JP3708844B2 - スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

スピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部磁界により磁化の向きが回転するフリー磁性層と、磁化の向きが固定された固定磁性層を有し、フリー磁性層の磁化の向きにより電気抵抗が変化するスピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
図9に示す従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、下地層70と、反強磁性層71と、固定磁性層P7と、非磁性導電層75と、フリー磁性層F7と、保護層79が順次積層された積層体C7を有し、固定磁性層P7は、Co、CoNi合金、CoFe合金、CoFeNi合金等の強磁性材料からなり、反強磁性層71との界面に発生する交換異方性磁界によって磁化の向きが固定されている。
【0003】
積層体C7の両側には、ハードバイアス層81と、ハードバイアス層81上に形成された電極層80が設けられている。電極層80からは、積層体C7にセンス電流が印加されて、センス電流の中心は、最も導電性の高い非磁性導電層75の中心にほぼ一致している。
【0004】
フリー磁性層F7が外部磁界(H)を検知すると、フリー磁性層F7の磁化の向きは、外部磁界(H)の向きと平行に近くなるように回転する。そして、フリー磁性層F7の磁化の向きにより、センス電流の伝導電子の平均自由行程が変化するGMR(Giant Magnetoresistive)効果が生じ、電極層80間のGMR効果による抵抗変化(ΔR)から電極層80間の出力電圧(V)を生じ、外部磁界(H)の検出を行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
固定層P7の磁化状態を、熱的により安定させるためには、固定磁性層P7を、反強磁性層71側から、強磁性材料からなる第1の固定磁性層、非磁性材料からなる非磁性層、強磁性材料からなる第2の固定磁性層が順次積層された3層構造として、第1、第2の固定磁性層が、非磁性層を介して磁気的に結合した人工的なフェリ磁性状態とすることが提案されている。
【0006】
しかし、このような3層構造の固定磁性層P7では、全体の膜厚が増加して電気抵抗が低下するので、センス電流の中心が非磁性導電層75の中心から固定層P7側にズレる傾向があった。センス電流中心が固定層P7側にズレると、フリー磁性層F7からセンス電流中心が遠ざかり、フリー磁性層F7には、センス電流磁界により生じる磁界(センス電流磁界)の影響がより大きく及ぶことになる。
【0007】
センス電流磁界の影響が大きい場合では、図10に示すように、外部磁界(H)が−zの向き(センス電流磁界の向き)に印加されたとき、電気抵抗(R)は、外部磁界(H)の大きさの増加に従って線形的に減少し、外部磁界(H)が一定値(Hs2)以上になると、電気抵抗(R)は一定の値(R4)となる。また、外部磁界(H)が+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加されたとき、電気抵抗(R)は、外部磁界(H)の大きさの増加に従って線形的に増加し、外部磁界(H)が一定値(Hs1)以上になると、電気抵抗(R)は、一定の値(R3)となる。
【0008】
このとき、センス電流磁界の向きに平行な外部磁界の一定値(Hs2)は、センス電流磁界の影響によって、センス電流磁界の向きに反平行な外部磁界の一定値(Hs1)よりも小さく、センス電流磁界の向きに平行な外部磁界の一定値(Hs2)に対応する電気抵抗(R4)は、外部磁界がないとき(H=0)の電気抵抗(R0)からの変化が、センス電流磁界の向きに反平行な外部磁界の一定値(Hs1)に対応する電気抵抗(R3)よりも小さい。
【0009】
よって、等しい大きさ(絶対値)の外部磁界(H)が、それぞれ−zの向き(センス電流磁界の向き)と+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加されたとき、電気抵抗(R)は、+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加された外部磁界(H)に対して、より大きく変化する。
【0010】
このような外部磁界(H)と電気抵抗(R)の関係では、出力電圧波形に非対称性(Asymmetry−Plus)を生じて、デジタル信号処理上好ましくない。また、センス電流磁界が+zの向きである場合にも、外部磁界(H)と電気抵抗(R)の関係は、図11に示すようになり、出力電圧波形に非対称性(Asymmetry−Minus)を生じる。このような非対称の出力電圧波形では、デジタル信号処理がし難い問題があった。
本発明は、固定磁性層の磁化状態を熱的に安定させた状態で、出力電圧の対称性を保持して、デジタル信号処理のし易い出力電圧波形を得ることができるスピンバルブ型薄膜磁気素子及びこれを用いた薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、反強磁性層と、該反強磁性層に接触して積層された固定磁性層と、該固定磁性層と非磁性導電層を介して 対向するフリー磁性層とを有する積層体と、該積層体の両側に設けられた一対の電極層とを有し、前記固定磁性層は、強磁性材料からなる第1の固定磁性層が前 記反強磁性層と接触して、前記第1の固定磁性層、非磁性材料からなる非磁性層、強磁性材料からなる第2の固定磁性層が順次積層して形成され、前記第1の固 定磁性層は、前記第2の固定磁性層よりも比抵抗が高い第1層と、前記第2の固定磁性層と同じ材料からなる第2層とを備えて、前記第1層が前記反強磁性層に 接触して形成されると共に、前記第2層が前記非磁性層に接触して形成されて、前記第1の固定磁性層の磁化状態は、前記反強磁性層との磁気的結合により磁化 の向きが揃えられると共に固定されて、前記第1、第2の固定磁性層が、前記非磁性層を挟んで反平行に結合し、人工的なフェリ磁性状態を形成している。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、第1の固定磁性層の非磁性層との界面である第2層が第2の固定磁性層と同じ材料であるので、第1の固定磁性層と第2の固定磁性層は、磁気的に反平行状態に結合しやすく、人工的なフェリ磁性状態である固定磁性層の磁化状態は熱的に安定しており、且つ、第1の固定磁性層が比抵抗の高い第1層を有するので、第1の固定磁性層には、センス電流が分流し難く、センス電流中心は、第1の固定磁性層側にズレることなく、非磁性導電層のほぼ中心に一致する。よって、フリー磁性層には、センス電流により生じる磁界の影響が比較的少なく、GMR効果による抵抗変化の大きさは、外部磁界の向きがフリー磁性層におけるセンス電流磁界の向きと平行であるときと反平行であるときで、ほぼ等しくなり、電極層間の出力電圧は対称になるので、出力電圧波形のデジタル信号処理がし易くなる。
【0015】
また、センス電流が第1の固定磁性層に分流し難いことにより、GMR効果に寄与するフリー磁性層、非磁性導電層、第2の固定磁性層へのセンス電流を確保できるので、GMR効果による抵抗変化率が向上して、信頼性の高い外部磁界の検出を行うことができる。
【0016】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記第1の固定磁性層の前記第1層が、Co系アモルファス合金であり、前記第1の固定磁性層の前記第2層と前記第2の固定磁性層が、結晶質のCo、或いはCo系合金である。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、第1の固定磁性層の第2層と第2の固定磁性層が、両方ともCo系材料であるから、固定磁性層をより安定した人工的なフェリ磁性状態とすることができ、また、第1の固定磁性層の第1層はアモルファス状態なので、比抵抗を高くすることができる。
【0017】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記Co系アモルファス合金の比抵抗が100μΩ・cm以上である。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、センス電流の第1の固定磁性層への分流を確実に抑えることができる。
【0018】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記Co系アモルファス合金が、Co−Zr、Co−Hf、Co−Ti、Co−Nb、Co−Ta、Co−T−Z、Co−T−Z−Bのいずれかで、Tは、Nb、Mo、W、Ta、Zは、Zr、Hf、Tiから選ばれる1種または2種以上の元素であり、前記Co系合金は、CoNi合金、CoFe合金、CoFeNi合金のいずれかである。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、第1、第2の固定磁性層の反平行な磁気的結合が強いので、固定磁性層の磁化状態をより安定して形成することができる。
【0019】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記Co系アモルファス合金が、Coを70原子%以上含有しており、前記Co系合金が、Coを50原子%以上含有している。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、第1、第2の固定磁性層の反平行な磁気的結合が強いので、固定磁性層の磁化状態をより安定して形成することができる。
【0020】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記非磁性層が、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのいずれかである。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、前記非磁性層を介した第1、第2の固定磁性層の反平行な磁気的結合が強いので、固定磁性層の磁化状態をより安定して形成することができる。
【0021】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記積層体に、一対の前記電極層からセンス電流が印加されており、該センス電流により生じる磁界の向きは、前記第1の固定磁性層の位置で、前記第1の固定磁性層の磁化の向きに一致している。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、センス電流により生じる磁界により、固定磁性層の磁化状態をより安定させることができる。
【0022】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記反強磁性層を、元素XとMnを含有する合金からなり、元素Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、 Osのうちいずれか1種または2種以上の元素であるものにできる。このようなスピンバルブ型 薄膜磁気素子では、反強磁性層と固定磁性層の磁気的な結合(交換異方性磁界)が大きく、且つ、耐食性に優れ、ブロッキング温度が高いので、外部磁界や環境 温度の上昇によっても、固定磁性層の磁化方向が変動することがなく、信頼性の高いスピンバルブ型薄膜磁気素子とすることができる。
【0023】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記反強磁性層と固定磁性層の界面構造は、結晶学的な非整合状態である。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、反強磁性層と固定磁性層の磁気的な結合(交換異方性磁界)がさらに大きくなり、固定磁性層の磁化が変動することなく、信頼性をさらに高めたスピンバルブ型薄膜磁気素子とすることができる。
【0024】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記反強磁性層が、X−Mn−X’合金からなり、Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osのうちいずれか1種または2種以上の元素であり、X’は、Ne、Ar、Kr、Xe、Be、B、C、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、Hf、Ta、W、Re、Au、Pb、及び希土類のうち1種または2種以上の元素であり、X−Mn空間格子の隙間に元素X’が侵入しているか、X−Mn結晶格子の一部が元素X’に置換されている。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、反強磁性層と固定磁性層の界面構造を、確実に非整合状態とすることができる。
【0025】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記反強磁性層の比抵抗が200μΩ・cm以上であり、且つ、前記反強磁性層の膜厚が8乃至15nmである。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、センス電流の反強磁性層への分流も抑えることができる。
【0026】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、前記反強磁性層が、絶縁層上に直接形成されている。
このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、反強磁性層と絶縁層の間に導電性の層がないので、センス電流が反強磁性層より更に外側の層に分流することがない。
【0027】
本発明の薄膜磁気ヘッドは、上記いずれかに記載のスピンバルブ型磁気素子が、軟磁性材料からなる一対のシールド層間に設けられている。
このような薄膜磁気ヘッドでは、シールド層間以外の磁界がシールド層に吸収されて、スピンバルブ型薄膜磁気素子は、シールド層間に現れた媒体からの磁界のみを検知することができる。また、磁界の向きが媒体から薄膜磁気ヘッドに向かう向きとその反対とで、スピンバルブ型薄膜磁気素子の出力電圧は、磁界がないときの出力電圧に関して対称になる。出力電圧波形が対称であればデジタル信号処理しやすいので、読みとりエラーが発生することが少なく、信頼性の高い薄膜磁気ヘッドとすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の薄膜磁気ヘッドが形成されたスライダを示す説明図、図2は、本発明の薄膜磁気ヘッドの一例の概略図、図3は、本発明の薄膜磁気ヘッドの一例の要部断面図、図4は、本発明の実施の形態を説明するための前提となるスピンバルブ型薄膜磁気素子の説明図、図5は、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の実施の形態の説明図、図6、図7は、GMR効果の説明図、図8は、本発明のスピンバルブ型素子の電気抵抗の外部磁界依存性を模式的に示すグラフである。
【0029】
図4に示されるスピンバルブ型薄膜磁気素子は、アルミナやSiO等からなる絶縁層4上に、Ta等の導電材料からなる下地層22、反強磁性層11、固定磁性層P、非磁性導電層15、フリー磁性層F、保護層19が順次積層された積層体Cと、積層体Cの両側に、ハードバイアス層21と、ハードバイアス層21上に形成された電極層20とを備えている。
【0030】
反強磁性層11は、固定磁性層Pとの界面に生じる交換異方性磁界により、固定磁性層Pの磁化の向きを固定する役割を果たしており、X−Mn合金(ただし、Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osのうち1種または2種以上の元素)からなり、膜厚は8〜20nm程度、元素Xの組成は、37〜63原子%、より好ましくは44〜57原子%である。
【0031】
このような反強磁性層11は、耐食性に優れており、また、固定磁性層Pとの界面に生じる交換異方性磁界が強いので、固定磁性層Pの磁化の向きをより確実に固定することができる。さらに、ブロッキング温度が高く、高温まで交換異方性磁界が消失することがない。
【0032】
X−Mn合金のなかでも、Pt−Mn合金は、特に耐食性に優れ、ブロッキング温度が380℃と特に高く、交換異方性磁界が6.4×104(A/m)を越える。反強磁性層11をPt−Mn合金としたときには、反強磁性層11と固定磁性層Pとの界面に熱拡散層を形成する必要がある。
【0033】
このような反強磁性層11と固定磁性層Pとの界面の熱拡散層は、スピンバルブ型薄膜素子の製造工程において、下地層22、反強磁性層11、固定磁性層P、非磁性導電層15、フリー磁性層F、保護層19をスパッタ成膜した後の、磁場中熱処理工程により形成される。
【0034】
なお、反強磁性層11は、X−Mn−X’合金(ただし、X’は、Ne、Ar、Kr、Xe、Be、B、C、N、Mg、Al、Si、P、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、Hf、Ta、W、Re、Au、Pd、及び希土類元素のうち1種または2種以上の元素である)としてもよい。
【0035】
X−Mn−X’合金は、元素X’が侵入した侵入型固溶体であり、あるいは、元素XとMnとで構成される結晶格子の格子点の一部が、元素X’に置換された置換型固溶体であることが好ましい。これによって、反強磁性層11の格子定数を大きくすることができ、反強磁性層11と固定磁性層Pとの界面において、反強磁性層11と固定磁性層Pの原子配列が1対1に対応しない原子配列(非整合状態)を形成することができる。
【0036】
このように、反強磁性層11を、X−Mn−X’として、反強磁性層11の大きな格子定数とする手法等により、反強磁性層11と第1の固定磁性層14との界面における原子配列を非整合状態とすれば、反強磁性層11と固定磁性層Pの交換結合磁界を、さらに強固なものとできる。
【0037】
固定磁性層Pは、反強磁性層11と接触して形成された第1の固定磁性層12から順に、非磁性層13、第2の固定磁性層14が積層された三層構造である。
【0038】
第1の固定磁性層12は、Co系アモルファスの強磁性材料からなり、比抵抗が100μΩ・cm以上である。第1の固定磁性層12は、Coの含有率が70原子%以上であり、2元系のものとして、Co−Zr、Co−Hf、Co−TiCo−Nb、Co−Ta、3元系のものとして、Co−T−Z、4元系のものとして、Co−T−Z−B(ただし、Tは、Mo、W、Nb、Taのうち1種または2種以上の元素、Zは、Zr、Hf、Tiのうち1種または2種以上の元素である)等を用いることができる。このような第1の固定磁性層12の膜厚は、1〜5nmであることが好ましい。
【0039】
非磁性層13は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cu等の非磁性導電材料からなり、膜厚が0.7〜1.0nmであることが好ましい。
【0040】
第2の固定磁性層14は、結晶質であるCo系の強磁性材料からなり、Coの含有率が50原子%以上である。結晶質であるCo系の強磁性材料は、Co、CoNi合金、CoFe合金、CoFeNi合金等を用いることができる。このような第2の固定磁性層14の比抵抗は、15〜30μΩ・cm程度である。第2の固定磁性層14の膜厚は、第1の固定磁性層12の膜厚よりも厚く、3〜7nmであることが好ましい。第1の固定磁性層12の膜厚の第2の固定磁性層14の膜厚に対する比は、0.33〜0.95、より好ましくは、0.53〜0.95である。
【0041】
第1の固定磁性層12は、反強磁性層11との界面に生じる交換磁気異方性磁界により、磁化の向きが固定されている。第2の固定磁性層14は、第1の固定磁性層12と非磁性層13を介して磁気的に結合しており、第2の固定磁性層14の磁化の向きは、第1の固定磁性層12の磁化の向きと反平行に固定されている。
【0042】
このように、第1、第2の固定磁性層12、14は、磁化の向きが互いに反平行であり、第2の固定磁性層14の単位面積あたりの磁気モーメントが、第1の固定磁性層12よりも大きい人工的なフェリ磁性状態を形成している。図4中に示すように、第1の固定磁性層12の磁化の向きを+z方向、第2の固定磁性層14の磁化の向きを−z方向とする。
【0043】
固定磁性層Pの磁化の向きは、反強磁性層11との強い交換異方性磁界により固定されており、外部磁界や高い環境温度によっても変動することがない。さらに、固定磁性層Pが人工的なフェリ磁性状態であるから、固定磁性層Pの磁化状態は、熱的により安定して、磁化の向きが変動することがない。固定磁性層Pのフェリ磁性状態は、第1、第2の固定磁性層12、14が、両方ともCo系材料であり、第1の固定磁性層12がCoを70原子%以上含有すると共に、第2の固定磁性層14がCoを50原子%以上含有するので、安定したフェリ磁性状態を形成することができる。
【0044】
なお、第1、第2の固定磁性層12、14がフェリ磁性状態を形成するとき、第2の固定磁性層14の膜厚は、第1の固定磁性層12の膜厚よりも薄くても良い。このとき、第1の固定磁性層12の膜厚は、3〜7nmであることが好ましく、一方、第2の固定磁性層14の膜厚は、第1の固定磁性層よりも薄く、1〜5nmであることが好ましく、第1の固定磁性層12の膜厚の第2の固定磁性層14の膜厚に対する比が1.05〜3、より好ましくは、1.05〜1.8である。
【0045】
このような固定磁性層Pの磁化状態は、反強磁性層11と固定磁性層Pの界面に熱拡散層を形成する磁場中熱処理工程において、印加磁界の大きさ、方向により決められる。
【0046】
磁場中熱処理工程において、第1の固定磁性層12は、印加磁界方向に磁化されて、磁化の向きが反強磁性層11との交換異方性磁界により固定される。このとき、第2の固定磁性層14は、非磁性層13を介して第1の固定磁性層12と磁気的に結合して、第1の固定磁性層12と反平行状態に磁化され、第2の固定磁性層14の磁化の向きは、第1の固定磁性層12の磁化の向きと反平行に固定される。
【0047】
非磁性導電層15は、Cu等の良導電材料からなり、固定磁性層Pとフリー磁性層Fの間に挟まれて、固定磁性層Pとフリー磁性層Fを磁気的に分離する役割と、固定磁性層Pとの界面、及びフリー磁性層Fとの界面において、伝導電子のスピンに依存した散乱を起こしてGMR効果を発現させる役割と、センス電流の主な経路としての役割を果たしており、膜厚は、1.5〜4nmに形成されている。
【0048】
フリー磁性層Fは、非磁性導電層15上に拡散防止層17、軟磁性層18が順次積層された二層構造であり、3〜8nmの膜厚に形成されている。
【0049】
軟磁性層18は、NiFe合金からなり、Feの含有率が0.1原子%から0.3原子%の間において、特に、低飽和磁化、低保磁力である優れた軟磁気特性と、最適な磁歪特性が得られる。
【0050】
拡散防止層17は、CoやCoFe合金からなり、軟磁性層18のNi原子が非磁性導電層15に相互拡散することを防いでおり、0.5nm以上の膜厚が必要である。
【0051】
フリー磁性層Fの磁化は外部磁界(H)により回転する。フリー磁性層Fの磁化の回転は、軟磁性層18が主導的であり、拡散防止層17の磁化は、軟磁性層18の磁化に追従して回転し、拡散防止層17の磁化の向きと軟磁性層18の磁化の向きは一致する。拡散防止層17は、Coの保磁力が大きく、厚くしすぎるとフリー磁性層Fの磁化回転を阻害することになるので、1nm程度とすることが好ましい。
【0052】
フリー磁性層Fの上には、Ta、Cr等からなる保護層19が形成されている。下地層22、反強磁性層11、固定磁性層P、非磁性導電層15、フリー磁性層F、保護層19が順次積層された積層体Cの両側には、ハードバイアス層21が積層体Cと接触して形成されており、ハードバイアス層21は、高保磁力である永久磁石材料、例えば、Co−Pt合金、Co−Cr−Pt合金、Co−Cr−Ta合金等より成る。
【0053】
ハードバイアス層21は、フリー磁性層Fに固定磁性層Pの磁化方向(z方向)と垂直な方向(図4に示すx方向)にバイアス磁界を印加する役割を果たしている。フリー磁性層Fは、磁気異方性分散が抑制されているので、外部磁界がないとき、x方向に印加されたバイアス磁界によって、x方向に揃えられている。ハードバイアス層21は、フリー磁性層Fの両側に設けられているので、フリー磁性層Fにバイアス磁界を効率良く印加することができる。
【0054】
電極層20は、Cr、Au、Ta、W、Rh、Irから選ばれる1種またはそれ以上からなる単層膜、もしくは多層膜に形成されており、積層体Cの両側で、ハードバイアス層21上に形成されている。
【0055】
積層体Cには、両側の電極層20から、固定磁性層Pの磁化方向と直交する方向(x方向)に、センス電流が印加される。また、センス電流が印加される向き(図4に示す+x方向)は、センス電流により生じる磁界(センス電流磁界)の向きが、第1の固定磁性層12の位置で、第1の固定磁性層12の磁化の向きと一致するようになっている。このようなセンス電流磁界によって、固定磁性層Pの磁化状態は、熱的により安定したものになっている。
【0056】
センス電流は、第1の固定磁性層12の比抵抗が100μΩ・cm以上であるから、第1の固定磁性層12には殆ど流入することなく、主に、積層体Cのうち最も電気抵抗の低い非磁性導電層15、及び固定磁性層Pのうち第2の固定磁性層14、フリー磁性層Fを流れる。このようなセンス電流中心は、非磁性導電層15の中心にほぼ一致している。
【0057】
フリー磁性層Fの位置では、センス電流磁界が−z方向に印加されるが、センス電流中心は、固定磁性層P側にズレることなく非磁性導電層15のほぼ中心に一致しておりフリー磁性層Fに近接しているので、フリー磁性層Fには、z方向のセンス電流磁界の影響が比較的少ない。
【0058】
次に、第1の実施の形態のスピンバルブ型薄膜磁気素子が、外部磁界を検出するときを説明する。スピンバルブ型薄膜磁気素子に外部磁界が印加されると、フリー磁性層Fの磁化の向きは、外部磁界の向きと平行に近づくように回転する。
【0059】
このとき、フリー磁性層Fには、センス電流磁界は外部磁界に比べて小さいので、フリー磁性層Fは、外部磁界のみを検知することができる。
【0060】
フリー磁性層Fは、磁化の向きがバイアス磁界により揃えられており、磁化の向きが回転するときに、磁区の乱れを伴わないので、バルクハウゼンノイズを生じることがない。
【0061】
また、フリー磁性層Fの軟磁性層18は、NiFe合金が軟磁気特性に優れ低保磁力であるから、フリー磁性層Fの磁化は、外部磁界の変化に速やかに対応して、回転することができる。
【0062】
フリー磁性層Fの磁化が回転すると、GMR(Giant Magnetoresistive)効果によって、積層体Cを挟む電極層20間の電気抵抗値(R)が変化する。以下、GMR効果について説明する。
【0063】
GMR効果は、センス電流の伝導電子が、非磁性導電層15とフリー磁性層Fの界面、及び非磁性導電層15と固定磁性層Pの界面において、スピンの向きによって散乱される確率が異なるスピン依存性散乱によるものである。
【0064】
図6に示すように、外部磁界の向きが−z方向であり、フリー磁性層Fの磁化と、第2の固定磁性層14の磁化(以下、固定磁化)の向きが平行である場合において、センス電流の伝導電子が、非磁性導電層15側からフリー磁性層Fとの界面に入射したとき、downスピンでは散乱される確率が高く、upスピンでは散乱される確率が低くなる。(スピン依存性散乱)
【0065】
即ち、センス電流の伝導電子は、upスピンに関して、非磁性導電層15とフリー磁性層Fの界面で散乱されることなくフリー磁性層Fに入射する確率が高い。
【0066】
一方、図7に示すように、外部磁界の向きが+z方向であり、フリー磁性層Fの磁化と、固定磁化の向きが反平行である場合において、センス電流の伝導電子は、非磁性導電層15側からフリー磁性層Fとの界面に入射したとき、downスピン、upスピンともに、散乱される確率が高く、フリー磁性層Fに入射することができない。
【0067】
このように、センス電流の伝導電子は、フリー磁性層Fの磁化と固定磁化の向きが平行であるとき、upスピンがフリー磁性層Fを通り抜けて、フリー磁性層Fと保護層19の界面に至るので、平均自由行程が長く、一方、フリー磁性層Fの磁化と固定磁化の向きが反平行であるとき、upスピンもdownスピンも非磁性導電層15とフリー磁性層Fの界面を通り抜けることが出来ないので、平均自由行程が短い。
【0068】
よって、外部磁界の向きが−z方向であるとき、upスピン電子の平均自由行程が長いので、電極層20間の電気抵抗(R)は、外部磁界がないときの電気抵抗(R0)に比べて低くなり、一方、外部磁界の向きが+z方向であるとき、upスピン、downスピン電子両方の平均自由行程が短いので、電極層20間の電気抵抗(R)は、外部磁界がないときの電気抵抗(R0)に比べて高くなる。(GMR効果)
【0069】
図8のグラフは、外部磁界(H)と、電極層20間の電気抵抗(R)との関係を示している。図6に示すように、外部磁界(H)が−zの向き(センス電流磁界の向き)に印加されたとき、電極層20間の電気抵抗(R)は、外部磁界がないときの電気抵抗(R0)から減少する。電気抵抗(R)は、外部磁界(H)の大きさの増加に従って線形的に減少し、外部磁界(H)の大きさがバイアス磁界の大きさとフリー磁性層Fの特性により定まる値(Hs)以上になると、電気抵抗(R)は、一定の値(R2)となる。
【0070】
一方、図7に示すように、外部磁界(H)が+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加されたとき、電極層20間の電気抵抗(R)は、外部磁界がないときの電気抵抗(R0)から増加する。電気抵抗(R)は、外部磁界(H)の大きさの増加に従って、線形的に増加して、外部磁界(H)の大きさがバイアス磁界の大きさとフリー磁性層Fの特性により定まる値(Hs)以上になると、電気抵抗(R)は、一定の値(R1)となる。
【0071】
外部磁界(H)の大きさ(絶対値)が同じであれば、外部磁界(H)が−zの向き(センス電流磁界の向き)と+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加されたとき、それぞれの電気抵抗(R)は、外部磁界がないとき(H=0)の電気抵抗(R0)からの変化量(ΔR)の大きさが等しくなっている。
【0072】
このようなGMR効果による電気抵抗(R)の変化は、電極層20間の出力電圧(V)として取り出される。外部磁界(H)の大きさ(絶対値)が等しいとき、外部磁界(H)が−zの向き(センス電流磁界の向き)に印加されたときの出力電圧(V1)と、外部磁界(H)が+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加されたときの出力電圧(V2)は、それぞれ外部磁界がないとき(H=0)の出力電圧(V0)からの変化量(ΔV)の大きさが等しく、出力電圧(V1、V2)は、外部磁界がないとき(H=0)の出力電圧(V0)に関して対称になっている。対称な出力電圧波形では、デジタル信号処理がし易い。
【0073】
一方、従来のようにセンス電流磁界の影響が大きい場合、図10に示すように、外部磁界(H)が−zの向き(センス電流磁界の向き)に印加されたとき、電気抵抗(R)は、外部磁界(H)の大きさの増加に従って線形的に減少し、外部磁界(H)が一定値(Hs2)以上になると、電気抵抗(R)は一定の値(R4)となる。また、外部磁界(H)が+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加されたとき、電気抵抗(R)は、外部磁界(H)の大きさの増加に従って線形的に増加し、外部磁界(H)が一定値(Hs1)以上になると、電気抵抗(R)は、一定の値(R3)となる。
【0074】
このとき、センス電流磁界の向きに平行な外部磁界の一定値(Hs2)は、センス電流磁界の影響によって、センス電流磁界の向きに反平行な外部磁界の一定値(Hs1)よりも小さく、センス電流磁界の向きに平行な外部磁界の一定値(Hs2)に対応する電気抵抗(R4)は、外部磁界がないとき(H=0)の電気抵抗(R0)からの変化が、センス電流磁界の向きに反平行な外部磁界の一定値(Hs1)に対応する電気抵抗(R3)よりも小さい。
【0075】
よって、等しい大きさ(絶対値)の外部磁界(H)が、それぞれ−zの向き(センス電流磁界の向き)と+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加されたとき、電気抵抗(R)は、+zの向き(センス電流磁界の向きに反平行)に印加された外部磁界(H)に対して、より大きく変化する。
【0076】
このような外部磁界(H)と電気抵抗(R)の関係では、出力電圧波形に非対称性(Asymmetry−Plus)を生じて、デジタル信号処理上好ましくない。また、センス電流磁界が+zの向きである場合にも、外部磁界(H)と電気抵抗(R)の関係は、図11に示すようになり、出力電圧波形に非対称性(Asymmetry−Minus)を生じる。
【0077】
また、GMR効果に寄与しない第1の固定磁性層12の比抵抗が高いと、第1の固定磁性層12へのセンス電流の分流が少なく、より多くのセンス電流を、GMR効果に寄与する第2の固定磁性層14、非磁性導電層15、フリー磁性層Fに流すことができる。GMR効果に寄与しない層へのセンス電流の分流(シャントロス)が少ないと、GMR効果による抵抗変化(ΔR)が向上し、GMR効果による抵抗変化率(ΔR/R)が向上して、信頼性の高い外部磁界の検出を行うことができる。
【0078】
さらに、反強磁性層11の比抵抗を200μΩ・cm以上として、且つ、反強磁性層11の膜厚を15nm以下にすると、反強磁性層11へのシャントロスも抑制することができる。比抵抗が200μΩ・cm以上である反強磁性層11の製造方法は、反強磁性層11を成膜後アニールして、反強磁性層11の結晶構造を変化させる。
【0079】
さらに、絶縁層4と反強磁性層11の界面状態が良好であり、密着性の確保ができれば、下地層22をなくすことにより、下地層22へのシャントロスもなくすことができる。
【0080】
本発明の実施の形態を説明する。本発明の実施の形態は、図5に示すように、固定磁性層Pの第1の固定磁性層12は、反強磁性層11側の部分がCo系アモルファスからなる第1層12aであり、非磁性層13との界面部分が、第2の固定磁性層14と同じ結晶質のCo、CoFe合金、CoNiFe合金、CoNi合金からなる第2層12bとなっている。このような実施の形態は、固定磁性層P以外は、図4のスピンバルブ型薄膜磁気素子と同様である。
【0081】
第1、第2の固定磁性層12、14の非磁性層13を介した磁気的な結合は、第1、第2の固定磁性層12、14の非磁性層13との界面部分に生じるので、第1の固定磁性層12の非磁性層13との界面部分である第2層12bを第2の固定磁性層14と同じ結晶質のCo、CoFe合金、CoNiFe合金、CoNi合金等の材料とすることにより、第1の固定磁性層12全体をCo系アモルファス合金とするよりも第1、第2の固定磁性層12、14の磁気的な結合が強くなり、固定磁性層Pの磁化方向が安定する。このとき、第2層12bは、膜厚が厚いと第1の固定磁性層12の電気抵抗が低下する。第1、第2の固定磁性層12、14の磁気結合の向上を得るためには、第2層12bの膜厚は、0.3nm以上あれば十分である。
【0082】
次に、このような本発明のスピンバルブ型薄膜素子を用いた薄膜磁気ヘッドを説明する。本発明の薄膜磁気ヘッドは、図1のように、セラミックスからなる矩形状のスライダ61のヘッド形成面61a上に形成されている。スライダ61は、ヘッド形成面61aと略垂直な磁気ディスク対向面61bを有している。
【0083】
本発明の薄膜磁気ヘッドは、複合磁気ヘッドである場合、図2、3に示すように、スライダ61のヘッド形成面61a上に、再生部h1と記録部h2とが積層して形成されている。再生部h1において、本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子1は、パーマロイ等の軟磁性材料からなる上部、下部シールド層2、3間に、絶縁層4を介して挟持されている。
【0084】
再生部h1上に積層された記録部h2は、上部シールド層2と兼用される下部コア層と、上部シールド層2上に形成された無機絶縁材料からなる磁気ギャップ層8と、磁気ギャップ層8上に無機絶縁層5を介して形成され、スパイラル状であるコイル層9と、コイル層9を覆う有機絶縁層7と、有機絶縁層7上からコイル層9を覆うパーマロイ等の軟磁性材料からなる上部コア層10とを有し、上部コア層10は、スライダ61の磁気ディスク対向面61b側において、磁気ギャップ層8表面に接触して形成され、上部シールド層2と、磁気ギャップ層8を挟持している。また、上部コア層10は、コイル層9の巻き中心部近傍において、上部シールド層2と接続されている。
【0085】
なお、上記薄膜磁気ヘッドでは、再生部h1と記録部h2を備えた複合型ヘッドを説明したが、記録部h2を形成せず、再生部h1のみの再生専用ヘッドでも良い。
【0086】
次に、このような薄膜磁気ヘッドがハード磁気ディスク装置に搭載されて、記録磁界の検出を行う場合を説明する。ハード磁気ディスク装置には、記録磁化パターンが付与された記録媒体である磁気ディスク(図示せず)が内蔵されており、スライダ61は、磁気ディスクの記録磁化パターンが付与された面に、磁気ディスク対向面61bが対向するように取り付けられている。
【0087】
再生ヘッド部h1には、磁気ディスクからの漏れ磁界が、磁気ディスク対向面61bと直交する方向(図3に示すハイト方向)に印加される。
【0088】
このとき、上部シールド層3と下部シールド層2間以外の漏れ磁界は、下部、上部シールド層2、3に吸収されて、スピンバルブ型薄膜磁気素子1に検出されることがなく、スピンバルブ型薄膜磁気素子1は、上部シールド層3と下部シールド層2間の漏れ磁界のみを検出することができる。
【0089】
磁気ディスクから漏れる磁界の向きは、スピンバルブ型薄膜磁気素子1が、図4に示す本発明の第1の実施の形態である場合、固定磁性層Pの第2の固定磁性層14の磁化の向き(図4に示す−z方向)と、平行、或いは反平行になっている。
【0090】
磁気ディスクが回転すると、上部シールド層3と下部シールド層2間に現れる磁気ディスクの漏れ磁界は変化して、漏れ磁界の変化は、スピンバルブ型薄膜磁気素子1のGMR効果による抵抗変化(ΔR)として検出される。
【0091】
ハード磁気ディスク装置の高密度記録化に伴って、検出感度を上げるために、センス電流密度が増大する傾向があるが、スピンバルブ型薄膜磁気素子1は、固定磁性層Pの磁化状態は、センス電流の発熱によって変動することがなく、信頼性の高い薄膜磁気ヘッドとすることができる。
【0092】
また、漏れ磁界の向きが磁気ディスクから薄膜磁気ヘッドに向かう向きとその反対とで、スピンバルブ型薄膜磁気素子1の出力電圧(V)は、漏れ磁界がないときの出力電圧(V0)に関して対称になる。出力電圧(V)が対称であればデジタル信号処理しやすいので、読みとりエラーが発生することがなく、信頼性の高い薄膜磁気ヘッドとすることができる。
【0093】
さらに、スピンバルブ型薄膜磁気素子1は、センス電流のシャントロスが抑制されているので、GMR効果による抵抗変化率(ΔR/R)が高く、信頼性の高い薄膜磁気ヘッドとすることができる。
【0095】
【発明の効果】
本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子は、固定磁性層が、反強磁性層側から第1の固定磁性層、非磁性層、第2の固定磁性層が順次積層された3層構造で、第1、第2の固定磁性層が非磁性層を介して磁気的に反平行に結合した人工的フェリ磁性状態を形成しており、第1の固定磁性層は、反強磁性層と接触する第1層と、前記非磁性層と接触して、前記第2の固定磁性層と同じ材料からなる第2層とを有し、前記第1層は、前記第2層や第2の固定磁性層よりも比抵抗が高い。このようなスピンバルブ型薄膜磁気素子では、固定磁性層の磁化状態が熱的に安定しており、且つ、比抵抗の高い第1の固定磁性層には、センス電流が分流し難く、センス電流中心は、第1の固定磁性層側にズレることがない。よって、センス電流中心は、非磁性導電層のほぼ中心に一致するので、フリー磁性層には、センス電流により生じる磁界の影響が比較的少なく、GMR 効果による抵抗変化の大きさは、外部磁界の向きがフリー磁性層におけるセンス電流磁界の向きと平行であるときと反平行であるときで、ほぼ等しくなり、電極 層間の出力電圧は対称になるので、出力電圧波形のデジタル信号処理がし易くなる。さらに、第1の固定磁性層は、非磁性層を介して第2の固定磁性層と磁気的 に結合する第2層が、第2の固定磁性層と同じ材料であるので、第1の固定磁性層と第2の固定磁性層は、磁気的に反平行に結合しやすく、固定磁性層の磁化状 態を、より安定した人工的フェリ磁性状態とすることができる。
【0096】
本発明の薄膜磁気ヘッドは、上記いずれかに記載のスピンバルブ型磁気素子が、軟磁性材料からなる一対のシールド層間に設けられている。
このような薄膜磁気ヘッドでは、シールド層間以外の磁界がシールド層に吸収されて、スピンバルブ型薄膜磁気素子は、シールド層間に現れた磁界のみを検知することができる。また、磁界の向きが媒体から薄膜磁気ヘッドに向かう向きとその反対とで、スピンバルブ型薄膜磁気素子の出力電圧は、漏れ磁界がないときの出力電圧に関して対称になる。出力電圧が対称であればデジタル信号処理しやすいので、読みとりエラーが発生することがなく、信頼性の高い薄膜磁気ヘッドとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜磁気ヘッドが形成されたスライダを示す説明図。
【図2】本発明の薄膜磁気ヘッドの一例の概略図。
【図3】本発明の薄膜磁気ヘッドの一例の断面図。
【図4】ピンバルブ型素子説明図。
【図5】本発明のスピンバルブ型素子の第2の実施の形態の説明図。
【図6】GMR効果の説明図。
【図7】GMR効果の説明図。
【図8】本発明のスピンバルブ型薄膜磁気素子の電気抵抗と外部磁界の関係を示すグラフ。
【図9】従来のスピンバルブ型素子の説明図。
【図10】従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子の電気抵抗と外部磁界の関係を示すグラフ。
【図11】従来のスピンバルブ型薄膜磁気素子の電気抵抗と外部磁界の関係を示すグラフ。

Claims (13)

  1. 反強磁性層と、該反強磁性層に接触して積層された固定磁性層と、該固定磁性層と非磁性導電層を介して対向するフリー磁性層とを有する積層体と、該積層体の両側に設けられた一対の電極層とを有し、前記固定磁性層は、強磁性材料からなる第1の固定磁性層が前記反強磁性層と接触して、前記第1の固定磁性層、非磁性材料からなる非磁性層、強磁性材料からなる第2の固定磁性層が順次積層して形成され、前記第1の固定磁性層は、前記第2の固定磁性層よりも比抵抗が高い第1層と、前記第2の固定磁性層と同じ材料からなる第2層とを備えて、前記第1層が前記反強磁性層に接触して形成されると共に、前記第2層が前記非磁性層に接触して形成されて、前記第1の固定磁性層の磁化状態は、前記反強磁性層との磁気的結合により磁化の向きが揃えられると共に固定されて、前記第1、第2の固定磁性層が、前記非磁性層を挟んで反平行に結合し、人工的なフェリ磁性状態を形成していることを特徴とするスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  2. 前記第1の固定磁性層の前記第1層は、Co系アモルファス合金であり、前記第1の固定磁性層の前記第2層と前記第2の固定磁性層は、結晶質のCo、或いはCo系合金である請求項記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  3. 前記Co系アモルファス合金は、比抵抗が100μΩ・cm以上であることを特徴とする請求項に記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  4. 前記Co系アモルファス合金は、Co−Zr、Co−Hf、Co−Ti、Co−Nb、Co−Ta、Co−T−Z、Co−T−Z−Bのいずれかで、Tは、Mo、W、Nb、Ta、Zは、Zr、Hf、Tiから選ばれる1種または2種以上の元素であり、前記Co系合金は、CoNi合金、CoFe合金、CoFeNi合金のいずれかである請求項2または3記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  5. 前記Co系アモルファス合金は、Coを70原子%以上含有しており、前記Co系合金は、Coを50原子%以上含有している請求項2ないし4のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  6. 前記非磁性層は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのいずれかである請求項2ないし5のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  7. 前記積層体には、一対の前記電極層からセンス電流が印加されており、該センス電流により生じる磁界の向きは、前記第1の固定磁性層の位置で、前記第1の固定磁性層の磁化の向きに一致している請求項1ないし6のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  8. 前記反強磁性層は、元素XとMnを含有する合金からなり、元素Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osのうちいずれか1種または2種以上の元素である請求項1ないし7のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  9. 前記反強磁性層と固定磁性層の界面構造は、結晶学的な非整合状態である請求項記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  10. 前記反強磁性層は、X−Mn−X’合金からなり、Xは、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Osのうちいずれか1種または2種以上の元素であり、X’は、Ne、Ar、Kr、Xe、Be、B、C、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ag、Cd、Sn、Hf、Ta、W、 Re、Au、Pb、及び希土類のうち1種または2種以上の元素であり、X−Mn空間格子の隙間に元素X’が侵入しているか、X−Mn結晶格子の一部が元素 X’に置換されている請求項記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  11. 前記反強磁性層の比抵抗が200μΩ・cm以上であり、且つ、前記反強磁性層の膜厚が8乃至15nmである請求項7ないし10のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  12. 前記反強磁性層は、絶縁層上に直接形成されている請求項1ないし11のいずれかに記載のスピンバルブ型薄膜磁気素子。
  13. 前記請求項1ないし12のいずれかに記載のスピンバルブ型磁気素子が、軟磁性材料からなる一対のシールド層間に設けられている薄膜磁気ヘッド。
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