JP3366237B2 - 製版装置および印刷システム - Google Patents

製版装置および印刷システム

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JP3366237B2
JP3366237B2 JP29261997A JP29261997A JP3366237B2 JP 3366237 B2 JP3366237 B2 JP 3366237B2 JP 29261997 A JP29261997 A JP 29261997A JP 29261997 A JP29261997 A JP 29261997A JP 3366237 B2 JP3366237 B2 JP 3366237B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般軽印刷分野、
とりわけオフセット印刷、とくに簡易に印刷用原版を制
作できる新規な製版装置およびこの製版装置を使用した
印刷システムに関するものであり、とくに印刷用原版の
反復再生使用を可能にする製版装置および印刷システム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷法は、数多くの印刷方法
の中でも印刷版の製作工程が簡単であるため、とくに一
般的に用いられてきており、現在の主要な印刷手段とな
っている。この印刷技術は、油と水との不混和性に基づ
いており、画像領域には油性材料すなわちインキが、非
画像領域には湿し水が選択的に保持される。したがっ
て、印刷される面と直接あるいはブランケットと称する
中間体を介して印刷基材に間接的に接触させると、画像
領域のインキが印刷基材に転写されて印刷が行われる。
【0003】オフセット印刷の主な方法は、アルミニウ
ム基板を支持体としてその上にジアゾ感光層を塗設した
PS板である。PS板においては、アルミニウム基板を
支持体としてその表面を砂目立て、陽極酸化、その他の
諸工程を施して画像領域のインキ受容能と非画像領域の
インキ反発性を高め、耐刷力を向上させ、印刷面の精細
化を図るなどの処理を行い、その表面に印刷用画像を形
成させる。したがって、オフセット印刷は、簡易性に加
えて耐刷力や印刷面の高精細性などの特性も備わってい
る。
【0004】しかしながら、印刷物の普及に伴って、オ
フセット印刷法の一層の簡易化が要望され、数多くの簡
易印刷装置が提案されている。
【0005】その代表例がAgfa-Gevaert社から市販され
たCopyrapid オフセット印刷版をはじめ、米国特許第
3,511,656号、特開平7−56351号等でも
開示されている銀塩拡散転写法による印刷版作成に基づ
く印刷装置であり、この印刷装置によれば、1工程で転
写画像を作ることができ、かつその画像が親油性である
ために、そのまま印刷版とすることができるため、簡易
な印刷装置として実用されている。しかしながら、簡易
とはいいながらも、この装置もアルカリ現像液による拡
散転写現像工程を必要としているため、現像液による現
像工程を必要としないさらに簡易な印刷装置が要望され
ている。
【0006】画像露光を行った後のアルカリ現像液によ
る現像工程を省略した簡易印刷版の開発は上記の背景か
ら行われてきた。現像工程を省略できることから無処理
刷版と呼ばれるこの簡易印刷版の技術分野では、これま
でに主として(1)像様露光による画像記録面上の照射
部の熱破壊による像形成、(2)像様露光による照射部
の親油性化(ヒートモード硬化)による画像形成、
(3)同じく照射部の親油性化であるが光モード硬化に
よるもの、(4)ジアゾ化合物の光分解による表面性質
の変化、(5)画像部のヒートモード溶融熱転写などの
諸原理に基づく手段が提案されている。
【0007】上記の簡易オフセット印刷装置として開示
されている技術には、米国特許第3,506,779
号、同第3,549,733号、同第3,574,65
7号、同第3,739,033号、同第3,832,9
48号、同第3,945,318号、同第3,962,
513号、同第3,964,389号、同第4,03
4,183号、同第4,081,572号、同第4,6
93,958号、同第4,731,317号、同第5,
238,778号、同第5,353,705号、同第
5,385,092号、同第5,395,729号等の
米国特許および欧州特許第1068号などがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらは、製版に際し
て現像液を必要としないように構成されているが、親油
性領域と親水性領域との差異が不十分であること、した
がって印刷画像の画質が劣ること、解像力が劣り鮮鋭度
の優れた印刷画像が得にくいこと、画像面の機械的強度
が不十分で傷が付き易いこと、そのために保護膜を設け
るなどによって却って簡易性が損なわれること、長時間
の印刷に耐え得る耐久性が不十分であることなどいずれ
か1以上の欠点を有しており、単にアルカリ現像工程を
なくすだけでは実用性は伴わないことを示している。印
刷上必要とされる諸特性を具備し、かつ簡易に印刷用原
版を製作できる印刷版作成方法への強い要望は、未だに
満たされていない。
【0009】上述した無処理型印刷版作成方法として、
ジルコニアセラミックが光照射によって親水性化するこ
とを利用した印刷版作成方法が特開平9−169098
号に開示されている。しかしながら、ジルコニアの光感
度は不十分であり、かつ疎水性(親油性)から親水性へ
の光変換効果が不十分なため、画像領域と非画像領域と
の識別性が不足している。
【0010】上述した現像液を必要としない簡易な印刷
装置とともに、使用済みの印刷用原版を簡易に再生して
再使用できる手段があれば、コストの低減と廃棄物の軽
減の2面から有利である。印刷用原版の再生使用には、
その再生操作の簡易性が実用価値を左右するが、再生操
作の簡易化は難度の高い課題であり、従来ほとんど検討
されてきておらず、わずかに上記特開平9−16909
8号でジルコニアセラミックという特殊な原版用材料に
ついて開示されているに過ぎない。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので
あり、アルカリ性現像液を必要としない簡易性と実用レ
ベルに十分な画質を有し、かつ印刷用原版を反復して使
用することができる製版装置およびこの製版装置を使用
した印刷システム、具体的には、第1にアルカリ現像液
を必要とせず、第2に優れた解像力を有し、第3に画像
領域と非画像領域との識別性が高く、優れた画質の印刷
画面を作ることができる製版装置および印刷システムを
提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために、鋭意検討の結果、光照射によって表
面の親水性が変化する現象と、変化した親水性が熱処理
によって元に戻る性質を有する材料の存在を認め、前者
を印刷に応用することに、後者を印刷用原版の再生に利
用することによって上記の課題を解決できる可能性を見
いだし、これに基づいて本発明に至ったものである。
【0013】すなわち、本発明による製版装置は、光触
媒反応により親油性から親水性に変化し、熱処理により
親水性から親油性に変化する材料を主成分とする薄膜を
表面に有するとともに、取り外し自在に設けられた印刷
用原版と、前記印刷用原版に、活性光による全面露光を
行う露光手段と、該露光手段により全面露光された前記
印刷用原版にヒートモードの描画を行う描画手段とを備
えたことを特徴とするものである。
【0014】ここで、「光触媒反応により親油性から親
水性に変化し、熱処理により親水性から親油性に変化す
る材料」とは、光照射によって表面が親油性から親水性
に変化するとともに、変化した親水性が熱処理によって
親油性となって元に戻る性質を有する材料のことをいう
ものである。また、活性光とは、上記材料がその光を吸
収して励起されて、その表面を親油性から親水性に変化
させる光のことをいう。さらに、全面露光とは、印刷用
原版の全面に亘って実質的に一様で局部的な不均一が実
用上認められない露光のことをいう。また、ヒートモー
ドとは、当業界で通常用いている意味で用いており、微
細な発熱体素子を接触させて画像状に昇温させる方法以
外にも、吸収した光が熱エネルギーに変換される結果、
光化学的変化でなく熱的な変化を利用する方式をも含む
ものである。
【0015】なお、本発明による製版装置においては、
前記印刷用原版を、ドラムの表面に取り外し自在に設け
られた平板状原版とし、前記露光手段および前記描画手
段を、前記ドラムの周囲に配設することが好ましい。
【0016】また、前記印刷用原版を版胴とし、前記露
光手段および前記描画手段を、前記版胴の周囲に配設す
ることが好ましい。
【0017】さらに、前記描画手段を感熱ヘッドとして
もよく、赤外線などのレーザーからなるものとしてもよ
い。
【0018】また、前記光触媒反応により親油性から親
水性に変化し、熱処理により親水性から親油性に変化す
る材料が、酸化チタンまたは酸化亜鉛からなることが好
ましい。
【0019】さらに、印刷終了後、前記印刷用原版に残
存するインキを除去するインキ除去手段をさらに備える
ことが好ましい。
【0020】なお、本発明による印刷システムは、上述
した本発明による製版装置、該製版装置から取り外され
た前記印刷用原版を取り外し自在に保持する保持手段
と、前記ヒートモードの描画がなされた前記印刷用原版
にインキを供給して該印刷用原版に画像領域を形成する
インキ供給手段とを備えた印刷装置、および印刷終了
後、前記印刷用原版に残存するインキを除去するインキ
除去手段を有することを特徴とするものである。
【0021】また、本発明による印刷システムにおいて
は、前記インキ除去手段を、前記印刷装置に設けてもよ
く、前記製版装置に設けてもよい。
【0022】さらに、本発明による印刷システムは、少
なくとも4つの前記印刷装置を有するものとすることが
好ましい。
【0023】
【発明の効果】本発明による製版装置およびこの製版装
置を使用した印刷システムによれば、印刷用原版に対し
て活性光により全面露光を行うことによって、印刷用原
版の表面は親油性から親水性に変化する。そして、印刷
用原版に対して描画手段によりヒートモードの描画を行
うことにより、活性光の照射により親水性を有する非画
像領域と、ヒートモードにより描画がなされることによ
り元の親油性を有する画像領域とが印刷用原版の表面に
形成される。そして、このような印刷用原版を製版装置
から取り外し、印刷装置に保持してインキを供給するこ
とにより、親油性の画像領域にのみインキが保持され、
親水性の非画像領域にはインキは保持されないこととな
り、この状態において、印刷用原版に形成された画像領
域を印刷基材に転写することができる。印刷終了後は、
印刷用原版に残存するインキをインキ除去手段により除
去し、その後、印刷用原版を製版装置に戻して再度露光
手段によって印刷用原版を全面露光することにより、印
刷用原版の表面は親水性となり、描画手段によるヒート
モードの描画が可能な状態となる。
【0024】したがって、本発明による製版装置および
印刷システムによれば、活性光の全面露光およびヒート
モードの描画のみで印刷画面を形成することができ、こ
れにより現像が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が保たれたオ
フセット印刷を行うことができる。また、印刷用原版を
洗浄した後、活性光を全面露光することにより、ヒート
モードの描画を行う前の状態に戻すことができるため、
印刷用原版を反復使用することができ、これにより印刷
物を低コストで提供することができることとなる。
【0025】また、印刷用原版を平板状原版としてこの
原版をドラムの周囲に取り外し自在に設ける、あるいは
印刷用原版を版胴とし、ドラムまたは版胴の周囲に露光
手段および描画手段を配設することにより、単にドラム
または版胴を回転させるのみで、露光およびヒートモー
ドによる描画を行うことができるため、装置をコンパク
トに構成することができ、これにより省スペース化を図
ることができる。
【0026】さらに、製版装置にインキを除去するイン
キ除去手段を設けることにより、インキ除去工程をも製
版装置にて行うことができ、これにより本発明による製
版装置を使用した印刷システムの構成を簡易なものとす
ることができる。
【0027】また、本発明による印刷システムを、少な
くとも4つの印刷装置を有するものとすることにより、
各印刷装置において供給されるインキの色を変えてカラ
ー印刷を行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
形態について説明する。
【0029】本発明は、酸化チタンや酸化亜鉛などの光
触媒反応により親油性から親水性に変化する材料が、活
性光の照射を受けてその表面の親水性/親油性の性質を
変える特性を有すること、変化した表面の性質が熱によ
って元の性質に戻ることを発見し、これらの現象をイン
キの受容性と反発性の識別へ応用してそれをオフセット
印刷用の印刷用原版の作成と、使用済みの印刷用原版の
再生に応用する技術を確立したことを特徴とするもので
ある。
【0030】図1は本発明の第1の実施形態による印刷
システムの構成を示す図である。図1に示すように本発
明の第1の実施形態による印刷システムは、製版装置1
と印刷装置2とからなる。
【0031】製版装置1は、酸化チタンや酸化亜鉛など
の光触媒反応により親油性から親水性に変化する材料を
主成分とする平板状の原版3が巻き付けられる露光ドラ
ム4と、露光ドラム4に対して活性光により全面露光を
行う活性光照射部5と、活性光により全面露光された原
版3に対してヒートモードの描画を行うための感熱記録
部6とを本体7内に有する。なお、本体7には、後述す
るように本体7内に原版3を供給するための原版供給部
11と、本体7から原版3を排出するための原版排出部
12とが設けられている。
【0032】印刷装置2は、原版3が巻き付けられる版
胴15と、活性光により露光された露光面にインキおよ
び湿し水を供給するインキ・湿し水供給部16と、印刷
終了後に版胴15の原版3に残存するインキを除去する
インキ洗浄部17と、版胴15の原版3に保持されたイ
ンキを用紙に転写するための中間体としてのブランケッ
ト18と、ブランケット18とともに給送された用紙を
保持する圧胴19とを備え、これらの部材が本体20内
に収容されてなるものである。なお、本体20には、後
述するように原版3を供給するための原版供給部21が
設けられている。
【0033】原版3に設けられる酸化チタンや酸化亜鉛
が感光性を有することはよく知られており、とくに酸化
亜鉛では、帯電あるいは電圧印加状態で光照射を行って
静電画像を得ることができ、これが静電写真分野でエレ
クトロファックスとして実用されている。しかしなが
ら、活性光の照射によって表面の親水性/親油性の性質
が変化するという特性は上記の光電的電荷生成とは関連
なく新たに見いだされた現象であって、酸化チタンおよ
び酸化亜鉛の感光性を電子写真分野へ利用することが研
究された当時には気づかなかった現象である。
【0034】まして、この表面の性質変化を製版装置に
適用するという着想は新しい技術思想である。
【0035】本発明の感光体としては、酸化チタンおよ
び酸化亜鉛のいずれも利用できるが、とくに酸化チタン
が感度(すなわち表面性の光変化特性)などの点で好ま
しい。酸化チタンは、イルメナイトやチタンスラグの硫
酸加熱焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化など既知の
任意の方法で作られたものを使用できる。あるいは後述
するように酸化チタンそのものあるいは金属チタンを用
いて印刷版作成段階で真空蒸着、スパッタリングなどの
真空薄膜形成法によって酸化物被膜とする方法も用いる
ことができる。
【0036】酸化チタン(または酸化亜鉛)を含有する
層を原版3の表面に設けるには、例えば、(1)酸化チ
タン微結晶(または酸化亜鉛微結晶)の分散物を原版3
に塗設する方法、(2)塗設した後焼成してバインダー
を減量あるいは除去する方法、(3)原版3上に酸化チ
タン(または酸化亜鉛)を蒸着する方法、(4)例えば
チタニウムプトキシドのようなチタン有機化合物を原版
3上に塗布した後、加水分解および焼成酸化を施して酸
化チタン層とする方法など、既知の任意の方法を用いる
ことができる。本発明においては、真空蒸着による酸化
チタン層がとくに好ましい。
【0037】上述した(1)または(2)の酸化チタン
微結晶を塗設する方法には、酸化チタンと酸化シリコン
の混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸化
チタンとオルガノポリシロキサンまたはそのモノマーと
の混合物を塗布する方法などがある。また、酸化物層の
中に酸化物と共存できるポリマーバインダーに分散して
塗布することもできる。酸化物微粒子のバインダーに
は、酸化チタン微粒子に対して分散性を有するポリマー
を広く用いることができる。好ましいバインダーポリマ
ーの例としては、ポリエチレンなどのポリアルキレンポ
リマー、ポリブダジエン、ポリアクリル酸エステル、ポ
リメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビ
ニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリビニルアルコール、ポリスチレンなどの
疎水性バインダーが好ましく、これらの樹脂を混合して
もよい。
【0038】上記(3)の酸化チタンの真空蒸着を行う
には、通常真空蒸着装置内を真空度exp(−5)To
rr以上に排気した後、酸素ガス圧exp(−1〜−
6)Torrの条件下で酸化チタンを電子ビーム加熱し
て蒸発させると、蒸着面に酸化チタンの蒸着薄膜が形成
される。
【0039】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は既知の任意の方法で作ることがで
きる。とくに金属亜鉛版の表面を電解酸化して酸化被膜
を形成させる方法と、真空蒸着によって酸化亜鉛被膜を
形成させる方法が好ましい。
【0040】酸化亜鉛の蒸着膜は、上記の酸化チタンの
蒸着と同様に酸化亜鉛そのものあるいは金属亜鉛を酸素
ガス存在下で蒸着して酸化膜を形成させる方法や、酸素
のない状態で亜鉛金属膜を形成させた後、空気中で温度
を約700℃に上げて酸化させる方法を用いることがで
きる。
【0041】蒸着膜の厚さは、酸化チタン層、酸化亜鉛
層のいずれの場合も1〜100000オングストローム
がよく、好ましくは10〜10000オングストローム
である。さらに好ましくは3000オングストローム以
下として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性作
用を十分に発現させるためには厚さが50オングストロ
ーム以上であることが好都合である。
【0042】酸化チタンはいずれの結晶型のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選択することによって得られること
はよく知られている。その場合に無定型の酸化チタンや
ルチル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型
結晶が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上
記の理由から好ましい。
【0043】酸化チタンあるいは酸化亜鉛を主成分とす
る層における酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積率は、
それぞれ30〜100%であり、好ましくは50%以上
を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸化物の
連続層つまり実質的に100%であるのがよい。
【0044】一方、光照射によって表面の親水性が変化
する性質を増進させるためにある種の金属をドーピング
することは有効な場合があり、この目的にはイオン化傾
向が小さい金属のドーピングが適しており、Pt、P
d、Au、Ag、Cu、Ni、Fe、Coをドーピング
することが好ましい。また、これらの好ましい金属を複
数ドーピングしてもよい。
【0045】また、酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率が低いと層の表面の親水性/親油性の特性変化の敏感
度が低下する。したがって、層中の酸化物の体積率は、
30%以上であることが望ましい。
【0046】本実施形態に使用される原版3としては、
種々の形態と材料を用いることができる。例えば、原版
3の表面に酸化チタン層を蒸着、浸漬あるいは塗布する
など上述した方法で直接酸化物層を設ける方法、金属板
の表面に酸化チタン層を設ける方法などがある。この場
合、金属板としては、アルミニウム板、ステンレス鋼、
ニッケル、銅板が好ましく、また可撓性を有する金属板
を用いることができる。また、ポリエステル類やセルロ
ースエステルなどのフレキシブルなプラスチック支持体
も用いることができる。防水加工紙、ポリエチレン積層
紙、含浸紙などの支持体上に酸化物層を設けてもよい。
【0047】本発明において、酸化チタン(または酸化
亜鉛)の層を支持体上に設ける場合、使用される支持体
としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、
プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレンなど)がラミネートされた紙、金属板
(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ステンレスな
ど)、プラスチックフイルム(例えば、二酢酸セルロー
ス、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸
セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルア
セタールなど)、上述したような金属がラミネートもし
くは蒸着された紙、またはプラスチックフイルムなどが
含まれる。
【0048】好ましい支持体は、ポリエステルフイル
ム、アルミニウム、または印刷版上で腐食しにくいSU
S板であり、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価
であるアルミニウム板はとくに好ましい。好適なアルミ
ニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主
成分とし微量の異元素を含む合金板であり、さらにアル
ミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチック
フイルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素
には、珪素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合
金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本
発明においてとくに好適なアルミニウムは、純アルミニ
ウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上
製造が困難であるため、わずかに異元素を含有するもの
でもよい。このように、本発明に適用されるアルミニウ
ム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より
公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用すること
ができる。本発明で用いられる支持体の厚さは約0.0
5mm〜0.6mm、好ましくは0.1〜0.4mm、
とくに好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0049】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などにより脱脂
処理が行われる。
【0050】アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種
々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化す
る方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および
化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機
械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラ
スト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いること
ができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸ま
たは硝酸電解液中で交流または直流により行う方法があ
る。また、特開昭54−63902号に開示されている
ように両者を組み合わせた方法も利用することができ
る。
【0051】このように粗面化されたアルミニウム板
は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処
理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高め
るために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽
極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化被
膜を形成する種々の電解質の使用が可能であり、一般的
には、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸あるいはこれらの混
酸が用いられる。これらの電解質の濃度は電解質の種類
によって適宜決められる。
【0052】陽極酸化の処理条件は用いる電解質により
種々変わるため一概に特定し得ないが、一般的には電解
質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電
流密度5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時
間10秒〜5分の範囲であれば適当である。
【0053】陽極酸化皮膜の量は、1.0g/m2 より
少ないと耐刷性が不十分であったり、原版3の非画像領
域に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが
付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0054】酸化チタンあるいは酸化亜鉛の表面層を有
する原版3は、本来親油性でありインキを受容するが、
全面光照射によって原版3の表面は親水性となり、イン
キを受け付けなくなる。そのようにしてから、ヒートモ
ードの描画、例えば熱媒体の接触描画や熱エネルギーに
変換し得る光による像様露光を行うとその描画部分が親
油性に変化してインキを受容する性質を持つようにな
る。したがって、このようにして描画した原版3に、印
刷装置2においてオフセット印刷用インキを接触させ
て、非画像領域が湿し水を保持し、画像領域がインキを
受け入れた印刷面を形成させ、この印刷面を被印刷面と
接触させてインキを転写することによって印刷が行われ
る。
【0055】本発明の基本となっている「光の照射によ
る親油性と親水性の間の変化」は極めて顕著である。画
像領域部と非画像部領域の親油性と親水性の差が大きい
ほど、識別効果が顕著であり、印刷面が鮮明となり同時
に耐刷性も大きくなる。親水性と親油性の相違度は、水
滴に対する接触角によって表すことができる。親水性が
大きいほど水滴は広がりを見せて接触角が小さくなり、
逆に水滴を反発する(撥水性つまり親油性)場合は接触
角が大きくなる。すなわち、本発明の酸化チタンまたは
酸化亜鉛表面層を有する印刷用原版は、本来水に対して
高い接触角を有しているが、後述する活性光の照射を受
けるとその接触角が急激に低下し、親油性のインキをは
じく性質に変化するため、版面上に画像上にインキ保持
部と水保持部ができて、紙などと接触することによって
その被印刷面にインキが転写される。
【0056】次いで、製版装置1の活性光照射部5につ
いて説明する。
【0057】本発明では、親油性画像形成に先立って活
性光による全面露光を行って、原版3の表面を均一に親
水性にする。全面露光に使用する活性光について述べる
と、同時に全面を照射するいわゆる面露光方式またはス
リット上の光の移動による全面露光方式であっても、あ
るいは光束のビームを全面に亘って走査させるスキャニ
ング露光方式でもよい。後者の場合は、ビームの走査間
隔が実質的に印刷に支障ない程度に小さければ一様の全
面露光とみてよい。一般的に光源がレーザー光源であれ
ば、ビームスキャニング露光方式が好都合であり、電球
や放電管のようなインコヒーレントな発散型光源であれ
ば面露光方式が好都合である。
【0058】本発明において酸化チタンまたは酸化亜鉛
を主成分とする薄層を励起させる活性光は、酸化物の感
光域の光である。酸化チタンはアナターゼ型が387n
m以下、ルチル型が413nm以下、酸化亜鉛は387
nm以下に感光域を有するため、水銀灯、タングステン
ハロゲンランプ、その他のメタルハライドランプ、キセ
ノン灯などを用いることができる。また、励起光として
は、発振波長を325nmに有するヘリウムカドミウム
レーザーや発振波長を351.1〜363.8nmに有
する水冷アルゴンレーザーも用いることができる。さら
に、紫外線レーザー、近紫外レーザー発振が確認されて
いる窒化ガリウムレーザー系では、発振波長を360〜
440nmに有するInGaN系量子井戸半導体レーザ
ー、および360〜430nmに発振波長を有する導波
路MgO−LiNbO3 反転ドメイン波長変換デバイス
型のレーザーを使用することができる。
【0059】酸化亜鉛の場合は、既知の方法で分光増感
を行ってもよいが、その場合も上記の光源を使用でき、
さらに分光増感域に分光分布を有する上記以外の例えば
タングステンランプを使用することもできる。
【0060】照射光量に応じて、表面層の酸化チタンま
たは酸化亜鉛を光吸収励起によって親水性に変化させて
いき、表面層を構成する酸化チタンまたは酸化亜鉛が全
て変化し終わると、それ以上の光照射によってさらに親
水性の程度が変化することはない。
【0061】好ましい照射光量は、酸化チタンまたは酸
化亜鉛の画像形成層の性質によって異なり、また照射光
量とともに接触角が減少するため、画像/非画像の識別
性目標レベルによっても変わる性質の紫外光であるが、
通常は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が酸化チ
タン、酸化亜鉛ともに0.05〜100joule /c
2 、好ましくは0.05〜10joule /cm2 、より
好ましくは0.05〜5joule /cm2 である。
【0062】また、光照射には相反則が略成立してお
り、例えば10mW/cm2 で100秒の露光を行って
も、1W/cm2 で1秒の露光を行っても、同じ効果が
得られるため、活性光を発光する限り光源の選択に制約
はない。この照射光量は、レーザーによるスキャニング
方式あるいは発散型光源を用いる面露光方式でもともに
支障がないレベルの光量である。
【0063】次いで、製版装置1の感熱記録部6につい
て説明する。
【0064】全面が均一に親水化された原版3に親油性
の画像領域を形成するには、原版3の表面を感熱記録部
6により画像様に加熱することによって行われる。この
画像様に加熱する手段としての感熱記録部6の詳細な構
成を図2に示す。図2に示すように、感熱記録部6は、
原版3の表面に密着してヒートモードによる描画を行う
感熱ヘッド41と、印刷すべき画像を表す画像信号Sを
作成する編集・レイアウトW/S40から入力された画
像信号Sに基づいて、感熱ヘッド41を駆動して原版3
の表面にヒートモードによる描画を行うための感熱ヘッ
ド駆動部42とからなる。感熱ヘッド41は複数の微細
な発熱体が原版3の回転軸方向にアレイ状またはマトリ
クス状に延在しており、1ラインまたは複数ラインごと
に原版3にヒートモードによる描画を行うものである。
そして、原版3が露光ドラム4によって回転することに
より、原版3の表面にヒートモードによる描画がなさ
れ、原版3における描画がなされなかった部分が親水性
の非画像領域とされ、描画された部分が親油性の画像領
域とされるものである。
【0065】感熱記録部6の他の構成を図3に示す。図
3に示すように、他の例における感熱記録部6は、赤外
線レーザー光を出射して原版3に照射する赤外線レーザ
ー光源43と、印刷すべき画像を表す画像信号Sを作成
する編集・レイアウトW/S40から入力された画像信
号Sに基づいて、赤外線レーザー光源43を駆動して赤
外線レーザー光を変調させて原版3の表面にヒートモー
ドによる描画を行うための赤外線レーザー光源駆動部4
4とからなる。光源43は出射される赤外線レーザー光
を原版3の回転軸方向に原版3に対して相対的に移動し
てして原版3上を走査するよう構成されており、原版3
が回転することにより、原版3の表面が変調された赤外
線レーザー光により露光され、原版3における赤外線レ
ーザー光が照射されなかった部分が親水性の非画像領域
とされ、赤外線レーザー光が照射された部分が親油性の
画像領域とされて、ヒートモードによる描画がなされる
ものである。
【0066】なお、ここでは赤外線レーザーを直接変調
する方式を示したが、赤外線レーザーと音響光学素子の
ような外部変調素子との組み合わせによっても同様に描
画できることはもちろんである。
【0067】また、本発明においては、感熱記録部6と
しては、感熱ヘッドや赤外線レーザーのみではなく、光
から熱への変換ヘッド(光熱変換ヘッド)、熱線を画像
マスクを通して照射する方法、熱線不透過性の画像マス
クを通してフラッシュ露光またはスリット露光を行う方
法、大容量コンデンサに蓄えた電気を一度に放出させて
高照度短時間フラッシュ露光によっても描画できる。こ
の場合において、適切な露光量は0.05〜10joule
/cm2 、好ましくは0.05〜5joule /cm2 であ
る。
【0068】上記の親油性から親水性への光による変化
をもたらす感光性は、性質および機構ともに従来開示さ
れているジルコニアセラミック(特開平9−16909
8号)の感光性とは異なるものである。例えば、感度に
ついては、ジルコニアセラミックに対しては7W/μm
2 のレーザー光と記載されており、レーザー光のパルス
持続時間を100ナノ秒として70joule /cm2 であ
って酸化チタン層の感度より約1桁低い。機構的にも十
分解明はされていないが、親油性有機物付着物の光剥離
反応と考えられており、ジルコニアの光変化機構とは異
なっている。しかしながら、ジルコニアも酸化チタンや
酸化亜鉛と同様に光の照射による親油性と親水性の間の
変化を示すため、本発明にはジルコニアを使用すること
もできる。
【0069】活性光の全面照射によって親水性化した酸
化チタンまたは酸化亜鉛の表面層への画像焼き付け用ヒ
ートモード露光を行った後、原版3は現像処理すること
なくそのまま印刷を行うことができる。
【0070】以上のようにして得られた原版3の露光部
は十分に親水性化しているが、所望により、水性水、界
面活性剤などを含有するリンス液、アラビアガムや澱粉
誘導体を含む不感脂化液により後処理される。本実施形
態における後処理としては、これらの処理を組み合わせ
て用いることができる。
【0071】その方法として整面液を浸み込ませたスポ
ンジや脱脂綿にて、原版3に塗布するか整面液を満たし
たバット中に原版3を浸漬して塗布する方法や、自動コ
ーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後
でスキージー、あるいはスキージーローラでその塗布量
を均一にすることは、より好ましい結果を与える。整面
液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2 (乾燥重
量)が適当である。
【0072】このように処理された原版3は、製版装置
1から排出されて印刷装置2の版胴15に巻き付けら
れ、インキ・湿し水供給部16からインキおよび湿し水
が供給され、親水性の非画像領域には湿し水が、親油性
の画像領域にインキが保持される。そして、原版3にイ
ンキが保持されると、オフセット印刷工程に送られて印
刷が行われる。
【0073】このように、本実施形態による印刷システ
ムは、通常の公知の平板印刷法に比較して簡易性を中心
に多くの利点を有する。すなわち、上述したようにアル
カリ現像液による化学処理が不要であり、それに伴うワ
イピング、ブラッシングの操作も不要であり、さらに現
像廃液の排出による環境負荷も伴わない。
【0074】次いで、印刷装置2のインキ洗浄部17に
ついて説明する。
【0075】印刷が終了した原版3はインキ洗浄部17
においてインキが洗浄される。この洗浄は、疎水性の石
油系溶剤を用いて原版3に付着しているインキを洗い落
とすことにより行われる。溶剤としては市販の印刷用イ
ンキ溶解液として芳香族炭化水素、例えばケロシン、ア
イソパーなどがあり、それらを用いることができるほ
か、ベンゾール、トルオール、キシロール、アセトン、
メチルエチルケトンおよびこれらの混合溶剤を用いても
よい。
【0076】インキを洗浄除去した印刷板は、高温に曝
さない限り次の印刷に備えられる。この使用済み原版3
は、前述した活性光照射部5による全面露光によって表
面が親水性となって再びヒートモードの描画を繰り返し
て再度印刷に使用することができる。
【0077】本実施形態における原版3の反復再生可能
回数は、完全には把握できていないが、少なくとも15
回以上であり、版面の除去不能な汚れ、修復が実際的で
ない刷面の傷や、版材の機械的な変形(歪み)などによ
って制約されるものと思われる。
【0078】次いで、第1の実施形態の動作について説
明する。
【0079】まず、製版装置1の原版供給部11より原
版3を本体7内に供給して露光ドラム4に巻き付ける。
次いで、活性光照射部5より活性光が発せられて原版3
の全面に照射され、これにより、原版3の表面は親油性
から親水性に変化する。そして、活性光の照射が終了す
ると、感熱記録部6によって上述したようにヒートモー
ドによる描画が行われる。これにより、描画が行われた
領域は元の親油性を有する画像領域となり、描画が行わ
れなかった領域は親水性を有する非画像領域とされる。
そして、ヒートモードによる描画が終了すると、原版3
が露光ドラム4から取り外されて、原版排出部12から
排出される。
【0080】原版排出部12から排出された原版3は、
不図示の搬送手段または手動にて印刷装置2の原版供給
部21へ搬送され、さらに印刷装置2の本体20内に供
給されて版胴15に巻き付けられる。原版3が版胴15
に巻き付けられると、インキ・湿し水供給部16よりイ
ンキおよび湿し水が原版3に供給される。これにより、
原版3の親油性の画像領域にはインキが保持され、親水
性の非画像領域にはインキが保持されることなく湿し水
が保持される。
【0081】その後、ブランケット18と圧胴19との
間に矢印Aに示すように用紙を供給し、原版3に保持さ
れたインキをブランケット18を介して用紙に転写する
ことによりオフセット印刷が行われる。
【0082】印刷終了後、インキ洗浄部17により原版
3に残存するインキを除去し、原版3を版胴15から取
り外して原版供給部21より原版3を排出する。排出さ
れた原版3は不図示の搬送手段または手動にて製版装置
1の原版供給部11へ搬送され、再利用に供される。
【0083】このように、本発明の印刷システムによれ
ば、活性光の全面露光およびヒートモードによる描画の
みで原版3に印刷画面を形成することができ、これによ
り現像面が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が保たれたオフセ
ット印刷を行うことができる。また、原版3を洗浄して
再度活性光を全面露光することにより元の状態に戻すこ
とができるため、原版3を反復使用することができ、こ
れにより印刷物を低コストで提供することができること
となる。
【0084】また、原版3を露光ドラム4に巻き付ける
ようにし露光ドラム4の周囲に活性光照射部5および感
熱記録部6を配設することにより、単に露光ドラム4を
回転させるのみで画像の形成および加熱を行うことがで
きるため、装置をコンパクトに構成することができ、こ
れにより省スペース化を図ることができる。
【0085】以下、本発明の具体的な実施例について以
下に説明する。
【0086】99.5重量%アルミニウムに、銅を0.
01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量
%、珪素を0.1重量%含有するJISAl050アル
ミニウム材の厚さ0.30mm圧延板を、400メッシ
ュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液
と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用
いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。
【0087】これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液
(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニ
ウムの溶解量が5g/m2 になるようにエッチングした
後、流水で水洗いした。さらに、1重量%硝酸で中和
し、次に0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5
重量%含有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、陰極時
電圧9.3ボルトの矩形波交番形電圧(電流比r=0.
90、特公昭58−5796号公報実施例に記載されて
いる電流波形)を用いて160クローン/dm2の陽極
時電気料で電荷粗面化処理を行った。水洗後、35℃の
10重量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アル
ミニウム溶解量が1g/m2 になるようにエッチングし
た後、水洗いした。次に50℃、30重量%の硫酸水溶
液中に浸漬し、デスマットした後水洗いした。
【0088】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。すなわち、
電流密度13A/dm2 で電解を行い、電解時間の調節
による陽極酸化皮膜重量2.7g/m2 とした。
【0089】この支持体を水洗後、70℃のケイ酸ナト
リウムの3重量%水溶液に30秒間浸漬処理し、水洗乾
燥した。
【0090】以上のようにして得られたアルミニウム支
持体は、マクベスRD920反射濃度計で測定した反射
濃度は0.30で、中心線平均粗さは0.58μmであ
った。
【0091】次いでこのアルミニウム支持体を真空蒸着
装置内に入れて、200℃に加熱し、1.0×10-8
orrまで排気した後、酸素ガス圧1.5×10-4To
rrの条件下で酸化チタンを電子ビーム加熱して、アル
ミニウム支持体上に酸化チタン薄膜を形成した。この薄
膜の結晶成分はX線解析法によって、無定型/アナター
ゼ/ルチル結晶構造の比が2.5/4.5/3であり、
酸化チタンの薄膜の厚さは750オングストロームであ
った。これを原版3のサンプルとした。
【0092】この原版3にウシオ電気社製USIO焼き
付け用光源装置ユニレックURM−600形式GH−6
0201Xを用いて、光強度35mW/cm2 の光を1
0cmのスリットを通し、原版3を巻き付けた露光ドラ
ム4をゆっくりと回転させることによって、原版3のど
の部分も均一に15秒間全面露光を行った。協和界面科
学株式会社製CONTACT-ANGLE METER CA-Dを用いて空中水
滴法で表面の接触角を測定したところ水に対する(空中
水滴)接触角は版面中のいずれの部分も5〜7度の間に
あった。
【0093】Ta−SiO2 発熱抵抗体上にサイアロン
耐摩耗性保護層を設けた150μm×150μmのサー
マルヘッドを250μm間隔に並べた発熱体アレイを用
いて、酸化チタン表面層と接触させて昇温印字を行っ
た。使用したサーマルヘッドは、20msec通電によ
って450℃に達することを別途温度測定を行って確認
した。記録速度は400m/secで行った。
【0094】このようにして得た原版3をサクライ社製
オリバー52片面印刷機に使用し、湿し水を純水、イン
キを大日本インキ化学工業社製Newchampion Fグロス8
5墨を用いて1000枚オフセット印刷を行った。スタ
ートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、原版3の損傷
も認められなかった。
【0095】次いで、原版3の表面を印刷用インキ洗浄
液ダイクリーンR(発売元;大日本インキ化学工業社)
により洗浄してインキを除去した。
【0096】次いで、ウシオ電気社製USIO焼き付け
用光源装置ユニレックURM−600形式GH−602
01Xを用いて、光強度35mW/cm2 の光を10c
mのスリットを通し、原版3を巻き付けた露光ドラム4
をゆっくりと回転させることによって、原版3のどの部
分も均一に15秒間全面露光を行った。
【0097】次いで、この原版3の表面に上記と同一の
条件下でサーマルヘッドにより異なる描画を行った。
【0098】この原版3をサクライ社製オリバー52片
面印刷機に使用し、湿し水を純水、インキを大日本イン
キ化学工業社製Newchampion Fグロス85墨を用いて5
00枚オフセット印刷を行った。スタートから終了まで
鮮明な印刷物が得られ、原版3の損傷も認められなかっ
た。
【0099】以上の繰り返しを5回実施したところ、原
版3の光感度、感熱記録の感度、接触角の反復再現性な
どの変化は見られなかった。
【0100】以上の結果から、酸化チタン感熱層を圧延
板支持体上に設けた原版3によってヒートモードの光描
画によるのみでなく、サーマルヘッドによる直接の電熱
印字もできて、かつその版をインキ洗浄除去のみによっ
て再生反復できることが示された。
【0101】次いで、本発明の第2の実施形態について
説明する。
【0102】図4は本発明の第2の実施形態による印刷
システムの構成を示す図である。なお、第2の実施形態
において第1の実施形態と同一の構成については同一の
参照番号を付し、詳細な説明は省略する。第2の実施形
態は、製版装置1および印刷装置2が同一のユニット2
3内に収容されてなり、製版装置1と印刷装置2との間
に原版3の搬送を行う搬送装置24を設けた点が第1の
実施形態と異なるものである。
【0103】次いで、第2の実施形態の動作について説
明する。
【0104】まず、製版装置1の原版供給部11より原
版3を本体7内に供給して原版3を露光ドラム4に巻き
付ける。次いで、活性光照射部5より活性光が発せられ
て原版3の全面に照射され、これにより、原版3の表面
は親油性から親水性に変化する。そして、活性光の照射
が終了すると、感熱記録部6によって上述したようにヒ
ートモードによる描画が行われる。これにより、描画が
行われた領域は元の親油性を有する画像領域となり、描
画が行われなかった領域は親水性を有する非画像領域と
される。そして、ヒートモードによる描画が終了する
と、原版3が露光ドラム4から取り外されて、搬送装置
24により印刷装置2に搬送される。
【0105】印刷装置2に搬送された原版3は、印刷装
置2の本体20内に供給されて版胴15に巻き付けられ
る。原版3が版胴15に巻き付けられると、インキ・湿
し水供給部16よりインキおよび湿し水が原版3に供給
される。これにより、原版3の親油性の画像領域にはイ
ンキが保持され、親水性の非画像領域にはインキが保持
されることなく湿し水が保持される。
【0106】その後、ブランケット18と圧胴19との
間に矢印Bに示すように用紙を供給し、原版3に保持さ
れたインキをブランケット18を介して用紙に転写する
ことによりオフセット印刷が行われる。
【0107】印刷終了後、インキ洗浄部17により原版
3に残存するインキを除去する。その後、原版3は版胴
15から取り外されて搬送装置24により製版装置1に
搬送され、再利用に供される。
【0108】なお、上記第1および第2の実施形態にお
いては、インキ洗浄部17を印刷装置2に設けている
が、製版装置1に設けてもよく、また製版装置1および
印刷装置2とは別個に設けるようにしてもよい。
【0109】また、上記第1および第2の実施形態にお
いては、原版3を露光ドラム4に対して取り外し自在と
し、原版3を製版装置1と印刷装置2との間において搬
送してオフセット印刷を行うようにしているが、原版3
を版胴として製版装置1および印刷装置2に対して取り
外し自在に設け、原版3としての版胴を製版装置1およ
び印刷装置2との間において搬送してオフセット印刷を
行うようにしてもよい。
【0110】さらに、上記第1および第2の実施形態に
おいては、原版3を露光ドラム4に巻き付けて露光およ
びヒートモードによる描画を行う製版装置について説明
したが、原版3を露光ドラム4に巻き付けることなく平
板状にて使用する製版装置を用いてもよい。以下この製
版装置を第3の実施形態として説明する。
【0111】図5は本発明の第3の実施形態による印刷
システムに使用される製版装置の構成を示す図である。
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一
の構成については同一の参照番号を付し、詳細な説明は
省略する。第3の実施形態は、第1および第2の実施形
態において印刷装置2に設けられていたインキ洗浄部1
7を製版装置1に設け、インキ洗浄部17、活性光照射
部5および感熱記録部6を直列に配置したものである。
【0112】図5において、インキ洗浄部17は、イン
キを拭い取るためのローラ17Aと、洗浄液を排出する
排出部17Bとを有し、活性光照射部5は、原版3に活
性光を全面露光する光源5Aを有し、感熱記録部6は原
版3に対してヒートモードによる描画を行うための感熱
ヘッド6Aを有する。
【0113】次いで、第3の実施形態の動作について説
明する。なお、印刷装置2については、インキ洗浄部1
7を除いて第1および第2の実施形態と同一であるた
め、説明を省略する。印刷が終了した原版3は矢印Cに
示すように製版装置1に搬送され、まずインキ洗浄部1
7において残存するインキを除去し、次いで、活性光照
射部5において活性光が全面に露光される。これによ
り、原版3の表面は親油性から親水性に変化する。そし
て、活性光の照射が終了すると、感熱記録部6によって
上述したようにヒートモードによる描画が行われる。こ
れにより、描画が行われた領域は元の親油性を有する画
像領域となり、描画が行われなかった領域は親水性を有
する非画像領域とされる。そして、ヒートモードによる
描画が終了すると、原版3は印刷装置2に供給されて印
刷が行われる。
【0114】このように、第3の実施形態のように、原
版3を平板状に使用しても、活性光の全面露光およびヒ
ートモードによる描画のみで原版3に印刷画面を形成す
ることができ、これにより現像面が不要でかつ印刷面の
鮮鋭性が保たれたオフセット印刷を行うことができる。
また、原版3を洗浄して再度活性光を全面露光すること
により元の状態に戻すことができるため、原版3を反復
使用することができ、これにより印刷物を低コストで提
供することができることとなる。
【0115】なお、上記第3の実施形態においては、感
熱記録部6において感熱ヘッド6Aによりヒートモード
による描画を行うようにしているが、図3に示した赤外
線レーザーによって描画を行うようにしてもよい。
【0116】次いで、本発明の第4の実施形態について
説明する。
【0117】図6は本発明の第4の実施形態による印刷
システムの構成を示す図である。図6に示す印刷システ
ムは、図1あるいは図2に示す製版装置1を製版ユニッ
ト1Y,1M,1C,1Bとして4台直列に本体32内
に配置するとともに、印刷装置2を製版ユニット1Y,
1M,1C,1Bに対応して印刷ユニット2Y,2M,
2C,2Bとして本体32内に配置して構成されるもの
であり、それぞれ対応するユニットにおいて、Y(イエ
ロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、B(ブラッ
ク)のインキを使用してカラー印刷を行うものである。
【0118】各製版ユニット1Y,1M,1C,1Bお
よび各印刷ユニット2Y,2M,2C,2Bの構成およ
び動作は上述した図1あるいは図2に示す製版装置およ
び印刷装置と同一であるため、詳細な説明は省略する。
第4の実施形態においては、各製版ユニット1Y,1
M,1C,1Bにおいて、それぞれ、Y(イエロー)、
M(マゼンダ)、C(シアン)、B(ブラック)の各色
に対応する画像のヒートモードによる描画を行った原版
3を得、各印刷ユニット2Y,2M,2C,2Bのイン
キ・湿し水供給部において供給されるインキの色を、そ
れぞれ、Y,M,C,Bとした点が異なるものである。
【0119】次いで、第4の実施形態の動作について説
明する。
【0120】まず、各製版ユニット1Y,1M,1C,
1Bにおいて活性光により原版3を全面露光した後に、
感熱記録部により各色を表す画像を描画する。そして、
ヒートモードによる描画を行った原版3を各印刷ユニッ
ト2Y,2M,2C,2Bに供給し、各印刷ユニット2
Y,2M,2C,2Bのインキ・湿し水供給部からY,
M,C,Bそれぞれの色のインキを供給して、各印刷ユ
ニット2Y,2M,2C,2Bの原版3にインキおよび
湿し水を保持する。その後、図6の矢印Dに示すように
用紙を供給して、各印刷ユニット2Y,2M,2C,2
Bのインキを用紙に転写する。すなわち、印刷ユニット
2YにおいてはYのインキが転写され、印刷ユニット2
MにおいてはMのインキが転写され、印刷ユニット2C
においてはCのインキが転写され、印刷ユニット2Bに
おいてはBのインキが転写される。これにより、用紙に
はカラー画像が印刷されることとなる。
【0121】印刷終了後、各印刷ユニット2Y,2M,
2C,2Bのインキ洗浄部により原版3に残存するイン
キを除去する。その後、原版3は各製版ユニット1Y,
1M,1C,1Bに搬送され、再利用に供される。
【0122】なお、第4の実施形態においては、製版ユ
ニット1Y,1M,1C,1Bを印刷する各色に対応し
て設けているが、製版ユニットを1つのみ設け、1つの
製版ユニットにおいてY,M,C,Bの各色に対応する
原版3を作成して各印刷ユニット2Y,2M,2C,2
Bに供給するようにしてもよい。この場合、印刷が終了
してインキが除去された原版3は1つの製版ユニットに
順次供給されて加熱が行われることとなる。
【0123】また、第4の実施形態においては、製版ユ
ニット1Y,1M,1C,1Bとして図1あるいは図2
に示す製版装置と同様のものを使用しているが、図5に
示すように原版3を平板状に搬送して全面露光およびヒ
ートモードによる描画を行う製版装置を製版ユニット1
Y,1M,1C,1Bとして設けてもよいものである。
なお、図5に示す製版装置を使用する場合、各印刷ユニ
ット2Y,2M,2C,2Bにおいてはインキ洗浄部を
設ける必要はない。
【0124】次いで、本発明の第5の実施形態について
説明する。
【0125】図7は本発明の第5の実施形態による印刷
システムの構成を示す図、図8は図7の要部拡大図であ
る。図7に示す印刷システムは、図1あるいは図2に示
す製版装置1を本体33内に配置するとともに、印刷装
置を印刷ステーション34Y,34M,34C,34B
として本体33内において圧胴19の周囲に配置して構
成されるものであり、それぞれ、Y(イエロー)、M
(マゼンダ)、C(シアン)、B(ブラック)のインキ
を使用してカラー印刷を行うものである。
【0126】各印刷ステーション34Y,34M,34
C,34Bの構成は同一であり、印刷ステーション34
Yで代表させて図8に示す。図8に示すように、印刷ス
テーション34Yは、第1あるいは第2の実施形態と同
様に、版胴15に取付けられた原版3に対して活性光に
より露光された露光面にインキおよび湿し水を供給する
インキ・湿し水供給部16と、印刷終了後に原版3に残
存するインキを除去するインキ洗浄部17と、原版3に
保持されたインキを用紙に転写するための中間体として
圧胴19に接触するブランケット18とが設けられてい
る。
【0127】なお、製版装置1および印刷ステーション
34Y,34M,34C,34Bの動作は上述した図1
あるいは図2に示す印刷システムと同一であるため、詳
細な説明は省略する。第5の実施形態においては、製版
装置1において、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C
(シアン)、B(ブラック)の各色に対応するヒートモ
ードによる描画を各色に対応する原版3に対して順次行
うとともに、各印刷ステーション34Y,34M,34
C,34Bのインキ・湿し水供給部において供給される
インキの色を、それぞれ、Y,M,C,Bとした点が異
なるものである。
【0128】次いで、第5の実施形態の動作について説
明する。
【0129】まず、製版装置1において活性光により
Y,M,C,Bの各色に対応する原版3を全面露光した
後に、順次感熱記録部により各色を表す画像を描画す
る。そして、ヒートモードによる描画を行った原版3を
各印刷ステーション34Y,34M,34C,34Bに
順次供給し、各印刷ステーション34Y,34M,34
C,34Bのインキ・湿し水供給部16からY,M,
C,Bそれぞれの色のインキを供給して、各印刷ステー
ション34Y,34M,34C,34Bの原版3にイン
キおよび湿し水を保持する。その後、図7の矢印Eに示
すように用紙を供給して、圧胴19の周囲において用紙
を搬送し、各印刷ステーション34Y,34M,34
C,34Bのインキを用紙に転写する。すなわち、印刷
ステーション34YにおいてはYのインキが転写され、
印刷ステーション34MにおいてはMのインキが転写さ
れ、印刷ステーション34CにおいてはCのインキが転
写され、印刷ステーション34BにおいてはBのインキ
が転写される。これにより、用紙にはカラー画像が印刷
されることとなる。
【0130】印刷終了後、各印刷ユニット2Y,2M,
2C,2Bのインキ洗浄部により原版3に残存するイン
キを除去する。これにより、原版3は活性光を全面露光
する前の状態に戻って反復利用可能な状態となる。その
後、原版3は製版装置1に搬送され、再利用に供され
る。
【0131】なお、第5の実施形態においては、製版装
置1において各色に対応する原版3を作成しているが、
製版装置1を製版ステーションとして印刷する各色に対
応して設け、各製版ステーションにおいてY,M,C,
Bの各色に対応する原版3を作成して各印刷ステーショ
ン34Y,34M,34C,34Bに供給するようにし
てもよい。
【0132】また、第5の実施形態においては、製版装
置1として図1あるいは図2に示す製版装置と同様のも
のを使用しているが、図5に示すように原版3を平板状
に搬送して全面露光およびヒートモードによる描画を行
う製版装置を設けてもよいものである。なお、図5に示
す製版装置を使用する場合、各印刷ステーション34
Y,34M,34C,34Bにおいてはインキ洗浄部を
設ける必要はない。
【0133】なお、上記第4および第5の実施形態にお
いては、4つの印刷ユニット2Y,2M,2C,2Bあ
るいは4つの印刷ステーション34Y,34M,34
C,34Bを用いてカラー印刷を行っているが、5つあ
るいはそれ以上の印刷ユニットまたは印刷ステーション
を設けてカラー印刷を行うようにしてもよい。
【0134】また、上記第4および第5の実施形態にお
いては、原版3を製版装置(製版ユニット)と印刷ユニ
ット(印刷ステーション)との間において搬送してオフ
セット印刷を行うようにしているが、原版3を版胴と
し、原版3としての版胴を製版装置(製版ユニット)お
よび印刷ユニット(印刷ステーション)との間において
搬送してオフセット印刷を行うようにしてもよい。
【0135】さらに、上記第4および第5の実施形態に
おいては、インキ洗浄部を印刷ユニット(印刷ステーシ
ョン)に設けているが、製版装置(製版ユニット)に設
けてもよく、また製版装置(製版ユニット)および印刷
ユニット(印刷ステーション)とは別個に設けるように
してもよい。
【0136】また、上記第1から第5の実施形態におい
ては、光触媒反応により親油性から親水性に変化する材
料として、酸化チタンおよび酸化亜鉛を使用して説明し
たが、これに限定されるものではなく、光触媒反応によ
り親油性から親水性に変化する材料であれば、いかなる
材料をも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による印刷システムの
構成を示す図
【図2】感熱記録部の詳細な構成を示す図
【図3】感熱記録部の詳細な構成を示す図
【図4】本発明の第2の実施形態による印刷システムの
構成を示す図
【図5】本発明の第3の実施形態による製版装置の構成
を示す図
【図6】本発明の第4の実施形態による印刷システムの
構成を示す図
【図7】本発明の第5の実施形態による印刷システムの
構成を示す図
【図8】図7の要部拡大図
【符号の説明】
1 製版装置 1Y,1M,1C,1B 製版ユニット 2 印刷装置 2Y,2M,2C,2B 印刷ユニット 3 原版 4 露光ドラム 5 活性光照射部 5A 光源 6 感熱記録部 6A 感熱ヘッド 7,20,32,33 本体 11 原版供給部 12 原版排出部 15 版胴 16 インキ・湿し水供給部 17 インキ洗浄部 17A ローラ 17B 排出部 18 ブランケット 19 圧胴 24 搬送装置 34Y,34M,34C,34B 印刷ステーション 40 編集・レイアウトW/S 41 感熱ヘッド 42 感熱ヘッド駆動部 43 赤外線レーザー光源 44 赤外線レーザー光源駆動部 S 画像信号
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−131914(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41C 1/10 B41F 7/02 B41M 1/06 G03F 7/004

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒反応により親油性から親水性に変
    化し、熱処理により親水性から親油性に変化する材料を
    主成分とする薄膜を表面に有するとともに、取り外し自
    在に設けられた印刷用原版と、 前記印刷用原版に、活性光による全面露光を行う露光手
    段と、 該露光手段により全面露光された前記印刷用原版にヒー
    トモードの描画を行う描画手段とを備えたことを特徴と
    する製版装置。
  2. 【請求項2】 前記印刷用原版は、ドラムの表面に取り
    外し自在に設けられた平板状原版からなり、前記露光手
    段および前記描画手段が、前記ドラムの周囲に配設され
    てなることを特徴とする請求項1記載の製版装置。
  3. 【請求項3】 前記印刷用原版は版胴からなり、前記露
    光手段および前記描画手段が、前記版胴の周囲に配設さ
    れてなることを特徴とする請求項1記載の製版装置。
  4. 【請求項4】 前記描画手段が、感熱ヘッドからなるこ
    とを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の製
    版装置。
  5. 【請求項5】 前記描画手段が、レーザーからなること
    を特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の製版
    装置。
  6. 【請求項6】 前記材料が、酸化チタンまたは酸化亜鉛
    からなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1
    項記載の製版装置。
  7. 【請求項7】 印刷終了後、前記印刷用原版に残存する
    インキを除去するインキ除去手段をさらに備えたことを
    特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の製版装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項1から6のいずれか1項記載の製
    版装置、 該製版装置から取り外された前記印刷用原版を取り外し
    自在に保持する保持手段と、前記ヒートモードの描画が
    なされた前記印刷用原版にインキを供給して該印刷用原
    版に画像領域を形成するインキ供給手段とを備えた印刷
    装置、および印刷終了後、前記印刷用原版に残存するイ
    ンキを除去するインキ除去手段を有することを特徴とす
    る印刷システム。
  9. 【請求項9】 前記インキ除去手段が、前記印刷装置に
    設けられてなることを特徴とする請求項8記載の印刷シ
    ステム。
  10. 【請求項10】 前記インキ除去手段が、前記製版装置
    に設けられてなることを特徴とする請求項8記載の印刷
    システム。
  11. 【請求項11】 少なくとも4つの前記印刷装置を有す
    ることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項記
    載の印刷システム。
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DE69805385T DE69805385T2 (de) 1997-10-24 1998-10-23 Vorrichtung zur Herstellung einer Druckplatte und Drucker und Drucksystem die diese Vorrichtung verwenden
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