JP3764361B2 - 磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録再生装置の再生ヘッドに使用される磁気抵抗効果素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録の高密度化が進み、VTRでは500Mb/inch2 、HDDでは200Mb/inch2 という高記録密度のシステムが商品化されている。これらのシステムでは、主に誘導型の磁気ヘッドが用いられている。しかしながら、最近では、磁気抵抗効果素子を具備した磁気抵抗効果型の薄膜磁気ヘッドが、固定ヘッド方式のテープ媒体を再生するシステムだけでなく、相対速度が数メータ/秒と遅い相対速度をもつ小型HDDに対してもその高いS/N性から誘導型の磁気ヘッドに代わって用いられはじめている。
【0003】
従来、磁気抵抗効果型の薄膜磁気ヘッドにおいて信号磁界を感知して抵抗が変化する部分(以下、MRエレメントと呼ぶ)には、NiFe合金(以下、パーマロイと省略する)が使用されている。パーマロイは、良好な軟磁気特性を有するものでも磁気抵抗変化率が最大で3%程度であり、小型化・大容量化された磁気記録媒体用のMRエレメントに用いる場合には磁気抵抗変化率が不充分である。このため、MRエレメント材料として、より高感度な磁気抵抗変化を示すものが望まれている。
【0004】
これに対して、最近では2層構造の磁性膜において、2つの磁性膜の磁化のなす角に依存して電気抵抗が変化するスピンバルブ現象、あるいは多層構造の磁性膜において、隣合う磁性膜の磁化のなす角に依存して電気抵抗が大きく変化する現象が報告されている。
【0005】
このような、磁気抵抗効果素子の第1の例として、人工格子型と呼ばれるFe/CrやCo/Cu等の強磁性膜と非磁性膜をある条件で互いに積層してなる多層膜により、巨大な磁気抵抗変化、最大で100%を越える大きな磁気抵抗変化が現れることが知られている(Phys.Rev.Lett.,Vol.61,2472(1988), Phys.Rev.Lett.,Vol.64,2304(1990))。また、非磁性膜の厚さを変化させると、磁気抵抗変化率が周期的に変化することが報告されており、この変化は、非磁性膜の厚さにより磁性膜が周期的に強磁性結合もしくは反強磁性結合となるために生じると説明されている。多層膜の電気抵抗を結合状態で比較すると、反強磁性結合状態で高く、強磁性結合状態で低い。
【0006】
一方、磁気抵抗効果素子において、反強磁性結合状態の高い磁気抵抗効果膜を用いると、その結合力が大きいことから飽和磁界が大きくなる。そこで、反強磁性結合状態を用いずに、磁化が平行である状態と反平行である状態の間で抵抗が異なることを利用する方式がいくつか報告されている。
【0007】
すなわち、磁気抵抗効果素子の第2の例として、保磁力の異なる2種類の膜を用い、この保磁力の差を利用して両磁性膜の磁化を反平行状態にして磁気抵抗変化を実現した例がある(日本応用磁気学会誌 Vol.15,No.5 813(1991)、いわゆる新庄型)。
【0008】
さらに、磁気抵抗効果素子の第3の例として、非磁性膜を挟んだ2つの磁性膜の一方に反強磁性膜による交換バイアスを及ぼして磁化を固着し、もう一方の磁性膜が外部磁界で磁化反転することにより、非磁性膜を挟んで磁性膜の磁化方向が互いに平行および反平行となる状態を作り出して、大きな磁気抵抗変化を実現した例がある(Phys.Rev.B.,Vol.45806(1992) ,J.Appl.Phys.,Vol.69,4774(1991)、いわゆるスピンバルブ型)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図68に従来の磁気抵抗効果素子を示し、その課題について説明する。
【0010】
第1の課題は以下に示すものである。
【0011】
従来の磁気抵抗効果素子は、例えば下地膜202a、軟磁性膜202b、非磁性膜202c、信号磁界に応答する透磁率の高い軟磁性膜202d、および保護膜202eが順次積層され、さらに、パターニングされた保護膜202e上にリード201が形成されてなるものである。このような構成においては、トラック幅に相当する領域Aの両端にリード201を接続するためのコンタクト領域Bを有する。ここで、コンタクト領域Bには、軟磁性膜202dが存在するため、この部分からも記録情報を感知する。このためオフトラックしたときに隣接トラックからの情報も混入し、S/Nも悪くなりトラック幅も明確にならない。例えば、200Mb/inch2 の記録密度の場合、トラック幅は7μm、トラック間距離は2μm程度である。この場合、トラック幅は比較的大きく出力も大きいので、コンタクト領域Bを1μm程度以下に設定すれば、コンタクト領域Bは隣接トラック上には存在せず、トラック間距離1μm以下のオフトラックなら隣接トラックからの漏洩出力(クロストーク)も無視できた。
【0012】
しかしながら、例えば面密度10Gb/inch2 では、トラック幅が1μm、トラック間距離が0.2μm程度になるため、出力自体も小さくなり、オフトラック時にコンタクト領域Bが隣接トラック上に存在することになり、隣接トラックからの漏洩出力も無視できない。これを避けるためには、コンタクト領域Bをトラック間距離である0.2μm程度に小さくすればよいが、量産に際しオーミックコンタクト不良が発生しやすくなる。
【0013】
上述したように、面密度が10Gb/inch2 に近づくにつれて、オフトラック時のコンタクト領域Bでの隣接トラックからの漏洩出力が無視できなくなり、それを避けようとコンタクト領域Bの面積を小さくするとオーミックコンタクトをとることすら難しくなるという問題がある。
【0014】
第2の課題は以下に示すものである。
【0015】
従来からの異方性磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果素子において、トラック幅を正確に規定する方法としては、図69に示すように、軟磁性膜202dのトラック幅に相当する領域を信号磁界の流入方向に延出させる方法である。この場合、磁気抵抗効果素子の信号磁界方向の反磁界が低減されて透磁率が高くなるので、信号磁界に対する感度が向上する。さらに、同様の感度向上の観点から磁気抵抗効果素子の一部を信号磁界の流入方向と反対方向に延出させる方法も知られている。しかしながら、いずれの場合においても、図69に示すように、抵抗変化を検知するためのセンス電流が湾曲して流れるために、センス電流と磁化のなす角に応じて抵抗が変化する異方性磁気抵抗効果を利用した薄膜磁気ヘッドにおいては、信号磁界に応答して磁気抵抗変化膜の磁化方向が変化しても抵抗変化率が不充分で、安定した出力が得られない。特に、トラック幅が狭くなるにしたがってセンス電流の湾曲が大きくなるため、安定した出力を得ることが極めて困難になるという問題がある。
【0016】
第3の課題は以下に示すものである。
【0017】
従来の磁気抵抗効果素子には、図70(A)および図70(B)に示すような非磁性膜を挟持した2つの磁性膜からなり、センス電流を信号磁界方向に通電し、センス電流による磁界をバイアス磁界として磁性膜に印加するタイプがある(J.Appl.Phys.53(3),2596,1982 )。図70中205は下磁性膜、206は非磁性膜、207は上磁性膜、208a,208bはリードをそれぞれ示す。同図において、センス電流は、例えばリード208aより入り、208bより流れ出る。このような構成の磁気抵抗効果素子は、センス電流により発生する磁界の影響を受ける。上磁性膜207には下磁性膜205と非磁性膜206に流れる電流による磁界が印加されるものと考えて、各層の膜厚が伝導電子の平均自由行程以下の場合におけるセンス電流による磁界の大きさは以下の式(1)で求められる。なお、平均自由行程は、バルク状のCuの場合、300Kで約300オングストロームである。
【0018】
x1〜J*(t+d)/2 …(1)
例えば、電流密度J=2×107 A/cm2 、下磁性膜205の厚さt=20オングストローム、非磁性膜206の幅d=50オングストロームのとき、Hx 〜700(A/m)=9(エルステッド)となる。
【0019】
また、下磁性膜205にかかる磁界Hx2は上磁性膜207と非磁性膜206に流れる電流に起因するものであるのでHx2=−Hx1となる。
【0020】
したがって、このような条件では上磁性膜207と下磁性膜205の磁気モーメントは、各層の異方性磁界がパーマロイ薄膜のように小さい場合(〜3エルステッド)には磁化は反平行になる。しかしながら、素子エッジ部では、反磁界の影響でエッジカーリングウォールと呼ばれる磁壁が存在し(IEEE Trans.Magn.,Vol.24,No.3,May 1988 )、実質上この部分がデッド領域となる。
【0021】
このような磁気抵抗効果素子においては、各層内の磁気モーメントが層内で一様であれば素子のもつ能力を最大限に利用できる。しかしながら、エッジカーリングウォールが存在すると、磁気モーメントが一様にならず、その部分では信号磁界に対する応答性が悪くなる。したがって、磁気抵抗効果素子の再生出力はエッジカーリングウォールの存在する割合だけ低下することになる。
【0022】
素子の幅方向に磁気異方性を付与した場合、このエッジカーリングウォールの幅は以下の式(2)により求められる(IEEE Trans.Magn.,Vol.24,No.3,May 1988 )。
【0023】
πΔ/2={π3 s *d*t/(2*Hk )}0.5 …(2)
ここで、Ms は飽和磁化、Hk は異方性磁界の大きさを表す。例えば、上記の素子構成で、Hk =3エルステッド、Ms =800Gの場合には、πΔ/2=0.2μmとなる。センス電流を流した場合は式(2)のHk はHk +Hx となるので、πΔ/2=0.1μmとなる。
【0024】
面密度10Gb/inch2 の超高密度磁気記録の場合、1ビット当たりの面積は約0.07μm2 となり、トラック幅は1μm以下になる。このとき、素子の寸法も同程度(1μm角)のディメンジョンとなる。よって、エッジカーリングウォールの幅が素子全体に占める割合が20%にもなり、素子の80%しかアクティブな領域として使用できないという問題が生じる。この問題は、磁性膜が2つの場合だけではなく、磁性膜と非磁性膜を交互に積層した場合も同様に問題となる。
【0025】
上述したように、磁性膜と非磁性膜が交互に積層されてなる磁気抵抗効果素子においては、各層の磁気モーメントが素子端部において端部に対して平行になろうとし、エッジカーリングウォールが発生する。素子が微細化されるとこのエッジカーリングウォールの素子全体に占める割合が大きくなる。また、極端な場合には、中央部付近の磁化も端部に対して平行な成分をもつようになる。このため、磁気抵抗効果素子の再生出力が低下するという問題がある。
【0026】
なお、反強磁性膜を前記磁気抵抗効果素子の少なくとも片側に配置して、幅方向に一軸性を付与すればエッジカーリングウォールはなくなるが、実際開発されているFeMn系の反強磁性膜は耐食性が非常に悪いので、この反強磁性膜が外界に露出するような構成を採ることはできない。
【0027】
第4の課題は以下に示すものである。
【0028】
従来のパーマロイ等を使用した磁気抵抗効果素子の場合、磁性膜に現れる磁区の不可逆的な運動に起因するバルクハウゼンノイズの発生が実用上の問題となっている。これを防ぐための技術としては、FeMn等の反強磁性膜を積層して交換バイアスを得ることや、素子の両端の近傍に磁性体を配置すること等により磁性膜を単磁区化することが提案されている(IEEE MAG-14,521(1978) ,特開昭64−1112号)。
【0029】
しかしながら、従来は、単層または各磁性膜の磁化が同じ向きである多層の磁性膜に対して、上述したように、一方向のバイアス磁界を印加して単磁区化することは試みられているが、磁性膜が3層以上になり各磁性膜の磁化が同じ向きではなく、例えば反平行状態である場合に各磁性膜を単磁区化する技術は未だ報告されていない。
【0030】
第5の課題は以下に示すものである。
【0031】
図70に示すように、信号磁界方向と抵抗変化を検知するためのセンス電流の方向が略平行である従来の薄膜磁気抵抗効果素子の場合、磁束密度が最も高い媒体対向面側にリードが配置されるので、通常磁気抵抗効果素子の長さを信号磁界方向と同じ方向に10μm程度とり、磁気抵抗効果素子の透磁率を高くして信号磁界方向の反磁界を低減させている。したがって、磁気抵抗効果素子の信号磁界方向の長さが、それと直交するトラック幅方向よりも長くなっている。しかしながら、記録媒体より媒体対向面から離れるにつれ、磁気抵抗効果素子に流入した磁束は漏洩するので、磁気抵抗効果素子において抵抗が変化するのは、媒体対向面より1〜2μmの領域のみとなり、感度が低下するという問題がある。また、磁気抵抗効果素子の長さを10μm程度と大きくとっているので、抵抗値が大きくなり、これに伴って発熱によるジョンソンノイズが大きくなる。
【0032】
第6の課題は以下に示すものである。
【0033】
上述したスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子では、上磁性膜の磁化は上磁性膜上に形成された例えばFeMn等の反強磁性膜と交換結合させて磁化固着せしめる一方、下磁性膜の磁化を信号磁界で磁化反転させて隣合う磁性膜の磁化を互いに平行状態または反平行状態として抵抗変化を検知することが行われている。
【0034】
しかしながら、このように反強磁性膜による交換バイアスを及ぼし、磁気抵抗効果素子における2つの磁性膜の一方を磁化固着膜とした場合は、従来106 A/cm2 以上の大電流を通電して抵抗変化率を測定すると、発熱によりたびたび抵抗変化率が著しく低下するという問題がある。
【0035】
第1の課題に対しては、トラック幅を厳密に規定でき、オフトラック時の隣接トラックからのクロストークの影響が小さく、しかもリードとのオーミックコンタクトも良好な磁気抵抗効果素子を提供することが望まれる。
【0036】
第2の課題に対しては、感度が良好で、しかも安定した出力が得られる磁気抵抗効果素子を具備した薄膜磁気ヘッドを提供することが望まれる。
【0037】
第3の課題に対しては、エッジカーリングウォールがなく、大きな出力が得られる磁気抵抗効果素子を具備した薄膜磁気ヘッドを提供することが望まれる。
【0038】
第4の課題に対しては、バルクハウゼンノイズの少ない、3層以上の磁性膜を有する磁気抵抗効果素子を具備した薄膜磁気ヘッドを提供することが望まれる。
【0039】
第5の課題に対しては、センス電流が信号磁界方向に通電されても感度が良好で、かつ発熱によるジョンソンノイズの小さい磁気抵抗効果素子を具備した薄膜磁気ヘッドを提供することが望まれる。
【0040】
第6の課題に対しては、大電流が通電されても発熱による抵抗変化率の低下がほとんどない、磁化固着膜を有する磁気抵抗効果素子を具備した薄膜磁気ヘッドを提供することが望まれる。
【0041】
本発明は、特に第1の課題に着目し、トラック幅を厳密に規定でき、オフトラック時の隣接トラックからのクロストークの影響が小さく、しかもリードとのオーミックコンタクトも良好な磁気抵抗効果素子を製造できる方法を提供することを目的とする。
【0042】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するためになされた本発明は、スピンバルブ型、新庄型または人工格子型の磁気抵抗効果素子の製造方法に関するものである。磁気抵抗効果素子は、基板上に、少なくとも磁性膜、非磁性膜、および磁性膜が順次積層されてなる基本構造を有している。ここで、前記磁性膜の材料としては、特に規定されない限り、Co、CoFe、CoNi、NiFe,センダスト、NiFeCo、Fe8 N等を挙げることができる。さらに、Co100-x Fex (0<x≦40原子%)からなる磁性膜は、抵抗変化率が大きくかつ低Hcを示すので好ましい。磁性膜の膜厚は1〜20nmであることが好ましい。なお、本発明において前記磁性膜は、強磁性、フェリ磁性のいずれを示すものであってもよい。また、非磁性膜の材料としては、Mn、Fe、Ni、Cu、Al、Pd、Pt、Rh、Ru、Ir、Au、またはAg等の非磁性金属やCuPd、CuPt、CuAu、CuNi合金等を挙げることができる。非磁性膜の膜厚は0.5〜20nmであることが好ましく、0.8〜5nmであることが特に好ましい。
【0043】
薄膜磁気ヘッドは、上述したような磁性膜と非磁性膜が交互に複数周期に順次積層された構造を有する磁気抵抗効果素子を具備するものであってもよく、また、ここでの磁気抵抗効果素子は、前記磁性膜と交換結合する強磁性膜、反強磁性膜等を有していても構わない。
【0044】
薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗変化素子の信号磁界に対する応答は、磁界に対して線形ではない。もし信号処理の都合上、線形性が要求される場合には、センス電流に平行な方向にバイアス磁界をかける手段を設けることが必要となる。また、磁化容易軸がセンス電流と平行な向きの場合には、センス電流による磁界が作用すると、2つの磁性膜の磁化は互いに逆向きに磁化容易軸からある角度だけ磁化回転する。この角度は、磁性膜の異方性磁界、センス電流による磁界、および反磁界のバランスで決まる角度であり、0度から90度までの値をとることが可能である。信号磁界が作用すると、2つの磁性膜の磁化は平行になる向きに、互いに逆方向に回転し、電気抵抗は減少する。もし、磁気抵抗変化素子の信頼性から許される最大のセンス電流による磁界で、信号磁界が作用しないときの互いの磁化がなす角度が直角になっている場合には、信号磁界に対する電気抵抗変化の線形性がよい。
【0045】
本発明に係る磁気抵抗効果素子は、2つの磁性膜の磁化は信号磁界が0の状態で互いに逆向きで容易軸方向を向き、電気抵抗が最大値をとる。したがって、磁気抵抗変化素子の可能な電気抵抗変化をすべて利用できるため、大きな出力を得ることができる。また、本発明に係る磁気抵抗効果素子は、磁化回転を利用して磁界を検出するので高周波数での磁界検出が可能である。
【0046】
以下、本発明の磁気抵抗効果素子の製造方法を具体的に説明する。
【0047】
本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法は、反強磁性膜、磁化が固着された第一磁性膜、実質的に信号磁界に応答する第二磁性膜、および前記第一磁性膜と前記第二磁性膜との間に挟持された非磁性膜を備える磁気抵抗効果膜を形成する工程と、前記磁気抵抗効果膜上にマスクを形成する工程と、真空中において少なくとも前記磁気抵抗効果膜のうち第二磁性膜の前記マスクで覆われていない領域をエッチングして前記反強磁性膜が延存した形状のコンタクト領域を形成する工程と、真空を破ることなく前記コンタクト領域と接触する電極材料を堆積して電極を形成する工程と、前記マスク上に残存している電極材料を除去する工程とを具備したことを特徴とする(実施例A、図3)。
【0048】
本発明においては、磁気記録媒体の磁化情報に応答する領域は厳密に電極(リード)間のみとなる。これにより、トラック間距離よりも小さいオフトラックなら隣接トラックからのクロストークも無視できる程度に小さくでき、また、トラック幅を厳密に規定できる。
【0049】
また、コンタクト領域は、完全に信号磁界に応答しないので、コンタクト領域を隣接トラック上まで伸びるほど大きくできる。そして、上述のような適切な工程をとることにより、電極(リード)と磁気抵抗効果素子のオーミックコンタクトも確保することができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して具体的に説明する。
【0051】
実施例A
図1(A)は本発明の一実施例を示す斜視図である。図中10は基板を示す。基板10上には、FeMn等からなる反強磁性膜11あるいはCoPt等からなる硬質磁性膜が形成されている。反強磁性膜11上には、NiFe等からなる下磁性膜(第一磁性膜)12、Cu等からなる非磁性膜13、およびNiFe等からなる上磁性膜(第二磁性膜)14が形成されている。さらに、上磁性膜14上には、Ti,SiO2 等からなる保護膜15が形成されている。非磁性膜13、上磁性膜14、および保護膜15、並びに下磁性膜12の一部は、能動領域以外の領域がエッチングにより除去されている。エッチングにより除去した能動領域以外の下磁性膜12上にCu/Cr等の電極材料からなるリード(電極)16が形成されている。
【0052】
図1(A)に示す磁気抵抗効果素子において、下磁性膜(第一磁性膜)12の磁化は全体が反強磁性膜11により固着されており、実質的に信号磁界に応答する上磁性膜(第二磁性膜)14のコンタクト領域Bはエッチング除去されているため磁気抵抗効果素子の能動領域は厳密にリード間Aとなる。このため、コンタクト領域Bは記録情報を検出しないので、コンタクト領域Bも大きくとることができる。
【0053】
また、後述のようにリード16の形成直前に、コンタクト領域Bの非磁性膜13、上磁性膜14、および保護膜15、並びに下磁性膜12の一部をエッチング除去して洗浄するため、コンタクト領域Bのオーミックコンタクトを確実にとることができる。
【0054】
この素子において、コンタクト領域Bの非磁性膜13はエッチングにより除去されているが、必ずしも除去する必要はない。また、コンタクト領域Bの下磁性膜12は、部分的にエッチング除去されているが、まったくエッチング除去しなくてもよく、反強磁性膜11や硬質磁性膜が導電性をもつ場合には全部エッチング除去してもよい。
【0055】
この場合、FeMnで固着されている側の磁性膜の膜厚は、反対側の磁性膜より大きい方が好ましい。このように設定することにより、トラック幅が狭いときにおいても、上下磁性膜の磁化の反平行状態を実現しやすい。
【0056】
図1(B),(C)および図2(A)〜(D)は、本発明の他の実施例を示す斜視図である。具体的には、図1(B)は、コンタクト領域Bの非磁性膜13も一部残存させたものを示す。図1(C)は、コンタクト領域Bの下磁性膜12をすべてエッチングして除去したものを示す。図2(A)は、導電性の下地膜17の能動領域上に反強磁性膜11あるいは硬質磁性膜、下磁性膜12、非磁性膜13、上磁性膜14、および保護膜15を順次形成し、下地膜17のコンタクト領域上にリード(電極)16を形成したものを示す。図2(B)は、導電性の下地膜17の能動領域上に下磁性膜12、非磁性膜13、上磁性膜14、反強磁性膜11あるいは硬質磁性膜、および保護膜15を順次形成し、下地膜17のコンタクト領域上にリード16を形成したものを示す。図2(C)は、反強磁性膜11あるいは硬質磁性膜上に下磁性膜12、非磁性膜13、中間磁性膜18、非磁性膜13、上磁性膜14、および保護膜15を順次形成し、コンタクト領域Bに一部残存させた下磁性膜12上にリード16を形成したものを示す。この磁気抵抗効果素子は、下磁性膜12の磁化は反強磁性膜11あるいは硬質磁性膜により固着され、中間磁性膜18および上磁性膜14が信号磁界に応答するタイプのものである。図2(D)は、導電性の下地膜17の能動領域A上に下磁性膜12、非磁性膜13、中間磁性膜18、非磁性膜13、上磁性膜14、反強磁性膜11あるいは硬質磁性膜、および保護膜15を順次形成し、下地膜17のコンタクト領域B上にリード16を形成したものを示す。この磁気抵抗効果素子は、上磁性膜14の磁化は反強磁性膜11あるいは硬質磁性膜により固着され、中間磁性膜18および下磁性膜12が信号磁界に応答するタイプのものである。
【0057】
なお、本発明にかかる磁気抵抗効果素子の作製工程の一例を図3(A)〜(E)に示す。
【0058】
まず、図3(A)に示すように、基板10上に反強磁性膜11あるいは硬質磁性膜、下磁性膜(第一磁性膜)12、非磁性膜13、上磁性膜(第二磁性膜)14、および保護膜15を順次形成し、略短冊状となるようにすべての膜をエッチングする。次いで、図3(B)に示すように、基板10および保護膜15上に逆テーパレジスト19を形成してパターニングする。これを蒸着装置等の真空容器中に載置し、図3(C)に示すように、逆スパッタを行いコンタクト領域の保護膜15、上磁性層14、および非磁性膜13、並びに下磁性膜12の一部をエッチングする。
【0059】
次いで、図3(D)に示すように、真空を破らずに電極材料としてCr/Cu16´を順次成膜して電極(リード)を形成する。その後、図3(E)に示すように、アセトン等を用いて超音波洗浄することによりリフトオフし、本発明にかかる磁気抵抗効果素子を得る。
【0060】
実施例B1
図4は第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子を示す斜視図である。
【0061】
基板20上にNiFe合金等からなる下磁性膜21が形成されている。この下磁性膜21はその端面が媒体対向面に露出するように延出されている。下磁性膜21上にはCu等からなる非磁性膜22、NiFe合金等からなる上磁性膜23、および反強磁性膜24が順次形成されており、これらの膜は媒体対向面に露出しないようにエッチングにより所定の部分が除去されている。反強磁性膜24上には、リード25が形成されている。
【0062】
次に、図4に示す磁気抵抗効果素子の作製方法を図5(A)〜(C)に示す。なお、図5(A)〜(C)は図5のA方向から見た断面を示す。
【0063】
まず、基板20上に信号磁界に応答する下磁性膜21を厚さ約8nmでスパッタリングにより成膜する。次いで、図5(A)に示すように、この後に成膜する反強磁性膜24等の膜を成膜する部分以外にレジスト層26を形成する。次いで、図5(B)に示すように、リフトオフ法で非磁性膜22を厚さ約2nmで、上磁性膜23を厚さ約4nmで、反強磁性膜24を厚さ約14nmで成膜する。このとき、下磁性膜21の表面を清浄する目的でこれらの膜を成膜する前にスパッタエッチングを行うことが望ましい。
【0064】
次いで、図5(C)に示すように、レジスト層26を除去した後、一部の下磁性膜21をエッチングにより除去してパターニングする。最後に、リフトオフ法で反強磁性膜24上にリード25を形成することにより図4に示すような磁気抵抗効果素子が得られる。
【0065】
また、ここでは下磁性膜21のみを成膜してからリフトオフ法で他の磁性膜等を成膜しているが、非磁性膜22として耐食性の良い材料を用いることにより、下磁性膜21、非磁性膜22を成膜した後にリフトオフ法で他の磁性膜等を成膜することができる。この場合、下磁性膜21、非磁性膜22が媒体対向面に露出する構造となる。
【0066】
さらに、図5(B)において、上記ではレジスト層26を形成した後に、非磁性膜22を続けて形成したが、レジスト層26を形成した後に、さらに下磁性膜26と同じ材料の磁性膜を厚さ数nm、例えば3nm程度で形成し、その上に非磁性膜22、上磁性膜23、および反強磁性膜24を順次形成してもよい。
【0067】
実施例B2
図6は、第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図である。この図6に示す磁気抵抗効果素子は、図7(A)〜(C)に示すようにして作製される。
【0068】
まず、図7(A)に示すように、基板20上にNiFe合金等からなる下磁性膜21を厚さ約8nmで、Cu等からなる非磁性膜22を厚さ約2nmで、NiFe合金等からなる上磁性膜23を厚さ約4nmで、FeMn等からなる反強磁性膜24を厚さ約14nmで順次形成する。次いで、反強磁性膜24上にレジスト層26を形成する。
【0069】
次いで、図7(B)に示すように、これら多層膜に所望のテーパ角が付くような条件でイオンビームエッチングを行い、レジスト層26を除去し、実施例B1と同様にしてリード25を形成する。
【0070】
次いで、図7(C)に示すように、通常のヘッド作製工程で用いられるヘッド摺動面の研磨方法により基板20を研磨してデプス方向に追い込む。このとき、反強磁性膜24が外部に露出しなければ非磁性膜22,上磁性膜23に研磨が及んでも問題ない。このようにして図6に示す磁気抵抗効果素子が作製される。
【0071】
実施例B1およびB2の磁気抵抗効果素子を基本構造として、様々な素子構造、例えば磁性膜が3層以上のものや、様々なバルクハウゼン対策用のバイアス方式を採用したものについて応用可能である。以下にこれらの様々な素子構造に応用した場合の実施例を示す。
【0072】
実施例B3
図8は、第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図である。この図8に示す磁気抵抗効果素子は、図9(A)〜(D)に示すようにして作製される。
【0073】
図9(A)に示すように、基板20上にSiO2 膜27を成膜し、CF4 ガスを用いてRIE(リアクティブイオンエッチング)を行い、所望の形状の溝28を形成する。このとき、ヘッド部に影響のない所に、研磨の際にストッパーが確認できる程度の大きさの同様な溝を作製しておく。
【0074】
次いで、図9(B)に示すように、FeMn等からなる反強磁性膜24を厚さ約14nmで、NiFe等からなる下磁性膜21を厚さ約4nmで、Cu等からなる非磁性膜22を厚さ約2nmで、さらに研磨の際のストッパーとしてポリシリコン膜29を厚さ約0.5nmで形成する。
【0075】
次いで、図9(C)に示すように、ストッパーの途中までまたはストッパーがほぼなくなるまで表9を研磨した後、CF4 ガスを用いてCDE(ケミカルドライエッチング)を行いストッパーであるポリシリコンを除去する。その後、図9(D)に示すように、NiFe等からなる上磁性膜23を厚さ約8nmで形成する。以下、実施例B1と同様の方法で上磁性膜23上に非磁性膜22、上磁性膜23、および反強磁性膜24をさらに成膜して、図8の構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0076】
本実施例では、このように信号磁界に応答する磁性膜の両側に反強磁性膜によって磁化固着された磁性膜を配置することにより、抵抗変化率を約2倍に向上させることができる。また、両反強磁性膜による磁性膜の磁化の固着方向を信号磁界方向とし、信号磁界に応答する磁性膜の容易軸方向をトラック幅方向にして、磁化を直交させることにより、さらに感度が向上する。また、信号磁界に応答する磁性膜のみを媒体対向面に露出させ、反強磁性膜とこれに磁化固着された磁性膜をヘッド内部に作製しているので高い信頼性を持つ薄膜磁気ヘッドが得られる。
【0077】
実施例B4
図10は、第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図である。この図10に示す磁気抵抗効果素子は、図11(A)〜(C)に示すようにして作製される。
【0078】
図11(A)に示すように、基板20上にCoZrNb等からなるアモルファス膜35を厚さ約15nmで成膜し、次いで、CoFeまたはCo等からなる下磁性膜21を厚さ約4nmで、Cu等からなる非磁性膜22を厚さ約3nmで、CoFeまたはCo等からなる上磁性膜23を厚さ約4nmで、FeMn等からなる反強磁性膜24を厚さ約14nmで順次形成する。さらに、反強磁性膜24上にレジスト層26を形成する。
【0079】
次いで、図11(B)に示すように、これらの多層膜をイオンビームエッチング等でエッチングし、レジスト層26を除去し、さらに、エッチングされた多層膜の後部に所望形状のレジスト層32を形成する。その後、図11(C)に示すように、アモルファス膜35が残るように多層膜をエッチングする。なお、ここで、イオンビームエッチングを行ってもよいが、一般に、アモルファスが結晶に比べて酸等の溶剤に溶解しにくいことを利用して、下磁性膜21から反強磁性膜24まで溶解し、アモルファス膜35を溶解しない溶剤を選択して化学エッチングを行ってもよい。このときアモルファス膜35は、軟磁気特性が得られていれば多少のオーバーエッチングは許容され、逆に下磁性膜21が残存してもよい。このような化学エッチングを行うことにより、アモルファス膜35をオーバーエッチングすることを防止できる。
【0080】
最後に、実施例B1と同様にしてリード25を形成し、通常のヘッド作製工程で用いられるヘッド摺動面の研磨を施してデプス方向に追い込んで図10に示す構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0081】
本実施例では、強磁性膜であるアモルファス膜35とCoFeまたはCo等からなる下磁性膜21とは交換結合しているため、アモルファス特有の良好な軟磁気特性(低保磁力)とCo系磁性膜によるスピンバルブ型磁気抵抗効果素子特有の高い抵抗変化率を備えた薄膜磁気ヘッドが得られる。さらに、アモルファス膜35は、高抵抗であるためセンス電流の分流が小さく、感度が落ちることがない。また、アモルファス膜35とCo系下磁性膜21との間に極薄い(厚さ約1nm)絶縁膜を形成してもよく、アモルファス膜35は、フェライトやNiFeに添加元素を加えたNiFeNb、NiFeMo等からなる高抵抗強磁性膜でもよい。
【0082】
実施例B5
図12は、第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図である。この図12に示す磁気抵抗効果素子は、図13(A)〜(C)に示すようにして作製される。
【0083】
図13(A)に示すように、基板20上にNiFeからなる下磁性膜33を厚さ約8nmで成膜し、次いで、Cuからなる非磁性膜22を厚さ約3nmで、CoFeまたはCoからなる高保磁力の上磁性膜34を厚さ約8nmでスパッタリングにより順次形成する。さらに、上磁性膜34上にレジスト層26を形成する。
【0084】
次いで、図13(B)に示すように、これらの多層膜をイオンビームエッチング等でエッチングし、レジスト層26を除去し、さらに、エッチングされた多層膜の後部に所望形状のレジスト層32を形成する。その後、図13(C)に示すように、下磁性膜33が残るようにイオンビームエッチング等でエッチングする。このとき下磁性膜33は、軟磁気特性が得られていれば多少のオーバーエッチングが許容され、逆に非磁性膜22が残存していてもよい。
【0085】
最後に、実施例B1と同様にしてリード25を形成し、通常のヘッド作製工程で用いられるヘッド摺動面の研磨を施してデプス方向に追い込んで図12に示す構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0086】
このような構成にすることにより、本実施例では、CoFeまたはCoを着磁すればFeMnを使用せずに上磁性膜34の磁化を固着できる。また、例えばCoFeまたはCoの着磁方向を信号磁界方向にし、リード25を図12に示すように配置し、センス電流から生じる電流磁が界で信号磁界が0の場合の下磁性膜33の磁化をトラック幅方向に印加することで、信号磁界に対して高い抵抗変化率を得ることができる。
【0087】
また、このように下磁性膜33を上磁性膜34より大きく形成することにより、下磁性膜33、非磁性膜22および上磁性膜34が同形状の新庄型磁気抵抗効果素子で問題となるHcの増大は大幅に軽減できる。また、高保磁力膜を媒体対向面に露出して配置すると、媒体への影響等が懸念されるが、本構造のように高保磁力膜を媒体対向面から離れて配置すればこのような問題は解消される。
【0088】
実施例B6
図14は、第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図である。この図14に示す磁気抵抗効果素子は、図15(A)〜(C)に示すようにして作製される。
【0089】
図15(A)に示すように、基板20上にCoFeまたはCo等からなる厚さ4nmの下磁性膜21、Cu等からなる厚さ約3nmの非磁性膜22、およびCoFeまたはCo等からなる厚さ4nmの上磁性膜23を順次形成する。さらに、上磁性膜23上の所定部分にレジスト層26を形成する。
【0090】
次いで、図15(B)に示すように、イオンビームエッチング等によりレジスト層26以外の部分の非磁性膜22および上磁性膜23を除去する。次いで、図15(C)に示すように、非磁性膜22および上磁性膜23よりも前後に延出して残るように下磁性膜21をイオンビームエッチング等により除去し、前述の方法でリード部を形成して図14に示す構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0091】
図14に示す構造において、下磁性膜21の下地膜として、前記したようにCoZrNb等からなるアモルファス膜を成膜し、媒体対向面に露出する部分をアモルファス膜とし、アモルファス膜の中間部に下磁性膜21から上磁性膜23が積層されるようにしてもよい。また、上磁性膜23上に反強磁性膜や硬質磁性膜を成膜し、少なくとも非磁性膜22、上磁性膜23、反強磁性膜または硬質磁性膜がヘッド内部に存在し、下磁性膜またはアモルファス膜が媒体対向面に露出するようにしてもよい。
【0092】
この場合、反強磁性膜や硬質磁性膜は、上磁性膜23の磁化を固着する働きをする。このとき、磁化方向はトラック幅方向でも、トラック幅方向に略直交する方向でもよい。例えば、上磁性膜23の磁化がトラック幅方向に固着されている場合は、下磁性膜21の容易軸もトラック幅方向であるため、上磁性膜23と下磁性膜21の磁化は反平行となり、静磁結合する。このため、ノイズ抑制の効果は大きいが、感度が落ちる。一方、上磁性膜23の磁化がトラック幅方向に略直交する方向に固着されている場合は、下磁性膜21の容易軸はトラック幅方向であるため、上磁性膜23と下磁性膜21の磁化は略直交し、信号磁界で平行、反平行が実現できる。このため、感度は充分とれるが、ノイズ抑制の効果が小さくなる。
【0093】
また、媒体対向面に露出する部分をアモルファス膜にする場合には、図16に示すように、ノイズを抑制するために、アモルファス膜35aおよび35bの間にTa等からなる非磁性膜37を介在させることが好ましい。これは、アモルファス膜35を積層構造にすることにより、上下アモルファス膜35の磁化が静磁結合し、より磁化の容易軸方向がトラック幅方向に向き易くなり、磁壁の発生が抑制できるためである。また、このとき、上磁性膜23との結合により下側のアモルファス膜35bの磁化に逆向きの磁界がかかるので、下側のアモルファス膜35bは上側のアモルファス膜35aに比べて膜厚を厚くしてもよい。
【0094】
なお、この構造においては、トラック幅が狭い場合、多層膜の占める面積が小さくなり、感度の低下を招く恐れがある。これに対しては、下磁性膜21の形状を図17に示すようにすることにより、トラック幅に依存せず高感度な磁気抵抗効果素子とすることができる。
【0095】
実施例B7
図18は、第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図である。この図18に示す磁気抵抗効果素子は、図19(A)〜(E)に示すようにして作製される。
【0096】
図19(A)に示すように、基板20上にCoFeまたはCo等からなる厚さ約4nmの下磁性膜21、Cu等からなる厚さ約3nmの非磁性膜22、CoFeまたはCo等からなる厚さ約4nmの上磁性膜23、FeMn等からなる厚さ約14nmの反強磁性膜24、Ti等からなる厚さ約10nmの保護膜15を順次形成する。さらに、保護膜15上の所定部分にレジスト層26を形成する。
【0097】
次いで、図19(B)に示すように、非磁性膜22、上磁性膜23、反強磁性膜24、および保護膜15をイオンビームエッチング等によりエッチングする。次に、図19(C)に示すような形状にパターニングされたレジスト層26を形成し、下磁性膜21から保護膜15までをイオンビームエッチング等でエッチングする。
【0098】
次いで、このレジスト層26は除去せず、図19(D)に示すように、硬質磁性膜36を成膜する。レジスト層26を除去した後、図19(E)に示すように、硬質磁性膜36、下磁性膜21、保護膜15上に、所望の形状にレジスト層26´を形成する。その後、イオンビームエッチング等でエッチングし、前述した方法でリード25を形成して図18に示す構造の磁気抵抗効果素子を得る。
【0099】
このように、下磁性膜21の両側に硬質磁性膜36を配置する構造にすることで、信号磁界に応答する磁性膜の多磁区性に起因するバルクハウゼンノイズを抑制でき、反強磁性膜24がヘッド内部に存在するため、高い信頼性をもった薄膜磁気ヘッドを作製できる。
【0100】
さらに、図18に示すように、硬質磁性膜36の磁化方向がトラック幅方向、反強磁性膜11の磁化方向が信号磁界方向となるようにそれぞれの着磁方向を制御することで下磁性膜21と上磁性膜23の磁化方向を、信号磁界が0の場合に略直交させることができ、これら磁化方向が互いに反平行状態の素子に比べさらに高感度なヘッドが得られる。
【0101】
なお、ここで、下磁性膜21は媒体対向面側にのみ延出している、すなわち多層膜部が下磁性膜21のヘッド内部の側端部に存在するような構造でもよい。さらに、この下磁性膜21の下地膜として前述のようにCoZrNb等からなるアモルファス膜を成膜し、媒体対向面に露出する部分がアモルファス膜であり、中間部に下磁性膜21から保護膜15までの多層膜が媒体対向面からリセスした構造でもよい。
【0102】
このとき、硬質磁性膜36の膜厚は、下磁性膜21と等しくてもよいが、反強磁性膜24の上磁性膜23に及ぼす交換結合力と、硬質磁性膜36が下磁性膜21に及ぼす異方性磁界の大きさ等を考慮、調節できる範囲であれば、調節すれば、上磁性膜23に至るほど厚くてもよく、逆に硬質磁性膜36が下磁性膜21に比べて薄くてもよい。ただし、硬質磁性膜36の漏洩磁界による影響を考慮すると、図示されるように硬質磁性膜36が下磁性膜21に比べて薄い方が望ましい。
【0103】
ここで、さらに反強磁性膜24の上磁性膜23に及ぼす交換結合力と、硬質磁性膜36が下磁性膜21に及ぼす異方性磁界の大きさ等を考慮、調節すれば、硬質磁性膜36と下磁性膜21とは必ずしも結合していなくても良く、また硬質磁性膜36は媒体対向面に露出させず、ヘッド内部に形成しても良い。
【0104】
また、実施例B3で示す埋め込み方法で、図20に示すように、硬質磁性膜36、磁気的絶縁膜30を順次形成し、この硬質磁性膜36との静磁結合で下磁性膜21の単磁区化を行うことができる。
【0105】
さらに、ここで用いられる硬質磁性膜において、その磁化は膜面内方向に向いていることが望ましい。これは、例えば図18に示すように、硬質磁性膜を磁化固着される磁性膜(図15中の下磁性膜21)の両側に配置した場合、硬質磁性膜の磁化が垂直成分を持っているとすると、下磁性膜21の磁化固着へ悪影響をもたらすだけでなく、上磁性膜23へ漏洩磁界が発生し、磁化状態の制御が困難となる。
【0106】
また、図20に示すように、硬質磁性膜を磁化固着される磁性膜(図20中の下磁性膜21)と磁気的絶縁膜30を介して積層した場合、硬質磁性膜の磁化が垂直成分を持っているとすると、下磁性膜21の磁化を面内固着することができなくなり、下磁性膜の軟磁気特性にも悪影響を及ぼす。この硬質磁性膜の磁化の方向は、その結晶構造に大きく依存している。すなわち、硬質磁性膜においてhcp(002)配向が強くなると、磁化は膜面垂直方向に向き易くなる。そこで、このhcp(002)配向を抑制することにより、磁化は膜面垂直方向には向き難くなり、磁化固着のためのバイアス膜として良好な硬質磁性膜を得ることができる。
【0107】
一方、磁気ヘッド作製プロセスにおいて、硬質磁性膜はリフトオフ法で作製する場合が多い。リフトオフ法は、いわばレジスト層内に形成した穴内に硬質磁性膜をスパッタリングにより成膜するので、この方法においては成膜後のレジスト層の除去を円滑にかつバリが出ないようにするために、ターゲットと基板を対向させる必要がある。しかし、硬質磁性膜は、ターゲットと基板を対向させてスパッタリングにより形成するとhcp(002)配向し易くなるという問題がある。
【0108】
ここでは、この問題を解決するために、hcp(002)配向を抑制する目的で、硬質磁性膜の下地膜としてCoZrNbアモルファス膜を用いた。このときの結晶性を示すX線回折の結果を図21(A)および図21(B)に示す。具体的には、図21(A)はCoPt硬質磁性膜を厚さ30nmで成膜したときの結果を示し、図21(B)は下地膜としてCoZrNbアモルファス膜を厚さ20nmで成膜した後、その上にCoPt硬質磁性膜を厚さ30nmで成膜したときの結果を示す。図21から明らかなように、アモルファス膜を下地膜に用いた場合には、CoPt硬質磁性膜のhcp(002)配向は抑制されている。また、このときの角型比についても、CoPtの場合は0.6であり、CoZrNb/CoPtの場合は0.85と高く、アモルファス膜の下地膜を有する方が磁化が面内に向き易くなることが分かる。このように、硬質磁性膜を磁化固着のためのバイアス膜として用いる場合には、アモルファス膜の下地膜を用いることが有効であることが分った。
【0109】
したがって、図18および図20に示す場合において、硬質磁性膜のに下地膜としてアモルファス膜を形成することにより、さらにノイズ抑制効果を高め、軟磁気特性の劣化防止により透磁率が向上し、より高い感度の磁気抵抗効果素子を得ることができる。
【0110】
なお、このアモルファス膜は、斜方入射スパッタリングにより形成した場合でも上記と同様の効果が認められた。さらに、このアモルファス膜の効果は、スピンバルブ型磁気抵抗効果素子のみならず、通常の単層膜の磁気抵抗効果素子にも応用することができる。
【0111】
さらに、上述したような硬質磁性膜としては、高保磁力微粒子層を好適に用いることができる。以下には、具体的に磁気抵抗効果素子に高保磁力微粒子を磁化容易軸を揃えて付着させ、交換バイアスを印加する例について説明する。すなわち、高保磁力微粒子は、磁気抵抗効果素子上に直接接触した状態で配置されるために、交換バイアスが磁気抵抗効果素子に印加される。また、微粒子間は相互作用が弱いため、軟磁性膜と直接接合しても、保磁力の低下が小さい。さらに、微粒子の大きさは、磁化固着領域(受動領域)に比べて十分小さい。したがって、受動領域全面に均一に交換バイアスが加わる。微粒子は、バイアス磁界を与えたい方向に磁化容易軸を揃えて付着されるので、面内一方向に分散の小さいバイアス磁界が印加される。微粒子は一軸磁気異方性が存在するため、保磁力を越える強い信号磁界が入ってきても、もとの磁化状態に復帰することができる。
【0112】
したがって、高保磁力微粒子を磁気抵抗効果素子に付着させてバイアス磁界を与えることにより、信頼性が高い、高品質な薄膜磁気ヘッドを提供することが可能である。
【0113】
図22は、硬質磁性膜として高保磁力微粒子層を有する磁気抵抗効果素子を示す断面図である。基板40上にCuからなるシャントバイアス膜41およびNi80Fe20からなる磁気抵抗効果膜42が積層されている。このシャントバイアス膜41および磁気抵抗効果膜42は断面が矩形状にパターニングされている。また、センス電流が流せるように磁気抵抗効果膜42上にはリード43が形成されている。また、磁気抵抗効果膜42の両端部を覆うように基板40上には、FeCo系高保磁力微粒子層44が形成されている。この高保磁力微粒子は、長軸方向が磁化容易軸である針状結晶をしており、断面における長手方向に沿ってこの磁化容易軸が配向されている。
【0114】
このような構成の磁気抵抗効果素子について、センス電流の通電方向と略直交する方向に信号磁界を印加して、磁気抵抗効果素子の抵抗と磁界との関係を調べたところ、抵抗−磁界曲線においてバルクハウゼンノイズに伴う不連続点は観察されなかった。
【0115】
この磁気抵抗効果素子は次のようにして作製される。まず、基板40上にスパッタリングによりCuを厚さ5nm、Ni80Fe20を厚さ20nmで順次形成する。次いで、この2つの膜を5μm×50μmの矩形状にパターニングする。さらに、Ni80Fe20上にCuをスパッタリングにより成膜し、パターニングしてリードを形成する。このとき、リード間隔によりトラック幅(能動領域)が規定される。
【0116】
次に、FeCo合金微粒子を有機系バインダーと混合して塗料とし、これを磁気抵抗効果素子パターンの長手方向に沿って磁界を印加しながら素子全面に塗布する。さらに、この上にレジストを塗布した後に、素子の両端部に高保磁力微粒子層44が10μm×100μmの寸法で残存するように露光、現像する。このようにして図22に示す磁気抵抗効果素子が得られる。
【0117】
塗料中の高保磁力微粒子の体積密度(すなわち充填率)は約40%である。また、高保磁力微粒子の長軸が配列している方向(磁化容易軸方向)の残留磁化量は、飽和磁化量の約90%である。なお、磁性微粒子の形状は、長軸方向が約200〜300nm、短軸方向が約40nmである。
【0118】
また、図22においては、高保磁力微粒子層44は、磁気抵抗効果膜42の両端にのみ形成されているが、図23に示すように、非磁性の磁気的絶縁膜45を能動領域に形成し、磁気抵抗効果膜42全面に高保磁力微粒子層44を形成してもよい。なお、図23は断面図であるので、リード43上まで高保磁力微粒子層44が形成されているように見えるが、実際は、磁気抵抗効果膜42近傍のみが高保磁力微粒子層44で覆われておりリード43は露出するので、センス電流は供給できる。
【0119】
高保磁力微粒子層44における磁化の分散は、一般に薄膜形成される単層の硬質磁性膜よりも小さい。したがって、このように能動領域において非磁性の磁気的絶縁膜45で高保磁力微粒子層44と磁気抵抗効果膜42を離隔することにより、薄膜形成の場合に発生する硬質磁性膜の分散磁化成分から生じる磁束の能動領域への流入による軟磁性劣化が緩和される。このため、より良好な軟磁性が能動領域で得ることができる。
【0120】
このとき、高保磁力微粒子層44が磁気抵抗効果素子の下側にある構造においても同様な効果が得られる。なお、高保磁力微粒子層44の表面の凹凸は、磁気的絶縁膜45の表面の平坦度に影響される。
【0121】
さらに、上述した例においては、高保磁力微粒子としてFeCo合金微粒子を用い、塗料中の充填率は約40%に設定したが、この充填率や高保磁力微粒子の材料を変えることによって、バイアス磁界を変化させることができる。例えば、高保磁力微粒子の材料として、γ−酸化鉄を用いることによりバイアス磁界は約1/3になることが確認され、塗料中の充填率を高くすることにより、バイアス磁界が増加することも分かった。また、高保磁力微粒子の材料として、Coを添加したγ−酸化鉄、酸化クロム、鉄を用いても同様の効果が得られた。
【0122】
以上の図22〜23に示す磁気抵抗効果素子においては、高保磁力微粒子層44は縦バイアス膜として機能している。一方、動作点バイアスは、磁気抵抗効果膜42の下に設けられたシャントバイアス膜41に流れるシャント電流により付与されている。
【0123】
図24は高保磁力微粒子層を有する磁気抵抗効果素子の他の例を示す断面図である。ここでは、シリコン基板46上の受動領域にエッチングにより角型の穴を形成し、その穴内に高保磁力微粒子層44を形成し表面を平坦化して、その上に磁気抵抗効果膜42およびリード43を形成する。
【0124】
図25は図24に示す磁気抵抗効果素子の平面図である。高保磁力微粒子層44を穴内に形成するとき、すなわち高保磁力微粒子を含む塗料を穴内に充填して加熱するときに、図中の破線矢印で示す方向(磁気抵抗効果膜の長手方向に対して約45度の角度)に磁界を印加して着磁した。この磁気抵抗効果素子の抵抗と磁界との関係を調べたところ、バルクハウゼンノイズは抑制され、しかも良好な動作点バイアスが印加されていることが分かった。
【0125】
この磁気抵抗効果素子は次のようにして作製される。まず、シリコン基板46にマスキングを施してケミカルエッチングを行い、6μmの間隔をおいて深さ約5μmの穴を形成する。次に、FeCo合金微粒子を有機バインダーと混合して塗料とし、これをシリコン基板46全面に塗布し、図25に示す破線矢印の方向に磁界を印加しながら加熱して有機バインダーを除去して高保磁力微粒子層44を形成する。さらに、これにポリッシング処理を施して穴以外の部分に形成された高保磁力微粒子層44を除去し、シリコン基板46の平坦化を行う。
【0126】
次いで、このシリコン基板46上にスパッタリングにより磁気抵抗効果膜42を厚さ約20nmで形成した後、この膜を30μm×2μmのストライプ形状にパターニングする。その後、Cuを厚さ約200nmで形成し、パターニングしてリード43を形成する。
【0127】
このリード43と高保磁力微粒子層44の位置関係は、適宜選択することができる。例えば、リード間隔よりも、高保磁力微粒子層44の間隔が短ければ、高保磁力微粒子層44の間隔でトラック幅を規定することができる。
【0128】
さらに、図22〜25は、異方性磁気抵抗効果を利用する磁気抵抗効果素子に高保磁力微粒子層を適用した例であるが、次に、スピン依存散乱による磁気抵抗効果を利用する磁気抵抗効果素子に高保磁力微粒子層を用いた例について説明する。図26はスピン依存散乱による磁気抵抗効果を利用する磁気抵抗効果素子を示す断面図である。この磁気抵抗効果素子は次のようにして作製される。
【0129】
まず、基板40上にCo90Fe10からなる下磁性膜47を厚さ8nmで、Cuからなる非磁性膜48を厚さ3nmで、Co90Fe10膜からなる上磁性膜49を厚さ8nmでそれぞれスパッタリングにより形成する。この多層膜をストライプ形状にパターニングし、上磁性膜49上にリード43を形成する。次いで、これにFeCo合金微粒子を用いて高保磁力微粒子層44を、その高保磁力微粒子の磁化容易軸がストライプの長手方向に揃うように形成する。
【0130】
このような構成の磁気抵抗効果素子においては、高保磁力微粒子層44と直接接触している上磁性膜49の磁化がストライプの長手方向に固着される。一方、下磁性膜47は信号磁界に追随して磁化の回転が可能となる。その結果、信号磁界に応じて非磁性膜48を挟持した上下磁性膜47,49の磁化方向の間のなす角が変化する。このため、スピン依存散乱による抵抗変化が発生する。この高保磁力微粒子層44は、トラック幅に相当する領域に形成してあればよい。また、磁化の向きは、ストライプの長手方向に限らず、ストライプの幅方向であってもよい。
【0131】
さらに以上は、高保磁力微粒子層44が磁気抵抗効果膜42と直接接触させた例であり、このように高保磁力微粒子層44が磁気抵抗効果膜42と直接接触することにより両者が交換結合している。これに対し、高保磁力微粒子層44と磁気抵抗効果膜42が非磁性物質を挟持して接する場合であっても、両者が静磁結合することによりバイアス磁界を印加することができる。
【0132】
実施例B8
図27に、第2の課題を解決するヨークタイプ型再生ヘッドの例を示す。このヨークタイプ型再生ヘッドは、軟磁性体50と軟磁性ヨーク51との間の磁気ギャップにより磁束を取り込んで素子部52に導くものである。
【0133】
また、図28に、第2の課題を解決する垂直記録用ヘッドの例を示す。ここでは、軟磁性体50が記録用主磁極を兼ねている。場合によっては、リードを紙面において手前に延在させ、記録用コイル53として使用してもよい。
【0134】
いずれの場合も軟磁性体50は後方にも延在させているが、これは反磁界を減少させて再生感度を向上させるためである。
【0135】
実施例B9
図29は、第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図である。この図29に示す磁気抵抗効果素子は、図30(A)〜(C)に示すようにして作製される。
【0136】
図30(A)に示すように、基板20上にNiFe等からなる下磁性膜21を厚さ約8nmで成膜し、この上にレジスト層26を形成してパターニングする。次いで、図30(B)に示すように、リフトオフ法でCu等からなる非磁性膜22を厚さ約3nmで成膜し、その後レジスト層26を除去する。次いで、図30(C)に示すように、NiFe等からなる上磁性膜23を厚さ約8nmで成膜する。このとき、下磁性膜21の表30清浄する目的でスパッタエッチングをするほうが望ましい。
【0137】
次に、図29に示すように、上下磁性膜21,23と、非磁性膜22を一括して所望の形状に、通常の半導体プロセスを用いてパターニング後、リフトオフ法でリード25を作製する。このとき、リード25は上磁性膜23の段差部分よりも内側に作製することが望ましい。
【0138】
このような構造にすることにより、信号磁界の無い初期状態では、上下磁性膜21,23の非磁性膜22で分離されている部分の磁化は、センス電流や膜形状でトラック幅方向に互いに反平行状態であり、上下磁性膜21,23が結合している部分の磁化は平行である。外部からの信号磁界が流入すると、初期状態で反平行であった非磁性膜22で分離されている部分の磁化が平行となり、抵抗が変化し薄膜磁気ヘッドとしての役割を果たす。また、非磁性膜22が媒体対向面に露出していないため耐蝕性も問題も無い。
【0139】
図31(A)は、第2の課題を解決する他のスピンバルブ型磁気抵抗効果素子を示す。ここで、下磁性膜21に交換結合した軟磁性膜31は、媒体対向面から離れた部分が露出部分に比べてトラック幅方向の寸法が大きい。これにより、軟磁性膜31の磁化はトラック幅方向に向き易くなる。このとき、図31(A)に示すように、軟磁性膜31の両端に隣接して硬質磁性膜36を配置するか、または図31(B)に示すように、硬質磁性膜36あるいは反強磁性膜を両端に積層する等の手段によりバイアスを加えることにより、軟磁性膜31を単磁区化することが容易となる。さらに、前記したように、軟磁性膜31は、分流を抑制できること、硬質磁性膜や反強磁性膜に対する配向の影響を抑制できること等の理由から、アモルファス膜であることが望ましく、その材料としては例えばCoZrNb等が挙げられる。このとき、寸法が広くなる部分は、角が直角になるよりも丸みを持った曲線であることが単磁区化において好ましい。
【0140】
ここで、特に、硬質磁性膜36を軟磁性膜31の両端部に積層する場合においては、硬質磁性膜36からの漏れ磁界を抑制するために、図32に示すように、軟磁性膜31上にのみ積層されることが望ましい。この図32に示すような磁気抵抗効果素子は、図33(A)〜(D)に示すようにして作製される。
【0141】
図33(A)に示すように、基板20上にCoZrNb等からなる厚さ約15nmの軟磁性膜31、CoFeまたはCo等からなる厚さ約4nmの下磁性膜21、Cu等からなる厚さ約3nmの非磁性膜22、CoFeまたはCo等からなる厚さ約4nmの上磁性膜23、FeMn等からなる厚さ約14nmの反強磁性膜24、厚さ約10nm程度の保護膜15を順次形成する。さらに、保護膜15上の所定部分にレジスト層26をパターニングして形成する。なお、このとき保護膜15は、分流を防ぐために高抵抗である必要があり、さらに後のエッチングを安定して行うことができるものである必要がある。したがって、保護膜15としては、酸化層を作りにくいPd、Pt等の貴金属が適している。また、Ti等からなる保護膜上にPd等からなる膜を積層した多層構造であることが特に好ましい。
【0142】
次いで、図33(B)に示すように、下磁性膜21から保護膜15までをイオンビームエッチング等でエッチングする。次に、図33(C)に示すように、硬質磁性膜36をリフトオフ法で形成する。次いで、軟磁性膜31、保護膜15,21〜24、硬質磁性膜36上に、図33(D)に示すような形状のレジスト層26を形成する。その後、イオンビームエッチング等でエッチングし、前述したようにリードをリフトオフ法で形成することにより、図32に示すような構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0143】
上記構造において、磁束の吸い込みを考慮すると、図34に示すようなパターン形状のレジスト層26´とすることにより、より高い感度のヘッドを得ることができる。すなわち、図34では、媒体対向面と反対側に多層膜が延出して、この部分で磁壁の発生が予想されるので、硬質磁性膜36部分も媒体対向面と反対側に延出する形状としている。このようなレジスト層26´を用い、イオンビームエッチング等でエッチングし、リードをリフトオフ法で形成することにより、図35に示すような構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0144】
上述したように、図32および図34に示す磁気抵抗効果素子は、硬質磁性膜36が軟磁性膜31の上に積層される構造であるが、図36に示すように、硬質磁性膜36を軟磁性膜31の下に積層してもよい。このような構造にすることにより、硬質磁性膜36の配向を制御する下地膜を用いることができる。下地膜としては、例えば、硬質磁性膜36がCoNiまたはCoCrからなる場合Crを用いることが好ましい。
【0145】
図36に示す磁気抵抗効果素子は、図37(A)〜(C)に示すようにして作製される。まず、図3737)に示すように、基板20上に硬質磁性膜30を成膜し、所望の形状にパターニングする。次いで、図3737)に示すように、軟磁性膜31、下磁性膜21、非磁性膜22、上磁性膜23、反強磁性膜24、保護膜15を順次成膜する。次いで、図37(C)に示すように、多層膜を所望の形状にパターニングする。その後、図33(D)や図34に示すように、硬質磁性膜36、軟磁性膜31、および多層膜を一括パターニングすることにより、図36に示す構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0146】
実施例B10
図38は第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子にシールド層を組み合わせた場合の実施例を示す断面図である。図14に示すような信号磁界方向にセンス電流を通電する構造のスピンバルブ型磁気抵抗効果素子を作製し、これに図38に示すようにしてシールド層を配置した。このとき、上部シールド層61と媒体対向面側のリード62を接触させ、この電位をアースとし、もう一方のリードを高電位とする。このような構造とすることにより、ヘッド摺動時に媒体と接触した場合でも、電位が乱れることなく、高い信頼性の薄膜磁気ヘッドが得られる。この薄膜磁気ヘッドは、下部シールド層63上にSiO2 等の絶縁層64を形成し、図18と同様な方法で素子部65を形成し、さらに絶縁層64を形成してパターニングし、最後に上部シールド層61を形成することにより作製される。
【0147】
実施例B11
第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の構造上の寸法を図39を参照して説明する。
【0148】
この構造においては、信号磁界が0の場合に硬質磁性膜36によって軟磁性膜31の磁化方向を制御しなければならない。したがって、硬質磁性膜36の膜厚、磁化量をそれぞれthard、Mshardとし、軟磁性膜31の膜厚、磁化量をtamo 、Msamo としたとき、thard×Mshardがtamo ×Msamo と等しいか、または大きくなるように膜材料や膜厚を適宜選択することが好ましい。
【0149】
さらに、この磁気抵抗効果素子を薄膜磁気ヘッドとして用いる場合、ヘッドの先端部が媒体からの信号磁界によって飽和されないために、軟磁性膜31は厚い方がよい。さらに、軟磁性膜31の磁化応答を下磁性膜21に伝えなければならない。したがって、下磁性膜21の信号磁界応答層の膜厚、磁化量をそれぞれts.v.、Mss.v.とすると、tamo ×Msamo がts.v.×Mss.v.と等しいかまたは大きくなるように膜材料や膜厚を適宜選択することが好ましい。
【0150】
次に、リセス距離cについて説明する。従来、磁気抵抗効果膜としてNiFe単層膜を用いた場合、デプスは特性長と同レベルが良いと考えられていた。しかしながら、この薄膜磁気ヘッドは、巨大磁気抵抗効果を示す多層膜を用いており、抵抗変化率が大きいため、リセス距離cは特性長の数倍程度でもよい。
【0151】
一方、突出部分の磁壁発生の抑制を考慮すると、突出部分は小さい方がよい。すなわち、リセス距離cは小さい方がよい。このため、図39中の多層膜の信号磁界方向の長さaに比べて距離cが等しいか、または小さくなるように寸法を適宜設定することが好ましい。ただし、軟磁性膜31の膜厚を薄くすると、軟磁性膜31の磁壁はネール磁壁となり易くなる。この場合、ネール磁壁は磁壁幅が大きいため、リセス距離cを長くすることができる。
【0152】
実施例B12
図40(A)は、2つの磁性膜の磁化容易軸が媒体対向面と略平行で、かつセンス電流方向と略直交である磁気抵抗効果素子の一例を示す斜視図である。図40(A)において、磁性膜71および72は厚さ50nmのCoFe膜からなる。なお、磁性膜72は、その信号磁界方向の長さが磁性膜71の長さより長くなるように形成されている。磁性膜71および72の間には、Cuからなる厚さ数10nmの非磁性膜73が挟持されており、磁気抵抗効果素子を構成している。この多層膜の側面には、リード74および75が接続されており、直流電流が通電可能になっている。
【0153】
このような構成においては、どちらの磁性膜71,72の磁化も交換結合による固着はしていない。また、2つの磁性膜71,72には、それぞれの磁化容易軸が互いに略平行に、しかもセンス電流方向とは略直交するように、磁気異方性を付与しておく。
【0154】
信号磁界Hが作用しない場合には、2つの磁性膜71,72の磁化M1 ,M2 は、センス電流Iによる磁界の作用で、図40(B)に示すM1 ,M2 のように互いに略反平行であって磁化容易軸と略平行な方向に向く。このときの電気抵抗は最も大きい。これに対し、図40(A)に示す矢印方向の信号磁界Hが作用する場合には、磁性膜71,72の磁化M1 ,M2 はそれぞれ図40(B)のM1H,M2Hのように、互いに逆方向に回転する。すなわち、M1 ,M2 のなす角は180°から図40(B)に示すφ(°)まで変化する。信号磁界が強ければ、この角φは0°に近づき、0°で電気抵抗が最小となる。
【0155】
したがって、信号磁界Hにより、磁性膜71,72の磁化M1 ,M2 を略反平行から略平行まで変化させることができ、スピン依存散乱による10%以上の電気抵抗変化のすべてを利用することができる。さらに、CoFe膜の異方性磁気抵抗効果による電気抵抗変化は2%以下であるので、得られる薄膜磁気ヘッドにおいては信号磁界に対する電気抵抗変化を大きく取り出せる。
【0156】
なお、2つの磁性膜の磁化を安定化させるためには、磁性膜の端部に現れる磁価がほぼ等量であることが望ましい。このため、2つの磁性膜の飽和磁束密度Msと膜厚tの積がほぼ一致することが望ましい(Ms1 ・t1 〜Ms2 ・t2 )。したがって、Ms1 ・t1 〜Ms2 ・t2 となるように磁性膜の材料・寸法を決定することが好ましい。
【0157】
図41(A)は、2つの磁性膜の磁化容易軸が媒体対向面と略平行でかつンス電流方向と略直交である磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図である。この例では、磁気抵抗効果素子の端部に磁性膜からなるフラックスガイド76を取り付けた以外は図40(A)と同じである。この構成によれば、媒体からの信号磁界は、フラックスガイド76を通って磁気抵抗効果素子に導かれる。このフラックスガイド76の材料は、軟磁気特性を示すものであればよく、構造は単層でも多層でもよい。図41(A)および図41(B)では、フラックスガイド76と磁気抵抗効果素子が同じ幅で併置されているようになっているが、両者の幅は異なっていてもよいし、両者の一部が重なり合っていてもよい。また、このようなフラックスガイド76は、磁気抵抗効果素子の媒体と反対側の端部に配置されてもよいし、記録媒体側および記録媒体と反対側の両方に配置されてもよい。また、図40および図41では、リード74および75は、磁気抵抗効果素子と同じ厚さで併置されているようになっているが、フラックスガイド76の場合と同様に、両者の厚さは異なっていてもよいし、両者の一部が重なり合っていてもよい。
【0158】
図42も第2の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示したものであり、非磁性導電膜77上に磁性膜72が形成されていること以外は図40(A)と同じである。非磁性導電膜77を設けた理由は以下の通りである。
【0159】
薄い磁性膜を有する素子においては、一般に磁性膜の構造は下地膜の種類や結晶構造に敏感である。例えばアルミナスパッタ膜上のNiFe膜は結晶性が悪いが、Cu、Ta、Tiからなる薄い下地膜を設けることにより、fccに配向し易い傾向があることが知られている。また、結晶性が悪い磁性膜は、格子の不規則性に起因する固有の電気抵抗が大きく、このような磁性膜では、全電気抵抗に対するスピン依存散乱による電気抵抗の割合が小さく、結果としてスピンの平行、反平行での抵抗変化率が減少してしまう。
【0160】
図42に示した磁気抵抗効果素子では、非磁性導電膜77の電気抵抗が小さい場合、センス電流Iが分流されて出力低下を招く恐れがあるが、スピン依存散乱には膜面垂直方向の電流も寄与するため、非磁性導電膜77の電気抵抗が小さくても全体としての電気抵抗変化が大きくなる場合もある。また、分流した電流により発生する磁界は、2つの磁性膜71,72の磁化方向を互いに略反平行にするようには働かず互いに略平行にするように働くため、2つの磁性膜71,72の磁化方向はセンス電流Iによる磁界のみでは互いに略反平行にはなりにくくなるが、反磁界等で2つの磁性膜71,72の磁化方向が略反平行になった場合には、信号磁界に対する電気抵抗変化は大きくとれる。
【0161】
図43(A)は、2つの磁性膜の磁化容易軸がセンス電流方向および信号磁界方向と略平行である磁気抵抗効果素子の一例を示す斜視図である。磁気抵抗効果素子およびリードの構成は図40(A)と同じである。
【0162】
信号磁界およびセンス電流による磁界が作用しない場合には、図43(B)に示すように、非磁性膜73を介した磁性膜71および72の交換結合により、2つの磁性膜71,72の磁化M01,M02の方向が互いに略平行であって磁化容易軸方向を向いている。これに対し、センス電流Iを流すと、図43(C)に示すように、2つの磁性膜71,72の磁化方向を互いに逆方向に回転させる電流磁界が発生し、磁性膜71,72の異方性磁界と反磁界等のバランスで2つの磁性膜71,72の磁化M01,M02の互いになす角がある角度ψ(°)になったところで安定する。さらに、信号磁界Hが作用すると、磁化M01,M02は信号磁界Hの方向に回転し電気抵抗が変化する。もしψが90°付近であるとすると、電気抵抗変化は弱い信号磁界Hに対しては線形となり、波型歪みが少くなり、信号処理はし易くなる。
【0163】
図44,図45は、2つの磁性膜の磁化容易軸が媒体対向面と平行でかつセンス電流方向と略直交である磁気抵抗効果素子において、磁気抵抗効果素子の動作点を変えるためのバイアス磁界を印加する方法を示す説明図である。
【0164】
図44では、2つの磁性膜71および72、並びに非磁性膜73からなる磁気抵抗効果素子は図4440)と同じであるが、センス電流isを通電するリード81が磁気抵抗効果素子と交差する形状となっている。また、これらの磁気抵抗効果素子およびリード81は、シールド層78により挟持されている。このような構成において、センス電流isは端子79から供給され、磁気抵抗効果素子を通過し、端子80から出た後磁気抵抗効果素子を横切って磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加する。この場合、磁気抵抗効果素子とリード81が交差する部分では、電流の作る磁界は磁気抵抗効果素子の磁化困難軸方向に作用する。したがって、2つの磁性膜71,72の磁化方向は反平行ではなく、このバイアス磁界の方向に少し回転する。
【0165】
図45は、このバイアス磁界の発生原理を説明した断面図である。端子79,80の幅は磁気抵抗効果素子の長手方向(電流方向)の長さより短く、シールド層78、磁性膜71,73,およびリード81で閉磁路を構成している。これにより、磁界発生効率が良好となる。なお、図中83は記録媒体を示す。
【0166】
また、このときシールド層78に挟持されており、磁気抵抗効果素子が埋設されている磁気ギャップ層78´を通常の材料であるAl2 3 あるいはSiO2 から、熱伝導性に優れ、薄膜形成プロセスに適したSiC、Si3 4 、またはダイヤモンドに変更することにより、磁気抵抗効果素子に流し得るセンス電流を増加させることができる。これにより、再生出力が大きくなると共に薄膜磁気ヘッドの信頼性および製造における歩留りが向上する。
【0167】
下記表1から分かるように、SiC、ダイヤモンド(もしくはダイヤモンド様のカーボン)は、Al2 3 、SiO2 よりもはるかに熱伝導率が高い材料である。すなわち、磁気抵抗効果素子にセンス電流を流した時の磁気抵抗効果素子の温度上昇を抑えることができる。このことは、磁気抵抗効果素子に流し得る最大センス電流を増加できることを意味する。したがって、センス電流の大きさに比例する再生出力の向上および再生S/Nの改良を実現できる。
【0168】
また、SiCやSi3 4 は、Al2 3 、SiO2 よりも緻密な膜となるので、絶縁性および平坦性に優れる膜を容易に得ることができる。さらに、SiC、Si3 4 、ダイヤモンドは、Al2 3 、SiO2 よりもエッチングし易いため、高精度の薄膜プロセスが可能となる。その結果、薄膜磁気ヘッドの信頼性が向上し、製造における歩留りが向上する。
【0169】
【表1】
Figure 0003764361
【0170】
実施例C1
以下の実施例C1では、他の磁性膜よりも大きい幅を持つ磁性膜のトラック幅方向の反磁界が小さくなり、また、硬質磁性膜等によりトラック幅方向にバイアス磁界が印加されるので、この磁性膜の磁化をトラック幅方向に向けることができる。
【0171】
また、この磁性膜の厚みが変化する部分から漏洩磁界を発生させることができ、その磁界が他の磁性膜の端部に印加されるので他の磁性膜のエッジカーリングウォールも取り除くことができる。
【0172】
よって、トラック幅が小さくなり素子幅が小さくなってもエッジカーリングウォールをなくし、再生出力の低下をなくすことができる。
【0173】
図46は、第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子を示す斜視図である。図中90は基板を示す。基板90上には、CoZrNb等からなる強磁性膜91が形成されている。強磁性膜91上には、NiFe等からなる下磁性膜92、CuあるいはAl2 3 等からなる非磁性膜93、およびNiFe等からなる上磁性膜94が順次形成されている。下磁性膜92、非磁性膜93、および上磁性膜94は、強磁性膜91の幅よりも小さい幅となるようにエッチングによりパターニングされている。
【0174】
また、上磁性膜94上には、Cu/Cr等からなるリード95a,95bが形成されている。また、基板90上であって強磁性膜91の両側には、CoPt等からなる硬質磁性膜96が形成されている。
【0175】
このような構成の磁気抵抗効果素子において、センス電流はリード95bより入り、95aより流れ出ており、強磁性膜91と下磁性膜92にはx方向の電流磁界が印加され、上磁性膜94には−x方向の電流磁界が印加される。また、硬質磁性膜96はx方向に磁化されており、さらに強磁性膜91、下磁性膜92、上磁性膜94はx軸に略平行な方向に磁化容易軸が誘導されている。
【0176】
この磁気抵抗効果素子においては、図49に示すように、強磁性膜91にはx方向の強いバイアス磁界HB が印加されることになり、その磁化M1 はx方向を向く。下磁性膜92の磁化M2 はセンス電流による磁界のみならず強磁性膜91の磁化M1 と交換結合するため、同様にx方向を向く。さらに、下磁性膜92の端部92aに漏洩磁界Hが発生し、これが上磁性膜94に印加されることになる。その大きさは上磁性膜94のトラック幅方向の中央では、ほぼ下磁性膜92の反磁界と同じになり、Hd 〜4πMs *t/wと与えられる。ここで、Ms は下磁性膜92の飽和磁化、tはその厚さ、wはx軸に略平行な方向(トラック幅方向)の幅である。例えば、4πMs =10000ガウス、t=100オングストローム、w=1μmの場合、Hd 〜100エルステッドの大きさとなる。当然のことながら、上磁性膜94の端部においてはもっと大きな磁界となる。したがって、上磁性膜94の磁化M3 は、電流磁界と下磁性膜92からの磁界Hのため−x方向を向き、エッジカーリングウォールも小さくなり、中央部の磁化もx軸に平行なものとなる。
【0177】
なお、図47に示すように、下磁性膜92をトラック幅方向に延出させ、かつ非磁性膜93と上磁性膜94の下部を他の部分よりも厚く形成してもよく、図48に示すように、硬質磁性膜96を下磁性膜92上に直接形成してもよい。
【0178】
実施例C2
以下の実施例C2〜C6では、2つの磁性膜の形状をそれぞれ変える。具体的に、2つの磁性膜の反磁界の最小方向がそれぞれ略直交するようにする。そのため、反強磁性膜や高保磁力膜等により一方もしくは双方の磁性膜にバイアス磁界を印加しなくとも、互いに略直交方向に磁化が向いて安定となる。したがって、センス電流や記録媒体との摩擦によって発熱が生じても、磁化はそれぞれ安定方向を向いたままで互いに略直交の関係は損なわれない。
【0179】
また、スピン依存散乱による抵抗変化は、2つの磁性膜が積層された領域でしか起こらない。したがって、CoやCo90Fe10膜等のように、異方性磁気抵抗効果の小さい材料を選択すれば、リードの配置によらず、積層幅でトラック幅を規定することができる。
【0180】
図50に示すように、基板100上にCo90Fe10からなる強磁性膜101を厚さ8nmで形成し、これを2μm×20μmの寸法の矩形状にパターニングした。次に、強磁性膜101の中央部に、Co90Fe10からなる磁性膜103を厚さ8nmで形成し、2μm×2μmの寸法の矩形状にパターニングする。次いで、Cuからなる非磁性膜102を厚さ3nmで形成し、さらにCo90Fe10からなる磁性膜103を厚さ8nmで形成した。続いて、この非磁性膜102および非磁性膜102上の磁性膜103を2μm×20μmの寸法の矩形状に、その長手方向が強磁性膜101の長手方向と略直交するようにしてパターニングした。次いで、強磁性膜101の端部上にCuを厚さ200nmで形成し、パターニングしてリード104を形成した。このようにして磁気抵抗効果素子を作製した。このとき、強磁性膜101と上層の磁性膜103の磁化容易軸の方向は矢印で示したように略直交しており、強磁性膜101と下層の磁性膜103とが交換結合している。
【0181】
この磁気抵抗効果素子の抵抗変化率の信号磁界依存性を図51に示す。なお、抵抗変化率は、下記式(3)により算出した。また、信号磁界はセンス電流の通電方向に略直交する方向、すなわち強磁性膜101の長手方向と略直交する方向に流入する。
【0182】
抵抗変化率=(最大抵抗値−飽和抵抗値)/飽和抵抗値 …(3)
図51から分かるように、信号磁界が0の場合において、動作点バイアスが良好に印加されている。抵抗変化51挙動は、信号磁界方向と上層の磁性膜103の磁化51が略平行である場合には、信号磁界の増加につれて抵抗変化率は減少する。一方、信号磁界方向と上層の磁性膜103の磁化方向が略反平行である場合には、信号磁界の増加につれて抵抗変化率は増加する。例えば、信号磁界が約6kA/mで上層の磁性膜103の磁化反転が発生し、抵抗変化率はほぼ0に低下する。なお、図52に示す磁気抵抗効果素子は、上層の磁性膜103の一端面が、強磁性膜101の側面と同一面上となるT字型の構造であるが、この強磁性膜101と上層の磁性膜103とは、略直交に交差する十字型の構造でも同じ効果を発揮できる。
【0183】
実施例C3
図52に示すように、基板100上にCo90Fe10からなる強磁性膜101を厚さ8nmで形成し、これを2μm×20μmの寸法の矩形状にパターニングし、その中央部上にCo90Fe10からなる磁性膜103を厚さ8nmで形成し、2μm×2μmの寸法の矩形状にパターニングした。次に、成膜装置に設置したヘルムホルツコイルにより4kA/mの静磁界を発生させて、パターニングされた強磁性膜101の短辺方向と一致させた。次いで、静磁中で全面に、Cuからなる非磁性膜102を厚さ3nmで、Co90Fe10からなる磁性膜103を厚さ8nmで形成し、さらにFeMnからなる反強磁性膜105を厚さ15nmで形成した。この後、非磁性膜102、非磁性膜102上の磁性膜103、および反強磁性膜105を2μm×20μmの寸法の矩形状に、その長手方向が強磁性膜101の長手方向と略直交するようにしてパターニングした。次いで、強磁性膜101の端部上にCuを厚さ200nmで形成し、パターニングしてリード104を形成した。このようにして磁気抵抗効果素子を作製した。このとき、強磁性膜101と上層の磁性膜103の磁化容易軸の方向は矢印で示したように略直交しており、強磁性膜101と下層の磁性膜103とは交換結合している。
【0184】
この磁気抵抗効果素子の抵抗変化率の信号磁界依存性を図53に示す。図53から分かるように、信号磁界が0の場合においては、磁性膜103の磁化が互いに略直交して動作点バイアスが印加されている。信号磁界を負の方向へ増加させると、反強磁性膜105により上層の磁性膜103に交換バイアスが印加されているため、約12kA/mまで上層の磁性膜103では磁化反転が生じず、2つの磁性膜の磁化は互いに略反平行状態を保っていることが確認できる。一方、信号磁界を正の方向に増加させると、互いに磁化方向が略平行になることで抵抗変化率は減少する。
【0185】
なお、ここで、反強磁性膜105の代わりにCoPt等からなる硬質磁性膜を用いる場合、硬質磁性膜を上層の磁性膜103の長手方向に沿って磁化することにより同様の効果が得られる。
【0186】
実施例C4
実施例C3では、磁性膜の磁化を固着するのに反強磁性膜や硬質磁性膜を用いているが、図54に示すようなリード配置を構成して電流磁界を利用することも可能である。すなわち、強磁性膜101と上層の磁性膜103および非磁性膜102の積層膜とを、強磁性膜101とこの積層膜と、が下層の磁性膜103を挟持するようにして、しかも略直交するようにして積層する。さらに、強磁性膜101および上層の磁性膜103の両端部にリード104を図54に示すように形成して、強磁性膜101と上層の磁性膜103および非磁性膜102の積層膜のそれぞれにセンス電流IS のほぼ半分(IS /2)が流れるようにする。
【0187】
このような構成を有する磁気抵抗効果素子では、強磁性膜101に流れるセンス電流で、上層の磁性膜103は図中M2 の方向に磁化される。一方、上層の磁性膜103および非磁性膜102に流れる電流で強磁性膜101は図中M1 の方向に磁化される。すなわち、それぞれの電流によって、磁化が互いに略直交方向に向き易くなる。したがって、センス電流を分流して略直交方向に流すことにより誘起された電流磁界は、強磁性膜101と上層の磁性膜103との磁化を略直交させて動作点バイアスを安定化する。
【0188】
実施例C5
実施例C2において使用された強磁性膜または磁性膜として、単層の膜ではなく、磁性膜と非磁性膜との積層膜を使用しても同様の効果が現れた。例えば、実施例C2におけるCo90Fe108nm/Co90Fe108nm/Cu3nm/Co90Fe108nm/Co90Fe108nm多層膜をCo90Fe108nm/Co90Fe108nm/Cu3nm/Co90Fe108nm/ML1、ML1/Co90Fe108nm/Cu3nm/Co90Fe108nm/ML1としても同様の効果が得られた。ただし、ML1は、Co90Fe101nm/(Cu0.6nm/Co90Fe101nm)×n(n=6)の積層膜を意味する。なお、ML1におけるCo90Fe10を5nm程度に厚くしてn=1としても同様に効果があった。
【0189】
実施例C6
実施例C3において使用された強磁性膜として、単層の膜ではなく、磁性膜と非磁性膜との積層膜を使用しても同様の効果が現れた。例えば、実施例C3におけるFeMn15nm/Co90Fe108nm/Cu3nm/Co90Fe108nm/Co90Fe108nm多層膜において、FeMn15nm/Co90Fe108nm/Cu3nm/Co90Fe108nm/ML1としても同様の効果が得られた。ただし、ML1は、実施例C5と同じである。また、ML1におけるCo90Fe10を5nm程度に厚くしてn=1としても同様に効果があった。
【0190】
実施例D1
図55は第4の課題を解決する、磁性膜数が多数である磁気抵抗効果素子の一実施例を示す概略図である。この磁気抵抗効果素子は、基板上に3つの磁性膜131,132,133が非磁性膜134,135を介して積層されており、信号磁界が0の時に、磁性膜131,133と磁性膜132の磁化の向きは、弱いRKKY的な相互作用等によって略反平行となっている。
【0191】
この多層膜の両側には、隣接してバイアス磁界印加用の硬質磁性体としての永久磁石136a,136bが配置されており、磁性膜131,133と略同一方向に磁化されている。このため、磁性膜131,132,133に略同一方向の磁界Hext を印加している。さらに、磁性膜131,132,133は、それぞれが強磁性体なので、他の各磁性膜に対して静磁界を印加している。
【0192】
図56(A)〜図56(C)は、それぞれ磁性膜131,132,133に対して加えられる磁界の方向と強さを模式的に表したものである。磁性膜131,133に対しては永久磁石からの磁界Hext と磁性膜132からの静磁界H21,H23が磁化方向と略同一方向に加わる。また、磁性膜131,133からの静磁界H31,H13が磁化方向と略反対方向に加わるが、H21>H31,H23>H13なので磁性膜131,133には磁化方向と略同一方向にバイアス磁界が印加される。
【0193】
これに対して、磁性膜132の場合、磁化方向が磁性膜131,133の磁化方向と略反平行であるために、Hext が磁化方向と略反対方向に加わる。しかしながら、磁性膜131,133からの静磁界H12,H32はHext と略反対方向に加わるため、永久磁石の発生する磁界Hext の強さと、永久磁石と多層膜の距離を調節し(Hext <H12+H32)とすることにより、磁性膜132にも磁化方向と略同一方向のバイアス磁界を印加することができる。
【0194】
なお、磁性膜の数が奇数の場合、信号磁界が0の場合の磁化の反平行状態の安定化のためには、センス電流を磁性膜の磁化方向と略平行な方向に流すことが好ましい。
【0195】
実施例D2
図57は第4の課題を解決する磁気抵抗効果素子について、各磁性膜の磁化方向を説明するための概略図である。この磁気抵抗効果素子は、基板上に4つの磁性膜137,138,139,140が非磁性膜141,142,143を介して積層されており、磁性膜137,139と磁性膜138,140の磁化方向は信号磁界が0の時に互いに略反平行状態になっている。この多層膜に対し各磁性膜の磁化方向と略直交方向にセンス電流を通電すると、センス電流による電流磁界が各磁性膜の磁化方向に対して略同一方向または略反対方向に加わる。
【0196】
図58(A)〜図58(D)は、このときそれぞれ磁性膜137,138,139,140に対して加えられる磁界の方向と強さを模式的に表したものである。磁性膜137に対しては磁性膜138,139,140、非磁性膜141,142,143に流れる電流による磁界Hj6が磁化と略同一方向に加わり、静磁界は磁性膜138,140からの磁界H21,H41が略同一方向に、磁性膜139からの磁界H31が略反対方向に加わり、H21>H31>H41であるので、磁性膜137にかかる磁界の総和は磁化方向と略同一方向になる。磁性膜138に対しては、磁性膜137、非磁性膜141に流れる電流による磁界Hj2が略同一方向に、磁性膜139,140、非磁性膜142,143に流れる電流による磁界Hj4が略反対方向に加わり(Hj2<Hj4)、静磁界はH12,H32が略同一方向、H42が略反対方向に加わる(H12,H32>H42)。したがって、センス電流の大きさや多層膜の寸法比を調節することによって、磁性膜138にかかる磁界の総和も磁化方向と略同一方向となる。このとき対称性により、磁性膜139は磁性膜138、磁性膜140は磁性膜137にかかる磁界と同じ大きさの磁界が略反対方向にかかり、それぞれの磁化方向も略反対方向なので、磁化方向と略同一方向にバイアス磁界を印加することができる。
【0197】
ここで、上述したように磁性膜数が偶数の場合、多層膜の磁化の略反平行状態をより安定させるために、図59に示すように、バイアス磁界印加用の硬質磁性体として垂直磁化5944a,144bが多層膜の両側に隣接して配置される。そして、最上層の磁性膜140と最下層の磁性膜137は、その磁化方向と略同一方向に垂直磁化膜144a,144bからの磁界Hext が加わるような向きに垂直磁化膜144a,144bが磁化されている。具体的には、最上層の磁性膜140と最下層の磁性膜137と垂直磁性膜144a,144bの磁化方向が図59に示すような時計回りあるいは反時計回りの関係を満足すればよい。
【0198】
実施例E1
図60は、第5の課題を解決する磁気抵抗効果素子の一実施例を示す斜視図である。図67において、Co90Fe10/Cu/Co90Fe10の多層膜が短冊状にパターニングされている。このとき、積層膜の短辺がトラック幅に相当する。
【0199】
センス電流(図中IS )は、多層膜の長手方向に流れる。その電流磁界で、下磁性膜151および上磁性膜153は互いに略反平行状態に磁化される。センス電流Isは、多層膜の中央に設けられたリード154aから入り、二方向に分流して端部に設けられたリード154b,154cから出て行く。そのため、中央のリード154aを境にして、磁気抵抗効果素子に流れる電流方向が逆になるため、下磁性膜151および上磁性膜153の磁化方向はその中央のリード154aを境にして略反平行になる。すなわち、図中、破線矢印で示した磁化M1 とM2 、およびM3 とM4 は、それぞれ上下で組になっているが、同じ磁性膜で磁化M1 とM3 、M2 とM4 は互いに略反平行になる。そのため、同じ磁性膜で磁区を形成して静磁エネルギーを低下させる。その結果、上下磁性膜の磁化方向を略反平行状態にするのに必要なセンス電流を小さくできる。
【0200】
また、信号磁界は多層膜の短辺方向から流入してくる。そのため、上下磁性膜のアスペクト比が大きいほど、反磁界が減少する形状となるため、飽和磁界が減少して信号磁界に対する感度が向上する。したがって、上下磁性膜の信号磁界方向の長さを長く設定するほど感度は向上する。しかも、この上下磁性膜の磁化は、上述したように上下磁性膜の長手方向にわたってセンス電流が流れることで安定化する。
【0201】
さらに、このとき、図61に示すように、電流が流入するリード154aを延ばして、上下磁性膜と分流させることにより、その電流磁界で動作点バイアスを加えることも可能である。図68中、流入する電流をIS として、上下磁性膜を流れる電流をIS1とIS3とし、動作点バイアス用にIS2を分流した。
【0202】
この実施例E1に示す構造は、当然ながらヨークを用いて磁束を流入するタイプの磁気抵抗効果素子にも適用できる。また、実施例E1に示す磁気抵抗効果素子においては、例えば以下に示すような方法により上下磁性膜のエッジカーリングウォールを取り除くことができる。
【0203】
まず、図62は、エッジカーリングウォールを抑制するために、磁荷が現れる磁性膜の端部近傍にFeMnからなる反強磁性膜155を形成した磁気抵抗効果素子の断面図である。すなわち、この磁気抵抗効果素子は、Co90Fe10/Cu/Co90Fe10の多層膜の端面近傍に反強磁性膜155を配置した構造である。それぞれの膜厚は、Co90Fe108nm/Cu3nm/Co90Fe108nmである。この積層状態で磁気抵抗効果素子はスピンバルブ構造となり、スピン依存散乱による抵抗変化が発生する。また、反強磁性膜155は厚さ15nmで形成されており、センス電流は、信号磁界方向に通電される。なお、図62中150は基板を示す。
【0204】
このとき、上下磁性膜の磁化方向は、電流磁界によって図中M1 とM2 の矢印に示したように、それぞれ略反平行となるが、電流磁界が印加されるだけでは磁性膜の端面に磁荷が発生して、その反磁界によりエッジカーリングウォールが生じる。この場合、図62に示すように上磁性膜153の端部近傍に配置された反強磁性膜155と上磁性膜153が交換結合することにより、上磁性膜153の端部近傍の磁化が固着される。その結果、さらに上磁性膜153と下磁性膜151との間で静磁結合が生じるため、直接反強磁性膜155に接していない下磁性膜151でも端部近傍の磁化は端面を向きやすくなる。その結果、エッジカーリングウォールの発生が抑制されて、磁気抵抗効果素子の感度低下を防ぐことができる。なお、この構造は、上記の磁気抵抗効果素子以外にも広く適用が可能である。
【0205】
次に、上下磁性膜の磁束を環流させることによって、エッジカーリングウォールによる磁性膜の特性劣化を抑制する例について説明する。すなわち、ここでは、図63に示すように、下磁性膜151の端面を覆うような形状の磁性積層膜を作製することにより、磁束の環流は起こりやすくなる。図63は、積層膜の短辺側から見た断面図であり、センス電流は信号磁界方向に流れるようになっている。
【0206】
このような構造を作製する場合、まず、図63(A)に示すように、基板150上に下磁性膜151としてCo90Fe10膜を形成し、パターニングする。次いで、図63(B)に示すように、非磁性膜152としてCu膜および上磁性膜153としてCo90Fe10膜を全面に順次形成する。最後に、これを再度パターニングして、下磁性膜151端面を非磁性膜152および上磁性膜153が覆う構造の磁気抵抗効果素子が得られる。
【0207】
図中矢印に示されるように、センス電流により上磁性膜153および下磁性膜151は互いに略反平行に磁化され、下磁性膜151の端面まで覆う上磁性膜153により磁束は導かれ、上下磁性膜151,153を環流する。なお、この構造は、スピン依存散乱および異方性磁気抵抗効果を用いる場合の両方に有用である。
【0208】
また、上述した図63においては、まず、下磁性膜151をパターニングし、次いで非磁性膜152および上磁性膜153をパターニングすることにより、下磁性膜151の端面を覆う構造の磁気抵抗効果素子を形成した。以下の図64においては、一回のパターニングで作製する例について説明する。
【0209】
図71は一回のパターニングで作製された磁気抵抗効果素子を示す断面図である。なお、ここでは、磁気抵抗効果素以外のセンス電流方向と信号磁界方向が略直交する磁気抵抗効果素子について、図63と同様にエッジカーリングウォールを抑制した例を示す。まず、基板150上にリード154を形成し、リード間でトラック幅を規定する。この上に下磁性膜151/非磁性膜152/上磁性膜153を順次形成する。この実施例においては、Co90Fe10/Cu/Co90Fe10の積層膜とした。最後に、この積層膜をパターニングする。
【0210】
トラック部分の積層膜は、リード154と接触する部分で折れ曲がる形状となる。この折れ曲がった部分で、磁化は磁荷を発生して静磁エネルギーを上昇させる。その結果、上下磁性膜間で磁束が環流する静磁結合が生じ、磁化の略反平行状態を作り出す。
【0211】
さらに、図65は、信号磁界方向にセンス電流を流すタイプの磁気抵抗効果素子において、同様に段差や凹凸で磁性積層膜の磁化の略反平行状態を作り出す例について説明する。図65において、基板150上に磁気抵抗効果素子のセンス電流方向と平行な方向に沿って溝156が形成されている。なお、ここでも下磁性膜151/非磁性膜152/上磁性膜153はCo90Fe10/Cu/Co90Fe10積層膜とした。
【0212】
磁気抵抗効果素子は、紙面において奥に向かって伸びており、信号磁界は紙面に対して垂直方向に出入りする。センス電流IS は、リード154を通り、図の左側から供給されてくる。そして、Co90Fe10/Cu/Co90Fe10積層膜を紙面において奥に向かって流れて行く。したがって、この構造を適用した場合、先の図61に示した磁気抵抗効果素子とは異なり、磁気抵抗効果素子に流れる電流は、長手方向にわたってすべて同方向となる。ただしこのときも電流磁界により、上下磁性膜は、図中矢印のように略反平行方向に磁化される。この上下磁性膜における磁化は、溝156により形成されている段差の部分で磁束を環流し静磁結合を行う。したがって、端面が露出している構造よりも、磁荷が現れないためエッジカーリングウォールの発生に伴う磁気抵抗効果特性の劣化が抑制できる。
【0213】
実施例F
図66(A)は第6の課題を解決する磁気抵抗効果素子の一実施例を示す。この磁気抵抗効果素子は、NiFe等からなる磁性膜161、Cu等からなる非磁性膜162、NiFe等からなる磁性膜163、FeMn等からなる反強磁性膜164、およびTa等からなる保護膜165が順次形成されてなるものである。なお、磁性膜163の磁化は、反強磁性膜164の交換バイアスにより固着されている。また、保護膜165上には、リード166が形成されている。上記構成を有する磁気抵抗効果素子においては、信号磁界Hexが0の場合で磁性膜161,163および反強磁性膜164の磁化方向は図66(B)に示すようになる。
【0214】
次に、上記磁気抵抗効果素子を具備した薄膜磁気ヘッドの使用方法について説明する。ここでは、磁気抵抗効果素子には、106 〜107 A/cm2 程度の高電流密度のセンス電流を通電する。このセンス電流による電流磁界の強さは、前述のように10Oe程度のオーダーとなり、ここで用いられた反強磁性膜のネール温度やブロッキング温度が150〜300℃程度であるため、センス電流による発熱によりその一方向性が乱れ、磁化固着ができなくなる。実際に、60〜90℃程度の温度で長時間動作させると、交換結合力が劣化した。
【0215】
図67は、センス電流の大きさと抵抗変化67の関係を示すグラフである。センス電流が図66(B)中において−x方向に通電される場合、すなわち電流磁界が反強磁性膜の一方向性と同一方向に働く場合(a)には、高電流密度でも抵抗変化率は維持される。これに対して、センス電流が図66(B)中においてx方向に通電される場合、すなわち電流磁界が反対方向に働く場合(b)には、106 A/cm2 程度でも低下する。すなわち、センス電流の方向は、反強磁性膜の一方向性と略同一方向に磁界を発生するように選択する必要があることが分かる。
【0216】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明によれば、トラック幅を厳密に規定でき、オフトラック時の隣接トラックからのクロストークの影響が小さく、しかもリードとのオーミックコンタクトも良好な磁気抵抗効果素子を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(C)は本発明に係る磁気抵抗効果素子の一例を示す斜視図。
【図2】(A)〜(D)は本発明に係る磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図3】(A)〜(E)は本発明に係る磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図。
【図4】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の一例を示す斜視図。
【図5】(A)〜(C)は図4に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図。
【図6】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図7】(A)〜(C)は図6に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図。
【図8】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図9】(A)〜(C)は図8に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図。
【図10】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図11】(A)〜(C)は図10に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図。
【図12】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図13】(A)〜(C)は図12に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図。
【図14】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図15】(A)〜(C)は図14に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す斜視図。
【図16】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図17】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図18】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図19】(A)〜(D)は図18に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図、(E)は磁気抵抗効果素子を示す平面図。
【図20】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図21】(A),(B)はCoPt硬質磁性膜の結晶性を示すX線回折結果を示す特性図。
【図22】硬質磁性膜として高保磁力微粒子層を有する磁気抵抗効果素子を示す断面図。
【図23】硬質磁性膜として高保磁力微粒子層を有する磁気抵抗効果素子を示す断面図。
【図24】硬質磁性膜として高保磁力微粒子層を有する磁気抵抗効果素子を示す断面図。
【図25】図24に示す磁気抵抗効果素子の平面図。
【図26】硬質磁性膜として高保磁力微粒子層を有する磁気抵抗効果素子を示す断面図。
【図27】第2の課題を解決するヨークタイプ型再生ヘッドを示す側面図。
【図28】第2の課題を解決する垂直記録方式用ヘッドを示す側面図。
【図29】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の実施例を示す斜視図。
【図30】(A)〜(C)は図29に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す断面図。
【図31】(A),(B)は第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図および平面図。
【図32】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図33】(A)〜(C)は図32に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す斜視図、(D)は図32に示す磁気抵抗効果素子の平面図。
【図34】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の作製工程を示す平面図。
【図35】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す平面図。
【図36】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図37】(A)〜(C)は図36に示す磁気抵抗効果素子の作製工程を示す斜視図。
【図38】第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す断面図。
【図39】(A),(B)は第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の寸法を説明するための斜視図および平面図。
【図40】(A)は第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図、(B)は磁性膜の磁化方向を示す概略図。
【図41】(A)は第2の課題を解決するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図、(B)は磁性膜の磁化方向を示す概略図。
【図42】第2の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図43】(A)は第2の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図、(B),(C)は磁性膜の磁化方向を示す概略図。
【図44】第2の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図45】第2の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す断面図。
【図46】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子の一例を示す斜視図。
【図47】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図48】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図49】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子における磁化方向を説明するための概略図。
【図50】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図51】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子における信号磁界と抵抗変化率との関係を示すグラフ。
【図52】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す斜視図。
【図53】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子における信号磁界と抵抗変化率との関係を示すグラフ。
【図54】第3の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す平面図。
【図55】第4の課題を解決する磁気抵抗効果素子の一例を示す概略図。
【図56】(A)〜(C)は図55に示す磁気抵抗効果素子の磁性膜の磁界の方向と強さを模式的に表した図。
【図57】第4の課題を解決する磁気抵抗効果素子の磁性膜の磁化方向を示す概略図。
【図58】(A)〜(D)は図57に示す磁気抵抗効果素子の磁性膜の磁界の方向と強さを模式的に表した図。
【図59】第4の課題を解決する磁気抵抗効果素子の他の例を示す概略図。
【図60】第5の課題を解決する磁気抵抗効果素子の一例を示す斜視図。
【図61】第5の課題を解決する磁気抵抗効果素子のリードを示す平面図。
【図62】磁束を還流させた磁性積層膜の一例を示す断面図。
【図63】(A)〜(C)は図62に示す磁性積層膜の作製工程を示す断面図。
【図64】磁束を還流させた磁性積層膜の他の例を示す断面図。
【図65】磁束を還流させた磁性積層膜の他の例を示す断面図。
【図66】(A)は第6の課題を解決する磁気抵抗効果素子を示す斜視図、(B)は(A)に示す磁気抵抗効果素子における磁性膜および反強磁性膜の磁化方向を示す概略図。
【図67】第6の課題を解決する磁気抵抗効果素子のセンス電流の大きさと抵抗変化率との関係を示すグラフ。
【図68】従来の磁気抵抗効果素子を示す斜視図。
【図69】従来の磁気抵抗効果素子を部分的に示す平面図。
【図70】(A),(B)は従来の磁気抵抗効果素子を示す斜視図。
【符号の説明】
10,20,40,90,100,110,150…基板、11,24,105,155,164…反強磁性膜、12,21,33,47,92,111,151…下磁性膜、13,22,37,48,93,102,112,134,135,141,142,143,162…非磁性膜、14,23,34,49,94,113,120,153…上磁性膜、15,165…保護膜、16,25,43,62,74,75,81,95a,95b,104,154,154a,154b,154c,166…リード、17…下地膜、18…中間磁性膜、19…逆テーパレジスト、26,26´,32…レジスト層、27…SiO2 膜、28,156…溝、29…ポリシリコン膜、30…磁気的絶縁層、31…軟磁性膜、35,35a,35b…アモルファス膜、36,125,126…硬質磁性膜、41…シャントバイアス膜、42…磁気抵抗効果膜、44…高保磁力微粒子層、45…磁気的絶縁膜、46…シリコン基板、50…軟磁性体、51…軟磁性ヨーク、52…素子部、53…記録用コイル、61…上部シールド層、63…下部シールド層、64…絶縁層、71,72,103,131,132,133,137,138,139,140,161,163…磁性膜、73…導電膜、76…フラックスガイド、77…非磁性導電膜、78…シールド層、79,80…端子、83…記録媒体、91,101…強磁性膜、92a…端部、96…硬質磁性膜、136a,136b…永久磁石、144a,144b…垂直磁化膜。

Claims (1)

  1. 反強磁性膜、磁化が固着された第一磁性膜、実質的に信号磁界に応答する第二磁性膜、および前記第一磁性膜と前記第二磁性膜との間に挟持された非磁性膜を備える磁気抵抗効果膜を形成する工程と、
    前記磁気抵抗効果膜上にマスクを形成する工程と、
    真空中において少なくとも前記磁気抵抗効果膜のうち第二磁性膜の前記マスクで覆われていない領域をエッチングして前記反強磁性膜が延存した形状のコンタクト領域を形成する工程と、
    真空を破ることなく前記コンタクト領域と接触する電極材料を堆積して電極を形成する工程と、
    前記マスク上に残存している電極材料を除去する工程と
    を具備したことを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方法。
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