JP2002241974A - アルミニウム製施設体の防蝕方法及び防蝕具 - Google Patents

アルミニウム製施設体の防蝕方法及び防蝕具

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JP2002241974A JP2001036933A JP2001036933A JP2002241974A JP 2002241974 A JP2002241974 A JP 2002241974A JP 2001036933 A JP2001036933 A JP 2001036933A JP 2001036933 A JP2001036933 A JP 2001036933A JP 2002241974 A JP2002241974 A JP 2002241974A
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Masayuki Hanazaki
昌幸 花崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム又はアルミニウム合金からなる
アルミニウム支柱で形成され、地面に設置される種々の
施設体に対して、優れた防蝕効果を発揮せしめることが
できるアルミニウム製施設体の防蝕方法及びその防蝕具
を提供する。 【解決手段】 地面に設置された際に地中に位置する埋
設部と地上に位置する地上部とを有するアルミニウム製
施設体で、亜鉛系金属、アルミニウム系金属、又はマグ
ネシウム系金属でリング状に形成された犠牲陽極の1種
又は2種以上で、少なくともその1ヶ所で締結手段によ
り締め付けられる締結部を有することを特徴とする防蝕
具をその地上部の根元部分に略全周に亘って密着状態に
取り付ける、アルミニウム製施設体の防蝕方法及びその
リング状防蝕具である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の所属する技術分野】この発明は、アルミニウム
及び又はアルミニウム合金からなるアルミニウム支柱で
形成され、地面に設置される施設体の防蝕方法及びその
防蝕具に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム及び又はアルミニウム合金
は、その表面の美しさに加え、耐蝕性も優れていること
から、道路、公園、橋梁、建築物、駅前広場、街路施設
等で用いられるガードレールや高欄、標識柱、手摺りや
柵体等の施設体として頻繁に使用されている。
【0003】このようなアルミニウム製施設体は、ベー
スアングルやフランジを介してアルミニウム支柱をコン
クリート中の鉄筋と固定した後、あるいは、支柱とコン
クリート鉄筋とを直接固定した後、コンクリートやアス
ファルトを流し込む埋め込み方式や、ベースアングルや
フランジを介して支柱を固定用鉄筋と固定、あるいは、
支柱と鉄筋を直接固定して土中に埋設する埋め戻し方式
や、支柱内径よりも一回り小さな外径を有するパイプ底
部に鋼板を溶接して得られたベースポストを用い、この
ベースポストをアンカーボルト等により地面に固定する
と共に、ボルトナット等により支柱をこのベースポスト
に固定するベースポスト方式や、フランジやスリーブ付
の支柱を用い、予めコンクリートやアスファルト中から
立ち上げたアンカーボルトで支柱を固定するアンカーボ
ルト方式や、コンクリートやアスファルトが充填された
底付き鋼管にアルミニウム支柱を埋め込み、更にこの底
付き鋼管をコンクリートやアスファルト地覆部中に埋め
込む箱抜き埋め込み方式やコンクリートやアスファルト
中に支柱と同等の径の穴を穿ち、支柱を打ち込むいわゆ
る打ち込み方式等の方法で地面(コンクリート面又はア
スファルト面又は土面)に設置され、地中(コンクリー
ト中又はアスファルト中又は土中)に位置する埋設部と
地上(コンクリート面上又はアスファルト面上又は土面
上)に位置する地上部とを有する。
【0004】しかし、このような施設体では、施設体の
設置方法により多少の差異はあるが、埋設部に位置する
アルミニウム支柱で発生する腐蝕生成物の膨張圧力によ
り、コンクリート等で地覆した部分がひび割れを起こし
たり、地覆割れにより支柱が変形・破損してしまう現象
が見受けられる。また、海浜地区や凍結防止剤散布地域
のように、飛来する海塩粒子や凍結防止剤に含まれる岩
塩、食塩、塩化カルシウム等の電解質の影響により、地
上に露出した施設体地上部の根元部分に集中して腐蝕が
発生することもある。これらの原因として、アルミニウ
ム製施設体は先に記した方法により設置されることがほ
とんどであり、この場合、アルミニウム支柱がベースア
ングルやボルトナット、コンクリート鉄筋、ベースポス
ト、鋼管等の異種金属と電気的に短絡しているため、異
種金属接触による腐蝕が発生することが考えられる。
【0005】また、鉄筋等の鋼材製固定部材とアルミニ
ウム支柱が接触している場合、施設体が埋設された埋設
部と地上に位置する地上部との界面では、海塩粒子や凍
結防止剤等の電解質が降雨等により溶解されて滞留し、
水の電気抵抗が小さくなるため電流が流れ易くなり、施
設体地上部の根元部分に局部的な電流集中が生じる。こ
れにより上記の部分で支柱の腐蝕が起こると考えられ
る。更に降雨時には、コンクリート、アスファルト(劣
化して透水率が上昇した場合のアスファルト)、土中と
いった地面は、雨水の浸透により短期間に地面中に含ま
れる塩素イオン、硫酸根等の成分を溶出して電気の良導
体になるため、特に異種金属接触の影響が現れ易くな
り、アルミニウム支柱と鋼材製固定部材との混成電位が
アルミニウムの再不働態化電位よりも貴側にシフトし、
アルミニウム支柱の腐蝕が促進されるものと考えられ
る。
【0006】上記施設体の根元部分における発錆の集中
は、施設体の他の部分がほとんど健全な姿で存在してい
るにも関わらず、アルミニウム腐食生成物によるコンク
リート地覆部の破壊や、施設体それ自体の早期倒壊等の
原因になり、この早期倒壊を防止するために、根元部分
以外についてはまだ全く健全であっても施設体の取替え
工事が必要になり、施設体それ自体の寿命を短くする大
きな原因になっていた。
【0007】近年では、アルミニウム合金製橋梁用防護
柵設計要領(日本アルミニウム協会規格LIS SA5-2000,P
96)等にもあるように、アルミニウム製施設体の設置に
おいて、アルミニウム支柱近傍での異種金属接触を避け
る絶縁方式が採用されるようになってきた。しかしなが
ら、絶縁処理が施される以前の設置方法が採用されたア
ルミニウム製施設体の数は極めて多数に渡り、現在もそ
のまま多くが使用されている。これらは先に記した施設
体発錆の問題を抱えており、仮に、これらのものをすべ
て絶縁処理するために改修工事を行うとすると、施設体
を構成しているアルミニウム支柱を露出させるためにコ
ンクリート等を破壊して地中を掘り返し、そこで絶縁処
理を施した新しい支柱と交換するか、或いは使用中の支
柱に絶縁材を挿入する等の方法を採らねばならない。何
れの場合でも、莫大な工事費と労力を必要とすることが
大きな問題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウ
ム支柱で形成され、地面に設置される種々のアルミニウ
ム製施設体において、既に設置された施設体に対して
も、また、新たに設置する施設体に対しても適用するこ
とができ、なおかつ大規模な改修工事を行わなくても、
鋼材との異種金属接触による腐蝕を防止し、アルミニウ
ム製施設体の発錆を防止できる防蝕方法及び防蝕具につ
いて鋭意研究を重ねた結果、亜鉛又は亜鉛合金からなる
リング状の犠牲陽極、アルミニウム又はアルミニウム合
金からなるリング状の犠牲陽極、マグネシウム又はマグ
ネシウム合金からなるリング状の犠牲陽極の1種又は2
種以上を地覆部界面のアルミニウム支柱に取り付けるこ
とにより達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】従って、本発明の目的は、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミニウム支柱で形成さ
れ、地面に設置されるアルミニウム製施設体の耐蝕性に
対して、長期に亘って優れた防蝕性能を発揮せしめるこ
とができるアルミニウム製施設体の防蝕方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、新たに設置さ
れる、あるいは、設置されたばかりの新しい施設体のみ
ならず、既に設置されて腐蝕が始まっているような施設
体に対しても適用することができ、しかも、長期に亘っ
て優れた防蝕性能を発揮せしめることができるアルミニ
ウム製施設体の防蝕具を提供することにある。
【0010】
【発明を解決するための手段】すなわち、本発明は、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム
支柱で形成され、地面に設置された際に地中に位置する
埋設部と地上に位置する地上部とを有するアルミニウム
製施設体の防蝕方法であり、上記施設体の地上部の根元
部分には、亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛系金属、アル
ミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム系
金属、又はマグネシウム又はマグネシウム合金からなる
マグネシウム系金属でリング状に形成された犠牲陽極の
1種又は2種以上を、上記根元部分の略全周に亘って密
着状態に取り付けることを特徴とするアルミニウム製施
設体の防蝕方法である。
【0011】また、本発明は、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金からなるアルミニウム支柱で形成され、地面
に設置された際に地上に位置する施設体の地上部の根元
部分にその略全周に亘って締め付け状態で着脱可能に取
り付けられる犠牲陽極であり、亜鉛又は亜鉛合金からな
る亜鉛系金属、アルミニウム又はアルミニウム合金から
なるアルミニウム系金属、又はマグネシウム又はマグネ
シウム合金からなるマグネシウム系金属でリング状に形
成されていると共に、少なくともその1ヶ所で締結手段
により締め付けられる締結部を有することを特徴とする
アルミニウム製施設体の防蝕具である。
【0012】本発明において、本発明の方法及び防蝕具
が適用されるアルミニウム製施設体は、基本的にはアル
ミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム支
柱で形成され、地面に設置された際に地中に位置する埋
設部と地上に位置する地上部とを有するものであり、道
路、公園、橋梁、建築物、駅前広場、街路施設等で用い
られるガードレールや高欄、標識柱、手摺りや柵体等の
施設体として使用され、一般的には美観に優れているだ
けでなく、その表面に酸化皮膜や塗装等を形成せしめる
と耐久性にも比較的優れているものである。
【0013】また、アルミニウム支柱は地面に設置され
ていれば、例えば、下端側がベースアングルやフランジ
を介してコンクリート中の鉄筋と固定され、あるいは支
柱とコンクリート鉄筋とが直接固定され、その周りにコ
ンクリートやアスファルトが流し込まれてもよく、例え
ば、ベースアングルやフランジを介して支柱を固定用鉄
筋と固定し、あるいは、支柱と鉄筋を直接固定して土壌
中に埋設されてもよく、例えば、支柱内径よりも一回り
小さな外径を有するパイプ底部に鋼板を溶接して得られ
たベースポストを用い、このベースポストをアンカーボ
ルト等により地面に固定すると共に、ボルトナット等に
より支柱をこのベースポストに固定されてもよく、例え
ば、フランジやスリーブ付の支柱を用い、予めコンクリ
ートやアスファルト中から立ち上げたアンカーボルトで
支柱が固定されてもよく、例えば、コンクリートやアス
ファルトが充填された底付き鋼管にアルミニウム支柱が
埋め込まれ、更にこの底付き鋼管がコンクリートやアス
ファルト地覆部中に埋め込まれてもよく、例えば、コン
クリートやアスファルトや土中に支柱と同等の径の穴を
穿ち、支柱が打ち込まれてもよい。
【0014】また、アルミニウム支柱の下端側は、上記
アルミニウム支柱の設置方法で記した通り、ベースアン
グルや鉄筋、ベースポスト、ボルトナット、アンカーボ
ルト、鋼管等の鋼材製の固定部材と連結されていてもよ
く、あるいは、異種金属と接触せずに、コンクリートや
アスファルトや土中といった地中に直接打ち込まれてい
てもよい。
【0015】このような施設体に適用される犠牲陽極あ
るいはこの犠牲陽極からなる防蝕具は、通常、アルミニ
ウム支柱の再不働態化電位よりも100mmV以上、好ま
しくは120mV以上卑である電位を有するものであるの
がよく、例えばそれは、亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛
系金属、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるア
ルミニウム系金属、又はマグネシウム又はマグネシウム
合金からなるマグネシウム系金属から選ばれた少なくと
も1つである。
【0016】上記犠牲陽極が新たに設置される施設体に
適用される場合には、この犠牲陽極が地面に設置した際
にその地上部の根元部分に位置するように施設体に取り
付けられ、その際に犠牲陽極は施設体の根元部分にその
略全周に亘って密着状態に取り付けられればよく、固着
状態に取り付けられても、また、締め付け状態で着脱可
能に取り付けられてもよいが、好ましくは、犠牲陽極が
消耗した際に容易に交換できるように締め付け状態で着
脱可能に取り付けるのがよい。
【0017】また、消耗した際の交換を目的とする、あ
るいは、既に地面に設置されている施設体への適用を目
的とするリング状の犠牲陽極については、少なくともそ
の1ヶ所に、好ましくは1〜4ヶ所に、ボルトナット、
ネジ等の締結手段により締め付けられる締結部を設けて
防蝕具として構成し、必要によりこの防蝕具の締結部間
には所定の大きさの隙間(締め付け代)を用意してお
き、適当な締結手段を用いて施設体の根元部分に防蝕具
を着脱可能に取り付けた際にこの防蝕具が締め付け状態
で取り付けられるようにするのがよい。また、この際に
締結手段として使用するボルトナットやネジ等は、好ま
しくは亜鉛めっき或いは亜鉛粉末系化成処理或いはアル
ミニウムめっき等を施したものがよい。
【0018】防蝕具の取り付け前に、できれば既に腐蝕
の始まった腐蝕部分を除去することが望ましいが、腐蝕
部分を除去せずに取り付けることもでき、施設体の根元
部分に防蝕具を締め付け状態で着脱可能に取り付けるこ
とにより、仮に施設体の根元部分にアルミニウム支柱の
腐蝕の始まりに起因する少々の凹凸面が存在しても、比
較的柔らかい金属(亜鉛系金属、アルミニウム系金属、
又はマグネシウム系金属)でリング状に形成された防蝕
具は、この施設体の根元部分の凹凸面に倣って変形し、
施設体の根元部分側とよく密着し、優れた犠牲陽極とし
て機能することができる。また、アルミニウム支柱と防
蝕具の一部の間に隙間があって、電解質を含む水が浸入
したとしても、その効果が失われることはない。
【0019】この犠牲陽極の形状については、施設体の
地上部の根元部分にその略全周に亘って取り付ける必要
があることから、リング状に形成されている必要があ
り、その形状は施設体の根元部分の横断面外形状に依存
し、例えば、施設体の根元部分の横断面外形状が円形で
ある場合には円形リング状に形成され、矩形である場合
には矩形リング状に形成され、施設体の根元部分がそれ
ぞれL字形、H字形、I字形である場合にはL字形、H
字形、I字形等のリング状に形成される。
【0020】本発明で用いる犠牲陽極の肉厚について
は、厚くても薄くても防蝕性能を発揮せしめることがで
きるが、あまり薄すぎると消耗や破損が進み易くなって
交換が必要になるまでの期間が短くなるので、通常0.
2mm以上、好ましくは1mm以上、より好ましくは2
mm以上であるのがよい。
【0021】また、犠牲陽極の下端縁は、防蝕電流の取
り出し口となることから、できるだけ地面に接触させて
取り付けるのが望ましく、これにより、地中に埋設され
たアルミニウム支柱で、地上部との界面付近に位置する
部分にまで防蝕効果が及ぶことになり、さらに、電解質
を溶解した降雨等が、アルミニウム支柱の根元部分に滞
留したとしても、鋼材製の固定部材を含むアルミニウム
支柱電位がアルミニウム支柱の再不働態化電位よりも貴
側にシフトすることを防止し、アルミニウム支柱の腐蝕
を防ぐことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例、参考例に
基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明す
る。
【0023】実施例1 実環境を模試するため、図1及び図2に示すような試験
体を作製した。100mmφ×1200mmL×5mmtの大
きさで、その表面に硫酸浴電解法による陽極酸化皮膜が
9μm、更にその上にアクリル電着塗装による塗装が1
2μm施され、その下端側がフランジ部2を有するアル
ミニウム支柱1にステンレス鋼製ボルトナット4を用い
て普通鋼SS400でできた鋼製フランジ3を固定し
た。また、鋼製フランジ3には16mmφ×200mmLの
鉄筋5をスポット溶接により6本取り付けた。次いで、
上記アルミニウム支柱1のフランジ部2に鋼製フランジ
3及び鉄筋5が連結された下端側を300mmφ×300
mmLのコンクリート中に埋め込み乾燥させて、コンクリ
ート地覆部6を有すると共に、コンクリート地覆部6か
ら露出して地上に位置する地上部1aとコンクリート地
覆部6のなかに埋設された埋設部1bとを有したアルミ
ニウム製施設体の再現試験体Sを作製した。
【0024】また、図1から図3に示すように、アルミ
ニウム中に3wt%のZnと0.02wt%のInとを
含むアルミニウム系金属のAl-3wt%Zn-0.02wt%In合金、
亜鉛中に0.02wt%のInを含む亜鉛系金属のZn-0.
02wt%In合金、純亜鉛(100wt%Zn)、又は、マグネシウ
ム中に9wt%のAlと1wt%のZnとを含むマグネ
シウム系金属のMg-9wt%Al-1wt%Zn合金を用い、両端部に
はボルト貫通孔7を有して亜鉛めっき処理された鋼製ボ
ルトナット8で締結する際に用いられる締結部9がそれ
ぞれ形成されている一対の半円形状のリング半体10a,
10bからなり、内径100mmφ×50mmL×10mmt
の大きさを有する2分割ボルトナット締結式のアルミニ
ウム系金属、亜鉛系金属、又はマグネシウム系金属のリ
ング状防蝕具10をそれぞれ調製した。
【0025】このようにして作製したリング状防蝕具1
0を、図1〜図3に示すように、アルミニウム支柱1の
地上部1aの根元部分に亜鉛めっき処理された鋼製ボル
トナット8を用いて取り付け、しっかりと締め付けて固
定し、試験番号1〜4のアルミニウム製施設体の再現試
験体Sを準備した。この際に各リング半体10a,10b
の締結部9の間には約1mmの隙間dが形成されてい
た。また、リング状防蝕具10を取り付けないアルミニ
ウム製施設体の再現試験体S(試験番号5)も用意し
た。
【0026】このようにして調製された試験番号1〜5
の再現試験体Sについて、硫酸でpH5に調整した5wt
%-塩化ナトリウム水溶液を用いて、塩水噴霧時間1,
000時間及び5,000時間の塩水噴霧試験(JIS Z
2381)を実施し、各再現試験体Sの腐蝕状況、特にリン
グ状防蝕具10の内面が接する地上部1aの根元部分
(根元部分)及びコンクリート地覆部6と地上部1aと
の界面(地覆界面)における腐蝕状態を調べ、根元部分
については、変化無し、腐蝕発生、腐蝕発生大の3段
階、また、地覆界面については、欠陥無し、微小クラッ
ク有り、大クラック有りの3段階評価をそれぞれ行っ
た。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】また、参考例として、コンクリート中に単
独で存在するアルミニウム支柱1を上記5wt%-塩化ナ
トリウム水溶液中で、分極測定機(ポテンシオスタッ
ト)を用いてアノード分極測定を行い、その再不働態化
電位(アルミニウムの孔食が進行を停止する電位)を求
めた(試験番号6)。更に試験番号1〜5について、上
記5wt%-塩化ナトリウム水溶液を用いた塩水噴霧5,
000時間を実施した再現試験体Sの混成電位を調べ、
再現試験体Sの混成電位と参考例として求めたアルミニ
ウム支柱再不働態化電位との電位差(再現試験体混成電
位−アルミニウム支柱再不働態化電位差:mV)を調べ
た。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】表1に示す試験番号1〜5からも明らかな
ように、本発明の実施例では顕著な防蝕効果を示してお
り、コンクリート中で鋼材製の固定部材と接触したアル
ミニウム支柱においても長期間に渡ってメンテナンスフ
リーで使用できる防蝕方法であることが判明した。
【0031】
【発明の効果】本発明のによれば、アルミニウム又はア
ルミニウム合金からなるアルミニウム支柱で形成され、
地面に設置される種々のアルミニウム製施設体に対し
て、地上に露出した地上部の根元部分にその略全周に亘
って、亜鉛系金属、アルミニウム系金属、又はマグネシ
ウム系金属でリング状に形成された犠牲陽極を密着状態
に取り付けることにより、上記根元部分の密着状態に取
り付けること長期に亘って優れた防蝕効果を発揮し、メ
ンテナンスフリーで使用することができる。
【0032】また、本発明のアルミニウム製施設体の防
蝕具によれば、新たに設置される、あるいは、設置され
たばかりの新しい施設体のみならず、既に設置されて腐
蝕が始まっているような施設体に対しても適用すること
ができ、しかも、長期に亘って優れた防蝕性能を発揮せ
しめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例1に係るアルミニウ
ム製施設体の再現試験体の要部を示す斜視説明図であ
る。
【図2】 図2は、図1のリング状防蝕具及び再現試験
体埋設部を拡大して示す正面図である。
【図3】 図3は、図1及び図2のリング状防蝕具を拡
大して示す一部断面平面図である。
【符号の説明】
S アルミニウム製施設体の再現試験体 1 アルミニウム支柱 1a 地上部 1b 埋設部 2 フランジ部 3 鋼製フランジ 4 ステンレス鋼製ボルトナット(フランジ取り付け
用) 5 鉄筋 6 コンクリート地覆部 7 ボルト貫通孔 8 鋼製ボルトナット(防蝕リング取り付け用) 9 締結部 10 リング状防蝕具 10a、10b リング半体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なるアルミニウム支柱で形成され、地面に設置された際
    に地中に位置する埋設部と地上に位置する地上部とを有
    するアルミニウム製施設体の防蝕方法であり、上記施設
    体の地上部の根元部分には、亜鉛又は亜鉛合金からなる
    亜鉛系金属、アルミニウム又はアルミニウム合金からな
    るアルミニウム系金属、又はマグネシウム又はマグネシ
    ウム合金からなるマグネシウム系金属でリング状に形成
    された犠牲陽極の1種又は2種以上を、上記根元部分の
    略全周に亘って密着状態に取り付けることを特徴とする
    アルミニウム製施設体の防蝕方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム支柱の下端側が鋼材製の固
    定部材と連結している請求項1に記載のアルミニウム製
    施設体の防蝕方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウム製施設体が高欄である請求
    項1又は2に記載のアルミニウム製施設体の防蝕方法。
  4. 【請求項4】 犠牲陽極が、アルミニウム支柱の再不働
    態化電位よりも100mmV以上卑である電位を有する請
    求項1〜3に記載のアルミニウム製施設体の防蝕方法。
  5. 【請求項5】 犠牲陽極は、施設体の地上部の根元部分
    に締め付け状態で着脱可能に取り付けられる請求項1〜
    4のいずれかに記載のアルミニウム製施設体の防蝕方
    法。
  6. 【請求項6】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なるアルミニウム支柱で形成され、地面に設置された際
    に地上に位置する施設体の地上部の根元部分にその略全
    周に亘って締め付け状態で着脱可能に取り付けられる犠
    牲陽極であり、亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛系金属、
    アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウ
    ム系金属、又はマグネシウム又はマグネシウム合金から
    なるマグネシウム系金属でリング状に形成されていると
    共に、少なくともその1ヶ所で締結手段により締め付け
    られる締結部を有することを特徴とするアルミニウム製
    施設体の防蝕具。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009513477A (ja) * 2005-10-28 2009-04-02 ハイクリエイト インク. 硬化したコンクリート構造の処理のための耐蝕性組成物

Cited By (1)

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JP2009513477A (ja) * 2005-10-28 2009-04-02 ハイクリエイト インク. 硬化したコンクリート構造の処理のための耐蝕性組成物

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