JP2002241637A - 反応染料混合物及びそれらの繊維材料への適用 - Google Patents

反応染料混合物及びそれらの繊維材料への適用

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵中に分解し難いシアナミドトリアジン反
応染料の提供。 【解決手段】 染料(1)とカルボン酸を含有する混合
物であり、両者の合計3部を100部の水で希釈したと
きのpHが6〜8の範囲である反応染料混合物。 【化1】 〔Fは有機染料残基(1〜2個の繊維反応基で置換可)
であるが、上記繊維反応基は上式の[ ]内の基とは異
なり、R1は水素等、Xは置換可ピリジニオ等、nは
1、2である。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保存安定性の優れ
た反応染料混合物に関し、詳しくは、シアナミドトリア
ジン反応染料と有機カルボン酸又はその塩を含有する反
応染料混合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シアナミドトリアジン反応染料として
は、例えば、特表平4−506531号公報に記載の染
料が公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、反応染
料は一般に保存期間中に製品や空気中に含まれる水分に
より加水分解されやすく、特に、シアナミドトリアジン
反応染料は分解されやすいという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
を解決して保存安定性の良いシアナミドトリアジン反応
染料を提供すべく鋭意検討した結果、シアナミドトリア
ジン反応染料と有機カルボン酸又はその塩を含有する反
応染料混合物であって、且つ、該混合物を水で希釈した
ときのpHが特定範囲である混合物が、上記目的を達成
することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、(イ)下記(A)成分及
び(B)成分を含有する混合物であって、(A)及び
(B)成分の合計3重量部を100重量部の水で希釈し
た希釈水のpHが6〜8の範囲であることを特徴とする
反応染料混合物: (A)・・下式(1)で示される反応染料の1種以上 (B)・・1〜4個の−COOHを有するカルボン酸又
はその塩の1種以上
【0006】
【化3】
【0007】〔式中、Fはモノアゾ染料残基、ビスアゾ
染料残基、トリスアゾ染料残基、テトラキスアゾ染料残
基、アントラキノン染料残基、フタロシアニン染料残
基、ホルマザン染料残基、トリフェニルメタン染料残
基、アゾメチン染料残基、スチルベン染料残基、オキサ
ジン染料残基、ジオキサジン染料残基又はニトロアリー
ル染料残基であり、上記アゾ染料残基は重金属との錯体
であってもよく、又、Fは、1又は2個の繊維反応基で
置換されていてもよいが、該繊維反応基は式(1)中の
[ ]内の基とは異なるものである。R1は水素又は置
換されていてもよいアルキルを表し、Xはフルオロ、ク
ロロ、又は置換されていてもよいピリジニオを表し、n
は1又は2を表す。〕並びに、(ロ)上記(イ)の混合
物を用いることを特徴とする繊維材料の染色又は捺染方
法を提供するものである。以下、本発明を詳細に説明す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の混合物における(A)成
分は式(1)で示されるシアナミドトリアジン反応染料
であるが、式(1)におけるR1は、水素又は置換され
ていてもよいアルキルを表す。R1で表されるアルキル
は、好ましくは炭素数1〜4のものであり、該アルキル
の置換基としては、例えば、ヒドロキシ、シアノ、炭素
数1〜4のアルコキシ、炭素数1〜4のヒドロキシアル
コキシ、ハロゲノ、カルバモイル、カルボキシ、アルコ
キシ(炭素数1〜4)カルボニル、アルキル(炭素数1
〜4)カルボニルオキシ、スルホ及びスルファモイル等
の非繊維反応基を挙げることができる。上記アルキル、
並びに、該アルキルの置換基としての炭素数1〜4のア
ルコキシ、炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ、アル
コキシ(炭素数1〜4)カルボニル及びアルキル(炭素
数1〜4)カルボニルオキシは、直鎖状でもよく、分岐
状であってもよい。
【0009】R1で表される置換可能なアルキルの具体
例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチ
ル、tert−ブチル、2−ヒドロキシエチル、2−(2−
ヒドロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシプロピ
ル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、
3−エトキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒ
ドロキシブチル、1−ヒドロキシメチル−1−メチルエ
チル、1,1−ジ(ヒドロキシメチル)エチル、1,1
−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、4
−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、
3,4−ジヒドロキシブチル、シアノメチル、2−シア
ノエチル、3−シアノプロピル、メトキシメチル、エト
キシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチ
ル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2
−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、クロロメチル、
ブロモメチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、
3−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4−クロロ
ブチル、4−ブロモブチル、カルボキシメチル、2−カ
ルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボ
キシブチル、1,2−ジカルボキシエチル、カルバモイ
ルメチル、2−カルバモイルエチル、3−カルバモイル
プロピル、4−カルバモイルブチル、メトキシカルボニ
ルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカ
ルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−
メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニル
プロピル、4−メトキシカルボニルブチル、4−エトキ
シカルボニルブチル、メチルカルボニルオキシメチル、
エチルカルボニルオキシメチル、2−メチルカルボニル
オキシエチル、2−エチルカルボニルオキシエチル、3
−メチルカルボニルオキシプロピル、3−エチルカルボ
ニルオキシプロピル、4−メチルカルボニルオキシブチ
ル、4−エチルカルボニルオキシブチル、スルホメチ
ル、2−スルホエチル、3−スルホプロピル、4−スル
ホブチル、スルファモイルメチル、2−スルファモイル
エチル、3−スルファモイルプロピル及び4−スルファ
モイルブチル等を挙げることができる。
【0010】R1としては、水素、メチル又はエチルが
好ましく、水素がより好ましい。
【0011】式(1)におけるXは、フルオロ、クロロ
又は置換されていてもよいピリジニオを表すが、上記置
換されていてもよいピリジニオとしては、例えば、ピリ
ジニオ、2−、3−又は4−カルボキシピリジニオ、2
−、3−又は4−カルバモイルピリジニオ、3−スルホ
ピリジニオ、4−(2−スルホエチル)ピリジニオ、3
−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニオ、4−クロロピ
リジニオ、3−メチルピリジニオ、及び、3,5−ジカ
ルボキシピリジニオ等を挙げることができる。置換され
ていてもよいピリジニオとしては、3−又は4−カルボ
キシピリジニオが好ましい。
【0012】上記のXとしては、フルオロ、クロロが好
ましく、特にクロロが好ましい。
【0013】式(1)におけるFは、モノアゾ染料残
基、ビスアゾ染料残基、トリスアゾ染料残基、テトラキ
スアゾ染料残基、アントラキノン染料残基、フタロシア
ニン染料残基、ホルマザン染料残基、トリフェニルメタ
ン染料残基、アゾメチン染料残基、スチルベン染料残
基、オキサジン染料残基、ジオキサジン染料残基又はニ
トロアリール染料残基であり、上記のモノアゾ染料残
基、ビスアゾ染料残基、トリスアゾ染料残基及びテトラ
キスアゾ染料残基は重金属との錯体であってもよく、
又、Fは、1又は2個の繊維反応基で置換されていても
よいが、該繊維反応基は式(1)中の[ ]内の基とは
異なるものである。
【0014】好ましいFとしては、例えば、下式(a)
〜(n)で示される染料残基等を挙げることができる。
なお、式(a)〜(n)中の「−」は、基−N(R1
−に接続している結合を意味する。
【0015】
【化4】
【0016】[式中、D1は下式(a-1)〜(a−3)
で示される基を表し、R2およびR3は、同一又は相異な
り、水素、スルホ、非繊維反応基で置換されていてもよ
いC1〜C4アルコキシ又は非繊維反応基で置換されてい
てもよいC1〜C4アルキルを表す。なお、式(a-1)
〜(a−3)中の「−」は、基−N=N−に接続してい
ることを意味する。]
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】[式中、R4は水素、シアノ、カルバモイ
ル、スルホ又はスルホアルキルを表し、R5は非繊維反
応基で置換されていてもよいC1〜C4アルキル又はシク
ロヘキシル基を表す。]
【0020】
【化7】
【0021】[式中、R6は水素、非繊維反応基で置換さ
れていてもよいC1〜C4アルキル、非繊維反応基で置換
されていてもよいC1〜C4アルコキシ、アセチルアミノ
又はウレイドを表し、R7は水素、非繊維反応基で置換
されていてもよいC1〜C4アルキル、非繊維反応基で置
換されていてもよいC1〜C4アルコキシを表す。]
【0022】
【化8】 [式中、(R80-2は、非繊維反応基で置換されていて
もよいC1〜C4アルキル、非繊維反応基で置換されてい
てもよいC1〜C4アルコキシ、クロロ及びスルホからな
る群より選択される、0〜2個の同一又は相異なるR8
基であり、Zは−CH=CH2又は−CH2CH2Lを表
し、Lはアルカリの作用で脱離する基であり、R9は水
素、メチル又はエチルを表し、R10は水素、非繊維反応
基で置換されていてもよいC1〜C4アルキル、アセチ
ル、プロピオニル、ベンゾイル、スクシニル、マレイニ
ル、フタロイル又は下式(3)の基を表す。
【0023】
【化9】
【0024】0{式中、X2は、Xと同一又は相異なり、
同義であり、Uはヒドロキシ、非繊維反応基で置換され
ていてもよいC1〜C4アルコキシ、非繊維反応基で置換
されていてもよいフェノキシ、非繊維反応基で置換され
ていてもよいC1〜C4アルキルチオ又は非繊維反応基で
置換されていてもよいアミノ或いは、下式(4a)、
(4b)、(4c)又は(4d)で示される基であ
る。}
【0025】
【化10】
【0026】(式中、R11は水素又は非繊維反応基で置
換されていてもよいアルキルを表し、R12及びR13は、
同一又は相異なり、R11と同義であるか、或いは無置換
のフェニルを表し、A1は非繊維反応基で置換されてい
てもよいフェニレン又は非繊維反応基で置換されていて
もよいナフチレンを表し、A2は非繊維反応基で置換さ
れていてもよいアルキレンを表し、Bは−O−、−S−
又は−NR14−を表し、R14は水素、非繊維反応基で置
換されていてもよいアルキル又は非繊維反応基で置換さ
れていてもよいフェニルを表し、o及びpは、同一又は
相異なり、2、3又は4を表し、qは1〜6の整数を表
し、Zは前記と同義である。)]
【0027】
【化11】
【0028】[式中、R9及びR10は前記と同義であ
る。]
【0029】
【化12】
【0030】[式中、R8は前記と同義である。]
【0031】
【化13】
【0032】[式中、Pcは銅フタロシアニンのフタロ
シアニン核を表し、Vは脂肪族の二価基、脂環式二価基
又は芳香族の二価基を表し、r及びsは、同一又は相異
なり、0、1又は2を表し、tは1又は2を表し、r+
s+tは4以下である。]
【0033】
【化14】 [式中、Wは非繊維反応基で置換されていてもよいフェ
ニレン基又は非繊維反応基で置換されていてもよいジフ
ェニレン基を表す。]
【0034】
【化15】
【0035】[式中、Qは−O−又は−COO−を表
し、G及びG'は、同一又は相異なり、非繊維反応基で
置換されていてもよいフェニレンを表し、G''は非繊維
反応基で置換されていてもよいフェニルを表し、Zは前
記と同義である。]
【0036】
【化16】
【0037】[式中、V及びZは前記と同義である。]
【0038】
【化17】
【0039】[式中、Lはスルホ、ハロゲン又はアルコ
キシを表し、R15及びR16は、同一又は相異なり、水素
又は非繊維反応基で置換されていてもよいアルキルを表
す。]
【0040】
【化18】
【0041】[式中、T1及びT2は、一方がヒドロキ
シ、他方がアミノであり、R8、R9、R1 0及びZは前記
と同義である。]
【0042】
【化19】
【0043】
【化20】
【0044】[式中、D2は非繊維反応基で置換されてい
てもよいフェニル又は非繊維反応基で置換されていても
よいナフチルを表し、K1及びK2は、同一又は相異な
り、非繊維反応基で置換されていてもよいフェニレン又
は非繊維反応基で置換されていてもよいナフチレンを表
す。]
【0045】上記(a)〜(c)、(h)〜(i)、
(k)及び(n)式中の各基の置換基である非繊維反応
基、並びに、上記(d)式における式(3)及び(4
a)〜(4c)中の各基の置換基である非繊維反応基の
具体例としては、ヒドロキシ、シアノ、直鎖状または分
岐状の炭素数1〜4のアルコキシ、直鎖状または分岐状
の炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ、ハロゲノ、カ
ルバモイル、カルボキシ、直鎖状または分岐状のアルコ
キシ(炭素数1〜4)カルボニル、直鎖状または分岐状
のアルキル(炭素数1〜4)カルボニルオキシ、スル
ホ、スルホン酸エステル及びスルファモイル等の非繊維
反応基を挙げることができる。
【0046】上式(1)におけるnは、1又は2であ
る。
【0047】式(1)で示される反応染料としては、特
に、下式(2)で示される染料が好ましい。
【0048】
【化21】
【0049】〔式中、F1はモノアゾ染料残基、ビスア
ゾ染料残基、トリスアゾ染料残基、テトラキスアゾ染料
残基、アントラキノン染料残基、フタロシアニン染料残
基、ホルマザン染料残基、トリフェニルメタン染料残
基、アゾメチン染料残基、スチルベン染料残基、オキサ
ジン染料残基、ジオキサジン染料残基又はニトロアリー
ル染料残基であり、又、F1は、複素環式繊維反応基を
有していてもよい。Zは−CH=CH2又は−CH2CH
2Lを表し、Lはアルカリの作用で脱離する基であり、
sは1〜3の整数を表し、X、n及びR1は上記の意味
を表す。〕
【0050】(B)成分である1〜4個の−COOHを
有する化合物としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イ
ソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ラウリン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン
酸、アジピン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン
酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、ニコチン酸、イソ
ニコチン酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸
又はエチレンジアミン四酢酸が挙げられる。
【0051】好ましい1〜4個の−COOHを有する化
合物としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタ
ル酸、イソフタル酸又はエチレンジアミン四酢酸が挙げ
られる。
【0052】本発明で用いられる式(1)の反応染料及
び、1〜4個の−COOHを有する化合物は、遊離酸の
形であってもよく、塩の形であってもよく、それらの混
合物の形であってもよい。好ましくは、アルカリ金属
塩、アルカリ土類金属塩及びこれらを含有する混合物の
形であり、特に好ましくは、ナトリウム塩、カリウム
塩、リチウム塩及びそれらを含有する混合物の形であ
る。
【0053】本発明で用いられる反応染料(1)は、例
えば、特公昭48−22818号公報や特表平4−50
6531号公報に記載の方法又は該方法に準じて製造す
ることができる。又、1〜4個の−COOHを有するカ
ルボン酸又はその塩と反応染料(1)との混合方法は、
特に限定されるものではなく、例えば、反応染料(1)
の製造時に混合されてもよく、製造後に混合されてもよ
い。混合時の形態は、粉状や顆粒状等の固体でもよく、
水溶液でもよく、それらの組み合わせでもよい。
【0054】好ましい本発明の反応染料混合物は、反応
染料(1)の100重量部に対して、1〜4個の−CO
OHを有する化合物が5〜30重量部の混合割合であ
る。
【0055】本発明の反応染料混合物は、好ましくは、
(A)成分及び(B)成分以外に、リン酸塩化合物を含
有するものである。リン酸塩化合物としては、第一リン
酸、第二リン酸、ジリン酸、トリポリリン酸の塩が挙げ
られる。リン酸塩化合物としては、好ましくは、アルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩及びこれらを含有する混
合物の形であり、特に好ましくは、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、リチウム塩及びこれらの混合物である。
【0056】本発明の反応染料混合物は、例えば、繊維
材料を染色又は捺染する染料として有用である。繊維材
料としては、ヒドロキシ基及び/又はカルボンアミド基
を含有するものであれば特に限定されないが、例えば、
天然又は再生セルロース繊維材料、天然又は合成ポリア
ミド繊維材料、ポリウレタン繊維材料、皮革、及びこれ
らを含有する混紡材料等を挙げることができる。
【0057】天然セルロース繊維材料として、具体的に
は、木綿、あるいはその他の植物繊維、例えばリネン、
麻、ジュート及びラミー繊維等を挙げることができる。
再生セルロース繊維材料としては、例えばレーヨン、ポ
リノジック、キュプラ繊維、及び商品名「テンセル」、
「タフセル」、「モダール」、「セルティマ」等を挙げ
ることができる。
【0058】天然又は合成ポリアミド繊維材料として、
具体的には、羊毛、その他の動物毛、絹、ポリアミド−
6,6、ポリアミド−6、ポリアミド−11、ポリアミ
ド−4等を挙げることができる。
【0059】又、これらを含有する混紡材料としては、
これらの繊維材料の混紡材料の他、これらの繊維材料
と、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維と
の混紡材料等も例示することができる。
【0060】本発明の反応染料混合物は、上述の材料上
に、特に上述の繊維材料上に、物理化学的性状に応じた
方法で染色又は捺染することができる。
【0061】具体的には、例えば、上述の繊維材料上
に、吸尽染色法、コールドバッチアップ法、連続染色
法、捺染法等の方法により染色又は捺染する方法を挙げ
ることができる。例えばセルロース繊維材料上に吸尽染
色する場合、炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、重炭酸ソー
ダ、苛性ソーダのような酸結合剤の存在下、必要に応じ
て、芒硝や食塩等の中性塩を加え、さらに必要に応じ
て、溶解助剤、浸透剤又は均染剤等を併用し、30〜1
00℃程度の温度で染色する方法等が例示される。ここ
で酸結合剤、中性塩等の添加は、一度に行ってもよく、
又常法により分割して行ってもよい。
【0062】セルロース繊維上にコールドバッチアップ
法で染色する場合においては、芒硝や食塩等の中性塩、
及び、苛性ソーダやケイ酸ソーダ等の酸結合剤を用いて
パジング後、密閉包装材料中に一定温度で放置して処理
する方法等が例示される。
【0063】セルロース繊維上に連続染色法で染色する
場合においては、炭酸ソーダや重炭酸ソーダ等の酸結合
剤の存在下、公知の方法で室温又は高められた温度でパ
ジング後、スチーミング又は乾熱により処理する一相パ
ジング法や、本発明の化合物が溶解されているパジング
液に繊維を浸漬後、芒硝や食塩等の中性塩、及び、苛性
ソーダやケイ酸ソーダ等の酸結合剤をパジングし、スチ
ーミング又は乾熱することにより処理する二相パジング
法等が例示される。
【0064】セルロース繊維上に捺染を行う場合におい
ては、一相で、重曹等の結合剤を含有する捺染ペースト
で印捺し、次いで80℃以上の高温でスチーミングする
方法や、二相で、例えば中性又は弱酸性の捺染ペースト
で印捺し、これを電解質含有のアルカリ性浴に通過させ
た後、又はアルカリ性の電解質含有パジング液でオーバ
ーパジングし、その後スチーミング又は乾熱することに
より処理する方法等が例示される。ここで、捺染ペース
トには、例えばアルギン酸ソーダや澱粉エーテル等の糊
剤及び/又は乳化剤を含んでいてもよく、また必要に応
じて、例えば尿素等の捺染助剤及び/又は分散剤を含ん
でいてもよい。
【0065】セルロース繊維上に本発明の反応染料混合
物を染色又は捺染する場合、用いられる酸結合剤は特に
限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属と無機又は有機酸との
水溶性塩基性塩、あるいは加熱状態でアルカリを遊離す
る化合物等を例示できる。特に、アルカリ金属の水酸化
物及び弱ないし中程度の強さの無機又は有機酸のアルカ
リ金属塩が挙げられ、これらの中でも、ナトリウム又は
カリウムの水酸化物、ナトリウム塩及びカリウム塩が好
ましい。このような酸結合剤として具体的には、上述し
た炭酸ソーダ、第三燐酸ソーダ、重炭酸ソーダ、苛性ソ
ーダ、炭酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、重曹の他に、苛性カ
リ、蟻酸ソーダ、炭酸カリ、第一又は第二燐酸ソーダ、
トリクロロ酢酸ソーダなども挙げられる。
【0066】合成又は天然のポリアミド繊維上や、ポリ
ウレタン繊維上に吸尽染色する場合においては、酸性〜
弱酸性の染浴中、pH値の制御下、本発明の反応染料混
合物を吸尽させ、次いで60〜120℃程度の温度下、
中性〜アルカリ性のpH値に変化させる方法等が例示さ
れる。ここで必要に応じて、均染剤等、例えば塩化シア
ヌルと3倍モル量のアミノベンゼンスルホン酸又はアミ
ノナフタレンスルホン酸との縮合生成物あるいは、例え
ばステアリルアミンとエチレンオキサイドとの付加生成
物等の均染剤等を用いても差し支えない。
【0067】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。例中、「部」及び「%」は、重量部及び重量%で
ある。
【0068】実施例1 遊離酸の形が、下式(5)
【0069】
【化22】
【0070】で表される化合物1264部とフタル酸ソ
ーダ210部、リン酸二水素ナトリウム193部を、そ
れぞれ水溶液として混合後、乾燥して黒色の粉体染料混
合物を得た。得られた粉体染料混合物は、30重量倍の
水に溶解したときのpHは7であった。上記の粉体染料
混合物を60℃の条件で、保存安定性試験を行ったが、
28日後でも、式(5)の化合物の残存率が83%と高
く、染色力の低下は殆ど認められなかった。
【0071】比較例1 1264部の上記化合物(5)及び193部のリン酸二水
素ナトリウムから、黒色の紛体染料混合物を得(30倍
希釈時のpHは7)、実施例1と同様の保存安定性試験
を行った。式(5)の化合物の残存率は70%と、実施例
1に比べて低かった。
【0072】実施例2 フタル酸ソーダの代わりにマレイン酸ソーダ160部を
用いる以外は、実施例1と同様にして、黒色の紛体染料
混合物を得た。この混合物を用いて、実施例1と同様の
保存安定性試験を行った結果、式(5)の化合物の残存率
が高く、染色力の低下は殆ど認められなかった。
【0073】実施例3 フタル酸ソーダの代わりにフマル酸ソーダ160部を用
いる以外は、実施例1と同様にして、黒色の紛体染料混
合物を得た。この混合物を用いて、実施例1と同様の保
存安定性試験を行った結果、式(5)の化合物の残存率が
高く、染色力の低下は殆ど認められなかった。
【0074】実施例4 フタル酸ソーダの代わりに安息香酸ソーダ144部を用
いる以外は、実施例1と同様にして、黒色の紛体染料混
合物を得た。この混合物を用いて、実施例1と同様の保
存安定性試験を行った結果、式(5)の化合物の残存率が
高く、染色力の低下は殆ど認められなかった。
【0075】実施例5 フタル酸ソーダの代わりにコハク酸ソーダ162部を用
いる以外は、実施例1と同様にして、黒色の紛体染料混
合物を得た。この混合物を用いて、実施例1と同様の保
存安定性試験を行った結果、式(5)の化合物の残存率が
高く、染色力の低下は殆ど認められなかった。
【0076】実施例6 実施例1においてフタル酸ソーダの代わりにエチレンジ
アミン四酢酸ナトリウム38.0部を用い黒色の紛体を
得た。このものを60℃、28日間の加速貯蔵試験を行
った結果、残存率が高く、染色力の低下は殆ど認められ
なかった。
【0077】実施例7 上式(5)で示される化合物を下表1〜5における第2
欄の化合物に変える以外は、実施例1〜6と同様に調製
して得られる紛体染料混合物は、いずれも、有機カルボ
ン酸塩を含まない組成物に比べて、安定性が向上する。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】実施例8 実施例1で得た反応染料混合物の0.1、0.3及び0.6部
を、各々、水200部に溶解し、芒硝6部と木綿10部
を加え、70℃に昇温し、炭酸ソーダ4部を加えて、1
時間染色し、水洗、ソーピング、水洗、乾燥後に得られ
る染色物は、いずれも均一で色の濃い紺色であり、諸堅
牢度、固着率、ビルドアップ性、溶解性及び均染性が良
好である。又、上記の水洗時及びソーピング時における
染色排水の着色も僅かである。
【0084】実施例9 芒硝量を6部から4部に変える以外は実施例8と同様に
して得られる染色物は、各々、実施例1で得た染色物と
同等の品質を有する。
【0085】実施例10 染色温度を60℃に変える以外は実施例8、9と同様に
して得られる染色物は、各々、実施例8〜9で得られる
染色物と同等の品質を有する。
【0086】
【発明の効果】本発明の反応染料混合物は、式(1)で
表される反応染料に比べて、保存安定性に優れており、
特にセルロース繊維材料を染色する際に、溶解性、均染
性及び染色再現性に優れるという利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒木 聰之 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4H056 JA01 JA02 JA05 JB02 JC05 JC08 4H057 AA02 BA07 CA11 CB16 CC02 DA01 HA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)成分及び(B)成分を含有する
    混合物であって、(A)及び(B)成分の合計3重量部
    を100重量部の水で希釈した希釈水のpHが6〜8の
    範囲であることを特徴とする反応染料混合物。 (A)・・下式(1)で示される反応染料の1種以上 (B)・・1〜4個の−COOHを有するカルボン酸又
    はその塩の1種以上 【化1】 〔式中、Fはモノアゾ染料残基、ビスアゾ染料残基、ト
    リスアゾ染料残基、テトラキスアゾ染料残基、アントラ
    キノン染料残基、フタロシアニン染料残基、ホルマザン
    染料残基、トリフェニルメタン染料残基、アゾメチン染
    料残基、スチルベン染料残基、オキサジン染料残基、ジ
    オキサジン染料残基又はニトロアリール染料残基であ
    り、上記アゾ染料残基は重金属との錯体であってもよ
    く、又、Fは、1又は2個の繊維反応基で置換されてい
    てもよいが、該繊維反応基は式(1)中の[ ]内の基
    とは異なるものである。R1は水素又は置換されていて
    もよいアルキルを表し、Xはフルオロ、クロロ、又は置
    換されていてもよいピリジニオを表し、nは1又は2を
    表す。〕
  2. 【請求項2】更に、リン酸塩化合物を含有する請求項1
    に記載の混合物。
  3. 【請求項3】Fが、モノアゾ染料残基、ビスアゾ染料残
    基、トリスアゾ染料残基、テトラキスアゾ染料残基、ア
    ントラキノン染料残基、フタロシアニン染料残基、ホル
    マザン染料残基又はジオキサジン染料残基である請求項
    1又は2に記載の混合物。
  4. 【請求項4】1〜4個の−COOHを有するカルボン酸
    が、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、マレイン
    酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テ
    レフタル酸、ケイ皮酸又はサリチル酸である請求項1〜
    3のいずれかに記載の混合物。
  5. 【請求項5】R1が、水素、メチル又はエチルである請
    求項1〜4のいずれかに記載の混合物。
  6. 【請求項6】式(1)で示される反応染料が、下式
    (2)で示される染料である請求項1〜5のいずれかに
    記載の混合物。 【化2】 〔式中、F1はモノアゾ染料残基、ビスアゾ染料残基、
    トリスアゾ染料残基、テトラキスアゾ染料残基、アント
    ラキノン染料残基、フタロシアニン染料残基、ホルマザ
    ン染料残基、トリフェニルメタン染料残基、アゾメチン
    染料残基、スチルベン染料残基、オキサジン染料残基、
    ジオキサジン染料残基又はニトロアリール染料残基であ
    り、又、F1は、複素環式繊維反応基を有していてもよ
    い。Zは−CH=CH2又は−CH2CH2Lを表し、L
    はアルカリの作用で脱離する基であり、sは1〜3の整
    数を表し、X、n及びR1は請求項1記載の意味を表
    す。〕
  7. 【請求項7】式(1)で表される反応染料100重量部
    に対して、1〜4個の−COOHを有するカルボン酸を
    5〜20重量部含有してなる請求項1〜6のいずれかに
    記載の混合物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の混合物を
    用いることを特徴とする繊維材料の染色又は捺染方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH04506531A (ja) * 1989-05-10 1992-11-12 ヘキスト・アクチェンゲゼルシャフト 水溶性アゾ染料、その製法及び用途
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WO2000063298A1 (en) * 1999-04-15 2000-10-26 Dystar Textilfarben Gmbh & Co. Deutschland Kg Deep navy dye mixtures of fiber-reactive azo dyes and a method for their preparation and a process for dyeing hydroxy and/or carboxamido containing fibers

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