JP2002002136A - 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置 - Google Patents

平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置

Info

Publication number
JP2002002136A
JP2002002136A JP2000191685A JP2000191685A JP2002002136A JP 2002002136 A JP2002002136 A JP 2002002136A JP 2000191685 A JP2000191685 A JP 2000191685A JP 2000191685 A JP2000191685 A JP 2000191685A JP 2002002136 A JP2002002136 A JP 2002002136A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
printing
hydrophilic
layer
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000191685A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisao Oishi
尚生 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000191685A priority Critical patent/JP2002002136A/ja
Publication of JP2002002136A publication Critical patent/JP2002002136A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Rotary Presses (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】現像を必要とせず、像様露光を原板に加えると
によって実質的に印刷面が形成される、しかも印刷時の
着肉性がよく印刷汚れが少なく、かつ印刷用原板を反復
使用することも可能な印刷版とその作製方法を提示する
こと。また、上記の印刷版の作製を印刷機上で行うこと
ができる印刷装置を提示すること。 【解決手段】光熱変換性で、かつ親水・親油性の金属化
合物の薄層を表面に有する印刷用原板に親水性物質の層
を付与したのち、活性光の像様照射を行ってインキ受容
性領域を形成することを特徴とする平版印刷版の作製方
法。また、使用済みの印刷版を活性光照射によって初期
化して反復使用する印刷方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷に関する。
具体的には、現像することなく製版することが可能な簡
易な平版印刷版とその作製方法とに関する。さらに印刷
機上で直接製版も可能な平版印刷方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】活性光の照射によって極性変換が引き起
こされる光触媒性化合物を利用して親水性と疎水性の像
様分布を形成させて印刷版とし、この印刷版を用いて印
刷する方法が数多く提案されている。この方法は、原板
上に像様露光を行うだけで照射領域と非照射領域にイン
キ受容性とインキ反発性に別れるに足る極性変化が生じ
るのでそのまま印刷にかけることができて、極めて簡易
な製版・印刷方法といえる。したがって、この方法で高
品質あるいは高耐刷性の印刷を行えるように改良の試み
がなされてきている。
【0003】例えば、特開平11−138911号、同
11−138970号公報などでは、光触媒性の金属化
合物薄層を表面に有する印刷用原板に活性光を像様に照
射して照射領域を親水性に変化させて親水性の像様分布
を形成させて印刷版とする製版・印刷方法が開示されて
いる。この方法は、活性光の像様照射だけで製版が可能
なのできわめて簡易ではあるが、非画像部を照射する
(いわゆるネガ書き込み)ので、細線がさらに細くなっ
て飛びやすいことなど画像形成能の不安定性に弱点を持
っている。
【0004】これに対して特開平11−143055
号、同11−105234号、同11−123805号
公報などでは、光触媒性の金属化合物薄層を表面に有す
る印刷用原板に活性光を一様照射した一様に親水性の表
面に疎水性物質による描画を行い、描画領域にインクを
受容領域とする、上記と同様に簡易でしかも細線描写に
不安のない方法が提案されている。この製版・印刷方法
は、細線描写についての弱点は解決されているが、画像
領域と非画像領域との識別性は必ずしも十分ではなく、
かつ親水性領域が経時的に疎水性化する現象が起こりや
すいという弱点もある。
【0005】一方、特開平11−78271号公報で
は、同様に光触媒性の金属化合物薄層を表面に有する印
刷用原板に対して疎水性の画像形成物質をインクジェッ
ト型の噴霧方式で描画する方法が提案されている。以上
のように、この分野では光触媒性化合物を利用して簡易
性と印刷品質の両立を目指す製版・印刷方法が開示され
てきたが、依然として市場の要請に十分に応えるレベル
には到達しておらず、さらなる改良が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の背景に基づくものであって、印刷・製版作業の簡易性
と優れた印刷品質とを併せ備えた印刷版とその作製方法
を提示することである。具体的には、現像を必要とせ
ず、印刷時の着肉性がよく印刷汚れが少ない平版印刷版
とその作製方法を提示することである。本発明のさらな
る課題は、上記の印刷版の作製を印刷機上で行うことが
できる印刷装置を提示することである。また、別のさら
なる課題は、印刷原板を反復再使用することが可能な印
刷方法を提示することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題に対して、本
発明者は印刷原板材料として光触媒能を有する化合物
(以下光触媒性化合物と呼ぶ)を用いる従来開示された
製版・印刷方法では、画像形成を極性変化のみに頼って
いたために画像と非画像部の識別性が、必ずしも十分で
なかったことが簡易性と印刷品質の両立の支障となって
いたことに鑑みて、上記識別性の発現過程を検討した結
果、非画像部の親水性を強化することが上記課題の解決
につながることを知り、その手段の探索と、印刷・製版
への適用を鋭意検討した結果、本発明に到達した。すな
わち本発明は下記の通りである。
【0008】1.光触媒能を有し、かつ親水・親油性の
金属化合物の薄層を表面に有する印刷用原板に親水性物
質の層を付与したのち、活性光を像様に照射してインキ
受容領域を形成することを特徴とする平版印刷版。
【0009】2.光触媒能を有し、かつ親水・親油性の
金属化合物が、TiO2 、RTiO3(Rはアルカリ土
類金属原子)、AB2-x x 3-x x 10(Aは水素
原子又はアルカリ金属原子、Bはアルカリ土類金属原子
又は鉛原子、Cは希土類原子、Dは周期律表の5A族元
素に属する金属原子、Eは同じく4A族元素に属する金
属原子、xは0〜2の任意の数値を表す)、SnO2
Bi2 3 ,ZnO,FeOx (x=1〜1.5)及び
ZrO2 から選ばれる金属化合物であることを特徴とす
る上記1に記載の平版印刷版。
【0010】3.親水性物質の層が、低級脂肪族カルボ
ン酸、低級脂肪族アルデヒド、脂肪族多価アルコール、
ポリ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリコー
ルアルキルエーテル、アルキルスルホン酸、一価アルコ
ール、水及び界面活性剤から選択されることを特徴とす
る上記1又は2に記載の平版印刷版。
【0011】4.上記1〜3のいずれか1項に記載の平
版印刷版を使用して印刷を行ったのち、該使用済み印刷
版からインキを洗浄して除去し、活性光を版面に一様照
射して印刷版を親水・親油性の状態に戻し、該印刷版を
印刷用原板として再使用することを特徴とする平版印刷
方法。
【0012】5.(1)光触媒能を有し、かつ親水・親
油性の金属化合物の層を表面に有する印刷用原板を装着
した版胴と(2)該原板に親水性物質の層を付与する親
水性層付与部と、(3)該親水性物質の層を設けた原板
に像様の活性光を照射して画像領域を形成させる活性光
照射部と、(5)該画像領域にインキを付与するインキ
付与部と、(6)インキを受容した該画像領域と、イン
キを反発する非画像領域からなる印刷面を被印刷面と接
触させて印刷を行う印刷部と、を有することを特徴とす
る平版印刷装置。
【0013】6.印刷済みの版をインキ溶剤で洗浄して
印刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部及び初期
化部を有することを特徴とする上記5に記載の平版印刷
装置。
【0014】はじめに、本明細書で用いる用語の意味に
ついて述べておくと、上記の「光触媒能を有する化合
物」すなわち「光触媒性化合物」とは、一般に物質が光
を吸収すると、表面の極性変化などの物理化学特性の変
化や酸化・還元などの化学的反応の触媒作用を引き起こ
す性質を有する化合物を指しており、また「活性光」と
は、光触媒性物質にこのような作用を及ぼす光を指して
いる。本発明においても「光触媒性化合物」及び「活性
光」はこの意味で用いている。また、「親水・親油性」
とは、周囲の環境に応じて親水性及び親油性のいずれの
性質も発現しうる性質を指している。
【0015】本発明は、基本的には、第一に光触媒性で
あって親水・親油性でもある金属化合物を印刷用原板材
料に選ぶことによってインキ受容領域とインキ反発領域
を簡易に形成できるようにしたこと、第二に非画像部の
親水性(インキ反発性)を強化するために親水性層を設
けたこと、及び第三に光照射により疎水性(インキ受容
性)領域を形成させるいわゆるポジ型画像形成方式を採
用したことを特徴としている。
【0016】光触媒性金属化合物を用いる従来公知の印
刷方法では、光触媒性金属化合物に活性光を照射したと
き、被照射部の極性が親水性の方向に変化して被照射部
と非照射部の間に親水性と疎水性の差、すなわちインキ
受容性の差が生じて印刷版となりうる性質を利用してい
る。しかしながら、この光触媒性のもたらす極性の差が
必ずしも十分ではないことが印刷品質や耐刷性を制約し
ているので、本発明においては光触媒性であって親水・
親油性でもある金属化合物を印刷用原板材料に選んでお
り、親水・親油性の特性を利用して原板表面に親水性層
を付与することによって非照射部の親水性の程度を強化
している。さらに本発明では親水性層を付与された原板
に活性光を像様に照射し、その光化学的酸化作用により
被照射部の親水性層を像様に除去して親油性としてい
る。本発明では、これら両方の作用によって親水性領域
と新油性領域の識別性を高めている。
【0017】また、本発明では親水性領域に像様に活性
光照射を行う画像記録方式であるので、細線の細りなど
の欠陥も避けて精細な画像の再現を可能としている。上
記の方法は、光触媒性で親水・親油性の薄層への親水性
画像の付与と活性光の像様照射という単純過程で製版で
きるのでもう一つの本発明の課題である製版の簡易性も
達せられる。さらに、本発明の印刷方法では、湿し水を
必ずしも必要としない。湿し水を用いない場合には、印
刷操作及び装置はさらに簡易であって本発明の利点をさ
らに活かす態様となる。
【0018】本発明者は、親水・親油材料の表面は、通
常時間とともに疎水性の方向に変化してゆき、疎水性領
域と非画像部の親水性領域との識別性が減少してゆき、
印刷品質や耐刷性を低下させていたことを見いだしてい
る。本発明における原板上に付与された親水性層は、非
画像領域の親水性を強化するだけでなく、その親水性を
安定に維持することにも寄与しているので、このような
欠陥を抑止して親水性と疎水性の識別性も高いレベルに
保たせることも本発明のさらなる利点である。
【0019】本発明は、印刷を終了した後、印刷版上の
印刷インキを洗浄除去したのち、活性光を全面に照射し
て使用前の親水・親油性の状態を回復させて(これを初
期化とも呼ぶ)印刷原板として再使用することができ
る。しかしながら、インキを除去しても、インキ受容領
域であった部分と非画像領域であった部分の間には微妙
な履歴が残っていて、十分に均一な親水・親油性表面で
はないことがある。本発明では、活性光照射により十分
な初期化ができるので、1枚の印刷用原板で上記した製
版・印刷工程を繰り返すことができる。
【0020】上記した本発明の印刷・製版方法は、印刷
原板を印刷機に装着して印刷機上で上記した製版・印刷
工程、さらには原板再生工程をも施すことも可能であ
る。原板再生工程も行う印刷装置を用いると、本発明の
製版・印刷方法を原板を印刷機に装着したまま、反復し
て行うことができて、本発明の簡易性という特徴を一層
発揮することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をさら
に詳細に説明する。はじめに光触媒性で親水・親油性の
金属化合物薄層及びそれを担持する支持体で構成される
印刷用原板、次いで親水性層及び活性光の照射などを含
む製版工程、さらに印刷工程及び印刷終了後の印刷版の
再生工程、そしてさらに本発明による印刷装置について
順次述べる。
【0022】〔印刷用原板〕 (光触媒性で親水・親油性の金属化合物)本発明に用い
る光触媒性金属化合物は、親水・親油性であるが、親水
・親油性物質は、前記したように親水性及び親油性の両
方の性質が内在していて状況に応じていずれの性質をも
具現できる。この物質表面に親水性物質層を付与する
と、親水・親油材料本来の親水性が強化される。親水・
親油性物質の水に対する接触角は30〜70度で、多く
は40〜60度である。すなわち通常親水性として印刷
に適しているとされる水に対する接触角である40度以
下、多くは30度以下と疎水性として印刷に適している
とされる60度以上、多くは70度以上との中間の接触
角を有している。本発明では、この性質を巧みに利用し
て像様に分布させた疎水性と親水性の両領域の疎水性と
親水性を強化して識別性を高め、印刷品質と耐刷性の向
上に寄与させている。
【0023】本発明に用いられる光触媒性化合物は光触
媒性金属化合物であり、好ましくは光触媒性金属酸化物
である。本発明に用いる光触媒性金属酸化物は、いろい
ろの形態の金属酸化物に見られ、単一の金属酸化物、複
合酸化物のいずれの場合もあり、また後者の場合は、固
溶体、混晶、多結晶体、非晶質固溶体、金属酸化物微結
晶の混合物のいずれからもこの特性を有するものが認め
られる。このような特性をもつ金属酸化物は、経験的に
周期律表の0と VIIA(ハロゲン元素)族を除く第3〜
6周期に属する金属元素の酸化物に見いだされる。な
お、上記金属酸化物は、印刷版として使用する際に湿し
水に対して過度に溶解してはならないので、水に対する
溶解度は、水100ミリリットルについて10mg以
下、好ましくは5mg以下、より好ましくは1mg以下
である。
【0024】好ましい光触媒性金属酸化物としては、ま
ず酸化チタンと酸化亜鉛を挙げられる。中でも酸化チタ
ンが感度(つまり表面性の光変化の敏感性)などの点で
好ましい。酸化チタンは、イルメナイトやチタンスラグ
の硫酸加熱焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化など既
知の任意の方法で作られたものを使用できる。あるいは
後述するように金属チタンを用いて印刷版製作段階で真
空蒸着によって酸化物皮膜とする方法も用いることがで
きる。
【0025】酸化チタン又は酸化亜鉛を含有する層を原
板の表面に設けるには、たとえば、 酸化チタン微結晶又は酸化亜鉛微結晶の分散物(必要
によって少量の分散媒すなわちバインダーを含有)を印
刷版の原板上に塗設する方法、塗設したのち焼成して
バインダーを減量或いは除去する方法、印刷原板上に
蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD
などの方法で酸化チタン(又は酸化亜鉛)膜を設ける方
法、例えばチタニウムブトキシドのようなチタン有機
化合物を原板上に塗布したのち、焼成酸化を施して酸化
チタン層とする方法、上記金属塩の水溶液を塗設して
加熱し、熱分解させる方法など、既知の任意の方法を用
いることができる。本発明においては、真空蒸着又はス
パッタリングによる酸化チタン層が特に好ましい。
【0026】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、具体的には無定形酸化チタン微結晶分散物
を塗布したのち、焼成してアナターゼまたはルチル型の
結晶酸化チタン層とする方法、酸化チタンと酸化シリコ
ンの混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸
化チタンとオルガノシロキサンなどとの混合物を塗布し
てシロキサン結合を介して支持体と結合した酸化チタン
層を得る方法、酸化物と混和できるポリマーバインダー
に分散して塗布する方法とその塗布層を焼成して有機成
分を除去して薄膜とする方法などがある。酸化物微粒子
のバインダ−には、酸化チタン微粒子に対して分散性を
有しており、とくにの薄膜作製用に比較的低温で焼成
除去が可能なポリマーを用いることができる。好ましい
バインダーの例としては、ポリエチレンなどのポリアル
キレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポ
リメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビ
ニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニル
アルコール、ポリスチレンなどの疎水性バインダーが好
ましく、それらの樹脂を混合して使用してもよい。
【0027】上記の酸化チタンの真空蒸着を行うに
は、通常真空蒸着装置内の蒸着用加熱の熱源に金属チタ
ンを置き、真空度10-3〜10-6Paで全ガス圧1〜1
-3Pa、酸素文圧比が30〜90%になるようにしな
がら、チタン金属を蒸発させると、蒸着面には酸化チタ
ンの蒸着薄膜が形成される。また、スパッタリングによ
る場合は、例えばスパッタ装置内にチタン金属ターゲッ
トをセットしてAr/O 2 比が60/40(モル比)と
なるようにガス圧を0.65Paに調整したのち、RF
パワー200Wを投入してスパッタリングを行って酸化
チタン薄膜を基板上に形成させる。
【0028】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は上記した〜など、既知の任意
の方法で作ることができる。とくに金属亜鉛板の表面を
電解酸化して酸化皮膜を形成させる方法と、真空蒸着、
スパッタリング、イオンプレーティング,CVDなどに
よって酸化亜鉛皮膜を形成させる方法が好ましい。酸化
亜鉛の蒸着膜は、上記の酸化チタンの蒸着と同様に金属
亜鉛を酸素ガス存在下で蒸着して酸化膜を形成させる方
法や、酸素のない状態で亜鉛金属膜を形成させたのち、
空気中で温度を約700°Cにあげて酸化させる方法を
用いることができる。そのほか、修酸亜鉛の塗布層やセ
レン化亜鉛の薄層を酸化性気流中で加熱しても得られ
る。
【0029】蒸着膜の厚みは、酸化チタン層、酸化亜鉛
層いずれの場合も0.1〜10000nmがよく、好ま
しくは1〜1000nmである。さらに好ましくは30
0nm以下として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、
光活性化作用を十分に発現させるには厚みが5nm以上
あることが好都合である。
【0030】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。酸化チタンあるいは酸化亜鉛を主成
分とする層における酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率は、それぞれ30〜100%であり、好ましくは50
%以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸
化物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。
しかしながら、表面の親水性/親油性変化特性は、酸化
亜鉛を電子写真感光層に用いるときのような著しい純度
による影響はないので、100%に近い純度のもの(例
えば98%)をさらに高純度化する必要はない。それ
は、本発明に利用される物性は、導電性とは関係ない膜
表面の親水性/親油性の性質変化特性、すなわち界面物
性の変化特性であることからも理解できることである。
【0031】しかしながら、後述する原板再生使用の際
に重要な、光又は熱により表面親水性が変化する性質を
増進させるためにある種の金属をドーピングすることは
有効な場合があり、この目的にはイオン化傾向が小さい
金属のドーピングが適しており、Pt,Pd,Au,A
g,Cu,Ni,Fe,Co又はCrをドーピングする
のが好ましい。また、これらの好ましい金属を複数ドー
ピングしてもよい。ドーピングを行った場合も、その注
入量は酸化亜鉛や酸化チタン中の金属成分に対して5モ
ル%以下である。
【0032】一方、体積率が低いと層の表面の親水性/
親油性の熱応答挙動の敏感度が低下する。したがって、
層中の酸化物の体積率は、30%以上であることが望ま
しく、とくに実質的に100%であることが好ましい。
【0033】次に、本発明に用いることができる別の光
触媒性で親水・親油性の金属化合物である一般式RTi
3 で示したチタン酸金属塩について記す。一般式RT
iO 3 において、Rはマグネシウム、カルシウム、スト
ロンチウム、バリウム、ベリリウムなどの周期律表のア
ルカリ土類元素に属する金属原子であり、とくにストロ
ンチウムとバリウムが好ましい。また、2種以上のアル
カリ土類金属原子をその合計が上記の式に化学量論的に
整合する限り共存することができる。
【0034】次に、一般式AB2-x x 3-x x 10
で表される化合物について説明する。この一般式におい
て、Aは水素原子及びナトリウム、カリウム、ルビジウ
ム、セシウム、リチウムなどのアルカリ金属原子から選
ばれる1価原子で、その合計が上記の式に化学量論的に
整合する限りそれらの2種以上を共存してもよい。B
は、上記のRと同義のアルカリ土類金属原子又は鉛原子
であり、同様に化学量論的に整合する限り2種以上の原
子が共存してもよい。Cは希土類原子であり、好ましく
は、スカンジウム及びイットリウム並びにランタン、セ
リウム、プラセオジウム、ネオジウム、ホルミウム、ユ
ウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ツリウム、イ
ッテルビウム、ルテチウムなどのランタノイド系元素に
属する原子であり、また、その合計が上記の式に化学量
論的に整合する限りそれらの2種以上を共存してもよ
い。Dは周期律表の5A族元素から選ばれた一種以上の
金属元素で、バナジウム、ニオブ、タンタルが挙げられ
る。また、化学量論関係を満たす限り、2種以上の5A
族の金属原子が共存してもよい。Eは同じくチタン、ジ
ルコニウム、ハフニウムなどの4A族元素に属する金属
原子であり、また、2種以上の4A族の金属原子が共存
してもよい。xは0〜2の任意の数値を表す。
【0035】RTiO3 、一般式AB2-x x 3-x
x 10で表される上記化合物、SnO2 ,Bi2 3
FeOx (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合
物のいずれの薄膜形成にも、酸化チタン及び酸化亜鉛を
設ける前記の方法を用いることがでる。すなわち、上
記光触媒能を有する熱応答型金属酸化物の微粒子の分散
物を印刷版の原板上に塗設する方法、塗設したのち焼
成してバインダーを減量或いは除去する方法、印刷版
の原板上に上記酸化物を各種の真空薄膜法で膜形成する
方法、例えば金属元素のアルコレートのような有機化
合物を原板上に塗布したのち、加水分解させ、さらに焼
成酸化を施して適当な厚みの金属薄膜とする方法、上
記金属を含む塩酸塩、硝酸塩などの水溶液を加熱スプレ
ーする方法など、既知の任意の方法を用いることができ
る。
【0036】例えば、上記、の塗設方法によってチ
タン酸バリウム微粒子を塗設するには、チタン酸バリウ
ムとシリコンの混合分散物を塗布して表面層を形成させ
る方法、チタン酸バリウムとオルガノポリシロキサンま
たはそのモノマ−との混合物を塗布する方法などがあ
る。また、酸化チタンの項で述べたように、酸化物層の
中に酸化物と共存できるポリマーバインダーに分散して
塗布した後、焼成して酸化物層とすることもできる。酸
化物微粒子のバインダ−として好ましいポリマーの例
は、酸化チタン層の項で述べたものと同じである。この
方法によって、チタン酸バリウム以外にチタン酸マグネ
シウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム
又はそれらの分子間化合物、混合物も同様に薄膜形成可
能である。
【0037】同様にして上記、の塗設方法によって
CsLa2 NbTi2 10微粒子を塗設することも可能
である。CsLa2 NbTi2 10微粒子は、その化学
量論に対応するCs2 CO3,La2 3,NbO5,TiO
2 を乳鉢で微粉砕して、白金るつぼに入れ、130°C
で5時間焼成し、それを冷却してから乳鉢に入れて数ミ
クロン以下の微粒子に粉砕する。このCsLa2 NbT
2 10微粒子を前記のチタン酸バリウムと同様にバイ
ンダーの中に分散し、塗布して薄膜を形成した。この方
法は、CsLa2 NbTi2 10型微粒子に限らず、H
Ca1.5 La0. 5 Nb2.5 Ti0.5 10,HLa2 Nb
Ti2 10など前述のAB2-x x 3- x x 10
(0≦x≦2)に適用される。
【0038】上記の真空薄膜形成法を用いた光触媒性
金属酸化物層の形成方法としては、一般的にはスパッタ
リング法あるいは真空薄膜形成法が用いられる。スパッ
タリング法では、あらかじめ単一もしくは複合型の酸化
物ターゲットを準備する。例えば、チタン酸バリウムタ
ーゲットを用いて蒸着膜用の支持体の温度を450°C
以上に保ち、アルゴン/酸素混合雰囲気中でRFスパッ
タリングを行うことによりチタン酸バリウム結晶薄膜が
得られる。結晶性の制御には必要に応じてポストアニー
リングを300〜900°Cで行えばよい。本方法は前
述のRTiO3(Rはアルカリ土類金属原子)をはじめ
他の前記光触媒能を有する熱応答型金属酸化物にも、結
晶制御に最適な基板温度を調整すれば同様の考え方で薄
膜形成が可能である。例えば酸化錫薄膜を設ける場合に
は基板温度120°C、アルゴン/酸素比50/50の
混合雰囲気中でRFスパッタリングを行うことにより酸
化錫結晶の本目的に沿う薄膜が得られる。
【0039】上記の金属アルコレートを用いる方法
も、バインダーを使用しないで目的の薄膜形成が可能な
方法である。チタン酸バリウムの薄膜を形成するにはバ
リウムエトキシドとチタニウムブトキシドの混合アルコ
ール溶液を表面にSiO2 を有するシリコン基板上に塗
布し、その表面を加水分解したのち、200°C以上に
加熱してチタン酸バリウムの薄膜を形成することが可能
である。本方式の方法も前述した他のRTiO3 (Rは
アルカリ土類金属原子)、AB2-x x 3-x x 10
(A,B,C,D,Eはそれぞれ前記の定義の内容を表
す)、SnO2 ,Bi2 3 及びFeOx (x=1〜
1.5)で示される酸化鉄系の化合物の薄膜形成に適用
することができる。
【0040】上記によって熱応答性機能を発現する金
属酸化物薄膜を形成させる方法も、バインダーを含まな
い系の薄膜の形成が可能である。SnO2 の薄膜を形成
するにはSnCl4 の塩酸水溶液を200°C以上に加
熱した石英又は結晶性ガラス表面に吹きつけて薄膜を生
成することができる。本方式も、SnO2 薄膜のほか,
前述したRTiO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、A
2-x x 3-x x10(A,B,C,D,Eはそれ
ぞれ前記の定義の内容を表す)、Bi2 3 及びFeO
x (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合物のい
ずれの薄膜形成にも適用することができる。
【0041】金属酸化物薄膜の厚みは、上記のいずれの
場合も0.1〜10000nmがよく、好ましくは1〜
1000nmである。さらに好ましくは300nm以下
として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作
用を十分に発現させるには厚みが5nm以上あることが
好都合である。
【0042】バインダーを使用した場合の上記光触媒能
を有する熱応答型金属酸化物の薄層において、金属酸化
物の体積率は50〜100%であり、好ましくは90%
以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸化
物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。そ
の薄層の厚みは、0.01〜10μmがよく、好ましく
は0.1〜5μmがよい。
【0043】(支持体及び印刷用原板の形態)次に支持
体について述べるが、本発明においては原板を印刷装置
上の版胴に装着して製版する場合もあるので、それらを
含めて説明する。本発明に係わる印刷原板は、いろいろ
の形態と材料を用いることができる。例えば、親水・親
油材料の薄層を印刷機の版胴の基体表面に蒸着、浸漬あ
るいは塗布するなど上記した方法で直接設ける方法、支
持体に担持された親水・親油材料含有層や、あるいは支
持体を持たない親水・親油材料含有薄層を版胴の基体に
巻き付けて印刷版とする方法などを用いることができ
る。また、勿論版胴上で製版する上記形態以外に、一般
的に行われているように、製版を行った印刷版を輪転式
あるいは平台式印刷機に装着する形態を採ってもよい。
【0044】親水・親油材料を支持体上に設ける場合、
使用される支持体は、寸法的にも安定な板状物であり、
アルミニウム板、SUS鋼板、ニッケル板、銅板などの
金属板が好ましく、特に可撓性(フレキシブル)の金属
板を用いることが好ましい。また、ポリエステル類やセ
ルローズエステル類などのフレキシブルなプラスチック
支持体も用いることができる。また、防水加工紙、ポリ
エチレン積層紙、含浸紙などの支持体も使用することが
できる。
【0045】具体的には、紙、プラスチックシート(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のシ
ート)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、プラスチックフィ
ルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネー
ト、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィ
ルム等が挙げられる。
【0046】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、ポリイミドフィルム、アルミニウム、又は印刷版上
で腐食しにくいSUS板であり、その中でも寸法安定性
がよく、比較的安価であるアルミニウム板と、製版工程
における加熱操作に対して安定性の高いポリイミドフィ
ルムは特に好ましい。
【0047】好適なポリイミドフィルムは、ピロメリッ
ト酸無水物とm−フェニレンジアミンを重合させたの
ち、環状イミド化したポリイミド樹脂フィルムであり、
このフィルムは市販されている(例えば、東レ・デュポ
ン社製の「カプトン」)。
【0048】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニ
ウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガ
ン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッ
ケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高
々10質量%以下である。本発明において特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板
を適宜に利用することができる。本発明で用いられる金
属支持体の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ま
しくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm
〜0.3mmであり、プラスチックや加工紙などその他の
支持体の厚みはおよそ0.1mm〜2.0mm程度、好まし
くは0.2mm〜1.0mmである。
【0049】アルミニウム支持体を用いる場合は、表面
を粗面化して用いることが好ましい。その場合、所望に
より、粗面化に先立って表面の圧延油を除去するため
の、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶
液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表
面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例え
ば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解
粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方
法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨
法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの
公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な
粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または
直流により行うなど公知の方法を利用することができ
る。また、粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じ
てアルカリエッチング処理および中和処理された後、所
望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。陽極酸化の電解質の濃度は電解質の
種類によって適宜決められる。
【0050】陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量が1.0g/m2より少ないと、耐刷性が不十分であっ
たり、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印
刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」
が生じ易くなる。
【0051】〔製版工程〕(親水性層)本発明の製版工
程においては、まず印刷原板の光触媒性で親水・親油性
の薄層の表面に親水性物質の層が付与される。この層
は、薄層表面の親水性を高く、かつ安定に維持する目的
の層であるが、同時に後に述べるように活性光の照射を
受けると被照射部分がインキ受容性となる。インキ受容
性となる作用機構について本発明者は、被照射部におい
て光触媒性の金属化合物薄層の存在によって照射光が親
水性層の構成物質を光触媒的に酸化して分解除去するか
又は親油性の分解生成物に変化することによるものと推
定している。したがって以下の記述では、便宜的に「親
水性層の構成物質の分解除去」と記述するが、正確な機
構は不明であり、いずれにしても、現象としては被照射
部の親油性化である。本発明の親水性層の構成物質は、
上記した機能から、親水性であるだけでなく光化学的な
分解反応を被る物質である。
【0052】親水性層の構成物質は、光触媒的な酸化分
解除去を受け易い低分子の水溶性有機化合物、濡れ性向
上剤及び助剤水溶性高分子化合物を主体として、pH調
整剤、湿潤剤、防腐剤、着色剤、消泡剤、等の種々の添
加剤を加えることができる。酸化分解除去を受け易い低
分子の水溶性有機化合物としては、低級脂肪族カルボン
酸、低級脂肪族アルデヒド及び低分子脂肪族アルコール
が挙げられ、被照射領域の濡れ性向上剤としては、エチ
レングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエー
テル(アルキレン基の炭素数は2〜3)、ポリエチレン
グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレ
ンブロックポリマー類、アルキルスルホン酸(アルキレ
ン基の炭素数は2〜3)、脂肪族アルコール(炭素数は
1〜3)、水、界面活性剤から選択される。また、平版
印刷用の湿し水をこの目的に用いることができる。
【0053】低分子脂肪族カルボン酸は、蟻酸、酢酸、
プロピオン酸などの単素数1〜4のアルキルモノカルボ
ン酸、蓚酸、マレイン酸、リンゴ酸、琥珀酸、酒石酸、
クエン酸などの炭素数2〜6の脂肪族多価カルボン酸あ
る。低級脂肪族アルデヒドは、ホルミルアルデヒド、ア
セトアルデヒド、サクシンアルデヒド、グルタルアルデ
ヒドなど炭素数1〜8の水溶性多価アルデヒドである。
ポリエチレングリコールアルキルエーテルは、下記一般
式(I)で表される。 一般式(I) R1−(OC24n−OH 一般式(I)において、R1は炭素数1〜3のアルキル
基を表し、nは4〜9の整数を表す。一般式(I)で示
される化合物としては、下記のものが挙げられる。中で
も好ましい化合物は、(I−3)、(I−4)、(I−
5)、(I−9)及び(I−11)である。
【0054】
【化1】
【0055】アルキルスルホン酸およびその塩を用いる
こともできる。好ましいアルキルスルホン酸は、下記一
般式(II)で表される。 一般式(II) R2−SO3M 一般式(II)において、R2は炭素数4〜10のアルキ
ル基を表し、Mはカチオン基を表す。アルキル基は直鎖
であっても分岐していてもよい。また、好ましいカチオ
ン基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び第3族金
属であり、とくに好ましいのはアルカリ金属であり、そ
のなかでもカリウム及びナトリウムである。
【0056】一般式(II)で示される化合物としては、
下記のものを例示することができる。中でも好ましい化
合物は、(II−3)、(II−4)、(II−5)、(II−
9)、(II−10)及び(II−11)である。
【0057】
【化2】
【0058】本発明に用いられるポリエチレングリコー
ルは、下記一般式(III)に示される。 一般式(III ) H(OC24m−OH 一般式(III )において、mは約500の整数を表す。
上記のポリエチレングリコールは、数平均分子量(以
後、単に平均分子量という)が20000以下のポリエ
チレングリコールであるともいえる。
【0059】平均分子量20000以下のポリエチレン
グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子
量:200、300、400、600、1000、15
40、2000、4000)、好ましくはジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール(平均分子量:1000〜2000)などが挙げ
られる。平均分子量としては好ましくは100〜200
0である。また、市販のポリエチレングリコール類とし
て、プルロニックL−31(旭電化(株)製商品名、ポ
リオキシプロピレン分子量950)、プルロニックPE
3100(DuPont社製商品名、ポリオキシプロピ
レン分子量850)、及び竹本油脂(株)製のポリオキ
シプロピレン分子量750、ポリオキシエチレン10質
量%付加物のポリマーなどを使用することができる。
【0060】濡れ性向上剤の助剤として界面活性剤を添
加することができる。例えば、アニオン型界面活性剤と
しては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシア
ルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジア
ルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ア
ルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシ
ポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキ
シエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メ
チル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アル
キルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油ス
ルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸
アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エ
ステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ
ーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸
エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部
分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の
部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮
合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスル
ホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキル
ナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0061】非イオン型界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリス
チリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸
部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペ
ンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレン
グリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エ
ステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、
ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチ
レン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,
N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂
肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが
挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界
面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、前記したポリ
オキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマ
ー類等が好ましく用いられる。更に、シリコン誘導体又
はフッ素誘導体等の界面活性剤も挙げられる。これらの
界面活性剤の含有量は発泡の点を考慮すると、1.0質
量%以下、好ましくは0.001〜0.5質量%が適当
である。また、2種以上併用することもできる。
【0062】水可溶性層に含有される水溶性高分子は、
水可溶性層の結着樹脂として機能する。水溶性高分子と
しては、例えば水酸基、カルボキシル基、塩基性窒素含
有基等の基を十分に有する高分子が挙げられる。水溶性
高分子化合物の具体例としては、例えばアラビアガム、
澱粉誘導体(例えは、デキストリン、酵素分解デキスト
リン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カ
ルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク
化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カル
ボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロー
ス、メチルセルロース)等の天然物及びその変性体、カ
ゼイン、ポリエチレングリコール及びその共重合体、ポ
リビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリ
ドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、ポリアク
リル酸及びその共重合体、ビニルメチルエーテル/無水
マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重
合体、ポリスチレンスルホン酸及びその共重合体の合成
物が挙げられる。水溶性樹脂は親水性層の構成成分とし
て必須ではないが、添加する場合の塗布液中の水溶性樹
脂の含有量は、0.3〜25質量%が適当であり、好ま
しい範囲は1〜25質量%である。なお、本発明におい
ては上記水溶性樹脂を2種以上混合使用しても良い。
【0063】pH調整剤としては、水溶性の有機酸及び
/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合
物は親水性強化剤溶液のpH調整あるいはpH緩衝、平
版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に効果が
ある。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、アス
コルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン
酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レプリン酸、ス
ルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチン酸、
有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては例えば
蟻酸、リン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げられる。
更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金属塩、
アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有機アミ
ン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、無機酸及び/
又はこれらの塩は単独で使用しても、あるいは2種以上
の混合物として使用してもよい。これらpH調整剤の本
発明の親水性強化剤溶液への添加量は0.001〜0.
3質量%の範囲が好ましく、親水性強化剤溶液のpH値
が3〜7の範囲の酸性領域で用いることが好ましいが、
アルカリ金属水酸化物、リン酸、アルカリ金属塩、炭酸
アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含有したpH7〜11
のアルカリ性領域で用いることもできる。
【0064】湿潤剤の具体例としては、前期と一部重複
するが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチエングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、
ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパ
ン等が好適に用いられる。これらの湿潤剤は単独でもよ
いが、2種以上併用してもよい。一般に上記湿潤剤は
0.01〜3質量%の範囲で使用できる。
【0065】防腐剤としては、フェノール又はその誘導
体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナ
トリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベン
ズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジンの誘導
体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン又はグ
アニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾールの誘導
体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニト
ロアルコール系のブロモニトロプロパノール、1,1−
ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、3−ブロモ−
3−ニトロペンタン、2,4−ジオール等が挙げられ
る。好ましい添加量は細菌、カビ、酵母等に対して、安
定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種
類によっても異なるが、親水性物質の塗布液に対し、
0.001〜1.0質量%の範囲が好ましく、また種々
のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上
の防腐剤を併用することが好ましい。
【0066】着色剤としては、食品用色素等が好ましく
使用できる。例えば、黄色色素としてはCI No.1
9140、15985、赤色色素としてはCI No.
16185、45430、16255、45380、4
5100、紫色色素としてはCI No.42640、
青色色素としてはCI No.42090、7301
5、緑色色素としてはCI No.42095、等が挙
げられる。防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾー
ル、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、
ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。本
発明に使用できる消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ま
しく。その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用
することができる。本発明の親水性強化剤溶液は、通常
商業ベースとするときは濃縮化し商品化するのが一般的
である。濃縮液を使用するときは、水道水、井戸水等で
30〜500倍に希釈して用いる方が経済的で好まし
い。
【0067】親水性層の付与方法は、親水性層の構成物
質やその混合組成物が液体の場合は直接塗布してもよ
く、また好ましくは親水性物質を水やメタノールのよう
な親水性の溶媒に溶解して溶液として塗布を行うのがよ
い。塗布の方法としては公知の任意の方法を用いること
ができるが、塗り付け塗布、噴霧塗布及び浸漬塗布は好
ましい方法である。その場合の塗布液中の構成物質の含
有量は、均一溶液となる限り制約はなく、1質量%以
上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質
量%以上であって親水性物質のみで構成されていてもよ
い。また、親水性物質を単独で使用してもよく、二種以
上の混合組成でもよい。
【0068】〔製版〕 (活性光による画像形成)以上のようにして親水性層を
表面に付与された印刷原板は、つぎの活性光の像様照射
によって被照射部の親水性層が光触媒的に分解除去され
て疎水性領域として画像が記録される。
【0069】原板表面に照射される活性光の光源は、光
触媒能を有する物質の感光域の波長の光、すなわち光吸
収域に相当する波長の光を発する光源である。例えば光
触媒能を有する物質が酸化チタンの場合では、アナター
ゼ型が387nm以下,ルチル型が413nm以下、酸
化亜鉛は387nm以下に、その他の多くの金属酸化物
の場合も250〜390nmの紫外部に感光域を有して
おり、また、酸化亜鉛の場合は、固有吸収波長域(紫外
線領域)のほかに、既知の方法で分光増感を行って適用
できる活性光の波長領域を拡げることもでき、したがっ
て使用される光源は、これらの波長領域の光を発する光
源であり、主として紫外線を発する光源といえる。活性
光の照射を受けた領域は、光触媒作用によって親水性と
なり、疎水化剤の層が除去される。したがって親水性領
域が像様に形成される。活性光の光触媒作用によって親
水性領域の像様の分布を形成させる手段には、面露光方
式、走査方式のいずれでもよい。
【0070】面露光方式の場合は、一様な光をマスク画
像(例えば印刷原稿を現像したリスフィルム)を通して
原板上に照射して、照射領域の表面を親水性化する方式
である。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から
支持体とマスク画像を通して露光することもできる。面
露光方式で活性光の照射を行うのに適した光源は、水銀
灯、タングステンハロゲンランプ、その他のメタルハラ
イドランプ、キセノン放電灯などである。その露光時間
は、上記の露光強度が得られるように露光照度を勘案し
て決定される。
【0071】好ましい照射光の強さは、光触媒型金属酸
化物の画像形成層の性質によって異なり、また活性光の
波長、分光分布及び光触媒能を有する熱応答型物質の光
吸収率によっても異なるが、通常はマスク画像(例えば
現像済みリスフィルム)で変調する前の面露光強度が
0.05〜100joule/cm2 ,好ましくは0.
05〜10joule/cm2 ,より好ましくは0.0
5〜5joule/cm 2 である。また、光触媒反応に
は相反則が成立することが多く、例えば10mW/cm
2で100秒の露光を行っても、1W/cm2 で1秒の
露光を行っても、同じ効果が得られる場合も多く、この
ような場合には、活性光を発光する光源の選択の幅は広
くなる。
【0072】後者、すなわち走査式露光の場合には、画
像マスクを使用する代わりにレーザービームを画像信号
で変調して原板上を走査する方式が行われる。レーザー
光源は、活性光のビームを発振する公知のレーザーを用
いることができる。例えば、レーザー光源として発振波
長を325nmに有するヘリウムカドミウムレーザー、
発振波長を351.1〜363.8nmに有する水冷ア
ルゴンレーザー、330〜440nmに有する硫化亜鉛
/カドミウムレーザーなどを用いることができる。さら
に、紫外線レーザー、近紫外線レーザー発振が確認され
ている発振波長を360〜440nmに有する窒化ガリ
ウム系のInGaN系量子井戸半導体レーザー、及び発
振波長を360〜430nmに有する導波路MgO−L
iNb0 3 反転ドメイン波長変換型のレーザーを使用す
ることもできる。レーザー出力が0.1〜300Wのレ
ーザーで照射をすることができる。また、パルスレーザ
ーを用いる場合には、ピーク出力が1000W、好まし
くは2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。支
持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通
して露光することもできる。
【0073】〔印刷及び印刷原板の再生〕活性光の像様
照射によって疎水性の画像領域と親水性の非画像領域の
像様分布が形成された親水・親油材料含有層を有する印
刷版は、つぎに印刷工程に入る。この印刷版は、公知の
平版印刷法に比較して簡易性を中心に多くの利点を有す
る。すなわち前記したようにアルカリ現像液による化学
処理が不要であり、それに伴うワイピング、ブラッシン
グの操作も不要であり、さらに現像廃液の排出による環
境負荷も伴わない。また、製版工程も上記したように簡
易である。
【0074】印刷版の非画像領域は、十分に親水性化し
ているのでその必要はないが、所望により、水、界面活
性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体
を含む不感脂化液で後処理してもよい。その方法として
は、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平
版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に
印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる
塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ
ー、あるいは、スキージーローラーで、その塗布量を均
一にすることは、より好ましい結果を与える。整面液の
塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適
当である。この様な処理によって得られた平版印刷版
は、オフセット印刷機等にかけられ、あるいは印刷機上
で製版され、多数枚の印刷に用いられる。本発明におけ
る印刷版は、湿し水を必要としない水なし印刷を行える
ので、一層簡易性の特徴を発揮できるが、湿し水を使用
することもできる。
【0075】次に印刷を終えた印刷版の再生工程につい
て記す。印刷終了後の印刷版は疎水性の石油系溶剤を用
いて付着しているインキを洗い落とす。溶剤としては市
販の印刷用インキ溶解液として芳香族炭化水素、例えば
ケロシン、アイソパ−などがあり、そのほかベンゾー
ル、トルオール、キシロール、アセトン、メチルエチル
ケトン及びそれらの混合溶剤を用いてもよい。画像物質
が溶解しない場合には、布などを用いて軽く拭き取る。
また、トルエン/ダイクリーンの1/1混合溶媒を用い
るとよいこともある。また、さらに希酸で版面を処理す
ることも好ましい。希酸の濃度は、通常0.001〜
0.1mol/L、好ましくは0.005〜0.05m
ol/Lであり、酸としては硫酸、硝酸、塩酸、次亜塩
素酸などが用いられる。酸の溶液には、0.001〜
0.01mol/Lの過酸化水素をさらに添加すること
もある。この処理によって有機溶剤では除去しきれない
汚れや履歴が除かれる。
【0076】インキを洗浄除去した印刷版は、原板全体
を活性光で一様に照射する初期化により印刷版作成過程
の履歴を完全に除去する。初期化によって再生された印
刷原板の性能が確保される。
【0077】初期化にはその光触媒性金属酸化物の活性
光を用いる。その光源は、光触媒能を有する物質の感光
域の波長の光、すなわち光吸収域に相当する波長の光を
発する光源である。例えば光触媒能を有する物質が酸化
チタンの場合では、アナターゼ型が387nm以下,ル
チル型が413nm以下、酸化亜鉛は387nm以下
に、その他の多くの金属酸化物の場合も250〜390
nmの紫外部に感光域を有しており、また、酸化亜鉛の
場合は、固有吸収波長域(紫外線領域)のほかに、既知
の方法で分光増感を行って適用できる活性光の波長領域
を拡げることもでき、したがって使用される光源は、こ
れらの波長領域の光を発する光源であり、主として紫外
線を発する光源といえる。活性光の照射を受けた領域
は、光触媒作用によって一様の親水・疎水性の初期状態
となる。面露光方式で活性光の照射を行うのに適した光
源は、水銀灯、タングステンハロゲンランプ、その他の
メタルハライドランプ、キセノン放電灯などである。そ
の露光時間は、上記の露光強度が得られるように露光照
度を勘案して決定される。
【0078】好ましい照射光の強さは、光触媒型金属酸
化物の画像形成層の性質によって異なり、また活性光の
波長、分光分布及び光触媒能を有する熱応答型物質の光
吸収率によっても異なるが、通常は面露光強度が0.0
5〜100J/cm2 ,好ましくは0.05〜10J/
cm2 ,より好ましくは0.05〜5J/cm2 であ
る。
【0079】走査式露光方式で活性光照射を行うのに適
したレーザー光源は、活性光のビームを発振する公知の
レーザーを用いることができるが、描画の場合とは異な
ってビーム径を絞り込む必要はなく、例えばビーム径を
50〜100μmに設定して全面均一照射を確実に行
う。レーザー光源としては、たとえば発振波長を325
nmに有するヘリウムカドミウムレーザー、発振波長を
351.1〜363.8nmに有する水冷アルゴンレー
ザー、330〜440nmに有する硫化亜鉛/カドミウ
ムレーザーなどを用いることができる。さらに、紫外線
レーザー、近紫外線レーザー発振が確認されている発振
波長を360〜440nmに有する窒化ガリウム系のI
nGaN系量子井戸半導体レーザー、及び発振波長を3
60〜430nmに有する導波路MgO−LiNb03
反転ドメイン波長変換型のレーザーを使用することもで
きる。レーザー出力が0.1〜300Wのレーザーで照
射をすることができる。また、パルスレーザーを用いる
場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは200
0Wのレーザーを照射するのが好ましい。
【0080】光触媒性金属化合物は、多くの場合に高温
親水性発現物質であるので、活性光の照射でもとの親水
・親油性を回復させる代わりに高温加熱によって親水・
親油性を回復させることもできる。高温親水性発現物質
とは高温のもとで親水性又は親水・親油性となる物質で
あるが、その親水性又は親水・親油性とはその物質の表
面が清浄なときに現れる物質本来の極性を指している。
つまり親水性又は親水・親油性とは相対的表現であり、
本発明に用いる親水・親油性の物質に発現する高温親水
性の実態は、その物質本来の親水・親油性である。加熱
の方法は、ヒートモード光の照射(例えば酸化チタンの
ように光熱変換性でもある場合)によっても、光熱変換
によらない直接の熱エネルギーによる加熱であってもよ
い。直接の熱エネルギーの適用加熱の方法としては、送
風加熱、赤外線照射加熱、電磁波(マイクロ波)加熱、
電熱加熱などの方法を選択できる。加熱温度は、光触媒
性金属化合物によて異なるが、通常150〜290°
C,多くの場合に170〜250°Cに1〜10分、多
くは1〜5分程度保つことによって親水・親油性が回
復、即ち初期化が完了する。
【0081】印刷原板を印刷機の版胴に装着して機上製
版する本発明の態様においては、加熱による初期化の一
形態として版胴に埋め込みヒーターを設けた電熱加熱方
式が原板を装着したまま、反復再使用を繰り返すことが
可能であって、とくに好ましい初期化手段である。この
履歴除去操作は、印刷インキを洗浄除去してから次の製
版作業において活性光の像様照射を行うまでの間の任意
の時期に行ってもよいが、その原板を次の製版工程に再
使用する際に行うのが原板の保管中の履歴の影響を排除
できる点で好ましい。
【0082】本発明に係わる印刷原板の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく反面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0083】〔印刷装置〕本発明における印刷原板の構
成材料及び製版操作について説明したので、次にこの原
板を装着して印刷を行う方法及び装置を図によって説明
する。光触媒性で親水・親油性の金属化合物層を表面に
もつ印刷用原板は、版胴に装着されたままで製版される
態様、版胴に装着されたままで製版され、さらに使用済
みの印刷版が洗浄されて印刷原板として再使用される態
様、また製版されたのちに版胴に装着される態様のいず
れであってもよい。以下図1以降の説明では、本発明の
簡易性の典型例である印刷原板が版胴に装着されたまま
製版され、印刷され、印刷後使用済みの版が印刷原板と
して反復再使用される例について説明する。
【0084】(実施形態2)図1は、本発明の上記の典
型的実施形態による平版印刷装置の構成を示す構成概略
図である。図1に示す平版印刷装置は、光触媒性で親水
・親油性の化合物として酸化チタンを含有する層を表面
に有する原板を装着した版胴1(装着した原板は版胴と
接しているので図示してない)と、版胴1上の原板上に
親水性物質の層を付与する親水性層付与部2と、親水性
層が付与された原板表面に活性光を像様に照射して画像
を記録する画像露光部5aと、疎水性像領域と親水性非
画像領域とを有する原板にインキを供給するインキ供給
部3と、印刷終了後に版胴1上の原板に残存するインキ
を洗浄除去するインキ洗浄部4と、インキを除去した原
板上に活性光を照射して残存画像などの履歴を除去する
初期化部5bと、版胴1上の刷版に保持されたインキを
用紙に転写するための中間体としてのブランケット6
と、ブランケット6とともに給送された用紙を保持する
圧胴7とを備え、これらの部材が本体8内に収容されて
なるものである。
【0085】画像露光部5aは、描画方式や画像マスク
方式の種々の形態をとることができる。図2は、画像露
光が、レーザー光による描画方式で行われる場合の画像
露光部5aを中心とする画像記録系の構成の概略模式図
である。図2において画像露光系は、版胴1の表面に画
像情報を担持したレーザー光51を照射するレーザー光
源52と、印刷するべき画像の編集・レイアウトを行う
編集・レイアウトワークステーション54と、編集・レ
イアウトワークステーション54によって印刷すべき画
像から信号化されて画像露光部5aに入力される画像信
号Sと、レーザー光源52を起動させて、そのレーザー
光52に画像信号Sを担持させるレーザー光源駆動部5
3からなり、画像露光部5aは、レーザー光源駆動部5
3とレーザー光51から構成されている。画像露光部5
aは、レーザー光を版胴1の回転に合わせて走査露光を
おこなって版面に描画を行い、描画がなされた部分が疎
水性の画像領域とされ、露光されなかった部分が親水性
の非画像領域となる。
【0086】画像露光部5aの別の構成例は、レーザー
光に代えて面露光方式の画像記録を行う画像露光部であ
る。図3は、面露光方式の印刷装置の態様を示す概略模
式図である。画像マスク挿入部10には、たとえば現像
済みリスフィルムなどの印刷されるべき画像を担持した
画像マスク9が挿入される。画像露光部5aは、水銀灯
や高照度キセノン放電灯などの紫外線(活性光)成分の
多い光が照射されてマスクを通して原板表面に画像露光
がなされる。図3において、そのほかの部分の構成は図
1と同じなので説明を省略する。
【0087】次いで、第1の実施形態の動作について説
明する。まず、版胴に装着された印刷原板には親水性層
付与部2において親水性層が付与されて親水性が強化さ
れるとともに親水性が経時的に低下することが防止され
る。次に図2、図3に示した各方式の画像記録部5a
が、回転しながら通過する版胴1上の原板の表面部分に
疎水性の像様領域として画像領域の形成を行う。このよ
うにして版胴1上の印刷版表面の光触媒性金属化合物層
は、照射を受けた疎水性領域と非照射の親水性領域の双
方で、インキ受容性とインキ反発性がそれぞれ強化され
て識別性、したがって印刷品質が高められており、この
版面にインキ供給部3よりインキが供給される。これに
より、版胴1上の印刷版の親油性の画像領域にはインキ
が保持され、親水性の非画像領域にはインキで汚染され
ないだけの親水性が保持される。
【0088】その後、ブランケット6と圧胴7との間に
矢印Aに示すように用紙を供給し、版胴1上の原板に保
持されたインキをブランケット5を介して用紙に転写す
ることにより平版印刷が行われる。
【0089】印刷終了後、インキ洗浄部4により版胴1
上の版面に残存するインキを除去する。その後、版胴1
上の原板を光触媒性で親水・親油性金属化合物薄層(本
態様では酸化チタン薄層)に高圧水銀灯を備えた初期化
部5bにおいて活性光の一様照射が行われて原板の全面
が初期状態の親水・親油性となり、製版操作を行う前の
状態に戻る。
【0090】このように、本発明による平版印刷装置に
よれば、親水性物質の層の付与と画像領域の親水性物質
の光化学的酸化分解除去によって、版胴1上の原板に識
別性の高い印刷版面を形成することができ、これにより
現像が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が保たれた平版印刷を
行うことができる。また、版胴1上の版面を洗浄して活
性光を一様照射することにより元の状態に戻すことがで
きるため、版胴1上の原板を反復使用することができ、
これにより印刷物を低コストで提供することができるこ
ととなる。さらに、印刷装置から版胴1上の原板を取り
外す必要がないため、従来のPS版のように印刷装置に
組み込む際にゴミなどが付着することもなくなり、これ
により、印刷品質を向上させることができる。
【0091】また、印刷用原板として版胴1上の原板を
使用し、版胴1上の原板の周囲に画像露光部5a、親水
性層付与部2、インキ供給部3、インキ洗浄部4及び初
期化部5bを配設することにより、単に版胴1上の原板
を回転させるのみで、原板の親水性層の付与、疎水性の
画像部形成、インキの供給と印刷、さらには印刷終了後
のインキ洗浄及び履歴除去のための初期化を行うことが
できるため、装置をコンパクトに構成することができ、
これにより省スペース化を図ることができる。
【0092】次いで、本発明の第2の実施形態について
説明する。 (実施形態2)図5は本発明の第2の実施形態による平
版印刷装置の構成を示す図である。図5に示す平版印刷
装置は、図1に示す平版印刷装置を印刷ユニット11
Y,11M,11C,11Bとして4台直列に本体12
内に配置して構成されるものであり、それぞれ、Y(イ
エロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラッ
ク)のインキを使用してカラー印刷を行うものである。
【0093】各印刷ユニット11Y,11M,11C,
11Bの構成および動作は上述した図1に示す平版印刷
装置と同一であるため、詳細な説明は省略する。第2の
実施形態においては、各印刷ユニット11Y,11M,
11C,11Bのインキ・湿し水供給部において供給さ
れるインキの色が、それぞれ、Y(イエロー)、M(マ
ゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)である点が異
なるものである。
【0094】次いで、第2の実施形態の動作について説
明する。まず、印刷ユニット11Y,11M,11C,
11Bにおいて版胴1上の原板をゆっくり回転させなが
ら図2〜4に説明したように親水性層付与部5において
親水性層が与えられ、ついで親水性の上に画像露光部5
aが活性光を像様に照射して画像領域が付与される。版
胴を疎水性画像付与に十分の時間で通過する速度で回転
し、画像領域を形成させた後に、図1の親水性強化処理
部3aによる親水性強化剤の適用が行われる。そして、
各印刷ユニット11Y,11M,11C,11Bのイン
キ・湿し水供給部からY,M,C,Bそれぞれの色のイ
ンキを供給して、各印刷ユニット11Y,11M,11
C,11Bの版胴1上の原板にインキおよび湿し水を保
持する。その後、図4の矢印Bに示すように用紙を供給
して、各印刷ユニット11Y,11M,11C,11B
のインキを用紙に転写する。すなわち、印刷ユニット1
1YにおいてはYのインキが転写され、印刷ユニット1
1MにおいてはMのインキが転写され、印刷ユニット1
1CにおいてはCのインキが転写され、印刷ユニット1
1BにおいてはBのインキが転写される。これにより、
用紙にはカラー画像がネガ型の方式で印刷されることと
なる。
【0095】印刷終了後、各印刷ユニット11Y,11
M,11C,11Bのインキ洗浄部(図1の4)により
版胴に残存するインキを除去する。その後、版胴1上の
原板をゆっくり回転させながら初期化部(図1の5b)
によって履歴除去を行い、版胴1上の原板をもとの親水
・親油性の状態にして、版胴1上の原板は描画前の状態
に戻る。
【0096】以上の実施形態1及び2にも示されたよう
に、従来提案された簡易な製版方式の諸方式、たとえば
像様活性光照射のみを行う特開平11−138911号
公報に記載の製版方式に較べて、親水性画像層を付与し
てから活性光の像様照射を行う本発明が、非画像領域の
親水性が強化され、安定化であるだけに識別性にも優れ
ており、また疎水性画像物質を像様に設ける特開平9−
131914号及び10−35131号公報に較べて製
版工程が一層簡単化されており、さらに履歴に影響され
ず、再現性がよいことなどの利点を有している。
【0097】
【実施例】以下に本発明の具体的態様を実施例によって
示すが、本発明はこれらに限定されない。 〔実施例1〕本実施例1では、上記実施形態1による具
体例を示す。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.
01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量
%、ケイ素を0.1重量%含有するJISA1050ア
ルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシ
ュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液
と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用
いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。こ
れを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム
4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が
5g/m2になるようにエッチングした後、流水で水洗し
た。更に、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝
酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極
時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形
波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5
796号公報実施例に記載されている電流波形)を用い
て160クローン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処
理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2
になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50
℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットし
た後、水洗した。
【0098】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られた
アルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計
で測定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは
0.58μmであった。
【0099】次いでこのアルミニウム支持体を真空蒸着
装置内に入れて、全圧2.0x10 -2Torrになるように
分圧70%の酸素ガスの条件下でチタン金属片を電熱加
熱して、アルミニウム支持体上に蒸着して酸化チタン薄
膜を形成した。この薄膜の結晶成分はX線解析法によっ
て無定型/アナターゼ/ルチル結晶構造の比が1.5/
6.5/2であり、TiO2薄膜の厚さは90nmであっ
た。これを版胴1上の原板の基体に巻き付けて機上印刷
用の原板とした。庫のようにしてアルミニウム支持体上
に酸化チタン薄膜を設けた印刷原板を作成した。酸化チ
タン薄膜表面の水に対する接触角をContact Angle Mete
r CA-D(協和界面科学(株)製)を用いて空中水滴法で
測定したところ、全表面ともほぼ均一に45〜49度の
間にあった。
【0100】次いで、この印刷用原板を図1に示した印
刷装置の版胴に装着し、図1の親水性層付与部2からロ
ーラー塗布方式で下記塗布液を原板表面に塗布量が12
mg/m2 となるように親水性層を塗布した。 親水性層塗布液組成 成分化合物 量(g) エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル 300 プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 250 ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体 (プルロニックL−31、旭電化(株)) 5 ヒドロキシプロピルセルロース 3 リン酸第一アンモン 15 クエン酸第二アンモン 5 N,N−ビスカルボキシメチル−β−アラニンの3ナトリウム塩 3 プロピオン酸 50 4−イソチアゾリン−3−オン誘導体 3 純水 全量を1000mlとした
【0101】原板表面の親水性層の水に対する接触角を
Contact Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)を
用いて空中水滴法で表面の水に対する接触角を測定した
ところ、いずれの照射領域も7〜9度の間にあった。
【0102】発振波長を325nmに有するヘリウムカ
ドミウムレーザーを使用して画像変調したレーザー光を
照射した。レーザー光の照射条件は下記の通りである。 レーザ−出力 : 200 mW ビーム半径 : 12.5μm 走査速度 : 1.7m/sec 出力 : 700mJ/cm2 この版胴1上の原板に図1のインキ供給部3からインキ
を供給しながら、湿し水を用いることなく100枚の印
刷を行った。印刷の始めから終わりまで地汚れのない鮮
明な印刷物が得られ、版胴1上の原板の損傷も認められ
なかった。
【0103】次いで洗浄部4において、版胴1上の原板
の表面を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;
大日本インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液を
ウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去し
た。次いで初期化部2においてヘリウムカドミウムレー
ザーを用いて走査露光によって初期化を行った。走査露
光条件は、画像変調されていない光でかつビーム半径を
50μmとして原板表面全面への一様照射としたこと以
外は上記画像露光の場合と同じである。前と同じ方法で
接触角を測定した。版表面のどの部分も48〜55度の
間にあった。
【0104】このようにして、版胴上で1サイクルの製
版・印刷及び原板再生工程を終えた原板を版胴に装着し
たまま再び上記の製版過程を行って印刷版を製作し、上
記と同じように水なし印刷方式で100枚の平版印刷を
行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、
版胴1上の原板の損傷も認められなかった。
【0105】以上の繰り返しを5回実施したところ、疎
水性画像領域、非画像領域のそれぞれの水滴接触角の
値、印刷後のインク除去した版面の加熱による接触角の
回復スピード及び印刷面の画像の鮮明さの変化は認めら
れなかった。この結果から、酸化チタン層をアルミニウ
ム支持体上に設けた印刷原板を使用し、実施形態1の印
刷装置を用いて親水性物質の層を設けて活性光の像様照
射を行い、照射部にインキを像様付与する製版・印刷が
可能であり、しかもインキの洗浄除去と活性光照射によ
る初期化のみで印刷原板を反復再生使用できることが示
された。
【0106】〔実施例2〕実施例1のヘリウムカドミウ
ムレーザーによる画像露光の代わりにウシオ電気社製U
S10焼き付け用光源装置ユニレックURM600形式
GH60201Xを用いて光強度10mW/cm2 のも
とで1分間露光の条件で、現像済みフィルムを通して原
板表面に活性光の像様照射を行ったことと、印刷後の初
期化の光照射を同様に上記ユニレック光源装置を用いて
活性光の一様照射に代えたこと以外は、実施例1と同じ
試験を行った。親水性層表面、光照射後の光照射領域及
び印刷後に初期化を行ったのちの原板表面のいずれにつ
いてもそれぞれ水に対する接触角は、実施例1で求めた
それぞれの接触角と実質的に同等であった。
【0107】〔実施例3〕真空蒸着装置中に100ミク
ロン厚みのSUS板をセットして全圧0.65Paの真
空下でセレン化亜鉛を100nmの厚みに蒸着した。こ
れを空気中600°Cで2時間酸化処理してSUS板の
片面に酸化亜鉛の薄膜を形成させた。原板表面の画像層
領域の水に対する接触角をContact Angle Meter CA-D
(協和界面科学(株)製)を用いて空中水滴法で水に対
する接触角を測定したところ、50〜56度の間にあっ
た。
【0108】この酸化亜鉛皮膜付き100ミクロンSU
S板を酸化チタン薄膜付きのアルミニウム原板に代えて
使用した以外は、実施例2と同じ試験を行った。親水性
層を付与したのち、その表面の水に対する接触角をCont
act Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)を用い
て測定したところ、13〜17度の間にあった。また、
ユニレック光源装置からの活性光による像様露光の際の
均一照射面の水に対する接触角は68〜72度に増加し
ていた。さらに印刷終了後インキ除去した原板表面全面
へのユニレック光源装置の活性光の一様照射を行うこと
によって接触角は版表面のどの部分も50〜56度の間
にあった。また、各回100枚の印刷を行った結果は、
いずれも印刷の始めから終わりまで地汚れのない鮮明な
印刷物が得られ、版胴1上の原板の損傷も認められなか
った。
【0109】この結果から、酸化亜鉛層をSUS支持体
上に設けた印刷原板を使用し、態様1の印刷装置を用い
て親水性層の付与と活性光にとる像様照射によって識別
性の高い印刷が可能であり、しかもインキの洗浄除去と
活性光の一様照射による初期化のみで印刷原板を反復再
生使用できることが示された。
【0110】〔実施例4〕実施例1と同様にして陽極酸
化処理したアルミニウム支持体をCsLa2 NbTi2
10の化学量論比に相当するセシウムエトキシド、チタ
ンブトキシド、ランタンイソブトキシド、ニオブエトキ
シドを含む20%のエタノール溶液に浸漬して表面を加
水分解したのち280°Cに加熱してアルミニウム支持
体表面にCsLa2 NbTi2 10の厚み100nmの
薄膜を形成させた。原板表面の画像層領域の水に対する
接触角をContact Angle Meter CA-D(協和界面科学
(株)製)を用いて空中水滴法で水に対する接触角を測
定したところ、48〜52度の間にあった。
【0111】この印刷用原板を実施例1の酸化チタン薄
膜付きのアルミニウム支持体の原板に代えた以外は、実
施例1と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を
行った。親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及
び2回目とも16〜19度であり、また、被照射領域の
接触角は、75〜80度であった。印刷面の品質も1回
目及び2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域
の識別性も十分であった。
【0112】〔実施例5〕実施例1で使用したものと同
じ粗面化処理と陽極酸化処理を施したアルミニウム支持
体を使用してチタン酸バリウムを光触媒能を有する金属
酸化物とした原板を作製した。すなわち、上記アルミニ
ウム支持体をスパッタリング装置内にセットし、6.5
×10-5Paまで真空排気する。Arガスを導入してA
rのガス圧を0.65Paに設定し、6インチφのチタ
ン酸バリウムの焼結ターゲットにRFパワー200Wを
投入して膜厚100nmのチタン酸バリウム薄膜を形成
した。X線解析法によれば、この薄膜は多結晶体であっ
た。原板表面の画像層領域の水に対する接触角は、44
〜46度の間にあった。このチタン酸バリウム薄膜付き
アルミニウム支持体を版胴の基体に巻き付けて原板とし
て使用したこと以外は、実施例1と同じ製版、印刷及び
インキ洗浄除去、再印刷を行った。親水性層表面の水に
対する接触角は、1回目及び2回目とも13〜16度で
あり、また、被照射領域の接触角は、70〜74度であ
った。印刷面の品質も1回目及び2回目とも地汚れはな
く、画像領域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0113】〔実施例6〕実施例2において、親水性層
の付与を下記組成からなる水系塗布液を調製して2.0
g/m2の膜厚になるように塗布して行った以外は、実
施例2と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を
行った。 (組成) PVA117(クラレ(株)製)10%溶液 3.5g グルタルアルデヒド 15.0g プロピオン酸 8.0g 水 40.0g 親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及び2回目
とも14〜17度であり、また、被照射領域の接触角
は、76〜79度であった。印刷面の品質も1回目及び
2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別
性も十分であった。
【0114】〔実施例7〕実施例2において、親水性層
の付与を下記組成からなる水系塗布液を調製して2.0
g/m2の膜厚になるように塗布して行った以外は、実
施例2と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を
行った。 (組成) ポリアクリル酸(10%水溶液) 10.0g グルタルアルデヒド 5.0g プロピオン酸 8.0g 水 40.0g 親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及び2回目
とも14〜17度であり、また、被照射領域の接触角
は、76〜79度であった。印刷面の品質も1回目及び
2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別
性も十分であった。
【0115】〔実施例8〕実施例2において、親水性層
の付与を下記組成からなる水系塗布液を調製して2.0
g/m2の膜厚になるように塗布して行った以外は、実
施例2と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を
行った。 (組成) ポリアクリルアミド(10%水溶液) 10.0g n−プロパノール 5.0g プロピオン酸 8.0g 水 40.0g 親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及び2回目
とも14〜17度であり、また、被照射領域の接触角
は、76〜79度であった。印刷面の品質も1回目及び
2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別
性も十分であった。
【0116】〔実施例9〕実施例2において、親水性層
の付与を下記組成からなる水系塗布液を調製して2.0
g/m2の膜厚になるように塗布して行った以外は、実
施例2と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を
行った。 (組成) ポリビニルピロリドン(10%水溶液) 10.0g n−プロパノール 5.0g プロピオン酸 8.0g 水 40.0g 親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及び2回目
とも14〜17度であり、また、被照射領域の接触角
は、76〜79度であった。印刷面の品質も1回目及び
2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別
性も十分であった。
【0117】〔実施例10〕実施例2において、親水性
層の付与を下記組成からなる水系塗布液を調製して2.
0g/m2の膜厚になるように塗布して行った以外は、
実施例2と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷
を行った。 (組成) クエン酸 5.0g ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)グリコール 2.0g n−プロパノール 4.0g グリセロールラウレート 4.0g 水 10.0g 親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及び2回目
とも14〜17度であり、また、被照射領域の接触角
は、76〜79度であった。印刷面の品質も1回目及び
2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別
性も十分であった。
【0118】
【発明の効果】本発明の光触媒性であってかつ親水・親
油性の金属化合物層を原板上に設けた印刷用原板に親水
性物質の画像層を付与したのち、活性光による像様露光
を行って、親水性と疎水性の像様分布を形成させた印刷
版を用いると、画像領域と非画像領域の識別性が高く、
細線の細りもなく、印刷品質を向上させることができる
上、現像処理を必要とせず、直接印刷版を作成すること
ができる。しかも印刷終了後、印刷版のインキを除去し
て履歴を熱又は光によって除去して印刷原板を再生して
反復使用することができる。また、原板を印刷機の版胴
に装着し、印刷機上で、親水性画像の付与、活性光の像
様照射、インキ供給のもとでの印刷及び印刷後の原板再
生を行う印刷装置を用いて簡易で安価な平版印刷を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による平版印刷装置の
構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による平版印刷装置の
画像露光部の一態様の構成模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による平版印刷装置の
面露光方式の画像露光部の一態様を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による平版印刷装置の
構成を示す図である。
【符号の説明】
1 版胴 2 親水性層付与部 3 インキ供給部 4 インキ洗浄部 5a 画像露光部 5b 初期化部 6 ブランケット 7 圧胴 8、12、15 本体 9 画像マスク 10 画像マスク挿入部 11Y,11M,11C,11B 印刷ユニット 14Y,14M,14C,14B 印刷ステーション 51 レーザー光源 52 レーザー光 53 レーザー光源駆動部 54 ワークステーション S 画像信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C034 AA12 AA42 BA02 BA16 2H025 AA12 AB03 AC01 AD01 BH03 DA02 FA28 2H084 AA14 AA16 AA36 AA38 AE05 BB13 BB16 CC05 CC06 2H096 AA06 BA01 BA20 LA30 2H114 AA04 AA05 AA24 AA27 AA30 BA01 BA10 DA05 DA08 DA25 DA27 DA28 DA29 DA42 DA46 DA47 DA50 DA51 DA53 EA01 EA05 EA08 GA01 GA22 GA29 GA38

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒能を有し、かつ親水・親油性の金
    属化合物の薄層を表面に有する印刷用原板に親水性物質
    の層を付与したのち、活性光を像様に照射してインキ受
    容領域を形成することを特徴とする平版印刷版。
  2. 【請求項2】 光触媒能を有し、かつ親水・親油性の金
    属化合物が、TiO2 、RTiO3 (Rはアルカリ土類
    金属原子)、AB2-x x 3-x x 10(Aは水素原
    子又はアルカリ金属原子、Bはアルカリ土類金属原子又
    は鉛原子、Cは希土類原子、Dは周期律表の5A族元素
    に属する金属原子、Eは同じく4A族元素に属する金属
    原子、xは0〜2の任意の数値を表す)、SnO2 、B
    2 3 ,ZnO,FeOx (x=1〜1.5)及びZ
    rO2 から選ばれる金属化合物であることを特徴とする
    請求項1に記載の平版印刷版。
  3. 【請求項3】 親水性物質の層が、低級脂肪族カルボン
    酸、低級脂肪族アルデヒド、脂肪族多価アルコール、ポ
    リ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリコール
    アルキルエーテル、アルキルスルホン酸、一価アルコー
    ル、水及び界面活性剤から選択される層であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の平
    版印刷版を使用して印刷を行ったのち、該使用済み印刷
    版からインキを洗浄して除去し、活性光を版面に一様照
    射して印刷版を親水・親油性の状態に戻し、該印刷版を
    印刷用原板として再使用することを特徴とする平版印刷
    方法。
  5. 【請求項5】 (1)光触媒能を有し、かつ親水・親油
    性の金属化合物の層を表面に有する印刷用原板を装着し
    た版胴と(2)該原板に親水性物質の層を付与する親水
    性層付与部と、(3)該親水性物質の層を設けた原板に
    像様の活性光を照射して画像領域を形成させる活性光照
    射部と、(4)該画像領域にインキを付与するインキ付
    与部と、(5)インキを受容した該画像領域と、インキ
    を反発する非画像領域からなる印刷面を被印刷面と接触
    させて印刷を行う印刷部と、を有することを特徴とする
    平版印刷装置。
  6. 【請求項6】 印刷済みの版をインキ溶剤で洗浄して印
    刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部及び初期化
    部を有することを特徴とする請求項5に記載の平版印刷
    装置。
JP2000191685A 2000-06-26 2000-06-26 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置 Pending JP2002002136A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000191685A JP2002002136A (ja) 2000-06-26 2000-06-26 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000191685A JP2002002136A (ja) 2000-06-26 2000-06-26 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002002136A true JP2002002136A (ja) 2002-01-08

Family

ID=18690944

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000191685A Pending JP2002002136A (ja) 2000-06-26 2000-06-26 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002002136A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004042633A (ja) * 2002-06-17 2004-02-12 Heidelberger Druckmas Ag 再使用可能な印刷版
JP2005527396A (ja) * 2002-02-19 2005-09-15 オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング デジタル式の印刷法並びに凹点式の画像支持体を備えた印刷装置
JP2006248225A (ja) * 2005-03-09 2006-09-21 Heidelberger Druckmas Ag 再画像付け可能な版を処理する方法および装置
CN113910749A (zh) * 2020-07-09 2022-01-11 柯尼卡美能达株式会社 制版装置和制版方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005527396A (ja) * 2002-02-19 2005-09-15 オーセ プリンティング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング デジタル式の印刷法並びに凹点式の画像支持体を備えた印刷装置
JP2004042633A (ja) * 2002-06-17 2004-02-12 Heidelberger Druckmas Ag 再使用可能な印刷版
JP4679806B2 (ja) * 2002-06-17 2011-05-11 ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト 再使用可能な印刷版
JP2006248225A (ja) * 2005-03-09 2006-09-21 Heidelberger Druckmas Ag 再画像付け可能な版を処理する方法および装置
CN113910749A (zh) * 2020-07-09 2022-01-11 柯尼卡美能达株式会社 制版装置和制版方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0903223B1 (en) Lithographic printing method and printing plate precursor for lithographic printing
EP0911154B1 (en) Plate making device and printer and printing system using the plate making device
EP0911155B1 (en) Plate making device and printer and printing system using the plate making device
US6833225B2 (en) Lithographic printing method and lithographic printing apparatus thereof
JP2002079774A (ja) 平版印刷方法、印刷用原板及び印刷装置
JP2001105757A (ja) 平版印刷用刷版の作製方法
EP1002643B1 (en) Lithographic printing plate precursor and process for lithography
JP3739962B2 (ja) 平版印刷版用原版、これを用いた平版印刷版の製版方法および平版印刷版用原版の製造方法
JP2000296682A (ja) 平版印刷版の製造方法
JP3893420B2 (ja) 平版印刷版の作成方法
JP2002002136A (ja) 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置
JP2002001900A (ja) 平版印刷方法、平版印刷版および平版印刷装置
JP2002001899A (ja) 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置
JP2002002137A (ja) 平版印刷版の作製方法、平版印刷方法および平版印刷装置
JPH11143055A (ja) 平版印刷版の作成方法及び平版印刷用原版
JP2002211157A (ja) 平版印刷方法、印刷用原板及び印刷装置
JP4299907B2 (ja) オフセット印刷方法、印刷用原板及び印刷装置
JPH11138970A (ja) オフセット印刷方法
JP2001117218A (ja) 平版印刷方法
JPH11174664A (ja) オフセット印刷方法
JP2000255020A (ja) オフセット印刷方法及び印刷装置
JPH11138971A (ja) オフセット印刷方法及びオフセット印刷用原板
JPH11123804A (ja) オフセット印刷装置
JPH11123806A (ja) 製版装置および印刷システム
JPH11123807A (ja) 製版装置および印刷システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050825

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060324

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071015

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071024

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071108

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071115

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20071122

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080312