JP2002261351A - スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド

Info

Publication number
JP2002261351A
JP2002261351A JP2001060753A JP2001060753A JP2002261351A JP 2002261351 A JP2002261351 A JP 2002261351A JP 2001060753 A JP2001060753 A JP 2001060753A JP 2001060753 A JP2001060753 A JP 2001060753A JP 2002261351 A JP2002261351 A JP 2002261351A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic layer
magnetic
magnetization
fixed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001060753A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoya Hasegawa
直也 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP2001060753A priority Critical patent/JP2002261351A/ja
Publication of JP2002261351A publication Critical patent/JP2002261351A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/32Spin-exchange-coupled multilayers, e.g. nanostructured superlattices
    • H01F10/324Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer
    • H01F10/3268Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/32Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for applying conductive, insulating or magnetic material on a magnetic film, specially adapted for a thin magnetic film
    • H01F41/325Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for applying conductive, insulating or magnetic material on a magnetic film, specially adapted for a thin magnetic film applying a noble metal capping on a spin-exchange-coupled multilayer, e.g. spin filter deposition

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 外部磁界の変化に対する抵抗変化率を保持し
たまま、より微弱な外部磁界にも対応できるスピンバル
ブ型薄膜磁気素子、及びこれを用いた薄膜磁気ヘッドを
提供する。 【解決手段】 反強磁性層11と、反強磁性層に接触し
て積層された固定磁性層Pと、固定磁性層と非磁性導電
層15を介して対抗するフリー磁性層Fとを有する積層
体と、積層体の両側に設けられた一対の電極層を有する
スピンバルブ型薄膜磁気素子において、フリー磁性層の
軟磁性層18をCu添加したNiFe合金として、フリ
ー磁性層の飽和磁化を低下さたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部磁界により磁
化の向きが回転するフリー磁性層と、磁化の向きが固定
された固定磁性層を有し、フリー磁性層の磁化の向きに
より電気抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜磁気素子及
びこれを用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】図12に示す従来のスピンバルブ型薄膜
磁気素子は、下地層70と、反強磁性層71と、固定層
P7と、非磁性導電層75と、フリー磁性層F7と、保
護層79が順次積層された積層体C7を有し、固定層P
7は、反強磁性層71との界面に発生する交換異方性磁
界により、磁化の向きが固定されており、フリー磁性層
F7は、非磁性導電層75側のCoやCo−Feからな
る拡散防止層77と、拡散防止層77上に形成されて、
Ni−Fe合金からなる軟磁性層78とから構成されて
いる。
【0003】積層体C7の両側には、ハードバイアス層
81と、ハードバイアス層81上に形成された電極層8
0が設けられており、電極層80からは、積層体C7に
センス電流が印加される。ハードバイアス層81から
は、フリー磁性層F7にバイアス磁界が印加されて、外
部磁界がないとき、フリー磁性層F7の磁化の向きはバ
イアス磁界の向きに揃えられている。
【0004】フリー磁性層F7の磁化の向きは、外部磁
界により回転して、外部磁界の向きと平行に近くなる。
そして、フリー磁性層F7の磁化の向きにより、センス
電流の伝導電子の平均自由行程が変化するGMR(Gian
t Magnetoresistive)効果が生じ、GMR効果により電
極層80間の電気抵抗値(R)が変化して、抵抗変化率
(ΔR/R)から外部磁界の変化を検出することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】フリー磁性層F7の磁
化の向きが、より微弱な外部磁界によっても回転するた
めには、フリー磁性層F7が単位面積に有する磁気モー
メントを低下させて、フリー磁性層F7の磁化の向きが
回転し易くする必要がある。
【0006】フリー磁性層F7が単位面積に有する磁気
モーメントは、フリー磁性層F7の飽和磁化(Ms)と
フリー磁性層F7の膜厚(t)の積(Ms・t)により
表されれるので、フリー磁性層F7の膜厚(t)を薄く
することにより、磁気モーメント(Ms・t)の低減を
図ってきた。
【0007】特に、スピンバルブ型薄膜磁気素子が、ハ
ード磁気ディスク装置に搭載される薄膜磁気ヘッドに用
いられるとき、ハード磁気ディスク装置の高記録密度化
に伴って、記録媒体から漏れる磁界の強度がより微弱と
なる傾向があり、微弱な記録磁界にも対応できるよう
に、フリー磁性層F7の磁気モーメント(Ms・t)
を、より低減させる必要がある。
【0008】しかし、フリー磁性層F7の磁気モーメン
ト(Ms・t)を低減させるために、フリー磁性層F7
の膜厚(t)を薄くすると、外部磁界の変化に対するG
MR効果による抵抗変化率が低減したり、特に、フリー
磁性層F7の膜厚が3nmに満たないと、フリー磁性層
F7の軟磁気特性の劣化により保磁力が上昇して、フリ
ー磁性層F7の磁化の回転が阻害されたり、フリー磁性
層F7の結晶性の劣化により磁気異方性分散が増大し
て、バルクハウゼンノイズの原因になる等、再生特性が
不安定になる問題があり、フリー磁性層F7の磁気モー
メント(Ms・t)を約3.8T・nm以下にすること
は出来なかった。本発明は、フリー磁性層の軟磁気特
性、結晶性、及び外部磁界の変化に対する抵抗変化率を
保持したまま、より微弱な外部磁界にも対応できるスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子、及びこの薄膜磁気素子を用い
た薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のスピンバルブ型
薄膜磁気素子は、反強磁性層と、該反強磁性層に接触し
て積層された固定磁性層と、該固定磁性層と非磁性導電
層を介して対向するフリー磁性層とを有する積層体と、
該積層体の両側に設けられた一対の電極層とを有し、固
定磁性層は、磁化の向きが揃えられて前記反強磁性層と
の磁気的結合により固定されていると共に、前記固定磁
性層と前記フリー磁性層とは前記非磁性導電層により磁
気的に分離されており、前記フリー磁性層は、Cuが添
加されたNiFe合金からなる軟磁性層と、該軟磁性層
と前記非磁性導電層との間に介在するCo、或いはCo
−Fe合金からなる拡散防止層とからなり、前記軟磁性
層は、組成式を(Ni1-xFex1-yCuyとして表すと
き、x、yを原子比率として、0.1≦x≦0.3、
0.01≦y≦0.53であり、前記積層体には前記電
極層から前記固定磁性層の磁化方向と交叉するセンス電
流が印加されて、前記フリー磁性層の磁化の向きが、外
部磁界の向きに回転することにより、前記電極層間の電
気抵抗が変化する。このようなスピンバルブ型薄膜磁気
素子は、フリー磁性層の軟磁性層にCuが添加されるこ
とにより、軟磁性層の飽和磁化が低下して、フリー磁性
層の磁気モーメントが低下するので、フリー磁性層の磁
化の向きは、より微弱な外部磁界に対しても、外部磁界
の向きと平行に近くなるように回転して、より微弱な外
部磁界を検出可能なスピンバルブ型薄膜素子とすること
ができる。
【0010】このとき、フリー磁性層の磁気モーメント
を低下させるために、フリー磁性層の膜厚を薄くする必
要がないので、スピンバルブ型薄膜素子は、より微弱な
外部磁界が検出可能であると共に、フリー磁性層の結晶
性の劣化がなく、フリー磁性層の磁気異方性分散が抑制
されてバルクハウゼンノイズが増大することがなく、且
つ、軟磁気特性の劣化がなく、フリー磁性層の保磁力が
上昇することがないので、フリー磁性層の磁化の向き
は、外部磁界の変化に対応して速やかに回転することが
できる。また、フリー磁性層の膜厚を保持することによ
り、GMR(Giant Magnetoresistive)効果による抵抗
変化率が保持されて、スピンバルブ型薄膜素子の感度を
保持することができる。
【0011】また、軟磁性層に添加するCuは、良導電
元素であるから、軟磁性層の電気抵抗値が著しく上昇す
ることがなく、抵抗変化率の劣化がなく、また、Cuは
Niと全率固溶するので、フリー磁性層中において、ス
ピンが散乱されるような異種結晶相が析出されず、GM
R効果による抵抗変化率が低下することなく、感度が保
持される。
【0012】Cuは、NiFe合金に添加する量が少量
であっても、軟磁性層の飽和磁化を低下させる効果が現
れるので、軟磁性層の軟磁気特性や電気特性の変化が少
ない。Cuの添加量が、原子比率において、0.01に
満たないとき、飽和磁化を低下させる効果が不十分であ
り、0.53を越えると、室温においても軟磁性層の磁
性が消失する。
【0013】NiFe合金のNiとFeの割合は、Fe
が0.1原子%から0.3原子%の間において、NiF
e合金の軟磁気特性及び磁歪特性が最適となる。
【0014】本発明の薄膜磁気素子は、前記積層体が、
下部反強磁性層と、下部固定磁性層と、下部非磁性導電
層と、フリー磁性層と、上部非磁性導電層と、上部固定
磁性層と、上部反強磁性層が順次積層されており、前記
下部固定磁性層の前記フリー磁性層との界面における磁
化の向きと、前記上部固定磁性層の前記フリー磁性層と
の界面における磁化の向きが平行であり、前記フリー磁
性層は、前記軟磁性層が前記拡散防止層に挟まれた三層
構造である。このようなスピンバルブ型薄膜素子では、
下部非磁性導電層を中心とするセンス電流の経路と、上
部非磁性導電層を中心とするセンス電流経路があり、そ
れぞれのセンス電流経路において、GMR効果による抵
抗の変化が一致しているので、GMR効果による抵抗変
化率が倍増されて、高感度なスピンバルブ型薄膜素子と
することができる。
【0015】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、
前記反強磁性層が、元素XとMnを含有する合金からな
り、元素Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osの
うちいずれか1種または2種以上の元素である。このよ
うなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、反強磁性層と固
定磁性層の磁気的な結合(交換異方性磁界)が大きく、
且つ、耐食性に優れ、ブロッキング温度が高いので、外
部磁界や環境温度の上昇によっても、固定磁性層の磁化
方向が変動することがなく、信頼性の高いスピンバルブ
型薄膜磁気素子とすることができる。
【0016】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、
前記反強磁性層と固定磁性層の界面構造が、非整合状態
である。このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、
反強磁性層と固定磁性層の磁気的な結合(交換異方性磁
界)がさらに大きくなり、固定磁性層の磁化が変動する
ことなく、信頼性をさらに高めたスピンバルブ型薄膜磁
気素子とすることができる。
【0017】本発明のスピンバルブ型薄膜素子は、前記
反強磁性層が、X−Mn−X’合金からなり、Xは、P
t、Pd、Ir、Rh、Ru、Osのうちいずれか1種
または2種以上の元素であり、X’は、Ne、Ar、K
r、Xe、Be、B、C、Fe、Co、Ni、Cu、Z
n、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、I
r、Sn、Hf、Ta、W、Re、Au、Pb、及び希
土類のうち1種または2種以上の元素であり、X−Mn
空間格子の隙間に元素X’が侵入しているか、X−Mn
結晶格子の一部が元素X’に置換されている。このよう
なスピンバルブ型薄膜磁気素子では、反強磁性層と固定
磁性層の界面構造を、確実に非整合状態とすることがで
きる。
【0018】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、
前記固定磁性層が、強磁性材料からなる第1の固定磁性
層と、非磁性材料からなる非磁性層と、前記第1の固定
磁性層と同様な強磁性材料からなる第2の固定磁性層か
らなり、前記第1、第2の固定磁性層は、前記非磁性層
を挟んで、人工的なフェリ磁性状態を形成している。こ
のようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、固定磁性層
の磁化状態が安定して、固定磁性層の磁化が変動するこ
となく、より信頼性の高いスピンバルブ型薄膜磁気素子
とすることができる。
【0019】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、
前記第1、第2の固定磁性層が、Co、NiFe合金、
CoNi合金、CoFe合金、CoFeNi合金のいず
れかであり、前記非磁性層は、Ru、Rh、Ir、C
r、Re、Cuのいずれかである。このようなスピンバ
ルブ型薄膜磁気素子では、第1、第2の固定磁性層の磁
化状態がさらに安定化する。
【0020】本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記いずれか
に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子が、軟磁性材料か
らなるシールド層間に設けられている。このような薄膜
磁気ヘッドでは、シールド層間以外の磁界がシールド層
に吸収されて、スピンバルブ型薄膜磁気素子は、シール
ド層間に現れた磁界のみを検出する。スピンバルブ型薄
膜磁気素子は、磁界が微弱であっても、GMR効果によ
る抵抗変化(ΔR)が現れるので、ハード磁気ディスク
装置の高密度記録化に伴って、微弱になった記録媒体か
らの漏れ磁界にも対応可能な薄膜磁気ヘッドとすること
ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の薄膜磁気ヘッド
が形成されたスライダを示す説明図、図2は、本発明の
薄膜磁気ヘッドの一例の概略図、図3は、本発明の薄膜
磁気ヘッドの一例の断面図、図4は、本発明のスピンバ
ルブ型素子の第1の実施の形態の説明図、図5は、Ni
FeCu合金のCu濃度と飽和磁化の関係を示すグラ
フ、図6、図7は、GMR効果の説明図、図8は、本発
明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の抵抗変化率とフリー
磁性層の磁気モーメントの関係を示すグラフ、図9は、
本発明のスピンバルブ型素子の第2の実施の形態の説明
図、図10、11は、第2の実施の形態におけるGMR
効果の説明図である。
【0022】図4は、本発明の第1の実施の形態のスピ
ンバルブ型薄膜磁気素子を示し、このスピンバルブ型薄
膜磁気素子は、下地層22、反強磁性層11、固定磁性
層P、非磁性導電層15、フリー磁性層F、保護層19
が順次積層された積層体Cと、積層体Cの両側に、ハー
ドバイアス層21と、ハードバイアス層21上に形成さ
れた電極層20とを備えている。
【0023】反強磁性層11は、固定磁性層Pとの界面
に生じる交換異方性磁界により、固定磁性層Pの磁化の
向きを固定する役割を果たしており、X−Mn合金(た
だし、Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osのう
ち1種または2種以上の元素)からなり、膜厚は8〜2
0nm程度、元素Xの組成は、37〜63原子%、より
好ましくは44〜57原子%である。
【0024】このような反強磁性層11は、耐食性に優
れており、また、固定磁性層Pとの界面に生じる交換異
方性磁界が強いので、固定磁性層Pの磁化の向きをより
確実に固定することができる。さらに、ブロッキング温
度が高く、高温まで交換異方性磁界が消失することがな
い。
【0025】X−Mn合金のなかでも、Pn−Mn合金
は、特に耐食性に優れ、ブロッキング温度が380℃と
特に高く、交換異方性磁界が6.4×104(A/m)
を越える。反強磁性層11をPt−Mn合金としたとき
には、反強磁性層11と固定磁性層Pとの界面に熱拡散
層を形成する必要がある。
【0026】このような反強磁性層11と固定磁性層P
との界面の熱拡散層は、スピンバルブ型薄膜素子の製造
工程において、下地層22、反強磁性層11、固定磁性
層P、非磁性導電層15、フリー磁性層F、保護層19
をスパッタ成膜した後の、磁場中熱処理工程により形成
される。
【0027】なお、反強磁性層11は、X−Mn−X’
合金(ただし、X’は、Ne、Ar、Kr、Xe、B
e、B、C、N、Mg、Al、Si、P、Ti、V、C
r、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Z
r、Nb、Mo、Ag、Cd、Ir、Sn、Hf、T
a、W、Re、Au、Pd、及び希土類元素のうち1種
または2種以上の元素である)としてもよい。
【0028】X−Mn−X’合金は、元素X’が侵入し
た侵入型固溶体であり、あるいは、元素XとMnとで構
成される結晶格子の格子点の一部が、元素X’に置換さ
れた置換型固溶体であることが好ましい。これによっ
て、反強磁性層11の格子定数を大きくすることがで
き、反強磁性層11と固定磁性層Pとの界面において、
反強磁性層11と固定磁性層Pの原子配列が1対1に対
応しない原子配列(非整合状態)を形成することができ
る。
【0029】このように、反強磁性層11を、X−Mn
−X’として、反強磁性層11の大きな格子定数とする
手法等により、反強磁性層11と第1の固定磁性層14
との界面における原子配列を非整合状態とすれば、反強
磁性層11と固定磁性層Pの交換結合磁界を、さらに強
固なものとできる。
【0030】固定磁性層Pは、反強磁性層11と接触し
て形成された第1の固定磁性層12から順に、非磁性層
13、第2の固定磁性層14が積層された三層構造であ
る。
【0031】第1の固定磁性層12は、Co、NiFe
合金、CoNi合金、CoFe合金、CoFeNi合金
等の強磁性材料からなり、膜厚は、1〜5nmであるこ
とが好ましい。
【0032】非磁性層13は、Ru、Rh、Ir、C
r、Re、Cu等の非磁性導電材料からなり、膜厚が
0.7〜1.0nmであることが好ましい。
【0033】第2の固定磁性層14は、第1の固定磁性
層12と同じ強磁性材料からなる。第2の固定磁性層1
4の膜厚は、第1の固定磁性層12の膜厚よりも厚く、
3〜7nmであることが好ましい。第1の固定磁性層1
2の膜厚の第2の固定磁性層14の膜厚に対する比は、
0.33〜0.95、より好ましくは、0.53〜0.
95である。
【0034】第1の固定磁性層12は、反強磁性層11
との界面に生じる交換磁気異方性磁界により、磁化の向
きが固定されている。第2の固定磁性層14は、第1の
固定磁性層12と非磁性層13を介して磁気的に結合し
ており、第2の固定磁性層14の磁化の向きは、第1の
固定磁性層12の磁化の向きと反平行に固定されてい
る。このように、第1、第2の固定磁性層12、14
は、磁化の向きが互いに反平行であり、第2の固定磁性
層14の磁気モーメントが、第1の固定磁性層12より
も大きい人工的なフェリ磁性状態を形成している。図4
中に示すように、第1の固定磁性層12の磁化の向き
を、+z方向、第2の固定磁性層14の磁化の向きを、
−z方向とする。
【0035】固定磁性層Pの磁化の向きは、反強磁性層
11との強い交換異方性磁界により固定されており、外
部磁界や高い環境温度によっても変動することがない。
さらに、固定磁性層Pがフェリ磁性状態であるから、固
定磁性層Pの磁化状態は、熱的により安定して、磁化の
向きが変動することがない。
【0036】なお、第1、第2の固定磁性層12、14
がフェリ磁性状態を形成するとき、第2の固定磁性層1
4の膜厚は、第1の固定磁性層12の膜厚よりも薄くて
も良い。このとき、第1の固定磁性層12の膜厚は、3
〜7nmであることが好ましく、一方、第2の固定磁性
層14の膜厚は、第1の固定磁性層よりも薄く、1〜5
nmであることが好ましく、第1の固定磁性層12の膜
厚の第2の固定磁性層14の膜厚に対する比が1.05
〜3、より好ましくは、1.05〜1.8である。
【0037】このような固定磁性層Pの磁化状態は、反
強磁性層11と固定磁性層Pの界面に熱拡散層を形成す
る磁場中熱処理工程において、印加磁界の大きさ、方向
により決められる。
【0038】磁場中熱処理工程において、第1の固定磁
性層12は、印加磁界方向に磁化されて、磁化の向きが
反強磁性層11との交換異方性磁界により固定される。
このとき、第2の固定磁性層14は、非磁性層13を介
して第1の固定磁性層12と磁気的に結合して、第1の
固定磁性層12と反平行状態に磁化され、第2の固定磁
性層14の磁化の向きは、第1の固定磁性層12の磁化
の向きと反平行に固定される。
【0039】このように、固定磁性層Pをフェリ磁性状
態に形成すると、固定磁性層Pの磁化状態を、熱的によ
り安定させることができるが、固定磁性層Pは、三層構
造でなくても、Co、NiFe合金、CoNi合金、C
oFe合金、CoFeNi合金等からなる一層のみとし
ても良い。
【0040】非磁性導電層15は、Cu等の良導電材料
からなり、固定磁性層Pとフリー磁性層Fの間に挟まれ
て、固定磁性層Pとフリー磁性層Fを磁気的に分離する
役割と、センス電流の主な経路としての役割を果たして
おり、膜厚は、1.5〜4nmに形成されている。
【0041】フリー磁性層Fは、非磁性導電層15上に
拡散防止層17、軟磁性層18が順次積層された二層構
造であり、3〜8nmの膜厚に形成されている。
【0042】軟磁性層18は、NiFe合金にCuが添
加されてなり、組成は(Ni1-xFex1-yCuyと表さ
れ、x、yは、原子比率で、0.1≦x≦0.3、0.
01≦y≦0.3である。
【0043】NiFe合金の組成は、Feの原子比率を
0.1乃至0.3としたときに軟磁気特性が優れてお
り、磁歪も小さい。
【0044】軟磁性層18に添加されたCuは、析出さ
れることなく、NiFe合金のNiと全率固溶体を形成
して、軟磁性層18中に均一に固溶している。よって、
軟磁性層18の組成は均一であり、電子が散乱されるよ
うな異種材料界面が存在しない。
【0045】軟磁性層18に添加されたCuは、軟磁性
層18の飽和磁化を低下させる役割を果たしている。図
5のグラフは、NiFeCu合金のNiとFeの原子比
率を一定としてNi:Fe=82:18であるとき、N
iFeCu合金のCu濃度と飽和磁化の関係を示す。C
uを添加しないNiFe合金では、飽和磁化が1.0T
程度であるのに対し、Cuを添加したNiFe合金で
は、Cu濃度を原子比率で0.2としたとき、飽和磁化
が0.7T程度まで低下する。
【0046】NiFe合金のCu添加による飽和磁化の
低下は、Cu濃度の原子比率が0.01程度で明確にな
り、Cu濃度の増大と共に飽和磁化は低下して、Cu濃
度が原子比率で0.53を越えると、常温(約20℃)
においても磁性が消失する。添加物の量が少ないと、N
iFe合金の電気特性や軟磁気特性等を劣化させるおそ
れがない。
【0047】このように、少量のCuを添加しても、飽
和磁化の明かな低下がみられるのは、Cuの添加によ
り、NiFe合金の電子状態が変化したものと考えられ
る。
【0048】拡散防止層17は、CoやCoFe合金か
らなり、軟磁性層18のNi原子が非磁性導電層15に
相互拡散することを防いでおり、0.5nm以上の膜厚
が必要である。
【0049】フリー磁性層Fの磁化は外部磁界により回
転する。フリー磁性層Fの磁化の回転は、軟磁性層18
が主導的であり、拡散防止層17の磁化は、軟磁性層1
8の磁化に追従して回転し、拡散防止層17の磁化の向
きと軟磁性層18の磁化の向きは一致する。拡散防止層
17は、Coの保磁力が大きく、厚くしすぎるとフリー
磁性層Fの磁化回転を阻害することになるので、1nm
程度とする。
【0050】フリー磁性層Fの磁化の向きは、磁気モー
メントが小さいほど、より微弱な外部磁界に対しても回
転しやすくなる。フリー磁性層Fの磁気モーメントは、
フリー磁性層Fの飽和磁化(Ms)と膜厚(t)の積で
表される。
【0051】フリー磁性層Fの飽和磁化は、軟磁性層1
8の飽和磁化がCuの添加により低下しているので、低
下している。よって、フリー磁性層Fの磁気モーメント
は、フリー磁性層の飽和磁化(Ms)の低下により減少
している。
【0052】このとき、フリー磁性層Fの磁気モーメン
ト(Ms・t)は、フリー磁性層Fの膜厚(t)を4n
m、軟磁性層18へのCu添加量を原子比率で0.3と
したとき、3.6T・nmとなる。
【0053】このように、フリー磁性層Fの磁気モーメ
ント(Ms・t)の低下が、フリー磁性層Fの膜厚
(t)を薄くすることなく成されているので、フリー磁
性層Fの結晶性の劣化がなく、磁気異方性分散は抑制さ
れている。また、フリー磁性層Fの軟磁気特性の劣化が
なく、フリー磁性層Fの保磁力が上昇することがない。
【0054】フリー磁性層の上には、Ta、Cr等から
なる保護層19が形成されている。下地層22、反強磁
性層11、固定磁性層P、非磁性導電層15、フリー磁
性層F、保護層19が順次積層された積層体Cの両側に
は、ハードバイアス層21が積層体Cと接触して形成さ
れており、ハードバイアス層21は、高保磁力である永
久磁石材料、例えば、Co−Pt合金、Co−Cr−P
t合金、Co−Cr−Ta合金等より成る。
【0055】ハードバイアス層21は、フリー磁性層F
に固定磁性層Pの磁化方向(z方向)と垂直な方向(図
4に示すx方向)にバイアス磁界を印加する役割を果た
している。フリー磁性層Fは、磁気異方性分散が抑制さ
れているので、外部磁界がないとき、x方向に印加され
たバイアス磁界によって、x方向に揃えられている。ハ
ードバイアス層21は、フリー磁性層Fの両側に設けら
れているので、フリー磁性層Fにバイアス磁界を効率良
く印加することができる。
【0056】電極層20は、Cr、Au、Ta、W、R
h、Irから選ばれる1種またはそれ以上からなる単層
膜、もしくは多層膜に形成されており、積層体Cの両側
で、ハードバイアス層21上に形成されている。
【0057】積層体Cには、両側の電極層20から、固
定磁性層Pの磁化方向と直交する方向(x方向)に、セ
ンス電流が印加される。
【0058】このようなセンス電流によりセンス電流磁
界が誘導されるが、センス電流磁界の向きが、固定磁性
層Pの位置において、第1の固定磁性層12の磁気モー
メントの向き(図4に示す+z方向)と一致するよう
に、センス電流の印加方向を定めると、固定磁性層Pの
磁化状態が、熱的にさらに安定化する。
【0059】また、センス電流は、積層体Cのうち最も
電気抵抗の低い非磁性導電層15を中心として、主に、
固定磁性層Pのうち第2の固定磁性層14、及びフリー
磁性層Fを流れ、電気抵抗の高い反強磁性層11への分
流比率は比較的低い。また、固定磁性層Pにおいて、第
1の固定磁性層12、非磁性層13は、一般的に、第2
の固定磁性層14より薄いので、これらへのセンス電流
の分流比率は低い。また、フリー磁性層Fにおいて、拡
散防止層17の比抵抗は、軟磁性層18の比抵抗より低
いので、拡散防止層17には、軟磁性層18よりも多く
のセンス電流が流れる。
【0060】次に、第1の実施の形態のスピンバルブ型
薄膜磁気素子が、外部磁界を検出するときについて説明
する。
【0061】外部磁界が印加されると、フリー磁性層F
の磁化の向きは、外部磁化の向きと平行に近づくように
回転する。このとき、フリー磁性層Fは、軟磁性層18
の飽和磁化が、Cuの添加により低下しているので、フ
リー磁性層F全体の飽和磁化(Ms)も低下している。
よって、フリー磁性層Fの飽和磁化(Ms)と膜厚
(t)の積である磁気モーメント(Ms・t)が小さ
く、外部磁界が微弱であっても、フリー磁性層Fの磁化
の向きは、外部磁界の向きと平行に近づくように回転す
る。
【0062】このとき、フリー磁性層Fは、磁化の向き
がバイアス磁界により揃えられており、磁化の向きが回
転するときに、磁区の乱れを伴わないので、バルクハウ
ゼンノイズを生じることがない。
【0063】また、フリー磁性層Fの軟磁性層18は、
NiFe合金へのCu添加量が少量であるから、NiF
e合金の優れた軟磁気特性が保持されて、低保磁力であ
るから、フリー磁性層Fの磁化は、外部磁界の変化に対
応して、速やかに回転することができる。
【0064】フリー磁性層Fの磁化が回転すると、GM
R(Giant Magnetoresistive)効果によって、積層体C
を挟む電極層22間の電気抵抗値(R)が変化する。こ
のような電極層20間の抵抗変化率(ΔR/R)から、
外部磁界の変化を検出することができる。以下、GMR
効果について説明する。
【0065】GMR効果は、センス電流の伝導電子が、
非磁性導電層15とフリー磁性層Fの界面において、ス
ピンの向きによって散乱される確率が異なるスピン依存
性散乱によるものである。
【0066】図6に示すように、フリー磁性層Fの磁化
と、第2の固定磁性層14の磁化(以下、固定磁化)の
向きが平行である場合において、センス電流の伝導電子
が、非磁性導電層15側からフリー磁性層Fとの界面に
入射したとき、downスピンでは散乱される確率が高く、
upスピンでは散乱される確率が低くなる。(スピン依存
性散乱)
【0067】即ち、センス電流の伝導電子は、upスピン
に関して、非磁性導電層15とフリー磁性層Fの界面で
散乱されることなくフリー磁性層Fに入射する確率が高
い。
【0068】フリー磁性層Fの軟磁性層18にはCuが
添加されているが、Cuは良導電元素であり、且つCu
の添加量は少量であるから、フリー磁性層Fの電気抵抗
は、軟磁性層18へのCuの添加により著しく増大する
ことがない。また、軟磁性層18に添加されたCuは、
NiFe合金のNiと全率固溶体を形成するので、フリ
ー磁性層F中に異種結晶相が析出されることがない。よ
って、フリー磁性層Fでは、伝導電子が散乱されるよう
な電気抵抗の増加や異種結晶相がない。
【0069】フリー磁性層Fの膜厚が厚すぎると、フリ
ー磁性層F中においてupスピンが散乱される確率が増大
するので、フリー磁性層Fの膜厚は5nm以下である。
このようなフリー磁性層Fでは、フリー磁性層Fに入射
したupスピンが、フリー磁性層F中で散乱されることな
くフリー磁性層Fを通り抜けて、フリー層Fと保護層1
9の界面まで至る。
【0070】一方、図7に示すように、フリー磁性層F
の磁化と、固定磁化の向きが反平行である場合におい
て、センス電流の伝導電子は、非磁性導電層15側から
フリー磁性層Fとの界面に入射したとき、downスピン、
upスピンともに、散乱される確率が高く、フリー磁性層
Fに入射することができない。
【0071】このように、センス電流の伝導電子は、フ
リー磁性層Fの磁化と固定磁化の向きが平行であると
き、upスピンがフリー磁性層Fを通り抜けて、フリー磁
性層Fと保護層19の界面に至るので、平均自由行程が
長く、一方、フリー磁性層Fの磁化と固定磁化の向きが
反平行であるとき、upスピンもdownスピンも非磁性導電
層15とフリー磁性層Fの界面を通り抜けることが出来
ないので、平均自由行程が短い。
【0072】よって、フリー磁性層Fの磁化と固定磁化
の向きが平行であるとき、upスピン電子の平均自由行
程が長いので、電極層20間の電気抵抗(R)は低くな
り、一方、フリー磁性層Fの磁化と固定磁化の向きが反
平行であるとき、upスピン、downスピン電子両方の平
均自由行程が短いので、電極層20間の電気抵抗(R)
は高くなる。(GMR効果)
【0073】このようなGMR効果による電極層20間
の抵抗変化(ΔR)から、外部磁界の変化を検出するこ
とができる。このとき、GMR効果による抵抗変化率
(ΔR/R)が大きいほど、検出感度は向上する。
【0074】GMR効果による抵抗変化(ΔR)は、セ
ンス電流伝導電子の平均自由行程差、即ち、フリー磁性
層Fの磁化と固定磁化の向きが平行であるとき、upスピ
ンが非磁性導電層15とフリー磁性層Fの界面を通過し
て、フリー磁性層15と保護層19との界面に至るまで
の長さにより決まる。したがって、抵抗変化(ΔR)
は、フリー磁性層Fの膜厚(t)が、ある膜厚よりも薄
くなると低下する。
【0075】フリー磁性層Fは、軟磁性層18へのCu
の添加により飽和磁化(Ms)が低下して、飽和磁化
(Ms)の低下に伴い、磁気モーメント(Ms・t)が
低下している。よって、フリー磁性層Fは、膜厚(t)
を、高い抵抗変化(ΔR)が保持できる適切な範囲(3
〜5nm)に保持した状態で、より微弱な外部磁界に対
しても磁化の向きが回転するようになっている。
【0076】また、GMR効果による抵抗変化率(ΔR
/R)が明確に現れるためには、GMR効果による抵抗
変化(ΔR)に対して、電極層20間の抵抗(R)が大
きすぎないことが必要である。フリー磁性層Fの軟磁性
層18にはCuが添加されているが、Cuは良導電元素
であるから、軟磁性層18の電気抵抗が、Cuの添加に
より著しく上昇することがなく、電極層20間の抵抗
(R)は低く保持されている。また、フリー磁性層Fに
おいて、軟磁性層18よりも非磁性導電層15に接触す
る拡散防止層17側により多くのセンス電流が流れるの
で、軟磁性層18の電気抵抗値は、電極層22間の抵抗
(R)への影響が大きくない。
【0077】図8のグラフに模式的に示すように、フリ
ー磁性層Fの膜厚(t)が5nm以下の範囲であると
き、フリー磁性層Fの磁気モーメント(Ms・t)の上
昇と共に、抵抗変化率(ΔR/R)が上昇する。一方、
フリー磁性層Fの膜厚(t)が5nmを越えると、フリ
ー磁性層F内でupスピン電子が散乱すると共に、GMR
効果に寄与しないセンス電流成分が増加するので、フリ
ー磁性層Fの磁気モーメント(Ms・t)の上昇と共
に、抵抗変化率(ΔR/R)が低下する。フリー磁性層
Fの膜厚(t)が、3〜5nmの範囲であれば、抵抗変
化率(ΔR/R)は、フリー磁性層Fの膜厚(t)の増
加に伴って上昇するので、フリー磁性層Fの飽和磁化
(Ms)が低いとき、フリー磁性層Fの飽和磁化(M
s)が高い場合と比べて、フリー磁性層Fの膜厚(t)
が等しく、抵抗変化率(ΔR/R)が同等であっても、
より低い磁気モーメント(Ms・t)を得ることができ
る。
【0078】次に、本発明の第2の実施の形態を説明す
る。図9に示すように、第2の実施の形態のスピンバル
ブ型薄膜磁気素子は、下地層32、下部反強磁性層3
1、下部固定磁性層P1、下部非磁性導電層25、フリ
ー磁性層F1、上部非磁性導電層35、上部固定磁性層
P2、上部反強磁性層41、保護層29が、順次積層さ
れた積層体C1と、積層体C1の両側に、ハードバイア
ス層42と、ハードバイアス層42上に形成された電極
層43を有するデュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子で
ある。
【0079】下部反強磁性層31の材料、膜厚は、第1
の実施の形態の反強磁性層11と同様である。
【0080】下部固定磁性層P1は、第1の反強磁性層
31と接触して形成された第1の固定磁性層22から、
非磁性層23、第2の固定磁性層24が、順次積層され
た三層構造であり、第1の固定磁性層22、非磁性導電
層23、第2の固定磁性層24の材料、膜厚は、第1の
実施の形態の固定磁性層Pと同様である。
【0081】また、下部固定磁性層P1は、第1の実施
の形態の固定磁性層Pと同様、人工的なフェリ磁性状態
を形成しており、第1の固定磁性層22の磁化の向きと
第2の固定磁性層24の磁化の向きは互いに反平行であ
り、第1の固定磁性層22の磁気モーメントが第2の固
定磁性層24の磁気モーメントよりも小さくなってい
る。このとき、図9中に示すように、第1の固定磁性層
22の磁化の向きを、+z方向、第2の固定磁性層24
の磁化の向きを、−z方向とする。
【0082】下部非磁性導電層25は、第1の実施の形
態の非磁性導電層15と、同様な材料、膜厚である。
【0083】フリー磁性層F1は、軟磁性層28と、軟
磁性層28を挟んで対向する一対の拡散防止層27とか
ら構成される三層構造であり、膜厚は3〜5nmであ
る。軟磁性層28は、第1の実施の形態と同様に、Cu
を添加したNiFe合金からなり、Cuの添加により飽
和磁化が低下している。拡散防止層27は、第1の実施
の形態と同様な材料、膜厚に形成されている。
【0084】上部非磁性導電層35は、下部非磁性導電
層25と同様な材料、膜厚に形成されている。
【0085】上部固定磁性層P2は、上部反強磁性層4
1と接触して形成された第1の固定磁性層32側から、
非磁性層33、第2の固定磁性層34を順次有する三層
構造であり、第2の固定磁性層34が、非磁性導電層2
5を挟んでフリー磁性層F1と対向している。
【0086】上部固定磁性層P2は、第1、第2の固定
磁性層32、34の材料が、下部固定磁性層P1の第
1、第2の固定磁性層22、24の材料と同様であり、
非磁性層33の材料、膜厚が、下部固定磁性層P1の非
磁性層と同様である。また、第1の固定磁性層32の膜
厚は、下部固定磁性層P1の第1の固定磁性層22の膜
厚と等しく、第2の固定磁性層34の膜厚は、下部固定
磁性層P1の第2の固定磁性24の膜厚と等しくなって
おり、第2の固定磁性層34の膜厚は、第1の固定磁性
層32の膜厚よりも厚い。
【0087】上部固定磁性層P2は、人工的なフェリ磁
性状態を形成しており、第1の固定磁性層32の磁化の
向きと第2の固定磁性層34の磁化の向きは互いに反平
行であり、第1の固定磁性層32の磁気モーメントは、
第2の固定磁性層34の磁気モーメントよりも小さい。
【0088】このとき、上部固定磁性層P2の第1の固
定磁性層32は、磁化の向きが、下部固定磁性層P1の
第1の固定磁性層22の磁化の向きと平行で、+z方向
であると共に、上部固定磁性層P2の第2の固定磁性層
34は、磁化の向きが、下部固定磁性層P1の第2の固
定磁性層24の磁化の向きと平行で、−z方向であり、
下部固定磁性層P1のフリー磁性層Fとの界面における
磁化の向きと、上部固定磁性層P2のフリー磁性層Fと
の界面における磁化の向きは、平行になっている。
【0089】また、下部固定磁性層P1の合成磁気モー
メントと、上部固定磁性層P2の合成磁気モーメント
は、平行になっている。
【0090】なお、下部、上部固定磁性層P1、P2
が、共に人工的なフェリ磁性状態を形成しているとき、
下部固定磁性層P1において、第1の固定磁性層22が
第2の固定磁性層24よりも厚く、上部固定磁性層P2
において、第2の固定磁性層34が第1の固定磁性層3
2よりも薄くても良い。
【0091】但し、いずれの場合においても、下部固定
磁性層P1の第2の固定磁性層24の磁化の向きと、上
部固定磁性層P2の第2の固定磁性層34の磁化の向き
が平行となることが必要である。
【0092】上部固定磁性層41の材料、膜厚は、下部
反強磁性層31と同様であり、ハードバイアス層42、
電極層43の材料は、それぞれ、第1の実施の形態のハ
ードバイアス層21、電極層20の材料と同様である。
【0093】積層体C1には、両側の電極層43から、
固定磁性層P1の磁化方向と直交する方向(図9に示す
x方向)に、センス電流が印加される。
【0094】このようなセンス電流によりセンス電流磁
界が誘導されるが、センス電流磁界の向きが、下部固定
磁性層P1の位置において、下部固定磁性層P1の第1
の固定磁性層22の磁気モーメントの向き(図9に示す
+z方向)と一致すると共に、上部固定磁性層P2の位
置において、上部固定磁性層P2の第2の固定磁性層3
4の磁気モーメントの向き(図9に示す−z方向)と一
致するように、センス電流の印加方向を定めると、下
部、上部固定磁性層P1、P2の磁化状態が、熱的にさ
らに安定化する。
【0095】また、図10、11に示すように、センス
電流は、下部非磁性導電層25を中心として、主に、下
部固定磁性層P1のうち第2の固定磁性層24、及びフ
リー磁性層F1を流れる第1の経路S1と、上部非磁性
導電層35を中心として、主に、上部固定磁性層P2の
うち第2の固定磁性層34、及びフリー磁性層F1を流
れる第2の経路S2を有する。
【0096】次に、第2の実施の形態のスピンバルブ型
薄膜磁気素子が、外部磁界を検出するときについて説明
する。
【0097】外部磁界が印加されると、フリー磁性層F
1の磁化の向きは、第1の実施の形態と同様に、外部磁
化の向きと平行に近くなるように回転する。
【0098】フリー磁性層Fの磁化が回転すると、GM
R効果によって、積層体Cを挟む電極層22間の電気抵
抗値(R)が変化する。このような電極層22間の抵抗
変化率(ΔR/R)から、外部磁界の変化を検出するこ
とができる。以下、GMR効果について、デュアルスピ
ンバルブ型の特徴を説明する。
【0099】図10に示すように、フリー磁性層F1の
磁化の向きが、下部固定磁性層P1の第2の固定磁性層
24の磁化(以下、第1の固定磁化)の向きと平行であ
る場合、第1の電流経路S1において、センス電流の伝
導電子は、スピン依存性散乱により、upスピンに関し
て、非磁性導電層25とフリー磁性層F1の界面で散乱
されることなくフリー磁性層F1に入射する確率が高
い。
【0100】また、このとき、フリー磁性層F1の磁化
の向きが、第1の固定磁化の向きと平行であるとき、フ
リー磁性層F1の磁化の向きは、上部固定磁性層P2の
第2の固定磁性層34の磁化(以下、第2の固定磁化)
の向きとも平行であるから、第2の電流経路S2におい
ても、センス電流の伝導電子は、スピン依存性散乱によ
り、upスピンが非磁性導電層25とフリー磁性層F1の
界面で散乱されることなく、フリー磁性層F1に入射す
る確率が高い。
【0101】一方、図11に示すように、フリー磁性層
F1の磁化の向きが第1の固定磁化の向きと反平行であ
る場合、第1の電流経路において、センス電流の伝導電
子は、スピン依存性散乱により、upスピン、downスピン
ともに、非磁性導電層25とフリー磁性層F1の界面で
散乱されて、フリー磁性層F1に入射することができな
い。
【0102】また、このとき、フリー磁性層F1の磁化
の向きが第2の固定磁化の向きとも反平行であるから、
第2の電流経路においても、センス電流の伝導電子は、
スピン依存性散乱により、upスピン、downスピンとも
に、非磁性導電層25とフリー磁性層F1の界面で散乱
されて、フリー磁性層F1に入射することができない。
【0103】このように、フリー磁性層F1の磁化の向
きが、第1、第2の固定磁化の向きと平行であるとき、
第1の電流経路S1と第2の電流経路S2では、共にup
スピン電子の平均自由行程が長い。
【0104】一方、フリー磁性層F1の磁化の向きが、
第1、第2の固定磁化の向きと反平行であるとき、第1
の電流経路S1と第2の電流経路S2では、共にupスピ
ン、downスピン電子両方の平均自由行程が短い。
【0105】よって、フリー磁性層F1の磁化の向き
が、第1、第2の固定磁化の向きと平行であるとき、up
スピン電子の平均自由行程が長く、電極層43間の電気
抵抗(R)は低くなる。一方、フリー磁性層F1の磁化
の向きが、第1、第2の固定磁化の向きと反平行である
とき、センス電流伝導電子の平均自由行程が短く、電極
層43間の電気抵抗(R)は高くなる。(GMR効果)
【0106】GMR効果による電極層43間の抵抗変化
(ΔR)から、記録媒体からの漏れ磁界の向きを検知し
て、記録データの再生を行うことができる。このとき、
GMR効果による抵抗変化率(ΔR/R)が大きいほ
ど、感度の高い再生特性を得ることができる。
【0107】このようなデュアルスピンバルブ型では、
第1の電流経路S1と第2の電流経路S2において、G
MR効果による抵抗の変化が一致しているので、GMR
効果による抵抗変化(ΔR)が倍増されて、高感度なス
ピンバルブ型薄膜素子とすることができる。
【0108】このとき、下部固定磁性層P1の第2の固
定磁性層24と、上部固定磁性層P2の第2の固定磁性
層34の磁化の向きが反平行であると、GMR効果によ
る抵抗変化(ΔR)が低下するので、好ましくない。
【0109】次に、このような本発明のスピンバルブ型
薄膜素子を用いた薄膜磁気ヘッドを説明する。本発明の
薄膜磁気ヘッドは、図1のように、セラミックスからな
る矩形状のスライダ61のヘッド形成面61a上に形成
されている。スライダ61は、ヘッド形成面61aと略
垂直な磁気ディスク対向面61bを有している。
【0110】本発明の薄膜磁気ヘッドは、複合磁気ヘッ
ドである場合、図2、3に示すように、スライダ61の
ヘッド形成面61a上に、再生部h1と記録部h2とが
積層して形成されている。再生部h1において、本発明
のスピンバルブ型薄膜磁気素子1は、パーマロイ等の軟
磁性材料からなる上部、下部シールド層2、3間に、絶
縁層4を介して挟持されている。
【0111】再生部h1上に積層された記録部h2は、
上部シールド層2と兼用される下部コア層と、上部シー
ルド層2上に形成された無機絶縁材料からなる磁気ギャ
ップ層8と、磁気ギャップ層8上に無機絶縁層5を介し
て形成され、スパイラル状であるコイル層9と、コイル
層9を覆う有機絶縁層7と、有機絶縁層7上からコイル
層9を覆うパーマロイ等の軟磁性材料からなる上部コア
層10とを有し、上部コア層10は、スライダ61の磁
気ディスク対向面61b側において、磁気ギャップ層8
表面に接触して形成され、上部シールド層2と、磁気ギ
ャップ層8を挟持している。また、上部コア層10は、
コイル層9の巻き中心部近傍において、上部シールド層
2と接続されている。
【0112】なお、上記薄膜磁気ヘッドでは、再生部h
1と記録部h2を備えた複合型ヘッドを説明したが、記
録部h2を形成せず、再生部h1のみの再生専用ヘッド
でも良い。
【0113】次に、このような薄膜磁気ヘッドがハード
磁気ディスク装置に搭載されて、記録磁界の検出を行う
場合を説明する。ハード磁気ディスク装置には、記録磁
化パターンが付与された記録媒体である磁気ディスク
(図示せず)が内蔵されており、スライダ61は、磁気
ディスクの記録磁化パターンが付与された面に、磁気デ
ィスク対向面61bが対向するように取り付けられてい
る。
【0114】再生ヘッド部h1には、磁気ディスクから
の漏れ磁界が、磁気ディスク対向面61bと直交する方
向(図3に示すハイト方向)に印加される。
【0115】このとき、上部シールド層3と下部シール
ド層2間以外の漏れ磁界は、下部、上部シールド層2、
3に吸収されて、スピンバルブ型薄膜磁気素子1に検出
されることがなく、スピンバルブ型薄膜磁気素子1は、
上部シールド層3と下部シールド層2間の漏れ磁界のみ
を検出することができる。
【0116】磁気ディスクから漏れる磁界の向きは、ス
ピンバルブ型薄膜磁気素子1が、図4に示す本発明の第
1の実施の形態である場合、固定磁性層Pの第2の固定
磁性層14の磁化の向き(図4に示す−z方向)と、平
行、或いは反平行になっている。また、スピンバルブ型
薄膜磁気素子1が、図9に示す本発明の第2の実施の形
態である場合、記録磁界の向きは、下部固定磁性層P1
の第2の固定磁性層14と上部固定磁性層P2の第2の
固定磁性層24の磁化の向き(図9に示す−z方向)
と、平行、或いは反平行になっている。
【0117】磁気ディスクが回転すると、上部シールド
層3と下部シールド層2間に現れる磁気ディスクの漏れ
磁界は変化して、漏れ磁界の変化は、スピンバルブ型薄
膜磁気素子1のGMR効果による抵抗変化(ΔR)とし
て検出される。
【0118】スピンバルブ型薄膜磁気素子1は、記録磁
界が微弱であっても、GMR効果による抵抗変化(Δ
R)が現れるので、ハード磁気ディスク装置の高密度記
録化に伴って、微弱になった記録磁界にも対応可能な薄
膜磁気ヘッドとすることができる。
【0119】また、ハード磁気ディスク装置の高密度記
録化に伴って、検出感度を上げるために、センス電流が
増大する傾向があるが、スピンバルブ型薄膜磁気素子1
は、固定磁性層P、P1、P2の磁化状態は、センス電
流の発熱によって変動することがなく、信頼性の高い薄
膜磁気ヘッドとすることができる。
【0120】
【発明の効果】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子
は、反強磁性層と、該反強磁性層に接触して積層された
固定磁性層と、該固定磁性層と非磁性導電層を介して対
向するフリー磁性層とを有する積層体と、該積層体の両
側に設けられた一対の電極層とを有し、固定磁性層は、
磁化の向きが揃えられて前記反強磁性層との磁気的結合
により固定されていると共に、前記固定磁性層と前記フ
リー磁性層とは前記非磁性導電層により磁気的に分離さ
れており、前記フリー磁性層は、Cuが添加されたNi
Fe合金からなる軟磁性層と、該軟磁性層と前記非磁性
導電層との間に介在するCo、或いはCo−Fe合金か
らなる拡散防止層とからなり、前記軟磁性層は、組成式
を(Ni1-xFex1-yCuyとして表すとき、x、yを
原子比率として、0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦
0.53であり、前記積層体には前記電極層から前記固
定磁性層の磁化方向と交叉するセンス電流が印加され
て、前記フリー磁性層の磁化の向きが、外部磁界の向き
に回転することにより、前記電極層間の電気抵抗が変化
する。このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子は、フリ
ー磁性層の軟磁性層にCuが添加されることにより、軟
磁性層の飽和磁化が低下して、フリー磁性層の磁気モー
メントが低下するので、フリー磁性層の磁化の向きは、
より微弱な外部磁界に対しても、外部磁界の向きと平行
に近くなるように回転して、より微弱な外部磁界を検出
可能なスピンバルブ型薄膜素子とすることができる。
【0121】このとき、フリー磁性層の膜厚を薄くする
ことなく、フリー磁性層の磁気モーメントが低下するの
で、スピンバルブ型薄膜素子は、より微弱な外部磁界が
検出可能であると共に、フリー磁性層の軟磁気特性、結
晶性の劣化がなく、フリー磁性層の保磁力、磁気異方性
分散が低く抑えられて、信頼性の高いスピンバルブ型薄
膜磁気素子とすることができる。また、フリー磁性層の
膜厚を保持することにより、GMR効果による抵抗変化
率が保持されて、スピンバルブ型薄膜素子の感度を保持
することができる。
【0122】本発明の薄膜磁気ヘッドは、前記いずれか
に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子が、軟磁性材料か
らなるシールド層間に設けられている。このような薄膜
磁気ヘッドでは、シールド層間以外の磁界がシールド層
に吸収されて、スピンバルブ型薄膜磁気素子は、シール
ド層間に現れた磁界のみを検出する。スピンバルブ型薄
膜磁気素子は、磁界が微弱であっても、GMR効果によ
る抵抗変化(ΔR)が現れるので、ハード磁気ディスク
装置の高密度記録化に伴って、微弱になった記録媒体か
らの漏れ磁界にも対応可能な薄膜磁気ヘッドとすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜磁気ヘッドが形成されたスライダ
を示す説明図。
【図2】本発明の薄膜磁気ヘッドの一例の概略図。
【図3】本発明の薄膜磁気ヘッドの一例の断面図。
【図4】本発明のスピンバルブ型素子の第1の実施の形
態の説明図。
【図5】NiFeCu合金のCu濃度と飽和磁化の関係
を示すグラフ。
【図6】GMR効果の説明図。
【図7】GMR効果の説明図。
【図8】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の抵抗変
化率とフリー磁性層の磁気モーメントの関係を示すグラ
フ。
【図9】本発明のスピンバルブ型素子の第2の実施の形
態の説明図。
【図10】第2の実施の形態におけるGMR効果の説明
図。
【図11】第2の実施の形態におけるGMR効果の説明
図。
【図12】従来のスピンバルブ型素子の説明図。
【符号の説明】
P 固定磁性層 P1 下部固定磁性層 P2 上部固定磁性層 F、F1 フリー磁性層 1 スピンバルブ型薄膜磁気素子 2 上部シールド層 3 下部シールド層 11 反強磁性層 12、22、32 第1の固定磁性層 13、23、33 非磁性層 14、24、34 第2の固定磁性層 15、25 非磁性導電層 17 拡散防止層 18 軟磁性層 31 下部反強磁性層 41 上部反強磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/32 G01R 33/06 R

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反強磁性層と、該反強磁性層に接触して積
    層された固定磁性層と、該固定磁性層と非磁性導電層を
    介して対向するフリー磁性層とを有する積層体と、該積
    層体の両側に設けられた一対の電極層とを有し、固定磁
    性層は、磁化の向きが揃えられて前記反強磁性層との磁
    気的結合により固定されていると共に、前記固定磁性層
    と前記フリー磁性層とは前記非磁性導電層により磁気的
    に分離されており、前記フリー磁性層は、Cuが添加さ
    れたNiFe合金からなる軟磁性層と、該軟磁性層と前
    記非磁性導電層との間に介在するCo、或いはCo−F
    e合金からなる拡散防止層とからなり、前記軟磁性層
    は、組成式を(Ni1-xFex1-yCuyとして表すと
    き、x、yを原子比率として、0.1≦x≦0.3、
    0.01≦y≦0.53であり、前記積層体には前記電
    極層から前記固定磁性層の磁化方向と交叉するセンス電
    流が印加されて、前記フリー磁性層の磁化の向きが、外
    部磁界の向きに回転することにより、前記電極層間の電
    気抵抗が変化することを特徴とするスピンバルブ型薄膜
    磁気素子。
  2. 【請求項2】前記積層体は、下部反強磁性層と、下部固
    定磁性層と、下部非磁性導電層と、フリー磁性層と、上
    部非磁性導電層と、上部固定磁性層と、上部反強磁性層
    が順次積層されており、前記下部固定磁性層の前記フリ
    ー磁性層との界面における磁化の向きと、前記上部固定
    磁性層の前記フリー磁性層との界面における磁化の向き
    が平行であり、前記フリー磁性層は、前記軟磁性層が前
    記拡散防止層に挟まれた三層構造であることを特徴とす
    る請求項1記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  3. 【請求項3】前記反強磁性層は、元素XとMnを含有す
    る合金からなり、元素Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、
    Ru、Osのうちいずれか1種または2種以上の元素で
    あることを特徴とする請求項1または2記載のスピンバ
    ルブ型薄膜磁気素子。
  4. 【請求項4】前記反強磁性層と固定磁性層の界面構造
    は、非整合状態であることを特徴とする請求項3記載の
    スピンバルブ型薄膜磁気素子。
  5. 【請求項5】前記反強磁性層は、X−Mn−X’合金か
    らなり、Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osの
    うちいずれか1種または2種以上の元素であり、X’
    は、Ne、Ar、Kr、Xe、Be、B、C、Fe、C
    o、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、M
    o、Ag、Cd、Ir、Sn、Hf、Ta、W、Re、
    Au、Pb、及び希土類のうち1種または2種以上の元
    素であり、X−Mn空間格子の隙間に元素X’が侵入し
    ているか、X−Mn結晶格子の一部が元素X’に置換さ
    れていることを特徴とする請求項4記載のスピンバルブ
    型薄膜磁気素子。
  6. 【請求項6】前記固定磁性層は、強磁性材料からなる第
    1の固定磁性層と、非磁性材料からなる非磁性層と、前
    記第1の固定磁性層と同様な強磁性材料からなる第2の
    固定磁性層からなり、前記第1、第2の固定磁性層は、
    前記非磁性層を挟んで、人工的なフェリ磁性状態を形成
    していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに
    記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  7. 【請求項7】前記第1、第2の固定磁性層は、Co、N
    iFe合金、CoNi合金、CoFe合金、CoFeN
    i合金のいずれかであり、前記非磁性層は、Ru、R
    h、Ir、Cr、Re、Cuのいずれかであることを特
    徴とする請求項6記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  8. 【請求項8】前記請求項1乃至7のいずれかに記載のス
    ピンバルブ型磁気素子が、軟磁性材料からなる一対のシ
    ールド層間に設けられていることを特徴とする薄膜磁気
    ヘッド。
JP2001060753A 2001-03-05 2001-03-05 スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド Withdrawn JP2002261351A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001060753A JP2002261351A (ja) 2001-03-05 2001-03-05 スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001060753A JP2002261351A (ja) 2001-03-05 2001-03-05 スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002261351A true JP2002261351A (ja) 2002-09-13

Family

ID=18920134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001060753A Withdrawn JP2002261351A (ja) 2001-03-05 2001-03-05 スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002261351A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004010442A1 (es) * 2002-07-19 2004-01-29 Consejo Superior De Investigaciones Científicas Material sólido con estructura de orbitales electrónicos cuasicompletamente polarizados, su procedimiento de obtención y su uso en electrónica y nanoelectronica.
GB2401715A (en) * 2003-05-12 2004-11-17 Alps Electric Co Ltd CPP giant magnetoresistive element
JP2007525839A (ja) * 2004-02-19 2007-09-06 グランディス インコーポレイテッド 低飽和磁化自由層を有するスピン転移磁気素子

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004010442A1 (es) * 2002-07-19 2004-01-29 Consejo Superior De Investigaciones Científicas Material sólido con estructura de orbitales electrónicos cuasicompletamente polarizados, su procedimiento de obtención y su uso en electrónica y nanoelectronica.
ES2199075A1 (es) * 2002-07-19 2004-02-01 Consejo Superior Investigacion Material solido con estructura de orbitales electronicos cuasicompletamente polarizados, su procedimiento de obtencion y su uso en electronica y nanoelectronica
GB2401715A (en) * 2003-05-12 2004-11-17 Alps Electric Co Ltd CPP giant magnetoresistive element
GB2401715B (en) * 2003-05-12 2006-09-13 Alps Electric Co Ltd CPP giant magnetoresistive element
US7463457B2 (en) 2003-05-12 2008-12-09 Tdk Corporation CPP giant magnetoresistive element with particular bulk scattering coefficient
JP2007525839A (ja) * 2004-02-19 2007-09-06 グランディス インコーポレイテッド 低飽和磁化自由層を有するスピン転移磁気素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3180027B2 (ja) スピン・バルブ磁気抵抗センサと、このセンサを使用した磁気記録システム
US6023395A (en) Magnetic tunnel junction magnetoresistive sensor with in-stack biasing
EP0814519B1 (en) Magnetoresistive effect device, process for fabricating the same, and magnetic head produced using the same
KR20070098423A (ko) 자기 저항 효과 소자, 자기 헤드, 자기 기록 장치, 자기랜덤 액세스 메모리
JP2003309305A (ja) 磁気検出素子
JP2002150512A (ja) 磁気抵抗効果素子および磁気抵抗効果型磁気ヘッド
JP2009026400A (ja) 差動磁気抵抗効果型磁気ヘッド
JP2003031867A (ja) 酸化物磁性層と金属磁性膜を積層した磁気抵抗効果素子
JP2004095583A (ja) 磁気検出素子
JP2001217480A (ja) スピンバルブ型薄膜磁気素子およびその製造方法、およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド
JP3212569B2 (ja) デュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子及び薄膜磁気ヘッド及びデュアルスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法
US6635366B2 (en) Spin valve thin film magnetic element and thin film magnetic head
JP3817399B2 (ja) 磁気抵抗センサー
JP3137598B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、磁気変換素子および反強磁性膜
JP2001284680A (ja) 磁気抵抗効果素子及び磁気抵抗効果型磁気ヘッド、並びに磁気抵抗効果素子の製造方法
JP2002261351A (ja) スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド
JP3190193B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドの使用方法
JP2000215422A (ja) スピンバルブ型磁気抵抗効果素子およびその製造方法とその素子を備えた薄膜磁気ヘッド
JP3243092B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド
JP2002163810A (ja) スピンバルブ型薄膜磁気素子およびこのスピンバルブ型薄膜磁気素子を備えた薄膜磁気ヘッド
JP3708844B2 (ja) スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド
JPH09260744A (ja) 磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ヘッド
JPH103620A (ja) 磁気抵抗効果素子及びその製造方法並びにそれを用いた磁気ヘッド
JP3260735B2 (ja) 磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッド、および磁気記録再生装置
JP3764361B2 (ja) 磁気抵抗効果素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050315

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20050414