JP2002254823A - マイクロカプセル及び温度履歴表示材料 - Google Patents

マイクロカプセル及び温度履歴表示材料

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JP2002254823A
JP2002254823A JP2001058137A JP2001058137A JP2002254823A JP 2002254823 A JP2002254823 A JP 2002254823A JP 2001058137 A JP2001058137 A JP 2001058137A JP 2001058137 A JP2001058137 A JP 2001058137A JP 2002254823 A JP2002254823 A JP 2002254823A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物品が保存されていた温度履歴を簡便に表示
できる表示材料の提供、特に、(イ)所定温度を自由に
簡易に設定でき、(ロ)消色開始の契機を簡便に与える
ことができ、(ハ)表示情報を画像様(文字、画像情
報)に形成することが可能で、(ニ)保存時、使用時に
おいて耐圧性があり、(ホ)暗所で保存・保持する必要
がなく、途中で所定温度より高く又は低く保持されてい
ても消色の程度がそれに応じて変化する温度履歴表示材
料の提供、及び該表示材料に利用可能なマイクロカプセ
ルの提供。 【解決手段】 1)液状物質を含有する多孔質物質を熱
溶融性又は熱可塑性物質で被覆したマイクロカプセルで
あって、その壁が熱により溶融又は軟化して、前記液状
物質が外部に流出する特性を有することを特徴とするマ
イクロカプセル。2) 支持体上に少なくとも発色成分
及び消色成分を含有する層を有する温度履歴表示材料で
あって、該表示材料が請求項1記載のマイクロカプセル
を含有し、該マイクロカプセル中の液状物質が前記消色
成分であることを特徴とする温度履歴表示材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状物質を含有す
る多孔質物質を熱溶融性又は熱可塑性物質で被覆したマ
イクロカプセル、及び、該マイクロカプセルを利用した
温度履歴表示材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、食品業界、流通業界、医薬品業
界等においては、物品等に製造年月日、賞味期限、有効
期限、保存温度等を記載することが行われている。しか
し、時が経った物品はどのような保持温度を経てきたか
不明であり、必ずしもその指定保存温度の下に保持され
てきたとは限らず、一時期指定温度より高い温度で保持
されていたかも知れないし、逆に指定温度より低い温度
(冷蔵又は冷凍温度)で保存されていたかも知れない。
物品は高い温度で保持されていたならば腐っているかも
知れないし、冷蔵されていたならばその分更に賞味期間
が伸びるかもしれない。そこでこれらの温度履歴を簡便
に表示する手段が求められている。
【0003】従来、色の変化又は濃度変化によって温度
履歴などを表示する材料としては、(1)浸透材の毛細
管現象を利用したものが知られている(例えば特開昭5
0−60262号公報、特開昭61−53531号公
報)。特開昭50−60262号公報記載の発明は、濾
紙のような浸透材と着色液体とからなり、液体状態にあ
る着色液体溜りを加圧で破って浸透を開始させ、所望の
領域での発色を起こさせるか、又は所望の領域に付着さ
せておいた顕色剤を発色液体中の発色体と反応させて発
色させることにより表示するものである。発色液体が所
定温度以上では液体となり、所定温度以下では固体又は
半固体となり浸透が止まるため、所定温度以上に何時間
保持されたかの温度履歴を表示することができる。一
方、特開昭61−53531号公報記載の発明は、上記
の浸透材と着色物と検知剤とからなり、液体状態にある
検知剤の溜りを加圧で破って以後検知剤を浸透させ、検
知剤中の消色剤により該着色物を消色するものである。
消色剤は所定温度以上では液体であり、所定温度以下で
は固体又は半固体であり透過しないため、特開昭50−
60262号公報の場合と同様に、所定温度以上に何時
間保持されたかの温度履歴を表示することができる。
【0004】(2)100℃前後の温度で数十時間の範
囲をピンクからメタリックグリーンヘの変化等で表示す
る共晶アセチレン系混合物を用いたもの(米国特許第
4,189,399号明細書、米国特許第4,208,
186号明細書、米国特許第4,276,190号明細
書)、(3)室温温度で数十日の範囲で無色から紫に変
色する染料と酸又はアルカリの拡散による反応を用いた
もの(米国特許第4,212,153号明細書)、
(4)レドックス染料酸素拡散性を用いたもの(米国特
許第3,786,976号明細書)、(5)緑が退色す
ることで表示する遊離ラジカル感受性染料と過酸化物の
組成物を用いたもの(米国特許第3,966,414号
明細書)、(6)使用温度で熱的に破壊されないマイク
ロカプセルに発色剤と所定温度で溶融するワックスを内
包させ、該マイクロカプセルを外圧により破壊し、変色
剤と接触させて着色することを利用したもの(特開昭6
0−55235号公報)、(7)還元剤で脱色したトリ
アリールメタン染料が酸素の拡散によって着色すること
を利用したもの(特開昭62−190447号公報)、
(8)酸を生成する微生物とpH表示薬を用いたもの
(特開平5−61917号公報)、(9)ラジカル発生
剤と色素又は色素前駆体とを接触させることによって着
色することを利用したもの(特開平9−96572号公
報)等がある。その他に、融点、拡散速度、酵素活性な
どを利用した発明も開示されている。
【0005】また、(10)特開平7−253482号
公報には、発色状態の発色剤層の上に変色剤層を積層し
たものが提案されているが、この技術は前述の特開昭6
0−55235号公報記載の発明と同様に、依拠する消
色の原理が単に常温液体の変色剤のマイグレーションに
よるものであって、本発明とは基本的に異なる。また、
変色の契機が製造時又は発色部材と消色部材の密着時で
あり、任意の時点に変色を起こすことができない。ま
た、可塑剤を変色剤として用いることが開示されている
が、常温液体の可塑剤を前提としたものであるため、変
色の契機が製造時又は発色部材と消色部材の密着時とな
り、発明者自身も明らかにしているように常温固体の可
塑剤ではマイグレーションが起こらず目的を達成するこ
とができない。
【0006】更に、(11)特開平7−260955号
公報には、同じく発色剤層の上にマイクロカプセルに内
包した変色剤からなる変色剤層を積層したものが提案さ
れているが、マイクロカプセルに内包されてはいるもの
の、特開平7−253482号公報記載の発明と同様
に、単に常温液体の変色剤のマイグレーションに依拠し
たものであって、同様の問題点を有する。また、変色の
契機は製造後であるが、爪等の加圧によるものであって
簡便ではなく、加圧領域がブロック状となり画像様でな
いという欠点も有する。また、特開平7−253482
号公報記載の発明と同様に可塑剤を変色剤として用いる
ことが開示されているが、加圧をトリガーとするもので
ある。
【0007】以上、纏めると、従来の温度履歴表示材料
は発色反応の反応時間によるもの、染料、顕色剤又は消
色剤の溶融・非溶融現象によるものであるが、熱をトリ
ガーとしているものはなく、更に耐圧性の高いものはな
い。このように、これまで色々な表示材料が提案されて
いるにも拘わらず、これらが広く普及しない理由として
は、任意の部分で選択的に消色を起こさせることができ
ず、温度履歴表示材料の温度履歴をバーコードのスキャ
ナ等により機械的又は視覚的に直接判断するのが難しい
ことによるものと考えられる。加えて、従来の表示材料
には、次のような問題がある。 イ)所定温度を境とする液体−固体間の状態変化を利用
しているため、使用できる材料が限られ、所定温度を自
由な温度に制御したり設定したりできない。 ロ)保存時において所定温度以上では液体状態であり、
取扱いが不便である。 ハ)発色・消色の契機が加圧等によるため簡便に行なえ
ない。 ニ)表示箇所が部域(ブロック)であり、画像様でな
い。 ホ)ラジカル発生剤を用いる場合は暗所で保存・保持し
なければならない。 ヘ)途中で所定温度より高いか又は低い温度に保持され
ていたとしても表示の程度が変わらない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、物品が保存
されていた温度履歴を簡便に表示できる表示材料の提
供、特に、(イ)所定温度を自由に簡易に設定でき、
(ロ)消色開始の契機を簡便に与えることができ、
(ハ)表示情報を画像様(文字、画像情報)に形成する
ことが可能で、(ニ)保存時、使用時において耐圧性が
あり、(ホ)暗所で保存・保持する必要がなく、途中で
所定温度より高く又は低く保持されていても消色の程度
がそれに応じて変化する温度履歴表示材料の提供、及び
該表示材料に利用可能なマイクロカプセルの提供を目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、次の1)〜
8)の発明によって解決される。 1) 液状物質を含有する多孔質物質を熱溶融性又は熱
可塑性物質で被覆したマイクロカプセルであって、その
壁が熱により溶融又は軟化して、前記液状物質が外部に
流出する特性を有することを特徴とするマイクロカプセ
ル。 2) 支持体上に少なくとも発色成分及び消色成分を含
有する層を有する温度履歴表示材料であって、該表示材
料が1)記載のマイクロカプセルを含有し、該マイクロ
カプセル中の液状物質が前記消色成分であることを特徴
とする温度履歴表示材料。 3) 前記マイクロカプセルの壁が熱により溶融又は軟
化し、消色成分が徐々に外部に流出する特性を有するこ
とを特徴とする2)の温度履歴表示材料。 4) 前記消色成分が内包されたマイクロカプセルと前
記発色成分とが同一層中に含有されていることを特徴と
する2)又は3)記載の温度履歴表示材料。 5) 前記発色成分を含有する発色層と、前記消色成分
が内包されたマイクロカプセルを含有する消色層とが、
この順又は逆順に設けられていることを特徴とする2)
又は3)記載の温度履歴表示材料。 6)前記発色層と消色層の間にバリアー層が設けられて
いることを特徴とする5)記載の温度履歴表示材料。 7) 前記発色成分が電子供与性染料と電子受容性化合
物を主成分とするものであることを特徴とする2)〜
6)の何れかに記載の温度履歴表示材料。 8) 前記電子供与性染料がロイコ染料であることを特
徴とする7)記載の温度履歴表示材料。
【0010】以下、上記本発明について詳しく説明す
る。本発明と前記従来技術(6)特開昭60−5523
5号公報記載の発明との差異は、該従来技術が溶融/非
溶融現象を利用しており、かつ消色の開始を(熱的には
破壊されないカプセルの)加圧による破壊に依っている
ことである。前述の通り、溶融/非溶融による方法には
問題があり、加圧による消色開始はブロック形状での加
圧であって、画像様の加圧は困難であり、保存時、使用
時の耐圧性も低い。これに対し、本発明では、液状物質
を含有する多孔質物質を熱溶融性又は熱可塑性物質で被
覆したマイクロカプセルであって、該マイクロカプセル
の壁が熱により溶融又は軟化して、該液状物質が流出す
る特性を有するマイクロカプセルを開発し、このマイク
ロカプセルの特性を利用して、前記従来技術の問題点を
解決することが可能な、支持体上に少なくとも発色成分
及び消色成分を含有する層を有する温度履歴表示材料の
発明を完成した。
【0011】本発明で用いる発色成分としては、電子供
与性染料と電子受容性化合物の組合せからなり、両者の
加熱発色反応又は溶媒との反応を利用した感熱発色材料
の技術を利用したものが好ましいが、相互に反応可能な
発色性物質と顕色性物質との組合せであれば特に制限は
ない。一方、本発明で用いる消色成分として好ましいの
は、発色状態にある発色成分を消色する機能を有し、多
孔質物質に含有させ易い液状のものである。そして、多
孔質物質中に含有された消色成分は、マイクロカプセル
の壁が熱により溶融又は軟化するに伴い外部に流出し消
色を開始する。即ち、該消色成分をドット状又はパター
ン状に加熱することによって、その加熱部分で消色が開
始されることが本発明の温度履歴表示材料の大きな特徴
であり、温度履歴を機械的又は視覚的に直接判断するこ
とができるという顕著な効果を奏する。上記ドット状又
はパターン状に加熱する手段としてはサーマルヘッドや
パターン状加熱部材等が挙げられるが、必ずしもこれら
に限定されるものではない。
【0012】本発明の温度履歴表示材料の層構造として
は、図4(a)(b)に一例を示したが、基本的には支
持体上に発色成分と消色成分とを含有する層を有してい
ればよい。実施の態様上は、図4(a)のように、支持
体上に、消色成分を内包するマイクロカプセルと発色成
分とを含有する一つの層(温度履歴表示組成物層)を設
けてもよいし、図4(b)のように、発色成分を含有す
る発色層と消色成分を内包するマイクロカプセルを含有
する消色層をこの順又は逆順に積層してもよい。また、
図4(a)のようにアンダー層や保護層を設けることが
多い。更に、図4(b)のように、発色層と消色層の間
にバリアー層を設けてもよく、必要に応じてバック層や
粘着剤層等を設けてもよい。
【0013】次に、本発明の温度履歴表示材料の作用を
説明する。まず、上記温度履歴表示材料を作製し、サー
マルヘッド等の加熱手段により、画像様に一物品の表示
情報、例えば、賞味可、可、OK、NG等の情報を印字
記録する。この情報を持つ表示材料(形態は例えばラベ
ル)を被検物に直接又は包装体に貼り付け任意の温度に
保持する。発色成分が少なくとも電子供与性染料と電子
受容性化合物からなり、消色成分を多孔質物質中に含有
させ、該多孔質物質が熱溶融性又は熱可塑性物質で包ま
れ、該熱溶融性又は熱可塑性物質の融点又はガラス転移
温度を組み合わせることにより、該熱溶融性又は熱可塑
性物質の融点又はガラス転移温度以下の加熱では、該発
色成分が発色し画像が形成されるが経時消色はせず、該
熱溶融性又は熱可塑性物質の融点又はガラス転移温度以
上の加熱では、発色成分が発色し、更に該発色部は消色
剤により経時消色する。
【0014】次に、所定温度の設定法、実際の使用状態
について説明する。図1は、本発明の各種表示材料につ
いて発色濃度の時間変化を模式的に示したものである。
パラメーターは所定温度(この場合は一定)である。点
線が消色したとみなす濃度レベル(消色レベル)であ
る。T1、T2は温度履歴表示体の保存環境温度(T1
<T2)、T0は消色成分の凝固点温度で、T1、T2
では消色が連続的に起こり、T0で消色は止まる。今、
ある食品Aの保存限界が20℃48時間であるとして、
規定される保存温度も20℃とする。T1=20℃とす
ると、消色のカーブからta=48時間となるT1のカ
ーブを有する表示材料を設計して用いる。この場合は連
続して所定温度下に置いた場合である。48時間経過後
画像は消える(例えば「賞味可」という画像が消え
る)。たまたま20℃より高い温度T2で、ある期間保
持されたとすると、曲線T1より早いtbで消色するの
で問題はない。温度T1より高い温度では、より早く消
色時間に到達する。T1を超える温度が高い程、消色時
間が早まるが、その早まりの程度と食品の傷み具合とを
完全に一致させることまでは困難である。
【0015】図2のS1のような温度サイクルで保存し
たとすると、T0が消色剤の凝固点で、それ以下のt
2、t4の期間では構造が凍結されるため消色が止ま
り、図3の曲線S1のような消色曲線となり、消色が進
む実効的な時間t1+t3+t5で図1の消色曲線と同
等となり、実際は時間tcで消色限界を迎える。これに
対し、温度サイクルS2では図3の曲線S2となり、t
cより早いtdで消色限界を迎える。より高い温度で保
持されているので程度は別として食品の保存限界が早く
なることと対応する。温度サイクルS1とS2の間の温
度サイクルS3(点線)では図3のS1とS2の曲線の
間で変わり、消色限界もtcとtdの間に来る。以上を
先程の食品Aに当てはめてみると、T1が20℃、T0
が0℃として、途中で冷蔵庫(0℃以下とする)に保管
されていた時間分は賞味期限が伸び、実効的に20℃で
保持されてきたtcの時点で賞味期限が切れる。途中で
所定温度20℃より高い温度T2で保存されると、より
早く、tdで賞味期限が切れることになる。
【0016】以上は画像の濃度の変化により表示する例
であったが、画像の色の変化により表示する例を説明す
る。また、以上は発色成分の非発色時の色が白色又は透
明の場合であったが、発色成分に顔料を含有させ、温度
履歴表示組成物層又は発色層自身に元々色を持たせても
よい。このような材料を用いて画像印字すると、顔料に
よる色は熱に感応しないため、画像部の色は「温度履歴
表示組成物層又は発色層の元々の色+発色の色」とな
り、背景部は温度履歴表示組成物層又は発色層の元々の
色を呈しており、より視認性が良くなる。画像部が背景
部と同じ色になった時に消色と判断される。また、以上
は表示情報(例えば「賞味可」)が消失する場合につい
て述べたが、予め全面加熱もしくは溶剤の塗布又は溶剤
で分散させた塗液を塗工することにより全面を発色させ
ておき、表示部のみ加熱し、消色を開始させ、消色限界
において反転像で例えば「NG」と表示してもよい。そ
の場合、加熱時消色と同時に印字(発色)も同時に行な
われるが、印字部(発色部)は既に発色しており目立た
ない。また、温度履歴表示組成物層又は発色層に熱に感
応しない顔料を含有させておき、「NG」が消色した時
に顔料の色を呈色させ、「顔料の色+温度履歴表示組成
物層又は発色層の色」の背景との色差により表示しても
よい。また、支持体(紙)を着色させておき、温度履歴
表示組成物層又は発色層を非発色状態では透明で発色状
態では紙と別の色に発色するようにしておき、上記「N
G」の画像を紙の地色に、背景を「紙の地色+温度履歴
表示組成物層又は発色層の色」に発色させ、その色差に
より表示してもよい。
【0017】上記の説明から容易に推察されるように、
本発明の表示材料は下記a)〜f)の利点乃至効果を有
する。 a) 所定温度を自由に簡単に設定できる(従来は溶融
/非溶融の融点に所定温度を合わせる必要があったが、
本発明では材料処方、構成条件により、T1のカーブを
作ればよいだけである)。 b) 保存時及び使用時においても、一般のマイクロカ
プセルより耐圧性が高く、取扱いが容易である。 c) 発色、消色の契機がサーマルヘッドで簡便に行な
える。 d) 画像様に形成できる(どのような情報でも自由に
形成できる)。即ち、ドット状又はパターン状に加熱す
ることにより、任意の部分を選択的に消色することがで
き、バーコード等の電子変換情報、又は文字、絵、記号
等の視覚情報を任意に加熱印字し消色させることができ
るので、温度履歴を機械的に検知し電子情報として判断
することができ、温度履歴を視覚的に直接判断すること
が容易となる。 e) 暗所での保存・保持に限定されない。 f) 途中所定温度より高く又は低く保持されたとして
も、それに応じて消色状態が変わる。 以上説明したように、本発明によれば、例えば供給者、
品質管理者、流通者、消費者等が物品に添付した温度履
歴表示材料の消色状態を見て物品の鮮度、賞味期限、有
効期限を客観的に判断したり、或いは温度履歴表示材料
に物品の品質に対する注意を喚起するような情報化され
た絵や文字などを適宜、任意の位置にサーマルプリンタ
ーを用いて印字し消色させたりすることも可能であり、
これらはこれまでに提案されている温度履歴表示材料と
の重大な相違点である。
【0018】本発明の温度履歴表示組成物層又は発色層
において用いられる電子供与性染料としてはロイコ染料
が好ましく、単独又は2種以上混合して適用される。そ
の例としては、この種の感熱材料に適用されているトリ
フェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、
オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系
等の染料のロイコ化合物があり、具体例として以下に示
すようなものが挙げられる。
【0019】3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニ
ル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフ
ェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタ
ルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチ
ルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ク
ロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェ
ニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロ
ルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチル
フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロルフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−
ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエ
チルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−
(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル
−7−アニリノフルオラン、2−〔N−(3′−トリフ
ルオルメチルフェニル)アミノ〕−6−ジエチルアミノ
フルオラン、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)−
9−(o−クロルアニリノ)〕キサンチル安息香酸ラク
タム、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−ト
リクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルア
ミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジ
−n−ブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フル
オラン、3−(N−メチル−N−n−アミルアミノ)−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチ
ル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミ
ノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)
フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6′−
クロル−8′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピ
ラン、6′−ブロモ−3′−メトキシ−ベンゾインドリ
ノ−スピロピラン、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジ
メチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′
−クロルフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ
−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メト
キシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、3−(2′−
ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニル)−3−
(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)フタリド、
3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニ
ル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−
メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テ
トラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニ
リノフルオラン、3−〔N−エチル−N−(2−エトキ
シプロピル)アミノ〕−6−メチル−7−アニリノフル
オラン、3−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ
−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)
フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチル
アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル
−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)
フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフ
ェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ
−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フル
オラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−
(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチ
ルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミ
ノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7
−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエ
チルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロル−
3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチル
アニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6
−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジ
メチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−
ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シ
クロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフ
チルアミノ−4′−ブロモフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジエ
チルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′
−ベンゾフルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロ
ピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6
−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フル
オラン等。
【0020】また、本発明の温度履歴表示組成物層又は
発色層で好ましく用いられる電子受容性化合物(顕色
剤)としては、前記ロイコ染料を接触時に発色させるこ
とができる電子受容性の種々の化合物(酸化剤を含む)
等が挙げられ、これらは従来公知のものでよく、例え
ば、以下に示すようなものがある。2,2−ビス(ヒド
ロキシフェニル)プロパン、4,4′−イソプロピリデ
ンジフェニル、4,4′−イソプロビリデンビス(o−
メチルフェノール)、4,4′−sec−ブチリデンビ
スフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−
tert−ブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜
鉛、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−
ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル
酸、2,2−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)プ
ロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
スルフィド、4−〔β−(p−メトキシフェノキシ)エ
トキシ〕サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−5−オキサペンタ
ン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム塩、
4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4′
−イソプロピリデンビス(2−クロルフェノール)、
2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−
ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−
tert−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,
3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ter
t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニ
ル)ブタン、4,4′−チオビス(6−tert−ブチ
ル−2−メチルフェノール)、4,4′−ジフェノール
スルホン、4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフ
ェニルスルホン、4−ペンジロキシ−4′−ヒドロキシ
ジフェニルスルホン、4,4′−ジフェノールスルホキ
シド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒド
ロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキユ酸ベンジル、
没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オク
チル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)プ
ロパン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジ
(m−クロルフェニル)チオ尿素、3,3′−ジクロル
フェニルチオ尿素サリチルアニリド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキジフェ
ニル)酢酸ベンジル、1,3−ビス(4−ヒドロキシク
ミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミ
ル)ベンゼン、2,4′−ジフェノールスルホン、2,
2′−ジアリル−4,4′−ジフェノールスルホン、
3,4−ジヒドロキシフェニル−4′−メチルジフェニ
ルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜
鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−ア
セチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシ
アン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフエ
ノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4′−
チオビス(2−メチルフェノ一ル)、4,4′−チオビ
ス(2−クロルフェノール)等。
【0021】本発明の温度履歴表示組成物層又は発色層
において、顕色剤の使用量は、染料1重量部に対して1
〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。顕色
剤は単独又は2種以上混合して適用することができ、染
料についても同様に単独又は2種以上混合して適用する
ことができる。2種以上の染料を用いることにより、所
定温度における時間変化又は温度・時間積算値をより多
色で表示できるようになる。本発明においては、色の変
化で表示するために顔料を用いることができるが、該顔
料を少なくともアンダー層、温度履歴表示組成物層、発
色層、バリアー層、消色層、保護層、支持体の何れかに
添加することができる。また、本発明に用いる顔料とし
ては、有機顔料でも無機顔料でもよく、有機顔料として
は、不溶性アゾ顔料、ポリアゾ縮合顔料、銅フタロシア
ニン系顔料、キナクドリン系顔料、ジオキサジン顔料等
を挙げることができ、無機顔料としては、チタンホワイ
ト、カドミウム系、酸化鉄系、酸化クロム系等を挙げる
ことができる。勿論、これらに限定されるものではな
く、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0022】温度履歴表示組成物層又は発色層に用いる
バインダー樹脂として好ましいのは、分子内に水酸基又
はカルボキシル基を有する樹脂である。このような樹脂
としては、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルア
セトアセタール等のポリビニルアセタール類、エチルセ
ルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテー
トプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等
のセルロース誘導体、エポキシ樹脂等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。バインダー樹脂は単
独又は2種以上混合して適用される。
【0023】温度履歴表示組成物層又は発色層を形成す
る場合には、前記ロイコ染料、顕色剤と共に、必要に応
じてこの種の感熱記録材料で慣用されている填料、界面
活性剤、滑剤、圧力発色防止剤等を、記録媒体の発色性
を損なわない範囲で添加することができる。このような
填料としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸
化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリ
ウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカル
シウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素/ホルマリ
ン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレ
ン、塩化ビニリデン系樹脂などの有機系の微粉末を挙げ
ることができ、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属
塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、
植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類などが挙げ
られる。
【0024】本発明で用いる消色成分(消色剤)として
は、発色系の消色メカニズムへの消色剤の関与形態に制
限されることなく、種々のものを用いることができる。
例えば、相互作用している電子供与性染料前駆体と顕色
剤とを、相互作用しなくなる様に隔離することにより発
色系を消色させることのできる非プロトン性有機化合
物、中でもトルエンなどの芳香族炭化水素や、ジオクチ
ルフタレートなどのフタル酸エステル類のように、一般
的に可塑剤として使用されている化合物が挙げられ、そ
の具体例としては、パラフィン油、綿実油、大豆油、コ
ーン油、オリーブ油、ヒマシ油、魚油、豚脂油、塩素化
パラフィン、塩素化ジフェニル、ジブチルフタレート、
トリブチルフタレート、トリクレジルフタレート、ジブ
チルマレエート、o−ジクロルベンゼン、ジイソプロピ
ルナフタレンのようなアルキル化ナフタレン、1−フェ
ニルトリキシリルエタン、ベンジルアルコール、1−
(3,4−ジフェニル)−1−フェニルエタン、ポリ
1,4−イソプロピルナフタレン等が挙げられる。
【0025】また、発色系に非共有電子対を供与して発
色状態から消色状態へと変化させることが可能な塩基性
物質である、ジアゾコピー現像液やジアゾニウム塩、或
いは脂肪族アミン類、アミド類、ピペリジン類、ピペラ
ジン類、ピリジン類、イミダゾール類、イミダゾリン
類、モルホリン類、グアニジン類、アミジン類、ポリエ
ーテル類、グリコール類等が好ましく用いられる。その
具体例としては、ビスフェノール類のアルキレン化合
物、テレフタル酸の酸化エチレン付加物、長鎖1,2−
グリコール、グリセリン脂肪酸エステル、尿素誘導体、
直鎖グリコールの酸化アルキレン付加物、モルホリン誘
導体、ポリエーテル及びポリエチレングリコール誘導
体、グアニジン誘導体、アミン又は第4級アンモニウム
塩、芳香族アミン誘導体、フタル酸ジオクチル、アジピ
ン酸ジオクチル等が挙げられる。勿論、これらに限定さ
れるものではなく、必要に応じて2種以上を併用するこ
ともできる。その他、酢酸エチルなどの揮発性有機溶
剤、食塩水などの塩類含有水溶液、酢酸などの酸性物質
なども例示できる。なお、使用する消色剤の種類や量を
適宜選択することにより、消色速度を調整できる。
【0026】消色剤を含有させる多孔質物質の素材とし
ては、シリカ、ポリメチルメタクリレートなどのアクリ
ル樹脂、ナイロンなどが挙げられるが、多孔質を形成可
能なものであれば、特に限定されるものではない。本発
明において、消色剤を含有させた多孔質物質を熱可塑性
物質で表面処理し、含有させた消色剤を隔離させる。表
面処理を施す物質としては、例えば、ポリメチルメタア
クリレートなどのアクリル樹脂、動植物性ワックス、合
成ワックスなどのワックス類、高級脂肪酸、高級脂肪酸
アミド、高級脂肪酸アニリド、芳香族アミンのアセチル
化物などが挙げられる。具体的には、ワックス類とし
て、パラフィンワックス、木ろう、カルナウバろう、シ
ェラック、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレ
ンワックス、酸化ポリエチレン等が、高級脂肪酸とし
て、ステアリン酸、ベヘン酸等が、高級脂肪酸アミドと
して、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メ
チルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロール
ベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチ
レンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン
酸アミド等が、高級脂肪酸アニリドとして、ステアリン
酸アニリド、リノール酸アニリド等が、芳香族アミンの
アセチル化物として、アセトトルイジド等が挙げられる
が、熱溶融性又は熱可塑性の物質ならば、これらに限定
されるものではない。
【0027】本発明では、温度履歴表示組成物層又は発
色層とサーマルヘッドとのマッチング性を向上させるた
めに、温度履歴表示材料の表層に保護層を設けてもよ
い。保護層は表示材料の透明性、耐薬品性、耐水性、耐
摩擦性、耐光性及びサーマルヘッドに対するヘッドマッ
チング性向上のため、本発明の構成要素として重要であ
る。保護層には水溶性樹脂や水性エマルジョン樹脂、疎
水性樹脂を主体として形成された皮膜や、紫外線硬化樹
脂又は電子線硬化樹脂を主体として形成された皮膜等が
包含される。水溶性樹脂の具体例としては、ポリビニル
アルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロース誘
導体(メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロ
キシセルロース等)、カゼイン、ゼラチン、ポリビニル
ピロリドン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ジイ
ソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルア
ミド、変性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル
/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレ
ン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共
重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホル
ムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
【0028】水性エマルジョン用の樹脂又は疎水性樹脂
としては、例えばポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチ
レン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/ア
クリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エ
ステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチル
メタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルア
セタール、エチルセルロース、エチレン/酢酸ビニル共
重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂とシリコン
セグメントとの共重合体も好ましく用いられる。これら
は単独で又は混合して使用され、更に必要に応じて硬化
剤を添加して樹脂を硬化させても良い。紫外線硬化樹脂
は紫外線照射によって重合反応を起こし硬化して樹脂と
なるモノマー、オリゴマー又はプレポリマーであればそ
の種類は特に限定されず、公知の種々のものが使用でき
る。電子線硬化樹脂も特に種類は限定されないが、特に
好ましい電子線硬化樹脂としては、ポリエステルを骨格
とする5官能以上の分岐状分子構造を有する電子線硬化
樹脂及びシリコン変性電子線硬化樹脂を主成分としたも
のである。
【0029】保護層にはヘッドマッチング性向上のため
に表面の平滑性を落とさない範囲で無機又は有機フィラ
ーや滑剤を添加することができる。フィラーの粒径とし
ては0.3μm以下が好ましい。フィラーとして顔料を
用いてもよく、この場合の顔料としては吸油量30ml
/100g以上、好ましくは80ml/100g以上の
物が選択される。これらの無機及び/又は有機顔料とし
ては、この種の感熱記録媒体に慣用される顔料の1種又
は2種以上を選択することができる。その具体例として
は炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水
酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレ
ー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無
機顔料の他、尿素/ホルマリン樹脂、スチレン/メタク
リル酸共重合体、ポリスチレンなどの有機顔料を挙げる
ことができる。保護層の塗工方式は特に制限はなく、従
来公知の方法を採用することができる。好ましい保護層
の厚さは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜1
0μmである。保護層の厚さが薄過ぎると、記録媒体の
保存性や保護層としての機能が不充分となり、厚過ぎる
と記録媒体の熱感度が低下するし、コスト的にも不利で
ある。
【0030】また本発明においては、支持体と、温度履
歴表示組成物層、発色層又は消色層との間にアンダー層
を設けることによって、サーマルヘッドの熱エネルギー
の効率活用による発色感度の向上を図ることができる。
アンダー層としては、熱可塑性樹脂を殻とする中空率3
0%以上の微小中空粒子、又はポーラスな顔料を用いた
非発泡性アンダー層、若しくは発泡性フィラーを用いた
発泡性アンダー層が挙げられるが、前者の非発泡性アン
ダー層の方が望ましい。アンダー層に用いられる熱可塑
性樹脂を殻とする中空率30%以上の微小中空粒子は、
内部に空気その他の気体を含有するもので、既に発泡状
態となっている微小中空粒子であり、平均粒子径2.0
〜20μmのものが用いられるが、3〜10μmのもの
がより好ましい。平均粒子径(粒子外径)が2.0μm
よりも小さいものは、任意の中空率にするのが難しい等
の生産上の理由から、コストの面で問題があり、逆に2
0μmより大きいものは、塗布乾燥後の表面の平滑性が
低下するため、サーマルヘッドとの密着性が低下し、ド
ット再現性が悪くなると共に感度向上効果が低下する。
また、粒子径分布が前記範囲にあると同時に、バラツキ
が少なく均一性の高い分布スペクトラムのものが望まし
い。更に、プラスチック球状中空粒子としては、中空率
30%以上のものが用いられるが、50%以上のものが
より好ましい。中空率30%未満のものは断熱性が不十
分なため、サーマルヘッドからの熱エネルギーが支持体
を通じて温度履歴表示材料の外へ放出されてしまい、発
色感度向上に寄与しない。なお、ここでいう中空率と
は、中空粒子の外径と内径の比であり、次式で表される
ものである。
【数1】中空率=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)
×100(%)
【0031】本発明で用いる微小中空粒子は、前記した
ように熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、この熱可
塑性樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリロニト
リルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。また、本発
明のアンダー層に用いられるポーラスな顔料としては、
尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス状等の
無機顔料等が挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。本発明の非発泡性アンダー層を設けるには、前
記の微小中空粒子やポーラスな顔料をバインダーと共に
水に分散し、これを支持体上に塗布乾燥することによっ
て得られる。微小中空粒子の塗布量は、支持体1m
たり少なくとも1g、好ましくは2〜15g程度であ
り、またバインダー樹脂の塗布量は、アンダー層を支持
体に強く結合させるような量であればよく、通常は該微
小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して2〜5
0重量%である。
【0032】非発泡性アンダー層を形成する際に使用さ
れるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子及び
/又は水性高分子エマルジョンから適宜選択される。水
溶性高分子の例としては、ポリビニルアルコール、澱粉
およびその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチル
セルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、
ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリ
ルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミ
ド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、
スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリア
クリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン
等が挙げられる。また、水性高分子エマルジョンの例と
しては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブ
タジエン/アクリル系共重合体等のラテックス、酢酸ビ
ニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン
/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹
脂、ポリウレタン等のエマルジョンが挙げられる。
【0033】また、本発明において用いる発泡性フィラ
ーは、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に低沸点溶媒の発泡
剤を含有する中空状のプラスチックフィラーであり、加
熱により発泡する。このような発泡性プラスチックフィ
ラーは従来公知であり、種々のものが用いられるが、そ
の粒子直径に関しては、未発泡の状態の場合、2〜50
μm、好ましくは5〜20μmであり、発泡状態では1
0〜100μm、好ましくは10〜50μmである。こ
の発泡性プラスチックフィラーの殻となる熱可塑性樹脂
としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、
ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、又はそれらの
共重合体などが挙げられる。また、殻内に含まれる発泡
剤としては、プロパンやブタン等が一般的である。
【0034】支持体上に発泡性アンダー層を設けるに
は、前記の発泡性プラスチックフィラーを、結着剤と共
に支持体上に塗布乾燥した後、その塗布面に熱板を密着
させ、該プラスチックフィラーを加熱発泡させればよ
い。発泡性プラスチックフィラーの塗布量は、支持体1
に対し、未発泡フィラーとして少なくとも1g、好
ましくは2〜5g程度であり、結着剤の使用量は、支持
体に対して発泡性アンダー層を強く結着できるような量
であればよく、通常の場合、未発泡フィラーと結着剤の
合計量に対し5〜50重量%である。また、加熱発泡温
度は、フィラーの殻を構成する熱可塑性樹脂を軟化させ
る温度であり、発泡倍率は、通常2〜4倍、好ましくは
2〜3倍程度であり、所期の発泡が達成されるように適
宜選択する。前記のように、支持体上に形成された発泡
性アンダー層の表面は、かなり凸凹が生じているため
に、発泡性アンダー層形成後(加熱発泡後)、キャレン
ダー処理により表面を平滑にすることが好ましく、ま
た、必要に応じて発泡性アンダー層の表面又は裏面に1
層又は複数層のアンダーコート層を設けてもよい。な
お、発泡性アンダー層には、前記微小中空粒子、ポーラ
スな顔料又は発泡性フィラー及びバインダーと共に、必
要に応じて、この種の温度履歴表示組成物層又は発色層
に慣用される補助添加成分、例えば、熱可融性物質、界
面活性剤等を添加することができる。
【0035】本発明では発色層と消色層の間にバリアー
層を設けることによって、消色層に用いる消色機能を有
する物質の透過力又は消色能等を制御することが可能と
なり、バリアー層の厚み、材質を適当に変えることによ
り、所定温度における時間変化又は時間積算値を色の変
化又は濃度の変化として表示する際に、その変色速度又
は濃度変化速度を制御することが可能になるので、バリ
アー層は本発明の構成要素として重要である。バリアー
層には水溶性高分子、有機系又は無機系のフィラーを主
体として形成された皮膜等が包含される。バリアー層に
用いる樹脂としては、水溶性高分子を用いたものが特に
好ましいが、成膜性を有する樹脂であれば必ずしもこれ
に限定されるものではない。その例としては、スチレン
/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリ
ル系共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル
酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、
アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン等のエマルジョ
ンやSBR、MBR、NBR等のラテックス及ぴポリビ
ニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉及びその誘導
体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリア
クリル酸及びその誘導体、スチレン/アクリル酸共重合
体及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド及びそ
れらの誘導体、スチレン/アクリル酸/アクリルアミド
共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキ
シ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、イ
ソブチレン/無水マレイン酸共重合体及びその誘導体等
の水溶性高分子樹脂などが挙げられる。
【0036】また、フィラーとしては、炭酸カルシウ
ム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウ
ム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面
処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、
尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合
体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末などを挙げる
ことができる。バリアー層の厚みは、消色層に用いる消
色機能を有する物質の浸透力、あるいは消色能等に左右
されるため、特に限定されるものではない。またバリア
ー層の厚み、材質を適当に変えることにより、温度履歴
を色の変化又は濃度の変化として表示する際に、その変
化の速度を制御することが可能である。
【0037】本発明の温度履歴表示材料は、その支持体
の温度履歴表示組成物層、又は発色層及び消色層を積層
した側の面又はその反対面に磁気記録層を有してもよ
い。磁気記録層としては磁性体と結着剤とを主成分とす
る従来公知の全てのものを使用することができる。磁性
体としては、例えば、バリウムフェライト、ストロンチ
ウムフェライト、Co−γ−Fe、γ−Fe
等が好ましく用いられる。結着剤としては、例えばポ
リビニルアルコール、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン等
の水性エマルジョン樹脂が好ましく用いられる。磁気記
録層は、磁性体と結着剤を主成分とする均一分散液を支
持体上に塗布乾燥して形成するが、この時、ワックスや
各種添加剤等を配合してもよい。また本発明の温度履歴
表示材料は、その支持体上の温度履歴表示組成物層、又
は発色層及び消色層を積層した側の反対面にバック層を
有してもよい。バック層は、従来公知の疎水性高分子エ
マルジョン及び/又は水溶性高分子エマルジョン等から
なる結合剤を主成分とする分散液を、温度履歴表示組成
物層、又は発色層及び消色層を設けた側の反対側の支持
体上面に塗布乾燥して設ければよい。結合剤としては、
前記保護層、アンダー層等と同じものを用いればよく、
更に、無機又は有機の顔料、無機又は有機の発泡性又は
非発泡性フィラー、耐水化剤、ワックス、各種添加剤等
を用いることもできる。
【0038】また、本発明の温度履歴表示材料は、その
支持体上の温度履歴表示組成物層、又は発色層及び消色
層を積層した側の面の反対面に粘着剤層を有してもよ
い。粘着剤層は、従来公知の粘着剤を温度履歴表示組成
物層、又は発色層及び消色層を設けた側の反対側の支持
体上面又はバック層上に塗布乾燥して形成すればよく、
更に剥離紙を順次積層することもできる。粘着剤の具体
例としてはポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン共重
合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、酢酸
ビニル/マレイン酸エステル共重合体、エチレン/アク
リル酸共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙
げられる。なお、本発明の温度履歴表示材料を有する表
示ラベルの他のエリアに、通常の非可逆性又は可逆性の
感熱発色層を構成し情報が記録されていてもよい。本発
明で使用する支持体としては、特に限定されず、紙以外
でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステルフィルム、セルローストリア
セテート等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリス
チレンフィルム或いはこれらを貼り合わせたフィルム等
を使用するのが一般的である。
【0039】ここで、サーマルヘッドによる温度履歴表
示方法について説明すると、まず、従来から公知のサー
マルヘッド又はパターン状加熱部材を有するプリンター
を用いて本発明の温度履歴表示材料に加熱印字すること
により消色を開始する。サーマルヘッド又はパターン状
加熱部材を有するプリンターを用いることにより、本発
明の温度履歴表示材料に対し、任意の時刻に任意のエネ
ルギーで任意の画像様に加熱印字及び消色開始をするこ
とができる。即ち、任意の時刻に加熱印字することによ
り任意の時刻より温度履歴を計測することができ、更に
任意のエネルギーで加熱印字することにより任意の印字
濃度に温度履歴表示組成物層又は発色層を発色させるこ
とができる。従って、温度履歴表示開始の印字濃度を任
意に選択できるため、温度履歴表示終了の期間(消色限
界)を任意に選択することができる。
【0040】更に、バーコード等の電子変換情報、又は
文字、絵、記号等の視覚情報を、画像様にすることも含
めて任意に加熱印字することができ、バーコード等を印
字することにより温度履歴を読み込ませて機械的に検知
し、電子情報として取り扱うと共に、検知できなかった
時に消色限界として判断することもできる。また、文
字、絵、記号等を印字することにより、温度履歴を視覚
的に直接判断することができる。温度履歴を視覚的に判
断する補助として温度履歴表示材料に印刷等の手段を用
いて限度見本となるような段階濃度画像を事前に設ける
ことができる。或いは文字、絵、記号等の印字情報の変
化に関する説明を印刷等により事前に設けることができ
る。例えば「絵が消えたら賞味できません」、「文字が
浮かび上がったら賞味期限を過ぎています」というよう
な説明を印字することができる。また、冷蔵輸送宅配便
等の温度管理された物品に本発明の温度履歴表示材料を
用いることにより、簡便に温度管理の状態を判断でき
る。
【0041】次に、スキャナーで温度履歴を読み取る方
法について説明する。スキャナーで色の変化又は濃度変
化を光学的に読み取り、被検物の温度履歴を管理する温
度履歴表示方法として、従来から公知のスキャナーを用
いることができ、スキャナーで反射率の差を読み取り、
目的とする印字濃度に達しているか否かを判断すること
により温度履歴及び消色限界を判断できる。またスキャ
ナーでバーコード等の電子情報を読み取ることにより、
更に情報量を付加することができる。これらのスキャナ
ーを用いた温度履歴表示方法は、電子情報を読み取るこ
とと公知のバーコード管理システム等とを組み合わせる
ことにより自動化できる。
【0042】続いて、本発明の温度履歴表示組成物層又
は発色層の所望画面域全面を予め発色させた温度履歴表
示材料の製造方法について説明する。熱乾燥して温度履
歴表示組成物層又は発色層を予め発色させる場合、これ
らの層を塗工した後、通常の乾燥工程においてこれらの
層が発色する温度以上で乾燥することにより発色させる
ことができる。乾燥する温度は、電子供与性染料と電子
受容性化合物、更には助剤や顕色剤等の組み合わせによ
り適宜変化するので、特に温度を限定するものではな
い。乾燥は温度履歴表示組成物層又は発色層を発色させ
る温度以上で、かつ過剰の熱によりこれらの層の表面性
が損なわれない温度以下であることが好ましい。全面発
色部(背景部)を更に飽和の発色濃度以下の発色状態に
制御し、画像印字部を背景部の濃度以上に発色させ、保
持後に背景部濃度と等しくなったところで判定するか、
又は背景部の濃度以下となったところで判定することも
できる。上記熱乾燥条件を決める要素としては、温度以
外に乾燥時間、熱風量、塗工物の固形分量、付着量、水
分量等がある。
【0043】発色させる工程は消色層塗工後でもよい
が、消色層塗工前に行うことが好ましい。消色層塗工後
に熱乾燥による発色工程を設けると、消色層に過剰の熱
が加わることにより消色成分が溶融し消色が開始されて
しまう恐れがある。即ち、発色させる工程は温度履歴表
示組成物層又は発色層の塗工直後でも、塗工から一定時
間経過後でもよい。またバリアー層を設ける場合、熱乾
燥による発色工程はバリアー層の塗工前でも塗工後でも
よい。消色層の塗工は、熱乾燥による温度履歴表示組成
物層又は発色層の発色工程の後、連続で行っても非連続
で行ってもよく、非連続で行う場合は、キャレンダー工
程又はバリアー層のキュア工程等を採用することができ
る。
【0044】一方、溶剤を塗布することにより予め温度
履歴表示組成物層又は発色層を発色させる場合、これら
の層の塗工後に溶剤を塗工して発色させることができ
る。そのような溶剤の具体例としては、アセトン、メチ
ルエチルケトン、エタノール、トルエン等が挙げられる
が、これらに限定されるものではなく、温度履歴表示組
成物層又は発色層を発色させることができる溶剤であれ
ばよい。塗工方法は公知の方法から任意に選択すること
ができる。予め全面発色させる他の方法としては、有機
溶剤系の溶媒に分散させた温度履歴表示組成物層又は発
色層塗布液を塗布乾燥させる方法もある。
【0045】図5、図6に本発明の温度履歴表示材料を
用いた装置の例を示す。図5はパターン状加熱部材を用
いて加熱印字、消色する例であり、図6はサーマルヘッ
ドを用いて加熱印字、消色する例である。これらの例で
は発色と同時に発色部分と同一の部分の消色が開始され
る。
【0046】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定
されるものではない。なお、実施例及び比較例中の
「部」及び「%」は、特に断らない限り「重量部」及び
「重量%」を示す。また、各液はボールミルで粉砕分散
し、含有粒子の平均粒子径を2.0μm以下とした。
【0047】実施例 ≪消色剤含有多孔質物質のマイクロカプセルの作製≫吸
油用400ml/gの球状シリカを攪拌しながら、アジ
ピン酸ジオクチル(DOA、消色剤)を滴下し、シリカ
1gに対して2.5g含有させた。次いで、ポリメチル
メタアクリレート(PMMA)の塩化メチレン5%溶液
を作成して、上記DOAを含有させた球状シリカ表面に
滴下し、乾燥・解砕して、PMMAを壁とする該球状シ
リカのマイクロカプセルを得た。
【0048】≪塗布液の調整≫ 〔A液〕 消色剤液 下記組成物を混合攪拌し、消色剤液〔A液〕を得た。 ・PMMAを壁とするDOA含有球状シリカのマイクロカプセル 20部 ・ポリビニルアルコール(10%水溶液) 20部 ・水 60部 〔B液〕 染料分散液 下記組成物を混合攪拌し、ボールミルで粉砕分散して染
料分散液〔B液〕を得た。なお、CVLは青色発色の染
料である。 ・6−(ジメチルアミノ)−3,3−ビス[4−(ジメ
チルアミノ) フェニル]−1(3H)−イソベンゾフラノン(CVL) 19部 ・ポリビニルアルコール(30%水溶液) 3部 ・2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール (10%水溶液) 2部 ・水 76部 〔C液〕 顕色剤分散液 下記組成物を混合撹拌し、ボールミルで粉砕分散して顕
色剤分散液〔C液〕を得た。 ・4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール) 19部 ・ポリビニルアルコール(30%水溶液) 3部 ・2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール (10%水溶液) 2部 ・水 76部 〔D液〕 温度履歴表示組成物層塗布液 上記〔A液〕、〔B液〕、〔C液〕の重量比が、10:
1:3となるように混合攪拌して発色・消色層塗布液
〔D液〕を得た。
【0049】≪温度履歴表示材料の作成≫上記〔D液〕
を濾過し、乾燥後の塗布量が5g/mとなるように、
市販の上質紙の表面にワイヤーバーを用いて計量・塗布
・乾燥し、温度履歴表示材料を得た。
【0050】比較例 実施例の〔D液〕から〔A液〕を除き、〔B液〕と〔C
液〕の比を1:3にして塗布量が5g/mとなるよう
に塗工した点以外は実施例と同様にして温度履歴表示材
料を得た。
【0051】上記実施例及び比較例の温度履歴表示材料
を以下の方法で評価した。温度履歴表示材料を、松下電
子部品社製の薄膜ヘッドを有する感熱記録印字実験装置
にて、ヘッド電力0.45W/dot、1ライン記録時
間10msec/1ineの条件下、印加パルス幅0.
8msecで印字し、印字直後の印字濃度及び20℃の
条件下で保管したときの印字濃度をマクベス濃度計RD
−914(マクベス社製)赤フィルター(フィルター位
置の色表示:シアン)で測定した。測定結果を図7に示
すが、実施例の方が明らかに印字濃度の低下が顕著であ
り、速やかに消色が起っていることが判る。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、次のa)〜f)のよう
な効果がもたらされる。 a) 所定温度を自由に簡単に設定できる(従来は溶融
/非溶融の融点に所定温度を合わせる必要があったが、
本発明では材料処方、構成条件により、T1のカーブを
作ればよいだけである)。 b) 保存時及び使用時においても、一般のマイクロカ
プセルより耐圧性が高く、取扱いが容易である。 c) 発色、消色の契機がサーマルヘッドで簡便に行な
える。 d) 画像様に形成できる(どのような情報でも自由に
形成できる)。 即ち、ドット状又はパターン状に加熱することにより、
任意の部分を選択的に消色することができ、バーコード
等の電子変換情報、又は文字、絵、記号等の視覚情報を
任意に加熱印字し消色させることができるので、温度履
歴を機械的に検知し電子情報として判断することがで
き、温度履歴を視覚的に直接判断することが容易とな
る。 e) 暗所での保存・保持に限定されない。 f) 途中所定温度より高く又は低く保持されたとして
も、それに応じて消色状態が変わる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示材料について発色濃度の時間変化
を模式的に示した図。
【図2】物品の保存温度サイクルと消色との関係を説明
する図。
【図3】図2の保存温度サイクルと発色濃度の時間変化
との関係を模式的に示す図。
【図4】本発明の温度履歴表示材料の層構造の一例を示
す図。 (a) 消色成分を内包するマイクロカプセルと発色成
分とを同一層(温度履歴表示組成物層)に含有する例。 (b) 発色層と消色層を有する例。
【図5】本発明の温度履歴表示材料を用いた装置であっ
て、パターン状加熱部材を用いて加熱印字、消去する例
を示す図。 (a) 本発明の温度履歴表示材料にパターン状加熱部
材を適用している図。 (b) パターン状加熱部材を示す図。
【図6】本発明の温度履歴表示材料を用いた装置であっ
て、サーマルヘッドを用いて加熱印字、消色する例を示
す図。
【図7】実施例及び比較例の印字濃度の時間変化を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41M 5/18 109

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状物質を含有する多孔質物質を熱溶融
    性又は熱可塑性物質で被覆したマイクロカプセルであっ
    て、その壁が熱により溶融又は軟化して、前記液状物質
    が外部に流出する特性を有することを特徴とするマイク
    ロカプセル。
  2. 【請求項2】 支持体上に少なくとも発色成分及び消色
    成分を含有する層を有する温度履歴表示材料であって、
    該表示材料が請求項1記載のマイクロカプセルを含有
    し、該マイクロカプセル中の液状物質が前記消色成分で
    あることを特徴とする温度履歴表示材料。
  3. 【請求項3】 前記マイクロカプセルの壁が熱により溶
    融又は軟化し、消色成分が徐々に外部に流出する特性を
    有することを特徴とする請求項2の温度履歴表示材料。
  4. 【請求項4】 前記消色成分が内包されたマイクロカプ
    セルと前記発色成分とが同一層中に含有されていること
    を特徴とする請求項2又は3記載の温度履歴表示材料。
  5. 【請求項5】 前記発色成分を含有する発色層と、前記
    消色成分が内包されたマイクロカプセルを含有する消色
    層とが、この順又は逆順に設けられていることを特徴と
    する請求項2又は3記載の温度履歴表示材料。
  6. 【請求項6】 前記発色層と消色層の間にバリアー層が
    設けられていることを特徴とする請求項5記載の温度履
    歴表示材料。
  7. 【請求項7】 前記発色成分が電子供与性染料と電子受
    容性化合物を主成分とするものであることを特徴とする
    請求項2〜6の何れかに記載の温度履歴表示材料。
  8. 【請求項8】 前記電子供与性染料がロイコ染料である
    ことを特徴とする請求項7記載の温度履歴表示材料。
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