JP2002268021A - 光導波路デバイス及びその製造方法 - Google Patents
光導波路デバイス及びその製造方法Info
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- JP2002268021A JP2002268021A JP2001065539A JP2001065539A JP2002268021A JP 2002268021 A JP2002268021 A JP 2002268021A JP 2001065539 A JP2001065539 A JP 2001065539A JP 2001065539 A JP2001065539 A JP 2001065539A JP 2002268021 A JP2002268021 A JP 2002268021A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 偏波依存性損失が小さい光導波路デバイス及
びその製造方法を得る。特に、小型化、集積化が可能で
あり、可動部を有しないために信頼性を高くできるよう
な導波路型の可変光減衰器を得る。 【解決手段】 基板に形成した光導波路12の近傍にヒ
ータ電極14を設け、熱光学効果により光導波路の屈折
率を制御する光導波路デバイスである。ここでヒータ電
極は、引っ張り応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜と圧
縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜を積層した多層膜
からなる。ヒータ電極は、その総膜厚が30nm以上であ
り、且つ多層膜の膜応力の絶対値が1.5×108 Pa
以下とすることが望ましい。例えばCr、Au、Ti、
Al、Cu、Ta、W、Ni、TaN、Ptから選ばれ
る1種類以上の薄膜材料からなるスパッタ膜とする。可
変光減衰器は、マッハ・ツェンダー光干渉計型の光導波
路のアーム部分にヒータ電極を設けることで構成でき
る。
びその製造方法を得る。特に、小型化、集積化が可能で
あり、可動部を有しないために信頼性を高くできるよう
な導波路型の可変光減衰器を得る。 【解決手段】 基板に形成した光導波路12の近傍にヒ
ータ電極14を設け、熱光学効果により光導波路の屈折
率を制御する光導波路デバイスである。ここでヒータ電
極は、引っ張り応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜と圧
縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜を積層した多層膜
からなる。ヒータ電極は、その総膜厚が30nm以上であ
り、且つ多層膜の膜応力の絶対値が1.5×108 Pa
以下とすることが望ましい。例えばCr、Au、Ti、
Al、Cu、Ta、W、Ni、TaN、Ptから選ばれ
る1種類以上の薄膜材料からなるスパッタ膜とする。可
変光減衰器は、マッハ・ツェンダー光干渉計型の光導波
路のアーム部分にヒータ電極を設けることで構成でき
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板に形成した光
導波路の近傍にヒータ電極を設け、熱光学効果により光
導波路の屈折率変化を生じさせ、それにより光導波路を
伝播する光を制御する光導波路デバイスに関するもので
ある。この技術は、特に限定されるものではないが、例
えばマッハ・ツェンダー光干渉計型光導波路のアーム部
分にヒータ電極を設けて、その熱光学効果を利用して光
減衰量を任意に制御可能とする光可変減衰器などに有用
である。
導波路の近傍にヒータ電極を設け、熱光学効果により光
導波路の屈折率変化を生じさせ、それにより光導波路を
伝播する光を制御する光導波路デバイスに関するもので
ある。この技術は、特に限定されるものではないが、例
えばマッハ・ツェンダー光干渉計型光導波路のアーム部
分にヒータ電極を設けて、その熱光学効果を利用して光
減衰量を任意に制御可能とする光可変減衰器などに有用
である。
【0002】
【従来の技術】近年、光ファイバ増幅器の実用化に伴
い、多波長一括伝送方式(WDM伝送)への期待が高ま
っている。この伝送方式を実現するためには、光ファイ
バ増幅器の利得の波長依存性を低減する必要がある。そ
の方法の一つとして、エルビウム添加ファイバの利得波
長依存性の最適化があるが、それを実現するためにはエ
ルビウム添加ファイバの利得を一定に制御しなければな
らない。しかし、エルビウム添加ファイバの利得を一定
に制御しようとすると、光ファイバ増幅器の入力信号の
レベル変動が大きくなり、実施は困難である。
い、多波長一括伝送方式(WDM伝送)への期待が高ま
っている。この伝送方式を実現するためには、光ファイ
バ増幅器の利得の波長依存性を低減する必要がある。そ
の方法の一つとして、エルビウム添加ファイバの利得波
長依存性の最適化があるが、それを実現するためにはエ
ルビウム添加ファイバの利得を一定に制御しなければな
らない。しかし、エルビウム添加ファイバの利得を一定
に制御しようとすると、光ファイバ増幅器の入力信号の
レベル変動が大きくなり、実施は困難である。
【0003】そこで光ファイバ増幅器の出力レベル変動
を補償するために、光減衰器を設けることが考えられ
る。光減衰器には、固定型と可変型とがある。固定減衰
器は、小型で高い信頼性を有する部品であるが、一定の
減衰率しか与えられないので、システムでの利用には柔
軟性に欠ける。他方、可変減衰器のなかで従来から用い
られている機械式可変減衰器は、小型化が困難であると
共に、可動部分を持つために信頼性に欠ける欠点があ
る。
を補償するために、光減衰器を設けることが考えられ
る。光減衰器には、固定型と可変型とがある。固定減衰
器は、小型で高い信頼性を有する部品であるが、一定の
減衰率しか与えられないので、システムでの利用には柔
軟性に欠ける。他方、可変減衰器のなかで従来から用い
られている機械式可変減衰器は、小型化が困難であると
共に、可動部分を持つために信頼性に欠ける欠点があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】小型化が可能で可動部
分を持たない光可変減衰器として、導波路構造をもちフ
ィードバック可能な電気制御型の光可変減衰器があり、
それを用いることが考えられる。例えば、マッハ・ツェ
ンダー光干渉計型の光導波路とヒータ電極による位相変
調器を組み合わせることで可変光減衰器が構成できる。
分を持たない光可変減衰器として、導波路構造をもちフ
ィードバック可能な電気制御型の光可変減衰器があり、
それを用いることが考えられる。例えば、マッハ・ツェ
ンダー光干渉計型の光導波路とヒータ電極による位相変
調器を組み合わせることで可変光減衰器が構成できる。
【0005】しかし、このような導波路型の光可変減衰
器は、偏波依存性損失(PDL)が大きい問題がある。
器は、偏波依存性損失(PDL)が大きい問題がある。
【0006】本発明の目的は、偏波依存性損失が小さい
光導波路デバイス及びその製造方法を提供することであ
る。本発明の他の目的は、小型化、集積化が可能であ
り、可動部を有しないために信頼性の高い導波路型の可
変光減衰器を提供することである。
光導波路デバイス及びその製造方法を提供することであ
る。本発明の他の目的は、小型化、集積化が可能であ
り、可動部を有しないために信頼性の高い導波路型の可
変光減衰器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板に形成し
た光導波路の近傍にヒータ電極を設け、その熱光学効果
により光導波路の屈折率を制御する構成の光導波路デバ
イスである。ここでヒータ電極は、引っ張り応力を呈す
る1層以上の抵抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以上の
抵抗性薄膜を積層した多層膜からなり、その点に特徴が
ある。これらにおいて光導波路は、基板内に埋め込まれ
ている構造とするのが好ましい。ヒータ電極は、その総
膜厚を30nm以上とし、且つ多層膜の膜応力の絶対値が
1.5×108 Pa以下となるようにするのが好まし
い。膜厚が薄ければ全応力は小さくなるが、電極として
の必要な機能及び付着力をもたせるためには、ある程度
の膜厚が必要となるからである。なお、膜の全応力は、
絶対値で40N/m以下とすることが好ましい。
た光導波路の近傍にヒータ電極を設け、その熱光学効果
により光導波路の屈折率を制御する構成の光導波路デバ
イスである。ここでヒータ電極は、引っ張り応力を呈す
る1層以上の抵抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以上の
抵抗性薄膜を積層した多層膜からなり、その点に特徴が
ある。これらにおいて光導波路は、基板内に埋め込まれ
ている構造とするのが好ましい。ヒータ電極は、その総
膜厚を30nm以上とし、且つ多層膜の膜応力の絶対値が
1.5×108 Pa以下となるようにするのが好まし
い。膜厚が薄ければ全応力は小さくなるが、電極として
の必要な機能及び付着力をもたせるためには、ある程度
の膜厚が必要となるからである。なお、膜の全応力は、
絶対値で40N/m以下とすることが好ましい。
【0008】従来のヒータ電極を有する光導波路デバイ
スにおいて、偏波依存性損失が大きい原因は、主として
光導波路に加わる応力が大きいためであり、その他、ヒ
ータ電極から発生する熱の伝導の仕方が導波路の幅方向
と深さ方向で異なることも関係している。ヒータ電極と
しての機能上、ある程度の膜厚が必要であり、十分な付
着力も必要となるため、どうしても大きな膜応力が生じ
る。本発明では応力の向きが異なる膜を組み合わせて多
層膜の全応力を低減し、光導波路を埋め込み構造とする
ことによって、偏波依存性損失を低減している。
スにおいて、偏波依存性損失が大きい原因は、主として
光導波路に加わる応力が大きいためであり、その他、ヒ
ータ電極から発生する熱の伝導の仕方が導波路の幅方向
と深さ方向で異なることも関係している。ヒータ電極と
しての機能上、ある程度の膜厚が必要であり、十分な付
着力も必要となるため、どうしても大きな膜応力が生じ
る。本発明では応力の向きが異なる膜を組み合わせて多
層膜の全応力を低減し、光導波路を埋め込み構造とする
ことによって、偏波依存性損失を低減している。
【0009】ヒータ電極は、例えばCr、Au、Ti、
Al、Cu、Ta、W、Ni、TaN、Ptから選ばれ
る1種類以上の薄膜材料からなる。これらの膜は、スパ
ッタリングにより成膜するのが好ましい。スパッタ法に
よる成膜は、膜応力を制御できるからである。
Al、Cu、Ta、W、Ni、TaN、Ptから選ばれ
る1種類以上の薄膜材料からなる。これらの膜は、スパ
ッタリングにより成膜するのが好ましい。スパッタ法に
よる成膜は、膜応力を制御できるからである。
【0010】本発明における光導波路デバイスとして
は、例えばマッハ・ツェンダー光干渉計型の光導波路の
アーム部分にヒータ電極を設け、該ヒータ電極による位
相変調を利用した可変光減衰器がある。その他、導波路
型光スイッチなどへの応用も可能である。
は、例えばマッハ・ツェンダー光干渉計型の光導波路の
アーム部分にヒータ電極を設け、該ヒータ電極による位
相変調を利用した可変光減衰器がある。その他、導波路
型光スイッチなどへの応用も可能である。
【0011】このような光導波路デバイスでは、基板と
して1価のアルカリイオンを含む多成分ガラスを用い、
光導波路はイオン交換により作製するのが最適である。
例えば、基板における1価のアルカリイオンがNaであ
り、光導波路の部分がAgイオンでイオン交換されてい
る構成がある。
して1価のアルカリイオンを含む多成分ガラスを用い、
光導波路はイオン交換により作製するのが最適である。
例えば、基板における1価のアルカリイオンがNaであ
り、光導波路の部分がAgイオンでイオン交換されてい
る構成がある。
【0012】また本発明は、基板に形成した光導波路の
近傍にヒータ電極を設け、熱光学効果により光導波路の
屈折率を制御する光導波路デバイスの製造方法におい
て、ヒータ電極は、引っ張り応力を呈する1層以上の抵
抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜を積
層した多層膜からなり、該ヒータ電極に熱処理を施す光
導波路デバイスの製造方法である。
近傍にヒータ電極を設け、熱光学効果により光導波路の
屈折率を制御する光導波路デバイスの製造方法におい
て、ヒータ電極は、引っ張り応力を呈する1層以上の抵
抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜を積
層した多層膜からなり、該ヒータ電極に熱処理を施す光
導波路デバイスの製造方法である。
【0013】引っ張り応力を呈する1層以上の抵抗性薄
膜と圧縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜をスパッタ
リングで順次成膜して多層膜構造のヒータ電極を形成す
る。熱処理は、基板を加熱しながら成膜することで行っ
てもよいし、成膜後に施してもよい。その場合、成膜後
にヒータ電極に通電することにより行うことも可能であ
る。これらの熱処理は、典型的には50℃〜250℃で
行われる。
膜と圧縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜をスパッタ
リングで順次成膜して多層膜構造のヒータ電極を形成す
る。熱処理は、基板を加熱しながら成膜することで行っ
てもよいし、成膜後に施してもよい。その場合、成膜後
にヒータ電極に通電することにより行うことも可能であ
る。これらの熱処理は、典型的には50℃〜250℃で
行われる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の典型的な例としては、可
変光減衰器がある。これは、図1に示すように、ガラス
基板10に、Y分岐部とY結合部とが対向し連続するよ
うなマッハ・ツェンダー光干渉計型の光導波路12をイ
オン交換法により形成し、その2つに分岐した光導波路
のアーム部分上にそれぞれヒータ電極14を装荷する構
造である。各ヒータ電極14には両端にリードライン膜
16を設けて通電可能とし、熱光学効果を利用して光導
波路の屈折率を変化させる。これによって異なる2つの
アーム部分を伝播する光による位相変調を利用し、通過
光の減衰量を可変する。
変光減衰器がある。これは、図1に示すように、ガラス
基板10に、Y分岐部とY結合部とが対向し連続するよ
うなマッハ・ツェンダー光干渉計型の光導波路12をイ
オン交換法により形成し、その2つに分岐した光導波路
のアーム部分上にそれぞれヒータ電極14を装荷する構
造である。各ヒータ電極14には両端にリードライン膜
16を設けて通電可能とし、熱光学効果を利用して光導
波路の屈折率を変化させる。これによって異なる2つの
アーム部分を伝播する光による位相変調を利用し、通過
光の減衰量を可変する。
【0015】このような可変光減衰器は、例えば次のよ
うにして作製する。基板として1価のアルカリイオンを
含む多成分ガラスを用い、光導波路部分が開口となるよ
うにマスキングして溶融塩中に浸漬し、イオン交換を行
わせることにより光導波路を作製する。イオン交換は、
まず熱イオン交換を行い、次いで電界印加イオン交換を
行う2段階方式が好ましい。更に、ヒータ電極を形成す
る部分のパターニングを行い、ヒータ電極となる膜材料
をスパッタリングして多層膜を形成し、リフトオフする
ことでヒータ電極を形成する。
うにして作製する。基板として1価のアルカリイオンを
含む多成分ガラスを用い、光導波路部分が開口となるよ
うにマスキングして溶融塩中に浸漬し、イオン交換を行
わせることにより光導波路を作製する。イオン交換は、
まず熱イオン交換を行い、次いで電界印加イオン交換を
行う2段階方式が好ましい。更に、ヒータ電極を形成す
る部分のパターニングを行い、ヒータ電極となる膜材料
をスパッタリングして多層膜を形成し、リフトオフする
ことでヒータ電極を形成する。
【0016】
【実施例】1価のNaイオンを含んだ多成分ガラスから
なる基板の片面に、イオン拡散を阻止するマスクパター
ンを形成する。マスクパターンは、例えばTi膜であ
り、スパッタリング法により成膜し、それをフォトリソ
グラフィー法により所定のパターン(光導波路の部分が
開口となったパターン)に加工したものである。その
後、基板を熱イオン交換と電界印加イオン交換の2段階
に分けてイオン交換を行う。イオン交換条件は、次の通
りである。 第1段階:温度265℃、硝酸銀8%、時間60分 第2段階:温度255℃、印加電圧100V/mm、時間
105分 このような条件で、Y分岐部とY結合部とが対向するよ
うに組み合わせた所謂マッハ・ツェンダー型の光導波路
を作製した。そして、その光導波路のアーム部分上にヒ
ータ電極を形成した。ヒータ電極への通電による熱光学
効果を利用して光導波路に屈折率変化を生じさせるよう
にし、位相変調を利用した可変光減衰器を構成する。
なる基板の片面に、イオン拡散を阻止するマスクパター
ンを形成する。マスクパターンは、例えばTi膜であ
り、スパッタリング法により成膜し、それをフォトリソ
グラフィー法により所定のパターン(光導波路の部分が
開口となったパターン)に加工したものである。その
後、基板を熱イオン交換と電界印加イオン交換の2段階
に分けてイオン交換を行う。イオン交換条件は、次の通
りである。 第1段階:温度265℃、硝酸銀8%、時間60分 第2段階:温度255℃、印加電圧100V/mm、時間
105分 このような条件で、Y分岐部とY結合部とが対向するよ
うに組み合わせた所謂マッハ・ツェンダー型の光導波路
を作製した。そして、その光導波路のアーム部分上にヒ
ータ電極を形成した。ヒータ電極への通電による熱光学
効果を利用して光導波路に屈折率変化を生じさせるよう
にし、位相変調を利用した可変光減衰器を構成する。
【0017】ヒータ電極における膜応力の測定は、実際
のデバイスの状態では行えないために、以下に示す方法
で評価し、それに基づき実際の光導波路デバイス(可変
光減衰器)を作製して性能評価を行った。膜応力は、一
般的な測定法の中から片持ち梁法を用いた。これは短冊
型をした薄い基板の一端を固定して薄膜の膜応力を求め
る方法である。ここで、膜応力の定義として、基板が膜
を内側にして反る(膜が縮もうとする)場合を膜内に引
張応力があるといい符号を+とする。反対に、膜を外側
にして反る(膜が伸びようとする)場合を圧縮応力があ
るとし符号を−で表す。薄膜の膜応力によって基板は撓
む。このとき、自由端の変位δを測定すると、膜応力σ
は次式で近似される。 σ=(Eb2 )/{3(1−ν)l2 d}×δ ここで、E:基板のヤング率、b:基板の厚さ、l:基
板の長さ、ν:基板のポアソン比、d:薄膜の厚さ(但
し、ここでいう薄膜の厚さは、多層膜の総膜厚のことで
あり、膜応力は積層したトータルの膜厚で割った値で示
している)
のデバイスの状態では行えないために、以下に示す方法
で評価し、それに基づき実際の光導波路デバイス(可変
光減衰器)を作製して性能評価を行った。膜応力は、一
般的な測定法の中から片持ち梁法を用いた。これは短冊
型をした薄い基板の一端を固定して薄膜の膜応力を求め
る方法である。ここで、膜応力の定義として、基板が膜
を内側にして反る(膜が縮もうとする)場合を膜内に引
張応力があるといい符号を+とする。反対に、膜を外側
にして反る(膜が伸びようとする)場合を圧縮応力があ
るとし符号を−で表す。薄膜の膜応力によって基板は撓
む。このとき、自由端の変位δを測定すると、膜応力σ
は次式で近似される。 σ=(Eb2 )/{3(1−ν)l2 d}×δ ここで、E:基板のヤング率、b:基板の厚さ、l:基
板の長さ、ν:基板のポアソン比、d:薄膜の厚さ(但
し、ここでいう薄膜の厚さは、多層膜の総膜厚のことで
あり、膜応力は積層したトータルの膜厚で割った値で示
している)
【0018】引っ張り応力と圧縮応力をもつ膜材料とし
て、それぞれCrとAuの膜を成膜した。成膜条件は次
の通りである。 ・バックプレッシャー(成膜前到達真空度):1×10
-5Pa ・Cr成膜ガス圧:0.25Pa ・Cr成膜パワー:3.1W/cm2 ・Cr成膜レート:0.1nm/秒 ・Au成膜ガス圧:0.25Pa ・Au成膜パワー:1.55W/cm2 ・Au成膜レート:0.15nm/秒 Auの膜厚を200nmに固定し、Crの膜厚を4nm〜2
0nmの範囲で変化させて成膜による変位量δを測定し、
膜応力σを算出した。その結果を図2に示す。この結果
に基づき、それぞれのポイントでの特性を評価するため
に、マッハ・ツェンダー型の光導波路にヒータ電極を設
けて可変光減衰器とし、10dB減衰時の偏波依存損失
の膜応力依存性を求めた。その結果を図3に示す。
て、それぞれCrとAuの膜を成膜した。成膜条件は次
の通りである。 ・バックプレッシャー(成膜前到達真空度):1×10
-5Pa ・Cr成膜ガス圧:0.25Pa ・Cr成膜パワー:3.1W/cm2 ・Cr成膜レート:0.1nm/秒 ・Au成膜ガス圧:0.25Pa ・Au成膜パワー:1.55W/cm2 ・Au成膜レート:0.15nm/秒 Auの膜厚を200nmに固定し、Crの膜厚を4nm〜2
0nmの範囲で変化させて成膜による変位量δを測定し、
膜応力σを算出した。その結果を図2に示す。この結果
に基づき、それぞれのポイントでの特性を評価するため
に、マッハ・ツェンダー型の光導波路にヒータ電極を設
けて可変光減衰器とし、10dB減衰時の偏波依存損失
の膜応力依存性を求めた。その結果を図3に示す。
【0019】多波長一括伝送方式で用いる可変光減衰器
においては、偏波依存損失の低減値は、10dB減衰時
で1dB以下であることが好ましく、この要求を満たす
膜応力値は、図3からほぼ1.5×108 Paとなる。
なお、膜の全応力は、膜応力σに膜厚dを乗じることに
より与えられる。試作例における全応力に対する偏波依
存損失の関係の一例を、参考までに表1に示す。
においては、偏波依存損失の低減値は、10dB減衰時
で1dB以下であることが好ましく、この要求を満たす
膜応力値は、図3からほぼ1.5×108 Paとなる。
なお、膜の全応力は、膜応力σに膜厚dを乗じることに
より与えられる。試作例における全応力に対する偏波依
存損失の関係の一例を、参考までに表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】ヒータ電極として重要な特性の一つに、膜
の安定性がある。膜の材料によっては、熱が加わること
により、圧縮応力が引っ張り応力に変化したり逆に引っ
張り応力が圧縮応力に変化したり、あるいは圧縮応力や
引っ張り応力が更に増大するなど、様々な影響が生じる
ことがある。そこで、膜に熱処理を施すことにより、膜
応力を制御することを試みた。熱処理は、温度150℃
で4時間行った。膜材料として、Ti、Cr、Auを用
いて積層した。成膜条件を以下に示す。 ・バックプレッシャー(成膜前到達真空度):1×10
-5Pa ・Cr成膜ガス圧:0.25Pa ・Cr成膜パワー:3.1W/cm2 ・Ti成膜ガス圧:0.25Pa ・Ti成膜パワー:1.55W/cm2 ・Au成膜ガス圧:0.25Pa ・Au成膜パワー:1.55W/cm2
の安定性がある。膜の材料によっては、熱が加わること
により、圧縮応力が引っ張り応力に変化したり逆に引っ
張り応力が圧縮応力に変化したり、あるいは圧縮応力や
引っ張り応力が更に増大するなど、様々な影響が生じる
ことがある。そこで、膜に熱処理を施すことにより、膜
応力を制御することを試みた。熱処理は、温度150℃
で4時間行った。膜材料として、Ti、Cr、Auを用
いて積層した。成膜条件を以下に示す。 ・バックプレッシャー(成膜前到達真空度):1×10
-5Pa ・Cr成膜ガス圧:0.25Pa ・Cr成膜パワー:3.1W/cm2 ・Ti成膜ガス圧:0.25Pa ・Ti成膜パワー:1.55W/cm2 ・Au成膜ガス圧:0.25Pa ・Au成膜パワー:1.55W/cm2
【0022】Crの膜厚を30nm、Auの膜厚を100
nmに固定し、Tiの膜厚が80nm〜200nmの範囲で変
化するように成膜し、変位量δを測定した。熱処理前の
膜応力と熱処理後の膜応力の計算値を表2及び図4に示
す。
nmに固定し、Tiの膜厚が80nm〜200nmの範囲で変
化するように成膜し、変位量δを測定した。熱処理前の
膜応力と熱処理後の膜応力の計算値を表2及び図4に示
す。
【0023】
【表2】
【0024】表2における試料1の熱処理品が良好な特
性を呈することから、この成膜・熱処理条件で光可変減
衰器を作製し、特性評価を行った。その結果を以下に示
す。 ・10dB減衰時の偏波依存性損失:0.2〜0.4d
B ・20dB減衰時の偏波依存性損失:0.8〜1.5d
B この結果から、本発明品は従来品に比べて偏波依存損失
が低減されていることが確認できた。
性を呈することから、この成膜・熱処理条件で光可変減
衰器を作製し、特性評価を行った。その結果を以下に示
す。 ・10dB減衰時の偏波依存性損失:0.2〜0.4d
B ・20dB減衰時の偏波依存性損失:0.8〜1.5d
B この結果から、本発明品は従来品に比べて偏波依存損失
が低減されていることが確認できた。
【0025】
【発明の効果】本発明は上記のように、引っ張り応力を
呈する1層以上の抵抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以
上の抵抗性薄膜を積層した多層膜によりヒータ電極を構
成することにより、偏波依存性損失が小さい光導波路デ
バイスを実現することが可能となる。また本発明によれ
ば、小型化、集積化が可能であり、可動部を有しないた
めに信頼性の高い導波路型の可変光減衰器を得ることが
できる。
呈する1層以上の抵抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以
上の抵抗性薄膜を積層した多層膜によりヒータ電極を構
成することにより、偏波依存性損失が小さい光導波路デ
バイスを実現することが可能となる。また本発明によれ
ば、小型化、集積化が可能であり、可動部を有しないた
めに信頼性の高い導波路型の可変光減衰器を得ることが
できる。
【図1】本発明に係る可変光減衰器の一例を示す説明
図。
図。
【図2】Cr膜厚に対する膜応力の関係を示すグラフ。
【図3】膜応力に対する偏波依存性損失の関係を示すグ
ラフ。
ラフ。
【図4】Ti膜厚に対する膜応力の熱処理前後の関係を
示すグラフ。
示すグラフ。
10 ガラス基板 12 光導波路 14 ヒータ電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安間 康浩 東京都港区新橋5丁目36番11号 エフ・デ ィー・ケイ株式会社内 (72)発明者 市川 智徳 東京都港区新橋5丁目36番11号 エフ・デ ィー・ケイ株式会社内 Fターム(参考) 2H079 AA06 AA12 BA01 BA03 CA05 DA14 EB27
Claims (12)
- 【請求項1】 基板に形成した光導波路の近傍にヒータ
電極を設け、熱光学効果により光導波路の屈折率を制御
する光導波路デバイスにおいて、 前記ヒータ電極が、引っ張り応力を呈する1層以上の抵
抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜を積
層した多層膜からなることを特徴とする光導波路デバイ
ス。 - 【請求項2】 ヒータ電極は、その総膜厚が30nm以上
であり、且つ多層膜の膜応力の絶対値が1.5×108
Pa以下である請求項2記載の光導波路デバイス。 - 【請求項3】 ヒータ電極が、Cr、Au、Ti、A
l、Cu、Ta、W、Ni、TaN、Ptから選ばれる
1種類以上の薄膜材料からなるスパッタ膜である請求項
2記載の光導波路デバイス。 - 【請求項4】 光導波路デバイスがマッハ・ツェンダー
光干渉計型であり、そのアーム部分にヒータ電極が設け
られている請求項1乃至3のいずれかに記載の光導波路
デバイス。 - 【請求項5】 基板が1価のアルカリイオンを含む多成
分ガラスからなり、光導波路がイオン交換により作製さ
れている請求項1乃至4のいずれかに記載の光導波路デ
バイス。 - 【請求項6】 基板中の1価のアルカリイオンがNaで
あり、光導波路の部分がAgイオンでイオン交換されて
いる請求項5記載の光導波路デバイス。 - 【請求項7】 基板に形成した光導波路の近傍にヒータ
電極を設け、熱光学効果により光導波路の屈折率を制御
する光導波路デバイスを製造する方法において、 前記ヒータ電極は、引っ張り応力を呈する1層以上の抵
抗性薄膜と圧縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜を積
層した多層膜からなり、該ヒータ電極に熱処理を施すこ
とを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。 - 【請求項8】 引っ張り応力を呈する1層以上の抵抗性
薄膜と圧縮応力を呈する1層以上の抵抗性薄膜をスパッ
タリングで順次成膜して多層膜構造のヒータ電極を形成
する請求項7記載の光導波路デバイスの製造方法。 - 【請求項9】 基板を加熱しながら成膜することで熱処
理を行う請求項8記載の光導波路デバイスの製造方法。 - 【請求項10】 成膜後に熱処理を施す請求項8記載の
光導波路デバイスの製造方法。 - 【請求項11】 成膜後に、ヒータ電極への通電により
熱処理を施す請求項10記載の光導波路デバイスの製造
方法。 - 【請求項12】 熱処理を、50℃〜250℃で行う請
求項7乃至11のいずれかに記載の光導波路デバイスの
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001065539A JP2002268021A (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 光導波路デバイス及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001065539A JP2002268021A (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 光導波路デバイス及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002268021A true JP2002268021A (ja) | 2002-09-18 |
Family
ID=18924166
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001065539A Pending JP2002268021A (ja) | 2001-03-08 | 2001-03-08 | 光導波路デバイス及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002268021A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003029218A (ja) * | 2001-07-13 | 2003-01-29 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 平面導波路型光デバイス |
US7330630B2 (en) * | 2005-09-21 | 2008-02-12 | Hitachi Cable, Inc. | Waveguide type variable optical attenuator |
US10197732B2 (en) | 2016-08-26 | 2019-02-05 | Corning Optical Communications LLC | Methods for forming ion-exchanged waveguides in glass substrates |
-
2001
- 2001-03-08 JP JP2001065539A patent/JP2002268021A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003029218A (ja) * | 2001-07-13 | 2003-01-29 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 平面導波路型光デバイス |
JP4649788B2 (ja) * | 2001-07-13 | 2011-03-16 | 住友電気工業株式会社 | 平面導波路型光デバイス |
US7330630B2 (en) * | 2005-09-21 | 2008-02-12 | Hitachi Cable, Inc. | Waveguide type variable optical attenuator |
US10197732B2 (en) | 2016-08-26 | 2019-02-05 | Corning Optical Communications LLC | Methods for forming ion-exchanged waveguides in glass substrates |
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