JP2690779B2 - L―アスコルビン酸誘導体及びその製造法 - Google Patents

L―アスコルビン酸誘導体及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,安定性に優れたL−アスコルビン酸誘導体
及びその製造法に関するものである。
(従来の技術) L−アスコルビン酸は,必須ビタミンあるいは酸化防
止剤として,医薬品あるいは食品の分野において広く使
用されているばかりでなく,メラニン還元作用を有する
ことから,美白化粧料としても利用されている化合物で
ある。
しかし,このL−アスコルビン酸は,非常に不安定な
物質であり,熱,光,酸素等によって容易に分解や変性
を受けることが知られている。このように不安定なL−
アスコルビン酸を安定化する試みは数多くなされてお
り,いくつかの誘導体が開発されている。例えば,アス
コルビン酸リン酸エステル(特開昭57−140789号公
報),グルコースが結合したグリコシルアスコルビン酸
(特公昭58−5920号公報),アスコルビン酸脂肪酸エス
テル(特開昭62−84072号公報)等を具体例としてあげ
ることができる。
これらのL−アスコルビン酸誘導体を製造するには,
例えばアスコルビン酸リン酸エステルの場合,原料とし
てシリルリン酸化された化合物を用い,この化合物のシ
リル基を脱離することにより製造されている。
(発明が解決しようとする課題) 前記したように,各種のアスコルビン酸誘導体が開発
されているが,その安定性については未だ十分とはいえ
ず,しかもこれらの製造法も高価な試薬を必要とするこ
と,収率が低いこと,反応条件が極めて過酷であること
等,問題点が多かった。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは,前記の課題を解決するために鋭意研究
を重ねた結果,次式で示される新規なL−アスコルビン
酸誘導体が極めて安定であることを見出し,また,この
誘導体を温和な条件で安価に収率よく合成することがで
きることを見出し,本発明を完成するに至った。
すなわち,第1の発明は,式(I) で示されるL−アスコルビン酸誘導体を要旨とするもの
である。
また,第2の発明は,L−アスコルビン酸と,乳糖又は
乳糖含有物との混合物にβ−ガラクトシダーゼ又はβ−
ガラクトシダーゼを含有する菌体を作用させることを特
徴とするL−アスコルビン酸誘導体の製造法を要旨とす
るものである。
本発明のL−アスコルビン酸誘導体は,前記の式
(I)で示される構造を持ち,化学名は,6−O−ガラク
トピラノシル−L−アスコルビン酸である。
本発明のL−アスコルビン酸誘導体は,L−アスコルビ
ン酸と,乳糖又は乳糖含有物との混合物にβ−ガラクト
シダーゼ(EC3.2.1.23)又はβ−ガラクトシダーゼを含
有する菌体を作用させて製造することができる。
本発明に用いられるβ−ガラクトシダーゼとしては,
アスペルギルス オリーゼ(Aspergillus oryaze),エ
シエリキア コリ(Escherichia coli),アスペルギル
ス ニガー(Aspergillus nigar)等の微生物由来の酵
素,牛肝臓等の動物臓器由来の酵素,ジヤツク ビーン
ズ(Jack beans)等の植物種子由来の酵素があげられる
が,反応収率の点においてアスペルギルス オリーゼ
Aspergillus oryaze)由来のβ−ガラクトシダーゼが
最も優れている。また,β−ガラクトシダーゼを含有す
る菌体としては,リポマイセス(Lipomyces)NKD−14
(微工研菌寄第8948号),スポロボロミセス シンギユ
ラリス(Sporobolomyces singularis)ATCC24193,クリ
プトコツカス ローレンテイ(Cryptococcus laurenti
i)IFO0609,ロドトルラ マリナ(Rhodotorula marin
a)IFO1421等が使用できる。これらのうち,リポマイセ
ス(Lipomyces)NKD−14がL−アスコルビン酸へのガラ
クトースの転移作用が強く,最も好ましい。
これらの菌体を得るための条件としては,特に限定さ
れるものではないが,一般に乳糖を含む培地で培養する
ことにより,ガラクトース転移作用の強い菌体が得られ
る。また,炭素源としてグルコース,シヨ糖,廃糖蜜等
を用い,菌体を十分増殖させた後に乳糖を添加し,さら
に培養を続け,βガラクトシダーゼを十分誘導させた後
に菌体を遠心,濾過等の通常用いられる方法により回収
すれば,ガラクトース転移作用の強い菌体を得ることが
できる。培養に用いる窒素源としては,例えば,ペプト
ン,カゼイン,コーンステイープリカー,肉エキス,酵
母エキス等の有機窒素源や,硫安,塩化アンモニウム,
尿素等の無機窒素源を用いることができる。通常用いら
れる方法により培養後,菌体を遠心,濾過等の方法によ
り回収し,洗浄後,そのまま反応に用いることができる
し,さらには菌体を各種の固定化法により固定化するこ
とにより使用することもできる。
本発明において,反応時のL−アスコルビン酸の濃度
としては,0.1〜30%(W/V)が適当であり,1〜20%(W/
V)が好ましい。乳糖の濃度としては,1〜40%(W/V)が
適当であり,5〜10%(W/V)が好ましい。また,反応時
のpHとしては3〜9が適当であるが,アスペルギルス
オリーゼ由来のβ−ガラクトシダーゼを用いる場合は,p
H5〜6が好ましく,リポマイセスNKD−14を用いる場合
は,pH5.5〜6.5が好ましい。次に,反応温度としては,20
〜60℃の範囲が適当であり,30〜50℃の範囲が好まし
い。さらに,反応時間としては,使用する酵素あるいは
菌体量により適宜選べばよいが,目的とするL−アスコ
ルビン酸誘導体の生成量が最大になるような時間を選べ
ばよい。
このような方法により生成するL−アスコルビン酸誘
導体は,シリカゲルカラムクロマトグラフイー,活性炭
カラムクロマトグラフイー,液体クロマトグラフイー
等,通常の分離手段で分離することができる。
(実施例) 次に,本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1 L−アスコルビン酸ナトリウム(石津製薬製特級試
薬)10g及び乳糖10gを100mlの蒸留水に溶解して,pHを6.
0に調整した。これにアスペルギルス オリーゼ(Asper
gillus oryzae)由来のβ−ガラクトシダーゼ(シグマ
社製,グレードXI)を840ユニツト加えて,30℃で4時間
反応させて反応物を得た。得られた反応物をバイオラツ
ド(BIO RAD)社製高速液体カラムクロマトグラフイー
用カラムアミネツクスイオンエタスクルージヨン(AMIN
EX IOX EXCLUSION)HPX−87Hを用いて分析した。このと
き,溶出液として0.01NのH2SO4を用い,流速0.6ml/min
で反応物を溶出させた。また,そのときの検出をUV245
で行つた。
その結果,3.6gのL−アスコルビン酸誘導体が生成し
ていた。このときの反応収率は,19.8%であつた。
次に,上記の反応物50mlを450mlの活性炭カラム(活
性炭として和光純薬製クロマトグラフイー用活性炭を用
いた)にかけ,流速10ml/minで水溶出させた。このと
き,L−アスコルビン酸,L−アスコルビン酸誘導体の順に
溶出してくるので,この溶出したL−アスコルビン酸誘
導体のみを集め,集めたL−アスコルビン酸誘導体を20
mlの陰イオン交換樹脂ダウエツクス(Dowex)SARカラム
(Cl-型)にかけ,流速5ml/minで60mlの蒸留水を通液さ
せたのち,100mlの0.04M NaCl−0.01N HClを通液し,目
的のL−アスコルビン酸誘導体を溶出させた。この溶出
画分を濃縮乾固し,1.4gのL−アスコルビン酸誘導体を
得た。このときの精製収率は,77.8%であつた。
得られたL−アスコルビン酸誘導体を13C−NMR分析を
行つたところ,次のような結果が得られた。13 C−NMR(σ値ppm) ガラクトースのC−1 104.729 ガラクトースのC−2 72.526 ガラクトースのC−3 74.343 ガラクトースのC−4 70.434 ガラクトースのC−5 76.926 ガラクトースのC−6 62.810 L−アスコルビン酸のC−1 104.886 L−アスコルビン酸のC−2 157.094 L−アスコルビン酸のC−3 174.975 L−アスコルビン酸のC−4 77.948 L−アスコルビン酸のC−5 71.946 L−アスコルビン酸のC−6 68.934 また,得られたL−アスコルビン酸誘導体をアスペル
ギルス オリーゼ(Aspergillus oryzae)由来のβ−ガ
ラクトシダーゼで加水分解することより,L−アスコルビ
ン酸とガラクトースが生成した。
以上の結果から,上記で得られたL−アスコルビン酸
誘導体の構造が6−O−ガラクトピラノシル−L−アス
コルビン酸であることが判明した。
次に上記で得られた本発明品とL−アスコルビン酸及
びL−アスコルビルパルミテート(東京化成工業製)と
の加熱安定性の比較をpH7で行つた。このとき,各々1
%水溶液(pH7)で煮沸させ,経時的にサンプリング
し,高速液体クロマトグラフイーにより定量した。
その結果を表1に示す。
表1から,本発明品が極めて安定であることがわか
る。
実施例2 L−アスコルビン酸ナトリウム10g及び乳糖10gを100m
lの蒸留水に溶解し,pH6.0に調整した。これにリポマイ
セスNKD−14(微工研菌寄第8948号)湿菌体10gを加えて
45℃で24時間反応させて反応物を得た。得られた反応物
を遠心し,菌体除去後の上澄みを実施例1と同様にして
精製し,1.5gのL−アスコルビン酸誘導体を得た。
次に実施例1と同様にしてL−アスコルビン酸誘導体
の構造等を確認したところ,実施例1と全く同じものが
得られていた。
実施例3 L−アスコルビン酸ナトリウム10g及び乳糖10gを100m
lの蒸留水に溶解して,pHを6.0に調整した。これにスポ
ロボロミセス シンジユラリスATCC24193湿菌体10gを加
えて40℃で24時間反応させて反応物を得た。
得られた反応物を遠心し,菌体除去後の上澄みを実施
例1と同様にして精製し,1.3gのL−アスコルビン酸誘
導体を得た。
次に本発明1と同様にしてL−アスコルビン酸誘導体
の構造等を確認したところ,実施例1と全く同じものが
得られていた。
(発明の効果) 本発明のL−アスコルビン酸誘導体は,極めて安定性
に優れており,今まで安定性が悪かったために利用でき
なかった医薬品,食品,化粧品等の分野で利用範囲が拡
大できる。
また,本発明によれば,この誘導体を温和な条件で安
価に収率よく合成することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) で示されるL−アスコルビン酸誘導体。
  2. 【請求項2】L−アスコルビン酸と,乳糖又は乳糖含有
    物との混合物にβ−ガラクトシダーゼ又はβ−ガラクト
    シダーゼを含有する菌体を作用させることを特徴とする
    L−アスコルビン酸誘導体の製造法。
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