JP2002254593A - 平版印刷方法および平版印刷装置 - Google Patents

平版印刷方法および平版印刷装置

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JP2002254593A
JP2002254593A JP2001057065A JP2001057065A JP2002254593A JP 2002254593 A JP2002254593 A JP 2002254593A JP 2001057065 A JP2001057065 A JP 2001057065A JP 2001057065 A JP2001057065 A JP 2001057065A JP 2002254593 A JP2002254593 A JP 2002254593A
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JP2001057065A
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English (en)
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Hisao Oishi
尚生 大石
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像を必要とせず、像様露光を原板に加える
とによって印刷版面が形成され、しかも印刷時の印刷汚
れが少なく、かつ耐刷性に優れた印刷版を作製して印刷
を行う印刷方法、上記の印刷版の作製を印刷機上で行う
ことができる印刷装置を提示すること。また、上記に加
えて、印刷原板を反復再使用することも可能な印刷方法
及び印刷装置を提供すること。 【解決手段】 酸化チタンを含有する層を表面に有する
印刷用原板に疎水性物質の層を設けたのち、高圧水銀灯
の活性光を照射して像様親水性領域を形成させて印刷版
とする平版印刷方法及びその印刷装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷に関する。
具体的には、現像することなく製版することが可能な簡
易な平版印刷版とおの作製方法とに関する。さらに印刷
機上で直接製版も可能な平版印刷方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】印刷分野においては、製版工程が簡易
で、迅速なPS板の出現によって、平版印刷が凹版や凸
版を凌駕して主要な印刷手段の地位を占めるに至ってい
る。しかしながら、近年には、印刷市場の拡大と低価格
化に伴なって、PS板をしのぐ更なる製版作業の簡易
化、迅速化及び現像廃液などの廃棄物の低排出化などを
求める印刷市場分野も形成されてきている。この市場要
請に応える手段として、活性光の照射によって表面の親
水性/疎水性の極性が変化する光触媒性の化合物を印刷
用原板に用いて、原板表面に親水性と疎水性の像様分布
を形成させて印刷版を製作する製版方法が数多く提案さ
れている。この製版方法では、原板上に像様露光を行う
だけで照射領域と非照射領域にインキ受容性とインキ反
発性に別れるに足る極性変化が生じるので現像を行うこ
となくそのまま印刷機にかけることができて、極めて簡
易な製版・印刷方法といえる。したがって、この方法に
基づいて高品質あるいは高耐刷性の印刷を行えるように
改良の試みがなされてきている。
【0003】例えば、特開平11−105234号、同
11−138970号、同11−138971号、同1
1−143055号、同11−174664号公報で
は、光触媒性の金属化合物薄層を表面に有する印刷用原
板に活性光を像様に照射して極性を変化させて親水性と
疎水性の像様分布を形成させ、さらに使用済みの印刷版
のインキを除去して原板を再使用する製版・印刷方法が
開示されている。
【0004】これらの光触媒性化合物が活性光により極
性を変換する性質をインキ受容能の像様変化に利用した
印刷方法は、簡易性の点で大きな利点を有するが、その
利点に加えてさらに印刷品質や耐刷性を向上させること
も求められており、その要請を満たすためには照射領域
と非照射領域の識別性の向上が望まれている。とくに、
光触媒性化合物として酸化チタンを用いると親水性と疎
水性の間の極性の変化が大きいので、識別効果が高い点
で好ましいことが、上記の各公報に記載されている。
【0005】一方、画像情報をコンピュータを用いて電
子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く
普及してきたのに伴い、このようなディジタル化した画
像出力を製版工程に結合して製版・印刷工程を合理化す
る印刷方式の実用化が種々検討され、提案されるように
なってきている。その一つに、コンピュータで処理され
た画像情報を担持させた光で原板を走査露光し、リスフ
ィルムを介することなく、直接印刷版を製造するコンピ
ュータ・トゥ・プレート技術が注目されている。したが
って、この目的に適応した印刷版用原板,印刷方法及び
印刷装置を得ることが重要な技術課題となっている。
【0006】光触媒性化合物として酸化チタンを用いる
と、リライタブルなダイレクト印刷用原板によるコンピ
ュータ・トゥ・プレート方式の印刷システムが可能とな
るので、上記した市場の要請に応えることのできる好適
な手段となる。しかしながら、酸化チタンの分光感度域
が320nm以下の遠紫外領域において高いので、酸化
チタンの光触媒膜に実用的な描画速度で画像状の極性分
布を形成させるには、このような遠紫外領域の光照射が
必要となる。320nm以下の波長の遠紫外光は、発癌
懸念など労働環境安全性の面で問題が多く、実用するに
は防護措置など装置面での制約があり、また作業性に支
障をきたす可能性も大きいことに加えて、遠紫外透過性
の材料である石英や蛍石で光学系を組むことは、設計
上、コスト上及び使用性の面で制約が大きく、できれば
避けたいところである。一方、近紫外〜青の可視域にか
けての光を活性光として用いると、酸化チタンの分光感
度が十分に高くないので、数百mJ/cm2〜数J/c
2の照射エネルギーが必要となり、画像露光に時間が
かかり、作業性を阻害するという欠点を有している。出
力が10W以上の強力な紫外レーザーであれば短時間露
光が可能となるが、高価格であってダイレクト印刷機に
組み込むことは現実的ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の背景にもとづくものであって、実用的な感度を有し、
製版工程の作業安全性と簡易性と優れた印刷品質及び耐
刷性とを併せ備えた印刷方法及びその方法を用いる印刷
装置を提示することである。具体的には、現像を必要と
せず、実際的な短時間の像様露光を原板に加えるとによ
って印刷版面が形成され、製版作業の安全性に支障が無
く、しかも印刷時の印刷汚れが少なく、かつ耐刷性に優
れた印刷版の作製して印刷を行う印刷方法を提示するこ
とである。本発明のさらなる課題は、上記の印刷版の作
製を印刷機上で行うことができる印刷装置を提示するこ
とである。また、別のさらなる課題は、印刷原板を反復
再使用することが可能な印刷方法及び印刷装置を提示す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するに、遠紫外光を用いなくても実用的な感度得
られ、かつ作業面での安全性が確保される酸化チタンの
極性変換効率を高める手段を鋭意探索し、とりわけ近紫
外領域で強い輝線スペクトルの励起発光を行なう光源に
着目した検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわ
ち本発明は下記の通りである。
【0009】1.酸化チタンを含有する層を表面に有す
る印刷用原板に疎水性物質の層を一様に設けたのち、活
性光の照射により像様親水性領域を形成させて印刷版と
する平版印刷方法において、該活性光が高圧水銀灯を光
源とする紫外光であることを特徴とする平版印刷方法。
【0010】2.該活性光の照射が、該印刷用原板を移
動させながら、原板表面に活性光をスリットを通して照
射する走査型の面露光であることを特徴とする上記1に
記載の平版印刷方法。
【0011】3.該活性光の照射が、光源から出射され
る光束を収斂させたスポット光を2次元走査して行う照
射であることを特徴とする上記1に記載の平版印刷方
法。
【0012】4.該疎水性物質の層の厚みが、水滴に対
する該層表面の接触角が70〜120度となる厚みに設
けられた層であることを特徴とする上記1〜3のいずれ
か1項に記載の平版印刷方法。
【0013】5.表面に酸化チタンを含有する層を設け
られており、支持体に粗面化したアルミニウム基板であ
る印刷用原板を用いることを特徴とする上記1〜4のい
ずれか1項に記載の平版印刷方法。
【0014】6.疎水性物質が昇華性固体又は揮発性液
体であって、該疎水性物質の気体を印刷用原板表面の酸
化チタンを含有する層に凝結させて疎水性物質の層を設
けることを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載
の平版印刷方法。
【0015】7.疎水性物質が高分子有機化合物であっ
て、該高分子有機化合物の溶液又は粒子分散物を印刷用
原板表面の酸化チタンを含有する層に噴霧して疎水性物
質の層を設けることを特徴とする上記1〜5のいずれか
1項に記載の平版印刷方法。
【0016】8.酸化チタンを含有する層の表面に疎水
性物質の層を設ける方法が、塗り付け塗布、噴霧塗布、
気化凝縮法、気体接触法及び浸漬塗布、から選ばれる方
法であることを特徴とする上記1〜7のいずれか1項に
記載の平版印刷版の作製方法。
【0017】9.印刷に使用した印刷版からインキを除
去したのち、該印刷版を印刷用原板として再使用するこ
とを特徴とする上記1から8のいずれか1項に記載の平
版印刷方法。
【0018】10.(1)酸化チタンを含有する層を表
面に有する印刷用原板を印刷装置に固定する印刷用原板
装着部と(2)該原板に疎水性物質の層を設ける全面疎
水化処理部と、(3)該疎水層を担持した印刷用原板に
高圧水銀灯光を活性光として像様に照射して親水性領域
を形成させる活性光照射部と、(4)疎水性領域にイン
キを供給し、親水性領域に湿し水を供給するインキ及び
湿し水供給部と、(5)疎水性領域がインキを受容し、
親水性領域が湿し水を受容してなる印刷面を被印刷面と
接触させて印刷を行う印刷部と、を有することを特徴と
する平版印刷装置。
【0019】11.上記の(1)印刷用原板装着部と
(2)全面疎水化処理部と、(3)活性光照射部と、
(4)湿し水を供給するインキ及び湿し水供給部と、
(5)印刷部と、が版胴の周囲に配設されていることを
特徴とする上記10に記載の平版印刷装置。
【0020】12.さらに印刷済みの版をインキ溶剤で
洗浄して印刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部
を有することを特徴とする上記10又は11に記載の平
版印刷装置。
【0021】本発明の基本的な技術思想と要諦を説明す
る。図1は、酸化チタンの極性変換に対する分光感度特
性を示す図である。この図が示すように、320nm以
下の短波長領域では酸化チタンの極性変換に対する光感
度(以後単に光感度又は感度と呼ぶ)が70mJ/cm2
以上の感度を有し、実用レベルの高さにあるといえる。
370nmよりも長波長の領域では300mJ/cm2
以下の本質的に低い感度レベルにあるといえる。前者領
域は、実用レベルの感度であっても作業安全性や装置の
コストの面で本質的に劣り、後者領域は、安全性や装置
コストの面からは望ましくても、本質的に低感度であっ
て、いずれも実用的には問題があることは前記したとお
りである。その中間の紫外域である320〜370nm
の波長域の光も極性変換の感度は、なお不充分である
が、高圧水銀灯から発する365nmの輝線スペクトル
光を用いた場合には極性が変化し易く、例えば、次ぎに
述べる疎水化剤との組合せによって100mJ/cm2
以上の感度も得られ、露光時間が顕著に短縮できる。こ
れが本発明の基本となっている。高圧水銀灯の365n
mの輝線スペクトル光が、実用可能な極性変換感度を発
現する理由は、その励起振幅の狭いことによるものと推
定している。
【0022】高圧水銀灯の365nmの輝線スペクトル
光によって発現する本発明の効果は、疎水化膜の厚みの
制御すなわち接触角の調節によって、さらに効果的に発
揮される。光触媒膜を用いた印刷用原板は、光触媒膜上
に設けた疎水性物質の層(以後、疎水化膜とも呼ぶ)の
材質や厚みによって感度が変化する。一般的に疎水化膜
は厚みが薄いほど感度は高くなる。しかしながら、厚み
を薄くするほど、疎水化作用が減退し、かつ耐刷性も低
下する。識別性を発揮できるに足りる着肉性の確保から
は水滴接触角は60度以上とする必要があり、70〜1
20度であることがより実用的であるので、疎水化膜の
厚みとしては、高圧水銀灯の365nmの輝線スペクト
ル光で、この接触角を実現できる厚みが必要である。疎
水化膜の材料と厚みを選択することによって、上記輝線
の光照射の親水化の光感度と非照射領域の疎水性との両
立が可能となる。すなわち、このような300nm以下
の短波長の照射波長領域と適切な疎水化膜の厚みとを選
択することによって疎水化膜を通しての感度を100m
J/cm2以上に維持できて、しかも非照射領域の疎水
性と疎水性を失った照射領域との親水性/疎水性の識別
効果が確保される。高圧水銀灯は、印刷装置に搭載可能
な小型、低価格であって、かつ実用的な時間内で画像形
成露光が可能なので、機上製版が可能なダイレクト印刷
装置を実現させることができ、コンピュータ・トウ・プ
レートの市場要請に応えることができる。
【0023】すなわち、本発明の平版印刷方法は、酸化
チタンを含む層を表面に有する印刷原板に疎水性物質の
層を設けて全面を十分に疎水化したのち、高圧水銀灯か
ら発する365nmの輝線スペクトル光を活性光として
像様に適用して像様親水性領域を形成させて、疎水性が
維持された非照射領域と疎水性を失った照射領域の像様
分布を有する印刷版が作られる。この方法、それに用い
る印刷用原板及び機上製版が可能なダイレクト印刷装置
から構成された印刷システムにおいては、製版工程その
ものが簡易で、現像操作を伴なわず、実用的な露光時間
で画像形成が行われ、かつ実用的な印刷品質と識別性が
確保される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をさら
に詳細に以下の順序によって説明する。はじめに本発明
に用いる印刷用原板、すなわち酸化チタンを含む層及び
それを担持する支持体について、次いで本発明の製版過
程、すなわち、まず疎水化層の材料と疎水化層の付与方
法、全面疎水化した原板への画像露光方法、印刷工程と
印刷終了後の印刷版の再生工程について、さらに本発明
による印刷装置について順次説明する。
【0025】I 印刷用原板 〔酸化チタンを含有する層〕本発明に用いる印刷用原板
は、酸化チタンを含有する層を表面に有する。酸化チタ
ンを含有する層は、酸化チタンの連続相で構成された薄
層、酸化チタン粒子が焼成して結合した薄相、あるいは
酸化チタン粒子が分散されたバインダーの層、そのほか
後述する形態のいずれであってもよいが、光触媒能の高
い点から、酸化チタンの連続相で構成された薄層である
ことが好ましい。以後酸化チタンを含有する層を、単に
酸化チタン薄層又は酸化チタン薄膜と呼ぶ。酸化チタン
薄層は、顕著な光触媒効果を有していて、本発明におい
ては、この性質が利用されている。本発明において、光
触媒能を有する化合物すなわち光触媒性化合物は、親水
性/疎水性の極性変化に関して触媒作用を有しているこ
とを指しており、活性光の照射による疎水性から親水性
への極性変換が促進される化合物である。
【0026】酸化チタンは、イルメナイトやチタンスラ
グの硫酸加熱焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化など
既知の任意の方法で作られたものを使用できる。あるい
は後述するように金属チタンを用いて印刷版製作段階で
真空蒸着によって酸化物皮膜とする方法も用いることが
できる。
【0027】酸化チタン薄層を原板の表面に設けるに
は、たとえば、酸化チタン微結晶又は酸化亜鉛微結晶
の分散物(必要によって少量の分散媒すなわちバインダ
ーを含有)を印刷版の原板上に塗設する方法、塗設し
たのち焼成してバインダーを減量或いは除去する方法、
印刷原板上に蒸着、スパッタリング、イオンプレーテ
ィング、CVDなどの方法で酸化チタン(又は酸化亜
鉛)膜を設ける方法、例えばチタニウムブトキシドの
ようなチタン有機化合物を原板上に塗布したのち、焼成
酸化を施して酸化チタン層とする方法など、既知の任意
の方法を用いることができる。本発明においては、真空
蒸着又はスパッタリングによる酸化チタン層が特に好ま
しい。
【0028】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、具体的には無定形酸化チタン微結晶分散物
を塗布したのち、焼成してアナターゼまたはルチル型の
結晶酸化チタン層とする方法、酸化チタンと酸化シリコ
ンの混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸
化チタンとオルガノシロキサンなどとの混合物を塗布し
てシロキサン結合を介して支持体と結合した酸化チタン
層を得る方法、酸化物と混和できるポリマーバインダー
に分散して塗布する方法、さらには塗布したのち、焼成
して有機成分を除去する方法などがある。酸化物微粒子
のバインダ−には、酸化チタン微粒子に対して分散性を
有するバインダーが用いられるが、さらに塗布層の焼成
を加える場合には、分酸性があってかつ比較的低温で焼
成除去が可能なポリマーを用いる。好ましいバインダー
の例としては、ポリエチレンなどのポリアルキレン、ポ
リブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリ
ル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコー
ル、ポリスチレンなどの疎水性バインダーが好ましく、
それらの樹脂を混合して使用してもよい。
【0029】上記の酸化チタンの真空蒸着を行うに
は、通常真空蒸着装置内の蒸着用加熱の熱源に金属チタ
ンを置き、真空度10-3〜10-6Paで全ガス圧1〜1
-3Pa、酸素文圧比が30〜90%になるようにしな
がら、チタン金属を蒸発させると、蒸着面には酸化チタ
ンの蒸着薄膜が形成される。また、スパッタリングによ
る場合は、例えばスパッタ装置内にチタン金属ターゲッ
トをセットしてAr/O2 比が60/40(モル比)
となるようにガス圧を5×10-1Paに調整したのち、
RFパワー200Wを投入してスパッタリングを行って
酸化チタン薄膜を基板上に形成させる。
【0030】蒸着膜の厚みは、1〜10000nmがよ
く、好ましくは1〜1000nmである。さらに好まし
くは300nm以下として光干渉の歪みを防ぐのがよ
い。また、光活性化作用を十分に発現させるには厚みが
5nm以上あることが好都合である。
【0031】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。酸化チタン薄層が、バインダーなど
を含む層である場合も、薄層の主成分は酸化チタンであ
って、その体積率は、それぞれ30〜100%であり、
好ましくは50%以上を酸化チタンが占めるのがよく、
さらに好ましくは酸化物の連続層つまり実質的に100
%であるのがよい。しかしながら、表面の親水性/親油
性変化特性は、酸化亜鉛を電子写真感光層に用いるとき
のような著しい純度による影響はないので、100%に
近い純度のもの(例えば98%)をさらに高純度化する
必要はない。それは、本発明に利用される物性は、導電
性とは関係ない膜表面の親水性/親油性の極性変化特性
であることからも理解できることである。
【0032】しかしながら、後述する原板再生使用の際
に重要な、熱により表面親水性が変化する性質を増進さ
せるためにある種の金属をドーピングすることは有効な
場合があり、この目的にはイオン化傾向が小さい金属の
ドーピングが適しており、Pt,Pd,Au,Ag,C
u,Ni,Fe,Co又はCrをドーピングするのが好
ましい。また、これらの好ましい金属を複数ドーピング
してもよい。ドーピングを行った場合も、その注入量は
酸化チタン中の金属成分に対して5モル%以下である。
【0033】一方、体積率が低いと層の表面の親水性/
親油性の熱応答挙動の敏感度が低下する。したがって、
層中の酸化物の体積率は、30%以上であることが望ま
しく、とくに実質的に100%であることが好ましい。
【0034】〔支持体〕次に支持体について述べるが、
本発明においては原板を印刷装置上の版胴に装着して製
版する場合もあるので、それらを含めて説明する。本発
明に係わる印刷原板は、いろいろの形態と材料を用いる
ことができる。例えば、親水・親油材料の薄層を印刷機
の版胴の基体表面に蒸着、浸漬あるいは塗布するなど上
記した方法で直接設ける方法、支持体に担持された親水
・親油材料や支持体を持たない親水・親油材料の薄板を
版胴の基体に巻き付けて印刷版とする方法などを用いる
ことができる。また、勿論版胴上で製版する上記形態以
外に、一般的に行われているように、製版を行った印刷
版を輪転式あるいは平台式印刷機に装着する形態を採っ
てもよい。
【0035】親水・親油材料を支持体上に設ける場合、
使用される支持体は、熱分解せず、寸法的にも安定な板
状物であり、アルミニウム板、SUS鋼板、ニッケル
板、銅板などの金属板が好ましく、特に可撓性(フレキ
シブル)の金属板を用いることが好ましい。また、ポリ
エステル類やセルローズエステル類などのフレキシブル
なプラスチック支持体も用いることができる。防水加工
紙、ポリエチレン積層紙、含浸紙などの支持体を使用し
てもよい。
【0036】具体的には、紙、プラスチックシート(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のシ
ート)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、プラスチックフィ
ルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネー
ト、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィ
ルム等が挙げられる。
【0037】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、ポリイミドフィルム、アルミニウム、又は印刷版上
で腐食しにくいSUS板であり、その中でも寸法安定性
がよく、比較的安価であるアルミニウム板と、製版工程
における加熱操作に対して安定性の高いポリイミドフィ
ルムは特に好ましい。
【0038】好適なポリイミドフィルムは、ピロメリッ
ト酸無水物とm−フェニレンジアミンを重合させたの
ち、環状イミド化したポリイミド樹脂フィルムであり、
このフィルムは市販されている(例えば、東レ・デュポ
ン社製の「カプトン」)。
【0039】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニ
ウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガ
ン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッ
ケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高
々10質量%以下である。本発明において特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板
を適宜に利用することができる。本発明で用いられる金
属支持体の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ま
しくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm
〜0.3mmであり、プラスチックや加工紙などその他の
支持体の厚みはおよそ0.1mm〜2.0mm程度、好まし
くは0.2mm〜1.0mmである。
【0040】アルミニウム支持体を用いる場合は、表面
を粗面化して用いることが好ましい。その場合、所望に
より、粗面化に先立って表面の圧延油を除去するため
の、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶
液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表
面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例え
ば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解
粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方
法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨
法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの
公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な
粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または
直流により行うなど公知の方法を利用することができ
る。また、粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じ
てアルカリエッチング処理および中和処理された後、所
望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。陽極酸化の電解質の濃度は電解質の
種類によって適宜決められる。
【0041】陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量が1.0g/m2より少ないと、耐刷性が不十分であっ
たり、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印
刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」
が生じ易くなる。以上で本発明の印刷用原板の構成の説
明を終わる。
【0042】II 製版過程 〔全面疎水化〕印刷用原板は、はじめに全面疎水化され
る。多くの光触媒性金属酸化物は、例えば80〜140
°C程度の高温に加熱されることによって疎水化される
ことは、特開平11−174665号、同11−138
970号、同11−143055号公報などに開示され
ていて、このような加熱による疎水化も可能ではある
が、本発明においては、画像部と非画像部の識別性を一
層向上させるために、疎水性の物質の層を印刷原板の全
面に設ける全面疎水化処理による一層強固な疎水化を行
う方がより好ましい。それに用いる疎水化膜形成用の物
質を疎水化剤とよぶ。始めに疎水化剤について、つぎに
疎水化の方法について説明する。
【0043】(疎水化剤)本発明において、「疎水性」
とは、水滴接触角が60度以上、好ましくは70度以上
であることを意味する。疎水化剤は、上記の意味で疎水
性であって、かつ皮膜を形成できる材料であり、広い範
囲で選択することができる。本発明の疎水化剤の目的に
適合する化合物は、有機低分子化合物、有機珪素化合物
及び有機高分子化合物の中に見いだされる。
【0044】1)有機低分子化合物 疎水化剤として本発明に用いられる有機低分子化合物
は、25℃における水100gへの溶解度が2g以下
であるか、有機概念図における有機性/無機性の比が
0.7以上であるかの少なくともいずれかに相当する有
機高分子化合物であり、その両方を用いることも好まし
い態様である。ここで、低分子化合物と呼んでいるのは
沸点又は融点を有する化合物という意味で用いており、
そのような化合物を通常分子量は2000以下、多くは
1000以下である。
【0045】25℃における水100gへの溶解度が2
g以下であることは、印刷版としての要件でもあるが、
疎水性であるための要件でもあることが経験的に判って
いる。
【0046】有機概念図は、化合物の有機性及び無機性
の程度を示すのに実際的で簡便な実用尺度であり、その
詳細については、田中善生著「有機概念図」(三共出版
社、1983年初版刊行)の1〜31頁に詳記されてい
る。有機概念図上の上記の範囲の有機化合物が疎水性化
を促進する作用を持つ理由は不明であるが、この範囲の
化合物は、有機性が比較的大きい化合物であり、複合粒
子近傍を疎水性にする。有機概念図における有機性が1
00以上でその上限についての制約はとくにないが、通
常100〜1200、好ましくは100〜800であ
り、その有機性/無機性の比が0.7〜無限大(すなわ
ち無機性が0)、好ましくは0.9〜10の範囲に入る
有機化合物である。
【0047】この水への溶解度あるいは有機概念図にお
ける有機性/無機性比を有する有機低分子化合物は、具
体的には脂肪族及び芳香族炭化水素、脂肪族及び芳香族
カルボン酸、脂肪族及び芳香族アルコール、脂肪族及び
芳香族エステル、脂肪族及び芳香族エーテル、有機アミ
ン類、有機珪素化合物、また、印刷用インキに添加でき
ることが知られている各種溶剤や可塑剤類の中に見られ
る。
【0048】好ましい脂肪族炭化水素は、炭素数8〜3
0の、より好ましくは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素
であり、好ましい芳香族炭化水素は、炭素数6〜40
の、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素で
ある。好ましい脂肪族アルコールは、炭素数4〜30
の、より好ましくは炭素数6〜18の脂肪族アルコール
であり、好ましい芳香族アルコールは、炭素数6〜30
の、より好ましくは炭素数6〜18の芳香族アルコール
である。好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数4〜24
の脂肪族カルボン酸であり、より好ましくは炭素数6〜
20の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数4〜12の脂肪
族ポリカルボン酸であり、また、好ましい芳香族カルボ
ン酸は、炭素数6〜30の、より好ましくは炭素数6〜
18の芳香族カルボン酸である。好ましい脂肪族エステ
ルは、炭素数2〜30の、より好ましくは炭素数2〜1
8の脂肪酸エステルであり、好ましい芳香族エステル
は、炭素数8〜30の、より好ましくは炭素数8〜18
の芳香族カルボン酸エステルである。好ましい脂肪族エ
ーテルは、炭素数8〜36の、より好ましくは炭素数8
〜18の芳香族エーテルであり、好ましい芳香族エーテ
ルは、炭素数7〜30の、より好ましくは炭素数7〜1
8の芳香族エーテルである。そのほか、炭素数7〜30
の、より好ましくは炭素数7〜18の脂肪族あるいは芳
香族アミドも用いることができる。
【0049】具体例としては、2,2,4−トリメチル
ペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、
n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチル
ヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオク
タンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クメン、ナフタレン、アントラセン、スチレンな
どの芳香族炭化水素;ドデシルアルコール、オクチルア
ルコール、n−オクタデシルアルコール、2−オクタノ
ール、ラウリルアルコール1価アルコール;ヘキシレン
グリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコ
ール;ベンジルアルコール、4−ヒドロキシトルエン、
フェネチルアルコール、1−ナフトール、2−ナフトー
ル、カテコール、フェノールなどの芳香族アルコール;
酪酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、カプリン
酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族1価カルボ
ン酸;安息香酸、2−メチル安息香酸、4−メチル安息
香酸などの芳香族カルボン酸;酢酸エチル、酢酸イソブ
チル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピ
オン酸エチル、酪酸メチル、アクリル酸メチル、しゅう
酸ジメチル、琥珀酸ジメチル、クロトン酸メチルなどの
脂肪族エステル;安息香酸メチル、2−メチル安息香酸
メチルなどの芳香族カルボン酸エステル;イミダゾー
ル、2,2−ジメチルイミダゾール、4−メチルイミダ
ゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、シクロヘ
キシルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレ
ンテトラミン、オクチルアミン、フェネチルアミンなど
の有機アミン;メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類、メトキシベン
ゼン、エトキシベンゼン、メトキシトルエン、ラウリル
メチルエーテル、ステアリルメチルエーテルなどのエー
テル及びステアリルアミド、ベンゾイルアミド、アセト
アミドなどのアミド類が挙げられる。そのほか、沸点が
前記の好ましい範囲にあるエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ、セ
ロソルブアセテートなどの有機溶剤も使用することがで
きる。
【0050】また、印刷用インキの成分であるアマニ
油、大豆油、けし油、サフラワー油などの油脂類、燐酸
トリブチル、燐酸トリクレシル、フタール酸ジブチル、
ラウリン酸ブチル、フタール酸ジオクチル、パラフィン
ワックスなどの可塑剤も挙げられる。
【0051】また、長鎖脂肪酸と長鎖一価アルコールの
エステル、すなわちワックスも、疎水性で適当に低融点
であって、光熱変換性の微粒子の近傍で光照射によって
生じた熱によって融解してその領域を疎水性化する好ま
しい低分子有機化合物である。ワックスは、50〜20
0°Cで溶融するものが好ましく、その例としては、原
料などによってカルナバワックス、カスターワックス、
マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、
セラックろう、パームろう、蜜ろう等と呼ばれているい
ずれをも用いることができる。ワックス類のほかに、オ
レイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの固体酸;
ベヘン酸銀、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸マ
グネシウムなどの長鎖脂肪酸の金属塩などの微粒子分散
物も用いることができる。
【0052】有機低分子化合物の中でもペルフルオロ化
合物は、疎水化を効果的に行うので好都合である。好ま
しいペリフルオロ化合物としては、下記の化合物が挙げ
られる。ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロ酪酸、ペルフ
ルオロバレリン酸、ペルフルオロカプリン酸、ペルフル
オロヘプタン酸、ペルフルオロカプロン酸、ペルフルオ
ロカプリル酸などのペルフルオロ脂肪族カルボン酸;ペ
ルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン、ペルフル
オロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミ
ン、ペルフルオロヘキシルエーテル、ペルフルオロドデ
カンなどのペリフルオロ炭化水素;ペルフルオロブタノ
ール、ペルフルオロペンタノール、ペルフルオロヘキサ
ノール、ペルフルオロオクタノール、ペルフルオロドデ
シルアルコールなどのペリフルオロ脂肪族アルコール。
【0053】2)有機珪素化合物 好ましい有機珪素化合物は、印刷原板の親水・親油材料
を含有する層の表面を効果的に疎水化する疎水化剤であ
る。この目的に用いられる有機珪素化合物としては、オ
ルガノポリシロキサン、オルガノシラン及びフッ素含有
珪素化合物を挙げることができる。 a.オルガノポリシロキサン オルガノポリシロキサンは、ジメチルシリコーンオイ
ル、メチルフェニルシリコーンオイルなどで代表される
化合物であり、とくに重合度が12以下のオルガノポリ
シロキサン類が好ましい。これらの好ましいオルガノポ
リシロキサンはシロキサン結合単位当たり1〜2個の有
機基が結合しており、その有機基は、炭素数が1〜18
のアルキル基及びアルコキシ基、炭素数が2〜18のア
ルケニル基及びアルキニル基、炭素数が6〜18のアリ
ール基、炭素数が7〜18のアラルキル基、炭素数が5
〜20の脂環式基である。また、これらの有機置換基に
は、さらにハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ
基が置換してもよい。また、上記のアリール基、アラル
キル基、脂環式基には、上記の炭素数の範囲でメチル
基、エチル基又はプロピル基などの低級アルキル基がさ
らに置換していてもよい。
【0054】本発明に使用できる好ましい有機珪素化合
物の具体例は、下記の化合物であるが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0055】好ましいポリオルガノシロキサン類として
は、炭素数1〜5のアルキル基を有するジアルキルシ
ロキサン基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有するジ
アルコキシシロキサン基、炭素数1〜5のアルコキシ
基とフェニル基を有するアルコキシフェニルシロキサン
基及びエトキシメトキシシロキサン基又はメトキシエ
トキシシロキサン基のうち、少なくとも一つを繰り返し
単位として含み、重合度が2〜12、より好ましくは2
〜10のポリオルガノシロキサンである。また、その端
末基は、炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基、ヒドロ
キシ基、炭素数1〜5のヒドロキアルキル基又は炭素数
1〜5のアルコキシ基である。より好ましい端末基は、
メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基及びエト
キシ基である。その中でも好ましいシロキサン化合物
は、重合度が2〜10のジメチルポリシロキサン、重合
度が2〜10のジメチルシロキサン−メチルフェニルシ
ロキサン共重合物、重合度が2〜8のジメチルシロキサ
ン−ジフェニルシロキサン共重合物、重合度が2〜8の
ジメチルシロキサン−モノメチルシロキサン共重合物で
これらのポリシロキサン化合物の端末はトリメチルシラ
ン基である。そのほか、1,3−ビス(3−アミノプロ
ピル)テトラメチルジシロキサン、1,5−ビス(3−
アミノプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、1,3
−ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、1,5−ジブチル−1,1,3,3,5,5−ヘキ
サエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘ
キサエチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、3−
(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,
3,5,5,5−ヘプタメチル−トリシロキサン、デカ
メチルテトラシロキサンなどが挙げられる。
【0056】特に好ましい汎用化合物として、いわゆる
シリコーンオイルがあり、ジメチルシリコーンオイル
(市販品では、例えばシリコーンKF96(信越化学工
業(株)製)、メチルフェニルシリコーンオイル(市販
品では、例えばシリコーンKF50(信越化学工業
(株)製)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル
(市販品では、例えばシリコーンKF99(信越化学工
業(株)製)が挙げられる。
【0057】b.オルガノシラン 疎水化剤として用いることができるオルガノシラン化合
物としては、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシ
ルトリ−t−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリメ
トキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、
ジメトキシジエトキシシランなどのシラン化合物も挙げ
ることができる。
【0058】c.フッ素含有有機珪素化合物 フッ素含有有機基を置換基として有するシラン、シラノ
ール及びシロキサン化合物も疎水化剤として用いること
ができる。好ましいフッ素含有有機珪素化合物には、ポ
リフルオロアルキル基(3、3、3−トリフルオロプロ
ピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロブチル
基、トリフルオロエチル基、トリフルオロペンチル基、
3、3、4、4、5、5、6、6、6−ノナフルオロヘ
キシル基)、トリフルオロアシロキシ基(トリフルオロ
アセトキシ基、2、2、2−トリフルオロエトキシ
基)、トリフルオロアシル基(トリフルオロアセチル
基)、トリフルオロアルキルスルフォン基(トリフルオ
ロメタンスルフォン基、3、3、3−トリフルオロプロ
ピルスルフォン基)を有機置換基として有するシラン、
シラノール及びシロキサン化合物が挙げられる。
【0059】好ましい化合物は、メチル−3、3、3−
トリフルオロプロピルジクロロシラン、3、3、4、
4、5、5、6、6、6−ノナフルオロヘキシルトリク
ロロシラン、3、3、3−トリフルオロプロピルシラン
−トリメトキシシラン、3、3、4、4、5、5、6、
6、6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、
1、3、5−トリス(3、3、3−トリフルオロプロピ
ル)−1、3、5−トリメチルシクロトリシロキサン、
メチル−3、3、3−トリフルオロプロピルシランジオ
ール、3、3、4、4、5、5、6、6、6−ノナフル
オロヘキシルシラントリオール、3、3、4、4、5、
5、6、6、6−ノナフルオロヘキシルメチルシランジ
オール、ペンタフルオロエトキシシラントリオール、ト
リフルオロメチルシラントリオール、3、3、3−トリ
フルオロプロピルオトキシシラントリオール。これらの
有機珪素化合物は、市販されており、たとえば信越化学
工業(株)から入手できる。又は入手したクロロシラン
を加水分解してシラノールとしたり、あるいは、加水分
解縮合によってポリオルガノシロキンを合成できる。
【0060】3)有機高分子化合物 好ましい有機高分子化合物は、共存する低分子有機化合
物に溶解可能又はそれ自体が熱可塑性の疎水性高分子化
合物であり、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセ
テート、ポリビニルフェノール、ポリビニルハロゲン化
フェノール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタ
ール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリウレタ
ン、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート、エポ
キシ樹脂、フェノール、ノボラック、又はレゾールフェ
ノール類とアルデヒド又はケトンとの縮合樹脂、ポリ塩
化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル系共重合樹脂な
どが挙げられる。
【0061】好ましい化合物の一つは、必ずしも熱可塑
性ではないが、フェノールノボラック樹脂又はレゾール
樹脂であり、フェノール、クレゾール(m−クレゾー
ル、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、フェノ
ール/クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾール、
m/p混合クレゾール)、フェノール変性キシレン、t
ert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、レゾ
ルシノール、ピロガロール、カテコール、クロロフェノ
ール(m−Cl、p−Cl)、ブロモフェノール(m−
Br、p−Br)、サリチル酸、フロログルシノールな
どのホルムアルデヒドとの縮合のノボラック樹脂及びレ
ゾール樹脂、さらに上記フェノール類化合物とアセトン
との縮合樹脂などが挙げられる。
【0062】その他の好適な高分子化合物としては、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、
ポリアミド、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ピニ
リデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロ
ース、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカ
ーボネート、ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ビニル
樹脂−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−
ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−樹脂ビニル−
マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合
体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニ
トリル共重合体などが挙げられる。
【0063】疎水性を有する樹脂は、水性エマルジョン
から構成されたものも用いることができる。水性エマル
ジョンとは、微小なポリマー粒子と、必要に応じて該粒
子を分散安定化する保護剤とからなる粒子を水中に分散
させた疎水性ポリマー懸濁水溶液のことである。用いら
れる水性エマルジョンの具体例としては、ビニル系ポリ
マーラテックス(ポリアクリレート系、酢酸ビニル系、
エチレン−酢酸ビニル系など)、共役シエン系ポリマー
ラテックス(メタクリル酸メチル−ブタジエン系、スチ
レン−ブタジエン系、アグリロニトリル−プブタジエン
系、クロロプレン系など)及びポリウレタン樹脂などが
挙げられる。
【0064】これらの有機高分子化合物は、重量平均子
量が500〜20000、数平均分子量が200〜60
000であることが好ましい。
【0065】疎水化剤は、有機低分子化合物のみ、有機
珪素化合物のみ、あるいは高分子有機化合物のみで構成
されていてもよいが、それらの二種あるいは三種類を含
んでいてもよく、さらに両者の親和性を高めるなどの目
的の第3成分を含んでいてもよい。
【0066】そのほか、疎水化剤の層を設ける際に、溶
液や分散液とするためにエチレングリコールモノエチル
エーテル、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、セロソルブアセテート、1,4−ジオキ
サン、ジメチルホルムアミド、アクリロニトリルなどの
有機溶剤も使用することができる。
【0067】(疎水化の方法)疎水化剤の層を親水・親
油材料を含む層の上に設けるには、塗り付け処理、スプ
レー処理、気化・凝縮法、気体接触法、浸漬処理など公
知のいずれの方法、方式をも用いることができる。疎水
化膜の好ましい塗設量は、疎水化膜の表面の水滴に対す
る接触角が70〜120度になる厚みであり、この範囲
であると像様露光によって親水化した領域との親水性/
疎水性の識別能が高くて好ましい。この最適接触角の範
囲に入る厚みは、疎水化剤の種類によって異なるので、
疎水化剤に応じて厚みを適切に調節する必要がある。通
常、適切な厚みは10〜100ml/m2 、好ましくは
15〜50ml/m2 である。
【0068】a.塗り付け処理 塗り付け処理は、液体及び固体状の疎水化剤に適用でき
る疎水層の付与方法であり、疎水化剤が液体の場合は、
直接塗り付けてもよく、また固体の場合や、液体であっ
ても場合により、適当な溶剤に溶解あるいは分散したり
して液状として塗り付け処理を行う。塗り付け処理の方
法としては、グラビア塗布、リバース塗布、ホッパー塗
布、スリット塗布などの塗布現像方式など公知の方法が
適用できる。また、疎水化剤を担持した媒体を介して原
板上に塗り付け皮膜を形成させるシート処理が好ましい
方式の一つである。この方法には特登2655337号
に記載の方法を挙げることができる。疎水化剤を担持す
る媒体には、フェルト、織物、スリットや細孔を有する
金属などを用いることができる。この中でも特開平8−
290088号、同8−290087号、同9−138
493号公報に記載されているスポンジなどによる処理
液塗り付けの方法を好ましく適用できる。
【0069】b.スプレー処理 スプレー処理すなわち噴霧処理は、塗り付け処理に記し
たと同様に液状或いは分散液状にした疎水化剤又は疎水
化剤溶液を原板表面に噴霧することによって疎水化を行
う方法である。また、噴霧液量を必要供給液量以上とし
て適用表面を流下する余分の疎水化剤あるいは疎水化剤
溶液を循環させて再利用してもよい。疎水化剤あるいは
疎水化剤溶液の噴霧方法、方式、ノズルの数や形状を問
わず、また単一の可動ノズルを移動させながら噴霧して
も、複数の固定ノズルを用いて噴霧してもよい。また、
印刷原板を固定してノズルを移動させながら噴霧して
も、ノズルを固定して印刷原板を移動させながら噴霧し
てもよい。このなかでも特開平8−123001号、同
9−160208号、同9−179272号公報に記載
されている疎水化剤あるいは疎水化剤溶液を噴射する複
数のノズル孔が一定の間隔で原板の搬送方向と交差する
方向に沿って直線状に並べられたノズルとこのノズルを
搬送経路上の原板に向かって変移させるアクチュエータ
ーとを有する疎水化剤塗り付け装置によって疎水化剤あ
るいは疎水化剤溶液を噴霧する方法がとくに好ましい。
【0070】c.気化・凝縮法 気体接触法は、昇華性の固体疎水化剤あるいは揮発性の
疎水化剤や蒸発しやすい疎水化剤溶液を加熱して気化
し、印刷原板表面に接触させて疎水化剤の皮膜を凝縮形
成させる方法である。この方法に好都合な効果をもつ好
ましい有機化合物は、温度400℃における蒸気圧が少
なくとも100Paで、かつ蒸気圧が100Paとなる
温度において安定な有機化合物である。つまり、この程
度の蒸気圧を有している有機化合物が加熱雰囲気中に存
在すると親水性と疎水性の識別性の向上が引き起こされ
る。より好ましくは、温度300℃における蒸気圧が少
なくとも100Paで、かつ蒸気圧が100Paとなる
温度において安定な有機化合物である。さらに好ましく
は、沸点が30〜400℃にあって、かつ30〜400
℃の温度範囲で安定な有機化合物であり、中でも好まし
い沸点範囲は50〜350°Cである。
【0071】疎水化剤の気化のための加熱を行うには、
原板表面に接するように設けられた加熱部の外套内に疎
水化剤充填容器を置いて、加熱時間中に疎水化剤の蒸気
を外套内に存在させるのがよい。また、有機化合物を含
浸させた紙、布、ゼオライト、珪草土などを外套内に挿
入して加熱するのもよい。
【0072】d.気体接触法 疎水化剤が気体の場合、とくに前記したフッ素含有有機
化合物の場合には、印刷原板をこの気体を含んだ雰囲気
のなかに置くことによって高度の疎水化を行うことがで
きる。
【0073】e.浸漬法 通常行われているように浸漬槽を設けて印刷原板を浸漬
する方法も用いることができる。
【0074】〔画像記録方法〕活性光の照射を受けた領
域は、光触媒作用によって親水性となり、疎水化剤の層
が除去される。したがって親水性領域が像様に形成され
る。印刷用画像の記録は、前記したように高圧水銀灯の
365nmの輝線スペクトル光を像様に照射して行う。
高圧水銀灯の定義は、必ずしも明確に行なわれていない
が、本発明において用いられる高圧水銀灯は、封入蒸気
圧が0.01〜1MP,好ましくは0.05〜0.7M
Pの水銀灯を指している。この封入蒸気圧のもとでは3
65.0及び577.0〜579.1nmのスペクトル
光を発するので長波カットフィルターを用いて365n
m単色光を選択して本発明に用いることが可能となる。
この輝線スペクトル光は、極めて鋭いピークのために高
度に収斂させても光学系の光散乱が少ないので、解像性
が高いレベルで維持されて、一般的には低感度で実際的
には不都合な近紫外光であるにもかかわらず十分な極性
変換感度を発揮する。そのために高感度ではあるが、前
記した欠点を有する遠紫外領域の利用を避けることがで
きる。
【0075】また、疎水化膜を通しての極性変換の実際
的な感度は、疎水化膜の厚みと疎水化剤の性質に依存す
るので、それらの選択によって極性変化に対する感度が
さらに向上する。低圧あるいは超高圧水銀灯では、36
5nmの輝線は、弱くなるので好ましい光源ではない。
高圧水銀灯は、市販されているものを用いることができ
る。365nm輝線の像様照射は、室温で行えばよい
が、照射の際に光触媒層を加熱するとさらに感度を高め
ることができる。365nm輝線光の照射強度は、10
〜100mJ/cm2,好ましくは30から50mJ/
cm2である。
【0076】照射に際しては、光源と印刷用原板表面と
の間にこの波長域に強い吸収を持つ紫外線吸収性の材料
が置かれることを避けることが好ましい。必要であれ
ば、通常の現像済み写真フィルムをマスクとして使用で
きるが、バックグラウンドの吸収を避けるためには、3
70nmよりも短波長領域において透明性の高い材料を
用いることが好ましく、そのようなマスク材料として
は、支持体としては石英ガラス、紫外光吸収性可塑剤を
含まないポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン、ポ
リプロピレンなど)、アクリル系樹脂(例えばポリメチル
メタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリプロピ
ルメチルアクリレートなど)、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポ
リビニルアルコール樹脂やそのアルキル変性樹脂、ポバ
ール樹脂あるいはこれらの樹脂成分の共重合体樹脂や混
合樹脂が好ましく、また、画像マスクとしては、これら
の材料を支持体として用いた画像シートであって、担持
されるマスク画像は、ウオッシュオフレリーフ法によっ
て形成する画像、拡散転写法によって形成される転写画
像、インクジェットなどによって描画される画像、染料
転写方式で描画される画像など、非画像部を365nm
輝線に対してほぼ透明なままに維持できる公知の手段が
用いられる。この画像マスクに保護層、下塗り層、画像
担持層などを設ける場合には、それらの層には紫外吸収
性の添加剤を含ませないことが必要である。支持体が透
明である場合は、支持体の裏側から支持体とマスク画像
を通して露光することもできる。
【0077】光照射の方式は、面露光方式、走査方式の
いずれでもよい。高圧水銀灯を用いる像様照射の場合
は、マスク画像を通して原板上に光照射する面露光方式
及び光学系で集光させた輝線ビームに画像信号で変調し
て走査する走査露光方式のいずれをも行うことができ
る。
【0078】〔親水性領域の親水性強化と安定化〕親水
性化した像様領域は通常時間とともに疎水性に変化して
ゆくので親水性領域と疎水性領域の識別性は経時ととも
に低下して行く傾向があり、それが印刷品質や耐刷性の
低下をもたらすこともある。したがって、必要あれば、
原板表面の疎水化された表面に親水性像様領域が形成さ
れたのち、原版表面に被照射領域の疎水性を強化する処
理を施して親水性と疎水性の識別性を高いレベルに保つ
操作が施される。親水性強化処理は、主として水からな
る。水には、濡れ性向上剤及び助剤、水溶性高分子化合
物、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤、着色剤、消泡剤、等
の種々の添加剤を加えることができる。濡れ性向上剤と
しては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール
アルキルエーテル(アルキレン基の炭素数は2〜3)、
ポリエチレングリコール(分子量100〜800)、ア
ルキルスルホン酸(アルキレン基の炭素数は2〜3)、
脂肪族アルコール(炭素数は1〜3)、水、界面活性剤
から選択される。また、平版印刷用の親水性強化剤やそ
の溶液をこの目的に用いることができる。濡れ性向上剤
の助剤としてアニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤
が好ましい。
【0079】これらの界面活性剤の含有量は発泡の点を
考慮すると、1.0質量%以下、好ましくは0.001〜
0.5質量%が適当である。また、2種以上併用するこ
ともできる。
【0080】水溶性高分子化合物としては、例えばアラ
ビアガム、澱粉誘導体(例えは、デキストリン、酵素分
解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキス
トリン、カルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテ
ニルコハク化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例
えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチル
セルロース、メチルセルロース)等の天然物及びその変
性体、ポリエチレングリコール及びその共重合体、ポリ
ビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリルアミド及びその共重合体が挙げられ
る。水溶性高分子の含有量は、親水性強化剤やその溶液
に対して0.0001〜0.1質量%が適しており、よ
り好ましくは、0.0005〜0.05質量%てある。
【0081】pH調整剤としては、水溶性の有機酸及び
/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合
物は親水性強化剤やその溶液のpH調整あるいはpH緩
衝、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に
効果がある。好ましい有機酸としては、例えばクエン
酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、
グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、
レプリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン
酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機
酸としては例えば蟻酸、リン酸、硝酸、硫酸、ポリリン
酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸の
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニ
ウム塩、有機アミン塩も好適に用いられる。これらpH
調整剤の本発明の親水性強化剤やその溶液への添加量は
0.001〜0.3質量%の範囲が好ましく、親水性強
化剤やその溶液のpH値が3〜7の範囲の酸性領域で用
いることが好ましい。
【0082】湿潤剤の具体例としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチエングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキ
シレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグ
リセリン、トリメチロールプロパン等が好適に用いられ
る。これらの湿潤剤は単独でもよいが、2種以上併用し
てもよい。一般に上記湿潤剤は0.01〜3質量%の範
囲で使用できる。
【0083】防腐剤としては、フェノール又はその誘導
体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナ
トリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベン
ズトリアゾール誘導体等から選ばれて用いられる。着色
剤としては、例えば、食品用色素等が好ましく使用でき
る。
【0084】〔印刷及び印刷原板の再生〕親水・疎水材
料含有層を有する印刷原板を全面疎水化し、親水性の像
様領域を形成させたのち、必要であればその領域の親水
性強化処理を施すことによって現像処理することなく作
成した印刷版は、そのまま平版印刷工程に送ることがで
きる。従って従来公知の平版印刷法に比較して簡易性を
中心に多くの利点を有する。すなわち上記したようにア
ルカリ現像液による化学処理が不要であり、それに伴う
ワイピング、ブラッシングの操作も不要であり、さらに
現像廃液の排出による環境負荷も伴わない。また、製版
工程も上記したように簡易である。
【0085】印刷版の像様親水性領域は、所望により、
水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガ
ムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理してもよい。
本発明の画像記録材料を印刷用版材として使用する場合
の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用
いることができる。その方法としては、該整面液を浸み
込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布す
るか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗
布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用され
る。また、塗布した後でスキージー、あるいは、スキー
ジーローラーで、その塗布量を均一にすることは、より
好ましい結果を与える。整面液の塗布量は一般に0.0
3〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。この様な処
理によって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機等
にかけられ、あるいは印刷機上で製版され、多数枚の印
刷に用いられる。
【0086】次に印刷を終えた印刷版の再生工程につい
て記す。再製工程は、使用済みの印刷版に付着している
インクの洗浄工程すなわちクリーニング工程と、製版・
印刷工程などで受けた履歴による版面の疎水性/親水性
の不均一の除去工程からなる。 洗浄工程において、印
刷終了後の印刷版は疎水性の石油系溶剤を用いて付着し
ているインキを洗い落とす。溶剤としては市販の印刷用
インキ溶解液として芳香族炭化水素、例えばケロシン、
アイソパ−などがあり、そのほかベンゾール、トルオー
ル、キシロール、アセトン、メチルエチルケトン及びそ
れらの混合溶剤を用いてもよい。画像物質が溶解しない
場合には、布などを用いて軽く拭き取る。また、トルエ
ン/ダイクリーンの1/1混合溶媒を用いるとよいこと
もある。また、さらに希酸で版面を処理することも好ま
しい。希酸の濃度は、通常0.001〜0.1mol/
L、好ましくは0.005〜0.05mol/Lであ
り、酸としては硫酸、硝酸、塩酸などが用いられる。酸
の溶液には、0.001〜0.01mol/Lの過酸化
水素をさらに添加することもある。この処理によって有
機溶剤では除去しきれない汚れや履歴が除かれる。
【0087】インクを洗浄除去した印刷版は、初期化を
行なって印刷原板として前記した製版工程に再使用する
ことができる。初期化は、活性光の照射によって行な
う。原板表面に照射される活性光の光源は、光触媒能を
有する物質の感光域の波長の光、すなわち光吸収域に相
当する波長の光を発する光源である。例えば光触媒能を
有する物質が酸化チタンの場合では、アナターゼ型が3
87nm以下、ルチル型が413nm以下の紫外部に感
光域を有しているなどの多少の相違はあるものの、典型
的な分光分布曲線は図1に示した通りである。したがっ
て使用される光源は、これらの波長領域の光を発する光
源であり、主として紫外線を発する光源といえる。活性
光の照射を受けた領域は、光触媒作用によって親水性と
なる。活性光の光触媒作用によって親水性領域の像様の
分布を形成させる手段には、面露光方式、走査方式のい
ずれでもよい。面露光方式の場合は、一様な光を原板上
に照射して、照射領域の表面を親水性化する方式であ
る。面露光方式で活性光の照射を行うのに適した光源
は、水銀灯、タングステンハロゲンランプ、その他のメ
タルハライドランプ、キセノン放電灯などである。
【0088】初期化の照射光量は、0.05〜100J
/cm2、好ましくは0.1〜10J/cm2、より好ま
しくは0.2〜2J/cm2である。また、光触媒反応に
は相反則が成立することが多く、例えば10mW/cm
2で100秒の露光を行っても、1W/cm2で1秒の露
光を行っても、同じ効果が得られる場合も多く、このよ
うな場合には、活性光を発光する光源の選択の幅は広く
なる。当然ながら、初期化用の照射光源は、高圧水銀灯
に限定する必要もなく、高照度光に限定する必要もな
い。
【0089】後者、すなわち走査式露光の場合には、画
像情報で変調してなく、かつビーム径を30〜50μm
程度に広げて原版前面にビーム光が照射されるようにし
て走査が行われる。レーザー光源は、活性光のビームを
発振する公知のレーザーを用いることができる。例え
ば、レーザー光源として発振波長を325nmに有する
ヘリウムカドミウムレーザー、発振波長を351.1〜
363.8nmに有する水冷アルゴンレーザー、330
〜440nmに有する硫化亜鉛/カドミウムレーザーな
どを用いることができる。さらに、紫外線レーザー、近
紫外線レーザー発振が確認されている発振波長を360
〜440nmに有する窒化ガリウム系のInGaN系量
子井戸半導体レーザー、及び発振波長を360〜430
nmに有する導波路MgO−LiNb03反転ドメイン
波長変換型のレーザーを使用することもできる。レーザ
ー出力が0.1〜300Wのレーザーで照射をすること
ができる。描画に用いた遠紫外用の固体レーザーを画像
変調しない状態で用いてもよい。また、パルスレーザー
を用いる場合には、ピーク出力が1000W、好ましく
は2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。支持
体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通し
て露光することもできる。
【0090】酸化チタンは、温度を250℃以上に高め
ると親水性となるいわゆる高温親水性の光触媒性化合物
であるので、初期化は、活性光の照射光の代わりに上記
の温度への加熱によって行ってもよい。加熱の方法とし
ては、送風加熱、赤外線照射加熱、電磁波(マイクロ
波)加熱、電球加熱などの方法を選択できる。この履歴
除去操作は、印刷インキを洗浄除去してから次の製版作
業において全面疎水化処理を行うまでの間の任意の時期
に行ってもよいが、その原版を次の製版工程に再使用す
る際に行うのが原板の保管中の履歴の影響を排除できる
点で好ましい。
【0091】本発明に係わる印刷原板の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく反面の除去不能は汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0092】本発明に係わる印刷原板の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく反面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0093】III. 印刷装置 本発明における印刷原板の構成材料及び製版・印刷方法
について説明したので、次にこの原板と製版・印刷方法
を用いる印刷装置を図によって説明する。印刷装置の態
様としては、酸化チタンを含有する層を表面にもつ印刷
用原板を版胴に装着したままで製版する態様、版胴に装
着したままで製版を行い、さらに印刷した後に使用済み
の印刷版の洗浄及び初期化操作を行って印刷原板として
再使用可能とする態様、また製版したのちに版胴に装着
して印刷する態様の装置のいずれであってもよい。
【0094】本発明の印刷装置の実施形態として、印刷
原板を版胴に装着した状態で製版と印刷を行い、印刷し
たのちに使用済みの印刷版を印刷原板に再生して反復使
用可能とする典型的な形態について以下の図2等を用い
て、説明する。
【0095】図2は、本発明の上述の典型的実施形態に
よる平版印刷装置の構成を示す図である。図2に示す平
版印刷装置は、左から右へa,b,c及びdの4つの同
じ構造の製版・印刷機構を直列に配した構成をとってお
り、各機構は印刷インクの種類と印刷されるべき単色画
像情報を異にする以外は同じ機能を有しており、印刷さ
れる用紙Pが各機構を直列に通過して印刷されることに
よって多色刷りが行われる構造となっている。したがっ
て、以下の説明では、各製版・印刷機構の代表として左
端の機構aについて記述し、機構b,c,dの構成と作
用の説明は省略する。a,b,c及びdの各機構のそれ
ぞれの構成部材には部材番号にそれぞれa,b,c及び
dの添字を付して表示してある。
【0096】図2において、機構aは、光触媒性の酸化
チタンを含有する層を表面に有する印刷用原板を装着し
た版胴1a(装着した原板は版胴と接しているので図示
してない)と、版胴1a上の原板に対して疎水化剤を適
用して原板表面を全面疎水化する全面疎水化処理部4a
と、原板上に余分に供給された疎水化剤を除去するスク
イージー部5aと、全面疎水化された版胴1a上の原板
に対して高圧水銀灯の365nmの活性光の像様照射を
行って親水性・疎水性の像様分布を形成する像様露光部
6aと、疎水性領域(非照射領域)と親水性領域(照射
領域)が像様に形成された原板すなわち印刷版にインキ
を供給するインキ7a及び湿し水を供給する湿し水供給
部8aと、印刷終了後に版胴1上の原板(印刷版)に残
存するインキを除去するインキ洗浄(クリーニング)部2
aと、インキを除去した原板上に残存する疎水性・親水
性の極性の像様むらなどの履歴を除去する初期化部3a
と、印刷に際して版胴1a上の刷版に保持されたインキ
を用紙に転写するための中間体としてのブランケット胴
9aと、ブランケット胴9aとともに給送された用紙を
保持する圧胴10aとを備え、これらの部材が製版・印
刷機構aとして印刷装置本体内に収容されてなるもので
ある。
【0097】図2に示す本発明の典型的形態の印刷装置
の作用について図3によって説明する。図3は、本発明
の製版・印刷方法の工程の流れを示す概略説明図であ
る。この図においては、前の製版・印刷サイクルを終了
した印刷版を再生して印刷原板とする(a)と記した工
程から説明する。工程(a)は、前の製版・印刷サイク
ルに用いられた使用済みの印刷版を再生する工程であ
り、インク洗浄部2aからインク溶剤を供給して版胴1
a上の印刷版の版面に付着した印刷インクを洗浄・除去
する。インク洗浄された版面は、乾燥風Wによって乾燥
が行われ、続いて初期化部3aによって活性光の全面照
射が行われて、もとの印刷用原板の状態に再生される。
上記の一連の原板再生工程は、版胴1aが本形態では
0.5rpmの速度で回転しながら行われる。初期化部
3aの光源は、酸化チタンに対して光触媒性をもたらす
活性光の光源であればよく、近紫外光を発するレーザ
ー、水銀灯、キセノン灯などを用いることができる。
【0098】図3の(b)で示される工程は、初期化が
行われた印刷用原板の表面の疎水化を行う工程を示して
おり、本実施形態では、版胴1aを0.5rpmで回転
させた状態で、全面疎水化処理部4aにおいて疎水化剤
がスプレー(噴霧)されて疎水化層が形成される。別の態
様としては、前記したように疎水化剤を塗りつけ塗布あ
るいは気相から凝縮させて疎水化層を形成させてもよ
い。疎水化層によって全面疎水化された印刷用原板は、
スクイージー5aによって余分の疎水化剤が除かれたの
ち、乾燥風Wによって乾燥が行われる。
【0099】工程(c)において、乾燥された全面疎水
性の印刷用原板には、像様露光部6aによって365n
mの輝線紫外光の像様の照射が行われ、光照射された領
域が親水性となって像様の極性分布が得られる。この高
圧水銀灯の365nm波長の紫外光に対して酸化チタン
は充分に高い極性変換感度を有しているので、この工程
における版胴1aの回転速度は、200rpmであり、
実際的な短時間の間に描画が行われる。なお、図示しな
いが必要であれば、極性の像様分布が得られた原板(印
刷版)の紫外光照射領域の親水性をさらに高めるため、
湿し水供給部8aにより又は別のアプリケータを設け
て、親水性物質(とくに酸)の水溶液による親水性強化
処理を施すこともできる。
【0100】工程(d)は、印刷工程であって、以上の
操作によって極性の像様分布が形成された印刷用原板す
なわち印刷版に、インク供給部7aから印刷インクと、
湿し水供給部8aから湿し水とを供給して識別作用を発
揮しつつ印刷が行われる。この際、印刷に先だって前記
したように印刷版面には、整面液を処理して識別効果を
高めてもよい。製版・印刷機構a,b,c,dのそれぞ
れが同じ速度で搬送される用紙を印刷できるように、適
切な版胴の回転速度が選択される。ブランケット6aと
圧胴7aとの間に矢印に示すように用紙Pを供給し、版
胴1a上の原板に保持されたインキをブランケット5a
を介して用紙に転写することにより平版印刷が行われ
る。
【0101】印刷終了後、前記工程(a)に戻り、次ぎ
の製版・印刷サイクルのインク洗浄部(クリーニング部)
2aによる版胴1a上の版面に残存するインキを除去
と、初期化部3aにおける活性光による全面照射からな
る原板再生工程に入る。
【0102】上記した製版・印刷・印刷用原版再生の一
連の工程において、本発明の特徴である像様露光部6
a、すなわち、表面に疎水化膜が付与された原板に36
5nmの輝線の活性光の像様照射を行う装置のより詳細
について図4によってさらに説明する。図4は、本実施
形態の高圧水銀灯光源を用いた像様露光部の機構、構造
及び作用を示す概略図である。図4において、高圧水銀
灯から発する主な光は、365nmの輝線スペクトル光
と、577.0〜579.1nmの可視域の励起光であ
るので、高圧水銀灯光は光路上の可視域波長成分をカッ
トして365nmの輝線を透過するフィルター22によ
って365nmの単色光となり、均一光調製用光学系2
3で光量分布が平均化される。均一光調製用光学系23
を経た輝線光は、便宜上、製版・印刷機構aに関する部
分のみを示すが、図示しない光学的分岐系によってb,
c,dの各製版・印刷機構に分けられて空間変調素子2
4に送られる。図2で述べたように、b,c,dの各機
構は、製版・印刷機構aと同じ構成と構造であり、印加
される単色画像情報と印刷用インクの種類が異なるだけ
である。空間変調素子24でそれぞれの単色画像が担持
されて結像光学系15、焦点調節レンズ16及び印刷原
板表面に照射光を導くミラーなどからなる結像光学系を
経て原板表面に像様の365nm輝線スペクトル光の画
像露光が走査方式で行われる機構及び構造が取られてい
る。
【0103】空間変調素子の別の形としては、版胴の回
転方向に対して直角又は斜め方向に配したスリットによ
って、版胴の回転に伴って版胴表面に設けた画像マスク
を通してスリット光による全面走査露光が施される。ス
リットの幅は必ずしも狭い必要はなく、活性光照射部6
aを通過中に原板表面に像様の親水性・疎水性分布が形
成されるように照度とスリット幅及び版胴の回転速度が
決められる。スリットの代わりに版胴の幅に合わせた照
射幅をもついわゆるがんどう型のランプハウスを用いて
もよい。前記したように、画像マスクは、365nm輝
線スペクトル光に対して像様に透過部と不透過部の分布
を持つ必要があるので、画像を担持する支持体は365
nm輝線スペクトル光に対して透明又は画像マスクの濃
度と識別できる程度の半透明の支持体であり、その上に
不透過性の画像材料のマスクが設けられている必要があ
る。
【0104】このように、本発明による平版印刷装置に
よれば、疎水化剤による疎水性の均一表面の形成と36
5nm輝線スペクトルの活性光による像様照射のみで版
胴1上の原板に識別性の高い印刷版面を形成することが
でき、これにより現像が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が保
たれた平版印刷を行うことができる。また、版胴1上の
版面を洗浄して再度全面活性光照射(又はヒートモード
光の一様照射あるいは接触伝熱加熱)により元の状態に
戻すことができるため、版胴1上の原板を反復使用する
ことができ、これにより印刷物を低コストで提供するこ
とができることとなる。さらに、印刷装置から版胴1上
の原板を取り外す必要がないため、従来のPS板のよう
に印刷装置に組み込む際にゴミなどが付着することもな
くなり、これにより、印刷品質を向上させることができ
る。
【0105】また、印刷用原板として版胴1上の原板を
使用し、版胴1上の原板の周囲に疎水性温度での全面疎
水化処理部3、印刷インキ供給部7、湿し水供給部8、
インキ洗浄(クリーニング)部2,初期化部3および高
圧水銀灯による像様露光部6を配設することにより、単
に版胴1上の原板を回転させるのみで、原板の全面疎水
性化、365nm輝線スペクトルの活性光による像様照
射、印刷インクと湿し水の供給、さらには印刷終了後の
インク洗浄及び履歴除去のための初期化を行うことがで
きるため、装置をコンパクトに構成することができ、こ
れにより省スペース化を図ることができる。
【0106】さらに、従来提案された酸化チタンの光触
媒性を利用する簡易な製版方式の中でも、365nm輝
線スペクトルの活性光の像様照射(又は像様加熱)を行
う本発明が、疎水性/親水性の極性変換の感度が高く、
同じ酸化チタンを光触媒材料に用い、青光〜近紫外の活
性光の像様照射を行う他の方式に比較しても、実用的
な短時間照射で画像領域と非画像領域の識別性の高い印
刷版を再現性よく製作することができること、画像マ
スクを用いて面露光方式で像様照射を行うこともでき
る、光源及び光学系(結像光学系不要)が安価であるこ
と、という利点がある。したがって印刷版の品質と耐刷
性を高めることができる。しかも高圧水銀灯は、市販の
ものを用いることができる。
【0107】
【実施例】以下に本発明の具体的態様を実施例によって
示すが、本発明はこれらに限定されない。 〔実施例1〕本実施例1では、上記実施形態1による具
体例を示す。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.
01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量
%、ケイ素を0.1重量%含有するJISA1050ア
ルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシ
ュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液
と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用
いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。こ
れを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム
4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が
5g/m2になるようにエッチングした後、流水で水洗し
た。更に、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝
酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極
時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形
波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5
796号公報実施例に記載されている電流波形)を用い
て160クローン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処
理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2
になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50
℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットし
た後、水洗した。
【0108】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られた
アルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計
で測定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは
0.58μmであった。
【0109】次いでこのアルミニウム支持体をスパッタ
リング装置内に入れて、全圧2.0x10-2Paになる
ように分圧70%の酸素ガスの条件下でチタン金属片を
電熱加熱して、アルミニウム支持体上にスパッタリング
して酸化チタン薄膜を形成した。この薄膜の結晶成分は
X線解析法によって無定型/アナターゼ/ルチル結晶構
造の比が1.5/6.5/2であり、TiO2薄膜の厚さは
90nmであった。これを版胴1上の原板の基体に巻き
付けて機上印刷用の原板とした。
【0110】印刷装置は、図2、図3及び図4に示した
形態の装置を用いており、本実施例中に記載する装置部
材に添付した数字は、図2、図3及び図4に示した部材
番号である。初期化部3には、JIS Z8902[キ
セノン標準白色光源]に規定された500W直流点灯式
短アーク型キセノン放電灯に準拠した可視域〜300n
mの紫外線領域にわたる連続スペクトル光のキセノン放
電灯を使用した。初期化は、版胴を0.5rpmで回転
させながら、版胴上の印刷用原板に初期化部3の内面反
射型ランプハウスに収納された上記キセノン放電灯の可
視〜紫外の連続スペクトル光を20mm幅のスリットを
通してエネルギー強度200mJ/cm 2の照射光を走
査方式で照射して全面親水化を行った。接触角測定装置
Contact Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)を
用いて空中水滴法で表面の水に対する接触角を測定した
ところ、いずれの部分も8〜12度の間にあった。
【0111】ついで、図2の全面疎水化処理部4aにお
いて、前記したn−オクタデシルトリクロロシランの1
0質量%溶液をアトマイザーによるスプレー塗布(噴霧
塗布)装置から印刷用原板に全面疎水化処理部の通過時
間が3秒となる回転速度(0.5rpm)で版胴を回転
させながら噴霧塗布し、乾燥して疎水化膜を原板表面全
面に設けた。疎水化処理後の原板表面の水に対する接触
角をContact Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)
製)を用いて空中水滴法で測定したところ、いずれの部
分も79〜84度の間にあった。
【0112】次いで、図2の像様露光部6aに、図4に
示した市販の高圧水銀灯(封入蒸気圧9.8Pa)を用い
て、画像情報で変調した365nm波長の遠紫外光を版
胴の回転速度200rpmのもとで、走査方式で照射さ
せながら原板表面に親水性・疎水性の極性の像様分布形
成させた。活性光が一様に照射された領域の光エネルギ
ー強度は、100mJ/cm2であり、そのときの原板
表面の水滴接触角は、9〜13度の間にあった。
【0113】この版胴1上の原板を図2に示す形態の印
刷機に使用して、インキ供給部7aにおいて印刷インク
(大日本インキ化学工業社製Newchampion Fグロス85
墨)を、湿し水供給部8aにおいて純水をそれぞれ供給
しながら1000枚平版印刷を行った。スタートから終
了まで鮮明な印刷物が得られ、版胴1a上の原板の損傷
も認められなかった。
【0114】次いで洗浄部2aにおいて、版胴1a上の
原板の表面を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売
元;大日本インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合
液をウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去
した。次いで初期化部3aにおいて前記のキセノン光照
射を行った。前と同じ方法で接触角を測定したところ、
版表面のどの部分も8〜12度の間にあって、印刷に使
用した原板がもとの状態に再生されていることを示し
た。
【0115】このようにして、版胴上で1サイクルの製
版・印刷、原板再生工程を終えた原板を版胴に装着した
まま再び上記の製版過程を行って印刷版を機上で製作
し、1000枚平版印刷を繰り返して行った。スタート
から終了まで鮮明な印刷物が得られ、版胴1上の原板の
損傷も認められなかった。
【0116】以上の繰り返しを5回実施したところ、活
性光照射後の接触角の値、印刷面の画像の鮮明さの変化
は認められなかった。この結果から、酸化チタン層をア
ルミニウム支持体上に設けた印刷原板を使用し、実施形
態1の印刷装置を用いて初期化を行い、全面疎水化し、
100mJ/cm2という少ない光量の365nm輝線
スペクトルの活性光の像様照射を行なうという簡易な製
版・印刷が可能であり、しかもインキの洗浄除去と履歴
除去用活性光照射のみで印刷原板を反復再生使用できる
ことが示された。
【0117】〔実施例2〕実施例1に使用した機上製版
可能の印刷装置のキセノン放電灯を装架した初期化部を
廃し、像様露光部が初期化部をも兼ねた装置を使用し
た。初期化に際しては、版胴を100rpmで回転させ
ながら、高圧水銀灯の輝線光スポットビームに画像情報
を担持させることなく原板表面に一様の200mJ/c
2の照射を二次元走査方式で行い、像様露光の際には
版胴を200rpmで回転させながら、高圧水銀灯の輝
線光スポットビームに画像情報を変調により担持させて
原板表面に像様の100mJ/cm2の照射を二次元走
査方式で行った。その外の操作は実施例1と同じ方法と
同じ作製方法の印刷用原板を用いて実施例1の試験を繰
り返した。初期化のための照射後の原板表面の照射領域
の水に対する接触角は、いずれの照射領域も8〜11度
の間にあった。また、全面疎水化後の疎水性領域の水に
対する接触角は、1回目及び2回目とも77〜80度で
あり、また、遠紫外の活性光の像様照射をおこなったと
きの照射領域の接触角は、10〜14度であった。印刷
面の品質も1回目及び2回目とも地汚れはなく、画像領
域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0118】〔実施例3〕実施例2に使用した機上製版
可能で像様露光部が初期化部をも兼ねた印刷装置で、像
様露光部が図4に示した画像情報変調機構の代わりに、
版胴とともに回転する原板上に置かれた画像マスクを通
して365nm輝線光をスリットを通して照射するマス
クタイプの像様露光部の装置を使用した。初期化に際し
ては、版胴を100rpmで回転させながら、高圧水銀
灯の輝線光を用いて、版胴とともに回転する原板表面
(画像マスクを置かない)にスリットを通して一様の20
0mJ/cm2の照射を行い、像様露光の際には版胴を
200rpmで回転させながら、高圧水銀灯の輝線光を
用いて、画像マスクが重ねられて回転する原板表面にス
リットを通して像様の100mJ/cm2の照射を行っ
た。その外の操作は実施例1と同じ方法と同じ作製方法
の印刷用原板を用いて実施例2の試験を繰り返した。初
期化のための照射後の原板表面の照射領域の水に対する
接触角、全面疎水化後の疎水性領域の水に対する接触
角、活性光の像様照射をおこなったときの照射領域の接
触角は、いずれも実施例2で求めた測定値と同じであ
り、印刷面の品質も実施例2の場合と同じく、1回目及
び2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識
別性も十分であった。すなわち、365nm輝線スペク
トル光の像様照射が、輝線スペクトル光がスポットビー
ム状の収斂光の二次元走査の形であっても、365nm
輝線光が拡散光でスリットを通して画像マスクと重ねら
れて移動する印刷用原板に面露光がなされる形であって
も、いずれでも本発明の効果が得られることが示され
た。
【0119】[比較例1]実施例3において、初期化の
活性光照射と像様露光のいずれも高圧水銀灯を使用した
が、これをいずれも実施例1に使用したJISZ890
2仕様のキセノン放電灯に代えた装置、すなわち上記キ
セノン放電灯を印刷装置に装架し、この照射光の一様照
射で初期化を行い、全面疎水架ののちに同じ光源で画像
マスクと重ねられた原版上に像様露光を与える装置を使
用して初期化と像様露光を行った。初期化に際しては、
版胴を100rpmで回転させながら、キセノン光に画
像情報を 担持させることなく原板表面に一様の200
mJ/cm2の照射を走査方式で行い、像様露光の際に
は版胴を200rpmで回転させながら、キセノン放電
灯の光により、画像マスクと一体に回転する原板表面に
像様の100mJ/cm2の照射を走査方式で行った。
その外の操作は実施例1と同じ方法と同じ作製方法の印
刷用原板を用いて実施例3の試験を繰り返した。初期化
のための照射後の原板表面の照射領域の水に対する接触
角は、いずれの照射領域も7〜9度の間にあった。ま
た、全面疎水化後の疎水性領域の水に対する接触角は、
77〜80度であり、また、活性光の像様照射をおこな
ったときの照射領域の接触角は、62〜67度であり、
この印刷版を用いた印刷結果は、画像領域と非画像領域
の識別性も不十分であり、印刷面は字汚れが顕著であっ
て印刷品質は劣っていた。すなわち、キセノン光源では
照射光に紫外域成分を含んでいても極性変化の感度が低
く、浸水領域・疎水領域の像様分布の形成が十分ではな
かったことがわかる。
【0120】[比較例2]比較例1において、像様露光
部において版胴を50rpmで回転させながら、高圧水
銀灯の輝線光に画像マスクと一体に回転する原板表面に
像様の200mJ/cm2の照射を走査方式で行った。
その他の操作は実施例1と同じ方法と同じ作製方法の印
刷用原板を用いて実施例2の試験を繰り返した。初期化
のための照射後の原板表面の照射領域の水に対する接触
角は、いずれの照射領域も7〜9度の間にあった。ま
た、全面疎水化後の疎水性領域の水に対する接触角は、
77〜80度であり、また、活性光の像様照射を行った
ときの照射領域の接触角は、40〜44度であり、この
印刷版を用いた印刷結果は、比較例1に対しては、向上
が認められたが、なお画像領域と非画像領域の識別性が
不足しており、印刷枚数が350枚で印刷面は字汚れが
認められて不満足な印刷品質であった。
【0121】[比較例3]実施例3における像様露光部
の光源を高圧水銀灯から内圧が5MPaの超高圧水銀灯
に変更した以外は、実施例3と同じ方法と同じ作製方法
の印刷用原板を用いて実施例2の試験を繰り返した。超
高圧水銀灯は、546.1,577.0〜579.1n
mに強い輝線と可視域を主とする連続スペクトル光を発
するが紫外光成分をも有していることが一般に知られて
いる。この照射装置も実施例3の場合と同様に、初期化
部として用いるときは画像を担持せず、像様露光部とし
て用いるときは、それぞれの単色画像情報で紫外光を変
調して照射を行い、紫外〜可視域にわたる光エネルギー
強度は、初期化の際は、2000mJ/cm2であり、
像様露光の際は650mJ/cm2とした。初期化のた
めの照射後の原板表面の照射領域の水に対する接触角
は、いずれの照射領域も7〜9度の間にあった。また、
全面疎水化後の疎水性領域の水に対する接触角は、76
〜79度であり、また、活性光の像様照射をおこなった
ときの照射領域の接触角は、40〜45度であり、この
印刷版を用いた印刷結果は、画像領域と非画像領域の識
別性が不足しており、イオン刷枚数が350枚で印刷面
は字汚れが認められて不満足な印刷品質であった。
【0122】[比較例4]実施例1において、初期化を
終えた印刷用原版に全面疎水化処理を施す際に、版胴の
回転速度を0.2rpmに下げて行なうことにより、疎
水化剤のスプレー塗布厚みを2.5倍とした以外は、実
施例1と同じ方法と同じ作製方法の印刷用原板を用いて
実施例1の試験を繰り返した。疎水化処理前すなわち初
期化のための照射後の原板表面の照射領域の水に対する
接触角は、いずれの照射領域も9〜12度の間にあっ
た。上記の2.5倍厚みの全面疎水化後の疎水性領域の
水に対する接触角は、130〜134度であり、また、
活性光の像様照射をおこなったときの照射領域の接触角
は、65〜70度であった。この印刷版を用いた印刷結
果は、画像領域と非画像領域の識別性も不十分であり、
印刷面は200枚印刷のときに字汚れが認められて印刷
品質は劣っていた。すなわち、疎水化膜が厚いと、遠紫
外域の照射光でも親水性への極性変化の感度が低く、浸
水領域・疎水領域の像様分布の形成が十分ではなかった
ことがわかる。
【0123】[比較例5]実施例1において、初期化を
終えた印刷用原版に全面疎水化処理を施す際に、版胴の
回転速度を1.5rpmに上げて行なうことにより、疎
水化剤のスプレー塗布厚みを1/3倍とした以外は、実
施例1と同じ方法と同じ作製方法の印刷用原板を用いて
実施例1の試験を繰り返した。疎水化処理前すなわち初
期化のための照射後の原板表面の照射領域の水に対する
接触角は、いずれの照射領域も9〜12度の間にあっ
た。上記の1/3倍厚みの全面疎水化後の疎水性領域の
水に対する接触角は、46〜50度であり、また、活性
光の像様照射をおこなったときの照射領域の接触角は、
9〜12度であった。この印刷版を用いた印刷結果は、
印刷版への着肉性が不足して印刷画面のインクの乗りが
不充分であり、画像領域と非画像領域の識別性も不十分
で印刷品質は劣っていた。すなわち、疎水化膜が薄い
と、遠紫外域の照射光に対して疎水化膜の存在する被画
像領域でも感光して親水性への極性変化が起こり、浸水
領域・疎水領域の像様分布の形成が十分ではなかったこ
とがわかる。
【0124】〔実施例3〕図5に示した気相の疎水化剤
の凝縮方式の疎水化処理装置を全面疎水化処理部(図2
の4a)に使用して次の試験を行った。空気取り入れ口
に内径約30mmの硝子管(分液ろ斗を転用)を横向き
に配置し、全面疎水化処理部内の空気がこの硝子管内を
通過して全面疎水化処理部の内部に取り込まれる構造と
した。シリコーンオイル〔商品名シリコーンKF99
(信越化学工業(株)製)を含浸させた珪草土を容積率
が50%となるように硝子管の下半分に流しこんだ。空
気取り入れ口の温度は、この管を通過中に室温から15
0℃に上昇する。シリコーンKF99は、この温度では
少なくとも1mmHg以上の蒸気圧を持つので、全面疎
水化処理部の内部に取り入れられた空気は、シリコーン
KF99の蒸気を含んでいる。空間部の内容積が2リッ
トルの管熱記録部における空気交換速度は、毎分10v
ol%であった。全面疎水化処理部にこのオルガノポリ
シロキサン化合物の蒸気を導入して雰囲気のもとで疎水
性化の加熱を行う以外は、実施例1と同じ原板と同じ装
置を使用して、同じ条件で製版し、印刷を行い、使用済
みの印刷版を同じ方法で再生して再度印刷を行った。疎
水化層の付与領域の水に対する接触角の値は、80〜8
2度であったこの印刷版を使用して、1000枚の平版
印刷を行った。実施例1と同様にスタートから終了まで
鮮明な印刷物が得られた。また、光照射による極性変化
による接触角の変化、及び印刷品質並びに反復使用性能
は、実施例1と実質的に同等であった。
【0125】
【発明の効果】本発明の光触媒性酸化チタンを含有する
層を原板上に設けた印刷用原板に疎水化膜を設けて表面
を疎水性として、その表面に高圧水銀灯の活性光を像様
に照射して、親水性と疎水性の像様分布を形成させて作
製した印刷版は、極性変化の感度が高く、画像領域と非
画像領域の識別性が向上し、かつ現像処理を必要とせ
ず、直接印刷版を作成することができ、しかも印刷終了
後、印刷版のインキを除去して履歴を光(又は熱)によっ
て除去して印刷原板を再生し、反復使用することができ
る。また、原板を印刷機の版胴に装着し、印刷機上で製
版し、印刷したのち使用済みの印刷版を再生することも
可能なダイレクト製版・印刷装置も提供される。この方
法及び装置は、安価な光源及び光学系が安価であって、
かつ拡散光をも散る画像マスクによる像様露光と結像光
学系を用いる走査方式の像様露光のいずれにも適応でき
る上に、画像領域と非画像領域との識別性が高く、印刷
品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化チタンの薄層の極性変換に関する分光感度
特性を示す模式図である。
【図2】本発明の典型的実施形態による平版印刷装置の
構成を示す図である。
【図3】本発明の典型的実施形態による平版印刷装置の
作用を示す説明図である。
【図4】本発明の平版印刷装置の活性光照射部の一態様
を示す構成概略図である。
【図5】疎水化処理部の一態様の構成を示す図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c、1d 版胴 2、2a、2b、2c、2d インク洗浄(クリーニ
ング)部 3、3a、3b、3c、3d 初期化部 4、4a、4b、4c、4d 全面疎水化処理部 5、5a、5b、5c、5d スクイージー 6、6a、6b、6c、6d 像様露光部 7、7a、7b、7c、7d インキ供給部 8、8a、8b、8c、8d 湿し水供給部 9、9a、9b、9c、9d ブランケット胴 10、10a、10b、10c、10d 圧胴 11 固体レーザー 12、14a,14d,17、17a、17b、17
c、17d ミラー 13,14b,14c, ハーフミラー 15、15a、15b、15c、15d 空間変調素子
(結像光学系を含む) 16、16a、16b、16c、16d 焦点制御レン
ズ 21 高圧水銀灯 22 長波カットフィルター 23 均一光調整光学系 24 空間変調素子 W 乾燥風 P 用紙 24 空気取り入れ口 25 コック 26 蒸発室 27 有機化合物 29 有機化合物供給手段 30 電熱ヒーター 31 電熱ヒーター 32 温度センサー 33 温度センサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41N 1/14 B41N 1/14 2H113 G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 2H114 7/004 521 7/004 521 Fターム(参考) 2C034 AA12 AA42 BA02 2C250 FA03 FB02 2H025 AA01 AA12 AB03 AC01 AD03 BH03 BJ10 DA03 DA18 DA36 DA37 FA10 2H084 AA30 AA36 AA38 BB01 BB02 BB16 CC05 2H096 AA06 BA09 CA03 CA05 CA20 EA02 EA23 LA30 2H113 AA01 AA02 AA04 AA05 BA05 BB22 DA07 FA07 FA09 FA10 FA34 FA43 2H114 AA04 AA16 AA22 AA23 BA02 BA10 DA08 DA73 EA01 EA03 EA04 GA03 GA04 GA09 GA27 GA33 GA34 GA35 GA38

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化チタンを含有する層を表面に有する
    印刷用原板に疎水性物質の層を一様に設けたのち、活性
    光の照射により像様親水性領域を形成させて印刷版とす
    る平版印刷方法において、該活性光が高圧水銀灯を光源
    とする紫外光であることを特徴とする平版印刷方法。
  2. 【請求項2】 該活性光の照射が、該印刷用原板を移動
    させながら、原板表面に活性光をスリットを通して照射
    する走査型の面露光であることを特徴とする請求項1に
    記載の平版印刷方法。
  3. 【請求項3】 該活性光の照射が、光源から出射される
    光束を収斂させたスポット光を2次元走査して行う照射
    であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷方
    法。
  4. 【請求項4】 該疎水性物質の層の厚みが、水滴に対す
    る該層表面の接触角が70〜120度となる厚みに設け
    られた層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の平版印刷方法。
  5. 【請求項5】 酸化チタンを含有する層を表面に有する
    該印刷用原板が、粗面化したアルミニウム基板を支持体
    とする印刷用原板であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の平版印刷方法。
  6. 【請求項6】 疎水性物質が昇華性固体又は揮発性液体
    であって、該疎水性物質の気体を印刷用原板表面の酸化
    チタンを含有する層に凝結させて疎水性物質の層を設け
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の平版印刷方法。
  7. 【請求項7】 疎水性物質が高分子有機化合物であっ
    て、該高分子有機化合物の溶液又は粒子分散物を印刷用
    原板表面の酸化チタンを含有する層に噴霧して疎水性物
    質の層を設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    か1項に記載の平版印刷方法。
  8. 【請求項8】 酸化チタンを含有する層の表面に疎水性
    物質の層を設ける方法が、塗り付け塗布、噴霧塗布、気
    化凝縮法、気体接触法及び浸漬塗布、から選ばれる方法
    であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の平版印刷版の作製方法。
  9. 【請求項9】 印刷に使用した印刷版からインキを除去
    したのち、該印刷版を印刷用原板として再使用すること
    を特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の平
    版印刷方法。
  10. 【請求項10】 (1)酸化チタンを含有する層を表面
    に有する印刷用原板を印刷装置に固定する印刷用原板装
    着部と(2)該原板に疎水性物質の層を設ける全面疎水
    化処理部と、(3)該疎水層を担持した印刷用原板に高
    圧水銀灯光を活性光として像様に照射して親水性領域を
    形成させる活性光照射部と、(4)疎水性領域にインキ
    を供給し、親水性領域に湿し水を供給するインキ及び湿
    し水供給部と、(5)疎水性領域がインキを受容し、親
    水性領域が湿し水を受容してなる印刷面を被印刷面と接
    触させて印刷を行う印刷部と、を有することを特徴とす
    る平版印刷装置。
  11. 【請求項11】 上記の(1)印刷用原板装着部と
    (2)全面疎水化処理部と、(3)活性光照射部と、
    (4)湿し水を供給するインキ及び湿し水供給部と、
    (5)印刷部と、が版胴の周囲に配設されていることを
    特徴とする請求項10に記載の平版印刷装置。
  12. 【請求項12】 さらに印刷済みの版をインキ溶剤で洗
    浄して印刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部を
    有することを特徴とする請求項10又は11に記載の平
    版印刷装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103305078A (zh) * 2013-06-26 2013-09-18 中国科学院化学研究所 一种疏水性材料及其在胶印印刷版材制备中的应用

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