JP2002261475A - 設置用台足装置及びこれを備えた被設置構造物 - Google Patents

設置用台足装置及びこれを備えた被設置構造物

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JP2002261475A
JP2002261475A JP2001059279A JP2001059279A JP2002261475A JP 2002261475 A JP2002261475 A JP 2002261475A JP 2001059279 A JP2001059279 A JP 2001059279A JP 2001059279 A JP2001059279 A JP 2001059279A JP 2002261475 A JP2002261475 A JP 2002261475A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はラックを建物の床上に設置する設置
用台足装置に関し、地震対策が施されていて、ラックを
設置する作業がし易い構造を実現することを課題とす
る。 【解決手段】 受け部材53と、受け部材53の下面に
設けてあり、振動を吸収する特性を有し、且つ、粘着性
を有し、且つ、剥がすことが可能であり、剥がした後も
粘着性を有するマット51と、受け部材53のねじ部と
螺合して設けてあり、回転されて上下に移動される環状
の設置用ねじ部材52と、受け部材53の上面の凹部に
嵌合してある中間マット54と、中間マット54に載っ
て支持されており、ラック20に固定される脚部材56
とを有する。使用前では、環状の設置用ねじ部材52が
マット51より下方の位置にあり、マット51が床面3
0に粘着しないようにする。使用時には、環状の設置用
ねじ部材52が上方に位置して、マット51が床面30
に粘着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は設置用台足装置に係
り、ラック及びキャビネット等の電子機器収容構造物を
建物の床上に設置する設置用台足装置に関する。
【0002】ラックを床上に設置する設置用台足装置
は、ラックを設置する作業がし易い構造、及び地震対策
が施されている構造であることが望ましい。
【0003】
【従来の技術】図1(A),(B)は従来の設置用台足
装置10を示す。この設置用台足装置10は、受け部材
11と脚部材15とよりなる構成である。受け部材11
は、皿形状を有し、上面に、環状の壁部12によって囲
まれた凹部13を有し、建物の床面30上に置かれる。
環状の壁部12は、脚部材15が受け部材11から外れ
ることを防止するために形成してある。脚部材15は、
上から順に、ボルト部16、鍔部17、脚部18を有す
る。ボルト部16には、緩み止め用のナット19が螺合
してある。
【0004】ラック20は、底面の四隅にナット21が
溶接されて固定してある。
【0005】脚部材15のボルト部16がナット21に
螺合してあり、建物の床面30上の受け部材11が脚部
18を受けている。
【0006】設置用台足装置10は、ラック20の各コ
ーナ部毎に一つづつ、計4つ使用される。
【0007】ラック20は次のようにして建物の床面3
0上に設置される。先ず、底面に設けてあるキャスター
(図示せず)を利用してラック20を設置する場所に移
動させ、ジャッキ(図示せず)を使用してラック20を
押し上げ、脚部材15のボルト部16をナット21に螺
合させ、受け部材11を床面30上に置き、ジャッキ
(図示せず)を操作していラック20を下げ、脚部18
が受け部材11に押し当った状態とし、最後に、工具
(図示せず)を鍔部17に嵌合させて脚部材15を適宜
回転させて、高さを調整する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ラック20を安定に設
置するためには、四つの設置用台足装置10について、
脚部18は図1(B)に示すように凹部13の中央に位
置していることが必要である。しかし、脚部18を凹部
13の中央に位置を定める機構が無いため、四つの設置
用台足装置10の全部について、脚部18を凹部13の
中央に位置を定めるのに手間のかかる作業が必要であっ
た。
【0009】また、地震のときには、脚部18を凹部1
3内で滑って動くことによって地震の振動がラック20
に伝わることを防ぐ構成となっているけれども、耐震性
は十分ではなかった。
【0010】また、脚部18が拘束されていないため、
地震のときにラック20が倒れる虞れがあった。
【0011】また、脚部18が凹部13内で滑って動く
ことによって、ラック20が大きく動いた場合には、床
から出てラック20にまで延びているケーブルが延びて
切れたり、ラック20が隣のラックとぶつかったりする
不都合が起きる危険もあった。
【0012】また、ラック20が動いた場合には、脚部
18を凹部13の中心に戻す面倒な調整作業が必要であ
った。
【0013】そこで、本発明は、上記課題を解決した設
置用台足装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、外周
面にねじ部を有し、被設置構造物の荷重を受ける受け部
材と、該受け部材の下面に設けてあり、振動を吸収する
特性を有し、且つ、粘着性を有し、且つ、設置面から剥
がすことが可能であるマットと、上記受け部材のねじ部
と螺合して、該受け部材の外周側に設けてあり、回転さ
れて、底面が上記マットの下面より下方の位置と、底面
が上記マットの下面より上方の位置の間で上下に移動さ
れる環状の設置用ねじ部材とを有し、使用前では、上記
環状の設置用ねじ部材の底面が上記マットの下面より下
方の位置にあり、使用時には、上記環状の設置用ねじ部
材の底面が上記マットの下面より上方の位置にあり、該
マットが設置面に粘着する構成としたものである。
【0015】マットが設置面に粘着することによって、
設置面に孔をあけずに、被設置構造物を設置面に固定す
ることが可能である。また、マットが設置面に粘着する
ことによって、地震のときに被設置構造物が設置面上を
動かないようにすること、及び被設置構造物が倒れない
ようにすることが可能である。
【0016】環状の設置用ねじ部材を回転させてねじの
機構で環状の設置用ねじ部材が上下に移動する構成であ
るため、環状の設置用ねじ部材が設置面に当っており、
マットが設置面から浮いている状態、及び、マットが設
置面に押し当っている状態を簡単に得ることが可能であ
る。よって、被設置構造物を設置する作業がし易い。
【0017】マットが設置面から剥がすことが可能であ
る構成であり、且つ、環状の設置用ねじ部材を回転させ
てねじの機構で環状の設置用ねじ部材が下方に移動さ
れ、このときに、受け部材が設置面から相対的に押し上
げられて、マットが設置面から剥がされるので、被設置
構造物の設置位置の変更が容易である。
【0018】地震のときの床から受け部材に伝わる振動
をマットが吸収して、受け部材の振動を低減することが
出来る。よって、地震のときの被設置構造物の振動を低
減させることが可能である。
【0019】請求項2の発明は、外周面にねじ部を有
し、上面に凹部を有する受け部材と、該受け部材の下面
に設けてあり、振動を吸収する特性を有し、且つ、粘着
性を有し、且つ、設置面から剥がすことが可能であるマ
ットと、上記受け部材のねじ部と螺合して、該受け部材
の外周側に設けてあり、回転されて、底面が上記マット
の下面より下方の位置と、底面が上記マットの下面より
上方の位置の間で上下に移動される環状の設置用ねじ部
材と、中心孔を有しており、上記受け部材の上面の凹部
に嵌合してある中間マットと、該中心孔に嵌合して該中
間マットに載って支持されており、被設置構造物に固定
される脚部材とを有し、使用前では、上記環状の設置用
ねじ部材の底面が上記マットの下面より下方の位置にあ
り、使用時には、上記環状の設置用ねじ部材の底面が上
記マットの下面より下方の位置にあり、該マットが設置
面に粘着する構成としたものである。
【0020】マットが設置面に粘着することによって、
設置面に孔をあけずに、被設置構造物を設置面に固定す
ることが可能である。また、マットが設置面に粘着する
ことによって、地震のときに被設置構造物が設置面上を
動かないようにすること、及び被設置構造物が倒れない
ようにすることが可能である。
【0021】環状の設置用ねじ部材を回転させてねじの
機構で環状の設置用ねじ部材が上下に移動する構成であ
るため、環状の設置用ねじ部材が設置面に当っており、
マットが設置面から浮いている状態、及び、マットが設
置面に押し当っている状態を簡単に得ることが可能であ
る。よって、被設置構造物を設置する作業がし易い。
【0022】マットが設置面から剥がすことが可能であ
る構成であり、且つ、環状の設置用ねじ部材を回転させ
てねじの機構で環状の設置用ねじ部材が下方に移動さ
れ、このときに、受け部材が設置面から相対的に押し上
げられて、マットが設置面から剥がされるので、被設置
構造物の設置位置の変更が容易である。
【0023】更には、受け部材の上面の凹部に嵌合して
ある中間マットの中心孔に脚部材が嵌合してあるため、
脚部材は自動的に受け部材の中心に位置規制され、脚部
材が受け部材の中心に位置するように規制する調整作業
は必要でなくなる。よって、被設置構造物を設置する作
業は更にし易くなる。
【0024】地震のときの床から受け部材に伝わる振動
をマットが吸収し、更には、受け部材から脚部材に伝わ
る振動を中間マットが吸収する。よって、地震のときの
被設置構造物の振動を低減させることが可能である。
【0025】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
記載の設置用台足装置において、上記マットは、該マッ
トの厚さより薄くて、硬い材質製の潰れ防止部材を有す
る構成としたものである。
【0026】潰れ防止部材は、特に被設置構造物の荷重
が大きくてマットが予定以上に圧縮されるときに、マッ
トが潰れ防止部材の厚さ以下には薄く潰れないようにす
る。即ち、マットが振動吸収特性が異常に低下するほど
に過度に潰れることが起きない。
【0027】請求項4の発明は、上面に凹部を有し、被
設置構造物の荷重を受ける受け体と、中心孔を有してお
り、上記受け体の上面の凹部に嵌合してあるマットと、
該中心孔に嵌合して該マットに載って支持されており、
被設置構造物に固定される脚部材とを有し、上記受け体
は、設置面のうち上記被設置構造物が設置される部分に
嵌合して、該受け体を上記設置面に固定する固定手段を
有する構成としたものである。
【0028】固定手段は、受け体を、設置面のうち被設
置構造物が設置される部分に固定する。設置面のうち被
設置構造物が設置される場所が予め決まっている場合に
有用である。
【0029】更には、受け体の上面の凹部に嵌合してあ
るマットの中心孔に脚部材が嵌合してあるため、脚部材
は自動的に受け部材の中心に位置規制され、脚部材が受
け体の中心に位置するように規制する調整作業は必要で
なくなる。よって、被設置構造物を設置する作業は更に
し易くなる。
【0030】地震のときの床から受け体部材を介して脚
部材に伝わる振動をマットが吸収する。よって、地震の
ときの被設置構造物の振動を低減させることが可能であ
る。
【0031】請求項5の発明は、底面に、請求項1乃至
請求項4のうちいずれか一項記載の設置用台足装置を備
えた構成としたものである。
【0032】被設置構造物は、簡単な作業で、且つ、優
れた耐震性を有する状態で設置されるようになる。
【0033】
【発明の実施の形態】図2(A),(B)及び図3は本
発明の一実施例になる設置用台足装置50を示す。図2
(B)は、図2(A)中、B−B線に沿う断面図であ
る。図2(A),(B)は、使用されている状態、即
ち、ラックが設置されている状態の設置用台足装置50
を示す。図3は、設置用台足装置50を分解して示す。
【0034】設置用台足装置50は、下から順に、マッ
ト51と、設置用ねじ部材52と、受け部材53と、中
間マット54と、中間受け部材55と、脚部材56と、
緩み防止用ナット57とを有する構成である。
【0035】受け部材53は、背の低い円柱形状であ
り、上面に凹部53aを有し、外周面にねじ部53bを
有する。53cは凹部53aの底の面、53dは面53
cから立ち上がっている環状の壁部である。
【0036】この受け部材53の外周面のねじ部53b
に、環状の設置用ねじ部材52の内周面のねじ部52b
が螺合してある。環状の設置用ねじ部材52は、受け部
材53の略半分の高さ寸法h1を有し、環状の底面52
bを有し、底面52bと外周面52cとの間にテーパ面
52dを有する。外周面52cに、工具が嵌合する凹部
52eを有し、工具を使用して回転される。時計方向C
に回転されて、下方に移動し、反時計方向CCに回転さ
れて上方に移動する。設置用台足装置50をラック20
に取り付ける前の状態及びラック20を設置する以前の
状態では、図5(A)、(B)に示すように、設置用ね
じ部材52の底面52bは、マット51の下面51aよ
り下側に位置している。ラック20が仮に設置された状
態では、マット51が床面30から浮いているようにす
るためである。なお、設置用ねじ部材52の高さ寸法h
1が大きい理由は、底面52bがマット51の下面より
下側に位置している状態でも、ねじ部52bとねじ部5
3bとが十分の数のねじ山で嵌合しているようにするた
めである。
【0037】受け部材53の下面には、円板状のマット
51が貼り付けてある。マット51は、主要成分がポリ
ウレタン樹脂であるゴム質のものであり、振動を吸収す
る特性を有し、且つ強い粘着性を有し、力を加え続ける
と剥がすことが可能であり、剥がした後もマット51の
下面51aは依然として粘着性を有している。マット5
1は受け部材53の下面と略同じ寸法形状であり、図4
に示すように、所定の厚さt1を有する。マット51
は、震度7程度の地震、即ち、1000Gal程度の加速
度に対応することが可能である。
【0038】このマット51の中央の開口51bには、
潰れ防止部材58が嵌合してある。潰れ防止部材58
は、円板形状であり、厚さがt2であり、アクリル樹脂
等の硬い材質製である。厚さt2は厚さt1より少し薄
い。潰れ防止部材58は、特にラック20の荷重が大き
くてマット51がラック20の荷重を受けて予定以上に
圧縮されるときに、ラック20の荷重を受けて、マット
51が厚さt2以下には薄く潰れないようにする、即
ち、振動吸収特性が異常に低下するほどに過度に潰れな
いようにする役割を有する。
【0039】マット51は、ラック20が設置された状
態では下面51aが床面30に粘着しており、地震のと
きに受け部材53が動かないようにする。地震のときに
受け部材53が床面30上で横に動くこと、及び、床面
30から浮くことが起きないようにする。また、マット
51は、地震のときの床面30の振動を吸収する役割を
する。
【0040】受け部材53の上面の凹部53a内に、中
間マット54が、周囲に隙間の無い状態で嵌合して、且
つ凹部53aの底の面53cに当接して設けてある。中
間マット54は、背の低い円柱形状であり、中央に貫通
孔54aを有する。また、中間マット54は、主要成分
がポリウレタン樹脂であるゴム質のものであり、振動を
吸収する特性を有する。
【0041】中間マット54の上側に、中間受け部材5
5が設けてある。中間受け部材55は、円板部55a
と、円板部55aの中央からの下方に突き出た円筒部5
5bとよりなる。円筒部55bが中間マット54の貫通
孔54aに隙間の無い状態で嵌合してある。円板部55
aは、受け部材53と等しい直径を有しており、中間マ
ット54の上面に載っている。
【0042】脚部材56は、鍔部56aと、鍔部56a
より上方に突き出ているボルト部56aと、鍔部56a
より下方に突き出ている脚部51cとよりなる。
【0043】鍔部56aは、小判形状であり、後述する
ラック20の高さを調整するときに工具が嵌合され、工
具を操作することによって脚部材51が回される。この
鍔部56aは中間受け部材55の円板部55aの上面に
当接している。
【0044】ボルト部56aは、ラック20の底面に固
定してあるナット21に螺合される。このボルト部56
aには、緩み防止用ナット57が螺合してある。
【0045】脚部56cは、先端に半球形状部56dを
有し、中間受け部材55の円筒部55bに嵌合してお
り、半球形状部56dは円筒部55bの下端から突き出
ている。
【0046】設置用台足装置50が使用される前の状態
では、図5(A)に示すように、半球形状部56dと受
け部材55の凹部53aの上面53cとの間には隙間5
9が存在している。
【0047】ここで、凹部53aの深さ寸法a1、中間
マット54の厚さ寸法a2、円筒部55bの長さ寸法a
3、脚部51cの長さ寸法(図2中、円板部55aの下
面の位置から脚部51cの先端までの寸法)a4は、以
下の関係にある。
【0048】図5(A)に示す荷重がかかる前は、 a2>a1、a4>a2、a4>a3 図2及び図5(B)〜(D)に示す荷重がかかった後
は、 a2>a1、a4=a2、a4>a3 とである。
【0049】よって、脚部材56に下向きの荷重が作用
すると、脚部材56は中間受け部材55と共に中間マッ
ト54を圧縮させつつ下方に、半球形状部56dが上面
53cに押し当たるまで変位する。設置用台足装置50
は、図2に示すように、半球形状部56dが上面53c
に押し当っており、中間マット54が上面53cと円板
部55aとの間で圧縮されており、円板部55aと環状
の壁部53dとの間には、隙間60が存在している。
【0050】また、凹部53aよって中間マット54は
受け部材53の中央に位置規制されており、脚部材56
は中間マット54及び中間受け部材55によって位置を
決められて、受け部材53の中央に位置している。脚部
材56は、中間マット54の径方向に弾性変形できる範
囲内で、半球形状部56dが上面53cを滑って、受け
部材53の径方向に変位可能である。脚部材56が受け
部材53の径方向に変位した場合には、中間マット54
に発生した復元弾性力によって、受け部材53の中央の
位置に押し戻される。
【0051】上記構成の設置用台足装置50は、震度7
以上の地震、即ち、1000Galの加速度に対応するこ
とが可能である。
【0052】次に、ラック20を建物の床面30上に設
置するときの作業、及び、設置用台足装置50の状態に
ついて、主に図5(A)乃至(D)を参照して説明す
る。
【0053】必要に応じて設置用ねじ部材52を時計方
向Cに適宜回転させて底面52bをマット51の下面5
1aより下側に位置させ、且つ、マット51の下面を覆
う保護シートを剥離した設置用台足装置50を用意す
る。
【0054】先ず、底面に設けてあるキャスター(図示
せず)を利用してラック20を設置する場所に移動さ
せ、ジャッキ(図示せず)を使用してラック20を押し
上げ、図5(A)に示すように、設置用台足装置50の
ボルト部56aをナット21に螺合させ、上記の設置用
台足装置50をラック20の底の四隅に取り付ける。
【0055】次いで、ジャッキ(図示せず)を操作して
ラック20を下げ、図5(B)に示すように、設置用台
足装置50がラック20を支える状態とする。環状の設
置用ねじ部材52が建物の床面30に当接した状態とな
る。マット51は床面30から浮いている。この状態
で、作業者はラック20を適宜押して、環状の設置用ね
じ部材52を建物の床面30上を適宜滑らせて、ラック
20を動かして、ラック20の位置を調整して設置位置
に位置させる。ここで、環状の設置用ねじ部材52は底
面52b側にテーパ面52dを有しているため、設置用
ねじ部材52の建物の床面30上の滑りは円滑であり、
ラック20の位置の調整は容易である。
【0056】次いで、工具を使用して環状の設置用ねじ
部材52を反時計方向CCに回転させる。設置用ねじ部
材52は、床面30上を滑りつつ反時計方向CCに回転
され、上方に変位し、受け部材53等は下がって、図5
(C)に示すように、マット51が床面30に押し付け
られて床面30に粘着された状態となる。
【0057】次いで、工具を鍔部56aに嵌合させ、工
具を操作することによって脚部材51を回転させ、ナッ
ト21を上下に適宜移動させて、ラック20の四隅の高
さを調整する。ここで、鍔部56aは中間マット54に
は接触していず、中間受け部材55上で滑って回転する
ため、脚部材51を確実に回転させることが可能であ
る。
【0058】最後に、緩み防止用ナット57を回して締
めてラック20の底面に押し当て、ナット21と緩み防
止用ナット57とがダブルナットを形成して、ボルト部
56aがナット21に対して回転しないように固定す
る。図2は、緩み防止用ナット57を締めた後の状態を
示す。
【0059】次に、ラック20が建物の床面30上に設
置された状態における設置用台足装置50の機能につい
て説明する。
【0060】設置用台足装置50にはラック20の重量
がかかっており、図2に示すように、マット51は圧縮
された状態にあり、且つ、床面30に押し付けられて下
面51aが床面30に粘着している。また、脚部56c
の下端の半球形状部56dが上面53cに押し当ってお
り、中間マット54が上面53cと円板部55aとの間
で圧縮されており、円板部55aと環状の壁部53dと
の間には、隙間60が存在している。
【0061】設置用台足装置50はマット51が床面3
0に粘着して床面30に固定してある。また、脚部材5
6は設置用台足装置50の中央に位置規制されている。
よって、ラック20は床面30に固定されている。
【0062】ここで、設置用台足装置50の床面30へ
の固定は粘着力によっているため、固定のために床面3
0に孔をあける等の作業は不要である。
【0063】地震が起きたときには、設置用台足装置5
0は以下のように機能する。
【0064】設置用台足装置50はマット51が床面3
0に粘着して床面30に固定してあり、且つ、脚部材5
6は中間マット54によって設置用台足装置50の中央
に位置規制されているため、地震が起きても、ラック2
0は中間マット54が径方向に変形した分だけ動くにと
どまり、床面30に対して殆ど動かない。よって、ラッ
ク20が隣のラックにぶつかったり、床から出てラック
20にまで延びているケーブルが切断する事故も起きな
い。よって、複数のラック20は接近して設置すること
が可能である。
【0065】中間マット54を径方向に弾性変形させて
脚部材56が受け部材53内で移動した場合でも、地震
がおさまった後に、中間マット54が復元するときに、
脚部材56は元の位置に戻される。
【0066】また、受け部材53がマット51が床面3
0に粘着してあり、中間マット54が凹部53a内に深
く嵌合しており、円筒部55bが中間マット54の中心
孔54aに深く嵌合しており、脚部56cが円筒部55
b内に深く嵌合しており、脚部材56は倒れる方向には
十分に拘束されている。よって、ラック20は設置用台
足装置50によって倒れにくい状態で設置されている。
よって、地震が起きたときに、ラック20が倒れる事故
は起きない。
【0067】床面30からラック20へ伝達される振動
は、第1には、マット51によって吸収され、第2に
は、中間マット54によって吸収される。即ち、床面3
0から受け部材53へ伝達される振動がマット51によ
って吸収され、受け部材53の振動が低減される。ま
た、受け部材53から脚部材56に伝達される振動が中
間マット54によって吸収され、脚部材56の振動、即
ち、ラック20の振動が低減される。よって、ラック2
0に搭載してある電子機器は地震から保護される。
【0068】ここで、ラック20の荷重が大きい場合で
も、潰れ防止部材58が存在することによって、マット
51は潰れ防止部材58の厚さt2以下には潰れず、十
分な振動吸収効果を有している。
【0069】なお、中間マット54を強い粘着性を有す
る構成としてもよい。
【0070】次に、ラック20の設置位置を変更する場
合の操作について説明する。
【0071】先ず、工具を使用して環状の設置用ねじ部
材52を時計方向Cに回転させる。設置用ねじ部材52
は時計方向Cに回転されつつ下方に変位し、底面52b
が床面30上を滑りつつ回転され更に下方に変位し、受
け部材53等が床面30から離れる方向の力を作用され
る。ここで、マット51は力を加え続けると剥がすこと
が可能であるものである。よって、マット51が、床面
30から剥離される(図5(B)参照)。
【0072】この状態で、設置用ねじ部材52を床面3
0を滑らせて、ラック20を移動させて、新しい設置位
置に移動させる。この位置で、再度、工具を使用して環
状の設置用ねじ部材52を反時計方向CCに回転させ、
設置用ねじ部材52を上方に変位させて床面30から離
し、マット51が床面30に押し当たる。マット51の
面51aは床面30から剥離された後も粘着性を有して
いるため、マット51が床面30に押し当たると、マッ
ト51は床面30に粘着した状態となる(図5(C)参
照)。以上によって、ラック20の設置位置が変更され
る。
【0073】次に、本発明の別の実施例になる設置用台
足装置について説明する。図6及び図7は本発明の別の
実施例になる設置用台足装置50Aを示す。この設置用
台足装置50Aは、図2及び図3に示す設置用台足装置
50とは、床面へ固定する構造が相違するものであり、
図6及び図7中、図2及び図3に示す構成部分と同じ構
成部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略す
る。
【0074】設置用台足装置50Aは、下から順に、受
け皿部材70と、受け部材53と、中間マット54と、
中間受け部材55と、脚部材56と、緩み防止用ナット
57とを有する構成である。
【0075】受け皿部材70は、受け皿本体71と、こ
の底面71aから下方に突き出しているボルト72を有
する。ボルト72には、ナット73が螺合される。ボル
ト72及びナット73が固定手段を構成する。
【0076】受け皿本体71は、受け部材53に対応し
た凹部71bを有する。凹部71bは、底面71aを有
し、且つ、内周面にねじ部71cを有する。受け部材5
3は、凹部71b内にねじ込まれており、受け皿部材7
0と一体となっている。受け部材53と受け皿部材70
とが受け体74を構成する。
【0077】受け体74の凹部53a内に、中間マット
54が嵌合してあり、中間マット54の上側に中間受け
部材55が嵌合して載っており、更に、脚部材56がそ
の脚部51cが中間受け部材55に嵌合し、且つその鍔
部56aが中間受け部材55上に載った状態で設けてあ
る。
【0078】上記の設置用台足装置50Aは、ラックを
設置する建物の床構造が、床面30に支持部材81によ
って支えられているフリーアクセス床80を構造であ
り、且つ、フリーアクセス床80のうちラックを設置す
る場所に孔80aが形成してある構造である場合に適用
される。
【0079】ラック20はフリーアクセス床80上に以
下のようにして設置される。
【0080】先ず、キャスター(図示せず)を利用して
ラック20を設置する場所に移動させ、ジャッキ(図示
せず)を使用してラック20を押し上げ、図5(A)に
示すと同様に設置用台足装置50Aのボルト部56aを
ナット21に螺合させ、上記の設置用台足装置50Aを
ラック20の底の四隅に取り付ける。ナット73は外し
ておく。
【0081】次いで、ジャッキ(図示せず)を操作して
ラック20を下げ、ボルト72を孔80aに嵌合させ、
受け体74をフリーアクセス床80上に支持させる。
【0082】フリーアクセス床80の下面からボルト7
2にナット73を螺合させ、ナット73を締めて、設置
用台足装置50Aをフリーアクセス床80に固定する。
【0083】次いで、前記の設置用台足装置50の場合
と同じく、工具を使用して脚部材51を回転させ、ラッ
ク20の四隅の高さを調整し、最後に、緩み防止用ナッ
ト57を回して締める。
【0084】なお、地震が起きたときには、設置用台足
装置50Aは以下のように機能する。
【0085】設置用台足装置50Aはボルト72とナッ
ト73によってフリーアクセス床80に固定してあり、
且つ、脚部材56は中間マット54によって設置用台足
装置50Aの中央に位置規制されているため、地震が起
きても、ラック20は中間マット54が径方向に変形し
た分だけ動くにとどまり、床面30に対して殆ど動かな
い。また、フリーアクセス床80からラック20へ伝達
される振動は、中間マット54によって吸収される。
【0086】なお、受け部材53と受け皿部材70とが
単一の部材よりなる構成としても良いのは勿論である。
【0087】なお、設置用台足装置50、50Aは、キ
ャビネットを床面に設置する場合にも使用可能である。
また、設置する面は、建物の床面に限定されるものでは
ない。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明
は、被設置構造物の荷重を受ける受け部材の下面に、振
動を吸収する特性を有し、且つ、粘着性を有し、且つ、
設置面から剥がすことが可能であるマットを有し、受け
部材の周囲に、環状の設置用ねじ部材とを有し、使用前
では、環状の設置用ねじ部材が下方の位置にあり、使用
時には、設置用ねじ部材が上方の位置にあり、マットが
設置面に粘着する構成としたものであるため、以下の効
果を有する。
【0089】 マットが設置面に粘着することによっ
て、設置面に孔をあけずに、被設置構造物を設置面に固
定することが出来る。また、マットが設置面に粘着する
ことによって、地震のときに被設置構造物が設置面上を
動かないようにすること、及び被設置構造物が倒れない
ようにすることが出来る。
【0090】 環状の設置用ねじ部材を回転させてね
じの機構で環状の設置用ねじ部材が上下に移動する構成
であるため、環状の設置用ねじ部材が設置面に当ってお
り、マットが設置面から浮いている状態、及び、マット
が設置面に押し当っている状態を簡単に得ることが可能
である。よって、被設置構造物を設置する作業を簡単に
行うことが出来る。
【0091】 マットが設置面から剥がすことが可能
である構成であり、且つ、環状の設置用ねじ部材を回転
させてねじの機構で環状の設置用ねじ部材が下方に移動
され、このときに、受け部材が設置面から相対的に押し
上げられて、マットが設置面から剥がされるので、被設
置構造物の設置位置の変更が簡単に出来る。
【0092】 地震のときの床から受け部材に伝わる
振動をマットが吸収して、受け部材の振動を低減するこ
とが出来る。よって、地震のときに被設置構造物が受け
る振動を低減させることが出来る。
【0093】請求項2の発明は、被設置構造物の荷重を
受ける受け部材の下面に、振動を吸収する特性を有し、
且つ、粘着性を有し、且つ、設置面から剥がすことが可
能であるマットを有し、受け部材の周囲に、環状の設置
用ねじ部材とを有する構成に加えて、受け部材の上面の
凹部に嵌合してある中間マットと、中間マットの中心孔
に嵌合して中間マットに載って支持されており、被設置
構造物に固定される脚部材とを有し、使用前では、環状
の設置用ねじ部材が下方の位置にあり、使用時には、設
置用ねじ部材が上方の位置にあり、マットが設置面に粘
着する構成としたものであるため、請求項1の発明の上
記効果に加えて、以下の効果を有する。
【0094】 受け部材の上面の凹部に嵌合してある
中間マットの中心孔に脚部材が嵌合してあるため、脚部
材は自動的に受け部材の中心に位置規制され、脚部材が
受け部材の中心に位置するように規制する調整作業は必
要でなくなる。よって、被設置構造物を設置する作業が
更に簡単に行うことが出来る。
【0095】 地震のときの床から受け部材に伝わる
振動をマットが吸収し、更には、受け部材から脚部材に
伝わる振動を中間マットが吸収する。よって、地震のと
きの被設置構造物の振動を低減させることが可能であ
る。
【0096】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
記載の設置用台足装置において、上記マットは、該マッ
トの厚さより薄くて、硬い材質製の潰れ防止部材を有す
る構成としたものであるため、マットが潰れ防止部材の
厚さ以下には薄く潰れないようになり、被設置構造物の
荷重が大きい場合にも十分な振動吸収特性を効果を有す
ることが出来る。請求項4の発明は、上面に凹部を有
し、被設置構造物の荷重を受ける受け体と、中心孔を有
しており、上記受け体の上面の凹部に嵌合してあるマッ
トと、該中心孔に嵌合して該マットに載って支持されて
おり、被設置構造物に固定される脚部材とを有し、上記
受け体は、設置面のうち上記被設置構造物が設置される
部分に嵌合して、該受け体を上記設置面に固定する固定
手段を有する構成としたものであるため、設置面のうち
被設置構造物が設置される場所が予め決まっている場合
に使用して有効である。また、受け体の上面の凹部に嵌
合してあるマットの中心孔に脚部材が嵌合してあるた
め、脚部材は自動的に受け部材の中心に位置規制され、
脚部材が受け体の中心に位置するように規制する調整作
業は必要でなくなる。よって、被設置構造物を設置する
作業は更にし易くなる。地震のときの床から受け体を介
して脚部材に伝わる振動をマットが吸収する。よって、
地震のときの被設置構造物の振動を低減させることが可
能である。
【0097】請求項5の発明は、底面に、請求項1乃至
請求項4のうちいずれか一項記載の設置用台足装置を備
えた構成としたものであるため、被設置構造物を、簡単
な作業で、且つ、優れた耐震性を有する状態で設置する
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の設置用台足装置を示す図である。
【図2】本発明の一実施例になる設置用台足装置を示す
図である。
【図3】図2(A)の設置用台足装置の分解斜視図であ
る。
【図4】マットを示す図である。
【図5】ラックを設置するときの設置用台足の状態を示
す図である。
【図6】本発明の別の実施例になる設置用台足装置を示
す図である。
【図7】図6の設置用台足装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
20 ラック 30 床面 50、50A 設置用台足装置 51 マット 52 設置用ねじ部材 53受け部材 54中間マット 55 中間受け部材 56 脚部材 57 緩み防止用ナット 70 受け皿部材 71 受け皿本体 72 ボルト 73 ナット 74 受け体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面にねじ部を有し、被設置構造物の
    荷重を受ける受け部材と、 該受け部材の下面に設けてあり、振動を吸収する特性を
    有し、且つ、粘着性を有し、且つ、設置面から剥がすこ
    とが可能であるマットと、 上記受け部材のねじ部と螺合して、該受け部材の外周側
    に設けてあり、回転されて、底面が上記マットの下面よ
    り下方の位置と、底面が上記マットの下面より上方の位
    置の間で上下に移動される環状の設置用ねじ部材とを有
    し、 使用前では、上記環状の設置用ねじ部材の底面が上記マ
    ットの下面より下方の位置にあり、使用時には、上記環
    状の設置用ねじ部材の底面が上記マットの下面より上方
    の位置にあり、該マットが設置面に粘着する構成とした
    ことを特徴とした設置用台足装置。
  2. 【請求項2】 外周面にねじ部を有し、上面に凹部を有
    し、被設置構造物の荷重を受ける受け部材と、 該受け部材の下面に設けてあり、振動を吸収する特性を
    有し、且つ、粘着性を有し、且つ、設置面から剥がすこ
    とが可能であるマットと、 上記受け部材のねじ部と螺合して、該受け部材の外周側
    に設けてあり、回転されて、底面が上記マットの下面よ
    り下方の位置と、底面が上記マットの下面より上方の位
    置の間で上下に移動される環状の設置用ねじ部材と、 中心孔を有しており、上記受け部材の上面の凹部に嵌合
    してある中間マットと、 該中心孔に嵌合して該中間マットに載って支持されてお
    り、被設置構造物に固定される脚部材とを有し、 使用前では、上記環状の設置用ねじ部材の底面が上記マ
    ットの下面より下方の位置にあり、使用時には、上記環
    状の設置用ねじ部材の底面が上記マットの下面より下方
    の位置にあり、該マットが設置面に粘着する構成とした
    ことを特徴とした設置用台足装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の設置用台足
    装置において、 上記マットは、該マットの厚さより薄くて、硬い材質製
    の潰れ防止部材を有する構成としたことを特徴とする設
    置用台足装置。
  4. 【請求項4】 上面に凹部を有し、被設置構造物の荷重
    を受ける受け体と、 中心孔を有しており、上記受け体の上面の凹部に嵌合し
    てあるマットと、 該中心孔に嵌合して該マットに載って支持されており、
    被設置構造物に固定される脚部材とを有し、 上記受け体は、設置面のうち上記被設置構造物が設置さ
    れる部分に嵌合して、該受け体を上記設置面に固定する
    固定手段を有する構成としたことを特徴とした設置用台
    足装置。
  5. 【請求項5】 底面に、請求項1乃至請求項4のうちい
    ずれか一項記載の設置用台足装置を備えた構成としたこ
    とを特徴とする被設置構造物。
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