JP2002249451A - 有機基質の酸化方法 - Google Patents

有機基質の酸化方法

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JP2002249451A
JP2002249451A JP2001046389A JP2001046389A JP2002249451A JP 2002249451 A JP2002249451 A JP 2002249451A JP 2001046389 A JP2001046389 A JP 2001046389A JP 2001046389 A JP2001046389 A JP 2001046389A JP 2002249451 A JP2002249451 A JP 2002249451A
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Nobudai Tani
信大 谷
Shuzo Murata
修三 村田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Daicel Chemical Industries Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで効率的に有機基質を酸素酸化し、
各種含酸素有機化合物を生産性良く製造する方法を提供
すること。 【解決手段】 有機基質を、N−ヒドロキシ環状イミ
ド、有機基質に対して0.1モル%以下のコバルト化合
物、および有機基質に対して0.1モル%以下のバナジ
ウム化合物の存在下、酸素と接触させることにより、有
機基質を酸化する。この方法により、炭化水素類から、
ケトン類、アルコール類、ヒドロペルオキシド類および
カルボン酸類等を、アルコール類から、ケトン類、カル
ボン酸類等を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機基質を酸素
(本明細書においては。「分子状酸素」を単に「酸素」
という)と接触させることにより、有機基質を酸化する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機基質の酸化方法として、N−
ヒドロキシフタルイミドのようなイミド化合物と金属化
合物の存在下に酸素酸化する方法が開発されている。例
えば、特開平8−38909号公報、特開平9−327
626号公報、特開平10−286467号公報には、
有機基質を、イミド化合物と各種金属化合物の存在下に
有機溶媒中、酸素雰囲気下で反応させる方法が記載され
ている。また、特開平9−87215号公報、特開平9
−143109号公報には、シクロヘキサンを、イミド
化合物とルテニウム化合物やコバルト化合物の存在下に
無溶媒で、窒素−酸素混合ガスを流しながら反応させる
方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平8−38909号公報等の方法では、金属化合物の
使用量が多いため、コストの点で満足できるものではな
く、また、多量の有機溶媒を用いるため、容積効率が低
く、酸化の効率すなわち酸化生成物の生産性が十分でな
い。一方、上記特開平9−87215号公報等の方法で
は、金属化合物の使用量は少ないものの、転化率が低
く、生産性が十分でない。本発明の目的は、低コストで
効率的に有機基質を酸素酸化する方法を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、有機基質
をN−ヒドロキシ環状イミドと金属化合物の存在下に酸
素酸化する方法について鋭意検討した結果、金属化合物
としてコバルト化合物およびバナジウム化合物を併用す
ることにより、それらの使用量が少なくても、効率的に
有機基質を酸化できることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0005】すなわち、本発明は、有機基質を、N−ヒ
ドロキシ環状イミド、有機基質に対して0.1モル%以
下のコバルト化合物、および有機基質に対して0.1モ
ル%以下のバナジウム化合物の存在下、酸素と接触させ
ることにより、有機基質を酸化する方法に係るものであ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる有機基質としては、例えば、炭化水素
類、アルコール類、ケトン類、アルデヒド類等が挙げら
れ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもでき
る。中でも、炭化水素類またはアルコール類が好まし
い。
【0007】炭化水素類としては、例えば、ブタン、イ
ソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカンのよ
うな飽和脂肪族非環式炭化水素類;シクロブタン、シク
ロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、
シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シク
ロデカンのような飽和脂肪族環式炭化水素類;ブテン、
イソブチレン、ブタジエン、イソプレンのような不飽和
脂肪族非環式炭化水素類;シクロプロペン、シクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘ
キセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロノネ
ン、シクロデセンのような不飽和脂肪族環式炭化水素
類;トルエン、キシレン、クメン、シメン、ジイソプロ
ピルベンゼン、テトラリン、インダンのような芳香族炭
化水素類等が挙げられる。
【0008】また、アルコール類としては、例えば、上
記炭化水素類において、メチル基、メチレン基またはメ
チリジン基がそれぞれヒドロキシメチル基、ヒドロキシ
メチレン基またはヒドロキシメチリジン基となった、一
価または多価の、飽和脂肪族非環式アルコール類、飽和
脂肪族環式アルコール類、不飽和脂肪族非環式アルコー
ル類、不飽和脂肪族環式アルコール類、芳香族アルコー
ル類等が挙げられる。
【0009】本発明では、上記有機基質を酸素と接触さ
せて酸化する際、N−ヒドロキシ環状イミドを存在させ
るとともに、コバルト化合物およびバナジウム化合物を
少量存在させる。このようにコバルト化合物およびバナ
ジウム化合物を併用することにより、それらの使用量が
少なくても、有機基質の酸化反応を促進することができ
る。
【0010】N−ヒドロキシ環状イミドとしては、例え
ば、置換基されていてもよい、N−ヒドロキシフタルイ
ミド、N−ヒドロキシナフタルイミド、N−ヒドロキシ
マレイミド、N−ヒドロキシスクシンイミド等が挙げら
れ、該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール
基、ハロゲン原子、ニトロ基等が挙げられる。具体的に
は、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシクロ
ロフタルイミド、N−ヒドロキシニトロフタルイミド、
N−ヒドロキシナフタルイミド、N−ヒドロキシクロロ
ナフタルイミド、N−ヒドロキシマレイミド、N−ヒド
ロキシスクシンイミド等が挙げられる。N−ヒドロキシ
環状イミドは、必要に応じてそれらの2種以上を用いて
もよい。
【0011】N−ヒドロキシ環状イミドの使用量は、有
機基質に対して、反応促進の観点から、通常0.000
1モル%以上、好ましくは0.001モル%以上であ
り、製造コストの観点から、通常5モル%以下、好まし
くは1モル%以下である。
【0012】コバルト化合物としては、通常、2価また
は3価のコバルトを含む化合物が用いられ、バナジウム
化合物としては、通常、2価、3価、4価または5価の
バナジウムを含む化合物が用いられる。コバルト化合物
およびバナジウム化合物の種類としては、それぞれ、例
えば、酸化物、有機酸塩、無機酸塩、ハロゲン化物、ア
ルコキシド、アセチルアセトナートのような錯体、オキ
ソ酸やその塩、イソポリ酸やその塩、ヘテロポリ酸やそ
の塩等が挙げられる。
【0013】好ましくは、コバルト化合物としては、酢
酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバル
ト、ステアリン酸コバルト、コバルトアセチルアセトナ
ート、塩化コバルト、臭化コバルトが挙げられ、バナジ
ウム化合物としては、ナフテン酸バナジウム、バナジウ
ムアセチルアセトナート、酸化バナジウム、バナジルア
セチルアセトナート、塩化バナジル、バナドモリブデン
酸が挙げられる。コバルト化合物およびバナジウム化合
物は、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもで
きる。
【0014】コバルト化合物およびバナジウム化合物の
使用量は、それぞれ、有機基質に対して、0.1モル%
以下であり、好ましくは0.05モル%以下、さらに好
ましくは0.01モル%以下である。また、該使用量の
下限については、反応促進の観点から、通常0.000
001モル%以上、好ましくは0.00001モル%以
上である。
【0015】また、コバルト化合物およびバナジウム化
合物の使用量は、両者の和として、有機基質に対して、
好ましくは0.00001〜0.1モル%、さらに好ま
しくは0.00001〜0.01モル%の範囲である。
【0016】反応は溶媒の存在下に行ってもよく、該溶
媒としては、例えば、ベンゾニトリル、アセトニトリル
のようなニトリル類;ぎ酸、酢酸のような有機酸類;ニ
トロメタン、ニトロベンゼンのようなニトロ化合物;ク
ロロベンゼン、1,2−ジクロロエタンのような塩素化
炭化水素類等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以
上を用いることもできる。中でも、ニトリル類や有機酸
類が好ましい。
【0017】溶媒を用いる場合、その使用量は、基質1
00重量部に対して、反応促進の観点から、通常1重量
部以上、好ましくは10重量部以上であり、容積効率の
観点から、通常80重量部以下、好ましくは50重量部
以下である。
【0018】有機基質と酸素との接触は、通常、有機基
質、N−ヒドロキシ環状イミド、コバルト化合物および
バナジウム化合物を含む液に、酸素含有ガスの気泡を分
散させることにより行われ、例えば、ガス導入管を用い
てもよいし、反応器に吹き出し孔を設けてもよい。酸素
含有ガスとしては、酸素、空気、または酸素もしくは空
気を窒素やヘリウムのような不活性ガスで希釈したもの
を用いることができる。酸素含有ガスの供給速度は、有
機基質1モルに対して、酸素として、通常0.001〜
1モル/hで、好ましくは0.01〜0.5モル/hで
ある。
【0019】反応温度は、反応促進の観点から、通常7
0℃以上、好ましくは90℃以上であり、また、通常1
70℃以下、好ましくは160℃以下である。また、反
応圧力は、通常0.1〜3MPa、好ましくは0.5〜
2MPaの範囲である。反応は回分式で行ってもよい
し、連続式で行ってもよいが、操作性の観点からは、有
機基質、N−ヒドロキシ環状イミド、コバルト化合物、
バナジウム化合物および酸素含有ガスを反応系内に供給
しながら、反応液および排ガスを反応系内から抜き出す
ことにより、連続式で行うのが好ましい。
【0020】反応後の後処理操作としては、例えば、濾
過、濃縮、洗浄、アルカリ処理、酸処理等が挙げられ、
必要に応じてそれらの2種以上が組み合わせて採用され
る。例えば、アルカリ処理をすることにより、アルコー
ル類とカルボン酸類とからなるエステル類をケン化して
アルコール類およびカルボン酸類を再生できると共に、
ヒドロペルオキシド類をケトン類やアルコール類に変換
することができる。また、精製操作としては、通常、蒸
留や晶析が採用される。
【0021】上記本発明の酸化方法で、炭化水素類、ア
ルコール類、ケトン類、アルデヒド類等の有機基質を酸
化することにより、対応する酸化生成物として、ケトン
類、アルコール類、ヒドロペルオキシド類、アルデヒド
類、カルボン酸類等の含酸素有機化合物を製造すること
ができる。
【0022】例えば、炭化水素類の酸化により、対応す
るケトン類として、該炭化水素類の有するメチレン基が
カルボニル基となった化合物等を、対応するアルコール
類として、該炭化水素類の有するメチル基、メチレン基
またはメチリジン基がそれぞれヒドロキシメチル基、ヒ
ドロキシメチレン基またはヒドロキシメチリジン基とな
った化合物等を、対応するヒドロペルオキシド類とし
て、該炭化水素類の有するメチル基、メチレン基または
メチリジン基がそれぞれヒドロペルオキシメチル基、ヒ
ドロペルオキシメチレン基またはヒドロペルオキシメチ
リジン基となった化合物等を、対応するアルデヒド類と
して、該炭化水素の有するメチル基がホルミル基となっ
た化合物等を、対応するカルボン酸類として、該炭化水
素の有するメチル基がカルボキシル基となった化合物
や、炭化水素類が環式炭化水素類である場合には、炭素
−炭素結合が開裂して両炭素がカルボキシル基となった
化合物(ジカルボン酸類)等を製造することができる。
【0023】また、アルコール類の酸化により、対応す
るケトン類として、該アルコール類の有するヒドロキシ
メチレン基がカルボニル基となった化合物等を、対応す
るアルデヒド類として、該アルコール類の有するヒドロ
キシメチル基がホルミル基となった化合物等を、対応す
るカルボン酸類として、該アルコール類の有するヒドロ
キシメチル基がカルボキシル基となった化合物や、アル
コール類が環式アルコール類である場合には、炭素−炭
素結合が開裂して両炭素がカルボキシル基となった化合
物(ジカルボン酸類)等を製造することができる。
【0024】中でも、本発明の酸化方法は、炭化水素類
を原料としてケトン類、アルコール類、ヒドロペルオキ
シド類およびカルボン酸類から選ばれる少なくとも1種
を製造する方法や、アルコール類を原料としてケトン類
およびカルボン酸類から選ばれる少なくとも1種を製造
する方法に好適に用いることができる。
【0025】具体的には、例えば、シクロヘキサンを原
料としてシクロヘキサノン、シクロヘキサノール、シク
ロヘキシルヒドロペルオキシドおよびアジピン酸から選
ばれる少なくとも1種を製造する方法や、シクロヘキサ
ノールを原料としてシクロヘキサノンおよび/またはア
ジピン酸を製造する方法が挙げられる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、酸素含有ガスと
しては、空気または空気を窒素で希釈したものを用い、
酸素含有ガスの吹き込みは、ガス導入管により行い、実
施例2および比較例3では、ガス導入管の先端にフィル
ターを装着して気泡径が1mm以下となるようにした。
ガスの排出は、冷却管および保圧弁を介して行い、冷却
管の冷媒には8℃の水を用いた。また、シクロヘキサ
ン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールおよびシク
ロヘキシルヒドロペルオキシドの分析は、ガスクロマト
グラフィーにより行い、アジピン酸の分析は、イオンク
ロマトグラフィーにより行い、これらの分析結果に基づ
いて、反応成績を算出した。
【0027】実施例1 1リットルのガラスオートクレーブに、シクロヘキサン
252.5g(3モル)、N−ヒドロキシフタルイミド
0.28g(0.002モル)、コバルト含有率8重量
%のオクチル酸コバルト(II)0.016g(0.0
00021モル)、バナジウム含有率2重量%のナフテ
ン酸バナジウム(III)0.062g(0.0000
24モル)、シクロヘキサノン2.8g(0.029モ
ル)およびシクロヘキサノール10.8g(0.108
モル)を入れ、窒素雰囲気下、圧力1.05MPa、温
度140℃に調整した。この中に、該圧力および温度を
維持しながら、酸素濃度7容量%の酸素含有ガスを30
0ml/分で1時間吹き込んだ。その後、該酸素含有ガ
スを空気200ml/分に切り替えて徐々に流速を上げ
て700ml/分とし、切り替えと同時に、コバルト換
算で6重量ppmのオクチル酸コバルト(II)および
バナジウム換算で6重量ppmのナフテン酸バナジウム
(III)を含むシクロヘキサンを7.9g/分で、な
らびに0.05重量%のN−ヒドロキシフタルイミド、
5.0重量%のシクロヘキサノンおよび19.8重量%
のシクロヘキサノールを含むシクロヘキサンを1.9g
/分で供給開始し、引き続き上記の圧力および温度を維
持しながら供給速度とほぼ等速度で反応液を抜き出し、
滞留時間0.5時間で連続的に3時間反応させた。排ガ
スの平均酸素濃度は0.6容量%であった。供給液全体
における、シクロヘキサンの濃度は95重量%(11.
3モル/kg)、シクロヘキサノンの濃度は1.0重量
%(0.1モル/kg)、シクロヘキサノールの濃度は
3.9重量%(0.39モル/kg)、N−ヒドロキシ
フタルイミドの濃度は0.01重量%(0.0006モ
ル/kg)、オクチル酸コバルト(II)の濃度はコバ
ルトとして5重量ppm(0.00009モル/k
g)、ナフテン酸バナジウム(III)の濃度はバナジ
ウムとして5重量ppm(0.0001モル/kg)と
なる。
【0028】反応液を分析した結果、シクロヘキサノン
の濃度は3.4重量%、シクロヘキサノールの濃度は
4.1重量%、シクロヘキシルヒドロペルオキシドの濃
度は1.2重量%、アジピン酸の濃度は0.5重量%で
あり、シクロヘキサンの転化率は4.5%、シクロヘキ
サノン、シクロヘキサノールおよびシクロヘキシルヒド
ロペルオキシドの合計収率は3.4%(選択率76.0
%)、アジピン酸の収率は0.34%(選択率7.5
%)であった。
【0029】比較例1 1リットルのガラスオートクレーブに、シクロヘキサン
252.5g(3モル)、N−ヒドロキシフタルイミド
0.28g(0.002モル)、コバルト含有率8重量
%のオクチル酸コバルト(II)0.032g(0.0
00044モル)、シクロヘキサノン2.9g(0.0
3モル)およびシクロヘキサノール10.8g(0.1
08モル)を入れ、窒素雰囲気下、圧力1.05MP
a、温度140℃に調整した。この中に、該圧力および
温度を維持しながら、酸素濃度7容量%の酸素含有ガス
を300ml/分で1時間吹き込んだ。その後、該酸素
含有ガスを空気200ml/分に切り替えて徐々に流速
を上げて400ml/分とし、切り替えと同時に、コバ
ルト換算で12.5重量ppmのオクチル酸コバルト
(II)を含むシクロヘキサンを8.0g/分で、なら
びに0.05重量%のN−ヒドロキシフタルイミド、
4.9重量%のシクロヘキサノンおよび19.8重量%
のシクロヘキサノールを含むシクロヘキサンを2.0g
/分で供給開始し、引き続き上記の圧力および温度を維
持しながら供給速度とほぼ等速度で反応液を抜き出し、
滞留時間0.5時間で連続的に2.5時間反応させた。
排ガスの平均酸素濃度は1.9容量%であった。供給液
全体における、シクロヘキサンの濃度は95重量%(1
1.3モル/kg)、シクロヘキサノンの濃度は1.0
重量%(0.1モル/kg)、シクロヘキサノールの濃
度は4.0重量%(0.4モル/kg)、N−ヒドロキ
シフタルイミドの濃度は0.01重量%(0.0006
モル/kg)、オクチル酸コバルト(II)の濃度はコ
バルトとして10重量ppm(0.00017モル/k
g)となる。
【0030】反応液を分析した結果、シクロヘキサノン
の濃度は2.4重量%、シクロヘキサノールの濃度は
4.4重量%、シクロヘキシルヒドロペルオキシドの濃
度は0.6重量%、アジピン酸の濃度は0.29重量%
であり、シクロヘキサンの転化率は2.8%、シクロヘ
キサノン、シクロヘキサノールおよびシクロヘキシルヒ
ドロペルオキシドの合計収率は2.2%(選択率79.
9%)、アジピン酸の収率は0.18%(選択率6.4
%)であった。
【0031】比較例2 1リットルのガラスオートクレーブに、シクロヘキサン
252.5g(3モル)、N−ヒドロキシフタルイミド
0.28g(0.002モル)、バナジウム含有率2重
量%のナフテン酸バナジウム(III)0.12g
(0.000048モル)、シクロヘキサノン2.7g
(0.028モル)およびシクロヘキサノール10.8
g(0.108モル)を入れ、窒素雰囲気下、圧力1.
05MPa、温度140℃に調整した。この中に、該圧
力および温度を維持しながら、酸素濃度7容量%の酸素
含有ガスを300ml/分で吹き込んだ。1時間後、該
酸素含有ガスの吹き込みを維持したまま、バナジウム換
算で12.6重量ppmのナフテン酸バナジウム(II
I)を含むシクロヘキサンを7.9g/分で、ならびに
0.05重量%のN−ヒドロキシフタルイミド、4.9
重量%のシクロヘキサノンおよび19.8重量%のシク
ロヘキサノールを含むシクロヘキサンを2.0g/分で
供給開始し、引き続き上記の圧力および温度を維持しな
がら供給速度とほぼ等速度で反応液を抜き出し、滞留時
間0.5時間で連続的に2.5時間反応させた。排ガス
の平均酸素濃度は4.6容量%であった。供給液全体に
おける、シクロヘキサンの濃度は95重量%(11.3
モル/kg)、シクロヘキサノンの濃度は1.0重量%
(0.1モル/kg)、シクロヘキサノールの濃度は
4.0重量%(0.4モル/kg)、N−ヒドロキシフ
タルイミドの濃度は0.01重量%(0.0006モル
/kg)、ナフテン酸バナジウム(III)の濃度はバ
ナジウムとして10重量ppm(0.0002モル/k
g)となる。
【0032】反応液を分析した結果、シクロヘキサノン
の濃度は1.4重量%、シクロヘキサノールの濃度は
3.8重量%、シクロヘキシルヒドロペルオキシドの濃
度は0.2重量%、アジピン酸の濃度は0.07重量%
であり、シクロヘキサンの転化率は0.46%、シクロ
ヘキサノン、シクロヘキサノールおよびシクロヘキシル
ヒドロペルオキシドの合計収率は0.41%(選択率7
8.6%)、アジピン酸の収率は0.04%(選択率
9.0%)であった。
【0033】実施例2 1リットルのガラスオートクレーブに、シクロヘキサン
168.8g(2モル)、N−ヒドロキシフタルイミド
2.42g(0.015モル)、コバルト含有率8重量
%のオクチル酸コバルト(II)0.066g(0.0
00093モル)、バナジウム(III)アセチルアセ
トナート0.032g(0.000099モル)および
アセトニトリル70gを加え、窒素雰囲気下、圧力1.
05MPa、温度100℃に調整した。この中に、該圧
力および温度を維持しながら、攪拌下、酸素含有ガスを
450ml/分の供給速度で2時間吹き込んだ。吹き込
みの間、排ガスの酸素濃度が2〜4容量%の範囲となる
ように、酸素含有ガス中の酸素濃度を9〜21容量%の
範囲で調整した。
【0034】反応液を分析した結果、シクロヘキサノン
の濃度は5.6重量%、シクロヘキサノールの濃度は
0.04重量%、シクロヘキシルヒドロペルオキシドの
濃度は2.2重量%、アジピン酸の濃度は1.4重量%
であり、シクロヘキサンの転化率は13.4%、シクロ
ヘキサノンの収率は7.6%(選択率57.1%)、シ
クロヘキサノールの収率は0.06%(選択率0.44
%)、シクロヘキシルヒドロペルオキシドの収率は2.
5%(選択率18.6%)、アジピン酸の収率は1.3
%(選択率9.5%)であった。
【0035】比較例3 1リットルのガラスオートクレーブに、シクロヘキサン
168.8g(2モル)、N−ヒドロキシフタルイミド
2.42g(0.015モル)、コバルト含有率8重量
%のオクチル酸コバルト(II)0.13g(0.00
018モル)およびアセトニトリル70gを加え、窒素
雰囲気下、圧力1.05MPa、温度100℃に調整し
た。この中に、該圧力および温度を維持しながら、攪拌
下、酸素含有ガスを450ml/分の供給速度で2時間
吹き込んだ。吹き込みの間、排ガスの酸素濃度が2〜4
容量%の範囲となるように、酸素含有ガス中の酸素濃度
を9〜21容量%の範囲で調整した。
【0036】反応液を分析した結果、シクロヘキサノン
の濃度は3.9重量%、シクロヘキサノールの濃度は
1.0重量%、シクロヘキシルヒドロペルオキシドの濃
度は1.2重量%、アジピン酸の濃度は0.9重量%で
あり、シクロヘキサンの転化率は9.8%、シクロヘキ
サノンの収率は5.3%(選択率54.2%)、シクロ
ヘキサノールの収率は1.3%(選択率13.5%)、
シクロヘキシルヒドロペルオキシドの収率は1.3%
(選択率13.3%)、アジピン酸の収率は0.8%
(選択率8.6%)であった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、各種有機基質の酸素酸
化を低コストで効率的に行うことができ、対応する酸化
生成物として、各種含酸素有機化合物を生産性良く製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 51/215 C07C 51/215 55/14 55/14 409/14 409/14 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 村田 修三 愛媛県新居浜市惣開町5番1号 住友化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC40 AC41 AC44 AC46 BA12 BA20 BA51 BC34 BE30 BS10 FC22 FE12 4H039 CA60 CA62 CA64 CA65 CC30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機基質を、N−ヒドロキシ環状イミド、
    有機基質に対して0.1モル%以下のコバルト化合物、
    および有機基質に対して0.1モル%以下のバナジウム
    化合物の存在下、酸素と接触させることを特徴とする有
    機基質の酸化方法。
  2. 【請求項2】有機基質が炭化水素類またはアルコール類
    である請求項1記載の酸化方法。
  3. 【請求項3】有機基質を請求項1記載の方法で酸化する
    含酸素有機化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】有機基質が炭化水素類であり、含酸素有機
    化合物がケトン類、アルコール類、ヒドロペルオキシド
    類およびカルボン酸類から選ばれた少なくとも1種であ
    る請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】有機基質がアルコール類であり、含酸素有
    機化合物がケトン類およびカルボン酸類から選ばれた少
    なくとも1種である請求項3記載の製造方法。
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