JP2002275108A - トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法 - Google Patents

トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールの製造方法

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JP2002275108A JP2001083054A JP2001083054A JP2002275108A JP 2002275108 A JP2002275108 A JP 2002275108A JP 2001083054 A JP2001083054 A JP 2001083054A JP 2001083054 A JP2001083054 A JP 2001083054A JP 2002275108 A JP2002275108 A JP 2002275108A
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trans
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Yuichi Sato
裕一 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールをト
ランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールに異性化す
るに際して、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールを高回収率且つ簡便に回収する。 【解決手段】シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール
を、異性化触媒の存在下で加熱した後、固液分離して、
トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールを製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,4−シクロヘキ
サンジメタノールのシス体を異性化触媒の存在下にトラ
ンス体に異性化する、トランス−1,4−シクロヘキサン
ジメタノールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1,4−シクロヘキサンジメタノールは、
ポリエステル系の塗料や合成繊維、合成樹脂などの原料
等として有用な化合物である。1,4−シクロヘキサンジ
メタノールには、シス体とトランス体とが存在するが、
シス体から製造したポリエステル樹脂よりも、トランス
体から製造したポリエステル樹脂の方がガラス点や軟化
点が高く、物性に優れていることが知られている。しか
しながら、通常、1,4−シクロヘキサンジメタノール
は、シス体とトランス体との混合物として得られるた
め、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールをよ
り高収率で得ることが望まれている。
【0003】トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールをより高収率で得る方法として、特許第25374
01号公報には、1,4−シクロヘキサンジメタノールの
シス体とトランス体の混合物をアルカリ触媒の存在下で
蒸留するトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール
の製造方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールの製
造方法においては、アルカリ性化合物の存在下での蒸留
において、副反応が起きて、蒸留塔底部の塔底物の粘度
が高くなり、それに起因して異性化反応混合物からトラ
ンス−1,4−シクロヘキサンジメタノールを高回収率で
回収できないという問題がある。また、蒸留に際して減
圧をする必要があり、簡便でない。
【0005】本発明の目的は、上記課題を解決するもの
であり、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールをト
ランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールに異性化す
るに際して、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールを高回収率且つ簡便に回収し得る、トランス−1,4
−シクロヘキサンジメタノールの製造方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、下記の構成により上記
課題が達成されることを見出した。 (1)シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールを、異
性化触媒の存在下で加熱した後、固液分離することを特
徴とするトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール
の製造方法。 (2)シス体とトランス体との合計に対するシス含有量
が60モル%以上のシス体高含有の1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールを原料とし、該シス含有量が40モル%
以下のトランス体高含有の1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールを製造することを特徴とする上記(1)記載の製
造方法。
【0007】(3)上記異性化触媒が、固体触媒である
ことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の製造方
法。 (4)上記固体触媒が、無機酸化物を含むことを特徴と
する上記(3)記載の製造方法。 (5)常圧下で行うことを特徴とする上記(1)〜
(4)のいずれかに記載の製造方法。
【0008】本発明では、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールのシス体とトランス体の混合物を異性化触媒の存
在下加熱した後、これを単に固液分離するという極めて
簡便な操作を行うことで、トランス−1,4−シクロヘキ
サンジメタノールを極めて高収率で得ることを見出した
ものである。
【0009】すなわち、上記シス及びトランス混合物
は、従来の製造方法のように、触媒存在下で蒸留すると
いう手段を用いなくても、当該混合物を異性化触媒の存
在下に単に加熱することで、1,4−シクロヘキサンジメ
タノールのシス体のトランス体への異性化は十分起こる
こと、従って、副生成物による高粘性化が生じることも
なく、また格別減圧にする必要もないことを知見すると
ともに、得られた生成物を単に固液分離するという極め
て簡便な操作によって、トランス体高含有の1,4−シク
ロヘキサンジメタノールを分離できることを見出したも
のである。
【0010】上記異性化触媒として反応系において固相
である異性化触媒を選択することにより、上記固液分離
操作をより効率的に行うことができ、トランス高含有物
を回収率良く行うことができる。本発明の方法は、更な
るトランス高含有物を得るために、異性化反応条件を適
宜選択することができ、例えば、異性化反応時間を長く
したり、反応温度を高くしたりしてもよい。
【0011】更に、本発明の方法によれば、シス含有量
が高いシス/トランス混合物(例えばシス体とトランス
体との合計に対するシス含有量が60モル%以上のも
の)を原料として用いても、有効にトランス高含有の1,
4−シクロヘキサンジメタノール(例えばシス体とトラ
ンス体との合計に対するトランス含有量が60モル%以
上のもの)を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳述する。本
発明で異性化の原料とする1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールのシス体は、その製造由来を問うことなく用いる
ことができ、高純度品であっても、トランス体との混合
物であっても用いることができる。一般に、工業的に製
造される1,4−シクロヘキサンジメタノールは、トラン
ス体が約65〜75%でシス体が約25〜35%の割合
の混合物として得られるが、かかる一般に得られるトラ
ンス体とシス体の混合物を好適に用いることができる。
また必要に応じて、かかる混合物から精製分離された高
純度のシス体を用いることもできるし、また他の製造方
法により得られたシス体高含有率の混合物を用いること
もできる。本発明の方法においては、シス体の含有量が
60モル%以上のシス/トランス混合物を原料として好
適に用いることができる。
【0013】本発明において用いることができる異性化
触媒としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールを異
性化することのできる触媒であればいずれでもよく、特
に限定されない。好ましくはアルカリ触媒や無機酸化物
を含む触媒を用いることができる。固液分離し易さの観
点から、異性化触媒の選択に当たっては、反応系に溶媒
が用いられているか否かなどの反応系の状況を考慮し
て、反応系において固相となるものが好ましい。特に、
異性化を効率的かつ安価に行い得る点で、無機酸化物を
含む触媒を好ましく用いることができる。
【0014】アルカリ触媒の例として、ナトリウム、カ
リウム、リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類
金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム等)や、ナト
リウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどの各種ア
ルコラートなどが挙げられる。これらのアルカリ性化合
物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を
適宜併用してもよい。
【0015】無機酸化物を含む触媒としては、反応溶液
に不溶性の無機酸化物からなるものが適当であり、反応
溶質および/または水等の反応溶媒に不溶性のものが適
当である。上記無機酸化物としては、周期表IA族、II
A族、IIIA族に属する元素から選ばれる少なくとも一
種の元素を含むものであることが好ましく、アルカリ金
属の酸化物およびアルカリ土類金属の酸化物のうち少な
くとも一方を含むことがより好ましい。
【0016】上記無機酸化物としては、特に限定される
ものではないが、具体的には、例えば、ナトリウム、セ
シウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ランタ
ン、セリウム等、周期表IA族、IIA族、またはIIIA
族に属する元素の酸化物;ナトリウム、カリウム、セシ
ウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ランタ
ン、セリウム等、周期表IA族、IIA族、またはIIIA
族に属する元素を含む酸化物が担体に担持された担持型
触媒(担持体);等が挙げられる。
【0017】上記触媒が担持型触媒である場合に用いら
れる上記の担体としては、上記無機酸化物を固定化でき
るものであれば特に限定されるものではないが、具体的
には、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウ
ム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコ
ニウム(ジルコニア)、等の、等結晶性や非結晶性の金
属酸化物、あるいはシリカ−アルミナ等の複合酸化物;
活性炭;等が挙げられる。これら担体は、一種類のみを
用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0018】上記触媒を調製する方法は、特に限定され
るものではないが、上記触媒が例えば上記担持型触媒か
らなる場合について、その調製方法を以下に説明する。
【0019】上記担持型触媒は、上記元素が最終的に酸
化物の形態で担体に担持されていればよく、上記元素を
含む酸化物を直接担体に担持することもできるが、該触
媒の調製には、一般的には、上記元素を担体に担持した
後、あるいは、担持する過程で酸化させる方法が用いら
れる.上記元素またはその酸化物の担持方法としては、
特に限定されるものではなく、例えば、含浸法、沈澱
法、蒸着法等の、公知の種々の担持方法を採用すること
ができる。
【0020】例えば含浸法を採用して、上記元素を結果
的に酸化物の形態で担体に担持することにより、上記担
持型触媒を調製する場合の具体的な方法の一例を示す。
先ず、上記の元素を含む化合物を水またはアルコール等
の溶媒に溶解させて均一溶液を調製する。このとき、必
要に応じて加温してもよい。次に、上記の溶液に担体を
添加した後、溶媒を蒸発、乾固させる。また、必要に応
じて、乾燥後、さらに該担持体を所定温度で焼成する。
これにより、溶媒の蒸発、乾固工程、あるいは焼成工程
で上記元素が酸化されて上記元素の酸化物が担体に担持
された担持型触媒が調製される。尚、二種類以上の元素
を担体に担持する場合、これら元素を担体に担持する順
序は、特に限定されるものではなく、両者を同時に担持
してもよく、何れか一方を先に担持した後、他方を担持
してもよい。
【0021】上記触媒が担持型触媒である場合におけ
る、上記元素を含む酸化物の含有量、すなわち、担体へ
の上記元素を含む酸化物の担持量は、所望する触媒の組
成(酸化物の種類)等に応じて適宜設定すればよく、特
に限定されるものではないが、0.01〜80重量%の
範囲内が好ましく、0.1〜50重量%の範囲内がより
好ましい。上記元素を含む酸化物の含有量が上記範囲内
にあることが、触媒活性が高く、1,4−シクロヘキサン
ジメタノールのシス体のトランス体への異性化を効率よ
く行えること、つまり、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールのトランス体を、工業的に、効率的にかつ安価に得
ることができる点で好ましい。
【0022】また、上記触媒としては、ハイドロタルサ
イト等の塩基性を示す物質を用いることもできる。
【0023】これら無機酸化物の中でも、例えば周期表
IIA族に属するアルカリ土類金属の酸化物が好適であ
り、酸化バリウム、過酸化バリウムがより好適であり、
その中でも、酸化バリウムがより一層好適である。
【0024】尚、上記無機酸化物を含む触媒は、例えば
触媒活性をより一層向上させる目的や、反応時における
反応液中への上記元素の溶出を防止するために、上記無
機酸化物を主成分とし、該無機酸化物による作用効果を
阻害しない範囲内で、必要に応じて、他の成分を含んで
いてもよい。上記触媒中における無機酸化物の含有量
は、触媒活性が良好な点で、0.01〜100重量%の
範囲内であることが好ましく、0.1〜100重量%の
範囲内であることがより好ましい。
【0025】本発明においては、異性化原料とする1,4
−シクロヘキサンジメタノールのシス体とトランス体の
混合物、あるいはシス体の高純度品を、上記のような異
性化触媒と接触させて加熱することにより異性化原料中
のシス体をトランス体に異性化し、得られたトランス体
高含有の異性化反応混合物と異性化触媒とを固液分離す
ることにより、トランス体高含有の異性化反応混合物が
回収される。
【0026】上記異性化反応は、溶媒を用いてもく、ま
た無溶媒でもよい。無溶媒で行われることが、後の溶媒
の除去操作を省くことができる点で望ましい。必要に応
じて溶媒を用いて異性化原料を希釈することもでき、そ
の場合は、異性化反応に不活性な溶媒であって、異性化
触媒を固相に維持できる範囲で用いることが好ましく、
その使用量は必要に応じて適宜選択することができる。
溶媒としては、例えば、水、アルコール、炭化水素等の
溶媒を、用いる異性化触媒の溶解性等を適宜考慮して、
用いることができる。
【0027】上記異性化反応は、連続式、回分式、半回
分式の何れの形式でも行うことができ、反応形式は特に
限定されるものではない。異性化触媒は、反応形式とし
て例えば回分式を採用する場合には、反応装置に原料と
共に一括して仕込めばよく、また、反応形式として例え
ば連続式を採用する場合には、異性化触媒は、反応装置
に予め充填しておく固定床の形態で使用してもよく、ま
た懸濁床の形態で使用してもよい。異性化触媒の使用量
は、触媒の種類や組成、反応条件、反応形式、触媒の形
態等に応じて適宜設定することができ、特に限定される
ものではないが、一般に次のような使用量が好ましい。
【0028】上記触媒は、一般に反応形式等に応じて粉
末状ないし粒状として用いられることが好ましく、例え
ば、回分式にて反応を行う場合、あるいは懸濁床の形態
で連続式にて反応を行う場合は、異性化原料の1,4−シ
クロヘキサンジメタノールに対して、0.01〜50重
量%が好ましい。この範囲内において、エーテル結合の
重合体を生成するなどの副生成物を生成せずに、良好に
異性化を行うことができる。また、固定床の形態で連続
式にて反応を行う場合は、液空間速度(LHSV)が
0.01〜100h-1となるよう設定することが好まし
い。この範囲内で、副生成物を生成することなく、良好
に異性化を行うことができる。
【0029】反応温度、反応圧力、反応時間等の反応条
件は、用いる異性化触媒の種類や組成、その使用量、溶
媒の有無等必要に応じて適宜設定することができ、特に
限定されるものではないが、反応温度は、通常50〜2
50℃の範囲であり、130℃〜200℃の範囲が好ま
しく、140℃〜190℃の範囲がさらに好ましい。反
応圧力も、必要に応じて適宜設定することができ、特に
限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧
の何れであってもよく、また、反応雰囲気も特に限定さ
れない。簡便性の観点から、常圧であることが好まし
い。反応時間も、特に限定されるものではない。異性化
時間を長く設定することにより、高トランス体を得るこ
ともできる。
【0030】上記のように異性化反応を行うことによ
り、異性化原料の1,4−シクロヘキサンジメタノールの
シス体がトランス体に異性化され、生成したトランス体
を含む異性化反応混合物が得られる。異性化反応混合物
には、通常未反応のシス体が含まれ、また、異性化反応
に溶媒が用いられた場合には、この溶媒も含まれる。異
性化原料として、トランス体とシス体との混合物を用い
た場合には、異性化原料の混合物よりトランス体の濃度
が高いトランス体とシス体との混合物が異性化反応混合
物として得られる。本発明では、トランス体含有量が6
0モル%以上の高トランス含有体を得ることができる。
【0031】上記の如くして得られた異性化反応混合物
は、それが触媒を懸濁床の形態で使用して得られたもの
である場合には、粉末状ないし粒状の触媒が含有されて
いる。したがって、この場合には、得られた異性化反応
混合物から、固液分離により、含有されている該粉末状
ないし粒状の触媒が分離、除去される(なお、得られた
異性化反応混合物が、触媒を固定床の形態で使用して得
られたものである場合には、得られた異性化反応混合物
は、反応系から流出される時点で既に触媒は固液分離さ
れており、触媒を含有しないので、改めて固液分離に付
す必要はない)。
【0032】本発明における固液分離手段としては、常
圧下にて固相と液相とを分離できる方法であれば、特に
限定されず、一般的固液分離手段を何れでも用いること
ができる。具体的には、濾過、遠心分離、デカンテーシ
ョン等が挙げられる。
【0033】本発明においては、上記のとおり、異性化
触媒を固液分離手段により異性化反応混合物から分離す
ることができるので、副反応等による損失を招くことな
く、かつ簡便な操作により、高回収率で異性化により生
成したトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールを
回収することができる。
【0034】上記触媒の分離された異性化反応混合物
は、必要に応じて、そのまま用途に供することができ
る。また、異性化反応に溶媒が用いられている場合は、
異性化反応混合物に溶媒が含まれているので、必要に応
じて、蒸留等により溶媒を除去してから異性化反応混合
物を用途に供することができる。
【0035】本発明では、更に高トランス含有混合物
(高純度トランス体)が所望される場合は、反応条件を
厳しくする(長時間化、高温化等)ことにより、高トラ
ンス含有物を得ることができる。好ましくは反応時間を
長くすることが好ましい。反応時間や反応温度は、異性
化反応混合物の組成、所望の高濃度(高純度)のトラン
ス体におけるその濃度(純度)等に応じて適宜設定する
ことができる。
【0036】以下、実施例および比較例により本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限
定されるものではない。
【0037】実施例1 [原料のシクロヘキサンジメタノールの調製]100m
lオートクレーブにp−キシリレングリコール(東京化
成工業株式会社製)10g及び1,4−ジオキサン30m
lを仕込むと共に、活性炭担持ルテニウム(ルテニウム
含有率5質量%)1.8gを添加して密封した。次い
で、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、水素ガ
スを充填して内部を9.8×10 6Paに加圧した。そ
の後、50℃に加熱し、攪拌しながら水素ガスが吸収さ
れなくなるまで(内圧が低下しなくなるまで)反応させ
た。
【0038】反応終了後、内容物を取り出して濾過し、
還元触媒を除去した後、反応液の組成をガスクロマトグ
ラフィーを用いて分析した。その結果、1,4−シクロヘ
キサンジメタノールの収率は88.7モル%であり、該
1,4−シクロヘキサンジメタノールにはトランス体6
7.8モル%、シス体32.2モル%含まれていた。該
反応液を、エバポレーターにより大部分の溶媒を除いた
後、蒸留により15〜16mmHg、148〜150℃
の留分8.6gを得た。該シクロヘキサンジメタノール
組成物にはトランス体32.9モル%、シス体67.1
モル%が含まれていた。
【0039】[異性化反応]上記のようにして得られた
シス高含有1,4−シクロヘキサンジメタノール(トラン
ス体32.9モル%、シス体67.1モル%)5gと、
触媒として酸化バリウム(和光純薬株式会社製)0.5
gとを、10ml還流管付きフラスコに仕込み、180
℃で24時間攪拌した。フラスコの内容物を100℃ま
で冷却した後、熱時濾過により触媒を除去した。この結
果、1,4−シクロヘキサンジメタノールの回収率はほぼ
100モル%であり、該1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールにはトランス体が77.1モル%及びシス体が2
2.9モル%含まれていた。
【0040】実施例2 トランス体とシス体とを、トランス体67.9モル%及
びシス体32.1モル%の割合で含む1,4−シクロヘキ
サンジメタノール(和光純薬株式会社製)を原料として
使用し、該1,4−シクロヘキサンジメタノール10g
と、触媒としての酸化バリウム(和光純薬株式会社製)
1.0gとを、還流管付き30mlフラスコに仕込み、
180℃で3時間攪拌して、異性化反応を行った。フラ
スコの内容物を100℃まで冷却した後、熱時濾過によ
り触媒を分離した。この結果、1,4−シクロヘキサンジ
メタノールの回収率はほぼ100モル%であり、該1,4
−シクロヘキサンジメタノールにはトランス体が76.
0モル%及びシス体が24.0モル%含まれていた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、シス−1,4−シクロヘ
キサンジメタノールをトランス−1,4−シクロヘキサン
ジメタノールに異性化するに際して、異性化触媒の存在
下で単に加熱することにより異性化させ、更に該異性化
触媒を固液分離により分離するので、副反応等による損
失を招くことなく、高回収率且つ簡便に、トランス−1,
4−シクロヘキサンジメタノールを回収することができ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シス−1,4−シクロヘキサンジメタノー
    ルを、異性化触媒の存在下で加熱した後、固液分離する
    ことを特徴とするトランス−1,4−シクロヘキサンジメ
    タノールの製造方法。
  2. 【請求項2】 シス体とトランス体との合計に対するシ
    ス含有量が60モル%以上のシス体高含有の1,4−シク
    ロヘキサンジメタノールを原料とし、該シス含有量が4
    0モル%以下のトランス体高含有の1,4−シクロヘキサ
    ンジメタノールを製造することを特徴とする請求項1記
    載の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記異性化触媒が、固体触媒であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記固体触媒が、無機酸化物を含むこと
    を特徴とする請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 常圧下で行うことを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の製造方法。
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