JP2002257224A - トルクコンバータのスリップ制御装置 - Google Patents

トルクコンバータのスリップ制御装置

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JP2002257224A
JP2002257224A JP2001053753A JP2001053753A JP2002257224A JP 2002257224 A JP2002257224 A JP 2002257224A JP 2001053753 A JP2001053753 A JP 2001053753A JP 2001053753 A JP2001053753 A JP 2001053753A JP 2002257224 A JP2002257224 A JP 2002257224A
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哲 瀬川
Kazutaka Adachi
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 コースト時スリップ制御からドライブ時スリ
ップ制御への切り換えがスムーズに行われるトルクコン
バータのスリップ制御装置を提供する。 【解決手段】 t1に運転者が釈放状態のアクセルペダ
ルを踏み込んでスロットル開度TVOが図示のごとく増
大すると共にアイドルスイッチがONからOFFに切り
換わった場合、コースト走行からドライブ走行への移行
時t1に直ちにコースト時スリップ制御からドライブ時
スリップ制御への切り換えを実行させず、実スリップ回
転ωSLPRが0または正値(ωIR≧ωTR)になる
t2までの間は、ロックアップクラッチ締結圧指令値P
LUCをt1での値に保持しておき、t2にコースト用
スリップ制御からドライブ用スリップ制御へ切り換え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機を含む
自動変速機などに用いられるトルクコンバータの入出力
要素間における相対回転、つまりトルクコンバータのス
リップ回転を目標値へ収束させるスリップ制御装置、特
にコースト走行からドライブ走行への移行時においても
当該スリップ制御が好適に行われ得るようにした改良提
案に関するものである。
【0002】
【従来の技術】トルクコンバータは、流体を介して入出
力要素間で動力伝達を行うため、トルク変動吸収機能
や、トルク増大機能を果たす反面、伝動効率が悪い。こ
れがため、これらトルク変動吸収機能や、トルク増大機
能が不要な走行条件のもとでは、トルクコンバータの入
出力要素間をロックアップクラッチにより直結するロッ
クアップ式のトルクコンバータが今日では多用されてい
る。しかして、かようにトルクコンバータを入出力要素
間を直結したロックアップ状態にするか、該ロックアッ
プクラッチを釈放したコンバータ状態にするだけの、オ
ン・オフ的な制御では、こもり音や振動の問題が生じな
いようにする必要性からトルクコンバータのスリップ回
転を制限する領域が狭くて十分な伝動効率の向上を望み
得ない。
【0003】そこで、ロックアップクラッチを所謂半ク
ラッチ状態(スリップ制御状態)にして、要求される必
要最小限のトルク変動吸収機能や、トルク増大機能が確
保されるような態様でトルクコンバータのスリップ回転
を制限するスリップ制御領域を設定し、これによりスリ
ップ回転の制限を一層低車速まで行い得るようにしたト
ルクコンバータのスリップ制御技術も多々提案されてい
る。そしてトルクコンバータのスリップ制御技術は一般
的に、エンジンのスロットル開度や、車速や、自動変速
機の作動油温などの走行条件に応じて目標スリップ回転
を決定し、上記のスリップ制御領域でトルクコンバータ
の実スリップ回転が最終的に目標スリップ回転に収束す
るようロックアップクラッチの締結力を制御するのが普
通であり、かかるスリップ制御によれば理論上は、こも
り音や振動の問題を生ずることなしにスリップ回転制限
領域の一層の低車速化を実現して運転性の悪化を回避し
つつ燃費の向上を図ることができる。
【0004】ところで実際上は、スリップ回転を制限す
るためのロックアップクラッチの締結力を理論通りに制
御できないことがあり、この場合、ロックアップクラッ
チの一時的な締結によるショックやこもり音が発生する
ことがある。この問題を解決するために本願出願人は先
に、特開平11−82726号公報により以下のごとき
トルクコンバータのスリップ制御装置を提案済みであ
る。
【0005】この文献に記載のスリップ制御装置は、ト
ルクコンバータのスリップ制御状態ではトルクコンバー
タへの入力トルク(エンジン出力トルク)が、トルクコ
ンバータの流体伝動によるコンバータトルクとロックア
ップクラッチの締結容量との和値に相当するとの事実認
識に基づき、トルクコンバータの伝動性能から予め求め
ておいた上記コンバータトルクとスリップ回転との関係
をもとに、実スリップ回転を目標スリップ回転に収束さ
せるためのスリップ回転指令値を達成するのに必要な目
標コンバータトルクを算出し、エンジン出力トルクから
この目標コンバータトルクを差し引いて目標ロックアッ
プクラッチ締結容量を算出し、この目標ロックアップク
ラッチ締結容量が実現されるようロックアップクラッチ
の締結圧を制御するというものである。このスリップ制
御装置は、トルクコンバータの実スリップ回転をスリッ
プ回転指令値に一致させる制御を線形化補償することで
制御精度を高めることにより上記の問題を解消すること
を狙ったものである。
【0006】しかし当該先の提案技術は、実スリップ回
転を目標スリップ回転に収束させるためのスリップ回転
指令値を達成するのに必要な目標コンバータトルクを算
出するに当たり、上記コンバータトルクとスリップ回転
との関係を表すマップとして、また目標ロックアップク
ラッチ締結容量を実現するためのロックアップクラッチ
締結圧を求めるに当たり、目標ロックアップクラッチ締
結容量およびロックアップクラッチ締結圧間の関係を表
すマップとして、アクセルペダルを釈放したコースト状
態の時もアクセルペダルを踏み込んだドライブ状態の時
と同じマップを用いるため、コースト走行中において狙
いとするスリップ制御を実現し得ないという問題を生ず
ることを確かめた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願出願人が
先に特願2000−386495号により提案済みの技
術のように、上記の両マップとしてコースト状態の時の
ものとドライブ状態の時のものとを切り換え使用するこ
とにより、実スリップ回転をコースト走行時とドライブ
走行時とで個々の目標値に向かわせるようにすることが
考えられる。この場合常識的には、前者のコースト走行
用のスリップ制御を行うべきか、後者のドライブ走行用
のスリップ制御を行うべきかを、スロットル開度や車速
から判断するのが常套であり、言わば運転者の意思のみ
からどちらのスリップ制御にすべきかを判断していた。
【0008】しかし、運転者がコースト走行中にドライ
ブ走行を希望してアクセルペダルを踏み込んでも、これ
によりエンジン回転が上昇して実際にドライブ状態にな
るまでには応答遅れがあり、運転者がコースト走行から
ドライブ走行への移行を希望した時に直ちにコースト走
行用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御への
移行を行うと以下に説明するような問題を生ずる。
【0009】図14は、瞬時t1に運転者が釈放状態の
アクセルペダルを踏み込んでスロットル開度TVOが図
示のごとく増大すると共にアイドルスイッチがONから
OFFに切り換わった場合における上記提案技術のスリ
ップ制御を示し、エンジン回転数(トルクコンバータ入
力回転数)ωIRと、タービン回転速度(トルクコンバ
ータ出力回転数)ωTRと、実スリップ回転ωSLPR
(=ωIR−ωTR)と、目標スリップ回転ωSLPT
と、ロックアップクラッチ締結圧指令値PLU の変化
タイムチャートを例示するものである。
【0010】この図14から明らかなように上記提案技
術のスリップ制御によれば、運転者がコースト走行から
ドライブ走行への移行を希望した瞬時t1に直ちに、未
だ実スリップ回転ωSLPRが負値(ωIR<ωTR
であるのにコースト走行用スリップ制御からドライブ走
行用スリップ制御への移行が行われて目標スリップ回転
ωSLPTをドライブ走行用のものにして図示のごとく
に与えると共にロックアップクラッチ締結圧指令値P
LUCもドライブ走行用のものにして図示のごとくに与
えるため、つまり実スリップ回転ωSLPRが正値(ω
IRTR)になる瞬時t2までの間において負値の実
スリップ回転ωSLPRを大きな正値の目標スリップ回
転ωSLPTに収束させるべくロックアップクラッチ締
結圧指令値PLUCを瞬時t1の直後から上昇させるた
め、その反動として実スリップ回転ωSLPRが正値
(ωIRTR)になった瞬時t2以後における実スリ
ップ回転ωSLPRの上昇速度が鈍くなり、コースト走
行用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御への
移行がスムーズに行われ得ないという問題を生ずる。
【0011】なお、この問題解決のためには実スリップ
回転ωSLPRが正値(ωIR>ω TR)になった時に
コースト走行用スリップ制御からドライブ走行用スリッ
プ制御への移行を行うことが考えられるが、このように
単純に移行判定条件を変更しただけでは、運転者がコー
スト走行からドライブ走行への移行を希望した瞬時t1
から、実スリップ回転ωSLPRが正値(ω
IRTR)になる瞬時t2までの間、実スリップ回転
ωSLPRがコースト走行時用の目標スリップ回転に収
束するようなスリップ制御を行うこととなり、結果とし
てこの間、エンジン出力トルクの増大に伴うロックアッ
プクラッチ締結容量の増加に呼応してロックアップクラ
ッチの締結力が低下され、不必要なエンジン回転の上昇
で燃費の悪化を招くという別の問題を生ずる。
【0012】請求項1に記載の第1発明は、上記した何
れの問題も生ずることなく適切にコースト走行時用スリ
ップ制御からドライブ走行時用スリップ制御への移行を
行い得るようにしたトルクコンバータのスリップ制御装
置を提案することを目的とする。
【0013】請求項2に記載の第2発明は、上記第1発
明の作用効果を一層顕著なものにし得るようにすると共
に、コースト走行からドライブ走行への移行時にトルク
コンバータのトルク変動吸収性能が増大されて滑らかな
伝動を可能にし得るようにしたトルクコンバータのスリ
ップ制御装置を提案することを目的とする。
【0014】請求項3に記載の第3発明は、コースト走
行時用スリップ制御からドライブ走行時用スリップ制御
への移行の応答性を高めたトルクコンバータのスリップ
制御装置を提案することを目的とする。
【0015】請求項4に記載の第4発明は、第3発明の
作用効果をエンジン負荷の如何にかかわらず確実に達成
し得るようにしたトルクコンバータのスリップ制御装置
を提案することを目的とする。
【0016】請求項5に記載の第5発明は、第4発明の
作用効果を更に確実に達成し得るようにしたトルクコン
バータのスリップ制御装置を提案することを目的とす
る。
【0017】請求項6に記載の第6発明は、コースト走
行時用スリップ制御からドライブ走行時用スリップ制御
への移行禁止制御が何時までも続いてしまう弊害を生ず
ることのないようにしたトルクコンバータのスリップ制
御装置を提案することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】これらの目的のため、先
ず第1発明によるトルクコンバータのスリップ制御装置
は、トルクコンバータの入力回転速度と出力回転速度と
の差である実スリップ回転をロックアップクラッチの締
結により制限可能で、この実スリップ回転をドライブ走
行時とコースト走行時とで個々の目標スリップ回転に向
かわせるようにしたトルクコンバータのスリップ制御装
置において、コースト走行からドライブ走行への移行が
あっても前記実スリップ回転が0になるまでは、前記ド
ライブ走行時用のスリップ制御への移行を禁止して前記
ロックアップクラッチの締結力を、コースト走行からド
ライブ走行への移行時における締結力に保持するよう構
成したことを特徴とするものである。
【0019】第2発明によるトルクコンバータのスリッ
プ制御装置は、トルクコンバータの入力回転速度と出力
回転速度との差である実スリップ回転をロックアップク
ラッチの締結により制限可能で、この実スリップ回転を
ドライブ走行時とコースト走行時とで個々の目標スリッ
プ回転に向かわせるようにしたトルクコンバータのスリ
ップ制御装置において、コースト走行からドライブ走行
への移行があっても前記実スリップ回転が0を超えるま
では、前記ドライブ走行時用のスリップ制御への移行を
禁止して前記ロックアップクラッチの締結力を、コース
ト走行からドライブ走行への移行時における締結力に保
持するよう構成したことを特徴とするものである。
【0020】第3発明によるトルクコンバータのスリッ
プ制御装置は、第1発明または第2発明において、コー
スト走行からドライブ走行への移行時にドライブ走行時
用のスリップ制御への移行を禁止する間、前記ロックア
ップクラッチの締結力を、コースト走行からドライブ走
行への移行時における締結力に保持する代わりに、該移
行時の締結力からドライブ走行時の目標スリップ回転に
対応した締結力を超えない範囲で漸増させるよう構成し
たことを特徴とするものである。
【0021】第4発明によるトルクコンバータのスリッ
プ制御装置は、上記第3発明において、前記締結力の漸
増変化割合をエンジン負荷が高いほど大きくしたことを
特徴とするものである。
【0022】第5発明によるトルクコンバータのスリッ
プ制御装置歯、上記第3発明において、前記締結力の漸
増変化割合をエンジン負荷およびエンジン回転数から推
定したエンジン出力トルクが高いほど大きくしたことを
特徴とするものである。
【0023】第6発明によるトルクコンバータのスリッ
プ制御装置は、第1発明乃至第5発明のいずれかにおい
て、コースト走行からドライブ走行への移行があって制
限時間が経過した後は、ドライブ走行時用のスリップ制
御への移行の禁止を解除して、該移行を強制的に行わせ
るよう構成したことを特徴とするのである。
【0024】
【発明の効果】第1発明によるトルクコンバータのスリ
ップ制御装置は、トルクコンバータの入力回転速度と出
力回転速度との差である実スリップ回転をロックアップ
クラッチの締結により制限するに際し、この実スリップ
回転をドライブ走行時とコースト走行時とで個々の目標
スリップ回転に向かわせる。そして、コースト走行から
ドライブ走行への移行に伴うコースト走行時用のスリッ
プ制御からドライブ走行時用のスリップ制御への切り換
えに際しては、コースト走行からドライブ走行への移行
と同時に当該切り換えを行わないで、実スリップ回転が
0になるまでドライブ走行時用のスリップ制御への移行
を禁止してロックアップクラッチの締結力を、コースト
走行からドライブ走行への移行時における締結力に保持
する。
【0025】かように、実スリップ回転が0になるまで
ロックアップクラッチの締結力を、コースト走行からド
ライブ走行への移行時における締結力に保持する制御に
よれば、図14につき前述したようにコースト走行から
ドライブ走行への移行時に直ちにドライブ走行用スリッ
プ制御への切り換えを行う場合に生じていた問題、つま
り負値の実スリップ回転をいきなり大きな正値の目標ス
リップ回転に収束させるようなスリップ制御になって、
実スリップ回転が正値になった時以後における実スリッ
プ回転の上昇速度が鈍くなり、そのためコースト走行用
スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御への移行
がスムーズに行われ得ないという問題を解消することが
できる。
【0026】また第1発明の上記した切り換えによれ
ば、実スリップ回転が正値になるまでコースト走行用ス
リップ制御を継続し、その後にコースト走行用スリップ
制御からドライブ走行用スリップ制御への切り換えを行
った場合に生ずる前記の問題、つまり、コースト走行用
スリップ制御の上記継続中にエンジン出力トルクの増大
に伴うロックアップクラッチ締結容量の増加に呼応して
ロックアップクラッチの締結力が低下されるという問題
も生ずることがなく、これに伴う不必要なエンジン回転
の上昇で燃費の悪化を招くという問題も回避することが
できる。
【0027】第2発明においては、コースト走行からド
ライブ走行への移行に伴うコースト走行時用のスリップ
制御からドライブ走行時用のスリップ制御への切り換え
に際し、コースト走行からドライブ走行への移行と同時
に当該切り換えを行わないで、実スリップ回転が0を超
えるまでドライブ走行時用のスリップ制御への移行を禁
止してロックアップクラッチの締結力を、コースト走行
からドライブ走行への移行時における締結力に保持す
る。
【0028】かように、実スリップ回転が0を超えるま
でロックアップクラッチの締結力を、コースト走行から
ドライブ走行への移行時における締結力に保持する制御
によれば、ドライブ走行時用のスリップ制御への移行が
上記第1発明の場合よりも更に遅延されてドライブ走行
への移行時における実スリップ回転の上昇が一層促進さ
れることから、第1発明の上記作用効果を一層顕著なも
のにし得ると共に、コースト走行からドライブ走行への
移行時にトルクコンバータのトルク変動吸収性能が増大
されて滑らかな伝動を可能にし得る。
【0029】第3発明においては、コースト走行からド
ライブ走行への移行時にドライブ走行時用のスリップ制
御への移行を禁止する間、第1発明や第2発明のように
ロックアップクラッチの締結力を、コースト走行からド
ライブ走行への移行時における締結力に保持する代わり
に、当該移行時の締結力からドライブ走行時の目標スリ
ップ回転に対応した締結力を超えない範囲で漸増させる
ため、コースト走行時用スリップ制御からドライブ走行
時用スリップ制御への移行時にロックアップクラッチの
締結力がドライブ走行時の目標スリップ回転に対応した
締結力に接近していることとなり、コースト走行時用ス
リップ制御からドライブ走行時用スリップ制御への移行
の応答性を高めことができる。
【0030】第4発明においては、第3発明における締
結力の漸増変化割合をエンジン負荷が高いほど大きくし
たため、エンジン高負荷時も含めて如何なるエンジン負
荷のもとでも確実に第3発明の作用効果を達成すること
ができる。
【0031】第5発明においては、第3発明における締
結力の漸増変化割合をエンジン負荷およびエンジン回転
数から推定したエンジン出力トルクが高いほど大きくし
たため、第3発明における締結力の漸増変化割合を第4
発明のものより更に正確にエンジン出力トルクに対応さ
せ得て、第4発明の場合よりも更に確実に第3発明の作
用効果を達成することができる。
【0032】第6発明においては、コースト走行からド
ライブ走行への移行があって制限時間が経過した後は、
ドライブ走行時用のスリップ制御への移行の禁止を解除
して、該移行を強制的に行わせるため、コースト走行時
用スリップ制御からドライブ走行時用スリップ制御への
移行禁止制御が何時までも続いてしまう弊害を回避する
ことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形
態になるトルクコンバータのスリップ制御装置を示し、
トルクコンバータ2は周知であるため詳細な図示を省略
したが、エンジンクランクシャフトに結合されてエンジ
ン駆動されるトルクコンバータ入力要素としてのポンプ
インペラと、自動変速機用歯車変速機構の入力軸に結合
されたトルクコンバータ出力要素としてのタービンラン
ナと、これらポンプインペラおよびタービンランナ間を
直結するロックアップクラッチ2cとを具備するロック
アップ式トルクコンバータとする。
【0034】ロックアップクラッチ2cの締結力は、そ
の前後におけるアプライ圧Pとレリーズ圧Pの差圧
(ロックアップクラッチ締結圧)により決まり、アプラ
イ圧Pがレリーズ圧Pよりも低ければ、ロックアッ
プクラッチ2cは釈放されてポンプインペラおよびター
ビンランナ間を直結せず、トルクコンバータ2をスリッ
プ制限しないコンバータ状態で機能させる。
【0035】アプライ圧Pがレリーズ圧Pよりも高
い場合、その差圧に応じた力でロックアップクラッチ2
cを締結させ、トルクコンバータ2をロックアップクラ
ッチ2cの締結力に応じてスリップ制限するスリップ制
御状態で機能させる。そして当該差圧が設定値よりも大
きくなると、ロックアップクラッチ2cが完全締結され
てポンプインペラおよびタービンランナ間の相対回転を
なくし、トルクコンバータ2をロックアップ状態で機能
させる。
【0036】アプライ圧Pおよびレリーズ圧Pはス
リップ制御弁11によりこれらを決定するものとし、ス
リップ制御弁11は、コントローラ12によりデューテ
ィ制御されるロックアップソレノイド13からの信号圧
に応じてアプライ圧Pおよびレリーズ圧Pを制
御するが、これらスリップ制御弁11およびロックアッ
プソレノイド13を以下に説明する周知のものとする。
即ち、先ずロックアップソレノイド13は一定のパイロ
ット圧Pを元圧として、コントローラ12からのソレ
ノイド駆動デューティDの増大につれ信号圧P を高く
するものとする。
【0037】一方でスリップ制御弁11は、上記の信号
圧Pおよびフィードバックされたレリーズ圧Pを一
方向に受けると共に、他方向にバネ11aのバネ力およ
びフィードバックされたアプライ圧Pを受け、信号圧
の上昇につれて、アプライ圧Pとレリーズ圧P
との間の差圧(P−P)で表されるロックアップク
ラッチ2cの締結圧を図2に示すように変化させるもの
とする。
【0038】ここでロックアップクラッチ締結圧(P
−P)の負値はP>Pによりトルクコンバータ2
をコンバータ状態にすることを意味し、逆にロックアッ
プクラッチ締結圧(P−P)が正である時は、
その値が大きくなるにつれてロックアップクラッチ2c
の締結容量が増大され、トルクコンバータ2のスリップ
回転を大きく制限し、遂にはトルクコンバータ2をロッ
クアップ状態にすることを意味する。
【0039】そして、ソレノイド駆動デューティDを制
御するコントローラ12には、エンジン負荷を表すスロ
ットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ21
からの信号と、ポンプインペラの回転速度ωIR(エン
ジン回転数でもある)を検出するインペラ回転センサ2
2からの信号と、タービンランナの回転速度ωTR(ト
ルクコンバータ出力回転数)を検出するタービン回転セ
ンサ23からの信号と、自動変速機(トルクコンバータ
2)の作動油温TEMPを検出する油温センサ24から
の信号と、変速機出力回転数(車速に相当する)N
検出する変速機出力回転センサ25からの信号と、変速
機入出力回転比である変速比i(=ωTR/N)を
計算する変速比計算部26からの信号と、電源電圧V
igを検出する電源電圧センサ27からの信号と、アク
セルペダルの釈放時にONになるアイドルスイッチ28
からの信号とをそれぞれ入力することとする。
【0040】コントローラ12はこれら入力情報をもと
に、図3に示す機能ブロック線図に沿った演算により、
ロックアップソレノイド13の駆動デューティDを決定
すると共に、電源電圧信号Vigに応じてロックアップ
ソレノイド駆動デューティDを補正して、以下に詳述す
る所定のスリップ制御を行う。
【0041】図3における目標スリップ回転演算部31
は、変速機出力回転数Nから演算して求めた車速VS
Pと、スロットル開度TVOと、変速比iと、作動油
温TEMPに基づき周知のごとく、トルク変動やこもり
音が発生しない範囲内で最も少ないところに目標スリッ
プ回転ωSLPTを定めて決定する。前置補償器32
は、目標スリップ回転ωSLPTを設計者の意図した応
答で実現させるための補償済み目標スリップ回転ω
SLPTCを設定する補償フィルターで、目標スリップ
回転ωSLPTを当該フィルターに通過させることによ
り補償済み目標スリップ回転ωSLPTCを求めること
ができる。
【0042】実スリップ回転演算部33は、ポンプイン
ペラ2aの回転速度検出値をωIRからタービンランナ
2bの回転速度検出値ωTRを減算してトルクコンバー
タ2の実スリップ回転ωSLPRを算出する。従って実
スリップ回転ωSLPRは、ポンプインペラ回転速度ω
IRがタービンランナ回転速度ωTRよりも大きいドラ
イブ状態の時に正の値をとり、逆にポンプインペラ回転
速度ωIRがタービンランナ回転速度ωTRよりも小さ
いコースト状態の時に逆極性の負値となる。これがため
目標スリップ回転ωSLPTも、絶対値処理しないで、
上記に符合した極性を持ったままの目標値とする。
【0043】スリップ回転偏差演算部34は、瞬時
(t)ごとに補償済み目標スリップ回転ωSLPTC
実スリップ回転ωSLPRとの間のスリップ回転偏差ω
SLPE を、 ωSLPER(t)=ωSLPTC(t)−ωSLPR(t)・・・(1) により算出する。
【0044】スリップ回転指令値演算部35は、スリッ
プ回転偏差ωSLPERを基に例えば周知の比例(P)
・積分(I)制御により、スリップ回転偏差ω
SLPERをなくして実スリップ回転ωSLPRを補償
済み目標スリップ回転ωSLPTCに一致させるための
スリップ回転指令値ωSLPCを以下により算出する。 ωSLPC(t)=K・ωSLPER(t)+(K/S)・ωSLPER (t) ・・・(2) 但し、K:比例制御定数 K:積分制御定数 S :微分演算子
【0045】ここで、トルクコンバータの伝動性能から
予め求め得る、コンバータトルクt CNVと、スリップ
回転ωSLPと、タービン回転速度ωTRとの関係を説
明するに、図4に例示するごとくコンバータトルクt
CNVに対するスリップ回転ω SLPの比をスリップ回
転ゲインgSLPSLP=ωSLP/tCNV・・・(3) と定義すると、このスリップ回転ゲインgSLPはドラ
イブ状態とコースト状態とで異なるものの、図4に示す
ようにタービン回転速度ωTRに応じて変化する。スリ
ップ回転ゲイン演算部36はこの事実認識に基づき、先
ず現在の運転状態がドライブ状態かコースト状態かをチ
ェックし、ドライブ状態なら図4に例示したドライブ用
のマップを基にタービン回転速度ωTRからスリップ回
転ゲインg SLPCを検索し、コースト状態なら図4に
例示したコースト用のマップを基にタービン回転速度ω
TRからスリップ回転ゲインgSLPCを検索して求め
る。
【0046】目標コンバータトルク演算部37は、上記
(3)式におけるgSLPにgSL PCを当てはめ、ω
SLPに上記スリップ回転指令値演算部35からのスリ
ップ回転指令値ωSLPCを当てはめることにより、タ
ービン回転速度ωTRのもとでスリップ回転指令値ω
SLPCを達成するための目標とすべきコンバータトル
クtCNVCを tCNVC(t)=ωSLPC(t)/gSLPC・・・(4) により算出する。
【0047】エンジン出力トルク推定部38では、先ず
図5に例示したエンジン全性能線図を用いてエンジン回
転数ωIRおよびスロットル開度TVOから、エンジン
出力トルクの定常値tESを検索し、次いでこれを、時
定数TEDがエンジンの動的な遅れに対応した値のフィ
ルターに通してフィルター処理し、当該フィルター処理
後の一層実際値に近いエンジン出力トルクtEHEH(t)=〔1/(TED・S+1)〕tES(t)・・・(5) を推定して求める。
【0048】目標ロックアップクラッチ締結容量演算部
39は、エンジン出力トルクtEHから目標コンバータ
トルクtCNVCを減算して目標ロックアップクラッチ
締結容量tLUCを求める。 tLUC(t)=tEH(t)−tCNVC(t)・・・(6)
【0049】ロックアップクラッチ締結圧指令値演算部
40は、目標ロックアップクラッチ締結容量tLUC
達成するためのロックアップクラッチ締結圧指令値P
LUCを図6または図7に対応するマップから検索す
る。ここで図6および図7は、ドライブ状態およびコー
スト状態ごとにロックアップクラッチの締結圧P
LUと、ロックアップクラッチ締結容量tLUとの関係
を予め実験により求めておく。ロックアップクラッチ締
結圧指令値演算部40は、ドライブ状態の時、図6のド
ライブ用のマップから目標ロックアップクラッチ締結容
量tLUCに対応するロックアップクラッチ締結圧指令
値PLUCを検索し、コースト状態の時、図7のコース
ト用のマップから目標ロックアップクラッチ締結容量t
LUCに対応するロックアップクラッチ締結圧指令値P
LUCを検索する。
【0050】ソレノイド駆動信号演算部41は、実際の
ロックアップクラッチ締結圧をロックアップクラッチ締
結圧指令値PLUCにするためのロックアップソレノイ
ド駆動デューティDを決定するが、この際、電源電圧V
igの変化による影響が回避されるようロックアップソ
レノイド駆動デューティDを適宜補正して図1のロック
アップソレノイド13に出力する。以上により、目標ス
リップ回転演算部31により定めた目標スリップ回転ω
LPTを、前置補償器32により定めた応答で実現さ
せるスリップ制御が可能である。ところで、図4に例示
するごとくトルクコンバータ出力回転数ωTRに対する
スリップ回転ゲインgSLPCの関数を、ドライブ状態
の時とコースト状態の時とで異ならせ、図3の演算部3
6でスリップ回転ゲインgSLPCを求めるに際しドラ
イブ状態の時とコースト状態の時とでそれぞれ専用のマ
ップを用いるため、また、図3の演算部40でロックア
ップクラッチ締結圧指令値PLUCを求める時に用いる
マップとして、ドライブ状態の時は図6に例示するドラ
イブ用マップを用い、コースト状態の時は図7に例示す
るコースト用マップを用いるため、ドライブ状態の時と
コースト状態の時の双方で上記のスリップ制御を正確に
実行させることができる。
【0051】ここで本発明に係わる、コースト走行用の
スリップ制御からドライブ走行用のスリップ制御への切
り換え制御を説明するに、この切り換え制御を図1のコ
ントローラ12は図8に示す制御プログラムに沿って行
う。先ずステップS1,S2で、スロットル開度TVO
や車速VSPから、トルクコンバータをスリップ制御す
べき運転領域(スリップ制御域)か、トルクコンバータ
をロックアップ状態にすべき運転領域(ロックアップ制
御域)か、それともこれら以外のトルクコンバータをコ
ンバータ状態にすべき運転領域(コンバータ制御域)か
を判定する。
【0052】ロックアップ制御域ならステップS3で、
トルクコンバータをロックアップ状態にする通常通りの
制御を実行し、コンバータ制御域ならステップS4で、
トルクコンバータをコンバータ状態にする通常通りの制
御を実行する。スリップ制御域である場合、ステップS
5においてアイドルスイッチ28がON(コースト走
行)かOFF(ドライブ走行)かを判定する。ステップ
S5でコースト走行と判定する場合、コースト走行用ス
リップ制御を行うべきであるから制御をステップS6に
進めて、前記コースト用マップを用いたコースト走行用
スリップ制御を行う。ステップS5でドライブ走行と判
定する場合、定常的には前記ドライブ用マップを用いた
ドライブ走行用スリップ制御を行うべきであるが、ここ
でコースト走行からドライブ走行への移行時は以下のよ
うにしてコースト走行用スリップ制御からドライブ走行
用スリップ制御への切り換えを行う。
【0053】先ず当該切り換え時であるか否かのチェッ
クのためにステップS7で、前回の制御がコースト走行
用スリップ制御であったか否かを判定する。前回がコー
スト走行用スリップ制御であった場合は、コースト走行
用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御への切
り換え時であるから、ステップS8で、詳しくは後述す
る当該切り換え時のロックアップクラッチ締結圧の保持
を許容できる締結圧保持制限時間を設定し、次にステッ
プS9で、当該ロックアップクラッチ締結圧の保持を解
除すべきと判定するためのスリップ回転(締結圧保持解
除判定用スリップ回転)を設定する。この締結圧保持解
除判定用スリップ回転は、0または、ドライブ走行用ス
リップ制御への切り換え時における目標スリップ回転ω
SLPTを考慮してその近辺に定めた正の値とする。
【0054】次のステップS10では、実スリップ回転
ωSLPRが締結圧保持解除判定用スリップ回転以上に
なったか否かを判定し、ステップS11では、ドライブ
走行への移行時から上記締結圧保持制限時間内であるか
否かを判定する。ステップS10で実スリップ回転ω
SLPRが締結圧保持解除判定用スリップ回転未満であ
ると判定し、且つ、ステップS11で締結圧保持制限時
間内であると判定する間は、ステップS12で、コース
ト走行用スリップ制御の最終締結圧を保持するよう指令
してロックアップソレノイド13の駆動デューティDを
対応した値に決定する。
【0055】ところで以後は最早コースト走行用スリッ
プ制御ではないから、ステップS7が前回コースト走行
用スリップ制御であったと判定しなくなり、ステップS
8,S9は、コースト走行用スリップ制御からドライブ
走行用スリップ制御への切り換えがあった時の1回のみ
実行されることになる。よって2回目以後ステップS7
は制御をステップS13に進め、ここでステップS12
の締結圧保持作用が継続中か否かを判定する。そして締
結圧保持作用が継続中である限り、ステップS10,S
11で実スリップ回転ωSLPRが締結圧保持解除判定
用スリップ回転未満であると判定し、且つ、ステップS
11で締結圧保持制限時間内であると判定する間、ステ
ップS12の締結圧保持作用を継続する。
【0056】かかる締結圧保持作用により実スリップ回
転ωSLPRが締結圧保持解除判定用スリップ回転未満
になると、ステップS10が制御をステップS14に進
め、またこの条件が満たされなくてもステップS11が
締結圧保持制限時間の経過を判定すると無条件に制御を
ステップS14に進め、当該ステップS14でスリップ
制御系を初期化することにより、ステップS12で行っ
ていた締結圧保持作用を解除すると共に、ステップS1
5で前記ドライブ用マップを用いたドライブ走行用スリ
ップ制御を行う。なおステップS14で行う制御系の初
期化は、ドライブ走行用スリップ制御を開始する時点で
の実スリップ回転で図3における前置補償器32を初期
化し、また、ロックアップクラッチ実締結圧相当のスリ
ップ回転で図3におけるスリップ回転指令値演算部35
を初期化することにより行うことができる。
【0057】上記した実施の形態において上記のごとく
に行われるコースト走行用スリップ制御からドライブ走
行用スリップ制御への切り換えによれば、以下のような
作用効果を奏し得る。図12は、図14におけると同
様、瞬時t1に運転者が釈放状態のアクセルペダルを踏
み込んでスロットル開度TVOが図示のごとく増大する
と共にアイドルスイッチがONからOFFに切り換わっ
た場合における、本実施の形態になるコースト走行用ス
リップ制御からドライブ走行用スリップ制御への切り換
え作用を示し、エンジン回転数(トルクコンバータ入力
回転数)ωIRと、タービン回転速度(トルクコンバー
タ出力回転数)ωTRと、実スリップ回転ω
SLPR(=ωIR−ωTR)と、目標スリップ回転ω
SLPTと、ロックアップクラッチ締結圧指令値P
LUCの変化タイムチャートとして示す。
【0058】この図12から明らかなように本実施の形
態になるコースト走行用スリップ制御からドライブ走行
用スリップ制御への切り換え作用によれば、運転者がコ
ースト走行からドライブ走行への移行を希望した瞬時t
1に直ちに当該切り換えを実行させず、実スリップ回転
ωSLPRが0または正値(ωIR≧ωTR)になる瞬
時t2までの間は、ロックアップクラッチ締結圧指令値
LUCをコースト走行からドライブ走行への移行瞬時
t1における値に保持しておき、瞬時t2にコースト走
行用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御へ切
り換えるから、未だ実スリップ回転ωSLPRが負値
(ωIR<ωTR)である瞬時t2以前において当該負
の実スリップ回転ωSLPRを、いきなりドライブ走行
用スリップ制御のための大きな正値の目標スリップ回転
ωSLPTに収束させるようなスリップ制御になること
がなく、従って、実スリップ回転ωSLPRが正値(ω
IRTR)になった瞬時t2以後における実スリップ
回転ωSLPRの上昇速度が素早いものとなり、コース
ト走行用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御
への移行をスムーズに行わせることができる。
【0059】また本実施の形態になるコースト走行用ス
リップ制御からドライブ走行用スリップ制御への切り換
え作用によれば、前記したごとく実スリップ回転ω
SLPRが正値になるまで締結圧保持の代わりにコース
ト走行用スリップ制御を継続し、その後にコースト走行
用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御への切
り換えを行った場合に生ずる問題、つまり、コースト走
行用スリップ制御の上記継続中にエンジン出力トルクの
増大に伴うロックアップクラッチ締結容量の増加に呼応
してロックアップクラッチの締結力が低下されるという
問題も生ずることがなく、これに伴う不必要なエンジン
回転の上昇で燃費の悪化を招くという問題も回避するこ
とができる。
【0060】なお既に上記していることであるが、締結
圧保持制御を解除してコースト走行用スリップ制御から
ドライブ走行用スリップ制御へ切り換える瞬時t2を、
実スリップ回転ωSLPRが0ではなくて正値になる
(0を超える)瞬時とする場合は特に、実スリップ回転
ωSLPRが0を超えるまでロックアップクラッチ締結
圧指令値PLUCを、コースト走行からドライブ走行へ
の移行時t1における値に保持することとなり、ドライ
ブ走行用のスリップ制御への移行が更に遅延されてドラ
イブ走行への移行時における実スリップ回転ωSLPR
の上昇が一層促進されることにより上記作用効果を一層
顕著なものにし得るし、合わせてコースト走行からドラ
イブ走行への移行時にトルクコンバータのトルク変動吸
収性能が増大されて滑らかな伝動を可能にし得る。
【0061】図9は本発明の他の実施の形態を示し、本
実施の形態は図8のステップS8〜ステップS13をそ
れぞれステップS18〜ステップS23に置換したもの
である。ステップS18においては、上記ロックアップ
クラッチ締結圧の保持の代わりに行うべきロックアップ
クラッチ締結圧の昇圧を許容できる締結圧昇圧制限時間
を設定すると共に該昇圧速度を決める単位時間当たりの
昇圧量を設定する。この単位時間当たりの昇圧量は、ロ
ックアップクラッチの締結力がコースト走行からドライ
ブ走行への移行時における締結力からドライブ走行用ス
リップ制御開始時における目標スリップ回転に対応した
締結力を超えないように漸増する程度の昇圧量とし、例
えば図10に例示するようにスロットル開度TVO(エ
ンジン負荷)の増大につれて大きくする。なお単位時間
当たりの昇圧量は、例えば図11に例示するように図3
の推定部38で推定したエンジン出力トルク推定値t
EHに応じて定め、その増大につれて大きくなるような
ものにすることができる。
【0062】次のステップS19では、当該ロックアッ
プクラッチ締結圧の昇圧を解除すべきと判定するための
スリップ回転(締結圧昇圧解除判定用スリップ回転)を
設定する。この締結圧保持解除判定用スリップ回転も、
0または、ドライブ走行用スリップ制御への切り換え時
における目標スリップ回転ωSLPTを考慮してその近
辺に定めた正の値とする。
【0063】次のステップS20では、実スリップ回転
ωSLPRが締結圧昇圧解除判定用スリップ回転以上に
なったか否かを判定し、ステップS21では、ドライブ
走行への移行時から上記締結圧昇圧制限時間内であるか
否かを判定する。ステップS20で実スリップ回転ω
SLPRが締結圧昇圧解除判定用スリップ回転未満であ
ると判定し、且つ、ステップS21で締結圧昇圧制限時
間内であると判定する間は、ステップS22で、ロック
アップクラッチの締結圧をコースト走行用スリップ制御
の最終締結圧からステップS18で定めた単位時間当た
りの昇圧量ずつ昇圧するよう指令してロックアップソレ
ノイド13の駆動デューティDを対応した値に決定す
る。ステップS23では上記の昇圧が継続されているか
否かをチェックし、継続されている間ステップS22を
実行し続け、昇圧が終了した段階で制御をステップS1
5に進めてドライブ走行用スリップ制御に切り換える。
【0064】上記した実施の形態においては、コースト
走行用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御へ
の切り換えが以下のようにして行われる。つまり図13
のごとくスロットル開度TVOを瞬時t1に開いてコー
スト走行からドライブ走行へ移行し、実スリップ回転ω
SLPRが瞬時t2に負値から0を経て正値になる場合
について説明すると、前記した図8に示す実施の形態に
おいては瞬時t1〜t2間においてロックアップクラッ
チ締結圧指令値PLUCが破線αで示すように瞬時t1
の値に保持されるのに対し、本実施の形態においては瞬
時t1〜t2間においてロックアップクラッチ締結圧指
令値PLUCが実線βで示すように瞬時t1の時の値か
らステップS18における単位時間当たりの昇圧量によ
り決まる時間変化勾配で漸増される。
【0065】従って本実施の形態においては、コースト
走行からドライブ走行への移行時t1にドライブ走行用
のスリップ制御への移行を禁止するt2までの間、ロッ
クアップクラッチの締結力をドライブ走行への移行時t
1における締結力からドライブ走行時の目標スリップ回
転に対応した締結力を超えない範囲で漸増させることと
なり、コースト走行時用スリップ制御からドライブ走行
時用スリップ制御への移行時t2にロックアップクラッ
チの締結力がドライブ走行時の目標スリップ回転に対応
した締結力に接近していることとなり、コースト走行時
用スリップ制御からドライブ走行時用スリップ制御への
移行の応答性を高めことができる。
【0066】ところで本実施の形態においては、ロック
アップクラッチ締結圧の昇圧量(ロックアップクラッチ
の締結力漸増割合)を図10のごとくエンジン負荷が高
いほど大きくしたため、エンジン高負荷時も含めて如何
なるエンジン負荷のもとでも確実に上記の作用効果を達
成することができる。なお図11に示すように、ロック
アップクラッチ締結圧の昇圧量(ロックアップクラッチ
の締結力漸増割合)をスロットル開度TVO(エンジン
負荷)およびエンジン回転数ωIRから推定したエンジ
ン出力トルクtEHが高いほど大きくし、これからロッ
クアップクラッチ締結圧の昇圧量(ロックアップクラッ
チの締結力漸増割合)を求める場合、ロックアップクラ
ッチ締結力の漸増変化割合を上記のものより更に正確に
エンジン出力トルクに対応させ得て、更に確実に上記の
作用効果を達成することができる。
【0067】なお、何れの実施の形態においてもコース
ト走行からドライブ走行への移行時t1から制限時間が
経過した後は(ステップS11、ステップS21)、ス
テップS10,S20の条件が満たされていなくても、
ドライブ走行時用のスリップ制御への移行の禁止を解除
して(ステップS14)、該移行を強制的に行わせるた
め、コースト走行時用スリップ制御からドライブ走行時
用スリップ制御への移行禁止制御が何時までも続いてし
まう弊害を回避することができる。このような弊害は、
ドライブ走行用スリップ制御でもアクセルペダルの踏み
込み量が少なくて、いわゆるロードロード線以下での運
転である場合に、エンジン回転数がタービン回転速度以
下に維持されることがあって、このような場合に発生す
るが、本実施の形態によればこのような条件の時は、ロ
ックアップクラッチ締結圧の保持または昇圧を継続せず
に制限時間経過時に終了させるため、上記の弊害を回避
することができる。
【0068】上記した何れの実施形態においても、上記
の締結圧保持制限時間や締結圧昇圧制限時間を一定値と
したが、適用するエンジンや、トランスミッション等の
組み合わせに応じて、適宜パラメータを設定し、例え
ば、締結圧保持または昇圧開始時の実スリップ回転に応
じて、締結圧保持または昇圧制限時間を変更するように
してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になるスリップ制御装
置を示す概略系統図である。
【図2】 同実施の形態においてロックアップソレノイ
ドから出力される信号圧とロックアップクラッチ締結圧
との関係を示す線図である。
【図3】 同実施の形態においてコントローラが実行す
るスリップ制御の機能別ブロック線図である。
【図4】 スリップ回転ゲインの特性図を示す線図であ
る。
【図5】 エンジンのスロットル開度と、回転数と、出
力トルクとの関係を示す全性性能線図である。
【図6】 ドライブ状態でのロックアップクラッチの締
結圧と、締結容量との関係を例示する特性図である。
【図7】 コースト状態でのロックアップクラッチの締
結圧と、締結容量との関係を例示する特性図である。
【図8】 図3に示すスリップ制御のうち、特にコース
ト走行用スリップ制御からドライブ走行用スリップ制御
への切り換え制御の詳細を示すフローチャートである。
【図9】 本発明の他の実施の形態におけるスリップ制
御のうち、特にコースト走行用スリップ制御からドライ
ブ走行用スリップ制御への切り換え制御の詳細を示すフ
ローチャートである。
【図10】 図9の切り換え制御において用いるロック
アップクラッチ締結圧の単位時間当たりの昇圧量に係わ
る特性線図である。
【図11】 図9の切り換え制御において用いるロック
アップクラッチ締結圧の単位時間当たりの昇圧量に係わ
る他の特性線図である。
【図12】 図8に示すコースト走行用スリップ制御か
らドライブ走行用スリップ制御への切り換え制御の動作
タイムチャートである。
【図13】 図9に示すコースト走行用スリップ制御か
らドライブ走行用スリップ制御への切り換え制御の動作
タイムチャートである。
【図14】 従来のコースト走行用スリップ制御からド
ライブ走行用スリップ制御への切り換え制御を示す動作
タイムチャートである。
【符号の説明】
2 トルクコンバータ 2c ロックアップクラッチ 11 スリップ制御弁 12 コントローラ 13 ロックアップソレノイド 21 スロットル開度センサ 22 インペラ回転センサ 23 タービン回転センサ 24 油温センサ 25 変速機出力回転センサ 26 変速比計算部 27 電源電圧センサ 28 アイドルスイッチ 31 目標スリップ回転演算部 32 前置補償器 33 実スリップ回転演算部 34 スリップ回転偏差演算部 35 スリップ回転指令値演算部 36 スリップ回転ゲイン演算部 37 目標コンバータトルク演算部 38 エンジン出力トルク推定部 39 目標ロックアップクラッチ締結容量演算部 40 ロックアップクラッチ締結圧指令値演算部 41 ソレノイド駆動信号演算部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トルクコンバータの入力回転速度と出力
    回転速度との差である実スリップ回転をロックアップク
    ラッチの締結により制限可能で、この実スリップ回転を
    ドライブ走行時とコースト走行時とで個々の目標スリッ
    プ回転に向かわせるようにしたトルクコンバータのスリ
    ップ制御装置において、コースト走行からドライブ走行
    への移行があっても前記実スリップ回転が0になるまで
    は、前記ドライブ走行時用のスリップ制御への移行を禁
    止して前記ロックアップクラッチの締結力を、コースト
    走行からドライブ走行への移行時における締結力に保持
    するよう構成したことを特徴とするトルクコンバータの
    スリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 トルクコンバータの入力回転速度と出力
    回転速度との差である実スリップ回転をロックアップク
    ラッチの締結により制限可能で、この実スリップ回転を
    ドライブ走行時とコースト走行時とで個々の目標スリッ
    プ回転に向かわせるようにしたトルクコンバータのスリ
    ップ制御装置において、コースト走行からドライブ走行
    への移行があっても前記実スリップ回転が0を超えるま
    では、前記ドライブ走行時用のスリップ制御への移行を
    禁止して前記ロックアップクラッチの締結力を、コース
    ト走行からドライブ走行への移行時における締結力に保
    持するよう構成したことを特徴とするトルクコンバータ
    のスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、コースト走行
    からドライブ走行への移行時にドライブ走行時用のスリ
    ップ制御への移行を禁止する間、前記ロックアップクラ
    ッチの締結力を、コースト走行からドライブ走行への移
    行時における締結力に保持する代わりに、該移行時の締
    結力からドライブ走行時の目標スリップ回転に対応した
    締結力を超えない範囲で漸増させるよう構成したことを
    特徴とするトルクコンバータのスリップ制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記締結力の漸増変
    化割合をエンジン負荷が高いほど大きくしたことを特徴
    とするトルクコンバータのスリップ制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3において、前記締結力の漸増変
    化割合をエンジン負荷およびエンジン回転数から推定し
    たエンジン出力トルクが高いほど大きくしたことを特徴
    とするトルクコンバータのスリップ制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項におい
    て、コースト走行からドライブ走行への移行があって制
    限時間が経過した後は、ドライブ走行時用のスリップ制
    御への移行の禁止を解除して、該移行を強制的に行わせ
    るよう構成したことを特徴とするトルクコンバータのス
    リップ制御装置。
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