JP2002275374A - 半導体超微粒子を含有する球状微粒子 - Google Patents

半導体超微粒子を含有する球状微粒子

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JP2002275374A JP2001394269A JP2001394269A JP2002275374A JP 2002275374 A JP2002275374 A JP 2002275374A JP 2001394269 A JP2001394269 A JP 2001394269A JP 2001394269 A JP2001394269 A JP 2001394269A JP 2002275374 A JP2002275374 A JP 2002275374A
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Manabu Kawa
学 加和
Shuichi Shibata
修一 柴田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 球状微粒子光共振器として利用可能な、半導
体超微粒子が均一に分散しており光散乱が高度に抑制さ
れた球状微粒子を提供する。 【解決手段】 ケイ素−酸素結合を高分子鎖の主体とし
て含有する高分子マトリクスとこれに均一に分散した半
導体超微粒子とを必須成分とする組成物からなり、数平
均粒径が0.1〜30μmかつ粒径の標準偏差が15%
以下であることを特徴とする球状微粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体超微粒子を含
有する球状微粒子に関する。本発明の球状微粒子は極め
て真球度が高く粒径分布が小さい特徴を有し、しかも半
導体超微粒子を含有するので、光の吸収や発光、あるい
は高い屈折率といった特徴をも有する。従って、本発明
の球状微粒子は、新しい発光材料、特にレーザー発振光
を発する球状微粒子光共振器、あるいはフォトニック結
晶の構成微粒子として利用可能なものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光物質を含有する光学的に透明な球状
微粒子内部の該蛍光物質を励起して蛍光を発生させた場
合、その屈折率が外界媒質の屈折率よりも大きいと、該
蛍光は球面近傍で全反射を繰り返しながら球状微粒子内
面を多数回数めぐる。このとき、球状微粒子の半径で定
まる球面内部1周の光路長が蛍光波長の整数倍となる条
件を満たして位相がそろう蛍光のみに共振が生じ、レー
ザー発振光となる。かかる原理によるレーザー発振器は
球状微粒子光共振器と呼ばれる。
【0003】球状微粒子光共振器の原理の確認は、C.
G.B.Garrettら;Phys.Rev.,12
4巻,1807頁(1961)に報告された数mm径の
Sm 2+添加CaF2固体球を液体窒素温度でのキセノン
フラッシュランプでの励起実験にまで遡る。しかし、無
機結晶の固体球を用いるため成形生産性が極端に劣る
点、及び直径が数mmと極めて大きいためレーザー発振
を起こすエネルギーしきい値が大きいという欠点があっ
た。
【0004】その後、レーザー色素(ローダミン6G)
を含有する粒径60μm程度の液滴でのレーザー発振が
H.M.Tzengら;Opt.Lett.,9巻,4
99頁(1984)に、色素を添加した粒径が10〜数
10μm程度の樹脂球での発振がM.Kuwata−G
onokamiら;Jpn.J.Appl.Phy
s.,31巻,L99頁(1992)等にそれぞれ報告
されたが、前者では該液滴が形状安定性に極端に劣る
点、後者では真球度の高い樹脂球を効率よく製造するこ
とが難しい点に技術的限界があり、しかも共にレーザー
発振時の耐久性に劣る有機色素を用いる点に課題を残し
ていた。
【0005】粒径が5〜10μm程度であり真球度が高
くしかも粒径分布の小さい球状微粒子にローダミン6G
色素を添加した場合のレーザー発振が、S.Shiba
taら;Proceedings of SPIE,3
943巻,112−119(2000)、及び柴田修一
ら;日本マイクログラビティ応用学会誌,17巻3号,
166−171(2000)に報告されている。この技
術は、いわゆるゾル−ゲル法によるアルコキシシラン類
の加水分解縮合による液相からの非晶性高分子合成にお
いて、初期原料液相に該色素を添加しておき、該原料液
相を振動するオリフィス(微細孔)から気相に押し出す
ことにより精密に制御された容量の液滴を生成せしめ、
かかる液滴を次いでゾル−ゲル法反応条件の液相に導入
して該反応を進行させて球状微粒子とする「振動オリフ
ィス法」により、前記の優れた特徴を有する色素含有球
状微粒子を製造するものである。これにより、粒径と真
球度の精密制御が可能となっただけでなく、数μmの粒
径とすることでレーザー発振を起こすエネルギーしきい
値を原理的に小さくすることが可能となったが、耐久性
に劣る有機色素を用いる点に依然課題を残していた。
【0006】有機色素にはない耐久性を有する無機発光
体として、最近、半導体超微粒子が注目されている。こ
れは、その主体である半導体結晶の量子効果による吸発
光特性を有するため、前記の球状微粒子光共振器の諸技
術において、有機色素の代わりに使用することが期待さ
れる。かかる性質を有する超微粒子は、コロイド粒子、
ナノ結晶(Nanocrystal)、ナノ粒子(Na
noparticle)、あるいは量子ドット(Qua
ntum dot)等とも呼称される場合がある。
【0007】トリオクチルホスフィン(以下、TOPO
と略称する)等のホスフィンオキシド類を溶媒兼配位子
とする高温反応により合成される半導体超微粒子の優れ
た発光特性が、例えばJ.E.B.Katariら;
J.Phys.Chem.,98巻,4109−411
7(1994)やB.O.Dabbousiら;J.P
hys.Chem.B,101巻,9463−9475
(1997)に報告されている。しかし、このような脂
溶性有機配位子を結合した半導体超微粒子を、前記の
「振動オリフィス法」による球状微粒子光共振器製造技
術に応用しようとしても、ゾル−ゲル法の原料液相が通
常含水アルコール溶液であるため実質的に不溶性であ
り、ゾル−ゲル法反応生成物は濁った組成物となるので
光学用途に使用することは困難であった。
【0008】米国特許5990479号明細書には、例
えばCdSeを主体とする半導体ナノ結晶表面に、3−
メルカプトプロピルトリメトキシシランのような半導体
結晶表面に配位性のアルコキシシラン類をまず作用さ
せ、次いでトリメトキシシリルプロピル尿素やアミノプ
ロピルトリメトキシシラン等の親水性や生物学的相互作
用の付与に有用な官能基(以下バイオ官能基と称する)
を持つアルコキシシラン類をアルカリ性条件で作用させ
ることにより、半導体結晶表面における前記のゾル−ゲ
ル法反応を進行させてかかるバイオ官能基を導入する方
法が例示されている。しかし、この技術の目的はゾル−
ゲル法により該バイオ官能基の半導体ナノ結晶表面への
導入にあるため、ゾル−ゲル法による高分子マトリクス
の生成をむしろ積極的に回避すべく該バイオ官能基を持
つシラン類の反応濃度を含水メタノール中0.1〜0.
01体積%と極めて希薄なものとしている。従って、こ
こに開示された技術では、半導体超微粒子が分散した球
状微粒子のような球状微粒子の調製は事実上不可能であ
った。
【0009】前記のゾル−ゲル法原料液相への半導体超
微粒子の溶解性の課題を解決する手段として、例えば
X.Pengら;Angew.Chem.Int.E
d.Engl.,36巻,145−147(1997)
には、TOPOを有機配位子とするCdSeナノ結晶に
N−メチル−4−メルカプト安息香酸アミドを作用させ
る配位子交換反応によりメタノール可溶化する報告があ
る。同様に、M.Bruchez Jr.ら;Scie
nce,281巻,2013−2016(1998)に
は、TOPOを有機配位子としCdSeを主体とするナ
ノ結晶に3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを
作用させる配位子交換反応によりメタノール可溶化する
報告がある。しかし、これらの方法で得られる半導体超
微粒子は、前記の配位子交換反応で導入される有機配位
子が、例えばTOPO等に比べて親水的であるため発光
特性が不安定である欠点を持ち、前記のゾル−ゲル法反
応の条件によってはその発光特性が大きく損なわれる場
合があった。
【0010】A.L.Rogachら;J.Phys.Ch
em.B,103巻,3065-3069(1999)に
は、過塩素酸カドミウムを原料とする水溶液反応によ
り、2−メルカプトエタノールや1−チオグリセロール
等のメルカプトアルコール類を配位子とするCdSeナ
ノ結晶を得る方法が報告されており、かかる生成物はア
ルコール可溶性であるものと推定される。しかし、塩を
原料とするかかる水溶液反応で得られる半導体超微粒子
は、前記のTOPO等を溶媒兼配位子とする高温反応で
得られる半導体超微粒子が持つ優れた発光特性を実現困
難であるという問題があった。
【0011】更に、イオンインプランテーション法と呼
ばれる、半導体原料をマトリクスに吸収させて半導体超
微粒子を該マトリクス中で形成させる方法が、例えば
A.Meldrumら;Mater. Res. Soc.
Symp. Proc.,536巻,317−322(1
999)において知られている。しかし、この方法では
あらかじめ成形された石英ガラス等のマトリクスの表面
から半導体原料のイオンを注入するので、表面からの深
さ方向での半導体超微粒子の存在濃度や粒径の制御に限
界があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、球状微粒子光共
振器として利用可能な、半導体超微粒子が均一に分散し
ており光散乱が高度に抑制された球状微粒子を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の目的
を達成すべく、ゾル−ゲル法による非晶性高分子合成、
及びゾル−ゲル法反応系に溶解性を有する半導体超微粒
子について鋭意検討を重ねた結果、特にメチレン基連鎖
及びトリエチレングリコールモノメチルエーテル等のポ
リエチレングリコール残基を有する有機配位子を結合し
た半導体超微粒子の使用により、極めて均一性の高い半
導体超微粒子の分散をゾル−ゲル法により得られる高分
子マトリクス中で達成し、しかも発光能が非常に良好に
保持されることを見いだした。更に、かかるゾル−ゲル
法を利用した非晶性高分子組成物技術を前記の「振動オ
リフィス法」に適用した結果、真球度と透明性に優れた
高い球状微粒子を得ることを見いだして、本発明に到達
した。
【0014】即ち本発明の第1の要旨は、ケイ素−酸素
結合を高分子鎖の主体として含有する高分子マトリクス
とこれに均一に分散した半導体超微粒子とを必須成分と
する組成物からなり、数平均粒径が0.1〜30μmか
つ粒径の標準偏差が15%以下であることを特徴とする
球状微粒子、に存する。また本発明の第2の要旨は、有
機配位子を結合した半導体超微粒子の共存下、アルコキ
シシラン類を主体とする金属アルコキシド類の加水分解
縮合反応を行う工程を含むことを特徴とする前記の球状
微粒子の製造方法、に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】[球状微粒子]本発明の球状微粒
子は、ケイ素−酸素結合(以下「Si−O結合」と記
す)を高分子鎖の主体とする高分子マトリクスとこれに
均一に分散した半導体超微粒子とを必須成分とする組成
物からなるものである。
【0016】本発明の球状微粒子の数平均粒径は通常
0.1〜30μmの範囲であり、可視領域で発光する球
状微粒子光共振器を目的とする場合に好ましくは0.5
〜20μm、更に好ましくは0.8〜10μm程度の範
囲とする。かかる数平均粒径は、光学顕微鏡あるいは走
査型電子顕微鏡(SEM)等により観察される像から決
定される。1つの粒子像が完全な円形でない場合、その
粒径は、同一面積の円の直径として定義される。該数平
均粒径の決定には、例えば公知の画像データの統計処理
手法を使用して構わない。かかる統計処理に使用する観
察像の数(統計処理データ数)は可及的多いことが当然
望ましく、本発明においては、再現性の点で無作為に選
ばれた該観察像の個数として最低でも50個以上、好ま
しくは80個以上、更に好ましくは100個以上とす
る。該数平均粒径が大きすぎると球状微粒子光共振器の
発振しきい値が大きくなり過ぎる場合があり、一方該数
平均粒径が小さすぎると可視領域波長に不適当となる場
合があるので、いずれも好ましくない。
【0017】本発明の球状微粒子の粒径分布は、その標
準偏差として、通常15%以下、好ましくは10%以
下、更に好ましくは7%以下程度に制御する。かかる粒
径の標準偏差の決定は、前記の数平均粒径の決定方法と
同様に、顕微鏡観察像に基づいて行う。該標準偏差が大
きすぎると球状微粒子光共振器の発振効率が低下する場
合があるので好ましくない。
【0018】前記の高分子マトリクスは非晶性であるこ
とが光学的透明性の点で好ましい。ここで言う「非晶
性」とは、エックス線散乱測定(XRD)により繰返し
構造による回折ピークを明確に示さない構造を意味す
る。なお、本発明における「マトリクス」とは、半導体
超微粒子等の分散相を含有する連続相を意味する。前記
の「ケイ素−酸素結合を高分子鎖の主体とする」という
表現は、高分子マトリクスを構成する高分子(架橋構造
を含んでいても構わない)の主鎖を構成する化学結合の
主体がSi−O結合であることを意味する。該主鎖に
は、例えばチタン−酸素結合(Ti−O)、ジルコニウ
ム−酸素結合(Zr−O)、あるいはアルミニウム−酸
素結合(Al−O)等の任意の金属元素−酸素結合が含
まれていても構わないが、該主鎖を構成する全化学結合
中のSi−O結合のモル百分率は、通常50〜100モ
ル%、好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは
80〜100モル%程度とする。このモル百分率が小さ
すぎると、本発明の球状微粒子の成形体としての均質性
が低下する場合がある。なお、前記のケイ素以外の金属
元素(Ti、Zr、Al等)は、例えば、前記のゾル−
ゲル法による非晶性高分子合成において、原料として対
応する金属元素のアルコキシドを共重合することにより
導入可能である。特にチタンやジルコニウム等の比較的
大きな原子番号の元素を該主鎖に導入すると、高分子マ
トリクス自体の屈折率を効果的に大きくでき、フォトニ
ック結晶等の用途を想定した本発明の目的上好ましい場
合がある。
【0019】また、前記の高分子マトリクスを構成する
高分子が含有する全化学結合(以下「マトリクスを構成
する全化学結合」と呼ぶ)に対するモル百分率は、通常
10〜90モル%、好ましくは15〜80モル%、更に
好ましくは20〜70モル%程度とする。この割合が小
さすぎると球状微粒子の機械的強度や線膨張係数が極端
に低下する場合があり、逆に大きすぎると球状微粒子の
成形体としての均質性が低下する場合がある。
【0020】かかるマトリクスを構成する全化学結合に
含有されるSi−O結合以外の結合の種類には制限はな
い。例えば前記のゾル−ゲル法による高分子マトリクス
合成反応の原料として後述するようなケイ素−炭素結合
(以下「Si−C結合」と記す)を有するアルコキシシ
ラン類、例えばフェニルトリエトキシシラン等を用いた
場合には、該Si−C結合を含有する高分子マトリクス
となる。また、かかる場合にはフェニル基のような有機
基を残存させることが可能なので、2つの炭素原子間の
結合(単結合、二重結合、三重結合、あるいは芳香族結
合等のいずれでも構わない)や炭素−水素結合(以下そ
れぞれ「C/C結合」や「C−H結合」と記す)等の有
機共有結合が含有される。後述するように、例えばフェ
ニルトリエトキシシランのような有機基にケイ素原子が
直接共有結合したトリアルコキシシラン類は特に好適に
本発明に用いられるが、例えばフェニルトリエトキシシ
ランのみを原料として使用したゾル−ゲル法により完全
なガラス化(即ち、アルコキシ基の完全な消費によるS
i−O結合の形成)が進行したとすると、かかる高分子
マトリクスの構成単位組成を「PhSiO」(但しPh
はフェニル基)と考えれば、かかるマトリクスを構成す
る全化学結合の内訳は、Si−O結合が20モル%、S
i−C結合が6.7モル%、C/C結合が40モル%、
C−H結合が33.3モル%となり、この場合、前記の
主鎖を構成する化学結合についてはSi−O結合が10
0モル%となる。
【0021】本発明の球状微粒子は、例えば後に詳述す
るゾル−ゲル法により好適に製造されるが、こうして製
造された球状微粒子は空気中での加熱により通常重量減
少を生じる。かかる重量減少は、具体的には30℃から
550〜600℃の範囲に昇温した場合の加熱減量によ
り定量的に定義される量であり、例えば空気流通下での
熱重量分析(TG)により測定される重量減少である。
更に具体的な測定上件を例示すると、1〜10mg程度
の試料に対して、20〜30℃程度の室温付近から55
0〜600℃の範囲に毎分5〜20℃程度の昇温速度で
昇温し、550〜600℃の範囲で90分以上保温して
行えば通常十分な再現性のある加熱減量測定値を与え
る。かかる重量減少は、ゾル−ゲル法に由来する残存溶
媒、高分子マトリクス中のアルコキシ基等の有機構造や
水酸基、あるいは半導体超微粒子が含有する有機配位子
等の有機構造が、蒸発、熱分解、あるいは縮合反応によ
るアルコキシ基の脱離等により失われることに起因する
と考えられる。
【0022】かかる重量減少は球状微粒子の耐熱性、剛
性、あるいは熱膨張係数の点では小さいほど好ましい。
一方、球状微粒子に適度な靱性(耐衝撃性や可撓性)を
持たせたい場合にはその弾性率をむしろ適正な範囲に制
御することが好ましい。かかる弾性率の制御は、例えば
後述するゾル−ゲル法による本発明の球状微粒子の製造
方法において、高分子マトリクス原料である金属アルコ
キシド類としてアルキル基やフェニル基等の非加水分解
性の置換基を有するものを使用したり、あるいは加水分
解縮合反応の進行度を制御することで通常行われる。従
って、該重量減少の好適な範囲は目的により変動する
が、通常20〜75重量%、好ましくは30〜60重量
%程度とする。
【0023】本発明の球状微粒子は、前記の高分子マト
リクス中に、後述する半導体超微粒子を均一に分散して
含有するので、光学用途に好適な高度の透明性を達成す
ることが可能である。ここで言う均一な分散とは、含有
される半導体結晶粒子の数平均粒子間距離が5nm以上
である状態を意味する。かかる数平均粒子間距離は、前
記の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により決定され
る。即ち、与えられた球状微粒子をTEM観察して得ら
れるある半導体結晶粒子像の外周と、これに最も近接す
る別の半導体結晶粒子像の外周とを結ぶ最短距離を粒子
間距離と定義した場合の、観察した全粒子像における該
粒子間距離の数平均に該当する。該数平均粒子間距離の
決定に使用する半導体結晶粒子像の数(統計処理データ
数)は可及的多いことが望ましく、本発明においては、
再現性の点で無作為に選ばれた該粒子像の個数として最
低でも50個以上、好ましくは80個以上、更に好まし
くは100個以上とする。該数平均粒子間距離は好まし
くは10nm以上、更に好ましくは20nm以上であ
る。
【0024】本発明の球状微粒子には、本発明の目的を
大きく阻害しない限りにおいて任意の添加剤、例えば酸
化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の安定剤類、金属超微
粒子、あるいは顔料や染料等の有機色素類等を混合する
ことも可能である。 [半導体超微粒子]本発明の球状微粒子が含有する半導
体超微粒子は、後述する半導体結晶粒子を主体としその
表面に通常有機配位子を結合してなるものである。
【0025】該半導体超微粒子の球状微粒子中の含有量
は、半導体結晶粒子の体積百分率として通常0.1〜5
0体積%程度とする。該体積百分率の下限は、球状微粒
子の光吸収能や発光能あるいは屈折率上昇効果の点で好
ましくは1体積%、更に好ましくは5体積%程度とす
る。また、該体積百分率の上限は、球状微粒子の製造時
の真球度や粒径制御の点で好ましくは40体積%、更に
好ましくは30体積%程度とする。かかる半導体結晶粒
子の体積百分率の決定には、与えられた球状微粒子の透
過型電子顕微鏡(TEM)観察像より測定される数値を
用いる。即ち、観察される半導体結晶粒子像と同面積の
円の直径を該粒子像の粒径と定義し、該粒径と同一の直
径の球の体積を該結晶粒子の体積と定義する。こうして
決定される各粒子の体積を用いて、例えば公知の画像デ
ータの統計処理手法により該体積百分率を算出するが、
かかる統計処理に使用する半導体結晶粒子像の数(統計
処理データ数)は可及的多いことが当然望ましく、本発
明においては、再現性の点で無作為に選ばれた該粒子像
の個数として最低でも50個以上、好ましくは80個以
上、更に好ましくは100個以上とする。
【0026】本発明における半導体結晶粒子とは、任意
の半導体結晶を含有する粒子であり、該半導体結晶の構
造や組成は、例えば半導体単結晶、複数半導体結晶組成
が相分離した混晶、相分離の観察されない混合半導体結
晶のいずれでも構わない。また、該半導体結晶粒子は後
述するコアシェル構造をなしていても構わない。本発明
における半導体結晶粒子の数平均粒径は、通常0.5〜
30nm、好ましくは1〜20nm、更に好ましくは2
〜10nm、最も好ましくは3〜7nm程度とする。か
かる半導体結晶粒子の数平均粒径の決定に当たり使用す
る各結晶粒子の粒径の定義とその決定方法は、前記の透
過型電子顕微鏡(TEM)観察像を用いる方法における
記述と同一である。前記の半導体結晶粒子の数平均粒径
が大きすぎると量子効果が顕著でなくなるので、量子効
果により該数平均粒径の関数として制御される吸発光特
性の制御性が低下する場合があり、一方該数平均粒径が
小さすぎると半導体結晶粒子の独立した結晶としての機
能(例えばバンド構造の形成)が低下する場合があり、
いずれも好ましくない。
【0027】前記のように決定される半導体結晶粒子の
粒径分布は、これが小さいほど半導体結晶のエキシトン
準位に基づく吸収帯あるいは発光帯の波長幅が小さくな
ると考えられるのでレーザー発振の点で好ましく、標準
偏差として通常20%以下、好ましくは15%以下、更
に好ましくは10%以下に制御する。但し、半導体結晶
の高屈折率性を利用する用途、例えばフォトニック結晶
の形成に本発明の球状微粒子を使用する場合には、球状
微粒子の高い屈折率と透明性のみが必要となる場合があ
るので、かかる粒径分布は問題とならない場合もある。
【0028】本発明の球状微粒子が含有する半導体結晶
粒子は複数種から構成されていても構わず、あるいは同
種の半導体結晶からなる半導体結晶粒子でも、例えば2
山分布等その粒径分布を必要に応じて任意に変化させて
構わない。但し、球状微粒子の透明性、即ち光散乱の低
減の点で、粒径が100nmを越える半導体結晶粒子が
含有されていないことが望ましい。
【0029】なお、半導体結晶粒子が発光特性を有する
場合には、本発明の球状微粒子はかかる発光特性を利用
する用途にも有用となる。特に、エキシトン準位からの
発光は、発光帯の線幅が小さいので色純度の優れた発光
となり、しかも前記の量子効果により半導体結晶粒子の
粒径により発光波長を制御可能であるので、特に有用で
ある。
【0030】[半導体結晶の組成]前記の半導体結晶粒
子が含有する半導体結晶の組成には特に制限はないが、
本発明の球状微粒子の有用な性質、例えば吸発光特性や
高屈折率性といった性質を該半導体結晶が有することが
望ましい。かかる半導体結晶の組成例を元素記号あるい
は組成式として例示すると、C、Si、Ge、Sn等の
周期表第14族元素の単体、P(黒リン)等の周期表第
15族元素の単体、SeやTe等の周期表第16族元素
の単体、SiC等の複数の周期表第14族元素からなる
化合物、SnO2、Sn(II)Sn(IV)S3、Sn
2、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbS
e、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第16族
元素との化合物、BN、BP、BAs、AlN、Al
P、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、
GaSb、InN、InP、InAs、InSb等の周
期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あ
るいはIII−V族化合物半導体)、Al23、Al2Se
3、Ga23、Ga2Se3、Ga2Te3、In23、I
23、In2Se3、In2Te3等の周期表第13族元
素と周期表第16族元素との化合物、TlCl、TlB
r、TlI等の周期表第13族元素と周期表第17族元
素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、
CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgS
e、HgTe等の周期表第12族元素と周期表第16族
元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導
体)、As23、As2Se3、As2Te3、Sb23
Sb2Se3、Sb2Te3、Bi23、Bi 2Se3、Bi
2Te3等の周期表第15族元素と周期表第16族元素と
の化合物、Cu2O、Cu2Se等の周期表第11族元素
と周期表第16族元素との化合物、CuCl、CuB
r、CuI、AgCl、AgBr等の周期表第11族元
素と周期表第17族元素との化合物、NiO等の周期表
第10族元素と周期表第16族元素との化合物、Co
O、CoS等の周期表第9族元素と周期表第16族元素
との化合物、Fe34、FeS等の周期表第8族元素と
周期表第16族元素との化合物、MnO等の周期表第7
族元素と周期表第16族元素との化合物、MoS2、W
2等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化
合物、VO、VO2、Ta25等の周期表第5族元素と
周期表第16族元素との化合物、TiO2、Ti25
Ti23、Ti59等の酸化チタン類(結晶型はルチル
型、ルチル/アナターゼの混晶型、アナターゼ型のいず
れでも構わない)、ZrO2等の周期表第4族元素と周
期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周
期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、Cd
Cr24、CdCr2Se4、CuCr24、HgCr2
Se4等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3
等が挙げられる。なお、G.Schmidら;Adv.
Mater.,4巻,494頁(1991)に報告され
ている(BN)75(BF21515や、D.Fensk
eら;Angew.Chem.Int.Ed.Eng
l.,29巻,1452頁(1990)に報告されてい
るCu146Se73(トリエチルホスフィン)22のように
構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示さ
れる。
【0031】これらのうち実用的に重要なものは、例え
ばSnO2、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、P
bS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周
期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaA
s、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等
のIII−V族化合物半導体、Ga23、Ga23、Ga2
Se3、Ga2Te3、In23、In23、In2
3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第1
6族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、Zn
Te、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、
HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半
導体、As23、As23、As2Se3、As2Te3
Sb23、Sb23、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2
3、Bi23、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第
15族元素と周期表第16族元素との化合物、前記の酸
化チタン類やZrO2等の周期表第4族元素と周期表第
16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第
2族元素と周期表第16族元素との化合物である。
【0032】これらの中でも、SnO2、GaN、Ga
P、In23、InN、InP、Ga23、Ga23
In23、In23、ZnO、ZnS、CdO、Cd
S、前記の酸化チタン類やZrO2、MgS等は高い屈
折率を有ししかも毒性の高い陰性元素を含まないので耐
環境汚染性や生物への安全性の点で好ましく、この観点
ではSnO2、In23、ZnO、ZnS、前記の酸化
チタン類やZrO2等の毒性の高い陽性元素を含まない
組成は更に好ましく、中でもZnO、あるいは前記の酸
化チタン類(高屈折率性のためにはルチル型結晶が特に
好ましい)やZrO 2等の酸化物半導体結晶は最も好ま
しい。なお、ルチル型酸化チタン結晶粒子の長波長側吸
収端はバルク状態では通常400nm付近であるが、該
結晶粒子の数平均粒径を本発明の範囲である0.5〜3
0nm程度とすることで該長波長側吸収端波長をより短
波長にずらすことが可能となり、可視領域での無色性を
向上させる長所が生じる場合がある。
【0033】一方、本発明の球状微粒子の球状微粒子光
共振器への応用を考えた場合、実用的に重要な可視領域
とその近傍に発光帯を有するGaN、GaP、GaA
s、InN、InP等のIII−V族化合物半導体、Zn
O、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、C
dSe、CdTe、HgO、HgS等のII−VI族化
合物半導体、In23、In23等が重要であり、中で
も半導体結晶の粒径の制御性と発光能から好適なのはZ
nO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、
CdSe等のII−VI族化合物半導体であり、特にZ
nSe、CdS、CdSe等がこの目的では更に好適に
用いられる。
【0034】前記で例示した任意の半導体結晶の組成に
は、必要に応じて微量のドープ物質(故意に添加する不
純物の意味)として例えばAl、Mn、Cu、Zn、A
g、Cl、Ce、Eu、Tb、Er等の元素を加えても
構わない。 [コアシェル構造をなす半導体結晶粒子]前記の半導体
結晶粒子は、例えばA.R.Kortanら;J.A
m.Chem.Soc.,112巻,1327頁(19
90)あるいは米国特許5985173号公報(199
9)に報告されているように、その半導体結晶の電子励
起特性を改良する目的で内核(コア)と外殻(シェル)
からなるいわゆるコアシェル構造とすると、該コアを成
す半導体結晶の量子効果の安定性が改良される場合があ
るので、エキシトン準位に基づく吸収帯あるいは発光帯
を利用する用途、例えば球状微粒子光共振器に好適な場
合がある。この場合、シェルの半導体結晶の組成とし
て、禁制帯幅(バンドギャップ)がコアよりも大きなも
のを起用することによりエネルギー的な障壁を形成せし
めることが一般に有効である。これは、外界の影響や結
晶表面での結晶格子欠陥等の理由による望ましくない表
面準位等の影響を抑制する機構によるものと推測され
る。
【0035】かかるシェルに好適に用いられる半導体結
晶の組成としては、コア半導体結晶のバンドギャップに
もよるが、バルク状態のバンドギャップが温度300K
において2.0電子ボルト以上であるもの、例えばB
N、BAs、GaNやGaP等のIII−V族化合物半導
体、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、C
dS等のII−VI族化合物半導体、MgSやMgSe
等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物
等が好適に用いられる。これらのうちより好ましいシェ
ルとなる半導体結晶組成は、BN、BAs、GaN等の
III−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnSe、
CdS等のII−VI族化合物半導体、MgS、MgS
e等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合
物等のバルク状態のバンドギャップが温度300Kにお
いて2.3電子ボルト以上のものであり、最も好ましい
のはBN、BAs、GaN、ZnO、ZnS、ZnS
e、MgS、MgSe等のバルク状態のバンドギャップ
が温度300Kにおいて2.5電子ボルト以上のもので
あり、化学合成上ZnSは最も好適に使用される。
【0036】[有機配位子]本発明の球状微粒子が含有
する半導体超微粒子は前記の半導体結晶粒子をその主体
とするが、該半導体結晶粒子は、その表面に有機配位子
を結合して半導体超微粒子を形成していることが望まし
い。かかる有機配位子とは、後述する配位官能基により
該半導体結晶粒子の表面に任意の結合様式(例えば、配
位結合、共有結合、イオン結合、水素結合等)で結合す
る有機分子を意味する。本発明の目的を著しく損なわな
い限りにおいて、かかる有機配位子の化学構造に制限は
なく、また複数種の有機配位子を併用しても構わない。
【0037】かかる有機配位子の役割は、本発明の球状
微粒子において、該半導体結晶粒子を高分子マトリクス
中に良好に分散する効果(以下「分散効果」と呼ぶ)、
及び/又は該半導体結晶粒子を大気(特に酸素ガスや
水)等の外界からの影響から遮蔽して保持する効果(以
下「遮蔽効果」と呼ぶ)を発揮することにある。本発明
の球状微粒子は、いわゆるゾル−ゲル法によるアルコキ
シシラン類の加水分解縮合による液相からの非晶性高分
子合成により特に好適に製造されるので、使用する半導
体超微粒子が該ゾル−ゲル法反応液にあらかじめ良好に
分散することが好ましい。該ゾル−ゲル法反応液は、通
常含水アルコール溶液であるので、かかる目的に合致す
る有機配位子は、親水性構造を有し含水アルコール溶液
への優れた分散効果を発揮するものである。
【0038】また前記の遮蔽効果の点では、該有機配位
子は炭素数4以上のメチレン基連鎖を含有するものであ
ることが好ましい。かかる遮蔽効果は、特に該ゾル−ゲ
ル法反応液のような水やエタノール等のプロトン性溶媒
中においてその効果を顕著に発揮する。これは、該メチ
レン基連鎖がその疎水性により一種の疎水障壁を半導体
結晶表面に形成し、プロトン性溶媒分子、あるいはゾル
−ゲル法反応に使用される触媒であるプロトン酸や塩基
等の極性化学種が半導体結晶表面に接近して半導体結晶
を形成する金属元素を溶出する等の悪影響を妨げる、と
いった機構によるものと推測される。かかる炭素数4以
上のメチレン基連鎖を有する有機配位子の使用により、
具体的には、半導体結晶粒子の量子効果による吸発光特
性の安定化が見られる場合が多い。このメチレン基連鎖
の炭素数は通常4〜20、好ましくは5〜16、最も好
ましくは6〜12程度とする。
【0039】前記の有機配位子が有する配位官能基に
は、半導体結晶表面への結合能力を有する限りにおいて
制限はないが、通常周期表第15又は16族元素を含有
する官能基を用いる。その具体例としては、1級アミノ
基(−NH2)、2級アミノ基(−NHR;但しRはメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基
等の炭素数6以下の炭化水素基である;以下同様)、3
級アミノ基(−NR12;但しR1及びR2は独立にメチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等
の炭素数6以下の炭化水素基である;以下同様)、ニト
リル基やイソシアネート基等の含窒素多重結合を有する
官能基、ピリジン環やトリアジン環等の含窒素芳香環等
の窒素含有官能基、1級ホスフィン基(−PH2)、2
級ホスフィン基(−PHR)、3級ホスフィン基(−P
12)、1級ホスフィンオキシド基(−PH2
O)、2級ホスフィンオキシド基(−PHR=O)、3
級ホスフィンオキシド基(−PR12=O)、1級ホス
フィンセレニド基(−PH2=Se)、2級ホスフィン
セレニド基(−PHR=Se)、3級ホスフィンセレニ
ド基(−PR12=Se)等のリン含有官能基等の周期
表第15族元素を含有する官能基、水酸基(−OH)、
メチルエーテル基(−OCH3)、フェニルエーテル基
(−OC65)、カルボキシル基(−COOH)等の酸
素含有官能基、メルカプト基(別称はチオール基;−S
H)、メチルスルフィド基(−SCH3)、エチルスル
フィド基(−SCH2CH3)、フェニルスルフィド基
(−SC65)、メチルジスルフィド基(−S−S−C
3)、フェニルジスルフィド基(−S−S−C
65)、チオ酸基(−COSH)、ジチオ酸基(−CS
SH)、キサントゲン酸基、キサンテート基、イソチオ
シアネート基、チオカルバメート基、チオフェン環等の
硫黄含有官能基等の周期表第16族元素を含有する官能
基等が例示される。これらのうち好ましく利用されるの
は、ピリジン環等の窒素含有官能基、3級ホスフィン
基、3級ホスフィンオキシド基、3級ホスフィンセレニ
ド基等のリン含有官能基等の周期表第15族元素を含有
する官能基、メルカプト基、メチルスルフィド基等の硫
黄含有官能基等の周期表第16族元素を含有する官能基
であり、中でも3級ホスフィン基、3級ホスフィンオキ
シド基等のリン含有官能基、あるいはメルカプト基等の
硫黄含有官能基等は更に好ましく用いられる。
【0040】半導体超微粒子における有機配位子の含有
量には制限はなく、かつ該有機配位子の分子量により該
含有量は変動するが、例えば分子量500以下程度の有
機配位子を使用した場合の該含有量は、通常10〜60
重量%、有機配位子の前記の効果の点で好ましくは20
〜40重量%程度の範囲となる。ナノ結晶に代表される
半導体結晶の表面への有機配位子の具体的な配位化学構
造は十分に解明されていないが、本発明においては前記
に例示した配位官能基は必ずしもそのままの構造を保持
していなくても良い。例えば、メルカプト基(SH)の
場合、半導体結晶終端に存在する金属元素M(例えばI
I−VI族化合物半導体における亜鉛やカドミウム、I
II−V族化合物半導体におけるガリウムやインジウム
等)との共有結合を形成した構造(例えばS−Mなる構
造)への変化、ホスフィンオキシド基(P=O)の場
合、金属元素Mとの共有結合を形成した構造(例えばP
−O−Mなる構造)への変化等も考えられる。
【0041】[ポリアルキレングリコール残基を含有す
る有機配位子]前記の有機配位子として、分散効果の点
で本発明に特に好適に用いられるものとして、ポリアル
キレングリコール残基を有する有機配位子が例示され
る。ここで言うポリアルキレングリコール残基とは、下
記一般式(2)で表される重合体残基である。
【0042】
【化2】−(R1O)n−R2 (2)
【0043】(但し一般式(2)において、R1は炭素
数2〜6のアルキレン基を、R2は水素原子、炭素数1
〜7のアルキル基、及び炭素数10以下のアリール基か
らなる群から任意に選択される構造を、nは30以下の
自然数をそれぞれ表す。) 一般式(2)におけるR1の具体例としては、エチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレ
ン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、シクロペン
チレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基等が
挙げられ、水溶性の点で好ましくはエチレン基、n−プ
ロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基等の炭
素数2〜4のアルキレン基が、更に好ましくはエチレン
基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数2
又は3のアルキレン基が、最も好ましくはエチレン基が
使用される。なお、一般式(2)において、1残基中に
複数種のR1が混在していても構わず、このような場合
にはポリアルキレングリコール残基の結晶性が低下して
好ましい場合もある。かかる複数のR1の共重合順序
(シークエンス)にも制限はない。
【0044】一般式(2)におけるR2に使用されるア
ルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチ
ル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペ
ンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジ
ル基等が挙げられ、親水性の点で好ましくはメチル基、
エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数
3以下のアルキル基が、更に好ましくはメチル基又はエ
チル基が、最も好ましくはメチル基が使用される。該R
2に使用されるアリール基の具体例としては、フェニル
基、トルイル基(モノメチルフェニル基)、ジメチルフ
ェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル
基、4−tert−ブチルフェニル基、ピリジル基、モ
ノメチルピリジル基、ジメチルピリジル基等が挙げら
れ、親水性の点で好ましくはフェニル基あるいはピリジ
ル基が使用される。親水性の点で水素原子もR2として
非常に好適に使用される。
【0045】一般式(2)における自然数nは、好まし
くは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましく
は5以下である。この自然数nの値が大きすぎると本発
明の球状微粒子中の半導体結晶粒子含有量を十分に大き
くできなくなり、本発明の効果が不十分となる場合があ
る。一般式(2)の好ましい構造として、トリエチレン
グリコール残基(R1がエチレン基、n=3)が挙げら
れ、特に好ましいのはR2が水素原子又はメチル基であ
るものである。
【0046】かかるポリアルキレングリコール残基は、
前記の任意の配位官能基により半導体結晶粒子の表面に
結合されるが、特に好ましく用いられる配位官能基はメ
ルカプト基(−SH、別称チオール基)である。これ
は、メルカプト基が半導体結晶表面に存在する遷移金属
元素に特に強い配位力を有するためである。半導体結晶
への配位子として使用されるメルカプト基を有するポリ
アルキレングリコールの具体的構造としては、特に好ま
しい構造である後述するω−メルカプト脂肪酸のポリア
ルキレングリコールエステル類の他、下記一般式(3)
で表されるω−メルカプトポリアルキレングリコール類
も例示される。
【0047】
【化3】HS−(R1O)n−R2 (3)
【0048】但し一般式(3)におけるR1、R2、及び
nとこれらの好ましい場合の例示は全て前記一般式
(2)の場合と同一である。
【0049】[ポリアルキレングリコール類のω−メル
カプト脂肪酸エステル]本発明に用いられる最も好まし
い有機配位子の構造として、前記のポリアルキレングリ
コール類のω−メルカプト脂肪酸エステルが例示され、
これは下記一般式(4)で表される分子構造である。
【0050】
【化4】 HS−(CH2m−COO−(R1O)n−R2 (4)
【0051】但し一般式(4)においてmは20以下の
自然数を表し、R1、R2、及びnとこれらの好ましい場
合の例示は全て前記一般式(2)の場合と同一である。
前記一般式(4)における−(CH2m−で表されるメ
チレン基連鎖は前記の遮蔽効果を発揮する構造単位であ
るので、該自然数mの値の好ましい範囲は、前記の遮蔽
効果におけるメチレン基連鎖の炭素数についての記述と
同一である。
【0052】従って、前記一般式(4)で表される構造
の好適な分子構造としては、例えばポリエチレングリコ
ール類の11−メルカプトウンデカン酸エステルが挙げ
られ、中でも下記一般式(5)の11−メルカプトウン
デカン酸のトリエチレングリコールエステルは最も好適
な有機配位子の一例である。
【0053】
【化5】 HS(CH210COO(CH2CH2O)3−R2 (5)
【0054】但し一般式(5)においてR2とこれらの
好ましい場合の例示は全て前記一般式(2)の場合と同
一であり、中でもR2が水素原子又はメチル基であるも
のが最適である。
【0055】前記一般式(4)あるいは一般式(5)の
エステル類は、例えば11−メルカプトウンデカン酸等
のω−メルカプト脂肪酸と過剰当量のポリアルキレング
リコールとを硫酸やp−トルエンスルホン酸等の酸触媒
存在下脱水エステル化させる方法(必要に応じ加熱や減
圧脱水を施し平衡反応を加速する)、該ω−メルカプト
脂肪酸のメチルエステルやエチルエステル等の低級アル
キルエステルと過剰当量のポリアルキレングリコールと
を硫酸やp−トルエンスルホン酸等の強酸やルイス酸等
の触媒存在下エステル交換反応させる方法(必要に応じ
加熱や減圧を施し平衡反応を加速する)、該ω−メルカ
プト脂肪酸を相当する酸塩化物や酸無水物等の活性種に
変換し次いで塩基存在下ポリアルキレングリコールと縮
合反応させる方法等により合成されるが、中でも該脱水
エステル化法が簡便である。
【0056】[その他の有機配位子の例示]本発明にお
いては、前記の好適な有機配位子を主に使用することで
好適な効果を得るが、必要に応じて下記に例示するよう
な有機配位子を任意割合で併用しても構わない。 (a)硫黄含有化合物・・・メルカプトエタン、1−メ
ルカプト−n−プロパン、1−メルカプト−n−ブタ
ン、1−メルカプト−n−ヘキサン、メルカプトシクロ
ヘキサン、1−メルカプト−n−オクタン、1−メルカ
プト−n−デカン等のメルカプトアルカン類、チオフェ
ノール、4−メチルチオフェノール、4−tert−ブ
チルチオフェノール等のチオフェノール誘導体、ジメチ
ルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジブチルスルフィ
ド、ジヘキシルスルフィド、ジオクチルスルフィド、ジ
デシルスルフィド等のジアルキルスルフィド類、ジメチ
ルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジブチルスル
ホキシド、ジヘキシルスルホキシド、ジオクチルスルホ
キシド、ジデシルスルホキシド等のジアルキルスルホキ
シド類、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィ
ド、ジブチルジスルフィド、ジヘキシルジスルフィド、
ジオクチルジスルフィド、ジデシルジスルフィド等のジ
アルキルジスルフィド類、チオ尿素、チオアセタミド等
のチオカルボニル基を有する化合物、チオフェン等の硫
黄含有芳香族化合物等。 (b)リン含有化合物・・・トリエチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオ
クチルホスフィン、トリデシルホスフィン等のトリアル
キルホスフィン類、トリエチルホスフィンオキシド、ト
リブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィン
オキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデシ
ルホスフィンオキシド等のトリアルキルホスフィンオキ
シド類、トリフェニルホスフィンやトリフェニルホスフ
ィンオキシド等の芳香族ホスフィンあるいは芳香族ホス
フィンオキシド類等。 (c)窒素含有化合物・・・ピリジンやキノリン等の窒
素含有芳香族化合物、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオ
クチルアミン、トリデシルアミン、トリフェニルアミ
ン、メチルジフェニルアミン、ジエチルフェニルアミ
ン、トリベンジルアミン等の3級アミン類、ジエチルア
ミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチル
アミン、ジデシルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジ
ルアミン等の2級アミン類、ヘキシルアミン、オクチル
アミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシル
アミン、オクタデシルアミン、フェニルアミン、ベンジ
ルアミン等の1級アミン類、ニトリロ三酢酸トリエチル
エステル等のアミノ基を有するカルボン酸エステル類
等。
【0057】これら例示した補助的配位子のうち好まし
いのは、メルカプトエタン、1−メルカプト−n−プロ
パン、1−メルカプト−n−ブタン、1−メルカプト−
n−ヘキサン、メルカプトシクロヘキサン等の炭素数6
以下のメルカプトアルカン類、チオフェノール、4−メ
チルチオフェノール、4−tert−ブチルチオフェノ
ール等のチオフェノール誘導体、ジメチルスルフィド、
ジエチルスルフィド、ジブチルスルフィド等の総炭素数
8以下のジアルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシ
ド、ジエチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド等の
総炭素数8以下のジアルキルスルホキシド類等の硫黄含
有化合物、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフ
ィン、トリオクチルホスフィン等の総炭素数24以下の
トリアルキルホスフィン類、トリエチルホスフィンオキ
シド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホ
スフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド等
の総炭素数24以下のトリアルキルホスフィンオキシド
類、トリフェニルホスフィンやトリフェニルホスフィン
オキシド等の芳香族ホスフィンあるいは芳香族ホスフィ
ンオキシド類等のリン含有化合物、及びピリジン等の窒
素含有芳香族化合物であり、中でもメルカプトエタン、
1−メルカプト−n−ブタン等の炭素数4以下のメルカ
プトアルカン類、チオフェノール、4−メチルチオフェ
ノール、4−tert−ブチルチオフェノール等のチオ
フェノール誘導体、ジメチルスルフィド、ジエチルスル
フィド、ジブチルスルフィド等の総炭素数8以下のジア
ルキルスルフィド類、ジメチルスルホキシド、ジエチル
スルホキシド、ジブチルスルホキシド等の総炭素数8以
下のジアルキルスルホキシド類等の硫黄含有化合物、ト
リブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン等の総炭
素数18以下のトリアルキルホスフィン類、トリエチル
ホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、
トリヘキシルホスフィンオキシド等の総炭素数18以下
のトリアルキルホスフィンオキシド類、トリフェニルホ
スフィンやトリフェニルホスフィンオキシド等の芳香族
ホスフィンあるいは芳香族ホスフィンオキシド類等のリ
ン含有化合物が更に好適である。
【0058】[半導体結晶粒子の製造方法]前記の半導
体結晶粒子は、従来行われている下記の半導体結晶の製
造方法等、任意の方法を使用して構わない。 (a)分子ビームエピタキシー法あるいはCVD法等の
高真空プロセス。この方法により組成が高度に制御され
た高純度の半導体結晶粒子が得られるが、ホスフィンや
アルシン等の有毒気体を原料とする場合があり、且つ高
価な製造装置を要するので生産性の点で産業上の利用に
制限がある。 (b)原料水溶液を非極性有機溶媒中の逆ミセルとして
存在させ該逆ミセル相中にて結晶成長させる方法(以下
「逆ミセル法」と呼ぶ)であり、例えばB.S.Zou
ら;Int.J.Quant.Chem.,72巻,4
39(1999)に報告されている方法である。汎用的
な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術が利用で
き、比較的安価かつ化学的に安定な塩を原料とすること
ができ、しかも水の沸点を超えない比較的低温で行われ
るため工業生産に適した方法である。但し、下記のホッ
トソープ法の場合に比べて現状技術では発光特性に劣る
場合がある。 (c)熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結
晶成長させる方法(以下、ホットソープ法と呼ぶ)であ
り、例えば前記のKatariら著の文献に報告されて
いる方法である。前記の逆ミセル法に比べて粒径分布と
純度に優れた半導体結晶粒子が得られ、生成物は発光特
性に優れ有機溶媒に通常可溶である特徴がある。ホット
ソープ法における液相での結晶成長の過程の反応速度を
望ましく制御する目的で、半導体構成元素に適切な配位
力のある配位性有機化合物が液相成分(溶媒と配位子を
兼ねる)として選択される。かかる配位性有機化合物の
例としては、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホス
フィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホス
フィン類、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシ
ルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシ
ド(TOPO)、トリデシルホスフィンオキシド等のト
リアルキルホスフィンオキシド類、オクチルアミン、デ
シルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘ
キサデシルアミン、オクタデシルアミン等のω−アミノ
アルカン類、ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキ
シド等のジアルキルスルホキシド類等が挙げられる。こ
れらのうち、トリブチルホスフィンオキシドやTOPO
等のトリアルキルホスフィンオキシド類やドデシルアミ
ン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等の炭素
数12以上のω−アミノアルカン類等が好適であり、中
でもTOPO等のトリアルキルホスフィンオキシド類、
及びヘキサデシルアミン等の炭素数16以上のω−アミ
ノアルカン類は最適である。 (d)前記のホットソープ法と類似の半導体結晶成長を
伴う溶液反応であるが、酸塩基反応を駆動力として比較
的低い温度で行う方法が古くから知られている(例えば
P.A.Jackson;J.Cryst.Growt
h,3−4巻,395頁(1968)等)。
【0059】かかる液相製造方法に使用可能な半導体原
料物質としては、周期表第2〜15族から選ばれる陽性
元素を含有する物質と、周期表第15〜17族から選ば
れる陰性元素を含有する物質が挙げられる。例えば前記
のホットソープ法では、ジメチルカドミウムやジエチル
亜鉛等の有機金属類と、セレン単体をトリオクチルホス
フィンやトリブチルホスフィン等の3級ホスフィン類に
溶解させたものやビス(トリメチルシリル)スルフィド
等のカルコゲニド元素化合物とを反応させる方法が知ら
れている。また、前記(d)の溶液反応で例えば酸化亜
鉛を製造する場合に、酢酸亜鉛と水酸化リチウムとをエ
タノール中で反応させる方法がL.Spanhelら;
J.Am.Chem.Soc.,113巻,2826頁
(1991)おいて知られている。なお周期表第15族
元素は、例えば理化学辞典(第4版、岩波書店、198
7年)に記載の硫化ビスマスやテルル化ビスマスのよう
に3価の陽性元素としても半導体を構成することが知ら
れている。
【0060】半導体原料物質が複数種ある場合、これら
をあらかじめ混合しておいても良く、あるいはこれらを
それぞれ単独で反応液相に注入しても良い。これら原料
は、適当な希釈溶媒を用いて溶液にして使用しても構わ
ない。 [有機配位子の半導体結晶粒子への結合方法]前記の半
導体結晶粒子に前記の有機配位子を結合させる方法に制
限はないが、好適な方法として、前記のポリアルキレン
グリコール類のω−メルカプト脂肪酸エステル(以下P
AG−SHと略記)のような特に好適な有機配位子のメ
ルカプト基(あるいはチオール基)の強力な配位力を利
用した配位子交換反応が例示される。具体的には、前記
のホットソープ法により得られるTOPO等の配位性有
機化合物を表面に有する半導体結晶粒子をPAG−SH
と液相で接触させる配位子交換反応が可能である。この
場合、通常後述するような溶剤を使用した液相反応とす
るが、使用するPAG−SHが反応条件において液体で
ある場合には、PAG−SH自身を溶媒とし他の溶剤を
添加しない反応形式も可能である。
【0061】TOPOを主要有機配位子として有する半
導体結晶粒子においてPAG−SHによる配位子交換反
応を実施する場合の好適な例として、過剰量のPAG−
SHをエタノール中で加熱(例えば還流条件)しなが
ら、例えば1〜60分程度(通常30分以内程度)混合
接触する方法が挙げられる。かかる反応においては、T
OPOを主要有機配位子として有する半導体結晶粒子は
最初エタノールに実質的に溶解しないが、PAG−SH
による配位子交換反応の進行によりエタノールに可溶化
する。
【0062】これ以外に、例えば、X.Pengら;A
ngew.Chem.Int.Ed.Engl.,36
巻,145頁(1997)に記載の方法に準じてメタノ
ール等アルコール類中で行う方法、M.Bruchez
Jr.ら;Science,281巻,2013頁
(1998)に記載の方法に準じてジメチルスルホキシ
ドとメタノール等アルコール類の混合溶媒中で行う方
法、あるいはC.W.Warrenら;Scienc
e,281巻,2016頁(1998)に記載の方法に
準じてクロロホルム等ハロゲン化溶剤中で行う方法も可
能である。また、X.Pengら;J.Am.Che
m.Soc.,119巻,7019頁(1997)に報
告されているように、ピリジン等の弱配位性化合物(通
常溶媒として大過剰量用いる)含む液相にTOPOを主
要有機配位子として有する半導体結晶粒子を分散してT
OPOをまず除去する方法も応用可能である。即ちピリ
ジン等の弱配位性化合物中でTOPOを除去する第一工
程、次いで、PAG−SHを加える第二工程からなる二
段階反応である。
【0063】前記のような方法で半導体結晶粒子表面に
導入されるPAG−SHの結合量は、全有機配位子成分
中の重量百分率(wt%)として、通常60〜100w
t%、好ましくは80〜100wt%、更に好ましくは
90〜100wt%とする。かかる重量百分率は、与え
られた薄膜状成形体を構成する成分をまず前記のGPC
等の手法により分画し、分離された半導体結晶粒子が結
合する有機配位子を、核磁気共鳴スペクトル(NM
R)、赤外吸収スペクトル(IR)、元素分析、あるい
は熱重量分析(TG)等の各種分析手法の組み合わせに
より分析することにより見積もることが可能である。
【0064】かかる配位子交換反応は、酸化等の副反応
を避けるため、窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気に
おいて行うのが望ましい。また、遮光条件が好ましい場
合もある。かかる配位子交換反応の後、半導体結晶粒子
を単離するには、濾過、沈殿と遠心分離の併用、蒸留、
昇華等の任意の方法を使用して構わないが、特に有効な
のは、半導体結晶の比重が通常の有機化合物より大きい
ことを利用した沈殿と遠心分離の併用であり、具体的に
は以下のように実施される。遠心分離は、配位子交換反
応の生成物を含有する溶液(好適には反応溶媒であるエ
タノールをまず留去しトルエンに溶解し直す)を、PA
G−SHを結合した半導体結晶粒子の貧溶媒(例えばn
−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イ
ソオクタン等の炭化水素を含む有機溶剤)中に投入し、
生成する沈殿を含む懸濁液を遠心分離して行われる。得
られた沈殿は、デカンテーション等により上澄み液と分
離し、必要に応じ溶媒洗浄や再溶解と再沈殿/遠心分離
を繰り返して精製度を向上させる。かかる再溶解の溶媒
としても、例えばトルエンが好適である。
【0065】[金属アルコキシド類の加水分解縮合反
応]本発明の球状微粒子の製造方法に制限はないが、ア
ルコキシシラン類を主体とする金属アルコキシド類の加
水分解縮合反応(以下、通称である「ゾル−ゲル法」と
呼ぶ)に、有機配位子を結合した半導体超微粒子を共存
させる方法が好適に用いられる。
【0066】かかるゾル−ゲル法は、化学反応の観点で
は以下の2つの工程から構成される。即ち、球状微粒子
の高分子マトリクスの原料の主体である金属アルコキシ
ド類の溶液(以下「金属アルコキシド類溶液」と呼ぶ)
に半導体超微粒子を混合して原料溶液を得る第1工程、
及び該原料溶液中の金属アルコキシド類の加水分解縮合
反応を行う第2工程から構成される。
【0067】該第1工程において半導体超微粒子を混合
する際に、あらかじめ金属アルコキシド類の加水分解縮
合反応をある程度進行させておいても構わない。かかる
原料溶液における該加水分解縮合反応の進行度の制御
は、特に後述する振動オリフィス法において、球状微粒
子の生成を好適ならしめる該原料溶液の粘度調整、ある
いはその後の第2工程における高分子量化速度の調整、
といった目的において有効である場合がある。
【0068】前記の第1工程において、後述する金属ア
ルコキシド類等の高分子マトリクスの原料は、次のよう
な溶剤と混合される。即ち、水、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−
ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコ
ール等の低級アルコール類、エチレングリコールやグリ
セリン等の多価グリコール類、テトラヒドロフランや
1,4−ジオキサン等の環状エーテル類、ジエチルエー
テル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等の脂肪族
直鎖エーテル類、アセトニトリルやアクリロニトリル等
のニトリル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド(通称DMF)、N−メチルピ
ロリドン(通称NMP)等の非プロトン性アミド系溶
媒、ジメチルスルホキシド(通称DMSO)等のスルホ
キシド類等の水溶性を有する溶剤である。これらの溶剤
は複数種を混合して用いても良い。
【0069】該第1工程における前記の原料溶液を調製
する過程または調製された原料溶液において、溶液は必
ずしも均一溶液でなくても構わず、例えば水を主体とす
る水相と金属アルコキシド類を主体とする液相とに相分
離していても構わない。該原料溶液における金属アルコ
キシド類を主体とする液相(均一溶液の場合は溶液全
体)中の金属アルコキシド類の濃度は、球状微粒子の生
成条件やゾル−ゲル法反応の速度等に応じて調整される
が、通常10〜90重量%、好ましくは30〜70重量
%程度とする。
【0070】前記の第1工程において、前記のようにあ
らかじめ金属アルコキシド類の加水分解縮合反応をある
程度進行させておく場合には、少なくとも加水分解に必
要な量の水を添加する必要があり、この時、塩酸やアン
モニア等の酸や塩基の触媒を添加しても構わない。ま
た、前記の半導体超微粒子を混合する場合に、混合容器
内を窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気としても構わ
ない。かかる混合における温度は、溶液が凝結しない限
りにおいて制限はないが、通常−50〜100℃、好ま
しくは0〜70℃、最も好ましくは20〜50℃程度の
範囲とし、例えば沸騰を避けるために適宜加圧しても構
わない。前記の溶剤は後の工程で通常除去するので、
水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロピルアルコール、n−ブタノール、テトラヒドロフ
ラン等の比較的沸点の低いものが好適であり、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアル
コール等の炭素数3以下の低級アルコール類が更に好適
である。
【0071】前記の第2工程は、金属アルコキシド類の
加水分解縮合反応を本格的に進行させ、本発明の球状微
粒子の形状を固定することを目的とする工程である。こ
の工程では、通常、酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、リン
酸、硝酸等の鉱酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ト
リフルオロメタンスルホン酸等の有機酸、酸性イオン交
換樹脂等)又は塩基触媒(例えば、アンモニア、1級ア
ミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジン等の含
窒素芳香族化合物、塩基性イオン交換樹脂、水酸化ナト
リウム等の水酸化物、炭酸カリウム等の炭酸塩、酢酸ナ
トリウム等のカルボン酸塩等)を反応液に加える。かか
る触媒の添加量は所望の反応速度により変動するが、前
記の原料溶液における金属アルコキシド類を主体とする
液相(均一溶液の場合は溶液全体)中のプロトン酸ある
いはプロトン塩基の当量として通常0.001〜100
0ミリ当量/L、反応速度と半導体超微粒子の安定性の
点で好ましくは0.01〜500ミリ当量/L、最も好
ましくは0.005〜100ミリ当量/L程度とし、複
数種の該触媒を併用しても構わない。該第2工程の反応
においては、反応容器内を窒素やアルゴン等の不活性気
体雰囲気としても構わない。
【0072】前記の第2工程の高分子マトリクス原料の
加水分解縮合反応の温度については、反応液が凝結しな
い限りにおいて制限はないが、一般に高いほど該反応速
度が大きくなるので、該反応の温度は通常−20〜10
0℃、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは20〜
60℃程度の範囲とし、例えば沸騰を避けるために適宜
加圧しても構わない。かかる反応温度は、反応の進行度
に応じて適宜変化させても構わず、例えば反応初期は0
〜40℃程度の比較的低温とし、高分子マトリクスの高
分子鎖が形成され増粘するにつれて40〜100℃程度
の比較的高温として反応の進行を促進を図ると好ましい
場合もある。また、本発明の球状微粒子からの溶剤等の
揮発成分を除去すべく、該第2工程の後期に該溶剤の沸
点以上の高温としても構わない。また、該第2工程の反
応時間に制限はないが、通常1分〜48時間、反応の進
行度と生産性の点から好ましくは5分〜24時間程度と
する。
【0073】前記のゾル−ゲル法による本発明の球状微
粒子の製造において、複数種の原料溶液の混合、複数種
の加水分解縮合反応液の混合、加水分解縮合反応が進行
した反応液への任意の原料溶液の追加、加水分解縮合反
応が進行した反応液への半導体超微粒子の添加等、必要
構成要件の任意の組み合わせにより改良を行っても構わ
ない。
【0074】[金属アルコキシド類]前記の金属アルコ
キシド類とは、下記一般式(6)で示される化合物、及
びその可溶性縮合物である。
【0075】
【化6】MRmn (6)
【0076】但し上記一般式(6)において、Mは金属
原子を、Rは炭素数6以下のアルコキシ基を、Zは水素
原子、水酸基、あるいは炭素数12以下のアルキル基又
はアリール基のいずれかを、それぞれ表す。またm+n
は金属原子Mの原子価数に等しい自然数であり、mは自
然数を、nは零以上の整数をそれぞれ表す。
【0077】ここで言う前記一般式(6)で示される化
合物の可溶性縮合物とは、後述する溶剤への可溶性を有
し、かつ前記一般式(6)のRに相当するアルコキシ基
が残存した縮合物である。かかる可溶性縮合物は前記一
般式(6)で示される化合物のアルコキシ基の加水分解
縮合反応により生成するものであり、通常架橋構造を持
たない線状分子構造あるいは環状分子構造を有し、その
縮合度は通常2〜20量体、溶解性や溶液粘度の点で好
ましくは2〜10量体、更に好ましくは2〜7量体程度
であり、様々な縮合度の縮合物の混合物であっても構わ
ない。かかる縮合度は、例えば排除体積クロマトグラフ
ィ(SEC、又は通称ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィ:GPC)や光散乱法により測定可能である。前
記の金属アルコキシド類としてかかる可溶性縮合物を使
用すると、前記の第2工程での加水分解縮合反応による
高分子量化が速くなるので好ましい場合がある。かかる
可溶性縮合物の具体例としてはテトラメトキシシランや
テトラエトキシシランの2〜5量体等が挙げられる。
【0078】前記一般式(6)で示される金属アルコキ
シド類の具体例を好適な例であるアルコキシシラン類に
より以下説明する。即ち、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン(通称TEOS)、テトラ−n−プロ
ピルオキシシラン、テトライソプロピルオキシシラン、
テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラ
ン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、メチルトリ−n−プロピルオキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシ
ラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン類、フェニ
ルトリエトキシシラン(以下PTESと略記)、ナフチ
ルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキ
シシラン、4−シアノフェニルトリエトキシシラン、4
−アミノフェニルトリエトキシシラン、4−ニトロフェ
ニルトリエトキシシラン、4−メチルフェニルトリエト
キシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリエトキシシラ
ン等のモノアリールトリアルコキシシラン類、フェノキ
シトリエトキシシラン、ナフチルオキシトリエトキシシ
ラン、4−クロロフェニルオキシトリエトキシシラン、
4−シアノフェニルトリオキシエトキシシラン、4−ア
ミノフェニルオキシトリエトキシシラン、4−ニトロフ
ェニルオキシトリエトキシシラン、4−メチルフェニル
オキシトリエトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルオ
キシトリエトキシシラン等のモノアリールオキシトリア
ルコキシシラン類、モノヒドロキシトリメトキシシラ
ン、モノヒドロキシトリエトキシシラン、モノヒドロキ
シトリ−n−プロピルオキシシラン等のモノヒドロキシ
トリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロピル
オキシシラン、メチル(エチル)ジエトキシシラン、メ
チル(シクロヘキシル)ジエトキシシラン等のジアルキ
ルジアルコキシシラン類、メチル(フェニル)ジエトキ
シシラン等のモノアルキルモノアリールジアルコキシシ
ラン類、ジフェニルジエトキシシラン等のジアリールジ
アルコキシシラン類、ジヒドロキシジメトキシシラン、
ジヒドロキシジエトキシシラン等のジヒドロキシジアル
コキシシラン類、メチル(ヒドロキシ)ジメトキシシラ
ン等のモノアルキルモノヒドロキシジアルコキシシラン
類、フェニル(ヒドロキシ)ジメトキシシラン等のモノ
アリールモノヒドロキシジアルコキシシラン類、トリメ
チルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメ
チル(エチル)エトキシシラン、ジメチル(シクロヘキ
シル)エトキシシラン等のトリアルキルモノアルコキシ
シラン類、ジメチル(フェニル)エトキシシラン等のジ
アルキルモノアリールモノアルコキシシラン類、メチル
(ジフェニル)エトキシシラン等のモノアルキルジアリ
ールモノアルコキシシラン類、トリヒドロキシメトキシ
シラン、トリヒドロキシエトキシシラン等のトリヒドロ
キシモノアルコキシシラン類等が挙げられる。
【0079】前記一般式(6)で表される金属アルコキ
シド類をいくつかの金属元素Mについて更に例示する
と、トリエトキシアルミニウム、テトラ−n−ブトキシ
チタン、テトラ−n−プロピルオキシジルコニウム等が
挙げられる。前記のゾル−ゲル法においては、テトラク
ロロシラン等のハロゲノシラン類の他、塩化テルビウム
や塩化ユウロピウム等のハロゲン化ランタノイド類、塩
化チタン、臭化マンガン、塩化亜鉛等の任意の遷移金属
ハロゲン化物を添加して併用しても構わない。かかる金
属ハロゲン化物は、少量の金属元素を前記の高分子マト
リクスの分子鎖に含有させたい場合に特に好適に使用さ
れる。また、ヘキサメチルジシラザン等、ケイ素に代表
される各種陽性元素が窒素原子と結合した化合物も同様
に併用できる。
【0080】これら例示された金属アルコキシド類の中
でも、TEOS等のテトラアルコキシシラン類、エチル
トリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、
n−ヘキシルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリ
アルコキシシラン類、PTES等のモノアリールトリア
ルコキシシラン類、テトラメトキシシランの2〜5量体
等が好適に使用され、好適な反応性の点ではTEOS、
PTES、あるいはテトラメトキシシランの2〜5量体
等が更に好適に使用され、特に後述する振動オリフィス
法においてはPTESは最も好適に使用される。なお、
これら例示された金属アルコキシド類等の前記の高分子
マトリクスの原料のうち任意の複数を任意の組成で併用
しても良い。
【0081】[振動オリフィス法による球状微粒子の生
成]本発明の球状微粒子の非常に優れた製造方法として
振動オリフィス法が挙げられる。この方法は、前記のゾ
ル−ゲル法の第1工程で得られる原料溶液を、必要に応
じて所望の濃度に希釈した上で、振動するオリフィス
(微細孔)から気相に押し出すことにより精密に制御さ
れた容量の液滴を生成せしめ、かかる液滴を次いで前記
のゾル−ゲル法の第2工程を行う反応槽に移送し固化さ
せて球状微粒子とする方法である。図1は、典型的な振
動オリフィス法装置の概念図であり、これにより以下に
更に説明する。
【0082】図1中のAは、生成する液滴を気相で移送
するための気流とその供給口である。かかる気流として
は通常空気流が用いられるが、必要に応じて窒素ガスや
アルゴンガス等の不活性気体の気流を用いても構わな
い。該気流は、粉塵等の不純物を取り除くフィルターC
を通じて供給され、その流量は流量計Dにより制御され
る。
【0083】図1中のBは、前記の原料溶液とその供給
口である。該原料溶液の供給速度の制御は均一な大きさ
の液滴の生成において重要なので、通常、定速シリンジ
ポンプのように一定の速度で液体を押し出す機構を利用
して行われる。この時、粉塵等の不純物を取り除くフィ
ルターCを通過させる。図1中のEは、前記の原料溶液
が気相に押し出されるオリフィスである。該オリフィス
が有する吐出口の口径は、押し出されて生成する液滴の
体積の決定において重要である。該口径は、原料溶液の
供給速度と所望の液滴の体積に応じて設計されるが、通
常1〜50μm、好ましくは5〜40μm、更に好まし
くは10〜30μm程度とする。該オリフィスの材質に
は、原料溶液との接触により支障を来す化学変化を起こ
さないものである限りにおいて制限はなく、かかる材質
としては、例えばSUS鋼、チタン、白金、ハステロイ
等の金属材料、テフロン(登録商標)等の耐化学反応性
に優れた合成樹脂、ソーダガラスや石英ガラス等の無機
ガラス類等が例示される。該オリフィスの吐出口や液体
流路内壁等の該原料溶液と接触する部分の表面を、テフ
ロンやカーボン等の耐化学反応性に優れた材質で被覆処
理しても構わない。
【0084】図1中のFは、前記のオリフィスに接続し
てこれを振動させるピエゾセラミクス等の圧電変換器で
あり、振動制御装置Gにより交流電場Hの周波数を制御
することで、圧電(Piezoelectric)効果
により該ピエゾセラミクスの振動周波数を制御する。か
かる振動により、該オリフィスから押し出された原料溶
液は一定の周波数でオリフィスから切り取られて液滴を
生成する。該振動周波数は生成する液滴の体積の決定に
おいて重要であり、通常30〜500キロヘルツ(kH
z)、好ましくは40〜300kHz、更に好ましくは
50〜200kHz程度とする。
【0085】図1中のIは前記のオリフィスから気相に
押し出された原料溶液の液滴であり、前記の気流により
気相を移送される。移送された液滴は、移送管Jにより
前記のゾル−ゲル法の第2工程を行う捕集槽に導かれ、
固化されて球状微粒子となる。該移送管中での液滴の移
送において、該液滴に含まれる溶媒等の揮発成分が適度
に蒸発して該移送管Jの材質、口径、断面形状には制限
はない。該捕集槽には、前記の金属アルコキシド類の加
水分解縮合反応の進行を促進する捕集液を用意してお
く。
【0086】かかる捕集液としては、塩酸やアンモニア
水等、前記の酸触媒や塩基触媒の水溶液が例示され、必
要に応じてメタノールやエタノール等の有機溶媒を混和
しても良い。該捕集液の量は生成させる球状微粒子の体
積に対して大過剰量を用いるのが好ましく、必要に応じ
て新しい捕集液を連続的に供給し生成する球状微粒子を
連続的に捕集槽から排出させる流通法を用いても構わな
い。該酸触媒や塩基触媒の該捕集液中の濃度には実用的
に許容される触媒能を発揮する限りにおいて制限はない
が、例えば0.1〜15モル/L、触媒能の有効性の点
で好ましくは1〜14モル/L程度とする。該捕集液に
は、生成する本発明の球状微粒子の凝集を防ぐ目的で適
当な界面活性剤を添加しても構わない。かかる界面活性
剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホスクシネート
ナトリウム等のスルホン酸塩型カチオン性界面活性剤、
ドデカン酸ナトリウム等のカルボン酸型カチオン性界面
活性剤、例えばTweenの商標名で市販されているポ
リオキシエチレンソルビタンモノアルキレート類等のノ
ニオン性界面活性剤、あるいは各種アニオン性界面活性
剤等を使用しても良い。これらの界面活性剤のうち好ま
しいのはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のス
ルホン酸塩型カチオン性界面活性剤やポリオキシエチレ
ンソルビタンモノオレエート類等のノニオン性界面活性
剤である。これらの界面活性剤は複数種を併用して用い
ても構わない。
【0087】なお、前記のS.Shibataら著の文
献に引用されているB.Y.H.Liuら;Atmos
pheric Environment,8巻,717
−732(1974)には、前記の振動オリフィス法で
生成される球状微粒子の直径d(cm)に関連する下記
式(7)の理論式が提出されている。
【0088】
【数1】 d=(6QC/πf)1/3 (7)
【0089】但し式(7)においてQは原料溶液の押し
出し速度(cm3-1)を、Cは原料溶液における溶質
の体積分率(無次元数)を、πは円周率を、fは前記の
オリフィスの振動周波数(ヘルツ、即ち秒-1)を、それ
ぞれ表す。
【0090】[振動オリフィス法に好適な原料溶液]前
記の振動オリフィス法において好適に用いられる前記の
原料溶液について、以下に説明する。下記一般式(1)
で示されるトリアルコキシシラン類が前記の振動オリフ
ィス法において好適に用いられる。
【0091】
【化7】R−Si−(ORa3 (1)
【0092】但し一般式(1)において、Rは炭素数1
2以下の炭化水素基を、3個のRaは互いに異なってい
ても構わない炭素数6以下の炭化水素基を、それぞれ表
す。具体的には、前記に例示のモノアルキルトリアルコ
キシシラン類やモノアリールトリアルコキシシラン類が
該当し、中でもフェニルトリエトキシシラン(PTE
S)が最適なものの1つとして例示される。以下、PT
ESを用いて前記の原料溶液を調製する場合を例として
説明する。
【0093】まず、PTESを塩酸等のプロトン酸水溶
液と混合反応して、ある程度の加水分解縮合反応を進行
させる。この場合のプロトン酸水溶液の濃度はpHとし
て通常2〜4、好ましくは3程度とし、PTESと該プ
ロトン酸水溶液との混合比は通常10:90〜60:4
0(重量%比)、好ましくは30:70〜50:50
(重量%比)程度とする。かかる混合反応の温度は通常
0〜70℃、加水分解縮合反応の制御の点で好ましくは
20〜50℃、更に好ましくは25〜35℃、最も好ま
しくは30℃程度とし、反応時間は前記の反応温度によ
り変動するが、通常1〜150時間、適度な加水分解縮
合反応の進行度の点で好ましくは10〜100時間、更
に好ましくは20〜80時間程度とする。かかる反応条
件が激しすぎると過度の高分子量化によるゲル化が起き
る場合があり好ましくない。
【0094】該混合反応の初期にはPTESと該プロト
ン酸水溶液は2層に分離するので、該加水分解縮合反応
の速度を促進する目的で通常攪拌を加えて界面の更新を
図る。かかる加水分解縮合反応の進行により、PTES
のアルコキシ基は徐々に加水分解を受けて水酸基に変換
されて親水性が上昇し、同時にアルコール分子が生成し
て溶質の溶解性が向上するので、かかる化学変化に伴い
反応液は通常いったん均一となる。そして、該水酸基の
縮合によりO−Si−O結合が生成するにつれて高分子
量化による溶解度の減少が顕著となるので、系は通常再
び2相に分離する。かかる化学変化を制御する目的で、
溶媒成分(水と生成するアルコール)の反応容器からの
蒸発を防ぐために、反応容器の密閉や冷却管の設置が好
ましい場合もある。
【0095】こうして得るPTESの加水分解縮合物を
含む液相(通常水相よりも比重が大きい)は、適度の粘
度を有ししかもある程度の高分子量化を既に起こしてい
るので、前記の振動オリフィス法における原料溶液とし
て使用して液滴とすると、前記の気流による移送及び捕
集液による固化が非常に好適に進行する。 [球状微粒子の用途]本発明の球状微粒子は極めて真球
度が高く粒径分布が小さい特徴を有し、しかも半導体超
微粒子を含有するので、光の吸収や発光、あるいは高い
屈折率といった特徴を有する。従って、本発明の球状微
粒子は、新しい発光材料、特にレーザー発振光を発する
球状微粒子光共振器、あるいはフォトニック結晶の構成
微粒子として利用される。
【0096】本発明の球状微粒子を球状微粒子光共振器
として作動させる場合、半導体超微粒子を含有している
ため球状微粒子の屈折率が大きくなり内部での全反射が
起こりやすくなる利点、あるいは球状微粒子の粒径を数
μmとした場合には発光波長のオーダーに近づくためレ
ーザー発振を起こすエネルギーしきい値が小さくなる利
点、更には半導体超微粒子が高分子マトリクスに包埋さ
れ大気や湿気等の外界から遮断されているので経時劣化
に対する耐久性が向上する利点等が生じる。
【0097】本発明の球状微粒子をフォトニック結晶の
構成微粒子として利用する場合、屈折率を幅広く変化さ
せられる利点、あるいは粒径が非常に揃っている利点が
生じる。
【0098】
【実施例】以下に実施例により本発明の具体的態様を更
に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、原料試薬は、特に記載がない限り、Aldric
h社より供給されたものを精製を加えず使用した。但
し、無水メタノールと無水n−ブタノールは共にAld
rich社より供給された無水(「Anhydrou
s」)グレードを使用した。精製トルエンは、純正化学
(株)から供給されたものを濃硫酸、水、飽和重曹水、
更に水の順序で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥次
いで濾紙で濾過し、五酸化二リン(P25)を加えてそ
こから大気圧にて直接蒸留して得た。
【0099】[測定装置と条件等] (1)核磁気共鳴(NMR)スペクトル:日本電子社製
JNM−EX270型FT−NMR( 1H:270MH
z,13C:67.8MHz)。溶媒は特に断らない限り
重水素化クロロホルムを溶媒として使用し、テトラメチ
ルシランを0ppm対照として23℃にて測定した。 (2)赤外吸収(IR)スペクトル:日本分光工業社製
FT/IR−8000型FT−IR。23℃にて測定し
た。 (3)X線回折(XRD)スペクトル:リガク(株)製
RINT1500(X線源:銅Kα線、波長1.541
8Å)。23℃にて測定した。 (4)透過型電子顕微鏡(TEM)観察:日立製作所
(株)製H−9000UHR型透過電子顕微鏡(加速電
圧300kV、観察時の真空度約7.6×10-9Tor
r)にて行った。 (5)光励起発光(PL)スペクトル:日立製作所
(株)製F−2500型分光蛍光光度計にて、スキャン
スピード60nm/分、励起側スリット5nm、蛍光側
スリット5nm、フォトマル電圧400Vの条件で、光
路長1cmの石英製セルを用いて測定した。 (6)熱重量分析(TG):セイコーインスツルメンツ
(株)製TG−DTA320により、200mL/分の
窒素気流下、アルミニウム皿の上で、昇温速度は10℃
/分、140℃で保温30分次いで最高設定温度590
℃(サンプル直下の実測温度は602〜603℃程度)
で保温120分の条件で行った。
【0100】合成例1[11−メルカプトウンデカン酸
MTEGエステルの合成] 11−メルカプトウンデカン酸(1.70g)と東京化
成(株)から供給されたトリエチレングリコールモノメ
チルエーテル(以下MTEGと略記:50mL)、及び
濃硫酸(国産化学(株);5滴)を乾燥窒素雰囲気のフ
ラスコ内に混合し、60℃で攪拌しながら30mmHg
以下の圧力での減圧脱水を延べ約36時間行った。反応
液を大量の氷水に攪拌しながら徐々に加えて得た析出物
をn−ヘキサン/酢酸エチル(5/1容量比、共に純正
化学(株))混合溶媒で抽出し、この有機相を飽和重曹
水、次いで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥後濾過
して濃縮し、室温で真空乾燥した。この生成物の密度は
23℃において1.009であった。またこの生成物
は、IRスペクトルにおいて1730cm-1にエステル
基、及び2870cm-1のピークと2820cm-1の肩
を含む3050〜2650cm-1にかけてのブロードな
領域にTEGMME由来の炭化水素構造にそれぞれ帰属
される吸収帯を与えたこと、1H−NMRスペクトルに
おいて4.23ppmにエステル基の酸素原子に隣接す
るメチレン基プロトン(トリプレット、J=5.0H
z、積分値は2プロトン)のシグナルを与えたこと、更
13C−NMRスペクトルにおいて173.8ppmに
エステル基のカルボニル炭素のシグナルを与えたことか
ら、11−メルカプトウンデカン酸のMTEGエステル
(以下11−MTEGと略記)の構造を確認した。
【0101】合成例2[CdSe超微粒子の合成] 空冷式のリービッヒ還流管と反応温度調節のための熱電
対を装着した無色透明のパイレックス(登録商標)ガラ
ス製3口フラスコにトリオクチルホスフィンオキシド
(以下TOPOと略記;4g)を入れ、マグネチックス
ターラーで攪拌しながら乾燥アルゴンガス雰囲気で36
0℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブボッ
クス内で、セレン(単体の黒色粉末;0.1g)をトリ
ブチルホスフィン(以下TBPと略記;6.014g)
に溶解した液体に更にジメチルカドミウム(Strem
Chemical社;97%;0.216g)を混合
溶解した原料溶液Aを、ゴム栓(Aldrich社から
供給されるセプタム)で封をしアルミニウム箔ですき間
なく包んで遮光したガラス瓶中に調製した。この原料溶
液Aの一部(2.0mL)を、前記のTOPOの入った
フラスコに注射器で一気に注入し、この時点を反応の開
始時刻とした。反応開始20分後に熱源を除去し約50
℃に冷却された時点で精製トルエン(2mL)を注射器
で加えて希釈し、メタノール(10mL)を注入して不
溶物を生じさせた。この不溶物を遠心分離(3000r
pm)し、デカンテーションにより上澄み液を除去して
分離し、室温にて約14時間真空乾燥して固形粉体を得
た。
【0102】この固形粉体のXRDスペクトルにおい
て、Wurtzite型CdSe結晶の002面及び1
10面に帰属される回折ピークを観測したことからCd
Seナノ結晶の生成を確認した。また、このCdSeナ
ノ結晶の平均粒径は、TEM観察によれば約4nmであ
った。このCdSeナノ結晶は、精製トルエン溶液にお
いて、366nm波長の励起光を照射すると赤色の発光
帯(ピーク波長595nm、半値幅43nm)を与え
た。
【0103】合成例3[ZnSシェルを有するCdSe
ナノ結晶を主体とする半導体超微粒子の合成] 前記のB.O.Dabbousiら著の文献に記載の方
法に準じて行った。これを以下説明する。乾燥アルゴン
ガス雰囲気の褐色ガラス製の3口フラスコ中にTOPO
(15g)を入れ、減圧下130〜150℃での溶融状
態で約2時間攪拌した。この間、残留する空気や水分を
置換する目的で、乾燥アルゴンガスにより大気圧に復圧
する操作を数回行った。温度設定を100℃として約1
時間後、合成例2で得たCdSeナノ結晶の固形粉体
(0.094g)のトリオクチルホスフィン(1.5
g、以下TOPと略記)溶液を加えて、CdSeナノ結
晶を含む透明溶液を得た。これを100℃の減圧下で更
に約80分間攪拌後、温度を180℃に設定して乾燥ア
ルゴンガスで大気圧に復圧した。別途、乾燥窒素雰囲気
のグローブボックス内で、ジエチル亜鉛の1N濃度n−
ヘキサン溶液(1.34mL;1.34ミリモル)とビ
ス(トリメチルシリル)スルフィド(0.239g;
1.34ミリモル)とをTOP(9mL)に溶解した原
料溶液Bを、合成例2で使用のセプタムで封をしアルミ
ニウム箔ですき間なく包んで遮光したガラス瓶中に調製
した。この原料溶液Bを、注射器により、前記の180
℃のCdSeナノ結晶を含む透明溶液に20分間かけて
滴下し、90℃に降温後約1時間攪拌を継続した。室温
で約14時間静置した後、再び90℃で3時間加熱攪拌
した。熱源を除去し、n−ブタノール(8mL)を反応
液に加えて室温まで冷却して、透明な赤色溶液を得た。
【0104】この赤色溶液には、原料のビス(トリメチ
ルシリル)スルフィド等の硫黄化合物の臭気はなく、代
わりにセレン特有のニラ様臭気があった。合成例2で得
たCdSeナノ結晶の溶液にはこのようなセレン臭はな
かったので、該CdSeナノ結晶表面での意図した硫化
物生成反応の進行とともに、該ナノ結晶表面における硫
黄原子によるセレン原子の置換反応等何らかの機構によ
るセレンの遊離があったものと推測され、前記文献記載
同様にZnSシェルを有するCdSeナノ結晶を主体と
する半導体超微粒子が生成したものと考えられた(以下
これをCdSe/ZnS−TOPOと略記する)。
【0105】この赤色溶液の一部(8mL)を、乾燥窒
素気流下、室温でメタノール(16mL)中に滴下し2
0分間攪拌を継続する沈殿操作により赤色不溶物を得
た。この赤色不溶物を合成例2同様に遠心分離及びデカ
ンテーションにより分離し、精製トルエン(14mL)
に再溶解した。この再溶解トルエン溶液を用いて、再び
同様の沈殿操作、遠心分離、及びデカンテーションの一
連の精製操作を行って固体生成物を得た。この固体生成
物は、1mLの精製メタノールと振り混ぜて洗浄後、デ
カンテーションで分離した。この固体生成物は透明赤色
の精製トルエン溶液を与え、ここに468nm波長の励
起光を照射するとオレンジ色の発光帯(ピーク波長59
7nm、半値幅41nm)を与えた。この発光は同程度
の溶液濃度において、合成例2で得たCdSeナノ結晶
の場合よりも明らかに発光強度が大きかったことから、
ZnSシェルを有するCdSeナノ結晶に変換され、表
面準位等を経由する非発光過程の寄与が抑制されたもの
と考えられた。
【0106】合成例4[11−MTEGを配位子として
含有する半導体超微粒子の合成] 合成例3で得たCdSe/ZnS−TOPO(約0.5
g)を、アルミニウム箔で隙間なく包んで遮光したガラ
ス容器内で乾燥窒素雰囲気下、精製塩化メチレン(6m
L)に溶解した。これを室温で攪拌しながら合成例1で
得た11−MTEG(0.4g)を加えて得た均一溶液
を、室温遮光条件で約18時間放置した。反応液を濃縮
後エタノール(8mL)を加えて攪拌しながら大気圧で
の加熱還流を15分間行ったところ、均一なエタノール
溶液が得られた。合成例3で得たCdSe/ZnS−T
OPOはエタノールに実質的に不溶性なので、その有機
配位子の主体と考えられるTOPOが11−MTEGに
より置換されたためエタノール可溶性となったものと考
えられた。以下、このエタノール溶液をCdSe/Zn
S−MTEG溶液と称する。この溶液は、合成例3で得
たCdSe/ZnS−TOPO同様の発光能を示した。
この溶液のTG測定から、エタノールに溶解している全
溶質(固形分)濃度は9.0重量%、該全溶質中の半導
体結晶粒子含量は7.3重量%(溶液中の半導体結晶粒
子含量としては0.66重量%)であった。
【0107】実施例1[振動オリフィス法による球状微
粒子の調製] 密封が可能なガラスびん(100mL容器)にフェニル
トリエトキシシラン(以下PTESと略記、31g)と
pH=3の塩酸(48g)を装入した。溶媒が揮発しな
いように完全に密封し,スターラーで攪拌しながら,3
0℃の恒温槽中で約40時間反応させた。PTESの加
水分解縮合反応の進行により、液はいったん均一とな
り、高分子量化(オリゴマーの生成)に伴い懸濁状態に
なることを確認した。攪拌を停止するとこの懸濁液は2
層に分離した。この液の下層(以下「PTES分離相」
と呼ぶ)を採取し,これをエタノールで約175倍に希
釈した。この希釈液を密封した容器中で30℃の恒温槽
中で約10日間保持して、元になる金属アルコキシド類
溶液とした。この金属アルコキシド類溶液(25mL)
に、合成例4で得たCdSeZnS−MTEG溶液
(0.1mL)を添加して原料溶液とした。この原料溶
液を、前記の図1で説明した振動オリフィス法装置を使
用して液滴として気相に押し出した。液滴製造条件は,
直径20μmのオリフィスを使用し、周波数69キロヘ
ルツ、原料溶液供給速度(原料溶液を押し出す速度)は
2.32×10-3cm3/秒とした。オリフィスから押
し出された該液滴を空気流により樹脂製パイプ中を移送
しながらある程度乾燥し、最終的にドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウムを約0.3ミリモル/L濃度となる
ように溶解したアンモニア水(13.4モル/L)中に
捕集して固化させ、球状微粒子の懸濁液を得た。こうし
て得た懸濁液から球状微粒子を遠心沈降させ、溶媒を純
水に置換する操作を行った。こうして得られた球状微粒
子は真球状の光学顕微鏡像を与え、その数平均粒径は約
6μmであり、粒径分布はほぼ単分散とよべるものであ
った。この球状微粒子を純水に懸濁させ、蛍光測定装置
によって、励起波長532nmで測定を行ったところ、
合成例4で得たCdSe/ZnS−MTEG溶液と同様
の発光(蛍光)を確認した。かかる振動オリフィス法に
より調製される球状微粒子の粒径は、原料溶液の溶質濃
度の3乗に反比例して制御される。
【0108】なお、この実施例1の結果を前記式(7)
で以下に検証する。前記のPTES分離層はエタノール
で175倍に希釈している上に、PTESの加水分解縮
合により生じたエタノールや少量の水を含有している希
釈効果を考慮すると、前記式(7)におけるCは0.5
3/175=3.03×10-3と評価された。更にQ=
2.32×10-3(cm3/秒)、f=69000(ヘ
ルツ)を代入してd=5.8×10-4(cm)を得るの
で、実測された数平均粒径である6μmと良く一致して
いる。従って、前記の振動オリフィス法により、本発明
の球状微粒子の数平均粒径が精密に制御可能であること
がわかる。
【0109】合成例5[CdSe超微粒子の合成、その
2] 合成例2同様のホットソープ法を以下の仕込み及び操作
で行った。TOPO(7.929g)を50mlの褐色
3つ口フラスコに装入し、60〜120℃に加熱しマグ
ネチックスターラーで撹拌しながら融解しフラスコ内部
の真空引き及び乾燥アルゴンガス置換を数回行った。大
気圧のアルゴンガス雰囲気下で350℃に液温を設定し
実際の液温は約330℃とした。一方、セレン粉末
(0.152g)をTBP(6.577g)に溶解した
溶液(3.364g)及びStremChemical
社から供給されたジメチルカドミウム10重量%ヘキサ
ン溶液(1.638g)を混合した原料溶液C(約6m
L)を乾燥窒素雰囲気で別途調製し、この原料溶液Cの
うち4.0mLをシリンジにとり上記フラスコに一気に
注入した。反応液温度はこの注入後270℃に下がった
ので液温設定を300℃としたところ、数分後に実際の
液温は約290℃に上昇した。上記原料溶液Cの注入か
ら5分後に熱源を除去し、固化する前にトルエン(7m
L)を加え、メタノール(120mL)中に注入して1
0分間撹拌後、一晩暗所で静置した。生成した赤色沈殿
を合成例2同様に遠心分離を含む精製操作により単離し
た。このCdSe超微粒子のトルエン溶液は、波長52
8nmに吸収スペクトル極大を、波長548nmに発光
スペクトル極大(励起波長は365nm)を、波長53
2nmに励起スペクトル極大(発光波長は548nm)
を、それぞれ与えた。
【0110】合成例6[ZnSシェルを有するCdSe
ナノ結晶を主体とする半導体超微粒子の合成、その2] 合成例5で得たCdSe超微粒子を原料とし、合成例3
同様の操作を以下の仕込み及び操作で行った。TOPO
(18.2012g)を50mLの褐色3つ口フラスコ
に装入し、合成例5で得たCdSe超微粒子(0.11
4g)をTOP(1.824g)に溶解したものを加え
更に約2mLのヘキサンを用いて洗い込み加えた。10
0℃に加熱しマグネチックスターラーで撹拌しながら融
解しフラスコ内部の真空引き及び乾燥アルゴンガス置換
を数回行った後、大気圧のアルゴンガス雰囲気下で実際
の液温を180℃に上昇した。一方、ジエチル亜鉛のI
N濃度ヘキサン溶液(1.625mL)とビス(トリメ
チルシリル)スルフィド(0.291g)とをTOP
(9.054g)に溶解した原料溶液Dを乾燥窒素雰囲
気において別途調製し、これを上記180℃の反応液に
20分間で滴下し、更に90℃で延べ4時間加熱した。
熱源を除去し、固化する前に乾燥したn−ブタノール
(9.7mL)を加え、メタノール(100mL)中に
注入し、生成した赤色沈殿を合成例3同様に遠心分離を
含む精製操作により単離、乾燥したところ、0.216
5gの赤色粉末であるZnSシェルを有するCdSeナ
ノ結晶を主体とする半導体超微粒子を得た。この赤色粉
末のトルエン溶液は、波長541nmに吸収スペクトル
極大を、波長555nmに発光スペクトル極大(励起波
長は365nm)を、波長543nmに励起スペクトル
極大(発光波長は555nm)を、それぞれ与えた。こ
の合成例6で得た半導体超微粒子を「第2CdSe/Z
nS−TOPO」と以下称する。
【0111】合成例7[11−MTEGを配位子として
含有する半導体超微粒子の合成、その2] 合成例6で得た「第2CdSe/ZnS−TOPO」
(0.0519mg)及び合成例1で得た11−MTE
G(0.1605g)をエタノール(1mL)中でアル
ゴンガス雰囲気下2時間加熱還流した。反応液を濃縮後
トルエン(1mL)に溶解し、n−ヘキサン(10m
L)中に注入して沈殿を生成させた。この沈殿を遠心分
離しデカンテ−ションにより上澄み液を除去し、再度ト
ルエン(1mL)に溶解し同様のn−ヘキサン中での沈
殿、遠心分離、次いでデカンテーションによる精製操作
を行い、真空乾燥して0.0467gの半導体超微粒子
粉末を得た。この粉末はエタノールへの優れた溶解性を
有するものであった。この赤色粉末のトルエン溶液は、
波長540nmに吸収スペクトル極大を、波長554n
mに発光スペクトル極大(励起波長は365nm)を、
波長543nmに励起スペクトル極大(発光波長は55
4nm)を、それぞれ与えた。この合成例7で得た半導
体超微粒子を「第2CdSe/ZnS−MTEG」と以
下称する。
【0112】実施例2[振動オリフィス法による球状超
微粒子の調製、その2] 実施例1同様の操作において、合成例4で得たCdSe
/ZnS−MTEG溶液の代わりに合成例7で得た「第
2CdSe/ZnS−MTEG」を、ほぼ同重量の半導
体超微粒子が添加されるよう計算して使用し、球状微粒
子の製造条件を調整して光学顕微鏡観察による数平均粒
径が約8.5μmである真球状の球状微粒子を得た。こ
の球状微粒子の粒径分布はほぼ単分散とよべるものであ
った。
【0113】[共振光の発生確認実験]日本分光製NR
S−2100顕微ラマン測定装置において、アルゴン陽
イオンレーザー(日本電気製GL2169相当品、出力
300mW、励起波長514.5nm)を励起光源と
し、実施例2で得た球状微粒子の発光観測を行った。励
起時のパワーは試料位置でのモニターでは20〜50m
W程度であり、集光されたビーム径は約1μmであり、
露光時間は1秒間とした。図2及び図3に、低パワー及
び高パワー励起時の発光スペクトルをそれぞれ示した。
いずれも、滑らかなスペクトルでなくギザギザな多数の
発光ピーク形状が顕著であり、微小球内部での共振効果
によるCdSeナノ結晶の様々な発光遷移からのレーザ
ー様発振を示唆するものなので、レーザー発振光を発す
る球状微粒子光共振器としての応用が示唆された。低パ
ワー励起時(図−2)では、合成例7に記載した発光波
長(554nm)付近に全体としてピークを有するスペ
クトル曲線となったが、高パワー励起時(図−3)では
より高エネルギーの540nm付近に新たな発光ピーク
を有するスペクトル曲線となった点及び上記ギザギザ形
状がより顕著となった点が認められた。こうした発光能
は、長時間のレーザー励起光照射によってもほとんど減
衰しない。
【0114】比較例1[含水エタノール難溶性半導体超
微粒子の使用] 実施例1において、半導体超微粒子としてCdSe/Z
nS−MTEG溶液の代わりに合成例3で得たCdSe
/ZnS−TOPOを同じ半導体結晶粒子濃度となるよ
うに使用すると、CdSe/ZnS−TOPOはエタノ
ールに難溶性であるため、この半導体超微粒子の凝集し
た粗大粒子が分散した不透明な球状微粒子を得る。かか
る不透明な球状微粒子においては入射光あるいは発光が
該粗大粒子により散乱されるので、球状微粒子光共振
器、あるいはフォトニック結晶の構成微粒子等の光学用
途への利用に好適とは言えない。
【0115】比較例2[発光源としての有機色素の使
用] 前記従来の技術で引用したS.Shibataら著及び
柴田修一ら著の2文献を参考にし、実施例2において合
成例7で得た「第2CdSe/ZnS−MTEG」の代
わりにローダミン6G(赤色発光性有機色素)を添加し
て同様の球状微粒子を調製した。上記共振光の発生確認
実験と同様に発光能を調べると、実施例2の球状微粒子
同様にギザギザ形状を有する共振効果による発光スペク
トルを与えたものの、長時間のレーザー励起光照射によ
る発光能の減衰が見られる。また、この比較例2の球状
微粒子は、上記2文献同様レーザー発振能が確認され
る。かかる球状微粒子でも、半導体微粒子を発光源とす
る実施例2の球状微粒子同様の上記ギザギザ形状を有す
る共振効果による発光スペクトルを与えたことは、実施
例2の球状微粒子もレーザー発振能を有する可能性を強
く示唆している。
【0116】
【発明の効果】本発明の提供する半導体超微粒子を均一
に分散した球状微粒子は、真球度が極めて高く、粒径分
布が狭い特徴を有する。しかも半導体結晶粒子が均一に
分散しているので光学的透明性に優れる。また、球状微
粒子内部での共振効果によりレーザー発振可能なもので
ある。従って、球状微粒子光共振器、あるいはフォトニ
ック結晶の構成微粒子等の光学用途に好適に利用され
る。
【0117】本発明の提供するゾル−ゲル法反応を利用
した振動オリフィス法による球状微粒子の製造方法は、
前記の特徴を有する本発明の球状微粒子の粒径を精密に
制御することのできる優れた製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動オリフィス法装置の一例を示す概念図であ
る。
【図2】半導体超微粒子を含有する球状微粒子の低パワ
ー励起時の発光スペクトル図であり、縦軸は発光強度
(単位はarbitrary unit(a.u.:任意強度))を横軸
は発光波長をそれぞれ表す。
【図3】゜半導体超微粒子を含有する球状超微粒子の高
パワー励起時の発光スペクトル図であり、縦軸は発光強
度(単位はarbitrary unit(a.u.:任意強度))を横
軸は発光波長をそれぞれ表す。
【符号の説明】
A 気流の供給口 B 原料溶液の供給口 C フィルター D 流量計 E オリフィス F 圧電変換器 G 振動制御装置 H 交流電場 I 原料溶液の液滴 J 移送管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CP031 DE096 DE106 DE136 DF016 DG006 DG026 DH006 FA086 FD206 GP00 4J035 BA11 CA01K EA01 EB02 LA03 LB20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ素−酸素結合を高分子鎖の主体とし
    て含有する高分子マトリクスとこれに均一に分散した半
    導体超微粒子とを必須成分とする組成物からなり、数平
    均粒径が0.1〜30μmかつ粒径の標準偏差が15%
    以下であることを特徴とする球状微粒子。
  2. 【請求項2】 半導体超微粒子が有機配位子を結合して
    なるものである請求項1に記載の球状微粒子。
  3. 【請求項3】 有機配位子がホスフィンオキシド類又は
    チオール類である請求項2に記載の球状微粒子。
  4. 【請求項4】 有機配位子が炭素数4以上のメチレン基
    連鎖を有するものである請求項2又は3に記載の球状微
    粒子。
  5. 【請求項5】 有機配位子がポリアルキレングリコール
    残基を有するものである請求項2〜4のいずれかに記載
    の球状微粒子。
  6. 【請求項6】 半導体超微粒子が周期表第4族又は同第
    12族に該当する元素を含有する半導体結晶粒子を主体
    とするものである請求項1〜5のいずれかに記載の球状
    微粒子。
  7. 【請求項7】 半導体超微粒子がコアシェル構造を有す
    る半導体結晶粒子を主体とするものである請求項1〜6
    のいずれかに記載の球状微粒子。
  8. 【請求項8】 有機配位子を結合した半導体超微粒子の
    共存下、アルコキシシラン類を主体とする金属アルコキ
    シド類の加水分解縮合反応を行う工程を含むことを特徴
    とする請求項1〜7のいずれかに記載の球状微粒子の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 加水分解縮合反応の原料液を振動オリフ
    ィスから気相に押し出して液滴とする工程、次いで該液
    滴を送風移送する工程を含む請求項8に記載の球状微粒
    子の製造方法。
  10. 【請求項10】 アルコキシシラン類として下記一般式
    (1)で示されるトリアルコキシシラン類を使用する請
    求項8又は9に記載の球状微粒子の製造方法。 【化1】R−Si−(ORa3 (1) (一般式(1)において、Rは炭素数12以下の炭化水
    素基を、3個のRaは、互いに同一でも異なっていて良
    い炭素数6以下の炭化水素基を、それぞれ表す。)
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006287024A (ja) * 2005-04-01 2006-10-19 National Institute For Materials Science 微小レーザー発振装置
JP2007119320A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 紫外線バンド端発光を示す酸化亜鉛超微粒子及びその製造方法
JP2007308548A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Yamaguchi Univ 樹脂粒子およびその製造方法
JP2013505347A (ja) * 2009-09-23 2013-02-14 ナノコ テクノロジーズ リミテッド カプセル化された半導体ナノ粒子ベース材料

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