JP2002249824A - 熱間圧延鋼材の製造方法 - Google Patents
熱間圧延鋼材の製造方法Info
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Abstract
低下したり、製造コストが高くなることなく、トランプ
エレメントによる割れや表面疵の発生を防止することが
でき、さらに鉄スクラップのリサイクルに有用である熱
間圧延鋼材の製造方法の提供。 【解決手段】質量%で、Cu:0.01〜0.6%、Sn:
0.001〜0.1%を含むスラブを加熱した後に、熱
間圧延を行い、熱間圧延鋼材を製造する際に、加熱温度
が1050〜1300℃、加熱雰囲気の水蒸気の濃度が2〜16%
で、かつ加熱温度T(℃)と水蒸気の濃度H(%)が下
記(a)式を満足するようにスラブを加熱する。 T≧15×H+975 … (a)
Description
熱間圧延鋼材の製造方法に係り、特に、産業機械、建築
あるいは自動車等の構造用の部材として使用される熱間
圧延鋼板やさらに冷間圧延される熱延半成品(冷間圧延
のための母材)の製造方法に関する。
鋼材という)は、比較的安価であり、構造材料として、
自動車、家電、住宅など様々な製品に広く使用されてき
た。そのため、それらの製品の買い換え、あるいは建て
替えをする際には、鉄スクラップが発生し、その処理が
問題となっていた。
施策が取られたり、あるいはリサイクル運動が活発に行
われていることから、このような鉄スクラップも積極的
な再利用が望まれている。しかしながら、鉄スクラップ
には、銅(Cu)や錫(Sn)といった通常の精錬法では除
去し難いトランプエレメントが含まれており、鉄スクラ
ップを再利用し、製鉄原料として使用した場合、鋼材中
に残留したトランプエレメントにより、鋼材の特性が著
しく損なわれる場合がある。
ど加工性に優れていることが必要であるとともに、鋼材
の表面に発生する表面割れや表面疵などの欠陥がない、
あるいは少ない、いわゆる表面性状がよいことが求めら
れる。しかし、トランプエレメントが含まれるスラブを
通常行われるように熱間圧延すると、トランプエレメン
トであるCu-Snが原因となり、表面割れや表面疵が生じ
ていた。
Cu-Sn含有スラブという)を熱間圧延しても割れや表面
疵が発生しない熱間圧延鋼材を得るため、製造面からア
プローチを試みた様々な研究・開発がされている。
に熱せられたスラブ(被圧延材)を圧延するに当たり、
スラブがロールに噛み込まれる直前で、スラブの表面層
を被圧延材の成分により定まる温度(割れ発生温度)以
下に冷却する圧延方法の発明が開示されている。この発
明では、スラブ表面の冷却により、スラブ表面に濃化す
るCu-Sn液相を固定し、割れ発生の原因となるCu-Snの鋼
中へ拡散を防止する。
錫含有鋼スラブを950℃以下の温度で加熱し、無酸化雰
囲気下で圧延温度に加熱することで、表面疵の発生を抑
える表面疵防止方法の発明が開示されている。
条件に加え、圧延する前に行うスラブ(鋳片)の鋳造に
おける諸条件を適正化することによって、表面割れの発
生を防止するCu含有鋼板の製造方法の発明が開示されて
いる。この発明では、鋳造条件を適正化することによ
り、スラブ表面へのCu融液の析出を防ぐことができるた
め、その後の熱間圧延においても、Cuがスラブの粒界に
侵入することがなく、表面割れを防止できる。
ような発明には、様々な問題を有していた。
延方法では、ロールの噛込み口に、例えば、水スプレー
など、スラブを冷却する装置を設ける必要がある。この
ような冷却装置の新たな設置は、製造コストの上昇を招
く。さらに、スラブの表面層のみを冷却しても、スラブ
の中心部には熱が残っているため、スラブの表面層はそ
の熱によりすぐに高温になる、いわゆる復熱という現象
が起こる。実際の操業では、冷却温度の管理に加え、復
熱温度の管理もしなければならない。そのため、スラブ
自体の温度の制御は困難なものとなり、製造された熱延
鋼材の品質が一定に保てないという問題も発生する。
面疵防止方法では、加熱温度を950℃以下と規定してい
る。この温度以下では、熱延鋼板の機械的な特性向上に
必要な析出物の大きさや量を制御することができず、目
標とする最終製品の製品特性を確保できない。
含有鋼板の製造方法では、熱間圧延を行うスラブの厚さ
が75mm以下に制限される。また、熱間圧延の際に制御さ
れるスラブ温度も1050℃以上とすることができないた
め、特開平5−220505号公報に記載の表面疵防止
方法により製造した熱延鋼板と同様に、熱延鋼板に機械
的な特性を付与することができず、最終製品の製品特性
を確保できない。
延しても、割れや表面疵が発生しない表面性状のよい熱
間圧延鋼材を得られるものの、製造コストが増大した
り、機械的な特性を確保できないといった副次的な問題
の発生を避けられなかった。
板の特性が従来に比べて低下したり、製造コストが高く
なることなく、トランプエレメントによる割れや表面疵
の発生を防止することができ、さらに鉄スクラップのリ
サイクルにも有用である熱間圧延鋼材の製造方法を提供
することにある。
を見直すことによって、上述のような問題を解決するこ
とを鋭意検討した。
のため、スラブに両元素が含有している場合、スラブを
加熱する際の温度(加熱温度)により、形成されるCu-S
n合金相の状態が異なり、表面性状が大きく異なると考
えた。また、Cu-Sn合金相の状態は、加熱温度の他にも
大きく依存する要素があるのではないかと考え、スラブ
を加熱する際の雰囲気(加熱雰囲気)に注目した。
に発生したガスを燃焼させることにより行う。このガス
は水素を主成分とするガスであり、燃焼させることによ
り高温の水蒸気が発生する。そこで、この水蒸気のリサ
イクルをも考慮に入れ、水蒸気によりスラブの加熱雰囲
気を変えることに着目し、雰囲気の水蒸気の濃度と加熱
温度の関係により、CuやSnが含まれる熱延鋼材(以下、
Cu-Sn含有鋼という)の表面性状がどのように変化する
のかを調べた。
%で、C:0.05%、Si:0.02%、Mn:0.35
%、P:0.03%、S:0.005%、Cr:0.03
%、Ni:0.02%、N:0.005%、Cu:0.3
%、Sn:0.04%の化学組成を有し、寸法をφ8m
m、平行部20mmとした試験片を、加熱温度を950〜1
300℃、体積%で、水蒸気の濃度を2〜30%、酸素濃度を
1%、残部を窒素とする加熱工程を模した加熱雰囲気に3
0分保持した。そして、試験片を炉から取り出し、圧延
工程を模して、試験片に歪量40%の引張変形を加え、試
験片の平行部における表面割れの発生の有無を調べた。
なお、以下に述べる濃度の%表示はいずれも体積%を意
味する。
加熱雰囲気の水蒸気の濃度による表面割れの有無を示し
た図である。表面割れの有無は、試験片の平行部におい
て、開孔幅0.5mm以上、深さ0.3mm以上の割れが単位面積
(1cm2)あたり1個以上観察された場合を表面割れあ
り(図1中の○)とし、観察されなかったものを表面割
れなし(図1中の×)とした。
濃度に依存し、それらを最適化することで、表面割れが
防止できることがわかった。加熱温度が1050℃未満の場
合、加熱温度はCu-Sn合金の融点(約1080℃)以下であ
り、Cu-Sn合金の融液が析出しなかったため、いずれの
水蒸気の濃度でも表面割れは発生しなかったと考えられ
る。また、加熱温度が1050℃以上で、水蒸気の濃度が2
〜8%の場合、鉄が選択的に酸化されることが少ないた
めに、その選択的な酸化に伴う鋼材表面(以下、地鉄表
面という)でのCu-Snの濃化が鋼材の固溶限より小さく
なり、Cu-Sn合金の融液の析出が抑制されたため、表面
割れは発生しなかったと考えられる。
8%を超える場合は、その加熱温度により表面割れが発
生した。そこで、この原因を詳細に調べるために、この
領域に属する3つの試料片((a)加熱温度1200℃、水蒸
気の濃度10%、(b)同1100℃、同10%、(c) 同1200℃、
同20%)について、走査型電子顕微鏡で反射電子像の観
察を行った。なお、各試料片の顕微鏡用の試料は、加熱
保持し、引張変形を加えず室温まで冷却した後、試験片
の断面を樹脂に埋め込み、鏡面研磨することで作製し
た。
の地鉄表面を模式的に示した図であり、(a)は加熱温度1
200℃、水蒸気の濃度10%の試料片、(b)は同1100℃、同
10%の試料片、(c)は 同1200℃、同20%の試料片を表し
たものである。
(図2(a))、地鉄表面1にはCu-Sn合金4の析出がわずか
に見られた。また、選択的に酸化された鉄(以下、酸化
スケール2という)の中にもCu-Sn合金5が見られた。こ
のことから、この条件で加熱を行うと、Cu-Snが酸化ス
ケール2へ排出され、さらにCu-Snの拡散速度が速くなる
ため、場合によっては、Cu-Snが地鉄中に拡散し、表面
割れが発生しないと推測できた。
(図2(b))、酸化スケール2中にはCu-Sn合金はほとん
どなかったが、地鉄表面にCu-Sn合金4の析出が見られ
た。このことから、この条件で加熱を行うと、Cu-Sn合
金4が溶融状態で地鉄表面に濃化し、その溶融状態のCu-
Sn合金4が地鉄の結晶粒界に侵入し、粒界強度を弱める
ために、表面割れが発生すると推測できた。
の場合(図2(c))、図2(a)と同様に酸化スケール中に
Cu-Sn合金5が見られ、Cu-Snが酸化スケールへ排出され
るのが確認できたが、地鉄表面および結晶粒界にファイ
ヤライト6(融点約1120℃のFeSi酸化物)が生成し、こ
れを起点として地鉄表面および結晶粒界にCu-Sn合金7が
濃化・析出するため、表面割れが発生すると推測でき
た。
たものであり、その要旨は、下記(1)に記載の熱間圧
延鋼材の製造方法にある。
%、Sn:0.001〜0.1%を含むスラブを加熱した
後に、熱間圧延を行う熱間圧延鋼材の製造方法であっ
て、加熱温度が1050〜1300℃、加熱雰囲気の水蒸気の濃
度が2〜16%で、かつ加熱温度T(℃)と水蒸気の濃度
H(%)が下記(a)式を満足するようにスラブを加熱
する熱間圧延鋼材の製造方法である。
%、Sn:0.001〜0.1%、C:0.01〜0.2
%、Si:0〜2%、Mn:0.05〜2%、Nb:0〜0.
1%、Ti:0〜0.1%、V:0〜0.2%、Cr:0〜
1%、Mo:0〜1%、希土類元素:0〜0.1%を含
み、残部がFeおよび不純物からなるスラブであることが
好ましい。
スクラップを利用することが好ましい。さらに、コーク
ス炉ガス、高炉ガスおよび天然ガスから選択されるガス
の1種または2種以上を燃焼させることにより、スラブ
の加熱を行い、そのガスの燃焼によって発生した水蒸気
で加熱雰囲気の水蒸気の濃度を制御することが好まし
い。
に関する発明である。ここで、熱間圧延鋼材とは、熱間
での圧延工程等の加工工程を経て製造される鋼材を意味
し、熱延鋼板を始めとして、継目無鋼管、棒鋼、線材、
形鋼、鋼帯等どのような形状を有していてもよい。
ついて、具体的に説明する。なお、以下に述べる化学組
成の%表示はいずれも質量%を意味する。
有する。通常、鉄スクラップを用いてスラブを作製した
場合、Cu-Snは、スラブ中に混入する。Cu-Snの含有量
は、Cu:0.01〜0.6%、Sn:0.001〜0.1
%とした。Cuについては0.6%、Snについては0.1
%を超えると、本発明で規定する加熱温度、加熱雰囲気
の条件でスラブの加熱を行ったとしても、熱間圧延の際
に発生する表面疵を防止することができない。一方、こ
れらの元素の含有量が、Cuについては0.01%未満、
Snについては0.001%未満の場合は、通常の熱間圧
延を行っても、表面割れの発生は少なく、熱延鋼材の表
面品質は許容の範囲内にとどまる。
しい成分である。しかし、C含有量が0.01%未満で
はその効果が得られないことがあり、0.2%を超える
と加工性が低下するうえ、溶接性の劣化を招く場合があ
る。したがって、C含有量は0.01〜0.2%とする
のが好ましい。
するので、必要に応じて添加することができる。脱酸剤
として使用するには、Si含有量を0.01%以上とする
ことが必要である。さらに、Siには固溶強化により鋼材
の強度を向上させる効果があるので、Si含有量を0.1
%以上とすることがより好ましい。しかし、Si含有量が
2%を超えると、その効果が飽和する上、溶接性に悪影
響を及ぼす。したがって、Si含有量は、0.01〜2%
が好ましく、0.1〜2%がより好ましい。
しい元素であり、さらに鋼中に不純物として存在するS
をMnSとして固定し、熱間圧延中に生じる表面割れを抑
制する作用も有する。しかし、Mn含有量が0.05%未
満では、その効果が認められないことがある。一方、2
%を超えて含有させても加工性が低下する場合がある
上、溶接性に悪影響を及ぼすことがある。したがって、
Mn含有量は0.05〜2%が好ましい。
トに炭窒化物として析出して鋼材の強度を向上させる作
用を有するので、必要に応じて含有させることができ
る。炭窒化物の析出により鋼材の強度を向上させるに
は、Nb含有量、Ti含有量、V含有量をともに0.005
%以上とすることが必要である。しかし、NbおよびTiは
それぞれ0.1%、Vは0.2%を超えて含有させて
も、その効果は飽和してしまうとともに、経済性も損な
うことがある。したがって、Nb、Ti、Vの含有量は、そ
れぞれNb:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜
0.1%、V:0.005〜0.2%とするのが好まし
い。
材の強度を向上させる作用を有するので、必要に応じて
含有させることができる。変態により鋼材の強度を向上
させるには、Cr含有量、Mo含有量をともに0.01%以
上とすることが必要である。しかし、CrおよびMoはそれ
ぞれ1%を超えて含有させても、その効果は飽和するう
え、経済性を損なうことがある。したがって、Crおよび
Moの含有量は、いずれも0.01〜1%とするのが好ま
しい。
調整して冷間加工性を改善する作用を有するので、必要
に応じて含有させることができる。冷間加工性を改善す
るには、希土類元素の含有量を0.002%以上とする
ことが必要である。しかし、0.1%を超えて含有させ
ると、鋼材中の介在物が多くなりすぎて加工性が劣化す
るなどの悪影響を及ぼす場合がある。したがって、希土
類元素の含有量は0.002〜0.1%とするのが好ま
しい。
法で規定した元素について、説明したが、この他にも、
例えば、以下のような元素が含まれていたとしてもなん
ら問題はない。
れる元素である。鋼の清浄度を劣化させないためにも、
Al含有量は0.3%以下とするのが好ましい。
る。溶接性の観点から、P含有量は0.05%以下とす
るのが好ましい。
を低下させる元素である。加工性の観点から、S含有量
は0.003%以下とするのが好ましい。
(熱延鋼板)である場合を例として以下に説明する。な
お、製品形状が継目無鋼管、棒鋼、線材、形鋼、鋼帯
等、他の形状を有していても、成形方法が一部異なるだ
けで、基本となる製造方法に特段の違いはない。
は慣用される方法で製造される。例えば、転炉や電気炉
で、成分調整をした鉄源を溶解した後、真空脱ガス処理
を施し、連続鋳造法や鋼塊にした後に分塊圧延するなど
の方法でスラブを製造する。ここで、使用される鉄源に
は、少なくともその一部に自動車、建築用鋼材などが廃
棄されるときに生じる鉄スクラップを利用することが好
ましい。このように鉄スクラップを利用することは、鉄
のリサイクル使用に大きく貢献する。
m、幅700〜1600mm、長さ10m程度の寸法に
整えられる。このようなスラブは加熱された後、連続的
に熱間圧延され、必要に応じて焼鈍、酸洗処理が施され
ることで、最終製品である熱延鋼板となる。
性質の向上に必要な析出物の大きさおよび量を確保する
ため、1050℃以上とすることが必要である。また、1300
℃を超えると、鋼板の内部酸化が激しくなり、鋼板自体
のスケ−ルロスが大きくなるとともに、表面性状にも悪
影響を及ぼす。したがって、スラブの加熱温度の上限は
1300℃以下とすることが必要である。スラブの加熱温度
は、好ましくは、1120〜1270℃である。
留する際に発生するコークス炉ガスを燃焼させて行うこ
とができる。もちろんこのガス以外にも高炉の炉頂から
排出される高炉ガス、LPガス(液化石油ガス)、BP
ガス(高炉ガスとLPガスの混合ガス)、天然ガス(L
NG)など、複数のガスを混合して用いることもでき
る。
に、加熱炉内の雰囲気(加熱雰囲気)の水蒸気の濃度を
2〜16%とし、かつ加熱温度T(℃)と水蒸気の濃度H
(%)としたとき、下記(a)式を満足するような範囲
にすることが必要である。
て、前述したように地鉄表面にCu-Sn合金が析出するこ
ともなく、あるいは析出してもごく少量であるので、結
果として地鉄の結晶粒界にCu-Sn合金が侵入することが
なく、表面割れの発生を防ぐことができる。
は、加熱温度が高いと、融点の低いファイヤライトが地
鉄表面に析出するため、それを起点として地鉄の結晶粒
界にCu-Sn合金が析出するので、表面割れが発生する。
また、水蒸気の濃度が16%を超える場合でも、加熱温度
が低いとき、あるいは水蒸気の濃度が16%以下の場合で
も、(a)式を満たさないときには、地鉄表面にCu-Sn
合金が析出し、そのCu-Sn合金が地鉄の結晶粒界に侵入
するので、表面割れが発生する。水蒸気の濃度は、好ま
しくは、2〜14%、より好ましくは、4〜12%である。
には制限がない。前述のコークス炉ガスは水素を主成分
とする燃料ガスであるから、コークス炉ガスの燃焼によ
り発生する水蒸気を加熱炉に導入し、水蒸気の濃度を制
御すればよい。しかし、コークス炉ガスを空気と燃焼さ
せた排気ガスの水蒸気の濃度は20%を超える。そのた
め、コークス炉ガスを単独で用いる場合には、何らかの
手段により、水蒸気の濃度を希釈する。燃焼により発生
した排気ガスになんらかのガスを加えて希釈する、ある
いは燃焼させる燃焼ガスに複数の燃焼ガスを用い、その
混合量を調整して、燃焼後に発生する水蒸気を調整すれ
ばよい。
蒸気が発生する。このため、水蒸気の発生量が約2%の
高炉ガスを適宜混合させれば、水蒸気の量を調整するこ
とができる。また、前述のBPガスを用いるに当たって
も、高炉ガスとLPガスの混合比を調整することで、水
蒸気の濃度を2〜16%の間で制御することが可能であ
る。
スおよび/または高炉ガスを燃焼させることにより、ス
ラブの加熱を行い、それらのガスの燃焼によって発生し
た水蒸気で加熱雰囲気の水蒸気の濃度を制御することが
好ましい。こうすれば、製鉄を行う際に副産物として発
生したガスをリサイクルするだけでなく、それを燃焼さ
せて得られた水蒸気をも利用することになるので、非常
にリサイクル性に優れるからである。
帯、均熱帯での合計時間)は、通常行うように1〜4時
間でよい。1050℃以上で均熱する際の保持時間は、地鉄
表面におけるCu-Sn合金の析出を抑制するために、20
分以上とすることが好ましい。
れたスラブは、加熱炉から取り出された後、熱間圧延に
先だって脱スケ−ル処理が施される。脱スケ−ル処理
は、一般的に9.807〜24.52MPa(=100〜
250kgf/cm2)程度の高圧水を噴射する方法で行わ
れる。
る連続式ロ−ル圧延法により行うことよい。圧延温度の
下限は、900℃程度とするのが好ましい。熱延鋼板の
厚みは、用途によって異なるが2〜20mm程度に仕上
げられる。熱間圧延後は、必要により、焼鈍および酸洗
等の処理を施すのが好ましい。
ために、加熱炉モニター試験を行った。なお、試験に当
たり、リサイクル性を考慮に入れ、スラブは、鉄スクラ
ップを用いて作製した。
ラブ(幅1030mm、厚さ200mm、長さ約10
m)およびそのスラブから切り出した試験片(幅100
mm、厚さ40mm、長さ100mm)の化学組成を示
したものである。
を施し、酸化皮膜を除去した。ただし、試験片の片面
は、後で地鉄表面を観察するために、意図的に連続鋳造
をした時に生成した酸化皮膜を残存させた。このような
試験片を、酸化皮膜の残存面を上にして、スラブ上に乗
せ、加熱炉に挿入し、加熱処理を行い、一連の処理が終
了した後、スラブを加熱炉から取り出す際に一緒に取り
出した。
たものである。加熱処理は、1050℃で予熱後、徐々
に加熱し、任意の加熱温度で均熱状態を30〜60分保つこ
とで行った。試験片およびスラブの加熱には、燃焼ガス
としてコークス炉ガス(COG)、高炉ガスとLPガス
の混合ガス(BPG)を用い、燃焼条件を変えること
で、燃焼ガスの燃焼により発生する排気ガスの組成を調
整した。そして、この排気ガスを加熱炉内に導入し、加
熱雰囲気を変化させた。この際、入炉から出炉までの在
炉時間はだいたい180〜220分である。また、加熱
処理は、本発明で規定する範囲に相当する条件に加え、
比較のために、本発明で規定する範囲を外れる条件で行
った。
は、顕微鏡または目視により観察することで行った。試
験片についての評価は、析出したCu-Sn合金相を観察す
ることにより行った。Cu-Sn合金相の析出の状態は、試
験片から表皮下20mm厚さのサンプルを切り出し、試
験片の断面を樹脂に埋め込んだ後、鏡面研磨、腐食し
て、地鉄表面を光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で
観察した。
うに圧延を施し熱延鋼板を製造し、肉眼で表面の品質
上、問題となる表面割れ(表面疵)の有無を調べること
により行った。ここで、表面割れ(表面疵)が確認され
た場合を不合格(×),表面の品質上、問題となる表面
割れが確認されない場合を合格(○)とした。
状態と熱延鋼板の表面割れ(表面疵)の判定結果を示
す。
発明で規定する範囲に相当する条件の例である。これら
の試験片の表面にはCu-Sn合金相の析出は確認されず、
表面品質を損なう熱延鋼板の表面割れも確認されなかっ
た。また、試番2、5、8、10、11も、本発明で規
定する範囲に相当する条件の例である。これらの例で
は、試験片の表面にCu-Sn合金相の析出が所々見られた
ものの、いずれも少量であったため、熱延鋼板に表面疵
は確認されなかった。
で規定する範囲から外れる条件の例である。これらの例
では、試験片の表面にCu-Sn合金相の析出が所々あるい
は全面的に見られ、しかも熱延鋼板に表面疵が確認され
た。
は、加熱炉の雰囲気を変えるだけで、トランプエレメン
トであるCuとSnを含有するスラブから表面性状のよい熱
延鋼材を製造できる。しかも、CuやSnを多く含有する鉄
スクラップを鉄源として用いることもでき、さらに、製
鉄所内で副次的に発生する燃焼ガスをスラブの加熱と加
熱炉の雰囲気の調整に用いることができるので、非常に
リサイクル性に適している。
水蒸気の濃度による表面割れの有無を示した図である。
模式的に示した図であり、(a)は加熱温度1200℃、水蒸
気の濃度10%の試料片、(b)は同1100℃、同10%の試料
片、(c)は 同1200℃、同20%の試料片を表したものであ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】質量%で、Cu:0.01〜0.6%、Sn:
0.001〜0.1%を含むスラブを加熱した後に、熱
間圧延を行う熱間圧延鋼材の製造方法であって、 加熱温度が1050〜1300℃、加熱雰囲気の水蒸気の濃度が
2〜16体積%で、かつ加熱温度T(℃)と水蒸気の濃度
H(%)が下記(a)式を満足するようにスラブを加熱
することを特徴とする熱間圧延鋼材の製造方法。 T≧15×H+975 … (a) - 【請求項2】スラブが、質量%で、Cu:0.01〜0.
6%、Sn:0.001〜0.1%、C:0.01〜0.
2%、Si:0〜2%、Mn:0.05〜2%、Nb:0〜
0.1%、Ti:0〜0.1%、V:0〜0.2%、Cr:
0〜1%、Mo:0〜1%、希土類元素:0〜0.1%を
含み、残部がFeおよび不純物からなるスラブであること
を特徴とする請求項1に記載の熱間圧延鋼材の製造方
法。 - 【請求項3】スラブの鉄源の少なくとも一部に鉄スクラ
ップを利用することを特徴とする請求項1または2に記
載の熱間圧延鋼材の製造方法。 - 【請求項4】コークス炉ガス、高炉ガスおよび天然ガス
から選択されるガスの1種または2種以上を燃焼させる
ことにより、スラブの加熱を行い、そのガスの燃焼によ
って発生した水蒸気で加熱雰囲気の水蒸気の濃度を制御
することを特徴とする請求項1〜3に記載の熱間圧延鋼
材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001048159A JP4759818B2 (ja) | 2001-02-23 | 2001-02-23 | 熱間圧延鋼材の製造方法 |
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