JP2002272452A - バークホルデリア・セパシア、キチナーゼ、キチナーゼの製法及びキチンオリゴ糖の製法 - Google Patents

バークホルデリア・セパシア、キチナーゼ、キチナーゼの製法及びキチンオリゴ糖の製法

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JP2002272452A
JP2002272452A JP2001084078A JP2001084078A JP2002272452A JP 2002272452 A JP2002272452 A JP 2002272452A JP 2001084078 A JP2001084078 A JP 2001084078A JP 2001084078 A JP2001084078 A JP 2001084078A JP 2002272452 A JP2002272452 A JP 2002272452A
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chitinase
chitin
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Kihachiro Ogawa
喜八郎 小川
Ryuichiro Ikeda
隆一郎 池田
Keisuke Mishima
啓助 三島
A Kurisupinasu Omumasaba
エー.クリスピナス オムマサバ
Naoto Yoshida
直人 吉田
Kunichi Kariya
勲一 仮屋
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Rakuto Kasei Industrial Co Ltd
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KYOWA KASEI KK
Rakuto Kasei Industrial Co Ltd
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合度の高い5糖、6糖以上のキチンオリゴ
糖を効率良く生産できるキチンオリゴ糖の製法を提供す
ることにある。 【解決手段】 キチナーゼ生産能を有するバークホルデ
リア・セパシアを培養する。次に、この培養物中に分泌
生産されたキチナーゼを分離精製する。その後、分離精
製して得られたキチナーゼにてキチンを分解してキチン
オリゴ糖を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バークホルデリア
・セパシア、キチナーゼ、キチナーゼの製法及びキチン
オリゴ糖の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】キチンオリゴ糖は、難消化性、ビフィズ
ス菌利用性、免疫賦活活性、抗感染病効果、植物生長促
進作用等の作用を示すため、機能性食品、医薬品、農業
分野等で利用されている。特に、5〜8糖のキチンオリ
ゴ糖は、その作用に優れている。しかして、従来よりキ
チンオリゴ糖は、キチンを酸加水分解する化学的方法に
より製造されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
化学的方法では、5糖、6糖以上のキチンオリゴ糖の生
産性が低いという問題があった。一方、キチナーゼを用
いた酵素法でキチンオリゴ糖の調製が試みられたが、得
られたキチンオリゴ糖は2糖がほとんどであり、重合度
の高い5糖、6糖以上のキチンオリゴ糖は未だに得られ
ていない。
【0004】そこで、本発明は、重合度の高い5糖、6
糖以上のキチンオリゴ糖を効率良く生産できるバークホ
ルデリア・セパシア及びキチナーゼを提供し、さらに、
キチナーゼの製法及びキチンオリゴ糖の製法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係るバークホルデリア・セパシアは、キ
チナーゼ生産能を有するものである。また、本発明に係
るキチナーゼは、バークホルデリア・セパシアによって
生産されたものである。このとき、このキチナーゼは、
キチンに作用して機能性の高い(GicNAc )5〜8を
含むキチンオリゴ糖を生産するものである。また、本発
明に係るキチナーゼの製法は、キチナーゼ生産能を有す
るバークホルデリア・セパシアを培養し、この培養物中
に分泌生産されたキチナーゼを分離精製するものであ
る。また、本発明に係るキチンオリゴ糖の製法は、キチ
ナーゼ生産能を有するバークホルデリア・セパシアを培
養し、この培養物中に分泌生産されたキチナーゼを分離
精製し、分離精製して得られたキチナーゼにてキチンを
分解してキチンオリゴ糖を調製するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳説する。
【0007】近年、キチンオリゴ糖は、難消化性、ビフ
ィズス菌利用性、免疫賦活活性、抗感染病効果、植物生
長促進作用などの作用があるとして機能性食品、医薬
品、農業分野等で利用されており、特に、5糖、6糖以
上のキチンオリゴ糖がその作用に優れていることが知ら
れている。
【0008】本発明者等は、試行錯誤の実験等を重ねた
結果、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia ce
pacia )に属する菌がキチナーゼ生産能を有し、バーク
ホルデリア・セパシアに属するキチナーゼ生産菌にて作
られたキチナーゼが、キチンを重合度の高い5糖、6糖
以上のキチンオリゴ糖に効率良く変換しうることを見出
した。
【0009】そこで、本発明は、重合度の高い5糖、6
糖以上のキチンオリゴ糖に効率良く得るためのものであ
って、その第1の本発明は、キチナーゼ生産能を有する
バークホルデリア・セパシアである。また、第2の本発
明は、バークホルデリア・セパシアによって生産された
キチナーゼであって、キチンに作用して機能性の高い
(GicNAc )5〜8を含むキチンオリゴ糖を生産する
ものである。また、第3の本発明は、キチナーゼ生産能
を有するバークホルデリア・セパシアを培養し、この培
養物中に分泌生産されたキチナーゼを分離精製するキチ
ナーゼの製法である。そして、第4の本発明は、キチナ
ーゼ生産能を有するバークホルデリア・セパシアを培養
し、この培養物中に分泌生産されたキチナーゼを分離精
製し、分離精製して得られたキチナーゼにてキチンを分
解してキチンオリゴ糖を調製するキチンオリゴ糖の製法
である。
【0010】キチナーゼ生産能を有するバークホルデリ
ア・セパシアとしては特に限定されないが、バークホル
デリア・セパシアKH2株の使用が好ましい。このバー
クホルデリア・セパシアKH2株は、椎茸生産現場のホ
ダ木から、キチナーゼ生産能に関するスクリーニングに
より新規に見出されたものであり、2001年3月16日に
「バークホルデリア・セパシアKH2株」(受託番号FE
RM P-18257)として産業技術総合研究所生命工学工業技
術研究所に寄託され、下記の細菌学的性質を有する。
【0011】1.態学的性質 菌形:カン菌 大きさ:0.5-1.0 ×1.0-3.0 μm 胞子の形成:陰性 運動性:陽性 2.生理学的性質 グラム染色性:陰性 カタラーゼ:陽性 酸素に対する態度:好気性 蛍光色素の生成:陰性 硝酸塩の還元性:陰性 インドールの生成:陰性 グルコースの発酵性:陰性 アルギニンジヒドロラーゼ:陰性 ウレアーゼ:陰性 エスクリンの分解:陰性 ゼラチンの液化:陽性 B−ガラクトシダーゼ:陰性 資化性 グルコース:陽性 L−アラビノース:陰性 D−マンノース:陽性 D−マンニトール:陽性 N−アセチル−D−グルコサミン:陽性 マルトース:陰性 グルコン酸カリウム:陽性 n−カプリン酸:陽性 アジピン酸:陰性 dl−リンゴ酸:陽性 クエン酸ナトリウム:陽性 酢酸フェニル:陽性 オキシダーゼ:陰性 セロビオースからの酸の産生:陽性
【0012】以上の菌学的性質を有する菌について、腸
内細菌以外のグラム陰性カン菌同定キットAPI20NE
を用いて測定したところ、蛍光色素の生成が見られなか
ったことからバークホルデリア・セパシア(Burkholde
ria cepacia )と同定した。本菌株はバークホルデリア
・セパシアに属すると認められ、上述の如く「バークホ
ルデリア・セパシアKH2株」と命名した。
【0013】このバークホルデリア・セパシアKH2株
の培養においては、通常の細菌の培養法が一般的に用い
られる。培養のための栄養源としては下記に示す如く色
々なものを用いることができる。即ち、炭素源、窒素
源、無機塩類を適宜含有する培地であれば、天然培地で
も合成培地でも使用できる。
【0014】窒素源としては、硝酸カリウム、硝酸ナト
リウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、リン酸アンモニウム、コーングルテンミー
ル、コーンステイープリカー、ペプトン、ソイビーンミ
ール、肉エキス、酵母エキス、カザミノ酸、大豆粉など
を使用できる。
【0015】無機塩類としては、ナトリウム、カリウ
ム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、亜鉛、
銅等の塩類、例えばリン酸カリウム、リン酸ナトリウ
ム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸亜
鉛、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、塩化カルシウ
ム、塩化カリウム等を使用できる。これらの他、添加可
能な栄養因子としてはビタミン類、アミノ酸、核酸及び
その塩類などが例示される。
【0016】培養は、好気的条件、例えば振とう培養
法、通気攪拌培養法が好適であるが、適宜液体静置培養
を組み合わせることもできる。培養温度は、25〜37℃、
特に28〜32℃が好適である。培地の初発のpHは6.0 〜7.
0 、好ましくは6.5 付近である。培養時間は、培地量、
培養温度、培養法、pH等に応じて適宜選択することがで
き、特に制限されない。好ましくは、48〜120 時間、さ
らに好ましくは72〜96時間である。通気攪拌培養等で培
養物中にキチナーゼが分泌生産される。
【0017】分泌生産されたキチナーゼを含む培養物
は、濾過又は遠心分離等の操作にて菌体を除去した培養
液とされ、その培養液をそのまま粗キチナーゼとして使
用することができる。
【0018】粗キチナーゼからのキチナーゼの分離精製
は、硫安による分画沈殿、DEAE−セファロースCL
−6Bによるカラムクロマトグラフィー、セファアクリ
ルによるゲル濾過等の公知の酵素精製法を用いることが
でき、高純度のキチナーゼを得ることができる。
【0019】このようにして分離精製されたキチナーゼ
は、下記の理化学的性質を備えている。 分子量:34,000(測定方法;SDS−PAGE電気泳動
法) 等電点:5.9 (アクリルアミド等電点電気泳動法によ
る) 最適pH:4.0 〜4.5 pH安定性:4.0 〜5.5 最適温度:45〜50℃ 温度安定性:50℃まで安定 基質特異性:本酵素(キチナーゼ)によるキチン加水分
解物をTLC及びHPLCで分析した結果、機能性の高
い(GicNAc )5〜8を含むキチンオリゴ糖が得られ
た。また、生成糖の関係を調べた結果、本酵素はエンド
型のキチナーゼであることが判明した。
【0020】
【実施例】A.キチナーゼ生産能を有するバークホルデ
リア・セパシアの選抜 キチンを含まない最小培地と、キチンを唯一の炭素源と
する最小培地の夫々のプレートに植菌し、30℃で5日間
培養した。 (キチンを含まない最小培地)硫酸アンモニウム8g、
リン酸二水素カリウム6g、リン酸水素二カリウム14
g、寒天15g、蒸留水1Lを混合したものを pH 7.0 に
調製してオートクレーブで 121℃、20分間滅菌した。そ
の後、濾過滅菌した硫酸マグネシウム7水和物を0.02%
になるように加えて混ぜ合わせ分注し、プレートを作成
した。 (キチンを唯一の炭素源とする最小培地)キチン20g、
硫酸アンモニウム8g、リン酸二カリウム6g、リン酸
水素二カリウム14g、寒天15g、蒸留水1Lを混合した
ものをpH 7.0に調製してオートクレーブで 121℃、20分
間滅菌した。その後、濾過滅菌した硫酸マグネシウム7
水和物を0.02%になるように加えて混ぜ合わせ分注し、
プレートを作成した。
【0021】キチンを唯一の炭素源とする最小培地に生
育した菌株を、キチンを含まない最小培地に生育したも
のと比較して、生育の良かったH5、T1(元株)、T
1(Bac )、U1、H1、Y9、C2Fを選抜した。
【0022】その後、選抜した菌株を下記の培地1〜7
に夫々植菌し、液体培地は振とう培養で、固体培地は静
置培養で30℃、6日間培養した。 (培地1)コーングルテンミール 3.5g、グルコース
0.5g、リン酸二水素カリウム0.05g、硝酸カリウム 0.
1g、キチン 0.5g、蒸留水50mlを混合し、オートクレ
ーブで 121℃、20分間滅菌した。 (培地2)ハートインフュージョンブロス 3.5g、グル
コース 0.5g、リン酸二水素カリウム0.05g、硝酸カリ
ウム 0.1g、キチン 0.5g、蒸留水50mlを混合し、オー
トクレーブで 121℃、20分間滅菌した。 (Natic 培地) 10×A液:硫酸アンモニウム14g、リン酸水素二カリウ
ム20g、尿素 0.3g、塩化カルシウム3g、硫酸マグネ
シウム7水和物 0.3g、蒸留水100ml を混合した。 B液:硫酸鉄水和物0.05g、硫酸マンガン 0.016g、硫
酸亜鉛水和物0.014g、塩化カルシウム0.02g、蒸留水
100mlを混合した。10×A液10ml、B液1mlを蒸留水で
100mlに定容した。 (培地3)キチン0.25g、乾燥椎茸粉末0.25g、小麦胚
芽粉末0.05g、Natic 培地50mlを混合し、オートクレー
ブで 121℃、20分間滅菌した。 (培地4)キチン0.25g、乾燥椎茸粉末0.25g、Natic
培地50mlを混合し、オートクレーブで 121℃、20分間滅
菌した。 (培地5)ふすま5g、Natic 培地50mlを混合し、オー
トクレーブで 121℃、20分間滅菌した。 (培地6)AvicelPH101 4.5g、キチン0.25g、小麦
胚芽粉末0.25g、Natic 培地50mlを混合し、オートクレ
ーブで 121℃、20分間滅菌した。 (培地7)ふすま4.75g、キチン0.25g、Natic 培地50
mlを混合し、オートクレーブで121℃、20分間滅菌し
た。
【0023】上記培地1〜7で各菌株を培養した後、得
られた粗酵素液のキチナーゼ活性を測定した。その結果
を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】測定結果から、T1(Bac )、U1、C2
Fの活性が強いことが分かった。さらにこれらの菌株を
最終的に選抜するため、培地3と培地4に夫々植菌し、
30℃、5日間振とう培養した。そして、得られた酵素液
のキチナーゼ活性を測定した。その結果を表2に示し
た。
【0026】
【表2】
【0027】測定結果から、T1(Bac )のキチナーゼ
活性が最も強いことが分かった。このT1(Bac )につ
いて、各種の形態学的性質、生理学的性質、化学分類学
的性質を調べ、バークホルデリア・セパシアに属する菌
であると同定し、バークホルデリア・セパシアKH2株
と命名した。
【0028】B.キチナーゼ生産菌「バークホルデリア
・セパシアKH2株」からのキチナーゼの精製 (1) キチンパウダー 2.5%、乾燥椎茸粉末 2.5%、小
麦胚芽粉末 0.5%とNatick 培地50ccを500cc のフラス
コに分注し、 120℃で30分間滅菌した。 (2) 前培養として、上記フラスコにKH2株を植菌
し、30℃で24時間振とう培養を行った。 (3) この前培養液10ccを、 120℃で30分間滅菌処理し
た上記培地に植菌し、通気量1L/分、回転数 300rpm
で30℃,72時間通気攪拌培養を行った。 (4) 培養後、7000rpm ,10分間遠心分離を行い、培養
上清液を得た。 (5) 次に、上清液に対し飽和量の硫安を加え塩析を行
った。 (6) 生じた沈殿物を7000rpm ,2分間遠心分離して沈
殿を捕集し、脱イオン水350cc に溶解し、溶解後セロハ
ンチューブに入れ、脱イオン水に対して十分に透析し
た。 (7) この透析された溶液を凍結乾燥して粗酵素サンプ
ル15gを得た。 (8) この粗酵素のチキナーゼ活性を下記の力価測定法
(Rondle-Morgan 測定法)により測定したところ、1500
u/gであった。 力価測定法:試験管に試料2.0cc を入れ、45℃の恒温槽
中で基質2.0cc を加え、2時間反応させた。この時のブ
ランクは、基質2.0cc に0.05M酢酸緩衝液(pH5.0 )
2.0ccを加えたものを使用した。反応後、フィルター濾
過し、別の試験管に上澄み液を 0.5ccとり、それにpH9.
1 のホウ酸緩衝液 0.5ccを添加し、管口に蓋をして沸騰
水中で3分間煮沸した。直ちにこれを冷却し、酢酸で10
倍希釈したDMAB溶液 3.0ccを加え、38℃の恒温槽中に20
分間放置し、 550nmにおける吸光度を測定し、生成した
N−アセチル−D−グルコサミン量を求め、酵素力価を
算出した。なお、上記条件下において、1分間に1μM
のN−アセチル−D−グルコサミン(分子量221.21)を
生成する酵素量を1単位とする。
【0029】(9) 上記粗酵素サンプルを20mMトリス塩
酸緩衝液(pH7.0 )に溶解して、10,000rpm で10分間遠
心分離を行い上清液を得た。 (10) この上清液を20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.0 )で
平衡化したDEAE−セファロースCL−6Bを充填し
たカラム( 2.6cm×40cm)に通じてキチナーゼを吸着さ
せた後、0〜 0.6MのNaClの直線濃度勾配で酵素タ
ンパク質を溶出する陰イオン交換クロマトグラフィーを
行った。 (11) その結果、キチナーゼの活性ピークが2つ得ら
れ、活性の高い方のピークフラクションを集め、コロジ
オンバッグによる濃縮及び透析を行った。 (12) この濃縮液を再度DEAE−セファロースCL−
6Bカラムに吸着させ、0〜 0.4MのNaClの直線濃
度勾配で酵素タンパク質を溶出した。 (13) その結果、キチナーゼの活性ピークが2つ得ら
れ、活性の高い方のピークフラクションのキチナーゼ比
活性を測定したところ18.0単位/mgであり、粗酵素サン
プルの12倍であった。 (14) このフラクションを濃縮及び透析し、セファアク
リルS100 HRカラムによりゲル濾過クロマトグラフィ
ーを行った。 (15) このフラクションについてポリアクリルアミド電
気泳動を行った結果、単一のバンドが確認されたので、
これをKH2株由来の精製酵素であるキチナーゼとし
た。また、本酵素の分子量は約3,4000であると推測され
た。また、 pIは5.90であった。
【0030】C.バークホルデリア・セパシアKH2株
由来の酵素キチナーゼの性質 (最適基質の測定) 精製酵素に調製済みの各基質( 0.2%グリコールキチン
溶液、 0.2%キトサンEL溶液、 0.2%キトサン9B溶
液、 0.2%キトサン8B溶液、 0.2%キトサン10溶液、
0.2%コロイダルキチン溶液、 0.2%PDC、 0.2%キ
トサン7B溶液)を加え、45℃において反応させ、上記
Rondle-Morgan 法に従って酵素活性を測定した。その結
果、図1に示すように、脱アセチル化度が70%のキトサ
ン7Bで最も高い活性を示していることが分かった。ま
た、本酵素は、ある程度脱アセチル化されたキチンに対
してもよく反応した。
【0031】(最適pHの測定)pH3.0 〜pH8.5 の各pHの
緩衝液で希釈した精製酵素に 0.2%キトサン7B溶液を
基質として加え、上記Rondle-Morgan 法に従って酵素活
性を測定した。その結果、図2に示すように、最適pHは
4.0 〜4.5 であることが分かった。
【0032】(pH安定性の測定)pH3.0 〜pH8.5 の各pH
の緩衝液で希釈した精製酵素を一定時間静置後、0.2%
キトサン7B溶液を基質として加え、上記Rondle-Morga
n 法に従って酵素活性を測定した。その結果、図3に示
すように、pH4.0 〜pH5.5 で安定を保つことが分かっ
た。
【0033】(最適温度の測定)精製酵素に 0.2%キト
サン7B溶液を基質として加え、30〜70℃まで5℃毎に
設定した恒温槽で反応させ、上記Rondle-Morgan 法に従
って酵素活性を測定した。その結果、図4に示すよう
に、最適温度は45〜50℃であることが分かった。
【0034】(温度安定性の測定)30〜70℃まで5℃毎
に設定した恒温槽に精製酵素を一定時間静置した後、
0.2%キトサン7B溶液を基質として加え、上記Rondle-
Morgan 法に従って酵素活性を測定した。その結果、図
5に示すように、熱に対しては50℃まで安定で、60℃で
完全に失活することが分かった。
【0035】(加水分解産物のTLCによる分析)基質
である1%PDC溶液 0.9mlに本酵素 0.1mlを加え、45
℃で 0.5,1,2,6,12,24時間反応させた後、5分
間煮沸し反応を停止させ、凍結乾燥により濃縮し、これ
を薄層プレートにスポットした。展開溶媒は、ブタノー
ル:エタノール:アンモニア=4:3:3(v/v )を用
いた。展開後、30%硫酸を噴霧し、 120℃で15分静置し
た。標準試料によるTLCの結果、1時間反応後より、
機能性の高いとされる5〜8糖のキチンオリゴ糖の生成
が明らかとなった。
【0036】(オリゴマー加水分解産物のHPLCによ
る分析)基質である1%PDC溶液0.9ml に本酵素0.1m
l を加え、45℃で0.5 ,1,2,6,12,24時間反応さ
せた後、5分間煮沸し反応を停止させ、これをサンプル
とし、10μl をロードした。その結果を表3に示した。
なお、分析条件は以下の通りである。 ポンプ:CCPM(東ソー株式会社) ディレクター:RI−8010(東ソー株式会社) カラム:TSK−GEL−NH2−60 4.6×250nm カラム恒温槽:CO−8011(東ソー株式会社) レコーダー:Sic Chromatocorder 12 (システム・イン
スツルメンツ) 溶媒:アセトニトリル:蒸留水=65:35(v/v ) 流速:1.0ml/min カラム温度:36℃
【0037】
【表3】
【0038】標準試料によるHPLCの結果、モノマー
とダイマーについては全く変化がなかった。ダイマーを
分解しないということから、本酵素にはβ−N−アセチ
ルグルコサミニダーゼ活性がないと示唆された。トリマ
ーからヘキサマーまでのオリゴ糖については、ほとんど
がダイマーに分解されていた。しかしながら、テトラマ
ーに関しては、基質以上に大きいペンタオース、ヘキサ
オースが生成していることが分かった。
【0039】(オリゴマー加水分解産物のHPLCによ
る分析)各オリゴマーの 2.5%溶液を 250μl に調製
し、これに本酵素10μl を45℃で1時間反応させ、その
後煮沸して反応を停止した。これをサンプルとし、10μ
l をロードした。このとき、分析条件は上述と同様であ
る。その結果を表4に示した。
【0040】
【表4】
【0041】標準試料によるHPLCの結果、時間が経
つにつれてヘキサオース、ヘクタオースが増加してい
た。また、ペンタオース、ヘキサオースと思われるピー
クのリテンションタイムが、スタンダードのリテンショ
ンタイムと一致していなかった。これは、基質として用
いたキチンが、 100%N−アセチルグルコサミンのポリ
マーでなく、部分的に脱アセチル化されているために、
生成したオリゴ糖にN−グルコサミンが含まれることに
なり、スタンダードとのリテンションタイムにずれが生
じたのではないかと推測された。
【0042】また、本酵素キチナーゼのN末端アミノ酸
配列を調べたところ、A-L-P-S-N-F-I-F-S-A-Y-K-D-I-T
であり、Burkholderia gladioli との相同性が認められ
た。
【0043】
【発明の効果】本発明は上述の如く構成されるので、次
に記載する効果を奏する。
【0044】(請求項1によれば)キチナーゼ生産能を
有するバークホルデリア・セパシア(特に、バークホル
デリア・セパシアKH2株)は、キチナーゼ活性が高
く、機能性の高い(GicNAc )5〜8を含むキチンオ
リゴ糖を生産するキチナーゼを生成することができる。
また、椎茸生産現場のホダ木に生息するため、採取が容
易であると共に、通常の細菌の培養法を用いて培養する
ことができ、かつ、培養のための栄養源として炭素源、
窒素源、無機塩類等を適宜含有する培地であれば天然培
地でも合成培地でも使用でき、培養が容易である。
【0045】(請求項2によれば)バークホルデリア・
セパシアによって生産(生成)されたキチナーゼは、重
合度の高い5糖、6糖以上のキチンオリゴ糖を生産する
ことができる。 (請求項3によれば)キチナーゼを利用して機能性の高
い(GicNAc )5〜8を含むキチンオリゴ糖を確実に
生産することができる。従って、この重合度の高いキチ
ンオリゴ糖の各種利用分野(機能性食品、医薬品、農業
分野等)への使用拡大を図ることができる。
【0046】(請求項4によれば)機能性の高い(Gic
NAc )5〜8を含むキチンオリゴ糖を生産するキチナ
ーゼを、高純度で効率良くかつ比較的簡単に生産(生
成)することができる。
【0047】(請求項5によれば)機能性の高い(Gic
NAc )5〜8を含むキチンオリゴ糖を、高純度で効率
良くかつ比較的簡単に生産することができる。従って、
この重合度の高いキチンオリゴ糖を各種利用分野(機能
性食品、医薬品、農業分野等)へ低コストにて提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキチナーゼの最適基質の測定結果を示
すグラフ図である。
【図2】本発明のキチナーゼの最適pHの測定結果を示す
グラフ図である。
【図3】本発明のキチナーゼのpH安定性の測定結果を示
すグラフ図である。
【図4】本発明のキチナーゼの最適温度の測定結果を示
すグラフ図である。
【図5】本発明のキチナーゼの温度安定性の測定結果を
示すグラフ図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 9/24 (C12N 9/24 C12R 1:01) C12R 1:01) (C12P 19/26 (C12P 19/26 C12R 1:01) C12R 1:01) (72)発明者 三島 啓助 宮崎県宮崎市学園木花台西1丁目1番地 宮崎大学農学部内 (72)発明者 オムマサバ エー.クリスピナス 宮崎県宮崎市学園木花台西1丁目1番地 宮崎大学農学部内 (72)発明者 吉田 直人 宮崎県宮崎市学園木花台西1丁目1番地 宮崎大学農学部内 (72)発明者 仮屋 勲一 大阪府大阪市淀川区西中島3丁目9番13号 大北ビル5階 協和化成株式会社内 Fターム(参考) 4B050 CC01 DD02 FF04E FF05E FF11E FF12E FF13E LL05 4B064 AF21 CA02 CB07 CD12 DA01 DA10 4B065 AA01X AC14 BB14 CA19 CA31 CA41 CA44

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチナーゼ生産能を有することを特徴と
    するバークホルデリア・セパシア。
  2. 【請求項2】 バークホルデリア・セパシアによって生
    産されたことを特徴とするキチナーゼ。
  3. 【請求項3】 キチンに作用して機能性の高い(GicN
    Ac )5〜8を含むキチンオリゴ糖を生産する請求項2
    記載のキチナーゼ。
  4. 【請求項4】 キチナーゼ生産能を有するバークホルデ
    リア・セパシアを培養し、この培養物中に分泌生産され
    たキチナーゼを分離精製することを特徴とするキチナー
    ゼの製法。
  5. 【請求項5】 キチナーゼ生産能を有するバークホルデ
    リア・セパシアを培養し、この培養物中に分泌生産され
    たキチナーゼを分離精製し、分離精製して得られたキチ
    ナーゼにてキチンを分解してキチンオリゴ糖を調製する
    ことを特徴とするキチンオリゴ糖の製法。
JP2001084078A 2001-03-23 2001-03-23 バークホルデリア・セパシア、キチナーゼ、キチナーゼの製法及びキチンオリゴ糖の製法 Pending JP2002272452A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019102838A1 (ja) * 2017-11-22 2019-05-31 国立大学法人東京大学 キチン分解酵素組成物、キチン分解反応液及び糖の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019102838A1 (ja) * 2017-11-22 2019-05-31 国立大学法人東京大学 キチン分解酵素組成物、キチン分解反応液及び糖の製造方法
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