JP2002001899A - 平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置 - Google Patents

平版印刷版、平版印刷方法および平版印刷装置

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JP2002001899A
JP2002001899A JP2000191358A JP2000191358A JP2002001899A JP 2002001899 A JP2002001899 A JP 2002001899A JP 2000191358 A JP2000191358 A JP 2000191358A JP 2000191358 A JP2000191358 A JP 2000191358A JP 2002001899 A JP2002001899 A JP 2002001899A
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ink
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JP2000191358A
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English (en)
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Hisao Oishi
尚生 大石
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】現像を必要とせず、像様露光を原板に加えると
によって実質的に印刷面が形成される、しかも印刷時の
着肉性がよく印刷汚れが少なく、かつ印刷用原板を反復
使用することも可能な印刷版とその作製方法を提示する
こと。また、上記の印刷版の作製を印刷機上で行うこと
ができる印刷装置を提示すること。 【解決手段】光触媒性で、かつ親水・親油性の金属化合
物の薄層を表面に有する印刷用原板に親水性物質の層を
像様に付与してインキ反発領域を形成させ、親水性の層
が付与されない領域をインキ受容領域とすることを特徴
とする平版印刷版。この印刷版を用いて湿し水を用いな
いで印刷する印刷方法。また、使用済みの印刷版を活性
光照射によって初期化して反復使用する印刷方法。さら
に上記の印刷方法に用いる平版印刷装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷に関する。
具体的には、現像することなく製版することが可能な簡
易な平版印刷版とその作製方法とに関する。さらに印刷
機上で直接製版も可能な平版印刷方法及び装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】活性光の照射によって極性変換が引き起
こされる光触媒性化合物を利用して親水性と疎水性の像
様分布を形成させて印刷版とし、この印刷版を用いて印
刷する方法が数多く提案されている。この方法は、原板
上に像様露光を行うだけで照射領域と非照射領域にイン
キ受容性とインキ反発性に別れるに足る極性変化が生じ
るのでそのまま印刷にかけることができて、極めて簡易
な製版・印刷方法といえる。したがって、この方法で高
品質あるいは高耐刷性の印刷を行えるように改良の試み
がなされてきている。
【0003】例えば、特開平11−138911号、同
11−138970号公報などでは、光触媒性の金属化
合物薄層を表面に有する印刷用原板に活性光を像様に照
射して照射領域を親水性に変化させて親水性の像様分布
を形成させて印刷版とする製版・印刷方法が開示されて
いる。この方法は、活性光の像様照射だけで製版が可能
なのできわめて簡易ではあるが、非画像部を照射する
(いわゆるネガ書き込み)ので、細線がさらに細くなっ
て飛びやすいことなど画像形成能の不安定性に弱点を持
っている。
【0004】これに対して特開平11−143055
号、同11−105234号、同11−123805号
公報などでは、光触媒性の金属化合物薄層を表面に有す
る印刷用原板に活性光を一様照射した一様に親水性の表
面に疎水性物質による描画を行い、描画領域にインキを
受容領域とする、上記と同様に簡易でしかも細線描写に
不安のない方法が提案されている。この製版・印刷方法
は、細線描写についての弱点は解決されているが、画像
領域と非画像領域との識別性は必ずしも十分ではなく、
かつ親水性領域が経時的に疎水性化する現象が起こりや
すいという弱点もある。
【0005】一方、特開平11−78271号公報で
は、同様に光触媒性の金属化合物薄層を表面に有する印
刷用原板に対して疎水性の画像形成物質をインクジェッ
ト型の噴霧方式で描画する方法が提案されている。以上
のように、この分野では光触媒性化合物を利用して簡易
性と印刷品質の両立を目指す製版・印刷方法が開示され
てきているが、依然として市場の要請に十分に応えるレ
ベルには到達しておらず、さらなる改良が望まれてい
る。とりわけ製版・印刷過程の簡易化は印刷分野の市場
拡大につながる特性でもあるので、とくに強く要望され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の背景に基づくものであって、印刷・製版作業の簡易性
と優れた印刷品質とを併せ備えた印刷版とその作製方法
を提示することである。具体的には、現像を必要とせ
ず、簡単に製版と印刷ができて、しかも印刷汚れが少な
い平版印刷版とその作製方法を提示することである。本
発明のさらなる課題は、上記の印刷版の作製を印刷機上
で行うことができる印刷装置を提示することである。ま
た、別のさらなる課題は、印刷原板を反復再使用するこ
とが可能な印刷方法を提示することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題に対して、本
発明者は印刷原板材料として光触媒能を有する化合物
(以下光触媒性化合物と呼ぶ)を用いる従来開示された
製版・印刷方法は、画像と非画像部の識別化手段を表面
の光応答的な極性変化のみに頼っていたために、識別性
が十分に発揮されず、それが簡易性と印刷品質の両立の
支障となっていたものと結論し、上記の光化学的極性変
化を補って識別性を拡大するような補助手段を探索し
た。その結果、非画像部に親水性を補強する物質を適用
することが解決手段として効果的であることを知り、補
強物質の探索と印刷・製版への適用を鋭意検討して本発
明に到達した。すなわち本発明は下記の通りである。
【0008】1.光触媒能を有し、かつ親水・親油性の
金属化合物の薄層を表面に有する印刷用原板に親水性物
質の層を像様に付与してインキ反発性領域を形成させ、
該親水性物質の層を付与されない領域をインキ受容領域
としたことを特徴とする平版印刷版。
【0009】2.光触媒能を有し、かつ親水・親油性の
金属化合物が、TiO2 、RTiO3(Rはアルカリ土
類金属原子)、AB2-x x 3-x x 10(Aは水素
原子又はアルカリ金属原子、Bはアルカリ土類金属原子
又は鉛原子、Cは希土類原子、Dは周期律表の5A族元
素に属する金属原子、Eは同じく4A族元素に属する金
属原子、xは0〜2の任意の数値を表す)、SnO2
Bi2 3 ,ZnO,FeOx (x=1〜1.5)及び
ZrO2 から選ばれる金属化合物であることを特徴とす
る上記1に記載の平版印刷版。
【0010】3.親水性物質の層が、低級脂肪族カルボ
ン酸、低級脂肪族アルデヒド、脂肪族多価アルコール、
ポリ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリコー
ルアルキルエーテル、アルキルスルホン酸、一価アルコ
ール、水及び界面活性剤から選択される物質の層である
ことを特徴とする上記1又は2に記載の平版印刷版。
【0011】4.上記1〜3のいずれか1項に記載の平
版印刷版を使用したのち、該使用済み印刷版からインキ
を洗浄して除去し、活性光を版面に一様照射して印刷版
を親水・親油性の状態に戻し、該印刷版を印刷用原板と
して再使用することを特徴とする平版印刷方法。
【0012】5.(1)光触媒能を有し、かつ親水・親
油性の金属化合物の層を表面に有する印刷用原板を装着
した版胴と(2)該原板に親水性物質の層を像様に付与
してインキ反発性領域を形成させる親水性層付与部と、
(3)原板表面上の該親水性物質の層が付与されない領
域にインキを受容させるインキ付与部と、(4)該イン
キ反発性領域とインキを受容した領域の像様分布によっ
て構成された印刷面を被印刷面と接触させて印刷を行う
印刷部と、を有することを特徴とする平版印刷装置。
【0013】6.印刷済みの版をインキ溶剤で洗浄して
印刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部及び初期
化部を有することを特徴とする上記5に記載の平版印刷
装置。
【0014】はじめに、用語の意味について述べておく
と、上記の「光触媒能を有する化合物」すなわち「光触
媒性化合物」とは、一般に光を吸収することにより表面
の極性変化などの物理化学的変化や酸化・還元などの化
学反応の触媒作用をもたらす性質を有する化合物を指し
ており、また「活性光」とは、光触媒性化合物にそのよ
うな作用をもたらす光を指している。本発明においても
「光触媒性化合物」及び「活性光」はこの意味で用いて
いる。また、「親水・親油性」とは、周囲の環境に応じ
て親水性及び親油性のいずれの性質も発現しうる性質を
指している。
【0015】本発明は、基本的には、第一に親水・親油
性の金属化合物を印刷用原板材料に選んで極めて簡易な
インキ受容領域の形成を可能にしたこと、第二に親水性
層を像様に設けて非画像部を形成させ、非画像部の親水
性(インキ反発性)を補強したこと、及び第三に光触媒
性の金属化合物を印刷原板材料に選んで印刷原板の簡易
な反復使用を可能にしたことを特徴としている。
【0016】光触媒性金属化合物を用いる従来公知の印
刷方法では、光触媒性金属化合物に活性光を照射したと
き被照射部の極性が親水性の方向に変化して、被照射部
と非照射部の間に親水性と疎水性の差、すなわちインキ
受容性の差が生じて印刷版となりうることを利用してい
る。しかしながら、この光触媒性のもたらす極性の差が
必ずしも十分ではないことが印刷品質や耐刷性を制約し
ているので、本発明においては光触媒性であって親水・
親油性でもある金属化合物を印刷用原板材料に選んでお
り、親水・親油性の特性を利用して原板表面に親水性層
を像様に付与して非画像領域すなわちインキ反発性領域
の親水性を補強している。非画像領域のインキ反発性が
このようにして強化されて識別性が強化されるので、画
像領域は原板表面の親水・親油性材料がもつインキ受容
性をそのまま利用するだけで格別の操作を施す必要もな
い。したがって製版過程としては、親水性層の付与だけ
で済ませることも可能であって、きわめて簡易である。
【0017】また、本発明では親水性領域に親水性物質
を固定させているので、かつ光照射による画像領域形成
も行わないので、細線の細りなどの欠陥も避けて精細な
画像の再現を可能としている。さらに、本発明の印刷方
法では、湿し水を必ずしも必要としない。湿し水を用い
ない場合には、印刷操作及び装置は一層簡易であって本
発明の利点をさらに活かす態様となる。
【0018】本発明者は、親水・親油材料の表面は、通
常時間とともに疎水性の方向に変化してゆき、疎水性領
域と非画像部の親水性領域との識別性が減少してゆき、
印刷品質や耐刷性を低下させていたことを見いだしてい
る。本発明における原板上に付与された親水性層は、非
画像領域の親水性を強化するだけでなく、その親水性を
安定に維持することにも寄与しているので、このような
欠陥を抑止して親水性と疎水性の識別性を高いレベルに
保たせることも本発明のさらなる利点である。
【0019】本発明は、印刷を終了した後、印刷版上の
印刷インキを洗浄除去したのち、活性光を全面に照射し
て使用前の親水・親油性の状態を回復させて(これを初
期化とも呼ぶ)印刷原板として再使用することができ
る。しかしながら、インキを除去しても、インキ受容領
域であった部分と非画像領域であった部分の間には微妙
な履歴が残っていて、十分に均一な親水・親油性表面で
はないことがある。本発明では、活性光照射又は加熱操
作により十分な初期化ができるので、1枚の印刷用原板
で上記した製版・印刷工程を繰り返すことができる。
【0020】上記した本発明の印刷・製版方法は、印刷
原板を印刷機に装着して印刷機上で上記した製版・印刷
工程、さらには原板再生工程をも施すことも可能であ
る。原板再生工程も行う印刷装置を用いると、本発明の
製版・印刷方法を原板を印刷機に装着したまま、反復し
て行うことができて、本発明の簡易性という特徴を一層
発揮することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をさら
に詳細に説明する。はじめに光触媒性で親水・親油性の
金属化合物薄層及びそれを担持する支持体で構成される
印刷用原板、次いで像様親水性層の付与などの製版工
程、さらに印刷工程及び印刷終了後の印刷版の再生工
程、そしてさらに本発明による印刷装置について順次述
べる。
【0022】〔印刷用原板〕 (光触媒性で親水・親油性の金属化合物)本発明に用い
る光触媒性金属化合物は、親水・親油性であるが、親水
・親油性物質は、前記したように親水性及び親油性の両
方の性質が内在していて状況に応じていずれの性質をも
具現できる。この物質表面に親水性物質層を付与する
と、親水・親油材料本来の親水性が強化される。親水・
親油性物質の水に対する接触角は30〜70度で、多く
は40〜60度である。すなわち通常親水性として印刷
に適しているとされる水に対する接触角である40度以
下、多くは30度以下と疎水性として印刷に適している
とされる60度以上、多くは70度以上との中間の接触
角を有している。親水・親油性物質は、親水性物質、疎
水性物質のいずれをも容易に受け入れることができると
いう特性を有している。本発明では、この性質を巧みに
利用して親水性物質を像様に付与して親水性を高めさ
せ、一方親水性層が付与されない領域には疎水性のイン
キが容易に受け入れられるので、画像部と非画像部の識
別性を高め、印刷品質の向上に寄与させている。しかも
実質的な製版操作は、像様親水性層の付与のみという極
めて簡易な製版方法でもある。
【0023】本発明に用いられる光触媒性化合物は光触
媒性金属化合物であり、好ましくは光触媒性金属酸化物
である。本発明に用いる光触媒性金属酸化物は、いろい
ろの形態の金属酸化物に見られ、単一の金属酸化物、複
合酸化物のいずれの場合もあり、また後者の場合は、固
溶体、混晶、多結晶体、非晶質固溶体、金属酸化物微結
晶の混合物のいずれからもこの特性を有するものが認め
られる。このような特性をもつ金属酸化物は、経験的に
周期律表の0と VIIA(ハロゲン元素)族を除く第3〜
6周期に属する金属元素の酸化物に見いだされる。な
お、上記金属酸化物は、印刷版として使用する際に湿し
水に対して過度に溶解してはならないので、水に対する
溶解度は、水100ミリリットルについて10mg以
下、好ましくは5mg以下、より好ましくは1mg以下
である。
【0024】好ましい光触媒性金属酸化物としては、ま
ず酸化チタンと酸化亜鉛を挙げられる。中でも酸化チタ
ンが感度(つまり表面性の光変化の敏感性)などの点で
好ましい。酸化チタンは、イルメナイトやチタンスラグ
の硫酸加熱焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化など既
知の任意の方法で作られたものを使用できる。あるいは
後述するように金属チタンを用いて印刷版製作段階で真
空蒸着によって酸化物皮膜とする方法も用いることがで
きる。
【0025】酸化チタン又は酸化亜鉛を含有する層を原
板の表面に設けるには、たとえば、酸化チタン微結晶
又は酸化亜鉛微結晶の分散物(必要によって少量の分散
媒すなわちバインダーを含有)を印刷版の原板上に塗設
する方法、塗設したのち焼成してバインダーを減量或
いは除去する方法、印刷原板上に蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティング、CVDなどの方法で酸化チ
タン(又は酸化亜鉛)膜を設ける方法、例えばチタニ
ウムブトキシドのようなチタン有機化合物を原板上に塗
布したのち、焼成酸化を施して酸化チタン層とする方
法、上記金属塩の水溶液を塗設して加熱し、熱分解さ
せる方法など、既知の任意の方法を用いることができ
る。本発明においては、真空蒸着又はスパッタリングに
よる酸化チタン層が特に好ましい。
【0026】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、具体的には無定形酸化チタン微結晶分散物
を塗布したのち、焼成してアナターゼまたはルチル型の
結晶酸化チタン層とする方法、酸化チタンと酸化シリコ
ンの混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸
化チタンとオルガノシロキサンなどとの混合物を塗布し
てシロキサン結合を介して支持体と結合した酸化チタン
層を得る方法、酸化物と混和できるポリマーバインダー
に分散して塗布する方法とその塗布層を焼成して有機成
分を除去して薄膜とする方法などがある。酸化物微粒子
のバインダ−には、酸化チタン微粒子に対して分散性を
有しており、とくにの薄膜作製用に比較的低温で焼成
除去が可能なポリマーを用いることができる。好ましい
バインダーの例としては、ポリエチレンなどのポリアル
キレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポ
リメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビ
ニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニル
アルコール、ポリスチレンなどの疎水性バインダーが好
ましく、それらの樹脂を混合して使用してもよい。
【0027】上記の酸化チタンの真空蒸着を行うに
は、通常真空蒸着装置内の蒸着用加熱の熱源に金属チタ
ンを置き、真空度10-3〜10-6Paで全ガス圧1〜1
-3Pa、酸素文圧比が30〜90%になるようにしな
がら、チタン金属を蒸発させると、蒸着面には酸化チタ
ンの蒸着薄膜が形成される。また、スパッタリングによ
る場合は、例えばスパッタ装置内にチタン金属ターゲッ
トをセットしてAr/O 2 比が60/40(モル比)と
なるようにガス圧を0.65Paに調整したのち、RF
パワー200Wを投入してスパッタリングを行って酸化
チタン薄膜を基板上に形成させる。
【0028】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は上記した〜など、既知の任意
の方法で作ることができる。とくに金属亜鉛板の表面を
電解酸化して酸化皮膜を形成させる方法と、真空蒸着、
スパッタリング、イオンプレーティング,CVDなどに
よって酸化亜鉛皮膜を形成させる方法が好ましい。酸化
亜鉛の蒸着膜は、上記の酸化チタンの蒸着と同様に金属
亜鉛を酸素ガス存在下で蒸着して酸化膜を形成させる方
法や、酸素のない状態で亜鉛金属膜を形成させたのち、
空気中で温度を約700°Cにあげて酸化させる方法を
用いることができる。そのほか、修酸亜鉛の塗布層やセ
レン化亜鉛の薄層を酸化性気流中で加熱しても得られ
る。
【0029】蒸着膜の厚みは、酸化チタン層、酸化亜鉛
層いずれの場合も0.1〜10000nmがよく、好ま
しくは1〜1000nmである。さらに好ましくは30
0nm以下として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、
光活性化作用を十分に発現させるには厚みが5nm以上
あることが好都合である。
【0030】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。酸化チタンあるいは酸化亜鉛を主成
分とする層における酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率は、それぞれ30〜100%であり、好ましくは50
%以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸
化物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。
しかしながら、表面の親水性/親油性変化特性は、酸化
亜鉛を電子写真感光層に用いるときのような著しい純度
による影響はないので、100%に近い純度のもの(例
えば98%)をさらに高純度化する必要はない。それ
は、本発明に利用される物性は、導電性とは関係ない膜
表面の親水性/親油性の性質変化特性、すなわち界面物
性の変化特性であることからも理解できることである。
【0031】しかしながら、後述する原板再生使用の際
に重要な、光又は熱により表面親水性が変化する性質を
増進させるためにある種の金属をドーピングすることは
有効な場合があり、この目的にはイオン化傾向が小さい
金属のドーピングが適しており、Pt,Pd,Au,A
g,Cu,Ni,Fe,Co又はCrをドーピングする
のが好ましい。また、これらの好ましい金属を複数ドー
ピングしてもよい。ドーピングを行った場合も、その注
入量は酸化亜鉛や酸化チタン中の金属成分に対して5モ
ル%以下である。
【0032】一方、体積率が低いと層の表面の親水性/
親油性の熱応答挙動の敏感度が低下する。したがって、
層中の酸化物の体積率は、30%以上であることが望ま
しく、とくに実質的に100%であることが好ましい。
【0033】次に、本発明に用いることができる別の光
触媒性で親水・親油性の金属化合物である一般式RTi
3 で示したチタン酸金属塩について記す。一般式RT
iO 3 において、Rはマグネシウム、カルシウム、スト
ロンチウム、バリウム、ベリリウムなどの周期律表のア
ルカリ土類元素に属する金属原子であり、とくにストロ
ンチウムとバリウムが好ましい。また、2種以上のアル
カリ土類金属原子をその合計が上記の式に化学量論的に
整合する限り共存することができる。
【0034】次に、一般式AB2-x x 3-x x 10
で表される化合物について説明する。この一般式におい
て、Aは水素原子及びナトリウム、カリウム、ルビジウ
ム、セシウム、リチウムなどのアルカリ金属原子から選
ばれる1価原子で、その合計が上記の式に化学量論的に
整合する限りそれらの2種以上を共存してもよい。B
は、上記のRと同義のアルカリ土類金属原子又は鉛原子
であり、同様に化学量論的に整合する限り2種以上の原
子が共存してもよい。Cは希土類原子であり、好ましく
は、スカンジウム及びイットリウム並びにランタン、セ
リウム、プラセオジウム、ネオジウム、ホルミウム、ユ
ウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ツリウム、イ
ッテルビウム、ルテチウムなどのランタノイド系元素に
属する原子であり、また、その合計が上記の式に化学量
論的に整合する限りそれらの2種以上を共存してもよ
い。Dは周期律表の5A族元素から選ばれた一種以上の
金属元素で、バナジウム、ニオブ、タンタルが挙げられ
る。また、化学量論関係を満たす限り、2種以上の5A
族の金属原子が共存してもよい。Eは同じくチタン、ジ
ルコニウム、ハフニウムなどの4A族元素に属する金属
原子であり、また、2種以上の4A族の金属原子が共存
してもよい。xは0〜2の任意の数値を表す。
【0035】RTiO3 、一般式AB2-x x 3-x
x 10で表される上記化合物、SnO2 ,Bi2 3
FeOx (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合
物のいずれの薄膜形成にも、酸化チタン及び酸化亜鉛を
設ける前記の方法を用いることがでる。すなわち、上
記光触媒能を有する熱応答型金属酸化物の微粒子の分散
物を印刷版の原板上に塗設する方法、塗設したのち焼
成してバインダーを減量或いは除去する方法、印刷版
の原板上に上記酸化物を各種の真空薄膜法で膜形成する
方法、例えば金属元素のアルコレートのような有機化
合物を原板上に塗布したのち、加水分解させ、さらに焼
成酸化を施して適当な厚みの金属薄膜とする方法、上
記金属を含む塩酸塩、硝酸塩などの水溶液を加熱スプレ
ーする方法など、既知の任意の方法を用いることができ
る。
【0036】例えば、上記、の塗設方法によってチ
タン酸バリウム微粒子を塗設するには、チタン酸バリウ
ムとシリコンの混合分散物を塗布して表面層を形成させ
る方法、チタン酸バリウムとオルガノポリシロキサンま
たはそのモノマ−との混合物を塗布する方法などがあ
る。また、酸化チタンの項で述べたように、酸化物層の
中に酸化物と共存できるポリマーバインダーに分散して
塗布した後、焼成して酸化物層とすることもできる。酸
化物微粒子のバインダ−として好ましいポリマーの例
は、酸化チタン層の項で述べたものと同じである。この
方法によって、チタン酸バリウム以外にチタン酸マグネ
シウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム
又はそれらの分子間化合物、混合物も同様に薄膜形成可
能である。
【0037】同様にして上記、の塗設方法によって
CsLa2 NbTi2 10微粒子を塗設することも可能
である。CsLa2 NbTi2 10微粒子は、その化学
量論に対応するCs2 CO3,La2 3,NbO5,TiO
2 を乳鉢で微粉砕して、白金るつぼに入れ、130°C
で5時間焼成し、それを冷却してから乳鉢に入れて数ミ
クロン以下の微粒子に粉砕する。このCsLa2 NbT
2 10微粒子を前記のチタン酸バリウムと同様にバイ
ンダーの中に分散し、塗布して薄膜を形成した。この方
法は、CsLa2 NbTi2 10型微粒子に限らず、H
Ca1.5 La0. 5 Nb2.5 Ti0.5 10,HLa2 Nb
Ti2 10など前述のAB2-x x 3- x x 10
(0≦x≦2)に適用される。
【0038】上記の真空薄膜形成法を用いた光触媒性
金属酸化物層の形成方法としては、一般的にはスパッタ
リング法あるいは真空薄膜形成法が用いられる。スパッ
タリング法では、あらかじめ単一もしくは複合型の酸化
物ターゲットを準備する。例えば、チタン酸バリウムタ
ーゲットを用いて蒸着膜用の支持体の温度を450°C
以上に保ち、アルゴン/酸素混合雰囲気中でRFスパッ
タリングを行うことによりチタン酸バリウム結晶薄膜が
得られる。結晶性の制御には必要に応じてポストアニー
リングを300〜900°Cで行えばよい。本方法は前
述のRTiO3(Rはアルカリ土類金属原子)をはじめ
他の前記光触媒能を有する熱応答型金属酸化物にも、結
晶制御に最適な基板温度を調整すれば同様の考え方で薄
膜形成が可能である。例えば酸化錫薄膜を設ける場合に
は基板温度120°C、アルゴン/酸素比50/50の
混合雰囲気中でRFスパッタリングを行うことにより酸
化錫結晶の本目的に沿う薄膜が得られる。
【0039】上記の金属アルコレートを用いる方法
も、バインダーを使用しないで目的の薄膜形成が可能な
方法である。チタン酸バリウムの薄膜を形成するにはバ
リウムエトキシドとチタニウムブトキシドの混合アルコ
ール溶液を表面にSiO2 を有するシリコン基板上に塗
布し、その表面を加水分解したのち、200°C以上に
加熱してチタン酸バリウムの薄膜を形成することが可能
である。本方式の方法も前述した他のRTiO3 (Rは
アルカリ土類金属原子)、AB2-x x 3-x x 10
(A,B,C,D,Eはそれぞれ前記の定義の内容を表
す)、SnO2 ,Bi2 3 及びFeOx (x=1〜
1.5)で示される酸化鉄系の化合物の薄膜形成に適用
することができる。
【0040】上記によって熱応答性機能を発現する金
属酸化物薄膜を形成させる方法も、バインダーを含まな
い系の薄膜の形成が可能である。SnO2 の薄膜を形成
するにはSnCl4 の塩酸水溶液を200°C以上に加
熱した石英又は結晶性ガラス表面に吹きつけて薄膜を生
成することができる。本方式も、SnO2 薄膜のほかに
前述したRTiO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、A
2-x x 3-x x10(A,B,C,D,Eはそれ
ぞれ前記の定義の内容を表す)、Bi2 3 及びFeO
x (x=1〜1.5)で示される酸化鉄系の化合物のい
ずれの薄膜形成にも適用することができる。
【0041】金属酸化物薄膜の厚みは、上記のいずれの
場合も0.1〜10000nmがよく、好ましくは1〜
1000nmである。さらに好ましくは300nm以下
として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作
用を十分に発現させるには厚みが5nm以上あることが
好都合である。
【0042】バインダーを使用した場合の上記光触媒能
を有する熱応答型金属酸化物の薄層において、金属酸化
物の体積率は50〜100%であり、好ましくは90%
以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸化
物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。そ
の薄層の厚みは、0.01〜10μmがよく、好ましく
は0.1〜5μmがよい。
【0043】(支持体及び印刷用原板の形態)次に支持
体について述べるが、本発明においては原板を印刷装置
上の版胴に装着して製版する場合もあるので、それらを
含めて説明する。本発明に係わる印刷原板は、いろいろ
の形態と材料を用いることができる。例えば、親水・親
油材料の薄層を印刷機の版胴の基体表面に蒸着、浸漬あ
るいは塗布するなど上記した方法で直接設ける方法、支
持体に担持された親水・親油材料含有層や、あるいは支
持体を持たない親水・親油材料含有薄層を版胴の基体に
巻き付けて印刷版とする方法などを用いることができ
る。また、勿論版胴上で製版する上記形態以外に、一般
的に行われているように、製版を行った印刷版を輪転式
あるいは平台式印刷機に装着する形態を採ってもよい。
【0044】親水・親油材料を支持体上に設ける場合、
使用される支持体は、寸法的にも安定な板状物であり、
アルミニウム板、SUS鋼板、ニッケル板、銅板などの
金属板が好ましく、特に可撓性(フレキシブル)の金属
板を用いることが好ましい。また、ポリエステル類やセ
ルローズエステル類などの可撓性のプラスチック支持体
も用いることができる。また、防水加工紙、ポリエチレ
ン積層紙、含浸紙などの支持体も使用することができ
る。
【0045】具体的には、紙、プラスチックシート(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のシ
ート)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、プラスチックフィ
ルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネー
ト、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィ
ルム等が挙げられる。
【0046】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、ポリイミドフィルム、アルミニウム、又は印刷版上
で腐食しにくいSUS板であり、その中でも寸法安定性
がよく、比較的安価であるアルミニウム板と、製版工程
における加熱操作に対して安定性の高いポリイミドフィ
ルムは特に好ましい。
【0047】好適なポリイミドフィルムは、ピロメリッ
ト酸無水物とm−フェニレンジアミンを重合させたの
ち、環状イミド化したポリイミド樹脂フィルムであり、
このフィルムは市販されている(例えば、東レ・デュポ
ン社製の「カプトン」)。
【0048】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニ
ウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガ
ン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッ
ケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高
々10質量%以下である。本発明において特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板
を適宜に利用することができる。本発明で用いられる金
属支持体の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ま
しくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm
〜0.3mmであり、プラスチックや加工紙などその他の
支持体の厚みはおよそ0.1mm〜2.0mm程度、好まし
くは0.2mm〜1.0mmである。
【0049】アルミニウム支持体を用いる場合は、表面
を粗面化して用いることが好ましい。その場合、所望に
より、粗面化に先立って表面の圧延油を除去するため
の、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶
液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表
面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例え
ば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解
粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方
法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨
法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの
公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な
粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または
直流により行うなど公知の方法を利用することができ
る。また、粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じ
てアルカリエッチング処理および中和処理された後、所
望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。陽極酸化の電解質の濃度は電解質の
種類によって適宜決められる。
【0050】陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量が1.0g/m2より少ないと、耐刷性が不十分であっ
たり、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印
刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」
が生じ易くなる。
【0051】〔製版工程〕 (親水性層)光触媒型金属酸化物の表面層への親水性物
質の像様付与方法は、親水性物質で原板表面に描画を行
う方法、親水性物質を原板表面に像様に転写(すなわち
画像転写)する方法及び画像マスクを通して親水性物質
を原板表面に付着させることによって行う。描画手段と
しては、親水性物質を像様に設けることのできる公知の
任意の描画手段を利用できるが、好ましい方法としては
水性ペイントによる直接描画方式及びインクジェット描
画方式などの噴射ノズル方式が好ましく、その中でもイ
ンクジェット描画方式が好ましい。親水性物質の原板表
面への画像転写方式も公知の任意の手段を用いることが
できるが、とくに親水性画像層を支持体上に形成させた
のち、その画像層を支持体から剥離して印刷原板に付着
させる転写方式が好ましく、中でもハロゲン化銀写真感
光材料に画像露光を行い、タンニング現像したのち画像
部のみを転写する方式、とくにマトリックスフィルムな
どによるウオッシュオフレリーフ法が好ましい。一方、
画像マスクを通して親水性物質の像形成層を親水・親油
材料を含む層の上に設けるには、塗り付け処理、スプレ
ー処理、浸漬処理など公知のいずれの方法をも用いるこ
とができる。3方式の代表的態様について如何に記す。
【0052】<描画方式の親水性層付与方法> a.インクジェット方式 インクジェット記録方法としては、水性インクを用いる
方式でインク液の代わりに親水性像形成物質を用いるこ
とができるインクジェット記録であれば従来公知のいず
れも用いることができる。水性染料によるインクジェッ
ト方式の画像形成方法は、インクジェット法の開発当初
から行われてきた方法であり、画像形成工程でインク粒
子の凝集による閉塞などの故障が少ないが、画像が水溶
性であることが適用範囲を制約していた。しかし、本発
明には好ましく適用できる。水性インク方式の応用であ
るので、静電吐出方式よりはスプレー型のインクジェッ
ト装置の転用が好ましい。
【0053】<転写方式の親水性層付与方法>従来公知
の画像転写法は、テクニカラー方式で代表される色素マ
トリックスあるいはカーボンマトリックス方式の画像形
成法など堅牢な画像が得られるメリットはあるが、操作
が複雑すぎる。しかし、本発明では、本発明において
は、像様親水性層の印刷用原板表面に付与するでけでよ
いので、容易に印刷版を作製できる。その方法には2通
りがり、一つは金属酸化物層の上に写真乳剤を塗布して
感光層を作り、画像露光を行ったのちタンニング現像後
非画像部を湯洗除去するウオッシュオフレリーフ法によ
って金属酸化物層上にゼラチンバインダーを画像物質と
する画像を形成させる方法であり、もう一つはあらかじ
めウオッシュオフレリーフ法によってゼラチンバインダ
ーの画像を形成させたマトリックスフィルムを金属酸化
物層上に重ねて通常のマトリックス転写法によって画像
物質を金属酸化物層上に設ける方法である。いずれも用
いることができるが後者の方が製版作業としてはより簡
易である。また、前者の方法は、画像転写というより
は、前記の描画法に分類されるべき方法である。ここで
は後者の画像転写法を主体に述べるが、前者の方式も本
発明の製版方法に含まれる。
【0054】画像転写法においては、ポリエチレンテレ
フタレートのようなフィルム支持体上に剥離層を設けて
その上にハロゲン化銀・ゼラチン写真乳剤のよな親水性
バインダーの写真乳剤層を設ける。画像露光を行ったの
ち、タンニング現像によって水不溶性の画像層を設けた
のち、非画像部を温湯に溶かしてフィルム支持体上に画
像層のみを残し、これを印刷原板表面に密着させると剥
離層によって画像層が支持体から剥離して原板面に移行
し、画像転写ができる。剥離層は、例えばヒドロキシエ
チルセルロ−スのように支持体から剥がれやすい高分子
材料が使用される。
【0055】また、画像形成材料には、親水性である必
要性からハロゲン化銀乳剤が好ましいが、重クロム酸ゼ
ラチン感光材料などの親水性媒体をもつ画像形成材料で
あってもよい。ハロゲン化銀写真乳剤のハロゲン化銀
は、塩化銀、塩臭化銀、よう臭化銀、塩よう臭化銀のい
ずれでもよく、バインダーはゼラチンを主体とした親水
性保護コロイドで、相溶性のポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドンなどの親水性高分子材料を含んでい
てもよい。また、化学増感や分光増感が施されていても
よい。感光材料の現像は、現像された領域に画像が得ら
れると同時にバインダーの硬化(硬膜)も起こるタンニ
ング現像であって、現像主薬としてヒドロキノン、第三
ブチルヒドロキノン、パラまたはオルト位にヒドロキシ
基を有するベンゼンまたはナフタレン系の有機化合物が
用いられる。さらに米国特許3615440に記載され
ているようなレダクチン酸や米国特許770716に記
載されているようなα,β−エンジオールが好ましく用
いられる。また特公昭49−13580に記載されてい
る1−アリール−3−ピラゾリジノン化合物やアルキル
置換p−アミノフェノールを併用してもよい。現像主薬
は2種以上組み合わせて使用することができ、特にヒド
ロキノン系現像主薬と他の現像主薬との組み合わせが好
ましい。現像終了後温水に浸漬すると未現像部の乳剤層
は溶解して画像層のみが素自体上に残る。これを原板に
画像層が原板表面と接するように密着させてから引き剥
がすと、画像層が剥離層によって剥がれて原板表面に親
水性の画像層が設けられる。
【0056】<画像マスク方式の画像層付与方法> a.塗り付け方式 塗り付け処理は、親水性像形成物質を透過する領域と透
過しない領域を像様に分布させてある画像マスクを通し
て液体及び固体状の親水性像形成物質に適用できる親水
性層の付与方法であり、親水性像形成物質が液体の場合
は、直接塗り付けてもよく、また固体の場合、あるいは
液体であっても場合により、適当な溶剤に溶解あるいは
分散したりして液状として塗り付け処理を行う。塗り付
け処理の方法としては、グラビア塗布、リバース塗布、
ホッパー塗布、スリット塗布などの公知の方法が適用で
きる。また、親水性像形成物質を担持した媒体を介して
原板上に塗り付け皮膜を形成させるシート処理が好まし
い方式の一つである。この方法には特登2655337
号に記載の方法を挙げることができる。親水性像形成物
質を担持する媒体には、フェルト、織物、スリットや細
孔を有する金属などを用いることができる。この中でも
特開平8−290088号、同8−290087号、同
9−138493号公報に記載されているスポンジなど
による処理液塗り付けの方法を好ましく適用できる。
【0057】塗り付け処理の好ましい塗り付け量は、親
水性像形成物質の濃度などによって異なるが、通常10
〜100ml/m2 、好ましくは15〜50ml/m2
である。塗布液中の構成物質の含有量は、均一溶液とな
る限り制約はなく、1質量%以上、好ましくは10質量
%以上、より好ましくは20質量%以上であって親水性
物質のみで構成されていてもよい。また、親水性物質を
単独で使用してもよく、二種以上の混合組成でもよい。
【0058】b.スプレー方式 スプレー処理すなわち噴霧処理は、塗り付け処理に記し
たと同様に液状或いは分散液状にした親水性像形成物質
又は親水性像形成物質溶液を像様透水域で構成された画
像マスクを通して原板表面に噴霧することによって親水
性層付与を行う方法である。また、噴霧液量を必要供給
液量以上として適用表面を流下する余分の親水性像形成
物質あるいは親水性像形成物質溶液を循環させて再利用
してもよい。親水性像形成物質あるいは親水性像形成物
質溶液の噴霧方法、ノズルの数、形状などを問わず、ま
た単一の可動ノズルを移動させながら噴霧するか、複数
の固定ノズルを用いて噴霧するかを問わず、適した方法
を選択して行う。また、印刷原板を固定してノズルを移
動させながら噴霧しても、ノズルを固定して印刷原板を
移動させながら噴霧してもよい。このなかでも特開平8
−123001号、同9−160208号、同9−17
9272号公報に記載されている親水性像形成物質ある
いは親水性像形成物質溶液を噴射する複数のノズル孔が
一定の間隔で原板の搬送方向と交差する方向に沿って直
線状に並べられたノズルとこのノズルを搬送経路上の原
板に向かって変移させるアクチュエーターとを有する親
水性像形成物質塗り付け装置によって親水性像形成物質
あるいは親水性像形成物質溶液を噴霧する方法がとくに
好ましい。
【0059】<親水性層を構成する材料>上記した描画
方式、転写方式及び画像マスクを通す塗設方式によって
原板上に付与される親水性層の構成材料について説明す
る。
【0060】親水性層の構成物質は、光触媒的な酸化分
解除去を受け易い低分子の水溶性有機化合物(光触媒的
な酸化分解除去を受け易ければ後述する初期化が容易で
ある)、濡れ性向上剤及び助剤水溶性高分子化合物を主
体として、pH調整剤、湿潤剤、防腐剤、着色剤、消泡
剤、等の種々の添加剤を加えることができる。 酸化分
解除去を受け易い低分子の水溶性有機化合物としては、
低級脂肪族カルボン酸、低級脂肪族アルデヒド及び低分
子脂肪族アルコールが挙げられ、被照射領域の濡れ性向
上剤としては、エチレングリコール、ポリエチレングリ
コールアルキルエーテル(アルキレン基の炭素数は2〜
3)、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン−
ポリオキシプロピレンブロックポリマー類、アルキルス
ルホン酸(アルキレン基の炭素数は2〜3)、脂肪族ア
ルコール(炭素数は1〜3)、水、界面活性剤から選択
される。また、平版印刷用の湿し水をこの目的に用いる
ことができる。
【0061】低分子脂肪族カルボン酸は、蟻酸、酢酸、
プロピオン酸などの単素数1〜4のアルキルモノカルボ
ン酸、蓚酸、マレイン酸、リンゴ酸、琥珀酸、酒石酸、
クエン酸などの炭素数2〜6の脂肪族多価カルボン酸あ
る。低級脂肪族アルデヒドは、ホルミルアルデヒド、ア
セトアルデヒド、サクシンアルデヒド、グルタルアルデ
ヒドなど炭素数1〜8の水溶性多価アルデヒドである。
ポリエチレングリコールアルキルエーテルは、下記一般
式(I)で表される。 一般式(I) R1−(OC24n−OH 一般式(I)において、R1は炭素数1〜3のアルキル
基を表し、nは4〜9の整数を表す。一般式(I)で示
される化合物としては、下記のものが挙げられる。中で
も好ましい化合物は、(I−3)、(I−4)、(I−
5)、(I−9)及び(I−11)である。
【0062】
【化1】
【0063】アルキルスルホン酸およびその塩を用いる
こともできる。好ましいアルキルスルホン酸は、下記一
般式(II)で表される。 一般式(II) R2−SO3M 一般式(II)において、R2は炭素数4〜10のアルキ
ル基を表し、Mはカチオン基を表す。アルキル基は直鎖
であっても分岐していてもよい。また、好ましいカチオ
ン基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び第3族金
属であり、とくに好ましいのはアルカリ金属であり、そ
のなかでもカリウム及びナトリウムである。
【0064】一般式(II)で示される化合物としては、
下記のものを例示することができる。中でも好ましい化
合物は、(II−3)、(II−4)、(II−5)、(II−
9)、(II−10)及び(II−11)である。
【0065】
【化2】
【0066】本発明に用いられるポリエチレングリコー
ルは、下記一般式(III)に示される。 一般式(III ) H(OC24m−OH 一般式(III )において、mは約500の整数を表す。
上記のポリエチレングリコールは、数平均分子量(以
後、単に平均分子量という)が20000以下のポリエ
チレングリコールであるともいえる。
【0067】平均分子量20000以下のポリエチレン
グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子
量:200、300、400、600、1000、15
40、2000、4000)、好ましくはジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール(平均分子量:1000〜2000)などが挙げ
られる。平均分子量としては好ましくは100〜200
0である。また、市販のポリエチレングリコール類とし
て、プルロニックL−31(旭電化(株)製商品名、ポ
リオキシプロピレン分子量950)、プルロニックPE
3100(DuPont社製商品名、ポリオキシプロピ
レン分子量850)、及び竹本油脂(株)製のポリオキ
シプロピレン分子量750、ポリオキシエチレン10質
量%付加物のポリマーなどを使用することができる。
【0068】濡れ性向上剤の助剤として界面活性剤を添
加することができる。例えば、アニオン型界面活性剤と
しては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシア
ルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジア
ルキルスルホ琥珀酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、ア
ルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシ
ポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキ
シエチレンアルキルスルフェニルエーテル塩類、N−メ
チル−N−オレイルタウリンナトリウム塩類、N−アル
キルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油ス
ルホン酸塩類、硫酸化ひまし油、硫酸化牛脂油、脂肪酸
アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エ
ステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸
エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエ
ーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸
エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部
分けん化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の
部分けん化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮
合物類等が挙げられる。これらの中でもジアルキルスル
ホ琥珀酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキル
ナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0069】非イオン型界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリス
チリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸
部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペ
ンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレン
グリコールモノ脂肪酸エステル類、蔗糖脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エ
ステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、
ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチ
レン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,
N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン類、トリエタノールアミン脂
肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド類などが
挙げられる。その他、弗素系界面活性剤、シリコン系界
面活性剤も使用することができる。その中でもポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、前記したポリ
オキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマ
ー類等が好ましく用いられる。更に、シリコン誘導体又
はフッ素誘導体等の界面活性剤も挙げられる。これらの
界面活性剤の含有量は発泡の点を考慮すると、1.0質
量%以下、好ましくは0.001〜0.5質量%が適当
である。また、2種以上併用することもできる。
【0070】水可溶性層に含有される水溶性高分子は、
水可溶性層の結着樹脂として機能する。水溶性高分子と
しては、例えば水酸基、カルボキシル基、塩基性窒素含
有基等の基を十分に有する高分子が挙げられる。水溶性
高分子化合物の具体例としては、例えばアラビアガム、
澱粉誘導体(例えは、デキストリン、酵素分解デキスト
リン、ヒドロキシプロピル化酵素分解デキストリン、カ
ルボキシメチル化澱粉、リン酸澱粉、オクテニルコハク
化澱粉)、アルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カル
ボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロー
ス、メチルセルロース)等の天然物及びその変性体、カ
ゼイン、ゼラチン、ポリエチレングリコール及びその共
重合体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビ
ニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合
体、ポリアクリル酸及びその共重合体、ビニルメチルエ
ーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マ
レイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸及びその共
重合体の合成物が挙げられる。水溶性樹脂は親水性層の
構成成分として必須ではないが、添加する場合の塗布液
中の水溶性樹脂の含有量は、0.3〜25質量%が適当
であり、好ましい範囲は1〜25質量%である。なお、
本発明においては上記水溶性樹脂を2種以上混合使用し
ても良い。
【0071】pH調整剤としては、水溶性の有機酸及び
/又は無機酸又はそれらの塩が使用でき、これらの化合
物は親水性強化剤溶液のpH調整あるいはpH緩衝、平
版印刷版支持体の適度なエッチング又は防腐食に効果が
ある。好ましい有機酸としては、例えばクエン酸、アス
コルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン
酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、蓚酸、マロン酸、レプリン
酸、スルファニル酸、p−トルエンスルホン酸、フィチ
ン酸、有機ホスホン酸等が挙げられる。無機酸としては
例えば蟻酸、リン酸、硝酸、硫酸、ポリリン酸が挙げら
れる。更にこれら有機酸及び/又は無機酸のアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩、有
機アミン塩も好適に用いられ、これらの有機酸、無機酸
及び/又はこれらの塩は単独で使用しても、あるいは2
種以上の混合物として使用してもよい。これらpH調整
剤の本発明の親水性強化剤溶液への添加量は0.001
〜0.3質量%の範囲が好ましく、親水性強化剤溶液の
pH値が3〜7の範囲の酸性領域で用いることが好まし
いが、アルカリ金属水酸化物、リン酸、アルカリ金属
塩、炭酸アルカリ金属塩、ケイ酸塩などを含有したpH
7〜11のアルカリ性領域で用いることもできる。
【0072】湿潤剤の具体例としては、前期と一部重複
するが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチエングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、
ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパ
ン等が好適に用いられる。これらの湿潤剤は単独でもよ
いが、2種以上併用してもよい。一般に上記湿潤剤は
0.01〜3質量%の範囲で使用できる。
【0073】防腐剤としては、フェノール又はその誘導
体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、デヒドロ酢酸ナ
トリウム、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベン
ズトリアゾール誘導体、アミジン又はグアニジンの誘導
体、四級アンモニウム塩類、ピリジン、キノリン又はグ
アニジンの誘導体、ダイアジン又はトリアゾールの誘導
体、オキサゾール又はオキサジンの誘導体、ブロモニト
ロアルコール系のブロモニトロプロパノール、1,1−
ジブロモ−1−ニトロ−2−エタノール、3−ブロモ−
3−ニトロペンタン、2,4−ジオール等が挙げられ
る。好ましい添加量は細菌、カビ、酵母等に対して、安
定に効力を発揮する量であって、細菌、カビ、酵母の種
類によっても異なるが、親水性物質の塗布液に対し、
0.001〜1.0質量%の範囲が好ましく、また種々
のカビ、細菌、酵母に対して効力のあるような2種以上
の防腐剤を併用することが好ましい。
【0074】着色剤としては、食品用色素等が好ましく
使用できる。例えば、黄色色素としてはCI No.1
9140、15985、赤色色素としてはCI No.
16185、45430、16255、45380、4
5100、紫色色素としてはCI No.42640、
青色色素としてはCI No.42090、7301
5、緑色色素としてはCI No.42095、等が挙
げられる。防錆剤としては、例えばベンゾトリアゾー
ル、5−メチルベンゾトリアゾール、チオサリチル酸、
ベンゾイミダゾール及びその誘導体等が挙げられる。本
発明に使用できる消泡剤としてはシリコン消泡剤が好ま
しく。その中で乳化分散型及び可溶化型等いずれも使用
することができる。本発明の親水性強化剤溶液は、通常
商業ベースとするときは濃縮化し商品化するのが一般的
である。濃縮液を使用するときは、水道水、井戸水等で
30〜500倍に希釈して用いる方が経済的で好まし
い。
【0075】本発明が適用される水性インクジェット用
の親水性層の構成材料には、上記の材料も含まれるが、
さらに水溶性染料の使用を前提に(a)水、(b)水溶
性染料、(c)必要に応じて水溶性有機溶剤、(d)必
要に応じて界面活性剤から構成される。
【0076】水溶性染料としては、CIダイレクトブラ
ック、CIアシッドグリーン1、CIアシッドグリーン
9、CIアシッドグリーン28、CIダイレクトレッド
227、CIダイレクトブルー199、CIベーシック
イエロー1、CIアシッドレッド254、その他インク
ジェット用として公知の水溶性染料を使用することがで
きる。
【0077】水溶性有機溶剤としては、1,4ブタンジ
オール、1,6ヘキサンジオール、2−ピロリドン、ジ
プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ト
リエチレングリコール、エチレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、テトラプロピレングリコール、プロピ
レングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレング
リコールモノ−n−ブチルエーテル、1−メチル−1−
メトキシエタノール、その他インクジェット用として公
知の水溶性有機溶剤を使用することができる。
【0078】また、界面活性剤としては、ナフタレンタ
モール類(ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮
合物)、アルキルベンゼンスルホン類、アルキレングリ
コールエーテル類、アセチレングコール類(2,4,
7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオー
ル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオー
ル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールな
ど)、その他インクジェット用として公知の水溶性有機
溶剤を使用することができる。
【0079】〔印刷及び印刷原板の再生〕親水性層の付
与によってインキ受容性の画像領域と親水性の非画像領
域の像様分布が形成された親水・親油材料含有層を有す
る印刷版は、つぎに印刷工程に入る。この印刷版は、公
知の平版印刷法に比較して簡易性を中心に多くの利点を
有する。すなわち前記したようにアルカリ現像液による
化学処理が不要であり、それに伴うワイピング、ブラッ
シングの操作も不要であり、さらに現像廃液の排出によ
る環境負荷も伴わない。また、製版工程も上記したよう
に親水性層の付与のみでよく簡易である。
【0080】印刷版の非画像領域は、十分に親水性化し
ているのでその必要はないが、所望により、水、界面活
性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体
を含む不感脂化液で後処理してもよい。その方法として
は、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平
版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に
印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる
塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ
ー、あるいは、スキージーローラーで、その塗布量を均
一にすることは、より好ましい結果を与える。整面液の
塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適
当である。
【0081】この様な処理によって得られた平版印刷版
は、オフセット印刷機等にかけられ、あるいは印刷機上
で製版され、多数枚の印刷に用いられる。本発明におけ
る印刷版は、湿し水を必要としない水なし印刷を行える
ので、一層簡易性の特徴を発揮できるが、湿し水を使用
することもできる。
【0082】次に印刷を終えた印刷版の再生工程につい
て記す。印刷終了後の印刷版は疎水性の石油系溶剤を用
いて付着しているインキを洗い落とす。溶剤としては市
販の印刷用インキ溶解液として芳香族炭化水素、例えば
ケロシン、アイソパ−などがあり、そのほかベンゾー
ル、トルオール、キシロール、アセトン、メチルエチル
ケトン及びそれらの混合溶剤を用いてもよい。画像物質
が溶解しない場合には、布などを用いて軽く拭き取る。
また、トルエン/ダイクリーンの1/1混合溶媒を用い
るとよいこともある。また、さらに希酸で版面を処理す
ることも好ましい。希酸の濃度は、通常0.001〜
0.1mol/L、好ましくは0.005〜0.05m
ol/Lであり、酸としては硫酸、硝酸、塩酸、次亜塩
素酸などが用いられる。酸の溶液には、0.001〜
0.01mol/Lの過酸化水素をさらに添加すること
もある。この処理によって有機溶剤では除去しきれない
汚れや履歴が除かれる。
【0083】インキを洗浄除去した印刷版は、原板全体
を活性光で一様に照射する初期化により印刷版作成過程
の履歴を完全に除去する。初期化によって再生された印
刷原板の性能が確保される。
【0084】初期化にはその光触媒性金属酸化物の活性
光を用いる。その光源は、光触媒能を有する物質の感光
域の波長の光、すなわち光吸収域に相当する波長の光を
発する光源である。例えば光触媒能を有する物質が酸化
チタンの場合では、アナターゼ型が387nm以下,ル
チル型が413nm以下、酸化亜鉛は387nm以下
に、その他の多くの金属酸化物の場合も250〜390
nmの紫外部に感光域を有しており、また、酸化亜鉛の
場合は、固有吸収波長域(紫外線領域)のほかに、既知
の方法で分光増感を行って適用できる活性光の波長領域
を拡げることもでき、したがって使用される光源は、こ
れらの波長領域の光を発する光源であり、主として紫外
線を発する光源といえる。活性光の照射を受けた領域
は、光触媒作用によって一様の親水・疎水性の初期状態
となる。面露光方式で活性光の照射を行うのに適した光
源は、水銀灯、タングステンハロゲンランプ、その他の
メタルハライドランプ、キセノン放電灯などである。そ
の露光時間は、上記の露光強度が得られるように露光照
度を勘案して決定される。
【0085】好ましい照射光の強さは、光触媒型金属酸
化物の画像形成層の性質によって異なり、また活性光の
波長、分光分布及び光触媒能を有する熱応答型物質の光
吸収率によっても異なるが、通常は面露光強度が0.0
5〜100J/cm2 ,好ましくは0.05〜10J/
cm2 ,より好ましくは0.05〜5J/cm2 であ
る。
【0086】走査式露光方式で活性光照射を行うのに適
したレーザー光源は、活性光のビームを発振する公知の
レーザーを用いることができるが、描画の場合とは異な
ってビーム径を絞り込む必要はなく、例えばビーム径を
50〜100μmに設定して全面均一照射を確実に行
う。レーザー光源としては、たとえば発振波長を325
nmに有するヘリウムカドミウムレーザー、発振波長を
351.1〜363.8nmに有する水冷アルゴンレー
ザー、330〜440nmに有する硫化亜鉛/カドミウ
ムレーザーなどを用いることができる。さらに、紫外線
レーザー、近紫外線レーザー発振が確認されている発振
波長を360〜440nmに有する窒化ガリウム系のI
nGaN系量子井戸半導体レーザー、及び発振波長を3
60〜430nmに有する導波路MgO−LiNb03
反転ドメイン波長変換型のレーザーを使用することもで
きる。レーザー出力が0.1〜300Wのレーザーで照
射をすることができる。また、パルスレーザーを用いる
場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは200
0Wのレーザーを照射するのが好ましい。
【0087】光触媒性金属化合物は、多くの場合に高温
親水性発現物質であるので、活性光の照射でもとの親水
・親油性を回復させる代わりに高温加熱によって親水・
親油性を回復させることもできる。高温親水性発現物質
とは高温のもとで親水性又は親水・親油性となる物質で
あるが、その親水性又は親水・親油性とはその物質の表
面が清浄なときに現れる物質本来の極性を指している。
つまり親水性又は親水・親油性とは相対的表現であり、
本発明に用いる親水・親油性の物質に発現する高温親水
性の実態は、その物質本来の親水・親油性である。加熱
の方法は、ヒートモード光の照射(例えば酸化チタンの
ように光熱変換性でもある場合)によっても、光熱変換
によらない直接の熱エネルギーによる加熱であってもよ
い。直接の熱エネルギーの適用加熱の方法としては、送
風加熱、赤外線照射加熱、電磁波(マイクロ波)加熱、
電熱加熱などの方法を選択できる。加熱温度は、光触媒
性金属化合物によて異なるが、通常150〜290°
C,多くの場合に170〜250°Cに1〜10分、多
くは1〜5分程度保つことによって親水・親油性が回
復、即ち初期化が完了する。
【0088】印刷原板を印刷機の版胴に装着して機上製
版する本発明の態様においては、加熱による初期化の一
形態として版胴に埋め込みヒーターを設けた電熱加熱方
式が原板を装着したまま、反復再使用を繰り返すことが
可能であって、とくに好ましい初期化手段である。この
履歴除去操作は、印刷インキを洗浄除去してから次の製
版作業において活性光の像様照射を行うまでの間の任意
の時期に行ってもよいが、その原板を次の製版工程に再
使用する際に行うのが原板の保管中の履歴の影響を排除
できる点で好ましい。
【0089】本発明に係わる印刷原板の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく反面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0090】〔印刷装置〕本発明における印刷原板の構
成材料及び製版操作について説明したので、次にこの原
板を装着して印刷を行う方法及び装置を図によって説明
する。光触媒性で親水・親油性の金属化合物層を表面に
もつ印刷用原板は、版胴に装着されたままで製版される
態様、版胴に装着されたままで製版され、さらに使用済
みの印刷版が洗浄されて印刷原板として再使用される態
様、また製版されたのちに版胴に装着される態様のいず
れであってもよい。以下図1以降の説明では、本発明の
簡易性の典型例である印刷原板が版胴に装着されたまま
製版され、印刷され、印刷後使用済みの版が印刷原板と
して反復再使用される例について説明する。
【0091】(実施形態1)図1は、本発明の上記の典
型的実施形態による平版印刷装置の構成を示す構成概略
図である。図1に示す平版印刷装置は、光触媒性で親水
・親油性の化合物として酸化チタンを含有する層を表面
に有する原板を装着した版胴1(装着した原板は版胴と
接しているので図示してない)と、版胴1上の原板上に
親水性物質の層を像様に付与する親水性層付与部2と、
原板表面の親水性層が付与されなかったインキ受容性領
域にインキを供給するインキ供給部3と、印刷終了後に
版胴1上の原板に残存するインキを洗浄除去するインキ
洗浄部4と、インキを除去した原板上に活性光を照射し
て残存画像などの履歴を除去する初期化部5と、版胴1
上の刷版に保持されたインキを用紙に転写するための中
間体としてのブランケット6と、ブランケット6ととも
に給送された用紙を保持する圧胴7とを備え、これらの
部材が本体8内に収容されてなるものである。
【0092】親水性層付与部2は、描画方式、画像転写
方式及び画像マスク方式の種々の形態をとることができ
る。図2は、インクジェット方式の親水性画像付与部の
構成概略図である。図2において、インクジェット方式
の親水性画像付与部2の構成は、版胴1と、その表面に
親水性層を構成する組成物の液滴55を吐出させるイン
クジェット噴射ノズル56と、印刷するべき画像の編集
・レイアウトを行う編集・レイアウトワークステーショ
ン54と、編集・レイアウトワークステーション54に
よって印刷すべき画像から信号化されて親水性画像付与
部2に入力される画像信号Sと、インクジェット噴射ノ
ズル56を起動させて、液滴52を画像信号Sに対応さ
せて吐出させるインクジェットノズル駆動部53からな
り、親水性層付与部2は、インクジェット噴射ノズル駆
動部57と液滴55から構成されている。親水性層付与
部2は、版胴1の回転に合わせて液滴を吐出して版面に
描画を行い、描画がなされた部分が親水性の非画像領域
とされ、露光されなかった部分がインキ受容性の画像領
域となる。
【0093】親水性層付与部2の構成例は、図3に示
す。図3は、画像転写によって親水性層を付与する像様
親水性層付与手段の構成概略図である。転写用画像挿入
部10には、たとえばタンニング現像済みのマトリック
スフィルムなどの印刷されるべき画像を担持した剥離可
能の画像担持フィルム9が挿入される。親水性層付与部
2では、たとえばマトリックスフィルムを剥離可能に湿
らせて原板表面に画像面が接する状態で密着させたのち
にフィルム支持体を剥離させて画像層が転写される。図
3において、そのほかの部分の構成は図1と同じなので
説明を省略する。
【0094】次いで、第1の実施形態の動作について説
明する。まず、版胴に装着された印刷原板には親水性層
付与部2において親水性層が像様に付与されて親水性が
強化されるとともに親水性が経時的に低下することが防
止される。次に図2、図3に示した各方式の親水性層付
与部2が、回転しながら通過する版胴1上の原板の表面
部分に親水性のインキ反発性領域の形成を行う。印刷原
板は、親水・親油材料の特性としてインキを容易に受容
して疎水性領域となり、識別性が発揮されて印刷品質が
高められ、この版面にインキ供給部3よりインキが供給
されて印刷が行われる。印刷過程を通して版胴1上の印
刷版の親油性の画像領域にはインキが保持され、親水性
の非画像領域にはインキで汚染されないだけの親水性が
保持される。
【0095】印刷は、ブランケット6と圧胴7との間に
矢印Aに示すように用紙を供給し、版胴1上の原板に保
持されたインキをブランケット6を介して用紙に転写す
ることにより行われる。
【0096】印刷終了後、インキ洗浄部4により版胴1
上の版面に残存するインキを除去する。さらに必要があ
れば水洗もおこなって親水性層の除去を行う。その後、
版胴1上の原板を光触媒性で親水・親油性金属化合物薄
層(本態様では酸化チタン薄層)に高圧水銀灯を備えた
初期化部5において活性光の一様照射が行われて原板の
全面が初期状態の親水・親油性となり、製版操作を行う
前の状態に戻る。
【0097】このように、本発明による平版印刷装置に
よれば、親水性物質の層の付与のみによって、版胴1上
の原板に識別性の高い印刷版面を形成することができ、
これにより現像が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が保たれた
平版印刷を行うことができる。また、版胴1上の版面を
洗浄して活性光を一様照射することにより元の状態に戻
すことができるため、版胴1上の原板を反復使用するこ
とができ、これにより印刷物を低コストで提供すること
ができることとなる。さらに、印刷装置から版胴1上の
原板を取り外す必要がないため、従来のPS版のように
印刷装置に組み込む際にゴミなどが付着することもなく
なり、これにより、印刷品質を向上させることができ
る。
【0098】また、印刷用原板として版胴1上の原板を
使用し、版胴1上の原板の周囲に親水性層付与部2、イ
ンキ供給部3、インキ洗浄部4及び初期化部5を配設す
ることにより、単に版胴1上の原板を回転させるのみ
で、原板の親水性層の付与、疎水性の画像部形成、イン
キの供給と印刷、さらには印刷終了後のインキ洗浄及び
履歴除去のための初期化を行うことができるため、装置
をコンパクトに構成することができ、これにより省スペ
ース化を図ることができる。
【0099】次いで、本発明の第2の実施形態について
説明する。 (実施形態2)図4は本発明の第2の実施形態による平
版印刷装置の構成を示す図である。図4に示す平版印刷
装置は、図1に示す平版印刷装置を印刷ユニット11
Y,11M,11C,11Bとして4台直列に本体12
内に配置して構成されるものであり、それぞれ、Y(イ
エロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラッ
ク)のインキを使用してカラー印刷を行うものである。
各印刷ユニット11Y,11M,11C,11Bとして
親水性層付与部に付随して転写用画像担持フィルム(図
3の9)と画像担持フィルム挿入部(図3の10)を備
えてマトリックスフィルムの画像を印刷版とすることを
可能にしてある。
【0100】各印刷ユニット11Y,11M,11C,
11Bの構成および動作は上述した図1と図3に示す平
版印刷装置と同一であるため、詳細な説明は省略する。
第2の実施形態においては、各印刷ユニット11Y,1
1M,11C,11Bのインキ・湿し水供給部において
供給されるインキの色が、それぞれ、Y(イエロー)、
M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)である
点が異なるものである。
【0101】次いで、第2の実施形態の動作について説
明する。まず、印刷ユニット11Y,11M,11C,
11Bにおいて版胴1上の原板を親水性層の付与に十分
の時間で親水性層付与部を通過する速度で回転し、親水
性の像様領域を形成させる。そして、各印刷ユニット1
1Y,11M,11C,11Bのインキ供給部からY,
M,C,Bそれぞれの色のインキを供給して、各印刷ユ
ニット11Y,11M,11C,11Bの版胴1上の原
板にインキが保持する。その後、図4の矢印Bに示すよ
うに用紙を供給して、各印刷ユニット11Y,11M,
11C,11Bのインキを用紙に転写する。すなわち、
印刷ユニット11YにおいてはYのインキが転写され、
印刷ユニット11MにおいてはMのインキが転写され、
印刷ユニット11CにおいてはCのインキが転写され、
印刷ユニット11BにおいてはBのインキが転写され
る。これにより、用紙にはカラー画像がネガ型の方式で
印刷されることとなる。
【0102】印刷終了後、各印刷ユニット11Y,11
M,11C,11Bのインキ洗浄部(図1の4)により
版胴に残存するインキを除去する。その後、版胴1上の
原板をゆっくり回転させながら初期化部(図1の5)に
よって履歴除去を行い、版胴1上の原板をもとの親水・
親油性の状態にして、版胴1上の原板は描画前の状態に
戻る。
【0103】以上の実施形態1及び2にも示されたよう
に、従来提案された簡易な製版方式の諸方式、たとえば
像様活性光照射のみを行う特開平11−138911号
公報に記載の製版方式に較べて、親水性画像層を付与し
てから活性光の像様照射を行う本発明が、非画像領域の
親水性が強化され、安定化であるだけに識別性にも優れ
ており、また疎水性画像物質を像様に設ける特開平9−
131914号及び10−35131号公報に較べて製
版工程がさらに簡単化されており、さらに履歴に影響さ
れず、再現性がよいことなどの利点を有している。
【0104】
【実施例】以下に本発明の具体的態様を実施例によって
示すが、本発明はこれらに限定されない。 〔実施例1〕本実施例1では、上記実施形態1による具
体例を示す。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.
01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量
%、ケイ素を0.1重量%含有するJISA1050ア
ルミニウム材の厚み0.10mm圧延板を、400メッシ
ュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液
と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用
いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。こ
れを15重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム
4.5重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が
5g/m2になるようにエッチングした後、流水で水洗し
た。更に、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝
酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極
時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形
波交番波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5
796号公報実施例に記載されている電流波形)を用い
て160クローン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処
理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2
になるようにエッチングした後、水洗した。次に、50
℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットし
た後、水洗した。
【0105】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られた
アルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計
で測定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは
0.58μmであった。
【0106】次いでこのアルミニウム支持体を真空蒸着
装置内に入れて、全圧2.0x10 -2Paになるように
分圧70%の酸素ガスの条件下でチタン金属片を電熱加
熱して、アルミニウム支持体上に蒸着して酸化チタン薄
膜を形成した。この薄膜の結晶成分はX線解析法によっ
て無定型/アナターゼ/ルチル結晶構造の比が1.5/
6.5/2であり、TiO2薄膜の厚さは90nmであっ
た。これを版胴1上の原板の基体に巻き付けて機上印刷
用の原板とした。このようにしてアルミニウム支持体上
に酸化チタン薄膜を設けた印刷原板を作成した。酸化チ
タン薄膜表面の水に対する接触角をContact Angle Mete
r CA-D(協和界面科学(株)製)を用いて空中水滴法で
測定したところ、全表面ともほぼ均一に45〜49度の
間にあった。
【0107】この支持体を記録用紙の代わりにインクジ
ェットプリンター(エプソンPM−700C)に装着し
て水性インク画像を形成させた。この水性インクの組成
はグリセリン7質量%,ジエチレングリコール8質量
%,エチレングリコール5質量%,カルボキシメチルセ
ルロース2質量%、ポリアクリルアミド(分子量500
0)5質量%,CIダイレクトグリーン1(水溶性染
料)1.5質量%,CIダイレクトグリーン28(水溶
性染料)1.5質量%,水70質量%である。協和界面
科学株式会社製CONTACT-ANGLE METER CA-Dを用いて空中
水滴法で親水性層表面の接触角を測定したところ11〜
13度であった。この版胴1上の原板に図1のインキ供
給部3からインキを供給しながら、湿し水を用いること
なく100枚の印刷を行った。印刷の始めから終わりま
で地汚れのない鮮明な印刷物が得られ、版胴1上の原板
の損傷も認められなかった。
【0108】次いで洗浄部4において、版胴1上の原板
の表面を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;
大日本インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液を
ウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去し
た。次いで初期化部5においてヘリウムカドミウムレー
ザーを用いて走査露光によって初期化を行った。
【0109】初期化に用いたヘリウムカドミウムレーザ
ーは、発振波長を325nmに有しており、一様照射と
するようにビーム径を広く設定した。レーザー光の照射
条件は下記の通りである。 レーザ−出力 : 200 mW ビーム半径 : 50.0μm 走査速度 : 1.7m/sec 出力 : 700mJ/cm2 前と同じ方法で接触角を測定した。版表面のどの部分も
48〜55度の間にあった。
【0110】このようにして、版胴上で1サイクルの製
版・印刷及び原板再生工程を終えた原板を版胴に装着し
たまま再び上記の製版過程を行って印刷版を製作し、上
記と同じように水なし印刷方式で100枚の平版印刷を
行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、
版胴1上の原板の損傷も認められなかった。
【0111】以上の繰り返しを5回実施したところ、疎
水性画像領域、非画像領域のそれぞれの水滴接触角の
値、印刷後のインキ除去した版面の加熱による接触角の
回復スピード及び印刷面の画像の鮮明さの変化は認めら
れなかった。この結果から、酸化チタン層をアルミニウ
ム支持体上に設けた印刷原板を使用し、実施形態1の印
刷装置を用いて像様親水性物質の層を設けて、親水性層
が付与されない領域にインキを像様付与する製版・印刷
が可能であり、しかもインキの洗浄除去と活性光照射に
よる初期化のみで印刷原板を反復再生使用できることが
示された。
【0112】〔実施例2〕実施例1の親水性層構成用の
水性組成物の組成を下記の組成に変更した以外は実施例
1と同じ操作によってインクジェット方式の親水性像様
層の付与、印刷、使用済み印刷版の再生、反復製版、印
刷を行った。親水性層塗布液組成 成分化合物 量(g) エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル 300 プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル 250 ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体 (プルロニックL−31、旭電化(株)) 5 ヒドロキシプロピルセルロース 3 リン酸第一アンモン 15 クエン酸第二アンモン 5 N,N−ビスカルボキシメチル−β−アラニンの3ナトリウム塩 3 プロピオン酸 50 4−イソチアゾリン−3−オン誘導体 3 純水 全量を1000mlとした
【0113】原板表面の親水性層の水に対する接触角を
Contact Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)を
用いて空中水滴法で表面の水に対する接触角を測定した
ところ、いずれの照射領域も7〜9度の間にあった。さ
らに印刷終了後インキ除去した原板表面全面へのユニレ
ック光源装置の活性光の一様照射を行うことによって接
触角は版表面のどの部分も50〜56度の間にあった。
また、各回100枚の印刷を行った結果は、実施例1の
場合と同じくいずれも印刷の始めから終わりまで地汚れ
のない鮮明な印刷物が得られ、版胴1上の原板の損傷も
認められなかった。この結果から、上記組成の親水性層
をインクジェットによって設けた印刷版を使用した場合
も識別性の高い印刷が可能であり、しかもインキの洗浄
除去と活性光の一様照射による初期化のみで印刷原板を
反復再生使用できることが示された。
【0114】〔実施例3〕実施例2において、水性イン
クジェット用に用いる親水性画像層用の吐出液組成をN
−メチルピロリドン20質量%,ジエチレングリコール
20質量%,ポリエチレングリコール(分子量300)
5質量%,CIダイレクトブラック19(水溶性染料)
5質量%,水50質量%の液に変更した以外は実施例2
と同じ試験を繰りお換えした。親水性画像層の表面の水
に対する接触角を空中水滴法で測定したところ親水性層
付与領域は、6度であった。印刷の結果及び原板を再生
して反復使用した結果も実施例2と実質的に同じであっ
た。
【0115】〔実施例4〕図1の態様で、親水性層付与
部は図3に示した態様の装置を用いて下記のようにして
作製したマトリックスフィルムから下記のように現像、
原板上への画像転写及び転写画像の印刷を行った。
【0116】(1)マトリックスフィルムの作製 <剥離層>ヒドロキシエチルセルロ−ス(HEC SP
−500ダイセル(株)製)を0.15g/m2になるよ
うにポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(厚み
100μm)上に塗布した。
【0117】<ハロゲン化銀乳剤層> ・乳剤の調製 水650ccにゼラチン20g、塩化ナトリウム3gを4
0℃で攪拌・溶解させる。完溶後、1,3−ジメチル−
2−チオイミダゾリンの0.1%メタノール溶液を15
cc加える。この液を攪拌し40℃に保ちながら硝酸銀溶
液(AgNO350gに水を加えて300ccにしたも
の)を5分間で添加する。硝酸銀溶液添加開始5秒後に
ハロゲン溶液(NaCl 17g、KBr 1.75g
(NH43RhCl4 4×10-2mgに水を加えて300
ccにしたもの)を4分55秒間で添加する。添加終了2
分後、上記と同じ濃度の硝酸銀水溶液300ccと、ハロ
ゲン溶液(NaCl 17g、KBr 1.75g、K
3IrCl6 0.3mgに水を加えて300ccにしたも
の)とを同時に5分間で添加する。添加終了後、20分
間40℃に保ち、その後水を680cc加え、1Nの硫酸
15ccと沈降剤(ナフタレンスルホン酸とホルムアルデ
ヒド縮合物(重合度3〜4))の1%水溶液を15cc添
加した。
【0118】このときのpHは約4.0である。ハロゲ
ン化銀粒子の沈降後、上澄み液を2200cc取り去り、
塩を除去した。さらに水を2000cc加え、同様に上澄
み液を2200cc除去した。この液に、ゼラチン22
g、1NのNaOHを2ccおよびNaClの10%水溶
液を4cc加え、更に防腐剤(4,5−ベンゾ−3−イソ
チアゾロン)を70mg加え塩臭化銀乳剤(AgBr5モ
ル%)を得た。この塩臭化銀乳剤のpHは6.0で、収
量は約600gであった。
【0119】この乳剤に銀1モルあたりチオ硫酸ナトリ
ウム5mgおよび塩化金酸8mgを加え、60℃で60分間
加熱して化学増感処理を施したのち、安定剤として4−
ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザ
インデン150mgを添加して乳剤の調製を終了した。こ
の乳剤は、塩化銀を70モル%含む平均粒子サイズ0.
28μmの塩臭化銀乳剤に増感色素として、赤外増感性
の表1及びその付図に増感色素(1)として示したジカ
ルボシアニンをAg1モル当たり、80mg添加して、
赤外増感した。この感光液を固形分で1g/m2になるよ
うに前記剥離層の上に重層塗布した。
【0120】(2)タンニング現像 得られた感光材料に画像露光を行い、つぎの組成の現像
液で40°C、2分のタンニング現像を行った。 (現像液の組成) 現像液成分 処方量(1リットル当たり) ハイドロキノン 12.0 g 炭酸ナトリウム 20.5g 臭化カリウム 1.0g 亜硫酸ナトリウム 1.0g/m2 1ーフエニルー3ーピラゾリドン 0.1 g/m2
【0121】(3)画像転写 400線/インチのポジの画像を焼き付けてタンニング
現像したマトリックスフィルムを濡れた状態で原板表面
に圧着して銀塩・ゼラチン画像の転写を行った。すなわ
ち、図3において現像済みマトリックスフィルム9を画
像担持フィルム挿入部10に装着して親水性画像付与部
において乳剤面を1〜2秒リンスしたのち、原板表面に
密着させ、10秒後に剥離することによって原板表面に
親水性のゼラチン主体の画像層を付与した。協和界面科
学株式会社製CONTACT-ANGLE METER CA-Dを用いて空中水
滴法で親水性乳剤層表面の接触角を測定したところ11
〜13度であった。
【0122】(4)印刷 この親水性の現像済み写真乳剤層を付与された版胴1上
の原板に図1のインキ供給部3からインキを供給しなが
ら、湿し水を用いることなく100枚の印刷を行った。
印刷の始めから終わりまで地汚れのない鮮明な印刷物が
得られ、版胴1上の原板の損傷も認められなかった。
【0123】次いで洗浄部4において、版胴1上の原板
の表面を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;
大日本インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液を
ウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去し
た。次いで初期化部5においてヘリウムカドミウムレー
ザーを用いて実施例1と同じ条件で走査露光によって初
期化を行った。前と同じ方法で測定した接触角は、版表
面のどの部分も48〜55度の間にあった。
【0124】このようにして、版胴上で1サイクルの製
版・印刷及び原板再生工程を終えた原板を版胴に装着し
たまま再び上記の製版過程を行って印刷版を製作し、上
記と同じように水なし印刷方式で100枚の平版印刷を
行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、
版胴1上の原板の損傷も認められなかった。以上の繰り
返しを5回実施したところ、疎水性画像領域、非画像領
域のそれぞれの水滴接触角の値、印刷後のインキ除去し
た版面の加熱による接触角の回復スピード及び印刷面の
画像の鮮明さの変化は認められなかった。
【0125】〔実施例5〕真空蒸着装置中に100ミク
ロン厚みのSUS板をセットして全圧0.65Paの真
空下でセレン化亜鉛を100nmの厚みに蒸着した。こ
れを空気中600°Cで2時間酸化処理してSUS板の
片面に酸化亜鉛の薄膜を形成させた。原板表面の画像層
領域の水に対する接触角をContact Angle Meter CA-D
(協和界面科学(株)製)を用いて空中水滴法で水に対
する接触角を測定したところ、50〜56度の間にあっ
た。
【0126】この酸化亜鉛皮膜付き100ミクロンSU
S板を酸化チタン薄膜付きのアルミニウム原板に代えて
使用した以外は、実施例2と同じ試験を行った。像様の
親水性層を付与したのち、その表面の水に対する接触角
をContact Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)
を用いて測定したところ、13〜17度の間にあった。
さらに印刷終了後インキ除去した原板表面全面へのユニ
レック光源装置の活性光の一様照射を行うことによって
接触角は版表面のどの部分も50〜56度の間にあっ
た。また、各回100枚の印刷を行った結果は、いずれ
も印刷の始めから終わりまで地汚れのない鮮明な印刷物
が得られ、版胴1上の原板の損傷も認められなかった。
【0127】この結果から、酸化亜鉛層をSUS支持体
上に設けた印刷原板を使用し、態様1の印刷装置を用い
て親水性層の付与と活性光にとる像様照射によって識別
性の高い印刷が可能であり、しかもインキの洗浄除去と
活性光の一様照射による初期化のみで印刷原板を反復再
生使用できることが示された。
【0128】〔実施例6〕実施例1と同様にして陽極酸
化処理したアルミニウム支持体をCsLa2 NbTi2
10の化学量論比に相当するセシウムエトキシド、チタ
ンブトキシド、ランタンイソブトキシド、ニオブエトキ
シドを含む20%のエタノール溶液に浸漬して表面を加
水分解したのち280°Cに加熱してアルミニウム支持
体表面にCsLa2 NbTi2 10の厚み1000オン
グストロームの薄膜を形成させた。原板表面の画像層領
域の水に対する接触角をContact Angle Meter CA-D(協
和界面科学(株)製)を用いて空中水滴法で水に対する
接触角を測定したところ、48〜52度の間にあった。
【0129】この印刷用原板を実施例1の酸化チタン薄
膜付きのアルミニウム支持体の原板に代えた以外は、実
施例1と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷を
行った。親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及
び2回目とも16〜19度であり、また、被照射領域の
接触角は、75〜80度であった。印刷面の品質も1回
目及び2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域
の識別性も十分であった。
【0130】〔実施例7〕実施例1で使用したものと同
じ粗面化処理と陽極酸化処理を施したアルミニウム支持
体を使用してチタン酸バリウムを光触媒能を有する金属
酸化物とした原板を作製した。すなわち、上記アルミニ
ウム支持体をスパッタリング装置内にセットし、6.5
×10-5Paまで真空排気する。Arガスを導入してA
rのガス圧を0.65Paに設定し、6インチφのチタ
ン酸バリウムの焼結ターゲットにRFパワー200Wを
投入して膜厚100nmのチタン酸バリウム薄膜を形成
した。X線解析法によれば、この薄膜は多結晶体であっ
た。原板表面の画像層領域の水に対する接触角は、44
〜46度の間にあった。このチタン酸バリウム薄膜付き
アルミニウム支持体を版胴の基体に巻き付けて原板とし
て使用したこと以外は、実施例1と同じ製版、印刷及び
インキ洗浄除去、再印刷を行った。親水性層表面の水に
対する接触角は、1回目及び2回目とも13〜16度で
あり、また、全面照射領域の接触角は、44〜46度で
あった。印刷面の品質も1回目及び2回目とも地汚れは
なく、画像領域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0131】〔実施例9〕シルクスクリーン原紙上に画
像を手書きしてこれを印刷原板上に密着した。インクジ
ェットによる親水性層の付与の代わりに、このシルクス
クリーン上に親水性層用の下記組成からなる水系塗布液
を2.0g/m2の膜厚になるように塗布して親水性層
を付与した以外は、実施例2と同じ製版、印刷及びイン
キ洗浄除去、再印刷を行った。親水性層表面の水に対す
る接触角は、1回目及び2回目とも14〜17度であ
り、また、全面照射領域の接触角は、50〜54度であ
った。印刷面の品質も1回目及び2回目とも地汚れはな
く、画像領域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0132】〔実施例10〕実施例9において、親水性
層の付与を下記組成からなる水系塗布液を調製して2.
0g/m2の膜厚になるように塗布して行った以外は、
実施例9と同じ製版、印刷及びインキ洗浄除去、再印刷
を行った。 (組成) ポリアクリル酸(10%水溶液) 10.0g グルタルアルデヒド 5.0g プロピオン酸 8.0g 水 40.0g 親水性層表面の水に対する接触角は、1回目及び2回目
とも14〜17度であり、また、被照射領域の接触角
は、50〜54度であった。印刷面の品質も1回目及び
2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別
性も十分であった。
【0133】
【発明の効果】本発明の光触媒性であってかつ親水・親
油性の金属化合物層を原板上に設けた印刷用原板に親水
性物質の層を像様に付与してインキ反発性領域とし、親
水性層が付与されなかった領域をインキ受容性領域とし
て、親水性と疎水性の像様分布を形成させて作成した印
刷版は、画像領域と非画像領域の識別性が高く、細線の
細りもなく、印刷品質を向上させることができる上、現
像処理を必要とせず、直接印刷版を作成することができ
る。しかも印刷終了後、印刷版のインキを除去して履歴
を熱又は光によって除去して印刷原板を再生して反復使
用することができる。また、原板を印刷機の版胴に装着
し、印刷機上で、親水性画像の付与とインキ供給のもと
での印刷及び印刷後の原板再生を行う印刷装置を用いて
簡易で安価な平版印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による平版印刷装置の
構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による平版印刷装置の
インクジェット方式の親水性層付与部の一態様の構成模
式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による平版印刷装置の
画像転写方式の親水性層付与部の一態様の構成模式図で
ある。
【図4】本発明の第2の実施形態による平版印刷装置の
構成を示す図である。
【符号の説明】
1 版胴 2 親水性層付与部 3 インキ供給部 4 インキ洗浄部 5 初期化部 6 ブランケット 7 圧胴 8、12、15 本体 9 マトリックスフィルム 10 マトリックスフィルム挿入部 11Y,11M,11C,11B 印刷ユニット 14Y,14M,14C,14B 印刷ステーション 54 ワークステーション 55 液滴 56 インクジェット噴射ノズル 57 インクジェット噴射ノズル駆動部 S 画像信号
フロントページの続き Fターム(参考) 2C034 AA12 BA02 2H084 AA25 AA38 AE05 BB02 BB16 CC05 2H096 AA06 BA16 LA01 LA30 2H113 AA01 AA02 AA05 BA06 BB24 BC01 DA04 DA07 DA25 DA43 DA49 DA53 FA02 FA07 FA42 2H114 AA05 AA09 AA22 BA10 DA04 DA08 DA25 DA43 DA49 DA52 DA73 DA78 EA01 EA03 EA04 FA16 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 GA29 GA38

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒能を有し、かつ親水・親油性の金
    属化合物の薄層を表面に有する印刷用原板に親水性物質
    の層を像様に付与してインキ反発性領域を形成させ、該
    親水性物質の層を付与されない領域をインキ受容領域と
    したことを特徴とする平版印刷版。
  2. 【請求項2】 光触媒能を有し、かつ親水・親油性の金
    属化合物が、TiO2 、RTiO3 (Rはアルカリ土類
    金属原子)、AB2-x x 3-x x 10(Aは水素原
    子又はアルカリ金属原子、Bはアルカリ土類金属原子又
    は鉛原子、Cは希土類原子、Dは周期律表の5A族元素
    に属する金属原子、Eは同じく4A族元素に属する金属
    原子、xは0〜2の任意の数値を表す)、SnO2 、B
    2 3 ,ZnO,FeOx (x=1〜1.5)及びZ
    rO2 から選ばれる金属化合物であることを特徴とする
    請求項1に記載の平版印刷版。
  3. 【請求項3】 親水性物質の層が、低級脂肪族カルボン
    酸、低級脂肪族アルデヒド、脂肪族多価アルコール、ポ
    リ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリコール
    アルキルエーテル、アルキルスルホン酸、一価アルコー
    ル、水及び界面活性剤から選択される物質の層であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の平
    版印刷版を使用したのち、該使用済み印刷版からインキ
    を洗浄して除去し、活性光を版面に一様照射して印刷版
    を親水・親油性の状態に戻し、該印刷版を印刷用原板と
    して再使用することを特徴とする平版印刷方法。
  5. 【請求項5】 (1)光触媒能を有し、かつ親水・親油
    性の金属化合物の層を表面に有する印刷用原板を装着し
    た版胴と(2)該原板に親水性物質の層を像様に付与し
    てインキ反発性領域を形成させる親水性層付与部と、
    (3)原板表面上の該親水性物質の層が付与されない領
    域にインキを受容させるインキ付与部と、(4)該イン
    キ反発性領域とインキを受容した領域の像様分布によっ
    て構成された印刷面を被印刷面と接触させて印刷を行う
    印刷部と、を有することを特徴とする平版印刷装置。
  6. 【請求項6】 印刷済みの版をインキ溶剤で洗浄して印
    刷版を再使用可能の原板とするインキ除去部及び初期化
    部を有することを特徴とする請求項5に記載の平版印刷
    装置。
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