JP2002226984A - 鋼材製施設体の防蝕方法及び防蝕具並びに防蝕構造 - Google Patents

鋼材製施設体の防蝕方法及び防蝕具並びに防蝕構造

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JP2002226984A
JP2002226984A JP2001151384A JP2001151384A JP2002226984A JP 2002226984 A JP2002226984 A JP 2002226984A JP 2001151384 A JP2001151384 A JP 2001151384A JP 2001151384 A JP2001151384 A JP 2001151384A JP 2002226984 A JP2002226984 A JP 2002226984A
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ground
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steel
corrosion
anticorrosion
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JP2001151384A
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English (en)
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Masayuki Hanazaki
昌幸 花崎
Junichi Oshiro
準一 大代
Yuichi Nishimura
祐一 西村
Hiromitsu Ishikawa
博光 石川
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 地面に設置される種々の鋼材製施設体に対し
て、たとえ豪雪地帯や重塩害地帯等で使用された場合で
も、長期に亘って優れた防蝕性能を発揮せしめることが
できる鋼材製施設体の防蝕方法及び防蝕具及び防蝕構造
を提供する。 【解決手段】 地面に設置された際に地中に埋設される
埋設部と地上に露出する地上部とを有する鋼材製施設体
の防蝕方法であり、上記施設体の地上部根元部分には、
亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛系金属、アルミニウム又
はアルミニウム合金からなるアルミ系金属、若しくはマ
グネシウム又はマグネシウム合金からなるマグネシウム
系金属で形成されて施設体に対し犠牲陽極となる防蝕具
3(3a、3b)を、この地上部根元部分の略全周に亘
って、かつ、施設体との間で通電可能に取り付けること
からなる鋼材製施設体の防蝕方法であり、また、そのた
めの防蝕具である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表面に亜鉛又は
亜鉛合金からなる亜鉛メッキ層を有する亜鉛メッキ鋼材
を始め、その他の金属メッキ鋼材、ステンレス鋼材等の
特殊鋼材、防蝕塗装等の塗装が施された塗装鋼材等の鋼
材で形成され、コンクリート面、アスファルト面、土面
等の地面に設置される種々の施設体の防蝕方法及び防蝕
具並びに防蝕構造に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材、例えば表面に亜鉛メッキ層を有す
る亜鉛メッキ鋼材は、強度に優れているだけでなく、亜
鉛メッキ層の犠牲陽極効果により耐久性にも比較的優れ
ており、その特徴を生かして道路、橋梁、公園、傾斜
地、崖淵等においてガードレール、高欄、標識柱、手摺
り、柵体、落石防止用柵、土留め用柵等の施設体として
頻繁に使用されている。
【0003】そして、このような鋼材製施設体は、ベ
ースアングルを介して支柱をコンクリート中の鉄筋と固
定した後、あるいは、支柱とコンクリート鉄筋とを直接
固定した後、コンクリートを流し込む埋め込み方式や、
ベースアングルを介して支柱を固定用鉄筋と固定、あ
るいは、支柱と鉄筋を直接固定して土壌中に埋設する埋
め戻し方式や、コンクリート中に支柱と同等の径の穴
を穿ち、支柱を打ち込むいわゆる打ち込み方式や、支
柱内径よりも一回り小さな外径を有するパイプ底部に鋼
板を溶接して得られたベースポストを用い、このベース
ポストをアンカーボルト等により地面に固定すると共
に、ボルトナット等により支柱をこのベースポストに固
定するベースポスト方式や、スリーブ付の支柱を用
い、予めコンクリート中から立ち上げたアンカーボルト
で支柱を固定するアンカーボルト方式や、底付き鋼管
柱に支柱をコンクリートで埋め込み、更にこの底付き鋼
管をコンクリート地覆部中に埋め込む箱抜き埋め込み方
式等の種々の方法で地面に設置され、地中(コンクリー
ト中、アスファルト中、土中等)に位置して埋設される
埋設部と地上(コンクリート面上、アスファルト面上、
土面上等)に位置して露出する地上部とを有する。
【0004】しかるに、本発明者らがこのような鋼材製
施設体の設置状態について調査してみると、施設体の設
置方法や周辺の環境等により多少の差異はあるものの、
一般に、施設体において地上に露出した地上部の根元部
分やコンクリート地覆部界面直下のコンクリート内部根
元部分等のように、水、電解質等の溜まり易い部位等に
発錆が集中しており、特に、施設体の地上部根元部分や
コンクリート内部根元部分における発錆の傾向は凍結防
止剤の散布を必要とする豪雪地帯や海塩粒子の飛来があ
る重塩害地帯等で顕著であることが判明した。
【0005】そこで、この問題について更に詳細に検討
した結果、豪雪地帯で路上に散布される凍結防止剤は一
般に岩塩、食塩、塩化カルシウム等の電解質であること
が多く、また、重塩害地帯で飛来する海塩粒子も同様に
電解質であり、しかも、このように散布され、あるい
は、飛来したこれらの電解質は施設体の地上部根元部分
付近に滞留する傾向があり、更にこれらの電解質は雨水
に極めて溶解し易いという性質を有していることから、
これらの要因が重なり合って、施設体の地上部根元部分
は他の部分に比べて比較的高濃度の電解質溶液に晒さ
れ、その結果として発錆が集中するとの考えに至った。
【0006】このような施設体の地上部根元部分におけ
る発錆の集中は、施設体の他の部分がほとんど健全な姿
で存在しているにも関わらず、施設体それ自体の早期倒
壊の原因になり、この早期倒壊を防止するために、地上
部根元部分以外についてはたとえ全く健全であっても施
設体の取替え工事が必要になることが多く、施設体それ
自体の寿命を顕著に短くする大きな原因になっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、地面に設置される種々の鋼材製施設体について、た
とえ豪雪地帯や重塩害地帯等に設置された場合でも、長
期に亘って優れた防蝕性能を発揮することができ、ま
た、必要により既に設置された施設体についても容易に
適用することができる鋼材製施設体の防蝕方法及び防蝕
具並びに防蝕構造について鋭意検討した結果、亜鉛系金
属、アルミ系金属、又はマグネシウム系金属で形成され
て施設体に対して犠牲陽極となる防蝕具を、施設体の地
上部根元部分にその略全周に亘って、かつ、施設体との
間で通電可能に取り付けることにより、施設体に対する
所望の防蝕性能を発揮せしめることが可能であることを
見出し、本発明を完成した。
【0008】従って、本発明の目的は、地面に設置され
る種々の鋼材製施設体に対して、たとえ豪雪地帯や重塩
害地帯等で使用された場合でも、長期に亘って優れた防
蝕性能を発揮せしめることができる鋼材製施設体の防蝕
方法を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、新たに設置される、あるいは、設置されたばかりの
新しい鋼材製施設体のみならず、既に設置されて腐蝕が
始まっているような施設体に対しても適用することがで
き、しかも、長期に亘って優れた防蝕性能を発揮せしめ
ることができる鋼材製施設体の防蝕具を提供することに
ある。更に、本発明の目的は、地面に設置される種々の
鋼材製施設体に対して、例えば地面が傾斜しているよう
な場合であっても、長期に亘って優れた防蝕性能を発揮
せしめることができる鋼材製施設体の防蝕構造を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、地
面に設置された際に地中に埋設される埋設部と地上に露
出する地上部とを有する鋼材製施設体の防蝕方法であ
り、上記施設体の地上部根元部分には、亜鉛又は亜鉛合
金からなる亜鉛系金属、アルミニウム又はアルミニウム
合金からなるアルミ系金属、若しくはマグネシウム又は
マグネシウム合金からなるマグネシウム系金属で形成さ
れて施設体に対し犠牲陽極となる防蝕具を、この地上部
根元部分の略全周に亘って、かつ、施設体との間で通電
可能に取り付けることを特徴とする鋼材製施設体の防蝕
方法である。
【0010】また、本発明は、地面に設置された際に地
中に埋設される埋設部と地上に露出する地上部とを有す
る鋼材製施設体の防蝕具であり、亜鉛又は亜鉛合金から
なる亜鉛系金属、アルミニウム又はアルミニウム合金か
らなるアルミ系金属、若しくはマグネシウム又はマグネ
シウム合金からなるマグネシウム系金属で形成されて犠
牲陽極になる防蝕具本体と、少なくともこの防蝕具本体
の1ヶ所に設けられて防蝕具本体を施設体に締付け状態
に取り付けるための締付部とを有し、上記施設体の地上
部根元部分にその略全周に亘って通電可能で、かつ、着
脱可能に取り付けられることを特徴とする鋼材製施設体
の防蝕具である。
【0011】更に、本発明は、地面に設置された際に地
中に埋設される埋設部と地上に露出する地上部とを有す
る鋼材製施設体の防蝕構造であり、上記施設体の地上部
根元部分には、亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛系金属、
アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミ系金
属、若しくはマグネシウム又はマグネシウム合金からな
るマグネシウム系金属で形成されて施設体に対し犠牲陽
極となる防蝕具がこの地上部根元部分の略全周に亘っ
て、かつ、施設体との間で通電可能に取り付けられると
共に、上記防蝕具の略水平な地面側端面と傾斜した地面
との間にこの地面の傾斜を吸収する補正層が介装されて
いることを特徴とする鋼材製施設体の防蝕構造である。
【0012】本発明において、本発明の防蝕方法及び防
蝕具並びに防蝕構造が適用される鋼材製施設体は、例え
ば亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛メッキ層を有する亜鉛
メッキ鋼材を始め、錫、アルミニウム、鉛、銅、クロム
等の金属又はその合金によりメッキ処理されたその他の
金属メッキ鋼材、ステンレス鋼材等の特殊鋼材、普通鋼
鋼材に重防蝕塗装等の塗装処理を施した塗装鋼材等の鋼
材で形成され、地面に設置された際に地中に埋設される
埋設部と地上に露出する地上部とを有するものであり、
例えば道路、橋梁、公園、傾斜地、崖淵等においてガー
ドレール、高欄、標識柱、手摺り、柵体、落石防止用
柵、土留め用柵等の施設体として、更には、ゴルフ練習
場のネット支持支柱、野球グランドのバックネット支持
支柱、又はカーポートの支持支柱として使用されるもの
であり、一般的には、強度に優れているだけでなく、亜
鉛メッキ層等の犠牲陽極効果や塗装等により耐腐蝕性や
耐久性においても比較的優れているものである。
【0013】本発明において、このような鋼材製施設体
にその防蝕を目的に適用される防蝕具は、亜鉛又は亜鉛
合金からなる亜鉛系金属、アルミニウム又はアルミニウ
ム合金からなるアルミ系金属、若しくはマグネシウム又
はマグネシウム合金からなるマグネシウム系金属で形成
され、施設体に対して犠牲陽極となる必要があり、この
施設体を構成する鋼基材の腐蝕電位よりも100 mV vs
SCE以上、好ましくは120 mV vs SCE以上卑であるこ
とが望ましい。このような亜鉛系金属、アルミ系金属、
及びマグネシウム系金属の具体例としては、例えば、純
亜鉛、Zn-0.3wt%Al、Al-3wt%Zn-0.02wt%In、Mg-9wt%Al-
1wt%Zn、Mg-6wt%Al-0.3wt%Zn等を挙げることができる。
【0014】また、犠牲陽極としての防蝕具は、鋼材製
施設体が亜鉛メッキ層を有する亜鉛メッキ鋼材製の施設
体である場合には、この亜鉛メッキ層の腐蝕に先駆けて
腐蝕し、亜鉛メッキ層の腐蝕をも可能な範囲で防止する
ことができるように、亜鉛メッキ層と同等若しくはそれ
以下の電位を持つものであるのがよい。
【0015】更に、本発明で用いる防蝕具本体の肉厚に
ついては、厚くても薄くても防蝕性能を発揮せしめるこ
とができるが、あまり薄すぎると消耗や破損が進み易く
なって交換が必要になるまでの期間が短くなり、反対
に、あまり厚くしすぎると効果が飽和するだけでなく、
コストも高くなって経済的でないので、通常1mm以上
25mm以下、好ましくは3mm以上20mm以下であ
るのがよい。肉厚が1mm以下では犠牲陽極となる防蝕
具本体の寿命が短くなるほか、鋳造や押出で製造するの
が困難になり、また、肉厚が25mmを超えると重量が
嵩んで取付作業性に影響を及ぼすほか、犠牲陽極となる
防蝕具本体の耐用年数が施設体の耐用年数を超えて経済
的でない。
【0016】また、本発明で用いる防蝕具本体の高さ寸
法についても、この防蝕具本体を施設体に取り付けるこ
とができさえすれば特に制限はないが、施設体の腐食状
況を調べてみると、一般に、腐食の約90%が地面より
高さ20mmまでの部分に集中し、また、地面より高さ
30mmまでの部分に腐食の約95%が集中し、更に、
地面より高さ50mmまでの部分に腐食の約98%が集
中しているので、通常は地面から20mm以上、好まし
くは30mm以上、より好ましくは50mm以上の高さ
があれば充分である。この防蝕具本体の高さ寸法につい
て、50mmを超えてあまり高くしても、材料費が嵩む
だけであまり経済的でない。
【0017】そして、上記防蝕具については、地面に設
置した際にその地上部根元部分に位置するように施設体
に取り付けられ、その際に、防蝕具は施設体の地上部根
元部分にその略全周に亘って、かつ、施設体との間で通
電可能な状態に取り付けられればよく、固着状態に取り
付けられても、また、締付け状態で着脱可能に取り付け
られてもよいが、好ましくは、亜鉛系金属、アルミ系金
属、又はマグネシウム系金属で形成されて施設体に対し
犠牲陽極となる防蝕具本体と、少なくともこの防蝕具本
体の1ヶ所、好ましくは1〜4ヶ所に設けられて防蝕具
本体を施設体に締付け状態に取り付けるための締付部と
を有し、この防蝕具本体を施設体の地上部根元部分に締
付け状態に取り付けることができ、かつ、犠牲陽極とな
る防蝕具本体が消耗した際に容易に交換できるように、
着脱可能に取り付けるのがよい。
【0018】この防蝕具本体の形状については、施設体
の地上部根元部分にその略全周に亘って取り付ける必要
があることから、好ましくはリング状に形成されるのが
よく、また、その全体の形状は、施設体の地上部根元部
分の横断面外形状に依存し、例えば、施設体の地上部根
元部分の横断面外形状が円形である場合には円形リング
状に形成され、矩形である場合には矩形リング状に形成
され、施設体の地上部根元部分がI型鋼、T型鋼、H型
鋼等で形成されていてそれぞれI字形、T字形、H字形
である場合にはI字形、T字形、H字形等のリング状に
形成される。
【0019】そして、防蝕具の締付部については、例え
ばボルトナット、ネジ、打込みピン、金属製又はプラス
チック製のバンド等の締結手段で防蝕具本体を施設体の
地上部根元部分に締付け状態に取り付けることができれ
ばよく、また、この締付部には必要により所定の大きさ
の隙間(締付け代)を用意しておき、施設体の地上部根
元部分に防蝕具本体を着脱可能に取り付けた際にこの防
蝕具本体が締付け状態で取り付けられるようにするのが
よい。
【0020】このように防蝕具に締付部を設け、犠牲陽
極となる防蝕具本体を施設体の地上部根元部分に締付け
状態で、かつ、着脱可能に取り付けることにより、防蝕
具本体が消耗した際にその交換が可能になるほか、既に
地面に設置されている施設体への適用も容易になり、し
かも、仮に施設体の地上部根元部分に腐蝕の始まり等に
起因する少々の凹凸面が存在しても、比較的柔らかい金
属(亜鉛系金属、アルミ系金属、又はマグネシウム系金
属)でリング状に形成された防蝕具本体は、この施設体
の地上部根元部分の凹凸面に倣って変形し、施設体側と
よく密着し、通電状態が確保されて優れた犠牲陽極とし
て機能することができる。
【0021】更に、上記防蝕具本体については、この防
蝕具本体が施設体の地上部根元部分に取り付けられた際
に、その地面側端面が地面に確実に接地するように取り
付けるのがよく、これによって、この接地した防蝕具本
体の地面側端面が犠牲陽極の防蝕電流の取出し口として
機能し、施設体の地上部根元部分に対する防蝕性能がよ
り一層向上する。
【0022】そして、この際に、防蝕具本体の地面側の
厚さ寸法(防蝕具本体がリング状に形成される場合には
その半径方向に相当する)を上端側の厚さ寸法(防蝕具
本体がリング状に形成される場合にはその半径方向に相
当する)より大きく形成したり、あるいは、防蝕具本体
の地面側端部に地面に沿って外側に突出するフランジ部
を設けることにより、この防蝕具本体の地面側端面がよ
り広い面積で地面に接地するように設計するのがよく、
これによって施設体に対する防蝕性能がより一層向上す
るほか、施設体の埋設部における地面近傍部分の腐蝕を
も可及的に防止することができる。犠牲陽極となる防蝕
具本体の地面側端面の面積が大きくなれば、防蝕電流の
取出し口がそれだけ大きくなり、より効率良く防蝕性能
を発揮せしめることができるようになり、施設体埋設部
の地面近傍部分の防蝕効果をも発揮されるものと考えら
れる。
【0023】ここで、施設体の埋設部における腐食の状
況を調べてみると、一般に、地面から深さ2mmまでが
70%を占め、また、5mmまでの深さが90%を占
め、更に、10mmまでの深さが95%を占めていて、
15mmまでの深さが99%に達しており、また、本発
明者らの経験的な知見によれば、この施設体埋設部の地
面近傍部分の腐食を防止するためには、防蝕具本体の地
面側の厚さ寸法を上記施設体埋設部の地面近傍部分にお
ける腐食の地面からの深さの3倍程度に設定すればよい
ことが判明した。
【0024】そこで、上記防蝕具本体において、地面側
の厚さ寸法をより大きく形成する場合の厚さ寸法、ある
いは、地面側端部にフランジ部を設ける場合のその突出
寸法については、特に制限されるものではないが、施設
体埋設部の地面近傍部分の腐蝕を可及的に防止するため
には少なくとも6mm以上あればよく、また、その上限
については、30〜50mmあれば施設体埋設部の地面
近傍部分の腐蝕の約95%を防蝕することができ、15
〜30mmの範囲であっても90%以上の防蝕効果が発
揮され、また、6〜15mmの範囲でも70%以上の防
蝕効果が発揮される。この厚さ寸法や突出寸法が6mm
より小さいと施設体埋設部の地面近傍部分の防蝕効果が
あまり発揮されず、反対に、50mmより大きくしても
その防蝕効果が飽和してあまり向上しない。
【0025】また、本発明において、上記防蝕具本体に
はその内周面であって施設体の地上部根元部分を挟んで
対称な位置に一対の突起及び/又は突条からなる突出部
を設け、これら一対の突出部により防蝕具本体が施設体
の外周面に通電可能に当接せしめると共にこの防蝕具本
体内周面と施設体外周面との間に比較的小さな空隙を形
成せしめ、これによって防蝕具本体が一対の突出部の間
を結ぶ直線を回転軸心として防蝕具本体内周面と施設体
外周面との間の空隙の分だけ回転し、防蝕具本体の地面
側端面が傾斜してその周方向略全周に亘って地面に接地
するように形成してもよい。このように構成することに
より、防蝕具本体を、施設体の地上部根元部分の全周に
亘って地面との間に隙間なく密着状態に取り付けること
ができるほか、少ない工数で、かつ、迅速に取り付ける
ことができる。
【0026】更に、防蝕具本体については、これを複数
の本体部材、好ましくは一対の又は3〜6個の本体部材
で構成し、これら各本体部材の間をボルトナット、ボル
ト止め、ビス止め、ネジ止め等や、凹溝と係止片、凹溝
と凸条、円弧部とC形片等の嵌合部や、角孔と打込みピ
ン等のピン結合部等の適当な連結手段で互いに連結する
と共に、これら連結部のいずれか1つを締付部としても
よく、より好ましくは、防蝕具本体を一対の本体部材で
構成し、形成される一対の連結部の一方又は双方を締付
部としてこの締付部を直接的に又は間接的に嵌合される
嵌合部で構成したり、あるいは、打込みピンを用いるピ
ン結合部で構成するのがよい。この構成によれば、施設
体の地上部根元部分に各本体部材を配置してその端部の
間を適当な連結手段で連結し、締付部とされた例えばボ
ルトナット等により締め付けることにより、犠牲陽極と
なる防蝕具本体を上記地上部根元部分の全周に亘ってほ
ぼ密着状態に、しかも、少ない工数でかつ迅速に取り付
けることができる。ここで、上記間接的に嵌合される嵌
合部とは、一対の本体の端部を別部材を介して嵌合する
形態を示すものである。
【0027】更にまた、鋼材製施設体が設置されている
地面が傾斜しているような場合、犠牲陽極となる防蝕具
本体の内周面に一対の突起及び/又は突条からなる突出
部を設けることに代えて、防蝕具本体の略水平な地面側
端面と傾斜した地面との間にこの地面の傾斜を吸収する
モルタル、コンクリート、透水スポンジ、カルボキシメ
チルセルロースやベントナイト等からなるバックフィル
材等の補正層を介装した防蝕構造としてもよく、これに
よれば、傾斜した道路や断崖であっても、それらの設置
面と防蝕具本体の地面側端面を確実に接地させることが
でき、防蝕具本体の犠牲陽極としての機能をより確実か
つ十二分に発揮せしめることができる。
【0028】なお、防蝕具本体については、アルミニウ
ム合金の押出形材をその押出方向と直角に切断して得ら
れたアルミ押出形材で形成することにより、前記嵌合部
やピン結合部を含めて予め一体に成形することができ、
より少ない加工により精度良い防蝕具本体を低コストで
製造することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例、及び試験
例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説
明する。
【0030】実施例1 図1に示すように、114.3mmφ×500mmL×4.
5mmtの大きさの鋼管表面に目付量550g/m2の溶融亜
鉛メッキ処理が施された亜鉛メッキ鋼管1を用い、その
1/2の長さまでマスキングした後、沸騰状態の20wt%-
水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、非マスキング部分
の亜鉛メッキ層を剥離し、次いで中和し、水洗し、及び
乾燥して亜鉛メッキ層を剥離した側をコンクリート中に
200mmLまで埋め込み、下端側にはコンクリート製の
地覆部2を有すると共に、設置した際には地覆部2中に
埋設した埋設部1aと地覆部2から露出して地上に位置す
る地上部1bとを有し、また、この地上部1bの根元部分に
は地肌の鋼が50mmLの長さで露出した亜鉛メッキ鋼管
製ガードレール用支柱(鋼材製施設体)Sを調製した。
【0031】また、図1〜図3に示すように、純亜鉛
(100%Zn)、アルミニウム中に3重量%のZnと0.0
2重量%のInとを含むアルミ系金属のAl-3wt%Zn-0.02
wt%In合金、又は、マグネシウム中に9重量%のAlと
1重量%のZnとを含むマグネシウム系金属のMg-9wt%A
l-1wt%Zn合金を用い、一対の半円形状のリング半体(本
体部材)3a,3bからなる防蝕具本体3と、これら各防蝕
具本体3の両端部に形成され、貫通孔4aを介してボルト
ナット(締結手段)5で締結された締付部4とからな
り、内径115.0mmφ×50mmL×10mmtの大きさ
を有する2分割ボルトナット締結式のリング状防蝕具P
をそれぞれ調製した。
【0032】このようにして作製した亜鉛系金属製、ア
ルミ系金属製、又はマグネシウム系金属製のリング状防
蝕具Pを、図1〜図3に示すように、ガードレール用支
柱Sの地上部1bの根元部分(地肌の鋼の露出部分)にボ
ルトナット5を用いて取り付け、しっかりと締め付けて
固定し、試験番号1〜8のガードレール用支柱Sを準備
した。この際に各リング半体3a,3bの締付部4間には約
3mmの隙間dが形成されていた。
【0033】このようにして調製された試験番号1〜8
のガードレール用支柱Sについて、硫酸でpH5に調整
した5wt%-塩化ナトリウム水溶液を用い、塩水噴霧時間
1,000時間及び5,000時間の塩水噴霧試験(JI
S Z 2371)を実施し、各ガードレール支柱Sの発錆状
況、特にコンクリート地覆部2と地上部1bとの界面(地
覆界面)及びリング状防蝕具Pの内面が接する地上部1b
の根元部分(根元部分)における発錆状況を調べ、◎:
極めて良好、△:部分発錆、 ××:著しい発錆、の3
段階評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】また、各ガードレール用支柱Sの作製に使
用した亜鉛メッキ鋼管1について、沸騰状態の20重量
%水酸化ナトリウム溶液中で5分間浸漬して亜鉛メッキ
層を除去した後の鋼管表面において、上記塩水噴霧試験
で用いた5wt%-塩化ナトリウム水溶液中でポテンシオス
タットを用いてアノード、カソード分極測定を行い、そ
の腐蝕電位を求めると共に、各リング状防蝕具Pについ
て、同様に上記塩水噴霧試験で用いた5wt%-塩化ナトリ
ウム水溶液中に24時間浸漬してその浸漬電位を調べ、
亜鉛メッキ鋼管1と各リング状防蝕具Pとの間の電位差
(支柱−防蝕具間電位差:mV vs SCE)を調べた。結果を
表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 図4(A)及び(B)並びに図5(A)及び(B)は、本
発明による鋼材製施設体Sの防蝕具Pの他の実施例2を
示す。この実施例2では、鋼材製施設体Sは、道路の路
肩に沿った地覆部2からなる地面2a上に立設される車両
用防護柵を支持する支柱である。地覆部2は、鉄筋を内
臓するコンクリート又はモルタルからなる。また、施設
体Sを構成する支柱は、中空部を有すると共に表面に亜
鉛メッキ層を有する亜鉛メッキ鋼管からなり、地覆部2
内に埋設された埋設部1aとこの地覆部2から地上に露出
した地上部1bとを有している。
【0037】地覆部2上に位置する施設体Sの地上部1b
根元部分には、その全周を囲む円形のリング形状を呈す
る防蝕具(犠牲陽極)Pが配置されている。この防蝕具P
は、図5(A)及び(B)に詳細に示されているよう
に、その防蝕具本体3がそれぞれ略半円形状に形成され
た一対の本体部材3a,3bからなり、また、これら各本体
部材3a,3bはAl-3wt%Zn-0.02wt%Inのようなアルミニウ
ム合金の鋳物で形成され、施設体Sを形成する亜鉛メッ
キ鋼管の腐蝕電位よりも卑であり、かつ、100mV vs
SCE以上卑な腐蝕電位を有する。
【0038】そして、防蝕具本体3を構成する各本体部
材3a,3bは、その地面側端面6の厚さ寸法が20mmで
あってその上端面7の厚さ寸法3mmより大きく形成さ
れ、また、その内周面の中央部には施設体Sの外周面に
接触し、かつ、施設体Sの軸心を挟んで互いに対称な位
置に、円形でかつ偏平な突起8が設けられ、また、上記
施設体S外周面と防蝕具本体3内周面との間には比較的
小さな隙間が形成されている。すなわち、各本体部材3
a,3bは、図5(B)に示すように、厚さ寸法の大きい
(すなわち、幅広の)地面側端面6を有するため、地覆
部2の地面2a上に確実に接地し、かつ、突起8を中心に
回転可能であるため、たとえ地覆部2の地面2aが多少傾
斜していたり、あるいは、施設体Sが多少傾いていて
も、この施設体Sの地上部1bの根元部分に隙間なく、か
つ、確実に取り付けることができる。
【0039】そして、この防蝕具Pの本体部材3a,3b
は、図4(B)及び図5(A)に示されているように、その
一方の端部9a,9bにおいて断面略L字形で互いに嵌合す
る嵌合部10a,10bを有し、また、本体部材3aの他方の端
部11aには、その傾斜面に設けた凹部12から接線方向に
延びる通し孔13が形成され、本体部材3bの他方の端部11
bには、通し孔13に連通する雌ネジ穴14が形成されてお
り、通し孔13を有する端部11a、雌ネジ穴14を有する端
部11b、及び上記通し孔13を貫通して雌ネジ穴14に螺合
する止めボルト15が防蝕具Pの締付部を構成している。
【0040】上記防蝕具Pを施設体Sに取り付けるに際
しては、先ず、施設体Sの地上部1b根元部分に対し先ず
防蝕具本体3の一方の本体部材3aを配置した後、その嵌
合部10bに他方の本体部材3aの嵌合部10aを嵌合させつつ
この本体部材3aを対称位置に配置し、これら本体部材3
a,3bの各端部11a,11bを互いに接近させる。次いで、
図5(A)に示すように、頭部に六角穴を有する止めボル
ト15を本体部材3aの凹部12から通し孔13に貫通せしめ、
この止めボルト15をレンチにより回転させて本体部材3b
の雌ネジ穴14に軽くネジ込んで仮締付けを行う。この状
態で、地覆部2の地面2aが僅かに傾斜している場合に
は、図5(B)中の矢印で示すように、突起8を回転中心
として各本体部材3a,3bを回転させ、その地面側端面6
を地面2aに密着させる。そして、止めボルト15を更に締
め付けることにより、本体部材3a,3bと施設体Sの地上
部1b根元部分との間を締付け状態とし、本体部材3a,3b
で構成される防蝕具本体3内周面と施設体S外周面との
間を上記各突起8を介して確実に通電可能に接触し、ま
た、防蝕具本体3内周面と施設体S外周面との間の隙間
が可及的に小さくなって概ね密着状態が形成される。な
お、止めボルト15は、防蝕具Pを構成する本体部材3a,
3bのアルミニウム合金の腐蝕電位よりも貴な材質で形成
されていることが望ましいが、同じ材質であっても差し
支えない。
【0041】更に、防蝕具Pは、図5(B)に示すよう
に、本体部材3a,3bの地面側端面6が地覆部2の地面2a
上に広い面積で密着すると共に、施設体Sの地上部1b根
元部分との隙間が最小限になった状態でこの地上部1b根
元部分にほぼ密着した状態で配置される。このため、塩
分等の電解質成分を含む水が施設体Sと防蝕具Pとの隙
間に溜まり、これら施設体S、防蝕具P及び地覆部2と
の間で腐蝕電流が発生しても、鋼材製の施設体Sに対し
て防蝕具Pが優先的に腐蝕し、この鋼材製施設体Sの腐
蝕、すなわち発錆が未然に防止される。
【0042】従って、防蝕具Pを用いることにより、高
欄の支柱のような鋼材製施設体Sを長期間に亘って発錆
(腐蝕)から保護し、安全性等の機能を安定して確保す
ることができる。また、防蝕具Pは、本体部材3a,3bで
構成される防蝕具本体3の上端面7の厚さ寸法が比較的
小さく形成されているので、施設体Sからの突出寸法が
小さく、不用意な接触事故等を防止することもできる。
【0043】実施例3 図6は、本発明の他の実施例3を示すものであり、鋼材
製施設体Sに防蝕具Pが取り付けられた防蝕構造を含む
ものである。図6(A)に示すように、地覆部2はその地
面2aが傾斜しており、そして、鋼材製施設体Sを構成す
る支柱の地上部1bはこの地覆部2の傾斜と無関係に垂直
に立設されている。
【0044】防蝕具Pは、図6(B)に示すように、その
防蝕具本体3が略半円形状に形成された一対の本体部材
3a,3bからなり、これらは前記と同じアルミニウム合金
の鋳物で形成されて施設体Sの鋼基材に対して卑の犠牲
陽極となる。上記各本体部材3a,3bは、その上端が半円
形の稜線で、かつ、所要幅の地面2a側端面6を有して断
面略三角形状に形成されていると共に、両端部にはそれ
ぞれ三角形状の垂直板16が設けられており、これら各垂
直板16には突き合わせた際に互いに同じ位置にある通し
孔17が開設されている。
【0045】この実施例3において、鋼材製施設体Sに
防蝕具Pを取り付けて防蝕構造を得る際には、図6(A)
に示すように、先ず施設体Sの地上部1b根元部分周囲の
傾斜した地面2a上に、上面が水平となるように、モルタ
ルMを盛り付けて補正層を形成し、次に、このモルタル
Mが固化した後、施設体Sの地上部1b根元部分を挟んで
対称に本体部材3a,3bを配置し、両端の垂直板16同士を
ほぼ面接触させ、この状態で通し孔17内にボルト5aを貫
通し、これにナット5bを締結して締め付ける。この実施
例3において、通し孔17を有する一対の垂直板16とこれ
ら垂直板16間を締結するボルトナット5が防蝕具Sの締
付部を構成する。
【0046】これにより、防蝕具Pの本体部材3a,3b
は、その地面2a側端面6がモルタルMを介して地覆部2
上の地面2aに密着し、その内周面も同時に施設体Sの地
上部1b外周面に密着する。従って、電解質成分を含む水
が施設体Sの地上部1b根元付近に溜まり、施設体Sの地
上部1b、地覆部2、モルタルM、及び防蝕具Pの間で腐
蝕電流が発生しても、鋼材製施設体Sに対して防蝕具P
が優先的に腐蝕する犠牲陽極として作用し、この鋼材製
施設体Sの発錆(腐蝕)を未然に防止する。
【0047】なお、図6(C)は、前記防蝕具Pの変形例
を示すもので、この変形例に係る防蝕具Pもその防蝕具
本体3が略半円形状に形成された一対の本体部材3a,3b
で構成されており、また、これら各本体部材3a,3bはア
ルミニウム合金の鋳物で形成されて犠牲陽極となるもの
であり、その上端が半円形の稜線で、かつ、その地面2a
側端面6が所定の厚さ寸法を有して断面略三角形状とな
っている。この変形例の防蝕具Pにおいては、図6
(A)及び(B)の場合と異なり、一方の本体部材3aの
両端部18付近の外面(傾斜面)に凹部19が形成され、こ
の凹部19から接線方向に延びる通し孔17が形成されてお
り、また、他方の本体部材3bの両端面にはそれぞれ通し
孔17に連通する雌ネジ穴20が形成されており、図示外の
止めボルトを通し孔17から挿通して雌ネジ穴20内にネジ
込むことによって防蝕具Pを施設体Sに取り付けるよう
になっている。
【0048】また、図7は、この実施例3に係る防蝕構
造の変形例を示すものであり、第6図(A)の場合と同
様に、地覆部2はその地面2aが傾斜しており、そして、
鋼材製施設体Sを構成する支柱の地上部1bはこの地覆部
2の傾斜と無関係に垂直に立設されている。この変形例
においては、第6図(A)のモルタルMを盛り付けた補
正層に代えて、地覆部2における施設体Sの地上部1b根
元部分の周辺に、底面が水平であって高さが防蝕具Pの
高さ寸法と同じあるいはそれ以下であり、防蝕具Pがそ
の地面側からその一部又は全部が入る大きさの設置溝穴
2bが穿設され、防蝕具Pはこの設置溝穴2b内に位置させ
て取り付けられており、これによって地覆部2の地面2a
の傾斜を吸収している。
【0049】実施例4 図8(A)及び(B)は、本発明の他の実施例4を示すもの
であり、防蝕具Pは、図8(B)に示すように、その防蝕
具本体3が略半円形状に形成された一対の本体部材3a,
3bで構成されており、これらは前記と同じアルミニウム
合金の鋳物で形成されて施設体Sの鋼基材に対して卑の
犠牲陽極となる。
【0050】一方の本体部材3aは、その内周面中央部に
丸い突起8を有し、また、その一方の端部の中間位置に
外向きの偏寄部21及びこれを垂直方向に貫通する通し孔
22とを有し、更に、その他端にL形片23とその内面に位
置する凹溝24及び断面三角形の係止条25を有している。
また、他方の本体部材3bは、その内周面中央部に丸い突
起8を有し、また、一方の端部の上下位置に外向きの偏
寄部26、上記本体部材3aの偏寄部21を受け入れる切欠き
部27及び偏寄部26を垂直方向に貫通する通し孔28を有
し、更に、他端には外側の平坦部29とこれに隣接する外
向きで断面三角形の係止条30とを有している。この実施
例4において、本体部材3aの凹溝24と本体部材3bの係止
条30とが互いに嵌合する嵌合部を構成している。
【0051】この実施例4の防蝕具本体3を構成する本
体部材3a,3bは、例えば、次のようにして形成される。
先ず、図8(A)に示す本体部材3a,3bの断面形状を有す
るアルミニウム合金の押出形材を個別に成形する。両方
の押出形材には、それらの内周面の突起8に相当する突
条と、偏寄部21又は偏寄部26に形成される通し孔22又は
通し孔28に相当する貫通孔とが一体に形成される。次
に、これらの押出形材は、その押出方向と直角に所定の
長さで切断され、次いで各押出形材の内周面に存在する
突条を切削加工して突起8を形成し、更に、一方の押出
形材の一端では上下部を切欠き加工して、通し孔22を有
する偏寄部21を形成して本体部材3aとし、また、他方の
押出形材の一端ではその中間部を切欠き加工して、上下
位置にそれぞれ通し孔28を有する偏寄部26と切欠き部27
とを形成して本体部材3bとする。
【0052】次に、この実施例4の防蝕具Pを施設体S
の地上部1b根元部分に取り付けるための手順を以下に説
明する。先ず、図8(A)及び(C)に示すように、本
体部材3aの偏寄部21を本体部材3bの切欠き部27内に挿入
し、これら本体部材3a,3bの各通し孔22,28の位置を一
致させ、これら通し孔22,28内にヒンジピン31を挿通
し、本体部材3a,3bを連結する。このヒンジピン31は、
本体部材3a,3bと同じ材質か、又は本体部材3a,3bの腐
蝕電位よりも貴な腐蝕電位を有する材質で形成されてい
ることが望ましい。
【0053】次に、上記ヒンジピン31を回転中心とし
て、本体部材3a,3bの他端側を大きく開き、施設体Sの
地上部1b根元部分に配置した後、開いた本体部材3a,3b
の他端側を閉じるようにして、係止条25,30を互いに接
近させておき、更に、図8(C)に示すように、例えば帯
鋼からなる一対の円弧片32をヒンジ33で連結してなり、
各円弧片32にはその端部に放射方向に延びた柄34を有す
ると共にその端部よりの内面側には押片35を有する治具
36を、上記本体部材3a,3bの外側に配置し、図中矢印で
示すように、各円弧片32の柄34を互いに接近する方向に
押圧し、これによって、本体部材3bの係止条30が本体部
材3aの係止条25の斜面を乗り越えて凹溝24内に嵌合する
ようにこれら本体部材3a,3bを押圧する。
【0054】この結果、図8(A)に示すように、防蝕具
本体3の本体部材3a,3bは、その各突起8が施設体Sの
地上部1b根元部分の外周面に締付け状態で接触し、ほぼ
密着した状態で取り付けられる。この際、施設体Sが立
設された地覆部2の地面2aが傾斜している場合には、上
記各突起8を回転中心として各本体部材3a,3bを傾斜さ
せることにより、防蝕具本体3の地面側端面を地覆部2
の地面2a上に隙間なく接地させることができる。従っ
て、電解質成分を含む水が施設体Sの地上部1b根元付近
に溜まり、この施設体S、地覆部2、及び防蝕具本体3
との間で腐蝕電流が発生しても、鋼材製施設体Sに対し
てアルミ系金属の防蝕具本体3が犠牲陽極として優先的
に腐蝕し、施設体Sの発錆を効果的に防止することがで
きる。
【0055】なお、図8(D)は、前記防蝕具Pの変形例
を示すもので、この変形例に係る防蝕具Pもその防蝕具
本体3が略半円形状に形成された一対の本体部材3a,3b
で構成されており、これらは個別に成形したアルミニウ
ム合金の押出形材をその押出方向と直角に所定長さで切
断して形成したものであり、内周面の中央部にそれぞれ
突条37が形成されている。また、この変形例において
は、上記防蝕具Pとは異なり、一方の本体部材3aの一端
に形成されたL形片23には切欠き加工により係止条25の
中間部分を含む矩形の貫通孔38が形成されている。
【0056】この変形例に係る防蝕具Pによれば、上述
した図8(C)に示す治具36を用いることなく、本体部
材3aの貫通孔38内に図示外の押し棒の先端を挿入し、こ
の押し棒を梃子にしてL形片23を本体部材3b方向に押し
付けることにより、本体部材3aの係止条25をして本体部
材3bの係止条30の斜面を乗り越えさせ、本体部材3bの係
止条30を凹溝24内に嵌合させることができる。
【0057】実施例5 図9(A)及び(B)は、本発明の更に他の実施例5を示す
ものであり、防蝕具Pは、図9(B)に示すように、その
防蝕具本体3が略半円形状に形成された一対の本体部材
3a,3bで構成されており、これらは前記と同様にアルミ
ニウム合金の鋳物で形成されて施設体Sの鋼基材に対し
て卑の犠牲陽極となる。
【0058】防蝕具本体3を構成する一方の本体部材3a
は、その内周面の中央部に丸い突起8を有すると共に、
その一端の中間に外向きの偏寄部21及びこれを貫通する
通し孔22を有し、また、他端には中間部の切欠き部39を
挟んで上下一対の太幅部40と、これら太幅部40に開設さ
れ、かつ、長手寸法が互いに異なる角孔41a,41bとを有
している。また、防蝕具本体3を構成する他方の本体部
材3bも、内周面の中央部に図示しない突起8を有すると
共に、その一端の上下に外向きの偏寄部26、これを貫通
する上下の通し孔28、及び上記本体部材3aの偏寄部21を
受け入れる切欠き部27を有し、他端の中間部には太幅部
42とこれに開設され、かつ、長手寸法が上記本体部材3a
の角孔41a,41bの中間である角孔43とを有している。
【0059】更に、この実施例5の防蝕具Pにおいて
は、図9(B)に示すように、上記角孔41a,41b,43をそ
の上方から下方に向けて貫通する先(下)細形の打込みピ
ン44が用意され、この打込みピン44をこれら角孔41a,4
1b,43内に押し込むことにより、一対の本体部材3a,3b
が互いに結合して施設体Sの地上部1b根元部分に取り付
けられるようになっている。この実施例5において、打
込みピン44は本体部材3a,3bと同じ材質か又は本体部材
3a,3bの腐蝕電位よりも貴な電位を有する材質で形成さ
れ、また、この打込みピン44と角孔41a,41b,43とがピ
ン結合部を構成している。なお、この実施例5の防蝕具
本体3を構成する本体部材3a,3bも、上記実施例4の場
合と同様に、断面形状で個別に成形されたアルミニウム
合金の押出形材をその押出方向と直角に所定長さで切断
した後、両端や中央部を切欠き加工等して形成される。
【0060】この実施例5の場合においても、上記実施
例4の場合と同様に、ヒンジピン26を用いて本体部材3
a,3bを連結し、施設体Sの地上部1b根元部分に配置し
た後、本体部材3bの太幅部42を本体部材3aの太幅部40の
切欠き部39内に挿入して互いに重複させ、本体部材3aの
角孔41a側から打込みピン44の先細部を挿入し、順次角
孔41a、角孔43、及び角孔41bの順でこの打込みピン44を
挿入させることにより、防蝕具Pを施設体Sに取り付け
る。この場合にも、上記実施例4の場合と同様に、防蝕
具Pを施設体Sの地上部1b根元部分に、地面2aに接地さ
せつつほぼ密着状態に取り付けることができ、施設体S
の発錆を効果的に防止することができる。
【0061】図9(C)及び(D)は、この実施例5の防蝕
具Pの変形例を示すもので、図9(A)及び(B)の場合と
は異なり、各本体部材3a,3bの中央部にそれぞれ図8
(D)の場合と同様の突条37が形成されていると共に、そ
の一端部には、図9(B)の本体部材3bの一端に形成さ
れたと同様の太幅部42及び角孔43が形成され、また、そ
の他端部には図9(B)の本体部材3aの一端に形成され
たと同様の切欠き部39、上下一対の太幅部40及び長手寸
法が互いに異なる角孔41a,41bが形成されており、更
に、実施例5の場合と同様の2本の打込みピン44が用意
されている。なお、これら各本体部材3a,3bは互いに全
く同じ形状に形成されているので、それだけこの本体部
材3a,3bの製造が容易になる。
【0062】実施例6 図10(A)及び(B)は、本発明の実施例6に係る防蝕具
Pを示すものであり、上記各実施例1〜5の場合とは異
なり、防蝕具本体3が、図10(B)に示すように、比較
的大きな円弧状をなす一対の本体部材3c,3dと、これら
本体部材3c,3dの一端部間に嵌合されてこれら本体部材
3c,3d間を連結する比較的小さな円弧状に形成された本
体部材3eとで構成されており、いずれも上記実施例2〜
5の場合と同様に、アルミニウム合金の押出形材で形成
されて施設体Sの鋼基材に対して犠牲陽極となるもので
ある。
【0063】そして、上記本体部材3cは、内周面の中央
部に円形で偏平な突起8を有すると共に、その一端の中
間部には外向きの偏寄部21及びこれを貫通する通し孔22
とを有し、また、他方の端面には底広凹溝45を有してい
る。また、本体部材3dは、内周面の中央部に図示しない
突起8を有すると共に、一端の上下に外向きの偏寄部2
6、上記本体部材3cの偏寄部21を受け入れる切欠き部2
7、各偏寄部26を貫通する通し孔28を有し、また、他方
の端面には底広凹溝45を有している。更に、本体部材3e
は、その両端面に上記本体部材3c,3dに形成された底広
凹溝45内に嵌合する先太凸条46を有している。これら本
体部材3c,3d,3eにおいて、底広凹溝45と先太凸条46と
は、互いに嵌合して連結される防蝕具本体3の嵌合部を
構成している。
【0064】この実施例6の防蝕具Pにおいても、実施
例5の図9(B)及び(B)の場合と同様にヒンジピン
31を用いて一対の本体部材3c,3d間を連結し、次いで施
設体Sの地上部1b根元部分に配置した後、各本体部材3
c,3dの端部に形成した底広凹溝45内に本体部材3eの両
端部に形成した先太凸条46を嵌合してこれら一対の本体
部材3c,3d間を間接的に連結することにより、防蝕具P
を施設体Sに取り付けることができる。
【0065】実施例7 図11(A)及び(B)は、実施例7に係る防蝕具Pを示す
ものであり、その防蝕具本体3が略半円形状をなす一対
の本体部材3a,3bで形成されており、上記各実施例1〜
5の場合とは異なり、本体部材3aには、その内周面の中
央部に突条37が形成され、また、その一端部には外向き
の嵌合部47が、更に、その他端部には外向きの傾斜面48
及びこれに隣接する凹溝49がそれぞれ形成されている。
また、本体部材3bには、その内周面の中央部に突条37が
形成され、また、その一端部には内向きの嵌合部50が、
更に、その他端部には内向きの傾斜面51及びこれに隣接
して上記本体部材3aの凹溝49と嵌合する係止片52がそれ
ぞれ形成されている。この実施例7において、上記本体
部材3aの嵌合部47、傾斜面48及び凹溝49と本体部材3bの
嵌合部50、傾斜面51及び係止片52は防蝕具本体3の嵌合
部を構成している。
【0066】この実施例7の防蝕具Pにおいては、図1
1(A)に示すように、先ず本体部材3aを施設体Sの地上
部1b根元部分に配置し、次いで本体部材3bをその一端の
嵌合部50を本体部材3aの嵌合部47に嵌合させつつ地上部
1b根元部分に配置し、更に、本体部材3bの他端側を外向
き弾性変形させつつ、その係止片52を本体部材3aの傾斜
面48を乗り越えさせ、更に凹溝49内に嵌合させることに
より、取り付けることができる。
【0067】実施例8 図12(A)及び(B)は、実施例8に係る防蝕具Pを示す
ものであり、上記実施例7の場合と異なり、防蝕具本体
3を構成する各本体部材3a,3bの他端部にはその幅方向
全長に亘って延び、かつ、外側(半径方向)に向けて突
出する薄板部53及びその先端に形成された断面略半円形
状の円弧部54とが形成されている。そして、この実施例
8の防蝕具Pにおいては、施設体Sの地上部1b根元部分
への装着時に、スリット溝56を有して断面略C形状のC
形片55を、このスリット溝56内に上記各本体部材3a,3b
の薄板部53及び円弧部54を嵌合せしめ、これによって取
り付けるようになっている。なお、この実施例8におい
て、各本体部材3a,3bの薄板部53及び円弧部54とC形片
55とは防蝕具本体3の間接的に連結される嵌合部を構成
する。
【0068】更に、図12(C)及び(D)は、上記実施例
8の防蝕具Pの変形例を示すものであり、図12(A)及
び(B)の場合とは異なり、防蝕具本体3を構成する各本
体部材3a,3bの他端部にはその幅方向全長に亘って延
び、かつ、外側(半径方向)に向けて突出する直線部57
及びその先端に形成された断面略半円形状の円弧部58と
が形成されており、更に、上記各直線部57には複数(こ
の変形例では2個)の通し孔59が穿設されている。
【0069】そして、この変形例においては、図12
(A)及び(B)の場合とは異なり、本体部材3a,3bの他端
部は、図12(C)に示されているように、一対のボル
トナット5を用いて締結されている。また、この変形例
においては、各本体部材3a,3bの直線部57及び円弧部58
並びに一対のボルトナット5が防蝕具本体3の締付部を
構成している。
【0070】更に、この変形例では、上記各本体部材3
a,3bの円弧部58によって締付部に円筒形部が形成され
るが、この円筒形部は、道路側とは反対の地覆部2の地
面2a上に接地させるのがよく、これによってそれだけ防
蝕電流の取出し口が大きくなつてより効率良く防蝕性能
を発揮せしめることができるほか、例えば落下防止用網
フェンスの支柱の支持部、速度表示の標識の支柱、反射
鏡、又は旗竿の支持部として活用することもできる。
【0071】実施例9 図13(A)及び(B)は、本発明の他の実施例9に係
る鋼材製施設体Sの防蝕具Pを示すものであり、図4
(A)及び(B)並びに図5(A)及び(B)に示す実施
例2の場合とは異なり、防蝕具本体3を構成する各本体
部材3a,3bのない周面はその略全面で施設体Sの地上部
1b根元部分の外周面に密着しており、また、各本体部材
3a,3bの地面側端面6には半径方向に延びる複数の排水
条溝(この実施例9では2条の条溝)60aが形成されて
いると共に、その内周面には縦方向に延びる複数の排水
条溝(この実施例9では3条の条溝)60bが形成されて
いる。
【0072】従って、この実施例9の防蝕具Pにおいて
は、複数の排水条溝60a,60bにより、施設体Sの地上部
1b根元部分の外周面と防蝕具本体3の内周面との間に、
長期に亘って雨水が滞留することがなく、比較的乾燥し
た状態に維持されるので、鋼材製施設体Sは防蝕具Pに
よる防蝕効果がより一層長期に亘って効果的に発揮され
るほか、冬期に施設体S外周面と防蝕具本体3内周面と
の間に滞留した雨水が凍結して防蝕具本体3が損傷する
のを未然に防止することができる。
【0073】試験例1 図14に示すように、114.3mmφ×700mmL×
4.5mmtの大きさの鋼管表面に目付量550g/m2の溶
融亜鉛メッキ処理が施された亜鉛メッキ鋼管、又はこの
亜鉛メッキ鋼管から亜鉛メッキ層を除去して得られた鋼
管(以下、これらを単に「鋼管1」という)を用い、そ
の上部(地上部1b)100mmが露出するように、その下
部(埋設部1a)を250mmφ×600mmLの円柱状のコ
ンクリート中に埋め込み、試験用支柱Tを形成した。
【0074】次に、この試験用支柱Tにおいて鋼管1の
地上部1bには、高さ30mmであってコンクリートの地覆
部2に接地される地面側端面の厚さ寸法が0.1〜70
mmであるAl-3wt%Zn-0.02wt%In合金製のリング状防蝕具
を、ボルトナットで締結して取り付け、試験No.1〜1
0の試験用施設体を形成した。
【0075】このようにして調製した各試験用施設体に
ついて、硫酸でpH5に調整した5wt%塩化ナトリウム
水溶液を用い、塩水噴霧時間1,000時間、5,00
0時間、及び10,000時間の塩水噴霧試験(JIS Z
2371に準拠)を実施し、コンクリートの地覆部2界面よ
り上部30mmの地上部1b根元部分の発錆状況(地上部防
錆効果)と、コンクリートの地覆部2界面より下部30
mmの埋設部1a地面近傍部分の発錆状況(埋設部防錆効
果)とを調べると共に、地覆部2界面より下部30mmを
除く570mmの埋設部1aにおいて発錆が認められない距
離を測定し、埋設部防蝕有効距離として評価し、更に、
1000時間経過後の時点でコンクリートの地覆部2界
面とコンクリート内部に埋め込まれた鋼管1の下端部と
の間の支柱コンクリート埋込部自然電位測定を行い、最
終コンクリート表面電位として評価した。結果を表2に
示す。
【0076】
【表2】
【0077】表2の結果から明らかなように、地上部防
錆効果については試験No.1〜10の試験用施設体のい
ずれも良好な結果を示しており、埋設部防錆効果につい
ては試験No.1(地面側端面の厚さ寸法が0.1mmの場
合)の場合に1000時間までは良好であったが500
0時間を超えると部分発錆が始まり、また。試験No.2
〜10の試験用施設体においてはいずれも充分な埋設部
防蝕有効距離を示した。
【0078】
【発明の効果】本発明の鋼材製施設体の防蝕方法によれ
ば、地面に設置される種々の鋼材製施設体に対して、た
とえ豪雪地帯や重塩害地帯等で使用された場合でも、長
期に亘って優れた防蝕性能を発揮せしめることができ
る。また、本発明の鋼材製施設体の防蝕具によれば、新
たに設置される、あるいは、設置されたばかりの新しい
鋼材製施設体のみならず、既に設置されて腐蝕が始まっ
ているような施設体に対しても適用することができ、し
かも、長期に亘って優れた防蝕性能を発揮せしめること
ができる。更に、本発明の鋼材製施設体の防蝕構造によ
れば、地面に設置される種々の鋼材製施設体に対して、
例えば地面が傾斜しているような場合であっても、長期
に亘って優れた防蝕性能を発揮せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例1に係る亜鉛メッキ
鋼管製ガードレール用支柱の要部を示す斜視説明図であ
る。
【図2】 図2は、図1のリング状防蝕具を拡大して示
す正面図である。
【図3】 図3は、図1のリング状防蝕具を拡大して示
す一部断面平面図である。
【図4】 図4(A)は本発明の実施例2に係る防食具の
使用状態を示す斜視図であり、図4(B)は図4(A)中の
B−B線断面図である。
【図5】 図5(A)は図4の防食具の斜視図であり、図
5(B)は図4(A)中における部分縦断面図である。
【図6】 図6(A)は本発明の実施例3に係る防蝕具及
び防食構造を示す正面図であり、図6(B)は図6(A)中
に示した防食具の斜視図であり、また、図6(C)は図6
(B)の防食具の変形例を示す斜視図である。
【図7】 図7は図6の防食構造の変形例を示す部分断
面説明図である。
【図8】 図8(A)は本発明の実施例4に係る防蝕具の
使用状態を示す平面図であり、図8(B)は図8(A)の防
蝕具を示す斜視図であり、また、図8(C)は図8(A)の
防蝕具の取付施行状態を示す説明図であり、更に、図8
(D)は実施例4の防食具の変形例を示す斜視図である。
【図9】 図9(A)本発明の実施例5に係る防蝕具の使
用状態を示す平面図であり、図9(B)は図9(A)の防蝕
具を示す斜視図であり、また、図9(C)は図9(A)及び
(B)の防蝕具の変形例を示す平面図であり、図9(D)
は図9(C)の防食具の斜視図である。
【図10】 図10(A)は実施例6に係る防食具の使用
状態を示す平面図であり、図10(B)は図10(A)の防
食具の斜視図である。
【図11】 図11(A)は実施例7に係る防食具の使用
状態を示す平面図であり、図11(B)は図11(A)の防
食具の斜視図である。
【図12】 図12(A)本発明の実施例8に係る防蝕具
の使用状態を示す平面図であり、図12(B)は図12
(A)の防蝕具を示す斜視図であり、また、図12(C)は
図12(A)及び(B)の防蝕具の変形例を示す平面図で
あり、図12(D)は図12(C)の防食具の斜視図であ
る。
【図13】 図13(A)は実施例9に係る防食具を示す
斜視図であり、図13(B)は図13(A)の防食具の取付
状態を示すB−B線部分縦断面図である。
【図14】 図14は試験例1で用いた試験用支柱を示
す斜視図説明図である。
【符号説明】
P…防蝕具、S…ガードレール用支柱(鋼材製施設
体)、M…モルタル(補正層)、1…亜鉛メッキ鋼管、
1a…埋設部、1b…地上部、2…地覆部、2a…地面、2b…
設置溝穴、3…防蝕具本体、3a,3b…リング半体(本体
部材)、4…締付部、4a,38…貫通孔、5…ボルトナッ
ト、5a…ボルト、5b…ナット、d…隙間、6…地面側端
面、7…上端面、8…突起、9a,9b,11a,11b…端部、10
a,10b,47,50…嵌合部、12,19…凹部、13,17,22,28,59…
通し孔、14,20…雌ネジ穴、15…止めボルト、16…垂直
板、18…両端部、21,26…偏寄部、23…L形片、24,49…
凹溝、25,30…係止条、27,39…切欠き部、29…平坦部、
31…ヒンジピン、32…円弧片、33…ヒンジ、34…柄、35
…押片、36…治具、37…突条、40,42…太幅部、41a,41
b,43…角孔、44…打込みピン、45…底広凹溝、46…先太
凸条、48,51…傾斜面、52…係止片、53…薄板部、54,58
…円弧部、55…C形片、56…スリット溝、57…直線部、
60a,60b…排水条溝、T…試験用支柱。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 祐一 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1−34−1、日本 軽金属株式会社グループ技術センター内 (72)発明者 石川 博光 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1−34−1、日本 軽金属株式会社グループ技術センター内 Fターム(参考) 2D059 AA22 GG21 2D064 AA02 AA22 CA04 CA05 CA06 HA11 HA12 4K060 AA02 BA02 BA07 BA13 BA19 BA41 BA43 BA45 DA10 EA08 EA19 EB01 EB02 FA03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地面に設置された際に地中に埋設される
    埋設部と地上に露出する地上部とを有する鋼材製施設体
    の防蝕方法であり、上記施設体の地上部根元部分には、
    亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛系金属、アルミニウム又
    はアルミニウム合金からなるアルミ系金属、若しくはマ
    グネシウム又はマグネシウム合金からなるマグネシウム
    系金属で形成されて施設体に対し犠牲陽極となる防蝕具
    を、この地上部根元部分の略全周に亘って、かつ、施設
    体との間で通電可能に取り付けることを特徴とする鋼材
    製施設体の防蝕方法。
  2. 【請求項2】 施設体が亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛
    メッキ層を有する亜鉛メッキ鋼材製の施設体である請求
    項1に記載の鋼材製施設体の防蝕方法。
  3. 【請求項3】 亜鉛メッキ鋼材が亜鉛メッキ鋼管である
    請求項2に記載の鋼材製施設体の防蝕方法。
  4. 【請求項4】 亜鉛メッキ鋼管製の施設体が道路施設ポ
    ストである請求項3に記載の鋼材製施設体の防蝕方法。
  5. 【請求項5】 防蝕具は施設体を形成する鋼基材の腐蝕
    電位より100 mVvs SCE以上卑の犠牲陽極である請求
    項1〜4のいずれかに記載の鋼材製施設体の防蝕方法。
  6. 【請求項6】 施設体が亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛
    メッキ層を有する亜鉛メッキ鋼材製の施設体であり、か
    つ、防蝕具が施設体の亜鉛メッキ層と同等若しくはそれ
    以下の電位を持つ犠牲陽極である請求項5に記載の鋼材
    製施設体の防蝕方法。
  7. 【請求項7】 防蝕具は施設体の地上部根元部分に締付
    け状態で、かつ、着脱可能に取り付けられる請求項1〜
    6のいずれかに記載の鋼材製施設体の防蝕方法。
  8. 【請求項8】 地面に設置された際に地中に埋設される
    埋設部と地上に露出する地上部とを有する鋼材製施設体
    の防蝕具であり、亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛系金
    属、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミ
    系金属、若しくはマグネシウム又はマグネシウム合金か
    らなるマグネシウム系金属で形成されて犠牲陽極になる
    防蝕具本体と、少なくともこの防蝕具本体の1ヶ所に設
    けられて防蝕具本体を施設体に締付け状態に取り付ける
    ための締付部とを有し、上記施設体の地上部根元部分に
    その略全周に亘って通電可能で、かつ、着脱可能に取り
    付けられることを特徴とする鋼材製施設体の防蝕具。
  9. 【請求項9】 防蝕具本体は施設体の鋼基材の腐蝕電位
    より100 mV vs SCE以上卑の犠牲陽極である請求項8
    に記載の鋼材製施設体の防蝕具。
  10. 【請求項10】 施設体が亜鉛又は亜鉛合金からなる亜
    鉛メッキ層を有する亜鉛メッキ鋼材製の施設体であり、
    かつ、防蝕具本体が施設体の亜鉛メッキ層と同等若しく
    はそれ以下の電位を持つ犠牲陽極である請求項9に記載
    の鋼材製施設体の防蝕具。
  11. 【請求項11】 防蝕具本体がリング状に形成されてい
    る請求項8〜10のいずれかに記載の鋼材製施設体の防
    蝕具。
  12. 【請求項12】 防蝕具本体はその地面側厚さ寸法が上
    端側厚さ寸法より大きく形成されている請求項8〜11
    のいずれかに記載の鋼材製施設体の防蝕具。
  13. 【請求項13】 防蝕具本体はその地面側端部に地面に
    沿って外側に突出するフランジ部を有する請求項8〜1
    1のいずれかに記載の鋼材製施設体の防蝕具。
  14. 【請求項14】 地面に設置された際に地中に埋設され
    る埋設部と地上に露出する地上部とを有する鋼材製施設
    体の防蝕構造であり、上記施設体の地上部根元部分に
    は、亜鉛又は亜鉛合金からなる亜鉛系金属、アルミニウ
    ム又はアルミニウム合金からなるアルミ系金属、若しく
    はマグネシウム又はマグネシウム合金からなるマグネシ
    ウム系金属で形成されて施設体に対し犠牲陽極となる防
    蝕具がこの地上部根元部分の略全周に亘って、かつ、施
    設体との間で通電可能に取り付けられると共に、上記防
    蝕具の略水平な地面側端面と傾斜した地面との間にこの
    地面の傾斜を吸収する補正層が介装されていることを特
    徴とする鋼材製施設体の防蝕構造。
  15. 【請求項15】 補正層がモルタル又はコンクリートで
    形成されている請求項14に記載の鋼材製施設体の防蝕
    構造。
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