JP2002002137A - 平版印刷版の作製方法、平版印刷方法および平版印刷装置 - Google Patents

平版印刷版の作製方法、平版印刷方法および平版印刷装置

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JP2002002137A
JP2002002137A JP2000191707A JP2000191707A JP2002002137A JP 2002002137 A JP2002002137 A JP 2002002137A JP 2000191707 A JP2000191707 A JP 2000191707A JP 2000191707 A JP2000191707 A JP 2000191707A JP 2002002137 A JP2002002137 A JP 2002002137A
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hydrophobic
hydrophilicity
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JP2000191707A
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English (en)
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Hisao Oishi
尚生 大石
Nobufumi Mori
信文 森
Takashi Nakamura
隆 中村
Takao Nakayama
隆雄 中山
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】現像を必要とせず、像様露光を原板に加えると
によって実質的に印刷面が形成される、しかも印刷時の
着肉性がよく印刷汚れが少なく、かつ耐刷性に優れた、
さらに印刷用原板を反復使用することも可能な印刷版と
その作製方法を提示すること。また、上記の印刷版の作
製を印刷機上で行うことができる印刷装置を提示するこ
と。 【解決手段】親水・親油材料を含有する層を表面に有す
る印刷用原板に疎水性物質の層を設けたのち、熱又は光
の作用により像様親水性領域を形成させ、つづいて該親
水性領域に親水性強化剤を処理することを特徴とする平
版印刷版の作製方法。親水・親油材料としては、光触媒
性金属化合物、光熱変換性物質又は高温親水性発現物質
が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷に関する。
具体的には、現像することなく製版することが可能な簡
易な平版印刷版とおの作製方法とに関する。さらに印刷
機上で直接製版も可能な平版印刷方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】活性光の照射によって極性変換が引き起
こされる光触媒性化合物を利用して親水性と疎水性の像
様分布を形成させて印刷インキの像様受容領域をもつ印
刷版を製作する製版方法が簡易で現像不要な製版方法と
して数多く提案されている。この製版方法では、原板上
に像様露光を行うだけで照射領域と非照射領域にインキ
受容性とインキ反発性に別れるに足る極性変化が生じる
のでそのまま印刷にかけることができて、極めて簡易な
印刷・製版方法といえる。したがって、この方法で高品
質あるいは高耐刷性の印刷を行えるように改良の試みが
なされてきている。
【0003】例えば、特開平11−105234号、同
11−138970号、同11−138971号、同1
1−143055号、同11−174664号公報で
は、光触媒性の金属化合物薄層を表面に有する印刷用原
板に活性光を像様に照射して極性を変化させて親水性と
疎水性の像様分布を形成させ、さらに使用済みの印刷版
のインキを除去して原板を再使用する製版・印刷方法が
開示されている。
【0004】これらの光触媒性化合物が活性光により極
性を変換する性質をインキ受容能の像様変化に利用した
印刷方法は、簡易性の点で大きな利点を有するので、さ
らに印刷品質や耐刷性の向上も求められており、その要
請を満たすためには照射領域と非照射領域の識別性の向
上が望まれている。
【0005】識別性の向上手段としては、平版印刷分野
では、特開平10−25131号公報に、親水性の強化
のためにシリカやアルミナ材料を表面に用い、疎水性化
にはフッ素系の気体疎水化剤を用いて親水性と疎水性の
差を強化する方法が提案されている。さらに国際出願W
O99/08158号公報にも同様の技術思想が開示さ
れている。
【0006】また、静電印刷分野では、特開平9−13
1914号公報で、光触媒性の基板に活性光を像様照射
し、親水性領域に親水性インキを付与して静電印刷を行
う方法が提示されており、特開平11−133631号
公報では、疎水性領域に疎水性物質で処理してインキ受
容能を強化する方法が開示されている。
【0007】しかしながら、画像部と非画像部との識別
性は印刷品質と耐刷性の双方に重要な特性であるので、
これらの技術の開示にもかかわらず、さらにその向上が
要請されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の背景にもとづくものであって、印刷・製版作業の簡易
性と優れた印刷品質及び耐刷性とを併せ備えた印刷版の
作製方法及びそれを用いる印刷方法を提示することであ
る。具体的には、現像を必要とせず、像様露光を原板に
加えるとによって実質的に印刷面が形成される、しかも
印刷時の着肉性がよく印刷汚れが少なく、かつ耐刷性に
優れた印刷版の作製方法とそれを用いる印刷方法を提示
することである。本発明のさらなる課題は、上記の印刷
版の作製を印刷機上で行うことができる印刷装置を提示
することである。また、別のさらなる課題は、印刷原板
を反復再使用することが可能な印刷版の作成方法及び印
刷方法を提示することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題に対して、本
発明者は印刷原板材料として、光又は熱によって極性が
変化する物質を光触媒性化合物に限らず広く探索した結
果、物質自体が疎水性と親水性の両面の性質を内在して
いて、外部からの作用に応じてそのいずれかを発現でき
る物質があり、この性質を利用すると疎水性領域と親水
性領域のそれぞれ疎水性と親水性をともに強化できるこ
とを見いだし、この特性の印刷・製版への利用を鋭意検
討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は下記
の通りである。
【0010】1.親水・親油材料を含有する層を表面に
有する印刷用原板に疎水性物質の層を設けたのち、熱又
は光の作用により像様親水性領域を形成させ、つづいて
該親水性領域に親水性強化剤を処理することを特徴とす
る平版印刷版の作製方法。
【0011】2.親水・親油材料が、光触媒能を有する
金属化合物であることを特徴とする上記1に記載の平版
印刷版の作製方法。
【0012】3.光触媒能を有する金属化合物が、Ti
2 、RTiO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB
2-x x 3-x x 10(Aは水素原子又はアルカリ金
属原子、Bはアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希
土類原子、Dは周期律表の5A族元素に属する金属原
子、Eは同じく4A族元素に属する金属原子、xは0〜
2の任意の数値を表す)、SnO2 、Bi2 3 ,Zn
O及びFeOx (x=1〜1.5)で表される酸化鉄、
から選ばれる金属酸化物であることを特徴とする上記2
に記載の平版印刷版の作製方法。
【0013】4.親水・親油材料が、光熱変換性物質で
あることを特徴とする上記1に記載の平版印刷版の作製
方法。
【0014】5.親水・親油材料が、高温親水性発現物
質であることを特徴とする上記1に記載の平版印刷版の
作製方法。
【0015】6.疎水性物質が昇華性固体又は揮発性液
体であって、該疎水性物質の気体を印刷用原板表面の親
水・親油材料を含有する層に凝結させて疎水性物質の層
を設けることを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に
記載の平版印刷版の作製方法。
【0016】7.疎水性物質が高分子有機化合物であっ
て、該高分子有機化合物の溶液又は粒子分散物を印刷用
原板表面の親水・親油材料を含有する層に噴霧して疎水
性物質の層を設けることを特徴とする上記1〜5のいず
れか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
【0017】8.親水・親油材料を含有する層を表面に
有する印刷用原板に疎水性物質の層を設ける方法が、塗
り付け塗布、噴霧塗布、気化凝縮法、気体接触法及び浸
漬塗布、から選ばれる方法であることを特徴とする上記
1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
【0018】9.親水性強化剤が、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール
アルキルエーテル、アルキルスルホン酸、一価アルコー
ル、水及び界面活性剤から選択されることを特徴とする
上記1〜8のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方
法。
【0019】10.親水性強化剤が、平版印刷用の湿し
水であることを特徴とする上記9に記載の平版印刷版の
作製方法。
【0020】11.(1)親水・親油材料を含有する層
を表面に有する印刷用原板に疎水性物質の層を設けたの
ち、(2)熱又は光の作用により像様親水性領域を形成
させ、(3)つづいて少なくとも該親水性領域に親水性
強化剤を処理して親水性を強化し、(4)疎水性領域が
インキを受容し、親水性領域が湿し水を受容した版面を
形成させて(5)印刷を行うことを特徴とする平版印刷
方法。
【0021】12.印刷に使用した印刷版からインキを
除去したのち、該印刷版を印刷用原板として再使用する
ことを特徴とする上記11に記載の平版印刷方法。
【0022】13.親水・親油材料を含有する層を電熱
加熱して製版・印刷の履歴を消去することを特徴とする
上記12に記載の平版印刷方法。
【0023】14.(1)親水・親油材料を含有する層
を表面に有する印刷用原板の装着部と(2)該原板に疎
水性物質の層を設ける全面疎水化処理部と、(3)該疎
水性層を担持した印刷用原板に熱又は活性光を像様に適
用して親水性領域を形成させる加熱描画部又は活性光照
射部と、(4)該親水性領域に親水性強化剤を処理する
親水性強化処理部と、(5)疎水性領域にインキを供給
し、親水性領域に湿し水を供給するインキ及び湿し水供
給部と、(6)疎水性領域がインキを受容し、親水性領
域が湿し水を受容してなる印刷面を被印刷面と接触させ
て印刷を行う印刷部と、を有することを特徴とする平版
印刷装置。
【0024】15.(1)親水・親油材料を含有する層
を表面に有する印刷用原板の装着部と(2)該原板に疎
水性物質の層を設ける全面疎水化処理部と、(3)該疎
水性層を担持した印刷用原板に熱又は活性光を像様に適
用して親水性領域を形成させる加熱描画部又は活性光照
射部と、(4)該親水性領域に親水性強化剤を処理する
親水性強化処理部と、(5)疎水性領域にインキを供給
し、親水性領域に湿し水を供給するインキ及び湿し水供
給部と、(6)疎水性領域がインキを受容し、親水性領
域が湿し水を受容してなる印刷面を被印刷面と接触させ
て印刷を行う印刷部と、を版胴の周囲に配設したことを
特徴とする上記14に記載の平版印刷装置。
【0025】16.さらに印刷済みの版をインキ溶剤で
洗浄して印刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部
を有することを特徴とする上記14又は15に記載の平
版印刷装置。
【0026】17.親水・親油材料を含有する層を電熱
加熱する埋め込みヒーターを有することを特徴とする上
記14〜16のいずれか1項に記載の平版印刷装置。
【0027】本発明は、基本的には、第一に本明細書に
おいて親水・親油材料と呼んでいる上記の疎水性と親水
性の両面の性質を内在していて状況に応じてそのいずれ
かの性質を具現できる物質の利用と、第二に本明細書に
おいて親水性強化剤と呼んでいる親水性化合物を親水・
親油材料に適用することに基づいている。これらによっ
て親水・親油材料に内在する親水性と親油性が共に強化
されることによって発明の課題である印刷品質と耐刷性
の向上が達せられる。また、これらによれば親水・親油
材料への画像形成は、光又は熱の像様適用により親水性
と疎水性の像様分布を形成させて行われるので、もう一
つの本発明の課題である製版の簡易性も達せられる。そ
の詳細については後述する。
【0028】すなわち、本発明の平版印刷版の作製方法
は、親水・親油材料を表面に有する印刷原板を用い、こ
の印刷原板に疎水性物質の層を設けて全面を十分に疎水
化したのち、光又は熱を像様に適用して像様親水性領域
を形成させ、つづいて像様親水性領域に親水性強化剤を
処理して親水性を向上させ、かつ維持することを特徴と
している。この方法においては、製版工程そのものが簡
易である上に、原板表面を十分に疎水化することと、光
又は熱による親水化した領域にさらに親水性強化処理の
付加することによって印刷品質と識別性が高められる。
【0029】このような特性をもつ親水・親油材料とし
ては、光触媒能を有する金属化合物、光熱変換性物
質、高温親水性発現物質の中に見いだされる。親水・
親油材料の中には、これらのいずれか一つの性質を有す
るものや、二つあるいは三つの性質を併せ有するものが
あり、その性質に応じて画像記録手段が活性光の像様照
射あるいは熱の像様適用が選択される。
【0030】本発明の製版過程は、上記の親水・親油材
料を表面に有する原板を全面疎水化することから始ま
る。疎水化の方法としては、液体、溶液状又は分散液
状の疎水性物質の塗り付け、粒子化した疎水性物質の
噴霧、気化させた疎水性物質の原板面上への凝縮、
気体状疎水性物質の原板への接触による吸着及び浸漬
処理から適した方法が選ばれる。
【0031】全面疎水性化した原板に像様親水性領域を
形成する手段は、親水・親油材料の種類によって適した
方法が採られる。すなわち親水・親油材料が光触媒能を
有する金属化合物である場合には活性光の像様照射によ
って像様親水性領域を形成させ、光熱変換性物質である
場合には赤外線などの熱線照射によってヒートモードの
疎水性層の像様除去を行って親水性領域を形成させ、高
温親水性発現物質である場合には熱転写装置などにも用
いられる熱ヘッドなどによる高温親水性発現温度の描画
で親水性領域を形成させることができる。
【0032】本発明者は、親水性化した像様領域は通常
時間とともに疎水性に変化してゆくことを発見してお
り、これが親水性領域と疎水性領域の識別性を経時とと
もに弱めており、印刷品質や耐刷性を低下させているこ
とを見いだした。したがって、本発明においては、親水
性像様領域が形成されると、短時間に親水性強化剤を処
理して親水性と疎水性の識別性を高いレベルに保つ操作
を施すことが特徴である。親水性強化剤は、親水・親油
材料の表面に皮膜層を形成して親水性を強化する物質で
あって、その詳細は後に記す。また、平版印刷用の湿し
水をこの目的に用いることができる。
【0033】本発明は、印刷を終了した後、印刷版上の
印刷インキを洗浄除去して印刷原板を再使用することが
できる。そのさい親水・親油材料を含有する層の下から
電熱加熱を行って版面上の画像履歴を確実に消去するこ
とができる。このいわば初期化操作を行った印刷原板の
表面の親水・親油材料は状況に応じて親水性にも親油性
にもなりうる親水・親油性を回復している。
【0034】上記した本発明の印刷・製版方法は、印刷
原板を印刷機に装着して印刷機上で上記した製版・印刷
工程、さらには原板再生工程をも施すことも可能であ
る。原板再生工程も行う印刷装置を用いると、本発明の
製版・印刷方法を原板を印刷機に装着したまま、反復し
て行うことができて、本発明の簡易性という特徴を一層
発揮することができる。その場合には、原板の画像履歴
消去用の加熱装置を具備した印刷装置が適している。加
熱装置は、版胴の内部に電熱ヒーターを埋め込んだ加熱
部を設けておくと電熱によって簡単に履歴を消去でき、
余分な操作が不要であって好都合である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をさら
に詳細に以下の順序によって説明する。はじめに本発明
に用いる印刷用原板、すなわち原板を構成する親水・親
油材料及びそれを担持する支持体について、次いで本発
明の製版過程、すなわち、まず全面疎水化処理用の材料
と疎水層の付与方法、全面疎水化した原板への画像露光
方法、光照射領域へ適用する親水性強化剤とその塗設方
法について、続いて印刷工程と印刷終了後の印刷版の再
生工程について、さらに本発明による印刷装置について
順次説明する。
【0036】I 印刷用原板 〔親水・親油材料〕本発明に用いる親水・親油材料と
は、前記したように親水性及び親油性の両方の性質が内
在していて状況に応じていずれの性質をも具現できる材
料を指す。この材料に疎水性物質を適用すると、その物
質を受け入れて表面疎水性の皮膜が形成されて親水・親
油材料本来の疎水性を強化することができる。一方、親
水性物質を適用すると、同様にその物質を受け入れて表
面疎水性の皮膜が形成されて親水・親油材料本来の親水
性を強化することができる。この材料の水に対する接触
角は30〜70度で、多くは40〜60度である。すな
わち通常親水性として印刷に適しているとされる水に対
する接触角が40度以下、多くは30度以下と疎水性と
して印刷に適しているとされる60度以上、多くは70
度以上との中間の接触角を有している。本発明では、こ
の性質を巧みに利用して像様に分布させた疎水性と親水
性の両領域の疎水性と親水性を強化して識別性を高め、
印刷品質と耐刷性の向上に寄与させている。
【0037】親水・親油材料の上記の特性を有する物質
は、(a)光触媒能を有する金属化合物、(b)光熱変
換性物質、(c)高温親水性発現物質に見いだされる
が、その中には、これらのいずれかの一つの性質を有す
るものや、二つあるいは三つの性質を併せ有するものが
ある。 (光触媒能を有する金属化合物)光触媒能を有する化合
物すなわち光触媒性化合物は、活性光の照射を受けると
疎水性から親水性に極性が変化する化合物であり、本発
明に用いられる光触媒性化合物は光触媒性金属酸化物で
ある。
【0038】本発明に用いる光触媒性金属酸化物は、い
ろいろの形態の金属酸化物に見られ、単一の金属酸化
物、複合酸化物のいずれの場合もあり、また後者の場合
は、固溶体、混晶、多結晶体、非晶質固溶体、金属酸化
物微結晶の混合物のいずれからもこの特性を有するもの
が認められる。このような特性をもつ金属酸化物は、経
験的に周期律表の0と VIIA(ハロゲン元素)族を除く
第3〜6周期に属する金属元素の酸化物に見いだされ
る。なお、上記金属及び金属酸化物は、印刷版として使
用する際に湿し水に対して過度に溶解してはならないの
で、水に対する溶解度は、水100ミリリットルについ
て10mg以下、好ましくは5mg以下、より好ましく
は1mg以下である。
【0039】好ましい光触媒性金属酸化物として、酸化
チタンと酸化亜鉛を挙げられる。中でも酸化チタンが感
度(つまり表面性の光変化の敏感性)などの点で好まし
い。酸化チタンは、イルメナイトやチタンスラグの硫酸
加熱焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化など既知の任
意の方法で作られたものを使用できる。あるいは後述す
るように金属チタンを用いて印刷版製作段階で真空蒸着
によって酸化物皮膜とする方法も用いることができる。
【0040】酸化チタン又は酸化亜鉛を含有する層を原
板の表面に設けるには、たとえば、 酸化チタン微結晶又は酸化亜鉛微結晶の分散物(必要
によって少量の分散媒すなわちバインダーを含有)を印
刷版の原板上に塗設する方法、塗設したのち焼成して
バインダーを減量或いは除去する方法、印刷原板上に
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD
などの方法で酸化チタン(又は酸化亜鉛)膜を設ける方
法、例えばチタニウムブトキシドのようなチタン有機
化合物を原板上に塗布したのち、焼成酸化を施して酸化
チタン層とする方法など、既知の任意の方法を用いるこ
とができる。本発明においては、真空蒸着又はスパッタ
リングによる酸化チタン層が特に好ましい。
【0041】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、具体的には無定形酸化チタン微結晶分散物
を塗布したのち、焼成してアナターゼまたはルチル型の
結晶酸化チタン層とする方法、酸化チタンと酸化シリコ
ンの混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸
化チタンとオルガノシロキサンなどとの混合物を塗布し
てシロキサン結合を介して支持体と結合した酸化チタン
層を得る方法、酸化物と混和できるポリマーバインダー
に分散して塗布したのち、焼成して有機成分を除去する
方法などがある。酸化物微粒子のバインダ−には、酸化
チタン微粒子に対して分散性を有し、かつ比較的低温で
焼成除去が可能なポリマーを用いることができる。好ま
しいバインダーの例としては、ポリエチレンなどのポリ
アルキレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ
蟻酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリ
ビニルアルコール、ポリスチレンなどの疎水性バインダ
ーが好ましく、それらの樹脂を混合して使用してもよ
い。
【0042】上記の酸化チタンの真空蒸着を行うに
は、通常真空蒸着装置内の蒸着用加熱の熱源に金属チタ
ンを置き、真空度10-3〜10-6Paで全ガス圧1〜1
-3Pa、酸素文圧比が30〜90%になるようにしな
がら、チタン金属を蒸発させると、蒸着面には酸化チタ
ンの蒸着薄膜が形成される。また、スパッタリングによ
る場合は、例えばスパッタ装置内にチタン金属ターゲッ
トをセットしてAr/O 2 比が60/40(モル比)と
なるようにガス圧を5×10-1Paに調整したのち、R
Fパワー200Wを投入してスパッタリングを行って酸
化チタン薄膜を基板上に形成させる。
【0043】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は上記の任意の方法で作ることがで
きる。とくに金属亜鉛板の表面を電解酸化して酸化皮膜
を形成させる方法と、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング,CVDなどによって酸化亜鉛皮膜を
形成させる方法が好ましい。酸化亜鉛の蒸着膜は、上記
の酸化チタンの蒸着と同様に金属亜鉛を酸素ガス存在下
で蒸着して酸化膜を形成させる方法や、酸素のない状態
で亜鉛金属膜を形成させたのち、空気中で温度を約70
0°Cにあげて酸化させる方法を用いることができる。
そのほか、修酸亜鉛の塗布層やセレン化亜鉛の薄層を酸
化性気流中で加熱しても得られる。
【0044】蒸着膜の厚みは、酸化チタン層、酸化亜鉛
層いずれの場合も1〜10000nmがよく、好ましく
は1〜1000nmである。さらに好ましくは300n
m以下として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活
性化作用を十分に発現させるには厚みが5nm以上ある
ことが好都合である。
【0045】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。酸化チタンあるいは酸化亜鉛を主成
分とする層における酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率は、それぞれ30〜100%であり、好ましくは50
%以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸
化物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。
しかしながら、表面の親水性/親油性変化特性は、酸化
亜鉛を電子写真感光層に用いるときのような著しい純度
による影響はないので、100%に近い純度のもの(例
えば98%)をさらに高純度化する必要はない。それ
は、本発明に利用される物性は、導電性とは関係ない膜
表面の親水性/親油性の性質変化特性、すなわち界面物
性の変化特性であることからも理解できることである。
【0046】しかしながら、後述する原板再生使用の際
に重要な、熱により表面親水性が変化する性質を増進さ
せるためにある種の金属をドーピングすることは有効な
場合があり、この目的にはイオン化傾向が小さい金属の
ドーピングが適しており、Pt,Pd,Au,Ag,C
u,Ni,Fe,Co又はCrをドーピングするのが好
ましい。また、これらの好ましい金属を複数ドーピング
してもよい。ドーピングを行った場合も、その注入量は
酸化亜鉛や酸化チタン中の金属成分に対して5モル%以
下である。
【0047】一方、体積率が低いと層の表面の親水性/
親油性の熱応答挙動の敏感度が低下する。したがって、
層中の酸化物の体積率は、30%以上であることが望ま
しく、とくに実質的に100%であることが好ましい。
【0048】次に、本発明に用いることができる別の光
触媒性金属化合物である一般式RTiO3 で示したチタ
ン酸金属塩について記す。一般式RTiO3 において、
Rはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム、ベリリウムなどの周期律表のアルカリ土類元素に
属する金属原子であり、とくにストロンチウムとバリウ
ムが好ましい。また、2種以上のアルカリ土類金属原子
をその合計が上記の式に化学量論的に整合する限り共存
することができる。
【0049】次に、一般式AB2-x x 3-x x 10
で表される化合物について説明する。この一般式におい
て、Aは水素原子及びナトリウム、カリウム、ルビジウ
ム、セシウム、リチウムなどのアルカリ金属原子から選
ばれる1価原子で、その合計が上記の式に化学量論的に
整合する限りそれらの2種以上を共存してもよい。B
は、上記のRと同義のアルカリ土類金属原子又は鉛原子
であり、同様に化学量論的に整合する限り2種以上の原
子が共存してもよい。Cは希土類原子であり、好ましく
は、スカンジウム及びイットリウム並びにランタン、セ
リウム、プラセオジウム、ネオジウム、ホルミウム、ユ
ウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ツリウム、イ
ッテルビウム、ルテチウムなどのランタノイド系元素に
属する原子であり、また、その合計が上記の式に化学量
論的に整合する限りそれらの2種以上を共存してもよ
い。Dは周期律表の5A族元素から選ばれた一種以上の
金属元素で、バナジウム、ニオブ、タンタルが挙げられ
る。また、化学量論関係を満たす限り、2種以上の5A
族の金属原子が共存してもよい。Eは同じくチタン、ジ
ルコニウム、ハフニウムなどの4A族元素に属する金属
原子であり、また、2種以上の4A族の金属原子が共存
してもよい。xは0〜2の任意の数値を表す。
【0050】RTiO3 、一般式AB2-x x 3-x
x 10で表される上記化合物、SnO2 ,Bi2 3
FeOx (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合
物のいずれの薄膜形成にも、酸化チタン及び酸化亜鉛を
設ける前記の方法を用いることがでる。すなわち、上
記光触媒能を有する熱応答型金属酸化物の微粒子の分散
物を印刷版の原板上に塗設する方法、塗設したのち焼
成してバインダーを減量或いは除去する方法、印刷版
の原板上に上記酸化物を各種の真空薄膜法で膜形成する
方法、例えば金属元素のアルコレートのような有機化
合物を原板上に塗布したのち、加水分解させ、さらに焼
成酸化を施して適当な厚みの金属薄膜とする方法、上
記金属を含む塩酸塩、硝酸塩などの水溶液を加熱噴射す
る方法など、既知の任意の方法を用いることができる。
【0051】例えば、上記、の塗設方法によってチ
タン酸バリウム微粒子を塗設するには、チタン酸バリウ
ムとシリコンの混合分散物を塗布して表面層を形成させ
る方法、チタン酸バリウムとオルガノポリシロキサンま
たはそのモノマ−との混合物を塗布する方法などがあ
る。また、酸化チタンの項で述べたように、酸化物層の
中に酸化物と共存できるポリマーバインダーに分散して
塗布した後、焼成して酸化物層とすることもできる。酸
化物微粒子のバインダ−として好ましいポリマーの例
は、酸化チタン層の項で述べたものと同じである。この
方法によって、チタン酸バリウム以外にチタン酸マグネ
シウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム
又はそれらの分子間化合物、混合物も同様に薄膜形成可
能である。
【0052】同様にして上記、の塗設方法によって
CsLa2 NbTi2 10微粒子を塗設することも可能
である。CsLa2 NbTi2 10微粒子は、その化学
量論に対応するCs2 CO3,La2 3,NbO5,TiO
2 を乳鉢で微粉砕して、白金るつぼに入れ、130°C
で5時間焼成し、それを冷却してから乳鉢に入れて数ミ
クロン以下の微粒子に粉砕する。このCsLa2 NbT
2 10微粒子を前記のチタン酸バリウムと同様にバイ
ンダーの中に分散し、塗布して薄膜を形成した。この方
法は、CsLa2 NbTi2 10型微粒子に限らず、H
Ca1.5 La0. 5 Nb2.5 Ti0.5 10,HLa2 Nb
Ti2 10など前述のAB2-x x 3- x x 10
(0≦x≦2)に適用される。
【0053】上記の真空薄膜形成法を用いた光触媒性
金属酸化物層の形成方法としては、一般的にはスパッタ
リング法あるいは真空薄膜形成法が用いられる。スパッ
タリング法では、あらかじめ単一もしくは複合型の酸化
物ターゲットを準備する。例えば、チタン酸バリウムタ
ーゲットを用いて蒸着膜用の支持体の温度を450°C
以上に保ち、アルゴン/酸素混合雰囲気中でRFスパッ
タリングを行うことによりチタン酸バリウム結晶薄膜が
得られる。結晶性の制御には必要に応じてポストアニー
リングを300〜900°Cで行えばよい。本方法は前
述のRTiO3(Rはアルカリ土類金属原子)をはじめ
他の前記光触媒能を有する熱応答型金属酸化物にも、結
晶制御に最適な基板温度を調整すれば同様の考え方で薄
膜形成が可能である。例えば酸化錫薄膜を設ける場合に
は基板温度120°C、アルゴン/酸素比50/50の
混合雰囲気中でRFスパッタリングを行うことにより酸
化錫結晶の本目的に沿う薄膜が得られる。
【0054】上記の金属アルコレートを用いる方法
も、バインダーを使用しないで目的の薄膜形成が可能な
方法である。チタン酸バリウムの薄膜を形成するにはバ
リウムエトキシドとチタニウムブトキシドの混合アルコ
ール溶液を表面にSiO2 を有するシリコン基板上に塗
布し、その表面を加水分解したのち、200°C以上に
加熱してチタン酸バリウムの薄膜を形成することが可能
である。本方式の方法も前述した他のRTiO3 (Rは
アルカリ土類金属原子)、AB2-x x 3-x x 10
(A,B,C,D,Eはそれぞれ前記の定義の内容を表
す)、SnO2 ,Bi2 3 及びFeOx (x=1〜
1.5)で示される酸化鉄系の化合物の薄膜形成に適用
することができる。
【0055】上記によって熱応答性機能を発現する金
属酸化物薄膜を形成させる方法も、バインダーを含まな
い系の薄膜の形成が可能である。SnO2 の薄膜を形成
するにはSnCl4 の塩酸水溶液を200°C以上に加
熱した石英又は結晶性ガラス表面に吹きつけて薄膜を生
成することができる。本方式も、SnO2 薄膜のほか,
前述したRTiO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、A
2-x x 3-x x10(A,B,C,D,Eはそれ
ぞれ前記の定義の内容を表す)、Bi2 3 及びFeO
x (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合物のい
ずれの薄膜形成にも適用することができる。
【0056】金属酸化物薄膜の厚みは、上記のいずれの
場合も1〜10000nmがよく、好ましくは1〜10
00nmである。さらに好ましくは300nm以下とし
て光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作用を
十分に発現させるには厚みが5nm以上あることが好都
合である。
【0057】上記光触媒能を有する光触媒性金属酸化物
をバインダーに分散した薄層において、金属酸化物の体
積率は50〜100%であり、好ましくは90%〜99
%を酸化物が占めるのがよい。この場合の金属酸化物層
の厚みは、0.001〜10μmがよく、好ましくは
0.01〜5μmである。
【0058】(光熱変換性物質)光熱変換物質とは、光
を吸収して、吸収エネルギーを熱エネルギーに変換して
放出する物質を指しているが、いうまでもなく、多くの
物質は多少とも光を吸収し、光を吸収すればそれによっ
てその物質のエネルギー準位は励起し、その順位が基底
準位に戻るときに蛍燐光を発しないかぎり熱を放出する
ので、厳密には殆どの物質がたとえ僅かではあっても光
熱変換作用を持っているといえる。したがって、光熱変
換剤という場合には、光熱変換能が目的とする熱変化を
もたらすことができる大きさである場合に限るのが適切
であり、その観点からは、印刷用原板として実用できる
光熱変換剤は、吸光度が少なくとも0.3×103 c
m-1、好ましくは1×103cm -1以上、より好ましくは
1×104cm -1以上であって、かつ吸収光は実質的に蛍
光や燐光に変換されない物質を指すものとすることが実
際的である。また、吸光度が高すぎると、光熱変換作用
が光熱変換剤含有層の上部に偏り、深部の光熱変換作用
が乏しくなって却って画像形成作用を損なうこともある
ので、適切な吸光度は、0.3×108 cm-1以下、好ま
しくは1×107cm -1以下である。なお、吸光度は透過
濃度を厚みで除した値である。
【0059】光熱変換性を示す親水・親油材料は、金属
及び金属化合物の中に見いだされる。金属は周期律表の
Ib族、IIb族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族及び
VIII族元素であり、金属化合物は、上記金属の酸化物と
遷移金属酸化物、周期律表のII〜VIII族の金属元素の硫
化物及び周期律表のIII 〜VIII族の金属元素の窒化物で
ある。これらの金属及び金属化合物は、微粒子分散物層
又は薄層の形態で用いられ、薄層の場合は表面が粗面化
されていることが好ましい。なお、上記金属及び金属酸
化物は、光触媒性金属化合物について述べたように印刷
版として使用する際に湿し水に対して過度に溶解しては
ならないので、水に対する溶解度は、水100ミリリッ
トルについて10mg以下、好ましくは5mg以下、よ
り好ましくは1mg以下である。
【0060】好ましい金属は、Ag、Cu、Cr、T
i、Co、Ni、Fe、Mo及びWである。好ましい金
属酸化物は、Ag2 O 、CuO、CuO2 ,Cr2O3
TiO2、Fe2 3 、Mn2O3 、MoO2、TiO2、Fe
2O3 、MnO2、PbO、VOx (x=1〜5)、MnO
及びWである。好ましい遷移金属酸化物は、上記のほか
Co,Te,Nb,Y,Zr及びBiの酸化物が含まれ
る。これらの中では、FeO,Fe2 3 ,Fe
3 4 ,CoO,Cr2 3 ,MnO2 ,ZrO2 ,B
23 ,CuO,CuO2 ,AgO,PbO,PbO
2 、VOx (x=1〜5)がとくに好ましい金属酸化物
の例として挙げられる。VOx には、黒色のVO、V 2
3 、VO2 、や褐色のV2 5 がある。
【0061】そのほかの好ましい無機金属酸化物として
は、TiOx (x=1.0〜2.0)、SiOx (x=
0.6〜2.0)、AlOx (x=1.0〜2.0)も
挙げることができる。TiOx (x=1.0〜2.0)
には、黒色のTiO、黒紫色のTi2 3 、結晶形と狭
雑物によって無色から黒色までの種々の色を呈するTi
2 類がある。SiOx (x=0.6〜2.0)には、
SiO、Si3 2 、無色あるいは共存物質によって
紫、青、赤などの色を示すSiO2 が挙げられる。ま
た、AlOx (x=1.5)には、無色あるいは共存物
質によって赤、青、緑などに呈色するコランダムなどが
挙げられる。
【0062】好ましい金属炭酸塩は、Ag2 CO3 、C
uCO3 、TiCO3 、FeCO3、Mn(CO3
2 、Mo(CO3 2 及びMn(CO3 2 である。
【0063】光熱変換性微粒子が金属硫化物からなる場
合、好ましい金属硫化物は、遷移金属などの重金属硫化
物である。中でも好ましい硫化物には鉄、コバルト、ク
ロム、マンガン、ニッケル、モリブデン、テルル、スト
ロンチウム、錫、銅、銀、鉛、カドミウムの硫化物が挙
げられ、とりわけ、硫化銀、硫化第一鉄及び硫化コバル
トが好ましい。
【0064】光熱変換性微粒子が金属窒化物からなる場
合、好ましい金属窒化物は、金属のアジド化合物であ
る。とくに銅、銀及び錫のアジド化物が好ましい。これ
らのアジド化合物は、光分解によって発熱する自己発熱
性化合物でもある。そのほかの好ましい無機金属窒化物
には、TiNx (x=1.0〜2.0)、SiNx (x
=1.0〜2.0)、AlNx (x=1.0〜2.0)
などが挙げられる。TiNx (x=1.0〜2.0)と
しては、青銅色のTiNや褐色のTiNx (x=1.
3)が挙げられる。SiNx (x=1.0〜2.0)と
しては、Si2 3 ,SiN,Si3 4 が挙げられ
る。また、AlNx (x=1.0〜2.0)にはAlN
などを挙げることができる。
【0065】上記の各金属酸化物、硫化物及び窒化物
は、いずれも公知の製造方法によって得られる。また、
チタンブラック、鉄黒、モリブデン赤、エメラルドグリ
ーン、カドミウム赤、コバルト青、紺青、ウルトラマリ
ンなどの名称で市販されているものも多い。
【0066】これら光熱変換性の金属化合物は、光触媒
性金属酸化物の項で述べた蒸着、スパッタリング、C
V,分散物として塗設、塗設後焼結などの公知の方法で
支持体上に薄膜として設けられる。塗設又は塗設後焼結
する場合は、バインダーの量は金属化合物粒子の30%
以下、好ましくは20%以下であり、用いなくても分散
するのであれば用いなくてもよい。金属化合物が粒子の
状態で塗設されたり、塗設後焼結されたりする場合は、
その粒子サイズは、粒子を構成する物質の屈折率や吸光
係数によって最適サイズがことなるが、一般に0.00
5〜5μmであり、好ましくは0.01〜3μmであ
る。
【0067】光熱変換性物質の薄膜の厚みは、上記のい
ずれの場合も1〜100000オングストロ−ムがよ
く、好ましくは10〜10000オングストロ−ムであ
る。
【0068】上記光熱変換性物質をバインダーに分散し
た薄層の場合、光熱変換性物質の容積率は50〜100
%であり、好ましくは90〜99%を光熱変換性物質が
占めるのがよい。この場合の光熱変換性物質層の厚み
は、0.001〜10μmがよく、好ましくは0.01
〜5μmである。
【0069】(高温親水性発現物質)本発明者達は、高
温に加熱すると極性が変化して親水性を示す化合物を見
いだして、この性質を有する物質を高温親水性発現物質
と呼び、高温親水性となる温度を高温親水性発現温度と
呼んでいる。高温親水性が現れる温度は、多くは250
°C以上であり、中には200°C以上、さらには17
0°Cにおいて高温親水性となる物質もある。また、高
温親水性発現物質の中には、50〜150°Cの加熱温
度で疎水化し、さらに加熱して高温親水性発現温度に達
すると親水性となる温度挙動をとる物質もある。高温親
水性発現物質でかつ親水・親油性でもある材料は、金属
及び金属化合物に広くみられる。金属は周期律表のIb
族、IIb族、III 族、IV族、VIa族及びVIII族元素であ
り、金属化合物は、それらの金属の不溶性塩類である。
【0070】これらの金属及び金属化合物は、微粒子分
散物層又は薄層の形態で用いられ、薄層の場合は表面が
粗面化されていることが好ましい。なお、上記金属及び
金属酸化物は、光触媒性金属化合物について述べたよう
に印刷版として使用する際に湿し水に対して過度に溶解
してはならないので、水に対する溶解度は、水100ミ
リリットルについて10mg以下、好ましくは5mg以
下、より好ましくは1mg以下である。好ましい金属
は、光熱変換性金属の項で述べたものも重複して記せ
ば、Al、Si、Cd、In、Zn、V、Ni、Ag、
Cu、Cr、Ti、Zr、Fe、Mo及びWである。好
ましい金属酸化物は、光熱変換性金属の項で述べたもの
も重複して記せば、Al2 3 、CdO、ZnO、Ag
2 O 、CuO、Cr2O3 、TiO2、TiO2、Fe2
3 、MoO2、TiO2、Fe2 3 及びWである。好ま
しい金属炭酸塩は、Ag2 CO3 、CuCO3 、Cr
2(CO3)2)3 、Pb(II)CO3 、Tl(I)CO3 、FeC
3 、MoCO3 、TiO2、Fe2(CO3)2) 2(C
3)2 、Mn(CO32 及びZnCO3 である。好ま
しい金属硫化物は、AgS、CuS及びFeSである。
高温親水性発現性の金属化合物の層を支持体上に設ける
方法は、上記の光熱変換性金属化合物の場合と同じであ
る。
【0071】また、高温親水性発現物質層の厚みは、前
記の光熱変換性物質層の場合の厚みと実質的に同じであ
る。
【0072】〔支持体及び印刷用原板の形態〕次に支持
体について述べるが、本発明においては原板を印刷装置
上の版胴に装着して製版する場合もあるので、それらを
含めて説明する。本発明に係わる印刷原板は、いろいろ
の形態と材料を用いることができる。例えば、親水・親
油材料の薄層を印刷機の版胴の基体表面に蒸着、浸漬あ
るいは塗布するなど上記した方法で直接設ける方法、支
持体に担持された親水・親油材料や支持体を持たない親
水・親油材料の薄板を版胴の基体に巻き付けて印刷版と
する方法などを用いることができる。また、勿論版胴上
で製版する上記形態以外に、一般的に行われているよう
に、製版を行った印刷版を輪転式あるいは平台式印刷機
に装着する形態を採ってもよい。
【0073】親水・親油材料を支持体上に設ける場合、
使用される支持体は、熱分解せず、寸法的にも安定な板
状物であり、アルミニウム板、SUS鋼板、ニッケル
板、銅板などの金属板が好ましく、特に可撓性(フレキ
シブル)の金属板を用いることが好ましい。また、ポリ
エステル類やセルローズエステル類などのフレキシブル
なプラスチック支持体も用いることができる。防水加工
紙、ポリエチレン積層紙、含浸紙などの支持体を使用し
てもよい。
【0074】具体的には、紙、プラスチックシート(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のシ
ート)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、プラスチックフィ
ルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネー
ト、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィ
ルム等が挙げられる。
【0075】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、ポリイミドフィルム、アルミニウム、又は印刷版上
で腐食しにくいSUS板であり、その中でも寸法安定性
がよく、比較的安価であるアルミニウム板と、製版工程
における加熱操作に対して安定性の高いポリイミドフィ
ルムは特に好ましい。
【0076】好適なポリイミドフィルムは、ピロメリッ
ト酸無水物とm−フェニレンジアミンを重合させたの
ち、環状イミド化したポリイミド樹脂フィルムであり、
このフィルムは市販されている(例えば、東レ・デュポ
ン社製の「カプトン」)。
【0077】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニ
ウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガ
ン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッ
ケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高
々10質量%以下である。本発明において特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板
を適宜に利用することができる。本発明で用いられる金
属支持体の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ま
しくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm
〜0.3mmであり、プラスチックや加工紙などその他の
支持体の厚みはおよそ0.1mm〜2.0mm程度、好まし
くは0.2mm〜1.0mmである。
【0078】アルミニウム支持体を用いる場合は、表面
を粗面化して用いることが好ましい。その場合、所望に
より、粗面化に先立って表面の圧延油を除去するため
の、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶
液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表
面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例え
ば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解
粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方
法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨
法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの
公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な
粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または
直流により行うなど公知の方法を利用することができ
る。また、粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じ
てアルカリエッチング処理および中和処理された後、所
望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。陽極酸化の電解質の濃度は電解質の
種類によって適宜決められる。
【0079】陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量が1.0g/m2より少ないと、耐刷性が不十分であっ
たり、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印
刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」
が生じ易くなる。以上で本発明の印刷用原板の構成の説
明を終わる。
【0080】II 製版過程 〔全面疎水化〕印刷用原板は、はじめに全面疎水化され
る。多くの光触媒性金属酸化物は、例えば80〜140
°C程度の高温に加熱されることによって疎水化される
ことは、特開平11−174665号、同11−138
970号、同11−143055号公報などに開示され
ているが、本発明においては、画像部と非画像部の識別
性を一層向上させるために、疎水性の物質の皮膜を印刷
原板の全面に設ける全面疎水化処理による一層強固な疎
水化を行う。それに用いる疎水性皮膜形成用の物質を疎
水化剤とよぶ。始めに疎水化剤について、つぎに疎水化
の方法について説明する。
【0081】(疎水化剤)本発明において、「疎水性」
とは、親水・親油材料の表面の水滴接触角よりも大きい
水滴接触角を指しており、水滴接触角が60度以上、好
ましくは70度以上であることを意味する。疎水化剤
は、上記の意味で疎水性であって、かつ皮膜を形成でき
る材料であり、広い範囲で選択することができる。本発
明の疎水化剤の目的に適合する化合物は、有機低分子化
合物、有機珪素化合物及び有機高分子化合物の中に見い
だされる。
【0082】1)有機低分子化合物 疎水化剤として本発明に用いられる有機低分子化合物
は、25℃における水100gへの溶解度が2g以下
であるか、有機概念図における有機性/無機性の比が
0.7以上であるかの少なくともいずれかに相当する有
機高分子化合物であり、その両方を用いることも好まし
い態様である。ここで、低分子化合物と呼んでいるのは
沸点又は融点を有する化合物という意味で用いており、
そのような化合物を通常分子量は2000以下、多くは
1000以下である。
【0083】25℃における水100gへの溶解度が2
g以下であることは、印刷版としての要件でもあるが、
疎水性であるための要件でもあることが経験的に判って
いる。
【0084】有機概念図は、化合物の有機性及び無機性
の程度を示すのに実際的で簡便な実用尺度であり、その
詳細については、田中善生著「有機概念図」(三共出版
社、1983年初版刊行)の1〜31頁に詳記されてい
る。有機概念図上の上記の範囲の有機化合物が疎水性化
を促進する作用を持つ理由は不明であるが、この範囲の
化合物は、有機性が比較的大きい化合物であり、複合粒
子近傍を疎水性にする。有機概念図における有機性が1
00以上でその上限についての制約はとくにないが、通
常100〜1200、好ましくは100〜800であ
り、その有機性/無機性の比が0.7〜無限大(すなわ
ち無機性が0)、好ましくは0.9〜10の範囲に入る
有機化合物である。
【0085】この水への溶解度あるいは有機概念図にお
ける有機性/無機性比を有する有機低分子化合物は、具
体的には脂肪族及び芳香族炭化水素、脂肪族及び芳香族
カルボン酸、脂肪族及び芳香族アルコール、脂肪族及び
芳香族エステル、脂肪族及び芳香族エーテル、有機アミ
ン類、有機珪素化合物、また、印刷用インキに添加でき
ることが知られている各種溶剤や可塑剤類の中に見られ
る。
【0086】好ましい脂肪族炭化水素は、炭素数8〜3
0の、より好ましくは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素
であり、好ましい芳香族炭化水素は、炭素数6〜40
の、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素で
ある。好ましい脂肪族アルコールは、炭素数4〜30
の、より好ましくは炭素数6〜18の脂肪族アルコール
であり、好ましい芳香族アルコールは、炭素数6〜30
の、より好ましくは炭素数6〜18の芳香族アルコール
である。好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数4〜24
の脂肪族カルボン酸であり、より好ましくは炭素数6〜
20の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数4〜12の脂肪
族ポリカルボン酸であり、また、好ましい芳香族カルボ
ン酸は、炭素数6〜30の、より好ましくは炭素数6〜
18の芳香族カルボン酸である。好ましい脂肪族エステ
ルは、炭素数2〜30の、より好ましくは炭素数2〜1
8の脂肪酸エステルであり、好ましい芳香族エステル
は、炭素数8〜30の、より好ましくは炭素数8〜18
の芳香族カルボン酸エステルである。好ましい脂肪族エ
ーテルは、炭素数8〜36の、より好ましくは炭素数8
〜18の芳香族エーテルであり、好ましい芳香族エーテ
ルは、炭素数7〜30の、より好ましくは炭素数7〜1
8の芳香族エーテルである。そのほか、炭素数7〜30
の、より好ましくは炭素数7〜18の脂肪族あるいは芳
香族アミドも用いることができる。
【0087】具体例としては、2,2,4−トリメチル
ペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、
n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチル
ヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオク
タンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クメン、ナフタレン、アントラセン、スチレンな
どの芳香族炭化水素;ドデシルアルコール、オクチルア
ルコール、n−オクタデシルアルコール、2−オクタノ
ール、ラウリルアルコール1価アルコール;ヘキシレン
グリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコ
ール;ベンジルアルコール、4−ヒドロキシトルエン、
フェネチルアルコール、1−ナフトール、2−ナフトー
ル、カテコール、フェノールなどの芳香族アルコール;
酪酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、カプリン
酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族1価カルボ
ン酸;安息香酸、2−メチル安息香酸、4−メチル安息
香酸などの芳香族カルボン酸;酢酸エチル、酢酸イソブ
チル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピ
オン酸エチル、酪酸メチル、アクリル酸メチル、しゅう
酸ジメチル、琥珀酸ジメチル、クロトン酸メチルなどの
脂肪族エステル;安息香酸メチル、2−メチル安息香酸
メチルなどの芳香族カルボン酸エステル;イミダゾー
ル、2,2−ジメチルイミダゾール、4−メチルイミダ
ゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、シクロヘ
キシルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレ
ンテトラミン、オクチルアミン、フェネチルアミンなど
の有機アミン;メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類、メトキシベン
ゼン、エトキシベンゼン、メトキシトルエン、ラウリル
メチルエーテル、ステアリルメチルエーテルなどのエー
テル及びステアリルアミド、ベンゾイルアミド、アセト
アミドなどのアミド類が挙げられる。そのほか、沸点が
前記の好ましい範囲にあるエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ、セ
ロソルブアセテートなどの有機溶剤も使用することがで
きる。
【0088】また、印刷用インキの成分であるアマニ
油、大豆油、けし油、サフラワー油などの油脂類、燐酸
トリブチル、燐酸トリクレシル、フタール酸ジブチル、
ラウリン酸ブチル、フタール酸ジオクチル、パラフィン
ワックスなどの可塑剤も挙げられる。
【0089】また、長鎖脂肪酸と長鎖一価アルコールの
エステル、すなわちワックスも、疎水性で適当に低融点
であって、光熱変換性の微粒子の近傍で光照射によって
生じた熱によって融解してその領域を疎水性化する好ま
しい低分子有機化合物である。ワックスは、50〜20
0°Cで溶融するものが好ましく、その例としては、原
料などによってカルナバワックス、カスターワックス、
マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、
セラックろう、パームろう、蜜ろう等と呼ばれているい
ずれをも用いることができる。ワックス類のほかに、オ
レイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの固体酸;
ベヘン酸銀、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸マ
グネシウムなどの長鎖脂肪酸の金属塩などの微粒子分散
物も用いることができる。
【0090】有機低分子化合物の中でもペルフルオロ化
合物は、疎水化を効果的に行うので好都合である。好ま
しいペリフルオロ化合物としては、下記の化合物が挙げ
られる。ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロ酪酸、ペルフ
ルオロバレリン酸、ペルフルオロカプリン酸、ペルフル
オロヘプタン酸、ペルフルオロカプロン酸、ペルフルオ
ロカプリル酸などのペルフルオロ脂肪族カルボン酸;ペ
ルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン、ペルフル
オロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミ
ン、ペルフルオロヘキシルエーテル、ペルフルオロドデ
カンなどのペリフルオロ炭化水素;ペルフルオロブタノ
ール、ペルフルオロペンタノール、ペルフルオロヘキサ
ノール、ペルフルオロオクタノール、ペルフルオロドデ
シルアルコールなどのペリフルオロ脂肪族アルコール。
【0091】2)有機珪素化合物 好ましい有機珪素化合物は、印刷原板の親水・親油材料
を含有する層の表面を効果的に疎水化する疎水化剤であ
る。この目的に用いられる有機珪素化合物としては、オ
ルガノポリシロキサン、オルガノシラン及びフッ素含有
珪素化合物を挙げることができる。 a.オルガノポリシロキサン リ オルガノポリシロキサンは、ジメチルシリコーンオ
イル、メチルフェニルシリコーンオイルなどで代表され
る化合物であり、とくに重合度が12以下のオルガノポ
リシロキサン類が好ましい。これらの好ましいオルガノ
ポリシロキサンはシロキサン結合単位当たり1〜2個の
有機基が結合しており、その有機基は、炭素数が1〜1
8のアルキル基及びアルコキシ基、炭素数が2〜18の
アルケニル基及びアルキニル基、炭素数が6〜18のア
リール基、炭素数が7〜18のアラルキル基、炭素数が
5〜20の脂環式基である。また、これらの有機置換基
には、さらにハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキ
シ基が置換してもよい。また、上記のアリール基、アラ
ルキル基、脂環式基には、上記の炭素数の範囲でメチル
基、エチル基又はプロピル基などの低級アルキル基がさ
らに置換していてもよい。
【0092】本発明に使用できる好ましい有機珪素化合
物の具体例は、下記の化合物であるが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
【0093】好ましいポリオルガノシロキサン類として
は、炭素数1〜5のアルキル基を有するジアルキルシ
ロキサン基、炭素数1〜5のアルコキシ基を有するジ
アルコキシシロキサン基、炭素数1〜5のアルコキシ
基とフェニル基を有するアルコキシフェニルシロキサン
基及びエトキシメトキシシロキサン基又はメトキシエ
トキシシロキサン基のうち、少なくとも一つを繰り返し
単位として含み、重合度が2〜12、より好ましくは2
〜10のポリオルガノシロキサンである。また、その端
末基は、炭素数1〜5のアルキル基、アミノ基、ヒドロ
キシ基、炭素数1〜5のヒドロキアルキル基又は炭素数
1〜5のアルコキシ基である。より好ましい端末基は、
メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、t−ブチル基、メトキシ基及びエト
キシ基である。その中でも好ましいシロキサン化合物
は、重合度が2〜10のジメチルポリシロキサン、重合
度が2〜10のジメチルシロキサン−メチルフェニルシ
ロキサン共重合物、重合度が2〜8のジメチルシロキサ
ン−ジフェニルシロキサン共重合物、重合度が2〜8の
ジメチルシロキサン−モノメチルシロキサン共重合物で
これらのポリシロキサン化合物の端末はトリメチルシラ
ン基である。そのほか、1,3−ビス(3−アミノプロ
ピル)テトラメチルジシロキサン、1,5−ビス(3−
アミノプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、1,3
−ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、1,5−ジブチル−1,1,3,3,5,5−ヘキ
サエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘ
キサエチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、3−
(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,
3,5,5,5−ヘプタメチル−トリシロキサン、デカ
メチルテトラシロキサンなどが挙げられる。
【0094】特に好ましい汎用化合物として、いわゆる
シリコーンオイルがあり、ジメチルシリコーンオイル
(市販品では、例えばシリコーンKF96(信越化学工
業(株)製)、メチルフェニルシリコーンオイル(市販
品では、例えばシリコーンKF50(信越化学工業
(株)製)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル
(市販品では、例えばシリコーンKF99(信越化学工
業(株)製)が挙げられる。
【0095】b.オルガノシラン 疎水化剤として用いることができるオルガノシラン化合
物としては、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシ
ルトリ−t−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリメ
トキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、
ジメトキシジエトキシシランなどのシラン化合物も挙げ
らることができる。
【0096】c.フッ素含有有機珪素化合物 フッ素含有有機基を置換基として有するシラン、シラノ
ール及びシロキサン化合物も疎水化剤として用いること
ができる。好ましいフッ素含有有機珪素化合物には、ポ
リフルオロアルキル基(3、3、3−トリフルオロプロ
ピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロブチル
基、トリフルオロエチル基、トリフルオロペンチル基、
3、3、4、4、5、5、6、6、6−ノナフルオロヘ
キシル基)、トリフルオロアシロキシ基(トリフルオロ
アセトキシ基、2、2、2−トリフルオロエトキシ
基)、トリフルオロアシル基(トリフルオロアセチル
基)、トリフルオロアルキルスルフォン基(トリフルオ
ロメタンスルフォン基、3、3、3−トリフルオロプロ
ピルスルフォン基)を有機置換基として有するシラン、
シラノール及びシロキサン化合物が挙げられる。
【0097】具体例としては、メチル−3、3、3−ト
リフルオロプロピルジクロロシラン、トリメチルシリル
トリフルオロメタンスルフォネート、トリフルオロアセ
トキシトリメチルシラン、3、3、4、4、5、5、
6、6、6−ノナフルオロヘキシルトリクロロシラン、
ジメトキシメチル−3、3、3−トリフルオロプロピル
シラン、3、3、3−トリフルオロプロピルシラン−ト
リメトキシシラン、3、3、4、4、5、5、6、6、
6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロシラン、3−
トリフルオロアセトキシトリメトキシシラン、1、3、
5−トリス(3、3、3−トリフルオロプロピル)−
1、3、5−トリメチルシクロトリシロキサン、1、
3、5、7−テトラキス(3、3、3−トリフルオロプ
ロピル)−1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラ
シロキサン、1、1、3、5、5−ペンタ(3、3、3
−トリフルオロプロピル)−1、3、5−トリメチルト
リシロキサン、1、1、3、5、7、7−ヘキサ(3、
3、3−トリフルオロプロピル)−1、3、5、7−テ
トラメチルテトラシロキサン、メチル−3、3、3−ト
リフルオロプロピルシランジオール、3、3、4、4、
5、5、6、6、6−ノナフルオロヘキシルシラントリ
オール、3、3、4、4、5、5、6、6、6−ノナフ
ルオロヘキシルメチルシランジオール、ペンタフルオロ
エトキシシラントリオール、トリフルオロメチルシラン
トリオール、3、3、3−トリフルオロプロピルオトキ
シシラントリオール。好ましい化合物は、メチル−3、
3、3−トリフルオロプロピルジクロロシラン、3、
3、4、4、5、5、6、6、6−ノナフルオロヘキシ
ルトリクロロシラン、3、3、3−トリフルオロプロピ
ルシラン−トリメトキシシラン、3、3、4、4、5、
5、6、6、6−ノナフルオロヘキシルメチルジクロロ
シラン、1、3、5−トリス(3、3、3−トリフルオ
ロプロピル)−1、3、5−トリメチルシクロトリシロ
キサン、メチル−3、3、3−トリフルオロプロピルシ
ランジオール、3、3、4、4、5、5、6、6、6−
ノナフルオロヘキシルシラントリオール、3、3、4、
4、5、5、6、6、6−ノナフルオロヘキシルメチル
シランジオール、ペンタフルオロエトキシシラントリオ
ール、トリフルオロメチルシラントリオール、3、3、
3−トリフルオロプロピルオトキシシラントリオール。
これらの有機珪素化合物は、市販されており、たとえば
信越化学工業(株)から入手できる。又は入手したクロ
ロシランを加水分解してシラノールとしたり、あるい
は、加水分解縮合によってポリオルガノシロキンを合成
できる。
【0098】3)有機高分子化合物 上記した溶解度又は吸水性の条件を満たす好ましい有機
高分子化合物は、共存する低分子有機化合物に溶解可能
又はそれ自体が熱可塑性の疎水性高分子化合物であり、
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリ
ビニルフェノール、ポリビニルハロゲン化フェノール、
ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビ
ニルブチラール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレ
ア、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フ
ェノール、ノボラック、又はレゾールフェノール類とア
ルデヒド又はケトンとの縮合樹脂、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、アクリル系共重合樹脂などが挙げら
れる。
【0099】好ましい化合物の一つは、必ずしも熱可塑
性ではないが、有機低分子化合物通うのフェノールノボ
ラック樹脂又はレゾール樹脂であり、フェノール、クレ
ゾール(m−クレゾール、p−クレゾール、m/p混合
クレゾール)、フェノール/クレゾール(m−クレゾー
ル、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、フェノ
ール変性キシレン、tert−ブチルフェノール、オク
チルフェノール、レゾルシノール、ピロガロール、カテ
コール、クロロフェノール(m−Cl、p−Cl)、ブ
ロモフェノール(m−Br、p−Br)、サリチル酸、
フロログルシノールなどのホルムアルデヒドとの縮合の
ノボラック樹脂及びレゾール樹脂、さらに上記フェノー
ル類化合物とアセトンとの縮合樹脂などが挙げられる。
【0100】その他の好適な高分子化合物として以下
(A)〜(L)に示すモノマーをその構成単位とする通
常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げることが
できる。 (A)芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタク
リルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エ
ステル類およびヒドロキシスチレン類、例えばN−(4
−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4
−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−
およびp−ヒドロキシスチレン、o−、m−およびp−
ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリレー
ト、(B)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類
およびメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキ
シエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、(C)アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アク
リル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレー
ト、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置
換)アクリル酸エステル、(D)メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メ
タクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒド
ロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリ
ル酸エステル、
【0101】(E)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N
−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエ
チルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N
−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルア
ミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルア
ミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよび
N−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアク
リルアミドもしくはメタクリルアミド、
【0102】(F)エチルビニルエーテル、2−クロロ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなど
のビニルエーテル類、(G)ビニルアセテート、ビニル
クロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル
などのビニルエステル類、(H)スチレン、メチルスチ
レン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、(I)
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビ
ニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン
類、(J)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタ
ジエン、イソプレンなどのオレフィン類、
【0103】(K)N−ビニルピロリドン、N−ビニル
カルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなど、(L)N−(o−アミノ
スルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミ
ノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−
(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、
N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドな
どのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニ
ルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスル
ホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−
アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−
(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなど
のメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフ
ェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルア
クリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレー
ト、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)ア
クリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和ス
ルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリ
レート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレー
ト、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1
−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリ
レートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スル
ホンアミド。
【0104】これらの有機高分子化合物は、重量平均子
量が500〜20000、数平均分子量が200〜60
000であることが好ましい。
【0105】疎水化剤は、有機低分子化合物のみ、有機
珪素化合物のみ、あるいは高分子有機化合物のみで構成
されていてもよいが、それらの二種あるいは三種類を含
んでいてもよく、さらに両者の親和性を高めるなどの目
的の第3成分を含んでいてもよい。
【0106】そのほか、疎水化剤の層を設ける際に、溶
液や分散液とするためにエチレングリコールモノエチル
エーテル、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ、セロソルブアセテート、1,4−ジオキ
サン、ジメチルホルムアミド、アクリロニトリルなどの
有機溶剤も使用することができる。
【0107】(疎水化の方法)疎水化剤の層を親水・親
油材料を含む層の上に設けるには、塗り付け処理、スプ
レー処理、気化・凝縮法、気体接触法、浸漬処理など公
知のいずれの方法、方式をも用いることができる。 a.塗り付け処理 塗り付け処理は、液体及び固体状の疎水化剤に適用でき
る疎水層の付与方法であり、疎水化剤が液体の場合は、
直接塗り付けてもよく、また固体の場合や、液体であっ
ても場合により、適当な溶剤に溶解あるいは分散したり
して液状として塗り付け処理を行う。塗り付け処理の方
法としては、グラビア塗布、リバース塗布、ホッパー塗
布、スリット塗布などの塗布現像方式など公知の方法が
適用できる。また、疎水化剤を担持した媒体を介して原
板上に塗り付け皮膜を形成させるシート処理が好ましい
方式の一つである。この方法には特登2655337号
に記載の方法を挙げることができる。疎水化剤を担持す
る媒体には、フェルト、織物、スリットや細孔を有する
金属などを用いることができる。この中でも特開平8−
290088号、同8−290087号、同9−138
493号公報に記載されているスポンジなどによる処理
液塗り付けの方法を好ましく適用できる。
【0108】塗り付け処理の好ましい塗り付け量は、疎
水化剤の濃度などによって異なるが、通常10〜100
ml/m2 、好ましくは15〜50ml/m2 である。
【0109】b.スプレー処理 スプレー処理すなわち噴霧処理は、塗り付け処理に記し
たと同様に液状或いは分散液状にした疎水化剤又は疎水
化剤溶液を原板表面に噴霧することによって疎水化を行
う方法である。また、噴霧液量を必要供給液量以上とし
て適用表面を流下する余分の疎水化剤あるいは疎水化剤
溶液を循環させて再利用してもよい。疎水化剤あるいは
疎水化剤溶液の噴霧方法、方式、ノズルの数や形状を問
わず、また単一の可動ノズルを移動させながら噴霧して
も、複数の固定ノズルを用いて噴霧してもよい。また、
印刷原板を固定してノズルを移動させながら噴霧して
も、ノズルを固定して印刷原板を移動させながら噴霧し
てもよい。このなかでも特開平8−123001号、同
9−160208号、同9−179272号公報に記載
されている疎水化剤あるいは疎水化剤溶液を噴射する複
数のノズル孔が一定の間隔で原板の搬送方向と交差する
方向に沿って直線状に並べられたノズルとこのノズルを
搬送経路上の原板に向かって変移させるアクチュエータ
ーとを有する疎水化剤塗り付け装置によって疎水化剤あ
るいは疎水化剤溶液を噴霧する方法がとくに好ましい。
【0110】c.気化・凝縮法 気体接触法は、昇華性の固体疎水化剤あるいは揮発性の
疎水化剤や蒸発しやすい疎水化剤溶液を加熱して気化
し、印刷原板表面に接触させて疎水化剤の皮膜を凝縮形
成させる方法である。この方法に好都合な効果をもつ好
ましい有機化合物は、温度400℃における蒸気圧が少
なくとも100Paで、かつ蒸気圧が100Paとなる
温度において安定な有機化合物である。つまり、この程
度の蒸気圧を有している有機化合物が加熱雰囲気中に存
在すると親水性と疎水性の識別性の向上が引き起こされ
る。より好ましくは、温度300℃における蒸気圧が少
なくとも100Paで、かつ蒸気圧が100Paとなる
温度において安定な有機化合物である。さらに好ましく
は、沸点が30〜400℃にあって、かつ30〜400
℃の温度範囲で安定な有機化合物であり、中でも好まし
い沸点範囲は50〜350°Cである。
【0111】疎水化剤の気化のための加熱を行うには、
原板表面に接するように設けられた加熱部の外套内に疎
水化剤充填容器を置いて、加熱時間中に疎水化剤の蒸気
を外套内に存在させるのがよい。また、有機化合物を含
浸させた紙、布、ゼオライト、珪草土などを外套内に挿
入して加熱するのもよい。
【0112】d.気体接触法 疎水化剤が気体の場合、とくに前記したフッ素含有有機
化合物の場合には、印刷原板をこの気体を含んだ雰囲気
のなかに置くことによって高度の疎水化を行うことがで
きる。
【0113】e.浸漬法 通常行われているように浸漬槽を設けて印刷原板を浸漬
する方法も用いることができる。
【0114】〔画像記録方法〕以上で疎水性発現温度へ
の加熱方法及び操作の説明を終わり、このようにして疎
水性化した表面への印刷用画像の記録について説明す
る。印刷用画像の記録の方法は、親水・親油材料の種類
によって異なる。すなわち、親水・親油材料が光触媒性
金属酸化物の場合には、活性光(光触媒作用を引き起こ
す波長の光)によって像様照射を行えばよく、親水・親
油材料が光熱変換性物質の場合には、光熱変換性の光
(熱エネルギーに変換されうる種として赤外線の光)に
よって像様照射を行えばよく、また親水・親油材料が高
温親水性発現物質の場合には、像様の加熱を行えばよ
い。したがって以下にそれぞれの場合についての画像記
録方法について述べる。
【0115】a.親水・親油材料が光触媒性金属酸化物
の場合の画像記録 原板表面に照射される活性光の光源は、光触媒能を有す
る物質の感光域の波長の光、すなわち光吸収域に相当す
る波長の光を発する光源である。例えば光触媒能を有す
る物質が酸化チタンの場合では、アナターゼ型が387
nm以下,ルチル型が413nm以下、酸化亜鉛は38
7nm以下に、その他の多くの金属酸化物の場合も25
0〜390nmの紫外部に感光域を有しており、また、
酸化亜鉛の場合は、固有吸収波長域(紫外線領域)のほ
かに、既知の方法で分光増感を行って適用できる活性光
の波長領域を拡げることもでき、したがって使用される
光源は、これらの波長領域の光を発する光源であり、主
として紫外線を発する光源といえる。活性光の照射を受
けた領域は、光触媒作用によって親水性となり、疎水化
剤の層が除去される。したがって親水性領域が像様に形
成される。活性光の光触媒作用によって親水性領域の像
様の分布を形成させる手段には、面露光方式、走査方式
のいずれでもよい。面露光方式の場合は、一様な光をマ
スク画像(例えば印刷原稿を現像したリスフィルム)を
通して原板上に照射して、照射領域の表面を親水性化す
る方式である。支持体が透明である場合は、支持体の裏
側から支持体とマスク画像を通して露光することもでき
る。面露光方式で活性光の照射を行うのに適した光源
は、水銀灯、タングステンハロゲンランプ、その他のメ
タルハライドランプ、キセノン放電灯などである。その
露光時間は、上記の露光強度が得られるように露光照度
を勘案して決定される。
【0116】好ましい照射光の強さは、光触媒型金属酸
化物の画像形成層の性質によって異なり、また活性光の
波長、分光分布及び光触媒能を有する熱応答型物質の光
吸収率によっても異なるが、通常はマスク画像(例えば
現像済みリスフィルム)で変調する前の面露光強度が
0.05〜100J/cm2 ,好ましくは0.05〜1
0J/cm2 ,より好ましくは0.05〜5J/cm2
である。また、光触媒反応には相反則が成立することが
多く、例えば10mW/cm2で100秒の露光を行っ
ても、1W/cm2 で1秒の露光を行っても、同じ効果
が得られる場合も多く、このような場合には、活性光を
発光する光源の選択の幅は広くなる。
【0117】後者、すなわち走査式露光の場合には、画
像マスクを使用する代わりにレーザービームを画像信号
で変調して原板上を走査する方式が行われる。レーザー
光源は、活性光のビームを発振する公知のレーザーを用
いることができる。例えば、レーザー光源として発振波
長を325nmに有するヘリウムカドミウムレーザー、
発振波長を351.1〜363.8nmに有する水冷ア
ルゴンレーザー、330〜440nmに有する硫化亜鉛
/カドミウムレーザーなどを用いることができる。さら
に、紫外線レーザー、近紫外線レーザー発振が確認され
ている発振波長を360〜440nmに有する窒化ガリ
ウム系のInGaN系量子井戸半導体レーザー、及び発
振波長を360〜430nmに有する導波路MgO−L
iNb0 3 反転ドメイン波長変換型のレーザーを使用す
ることもできる。レーザー出力が0.1〜300Wのレ
ーザーで照射をすることができる。また、パルスレーザ
ーを用いる場合には、ピーク出力が1000W、好まし
くは2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。支
持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通
して露光することもできる。
【0118】b.親水・親油材料が光熱変換性物質の場
合の画像記録 この場合は、ヒートモードの光照射によって、疎水剤を
含む原板表面を高温親水性発現温度で像様加熱され、疎
水化剤の層が熱により蒸発、分解、飛散などを引き起こ
して除去され、親水性の像様領域として印刷用画像が記
録される。親水性領域を印刷原板上に形成させる加熱手
段には、赤外線を放射する固体レーザー、又は赤外線域
や可視域の光を放射する半導体レーザー、赤外線灯、キ
セノン放電灯、大容量コンデンサーからの放電によって
フラッシュ光を発する光・熱変換描画機構などの光加熱
方式であるが、後述する像様加熱方式を用いることも可
能である。
【0119】光加熱方式の像様加熱は、面露光方式、走
査方式のいずれでもよい。前者の場合は、赤外線照射方
式や、キセノン放電灯の高照度の短時間光をマスク画像
を通して原板上に照射して光・熱変換によって熱を発生
させる方式である。赤外線灯などの面露光光源を使用す
る場合には、その照度によっても好ましい露光量は変化
するが、通常は、印刷用画像で変調する前の面露光強度
が0.1〜10J/cm2の範囲であることが好ましく、
0.3〜1J/cm2 の範囲であることがより好ましい。支
持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体とマ
スク画像を通して露光することもできる。その露光時間
は、0.01μsec〜10msec、好ましくは0.
1μsec〜1msecの照射で上記の露光強度が得ら
れるように露光照度を選択するのが好ましい。照射時間
が長い場合には、熱エネルギーの生成速度と生成した熱
エネルギーの拡散速度の競争関係から露光強度を増加さ
せる必要が生じる。
【0120】後者、すなわち走査方式の場合には、赤外
線レーザー光源を使用して、レーザービームを画像で変
調して原板上を走査する方式が行われる。レーザー光源
の例として、近赤外線、赤外線の成分の多い半導体レー
ザー、ガスレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、Y
AGレーザーを挙げることができる。レーザー出力が
0.1〜300Wのレーザーで照射をすることができ
る。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク出
力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを照
射するのが好ましい。支持体が透明である場合は、支持
体の裏側から支持体を通して露光することもできる。
【0121】c.親水・親油材料が高温親水性発現物質
の場合の画像記録 親水・親油材料が高温親水性発現物質の場合には、画像
状に原板表面を高温親水性発現温度以上に加熱すること
によって画像記録が行われる。加熱温度を高温親水性発
現温度の範囲に調節するには、加熱に用いる光の強度を
制御したり、あるいは熱記録用の加熱ヘッドへの供給電
力を制御するなどの方法が取られる。接触加熱方式で
は、公知の任意の接触型熱記録装置、例えば熱融解型及
び昇華型感熱色素転写法の熱記録ヘッドが用いられる。
それらは、単一の熱記録素子を二次元に駆動させる方
式、熱記録素子を線状に配列したアレイを直角方向に走
査して描画する方式あるいは二次元配列した記録素子を
用いる高速描画方式など公知の熱記録素子を用いること
ができる。
【0122】〔親水性領域の親水性強化と安定化〕 本発明者は、親水性化した像様領域は通常時間とともに
疎水性に変化してゆくことを発見しており、これが親水
性領域と疎水性領域の識別性を経時とともに弱めてお
り、印刷品質や耐刷性を低下させていることを見いだし
た。したがって、原板表面の疎水化された親水・親油材
料含有層に親水性像様領域が形成されると、短時間のう
ちに親水性強化剤を処理して親水性と疎水性の識別性を
高いレベルに保つ操作が施される。親水性強化剤は、親
水性の像様領域の親水性を強化するとともにそれを安定
に持続させる作用を有している。画像記録から親水性強
化処理までの経過時間は、短いほどよく、通常1時間以
内、好ましくは10分以内、より好ましくは2分以内で
あることがよい。
【0123】(親水性強化剤)親水性強化剤は、親水・
親油材料含有層の親水性領域の表面を覆う層を形成して
親水性を強化する物質であって、主として水からなる。
水には、濡れ性向上剤及び助剤、水溶性高分子化合物、
pH調整剤、湿潤剤、防腐剤、着色剤、消泡剤、等の種
々の添加剤を加えることができる。濡れ性向上剤として
は、エチレングリコール、ポリエチレングリコールアル
キルエーテル(アルキレン基の炭素数は2〜3)、ポリ
エチレングリコール、アルキルスルホン酸(アルキレン
基の炭素数は2〜3)、脂肪族アルコール(炭素数は1
〜3)、水、界面活性剤から選択される。また、平版印
刷用の親水性強化剤やその溶液をこの目的に用いること
ができる。
【0124】ポリエチレングリコールアルキルエーテル
は、下記一般式(I)で表される。 一般式(I) R1−(OC24n−OH 一般式(I)において、R1は炭素数1〜3のアルキル
基を表し、nは4〜9の整数を表す。一般式(I)で示
される化合物としては、下記のものが挙げられる。中で
も好ましい化合物は、(I−3)、(I−4)、(I−
5)、(I−9)及び(I−11)である。
【0125】
【化1】
【0126】アルキルスルホン酸およびその塩を用いる
こともできる。好ましいアルキルスルホン酸は、下記一
般式(II)で表される。 一般式(II) R2−SO3M 一般式(II)において、R2は炭素数4〜10のアルキ
ル基を表し、Mはカチオン基を表す。アルキル基は直鎖
であっても分岐していてもよい。また、好ましいカチオ
ン基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び第3族金
属であり、とくに好ましいのはアルカリ金属であり、そ
のなかでもカリウム及びナトリウムである。
【0127】一般式(II)で示される化合物としては、
下記のものを例示することができる。中でも好ましい化
合物は、(II−3)、(II−4)、(II−5)、(II−
9)、(II−10)及び(II−11)である。
【0128】
【化2】
【0129】本発明に用いられるポリエチレングリコー
ルは、下記一般式(III)に示される。 一般式(III ) H(OC24m−OH 一般式(III )において、mは約500の整数を表す。
上記のポリエチレングリコールは、数平均分子量(以
後、単に平均分子量という)が20000以下のポリエ
チレングリコールであるともいえる。
【0130】平均分子量20000以下のポリエチレン
グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子
量:200、300、400、600、1000、15
40、2000、4000)、好ましくはジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール(平均分子量:1000〜2000)などが挙げ
られる。平均分子量としては好ましくは100〜200
0である。また、市販のポリエチレングリコール類とし
て、プルロニックL−31(旭電化(株)製商品名、ポ
リオキシプロピレン分子量950)、プルロニックPE
3100(DuPont社製商品名、ポリオキシプロピ
レン分子量850)、及び竹本油脂(株)製のポリオキ
シプロピレン分子量750、ポリオキシエチレン10質
量%付加物のポリマーなどを使用することができる。
【0131】濡れ性向上剤の助剤として界面活性剤を添
加することができる。例えば、アニオン型界面活性剤と
しては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシア
ルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジア
ルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ア
ルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシ
ポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキ
シエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メ
チル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アル
キルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油ス
ルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸
アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エ
ステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ
ーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸
エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部
分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の
部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮
合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスル
ホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキル
ナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0132】非イオン型界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリス
チリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸
部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペ
ンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレン
グリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エ
ステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、
ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチ
レン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,
N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂
肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが
挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界
面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー類等が
好ましく用いられる。更に、シリコン誘導体又はフッ素
誘導体等の界面活性剤も挙げられる。これらの界面活性
剤の含有量は発泡の点を考慮すると、1.0質量%以
下、好ましくは0.001〜0.5質量%が適当であ
る。また、2種以上併用することもできる。
【0133】水溶性高分子化合物としては、例えばアラ
ビアガム、澱粉誘導体(例えは、デキストリン、酵素分
解デキストリン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキス
トリン、カルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテ
ニルコハク化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例
えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチル
セルロース、メチルセルロース)等の天然物及びその変
性体、ポリエチレングリコール及びその共重合体、ポリ
ビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアクリ
ル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マ
レイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合
体、ポリスチレンスルホン酸及びその共重合体の合成物
が挙げられる。水溶性高分子の含有量は、親水性強化剤
やその溶液に対して0.0001〜0.1質量%が適し
ており、より好ましくは、0.0005〜0.05質量
%てある。
【0134】pH調整剤としては、水溶性の有機酸及び
/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合
物は親水性強化剤やその溶液のpH調整あるいはpH緩
衝、平版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に
効果がある。好ましい有機酸としては、例えばクエン
酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、
グルコン酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、
レプリン酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン
酸、フィチン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機
酸としては例えば蟻酸、リン酸、硝酸、硫酸、ポリリン
酸が挙げられる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸の
アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニ
ウム塩、有機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機
酸、無機酸及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、
あるいは2種以上の混合物として使用してもよい。これ
らpH調整剤の本発明の親水性強化剤やその溶液への添
加量は0.001〜0.3質量%の範囲が好ましく、親
水性強化剤やその溶液のpH値が3〜7の範囲の酸性領
域で用いることが好ましいが、アルカリ金属水酸化物、
リン酸、アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸
塩などを含有したpH7〜11のアルカリ性領域で用い
ることもできる。
【0135】湿潤剤の具体例としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチエングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキ
シレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグ
リセリン、トリメチロールプロパン等が好適に用いられ
る。これらの湿潤剤は単独でもよいが、2種以上併用し
てもよい。一般に上記湿潤剤は0.01〜3質量%の範
囲で使用できる。
【0136】防腐剤としては、フェノール又はその誘導
体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナ
トリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベン
ズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジンの誘導
体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン又はグ
アニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾールの誘導
体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニト
ロアルコール系のブロモニトロプロパノール、1,1−
ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、3−ブロモ−
3−ニトロペンタン、2,4−ジオール等が挙げられ
る。好ましい添加量は細菌、カビ、酵母等に対して、安
定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種
類によっても異なるが、親水性強化剤やその溶液に対
し、0.001〜1.0質量%の範囲が好ましく、また
種々のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種
以上の防腐剤を併用することが好ましい。
【0137】着色剤としては、食品用色素等が好ましく
使用できる。例えば、黄色色素としてはCI No.1
9140、15985、赤色色素としてはCI No.
16185、45430、16255、45380、4
5100、紫色色素としてはCI No.42640、
青色色素としてはCI No.42090、7301
5、緑色色素としてはCI No.42095、等が挙
げられる。防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾー
ル、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、
ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。本
発明に使用できる消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ま
しく。その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用
することができる。本発明の親水性強化剤やその溶液
は、通常商業ベースとするときは濃縮化し商品化するの
が一般的である。濃縮液を使用するときは、水道水、井
戸水等で30〜500倍に希釈して用いる方が経済的で
好ましい。
【0138】疎水化剤で処理され、画像記録された印刷
原板の親水・親油材料含有層に親水性強化剤を含む塗布
液の適用方法は、親水性強化剤が液体の場合は直接塗布
してもよく、また好ましくは親水性強化剤を水やメタノ
ールのような親水性の溶媒に溶解して溶液として塗布を
行うのがよい。塗布の方法としては公知の任意の方法を
用いることができるが、疎水化剤の適用方法として前記
した塗り付け塗布、噴霧塗布及び浸漬塗布も好ましい方
法である。その場合の塗布液中の親水性強化剤の含有量
は、均一溶液となる限り制約はないが、1質量%以上、
好ましくは10ル、より好ましくは20質量%以上であ
って親水性強化剤のみで構成されていてもよい。また、
親水性強化剤のみを単独で使用してもよく、二種以上を
併用してもよい。
【0139】〔印刷及び印刷原板の再生〕親水・疎水材
料含有層を有する印刷原板を全面疎水化し、親水性の像
様領域を形成させたのち、その領域の親水性強化処理を
施すことによって現像処理することなく作成した印刷版
は、そのまま平版印刷工程に送ることができる。従って
通常の公知の平版印刷法に比較して簡易性を中心に多く
の利点を有する。すなわち上記したようにアルカリ現像
液による化学処理が不要であり、それに伴うワイピン
グ、ブラッシングの操作も不要であり、さらに現像廃液
の排出による環境負荷も伴わない。また、製版工程も上
記したように簡易である。
【0140】印刷版の像様親水性領域は、十分に親水性
化しているが、所望により、水洗水、界面活性剤等を含
有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感
脂化液で後処理してもよい。本発明の画像記録材料を印
刷用版材として使用する場合の後処理としては、これら
の処理を種々組み合わせて用いることができる。その方
法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿
にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバ
ット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コータ
ーによる塗布などが適用される。また、塗布した後でス
キージー、あるいは、スキージーローラーで、その塗布
量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。整
面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質
量)が適当である。この様な処理によって得られた平版
印刷版は、オフセット印刷機等にかけられ、あるいは印
刷機上で製版され、多数枚の印刷に用いられる。
【0141】次に印刷を終えた印刷版の再生工程につい
て記す。印刷終了後の印刷版は疎水性の石油系溶剤を用
いて付着しているインキを洗い落とす。溶剤としては市
販の印刷用インキ溶解液として芳香族炭化水素、例えば
ケロシン、アイソパ−などがあり、そのほかベンゾー
ル、トルオール、キシロール、アセトン、メチルエチル
ケトン及びそれらの混合溶剤を用いてもよい。画像物質
が溶解しない場合には、布などを用いて軽く拭き取る。
また、トルエン/ダイクリーンの1/1混合溶媒を用い
るとよいこともある。また、さらに希酸で版面を処理す
ることも好ましい。希酸の濃度は、通常0.001〜
0.1mol/L、好ましくは0.005〜0.05m
ol/Lであり、酸としては硫酸、硝酸、塩酸、次亜塩
素酸などが用いられる。酸の溶液には、0.001〜
0.01mol/Lの過酸化水素をさらに添加すること
もある。この処理によって有機溶剤では除去しきれない
汚れや履歴が除かれる。
【0142】インキを洗浄除去した印刷版は、印刷原板
として前記した製版工程に再使用することができる。そ
の場合、印刷版のインキが除去されていれば再使用して
よいが、原板全体を加熱して印刷版作成過程の履歴を除
去することにより、再生された印刷原板に形成される画
像への悪影響を防止するする操作を行うことが望まし
く、この操作を初期化と呼んでいる。加熱の方法として
は、送風加熱、赤外線照射加熱、電磁波(マイクロ波)
加熱、電熱加熱などの方法を選択できる。印刷原板を印
刷機の版胴に装着して機上製版する本発明の態様におい
ては、版胴に埋め込みヒーターを設けた電熱加熱方式が
原板を装着したまま、反復再使用を繰り返すことが可能
であって、とくに好ましい初期化手段である。親水・親
油材料が光熱変換性物質である場合には、加熱は、ヒー
トモードの光加熱でもよく、光触媒性化合物の場合に
は、活性光の一様照射でもよい。この履歴除去操作は、
印刷インキを洗浄除去してから次の製版作業において活
性光の像様照射を行うまでの間の任意の時期に行っても
よいが、その原板を次の製版工程に再使用する際に行う
のが原板の保管中の履歴の影響を排除できる点で好まし
い。
【0143】本発明に係わる印刷原板の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく反面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0144】IV. 印刷装置 本発明における印刷原板の構成材料及び製版操作につい
て説明したので、次にこの原板を装着して印刷を行う方
法及び装置を図によって説明する。親水・親油材料含有
層を表面にもつ印刷用原板は、版胴に装着されたままで
製版される態様、版胴に装着されたままで製版され、さ
らに使用済みの印刷版が洗浄されて印刷原板として再使
用される態様、また製版されたのちに版胴に装着される
態様のいずれであってもよい。以下図1以降の説明で
は、本発明の簡易性の典型例である印刷原板が版胴に装
着されたまま製版され、印刷され、印刷後使用済みの版
が印刷原板として反復再使用される例について説明す
る。
【0145】図1は、本発明の上記の典型的実施形態に
よる平版印刷装置の構成を示す図である。図1に示す平
版印刷装置は、親水・親油材料として光触媒性の酸化チ
タンを含有する層を表面に有する原板を装着した版胴1
(装着した原板は版胴と接しているので図示してない)
と、版胴1上の原板に対して疎水化剤を適用して原板表
面を全面疎水性化する全面疎水化処理部2aと、全面疎
水化された版胴1上の原板に対して活性光の像様照射を
行って親水性・疎水性の像様分布を形成する活性光照射
部5と、像様に親水化された照射領域に親水性強化剤を
処理する親水性強化処理部3aと、疎水化剤を担持する
非照射領域と親水性が強化された照射領域を有する版胴
1上の原板にインキおよび湿し水を供給するインキ・湿
し水供給部3bと、印刷終了後に版胴1上の原板に残存
するインキを除去するインキ洗浄部4と、インキを除去
した原板上の残存画像などの履歴を除去する初期化部2
bと、版胴1上の刷版に保持されたインキを用紙に転写
するための中間体としてのブランケット6と、ブランケ
ット6とともに給送された用紙を保持する圧胴7とを備
え、これらの部材が本体8内に収容されてなるものであ
る。なお、本体8には、後述するように印刷原稿を焼き
付けて現像済みのリスフィルム9を供給するためのフィ
ルム供給部10が設けられている。
【0146】全面疎水化処理部2aは、温度調節装置付
きの電熱加熱器が装備されており、疎水化剤が揮発し、
気化した疎水化剤が版胴上の原板表面に凝縮する温度範
囲内に保たれる。この加熱手段は、電熱加熱方式が適し
ているが、電熱同様の均一な面加熱方式でかつ温度調節
も容易な赤外線灯による熱線加熱を採用することもで
き、またその他の前記した加熱方式も採用することがで
きる。
【0147】初期化部2bは、本態様では温度調節装置
付きの電熱加熱器が装備されており、印刷原板表面を親
水・親油材料の疎水性発現温度すなわち履歴消去温度に
一様加熱する。この加熱手段は、電熱加熱方式が適して
いるが、電熱同様の均一な面加熱方式でかつ温度調節も
容易な赤外線灯による熱線加熱を採用することもでき、
またその他の前記した加熱方式も採用することができ
る。また、初期化部2bの別の態様では、原板表面の履
歴除去は親水・親油材料が光触媒性金属化合物の場合は
活性光の照射によっても可能であり、電熱加熱装置のか
わりに一様の活性光照射装置を装備しあってもよく、ま
た活性光照射部5が初期化部2bを兼ねている態様であ
ってもよい。当然ながら、活性光照射部5が初期化部2
bとして履歴除去を行う場合には、画像情報が担持され
ていない一様の活性光の照射が行われる。初期化部2b
のさらに別の態様では、親水・親油材料が光熱変換物質
の場合は原板表面の履歴除去は光熱変換性のヒートモー
ド光の照射によっても可能であり、電熱加熱装置のかわ
りに一様の光熱変換性の光照射装置を装備してもよい。
【0148】図2は、全面疎水化処理部2aの態様の一
つで、低分子有機化合物を加熱して気化させ、その蒸気
を印刷用原板表面に接触させて疎水性の皮膜を形成する
気化・凝縮法による全面疎水化処理部である。
【0149】図2において、有機低分子化合物蒸気供給
手段29では、空気取り入れ口24より空気が取り入れ
られて、内径約30mmの分液ろ斗タイプの硝子管を横
向きに配置した蒸発室26にコック25を経て導かれ
る。蒸発室には有機低分子化合物27(斜線で示す)が
容積率が例えば50%になるように満たされていて、有
機低分子化合物27の内部及び表面を空気が通過する間
に必要量の有機低分子化合物の蒸発気体を取り込んでか
ら、版胴1上の原板上の印刷用原板表面に導かれ、この
空気・蒸発気体の混合雰囲気中で描画が行われる構造と
なっている。
【0150】全面疎水化処理部2aの外套の内部の加熱
領域は、電熱ヒーター31により、蒸発室26は電熱ヒ
ーター30によりそれぞれ加熱され、その加熱温度は加
熱領域及び蒸発室26にそれぞれ配した温度センサー3
2、33と温度制御部34によって所定温度に制御され
る。また、有機化合物27の蒸気の取り込み量は、温度
制御部34において印刷用原板の加熱温度を所定の疎水
性発現温度に設定したときに、その疎水性が強化される
に足りる量であり、その量になるように蒸発室26の温
度が設定される。蒸発室の温度は、例えば、揮発し易い
低沸点の有機低分子化合物(例えば、メチルエチルケト
ンやメチルセロソルブ)の場合は、蒸発室の下部に有機
低分子化合物27を満たすだけで加熱する必要はない
が、それでは不十分の沸点のやや高い化合物(例えば、
ヘキシレングリコールやイソオクタン)の場合には、空
隙率の大きい硅草土、シリカ粒子、沸石粒子などを有機
低分子化合物27とともに蒸発室内に入れて取り入れた
空気と有機化合物との接触度を高める措置が取られる。
また、有機低分子化合物27がナフタレンのような固形
物の場合は、蒸発室26に適当な空隙率で充填される
か、又は温度制御部34、電熱ヒーター30及び温度セ
ンサー33によって蒸発室26内部の温度を蒸発に適し
た温度に調節できる機構となっている。例えば、シリコ
ーンオイルを使用する場合には、シリコーンオイルを含
浸させた珪草土が容積率が50%となるように硝子管の
下半分に空気と接するように置かれ、空気の温度は取り
入れ口24では室温で、この管を通過中に例えば190
℃に上昇するように電熱ヒーター30によって加熱され
る。パラフィンワックスを疎水化剤として用いる場合も
蒸発室の温度を溶融温度以上に設定して液体とする。な
お、図には示してないが、当然のことながら蒸気を含ん
だ空気は、屋外排気される。また、必要があれば、排気
の前に空気浄化も行われる。
【0151】全面疎水化処理部2aにおいて表面の疎水
化が行われた原板には、活性光照射部5で活性光の像様
照射が行われる。図1に戻って、本形態では活性光照射
部5に光源として水銀灯を用いているが、キセノン放電
灯、高照度ハロゲン・タングステンランプなどの紫外線
成分を含む他の光源であってもよい。版胴の回転方向に
対して直角方向に配したスリットによって、版胴の回転
に伴って版胴表面に設けた画像マスクすなわちリスフィ
ルム9を通してスリット光による全面走査露光が施され
る。スリットの幅は必ずしも狭い必要はなく、活性光照
射部5を通過中に原板表面に像様の親水性・疎水性分布
が形成されるように照度とスリット幅及び版胴の回転速
度が決められる。スリットの代わりに版胴の幅に合わせ
た照射幅をもついわゆるがんどう型のランプハウスを用
いてもよい。
【0152】活性光照射部5の別の態様としては、図1
に示したフィルム供給部10から供給される現像済みリ
スフィルム9を画像マスクとして用いる代わりに、画像
情報を担持したレーザー光を活性光として照射する方式
も用いられる。図3は、その例で画像情報を担持したレ
ーザー光による描画の例の構成例である。活性光照射部
17(図1では、5)は、レーザー光を出射して版胴1
上の原板に照射するレーザー光源18と、編集・レイア
ウトワーックステーション20において印刷すべき画像
から信号化されて記録部に入力される画像信号Sに基づ
いて、レーザー光源18を駆動してレーザー光を変調さ
せて版胴1上の原板の表面に描画を行うためのレーザー
光源駆動部19とからなる。光源18は出射されるレー
ザー光を版胴1上の原板の回転軸方向に版胴1上の原板
に対して相対的に移動して版胴1上の原板上を走査する
よう構成されており、版胴1上の原板が回転することに
より、版胴1上の原板の表面が変調されたレーザー光に
より露光され、版胴1上の原板におけるレーザー光が照
射されなかった部分が疎水性のままで、レーザー光が照
射された部分が親水性となって疎水化剤が除去されて像
様親水性領域となるように描画がなされるものである。
【0153】レーザー光は、原板上の親水・親油材料の
タイプに応じて、紫外域、可視域又は近赤外域の適切な
領域に発振波長をもつものが選択されて、画像信号によ
って変調されている。図2の本実施形態では、ヘリウム
カドミウムレーザーを搭載して、そのビーム光が直接版
胴の表面に照射される。この活性光の照射による光反応
によって表面が親水性化する。レーザービーム幅は、概
略30μm、エネルギー強度は10mW〜10Wが望ま
しい。一般に強度が強いとそれだけ短時間に照射が終わ
るので実用的には望ましい。なお、レーザーは、活性光
を発振するものであれば、半導体レーザー、固体レーザ
ーそのほか任意のレーザーを用いることが出来る。
【0154】なお、ここではレーザーを直接変調する方
式を示したが、レーザーと音響光学素子のような外部変
調素子との組み合わせによっても同様に描画できること
はもちろんである。また、像様の親水性領域の付与に関
しては、本実施形態の活性光による描画に代えて感熱転
写記録用の熱ヘッドや赤外線によるヒートモードの像様
照射など熱による像様の描画を行うこともできる。
【0155】画像露光が行われた印刷原板には、親水性
強化処理部3aで親水性強化剤が塗布されて光照射によ
って親水化した領域の親水性が強化される。親水性強化
処理部3aは、親水性強化剤の貯留槽とその液面に下半
分を浸漬した状態で配された中間ローラーと中間ローラ
ーと印刷原板表面にそれぞれ面接触を保つように配され
た塗り付けローラーからなっており、各ローラーの表面
には吸液性のフェルトが巻かれて、貯留槽の親水性強化
剤が中間ローラーに吸蔵され、塗り付けローラーに転写
され、原板に塗布される構造となっている。
【0156】次いで、第1の実施形態の動作について説
明する。まず、気化温度に加熱された蒸発室をもつ有機
化合物供給手段29を装備した全面疎水化処理部2aを
回転しながら通過する版胴1上の原板の表面部分は、気
化した疎水化剤の層が形成されて親水性から親油性に変
化する。全面疎水化処理部の温度は、温度制御部34に
よって疎水化剤の気化と原板面への凝縮が行われるよう
に制御されている。全面が疎水性化した版胴は、活性光
照射部5で、画像マスクを経ることにより、又は画像情
報で変調させることにより、像様分布が付与された活性
光の照射を受けて、照射を受けた領域が親水性で、照射
を受けなかった領域は親油性を有する親水性・親油性の
画像状分布が得られる。活性光の照射が終了すると、次
いで、親水性強化処理部3aにおいて親水性強化剤が塗
布されて照射を受けた領域の親水性が強化され、親水性
が経時的に低下することが防止される。このようにして
版胴1上の印刷版表面の親水・親油材料含有層は疎水化
剤と親水性強化剤によってインキ受容性とインキ反発性
のいずれもが強化されて識別性、したがって印刷品質と
耐刷性が高められており、この版面にインキ・湿し水供
給部3bよりインキおよび湿し水が供給される。これに
より、版胴1上の印刷版の親油性の画像領域にはインキ
が保持され、親水性の非画像領域にはインキで汚染され
ることなく湿し水が保持される。
【0157】その後、ブランケット6と圧胴7との間に
矢印Aに示すように用紙を供給し、版胴1上の原板に保
持されたインキをブランケット5を介して用紙に転写す
ることにより平版印刷が行われる。
【0158】印刷終了後、インキ洗浄部4により版胴1
上の版面に残存するインキを除去する。その後、版胴1
上の原板を親水・親油材料(本態様では酸化チタン)の
疎水性発現温度すなわち履歴消去温度に設定された初期
化部2bを通して原板の全面が初期状態の親水・親油性
となることにより、版胴1上の原板の像様の親水性領域
は消去されて、製版操作を行う前の状態に戻る。初期化
部2bにおいては、原板上の親水・親油材料のタイプに
応じて紫外線を主とする活性光の全面照射により(本実
施形態の酸化チタンのように光触媒性化合物の場合)、
赤外線などのヒートモード光の全面照射により(光熱変
換物質の場合)、あるいは光以外の熱エネルギー例えば
電熱ヒーターによる加熱により(高温親水性発現物質の
場合)初期化が行われる。
【0159】このように、本発明による平版印刷装置に
よれば、疎水化剤による疎水性の均一表面の形成と活性
光による像様照射と照射領域の親水性強化剤付与のみで
版胴1上の原板に識別性の高い印刷版面を形成すること
ができ、これにより現像が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が
保たれた平版印刷を行うことができる。また、版胴1上
の版面を洗浄して再度全面加熱する(又は活性光又はヒ
ートモード光を一様照射する)ことにより元の状態に戻
すことができるため、版胴1上の原板を反復使用するこ
とができ、これにより印刷物を低コストで提供すること
ができることとなる。さらに、印刷装置から版胴1上の
原板を取り外す必要がないため、従来のPS版のように
印刷装置に組み込む際にゴミなどが付着することもなく
なり、これにより、印刷品質を向上させることができ
る。
【0160】また、印刷用原板として版胴1上の原板を
使用し、版胴1上の原板の周囲に疎水性温度での全面疎
水化処理部2a、親水性強化部3a、インキ・湿し水供
給部3b、インキ洗浄部4,初期化部2bおよび活性光
照射部5を配設することにより、単に版胴1上の原板を
回転させるのみで、原板の全面疎水性化、活性光による
像様照射、照射部の親水性強化およびインキと湿し水の
供給、さらには印刷終了後のインキ洗浄及び履歴除去の
ための初期化を行うことができるため、装置をコンパク
トに構成することができ、これにより省スペース化を図
ることができる。
【0161】さらに、従来提案された簡易な製版方式の
中でも、疎水化剤皮膜を設けて全面疎水性化してから活
性光の像様照射(又は像様加熱)を行う本発明が、疎水
化剤を用いないで直接活性光の像様照射を行う方式に比
較して、均一性の高い疎水性表面が得られること、
像様照射領域の親水性が強化され、安定化できること、
履歴に影響されず、再現性がよいことなどの利点を有
している。その結果、画像領域と非画像領域の識別性の
高い印刷版を再現性よく製作することができるという利
点がある。したがって印刷版の品質と耐刷性を高めるこ
とができる。
【0162】
【実施例】以下に本発明の具体的態様を実施例によって
示すが、本発明はこれらに限定されない。 〔実施例1〕本実施例1では、上記実施形態1による具
体例を示す。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.
01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量
%、ケイ素を0.1重量%含有するJISA1050ア
ルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシ
ュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液
と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用
いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。こ
れを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム
4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が
5g/m2になるようにエッチングした後、流水で水洗し
た。更に、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝
酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極
時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形
波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5
796号公報実施例に記載されている電流波形)を用い
て160クローン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処
理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2
になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50
℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットし
た後、水洗した。
【0163】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られた
アルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計
で測定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは
0.58μmであった。
【0164】次いでこのアルミニウム支持体を真空蒸着
装置内に入れて、全圧2.0x10 -2Paになるように
分圧70%の酸素ガスの条件下でチタン金属片を電熱加
熱して、アルミニウム支持体上に蒸着して酸化チタン薄
膜を形成した。この薄膜の結晶成分はX線解析法によっ
て無定型/アナターゼ/ルチル結晶構造の比が1.5/
6.5/2であり、TiO2薄膜の厚さは90nmであっ
た。これを版胴1上の原板の基体に巻き付けて機上印刷
用の原板とした。
【0165】図2に示した態様の全面疎水化処理部を使
用し、蒸発室にはナフタレンとトルエンを質量比1:1
で充填し、加熱温度を100℃に制御した電熱加熱を行
い、蒸気を原板表面に当てるようにして疎水化剤の層を
原板表面全面に設けた。全面疎水化処理部は通過時間が
1分となる回転速度で版胴を回転させた。疎水化処理後
の原板表面の水に対する接触角をContact Angle Meter
CA-D(協和界面科学(株)製)を用いて空中水滴法で表
面の水に対する接触角を測定したところ、いずれの部分
も78〜83度の間にあった。
【0166】次いで、図2の活性光照射部5に、US1
0焼き付け用光源装置ユニレックURM600形式GH
60201X(ウシオ電気工業(株)製)を用いて光強
度100mW/cm2 のもとで通過時間が15秒となる
回転速度で版胴を回転させた。フィルム供給装置10か
ら供給された現像済みフィルムを通して原板表面に像様
の活性光露光が行われた。照射に続いて版胴の同じ回転
周期内に親水性強化部3aにおいて親水性強化剤を原板
表面に塗り付け処理した。親水性強化剤として下記の組
成の水溶液を使用した。 組 成 量(g) エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル 300 プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 250 ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体 (プルロニックL−31、旭電化(株)) 5 ヒドロキシプロピルセルロース 3 リン酸第一アンモン 15 クエン酸第二アンモン 5 N,N−ビスカルボキシメチル−β−アラニンの3ナトリウム塩 3 プロノポール 3 4−イソチアゾリン−3−オン誘導体 3 純水 全量を1000mlとした 照射後の原板表面の照射領域の水に対する接触角をCont
act Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)を用い
て空中水滴法で表面の水に対する接触角を測定したとこ
ろ、いずれの照射領域も7〜9度の間にあった。
【0167】この版胴1上の原板をサクライ社製オリバ
ー52片面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3
において湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業
社製Newchampion Fグロス85墨を用いて1000枚平
版印刷を行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が
得られ、版胴1上の原板の損傷も認められなかった。
【0168】次いで洗浄部4において、版胴1上の原板
の表面を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;
大日本インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液を
ウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去し
た。次いで初期化部2bにおいて170℃で加熱を行っ
た。前と同じ方法で接触角を測定した。版表面のどの部
分も48〜55度の間にあった。
【0169】このようにして、版胴上で1サイクルの製
版・印刷、原板再生工程を終えた原板を版胴に装着した
まま再び上記の製版過程を行って印刷版を製作した。こ
の版胴1上の刷版をサクライ社製オリバー52片面印刷
機に使用して、インキ・湿し水供給部3において湿し水
を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Newchampio
n Fグロス85墨を用いて1000枚平版印刷を行っ
た。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、版胴
1上の原板の損傷も認められなかった。
【0170】以上の繰り返しを5回実施したところ、活
性光照射後の接触角の値、加熱による接触角の回復スピ
ード及び印刷面の画像の鮮明さの変化は認められなかっ
た。この結果から、酸化チタン層をアルミニウム支持体
上に設けた印刷原板を使用し、実施形態1の印刷装置を
用いて全面疎水化、活性光の像様照射、親水性強化剤の
適用による製版・印刷が可能であり、しかもインキの洗
浄除去と履歴除去用加熱のみで印刷原板を反復再生使用
できることが示された。
【0171】〔実施例2〕真空蒸着装置中に100ミク
ロン厚みのSUS板をセットして全圧0.65Paの真
空下でセレン化亜鉛を100nmの厚みに蒸着した。こ
れを空気中600°Cで2時間酸化処理してSUS板の
片面に酸化亜鉛の薄膜を形成させた。
【0172】この酸化亜鉛皮膜付き100ミクロンSU
S板を実施例1と同じく、実施形態1の印刷装置の版胴
1上の原板の基体に巻き付けて機上製版型の原板とし
た。
【0173】この原板表面に、疎水化剤としてカルナウ
バワックス、ヘキシレングリコール及びキシレンの1:
1:2混合液体をローラーコーターによって100ミリ
リットル/m2 の塗布量で塗り付け塗布して全面疎水化
処理を行った。疎水化剤適用後の原板表面の水に対する
接触角をContact Angle Meter CA-D(協和界面科学
(株)製)を用いて空中水滴法で表面の水に対する接触
角を測定したところ、いずれの部分も76〜80度の間
にあった。
【0174】次いで、実施例1と同じユニレックURM
600形式GH60201Xを用いて同じ条件で、現像
済みフィルムを通して原板表面に活性光の像様照射を行
い、つづいてカルボキシメチルセルロース2質量%、イ
ソプロピルアルコール2質量%及びジエチレングリコー
ル5質量%の水溶液を含浸したフェルトによって像様照
射領域当たり500ミリリットル/m2 の塗布量で塗り
付けた。親水性強化処理後の原板表面の光照射領域の水
に対する接触角をContact Angle Meter CA-Dを用いて空
中水滴法で表面の水に対する接触角を測定したところ、
いずれの照射領域も10〜13度の間にあった。
【0175】この版胴1上の原板をサクライ社製オリバ
ー52片面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3
において湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業
社製Newchampion Fグロス85墨を用いて1000枚平
版印刷を行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が
得られ、版胴1上の原板の損傷も認められなかった。
【0176】次いで洗浄部4において、版胴1上の原板
の表面を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;
大日本インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液を
ウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去し
た。ついで初期化は光照射部(図1の5)を利用して、
活性光の全面照射(現像済みリスフィルムを通さない
で)を行って履歴除去を行った。前と同様の方法で接触
角を測定したところ、版表面のどの部分も50〜57度
の間にあった。
【0177】このようにして、版胴上で1サイクルの製
版・印刷、原板再生工程を終えた原板を版胴に装着した
まま再び上記の製版過程を行って印刷版を製作した。こ
の版胴1上の刷版をサクライ社製オリバー52片面印刷
機に使用して、インキ・湿し水供給部3において湿し水
を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Newchampio
n Fグロス85墨を用いて1000枚平版印刷を行っ
た。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、版胴
1上の原板の損傷も認められなかった。
【0178】この結果から、酸化亜鉛層をSUS支持体
上に設けた印刷原板を使用し、態様1の印刷装置を用い
て疎水化剤による全面疎水化、活性光にとる全面照射と
親水性強化によって識別性の高い印刷が可能であり、し
かもインキの洗浄除去と活性光の一様照射による初期化
のみで印刷原板を反復再生使用できることが示された。
【0179】〔実施例3〕実施例1と同様にして陽極酸
化処理したアルミニウム支持体をCsLa2 NbTi2
10の化学量論比に相当するセシウムエトキシド、チタ
ンブトキシド、ランタンイソブトキシド、ニオブエトキ
シドを含む20%のエタノール溶液に浸漬して表面を加
水分解したのち280°Cに加熱してアルミニウム支持
体表面にCsLa2 NbTi2 10の厚み100nmの
薄膜を形成させた。
【0180】この複合金属酸化物薄膜付きアルミニウム
支持体を版胴の基体に巻き付けて原板としたことと、初
期化は図1の初期化部2bの代わりに版胴内部に設けた
埋め込みヒーターによる加熱(原板表面で150°C)
によって行った以外は、実施例1と同じ製版、印刷及び
インキ洗浄除去、再印刷を行った。全面疎水化後の疎水
性領域の水に対する接触角は、1回目及び2回目とも7
6〜79度であり、また、活性光の照射領域の親水性強
化剤処理後の接触角は、10〜14度であった。印刷面
の品質も1回目及び2回目とも地汚れはなく、画像領域
と非画像領域の識別性も十分であった。
【0181】〔実施例4〕厚み100ミクロンのポリイ
ミド(無水ピロメリット酸・m−フェニレンジアミン共
重合物)フィルム(商品名;カプトン、東レ・デュポン
社製)を支持体として使用し、その上に光熱変換性のコ
ロイド銀微粒子分散物の薄層をロッドコーターによって
塗布して印刷原板を作製した。
【0182】コロイド銀微粒子分散物はつぎのようにし
て調製した。すなわち、クエン酸ナトリウム水溶液(3
2質量%)560mlを約1℃に冷却し、撹拌しなが
ら、硫酸第一鉄水溶液(30質量%)100m1を添加
した。均一に混合した後、激しく撹拌しながら、硝酸銀
水溶液(10質量%)100mlを30秒以内に添加終
了するように添加した。約10分後に撹拌を停止した。
出来上がったコロイド銀微粒子分散物中の不要な塩類を
除去するために、限外濾過装置で蒸留水を加えながら限
外濾過を施した。限外過装置は米国 Amicon 社製のCH
2PRS型を用い、フィルターはSIY30(カットオ
フ分子量30,000)を用いた。水洗は、電導度が約
50μS/cmになるまで行った。水洗後、Ag濃度が
6質量%になるように調整した。コロイド銀微粒子の平
均粒子サイズは8nmであった。疎水化処理した表面の
水に対する接触角は実施例1と実質的に同じであり、ま
た赤外線レーザー光照射領域の親水性強化処理後の水に
対する接触角は、1回目及び2回目とも12〜14度で
あった。印刷面の品質も1回目及び2回目とも地汚れは
なく、画像領域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0183】〔実施例5〕実施例3の光熱変換性コロイ
ド銀微粒子層の代わりにSnとSnSを共蒸着させた厚
さ70nmの金属/金属化合物薄膜層を支持体上に塗設
した原板を用いた以外は、実施例3と同じ試験を行っ
た。薄膜層の支持体上への蒸着は、ポリイミド支持体を
蒸着装置内にセットし、全圧2.0×10-2Paのアル
ゴン雰囲気の条件下でSnとSnSを加熱して共蒸着薄
膜を形成することによって行った。疎水化処理した表面
の水に対する接触角は実施例1と実質的に同じであり、
また赤外線レーザー光照射領域の親水性強化処理後の水
に対する接触角は、1回目及び2回目とも12〜14度
であった。この印刷原板から製版して印刷した印刷面の
品質も1回目及び2回目とも地汚れはなく、画像領域と
非画像領域の識別性も十分であった。
【0184】〔実施例6〕実施例4において支持体を実
施例1に用いた粗面化したアルミニウム支持体に変更
し、画像露光用の光源にはレーザービームの走査型露光
装置であるPEARLsetter74(Presst
ek社製)を用いて露光し、露光部のコロイド銀層を熱
飛散すなわちアブレーションさせることにより親水性の
アルミニウム表面を露出させたこと以外は実施例1と同
じ操作によって製版と印刷を行った。2000枚の印刷
を通して、画像領域と非画像領域の識別性も十分で、印
刷面の地汚れのない良好な品質の印刷を行うことができ
た。
【0185】〔実施例7〕図2に示した全面疎水化処理
部2aと同じ装置を使用して次の試験を行った。空気取
り入れ口に内径約30mmの硝子管(分液ろ斗を転用)
を横向きに配置し、全面疎水化処理部内の空気がこの硝
子管内を通過して全面疎水化処理部の内部に取り込まれ
る構造とした。シリコーンオイル〔商品名シリコーンK
F99(信越化学工業(株)製〕を含浸させた珪草土を
容積率が50%となるように硝子管の下半分に流しこん
だ。空気取り入れ口の温度は、この管を通過中に室温か
ら150℃に上昇する。シリコーンKF99は、この温
度では少なくとも1mmHg以上の蒸気圧を持つので、
全面疎水化処理部の内部に取り入れられた空気は、シリ
コーンKF99の蒸気を含んでいる。空間部の内容積が
2リットルの管熱記録部における空気交換速度は、毎分
10vol%であった。全面疎水化処理部にこのオルガ
ノポリシロキサン化合物の蒸気を導入して雰囲気のもと
で疎水性化の加熱を行う以外は、実施例1と同じ原板と
同じ装置を使用して、同じ条件で製版し、印刷を行い、
使用済みの印刷版を同じ方法で再生して再度印刷を行っ
た。加熱後の疎水性領域の水に対する極大接触角は、1
90℃に現れ、その接触角の値は、82度であった。一
方、活性光の像様照射後実施例2と同じ親水性強化剤処
理を施した親水性領域の水に対する接触角は、9〜11
度であった。この方法によって光照射部と非照射部との
親水性、親油性の差を増大できることが判る。
【0186】ついで、この印刷版を使用して、1000
枚の平版印刷を行った。実施例1と同様にスタートから
終了まで鮮明な印刷物が得られたが、さらに印刷を続け
て5000枚の印刷を行ったときには、シリコーンKF
99を存在させないで印刷した実施例1においては、目
視で認められるインキ汚れが生じたが、シリコーンKF
99の存在下で印刷を行った実施例6では、インキ汚れ
は認められず、版胴1上の原板の損傷も認められなかっ
た。
【0187】〔実施例8〕実施例1において画像露光に
赤外線レーザー光照射を用いて照射面の温度を酸化チタ
ンの高温親水性発現温度である190〜300°Cとな
るようにして露光を行った以外は実施例と同じ操作によ
って試験を繰り返した。印刷面の地汚れのない良好な品
質の印刷を行うことができた。
【0188】〔実施例9〕実施例1で使用したものと同
じ粗面化処理と陽極酸化処理を施したアルミニウム支持
体を使用してチタン酸バリウムを光触媒能を有する金属
酸化物とした原板を作製した。すなわち、上記アルミニ
ウム支持体をスパッタリング装置内にセットし、5.0
×10-7Torrまで真空排気する。支持体を200°Cに
加熱し、Ar/O2 が90/10(モル比)となるよう
にガス圧を6.5×10-2Torrに設定し、SiO2 のタ
ーゲットにRFパワー200Wを投入してSiO2 の1
μmの薄層を形成した。続いてArのガス圧を0.65
Paに設定し、SiのターゲットにRFパワー200W
を投入してSiの1μmの薄膜を形成した。続いてAr
のガス圧を0.65Paに設定し、6インチφのチタン
酸バリウムの焼結ターゲットにRFパワー200Wを投
入して膜厚100nmのチタン酸バリウム薄膜を形成し
た。X線解析法によれば、この薄膜は多結晶体であっ
た。
【0189】このチタン酸バリウム薄膜付きアルミニウ
ム支持体を版胴の基体に巻き付けて原板として使用した
ことと、疎水性発現温度で加熱する全面疎水性化に赤外
線レーザーを使用した以外は、実施例1と同じ製版、印
刷及びインキ洗浄除去、再印刷を行った。赤外線レーザ
ー装置は、最大出力500mWの固体赤外線レーザー装
置で、ビーム幅を100ミクロンにして全面走査露光に
よって原板表面の疎水性化を行った。この場合、照射し
た赤外線光をSiが吸収するので、この薄層が光エネル
ギーを熱エネルギーに変換する役目を果たす。すなわ
ち、赤外線を照射することで、Si層が発熱するのでチ
タン酸バリウム層を加熱できる。加熱温度を疎水性発現
温度の範囲(155〜250℃)への調節は、レーザー
出力の制御によって行った。赤外線レーザー光照射後の
原板表面の水に対する接触角は、1回目及び2回目とも
49〜56度であり、紫外線照射による親水性化領域の
水に対する接触角は、1回目及び2回目とも12〜16
度であり、また、印刷面の品質も1回目及び2回目とも
地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別性も十分で
あった。
【0190】次いで、本発明の第2の実施形態について
説明する。〔実施形態2〕図4は本発明の第2の実施形
態による平版印刷装置の構成を示す図である。図4に示
す平版印刷装置は、図1に示す平版印刷装置を印刷ユニ
ット11Y,11M,11C,11Bとして4台直列に
本体12内に配置して構成されるものであり、それぞ
れ、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、
B(ブラック)のインキを使用してカラー印刷を行うも
のである。
【0191】各印刷ユニット11Y,11M,11C,
11Bの構成および動作は上述した図1に示す平版印刷
装置と同一であるため、詳細な説明は省略する。第2の
実施形態においては、各印刷ユニット11Y,11M,
11C,11Bのインキ・湿し水供給部において供給さ
れるインキの色が、それぞれ、Y(イエロー)、M(マ
ゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)である点が異
なるものである。
【0192】次いで、第2の実施形態の動作について説
明する。まず、印刷ユニット11Y,11M,11C,
11Bにおいて版胴1上の原板をゆっくり回転させなが
ら全面疎水化処理部2を通過する原板表面の疎水性化を
行う。全面疎水化処理部の構造は図2に説明した通りで
ある。版胴を全面疎水化に十分の時間で通過する速度で
回転し、版胴全面を疎水性にした後に、図1の活性光照
射部5による像様照射と親水性強化処理部3aによる親
水性強化剤の適用により各色を表す描画が行われる。そ
して、各印刷ユニット11Y,11M,11C,11B
のインキ・湿し水供給部からY,M,C,Bそれぞれの
色のインキを供給して、各印刷ユニット11Y,11
M,11C,11Bの版胴1上の原板にインキおよび湿
し水を保持する。その後、図4の矢印Bに示すように用
紙を供給して、各印刷ユニット11Y,11M,11
C,11Bのインキを用紙に転写する。すなわち、印刷
ユニット11YにおいてはYのインキが転写され、印刷
ユニット11MにおいてはMのインキが転写され、印刷
ユニット11CにおいてはCのインキが転写され、印刷
ユニット11BにおいてはBのインキが転写される。こ
れにより、用紙にはカラー画像がネガ型の方式で印刷さ
れることとなる。
【0193】印刷終了後、各印刷ユニット11Y,11
M,11C,11Bのインキ洗浄部(図1の4)により
版胴に残存するインキを除去する。その後、版胴1上の
原板をゆっくり回転させながら初期化部2bによって履
歴除去を行い、版胴1上の原板をもとの親水・親油性の
状態にして、版胴1上の原板は描画前の状態に戻る。
【0194】
【発明の効果】本発明の光触媒性、光熱変換性及び高温
親水性発現性のいずれかの性質を有する親水・親油材料
を含有する層を原板上に設けた印刷用原板を疎水化剤に
よってその表面を疎水性として、その表面に画像記録
(活性光又は光熱変換性のヒートモード光あるいは高温
親水性発現温度への像様加熱)と親水性強化剤処理を行
って、親水性と疎水性の像様分布を形成させて作成した
印刷版は、画像領域と非画像領域の識別性が高く、かつ
現像処理を必要とせず、直接印刷版を作成することがで
き、しかも印刷終了後、印刷版のインキを除去して履歴
を熱又は光によって除去して印刷原板を再生し、反復使
用することができる。また、原板を印刷機の版胴に装着
し、印刷機上で、親水性化、ヒートモード描画、インキ
・湿し水供給及び印刷後の原板再生を行う印刷装置を用
いて簡易で安価な平版印刷を行うことができる。この方
法及び装置は、原板に直接活性光の像様照射を行う製版
・印刷方法や、疎水性発現領域に調整せずに加熱してか
ら活性光の像様照射を行う製版・印刷方法に比べて、画
像領域と非画像領域との識別性が高く、印刷品質を向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による平版印刷装置の
構成を示す図である。
【図2】有機化合物蒸気供給手段を設けた全面疎水化処
理部の一態様の構成を示す図である。
【図3】活性光照射部の一態様の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による平版印刷装置の
構成を示す図である。
【符号の説明】
1 版胴 2a 全面疎水化処理部 2b 初期化部 3a 親水性強化処理部 3b インキ・湿し水供給部 4 インキ洗浄部 5 活性光照射部 6 ブランケット 7 圧胴 8 12,15 本体 11Y,11M,11C,11B 印刷ユニット 14Y,14M,14C,14B 印刷ステーション 17 活性光照射部 18 レーザー光源 19 レーザー光源駆動部 20 編集・レイアウトW/S 24 空気取り入れ口 25 コック 26 蒸発室 27 有機化合物 29 有機化合物供給手段 30 電熱ヒーター 31 電熱ヒーター 32 温度センサー 33 温度センサー 34 温度制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 隆 神奈川県足柄上郡開成町宮台798番地 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 中山 隆雄 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H084 AA14 AA30 AA38 BB02 BB04 BB13 BB20 CC05 2H096 AA06 BA16 EA02 EA04 EA23 HA02 HA05 2H114 AA04 AA14 AA22 AA23 AA24 BA01 BA10 DA05 DA25 EA03 FA16 GA29

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水・親油材料を含有する層を表面に有
    する印刷用原板に疎水性物質の層を一様に設けたのち、
    熱又は光の作用により像様親水性領域を形成させ、つづ
    いて該親水性領域に親水性強化剤を処理することを特徴
    とする平版印刷版の作製方法。
  2. 【請求項2】 親水・親油材料が、光触媒能を有する金
    属化合物であることを特徴とする請求項1に記載の平版
    印刷版の作製方法。
  3. 【請求項3】 光触媒能を有する金属化合物が、TiO
    2 、RTiO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB
    2-x x 3-x x 10(Aは水素原子又はアルカリ金
    属原子、Bはアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希
    土類原子、Dは周期律表の5A族元素に属する金属原
    子、Eは同じく4A族元素に属する金属原子、xは0〜
    2の任意の数値を表す)、SnO2 、Bi2 3 ,Zn
    O及びFeOx(x=1〜1.5)で表される酸化鉄、
    から選ばれる金属酸化物であることを特徴とする請求項
    2に記載の平版印刷版の作製方法。
  4. 【請求項4】 親水・親油材料が、光熱変換性物質であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の作製
    方法。
  5. 【請求項5】 親水・親油材料が、高温親水性発現物質
    であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版の
    作製方法。
  6. 【請求項6】 疎水性物質が昇華性固体又は揮発性液体
    であって、該疎水性物質の気体を印刷用原板表面の親水
    ・親油材料を含有する層に凝結させて疎水性物質の層を
    設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に
    記載の平版印刷版の作製方法。
  7. 【請求項7】 疎水性物質が高分子有機化合物であっ
    て、該高分子有機化合物の溶液又は粒子分散物を印刷用
    原板表面の親水・親油材料を含有する層に噴霧して疎水
    性物質の層を設けることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  8. 【請求項8】 親水・親油材料を含有する層を表面に有
    する印刷用原板に疎水性物質の層を設ける方法が、塗り
    付け塗布、噴霧塗布、気化凝縮法、気体接触法及び浸漬
    塗布、から選ばれる方法であることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版の作製方法。
  9. 【請求項9】 親水性強化剤が、脂肪族多価アルコー
    ル、ポリ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリ
    コールアルキルエーテル、アルキルスルホン酸、脂肪族
    一価アルコール、水及び界面活性剤から選択されること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の平版
    印刷版の作製方法。
  10. 【請求項10】 親水性強化剤が、平版印刷用の湿し水
    であることを特徴とする請求項9に記載の平版印刷版の
    作製方法。
  11. 【請求項11】 (1)親水・親油材料を含有する層を
    表面に有する印刷用原板に疎水性物質の層を設けたの
    ち、(2)熱又は光の作用により像様親水性領域を形成
    させ、(3)つづいて少なくとも該親水性領域に親水性
    強化剤を処理して親水性を強化し、(4)疎水性領域が
    インキを受容し、親水性領域が湿し水を受容した版面を
    形成させて(5)印刷を行うことを特徴とする平版印刷
    方法。
  12. 【請求項12】 印刷に使用した印刷版からインキを除
    去したのち、該印刷版を印刷用原板として再使用するこ
    とを特徴とする請求項11に記載の平版印刷方法。
  13. 【請求項13】 親水・親油材料を含有する層を電熱加
    熱して製版・印刷の履歴を消去することを特徴とする請
    求項12に記載の平版印刷方法。
  14. 【請求項14】 (1)親水・親油材料を含有する層を
    表面に有する印刷用原板の装着部と(2)該原板に疎水
    性物質の層を設ける全面疎水化処理部と、(3)該疎水
    性層を担持した印刷用原板に熱又は活性光を像様に適用
    して親水性領域を形成させる加熱描画部又は活性光照射
    部と、(4)該親水性領域に親水性強化剤を処理する親
    水性強化処理部と、(5)疎水性領域にインキを供給
    し、親水性領域に湿し水を供給するインキ及び湿し水供
    給部と、(6)疎水性領域がインキを受容し、親水性領
    域が湿し水を受容してなる印刷面を被印刷面と接触させ
    て印刷を行う印刷部と、を有することを特徴とする平版
    印刷装置。
  15. 【請求項15】 (1)親水・親油材料を含有する層を
    表面に有する印刷用原板の装着部と(2)該原板に疎水
    性物質の層を設ける全面疎水化処理部と、(3)該疎水
    性層を担持した印刷用原板に熱又は活性光を像様に適用
    して親水性領域を形成させる加熱描画部又は活性光照射
    部と、(4)該親水性領域に親水性強化剤を処理する親
    水性強化処理部と、(5)疎水性領域にインキを供給
    し、親水性領域に湿し水を供給するインキ及び湿し水供
    給部と、(6)疎水性領域がインキを受容し、親水性領
    域が湿し水を受容してなる印刷面を被印刷面と接触させ
    て印刷を行う印刷部と、を版胴の周囲に配設したことを
    特徴とする請求項14に記載の平版印刷装置。
  16. 【請求項16】 さらに印刷済みの版をインキ溶剤で洗
    浄して印刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部を
    有することを特徴とする請求項14又は15に記載の平
    版印刷装置。
  17. 【請求項17】 親水・親油材料を含有する層を電熱加
    熱する埋め込みヒーターを有することを特徴とする請求
    項14〜16のいずれか1項に記載の平版印刷装置。
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