JP2000127640A - オフセット印刷用原板およびそれを用いるオフセット印刷方法 - Google Patents

オフセット印刷用原板およびそれを用いるオフセット印刷方法

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JP2000127640A
JP2000127640A JP30269998A JP30269998A JP2000127640A JP 2000127640 A JP2000127640 A JP 2000127640A JP 30269998 A JP30269998 A JP 30269998A JP 30269998 A JP30269998 A JP 30269998A JP 2000127640 A JP2000127640 A JP 2000127640A
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Takao Nakayama
隆雄 中山
Kiyotaka Fukino
清隆 吹野
Takashi Nakamura
隆 中村
Koji Kamiyama
宏二 神山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性光に対する感度と熱エネルギー吸収によ
る表面物性変化の鋭敏性が高い、したがって親水性と親
油性の識別が明瞭で、インキ受容性とインキ反発性がと
もに優れた印刷原板を提供する。 【解決手段】 基板上の薄層に活性光の照射と光・熱変
換性の輻射線の照射とを施して親水性部分と親油性部分
を画像様に分布させて、親油性部分がインキを受け入れ
た印刷面を形成させて印刷を行うオフセット印刷用原板
において、薄層と基板の間に、光・熱変換性物質を含有
する層を設けたことを特徴とするオフセット印刷用原
板。とくに薄層が光触媒型金属酸化物の層であるオフセ
ット印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般印刷分野、と
りわけオフセット印刷、特に簡易に印刷版を製作できる
新規なオフセット印刷方法及び印刷版に関するものであ
る。さらに具体的には、印刷用原版の反復再生使用を可
能にするオフセット印刷方法とその印刷用原版に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷法は、数多くの印刷方法
の中でも印刷版の製作工程が簡単であるために、とくに
一般的に用いられてきており、現在の主要な印刷手段と
なっている。この印刷技術は、油と水の非混和性に基づ
いており、画像領域には油性材料つまりインキが、非画
像領域には湿し水が選択的に保持される。このインキ担
持版面を印刷される面と直接あるいはブランケットと称
する中間体を介して間接的に接触させると画像部のイン
キが転写されて印刷が行われる。
【0003】オフセット印刷の主な方法は、アルミニウ
ム基板を支持体としてその上にジアゾ感光層を塗設した
PS板である。PS板においては、アルミニウム基板を
支持体としてその表面を砂目立て、陽極酸化、その他の
諸工程を施してインキ受容能と非画像部のインキ反発性
を強めて、耐刷力の向上と、印刷面の精彩化を図る手段
が講じられている。したがってオフセット印刷は、簡易
性に加えて耐刷力や印刷面の高精彩性などの特性も備わ
ってきている。しかしながら、印刷物の普及に伴って、
オフセット印刷法の一層の簡易化が要望され、数多くの
簡易印刷方法が提案されている。
【0004】その代表例がAgfa-Gevaert社から市販され
たCopyrapid オフセット印刷版をはじめ、米国特許35
11656号、特開平7−56351号などの各公報で
も開示されている銀塩拡散転写法による印刷版作製に基
づく印刷方法であって、この方法は、1工程で転写画像
を作ることができて、かつその画像が親油性であるため
に、そのまま印刷版とすることができるので、簡易な印
刷方法として実用されている。しかしながら、簡易とは
いいながらこの方法もアルカリ現像液による拡散転写現
像工程を必要としている。現像液による現像工程を必要
としないさらに簡易な印刷方法が要望されている。
【0005】上記の背景から画像露光を行ったのちアル
カリ現像液による現像を行わないで製版する簡易印刷版
の製作方法の開発は行われてきた。この簡易印刷版は、
現像工程を省略することから無処理刷版とも呼ばれてお
り、多くの改良方法が提案されている。たとえば、像
様露光による画像記録面上の照射部の熱破壊による像形
成、像様露光による照射部の親油性化(ヒートモード
硬化)による画像形成、同じく照射部の親油性化であ
るが、光モード硬化によるもの、ジアゾ化合物の光分
解による表面性質の変化、画像部のヒートモード溶融
熱転写などの諸原理に基づく手段が提案されている。
【0006】これらは、製版に際して現像液を必要とし
ないが、親油性領域と親水性領域との差異が不十分であ
ること、したがって印刷画像の画質が劣ること、解像力
が劣り、先鋭度の優れた印刷画面が得にくいこと、画像
面の機械的強度が不十分で傷がつきやすいこと、そのた
めに保護膜を設ける必要が生じて却って簡易性が損なわ
れること、長時間の印刷に耐える耐久性が不十分なこと
などのいずれか一つ以上の欠点を伴っており、単にアル
カリ現像工程を無くすだけでは実用性が伴わないことを
示している。このように印刷上必要とされる諸特性を具
備し、かつ簡易に印刷版を製作できる印刷版作成方法の
実現は、強く要望されているが、いまだに満たされてい
ない状況にある。
【0007】上記の状況から本発明者達は、簡易性及び
環境適性において優れた無処理刷版用印刷原板として、
周期律表の2、4、5族に属する特定金属の酸化物、例
えば酸化チタンなど、の薄層を用いた印刷原板とその原
板を用いる印刷方法を特願平9−248761号、特願
平9−258784号、特願平9−272804号、特
願平9−308822号、特願平9−308823号、
特願平9−313740号、特願平9−348077
号、特願平9−348078号、の各号で提案してい
る。この原板は、活性光の照射によって、表面が親水性
となり、熱エネルギーを吸収して親油性になる薄層を持
っており、それによって上記簡易性と環境適性を満たし
た印刷原板であるが,活性光に対する感度と熱エネルギ
ー吸収による表面物性変化の鋭敏性を一層向上させて、
インキ受容性とインキ反発性を高めて印刷紙面の印刷品
質を向上させることが望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、上記した特定の金属酸化物薄層を用いた無処理
刷版用の印刷原板の改良であって、具体的には活性光に
対する感度と熱エネルギー吸収による表面物性変化の鋭
敏性が高い、したがって親水性と親油性の識別が明瞭
で、インキ受容性とインキ反発性がともに優れた印刷原
板を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者たちは、上記の
目的を達成するために、熱応答性の高い記録方法を探索
した結果、感光層の直下に輻射線吸収層を補助層として
設けることによって熱の作用による表面物性変化の応答
感度が増加することを発見した。この事実に基づいてさ
らに研究を行って、本発明に到達するに至った。すなわ
ち、本発明は、下記の通りである。
【0010】1.基板上に薄層を設けてなる印刷用原板
に活性光の照射と光・熱変換性の輻射線の照射とを施し
て該薄層の親水性部分と親油性部分を画像様に分布させ
たのち、該薄層を印刷用インキに接触させて、親油性部
分がインキを受け入れた印刷面を形成させて印刷を行う
オフセット印刷用原板において、該薄層と基板の間に、
輻射線を吸収して輻射エネルギーを熱エネルギーに変換
しうる物質を含有する層を、該薄層と接して設けたこと
を特徴とするオフセット印刷用原板。
【0011】2.基板上に設けた薄層が、TiO2 、R
TiO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB2-x x
3-x x 10(Aは水素原子又はアルカリ金属原子、
Bはアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希土類原
子、Dは周期律表の5A族元素に属する金属原子、Eは
同じく4族元素に属する金属原子、xは0〜2の任意の
数値を表す)、SnO2 ,Bi2 3 及びFe2 3
ら選ばれた少なくとも一つの化合物からなる薄層である
ことを特徴とする上記1に記載のオフセット印刷用原
板。
【0012】3.輻射線を吸収して輻射線エネルギーを
熱エネルギーに変換しうる物質が、自己発熱反応を伴う
金属又は金属化合物であることを特徴とする上記1又は
2に記載のオフセット印刷原板。
【0013】4.印刷の終了後印刷版面上に残存するイ
ンキを洗浄除去したのち、原板表面を80°C以上に加
熱することによって該原板を使用前の状態に戻して反復
して使用できることを特徴とする上記1〜3のいずれか
1項に記載のオフセット印刷用原板。
【0014】5.上記1〜4のいずれか1項に記載の印
刷用原板に活性光の照射と、光・熱変換性の輻射線の照
射とを施して該原板表面の薄層の親水性部分と親油性の
部分を画像様に分布させたのち、該薄層を印刷用インキ
に接触させて、親油性部分がインキを受け入れた印刷面
を形成させて印刷を行うことを特徴とするオフセット印
刷方法。
【0015】6.1)印刷原板表面の薄層に活性光によ
る全面照射を行って薄層全面を親水性とする工程、2)
該薄層表面に光・熱変換性の輻射線を画像様に照射し
て、被照射部分を親油性に変化させる工程、3)該薄層
表面を印刷用インキと接触させて、親油性部分がインキ
を受け入れた印刷面を形成させてオフセット印刷を行う
ことを特徴とする上記5に記載のオフセット印刷方法。
なお、この印刷原板の親水性と親油性の可逆的変化特性
を利用して下記のような印刷原板の反復使用を行うこと
も本発明のオフセット印刷材料の特徴である。
【0016】7.印刷用原板表面の薄層に親水性部分と
親油性部分とを画像様に分布させ、該薄層を印刷用イン
キに接触させて、親油性部分がインキを受け入れた印刷
面を形成させて印刷を行い、印刷の終了後印刷版面上に
残存するインキを洗浄除去したのち、原板表面を80°
C以上に加熱して該原板を使用前の状態に戻すことによ
って該印刷原板を反復使用することを特徴とする上記5
又は6に記載のオフセット印刷方法
【0017】8.1)印刷原板表面の薄層に活性光によ
る全面照射を行って薄層全面を親水性とする工程、2)
該薄層表面に光・熱変換性の輻射線を画像様に照射し
て、被照射部分を親油性に変化させる工程、3)該薄層
表面を印刷用インキと接触させて、親油性部分がインキ
を受け入れた印刷面を形成させてオフセット印刷を行
い、印刷の終了後印刷版面上に残存するインキを洗浄除
去したのち、原板表面を80°C以上に加熱して該原板
を使用前の状態に戻すことによって該印刷原板を反復使
用することを特徴とする上記6又は7に記載のオフセッ
ト印刷方法
【0018】本発明は、活性光の照射によって親水性と
なる物質の薄層、とくに前記の特定金属酸化物の薄層、
を印刷版面に用いる無処理刷版用印刷原板とそれによる
印刷方法を基本技術として、熱エネルギー応答性をさら
に向上させるために、輻射線を吸収して輻射エネルギー
を熱エネルギーに変換する物質を介在させて目的を達し
た改良発明である。
【0019】基本発明は、特定の金属酸化物の薄層の特
徴的な物性に基づくものであって、この酸化物が持って
いる(1)活性光の照射を受けてその表面が親水性へと
変化する性質及び(2)熱の影響によってその表面が親
油性へと変化する性質を利用して、親水性部分と親油性
部分の画像状の分布を形成し、これをインキの受容部分
と反撥部分としたオフセット印刷用の無処理刷版を作製
する印刷方法とそれに用いる印刷用原板の発明である。
また、使用済みの印刷版も上記の表面物性の熱変化特性
を利用してもとの印刷原板に再生する印刷方法の発明で
もある。前記したように、以上の基本技術は特願平9−
248761号などにより出願中である。この基本発明
に対して、本改良発明は、光・熱変換性の輻射線を吸収
して、光エネルギーを熱エネルギーに変換する(以後光
・熱変換と呼ぶ)作用を有する物質を含む層を画像記録
層の直下に設けて、輻射線の照射に対する熱応答感度を
増大させ、画像形成感度とインキ受容性を共に向上させ
る印刷方法と印刷原板の発明である。
【0020】したがって、本発明のオフセット印刷用印
刷原板の構成は、基板の上に光・熱変換性物質を含む層
が設けられ、その上に活性光によって親水性化し、光・
熱変換性の輻射線の作用で親油性化する薄層、中でもの
ちに述べる特定の金属酸化物の薄層が設けられた印刷用
原板である。基本発明の印刷原板のもう一つの特徴は、
印刷の終了後印刷版面上に残存するインキを洗浄除去し
たのち、原板表面を80°C以上に加熱することによっ
て該原板を使用前の状態に戻して反復して使用できるこ
とであり、この特徴は、本発明にも受け継がれている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明するが、はじめに本明細書で用いている用
語について触れておく。上記した「光エネルギーを熱エ
ネルギーに変換する物質」を、「光・熱変換性物質」と
呼び、「光・熱変換性物質を含む層」を「光・熱変換
層」と呼ぶ。またこの物質が吸収する輻射線を「光・熱
変換性の輻射線」と呼んでいる。光・熱変換性物質につ
いては、後に詳細に説明する。「活性光」とは、薄層を
構成する物質が吸収すると励起されて、その表面を親水
性に変化させる光をさしており、その光源や波長などの
詳細は後述する。「活性光」を吸収すると励起されて、
照射領域を親水性に変化させる性質を持つ、感光性薄層
の構成物質の中で、とくに優れている物質は前記2項に
規定した一連の特定金属酸化物であり、この物質をその
光化学的特性から「光触媒型金属酸化物」と呼ぶ。ま
た、「画像様露光」又は「像様露光」は、受光面照度が
画像状に分布した露光である。「薄膜」と「薄層」は、
同義に用いる。
【0022】〔薄層〕前記1項において、印刷原板上の
薄層に用いることができる物質は、「活性光」を吸収し
て、その表面を親水性に変化させる性質を持つ物質であ
って、かつ薄層形成性の物質である。このような特性を
持つ物質であれば本発明に使用できるが、その例として
はジルコニアセラミック(特開平9−169098号に
開示)、銀、銅、亜鉛などをドープした酸化シリコン・
酸化チタン分散物(特開平9−60443号に開示)、
水酸化チタンのゾル分散物などを挙げることができる。
とくに有効な薄層用の物質は、前記2項に示した光触媒
型金属酸化物である。したがって、以下に本発明に使用
する前記2項の光触媒型金属酸化物について説明する。
【0023】酸化チタンは、イルメナイトやチタンスラ
グの硫酸加熱焼成、あるいは加熱塩素化後酸素酸化など
既知の任意の方法で作られたものを使用できる。あるい
は後述するように金属チタンを用いて印刷版製作段階で
真空蒸着によって酸化物皮膜とする方法も用いることが
できる。
【0024】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、ナアターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。
【0025】RTiO3 で表されるチタン酸塩のRはマ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、
ベリリウムなどの周期律表のアルカリ土類元素に属する
金属原子であり、とくにストロンチウムとバリウムが好
ましい。上記のRは、その合計が上記の式に化学量論的
に整合する限り2種以上のアルカリ土類金属原子を共存
させることができる。
【0026】一般式AB2-x x 3-x x 10で表さ
れる化合物において、Aは水素原子及びナトリウム、カ
リウム、ルビジウム、セシウム、リチウムなどのアルカ
リ金属原子から選ばれる1価原子で、その合計が上記の
式に化学量論的に整合する限りそれらの2種以上を共存
してもよい。Bは、上記のRと同義のアルカリ土類金属
原子又は鉛原子であり、上記同様に化学量論的に整合す
る限り2種以上の原子が共存してもよい。Cは希土類原
子であり、好ましくはスカンジウム、イットリウムのほ
かランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、
ホルミウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウ
ム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどのラン
タノイド系元素に属する原子であり、また、その合計が
上記の式に化学量論的に整合する限りそれらの2種以上
を共存してもよい。Dは周期律表の5A族元素から選ば
れた一種以上で、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビス
マスが挙げられる。また、化学量論関係を満たす限り、
2種以上の5A族元素が共存してもよい。Eは同じくチ
タニウム、シリコン、ゲルマニウム、錫、鉛などの4族
金属元素に属する金属原子であり、2種以上の4族の金
属原子が共存してもよい。xは0〜2の任意の数値を表
す。
【0027】一般式AB2-x x 3-x x 10で表さ
れる化合物の具体例としては、CsLa2 NbTi2
10,CsMgLaNbTi2 10,RbMgLaNbT
210,HCa1.5 La0.5 Nb2.5 Ti0.5 10
HCaLaNbTi2 10などが挙げられる。
【0028】本発明においては、以上のTiO2 、RT
iO3 、AB2-x x 3-x x 10、SnO2 ,Zn
O,Bi2 3 及びFe2 3 の少なくとも一つを単独
あるいは2種以上を組み合わせからなる薄層を感光層と
して印刷用原版表面に設ける。
【0029】本発明に使用する上記の光触媒型金属酸化
物を基板上の光・熱変換物質を含有する層(光・熱変換
層)の上に設ける方法には、たとえば、上記酸化物微
粒子の分散物を印刷版の原版の光・熱変換層上に塗設す
る方法、塗設したのち焼成してバインダーを減量或い
は除去する方法、印刷版の原版の光・熱変換層上に上
記酸化物を各種の真空薄膜法で膜形成する方法、例え
ば金属元素のアルコレートのような有機化合物を原版の
光・熱変換層上に塗布したのち、加水分解させ、さらに
焼成酸化を施して適当な厚みの金属薄膜とする方法、
上記金属を含む塩酸塩、硝酸塩などの水溶液を加熱スプ
レーする方法、酸化物のもとの金属の表面を電解酸化
する方法など、既知の任意の方法を用いることができ
る。本発明においては、真空蒸着による酸化チタン層が
特に好ましい。
【0030】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、具体的には無定形酸化チタン微結晶分散物
を塗布したのち、焼成してアナターゼまたはルチル型の
結晶酸化チタン層とする方法、酸化チタンと酸化シリコ
ンの混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸
化チタンとオルガノポリシロキサンまたはそのモノマ−
との混合物を塗布する方法などがある。
【0031】上記又はのチタン酸バリウム微粒子を
塗設する方法には、チタン酸バリウムとシリコンの混合
分散物を塗布して表面層を形成させる方法、チタン酸バ
リウムとオルガノポリシロキサンまたはそのモノマ−と
の混合物を塗布する方法などがある。また、これらの金
属酸化物は、酸化物と共存するできるポリマーバインダ
ーに分散して塗布することによって薄層を形成させるこ
ともできる。酸化物微粒子のバインダ−には、チタン酸
バリウム微粒子に対して分散性を有するポリマーを広く
用いることができる。好ましいバインダーポリマーの例
としては、ポリエチレンなどのポリアルキレンポリマ
ー、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリメ
タクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ蟻酸ビニ
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルア
ルコール、ポリスチレンなどの疎水性バインダーが好ま
しく、それらの樹脂を混合して使用してもよい。
【0032】この方法の場合には,酸化チタンやチタン
酸バリウム以外にチタン酸マグネシウム、チタン酸カル
シウム、チタン酸ストロンチウム又はそれらの分子間化
合物、混合物も同様に薄膜形成可能である。
【0033】同様にして、の塗設方法でCsLa2
NbTi2 10微粒子を塗設することが可能である。C
sLa2 NbTi2 10微粒子は、その化学量論に対応
するCs2 CO3,La2 3,NbO5,及びTiO2 を乳
鉢で微粉砕して、白金るつぼに入れ、130°C で5時
間焼成し、それを冷却してから乳鉢に入れて数ミクロン
以下の微粒子に粉砕し、そのCsLa2 NbTi2 10
微粒子を前記しチタン酸バリウムと同様にバインダーの
中に分散し、塗布して薄膜を形成する。この方法は、C
sLa2 NbTi2 10型微粒子に限られず、HCa
1.5 La0.5 Nb 2.5 Ti0.5 10,CsMgLaNb
Ti2 10など前述のAB2-x x 3-xx 10
(0≦x≦2)に適用される。
【0034】上記の真空薄膜形成法を用いた光触媒型
金属酸化物層の形成方法としては、一般的にはスパッタ
リング法あるいは真空薄膜形成法が用いられる。スパッ
タリング法では、あらかじめ単体もしくは2元の酸化物
ターゲットを準備する。例えば、チタン酸バリウムター
ゲットを用いて蒸着膜用の支持体の温度を450°C以
上に保ち、アルゴン/酸素混合雰囲気中でRFスパッタ
リングを行うことによりチタン酸バリウム決勝薄膜が得
られる。結晶性の制御には必要に応じてポストアニーリ
ングを300〜900°Cで行えばよい。本方法は前述
の酸化チタンやRTiO3 (Rはアルカリ土類金属原
子)をはじめ他の前記光触媒型金属酸化物にも、結晶制
御に最適な基板温度を調整すれば同様の考え方で薄膜形
成が可能である。例えば酸化錫薄膜を設ける場合には、
基板温度を120°Cとして、アルゴン/酸素混合雰囲
気中でRFスパッタリングを行うことによりチタン酸バ
リウム結晶薄膜が得比50/50、RFパワー200W
で本目的に沿う薄膜が得られる。
【0035】また、酸化チタンの真空蒸着を行うには、
通常真空蒸着装置内の蒸着用加熱の熱源に金属チタンを
置き、真空度exp(−5〜−8)Torrで全ガス圧
exp(−2〜−5)、酸素文圧比が30〜90%にな
るようにしながら、チタン金属を蒸発させると、蒸着面
には酸化チタンの蒸着薄膜が形成される。
【0036】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は既知の任意の方法で作ることがで
きる。とくに前記の金属亜鉛板の表面を電解酸化して
酸化皮膜を形成させる方法と、の真空蒸着によって酸
化亜鉛皮膜を形成させる方法が好ましい。酸化亜鉛の蒸
着膜は、上記の酸化チタンの蒸着と同様に金属亜鉛を酸
素ガス存在下で蒸着して酸化膜を形成させる方法や、酸
素のない状態で亜鉛金属膜を形成させたのち、空気中で
温度を約700°Cにあげて酸化させる方法を用いるこ
とができる。
【0037】上記の金属アルコレートを用いる方法
も、蒸着によらず、バインダーも使用しないで目的の薄
膜形成が可能な方法である。チタン酸バリウムの薄膜を
形成するにはバリウムエトキシドとチタニウムブトキシ
ドの混合アルコール溶液を表面にSiO2 を有するシリ
コン基板上に塗布し、その表面を加水分解したのち、2
00°C以上に加熱してチタン酸バリウムの薄膜を形成
することが可能である。本方式は前述した他のRTiO
3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB2-x x3-x
x 10(A,B,C,D,Eはそれぞれ前記の定義の
内容を表す)、SnO2 ,Bi2 3 及びFe2 3
薄膜形成に適用することができる。
【0038】上記の光触媒性機能を発現する金属酸化
物薄膜を形成する方法も、バインダーを含まない系の目
的の薄膜の形成が可能である。SnO2 の薄膜を形成す
るにはSnCl4 の塩酸水溶液を200°C以上に加熱
した石英又は結晶性ガラス表面に吹きつけて薄膜を生成
することができる。本方式は、SnO2 薄膜のほか,前
述したRTiO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB
2-x x 3-x x 10(A,B,C,D,Eはそれぞ
れ前記の定義の内容を表す)、Bi2 3 及びFe2
3 のいずれの薄膜形成にも適用することができる。
【0039】金属酸化物薄膜の厚みは、上記のいずれの
場合も1〜100000オングストロ−ムがよく、好ま
しくは10〜10000オングストロ−ムである。さら
に好ましくは3000オングストロ−ム以下として光干
渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作用を十分に
発現させるには厚みが50オングストローム以上あるこ
とが好都合である。
【0040】バインダーを使用した場合の上記光触媒型
金属酸化物の薄層において、金属酸化物の体積率は50
〜100%であり、好ましくは90%以上を酸化物が占
めるのがよく、さらに好ましくは酸化物の連続層つまり
実質的に100%であるのがよい。また、光照射によっ
て表面の親水性が変化する性質を増進させるためにある
種の金属をドーピングすることは有効な場合があり、こ
の目的にはイオン化傾向が小さい金属のドーピングが適
しており、Pt,Pd,Au,Ag,Cu,Ni,F
e,Coをドーピングするのが好ましい。また、これら
の好ましい金属を複数ドーピングしてもよい。
【0041】〔光・熱変換層〕光・熱変換層には、基板
上に薄層状に設けることができて、かつ照射光を効率的
に吸収して熱に変換しうる光・熱変換性の物質が選ばれ
る。光・熱変換効率は、その物質の光吸収率とエネルギ
ー変換効率に関係するので、用いられる照射光の分光特
性と光・熱変換物質の分光特性とのマッチングも関係す
る。好ましい光・熱変換物質には、以下のものが挙げら
れる。
【0042】(1)無機顔料 クロムイエロー、カドミウムイエロー、ニッケルチタン
イエロー、べんがら、カドミウムレッド、モリブデンレ
ッド、群青、コバルト青、エメラルドグリーンなど。
【0043】(2)有機金属錯体顔料 銅、クロミウム、コバルト、マンガンなどのフタロシア
ニン錯化合物。これらの(1)及び(2)の顔料は、耐
熱性が十分であるので、ヒートモード描画のさいに温度
が高くなってもアブレーションに対する安全性は高い。
また、吸収スペクトル領域が広いので、輻射線が赤外線
でなくてもよい。例えば、大容量のコンデンサーと組み
合わせた短時間高照度で500〜600nmに発光極大
をもつ連続スペクトルのキセノンフラッシュ照射によっ
て100℃以上の局部加熱を容易に行うことができる利
点がある。
【0044】(3)有機顔料 トリフェニルメタン系、キナクリドン系、ペリレン系、
イソインドリノン系、ジオキサジン系、キノフタロン
系、モノアゾ系、ジスアゾ系の顔料が耐熱性であり、吸
光係数も大きく、優れた光・熱変換抜糸津である。この
例には、クロモフタールスカーレットR,ペリレンレッ
ド178、ベンゾイミダゾロンカルミンHF4C,レー
キレッドC,ロダミン6Gレーキ、パーマネントレッド
FGR,パーマネントボルドFGR,キナクリドンマゼ
ンタ122、イエローH10GLなどを挙げることがで
きる。
【0045】そのほか、市販の顔料及びカラーインデッ
クス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技
術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(C
MC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC
出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用でき
る。
【0046】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、0.1μm〜1μmの範
囲にあることが特に好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の感光層塗布液中での安定性の点
で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層
の均一性の点で好ましくない。
【0047】顔料を分散する方法としては、インク製造
やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用でき
る。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アト
ライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、イ
ンペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダ
イナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げら
れる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1
986年刊)に記載がある。(3)に示した各有機顔料
も可視光領域に吸収を持ち、(1)及び(2)の顔料と
同様、赤外線であっても高照度の可視光線であっても光
・熱変換層として作用する。
【0048】(4)無機金属単体及び化合物 無機金属、とくに重金属も赤外線吸収特性を持ってい
る。したがって、金属薄膜の連続層、金属微粒子の分散
層のいずれの形でも光・熱変換層として使用することが
出来る。こららの例には、Mg、Al、Si、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、、Cu、Zn、G
a、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、
Cd、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Ag、A
u、Re、Os、Ir、Pt、Pb等が含まれる。その
中でも銀、金、珪素、ゲルマニウム、ゲルマニウム砒素
化合物、インジウム・燐化合物、などが好ましい。
【0049】金属粉体の平均粒径が5〜150nmの銀
コロイド分散物は可視域から赤外線領域にかけてのどの
波長の輻射に対しても高い吸光係数を持っているので、
輻射線依存性が少ない。一方、珪素、ゲルマニウム、ゲ
ルマニウム砒素化合物、インジウム・燐化合物は、赤外
線に対して光・熱変換作用が大きく、それぞれの吸光波
長端は、それぞれ1150、1800、1800、93
0nmである。つまりこれらの吸光波長端より短波長の
輻射線に対して光・熱変換作用を有している。
【0050】(5)金属酸化物 ITO(錫ドープした酸化インジウム)、酸化クロミウ
ム、そのほか遷移金属元素の酸化物が挙げられる。
【0051】(6)染料系光・熱変換物質 光・熱変換物質として組み込むことのできる染料として
は、市販の染料及び文献(例えば、「染料便覧」有機合
成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知
のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩
アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、
フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン
染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体
等の染料が挙げられる。
【0052】好ましい染料としては、例えば、特開昭5
8−125246号、特開昭59−84356号、特開
昭59−202829号、特開昭60−78787号等
に記載されているシアニン染料、特開昭58−1736
96号、特開昭58−181690号、特開昭58−1
94595号等に記載されているメチン染料、特開昭5
8−112793号、特開昭58−224793号、特
開昭59−48187号、特開昭59−73996号、
特開昭60−52940号、特開昭60−63744号
等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−1
12792号等に記載されているスクワリリウム色素、
英国特許434,875号記載のシアニン染料、米国特
許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好
適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号
記載の置換アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開
昭57−142645号(米国特許第4,327,16
9号)に記載のトリメチンチアピリリウム塩、等を挙げ
ることができる。これらの染料のうち特に好ましいもの
としては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリ
ウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0053】(7)その他 カーボンブラックは、銀コロイド微粒子と並ぶ優れた輻
射スペクトル依存性のない光・熱変換物質として公知で
ある。シリカ粒子も好ましい光・熱変換物質である。ま
た、カーボングラファイト(黒鉛)、硫化鉄、硫化クロ
ムなども光・熱変換物質である。
【0054】(8)自己発熱型粉体 本発明では、光・熱変換物質が、自己発熱体であれば、
輻射エネルギーから変換した熱エネルギーを光触媒型金
属酸化物薄層に一時的に供給するだけでなく、自己発熱
反応の反応熱を持続的に供給できるので、熱による表面
物性変化作用をとくに大きく増幅できる点で上記した自
己発熱性を有しない光・熱変換物質よりも効果が大き
い。このような自己発熱型の光・熱変換物質には、下記
の物質が挙げられる。
【0055】特に好ましい光・熱変換物質は、金属粉体
または金属化合物粉体であり、空気中の酸素との組み合
わせで自己発熱反応の系を構成する。具体的には、金
属、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物
等の化合物である。
【0056】(a)自己発熱型金属粉体 前記した金属粉体の中でも、熱エネルギーにより、酸化
反応等の発熱反応をとくに容易に起こす自己発熱型金属
粉体は、本発明の目的に好ましく適用できる。具体的に
は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、
Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、In、S
n、Wが好ましい。とくに輻射線の吸収効率が高く、自
己発熱反応熱エネルギーの大きいものとして、Fe、C
o、Ni、Cr、Ti、Zrが好ましい。
【0057】また、これらの金属単体のみでなく、2成
分以上で構成されていてもよく、また、金属と金属酸化
物、窒化物、硫化物、炭化物等で構成されていてもよ
い。金属単体の方が酸化等の自己発熱反応熱エネルギー
は大きいが、空気中での取り扱いが煩雑で、空気に触れ
ると自然発火する危険がある。そのため、表面から数n
mの厚みは酸化物、窒化物、硫化物、炭化物等で覆われ
ている方が好ましい。さらに、これらは、粒子でも蒸着
膜のような薄膜でもよいが、有機物と併用する際は粒子
のほうが好ましい。粒子の粒径は、10μm以下、好ま
しくは、0.005〜5μm、さらに好ましくは、0.
01〜3μmである。0.01μm以下では、粒子の分
散が難しく、10μm以上では、印刷物の解像度が悪く
なる。
【0058】光・熱変換層中に含まれる粒子の含有量
は、2〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは、5
〜90重量%である。2重量%以下では発熱量が不足
し、95重量%以上では膜強度が低下する。また、光・
熱変換層の透過濃度は、国際規格 ISO5-3 及び ISO5-4
に準拠して測定したときに0.3〜3.0であることが
好ましい。透過濃度が3.0を超えるとアベレーション
が起こりやすい。また、透過濃度が0.3以下では、輻
射線エネルギーの吸収が十分でなく、光・熱変換によっ
て得られる熱エネルギーの量が不十分となりやすい。
【0059】本発明の上記した金属微粉体の中でも、鉄
粉体が好ましい。鉄粉体のいずれも好ましいが、その中
でもα−Feを主成分とする鉄合金粉末が好ましい。こ
れらの粉末には所定の原子以外にAl、Si、S、S
c、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、P
d、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、
Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、
P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含
んでもかまわない。特にAl、Si、Ca、Y、Ba、
La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−F
e以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なく
とも一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量は
Feに対して0原子%以上40原子%以下が好ましく、
さらに好ましくは15原子%以上35%以下、より好ま
しくは20原子%以上35原子以下である。Yの含有量
は1.5原子%以上12原子%以下が好ましく、さらに
好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましく
は4原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原子
%以上12原子%以下が好ましく、さらに好ましくは3
原子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以
上9原子%以下である。鉄合金微粉末には少量の水酸化
物、または酸化物が含まれてもよい。具体的には、特公
昭44−14090号、特公昭45−18372号、特
公昭47−22062号、特公昭47−22513号、
特公昭46−28466号、特公昭46−38755
号、特公昭47−4286号、特公昭47−12422
号、特公昭47−17284号、特公昭47−1850
9号、特公昭47−18573号、特公昭39−103
07号、特公昭46−39639号、米国特許第302
6215号、同3031341号、同3100194
号、同3242005号、同3389014号などに記
載されている。
【0060】これらの鉄粉体は、鉄合金微粉末の公知の
製造方法により得られたものを用いることができ、下記
の方法が挙げることができる。複合有機酸塩(主として
シュウ酸塩からなる有機酸)と水素などの還元性気体で
還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元し
てFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、金属カ
ルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液
に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒド
ラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低
圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などで
ある。このようにして得られた強磁性合金粉末は公知の
徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させ
る方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込
んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機
溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表
面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施したものでも
用いることができる。
【0061】本発明にかかわる鉄合金粉末をBET法に
よる比表面積で表せば20〜80m 2/gであり、好ま
しくは40〜60m2/gである。20m2/g以下では
表面性が悪くなり、80m2/g以上では分散性が得に
くく好ましくない。本発明の鉄合金粉末の結晶子サイズ
は350〜80Åであり、好ましくは250〜100
Å、更に好ましくは200〜140Åである。粉末の長
軸径は0.02μm以上0.25μm以下であり、好ま
しくは0.05μm以上0.15μm以下であり、さら
に好ましくは0.06μm以上0.1μm以下である。
粉末の針状比は3以上15以下が好ましく、さらには5
以上12以下が好ましい。
【0062】b.低次金属酸化物粉体 多価金属の低次酸化物であって、それ自体が光・熱変換
物質であり、かつ自己発熱型の空気酸化反応物質でもあ
る場合が挙げられる。具体例としては、酸化第一鉄、四
三酸化鉄、一酸化チタン、酸化第一錫、酸化第一クロム
などが挙げられる。
【0063】c.金属窒化物粉体 好ましい金属窒化物は、金属のアジド化合物である。と
くに銅、銀及び錫のアジド化物が好ましい。これらのア
ジド化合物は、光分解によって発熱してその後の熱分解
反応を引き起こす。
【0064】d.金属硫化物粉体 好ましい金属硫化物は、輻射線吸収性の遷移金属などの
重金属硫化物である。なかでも好ましい硫化物は、硫化
銀、硫化第一鉄及び硫化コバルトであり、これらの場合
は単体硫黄と炭酸アルカリのような自己発熱反応物質を
共存させた物質系が用いられる。
【0065】この自己発熱反応が起こるかどうかは、示
差熱天秤(TG/DTA)により容易に確認することが
できる。示差熱天秤に、自己発熱反応物質を挿入して、
温度を一定速度で上昇させていくと、ある温度で発熱ピ
ークが出現して発熱反応が起こったことが観測される。
金属あるいは低次酸化金属の酸化反応を自己発熱反応と
して用いた場合、発熱ピークが現れるとともに、熱天秤
では重量が増えることも同様に観測される。繰り返しに
なるが、光・熱変換機構に加えて自己発熱反応エネルギ
ーを利用することにより、従来よりも単位輻射線量当た
り、より多くの熱エネルギーを、しかも持続的に利用す
ることができ、そのために感度を向上させることができ
る。
【0066】自己発熱反応によって生じた熱エネルギー
は、薄層の親油性化への転換を促す熱源として作用す
る。
【0067】〔基板〕本発明に係わる印刷版は、いろい
ろの刷版形態と支持体材料を用いることができる。例え
ば、印刷機の版胴の表面に光・熱変換層と光触媒型金属
酸化物を蒸着、浸漬あるいは塗布するなど上記した方法
で直接酸化物層を設ける方法、金属板の表面に光・熱変
換層と光触媒型金属酸化物層を設けてそれを版胴に巻き
付けて印刷版とする方法、その金属板としては、アルミ
ニウム板、ステンレス鋼、ニッケル、銅板が好ましく、
また可撓性(フレキシブル)をもつ金属板を用いること
が出来る。また、ポリエステル類やセルローズエステル
などのフレキシブルなプラスチック支持体も用いること
が出来る。同じように、防水加工紙、ポリエチレン積層
紙、含浸紙などの支持体上に光・熱変換層と光触媒型金
属酸化物層を設けて、それを印刷版として使用してもよ
い。
【0068】使用される支持体としては、寸度的に安定
な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラ
ミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜
鉛、銅、ステンレス等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属が
ラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチ
ックフィルム等が含まれる。
【0069】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、アルミニウム、又は印刷版上で腐食しにくいSUS
板であり、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価で
あるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウ
ム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分
とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニ
ウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィ
ルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素に
は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合
金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。本
発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウ
ムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製
造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでも
よい。このように本発明に適用されるアルミニウム板
は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知
公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することがで
きる。本発明で用いられる支持体の厚みはおよそ0.0
5mm〜0.6mm程度、好ましくは0.1mm〜0.4mm、
特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0070】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂
処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理
は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗
面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法
および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われ
る。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨
法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用
いることができる。また、電気化学的な粗面化法として
は塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う
方法がある。また、特開昭54−63902号に開示さ
れているように両者を組み合わせた方法も利用すること
ができる。このように粗面化されたアルミニウム板は、
必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理さ
れた後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるた
めに陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸
化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を
形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫
酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用い
られる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって
適宜決められる。
【0071】陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解
質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電
流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間1
0秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の
量が1.0g/m2より少ないと、耐刷性が不十分であった
り、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷
時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が
生じ易くなる。
【0072】〔画像形成方式〕本発明において、版面上
への画像形成は、活性光による親水性化と光・熱変換性
の輻射線による親油性化とを利用した種々の方式を選択
できるので、はじめにその典型的な方式を示す。
【0073】1.印刷原板表面の薄層に活性光による全
面照射を行って薄層全面を親水性としたのち、薄層表面
を輻射線を画像様に照射して、輻射線による被加熱部分
を親油性に変化させて親油性部分がインキを画像状に受
け入れる印刷面を形成させる方式。これは、光・熱変換
性の輻射線による直接画像記録であり、輻射線は、好ま
しくは、赤外線やレーザー光線である。輻射線は画像に
よって変調されているが、変調手段は、電気的であって
も、物理光学的であってもよい。つまり電子画像情報を
担持したレーザー光であっても、ネガフィルムのような
画像マスクを通しての赤外線照射であってもよい。ま
た、輻射線は、赤外線やレーザー光のほかに例えばキセ
ノン放電灯の光のような可視光線で、大容量コンデンサ
ーから放電させる高照度短時間フラッシュ光でってもよ
い。
【0074】2.印刷原板表面に光・熱変換性の輻射線
で全面照射を行い、親油性とした薄層に活性光による画
像様照射を行って被照射部分を親水性に変化させる方
式。この方式では、活性光の照射を受けなかった部分に
親油性インキを受け入れた印刷面を形成する。この方式
では、画像様の照射を受けた部分が親水性であって、イ
ンキを反発する部分となる点で、上記1に示した方法、
すなわち画像様の照射を受けた部分が親油性でインキを
受け入れる部分となる方式とネガ・ポジ関係が逆の印刷
版が得られる。上記1では、画像様の照射光が光・熱変
換性の輻射線であるのに対して、この場合には、薄層表
面を光化学的に励起して親水性とする紫外線、可視域の
比較的短波長の光線、光・熱変換作用が起こらない程度
の弱いレーザー光線などが用いられる。光線自体が画像
変調されていても、あるいは画像状マスクを通して照射
が行われてもいずれでもよい。
【0075】この方式の好ましい具体例としては、全面
親油性とした薄層表面に電子写真画像、インクジェット
画像、感熱転写画像、手書きの水性ペン画像や油性ペン
画像などを直接書き込んでおき、次に、活性光を全面照
射して印刷版にして印刷する方式である。この場合、書
き込まれた画像は、親油性であっても親水性であっても
よいが、親水性の場合は、画像物質が湿し水に容易に溶
解する場合を除いては、活性光の照射の後に画像部分を
除去してインキが受け入れられるようにする。画像が親
油性の場合は、この操作は必ずしも必要はない。
【0076】その他の本発明の印刷原板の特徴的な画像
形成方式としては、光・熱変換性の輻射線と活性光とを
それぞれ原板の一部分に照射して、部分的な消去と書き
込みを行うことによって、印刷画面を簡単に修正した
り、改定版を作成したりできることである。
【0077】また、上記の1および2のいずれにおいて
も、本発明の方法は、その簡易性と原板の反復使用性の
利点があるので、とくに画像情報を担持したレーザービ
ーム光を記録して印刷する簡易光記録・オフセット印刷
手段として好ましく用いることができる。
【0078】〔製版〕 (活性光の照射)光触媒型金属酸化物を主成分とする薄
層を励起させる活性光は、400nm以下に感光域を有
するので、水銀灯、タングステンハロゲンランプ、その
他のメタルハライドランプ、キセノン灯、その他紫外線
光を発する放電管などを用いることが出来る。また、励
起光としては、発振波長を325nmに有するヘリウム
カドミウムレーザーや発振波長を351.1〜363.
8nmに有する水冷アルゴンレーザーも用いることがで
きる。さらに近紫外レーザー発振が確認されている窒化
ガリウムレーザー系では、発振波長を360〜440n
mに有するInGaN系量子井戸半導体レーザー、及び36
0〜430nmに発振波長を有する導波路 MgO-LiNbO3
反転ドメイン波長変換デバイス型のレーザーも適用でき
る。
【0079】照射光量に応じて、表面層の光触媒型金属
酸化物を光吸収励起によって親水性に変化して行き、表
面層を構成する光触媒型金属酸化物がすべて活性化する
とそれ以上の光照射によってさらに親水性の程度が変化
することはない。好ましい照射光の強さは、光触媒型金
属酸化物の画像形成層の性質によって異なり、また照射
光の波長や分光分布によっても異なるが、通常は印刷用
画像で変調する前の面露光強度が0.05〜100jo
ule/cm2 ,好ましくは0.05〜10joule
/cm2 ,より好ましくは0.05〜5joule/c
2 である。この照射光量は、レーザーによるスキャニ
ング方式あるいはな発散型光源を用いる面露光方式でも
とくに支障がないレベルの光量である。
【0080】上記の親油性から親水性への光による変化
をもたらす感光性は、性質及び機構共に従来開示されて
いるジルコニアセラミック(特開平9−169098)
の感光性とは異なるものである。たとえば、感度につい
ては、ジルコニアセラミックに対しては7W/μm2
レーザー光と記されており、レーザー光のパルス持続時
間を100ナノ秒として70joule /cm2 であって光
触媒型金属酸化物層の感度より約1桁低い。機構的に
も、十分解明されてはいないが、親油性有機付着物の光
剥離反応と考えられており、ジルコニアの光変化機構と
は異なっている。
【0081】(光・熱変換性の輻射線照射)光・熱変換
性の輻射線照射を画像の書き込みに使用する場合は、面
露光方式、走査方式のいずれでもよい。前者の場合は、
高照度の短時間光を原板上に照射して光・熱変換によっ
て大量の熱を発生させる方式である。好ましい照射方式
は、前記したキセノンフラッシュ放電灯と大容量コンデ
ンサーを組み合わせたフラッシュランプ、あるいは赤外
線ランプなどがある。赤外線ランプなどの面露光光源を
使用する場合には、その照度によっても好ましい露光量
は変化するが、通常は、印刷用画像で変調する前の面露
光強度が0.05〜10J/cm2 の範囲であることが好ま
しく、0.05〜5J/cm2 の範囲であることがより好ま
しい。また、支持体が透明である場合は、支持体の裏側
から支持体を通して上記のエネルギー量の露光を行うこ
ともできる。また、露光時間は、0.01〜1mse
c、好ましくは0.01〜0.1msecの照射で上記
の露光強度が得られるように露光照度を選択するのが好
ましい。照射時間が長い場合には、熱エネルギーの生成
速度と生成した熱エネルギーの拡散速度の競争関係から
露光強度を増加させる必要が生じる。
【0082】後者の場合には、赤外線成分を多く含むレ
ーザー光源を使用して、レーザービームを画像で変調し
て原板上を走査する方式が行われる。レーザー光源の例
として、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、ヘ
リウムカドミウムレーザー、YAGレーザーを挙げるこ
とができる。ピーク出力が1000W、好ましくは20
00Wのレーザーを照射するのが好ましい。この場合の
露光量は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が0.
03〜10J/cm2 の範囲であることが好ましく、0.0
5〜5J/cm2 の範囲であることがより好ましい。支持体
が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通して
露光することもできる。
【0083】以上のように本来親油性の光触媒型金属酸
化物の表面層が、活性光によって親水性となり、また親
水性となった表面は、光・熱変換性の輻射線によって親
油性となる。とくに後者の親油性化の光・熱変換性の輻
射線感度は、光・熱変換層を設けたことによって顕著な
増加が見られ、この層を有しない場合に比較して、親油
性領域と親水性領域の識別性が向上するので、画像露光
の露光量が少なくても、印刷汚れの少ない優れた印刷画
面が得られる。しかも活性光、光・熱変換性の輻射線の
いずれも画像によって変調が可能なので画像焼き付け露
光が可能なので、方式1及び2として前記したように画
像形成方式の選択が可能である。このように簡単な操作
で無処理型の印刷原版を作成し、そのままオフセット印
刷工程に送ることができる。従って通常の公知の平版印
刷法に比較して簡易性を中心に多くの利点を有する。す
なわち上記したようにアルカリ現像液による化学処理が
不要であり、それに伴うワイピング、ブラッシングの操
作も不要であり、さらに現像廃液の排出による環境負荷
の増加も伴わない。
【0084】以上のようにして得られた平版印刷版の全
面露光部は十分に親水性化しているが、所望により、水
洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガム
や澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明
の画像記録材料を印刷用版材として使用する場合の後処
理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いるこ
とができる。その方法としては、該整面液を浸み込ませ
たスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、
整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する
方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。ま
た、塗布した後でスキージー、あるいは、スキージーロ
ーラーで、その塗布量を均一にすることは、より好まし
い結果を与える。整面液の塗布量は一般に0.03〜
0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。この様な処理に
よって得られた平版印刷版は、オフセット印刷機等にか
けられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0085】〔印刷原板の再生〕次に印刷を終えた印刷
版の再生工程について記す。印刷終了後の印刷版は疎水
性の石油系溶剤を用いて付着しているインキを洗い落と
す。溶剤としては市販の印刷用インキ溶解液として芳香
族炭化水素、例えばケロシン、アイソパ−などがあり、
それらを用いることができるほか、ベンゾール、トルオ
ール、キシロール、アセトン、メチルエチルケトン及び
それらの混合溶剤を用いてもよい。
【0086】インキを洗浄除去した印刷版は、つぎに熱
処理を施すことによって版面全体にわたって均一に親油
性となり、かつ均一な新水性化への光感度が回復する。
熱処理は、加熱ローラーなどの高温体との接触、恒温槽
や加熱オーブンへの挿入又は赤外線などの熱線照射、そ
の他任意の加熱手段によって表面を80°C以上、好ま
しくは100°C以上で酸化チタン又は酸化亜鉛の焼成
温度以下の温度とすることによって行う。高温ほど親油
性化時間は短い。より好ましくは150°Cで10分以
上又は200°Cで1分以上あるいは250°Cで10
秒以上の程度の熱処理が好ましい。熱処理時間を延長し
ても支障はないが、表面の親水性が回復したのちは時間
を延長してもさらなる利点は生まれない。このようにし
て使用済みの印刷版から再生された印刷用原版は、活性
光への暴露を避けて貯蔵され、次の印刷に備える。
【0087】本発明に係わる印刷原版の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく版面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0088】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれに限定されない。 (実施例1)厚さ150ミクロンのポリエチレンテレフ
タレート(PET)支持体をスパッタリング装置内にセ
ットし、5x10-7Torrまで真空排気を行った。支持体
を100°Cに加熱してアルゴンガスを導入してそのガ
ス圧を5x10-3 Torr に調節した。6インチφシリコ
ンターゲットにRFパワー150Wを投入し、膜圧15
00オングストロームのシリコン薄膜を形成した。次い
で、スパッタリング装置内を再び5x10-7Torrまで真
空排気し、シリコン薄膜を蒸着したPET支持体を15
0℃に加熱してアルゴン/酸素混合ガス(30/70モ
ル比)雰囲気とし、ガス圧を5x10-3 Torr に調節し
た。6インチφのチタンターゲットにRFパワー200
Wを投入し、膜圧1000オングストロームの酸化チタ
ン薄膜を形成した。
【0089】この試料を120℃のオーブンの中で3時
間加熱したのち、自然放置して冷却した。室温に戻った
のち、高圧水銀灯を用いて1.37mW/cm2 の光照
度のもとで5分間全面照射を行った。その後、908n
mのLDレーザー光源を用いて、試料の一部に以下の条
件のレーザー露光を行った。 出力:750mW レーザービーム径:28μmφ スキャニングスピード:270 cm/sec
【0090】この版を、サクライ社製オリバー52片面
印刷機にセットし、湿し水を純水として、モルトンロー
ラーを20回転して湿し水を版面に供給してから、イン
キローラーを版面にタッチさせてオフセット印刷を行っ
た。インキは大日本インキ化学工業社製New ChampionF
グロス85墨を用いた。500枚オフセット印刷を行う
間、スタートから終了までレーザー露光部にはインキが
のり、非露光部には汚れのない鮮明な印刷物が得られ、
印刷版の損傷も認められなかった。次いでこの版の表面
を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;大日本
インキ化学工業社)をウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄
してインキを除去した。これを120度のオ−ブン中に
3時間加熱した後、放置して室温まで自然冷却した。
【0091】この印刷原板を用いて、上記の活性光によ
る全面照射とレーザー光による画像露光、それに続くオ
フセット印刷を3回繰り返して行った。繰り返しで得ら
れた印刷物も1回目と同様にレーザー露光部にはインキ
がのり、非露光部には汚れのない品質であり、印刷版の
損傷も認められなかった。
【0092】(比較例1)厚さ150ミクロンのポリエ
チレンテレフタレート(PET)支持体をスパッタリン
グ装置内にセットし、5x10-7Torrまで真空排気を行
った。実施例1で行ったシリコン薄膜の形成操作を行わ
ないで、酸化チタン薄膜を直接支持体上に実施例1と全
く同じ条件で形成させた。この試料を120℃のオーブ
ンの中で3時間加熱したのち、自然放置して冷却した。
室温に戻ったのち、実施例1と同じく高圧水銀灯を用い
て1.37mW/cm2 の光照度のもとで5分間全面照
射を行った。その後、908nmのLDレーザー光源を
用いて、試料の一部に実施例1と同条件のレーザー露光
を行った。
【0093】この版を、サクライ社製オリバー52片面
印刷機にセットし、実施例1と同じ条件でオフセット印
刷を行ったところ、レーザー光照射部と非照射部との識
別性が不十分で、レーザー光照射部へのインキの乗りが
十分とはいえず、また白地部分の地汚れも多少認められ
て、印刷面は不鮮明であった。
【0094】この結果から、本発明の方法は、活性光の
全面照射による全面親水性化ののち、光・熱変換層が吸
収するレーザー光の照射によってその部分が親油性に変
化し、オフセット印刷が可能になることを示しており、
同時にインキ洗浄後、再び活性光による全面露光と光・
熱変換層へのレーザー光の露光によって印刷原板が再生
利用出来ることも示された。一方、光・熱変換層を持た
ない比較例でも印刷物は得られたが、本実施例のレーザ
ー描書の光強度では、感度が不十分で親油性領域と親水
性領域の識別性において劣ることが示された。
【0095】(実施例2及び3、並びに比較例2)厚さ
150ミクロンのポリエチレンテレフタレート(PE
T)支持体上に、実施例2では下記の鉄微粒子粉体のポ
リマー分散物を、実施例3では同じく下記する酸化鉄粉
体のポリマー分散物を、それぞれ光・熱変換層としてバ
ーコーターを用いて厚さ5ミクロンに塗布した。塗布後
120℃で3時間加熱して溶剤を除去した。
【0096】<鉄微粒子粉体の塗布用分散物>本明細書
中にとくに好ましい自己発熱性微粒子として前記したα
−鉄合金微粒子粉体で、Fe:Co:Al:Y比が10
0:5:5であり、粒子サイズは長径0.1ミクロン、
短径0.02ミクロンで比表面積が50m2 /gのもの
を次に述べるポリマー(高分子化合物とも記す)と連続
ニーダーで混練したのち、サンドミルを用いて分散させ
た。この微粒子粉体10gを、ポリ酢酸ビニル3g,メ
ガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)
製、フッ素系界面活性剤)0.06g,メチルエチルケ
トン20g,メチルアルコール7gと混練して塗布用分
散物とした。
【0097】<酸化鉄微粒子粉体の塗布用分散物>上記
の鉄微粒子粉体の代わりにフェライト(γ−酸化鉄、Fe
2O3 )を使用したことを除いて上記と同じ成分を同じ重
量使用して同じ分散方法によってポリ酢酸ビニルを結合
剤に使用した塗布用分散物を調整した。比較例2として
は、上記実施例2及び3と同じPET支持体であるが、
光・熱変換層を設けてないものを用いた。以上の3つの
PET支持体試料をスパッタリング装置内にセットし、
5x10 -7Torrまで真空排気を行った。PET支持体を
150℃に加熱してアルゴン/酸素混合ガス(30/7
0モル比)雰囲気とし、ガス圧を5x10-3 Torr に調
節した。6インチφのチタンターゲットにRFパワー2
00Wを投入し、膜圧1000オングストロームの酸化
チタン薄膜を形成した。
【0098】各試料を実施例1と同じく高圧水銀灯を用
いて1.37mW/cm2 の光照度のもとで5分間全面
照射を行った後、908nmのLDレーザー光源を用い
て、試料の一部に実施例1と同じ条件のレーザー露光を
行った。さらにその後の印刷及び版材の再生反復使用も
実施例1の操作を繰り返した。ただし、反復使用回数を
8回行った。
【0099】実施例2では、500枚オフセット印刷を
行う間、スタートから終了までレーザー露光部にはイン
キがのり、非露光部には汚れのない鮮明な印刷物が得ら
れ、印刷版の損傷も認められなかった。また、8回まで
繰り返して得られた印刷物も1回目と同様にレーザー露
光部にはインキがのり、非露光部には汚れのない品質で
あり、印刷版の損傷も認められなかった。実施例3で
は、第1回から4回までは、実施例1と同じ品質の印刷
物が得られたが、5回目から実施例2の印刷物とは目視
でその差が認められる程度にインキののりが悪くなり始
めたが、8回まで繰り返して印刷することができた。比
較例2は、比較例1の繰り返しであり、結果も変わらな
かった。すなわち実施例2及び3のいずれにたいしても
レーザー露光に対する感度が不十分で親油性領域の識別
性において劣る結果であった。
【0100】この結果から、光・熱変換層の輻射線吸収
物質を鉄合金あるいは酸化鉄に変更しても本発明の光・
熱変換層の画像形成促進効果が得られること、及び光・
熱変換物質が自己発熱体であると本発明の効果がさらに
大きくなることが示された。
【0101】実施例4 (基板の作成)99.5重量%アルミニウムに、銅を
0.01重量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3
重量%、ケイ素を0.1重量%含有するJIS A10
50アルミニウム材の厚み0.30mm圧延板を、40
0メッシュのパミストン(共立窯業製)の20重量%水
性懸濁液と、回転ナイロンブラシ(6,10−ナイロ
ン)とを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗
浄した。
【0102】これを15重量%水酸化ナトリウム水溶液
(アルミニウム4.5重量%含有)に浸漬してアルミニ
ウムの溶解量が5g/m2になるようにエッチングした後、
流水で水洗した。更に、1重量%硝酸で中和し、次に
0.7重量%硝酸水溶液(アルミニウム0.5重量%含
有)中で、陽極時電圧10.5ボルト、陰極時電圧9.
3ボルトの矩形波交番波形電圧(電流比r=0.90、
特公昭58−5796号公報実施例に記載されている電
流波形)を用い、陽極時電気量を50、100、200
および400クローン/dm2の4通りに変化させて電解
粗面化処理を行った。水洗後、35℃の10重量%水酸
化ナトリウム水溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量
が1g/m2になるようにエッチングした後、水洗した。次
に、50℃、30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デス
マットした後、水洗した。
【0103】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。
【0104】(光・熱変換層及び光触媒型金属酸化物薄
層の蒸着)次いでこのアルミニウム基板をスパッタリン
グ装置内にセットし、5.0×10 -7Torrまで真空排気
する。支持体を100°Cに加熱してアルゴンガスを導
入してそのガス圧を5×10-3 Torr に調節した。6イ
ンチφシリコンターゲットにRFパワー150Wを投入
し、膜圧1500オングストロームのシリコン薄膜を形
成した。次いで、スパッタリング装置内を再び5×10
-7Torrまで真空排気し、シリコン薄膜のついて基板を5
00°Cに加熱し、Ar/O2 が60/40(モル比)
となるようにガス圧を5x10-3Torrに調製した。6イ
ンチφのチタン酸バリウムの焼結ターゲットにRFパワ
ー200Wを投入して膜圧1000Åのチタン酸バリウ
ム薄膜を形成した。X線解析法によれば、この薄膜は多
結晶体であった。サイズを510×400mmにカット
して試料とした。
【0105】このアルミニウム基板に光・熱変換層付き
のチタン酸バリウム薄層をもつ試料に、ウシオ電気社製
USIO焼き付け用光源装置ユニレックURM−600形式
GH−60201Xを用いて、光強度25mW/cm2
のもとで2分間露光を行った。この原板試料の表面に4
00線/インチのネガの画像を有するリスフィルム原稿
を置き、上から石英ガラス板で機械的に密着させた。赤
外線ランプを用いてこの原稿を通して、0.9mW/c
2 の光照度のもとで3分間全面照射を行った。
【0106】焼き付けを終えた原板試料を、サクライ社
製オリバー52片面印刷機にセットし、湿し水を純水と
して、モルトンローラーを20回転して湿し水を版面に
供給してから、インキローラーを版面にタッチさせてオ
フセット印刷を行った。インキを大日本インキ化学工業
社製New ChampionFグロス85墨を用いた。500枚オ
フセット印刷を行う間、スタートから終了まで赤外線照
射部にはインキがのり、非照射部には汚れのない鮮明な
印刷物が得られ、印刷版の損傷も認められなかった。
【0107】次いでこの版の表面を印刷用インキ洗浄液
ダイクリーンR(発売元;大日本インキ化学工業社)を
ウエスにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去し
た。これを120度のオ−ブン中に3時間加熱した後、
放置して室温まで自然冷却した。
【0108】この印刷原板を用いて、上記の活性光によ
る全面照射と赤外線による画像露光、それに続くオフセ
ット印刷を3回繰り返して行った。繰り返しで得られた
印刷物も1回目と同様に赤外線照射部にはインキがの
り、赤外線照射を受けない部分には印刷汚れがなく、印
刷版の損傷も認められなかった。
【0109】比較例3 実施例4に用いたものと同じアルミニウム基板をスパッ
タリング装置内にセットし、5x10-7Torrまで真空排
気を行った。実施例1で行ったシリコン薄膜の形成操作
を行わないで、チタン酸バリウム薄膜を直接支持体上に
実施例4と全く同じ条件で形成させた。この試料を実施
例4と同じ方法で全面親水性化と像様の親油性化、及び
印刷を行った。しかしながら、活性光による全面照射部
と赤外線照射による像様露光部との親油性と親水性との
識別性は不十分で、得られた印刷物の印刷面は許容でき
るレベルではあるが、鮮明さにおいて劣るものであっ
た。
【0110】この結果から、支持体(基板)及び光触媒
型金属酸化物薄層の種類を変更しても、本発明の方法
が、活性光の全面照射による全面親水性化ののち、光・
熱変換層が吸収する赤外線成分の多い光の照射によって
その部分が親油性に変化し、オフセット印刷が可能にす
ることを示しており、かつ親油性への変化が鋭敏である
ことを示している。同時にインキ洗浄後、再び活性光に
よる全面露光と光・熱変換層への赤外線光の露光によっ
て印刷原板が再生利用出来ることも示された。
【0111】実施例5 実施例4に用いたアルミニウム基板、シリコン光・熱変
換層及びチタン酸バリウム光触媒型金属酸化物薄層の構
成の印刷原板試料を用いて、次の印刷を行った。
【0112】この試料に、赤外線ランプを用いてこの原
稿を通して、0.9mW/cm2 の光照度のもとで3分
間全面照射を行った。協和界面科学株式会社製CONTACT-
ANGLE METER CA-Dを用いて空中水滴法で表面の接触角を
測定したところ水に対する(空中水滴)接触角は露光部
57度で、表面が親油性になっていることが判る。この
原板試料の表面に400線/インチのポジの画像を有す
るリスフィルム原稿を置き、上から石英ガラス板で機械
的に密着させた。ウシオ電気社製USIO焼き付け用光源装
置ユニレックURM−600形式GH−60201Xを
用いて、光強度25mW/cm2のもとで2分間露光を行っ
た。協和界面科学株式会社製CONTACT-ANGLE METER CA-D
を用いて空中水滴法で表面の接触角を測定したところ水
に対する(空中水滴)接触角は露光部7度であった。す
なわち、表面が親水性になっていることが判る。
【0113】焼き付けを終えた原板試料を、サクライ社
製オリバー52片面印刷機にセットし、湿し水を純水と
して、モルトンローラーを20回転して湿し水を版面に
供給してから、インキローラーを版面にタッチさせてオ
フセット印刷を行った。インキを大日本インキ化学工業
社製New ChampionFグロス85墨を用いた。500枚オ
フセット印刷を行う間、スタートから終了までレーザー
露光部にはインキがのり、非露光部には汚れのない鮮明
な印刷物が得られ、印刷版の損傷も認められなかった。
以上の結果から、活性光による親水性化と光・熱変換性
の輻射線による親油性化の組み合わせを変えて、画像形
成を行っても本発明の効果が得られることが示された。
【0114】(実施例6)実施例2と同じ鉄合金微粒子
粉体の光・熱変換層をもつ厚さ150ミクロンのポリエ
チレンテレフタレート(PET)支持体を、CsLa2
NbTi2 10の化学量論比に相当するセシウムエトキ
シド、チタンブトキシド、ランタンイソブトキシド、ニ
オブエトキシドを含む20%のエタノール溶液に浸漬し
て表面を加水分解したのち200°C以上に加熱してア
ルミニウム基板表面にCsLa2 NbTi2 10の厚み
1000オングストロームの薄膜を形成させた。
【0115】この複合金属酸化物薄層と鉄合金光の熱変
換層付きの試料も、実施例3と同じ方法で画像を形成さ
せ、印刷を行い、かつ印刷版を洗浄して印刷原板として
再使用することができた。この結果から、光触媒型金属
酸化物として前記した複合金属酸化物の薄層でも、本発
明の効果が得られることが示された。
【0116】
【発明の効果】表面に前記した光触媒型金属酸化物を主
成分とする薄層とその直下に光・熱変換層を有する本発
明の印刷原板は、活性光による親水性化と光・熱変換性
の輻射線の照射の組み合わせで印刷画面が形成され、現
像液が不要で、かつ印刷面の鮮明性が保たれたオフセッ
ト印刷が可能であり、かつ使用した印刷原版を熱処理に
よって再生し、反復使用してもインキ汚れが少なく、印
刷紙面の品質を維持することができ、しかも光・熱変換
層を設けたために、輻射線照射に対する感度が高く、イ
ンキ受容性とインキ反発性の識別性も向上した印刷品質
が得られ、反復使用回数も向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 隆 神奈川県足柄上郡開成町宮台798番地 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 神山 宏二 神奈川県足柄上郡開成町宮台798番地 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA00 AB03 AC08 AD01 AD03 BH03 CC20 DA13 FA01 FA03 2H096 AA07 AA08 BA16 BA20 DA02 EA04 KA02 LA30 2H113 AA02 BA05 BC02 DA07 EA02 FA29 FA42 2H114 AA04 AA23 BA01 DA08 GA27 GA29 GA38

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に薄層を設けてなる印刷用原板に
    活性光の照射と光・熱変換性の輻射線の照射とを施して
    該薄層の親水性部分と親油性部分を画像様に分布させた
    のち、該薄層を印刷用インキに接触させて、親油性部分
    がインキを受け入れた印刷面を形成させて印刷を行うオ
    フセット印刷用原板において、該薄層と基板の間に、輻
    射線を吸収して輻射エネルギーを熱エネルギーに変換し
    うる物質を含有する層を、該薄層と接して設けたことを
    特徴とするオフセット印刷用原板。
  2. 【請求項2】 基板上に設けた薄層が、TiO2 、RT
    iO3 (Rはアルカリ土類金属原子)、AB2-x x
    3-x x 10(Aは水素原子又はアルカリ金属原子、B
    はアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希土類原子、
    Dは周期律表の5A族元素に属する金属原子、Eは同じ
    く4族金属元素に属する金属原子、xは0〜2の任意の
    数値を表す)、SnO2 ,Bi2 3 及びFe2 3
    ら選ばれた少なくとも一つの化合物からなる薄層である
    ことを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用原
    板。
  3. 【請求項3】 輻射線を吸収して輻射線エネルギーを熱
    エネルギーに変換しうる物質が、自己発熱反応を伴う金
    属又は金属化合物であることを特徴とする請求項1又は
    2に記載のオフセット印刷原板。
  4. 【請求項4】 印刷の終了後印刷版面上に残存するイン
    キを洗浄除去したのち、原板表面を80°C以上に加熱
    することによって該原板を使用前の状態に戻して反復し
    て使用できることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のオフセット印刷用原板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の印
    刷用原板に活性光の照射と光・熱変換性の輻射線の照射
    とを施して該薄層の親水性部分と親油性部分を画像様に
    分布させたのち、該薄層を印刷用インキに接触させて、
    親油性部分がインキを受け入れた印刷面を形成させて印
    刷を行うことを特徴とするオフセット印刷方法。
  6. 【請求項6】 1)印刷原板表面の薄層に活性光による
    全面照射を行って薄層全面を親水性とする工程、2)該
    薄層表面に光・熱変換性の輻射線を画像様に照射して、
    被照射部分を親油性に変化させる工程、3)該薄層表面
    を印刷用インキと接触させて、親油性部分がインキを受
    け入れた印刷面を形成させてオフセット印刷を行うこと
    を特徴とする請求項5に記載のオフセット印刷方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006053452A (ja) * 2004-08-16 2006-02-23 Ricoh Co Ltd ポリマー絶縁膜のパターン形成方法および電子素子

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