JP4231210B2 - 温度履歴表示材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、消色成分を含有する多孔質物質を熱溶融性又は熱可塑性物質で被覆したマイクロカプセルを利用した温度履歴表示材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、食品業界、流通業界、医薬品業界等においては、物品等に製造年月日、賞味期限、有効期限、保存温度等を記載することが行われている。しかし、時が経った物品はどのような保持温度を経てきたか不明であり、必ずしもその指定保存温度の下に保持されてきたとは限らず、一時期指定温度より高い温度で保持されていたかも知れないし、逆に指定温度より低い温度(冷蔵又は冷凍温度)で保存されていたかも知れない。物品は高い温度で保持されていたならば腐っているかも知れないし、冷蔵されていたならばその分更に賞味期間が伸びるかもしれない。そこでこれらの温度履歴を簡便に表示する手段が求められている。
【0003】
従来、色の変化又は濃度変化によって温度履歴などを表示する材料としては、(1)浸透材の毛細管現象を利用したものが知られている(例えば特開昭50−60262号公報、特開昭61−53531号公報)。
特開昭50−60262号公報記載の発明は、濾紙のような浸透材と着色液体とからなり、液体状態にある着色液体溜りを加圧で破って浸透を開始させ、所望の領域での発色を起こさせるか、又は所望の領域に付着させておいた顕色剤を発色液体中の発色体と反応させて発色させることにより表示するものである。発色液体が所定温度以上では液体となり、所定温度以下では固体又は半固体となり浸透が止まるため、所定温度以上に何時間保持されたかの温度履歴を表示することができる。
一方、特開昭61−53531号公報記載の発明は、上記の浸透材と着色物と検知剤とからなり、液体状態にある検知剤の溜りを加圧で破って以後検知剤を浸透させ、検知剤中の消色剤により該着色物を消色するものである。消色剤は所定温度以上では液体であり、所定温度以下では固体又は半固体であり透過しないため、特開昭50−60262号公報の場合と同様に、所定温度以上に何時間保持されたかの温度履歴を表示することができる。
【0004】
(2)100℃前後の温度で数十時間の範囲をピンクからメタリックグリーンヘの変化等で表示する共晶アセチレン系混合物を用いたもの(米国特許第4,189,399号明細書、米国特許第4,208,186号明細書、米国特許第4,276,190号明細書)、
(3)室温温度で数十日の範囲で無色から紫に変色する染料と酸又はアルカリの拡散による反応を用いたもの(米国特許第4,212,153号明細書)、
(4)レドックス染料酸素拡散性を用いたもの(米国特許第3,786,976号明細書)、
(5)緑が退色することで表示する遊離ラジカル感受性染料と過酸化物の組成物を用いたもの(米国特許第3,966,414号明細書)、
(6)使用温度で熱的に破壊されないマイクロカプセルに発色剤と所定温度で溶融するワックスを内包させ、該マイクロカプセルを外圧により破壊し、変色剤と接触させて着色することを利用したもの(特開昭60−55235号公報)、
(7)還元剤で脱色したトリアリールメタン染料が酸素の拡散によって着色することを利用したもの(特開昭62−190447号公報)、
(8)酸を生成する微生物とpH表示薬を用いたもの(特開平5−61917号公報)、
(9)ラジカル発生剤と色素又は色素前駆体とを接触させることによって着色することを利用したもの(特開平9−96572号公報)
等がある。
その他に、融点、拡散速度、酵素活性などを利用した発明も開示されている。
【0005】
また、(10)特開平7−253482号公報には、発色状態の発色剤層の上に変色剤層を積層したものが提案されているが、この技術は前述の特開昭60−55235号公報記載の発明と同様に、依拠する消色の原理が単に常温液体の変色剤のマイグレーションによるものであって、本発明とは基本的に異なる。
また、変色の契機が製造時又は発色部材と消色部材の密着時であり、任意の時点に変色を起こすことができない。また、可塑剤を変色剤として用いることが開示されているが、常温液体の可塑剤を前提としたものであるため、変色の契機が製造時又は発色部材と消色部材の密着時となり、発明者自身も明らかにしているように常温固体の可塑剤ではマイグレーションが起こらず目的を達成することができない。
【0006】
更に、(11)特開平7−260955号公報には、同じく発色剤層の上にマイクロカプセルに内包した変色剤からなる変色剤層を積層したものが提案されているが、マイクロカプセルに内包されてはいるものの、特開平7−253482号公報記載の発明と同様に、単に常温液体の変色剤のマイグレーションに依拠したものであって、同様の問題点を有する。また、変色の契機は製造後であるが、爪等の加圧によるものであって簡便ではなく、加圧領域がブロック状となり画像様でないという欠点も有する。また、特開平7−253482号公報記載の発明と同様に可塑剤を変色剤として用いることが開示されているが、加圧をトリガーとするものである。
【0007】
以上、纏めると、従来の温度履歴表示材料は発色反応の反応時間によるもの、染料、顕色剤又は消色剤の溶融・非溶融現象によるものであるが、熱をトリガーとしているものはなく、更に耐圧性の高いものはない。
このように、これまで色々な表示材料が提案されているにも拘わらず、これらが広く普及しない理由としては、任意の部分で選択的に消色を起こさせることができず、温度履歴表示材料の温度履歴をバーコードのスキャナ等により機械的又は視覚的に直接判断するのが難しいことによるものと考えられる。
加えて、従来の表示材料には、次のような問題がある。
イ)所定温度を境とする液体−固体間の状態変化を利用しているため、使用できる材料が限られ、所定温度を自由な温度に制御したり設定したりできない。
ロ)保存時において所定温度以上では液体状態であり、取扱いが不便である。
ハ)発色・消色の契機が加圧等によるため簡便に行なえない。
ニ)表示箇所が部域(ブロック)であり、画像様でない。
ホ)ラジカル発生剤を用いる場合は暗所で保存・保持しなければならない。
ヘ)途中で所定温度より高いか又は低い温度に保持されていたとしても表示の程度が変わらない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、物品が保存されていた温度履歴を簡便に表示できる表示材料の提供、特に、(イ)所定温度を自由に簡易に設定でき、(ロ)消色開始の契機を簡便に与えることができ、(ハ)表示情報を画像様(文字、画像情報)に形成することが可能で、(ニ)保存時、使用時において耐圧性があり、(ホ)暗所で保存・保持する必要がなく、途中で所定温度より高く又は低く保持されていても消色の程度がそれに応じて変化する、マイクロカプセルを利用した温度履歴表示材料の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜7)の発明によって解決される。
1) 支持体上に少なくとも発色成分及び消色成分を含有する層を有する温度履歴表示材料であって、消色成分を含有する多孔質物質を熱溶融性又は熱可塑性物質で被覆したマイクロカプセルを含有し、該マイクロカプセルの壁が熱により溶融又は軟化して、前記消色成分が外部に流出する特性を有することを特徴とする温度履歴表示材料。
2) 前記マイクロカプセルの壁が熱により溶融又は軟化し、消色成分が徐々に外部に流出する特性を有することを特徴とする1)記載の温度履歴表示材料。
3) 前記消色成分が内包されたマイクロカプセルと前記発色成分とが同一層中に含有されていることを特徴とする1)又は2)記載の温度履歴表示材料。
4) 前記発色成分を含有する発色層と、前記消色成分が内包されたマイクロカプセルを含有する消色層とが、この順又は逆順に設けられていることを特徴とする1)又は2)記載の温度履歴表示材料。
5)前記発色層と消色層の間にバリアー層が設けられていることを特徴とする4)記載の温度履歴表示材料。
6) 前記発色成分が電子供与性染料と電子受容性化合物を主成分とするものであることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の温度履歴表示材料。
7) 前記電子供与性染料がロイコ染料であることを特徴とする6)記載の温度履歴表示材料。
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明と前記従来技術(6)特開昭60−55235号公報記載の発明との差異は、該従来技術が溶融/非溶融現象を利用しており、かつ消色の開始を(熱的には破壊されないカプセルの)加圧による破壊に依っていることである。
前述の通り、溶融/非溶融による方法には問題があり、加圧による消色開始はブロック形状での加圧であって、画像様の加圧は困難であり、保存時、使用時の耐圧性も低い。
これに対し、本発明では、消色成分を含有する多孔質物質を熱溶融性又は熱可塑性物質で被覆したマイクロカプセルであって、該マイクロカプセルの壁が熱により溶融又は軟化して、該消色成分が流出する特性を有するマイクロカプセルを開発し、このマイクロカプセルの特性を利用して、前記従来技術の問題点を解決することが可能な、支持体上に少なくとも発色成分及び消色成分を含有する層を有する温度履歴表示材料の発明を完成した。
【0011】
本発明で用いる発色成分としては、電子供与性染料と電子受容性化合物の組合せからなり、両者の加熱発色反応又は溶媒との反応を利用した感熱発色材料の技術を利用したものが好ましいが、相互に反応可能な発色性物質と顕色性物質との組合せであれば特に制限はない。
一方、本発明で用いる消色成分として好ましいのは、発色状態にある発色成分を消色する機能を有し、多孔質物質に含有させ易い液状のものである。
そして、多孔質物質中に含有された消色成分は、マイクロカプセルの壁が熱により溶融又は軟化するに伴い外部に流出し消色を開始する。
即ち、該消色成分をドット状又はパターン状に加熱することによって、その加熱部分で消色が開始されることが本発明の温度履歴表示材料の大きな特徴であり、温度履歴を機械的又は視覚的に直接判断することができるという顕著な効果を奏する。
上記ドット状又はパターン状に加熱する手段としてはサーマルヘッドやパターン状加熱部材等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0012】
本発明の温度履歴表示材料の層構造としては、図4(a)(b)に一例を示したが、基本的には支持体上に発色成分と消色成分とを含有する層を有していればよい。
実施の態様上は、図4(a)のように、支持体上に、消色成分を内包するマイクロカプセルと発色成分とを含有する一つの層(温度履歴表示組成物層)を設けてもよいし、図4(b)のように、発色成分を含有する発色層と消色成分を内包するマイクロカプセルを含有する消色層をこの順又は逆順に積層してもよい。
また、図4(a)のようにアンダー層や保護層を設けることが多い。
更に、図4(b)のように、発色層と消色層の間にバリアー層を設けてもよく、必要に応じてバック層や粘着剤層等を設けてもよい。
【0013】
次に、本発明の温度履歴表示材料の作用を説明する。
まず、上記温度履歴表示材料を作製し、サーマルヘッド等の加熱手段により、画像様に一物品の表示情報、例えば、賞味可、可、OK、NG等の情報を印字記録する。この情報を持つ表示材料(形態は例えばラベル)を被検物に直接又は包装体に貼り付け任意の温度に保持する。発色成分が少なくとも電子供与性染料と電子受容性化合物からなり、消色成分を多孔質物質中に含有させ、該多孔質物質が熱溶融性又は熱可塑性物質で包まれ、該熱溶融性又は熱可塑性物質の融点又はガラス転移温度を組み合わせることにより、該熱溶融性又は熱可塑性物質の融点又はガラス転移温度以下の加熱では、該発色成分が発色し画像が形成されるが経時消色はせず、該熱溶融性又は熱可塑性物質の融点又はガラス転移温度以上の加熱では、発色成分が発色し、更に該発色部は消色剤により経時消色する。
【0014】
次に、所定温度の設定法、実際の使用状態について説明する。
図1は、本発明の各種表示材料について発色濃度の時間変化を模式的に示したものである。パラメーターは所定温度(この場合は一定)である。点線が消色したとみなす濃度レベル(消色レベル)である。
T1、T2は温度履歴表示体の保存環境温度(T1<T2)、T0は消色成分の凝固点温度で、T1、T2では消色が連続的に起こり、T0で消色は止まる。
今、ある食品Aの保存限界が20℃48時間であるとして、規定される保存温度も20℃とする。T1=20℃とすると、消色のカーブからta=48時間となるT1のカーブを有する表示材料を設計して用いる。この場合は連続して所定温度下に置いた場合である。48時間経過後画像は消える(例えば「賞味可」という画像が消える)。
たまたま20℃より高い温度T2で、ある期間保持されたとすると、曲線T1より早いtbで消色するので問題はない。温度T1より高い温度では、より早く消色時間に到達する。T1を超える温度が高い程、消色時間が早まるが、その早まりの程度と食品の傷み具合とを完全に一致させることまでは困難である。
【0015】
図2のS1のような温度サイクルで保存したとすると、T0が消色剤の凝固点で、それ以下のt2、t4の期間では構造が凍結されるため消色が止まり、図3の曲線S1のような消色曲線となり、消色が進む実効的な時間t1+t3+t5で図1の消色曲線と同等となり、実際は時間tcで消色限界を迎える。
これに対し、温度サイクルS2では図3の曲線S2となり、tcより早いtdで消色限界を迎える。より高い温度で保持されているので程度は別として食品の保存限界が早くなることと対応する。
温度サイクルS1とS2の間の温度サイクルS3(点線)では図3のS1とS2の曲線の間で変わり、消色限界もtcとtdの間に来る。
以上を先程の食品Aに当てはめてみると、T1が20℃、T0が0℃として、途中で冷蔵庫(0℃以下とする)に保管されていた時間分は賞味期限が伸び、実効的に20℃で保持されてきたtcの時点で賞味期限が切れる。途中で所定温度20℃より高い温度T2で保存されると、より早く、tdで賞味期限が切れることになる。
【0016】
以上は画像の濃度の変化により表示する例であったが、画像の色の変化により表示する例を説明する。また、以上は発色成分の非発色時の色が白色又は透明の場合であったが、発色成分に顔料を含有させ、温度履歴表示組成物層又は発色層自身に元々色を持たせてもよい。このような材料を用いて画像印字すると、顔料による色は熱に感応しないため、画像部の色は「温度履歴表示組成物層又は発色層の元々の色+発色の色」となり、背景部は温度履歴表示組成物層又は発色層の元々の色を呈しており、より視認性が良くなる。画像部が背景部と同じ色になった時に消色と判断される。
また、以上は表示情報(例えば「賞味可」)が消失する場合について述べたが、予め全面加熱もしくは溶剤の塗布又は溶剤で分散させた塗液を塗工することにより全面を発色させておき、表示部のみ加熱し、消色を開始させ、消色限界において反転像で例えば「NG」と表示してもよい。その場合、加熱時消色と同時に印字(発色)も同時に行なわれるが、印字部(発色部)は既に発色しており目立たない。また、温度履歴表示組成物層又は発色層に熱に感応しない顔料を含有させておき、「NG」が消色した時に顔料の色を呈色させ、「顔料の色+温度履歴表示組成物層又は発色層の色」の背景との色差により表示してもよい。また、支持体(紙)を着色させておき、温度履歴表示組成物層又は発色層を非発色状態では透明で発色状態では紙と別の色に発色するようにしておき、上記「NG」の画像を紙の地色に、背景を「紙の地色+温度履歴表示組成物層又は発色層の色」に発色させ、その色差により表示してもよい。
【0017】
上記の説明から容易に推察されるように、本発明の表示材料は下記a)〜f)の利点乃至効果を有する。
a) 所定温度を自由に簡単に設定できる(従来は溶融/非溶融の融点に所定温度を合わせる必要があったが、本発明では材料処方、構成条件により、T1のカーブを作ればよいだけである)。
b) 保存時及び使用時においても、一般のマイクロカプセルより耐圧性が高く、取扱いが容易である。
c) 発色、消色の契機がサーマルヘッドで簡便に行なえる。
d) 画像様に形成できる(どのような情報でも自由に形成できる)。即ち、ドット状又はパターン状に加熱することにより、任意の部分を選択的に消色することができ、バーコード等の電子変換情報、又は文字、絵、記号等の視覚情報を任意に加熱印字し消色させることができるので、温度履歴を機械的に検知し電子情報として判断することができ、温度履歴を視覚的に直接判断することが容易となる。
e) 暗所での保存・保持に限定されない。
f) 途中所定温度より高く又は低く保持されたとしても、それに応じて消色状態が変わる。
以上説明したように、本発明によれば、例えば供給者、品質管理者、流通者、消費者等が物品に添付した温度履歴表示材料の消色状態を見て物品の鮮度、賞味期限、有効期限を客観的に判断したり、或いは温度履歴表示材料に物品の品質に対する注意を喚起するような情報化された絵や文字などを適宜、任意の位置にサーマルプリンターを用いて印字し消色させたりすることも可能であり、これらはこれまでに提案されている温度履歴表示材料との重大な相違点である。
【0018】
本発明の温度履歴表示組成物層又は発色層において用いられる電子供与性染料としてはロイコ染料が好ましく、単独又は2種以上混合して適用される。
その例としては、この種の感熱材料に適用されているトリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物があり、具体例として以下に示すようなものが挙げられる。
【0019】
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、
3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、
3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−クロルフルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、
3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、
3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
2−〔N−(3′−トリフルオルメチルフェニル)アミノ〕−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−〔3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)〕キサンチル安息香酸ラクタム、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、
3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、
3−(N−メチル−N−n−アミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、
ベンゾイルロイコメチレンブルー、
6′−クロル−8′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、
6′−ブロモ−3′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、
3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロルフェニル)フタリド、
3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、
3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)フタリド、
3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−メチルフェニル)フタリド、
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−〔N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、
3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、
3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、
3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、
3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、
3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、
2−クロル−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、
3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロモフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、
3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン等。
【0020】
また、本発明の温度履歴表示組成物層又は発色層で好ましく用いられる電子受容性化合物(顕色剤)としては、前記ロイコ染料を接触時に発色させることができる電子受容性の種々の化合物(酸化剤を含む)等が挙げられ、これらは従来公知のものでよく、例えば、以下に示すようなものがある。
2,2−ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン、
4,4′−イソプロピリデンジフェニル、
4,4′−イソプロビリデンビス(o−メチルフェノール)、
4,4′−sec−ブチリデンビスフェノール、
4,4′−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)、
p−ニトロ安息香酸亜鉛、
1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、
2,2−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、
4−〔β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ〕サリチル酸、
1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、
1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−5−オキサペンタン、
フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム塩、
4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、
4,4′−イソプロピリデンビス(2−クロルフェノール)、
2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−2−メチル)フェノール、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、
4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、
4,4′−ジフェノールスルホン、
4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、
4−ペンジロキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4′−ジフェノールスルホキシド、
p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、
p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
プロトカテキユ酸ベンジル、
没食子酸ステアリル、
没食子酸ラウリル、
没食子酸オクチル、
1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)プロパン、
N,N′−ジフェニルチオ尿素、
N,N′−ジ(m−クロルフェニル)チオ尿素、
3,3′−ジクロルフェニルチオ尿素
サリチルアニリド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、
ビス(4−ヒドロキジフェニル)酢酸ベンジル、
1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、
1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、
2,4′−ジフェノールスルホン、
2,2′−ジアリル−4,4′−ジフェノールスルホン、
3,4−ジヒドロキシフェニル−4′−メチルジフェニルスルホン、
1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、
2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、
2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、
α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、
チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、
テトラブロモビスフエノールA、
テトラブロモビスフェノールS、
4,4′−チオビス(2−メチルフェノ一ル)、
4,4′−チオビス(2−クロルフェノール)等。
【0021】
本発明の温度履歴表示組成物層又は発色層において、顕色剤の使用量は、染料1重量部に対して1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。顕色剤は単独又は2種以上混合して適用することができ、染料についても同様に単独又は2種以上混合して適用することができる。2種以上の染料を用いることにより、所定温度における時間変化又は温度・時間積算値をより多色で表示できるようになる。
本発明においては、色の変化で表示するために顔料を用いることができるが、該顔料を少なくともアンダー層、温度履歴表示組成物層、発色層、バリアー層、消色層、保護層、支持体の何れかに添加することができる。また、本発明に用いる顔料としては、有機顔料でも無機顔料でもよく、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、ポリアゾ縮合顔料、銅フタロシアニン系顔料、キナクドリン系顔料、ジオキサジン顔料等を挙げることができ、無機顔料としては、チタンホワイト、カドミウム系、酸化鉄系、酸化クロム系等を挙げることができる。
勿論、これらに限定されるものではなく、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0022】
温度履歴表示組成物層又は発色層に用いるバインダー樹脂として好ましいのは、分子内に水酸基又はカルボキシル基を有する樹脂である。このような樹脂としては、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール等のポリビニルアセタール類、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂は単独又は2種以上混合して適用される。
【0023】
温度履歴表示組成物層又は発色層を形成する場合には、前記ロイコ染料、顕色剤と共に、必要に応じてこの種の感熱記録材料で慣用されている填料、界面活性剤、滑剤、圧力発色防止剤等を、記録媒体の発色性を損なわない範囲で添加することができる。
このような填料としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素/ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン、塩化ビニリデン系樹脂などの有機系の微粉末を挙げることができ、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類などが挙げられる。
【0024】
本発明で用いる消色成分(消色剤)としては、発色系の消色メカニズムへの消色剤の関与形態に制限されることなく、種々のものを用いることができる。
例えば、相互作用している電子供与性染料前駆体と顕色剤とを、相互作用しなくなる様に隔離することにより発色系を消色させることのできる非プロトン性有機化合物、中でもトルエンなどの芳香族炭化水素や、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル類のように、一般的に可塑剤として使用されている化合物が挙げられ、その具体例としては、パラフィン油、綿実油、大豆油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油、魚油、豚脂油、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、ジブチルフタレート、トリブチルフタレート、トリクレジルフタレート、ジブチルマレエート、o−ジクロルベンゼン、ジイソプロピルナフタレンのようなアルキル化ナフタレン、1−フェニルトリキシリルエタン、ベンジルアルコール、1−(3,4−ジフェニル)−1−フェニルエタン、ポリ1,4−イソプロピルナフタレン等が挙げられる。
【0025】
また、発色系に非共有電子対を供与して発色状態から消色状態へと変化させることが可能な塩基性物質である、ジアゾコピー現像液やジアゾニウム塩、或いは脂肪族アミン類、アミド類、ピペリジン類、ピペラジン類、ピリジン類、イミダゾール類、イミダゾリン類、モルホリン類、グアニジン類、アミジン類、ポリエーテル類、グリコール類等が好ましく用いられる。
その具体例としては、ビスフェノール類のアルキレン化合物、テレフタル酸の酸化エチレン付加物、長鎖1,2−グリコール、グリセリン脂肪酸エステル、尿素誘導体、直鎖グリコールの酸化アルキレン付加物、モルホリン誘導体、ポリエーテル及びポリエチレングリコール誘導体、グアニジン誘導体、アミン又は第4級アンモニウム塩、芳香族アミン誘導体、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル等が挙げられる。勿論、これらに限定されるものではなく、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
その他、酢酸エチルなどの揮発性有機溶剤、食塩水などの塩類含有水溶液、酢酸などの酸性物質なども例示できる。なお、使用する消色剤の種類や量を適宜選択することにより、消色速度を調整できる。
【0026】
消色剤を含有させる多孔質物質の素材としては、シリカ、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ナイロンなどが挙げられるが、多孔質を形成可能なものであれば、特に限定されるものではない。
本発明において、消色剤を含有させた多孔質物質を熱可塑性物質で表面処理し、含有させた消色剤を隔離させる。表面処理を施す物質としては、例えば、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル樹脂、動植物性ワックス、合成ワックスなどのワックス類、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸アニリド、芳香族アミンのアセチル化物などが挙げられる。
具体的には、ワックス類として、パラフィンワックス、木ろう、カルナウバろう、シェラック、モンタンろう、酸化パラフィン、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等が、高級脂肪酸として、ステアリン酸、ベヘン酸等が、高級脂肪酸アミドとして、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等が、高級脂肪酸アニリドとして、ステアリン酸アニリド、リノール酸アニリド等が、芳香族アミンのアセチル化物として、アセトトルイジド等が挙げられるが、熱溶融性又は熱可塑性の物質ならば、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明では、温度履歴表示組成物層又は発色層とサーマルヘッドとのマッチング性を向上させるために、温度履歴表示材料の表層に保護層を設けてもよい。
保護層は表示材料の透明性、耐薬品性、耐水性、耐摩擦性、耐光性及びサーマルヘッドに対するヘッドマッチング性向上のため、本発明の構成要素として重要である。
保護層には水溶性樹脂や水性エマルジョン樹脂、疎水性樹脂を主体として形成された皮膜や、紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂を主体として形成された皮膜等が包含される。
水溶性樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシセルロース等)、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
【0028】
水性エマルジョン用の樹脂又は疎水性樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂とシリコンセグメントとの共重合体も好ましく用いられる。
これらは単独で又は混合して使用され、更に必要に応じて硬化剤を添加して樹脂を硬化させても良い。
紫外線硬化樹脂は紫外線照射によって重合反応を起こし硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマー又はプレポリマーであればその種類は特に限定されず、公知の種々のものが使用できる。
電子線硬化樹脂も特に種類は限定されないが、特に好ましい電子線硬化樹脂としては、ポリエステルを骨格とする5官能以上の分岐状分子構造を有する電子線硬化樹脂及びシリコン変性電子線硬化樹脂を主成分としたものである。
【0029】
保護層にはヘッドマッチング性向上のために表面の平滑性を落とさない範囲で無機又は有機フィラーや滑剤を添加することができる。
フィラーの粒径としては0.3μm以下が好ましい。
フィラーとして顔料を用いてもよく、この場合の顔料としては吸油量30ml/100g以上、好ましくは80ml/100g以上の物が選択される。これらの無機及び/又は有機顔料としては、この種の感熱記録媒体に慣用される顔料の1種又は2種以上を選択することができる。
その具体例としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機顔料の他、尿素/ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレンなどの有機顔料を挙げることができる。
保護層の塗工方式は特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。
好ましい保護層の厚さは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。保護層の厚さが薄過ぎると、記録媒体の保存性や保護層としての機能が不充分となり、厚過ぎると記録媒体の熱感度が低下するし、コスト的にも不利である。
【0030】
また本発明においては、支持体と、温度履歴表示組成物層、発色層又は消色層との間にアンダー層を設けることによって、サーマルヘッドの熱エネルギーの効率活用による発色感度の向上を図ることができる。アンダー層としては、熱可塑性樹脂を殻とする中空率30%以上の微小中空粒子、又はポーラスな顔料を用いた非発泡性アンダー層、若しくは発泡性フィラーを用いた発泡性アンダー層が挙げられるが、前者の非発泡性アンダー層の方が望ましい。
アンダー層に用いられる熱可塑性樹脂を殻とする中空率30%以上の微小中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、既に発泡状態となっている微小中空粒子であり、平均粒子径2.0〜20μmのものが用いられるが、3〜10μmのものがより好ましい。
平均粒子径(粒子外径)が2.0μmよりも小さいものは、任意の中空率にするのが難しい等の生産上の理由から、コストの面で問題があり、逆に20μmより大きいものは、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、サーマルヘッドとの密着性が低下し、ドット再現性が悪くなると共に感度向上効果が低下する。
また、粒子径分布が前記範囲にあると同時に、バラツキが少なく均一性の高い分布スペクトラムのものが望ましい。
更に、プラスチック球状中空粒子としては、中空率30%以上のものが用いられるが、50%以上のものがより好ましい。中空率30%未満のものは断熱性が不十分なため、サーマルヘッドからの熱エネルギーが支持体を通じて温度履歴表示材料の外へ放出されてしまい、発色感度向上に寄与しない。
なお、ここでいう中空率とは、中空粒子の外径と内径の比であり、次式で表されるものである。
【数1】
中空率=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100(%)
【0031】
本発明で用いる微小中空粒子は、前記したように熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、この熱可塑性樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
また、本発明のアンダー層に用いられるポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス状等の無機顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の非発泡性アンダー層を設けるには、前記の微小中空粒子やポーラスな顔料をバインダーと共に水に分散し、これを支持体上に塗布乾燥することによって得られる。
微小中空粒子の塗布量は、支持体1m2当たり少なくとも1g、好ましくは2〜15g程度であり、またバインダー樹脂の塗布量は、アンダー層を支持体に強く結合させるような量であればよく、通常は該微小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して2〜50重量%である。
【0032】
非発泡性アンダー層を形成する際に使用されるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子及び/又は水性高分子エマルジョンから適宜選択される。
水溶性高分子の例としては、ポリビニルアルコール、澱粉およびその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
また、水性高分子エマルジョンの例としては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン等のエマルジョンが挙げられる。
【0033】
また、本発明において用いる発泡性フィラーは、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に低沸点溶媒の発泡剤を含有する中空状のプラスチックフィラーであり、加熱により発泡する。このような発泡性プラスチックフィラーは従来公知であり、種々のものが用いられるが、その粒子直径に関しては、未発泡の状態の場合、2〜50μm、好ましくは5〜20μmであり、発泡状態では10〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
この発泡性プラスチックフィラーの殻となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、又はそれらの共重合体などが挙げられる。
また、殻内に含まれる発泡剤としては、プロパンやブタン等が一般的である。
【0034】
支持体上に発泡性アンダー層を設けるには、前記の発泡性プラスチックフィラーを、結着剤と共に支持体上に塗布乾燥した後、その塗布面に熱板を密着させ、該プラスチックフィラーを加熱発泡させればよい。
発泡性プラスチックフィラーの塗布量は、支持体1m2に対し、未発泡フィラーとして少なくとも1g、好ましくは2〜5g程度であり、結着剤の使用量は、支持体に対して発泡性アンダー層を強く結着できるような量であればよく、通常の場合、未発泡フィラーと結着剤の合計量に対し5〜50重量%である。
また、加熱発泡温度は、フィラーの殻を構成する熱可塑性樹脂を軟化させる温度であり、発泡倍率は、通常2〜4倍、好ましくは2〜3倍程度であり、所期の発泡が達成されるように適宜選択する。
前記のように、支持体上に形成された発泡性アンダー層の表面は、かなり凸凹が生じているために、発泡性アンダー層形成後(加熱発泡後)、キャレンダー処理により表面を平滑にすることが好ましく、また、必要に応じて発泡性アンダー層の表面又は裏面に1層又は複数層のアンダーコート層を設けてもよい。
なお、発泡性アンダー層には、前記微小中空粒子、ポーラスな顔料又は発泡性フィラー及びバインダーと共に、必要に応じて、この種の温度履歴表示組成物層又は発色層に慣用される補助添加成分、例えば、熱可融性物質、界面活性剤等を添加することができる。
【0035】
本発明では発色層と消色層の間にバリアー層を設けることによって、消色層に用いる消色機能を有する物質の透過力又は消色能等を制御することが可能となり、バリアー層の厚み、材質を適当に変えることにより、所定温度における時間変化又は時間積算値を色の変化又は濃度の変化として表示する際に、その変色速度又は濃度変化速度を制御することが可能になるので、バリアー層は本発明の構成要素として重要である。
バリアー層には水溶性高分子、有機系又は無機系のフィラーを主体として形成された皮膜等が包含される。
バリアー層に用いる樹脂としては、水溶性高分子を用いたものが特に好ましいが、成膜性を有する樹脂であれば必ずしもこれに限定されるものではない。
その例としては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン等のエマルジョンやSBR、MBR、NBR等のラテックス及ぴポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉及びその誘導体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びその誘導体、スチレン/アクリル酸共重合体及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド及びそれらの誘導体、スチレン/アクリル酸/アクリルアミド共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体及びその誘導体等の水溶性高分子樹脂などが挙げられる。
【0036】
また、フィラーとしては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末などを挙げることができる。
バリアー層の厚みは、消色層に用いる消色機能を有する物質の浸透力、あるいは消色能等に左右されるため、特に限定されるものではない。またバリアー層の厚み、材質を適当に変えることにより、温度履歴を色の変化又は濃度の変化として表示する際に、その変化の速度を制御することが可能である。
【0037】
本発明の温度履歴表示材料は、その支持体の温度履歴表示組成物層、又は発色層及び消色層を積層した側の面又はその反対面に磁気記録層を有してもよい。磁気記録層としては磁性体と結着剤とを主成分とする従来公知の全てのものを使用することができる。
磁性体としては、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、Co−γ−Fe2O3、γ−Fe2O3等が好ましく用いられる。
結着剤としては、例えばポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン等の水性エマルジョン樹脂が好ましく用いられる。
磁気記録層は、磁性体と結着剤を主成分とする均一分散液を支持体上に塗布乾燥して形成するが、この時、ワックスや各種添加剤等を配合してもよい。
また本発明の温度履歴表示材料は、その支持体上の温度履歴表示組成物層、又は発色層及び消色層を積層した側の反対面にバック層を有してもよい。
バック層は、従来公知の疎水性高分子エマルジョン及び/又は水溶性高分子エマルジョン等からなる結合剤を主成分とする分散液を、温度履歴表示組成物層、又は発色層及び消色層を設けた側の反対側の支持体上面に塗布乾燥して設ければよい。結合剤としては、前記保護層、アンダー層等と同じものを用いればよく、更に、無機又は有機の顔料、無機又は有機の発泡性又は非発泡性フィラー、耐水化剤、ワックス、各種添加剤等を用いることもできる。
【0038】
また、本発明の温度履歴表示材料は、その支持体上の温度履歴表示組成物層、又は発色層及び消色層を積層した側の面の反対面に粘着剤層を有してもよい。
粘着剤層は、従来公知の粘着剤を温度履歴表示組成物層、又は発色層及び消色層を設けた側の反対側の支持体上面又はバック層上に塗布乾燥して形成すればよく、更に剥離紙を順次積層することもできる。
粘着剤の具体例としてはポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸エステル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、本発明の温度履歴表示材料を有する表示ラベルの他のエリアに、通常の非可逆性又は可逆性の感熱発色層を構成し情報が記録されていてもよい。
本発明で使用する支持体としては、特に限定されず、紙以外でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、セルローストリアセテート等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム或いはこれらを貼り合わせたフィルム等を使用するのが一般的である。
【0039】
ここで、サーマルヘッドによる温度履歴表示方法について説明すると、まず、従来から公知のサーマルヘッド又はパターン状加熱部材を有するプリンターを用いて本発明の温度履歴表示材料に加熱印字することにより消色を開始する。
サーマルヘッド又はパターン状加熱部材を有するプリンターを用いることにより、本発明の温度履歴表示材料に対し、任意の時刻に任意のエネルギーで任意の画像様に加熱印字及び消色開始をすることができる。
即ち、任意の時刻に加熱印字することにより任意の時刻より温度履歴を計測することができ、更に任意のエネルギーで加熱印字することにより任意の印字濃度に温度履歴表示組成物層又は発色層を発色させることができる。
従って、温度履歴表示開始の印字濃度を任意に選択できるため、温度履歴表示終了の期間(消色限界)を任意に選択することができる。
【0040】
更に、バーコード等の電子変換情報、又は文字、絵、記号等の視覚情報を、画像様にすることも含めて任意に加熱印字することができ、バーコード等を印字することにより温度履歴を読み込ませて機械的に検知し、電子情報として取り扱うと共に、検知できなかった時に消色限界として判断することもできる。
また、文字、絵、記号等を印字することにより、温度履歴を視覚的に直接判断することができる。温度履歴を視覚的に判断する補助として温度履歴表示材料に印刷等の手段を用いて限度見本となるような段階濃度画像を事前に設けることができる。或いは文字、絵、記号等の印字情報の変化に関する説明を印刷等により事前に設けることができる。例えば「絵が消えたら賞味できません」、「文字が浮かび上がったら賞味期限を過ぎています」というような説明を印字することができる。
また、冷蔵輸送宅配便等の温度管理された物品に本発明の温度履歴表示材料を用いることにより、簡便に温度管理の状態を判断できる。
【0041】
次に、スキャナーで温度履歴を読み取る方法について説明する。
スキャナーで色の変化又は濃度変化を光学的に読み取り、被検物の温度履歴を管理する温度履歴表示方法として、従来から公知のスキャナーを用いることができ、スキャナーで反射率の差を読み取り、目的とする印字濃度に達しているか否かを判断することにより温度履歴及び消色限界を判断できる。
またスキャナーでバーコード等の電子情報を読み取ることにより、更に情報量を付加することができる。
これらのスキャナーを用いた温度履歴表示方法は、電子情報を読み取ることと公知のバーコード管理システム等とを組み合わせることにより自動化できる。
【0042】
続いて、本発明の温度履歴表示組成物層又は発色層の所望画面域全面を予め発色させた温度履歴表示材料の製造方法について説明する。
熱乾燥して温度履歴表示組成物層又は発色層を予め発色させる場合、これらの層を塗工した後、通常の乾燥工程においてこれらの層が発色する温度以上で乾燥することにより発色させることができる。
乾燥する温度は、電子供与性染料と電子受容性化合物、更には助剤や顕色剤等の組み合わせにより適宜変化するので、特に温度を限定するものではない。
乾燥は温度履歴表示組成物層又は発色層を発色させる温度以上で、かつ過剰の熱によりこれらの層の表面性が損なわれない温度以下であることが好ましい。
全面発色部(背景部)を更に飽和の発色濃度以下の発色状態に制御し、画像印字部を背景部の濃度以上に発色させ、保持後に背景部濃度と等しくなったところで判定するか、又は背景部の濃度以下となったところで判定することもできる。
上記熱乾燥条件を決める要素としては、温度以外に乾燥時間、熱風量、塗工物の固形分量、付着量、水分量等がある。
【0043】
発色させる工程は消色層塗工後でもよいが、消色層塗工前に行うことが好ましい。消色層塗工後に熱乾燥による発色工程を設けると、消色層に過剰の熱が加わることにより消色成分が溶融し消色が開始されてしまう恐れがある。
即ち、発色させる工程は温度履歴表示組成物層又は発色層の塗工直後でも、塗工から一定時間経過後でもよい。またバリアー層を設ける場合、熱乾燥による発色工程はバリアー層の塗工前でも塗工後でもよい。
消色層の塗工は、熱乾燥による温度履歴表示組成物層又は発色層の発色工程の後、連続で行っても非連続で行ってもよく、非連続で行う場合は、キャレンダー工程又はバリアー層のキュア工程等を採用することができる。
【0044】
一方、溶剤を塗布することにより予め温度履歴表示組成物層又は発色層を発色させる場合、これらの層の塗工後に溶剤を塗工して発色させることができる。
そのような溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、トルエン等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、温度履歴表示組成物層又は発色層を発色させることができる溶剤であればよい。
塗工方法は公知の方法から任意に選択することができる。
予め全面発色させる他の方法としては、有機溶剤系の溶媒に分散させた温度履歴表示組成物層又は発色層塗布液を塗布乾燥させる方法もある。
【0045】
図5、図6に本発明の温度履歴表示材料を用いた装置の例を示す。
図5はパターン状加熱部材を用いて加熱印字、消色する例であり、図6はサーマルヘッドを用いて加熱印字、消色する例である。
これらの例では発色と同時に発色部分と同一の部分の消色が開始される。
【0046】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「重量部」及び「重量%」を示す。
また、各液はボールミルで粉砕分散し、含有粒子の平均粒子径を2.0μm以下とした。
【0047】
実施例
≪消色剤含有多孔質物質のマイクロカプセルの作製≫
吸油用400ml/gの球状シリカを攪拌しながら、アジピン酸ジオクチル(DOA、消色剤)を滴下し、シリカ1gに対して2.5g含有させた。
次いで、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)の塩化メチレン5%溶液を作成して、上記DOAを含有させた球状シリカ表面に滴下し、乾燥・解砕して、PMMAを壁とする該球状シリカのマイクロカプセルを得た。
【0048】
≪塗布液の調整≫
〔A液〕 消色剤液
下記組成物を混合攪拌し、消色剤液〔A液〕を得た。
・PMMAを壁とするDOA含有球状シリカのマイクロカプセル 20部
・ポリビニルアルコール(10%水溶液) 20部
・水 60部
〔B液〕 染料分散液
下記組成物を混合攪拌し、ボールミルで粉砕分散して染料分散液〔B液〕を得た。なお、CVLは青色発色の染料である。
・6−(ジメチルアミノ)−3,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1(3H)−イソベンゾフラノン(CVL) 19部
・ポリビニルアルコール(30%水溶液) 3部
・2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
(10%水溶液) 2部
・水 76部
〔C液〕 顕色剤分散液
下記組成物を混合撹拌し、ボールミルで粉砕分散して顕色剤分散液〔C液〕を得た。
・4,4′−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール) 19部
・ポリビニルアルコール(30%水溶液) 3部
・2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール
(10%水溶液) 2部
・水 76部
〔D液〕 温度履歴表示組成物層塗布液
上記〔A液〕、〔B液〕、〔C液〕の重量比が、10:1:3となるように混合攪拌して発色・消色層塗布液〔D液〕を得た。
【0049】
≪温度履歴表示材料の作成≫
上記〔D液〕を濾過し、乾燥後の塗布量が5g/m2となるように、市販の上質紙の表面にワイヤーバーを用いて計量・塗布・乾燥し、温度履歴表示材料を得た。
【0050】
比較例
実施例の〔D液〕から〔A液〕を除き、〔B液〕と〔C液〕の比を1:3にして塗布量が5g/m2となるように塗工した点以外は実施例と同様にして温度履歴表示材料を得た。
【0051】
上記実施例及び比較例の温度履歴表示材料を以下の方法で評価した。
温度履歴表示材料を、松下電子部品社製の薄膜ヘッドを有する感熱記録印字実験装置にて、ヘッド電力0.45W/dot、1ライン記録時間10msec/1ineの条件下、印加パルス幅0.8msecで印字し、印字直後の印字濃度及び20℃の条件下で保管したときの印字濃度をマクベス濃度計RD−914(マクベス社製)赤フィルター(フィルター位置の色表示:シアン)で測定した。
測定結果を図7に示すが、実施例の方が明らかに印字濃度の低下が顕著であり、速やかに消色が起っていることが判る。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、次のa)〜f)のような効果がもたらされる。
a) 所定温度を自由に簡単に設定できる(従来は溶融/非溶融の融点に所定温度を合わせる必要があったが、本発明では材料処方、構成条件により、T1のカーブを作ればよいだけである)。
b) 保存時及び使用時においても、一般のマイクロカプセルより耐圧性が高く、取扱いが容易である。
c) 発色、消色の契機がサーマルヘッドで簡便に行なえる。
d) 画像様に形成できる(どのような情報でも自由に形成できる)。
即ち、ドット状又はパターン状に加熱することにより、任意の部分を選択的に消色することができ、バーコード等の電子変換情報、又は文字、絵、記号等の視覚情報を任意に加熱印字し消色させることができるので、温度履歴を機械的に検知し電子情報として判断することができ、温度履歴を視覚的に直接判断することが容易となる。
e) 暗所での保存・保持に限定されない。
f) 途中所定温度より高く又は低く保持されたとしても、それに応じて消色状態が変わる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表示材料について発色濃度の時間変化を模式的に示した図。
【図2】物品の保存温度サイクルと消色との関係を説明する図。
【図3】図2の保存温度サイクルと発色濃度の時間変化との関係を模式的に示す図。
【図4】本発明の温度履歴表示材料の層構造の一例を示す図。
(a) 消色成分を内包するマイクロカプセルと発色成分とを同一層(温度履
歴表示組成物層)に含有する例。
(b) 発色層と消色層を有する例。
【図5】本発明の温度履歴表示材料を用いた装置であって、パターン状加熱部材を用いて加熱印字、消去する例を示す図。
(a) 本発明の温度履歴表示材料にパターン状加熱部材を適用している図。
(b) パターン状加熱部材を示す図。
【図6】本発明の温度履歴表示材料を用いた装置であって、サーマルヘッドを用いて加熱印字、消色する例を示す図。
【図7】実施例及び比較例の印字濃度の時間変化を示す図。
Claims (7)
- 支持体上に少なくとも発色成分及び消色成分を含有する層を有する温度履歴表示材料であって、消色成分を含有する多孔質物質を熱溶融性又は熱可塑性物質で被覆したマイクロカプセルを含有し、該マイクロカプセルの壁が熱により溶融又は軟化して、前記消色成分が外部に流出する特性を有することを特徴とする温度履歴表示材料。
- 前記マイクロカプセルの壁が熱により溶融又は軟化し、消色成分が徐々に外部に流出する特性を有することを特徴とする請求項1記載の温度履歴表示材料。
- 前記消色成分が内包されたマイクロカプセルと前記発色成分とが同一層中に含有されていることを特徴とする請求項1又は2記載の温度履歴表示材料。
- 前記発色成分を含有する発色層と、前記消色成分が内包されたマイクロカプセルを含有する消色層とが、この順又は逆順に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の温度履歴表示材料。
- 前記発色層と消色層の間にバリアー層が設けられていることを特徴とする請求項4記載の温度履歴表示材料。
- 前記発色成分が電子供与性染料と電子受容性化合物を主成分とするものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の温度履歴表示材料。
- 前記電子供与性染料がロイコ染料であることを特徴とする請求項6記載の温度履歴表示材料。
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