JP2002244294A - レジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

レジスト組成物及びレジストパターン形成方法

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JP2002244294A
JP2002244294A JP2001042779A JP2001042779A JP2002244294A JP 2002244294 A JP2002244294 A JP 2002244294A JP 2001042779 A JP2001042779 A JP 2001042779A JP 2001042779 A JP2001042779 A JP 2001042779A JP 2002244294 A JP2002244294 A JP 2002244294A
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Motofumi Kashiwagi
幹文 柏木
Tokuyuki Mitao
徳之 三田尾
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性が顕著に優れ、基板との密着性が良好
なレジストパターンを形成することができ、ブラックマ
トリックスなどの遮光膜としての用途に好適なレジスト
組成物と、該レジスト組成物を用いたパターン形成方法
を提供すること。 【解決手段】 (A)ポリビニルフェノール30〜95
重量%とノボラック樹脂5〜70重量%とを含有するア
ルカリ可溶性樹脂、(B)活性光線の照射、または活性
光線の照射と引き続く熱処理によってアルカリ可溶性樹
脂を架橋する成分及び(C)黒色顔料を含有するレジス
ト組成物。該組成物を用いて基板上にレジストパターン
を形成した後、該レジストパターンを焼成するレジスト
パターン形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フォトリソグラフ
ィ技術分野で用いられるレジスト組成物に関し、さらに
詳しくは、耐熱性が顕著に優れ、基板との密着性が良好
なレジストパターンを形成することができ、ブラックマ
トリックスなどの遮光膜としての用途に好適な黒色のレ
ジスト組成物に関する。また、本発明は、該レジスト組
成物を用いて、パターン状の遮光膜などのレジストパタ
ーンを形成する方法に関する。本発明のレジスト組成物
は、液晶ディスプレイパネルにおけるカラーフィルタの
ブラックマトリックス、有機エレクトロルミネッセンス
ディスプレイパネルにおけるブラックマトリックスや電
気絶縁性隔壁、絶縁層などの用途に特に好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶ディスプレイパネルなどの表
示装置において、表示品質を高める上で遮光膜が欠かせ
ないものとなっている。例えば、液晶ディスプレイパネ
ルのカラーフィルタは、透明基板上に赤(R)、緑
(G)、青(B)などの複数色の画素が形成されたもの
であるが、各画素間にはブラックマトリックスが配置さ
れており、それによって、各画素間からの洩れ光による
コントラストや色純度の低下が防止されている。ブラッ
クマトリックスは、遮光材料を用いて基板上に形成され
たパターン状の遮光膜である。
【0003】フォトリソグラフィ技術において電子回路
を焼き付ける際の原版となるフォトマスクは、パターン
を形成する遮光膜と該遮光膜を支持する透明基板とから
構成されている。遮光膜としては、遮光性が高く、微細
加工が容易なクロム膜が一般的である。ところが、クロ
ム膜は、表面反射率が高いため、これをカラーフィルタ
の遮光膜として用いると、反射光により表示品質が低下
する。クロム膜の表面または両面に酸化クロムの干渉膜
を配置することにより、反射率を低減させることができ
るが、膜形成工程が複雑であり、反射率の低減効果も充
分ではない。
【0004】そこで、液晶ディスプレイパネルなどの表
示装置の分野において、黒色顔料を含有するレジスト組
成物を用いて遮光膜を形成する技術が提案されている。
例えば、特開平4−190362号公報には、黒色有機
顔料及び/または擬似黒色化した混色有機顔料とカーボ
ンブラックなどの遮光材とを感光性樹脂に含有させた遮
光膜形成用レジストが提案されている。感光性樹脂とし
ては、アクリル酸系紫外線硬化型レジストが用いられて
いる。特開平6−230215号公報には、アルカリ可
溶性樹脂、キノンジアジド化合物、黒色顔料、及び溶剤
を含むブラックマトリックス用ポジ型レジスト組成物が
提案されている。
【0005】特開平11−24269号公報には、ヒド
ロキシスチレン共重合体、架橋剤、光酸発生剤、及びグ
ラフト化カーボンブラックを含有するカラーフィルタ用
感光性着色組成物が提案されている。特開平11−14
3056号公報には、クレゾールを含むフェノール類と
アルデヒド類とを縮合して得られるアルカリ可溶性樹
脂、酸架橋性メチロール化メラミン樹脂、光を吸収して
酸を発生する化合物、及び黒色顔料を含有するカラー液
晶表示装置用ブラックマトリックス形成材料が提案され
ている。
【0006】一方、液晶ディスプレイパネルや有機エレ
クトロルミネッセンスディスプレイパネルなどの表示装
置の分野において、遮光膜を形成するために用いられる
レジスト材料には、(1)解像性に優れ充分な微細加工
が可能であること、(2)遮光膜としての黒色濃度が充
分であること、(3)基板に対するレジストパターンの
密着性が良好であることなどが要求されているが、これ
らに加えて、(4)高度の耐熱性を有するレジストパタ
ーンを形成できること、(5)必要に応じて、断面形状
が順テーパー状、逆テーパー状(オーバーハング状を含
む)、または矩形のレジストパターンを形成することが
できることなどが望まれている。これらの要求性能の点
で、従来のレジスト材料には、更なる改良が求められて
いる。
【0007】耐熱性及びレジストパターンの形状につい
て、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイパネル
の電気絶縁性隔壁を例にとって説明する。有機エレクト
ロルミネッセンスディスプレイパネルにおける電気絶縁
性隔壁形成用フォトレジストには、逆テーパー状のレジ
ストパターンプロファイルを形成できることが求められ
ている。有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機
EL」と略記)ディスプレイは、自己発光型で視野角の
制限がない、高輝度である、パネルを薄くすることがで
きる、低電圧で駆動できる、反応速度が速い、RGB
(赤青緑)の3原色によるフルカラー化が可能であるな
どの特徴を有している。しかし、有機EL材料は、有機
溶剤に対する耐性が低く、エッチング処理ができないた
め、フォトリソグラフィ技術を用いた微細加工によって
表示素子としてのマトリックス構造を形成することがで
きないという問題があった。そのため、有機ELディス
プレイは、液晶ディスプレイ用のバックライトとしての
用途が主なものであった。
【0008】そこで、特開平8−315981号公報に
は、有機EL材料を用いた表示素子の形成技術に関する
新たな提案がなされている。具体的には、(1) 透明基板
上にインジウム錫酸化物(ITO)からなる複数のスト
ライプ状のパターンを形成して、第一表示電極(陽極)
とし、(2) その上から基板全面にネガ型レジスト組成物
を塗布してレジスト膜を形成し、(3) ITOのストライ
プ状パターンと直交するストライプ状のフォトマスクを
介して露光し、(4)露光後ベークしてから現像して、ス
トライプ状のネガ型レジストパターンを形成し、(5) こ
の基板上に有機EL材料(ホール輸送材料と電子輸送材
料)を順次蒸着し、(6) さらにその上にアルミニウムな
どの金属を蒸着して、有機ELディスプレイパネルを製
造する方法が提案されている。
【0009】この有機ELディスプレイパネルにおい
て、ネガ型レジストパターンは、電気絶縁性隔壁の役割
を果たしている。すなわち、図1に示すように、透明基
板1上に、ストライプ状にパターニングされたITO膜
(陽極)2を形成し、次いで、これと直交するストライ
プ状のネガ型レジストパターン3を形成する。このネガ
型レジストパターンの断面が逆テーパー状またはオーバ
ーハング状であれば、その上から有機EL材料を蒸着す
ると、基板1上に、ITO膜2と直交するストライプ状
の有機EL材料の蒸着膜4が独立して形成される。ネガ
型レジストパターン上に有機EL材料が蒸着しても、そ
の蒸着膜4′は、基板上の蒸着膜4とは独立して存在し
ている。
【0010】さらにその上から、アルミニウムなどの金
属を蒸着すると、基板上の有機EL材料の蒸着膜4上と
ネガ型レジストパターン上の有機EL材料の蒸着膜4′
上にそれぞれ独立の金属蒸着膜5及び5′が形成され
る。有機EL材料の蒸着膜4上に形成された金属蒸着膜
5は、第二表示電極(陰極)となる。隣接する第二表示
電極(陰極)同士は、ネガ型レジストパターンによって
隔てられて、電気的に絶縁される。ITO膜(陽極)2
と金属蒸着膜(陰極)5は、有機EL材料の蒸着膜4に
より隔てられて、ショートすることがない。
【0011】このような構造の有機ELディスプレイパ
ネルにおいて、第一表示電極と第二表示電極とが交差
し、両電極間に挟まれた有機EL材料の蒸着膜部分が発
光部となる。ネガ型レジストパターンは、除去されるこ
となく、電気絶縁性隔壁となって残される。そのため、
レジストパターンには、基板との密着性に優れているこ
とが求められる。
【0012】従来、ノボラック樹脂とキノンジアジド化
合物とからなるポジ型フォトレジストを用いて、イメー
ジリバーサル法により、逆テーパー状のレジストパター
ンを形成する方法が知られている。しかし、このイメー
ジリバーサル法は、操作が煩雑であることに加えて、加
熱処理(アミン拡散と加熱)時の加熱温度の許容範囲が
狭く、良好な形状レジストパターンを得ることが困難で
あった。
【0013】特開平5−165218号公報には、
(A)光線による露光、または露光と引き続く熱処理に
よって架橋する成分、(B)アルカリ可溶性樹脂、及び
(C)露光する光線を吸収する化合物を少なくとも一種
含有し、かつ、アルカリ性水溶液を現像液とするネガ型
レジスト組成物が提案されている。このネガ型レジスト
組成物は、逆テーパー状またはオーバーハング状のレジ
ストパターンを形成することができ、リフトオフ法によ
る導体パターンの形成に適している。しかし、このレジ
ストパターンは、耐熱性が充分ではなかった。
【0014】有機ELディスプレイパネルにおける電気
絶縁性隔壁は、高温条件下での有機EL材料の蒸着と金
属蒸着の各工程に耐えて、その形状を維持しなければな
らない。特に有機EL材料を蒸着する場合、昇華温度の
マージン(許容度)を広げるために、レジストパターン
からなる電気絶縁性隔壁の耐熱性の向上が求められてい
る。さらに、有機ELディスプレイパネルは、携帯機器
や車両搭載機器などに用いられるため、車中での温度上
昇などの高温条件に耐えるだけの耐久性を有することが
求められている。しかし、従来の逆テーパー状断面のレ
ジストパターンは、耐熱性が未だ充分ではないという問
題があった。
【0015】有機EL材料の蒸着に際し、蒸着マスクを
用いてRGBの各色の有機EL材料を順次蒸着させる
と、各色の画素を有し、カラー表示が可能な有機ELデ
ィスプレイパネルを得ることができる。電気絶縁性隔壁
は、各画素間に配置されているので、これを黒色顔料を
含有するレジスト材料で形成すれば、ブラックマトリッ
クスとしての機能を兼ね備えることができる。
【0016】また、電気絶縁性隔壁全体を黒色にしなく
ても、ITO膜に接する部分が黒色であれば、カラーデ
ィスプレイを得ることができる。例えば、図2に示すよ
うに、ITO膜(陽極)22が形成された透明基板21
上に、絶縁膜23を介して、逆テーパー状断面のレジス
トパターン24を形成すると、透明基板21とレジスト
パターン24との間の絶縁性をさらに高めることができ
る。有機EL材料の蒸着膜25,25′は、基板上とレ
ジストパターン上に形成される。黒色顔料を含有しない
か、黒色顔料の濃度が低いレジスト材料を用いて逆テー
パー状断面のレジストパターン24を形成した場合であ
っても、絶縁膜23を黒色顔料を含有するレジスト材料
で形成すれば、絶縁膜23にブラックマトリックスとし
ての機能を付与することができる。この絶縁膜23に
も、有機EL材料や金属材料の蒸着に耐え、さらには高
温環境下での使用に耐える耐熱性が要求される。
【0017】各種表示装置の使用条件を考慮すると、カ
ラーフィルタのブラックマトリックスにも、高温環境下
での使用に耐えるだけの充分な耐熱性が要求される。ま
た、カラーフィルタの製造に際し、予めブラックマトリ
ックスを形成した透明基板上に、有機顔料を含有するレ
ジスト材料などを用いて各色の画素を形成することがあ
るが、画素形成工程で様々な熱処理が加えられるので、
ブラックマトリックスは、耐熱性に優れていることが望
ましい。さらに、カラーフィルタのブラックマトリック
スは、断面が矩形または順テーパー状であることが好ま
しいので、そのような断面形状を形成することができる
レジスト材料が望ましい。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性が顕著に優れ、基板との密着性が良好なレジストパタ
ーンを形成することができ、ブラックマトリックスなど
の遮光膜としての用途に好適なレジスト組成物を提供す
ることにある。また、本発明の目的は、必要に応じて、
断面形状が順テーパー状、逆テーパー状(オーバーハン
グ状を含む)または矩形のレジストパターンを形成する
ことができるレジスト組成物を提供することにある。本
発明の他の目的は、該レジスト組成物を用いて、パター
ン状の遮光膜などのレジストパターンを形成する方法を
提供することにある。
【0019】本発明者らは、前記目的を達成するために
鋭意研究した結果、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)
活性光線の照射(露光)、または活性光線の照射と引き
続く熱処理によってアルカリ可溶性樹脂を架橋する成分
(架橋成分)、及び(C)黒色顔料を含有するレジスト
組成物において、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂とし
て、ポリビニルフェノールとノボラック樹脂とを特定割
合で含有する樹脂組成物を使用することにより、耐熱性
が顕著に改善されたレジストパターンを形成することが
でき、基板に対するレジストパターンの密着性も良好で
あることを見出した。
【0020】黒色顔料を使用すると、ブラックマトリッ
クスなどの遮光膜の形成用に適したレジスト組成物を得
ることができる。本発明のレジスト組成物を用いて形成
されたレジストパターンを焼成すると、遮光性をさらに
高めることができる。
【0021】さらに、本発明のレジスト組成物におい
て、架橋成分(B)として、活性光線の照射によって酸
を発生する化合物(B1)と該酸を触媒としてアルカリ可溶
性樹脂を架橋する化合物(B2)とを組み合わせて使用し、
かつ、両者の重量比(B1:B2)を好ましくは1:1〜
1:30、より好ましくは1:2〜1:25、さらに好
ましくは1:3〜1:20とすることにより、レジスト
パターンの耐熱性をより一層向上させることができる。
高度の耐熱性を得るには、両者の重量比(B1:B2)を
1:4〜1:30、より好ましくは1:5〜1:25、
特に好ましくは1:6〜1:20の範囲に調整すること
が望ましい。
【0022】本発明のレジスト組成物は、アルカリ現像
が可能であり、露光量を調整することにより、断面形状
が順テーパー状、逆テーパー状(オーバーハング状を含
む)または矩形のレジストパターンを形成することがで
きる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至
ったものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(A)
ポリビニルフェノール30〜95重量%とノボラック樹
脂5〜70重量%とを含有するアルカリ可溶性樹脂、
(B)活性光線の照射、または活性光線の照射と引き続
く熱処理によってアルカリ可溶性樹脂を架橋する成分、
及び(C)黒色顔料を含有するレジスト組成物が提供さ
れる。
【0024】また、本発明によれば、(A)ポリビニル
フェノール30〜95重量%とノボラック樹脂5〜70
重量%とを含有するアルカリ可溶性樹脂、(B)活性光
線の照射、または活性光線の照射と引き続く熱処理によ
ってアルカリ可溶性樹脂を架橋する成分、及び(C)黒
色顔料を含有するレジスト組成物を用いて、フォトリソ
グラフィ法により、基板上にレジストパターンを形成し
た後、該レジストパターンを焼成するレジストパターン
形成方法が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】1.(A)アルカリ可溶性樹脂 本発明では、アルカリ可溶性樹脂として、ポリビニルフ
ェノール30〜95重量%とノボラック樹脂5〜70重
量%を含有する樹脂組成物を使用する。従来、アルカリ
可溶性樹脂としては、例えば、m−クレゾール/p−ク
レゾール(重量比80:20〜20:80)とホルムア
ルデヒドとを付加縮合したノボラック樹脂が用いられて
いる(例えば、特開平5−165218号公報の実施例
2)。アルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を用い
ると、得られたレジストパターンの耐熱性が充分ではな
く、120〜130℃程度の温度でレジストパターンの
断面形状が崩れるという問題があった。
【0026】本発明者らは、アルカリ可溶性樹脂として
ノボラック樹脂を用いたレジスト組成物であっても、基
板上に形成されたレジストパターンを加熱しながら紫外
線照射を行うことにより、150℃程度にまで耐熱温度
を向上させ得ることを見いだした。しかし、有機EL材
料の蒸着には、それを越える耐熱温度が要求されること
がある。一方、ポリビニルフェノールをアルカリ可溶性
樹脂として使用したレジスト組成物は、レジストパター
ン形成後に、該レジストパターンが基板から剥がれやす
いという問題があり、レジストパターン上から金属や有
機EL材料の蒸着を行う技術分野では、実際には、使用
が困難であった。
【0027】本発明者らは、研究を重ねた結果、驚くべ
きことに、アルカリ可溶性樹脂としてポリビニルフェノ
ールとノボラック樹脂とを併用することにより、レジス
トパターンの基板からの剥離を抑制しつつ、耐熱温度を
顕著に改善できることを見いだした。
【0028】ポリビニルフェノールとしては、ビニルフ
ェノールの単独重合体、ビニルフェノールとこれと共重
合可能な単量体との共重合体などが挙げられる。ビニル
フェノールと共重合可能な単量体としては、例えば、イ
ソプロペニルフェノール、アクリル酸、メタクリル酸、
スチレン、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、酢酸ビ
ニルなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルフェノ
ールの単独重合体が好ましく、p−ビニルフェノールの
単独重合体が特に好ましい。
【0029】ポリビニルフェノールの平均分子量は、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により
測定した単分散ポリスチレン換算の重量平均分子量(M
w)で、通常、3,000〜20,000、好ましくは
4,000〜15,000、より好ましくは5,000
〜10,000である。ポリビニルフェノールの重量平
均分子量が低すぎると、露光領域が架橋反応しても、分
子量が充分に増大しないため、アルカリ現像液に溶解し
やすくなり、また、耐熱性の向上効果が低下する。ポリ
ビニルフェノールの重量平均分子量が大きすぎると、露
光領域と未露光領域とのアルカリ現像液に対する溶解度
の差が小さくなるため、良好なレジストパターンを得る
ことが難しくなる。
【0030】ノボラック樹脂としては、レジストの技術
分野で広く用いられているものを使用することができ
る。ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデ
ヒド類またはケトン類とを酸性触媒(例えば、シュウ
酸)の存在下で反応させることにより得ることができ
る。
【0031】フェノール類としては、例えば、フェノー
ル、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾー
ル、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフ
ェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメ
チルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6
−ジメチルフェノール,2,3,5−トリメチルフェノ
ール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−t−ブ
チルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−
ブチルフェノール、2−メチルレゾルシノール、4−メ
チルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−
t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−
メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プ
ロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソ
プロピルフェノール、2−メトキシ5−メチルフェノー
ル、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、チモー
ル、イソチモールなどが挙げられる。これらは、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
【0032】アルデヒド類としては、例えば、ホルムア
ルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオ
キサン、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ベン
ズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニ
ルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒ
ド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシ
ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、
o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデ
ヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−メチルベンズ
アルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチル
ベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−
n−ブチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドな
どが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンなど
が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2
種以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】上述した中でも、メタクレゾールとパラク
レゾールとを併用し、これらとホルムアルデヒド、ホル
マリン、またはパラホルムアルデヒドとを縮合反応させ
たノボラック樹脂が、レジストの感度制御性の観点から
特に好ましい。メタクレゾールとパラクレゾールとの仕
込み重量比は、通常、80:20〜20:80、好まし
くは70:30〜50:50である。さらに、3,5−
ジメチルフェノール(すなわち、3,5−キシレノー
ル)を使用することも好ましい。この場合、クレゾール
類(メタクレゾールとパラクレゾールの合計量)と3,
5−キシレノールとの仕込み重量比は、通常、50:5
0〜80:20、好ましくは60:40〜70:30で
ある。
【0034】ノボラック樹脂の平均分子量は、GPCに
より測定した単分散ポリスチレン換算の重量平均分子量
で、通常、1,000〜10,000、好ましくは2,
000〜7,000、より好ましくは2,500〜6,
000である。ノボラック樹脂の重量平均分子量が低す
ぎると、露光部の架橋反応が起こっても、分子量増大効
果が小さく、アルカリ現像液に溶解しやすくなる。ノボ
ラック樹脂の重量平均分子量が高すぎると、露光部と未
露光部とのアルカリ現像液に対する溶解度の差が小さく
なり、良好なレジストパターンを得ることが難しくな
る。
【0035】ポリビニルフェノール及びノボラック樹脂
の重量平均分子量は、合成条件を調整することにより、
所望の範囲に制御することができる。この他、例えば、
合成により得られた樹脂を粉砕し、適当な溶解度を持
つ有機溶剤で固−液抽出する方法、合成により得られ
た樹脂を良溶剤に溶解させ、貧溶剤中に滴下するか、ま
たは貧溶剤を滴下して、固−液もしくは液−液抽出する
方法などにより、重量平均分子量を制御することができ
る。
【0036】GPCによる重量平均分子量の測定は、G
PC測定装置として、SC8020(TOSO社製)を
用いて、以下の条件で実施する。カラム:TOSO社製
TSKGEL G3000HXLとG200HXL10
00の各1本の組み合わせ、 温度:38℃、 溶剤:テトラヒドロフラン、 流速:1.0ml/min、 試料:濃度0.05〜0.6重量%の試料を0.1ml
注入。
【0037】ポリビニルフェノールとノボラック樹脂と
の使用割合を重量比で表わすと、通常30:70〜9
5:5、好ましくは35:65〜95:5、より好まし
くは40:60〜90:10の範囲である。ポリビニル
フェノールの割合が大きくなるほど、レジストパターン
の耐熱性は良好となるものの、基板から剥がれやすくな
る。ノボラック樹脂の割合が大きくなると、基板からの
レジストパターンの剥離問題は解消するものの、耐熱性
が低下する。したがって、両者の割合が前記の範囲内に
あることによって、耐熱性と耐はがれ性とのバランスが
良好となる。
【0038】2.(B)架橋成分 本発明で使用する架橋成分は、活性光線の照射、または
活性光線の照射と引き続く熱処理によってアルカリ可溶
性樹脂を架橋する成分である。架橋成分の作用により、
露光領域のアルカリ可溶性樹脂の分子量が大きくなっ
て、アルカリ現像液に対する溶解速度が極端に低下す
る。それによって、本発明のレジスト組成物は、アルカ
リ現像液による現像が可能なネガ型レジストとして機能
する。
【0039】架橋成分(B)としては、(1) 活性光線の
照射によってラジカルを発生する光重合開始剤(例え
ば、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾ
インエーテル誘導体など)と、該ラジカルによって重合
する不飽和炭化水素基を有する化合物〔例えば、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど〕と、
必要に応じて、光反応の効率を高めるための増感剤との
組み合わせ、及び(2) 活性光線の照射によって酸を発生
する化合物(以下、「光酸発生剤」と呼ぶ)と、光によ
って生成した酸を触媒としてアルカリ可溶性樹脂を架橋
する化合物(感酸物質:以下、「架橋剤」と呼ぶ)との
組み合わせを挙げることができる。これらの中でも、ア
ルカリ可溶性樹脂との相溶性に優れ、かつ、アルカリ可
溶性樹脂と組み合わせることにより感度が良好な架橋型
化学増幅レジストを提供することができる点から、(2)
の光酸発生剤(B1)と架橋剤(B2)との組み合わせからなる
架橋成分が好ましい。
【0040】<光酸発生剤>活性光線によって酸を発生
する化合物としては、活性化放射線によって露光される
と、ブレンステッド酸またはルイス酸を発生する物質で
あれば特に制限はなく、オニウム塩、ハロゲン化有機化
合物、キノンジアジド化合物、α,α′−ビス(スルホ
ニル)ジアゾメタン系化合物、α−カルボニル−α′−
スルホニルジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有
機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミ
ド化合物など公知のものを用いることができる。これら
の中でも、芳香族スルホン酸エステル類、芳香族ヨード
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、ハロゲン化アルキル
残基を有する芳香族化合物などが好ましい。これらの光
酸発生剤は、パターンを露光する光源の波長に応じて、
分光感度の面から選択することが好ましい。
【0041】オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、ア
ンモニウム塩、ジフェニルヨードニウムトリフレートな
どのヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムトリフ
レートなどのスルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルソ
ニウム塩、オキソニウム塩などが挙げられる。
【0042】ハロゲン化有機化合物としては、ハロゲン
含有オキサジアゾール系化合物、ハロゲン含有トリアジ
ン系化合物、ハロゲン含有アセトフェノン系化合物、ハ
ロゲン含有ベンゾフェノン系化合物、ハロゲン含有スル
ホキサイド系化合物、ハロゲン含有スルホン系化合物、
ハロゲン含有チアゾール系化合物、ハロゲン含有オキサ
ゾール系化合物、ハロゲン含有トリアゾール系化合物、
ハロゲン含有2−ピロン系化合物、その他のハロゲン含
有ヘテロ環状化合物、ハロゲン含有脂肪族炭化水素化合
物、ハロゲン含有芳香族炭化水素化合物、スルフェニル
ハライド化合物などが挙げられる。
【0043】ハロゲン化有機化合物の具体例としては、
トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、ト
リス(2,3−ジブロモ−3−クロロプロピル)ホスフ
ェート、テトラブロモクロロブタン、2−[2−(3,
4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス
(トリクロロγメチル)−S−トリアジン、ヘキサクロ
ロベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシク
ロドデカン、ヘキサブロモシクロドデセン、ヘキサブロ
モビフェニル、アリルトリブロモフェニルエーテル、テ
トラクロロビスフェノールA、テトラブロモビスフェノ
ールA、テトラクロロビスフェノールAのビス(クロロ
エチル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAのビ
ス(ブロモエチル)エーテル、ビスフェノールAのビス
(2,3−ジクロロプロピル)エーテル、ビスフェノー
ルAのビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル、テ
トラクロロビスフェノールAのビス(2,3−ジクロロ
プロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールAの
ビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル、テトラク
ロロビスフェノールS、テトラブロモビスフェノール
S、テトラクロロビスフェノールSのビス(クロロエチ
ル)エーテル、テトラブロモビスフェノールSのビス
(ブロモエチル)エーテル、ビスフェノールSのビス
(2,3−ジクロロプロピル)エーテル、ビスフェノー
ルSのビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル、ト
リス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなど
のハロゲン系難燃剤;ジクロロジフェニルトリクロロエ
タン、ペンタクロロフェノール、2,4,6−トリクロ
ロフェニル、4−ニトロフェニルエール、2,4−ジク
ロロフェニル、3′−メトキシ−4′−ニトロフェニル
エーテル、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、4,5,
6,7−テトラクロロフタリド、1,1−ビス(4−ク
ロロフェニル)エタノール、1,1−ビス(4−クロロ
フェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール、2,
4,4′,5−テトラクロロジフェニルスルフィド、
2,4,4′、5−テトラクロロジフェニルスルホンな
どの有機クロロ系農薬;などが例示される。
【0044】キノンジアジド化合物の具体例としては、
1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステ
ル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エ
ステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン
酸エステル、2,1−ナフトキノンジアジド−4−スル
ホン酸エステル、2,1−ベンゾキノンジアジド−5−
スルホン酸エステルのようなキノンジアジド誘導体のス
ルホン酸エステル;1,2−ベンゾキノン−2−ジアジ
ド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノン
−2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−
ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライ
ド、1,2−ナフトキノン−1−ジアジド−6−スルホ
ン酸クロライド、1,2−ベンゾキノン−1−ジアジド
−5−スルホン酸クロライド等のキノンジアジド誘導体
のスルホン酸クロライド;などが挙げられる。
【0045】α,α′−ビス(スルホニル)ジアゾメタ
ン系化合物としては、未置換、対称的もしくは非対称的
に置換されたアルキル基、アルケニル基、アラルキル
基、芳香族基、またはヘテロ環状基を有するα,α′−
ビス(スルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられる。
【0046】α−カルボニル−α−スルホニルジアゾメ
タン系化合物の具体例としては、未置換、対称的もしく
は非対称的に置換されたアルキル基、アルケニル基、ア
ラルキル基、芳香族基、またはヘテロ環状基を有するα
−カルボニル−α−スルホニルジアゾメタンなどが挙げ
られる。
【0047】スルホン化合物の具体例としては、未置
換、対称的もしくは非対称的に置換されたアルキル基、
アルケニル基、アラルキル基、芳香族基、またはヘテロ
環状基を有するスルホン化合物、ジスルホン化合物など
が挙げられる。
【0048】有機酸エステルとしては、カルボン酸エス
テル、スルホン酸エステル、リン酸エステルなどが挙げ
られ、有機酸アミドとしては、カルボン酸アミド、スル
ホン酸アミド、リン酸アミドなどが挙げられ、有機酸イ
ミドとしては、カルボン酸イミド、スルホン酸イミド、
リン酸イミドなどが挙げられる。
【0049】このほか、シクロヘキシルメチル(2−オ
キソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタン
スルホナート、ジシクロヘキシル(2−オキソシクロヘ
キシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナー
ト、2−オキソシクロヘキシル(2−ノルボルニル)ス
ルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、2−シク
ロヘキシルスルホニルシクロヘキサノン、ジメチル(2
−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメ
タンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフル
オロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリ
フルオロメタンスルホナート、N−ヒドロキシスクシイ
ミドトリフルオロメタンスルホナート、フェニルパラト
ルエンスルホナート等が挙げられる。
【0050】光酸発生剤は、アルカリ可溶性樹脂100
重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは
0.3〜8重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の
割合で使用される。光酸発生剤の割合が過小または過大
であると、レジストパターンの形状が劣化するおそれが
ある。
【0051】<架橋剤>架橋剤は、活性光線の照射(露
光)によって生じた酸の存在下で、アルカリ可溶性樹脂
を架橋しうる化合物(感酸物質)である。このような架
橋剤としては、例えば、アルコキシメチル化尿素樹脂、
アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化
ウロン樹脂、アルコキシメチル化グリコールウリル樹脂
等のアルコキシメチル化アミノ樹脂などの周知の酸架橋
性化合物を挙げることができる。この他、アルキルエー
テル化メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキル
エーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、アルキ
ルエーテル化ユリア樹脂、ウレタン−ホルムアルデヒド
樹脂、レゾール型フェノールホルムアルデヒド樹脂、ア
ルキルエーテル化レゾール型フェノールホルムアルデヒ
ド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0052】これらの中でも、アルコキシメチル化アミ
ノ樹脂が好ましく、その具体例としては、メトキシメチ
ル化アミノ樹脂、エトキシメチル化アミノ樹脂、n−プ
ロポキシメチル化アミノ樹脂、n−ブトキシメチル化ア
ミノ樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、解
像度が良好である点で、ヘキサメトキシメチルメラミン
などのメトキシメチル化アミノ樹脂が特に好ましい。ア
ルコキシメチル化アミノ樹脂の市販品としては、PL−
1170、PL−1174、UFR65、CYMEL3
00、CYMEL303(以上、三井サイテック社
製)、BX−4000、ニカラックMW−30、MX2
90(以上、三和ケミカル社製)等を挙げることができ
る。
【0053】これらの架橋剤は、それぞれ単独で、ある
いは2種以上を組み合わせて使用することができる。架
橋剤は、アルカリ可溶性樹脂100重量部に対して、通
常0.5〜60重量部、好ましくは1〜50重量部、よ
り好ましくは2〜40重量部の割合で使用される。架橋
剤の使用量が少なすぎると、架橋反応が十分進行するこ
とが困難となり、アルカリ現像液を用いた現像後のレジ
ストパターンの残膜率が低下したり、レジストパターン
の膨潤や蛇行などの変形が生じやすくなる。架橋剤の使
用量が多すぎると、解像度が低下するおそれがある。
【0054】<光酸発生剤と架橋剤との割合>レジスト
パターンの耐熱性を更に向上させる観点から、架橋成分
(B)としては、光酸発生剤(B1)と架橋剤(B2)との組み
合わせが好ましい。光酸発生剤(B1)と架橋剤(B2)との重
量比(B1:B2)は、通常1:1〜1:30程度である
が、好ましくは1:2〜1:25、より好ましくは1:
3〜1:20である。両者の重量比がこの範囲内にある
ことによって、高度の耐熱性を得ることができる。
【0055】本発明者らは、さらに研究した結果、両者
の重量比(B1:B2)を好ましくは1:4〜1:30、よ
り好ましくは1:5〜1:25、特に好ましくは1:6
〜1:20として、光酸発生剤に対する架橋剤の比率の
下限を高めたところ、レジストパターンの耐熱性が顕著
に向上することを見出した。この場合、アルカリ可溶性
樹脂100重量部に対する光酸発生剤(B1)の使用割合を
好ましくは1〜10重量部、より好ましくは2〜8重量
部とし、かつ、架橋剤(B2)の使用割合を好ましくは4〜
60重量部、より好ましくは8〜50重量部として、そ
れぞれの下限を高めることが好ましい。多くの場合、両
者の重量比(B1:B2)が1:7〜1:15の範囲で極め
て高度の耐熱性を達成することができる。
【0056】3.(C)黒色顔料 黒色顔料は、活性光線を吸収する化合物として作用し
て、露光時にレジスト膜の深さ方向に行く露光光を吸収
するため、露光量を調整することにより、断面が矩形、
順テーパー状、または逆テーパー状若しくはオーバーハ
ング状のレジストパターンを得ることができる。基板や
基板上に形成されたITO膜などにより露光した光が反
射することによっても、レジストパターンの形状が影響
を受ける。したがって、露光光の反射防止のためにも、
成分(C)が必要となる。特に架橋成分(B)として光
酸発生剤と酸架橋性成分(架橋剤)との組み合わせを用
いたレジストは、化学増幅型であって、光の照射により
発生した酸がレジスト膜内で拡散し、光が当たらない領
域にまで架橋反応を起こすため、活性光線を吸収する成
分(C)を存在させて、レジストパターン形状を制御す
ることが重要である。
【0057】本発明では、活性光線を吸収する成分
(C)として、黒色顔料を使用する。前記の通り、架橋
成分(B)として光酸発生剤と酸架橋性成分との組み合
わせを用いたレジストは、架橋型化学増幅レジストであ
って、光の照射により発生した酸がレジスト膜内で拡散
し、光が当たらない領域にまで架橋反応を起こす。この
ような特性を利用すると、黒色顔料を比較的多量に含有
させて、ブラックマトリックスなどの遮光膜形成用レジ
スト組成物を得ることができる。
【0058】黒色顔料としては、黒色の無機顔料及び有
機顔料のいずれでもよく、これらの混合物でもよい。ま
た、黒色顔料は、黒色以外の2種類以上の有機顔料を混
合した混色有機顔料であってもよい。好適な黒色顔料と
しては、チタンブラック(酸化チタン)、カーボンブラ
ック、酸化クロム、酸化鉄、酸化亜鉛などの無機顔料;
フタロシアニンブルーなどのフタロシアニン系顔料、ク
ロモフタルレッドなどのアントラキノン系顔料、レーキ
レッドなどのアゾまたはアゾレーキ顔料、イルガジンイ
エローなどのイソインドリノン系顔料、ジオキサジンバ
イオレットなどのジオキサジン系顔料、ナフトールグリ
ーンBなどのニトロソ顔料、ローダミンレーキなどのレ
ーキ顔料、キナクリドン系顔料、キナクリジン系顔料な
どの有機顔料;などが挙げられる。黒色顔料は、赤、
青、緑、紫、黄、シアニン、マゼンタからなる群より選
ばれる少なくとも2種の有機顔料を混合して擬似黒色化
した混色有機顔料であってもよい(特開平4−1903
62号公報)。
【0059】これらの黒色顔料の中でも、耐熱性や耐光
性の観点からは、チタンブラックやカーボンブラックな
どの無機顔料が好ましい。ただし、レジストパターンに
高度の電気絶縁性が要求される用途に適用する場合に
は、カーボンブラックなどの無機顔料の使用量を少なく
して、有機顔料(混色有機顔料を含む)の使用量を多く
することが好ましい。黒色顔料の使用量は、アルカリ可
溶性樹脂100重量部に対して、通常0.1〜200重
量部、好ましくは0.5〜150重量部である。
【0060】本発明のレジスト組成物をブラックマトリ
ックスなどの遮光膜の用途に適用する場合には、成分
(C)である黒色顔料を、アルカリ可溶性樹脂100重
量部に対して、通常10〜200重量部、好ましくは2
0〜150重量部、より好ましくは30〜100重量部
の割合で使用する。レジストパターンに高度の電気絶縁
性が要求される場合には、カーボンブラックなどの導電
性を有する無機黒色顔料の使用量を、アルカリ可溶性樹
脂100重量部に対して、30重量部以下とすることが
好ましい。
【0061】断面が逆テーパー状またはオーバーハング
状のレジストパターンを形成する場合んは、成分(C)
の使用量は、レジスト組成物の膜厚や成分(C)の種類
等に応じて適宜定めることができるが、一般に、膜厚が
厚い場合には、光が透過し難いので少なくてもよく、薄
い場合には、多く用いる。成分(C)は、アルカリ可溶
性樹脂100重量部に対して、通常0.1〜15重量
部、好ましくは0.5〜10重量部の割合で用いられ
る。
【0062】4.その他の添加剤 レジスト組成物の各成分の分散性向上などの目的で、レ
ジスト組成物に界面活性剤を添加することができる。界
面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエ
チレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノ
ルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル
類;ポリエチレングリコールジラウレート、エチレング
リコールジステアレート等のポリエチレングリコールジ
アルキルエステル類;エフトップ EF301、EF3
03、EF352(新秋田化成社製)、メガファックス
F171、F172、F173、F177(大日本イ
ンキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友
スリーエム社製)、アサヒガード AG710、サーフ
ロン S−382、SC−101、SC−102、SC
−103、SC−104、SC−105、SC−106
(旭硝子社製)等のフッ素界面活性剤;オルガノシロキ
サンポリマー KP341(信越化学工業社製);アク
リル酸系またはメタクリル酸系(共)重合体ポリフロー
No.75、No.95(共栄社油脂化学工業社製)が
挙げられる。これらの界面活性剤の配合量は、組成物の
固形分100重量部当り、通常、2重量部以下、好まし
くは1重量部以下である。
【0063】5.有機溶剤 本発明のレジスト組成物は、所望により粉体として使用
してもよいが、通常は各成分を有機溶剤に溶解し、濾過
して、レジスト溶液として使用に供される。有機溶剤
は、各成分を均一に溶解若しくは分散させるに足る量で
用いられる。レジスト溶液中の固形分濃度は、通常5〜
50重量%、好ましくは10〜40重量%程度である。
【0064】有機溶剤としては、例えば、n−プロピル
アルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアル
コール、シクロヘキシルアルコール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン
類;ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロ
ピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチ
ル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、乳
酸メチル、乳酸エチル、エトキシプロピオン酸エチル、
ピルビン酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等の環状エーテル類;メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソル
ブ類;エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソル
ブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのセロ
ソルブアセテート類;エチレングリコールジエメルエー
テル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテルなどのアルコールエーテル類;プロピ
レングリコール、プロピレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、プロピレングリコールモノエチルアセ
テート、プロピレングリコールモノブチルエーテルなど
のプロピレングリコール類;ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテルなどのジエチレングリ
コール類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;トリ
クロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類;トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルアセト
アミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミ
ドなどの極性有機溶剤;これらの2種以上の混合溶剤な
どが挙げられる。
【0065】6.レジストパターンの形成方法 本発明のレジスト組成物は、フォトリソグラフィ技術を
利用して、基板上にレジストパターンを形成することが
できる。具体的には、本発明のレジスト組成物をスピン
コーティングなどにより、基板上に均一に塗布し、溶剤
を乾燥除去してレジスト膜を形成する。基板としては、
特に限定されず、シリコン基板、ガラス基板、ITO膜
形成基板、クロム膜形成基板、樹脂基板などが挙げられ
る。
【0066】レジスト膜は、通常、80〜110℃程度
の温度で、10〜200秒間程度の時間、加熱処理(プ
リベーク)する。このようにして、厚み0.5〜5μm
程度のレジスト膜を得る。次いで、所望の光源を用い
て、レジスト膜上にパターン状に露光する。本発明のレ
ジスト組成物が、架橋成分(B) として光酸発生剤と
酸架橋性成分とを含有する化学増幅型レジストである場
合、架橋反応を促進する目的で、通常、露光後に100
〜130℃程度の温度で、10〜200秒間程度の時
間、加熱処理(post exposure baki
ng:PEB)を行う。
【0067】露光に用いる活性光線としては、紫外線、
遠紫外線、KrFエキシマレーザー光、X線、電子線な
どが挙げられる。露光する光源の具体例としては、43
6nm、405nm、365nm、254nm等の水銀
の輝線スペクトルや、248nmのKrFエキシマーレ
ーザー光源等を挙げることができる。
【0068】本発明のレジスト組成物は、露光部が架橋
成分(B)の作用によりアルカリ現像液に対して不溶化
してネガ型に作用するので、露光量が一定量以上になる
と現像後にレジスト膜が残りはじめる。このときの露光
エネルギーを「Eth」と称する。断面が逆テーパー状
またはオーバーハング状のレジストパターンを形成する
には、通常、Ethの2倍程度以下の露光量で露光す
る。露光量を上げると、レジストパターンの断面形状
が、やがて矩形状から順テーパー状になる。
【0069】本発明のレジスト組成物は、アルカリ現像
液によって現像することができる。アルカリ現像液とし
ては、通常、アルカリ水溶液が用いられる。アルカリと
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナ
トリウム、アンモニアなどの無機アルカリ;エチルアミ
ン、プロピルアミンなどの第一級アミン類;ジエチルア
ミン、ジプロピルアミンなどの第二級アミン類;トリメ
チルアミン、トリエチルアミンなどの第三級アミン類;
ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなど
のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒド
ロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ト
リエチルヒドロキシメチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド
などの第四級アンモニウムヒドロキシド類;などが挙げ
られる。また、必要に応じて、前記アルカリ水溶液に
は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルア
ルコール、エチレングリコールなどの水溶性有機溶剤、
界面活性剤、樹脂の溶解抑制剤などを添加することがで
きる。
【0070】現像により得られたレジストパターンは、
リフトオフ法に用いられる場合は、その上から基板全面
に金属蒸着膜などの各種膜を形成する。その後、レジス
トパターンを、その上に形成された膜と共に除去し、基
板上に形成された金属蒸着膜などの膜のみを残す。この
場合、レジストパターンの断面形状を逆テーパー状また
はオーバーハング状にする。
【0071】有機ELディスプレイパネルを作成する場
合には、現像により得られた逆テーパー状またはオーバ
ーハング状のレジストパターンの上から有機EL材料を
蒸着し、次いで、アルミニウムなどの金属を蒸着する
(図1)。この場合、レジストパターンは、除去するこ
となく電気絶縁性隔壁として残しておく。この電気絶縁
性隔壁は、ブラックマトリックスとしての機能を付与す
ることができる。
【0072】レジストパターンを有機ELディスプレイ
パネルの絶縁層とする場合(図2)には、断面形状を矩
形若しくは逆テーパー状、好ましくは矩形にする。この
場合も、レジストパターンを除去することなく、絶縁層
として残しておく。図2において、断面が逆テーパー状
のレジストパターン24を形成するには、本願発明のレ
ジスト組成物において、成分(C)の黒色顔料をアゾ染
料などの活性光線を吸収する化合物(特開平5−165
218号公報)に代えたレジスト組成物を用いると、耐
熱性に優れたレジストパタンを形成することができるの
で好ましい。また、断面が逆テーパー状のレジストパタ
ーン24を形成するために、本願発明のレジスト組成物
であって、成分(C)の含有量が少ないものを用いても
よい。
【0073】有機EL材料や金属などの蒸着工程の前
に、基板上に形成されたレジストパターンに、加熱しな
がら、紫外線を照射すると、レジストパターンの耐熱性
をさらに向上させることができる。具体的には、基板全
体をホットプレート上に載せ、70〜120℃程度の温
度に加熱しながら、紫外線を照射線量5〜1000mW
程度で照射する。紫外線の照射時間は、通常、20〜4
0秒程度である。
【0074】ブラックマトリクスなどの遮光膜は、白色
光源を用いて測定した光学密度(OPTICAL DE
NCITY;OD値)が、膜厚1.0μmにおいて、
2.5〜4.5の範囲内にあることが望ましい。より具
体的に、物体に入射する前の光の強さをI0 とし、物体
に入射して吸収された後の光の強さをIとすると、OD
値は、log(I0/I)で示される。また、遮光膜用
のレジスト組成物は、比較的多量の黒色顔料を含有し、
なおかつ、解像度が高いものであることが望ましい。
【0075】比較的多量の黒色顔料を含有する本発明の
レジスト組成物を用いると、高いOD値を示す遮光膜を
得ることができるが、所望のOD値と良好な解像度を付
与するには、レジストパターンを焼成処理する方法が効
果的である。具体的には、黒色顔料を有するレジスト組
成物を用いて、レジストパターンを形成し、所望により
露光後ベーク(PEB)をした後、通常150〜400
℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは25
0〜350℃で、通常1〜10分間、好ましくは1〜5
分間加熱して焼成する。焼成により、レジスト組成物の
樹脂成分が黒色化されて、OD値が高まる。
【0076】本発明のレジスト組成物は、成分(C)と
して黒色顔料を用いることにより、液晶ディスプレイパ
ネルのカラーフィルタや有機ELディスプレイパネルに
おけるブラックマトリックス等の遮光膜の用途に好適に
適用することができる。例えば、液晶ディスプレイパネ
ルのカラーフィルタにおいて、本発明のレジスト組成物
を用いて、赤(R)、緑(G)、青(B)等の各画素間
にブラックマトリックスを形成することにより、画素間
での光の漏れによるコントラストや色純度の低下を防止
することができる。有機ELディスプレイパネルにおい
ても、コントラストを高め、視認性を向上させるため
に、ブラックマトリックスとして用いられるが、この場
合、ブラックマトリックスとしての機能と電気絶縁性隔
壁や絶縁層としての機能を兼ね備えさせることができ
る。
【0077】本発明のレジスト組成物を用いると、フォ
トリソグラフィ技術を利用して、パターン化した遮光膜
を容易に形成することができる。特に架橋成分(B)
として光酸発生剤と酸架橋性成分との組み合わせを用い
た化学増幅型レジスト組成物は、黒色顔料の含有量が多
くても、基板に近い箇所まで架橋による硬化反応が進む
ため、基板に対する密着性に優れた遮光膜を得ることが
できる。しかも、この遮光膜(レジストパターン)は、
耐熱性、耐はがれ性に優れている。さらに、黒色顔料の
種類や使用量、その他の成分の種類や使用量、照射条件
などの諸条件を調整することにより、レジストパターン
の断面形状を逆テーパー状、オーバーハング状、矩形な
ど任意に制御することができる。
【0078】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明する。物性の測定法は、以下の通りで
ある。 (1)耐熱性 レジストパターンが形成された基板をホットプレート上
に300秒間置き、逆テーパー状のレジストパターンが
維持できている温度を測定した。具体的には、110℃
から5℃おきに300秒間加熱し、レジストパターンの
形状を走査電子顕微鏡を用いて観察し、レジストパター
ンのトップの形状がダレて丸みを帯びた時点の温度(耐
熱温度)を測定した。
【0079】(2)耐はがれ性 現像後、基板上にレジストパターンが形成されているか
否かを目視で観察し、確認できないものは、耐はがれ性
が劣悪(×)、確認できるものは、耐はがれ性が良好
(○)と評価した。 (3)光学密度(OD値) 白色光源を用いて、膜厚1.0μmのレジスト膜の光学
密度を測定した。 (4)解像度 実施例に記載の方法で形成されたライン&スペース(L
/S)が1/1のレジストパターンの寸法を走査電子顕
微鏡(SEM)で観察し、測定した値である。
【0080】[実施例1]重量平均分子量6,000の
ポリp−ビニルフェノール90重量部と、m−クレゾー
ル/p−クレゾールを70/30(重量比)の仕込み比
でホルムアルデヒドと脱水縮合して得た重量平均分子量
4,000のノボラック樹脂10重量部とからなるアル
カリ可溶性樹脂100重量部に対して、トリアジン系光
酸発生剤〔みどり化学社製、TAZ106〕1重量部、
メラミン系樹脂〔感酸物質:三井サイテック社製、サイ
メル303〕3重量部、及びチタンブラック60重量部
(チタンブラック純分として)をポリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル中に溶解させて、固形分濃度34
重量%のレジスト溶液を調製した。
【0081】スピンコーターを用いて、このレジスト溶
液を透明ガラス基板上に乾燥膜厚が1.0μmになるよ
うに塗布し、次いで、ホットプレート上で100℃で9
0秒間加熱してレジスト膜を形成した。露光機としてキ
ャノン社製PLA501Fを用いて、レジスト膜にマス
クを介して50mJ/cm2 のエネルギーで露光し、潜
像を形成した。その後、110℃、60秒間の露光後ベ
ーク(PEB)を行った。次に、2.38重量%テトラ
メチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、65
秒間のパドル現像を行った。
【0082】現像後、レジストパターンが形成されたガ
ラス基板をホットプレート上に置いて、150℃で30
秒間加熱し、引き続いてホットプレート上の温度が60
秒間で300℃になるように昇温し、そして、300℃
で90秒間保持してレジストパターンの焼成処理を行っ
た。このようにして、ライン&スペース(L/S)が1
/1のレジストパターンを得た。該レジストパターンを
走査電子顕微鏡で観察して解像度を測定したところ、5
μmであった。このレジストパターンの耐熱温度は25
0℃であり、耐熱性に優れていた。また、このレジスト
パターンの耐はがれ性は、良好(○)であった。
【0083】一方、上記と同様にして、別の透明ガラス
基板上にレジスト膜を形成した。その後、露光及び現像
を行わなかったこと以外は、上記と同様にして加熱処理
と焼成処理を行った。このようにして得られたレジスト
膜について、白黒測定用透過濃度計(サカタインクス社
製TD−932)を用いて光学密度(OD値)を測定し
たところ、2.5であった。
【0084】[実施例2]重量平均分子量6,000の
ポリp−ビニルフェノール90重量部と、m−クレゾー
ル/p−クレゾールを70/30(重量比)の仕込み比
でホルムアルデヒドと脱水縮合して得た重量平均分子量
4,000のノボラック樹脂10重量部とからなるアル
カリ可溶性樹脂100重量部に対して、トリアジン系光
酸発生剤〔みどり化学社製、TAZ106〕1重量部、
メラミン系樹脂〔感酸物質:三井サイテック社製、サイ
メル303〕3重量部、及びチタンブラック90重量部
(チタンブラック純分として)を、ポリエチレングリコ
ールモノメチルエーテル中に溶解させて、固形分濃度3
4重量%のレジスト溶液を調製した。
【0085】スピンコーターを用いて、このレジスト溶
液を透明ガラス基板上に乾燥膜厚が1.0μmになるよ
うに塗布し、次いで、ホットプレート上で100℃で9
0秒間加熱してレジスト膜を形成した。露光機としてキ
ャノン社製PLA501Fを用いて、レジスト膜にマス
クを介して200mJ/cm2 のエネルギーで露光した
後、110℃、60秒間の露光後ベーク(PEB)を行
った。次に、2.38重量%テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド水溶液を用いて、65秒間のパドル現像を
行った。現像後、レジストパターンが形成されたガラス
基板をホットプレート上に置いて、150℃で60秒間
加熱した。
【0086】このようにして形成したレジストパターン
の解像度は、15μmであった。このレジストパターン
の耐熱温度は、250℃であり、耐熱性に優れていた。
このレジストパターンの耐はがれ性は、良好(○)であ
った。また、別の透明ガラス基板に同様にしてレジスト
膜を形成し、加熱処理後に測定した光学密度(OD値)
は、3.0であった。
【0087】[実施例3]実施例1において、トリアジ
ン系光酸発生剤1重量部を3重量部に、また、メラミン
系樹脂架橋剤3重量部を25重量部に、それぞれ変更し
たこと以外は、実施例1と同様にして、レジスト溶液を
調製し、レジストパターンを形成し、そして、レジスト
パターンを焼成した。その結果、得られたレジストパタ
ーンの耐熱温度は、実施例1の250℃から300℃に
上昇した。このレジストパターンの他の特性は、実施例
1と同様であった。
【0088】[実施例4]実施例2において、トリアジ
ン系光酸発生剤1重量部を3重量部に、また、メラミン
系樹脂架橋剤3重量部を25重量部に、それぞれ変更し
たこと以外は、実施例2と同様にして、レジスト溶液を
調製し、そして、レジストパターンを形成した。その結
果、得られたレジストパターンの耐熱温度は、実施例2
の250℃から300℃に上昇した。このレジストパタ
ーンの他の特性は、実施例2と同様であった。
【0089】[比較例1]実施例2において、アルカリ
可溶性樹脂として重量平均分子量6,000のポリp−
ビニルフェノールを単独で用いたこと以外は、実施例2
と同様にして、透明ガラス基板上にレジストパターンを
形成した。このレジストパターンの耐はがれ性は、劣悪
(×)であった。
【0090】[比較例2]実施例2において、アルカリ
可溶性樹脂としてm−クレゾール/p−クレゾールを7
0/30(重量比)の仕込み比でホルムアルデヒドと脱
水縮合して得た重量平均分子量4,000のノボラック
樹脂を単独で用いたこと以外は、実施例2と同様にし
て、透明ガラス基板上にレジストパターンを形成した。
このレジストパターンの耐熱温度は、120℃であり、
耐熱性が不充分であった。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性が顕著に優れ、
基板との密着性が良好なレジストパターンを形成するこ
とができ、ブラックマトリックスなどの遮光膜としての
用途に好適な黒色のレジスト組成物が提供される。ま
た、本発明によれば、該レジスト組成物を用いて、パタ
ーン状の遮光膜などのレジストパターンを形成する方法
が提供される。本発明のレジスト組成物は、液晶ディス
プレイパネルにおけるカラーフィルタのブラックマトリ
ックス、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイパ
ネルにおけるブラックマトリックスや電気絶縁性隔壁、
絶縁層などの用途に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機ELディスプレイパネルの微細加工の一例
を示す説明図である。
【図2】有機ELディスプレイパネルの微細加工の他の
一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:基板 2:ITO膜パターン 3:逆テーパー状断面のレジストパターン 4:有機EL材料の蒸着膜 4′:有機EL材料の蒸着膜 5:金属蒸着膜 5′:金属蒸着膜 21:基板 22:ITO膜パターン 23:電気絶縁性隔壁 24:逆テーパー状断面のレジストパターン 25:有機EL材料の蒸着膜 25′:有機EL材料の蒸着膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/38 511 G03F 7/38 511 7/40 501 7/40 501 Fターム(参考) 2H025 AA10 AA14 AA20 AB13 AB20 AC01 AC08 AD01 BE00 CB17 CB29 CC12 CC17 FA12 FA29 2H048 BA02 BA45 BA47 BA48 BB01 BB02 BB41 BB42 2H096 AA30 BA06 EA02 EA05 FA01 GA08 HA01 4J002 BC12W CC052 CC183 CC193 DA037 DE097 DE107 DE117 EB116 EP036 EQ016 EQ036 EU096 EV246 FD097 GP03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリビニルフェノール30〜95
    重量%とノボラック樹脂5〜70重量%とを含有するア
    ルカリ可溶性樹脂、(B)活性光線の照射、または活性
    光線の照射と引き続く熱処理によってアルカリ可溶性樹
    脂を架橋する成分、及び(C)黒色顔料を含有するレジ
    スト組成物。
  2. 【請求項2】 架橋成分(B)が、活性光線の照射によ
    って酸を発生する化合物(B1)と、該酸を触媒としてアル
    カリ可溶性樹脂を架橋する化合物(B2)との組み合わせで
    あり、両者の重量比(B1:B2)が1:1〜1:30であ
    る請求項1記載のレジスト組成物。
  3. 【請求項3】 (A)ポリビニルフェノール30〜95
    重量%とノボラック樹脂5〜70重量%とを含有するア
    ルカリ可溶性樹脂、(B)活性光線の照射、または活性
    光線の照射と引き続く熱処理によってアルカリ可溶性樹
    脂を架橋する成分、及び(C)黒色顔料を含有するレジ
    スト組成物を用いて、フォトリソグラフィ法により、基
    板上にレジストパターンを形成した後、該レジストパタ
    ーンを焼成するレジストパターン形成方法。
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