JP2002249461A - 高純度な酢酸化合物の製造方法及びそれによって得られた酢酸化合物 - Google Patents
高純度な酢酸化合物の製造方法及びそれによって得られた酢酸化合物Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 樹脂及び塗料の改質剤、あるいは医薬中間体
の原料として有用な極めて高純度な酢酸化合物の製造方
法及びそれによって得られた酢酸化合物を提供するこ
と。 【解決手段】 アリル化合物又はハロゲン化ベンジル化
合物と一酸化炭素とアルコールとを塩基の存在下にパラ
ジウム化合物を触媒として用いて酢酸エステルを製造
し、次いで、該酢酸エステルを加水分解し、さらにこれ
を酸水溶液で分解することを特徴とする一般式R1CH2
COOH(式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表
される高純度な酢酸化合物の製造方法を構成とする。
の原料として有用な極めて高純度な酢酸化合物の製造方
法及びそれによって得られた酢酸化合物を提供するこ
と。 【解決手段】 アリル化合物又はハロゲン化ベンジル化
合物と一酸化炭素とアルコールとを塩基の存在下にパラ
ジウム化合物を触媒として用いて酢酸エステルを製造
し、次いで、該酢酸エステルを加水分解し、さらにこれ
を酸水溶液で分解することを特徴とする一般式R1CH2
COOH(式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表
される高純度な酢酸化合物の製造方法を構成とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル化合物の共
重合用モノマーとして樹脂改質剤、塗料改質剤及び医薬
中間体の原料として用いられる高純度な酢酸化合物の製
造方法及びそれによって得られた酢酸化合物に関するも
のである。
重合用モノマーとして樹脂改質剤、塗料改質剤及び医薬
中間体の原料として用いられる高純度な酢酸化合物の製
造方法及びそれによって得られた酢酸化合物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】これま
で、ビニル酢酸化合物を合成する方法としては、アリル
化合物、一酸化炭素及び塩基から合成した塩化アシルを
加水分解してビニル酢酸化合物類とする方法(米国特許
第3,338,961号)が知られている。あるいは、
ハロゲン化アリル化合物又はハロゲン化ベンジル化合物
をシアン化ナトリウムと反応させて、その後加水分解し
て酸とする方法がある。前者の合成法は、収率が27%
と低いうえに異性体であるクロトン酸の生成割合が多い
ことが課題である。また、後者の製造方法は古くからス
トレッカー法として知られている方法であるが、塩化ベ
ンジルでは反応は進行するが、塩化アリルでは反応は進
行しないため、臭化アリルを使用しなければならず、一
般性はない。また、異性体であるところのクロトン酸が
不可避的に生成し、高純度の製品が得られないいう問題
があった。医薬品用の原料としては高純度な原料が要求
されるが、これらの方法における高純度な酢酸化合物に
ついての製造方法は知られていなかった。
で、ビニル酢酸化合物を合成する方法としては、アリル
化合物、一酸化炭素及び塩基から合成した塩化アシルを
加水分解してビニル酢酸化合物類とする方法(米国特許
第3,338,961号)が知られている。あるいは、
ハロゲン化アリル化合物又はハロゲン化ベンジル化合物
をシアン化ナトリウムと反応させて、その後加水分解し
て酸とする方法がある。前者の合成法は、収率が27%
と低いうえに異性体であるクロトン酸の生成割合が多い
ことが課題である。また、後者の製造方法は古くからス
トレッカー法として知られている方法であるが、塩化ベ
ンジルでは反応は進行するが、塩化アリルでは反応は進
行しないため、臭化アリルを使用しなければならず、一
般性はない。また、異性体であるところのクロトン酸が
不可避的に生成し、高純度の製品が得られないいう問題
があった。医薬品用の原料としては高純度な原料が要求
されるが、これらの方法における高純度な酢酸化合物に
ついての製造方法は知られていなかった。
【0003】本発明は、樹脂あるいは塗料改質剤とし
て、さらに近年では酢酸基賦与の試薬として、医薬品中
間体合成のための原料として有用であり、今まで合成す
ることの困難であった高純度な酢酸化合物の製造方法に
関し、鋭意研究を重ねた結果、酢酸エステルを製造し、
次いで、該酢酸エステルを加水分解し、さらにこれを酸
で分解することにより、本発明を完成するに至った。
て、さらに近年では酢酸基賦与の試薬として、医薬品中
間体合成のための原料として有用であり、今まで合成す
ることの困難であった高純度な酢酸化合物の製造方法に
関し、鋭意研究を重ねた結果、酢酸エステルを製造し、
次いで、該酢酸エステルを加水分解し、さらにこれを酸
で分解することにより、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)アリル化合物又はハロゲン化ベンジル化合物と一
酸化炭素とアルコールとを塩基の存在下にパラジウム化
合物を触媒として用いて酢酸エステルを製造し、次い
で、該酢酸エステルを加水分解し、さらにこれを酸水溶
液で分解することを特徴とする一般式R1CH2COOH
(式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表される高
純度な酢酸化合物の製造方法、(2)(1)記載の製造
方法による純度99.8%以上の一般式R1CH2COO
H(式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表される
酢酸化合物である。
(1)アリル化合物又はハロゲン化ベンジル化合物と一
酸化炭素とアルコールとを塩基の存在下にパラジウム化
合物を触媒として用いて酢酸エステルを製造し、次い
で、該酢酸エステルを加水分解し、さらにこれを酸水溶
液で分解することを特徴とする一般式R1CH2COOH
(式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表される高
純度な酢酸化合物の製造方法、(2)(1)記載の製造
方法による純度99.8%以上の一般式R1CH2COO
H(式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表される
酢酸化合物である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、さらに詳しく本発明を説明
する。
する。
【0006】本発明に用いられるアリル化合物として、
一般式CH2=CHCH2X(Xは塩素、臭素、ヨウ素等
のハロゲン原子)、CH2=CHCH2OCOCH3、C
H2=CHCH2OCOOR(Rはアルキル基が1〜8の
飽和炭素水素)、CH2=CHCH2OCONHR、CH
2=CHCH2OPh、CH2=CHCH2OP(O)(O
R)2、CH2=CHCH2NO2 、CH2=CHCH2N
R3X(Rはアルキル基が1〜8の飽和炭素水素、Xは
ハロゲン)、及びCH2=CHCH2SR2X(Rはアル
キル基が1〜8の飽和炭素水素、Xはハロゲン)で表さ
れる化合物を出発原料とするものである。
一般式CH2=CHCH2X(Xは塩素、臭素、ヨウ素等
のハロゲン原子)、CH2=CHCH2OCOCH3、C
H2=CHCH2OCOOR(Rはアルキル基が1〜8の
飽和炭素水素)、CH2=CHCH2OCONHR、CH
2=CHCH2OPh、CH2=CHCH2OP(O)(O
R)2、CH2=CHCH2NO2 、CH2=CHCH2N
R3X(Rはアルキル基が1〜8の飽和炭素水素、Xは
ハロゲン)、及びCH2=CHCH2SR2X(Rはアル
キル基が1〜8の飽和炭素水素、Xはハロゲン)で表さ
れる化合物を出発原料とするものである。
【0007】本発明に用いられるアリル化合物は、塩化
アリル、アルコキシアリル、アセトキシアリル、アセト
酢酸アリル、アミドアリルフェノキシアリル、ニトロア
リル、及びエポキシアリル等が挙げられる。すなわち、
アリル位に電子吸引基の付いた化合物でなくてはなら
ず、アリルアルコールでは反応は進行しない。
アリル、アルコキシアリル、アセトキシアリル、アセト
酢酸アリル、アミドアリルフェノキシアリル、ニトロア
リル、及びエポキシアリル等が挙げられる。すなわち、
アリル位に電子吸引基の付いた化合物でなくてはなら
ず、アリルアルコールでは反応は進行しない。
【0008】本発明に用いられるハロゲン化ベンジル化
合物として、一般式PhCH2X(Xは塩素、臭素、ヨ
ウ素等のハロゲン原子)で表される化合物を出発原料と
するものである。
合物として、一般式PhCH2X(Xは塩素、臭素、ヨ
ウ素等のハロゲン原子)で表される化合物を出発原料と
するものである。
【0009】本発明に用いられる、ハロゲン化ベンジル
は、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等が
挙げられる。
は、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等が
挙げられる。
【0010】本発明に用いられる一酸化炭素は気体であ
ることが好ましい。
ることが好ましい。
【0011】本発明に用いられるアルコールは、一般
式、R2OH(R2は炭素数1〜8の直鎖状アルキル基、
分岐した2級及び3級の炭素のアルキル炭素化合物)で
表される。例えば、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、及びn−ブチルアルコール等が挙げられる。
式、R2OH(R2は炭素数1〜8の直鎖状アルキル基、
分岐した2級及び3級の炭素のアルキル炭素化合物)で
表される。例えば、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、及びn−ブチルアルコール等が挙げられる。
【0012】本発明に用いられる塩基は、炭酸ナトリウ
ム、酢酸ナトリウム、カセイソーダ、及びトリエチルア
ミン等が挙げられる。
ム、酢酸ナトリウム、カセイソーダ、及びトリエチルア
ミン等が挙げられる。
【0013】本発明に用いられるパラジウム化合物は、
一般式、PdX2 L2(Xはハロゲン又は、酢酸基であ
り、Lはトリフェニルホスフィン配位子であり、X及び
Lが0の場合も含む)で表される。
一般式、PdX2 L2(Xはハロゲン又は、酢酸基であ
り、Lはトリフェニルホスフィン配位子であり、X及び
Lが0の場合も含む)で表される。
【0014】パラジウム化合物としては、2価のパラジ
ウム化合物である塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨ
ウ化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウムビス
トリフェニルホスフィン、及び活性炭に担持したパラジ
ウム金属等が挙げられる。
ウム化合物である塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨ
ウ化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウムビス
トリフェニルホスフィン、及び活性炭に担持したパラジ
ウム金属等が挙げられる。
【0015】本発明の酢酸エステルは、一般式CH2=
CHCH2COOR1 あるいは PhCH2COOR1で表
される。R1は、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基、分
岐した2級及び3級の炭素のアルキル炭素化合物のいず
れでもよく、例えば、メチル基、エチル基、直鎖プロピ
ル基、イソプロピル基、直鎖ブチル基、イソブチル基、
3級ブチル基、アリール基、及びフェニル基等が挙げら
れる。
CHCH2COOR1 あるいは PhCH2COOR1で表
される。R1は、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基、分
岐した2級及び3級の炭素のアルキル炭素化合物のいず
れでもよく、例えば、メチル基、エチル基、直鎖プロピ
ル基、イソプロピル基、直鎖ブチル基、イソブチル基、
3級ブチル基、アリール基、及びフェニル基等が挙げら
れる。
【0016】本発明の酢酸エステルの製造時の反応温度
は、50〜150℃が好ましい。50℃以下では反応速
度が遅く、150℃以上では反応の選択性が落ち副生物
が増えて好ましくない。さらに好ましくは60〜90℃
である。
は、50〜150℃が好ましい。50℃以下では反応速
度が遅く、150℃以上では反応の選択性が落ち副生物
が増えて好ましくない。さらに好ましくは60〜90℃
である。
【0017】本発明の酢酸エステルの製造時の反応の圧
力は0.2MPa以上である。反応中は一酸化炭素(気
体)の圧力は除々に低下するので、新鮮な一酸化炭素
(気体)を追加供給した方が好ましい。反応圧力は0.
2MPa以下では収量が低く好ましくない。
力は0.2MPa以上である。反応中は一酸化炭素(気
体)の圧力は除々に低下するので、新鮮な一酸化炭素
(気体)を追加供給した方が好ましい。反応圧力は0.
2MPa以下では収量が低く好ましくない。
【0018】次に得られた酢酸エステルを加水分解(ケ
ン化反応)を行う際のアルカリ水溶液は、濃度が1〜2
0%のものを用いるが好ましい。濃度が20%を越える
アルカリ水溶液は、不純物であるクロトン酸の生成割合
が増えるので好ましくない。好ましくは5〜15%濃度
のアルカリ水溶液を用いると、反応は5時間で酢酸化合
物(例えば、ビニル酢酸類等)のナトリウム塩の転化率
は100%となる。酸性水溶液を用いても良いが、反応
速度は遅く、また酸への転化率が24時間でも10%と
低い。
ン化反応)を行う際のアルカリ水溶液は、濃度が1〜2
0%のものを用いるが好ましい。濃度が20%を越える
アルカリ水溶液は、不純物であるクロトン酸の生成割合
が増えるので好ましくない。好ましくは5〜15%濃度
のアルカリ水溶液を用いると、反応は5時間で酢酸化合
物(例えば、ビニル酢酸類等)のナトリウム塩の転化率
は100%となる。酸性水溶液を用いても良いが、反応
速度は遅く、また酸への転化率が24時間でも10%と
低い。
【0019】得られた酢酸エステルを加水分解(ケン化
反応)を行う際の反応温度は、0〜20℃が好ましい。
20℃以上では副生成物の生成割合が増えてくるので好
ましくない。
反応)を行う際の反応温度は、0〜20℃が好ましい。
20℃以上では副生成物の生成割合が増えてくるので好
ましくない。
【0020】得られた酢酸化合物のナトリウム塩は5〜
20%の酸水溶液で分解する。用いられる酸としては、
塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。酸水溶液で
分解することによって、目的物である酢酸化合物(例え
ば、ビニル酢酸類等)が得られる。
20%の酸水溶液で分解する。用いられる酸としては、
塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。酸水溶液で
分解することによって、目的物である酢酸化合物(例え
ば、ビニル酢酸類等)が得られる。
【0021】このようにして得られた反応混合物から酢
酸化合物(例えば、ビニル酢酸類等)を水から分離する
には、まず、溶剤抽出を行う。溶剤としては水に溶けな
いエーテル類が好ましい。本発明に用いられるエーテル
類としては、ジイソプロピルエーテル及びジブチルエー
テル等が挙げられる。
酸化合物(例えば、ビニル酢酸類等)を水から分離する
には、まず、溶剤抽出を行う。溶剤としては水に溶けな
いエーテル類が好ましい。本発明に用いられるエーテル
類としては、ジイソプロピルエーテル及びジブチルエー
テル等が挙げられる。
【0022】次に、こうして得られた溶剤をまず、常圧
蒸留し、次に減圧蒸留することにより酢酸化合物が得ら
れる。このようにして得られた目的化合物は液体あるい
は固体化合物であり、容易に精製して高純度なものとす
ることができる。
蒸留し、次に減圧蒸留することにより酢酸化合物が得ら
れる。このようにして得られた目的化合物は液体あるい
は固体化合物であり、容易に精製して高純度なものとす
ることができる。
【0023】本発明で得られた酢酸化合物は、一般式、
R1CH2COOHで表され、R1は、ビニル基あるいは
フェニル基のいづれでもよく、このようなものとして
は、例えば、ビニル酢酸、ベンジル酢酸等が挙げられ
る。
R1CH2COOHで表され、R1は、ビニル基あるいは
フェニル基のいづれでもよく、このようなものとして
は、例えば、ビニル酢酸、ベンジル酢酸等が挙げられ
る。
【0024】また、本発明の製造方法で得られた酢酸化
合物は、純度が、99.8%以上であり、特に不純物で
あるクロトン酸の生成量を0.1%以下に制御でき、極
めて高純度なものである。
合物は、純度が、99.8%以上であり、特に不純物で
あるクロトン酸の生成量を0.1%以下に制御でき、極
めて高純度なものである。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて更に具体的に本発明を
説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。 実施例1 1リットルオートクレーブに、塩化アリル76g(1m
ol)、エチルアルコール51g(1.1mol)、塩
基として炭酸ナトリウム116g(1.1mol)及び
触媒として塩化パラジウム0.9g(0.005mo
l)を加え、これに一酸化炭素(気体)を0.9MPa
で圧入する。反応の進行と共に圧力は低下していくの
で、適宜、一酸化炭素(気体)を反応器に圧入する。反
応終了後、得られた液をろ過し、副生した塩を除去した
後に、蒸留により精製した。まず、常圧蒸留によりエチ
ルアルコールを除去した後、更に減圧蒸留にて、沸点5
8.5℃(80Torr)のビニル酢酸エチルが97g
得られた。
説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。 実施例1 1リットルオートクレーブに、塩化アリル76g(1m
ol)、エチルアルコール51g(1.1mol)、塩
基として炭酸ナトリウム116g(1.1mol)及び
触媒として塩化パラジウム0.9g(0.005mo
l)を加え、これに一酸化炭素(気体)を0.9MPa
で圧入する。反応の進行と共に圧力は低下していくの
で、適宜、一酸化炭素(気体)を反応器に圧入する。反
応終了後、得られた液をろ過し、副生した塩を除去した
後に、蒸留により精製した。まず、常圧蒸留によりエチ
ルアルコールを除去した後、更に減圧蒸留にて、沸点5
8.5℃(80Torr)のビニル酢酸エチルが97g
得られた。
【0026】次に、このようにして得られたビニル酢酸
エチル57g(0.5mol)とカセイソーダ20g
(0.5mol)を180ccの水に溶解し、10℃で
5時間反応させた。その後10%の塩酸水で分解を行な
った。この反応液にジイソプロピルエーテルを加え、生
成物を抽出した。溶剤相をまず、常圧蒸留してジイソプ
ロピルエーテルを流出させた後、減圧下で蒸留を行っ
た。その結果、沸点 52.3℃(5Torr)、純度
99.9%のビニル酢酸(3−ブテン酸)が41g(収
率96%)得られた。尚、純度は、ガスクロマトグラフ
ィーによりピーク面積比を測定することにより求めた
(カラム:TC−WAX φ0.53mm×30m,カラ
ム温度:50℃−230℃(昇温速度10℃/min),
キャリアーガス:He(流速3ml/min)(図1参
照)。また構造式については400MHzのH1−NM
Rにより同定した(図2参照)。参照のためにアルドリ
ッチ社の試薬である3−ブテン酸のH1−NMRを測定
したところ同一スペクトルであった。
エチル57g(0.5mol)とカセイソーダ20g
(0.5mol)を180ccの水に溶解し、10℃で
5時間反応させた。その後10%の塩酸水で分解を行な
った。この反応液にジイソプロピルエーテルを加え、生
成物を抽出した。溶剤相をまず、常圧蒸留してジイソプ
ロピルエーテルを流出させた後、減圧下で蒸留を行っ
た。その結果、沸点 52.3℃(5Torr)、純度
99.9%のビニル酢酸(3−ブテン酸)が41g(収
率96%)得られた。尚、純度は、ガスクロマトグラフ
ィーによりピーク面積比を測定することにより求めた
(カラム:TC−WAX φ0.53mm×30m,カラ
ム温度:50℃−230℃(昇温速度10℃/min),
キャリアーガス:He(流速3ml/min)(図1参
照)。また構造式については400MHzのH1−NM
Rにより同定した(図2参照)。参照のためにアルドリ
ッチ社の試薬である3−ブテン酸のH1−NMRを測定
したところ同一スペクトルであった。
【0027】実施例2 原料として塩化アリルのかわりに、塩化ベンジルを用い
た他は実施例1と同様の操作を行った。その結果、純度
99.8%のフェニル酢酸が61g(収率90%)得ら
れた。
た他は実施例1と同様の操作を行った。その結果、純度
99.8%のフェニル酢酸が61g(収率90%)得ら
れた。
【0028】比較例1 臭化アリル120g(1mol)とシアン化ナトリウム
54g(1.1mol)からトルエン中でシアン化アリ
ルを合成し47g(収率70%)を得た。これを酸で加
水分解して、実施例1と同様に溶剤抽出を行い、蒸留精
製した。その結果、純度90%の3−ブテン酸が48g
(収率80%)得られた。不純物としてクロトン酸が1
0%生成していた。
54g(1.1mol)からトルエン中でシアン化アリ
ルを合成し47g(収率70%)を得た。これを酸で加
水分解して、実施例1と同様に溶剤抽出を行い、蒸留精
製した。その結果、純度90%の3−ブテン酸が48g
(収率80%)得られた。不純物としてクロトン酸が1
0%生成していた。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、樹脂及
び塗料の改質剤、あるいは医薬中間体の原料として有用
な極めて高純度な酢酸化合物を得ることができる。
び塗料の改質剤、あるいは医薬中間体の原料として有用
な極めて高純度な酢酸化合物を得ることができる。
【図1】 実施例1で得られた高純度な3−ブテン酸の
H1−NMRスペクトルを図1に示す。
H1−NMRスペクトルを図1に示す。
【図2】 実施例1で得られた高純度な3−ブテン酸の
ガスクロマトグラフを図2に示す。
ガスクロマトグラフを図2に示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 アリル化合物又はハロゲン化ベンジル化
合物と一酸化炭素とアルコールとを塩基の存在下にパラ
ジウム化合物を触媒として用いて酢酸エステルを製造
し、次いで、該酢酸エステルを加水分解し、さらにこれ
を酸水溶液で分解することを特徴とする一般式 R1CH2COOH (式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表される高
純度な酢酸化合物の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の製造方法による純度9
9.8%以上の一般式 R1CH2COOH (式中のR1はビニル基又はフェニル基)で表される酢
酸化合物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001044893A JP2002249461A (ja) | 2001-02-21 | 2001-02-21 | 高純度な酢酸化合物の製造方法及びそれによって得られた酢酸化合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001044893A JP2002249461A (ja) | 2001-02-21 | 2001-02-21 | 高純度な酢酸化合物の製造方法及びそれによって得られた酢酸化合物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002249461A true JP2002249461A (ja) | 2002-09-06 |
Family
ID=18906803
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001044893A Pending JP2002249461A (ja) | 2001-02-21 | 2001-02-21 | 高純度な酢酸化合物の製造方法及びそれによって得られた酢酸化合物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002249461A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20130303798A1 (en) * | 2012-05-09 | 2013-11-14 | Lanzhou Institute Of Chemical Physics, Chinese Academy Of Sciences | Process for synthesizing phenylacetic acid by carbonylation of toluene |
-
2001
- 2001-02-21 JP JP2001044893A patent/JP2002249461A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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