JP2002273582A - ビーム加工装置及びタッチパネル基板の製造方法 - Google Patents

ビーム加工装置及びタッチパネル基板の製造方法

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JP2002273582A
JP2002273582A JP2001077153A JP2001077153A JP2002273582A JP 2002273582 A JP2002273582 A JP 2002273582A JP 2001077153 A JP2001077153 A JP 2001077153A JP 2001077153 A JP2001077153 A JP 2001077153A JP 2002273582 A JP2002273582 A JP 2002273582A
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processing
processing apparatus
irradiation
pulse signal
detection pulse
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JP2001077153A
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Takeshi Kobayashi
丈司 小林
Kazunori Miyamoto
和徳 宮本
Yasuhiro Kawakami
康弘 川上
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Ricoh Microelectronics Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Microelectronics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パルスレーザ光を用いて加工する場合に、ユ
ーザの希望に応じて加工速度を変更したときでも過不足
なく均一な加工が可能となるビーム加工装置及びタッチ
パネル基板の製造方法を提供する。 【解決手段】 パルスレーザ光を繰り返し出射するYA
Gレーザ装置1と、パルスレーザ光を加工対象物に案内
して照射する光ファイバ201等からなるビーム照射手
段と、加工対象物を移動させるXYテーブル5と、加工
制御データに基づいてYAGレーザ装置1及びXYテー
ブル5を制御する制御システム6とを備えたビーム加工
装置において、ユーザが加工速度のデータを入力するた
めの加工速度入力手段と、入力された加工速度のデータ
に基づいて、加工対象物の移動の条件とパルスレーザ光
の照射条件とを設定する加工条件設定手段を設ける。上
記加工速度入力手段及び加工条件設定手段は、制御シス
テム6に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルスレーザービ
ーム等のパルス状のエネルギービームを用いて樹脂、セ
ラミック、金属等の加工対象物を加工するビーム加工装
置及び該ビーム加工装置を用いたタッチパネル基板の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のビーム加工装置として、
Qスイッチを有するYAGレーザから出射されるパルス
状のレーザービームを用い、加工対象物であるワークを
切断したり穴開けしたりする加工装置が知られている。
このビーム加工装置では、XYテーブル上にワークをセ
ットし、パルス状のレーザービームの照射方向と交差す
る方向にワークを移動させながら、所定の繰り返し周波
数のパルス状のレーザビームをワークに連続的に照射す
る。このようなビーム加工装置では、ワーク上の各照射
スポットが一定のピッチで並ぶようにパルス状のレーザ
ビームが照射される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記ビーム加工装置で
は、加工対象物の種類や加工内容の種類などに応じて、
ユーザが加工速度を設定変更する場合がある。この加工
速度の設定変更を行ったときは、上記ワークの移動速度
を変えるとともに、ワーク上の各照射スポットが一定の
ピッチで並ぶようにレーザビームの繰り返し周波数を変
える必要がある。ところが、本発明者らの実験により、
上記ワークの移動速度の変化に応じてレーザビームの繰
り返し周波数を変えると、ワーク上の各照射スポットの
ピッチを一定に維持することができるが、ワーク加工が
不十分になったり、逆に過剰な加工によってワークに損
傷を与えたりするおそれがあるという問題があることが
わかった。
【0004】なお、この問題は、パルス状のエネルギー
ビームとしてレーザービームを用いるビーム加工方法及
びその装置において発生するものであるが、電子ビーム
や荷電粒子ビームなどの他のエネルギービームを用いる
ビーム加工方法及びその装置においても発生し得る。ま
た、上記問題は、パルス状のエネルギービームの照射ポ
イントを固定した状態でワークを移動させる場合だけで
なく、ワークを固定配置した状態でパルス状のエネルギ
ービームの照射ポイントを走査するように移動させる場
合や、パルス状のエネルギービームの照射ポイント及び
ワークの両者を移動させる場合にも発生し得る。
【0005】本発明は以上の背景の下でなされたもので
あり、その目的とするところは、パルス状のエネルギー
ビームを用いて加工する場合に、ユーザの希望に応じて
加工速度を変更したときでも過不足なく均一な加工が可
能となるビーム加工装置及びタッチパネル基板の製造方
法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、パルス状のエネルギービームを
繰り返し出射するビーム源と、該ビーム源から出射され
たエネルギービームを加工対象物に案内して照射するビ
ーム照射手段と、該加工対象物と該加工対象物に対する
該エネルギービームの照射ポイントとを相対移動させる
相対移動手段と、加工制御データに基づいて該ビーム源
及び該相対移動手段を制御する制御手段とを備えたビー
ム加工装置において、ユーザが加工速度のデータを入力
するための加工速度入力手段と、該加工速度入力手段で
入力された加工速度のデータに基づいて、該加工対象物
と該照射ポイントとの間の相対移動の条件と該エネルギ
ービームの照射条件とを設定する加工条件設定手段を設
けたことを特徴とするものである。なお、上記「加工速
度」は、上記加工対象物を加工する際の、加工対象物と
加工対象物に対するエネルギービームの照射ポイントと
の間の相対移動速度の最大値である。また、上記「加工
対象物」には、エネルギービームが照射される面が平面
のものだけでなく、エネルギービームが照射される面が
円筒面などの曲面であるものも含まれる。
【0007】請求項1のビーム加工装置においては、加
工速度入力手段からユーザが加工速度のデータを入力す
る。このユーザが入力した加工速度に基づいて、加工対
象物と加工対象物に対するエネルギービームの照射ポイ
ントとの間の相対移動の条件を設定するとともに、エネ
ルギービームの繰り返し周波数やピーク出力[W]等の
照射条件を、予め実験などで求めた過不足なく均一な加
工が可能な好適範囲に設定することができる。
【0008】請求項2の発明は、請求項1のビーム加工
装置において、上記加工速度入力手段で入力する加工速
度に対して、上限値及び下限値の少なくとも一方を設け
たことを特徴とするものである。
【0009】請求項2のビーム加工装置においては、上
記加工速度に対して上限値及び下限値の少なくとも一方
を設けることにより、上記相対移動の条件や上記エネル
ギービームの照射条件が予め実験などで求めた好適範囲
から外れるような加工速度の入力を回避することができ
る。
【0010】請求項3の発明は、請求項1又は2のビー
ム加工装置において、上記加工対象物と上記照射ポイン
トとが相対移動しているときの相対移動距離を検出して
移動距離検出パルス信号を生成する移動距離検出パルス
信号生成手段と、該移動距離検出パルス信号生成手段で
生成した該移動距離検出パルス信号に基づき、該相対移
動距離に同期させて各パルス状のエネルギービームの照
射タイミングを制御するビーム制御手段とを設けたこと
を特徴とするものである。
【0011】請求項3のビーム加工装置においては、加
工対象物と照射ポイントとの間の相対移動距離に同期さ
せて、ビーム源から繰り返し出射されるエネルギービー
ムの出射タイミングを制御することにより、加工の途中
で上記相対移動の速度が変化するときでも、パルス状の
エネルギービームの各照射スポットが一定のピッチで並
ぶように加工対象物上に照射されるようにする。
【0012】請求項4の発明は、請求項3のビーム加工
装置において、上記相対移動手段が、上記加工対象物を
上記エネルギービームの照射方向と交差する仮想面上で
互いに直交する2方向に移動させるものであり、上記移
動距離検出パルス信号生成手段が、該2方向のそれぞれ
について該エネルギービームに対する該加工対象物の一
定距離の移動ごとに移動距離検出パルス信号を生成する
ものであり、上記ビーム制御手段が、該移動距離検出パ
ルス信号生成手段で生成した該移動距離検出パルス信号
に同期させて、各パルス状のエネルギービームの照射タ
イミングを制御するものであることを特徴とするもので
ある。なお、上記移動距離検出パルス信号に同期したエ
ネルギービームの照射タイミングの制御には、移動距離
検出パルス信号が1個生成されるたびに上記パルス状の
エネルギービームを一回出射させるように制御する場合
だけでなく、移動距離検出パルス信号が複数個生成され
るたびに上記パルス状のエネルギービームを一回照射さ
せるように制御する場合も含まれる。
【0013】請求項4のビーム加工装置においては、上
記エネルギービームの照射方向と交差する仮想面上で互
いに直交する2方向のそれぞれについて、加工対象物の
一定距離の移動ごとに移動距離検出パルス信号を生成す
るとともに、この移動距離検出パルス信号に基づいて、
加工対象物とエネルギービームの照射ポイントとの間の
相対移動距離に同期させてエネルギービームの出射タイ
ミングを制御する。この制御により、上記相対移動の速
度が変化するときでも、エネルギービームの各照射スポ
ットが一定のピッチで並ぶように加工対象物上に照射さ
れるようにする。
【0014】請求項5の発明は、請求項4のビーム加工
装置において、上記移動距離検出パルス信号生成手段
が、上記2方向について生成した1組の移動距離検出パ
ルス信号に基づいて、該2方向と交差する斜め方向にお
ける該加工対象物の一定距離の移動ごとに移動距離検出
パルス信号を生成するものであり、上記ビーム制御手段
が、該移動距離検出パルス信号に同期させて、各パルス
状のエネルギービームの照射タイミングを制御するもの
であることを特徴とするものである。
【0015】請求項5のビーム加工装置においては、上
記2方向と交差する斜め方向における移動距離検出パル
ス信号に同期させて、各パルス状のエネルギービームの
照射タイミングを制御している。この制御により、加工
対象物とエネルギービームの照射ポイントとの間の相対
移動の速度が上記斜め方向で変化するときでも、エネル
ギービームの各照射スポットが一定のピッチで並ぶよう
に加工対象物上に照射されるようにする。
【0016】請求項6の発明は、請求項1、2、3、4
又は5のビーム加工装置において、上記ビーム源が、Q
スイッチを有するYAGレーザであることを特徴とする
ものである。
【0017】請求項6のビーム加工装置においては、Q
スイッチを介して、エネルギービームの出射タイミング
を制御するための繰り返し周波数を比較的広い範囲で変
化させた場合でも安定したエネルギービームを得ること
ができるため、上記エネルギービームの照射タイミング
の制御が容易となる。
【0018】請求項7の発明は、請求項1、2、3、
4、5又は6のビーム加工装置において、上記加工対象
物が、絶縁性基板上に形成された透明導電膜であり、該
透明導電膜の一部をスリット状に除去する加工を行うこ
とを特徴とするものである。
【0019】請求項7のビーム加工装置においては、絶
縁性基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除去する
加工の際に、絶縁性基板とエネルギービームの照射ポイ
ントとの間の相対移動の速度が変化する場合でも、上記
相対移動の方向においてエネルギービームの各照射スポ
ットが一定間隔で絶縁性基板上の透明導電膜に照射され
る。これにより、上記エネルギービームで透明導電膜が
除去されたスリットの形状が均一になる。
【0020】請求項8の発明は、透明基板上に透明電極
が形成されたタッチパネル基板を製造するタッチパネル
基板の製造方法であって、透明基板の表面に透明導電膜
を形成し、次いで、請求項7のビーム加工装置を用い
て、該透明基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除
去することにより、該透明基板上に透明電極を形成する
ことを特徴とするものである。
【0021】請求項8のタッチパネル基板の製造方法に
おいては、絶縁性透明基板の表面に透明導電膜を形成し
た後、上記エネルギービームで透明導電膜の一部がスリ
ット状に除去されるので、絶縁透明基板上に形成される
透明電極間のスリットの形状が均一になる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、ハイブリッド型
のタッチパネルの絶縁性透明基板上に形成された透明導
電膜の一部を、スリット状に除去して透明電極を形成す
る透明導電膜のビーム加工方法及びその装置に適用した
実施形態について説明する。
【0023】図1は、本発明に係るビーム加工装置の概
略構成図である。本ビーム加工装置は、パルス状のエネ
ルギービームとしてのパルスレーザ光を繰り返し出射す
るビーム源としてのYAGレーザ装置1と、YAGレー
ザ装置1から出射されたパルスレーザ光を加工対象物に
案内して照射するビーム照射手段2と、加工対象物と加
工対象物に対する該エネルギービームの照射ポイントと
を相対移動させる相対移動手段としてのXYテーブル5
と、加工制御データに基づいてYAGレーザ装置1及び
XYテーブル5を制御する制御手段しての制御システム
6とを備えている。
【0024】上記YAGレーザ発信装置1は、YAGロ
ッド101a及びQスイッチ101bを内蔵したレーザ
ヘッド101と、Qスイッチ101bを駆動するQスイ
ッチ駆動部102と、レーザヘッド101内のYAGロ
ッド101aにレーザ発振用の駆動電流を供給するレー
ザ電源103とを有している。上記Qスイッチ駆動部1
02は、制御システム6から送られてきたレーザ制御信
号に基づいて、レーザヘッド101内のQスイッチ10
1bを駆動する。Qスイッチ101bをオンすると、レ
ーザヘッド101から近赤外光(波長λ=1064n
m)からなるパルスレーザ光が出射される。上記Qスイ
ッチ駆動部102に入力するパルス状のレーザ制御信号
の繰り返し周波数は20Hz〜20kHz(周期=50
msec〜0.05msec)の範囲で変化させること
ができ、また、上記レーザ制御信号のパルス幅は80〜
500nsecの範囲で変化させることができる。この
Qスイッチ駆動部102でレーザヘッド101内のQス
イッチ101bを駆動することにより、上記繰り返し周
波数が500Hz〜5kHzの範囲内で、レーザヘッド
101からパルスレーザ光を出射することができる。
【0025】上記レーザヘッド101内のYAGロッド
101aは、希土類元素のNb(ネオジウム)をドープ
したYAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネッ
ト)結晶であり、フラッシュランプや半導体レーザ等の
図示しない励起源で励起される。このYAGロッド10
1aは、希土類元素のNb(ネオジウム)をドープした
YAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネット)結
晶であり、フラッシュランプや半導体レーザ等の図示し
ない励起源は、レーザ電源103から駆動電流Idが供
給されることにより駆動される。このレーザ電源103
からYAGロッド101aの励起源に供給される駆動電
流Idは、制御システム6からレーザ電源103に送ら
れてくる制御指令に基づいて変更することができ、これ
により、YAGレーザ発信装置1から出射されるパルス
レーザ光の出力を変更することができる。
【0026】図2は、上記YAGレーザ発信装置1から
出射されるパルスレーザ光の出力変化の一例を示すタイ
ムチャートである。ここで、上記レーザヘッド101の
レーザ出射端で計測されたパルスレーザ光の平均出力電
力Pa[W]とし、パルスレーザ光の繰り返し周波数を
Fr[Hz]とし、パルスレーザ光のパルス幅をτ[n
sec]とすると、このパルスレーザ光のピーク出力P
peak[W]は次式で与えられる。
【数1】Ppeak={Pa/(Fr×τ)}×10
【0027】上記ビーム照射手段2は、パルスレーザ光
をガイドするステップインデックス型の光ファイバ20
1と、光ファイバ201でガイドされてきたパルスレー
ザ光を集光して加工対象物に照射するレーザ照射ヘッド
202とを用いて構成されている。
【0028】ITO(インジウム酸化スズ)からなる加
工対象物としての透明導電膜4が表面に形成された透明
ガラスや透明プラスチック材(例えばPET、ポリカー
ボネート)からなる透明絶縁性基板3は、XYテーブル
5のリニアモータ502(例えば、サーボモータやステ
ッピングモータ)で駆動される載置台501上に、図示
しない吸引及び機械的なクランプ機構等によって固定さ
れる。この透明絶縁性基板3が固定された載置台501
を駆動するリニアモータ502を制御システム6で制御
することにより、上記透明導電膜4が形成された透明絶
縁性基板3を、上記パルスレーザ光の照射方向に垂直な
仮想面内で互いに直交するX方向及びY方向(図中の紙
面に垂直な方向)に2次元的に移動させることができ
る。
【0029】また、加工速度、XYテーブルの加速度、
加工精度をより向上させるために、XYテーブル5につ
いては、発泡チタン、マグネジウム、酸化アルミナ系、
アルミ合金系の超軽量素材で形成することが好ましい。
【0030】また、載置台501の内部に貫通孔を形成
して軽量化を図ってもよい。この貫通孔は、絶縁性透明
基板3と透明導電膜4との一体物がシート状のものであ
る場合の真空チャック用の気流経路を兼ねることもでき
る。載置台501については、絶縁性透明基板3の少な
くともパルスレーザ光が照射される部分の下側に凹部を
形成し、絶縁性透明基板3の下面と載置台501の上面
との間の距離をできるだけ長くするように構成すること
が好ましい。かかる構成により、絶縁性透明基板3を通
過して載置台501の表面で反射した反射レーザーが透
明導電膜4にあたることによってその加工に悪影響を及
ぼすことを抑制することができる。
【0031】また、本実施形態では、上記XYテーブル
5に、移動距離検出パルス信号生成手段としてのリニア
スケール503が取り付けられている。このリニアスケ
ール503は、X方向及びY方向の2方向のそれぞれに
ついて設けられ、上記透明絶縁性基板3が載置された載
置台501のX方向及びY方向の一定距離の移動ごとに
移動距離検出パルス信号を生成する。この移動距離検出
パルス信号をカウントすることにより、上記透明絶縁性
基板3が載置された載置台501の移動距離がわかる。
本実施形態では、この移動距離検出パルス信号に基づい
て、上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の
移動距離に同期させて各パルスレーザ光の照射タイミン
グを制御している。
【0032】本実施形態では、上記リニアスケール50
3としては、目盛格子が互いに形成されたスケールと走
査板とを非接触対向させて組み合わせることにより0.
5μm〜1.0μm程度の分解能が得られるもの(例え
ば、ハイデンハイン株式会社製のオープンタイプ測長シ
ステム:商品名)を用いている。ここで、例えばリニア
スケール503の分解能が1μmのときは1μmごとに
1パルス出力されるので、上記透明絶縁性基板3が載置
された載置台501の移動速度が1m/secの場合
は、1MHzの周波数(周期=1μsec)で移動距離
検出パルス信号が出力される。なお、上記リニアスケー
ル503は、加工精度や加工速度等の条件に応じて最適
なものを適宜選択して用いられる。また、上記移動距離
検出パルス信号生成手段は、X方向及びY方向の2方向
のそれぞれについて上記透明絶縁性基板3が載置された
載置台501の一定距離の移動ごとに移動距離検出パル
ス信号を生成するものであればよく、上記特定のリニア
スケールに限定されるものではない。
【0033】上記制御システム6は、ビーム加工装置全
体を監視するとともに加工制御データとしてのCAM
(Computer Aided Manufacturing)データに基づいて各
部に制御指令を出すパーソナルコンピュータ等からなる
上位コンピュータ装置601と、テーブル駆動制御装置
(シーケンサ)602と、同期連動型運転用の制御回路
基板603とを用いて構成されている。
【0034】上記CAMデータは、CAD(Computer A
ided Design)のデータに基づいてビーム加工装置の装
置パラメータを考慮して生成され、例えば線分形状の各
加工要素について照射ポイントのピッチと加工開始
点の座標と加工終了点の座標とが1組となったデータ
構造となっている。
【0035】上位コンピュータ装置601は、ユーザが
加工速度Voのデータを入力するための加工速度入力手
段、及びユーザが入力した加工速度Voのデータに基づ
いてXYテーブル5の載置台501の駆動条件とパルス
レーザ光の照射条件とを設定する加工条件設定手段とし
ても用いられる。上位コンピュータ装置601に上記C
AMデータが保存されたFDなどの記録媒体がセットさ
れCAMデータが読み込まれる。このCAMデータの読
み込みとともに、ユーザが希望する加工速度のデータが
上位コンピュータ装置601に入力される。なお、上記
載置台501の最大移動速度である加工速度について
は、予め実験などで求められたデータに基づいて、図3
に示すように上限値Vmaxが設定されており、ユーザが
入力した加工速度Voの値が上限値Vmaxを超えている場
合は、上位コンピュータ装置601のディスプレイ上
に、入力値が上限値Vmaxを超えている旨の警告メッセ
ージと、加工速度データの再入力を促すメッセージが表
示される。
【0036】上記上位コンピュータ装置601では、上
記CAMデータとユーザが入力した加工速度Voとに基
づき、各加工要素ごとに、XYテーブル5の載置台5
01の移動開始点及び移動終了点の座標、載置台50
1の加速領域における正の加速度α及び減速領域におけ
る負の加速度β(図3参照)、載置台501の最大移
動速度(=加工速度)、上記パルスレーザ光の照射条
件としてのレーザ電源103から供給される駆動電流I
d、などのデータが算出され、所定の記憶領域に記憶さ
れる。これらのデータの算出には、予め実験などで求め
られた最適範囲を含むデータテーブルが用いられる。
【0037】表1は、本実施形態のビーム加工装置で駆
動電流Id[A]と繰り返し周波数Fr[Hz]を変化
させて加工品質を調べた実験で求められた最適範囲のデ
ータテーブルの一例を示している。表1は、PET(ポ
リエチレンテレフタレート)からなる透明絶縁性基板3
上に形成されたITO(インジウム酸化スズ)からなる
透明導電膜4にスリットを形成する加工を行った実験の
結果である。
【表1】
【0038】上記表1の符号「A」で示した白抜きの部
分は、良好なスリット加工ができた条件範囲を示してい
る。一方、表1の符号「B」で示した部分は、パルスレ
ーザ光の出力が不足してスリットにおける透明導電膜4
が十分に除去されず絶縁不良が発生した条件範囲を示し
ている。また、表1の符号「C」で示した部分は、パル
スレーザ光の出力が強すぎてスリットが形成されている
部分の透明絶縁性基板3や透明導電膜4にダメージが発
生した条件範囲を示している。ここで、パルスレーザ光
の繰り返し周波数Frの範囲は、載置台501の駆動条
件によって決定され、この繰り返し周波数Frの範囲に
おいて良好なスリット加工ができるように、上記表1に
基づいて符号「A」で示した最適範囲に入る駆動電流I
dが設定される。
【0039】上記テーブル駆動制御装置602は、上位
コンピュータ装置601から送られてきた制御指令に基
づいて、リニアモータ502の駆動を制御するものであ
る。このテーブル駆動制御部602は、例えばリニアモ
ータ502がサーボモータのときはサーボコントローラ
を用いて構成され、またリニアモータ502がパルスモ
ータのときはパルスコントローラを用いて構成される。
【0040】図4は、上記制御回路基板603の一構成
例を示すブロック図である。この制御回路基板603
は、CPU603aと、I/Oインタフェース603
b、パルスカウンタ603cと、比較回路603dと、
パルス幅整形回路603eと、スイッチ回路603f
と、図示しないメモリ(RAM、ROM等)を用いて構
成されている。
【0041】上記I/Oインタフェース603bは、C
PU603aと外部の上位パーソナルコンピュータ装置
601との間でデータ通信を行うための信号処理を行
う。
【0042】上記パルスカウンタ603cは、リニアス
ケール503で生成された移動距離検出パルス信号Sm
のパルス数をカウントする。このパルスカウンタ603
cによるカウント値Nmは、比較回路603dにおいて
CPU603aから送られてきた基準値Nrefと比較さ
れ、両方の値が一致したとき比較回路603dからパル
ス信号が出力される。上記基準値Nrefは、加工条件に
応じて任意に設定することができる。また、上記パルス
カウンタ603cに入力される移動距離検出パルス信号
Smは、上記XYテーブル5の載置台501の移動方向
に応じて切り替えられる。例えば、載置台501をX方
向に移動させるときは、X方向用のリニアスケール50
3から出力される
【0043】上記パルス幅整形回路603dは、上記比
較回路603cから出力された移動距離検出パルス信号
Spのパルス幅を上記Qスイッチが動作可能なパルス幅
まで広げる回路である。このパルス幅整形回路603d
を調整することにより、YAGレーザ装置1から出射さ
れるパルスレーザ光のパルス幅を変更することができ
る。
【0044】上記スイッチ回路603eは、CPU60
3aからの制御指令に基づいて、連続加工と断続加工と
を適宜切り替えて実行できるように、パルス幅整形回路
603dから上記Qスイッチ駆動部102に出力される
レーザ制御信号をオン/オフ制御する回路である。
【0045】図5及び図6は、上記制御回路基板603
の各部の信号の一例を示すタイムチャートである。これ
らの図は、上記透明導電膜4上に照射されるパルスレー
ザ光の照射スポットのピッチを330μmに設定し、上
記リニアスケール503の分解能が0.5μmであって
0.5μmごとに一つのパルス信号Spを出力する場合
について示している。上記基準値Nrefは660(=3
30μm/0.5μm)に設定し、上記XYテーブル5
の載置台501の移動速度は、2m/secに設定して
いる。図5に示すように、上記XYテーブル5の載置台
501の移動に伴ってリニアスケール503から繰り返
し周波数f=4MHz(周期=0.25μsec)で移
動距離検出パルス信号Smが出力される。この移動距離
検出パルス信号Smがパルスカウンタ603cでカウン
トされる。そして、660個の移動距離検出パルス信号
Smがカウントされるたびに、すなわち上記載置台50
1が330μm移動するたびに、比較器603dからパ
ルス状のレーザ制御信号Spが出力される。そして、パ
ルス幅整形器603eにより、比較器603dから出力
されたレーザ制御信号Spの幅が、上記YAGレーザ発
信装置1のQスイッチ101bの駆動に必要な幅まで広
げられる。次に、図6に示すように、所定のパルス幅に
整形されたレーザ制御信号Sp'は、CPU603aで制
御されるスイッチ回路603fにより、加工制御データ
に基づいてオン/オフ制御される。このスイッチ回路6
03fでオン/オフ制御されたレーザ制御信号Sp"が、
Qスイッチ駆動部102に入力され、これにより、透明
絶縁性基板3の移動距離に同期した所定のタイミング
で、上記YAGレーザ発信装置1からパルスレーザ光が
出射し、透明絶縁性基板3上の透明導電膜4に照射され
る。このようにXYテーブル5の載置台501に固定さ
れた透明絶縁性基板3の移動距離に同期するように制御
されたパルスレーザ光が、透明絶縁性基板3上の透明導
電膜4に照射されることにより、図7(a)に示すよう
に、透明導電膜4に照射されるパルスレーザ光の照射ス
ポットLp(X)がX軸方向に一定のピッチで並ぶ。これ
により、図7(b)に示すように透明導電膜4が均一な
加工幅でスリット状に除去される。図7の例では、照射
スポットLpが10個分並んだ長さのスリット4a(X)
が2つ連続して形成されている。
【0046】以上、本実施形態によれば、ユーザが入力
した加工速度に基づいて、XYテーブル5の駆動条件及
びパルスレーザ光の繰り返し周波数Frを設定するとと
もに、YAGレーザ装置1の駆動電流Idを最適範囲に
設定しているので、過不足なく均一なスリット加工が可
能となる
【0047】また、本実施形態によれば、XYテーブル
5の載置台501の移動距離に同期するようにパルスレ
ーザ光の照射タイミングを制御しているので、載置台5
01の移動速度が何らかの理由により変化した場合で
も、透明絶縁性基板3上の透明導電膜4に照射されるパ
ルスレーザ光の照射スポットのピッチが変化しないの
で、加工幅が一定の均一なスリット加工が可能となる。
【0048】また、XYテーブル5の載置台501の移
動距離に同期するようにパルスレーザ光の照射タイミン
グを制御しているので、載置台501の加速域及び減速
域においても上記均一なスリット加工が可能となる。例
えば、従来の加工装置では500mmのスリット加工の
前後において加工を行わずに載置台を100mmづつ移
動させる加速域及び減速域を必要としていたのに対し、
本実施形態では、図8に示すように加速域の途中(図中
のX1点)からスリット加工を開始し、減速域の途中
(図中のX2点)までスリット加工を続けることができ
るため、載置台501の全体移動量を600mm程度ま
で短縮することができる。このことにより、上記透明導
電膜4の均一なスリット加工を達成しつつ、従来のエッ
チング加工と同等もしくはそれ以上の加工速度でスリッ
ト加工が可能となる。
【0049】また、上記透明絶縁性基板3上の透明導電
膜4に格子状のスリットを形成する場合は、まず、上記
図7(a)に示すように交差点Pcをさけながら透明絶
縁性基板3をX軸方向に移動しつつパルスレーザ光を照
射することにより、所定長のX軸方向のスリット4a
(X)を複数形成する。その後、上記交差点Pcを通過す
るように、透明絶縁性基板3をY軸方向に移動しつつパ
ルスレーザ光を照射する。これにより、図9(a)に示
すように、透明導電膜4に照射されるパルスレーザ光の
照射スポットLp(Y)がY軸方向に一定のピッチで並
ぶ。その結果、図9(b)に示すようにY軸方向におい
ても透明導電膜4が均一な加工幅でスリット状に除去さ
れ、X軸方向のスリット4a(X)とY軸方向のスリット
4a(Y)とが交差した格子状のスリットを形成すること
ができる。特に、図9で示した格子状のスリットの加工
例では、上記交差点Pcにおいても他の照射ポイントと
同様に、パルスレーザ光が1回しか照射されないので、
上記交差点Pcにおける過剰なレーザ照射による損傷の
発生などの不具合を防止することができる。なお、図9
の加工例では、X軸方向のスリット4a(X)のほうを上
記交差点Pcを避けながら形成し、Y軸方向のスリット
4a(Y)のほうを連続的に形成しているが、X軸方向の
スリット4a(X)のほうを連続的に形成するようにして
もよい。
【0050】図10は、本ビーム加工装置での透明導電
膜4の加工によって電極パターンが形成されるタッチパ
ネル基板を用いて構成されたタッチパネルの断面図であ
る。また、図11(a)及び(b)はそれぞれ、同タッ
チパネルの分解斜視図及び平面図である。図10に示す
ように、タッチパネルは、各透明導電膜4からなる透明
電極が通常状態で接触しないように1組の上下タッチパ
ネル基板7、8を所定の高さ(例えば9〜12μm)の
スペーサ9を介して対向させた構造になっている。そし
て、このタッチパネルを図8中の上方から押圧すると、
上タッチパネル基板7が2点鎖線で示すように変形し、
上下のタッチパネル基板7、8の透明電極同士が接触す
る。この接触による上下透明電極間の抵抗の変化から、
押圧されたか否か及び押圧された位置を知ることができ
る。また、このタッチパネルは、図11(a)及び
(b)に示すように上下のタッチパネル基板7、8のそ
れぞれに、互いに直交するスリット7a、8aが各透明
導電膜4に形成されている。
【0051】本実施形態のビーム加工装置は、図11
(a)及び(b)に示すスリット7a、8aを、透明導
電膜4に形成するものである。真空蒸着、イオンプレー
ティング、スパッタリング等によって表面に透明導電膜
4(厚さ=約500オングストローム)が形成された絶
縁性透明基板3は、透明導電膜4側の上方に向けて載置
台501上にセットされる。セットされた絶縁性透明基
板3上の透明導電膜4は、所定のスポット径に絞られた
パルスレーザ光が照射されながらXYテーブル5によっ
て一方向に移動させられる。この移動の過程で、幅50
0〜1000[μm]程度のパルスレーザ光の照射部分
が蒸発して透明導電膜4から除去され、各電極領域を絶
縁するスリット7a、8aが形成される。
【0052】本実施形態のビーム加工装置では、エッチ
ング処理を伴うフォトリソグラフィー法を用いることな
く、透明導電膜4を加工して絶縁性透明基板3上に複数
の透明電極を形成することができる。このため、フォト
レジストの現像液やエッチング液の廃液によって環境を
汚すことなく、上下のタッチパネル基板7、8を製造す
ることができる。また、透明電極のパターン形状を変え
る場合でも、フォトリソグラフィー用の遮光マスクを用
いることなくCAMデータで透明導電膜4を加工してパ
ターンに応じた複数の透明電極を形成することができ
る。このため、異なった電極パターンのタッチパネル基
板7、8についてそれぞれ専用の遮光パターンの遮光マ
スクを用意しなければならず他品種少量生産が困難にな
ったり、残留レジスト液によってワークを汚したりなど
フォトリソグラフィー法による不具合が起こらず、リー
ドタイムを短縮化してオンデマンドの要求に対しても十
分に対応することができる。
【0053】一方、フォトリソグラフィー法を用いた電
極加工では、フォトレジストの現像液やエッチング液等
の廃液が発生して環境を汚してしまうという不具合があ
る。また、透明電極のパターンを変える場合は、フォト
リソグラフィー用の遮光マスクを新規に作成しなければ
ならないため、加工効率が悪く、他品種少量生産への対
応及び低コスト化が難しかった。特に、アナログ方式の
タッチパネルのように透明導電膜4に数本のスリットを
形成するような場合でも、数百本のスリットを形成する
デジタル方式のタッチパネルの場合と同じフォトリソグ
ラフィー工程が必要になってくるため、加工部分が少な
いにもかかわらず廃液の低減及び低コスト化を図ること
が難しかった。
【0054】なお、上記実施形態では、XYテーブル5
の載置台501をX軸方向あるいはY軸方向に移動させ
ながら加工する場合について説明したが、本発明は、X
軸方向及びY軸方向に交差する斜め方向に載置台501
を移動させながら加工する場合にも適用できるものであ
る。この斜め移動の場合は、CPU603aから比較器
603dに送る基準値として、下記の数2に示す基準値
Nref(X)又は数3に示す基準値Nref(Y)を用いる。式中
の演算子「INT」は、かっこ内の数値に最も近い整数
を求める演算子である。また、式の右辺の「Nref」は
X軸方向あるいはY軸方向に移動する場合の基準値であ
る。また、式中の「θ」は、図12に示すように移動方
向とX軸方向とのなす角度であり、加工制御データから
求められる。
【数2】Nref(X)=INT(Nref×cosθ)
【数3】Nref(Y)=INT(Nref×sinθ)
【0055】ここで、例えばX軸方向のリニアスケール
503から出力された移動距離検出パルス信号Sm(X)を
用いる場合は、上記基準値として数1に示す基準値Nre
f(X)を用いる。一方、Y軸方向のリニアスケール503
から出力された移動距離検出パルス信号Sm(Y)を用いる
場合は、上記基準値として数2に示す基準値Nref(y)を
用いる。なお、上記載置台501の移動距離を精度よく
検出するという観点から、載置台501の移動方向がX
軸に近い場合は、上記X軸方向のリニアスケール503
からの移動距離検出パルス信号Sm(X)と上記基準値Nre
f(X)とを組み合わせて用い、載置台501の移動方向が
Y軸に近い場合は、上記Y軸方向のリニアスケール50
3からの移動距離検出パルス信号Sm(Y)と上記基準値N
ref(Y)とを組み合わせて用いのが好ましい。このような
組み合わせを切り替えて用いることにより、上記パルス
レーザ光の照射スポットのピッチに対応した移動距離検
出パルス信号の数が極端に少なくなることがないので、
上記載置台501の斜め方向の移動距離をX軸方向ある
いはY軸方向に移動させる場合と同様に精度よく検出す
ることができる。
【0056】また、上記実施形態においては、透明絶縁
性基板3上の透明導電膜4の一部を除去する加工を行な
う場合について説明したが、本発明は、このような加工
に限定されることなく適用することができるものであ
る。例えば、図13に示すように透明絶縁性基板3上の
透明導電膜4の表面に形成された導電性ペースト(例え
ば銀ペースト)からなる配線パターン13の周囲に配線
間絶縁用のスリット14を形成する場合にも用いること
ができ、同様な効果が得られるものである。
【0057】また、本発明は、樹脂板にハーフエッチン
グ加工や穴開け加工を行う場合にも適用できるものであ
る。この場合は、加工部の深さも均一にすることができ
る。さらに、本発明は、上記スリット形成加工、ハーフ
エッチング加工、穴開け加工だけでなく、樹脂、セラミ
ック、金属、フォトリソ用の感光層などの加工対象物に
表面処理加工、フォトレジストへの露光を行う場合にも
適用できるものである。
【0058】また、上記実施形態では、リニアスケール
503から出力される移動距離検出パルス信号を用い
て、載置台501に載置された透明絶縁性基板3の移動
距離に同期させてパルスレーザ光の照射タイミングを制
御しているが、リニアスケールやリニアエンコーダ等の
出力を用いて透明絶縁性基板3を載置した載置台501
の移動速度を求め、この移動速度に同期するようにパル
スレーザ光の照射タイミングを制御してもよい。
【0059】また、上記実施形態では、Qスイッチを有
するNb:YAGレーザから出射されたパルス状の近赤
外レーザビーム(波長λ=1064nm)を用いた場合
について説明したが、本発明は、このレーザビームに限
定されることなく適用できるものである。例えば、Qス
イッチを有する、Nb:YLFレーザ(波長λ=104
7nm)、Nb:YVOレーザ(波長λ=1064n
m)、COレーザ、銅蒸気レーザ等のパルスレーザを
用いる場合にも適用することができる。また、本発明
は、非線形光学結晶を用いて上記各種レーザの出力を波
長変換したレーザビームを用いる場合にも適用すること
ができる。例えば、Nb:YAGレーザと、LiB
(LBO)、KTiOPO、β−BaB(B
BO)、CsLiB10(CLBO)等の非線形光
学結晶とを組み合わせると、波長が355nm、266
nmの紫外領域のレーザビームを得ることができる。ま
た、上記透明導電膜を主にアブレーションで除去する紫
外領域のレーザビームとしては、KrFエキシマレーザ
ー等から出射されるパルス状の紫外光レーザビームを用
いることもできる。さらに、本発明は、レーザ光以外の
パルス状の光ビーム、荷電粒子ビーム等の他のパルス状
のエネルギービームを用いた場合にも適用が可能であ
る。
【0060】また、上記実施形態では、パルスレーザ光
の照射経路をレーザ照射ヘッド202で固定し、加工対
象物を互いに直交するX方向及びY方向に移動させる場
合について説明したが、本発明は、加工対象物を固定し
てセットし、レーザ等のエネルギービームをX方向及び
Y方向に移動させる場合や、エネルギービーム及び加工
対象物の両方を移動させる場合にも適用できるものであ
る。
【0061】
【発明の効果】請求項1乃至8の発明によれば、パルス
状のエネルギービームを用いて加工する場合に、ユーザ
の希望に応じて加工速度を変更したときでも、過不足な
く均一な加工が可能となるという効果がある。
【0062】特に、請求項2の発明によれば、上記相対
移動の条件や上記エネルギービームの照射条件が予め実
験などで求めた好適範囲から外れないようにすることが
できるので、過不足のない均一な加工をより確実に行う
ことができるという効果がある。
【0063】特に、請求項3乃至7の発明によれば、パ
ルス状のエネルギービームを用いて加工するときに、加
工対象物とエネルギービーム照射ポイントとの間の相対
移動の速度が変化する場合でも、エネルギービームの各
照射スポットが一定のピッチで加工対象物上に照射され
るようになるので、加工幅の変化が少ない均一な加工を
実現することができるという効果がある。
【0064】特に、請求項4の発明によれば、加工対象
物の一定距離の移動ごとに生成した移動距離検出パルス
信号を用いることができるため、エネルギービームの照
射タイミングの制御が簡易になるという効果がある。
【0065】特に、請求項5の発明によれば、エネルギ
ービームの照射方向と交差する仮想面上で互いに直交す
る2方向と交差する斜め方向に、加工対象物が移動する
ときでも、上記加工幅の変化が少ない均一な加工を実現
することができるという効果がある。
【0066】特に、請求項6の発明によれば、上記エネ
ルギービームの照射タイミングを制御するための繰り返
し周波数を比較的広い範囲で変化させた場合でもビーム
出力が安定したQスイッチを有するYAGレーザを用い
ているので、上記エネルギービームの照射タイミングの
制御が容易となるという効果がある。
【0067】特に、請求項7の発明によれば、導電性薄
膜が形成された透明基板とエネルギービームとの間の相
対移動の速度が変化する場合でも、エネルギービームで
導電性薄膜が除去されたスリットの形状が均一になると
いう効果がある。
【0068】請求項8の発明によれば、絶縁透明基板上
に形成される透明電極間のスリットの形状が均一となっ
たタッチパネル基板を製造することができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るビーム加工装置の概略
構成図。
【図2】各パルスレーザ光の出力の時間変化を示すグラ
フ。
【図3】透明絶縁性基板が載置された載置台の移動距離
と移動速度との関係を示すグラフ。
【図4】同ビーム加工装置に用いる制御回路基板のブロ
ック図。
【図5】リニアスケールの出力、比較器の出力及びパル
ス整形回路の出力を示すタイムチャート。
【図6】パルス整形回路の出力、スイッチ回路のオン/
オフ制御及び出力を示すタイムチャート。
【図7】(a)は、透明絶縁性基板上の透明導電膜に照
射されるパルスレーザ光の照射スポットの説明図。
(b)は、パルスレーザ光の照射によって形成された透
明導電膜のスリットの説明図。
【図8】透明絶縁性基板が載置された載置台の移動距離
と移動速度との関係を示すグラフ。
【図9】(a)は、透明絶縁性基板上の透明導電膜に照
射されるY軸方向のパルスレーザ光の照射スポットの説
明図。(b)は、パルスレーザ光の照射によって形成さ
れた透明導電膜の格子状のスリットの説明図。
【図10】タッチパネルの拡大断面図。
【図11】(a)はタッチパネルの分解斜視図。(b)
は同タッチパネルの平面図。
【図12】透明絶縁性基板が載置された載置台の移動方
向の傾き角度θの説明図。
【図13】タッチパネルの周端部の配線パターン及びそ
の周囲のスリットの説明図。
【符号の説明】
1 YAGレーザ装置 2 ビーム照射手段 3 透明絶縁性基板 4 透明導電膜 5 XYテーブル 6 制御システム 101 レーザヘッド 101a YAGロッド 101b Qスイッチ 102 Qスイッチ駆動部102 103 レーザ電源 201 光ファイバ 202 レーザ照射ヘッド 501 載置台 502 リニアモータ 503 リニアスケール 601 上位コンピュータ装置 602 テーブル駆動制御装置 603 制御回路基板
フロントページの続き (72)発明者 川上 康弘 鳥取県鳥取市北村10番地3 リコーマイク ロエレクトロニクス株式会社内 Fターム(参考) 4E068 AD00 CA03 CB02 CC06 CE04 CE08 DA09 5B087 AA00 CC13 CC16 5F072 AB02 AB15 AB20 HH05 HH07 JJ20 MM04 SS06 YY06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルス状のエネルギービームを繰り返し出
    射するビーム源と、該ビーム源から出射されたエネルギ
    ービームを加工対象物に案内して照射するビーム照射手
    段と、該加工対象物と該加工対象物に対する該エネルギ
    ービームの照射ポイントとを相対移動させる相対移動手
    段と、加工制御データに基づいて該ビーム源及び該相対
    移動手段を制御する制御手段とを備えたビーム加工装置
    において、 ユーザが加工速度のデータを入力するための加工速度入
    力手段と、 該加工速度入力手段で入力された加工速度のデータに基
    づいて、該加工対象物と該照射ポイントとの間の相対移
    動の条件と該エネルギービームの照射条件とを設定する
    加工条件設定手段を設けたことを特徴とするビーム加工
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1のビーム加工装置において、 上記加工速度入力手段で入力する加工速度に対して、上
    限値及び下限値の少なくとも一方を設けたことを特徴と
    するビーム加工装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2のビーム加工装置におい
    て、 上記加工対象物と上記照射ポイントとが相対移動してい
    るときの相対移動距離を検出して移動距離検出パルス信
    号を生成する移動距離検出パルス信号生成手段と、 該移動距離検出パルス信号生成手段で生成した該移動距
    離検出パルス信号に基づき、該相対移動距離に同期させ
    て各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを制
    御するビーム制御手段とを設けたことを特徴とするビー
    ム加工装置。
  4. 【請求項4】請求項3のビーム加工装置において、 上記相対移動手段が、上記加工対象物を上記エネルギー
    ビームの照射方向と交差する仮想面上で互いに直交する
    2方向に移動させるものであり、 上記移動距離検出パルス信号生成手段が、該2方向のそ
    れぞれについて該エネルギービームに対する該加工対象
    物の一定距離の移動ごとに移動距離検出パルス信号を生
    成するものであり、 上記ビーム制御手段が、該移動距離検出パルス信号生成
    手段で生成した該移動距離検出パルス信号に同期させ
    て、各パルス状のエネルギービームの照射タイミングを
    制御するものであることを特徴とするビーム加工装置。
  5. 【請求項5】請求項4のビーム加工装置において、 上記移動距離検出パルス信号生成手段が、上記2方向に
    ついて生成した1組の移動距離検出パルス信号に基づい
    て、該2方向と交差する斜め方向における該加工対象物
    の一定距離の移動ごとに移動距離検出パルス信号を生成
    するものであり、 上記ビーム制御手段が、該移動距離検出パルス信号に同
    期させて、各パルス状のエネルギービームの照射タイミ
    ングを制御するものであることを特徴とするビーム加工
    装置。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4又は5のビーム加工
    装置において、 上記ビーム源が、Qスイッチを有するYAGレーザであ
    ることを特徴とするビーム加工装置。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4、5又は6のビーム
    加工装置において、 上記加工対象物が、絶縁性基板上に形成された透明導電
    膜であり、 該透明導電膜の一部をスリット状に除去する加工を行う
    ことを特徴とするビーム加工装置。
  8. 【請求項8】絶縁性透明基板上に透明電極が形成された
    タッチパネル基板を製造するタッチパネル基板の製造方
    法であって、 絶縁性透明基板の表面に透明導電膜を形成し、 次いで、請求項7のビーム加工装置を用いて、該絶縁性
    透明基板上の透明導電膜の一部をスリット状に除去する
    ことにより、該絶縁性透明基板上に透明電極を形成する
    ことを特徴とするタッチパネル基板の製造方法。
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