JP2002251027A - フタロシアニン組成物、これを含む塗液、電子写真感光体及び電子写真感光体の製造法 - Google Patents

フタロシアニン組成物、これを含む塗液、電子写真感光体及び電子写真感光体の製造法

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JP2002251027A
JP2002251027A JP2001047132A JP2001047132A JP2002251027A JP 2002251027 A JP2002251027 A JP 2002251027A JP 2001047132 A JP2001047132 A JP 2001047132A JP 2001047132 A JP2001047132 A JP 2001047132A JP 2002251027 A JP2002251027 A JP 2002251027A
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phthalocyanine
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organic solvent
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Tomoko Takai
朋子 高井
Seiji Miyaoka
清二 宮岡
Susumu Kaneko
進 金子
Tetsuya Fujii
徹也 藤井
Susumu Sakio
進 崎尾
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い感度を有するフタロシアニン組成物と、
電子写真特性に優れた電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 フタロシアニン化合物(A)と沸点が1
00℃以上である有機溶剤(B)を含有するフタロシア
ニン組成物であって、有機溶剤(B)の含有量が100
〜800ppmであるフタロシアニン組成物、このフタ
ロシアニン組成物を感光層中に含有する電子写真感光
体、このフタロシアニン組成物を含有する塗液、及びこ
の塗液を用いて導電性支持体上に感光層を形成する電子
写真感光体の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機溶剤を含有す
るフタロシアニン組成物、これを用いた塗液、電子写真
感光体及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真感光体としては、アルミ
ニウム等の導電性基板の上に50μm程度のセレン(S
e)膜を真空蒸着法により形成したものがある。しか
し、このSe感光体は、波長500nm付近までしか感
度を有していない等の問題がある。また、導電性基板の
上に50μm程度のSe層を形成し、この上に更に数μ
mのセレン−テルル(Se−Te)合金層を形成した感
光体があるが、この感光体は上記Se−Te合金のTe
の含有率が高い程、分光感度が長波長にまで伸びる反
面、Teの添加量が増加するにつれて表面電荷の保持特
性が不良となり、事実上、感光体として使用できなくな
るという重大な問題がある。
【0003】また、アルミニウム基板の上に1μm程度
のクロロシアンブルー又はスクウアリリウム酸誘導体を
コーティングして電荷発生層を形成し、この上に絶縁抵
抗の高いポリビニルカルバゾール又はピラゾリン誘導体
とポリカーボネート樹脂との混合物を10〜20μmコ
ーティングして電荷輸送層を形成した所謂複合二層型の
感光体もあるが、この感光体は700nm以上の光に対
して感度を有していないのが実状である。
【0004】近年、複合二層型の感光体において、上記
欠点を改善した、即ち、半導体レーザ発振領域800n
m前後に感度を有する感光体も多く報告されている。し
かし、これらのうち多くのものが電荷発生材料としてフ
タロシアニン顔料を用い、その膜厚0.5〜1μm程度
の電荷発生層上に、ポリビニルカルバゾール、ピラゾリ
ン誘導体又はヒドラゾン誘導体とポリカーボネート樹脂
又はポリエステル樹脂との絶縁抵抗の高い混合物を10
〜20μmコーティングして電荷輸送層を形成し、複合
二層型の感光体を形成している。
【0005】フタロシアニン類は、中心金属の種類によ
り吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、結晶
型によってもこれらの物性に差があり、同じ中心金属の
フタロシアニンでも、特定の結晶型が電子写真用感光体
に選択されている例がいくつか報告されている。例えば
チタニルフタロシアニンには種々の結晶型が存在し、そ
の結晶型の違いによって帯電性、暗減衰、感度等に大き
な差があることが報告されている。
【0006】特開昭59−49544号公報には、チタ
ニルフタロシアニンの結晶型としては、ブラッグ角(2
θ±0.2度)の9.2度、13.1度、20.7度、
26.2度、27.1度に強い回折ピークを与えるもの
が好適であることが示されており、X線回折スペクトル
図が示されている。この結晶型のチタニルフタロシアニ
ンを電荷発生材料として用いた感光体の電子写真特性
は、暗減衰(DDR):85%、感度(E1/2):0.
57lux・secである。
【0007】また特開昭59−166959号公報に
は、チタニルフタロシアニンの蒸着膜をテトラヒドロフ
ランの飽和蒸気中に1〜24時間放置し、結晶型を変化
させて、電荷発生層としている。この結晶型変化後のチ
タニルフタロシアニンのX線回折スペクトルは、ピーク
の数が少なく、かつ幅が広く、ブラッグ角(2θ±0.
2度)の7.5度、12.6度、13.0度、25.4
度、26.2度及び28.6度に強い回折ピークを与え
ることが示されている。この結晶型のチタニルフタロシ
アニンを電荷発生材料として用いた感光体の電子写真特
性は、暗減衰(DDR):86%、感度(E1/2):
0.7lux・secである。
【0008】特開平2−198452号公報には、チタ
ニルフタロシアニンの結晶型としては、ブラッグ角(2
θ±0.2度)の27.3度に主たる回折ピークを有す
るものが高感度(1.7mJ/m)であり、その製造
法として水とオルト−ジクロロベンゼン混合液中で60
℃1時間加熱撹拌することが示されている。このように
チタニルフタロシアニンは結晶型によって感度が高く、
優れた特性を示すものがある。しかし、その用途である
レーザプリンタ等では、高画質、高精細化が進んでお
り、更に高感度な特性を有する電子写真感光体が求めら
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い感度を
有するフタロシアニン組成物を提供することを目的とす
る。また、本発明は、高い感度を有するフタロシアニン
組成物を含有し、電子写真特性に優れた電子写真感光体
を提供することにある。また、本発明は、高い感度を有
するフタロシアニン組成物を含有し、電子写真感光体の
感光層の形成に用いられる塗液を提供することを目的と
する。また、本発明は、上記のフタロシアニン組成物を
用い、電子写真特性に優れた電子写真感光体を製造する
方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、フタロシアニ
ン化合物(A)と沸点が100℃以上である有機溶剤
(B)を含有するフタロシアニン組成物であって、有機
溶剤(B)の含有量が100〜800ppmであるフタ
ロシアニン組成物を提供するものである。
【0011】また、本発明は、導電性支持体及び導電性
支持体上に設けられた感光層を有し、感光層中に、上記
のフタロシアニン組成物を含有することを特徴とする電
子写真感光体を提供するものである。
【0012】また、本発明は、上記のフタロシアニン組
成物、電荷輸送性物質、結合剤、及び、有機溶剤(B)
の沸点よりも低い沸点を有する溶剤(E)を混合して得
られる塗液(以下、感光層用塗液と呼ぶことがある。)
を提供するものである。また、本発明は、導電性支持体
及び導電性支持体上に設けられた単層型感光層を有する
電子写真感光体の製造法であって、導電性支持体上に上
記の感光層用塗液を塗布し、有機溶剤(B)の沸点未満
で溶剤(E)の沸点以上の温度で乾燥して単層型感光層
を形成する電子写真感光体の製造法を提供するものであ
る。
【0013】また、本発明は、上記のフタロシアニン組
成物、結合剤、及び、有機溶剤(B)の沸点よりも低い
沸点を有する溶剤(C)を混合して得られる塗液(以
下、電荷発生層用塗液と呼ぶことがある。)を提供する
ものである。また、本発明は、導電性支持体及び導電性
支持体上に設けられた感光層を有し、感光層が電荷発生
層及び電荷輸送層を含む複合型感光層である電子写真感
光体の製造法であって、導電性支持体上に上記の電荷発
生層用塗液を塗布し、有機溶剤(B)の沸点未満で溶剤
(C)の沸点以上の温度で乾燥して電荷発生層を形成
し、電荷発生層上に、電荷輸送性物質、結合剤、及び、
有機溶剤(B)の沸点よりも低い沸点を有する溶剤
(D)を含有する塗液を塗布し、有機溶剤(B)の沸点
未満で溶剤(D)の沸点以上の温度で乾燥して電荷輸送
層を形成する電子写真感光体の製造法を提供するもので
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
本発明のフタロシアニン組成物中のフタロシアニン化合
物(A)としては、種々の結晶型のものを用いることが
でき、また、種々のフタロシアニン類、例えば、無金属
フタロシアニン、金属フタロシアニン、ハロゲン化金属
フタロシアニン、ハロゲン化金属ハロゲンフタロシアニ
ン等、これらの混合物、これらの混晶等を用いることが
できる。混晶としては、例えば、中心物質の異なる2種
以上のフタロシアニン化合物からなる混晶が好ましい。
【0015】本発明に用いられるフタロシアニン化合物
(A)の好ましい例としては、例えば、チタニルフタロ
シアニン、チタニルフタロシアニンと、チタニルフタロ
シアニンと中心物質(中心金属等)の異なるフタロシア
ニン化合物からなる混晶などが挙げられ、特に、チタニ
ルフタロシアニンと、チタニルフタロシアニンと中心物
質(中心金属等)の異なるフタロシアニン化合物からな
る混晶が好適である。
【0016】チタニルフタロシアニンは、例えば、次の
ようにして製造することができる。フタロニトリル1
8.4g(0.144モル)をα−クロロナフタレン1
20ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン4
ml(0.0364モル)を滴下する。滴下後、昇温し
撹拌しながら200〜220℃で3時間反応させた後、
100〜130℃で熱時ろ過して、α−クロロナフタレ
ン、ついでメタノールで洗浄する。140mlのイオン
交換水で加水分解(90℃、1時間)を行い、溶液が中
性になるまでこの操作を繰り返し、メタノールで洗浄す
る。次に、100℃のNMPで充分に洗浄し、続いてメ
タノールで洗浄する。このようにして得られた化合物を
60℃で真空加熱乾燥してチタニルフタロシアニンが得
られる(収率46%)。
【0017】チタニルフタロシアニンと中心物質(中心
金属等)の異なるフタロシアニン化合物からなる混晶と
しては、例えば、チタニルフタロシアニン及び中心金属
が3価の金属であるハロゲン化金属フタロシアニンから
得られる混晶が挙げられ、このような混晶は、例えば、
チタニルフタロシアニン及び中心金属が3価の金属であ
るハロゲン化金属フタロシアニンを含むフタロシアニン
混合物をアシッドペースティング法により水中に沈殿さ
せ、CuKαのX線回折スペクトルにおいて明瞭な回折
ピークが観察されない沈殿物を得、引き続きこの沈殿物
を芳香族系有機溶剤−水の混合溶媒で処理することによ
り得ることができる。
【0018】中心金属が3価の金属であるハロゲン化金
属フタロシアニンの中心金属としては、In、Ga、A
l等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙
げられる。また、ハロゲン化金属フタロシアニンは、フ
タロシアニン環にハロゲン等の置換基を有していてもよ
く、例えば、ハロゲン化金属ハロゲンフタロシアニン等
も使用することができる。これらの化合物は公知の化合
物であるが、これらのうち、例えば、モノハロゲン化金
属フタロシアニン及びモノハロゲン化金属ハロゲンフタ
ロシアニンの合成法は、インオーガニック ケミストリ
ー〔Inorganic Chemistry〕,19,3131(198
0)及び特開昭59−44054号公報に記載されてい
る。
【0019】モノハロゲン化金属フタロシアニンは、例
えば、次のようにして製造することができる。フタロニ
トリル78.2ミリモル及び三ハロゲン化金属15.8
ミリモルを二回蒸留し脱酸素したキノリン100ml中
に入れ、0.5〜3時間加熱還流した後徐冷、続いて0
℃まで冷した後ろ過し、結晶をメタノール、トルエン、
ついでアセトンで洗浄した後、110℃で乾燥する。
【0020】また、モノハロゲン化金属ハロゲンフタロ
シアニンは、次のようにして製造することができる。フ
タロニトリル156ミリモル及び三ハロゲン化金属3
7.5ミリモルを混合して300℃で、溶融してから
0.5〜3時間加熱してモノハロゲン化金属ハロゲンフ
タロシアニンの粗製物を得、これをソックスレー抽出器
を用いてα−クロロナフタレンで洗浄する。
【0021】上記のフタロシアニン混晶の製造に用いら
れるチタニルフタロシアニン及び中心金属が3価のハロ
ゲン化金属フタロシアニンを含むフタロシアニン混合物
の組成比率は、帯電性、暗減衰、感度等の電子写真特性
の点から、チタニルフタロシアニンの含有率が、20〜
95重量%の範囲であることが好ましく、50〜90重
量%の範囲であることがより好ましく、65〜90重量
%の範囲が特に好ましく、75〜90重量%の範囲であ
ることが最も好ましい。
【0022】上記のフタロシアニン混晶の製造法を、以
下により詳細に説明する。まず、フタロシアニン混合物
を、アシッドペースティング法により水中に沈殿させ、
アモルファス化する。例えば、フタロシアニン混合物1
gを濃硫酸50mlに溶解し−20〜20℃未満の範囲
で攪拌することが好ましく、−20〜15℃の範囲で攪
拌することがより好ましく、−20〜10℃の範囲で攪
拌することが最も好ましい。攪拌後、これを氷水で冷却
したイオン交換水1リットル中に約1時間、好ましくは
40分〜50分で滴下し沈殿させる。沈殿物をろ過によ
り回収し、その後洗浄水としてイオン交換水で、洗浄水
の洗浄後のpHが2〜7、好ましくはpHが4〜7前後
でかつ伝導率が5〜500μS/cmとなるまで沈殿物
を繰り返し洗う。また、このようにして得られたチタニ
ルフタロシアニンと中心金属が異なるフタロシアニンか
らなる沈殿物は、無金属フタロシアニンを含有すること
がある。これは、中心金属が3価の金属であるハロゲン
化金属フタロシアニンが硫酸中で一部脱金属化するため
である。本発明においては、このようにして形成される
無金属フタロシアニンを含有する沈殿物を用いることが
好ましい。
【0023】このようにして得られた沈殿物を芳香族系
有機溶剤−水の混合溶媒で処理することによって結晶変
換し、フタロシアニン混晶を得ることができる。芳香族
系有機溶剤と水の使用割合は、結晶変換効率の点から、
芳香族系有機溶剤/水(重量比)が1/99〜99/1
であることが好ましく、50/50〜99/1であるこ
とがより好ましい。また、水に対する沈殿物の量は、1
〜50重量%であることが好ましい。本処理は、20℃
〜100℃の芳香族系有機溶剤−水の混合溶媒を沈殿物
に1時間以上接触させることにより行うことができる。
また、接触方法としては、ホモジナイザーやスタ−ラに
よる加熱撹拌、または、ボ−ルミル等によるミリングで
もよい。本処理に用いられる芳香族系有機溶剤として
は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ
る。
【0024】上記のようにして得られるフタロシアニン
混晶が、脱金属によって生じる無金属フタロシアニンを
含有する場合、フタロシアニン混晶中、チタニルフタロ
シアニンの含有率は5〜95重量%であることが好まし
く、70〜95重量%であることがより好ましく、中心
金属が3価の金属であるハロゲン化金属フタロシアニン
の含有率は2〜50重量%であることが好ましく、2〜
25重量%であることがより好ましく、無金属フタロシ
アニンの含有率は2〜50重量%であることが好まし
く、2〜25重量%であることがより好ましい。
【0025】本発明のフタロシアニン組成物は、その吸
収スペクトルが、800〜830nmの吸光度が、62
0〜660nmの吸光度より大きいことが、感度の点か
ら好ましい。
【0026】また、本発明のフタロシアニン組成物は、
有機溶剤(B)を100〜800ppm含有しているこ
とが必須である。有機溶剤(B)の含有量は、100〜
700ppmであることがより好ましく、100〜50
0ppmであることが更に好ましい。有機溶剤(B)の
含有量が100ppm未満である場合には、感度が低下
する傾向があり、700ppmを超えると感度が著しく
低下する傾向がある。本発明のフタロシアニン組成物に
含まれる有機溶剤(B)は、感度、帯電性、暗減衰等の
電子写真特性の点から、101.3kPaにおける沸点
が100℃以上であることが好ましく、100〜250
℃であることがより好まい。
【0027】また、本発明のフタロシアニン組成物に含
まれる有機溶媒(B)は、感度、耐電性、暗減衰等の電
子写真特性の点から極性溶剤であることが好ましく、そ
の双極子モーメントが10×10−30Cm以上である
ことが好ましく、11×10 −30〜14×10−30
であることがより好ましい。このような極性溶剤として
は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N
−メチルアセトアミド等が挙げられる。
【0028】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
の上に感光層を設けたものである。感光層は、有機光導
電性物質を含む層であり、例えば(1)有機光導電性物
質の被膜、有機光導電性物質と結合剤を含む被膜などの
単層型感光層、及び(2)電荷発生層及び電荷輸送層か
らなる複合型感光層等がある。本発明に係る電子写真感
光体は、更に、導電性支持体のすぐ上に薄い接着層又は
バリア層を有していてもよく、表面に保護層を有してい
てもよい。
【0029】上記感光層中の有機光導電性物質として
は、本発明のフタロシアニン組成物が必須成分として用
いられ、さらに公知のものを併用することができる。ま
た、有機光導電性物質としては上記フタロシアニン組成
物に、それ以外の電荷発生物質(電荷を発生する有機顔
料)及び/又は電荷輸送性物質を併用することが好まし
い。なお、複合型感光層の電荷発生層には本発明のフタ
ロシアニン組成物単独で、又はその他の電荷発生物質
(電荷を発生する有機顔料)とともに含まれ、電荷輸送
層には電荷輸送性物質が含まれる。
【0030】上記電荷発生物質としては、アゾキシベン
ゼン系、ジスアゾ系、トリスアゾ系、ベンズイミダゾー
ル系、多環キノン系、インジゴイド系、キナクリドン
系、ペリレン系、メチン系、α型、β型、γ型、δ型、
ε型、χ型等の各種結晶構造を有する無金属タイプ又は
金属タイプのフタロシアニン系などの電荷を発生するこ
とが知られている顔料が使用できる。これらの顔料は、
例えば、特開昭47−37543号公報、特開昭47−
37544号公報、特開昭47−18543号公報、特
開昭47−18544号公報、特開昭48−43942
号公報、特開昭48−70538号公報、特開昭49−
1231号公報、特開昭49−105536号公報、特
開昭50−75214号公報、特開昭53−44028
号公報、特開昭54−17732号公報等に開示されて
いる。このようなもののほか、光照射により電荷担体を
発生する有機顔料はいずれも使用可能である。
【0031】上記電荷輸送性物質としては、高分子化合
物では、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポ
リ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリ
ビニルインドロキノキサリン、ポリビニルベンゾチオフ
エン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジ
ン、ポリビニルピラゾリン等が挙げられ、低分子化合物
のものではフルオレノン、フルオレン、2,7−ジニト
ロ−9−フルオレノン、4H−インデノ(1,2,6)
チオフエン−4−オン、3,7−ジニトロ−ジベンゾチ
オフエン−5−オキサイド、1−ブロムピレン、2−フ
ェニルピレン、カルバゾール、N−エチルカルバゾー
ル、3−フェニルカルバゾール、3−(N−メチル−N
−フェニルヒドラゾン)メチル−9−エチルカルバゾー
ル、2−フェニルインドール、2−フェニルナフタレ
ン、オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルア
ミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1−
フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−
(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチル
アミノフェニル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(p
−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、p−(ジメチ
ルアミノ)−スチルベン、2−(4−ジプロピルアミノ
フェニル)−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−5
−(2−クロロフェニル)−1,3−オキサゾール、2
−(4−ジメチルアミノフェニル)−4−(4−ジメチ
ルアミノフェニル)−5−(2−フルオロフェニル)−
1,3−オキサゾール、2−(4−ジエチルアミノフェ
ニル)−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−
(2−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾール、2
−(4−ジプロピルアミノフェニル)−4−(4−ジメ
チルアミノフェニル)−5−(2−フルオロフェニル)
−1,3−オキサゾール、イミダゾール、クリセン、テ
トラフェン、アクリデン、トリフェニルアミン、ベンジ
ジン、これらの誘導体等がある。
【0032】電荷輸送性物質としては、ベンジジン誘導
体が好ましく、なかでも一般式〔I〕
【化1】 (R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、フル
オロアルキル基又はフルオロアルコキシ基を表し、2個
のRは、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を
表し、Ar及びArは、それぞれ独立してアリール
基を表し、p、q、r及びsは、それぞれ独立して0〜
5の整数を示す)で表されるベンジジン誘導体が好まし
い。
【0033】一般式〔I〕において、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プ
ロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げ
られる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ
基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基等が挙げ
られる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、
ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基等が挙げら
れる。フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチ
ル基、トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル
基等が挙げられる。フルオロアルコキシ基としては、ト
リフルオロメトキシ基、2,3−ジフルオロエトキシ
基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1H,1H
−ペンタフルオロプロポキシ基、ヘキサフルオロ−is
o−プロポキシ基、1H,1H−ペンタフルオロブトキ
シ基、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブトキ
シ基、4,4,4−トリフルオロブトキシ基等のフルオ
ロアルコキシ基が挙げられる。一般式〔I〕で表される
ベンジジン誘導体としては、具体的には下記のNo.1
〜No.6の化合物等が挙げられる。
【0034】
【化2】
【0035】
【化3】
【0036】上記フタロシアニン組成物及び必要に応じ
て用いる電荷発生物質(電荷を発生する有機顔料)(両
方で前者とする)と電荷輸送性物質(後者とする)とを
混合して使用する場合(単層型の感光層を形成する場
合)は、後者/前者が重量比で10/1〜2/1の割合
で配合するのが好ましい。このとき、結合剤をこれらの
化合物全量(前者+後者)に対して0〜500重量%、
特に30〜500重量%の範囲で使用するのが好まし
い。これらの結合剤を使用する場合、さらに、可塑剤、
流動性付与剤、ピンホール抑制剤等の添加剤を必要に応
じて添加することができる。
【0037】電荷発生層及び電荷輸送層からなる複合型
の光導電層を形成する場合、電荷発生層中には、上記フ
タロシアニン組成物及び必要に応じてフタロシアニン組
成物中のフタロシアニン化合物以外の電荷発生物質(電
荷を発生する有機顔料)が含有され、結合剤をフタロシ
アニン組成物と他の電荷発生物質の総量に対して500
重量%以下の量、例えば10〜500重量%、好ましく
は30〜500重量%の量で含有させてもよく、また、
上記した添加剤を該フタロシアニン組成物と電荷発生物
質の総量に対して5重量%以下で添加してもよい。ま
た、電荷輸送層には、上記した電荷輸送性物質が含有さ
れ、さらに、結合剤を該電荷輸送性物質に対して500
重量%以下で含有させてもよい。電荷輸送性物質が低分
子量化合物の場合は、結合剤を該化合物に対して50重
量%以上含有させることが好ましい。
【0038】上記した場合すべてに使用し得る結合剤と
しては、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹
脂、ポリアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリメタクリル酸
メチル樹脂、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリ
ルアミド樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピ
ラゾリン、ポリビニルピレン等が挙げられる。また、熱
及び/又は光によって架橋される熱硬化型樹脂及び光硬
化型樹脂も使用できる。いずれにしても絶縁性で通常の
状態で被膜を形成しうる樹脂並びに熱及び/又は光によ
って硬化し被膜を形成する樹脂であれば特に制限はな
い。
【0039】上記添加剤としての可塑剤としては、ハロ
ゲン化パラフィン、ジメチルナフタリン、ジブチルフタ
レート等が挙げられ、流動性付与剤としては、モダフロ
ー(モンサントケミカル社製)、アクロナール4F(バ
ズフ社製)等が挙げられ、ピンホール抑制剤としては、
ベンゾイン、ジメチルフタレート等が挙げられる。これ
らは適宜選択して使用され、その量も適宜決定されれば
よい。
【0040】本発明において導電性支持体とは、導電処
理した紙又はプラスチックフィルム、アルミニウムのよ
うな金属箔を積層したプラスチックフィルム、アルミニ
ウム等の金属板などの導電体である。
【0041】本発明の電子写真感光体における単層型感
光層の厚さは、5〜50μmが好ましい。光導電層とし
て電荷発生層及び電荷輸送層の複合型を使用する場合、
電荷発生層は好ましくは0.001〜10μm、特に好
ましくは0.2〜5μmの厚さにする。0.001μm
未満では、電荷発生層を均一に形成するのが困難にな
り、10μmを超えると、電子写真特性が低下する傾向
がある。電荷輸送層の厚さは好ましくは5〜50μm、
特に好ましくは8〜25μmである。5μm未満の厚さ
では、初期電位が低くなり、50μmを超えると、感度
が低下する傾向がある。
【0042】導電性支持体上に感光層を形成する方法と
しては、感光層が単層型である場合には、上記フタロシ
アニン組成物を必須成分とする有機光導電性物質を導電
性支持体に蒸着する方法、有機光導電性物質及び必要に
応じその他の成分をトルエン、キシレン等の芳香族系溶
剤、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素
系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール等のア
ルコール系溶剤、テトラヒドロフラン、2−メトキシエ
タノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタ
ノール等のエーテル系溶剤などに均一に溶解又は分散さ
せて感光層用塗液とし導電性支持体上に塗布し、乾燥す
る方法などがある。塗布法としては、スピンコート法、
浸漬法等を採用できる。電荷発生層及び電荷輸送層を形
成する場合も同様に電荷発生層用塗液及び電荷輸送層用
塗液を調整し行うことができるが、この場合、電荷発生
層と電荷輸送層は、どちらを上層としてもよく、電荷発
生層を二層の電荷輸送層ではさむようにしてもよい。各
塗液中の溶剤の量は、特に制限はないが、通常、塗液中
の固形分濃度が1〜50重量%となるようにすることが
好ましい。本発明におけるフタロシアニン組成物をスピ
ンコート法により塗布する場合、フタロシアニン組成物
と必要に応じて用いる結合剤とをクロロホルム、トルエ
ン、テトラヒドロフラン、2−エトキシエタノール、1
−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤に溶かして得た
塗液を用いて回転数500〜4000rpmでスピンコ
ーティングすることが好ましく、また、浸漬法によって
塗布する場合には、フタロシアニン組成物と必要に応じ
て用いる結合剤とを上記溶剤にボールミル、超音波等を
用いて分散させた塗液に導電性基板を浸漬することが好
ましい。
【0043】感光層用塗液、電荷発生層用塗液及び電荷
輸送層用塗液の調整に用いられる溶剤としては、フタロ
シアニン組成物中の有機溶剤(B)の沸点よりも低い沸
点を有する溶剤を用いることが好ましい。
【0044】例えば、単層型感光層の形成に用いられる
感光層用塗液としては、本発明のフタロシアニン組成
物、電荷輸送性物質、結合剤、及び、フタロシアニン組
成物中の有機溶剤(B)の沸点よりも低い沸点を有する
溶剤(E)を混合して得られる感光層用塗液(X)が好
適に用いられる。更に、可塑剤、流動性付与剤、ピンホ
ール抑制剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0045】また、複合型感光層の形成に用いられる電
荷発生層用塗液としては、例えば、本発明のフタロシア
ニン組成物、結合剤、及び、有機溶剤(B)の沸点より
も低い沸点を有する溶剤(C)を混合して得られる電荷
発生層用塗液(Y)が好適に用いられる。また、電荷輸
送層用塗液としては、例えば、電荷輸送性物質、結合
剤、及び、有機溶剤(B)の沸点よりも低い沸点を有す
る溶剤(D)を含有する電荷輸送層用塗液(Z)が好適
に用いられる。これらの電荷発生層用塗液及び電荷輸送
層用塗液は、更に、可塑剤、流動性付与剤、ピンホール
抑制剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0046】例えば、単層型感光層を有する電子写真感
光体を製造する場合には、導電性支持体上に上記の感光
層用塗液(X)を塗布し、有機溶剤(B)の沸点未満で
溶剤(E)の沸点以上の温度で乾燥して単層型感光層を
形成するすることが好ましい。
【0047】また、複合型感光層を有する電子写真感光
体を製造する場合には、導電性支持体上に上記の電荷発
生層用塗液(Y)を塗布し、有機溶剤(B)の沸点未満
で溶剤(C)の沸点以上の温度で乾燥して電荷発生層を
形成し、電荷発生層上に、上記の電荷輸送層用塗液
(Z)を塗布し、有機溶剤(B)の沸点未満で溶剤
(D)の沸点以上の温度で乾燥して電荷輸送層を形成す
ることが好ましい。
【0048】
【実施例】以下、フタロシアニン組成物の製造例、実施
例によって、本発明を詳細に説明する。 製造例1 [チタニルフタロシアニンの製造]フタロニトリル1
8.4g(0.144モル)をα−クロロナフタレン1
20ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン4
ml(0.0364モル)を滴下した。滴下後、昇温し
撹拌しながら200〜220℃で3時間反応させた後、
100〜130℃で熱時ろ過して、α−クロロナフタレ
ン、ついでメタノールで洗浄した。140mlのイオン
交換水で加水分解(90℃、1時間)を行い、溶液が中
性になるまでこの操作を繰り返し、メタノールで洗浄し
た。次に、100℃のNMPで充分に洗浄し、続いてメ
タノールで洗浄した。このようにして得られた化合物を
60℃で真空加熱乾燥してチタニルフタロシアニンを得
た。
【0049】[アシッドペースティング]このようにし
て得たチタニルフタロシアニン0.75g及び塩化イン
ジウムフタロシアニン0.25gからなるフタロシアニ
ン混合物1gを濃硫酸50mlに溶解し−20〜10℃
で30分撹拌した後、これを氷水で冷却したイオン交換
水1リットルに、約40分で滴下し再沈させた。さらに
冷却下で1時間撹拌後、ろ過により沈殿物を分離し、7
00mgの沈殿物を得た。1回目の洗浄として、沈殿物
700mgに洗浄水としてのイオン交換水120mlを
加え撹拌し、次いで、ろ過により沈殿物と洗浄水を分離
除去した。同様の洗浄操作をさらに5回続けて行った。
6回目の操作における分離除去した洗浄水(すなわち洗
浄後の洗浄水)のpH及び伝導率を測定した(23
℃)。pHの測定には、横河電機社製モデルPH51を
使用した。また、伝導率の測定は、柴田科学器械工業社
製モデルSC−17Aを使用した。洗浄水のpHは4.
07であり、伝導率は、37.1μS/cmであった。
この沈殿物のCuKαのX線回折スペクトルには、明瞭
なピークはみられなかった。また、この沈殿物中の無金
属フタロシアニンの存在の確認を、質量分析測定による
FD−MSスペクトル上の514ピークの存在により行
なった。
【0050】[結晶変換」つぎにこの沈殿物1.0gに
イオン交換水23.33g及びトルエン8.67gを加
え、60℃で8時間加熱撹拌し、遠心分離を行い上澄み
液を除去後、メタノールで洗浄して60℃で2時間真空
加熱乾燥し、フタロシアニン混晶及びNMPからなるフ
タロシアニン組成物を得た。このフタロシアニン組成物
に含まれるNMP量は、310ppmであった。NMP
の定量には、フタロシアニン組成物をアセトンに溶解
後、ガスクロマト測定を行った。装置は日立G−390
0を用いた。この結晶のX線回折スペクトルを図1とし
て示した。
【0051】上記のフタロシアニン混晶中、チタニルフ
タロシアニンの含有率は75重量%、塩化インジウムフ
タロシアニンの含有率は7重量%、無金属フタロシアニ
ンの含有率は18重量%であった。なお、フタロシアニ
ン混晶中のチタニルフタロシアニン、塩化インジウムフ
タロシアニン及び無金属フタロシアニンの存在の確認及
び定量は、質量分析測定及び元素分析測定により行なっ
た。元素分析測定にはフィリップ社製DX−Prime
を使用し、チタニルフタロシアニン、塩化インジウムフ
タロシアニンの中心金属であるチタン、インジウムの比
より、両者の定量を行なった。無金属フタロシアニンに
ついては、塩化インジウムフタロシアニンが一部脱金属
して無金属フタロシアニンになることから、塩化インジ
ウムフタロシアニンのしこみ量とインジウム量の差によ
り、定量した。
【0052】製造例2 製造例1と同様にして得られたフタロシアニン組成物
に、NMPをフタロシアニン組成物に対し0.03重量
%添加し、フタロシアニン組成物とした。このフタロシ
アニン組成物に含まれるNMP量は、480ppmであ
った。
【0053】製造例3 製造例1の[チタニルフタロシアニンの製造]工程と同
様にして得られたチタニルフタロシアニンに、NMPを
チタニルフタロシアニンに対し0.06重量%添加し
た。このフタロシアニン組成物に含まれるNMP量は、
650ppmであった。
【0054】製造例4 製造例1と同様にして得られたフタロシアニン組成物
に、アセトンをフタロシアニン組成物に対し0.06重
量%添加し、フタロシアニン組成物の結晶を得た。この
フタロシアニン組成物に含まれるNMP量は、310p
pmであった。
【0055】比較製造例1 製造例1において、[結晶変換]工程においてメタノー
ル洗浄後の真空加熱乾燥温度を60℃から200℃に上
げた以外は製造例1と同様にしてフタロシアニン組成物
の結晶を得た。このフタロシアニン組成物に含まれるN
MP量は、38ppmであった。
【0056】比較製造例2 製造例1と同様にして得られたフタロシアニン組成物
に、NMPをフタロシアニン組成物に対し0.12重量
%添加し、フタロシアニン組成物を得た。このフタロシ
アニン組成物に含まれるNMP量は、960ppmであ
った。
【0057】実施例1 製造例1で製造したフタロシアニン組成物1.5g、ポ
リビニルブチラール樹脂エスレックBL−S(積水化学
社製)0.9g、メラミン樹脂ML351W(日立化成
工業社製)0.1g、2−エトキシエタノール49.0
g及びテトラヒドロフラン49.0gを配合し、ボール
ミルで分散した。得られた分散液を浸漬法によりアルミ
ニウム板(導電性基材100mm×100mm×0.1
mm)上に塗工し、140℃で1時間乾燥して厚さ0.
5μmの電荷発生層を形成した。前記のNo.4の電荷
輸送性物質1.5g、ポリカーボネート樹脂ユーピロン
S−3000(三菱瓦斯化学社製)1.5g及び塩化メ
チレン15.5gを配合して得られた塗液を上記アルミ
ニウム基板上に浸漬法により塗工し、120℃で1時間
乾燥して厚さ20μmの電荷輸送層を形成した。電子写
真特性(感度、残留電位、暗減衰率)は、シンシア30
HC(緑屋電気社製)により評価した。コロナ帯電方式
で感光体を−650Vまで帯電させ、780nmの単色
光を50mS感光体に露光し種々の特性測定を行った。
上記の特性の定義は、以下の通りである。感度(E
1/2)は、初期帯電電位−650Vを露光0.2秒後
に半減させるのに要する780nmの単色光の照射エネ
ルギ−量であり、残留電位(Vr)は、同波長の20m
J/mの単色光を50mS露光し、露光0.2秒後及
び0.5秒後に感光体の表面に残る電位である。暗減衰
率(DDR)は、感光体の初期帯電電位−650Vと初
期帯電後暗所1秒放置後の表面電位V1(−V)を用い
て(V1/650)×100と定義した。
【0058】実施例2〜4 実施例1において製造例2〜4で得られたフタロシアニ
ン組成物を用いた以外は実施例1に準じて電子写真感光
体を製造し評価した。その結果を表1に示した。
【0059】比較例1〜2 実施例1において比較製造例1〜2で得られたフタロシ
アニン組成物を用いた以外は、実施例1に準じて電子写
真感光体を製造し評価した。その結果を表1に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】本発明のフタロシアニン組成物を用いる
ことにより、従来の電子写真感光体より帯電性、暗減
衰、感度等の電子写真特性に優れた電子写真感光体が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1において得られたフタロシアニン組成
物のX線回折スペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 進 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 藤井 徹也 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎事業所内 (72)発明者 崎尾 進 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎事業所内 Fターム(参考) 2H068 AA19 AA31 AA37 BA11 BA38 BA39 EA05 EA14 EA19

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フタロシアニン化合物(A)と沸点10
    0℃以上である有機溶剤(B)を含有するフタロシアニ
    ン組成物であって、有機溶剤(B)の含有量が100〜
    800ppmであるフタロシアニン組成物。
  2. 【請求項2】 有機溶剤(B)が極性溶媒である請求項
    1記載のフタロシアニン組成物。
  3. 【請求項3】 フタロシアニン化合物(A)が、中心物
    質の異なる2種以上のフタロシアニン化合物からなる混
    晶である請求項1又は2記載のフタロシアニン組成物。
  4. 【請求項4】 フタロシアニン化合物(A)が、チタニ
    ルフタロシアニン、中心金属が3価の金属であるハロゲ
    ン化金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンの混
    晶である請求項3記載のフタロシアニン組成物。
  5. 【請求項5】 フタロシアニン化合物(A)が、チタニ
    ルフタロシアニン及び中心金属が3価の金属であるハロ
    ゲン化金属フタロシアニンを含むフタロシアニン混合物
    をアシッドペースティング法により水中に沈殿させ、C
    uKαのX線回折スペクトルにおいて明瞭な回折ピーク
    が観察されない沈殿物を得、引き続きこの沈殿物を芳香
    族系有機溶剤−水の混合溶媒で処理することにより得ら
    れるフタロシアニン混晶である請求項1〜4いずれか記
    載のフタロシアニン組成物。
  6. 【請求項6】 フタロシアニン化合物(A)が、チタニ
    ルフタロシアニンである請求項1又は2記載のフタロシ
    アニン組成物。
  7. 【請求項7】 導電性支持体及び導電性支持体上に設け
    られた感光層を有し、感光層中に、請求項1〜6いずれ
    か記載のフタロシアニン組成物を含有することを特徴と
    する電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6いずれか記載のフタロシア
    ニン組成物、電荷輸送性物質、結合剤、及び、有機溶剤
    (B)の沸点よりも低い沸点を有する溶剤(E)を混合
    して得られる塗液。
  9. 【請求項9】 導電性支持体及び導電性支持体上に設け
    られた単層型感光層を有する電子写真感光体の製造法で
    あって、導電性支持体上に請求項8記載の塗液を塗布
    し、有機溶剤(B)の沸点未満で溶剤(E)の沸点以上
    の温度で乾燥して単層型感光層を形成する電子写真感光
    体の製造法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6いずれか記載のフタロシ
    アニン組成物、結合剤、及び、有機溶剤(B)の沸点よ
    りも低い沸点を有する溶剤(C)を混合して得られる塗
    液。
  11. 【請求項11】 導電性支持体及び導電性支持体上に設
    けられた感光層を有し、感光層が電荷発生層及び電荷輸
    送層を含む複合型感光層である電子写真感光体の製造法
    であって、導電性支持体上に請求項10記載の塗液を塗
    布し、有機溶剤(B)の沸点未満で溶剤(C)の沸点以
    上の温度で乾燥して電荷発生層を形成し、電荷発生層上
    に、電荷輸送性物質、結合剤、及び、有機溶剤(B)の
    沸点よりも低い沸点を有する溶剤(D)を含有する塗液
    を塗布し、有機溶剤(B)の沸点未満で溶剤(D)の沸
    点以上の温度で乾燥して電荷輸送層を形成する電子写真
    感光体の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8110038B2 (en) 2008-03-28 2012-02-07 Fujifilm Corporation Mixed crystal and colored pigment dispersion composition

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