輝度の低下や色度のシフトを良好に抑制でき
たものと認められる。
【0104】また、実験例3で燐酸−マグネシウム化合
物処理により得られた試料3−(1)〜試料3−(9)をそれ
ぞれ蛍光X線分析によりMg3(PO4)2の水和物を無水
Mg 3(PO4)2として定量をした。なお、検量線は、上
記燐酸−マグネシウム化合物の定性の際に調製したMg
3(PO4)2の水和物の粉末を充分に加熱し無水和物とし
た後に試料1−(1)に0.05、1.0、2.0、4.
0および8.0質量%で混合したものを用いて作製し
た。
【0105】この定量の結果を表18に示す。
【0106】
【表18】
【0107】この表18に示す結果から、実験例3およ
び実験例4で燐酸−マグネシウム化合物処理によりラン
プ輝度の低下および色度のシフトを良好に抑制できるこ
とが明らかとなった試料3−(1)〜試料3−(8)には、無
水Mg3(PO4)2として0.05質量%から5.95質
量%が混在することがわかった。このことから、燐酸−
マグネシウム化合物である0.05質量%以上5.95
質量%以下の割合で、すなわち、燐(P)としては0.0
1質量%以上1.40質量%以下の割合で被覆、混合す
ることにより、長期にわたってランプ輝度の低下および
色度のシフトを良好に抑制でき、高輝度および安定した
色度が長期間に亘って確実に得ることができる特性の蛍
光体が得られることがわかった。
【0108】また、実施例3より、最適な範囲が試料3
−(2)ないし試料3−(7)の範囲が最も効果的であること
が確認されており、その範囲は無水Mg3(PO4)2とし
て0.13〜4.17質量%、すなわち、P含有量とし
て0.03〜0.98質量%である。
【0109】そして、上述一実施の形態のランプ用蛍光
体によれば、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)およ
びユーロピウム(Eu)を含有するアルミン酸塩蛍光体の
粉粒物の表面全体または一部を燐−マグネシウム化合物
で覆い、かつ、そのアルミン酸塩蛍光体の粉粒物間に燐
−マグネシウム化合物を位置させた構成であるから、従
来の構成に比べて、長期にわたってランプ輝度の低下お
よび色度のシフトを良好に抑制でき、適切な高輝度およ
び安定した色度が長期間に亘って得ることができる。
【0110】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、ランプの
製造工程での熱負荷により表面が酸化して輝度が低下す
ることを抑制し、高輝度が得られるとともに、ランプの
点灯時の紫外線やイオン衝撃からアルミン酸塩蛍光体が
保護され、輝度低下および色度シフトが生じることを抑
制し、よって、高輝度および安定した色度が長期間に亘
って得ることができる。
【0111】請求項2記載の発明によれば、ランプの製
造工程での熱負荷により表面が酸化して輝度が低下する
ことを抑制し、高輝度が得られるとともに、ランプの点
灯時の紫外線やイオン衝撃からアルミン酸塩蛍光体が保
護され、輝度低下および色度シフトが生じることを抑制
し、よって、高輝度および安定した色度が長期間に亘っ
て得ることができる。
【0112】請求項3記載の発明によれば、比較的輝度
の経時変化が少ない一般式がBaMgAl1017:E
u、BaMgAl1017:Eu,Mn、(Ba,Sr)
MgAl1017:Euおよび(Ba,Sr) MgAl10
17:Eu,Mnのいずれかで表されるアルミン酸塩蛍
光体を用いることにより、高輝度および安定した色度が
長期間に亘って適切に得ることができる。
【0113】請求項4記載の発明によれば、Mg3(PO
4)2ないしMg3(PO42・nH2O(n:整数)を主
成分とする燐−マグネシウム化合物を用いることで、高
輝度および安定した色度が長期間に亘って確実に得るこ
とができる。
【0114】請求項5記載の発明によれば、燐−マグネ
シウム化合物をアルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)とし
て0.01質量%以上1.4質量%以下の割合とするこ
とにより、燐−マグネシウム化合物がアルミン酸塩蛍光
体の発光を阻害することなく紫外線やイオン衝撃などか
らアルミン酸塩蛍光体を保護でき、よって、高輝度およ
び安定した色度が長期間に亘って確実に得ることができ
る。
【0115】請求項6記載の発明によれば、ランプの製
造工程での熱負荷により表面が酸化して輝度が低下する
ことを抑制し、高輝度が得られるとともに、ランプの点
灯時の紫外線やイオン衝撃からアルミン酸塩蛍光体が保
護され、輝度低下および色度シフトが生じることを抑制
し、よって、高輝度および安定した色度が長期間に亘っ
て得ることができる。
【0116】請求項7記載の発明によれば、ランプの製
造工程での熱負荷により表面が酸化して輝度が低下する
ことを抑制し、高輝度が得られるとともに、ランプの点
灯時の紫外線やイオン衝撃からアルミン酸塩蛍光体が保
護され、輝度低下および色度シフトが生じることを抑制
し、よって、高輝度および安定した色度が長期間に亘っ
て得ることができる。
【0117】請求項8記載の発明によれば、比較的輝度
の経時変化が少ない一般式がBaMgAl1017:E
u、BaMgAl1017:Eu,Mn、(Ba,Sr)
MgAl1017:Euおよび(Ba,Sr) MgAl10
17:Eu,Mnのいずれかで表されるアルミン酸塩蛍
光体を用いることにより、高輝度および安定した色度が
長期間に亘って適切に得ることができる。
【0118】請求項9記載の発明によれば、Mg3(PO
4)2ないしMg3(PO42・nH2O(n:整数)を主
成分とする燐−マグネシウム化合物を用いることで、高
輝度および安定した色度が長期間に亘って確実に得るこ
とができる。
【0119】請求項10記載の発明によれば、燐−マグ
ネシウム化合物をアルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)と
して0.01質量%以上1.4質量%以下の割合とする
ことにより、燐−マグネシウム化合物がアルミン酸塩蛍
光体の発光を阻害することなく紫外線やイオン衝撃など
からアルミン酸塩蛍光体を保護でき、よって、高輝度お
よび安定した色度が長期間に亘って確実に得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のランプ用蛍光体を製造
する工程を示すフローチャートである。
【図2】実験例3でのランプ輝度の経時変化を示すグラ
フである。
【図3】実験例3での色度(y)の経時変化を示すグラ
フである。
【図4】実験例3での色度(x)の経時変化を示すグラ
フである。
【図5】実験例3でのランプ輝度の経時変化を示すグラ
フである。
【図6】実験例3での色度(y)の経時変化を示すグラ
フである。
【図7】実験例3での色度(x)の経時変化を示すグラ
フである。
【図8】実験例4でのランプ輝度の経時変化を示すグラ
フである。
【図9】実験例4での色度(y)の経時変化を示すグラ
フである。
【図10】実験例4での色度(x)の経時変化を示すグ
ラフである。
【図11】実験例4でのランプ輝度の経時変化を示すグ
ラフである。
【図12】実験例4での色度(y)の経時変化を示すグ
ラフである。
【図13】実験例4での色度(x)の経時変化を示すグ
ラフである。
【図14】燐酸−マグネシウム化合処理により生成する
生成物の粉末X線回折の結果を示すグラフである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)お
    よびユーロピウム(Eu)を含むアルミン酸塩蛍光体を、
    燐化合物およびマグネシウム化合物を含有する溶液中で
    攪拌混合し、 前記アルミン酸塩蛍光体の表面に燐−マグネシウム化合
    物を被覆することを特徴とするランプ用蛍光体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)お
    よびユーロピウム(Eu)を含むアルミン酸塩蛍光体を、
    燐化合物およびマグネシウム化合物を含有する溶液中で
    攪拌混合し、 前記アルミン酸塩蛍光体に燐−マグネシウム化合物を混
    合することを特徴とするランプ用蛍光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミン酸塩蛍光体は、一般式がBaM
    gAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,M
    n、(Ba,Sr) MgAl1017:Euおよび(Ba,
    Sr) MgAl1017:Eu,Mnのいずれかで表され
    るものであることを特徴とする請求項1または2記載の
    ランプ用蛍光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 燐−マグネシウム化合物は、Mg3(PO
    4)2ないしMg3(PO4)2・nH2O(n:整数)を主成分
    とすることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記
    載のランプ用蛍光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 燐−マグネシウム化合物の割合は、アル
    ミン酸塩蛍光体に対して燐(P)として0.01質量%以
    上1.4質量%以下であることを特徴とする請求項1な
    いし4いずれか一記載のランプ用蛍光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)お
    よびユーロピウム(Eu)を含むアルミン酸塩蛍光体と、 このアルミン酸塩蛍光体の表面に被覆形成された燐−マ
    グネシウム化合物とを備えたことを特徴とするランプ用
    蛍光体。
  7. 【請求項7】 バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)お
    よびユーロピウム(Eu)を含むアルミン酸塩蛍光体と、 このアルミン酸塩蛍光体に混合された燐−マグネシウム
    化合物とを備えたことを特徴とするランプ用蛍光体。
  8. 【請求項8】 アルミン酸塩蛍光体は、一般式がBaM
    gAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,M
    n、(Ba,Sr) MgAl1017:Euおよび(Ba,
    Sr) MgAl1017:Eu,Mnのいずれかで表され
    るものであることを特徴とする請求項6または7記載の
    ランプ用蛍光体。
  9. 【請求項9】 燐−マグネシウム化合物は、Mg3(PO
    4)2ないしMg3(PO4)2・nH2O(n:整数)を主成分
    とすることを特徴とする請求項6ないし8いずれか一記
    載のランプ用蛍光体。
  10. 【請求項10】 燐−マグネシウム化合物の割合は、ア
    ルミン酸塩蛍光体に対して燐(P)として0.01質量%
    以上1.4質量%以下であることを特徴とする請求項6
    ないし9いずれか一記載のランプ用蛍光体。
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